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Clock(trial)

プロローグ

 
(※このSSはとある魔術の禁書目録の二次創作であり、原作または現実の個人・団体・国家・宗教とは一切関係ありません)


――ある丘の上にて

兵士「気分はどうだ、王よ。お前さんの玉座から見渡す民の群れは」

王「まぁそこそこかな。ちょっと椅子が硬いのは減点対象だれけど。後で家具屋を呼ばないといけないね」

兵士「残念だが、今日は靴屋も休みの日だ。呼ぶのであれば大工の親父にでも頼むといい」

王「私たちだって休みは休みなのだけれど」

兵士「……なぁ、聞いていいか?」

王「なんだい。というか私とは口をきくな、と言われているんじゃないの?」

兵士「言われているとも。だが、俺の目には咎める誰の姿も映ってはいない」

王「ならいいけど。後から叱られて困るのは私じゃないし」

兵士「それで、これか?これがお前が見たかった景色なのか?」

王「とは?」

兵士「王冠をつけた心地はどうだった、と聞いている」

王「王ねぇ。私は名乗ったもつもりも、僭称した憶えもないのだけれど」

兵士「そこまでして英雄になりたかったのか?誰かを救ってやりたかったのか?」

兵士「簡単だろう。誰かを敵だと決めつけ、自分は善だ正義だと陶酔する様は」

兵士「だが、だがな。そんなものはまやかしだ。大抵は悪を否定しても、また大きな悪が出てくるんだ」

兵士「蜂蜜酒ミードのように甘ったるく、悪酔いの夢は終わるんだ」

王「詩的な説教ありがとう。蜂蜜酒ミードは嫌いかい?」

兵士「ウチの婆さんがそっちの出でな。小さい時分に飲まされて死にそうになった」

王「それはお気の毒様だね。ウルイスが多いから本当は子供に飲ませるのはよくないんだっけ」

兵士「うい……?」

王「まぁあまり御祖母様を責めないでやってくれたまえよ。アレはアレで通過儀礼としての役割があるのだから」

王「というか、もしかして」

兵士「あぁ”もっていかれた”のがこれだけで済んで幸いだ――などと割り切れるまでには相当かかったがな」

王「あの女王は嫉妬深い。ご家族に感謝しないといけないよ」

兵士「お鉢が回ってきたのもそのせいだ。俺がしなくても誰かがするんだろうが」

王「私がやったのは”それ”だよ」

兵士「なに?」

王「誰かがしてるくれるだろう、の誰かさんがいつまで待っても来ないものだからね」

王「まぁだったら私が、なんて年甲斐もなく逸ってしまった結果がこれだね」

兵士「……ユールの夜に来る狂った狩人を待ちわびても、それは、それはきっと古い山から唸りを上げて吹く風の音だ」

兵士「永遠の狩人に憧れ、四辻で夜通し立っていてもだ。お前は鎖を掴む機会など与えられはしないのに」

王「見解の相違だね」

兵士「どころではない。お前は、お前の父親は助けてはくれないのか」

兵士「王よ。お前の民もお前を助けようとはしないのか」

王「訂正してもらいたい。私の民など誰もいないよ」

王「私は私の友と一緒にいた。それが全てだ」

兵士「……」

王「君は――あぁその格好じゃ分からないだろうが、あちこちに配置されている兵士は暴動を起こしたときのためだろう?」

王「いや……違うかな。暴動が起きるんじゃない、起きて欲しいと思っている?。そうすれば危険因子だからと大義名分を得られる、という訳か」

兵士「お前にはそう見えるか。俺には何も見えないが」

王「君、都合が悪くなったらそればっかりだな。」

王「というか人選に悪意があると思うんだよ。君、上手くできるのかい?」

王「外しても『あ、じゃあもう一回行きますんで!』はやめておくれよ?」

兵士「慣れている。これはこれで邪視も防げるしな」

王「……英雄、ねぇ。そんなにいいものじゃなかったよ。個人的にはオススメしないね」

王「でも、誰かがしなくてはならなかった。誰かがしなければいけないんだったら私がした」

王「――と、でも答えれば満足かね?」

兵士「焦燥感は……まぁ、分からないでもない。目の前にある悪なり不正へ声を上げるのも共感すらしよう」

兵士「悪果が実をつけ、善果が枯れ行く様は誰の目にも不愉快でしかないのも分かりはする」

兵士「個人的には肥えた豚の茶番に付き合うぐらいなら、さっさと絞め殺した方が国のためだ」

王「豚って……あの人、一応提督なんだけど」

兵士「豚で充分だ。あの無能が服を着ている男、北部だったら着任初日に不幸な”事故”に巻き込まれるな」

王「荒れているねぇゲルマニア」

兵士「だが、だ。方法を間違ったのではないのか?手段を選ぶべきではなかったのか?」

兵士「料理にハエが集っていたとして、テーブルごとひっくり返してどうする?傷んだイチジクが載っていても取り除けば済む話だろう?」

兵士「……簒奪して王になるのであれば、またその王も簒奪されるんだ――」

王「だから私は別に王になんかなりたくなかったんだってば」

兵士「お前はそう言うし、俺も端から見ていてそうなんだろうと思ってはいるんだ。だが」

兵士「お前は頭が良い。”こう”なるのは分かっていただろう?」

王「……」

兵士「なのにどうして回避しようとしなかった。最悪の事態は防ごうと思えば防げたはずだ」

兵士「逃げるのだっていい。アクィタニアやガリアのような辺境の地で慎ましく暮らせば、なにもこうはならなかっただろう」

兵士「とどのつまり自己満足なのか、お前の?」

王「……分かろうとしない人に、何を語っても無駄、ということだね」

兵士「俺が分かろうとしないと?」

王「分かろうとしたかい?」

兵士「”自分が受け入れられないのは相手に問題があるからだ”、か。王よ、お前はまさに王器であるのだな」

兵士「その理屈が正しいのであれば、正義をお題目に掲げれば誰も彼をも殴れる棍棒ができてしまうじゃないか」

王「詭弁かな」

兵士「神官服を着た豚どもの鼻を明かすのには適当だろう。だがその程度だ」

兵士「お前がもし誰かを救えると傲るのならば、まず自分を救ってみせるがいい」

王「……」

兵士「さぁとっとと逝け。お前の父親は底で待っているだろうさ」

王「色々と悪かったね、ならば私は行こう」

兵士「佳い旅路を」

王「あぁそう言えば、君は私がどうなるか教えてくれたね。その礼という訳じゃないけれど――」

王「『――I shall at last rest, but thou shalt go on till the last day.』」
(――私はついに休むつもりだが、君は最期の日まで歩むがいい)



――学園都市 朝の満員電車

女の子A「あの、すいません」

痴漢「はい?」

女の子A「そ、その混んでるから仕方がないんだけど、ちょっと手が……」

痴漢「あぁごめんなさいねー。こうも人が多いとどうしても」

女の子A「って言ってるうちから」

痴漢「え、ごめん?どうしたの?何がどうなってるって聞こえな――」

上条 パシャッ、ピロリロリーン

女の子A・痴漢「……」

上条「『――はい、もしもし。風紀委員の人ですか?今電車で痴漢がですね』」

女の子A「って通報!?止めないの!?」

女の子A「てかまずなんで最初に写メしたのよ!?ワンクッション置いた理由は!?」

上条「残念だが、俺の目は誤魔化せない……!」

女の子B(痴漢)「――くっ!よくぞ見破りやがりましたわね!」

女の子A「痴漢も女の子だった!?」



――バスの車内

男子学生A「――動くな!誰も動くんじゃない!」

男子生徒B「おい、どうしたんだよ急に」

男子生徒A「俺が預っていたメモリチップが盗まれたんだ――見てくれ!」

男子生徒B「こ、これは……!?」

男子生徒A「チタン製のケースが内側から焼き切られている。こんなこと旋盤器でもなければ不可能だ!」

男子生徒A「触ってみたらまだ熱い!たった今焼き切られたって証拠なんだよ!」

男子生徒B「つ、つまり?」

男子生徒A「そう、このバスの中にはチタンを焼き切る能力者、それとその行為を気づかせないようにする能力者の最低二人はいるってことだ!」

男子生徒B「な、なんだってーーーーーーーーー!?」

上条「『――はい、もしもし。風紀委員の人ですか?今バスの中で器物損壊事件がですね』」

男子生徒A「待ってくれよ!?これから数週間かけて異能パズルする予定だったのに!解決しちゃうじゃないか!」

上条「『朝のクッソ忙しいときに。はい、当事者は周囲の迷惑考えずヒートアップしやがって』」

男子生徒B「……まぁな。関係ない奴らからしたらその反応だよな」



――通学路

女の子C「すいません今から学校なんですけど、てか超邪魔なんですけど」

チンピラ「あぁ何言ってんだテメー!俺のバイクが邪魔だっていうのか!?」

女の子C「バ、イク?あぁすいませんてっきり粗大ゴミの回収業者かと思ったんですけど」

チンピラ「誰がリサイクル業者だコノヤロー!分かりやすい青い作業着着てたら『あ、お疲れ様でーす』ってなるけど着てねぇよ!」

チンピラ「俺のバイクはなぁ丹精込めて作り上げた一品モンなんだよ!」

女の子C「シルバークロースのガワだけそっくりなんですけど?」

チンピラ「……ぇっ?」

女の子C「多分前にあった事故で見ただけなんでしょうけど、どう見てもクロースのパクりなんですけど」

女の子C「しかもこれ外注させたカウルに無理矢理合わせたからか、シャフトが曲がって。あぁほらここですけど」

チンピラ「……気づかなかった」

女の子C「このままだと金属疲労でヤバいんですけど。一回板金屋さんに持ち込んで叩いてもらうのがベストですけど」

チンピラ「そっか。ありがとう」

女の子C「どういたしまして、ですけど」

チンピラ「そ、そのだな。よかったら、お礼っつーかさ、今度改めて連絡したいって言うかだ」

女の子C「……連絡先?」

チンピラ「う、うん……」

女の子C「ま、まぁいいですけど!」

チンピラ「マジで!?よっしゃ!」

女の子C「ただし!バイク直ってからにしてほしいんですけど!えっと、ほら!きちんと修理したか確認するためですけど!」

チンピラ「お、おう!今から板金行ってくるわ!」

上条「通報させろよ!?何やってんのお前ら!?なんで一緒に遊びに行く空気になってんの!?

上条「出会いは突然だけどデレまでが早い早い!もっと引っ張れよ!即デレるだなんで達成感がない!」

上条「つーか俺にテンドンさせるって流れだったろうが!つーか遊びに行くんだったら俺も連れて行けよコノヤロー!」

女の子C「絡み方が理不尽すぎるんですけど」

チンピラ「そうでもないよーな、あるよーな……」



――学校近くのコンビニ前

レッサー「あ、すいませーん。ちょっとアンケート取ってるんですでお時間よろしいですかー?」

レッサー「まずこちらの書類に住所氏名書いて頂いてー、実印の代わりに拇印をこちらに」

レッサー「あ、保証人はこっちで用意しておいたんで、役場に持っていけば即受理されますからご心配なく!」

上条「『――はい、もしもし。風紀委員の人ですか?今路上で違法な国際結婚斡旋業者の人がですね』」

レッサー「会話の一つも交わしてないのに即通報!?しましょうよ会話のキャッチボオオオオォ!折角一発ネタのために学園都市まで来たんですから!」

上条「お前のその両手に提げてるとらのあ○とメロンブック○の紙袋さえなければ、一瞬考えないでもなかったんだがな」



――学校

土御門「はよーっすーカミやん」

上条「ちーっす土みか――ど?」

土御門「どーしたカミやん。俺の顔指さしたって照れるだけだぜぃ」

上条「あれお前死んだんじゃなかったっけ?」

土御門「イジメかな」

上条「いやでも……あれ?どうだったっけ?」

土御門「朝一で縁起悪いこと言うぜぃ。ここがアメリカだったら、次カミやんと会うのは法廷なんだにゃー

上条「いやごめんごめん。なんかついそんなイメージが」

土御門「いいんたぜぃカミやん。俺たち来年も一緒に留年すんだから、仲良くしようぜぃ!」

上条「お断りだ!俺だけでも進級してみせる!」

姫神「と。言いつつ土御門君だけ進級しそうな予感がするよね」

吹寄「あー……うん、頑張れ!」

上条「お前らの仕打ちは忘れねぇからな!もし仮にそんなことなったら、お前らの卒業式でウソッ○やって伝説作ってやるぜ!」

土御門「あぁあの土下座芸。『え?連れてくの?レギュラー増えすぎたし減らして良くね?』とツッコんだ」

姫神「記念にはなる。よね」

吹寄「やめなさい。退学になるから」

上条「姫神も吹寄もおはような!俺たちずっと友達だよね!」

吹寄「そうねおはよう。友達だから一緒に留年させるようなことできないわよね、友達だから」

姫神「特別と特殊は違うと思うんだ」

上条「……くっ!俺の味方はどこに!」

土御門「青ピだったら条件次第で残るんじゃ?」

上条「いや無理だろう。高校に残るよりも大学行った方が自由度高いし」

土御門「だったらこう言ってやるといいぜぃ――『小萌先生が成長するまで見守れる』って」

上条「ナイス土御門!その手があったか!」

吹寄「小萌先生は……その、これ以上は成長しないんじゃないかなぁって」

姫神「前にアルバム見せてもらったら。まぁうん。刻が停まってた的な攻撃を受けたとしか」

上条「青ピーーーー!?どごにいる青ピーーーーーーーーーーーーーーーっ!?」

吹寄「放送禁止用語連発しているみたいに聞こえる――姫神さん?」

姫神「ん。あぁ。なに?」

吹寄「どうかした?朝からアホに巻き込まれて気分でも悪い?」

姫神「ううん。そうじゃなくて」

吹寄「あ、だったら昨日貸した無加水無油ノンフライタジン鍋が良かった!?」

姫神「試してもいない。というか昨日の今日で結果を求めすぎてる」

姫神「そうでもなく。えぇとね。上条君が」

吹寄「が?」

姫神「急に大人になったような気がして」

吹寄「……そう?休み挟んだ訳じゃないし、髪伸びた――というか見たことないけど――訳でもないし」

吹寄「カラー入れた、って事でもないわね」

姫神「なんだろう?雰囲気的な?」

吹寄「いや、私に聞かれても」

青ピ「――で、カミやん。これがなぁ、ほんっっっっっっっっっっっまに苦労したブツやねん」

上条「ま、マジで!?いやでもなー。お前、前もそう言ってゴミコレクション押しつけてきたじゃんか?」

上条「今回もアレじゃね?どうせワゴンで叩き売られてた詰め合わせとか、なんかこう100均で買ったようなしょーもない詰め合わせじゃ」

青ピ「か・ん・り・に・ん・さん・せっと☆」

上条「言い値で買おうか!いくらだね!?」

青ピ「定価9,800円のとこを今ならなんと7,480円!」

土御門「ある業界の店売り価格だにゃー」

上条「――よし買った!えっと……ひー、ふー、みー……釣りはいらない!取っておきなさい!」

青ピ「小銭でピッタリやったけど、まいどっ!」

姫神「……」

吹寄「……姫神、さん?」

姫神「気のせい。うん。気のせいだった」

姫神「これっぽっちも成長はしてなかったね。うん」

上条「いや違うんだ!これは管理人さんセットでなくて管理人サンセット、つまり――」

上条「――管理人さんは太陽だって意味だなッ!!!」

姫神「接頭語がもうどうしようもなく加工も出来ないもんだから。これ以上恥を晒す前に腹を切った方が良いと思うよ?」

キーンコーンカーンコーン

小萌「はーい、皆さんおはようございまーす。良い子の皆さんは席に着くのですよー!」

一堂「はーい」

小萌「今週は長期休暇の前になりますので、あまり皆さんは羽目を外しすぎないように!」

小萌「あと単位の足りない二人は、放課後せんせーとOHANASHIがありますから!絶対に逃げないでくださいね!」

上条「おい、言われてるぞ土御門と青ピ」

小萌「はいそこぉ!他人のフリして現実逃避かましてますけど、青ピちゃんの出席率は高いですし、土御門ちゃんも悪くはないです!」

小萌「上条ちゃんは特別なカリキュラムが用意してありますから!」

上条「……へーい」

姫神「やっぱり気のせいだった」



――放課後 ホームルーム後

小萌「はーい、二人とも残ってますよね。流石に」

青ピ「はぁいセンセー!」

小萌「青ピちゃんは速やかに帰って下さいね?個人的な内容に関わることですので」

青ピ「いやいや小萌センセー。ボクはこう見えて『生まれた場所こそ違えども、死すときは一緒やん?』みたいな桃源の誓いをやね」

小萌「『桃園』なのですよ?桃源郷の桃源とよく間違える子が出て来ちゃいますけど」

小萌「そして言った人達もそんな80年代ヤンキーのようなノリじゃないと思うのですよ。もっとこう、うん」

上条「俺三国志知らないけど、多分その人らもヤンキー的なノリだったと思うよ。だってそうじゃないといい歳したオッサン誓わないもの」

土御門「俺もカミやんに一票。『桃園綺麗だなー。それじゃ義兄弟誓っときますか!』みたいなテンション上がっちまったんだにゃー」

土御門「その証拠にあの時代、親子兄弟親戚でも血で血を洗う抗争だったんだぜぃ」

小萌「謝って!全国の三国志で掛け算する愛好家に謝って下さいなのですよ!」

青ピ「あー……まぁ女体化する以前から、そっちの方じゃ需要あったんやねぇ」

小萌「はいはい青ピちゃんも帰る帰る!センセーはお二人とお話するんですから!」

青ピ「ほーい。それじゃセンセに二人ともまいどー!」

上条・土御門「お疲れー」

小萌「はい、じゃ前と後ろのドアを閉めて教壇の前の席にかけて下さーい、と」

小萌「それじゃ−、まず軽い方から行きましょうかね」

上条「悪いな土御門」

小萌「だからどうして上条ちゃんはドヤ顔で自信満々なのですか?ダメな子はあなたに決まってるでしょう?」

上条「おおっとそれ以上俺を責めないでください小萌先生!俺だって泣くときは人前だって泣くんですから!」

小萌「いや、そんな、高校生にもなって堂々と泣く宣言されても……」

土御門「カミやんは放っといて俺の話をお願いしますにゃー」

小萌「そうですね、上条ちゃんのは特殊なので後に回すとして」

上条「特殊?俺進級するのに特殊なミッションこなさないとダメなの?」

小萌「として!土御門ちゃんはしばらく放浪していた間の教科全てのレポート提出なのです!」

土御門「レポート?」

小萌「そうなのですよ。現文と日本史Aは指定された書籍から選んでください。あ、こっちが一覧ですね」

土御門「宇津保物語、日本霊異記に太平記。あ、全部読んでるわ」

小萌「土御門ちゃんも謎の雑学王ですよねぇ。ちょっとした陰陽師みたいなジャンルに激強ですし」

土御門「にゃっはっはっはー!小萌先生も除霊で困ったらウェルカムですたい!」

小萌「先生は幽霊なんていないよ、派ですので。で、数Aと化学はこの本とこの本を」トサッ

土御門「……問題集っすね」

小萌「これをノートに”書いて”提出する、だそうです」

土御門「地味ーに面倒臭いにゃー」

小萌「期限は今年度中で、サボったり忘れたりしたら一年卒業が伸びるのですよ」

土御門「マジかにゃー。小萌先生に教わるんだったら悪くないけど」

小萌「残念。先生はクラスのみんなと一緒に上の学年を担当するのですよ」

小萌「なので超問題児は今年度三年生の担任である災誤先生がですね」

土御門「頑張るぜぃ!必死になって進級してみせるですたい!」

小萌「あ、あの災誤先生はあぁ見えて生徒想いのいい先生なのですよ。誤解されがちですけど」

上条「……俺たちは教育的制裁を何度か受けてるんですが。それも昨今の事情じゃ問題になるレベルの」

小萌「い、今時熱い先生ですよねっ!」

土御門「時代がいつのまにか変わっちまったぜぃ。この調子じゃ元号も変わるかもなー」

小萌「分かりません。センセーは土御門ちゃんが何を言っているのかは全っ然分かりませんが!」

小萌「次は上条ちゃんですよ!覚悟してくださいね!」

上条「あっはい。土御門が予想以上にガチだったんでビビってます」

土御門「あ、じゃカミやん。俺廊下で待ってるぜぃ」

上条「別に聞かれてもいいんだけど。むしろ頭を貸してください」

小萌「上条ちゃんのは……まぁ、うん、聞かれちゃってもいいのかなー、なんて」

上条「……何させられんですか俺」

小萌「その、ですねぇ。先生もですね、上条ちゃんが不真面目な生徒じゃない!そう、会議では主張したのですよ」

小萌「あ、会議ってゆうのは『第四回!チキチキ上条当麻進級出来るか職員会議!』なんですけどね」

上条「おい待って下さい。どうして俺の進級がテレビ企画みたいになってんだ!ただの職員会議でいいじゃないですか!」

土御門「しかも第四回ってことは四半期一回よりも短いスパンで開催されてだにゃー」

小萌「先生は頑張ったのですよ!上条ちゃんがどれだけ勉学へ対して真面目なのか!決して意図的に授業をサボタージュしたんじゃないって!」

小萌「黄泉川先生や親船先生も味方になってくれて、一番強く応援してくれたのは災誤先生なのですよ!上条ちゃんは感謝すべきです!」

上条「ありがとう先生方!いつも迷惑ばっかかけてごめんね!」

小萌「――で、センセー気づいちゃったんですよ。熱心に擁護している間に」

上条「気づいた?」

小萌「『あれ?上条ちゃんってそんなに真面目でもなかったよね?』って」

土御門「まぁ、確かに」

上条「ダメだ小萌先生!そこはこう、もうフワって誤魔化さないと!勢いで!」

小萌「課題の提出率も低いのは家庭の事情がある……と、まぁ先生も認めないではないのですけど、その、授業態度がですね」

小萌「基本寝るか遊ぶか他の子を扇動するか、まぁこれどうなんだろもう一周させて人生の厳しさ教えとけばよくね、って声がですね」

上条「悪魔の声ですね!耳を傾けちゃいけない!」

小萌「と、先生が自己否定の念に捕らわれていると、校長先生――知ってますよね?」

上条「あぁはい知ってますよ。いつもフリッツへルム被ってる人」

小萌「違いますよ?校長先生のアレは、こう、ギリー的な都市迷彩ですので。上条ちゃんも触れないように、いいですよね?」

小萌「で、会議の途中であのハゲがこう言ったのですよ」

上条「ハゲ言っていますよ先生、先生?」

小萌「『かぁみじょお君?あー……あの子はねー、進級させないとまずーいんだよねーぇ』」

土御門「今度は何やったんだカミやん。ハゲの孫でも押し倒してフラグでも立てたん?」

上条「いや……心当たりはないわ」

土御門「まぁ押し倒したのがハゲだったら記憶に残るよな」

上条「歳考えろ?その呪いで苦しんでる人は大勢いるんだからな!」

小萌「『しょうねーぇ。常盤台からも問い合わせ来てるしぃ……退学させたら全員のクビじゃ済まないんだよねーぇ』――と!教師全員に聞こえる声で!」

上条「いや知んないすよ?ときわ、だい?なんすかそれ新しい食いモンすか?」

土御門「嘘が下手にも程があるぜぃ」

小萌「怖かったのはここからですよ!黄泉川先生から後から聞いたんですが、その後『統括理事――ブレーン――消される』って呟いたらしいんです!」

土御門「あー……」

上条「よく聞き取りましたね」

小萌「読心術です!黄泉川先生はプロですからね!」

上条「どんなプロっすか。それで?結局俺はどんな課題をすればいいんですか?」

小萌「……先生も考えたのですよ。他の教科の先生方も集まってもらって、有志の会を立ち上げてこのアンタッチャブルをどうかしようと」

上条「先生……俺のためにそこまで!」

小萌「あぁでもないこうでもないと話し合いは続き、舞台は学校から飲み屋にカラオケ屋、ボーリング場へと転戦を繰り返したのです」

上条「人の進級を肴に飲んでますよね?それもうただの先生方の飲み会になってますよね?」

小萌「そして五次会で一ノ○(仙台銘酒)の大吟醸を黄泉川先生と飲み交わしてたとき、ふと!完璧なアイディアが降りてきたのですよ!」

上条「先生先生、飲み屋行って歌ってボーリングしてまた飲み屋へ戻るって、ちょっとした修行です」

小萌「『――これはもう生徒の自主性に任せようじゃないか』と」

上条「丸投げじゃねぇか。長い間レクリエーションしといてその結論かよ!?」

小萌「あのですね、上条ちゃんには誤解してほしくないのですけど、真っ当な手段での進級はほぼ無理なのですよ?」

上条「またまたー」

小萌「あ、いやホントに。必要最低限度のカリキュラムが決まってまして、それをどうこうするには特別な事情。そうですねぇ」

土御門「病気とか怪我とか?」

小萌「も、ありますし、何か別件で学業以外で優秀な成績を修めていたり、ですね」

上条「て、ことは……」

小萌「まぁ仮に、仮の話ですが足りないだけの課題をこなしたとしても、多分その、なんじゃねぇかと」

上条「ボカさないで先生!?小萌先生でさえ言い淀むってリアルだから!」

小萌「で、でも逆にですよ?こう見えない”圧”的なモノが働くのであれば、こうナメたレポート一枚でも謎パワーで進級はできるのです!」

上条「怖いです」

小萌「なのでですね。幸いにも長期休暇が近いですし、その間に何か一発当ててみてください」

上条「そんなフワッフワした課題出されても……!」

土御門「……まとめるとだ、カミやん。カミやんは今のままじゃどう足掻いたって進級は絶望的。何やったって無理、つーか無理」

上条「そんな無理無理言うなよ!その原因の半分ぐらいはお前にあるんだからな!」

土御門「でももしかしたら謎パワーで進級出来るかもだから、何かそれっぽい課題なりレポートを出すだけ出してみれば?だ、にゃー」

上条「……謎パワーがなくても、そのレポートを超頑張れば……?」

小萌「連続サボリの言い訳として使えるんだったら、先生は訴訟も辞さず教育委員会とも掛け合ってみせるのですよ!」

小萌「あ、でもその場合、先生の昇進が絶望的になるので……」

上条「無理ですよね。いくらなんでも小萌先生にそこまで迷惑はかけらんないです」

小萌「自動的に先生のお父さんとお母さんへご挨拶に来て貰って責任をですね」

上条「無理ですよねっ!いくらなんでも小萌先生にそこまで迷惑はかけらんないです!」

土御門「字面は同じなのに意気込みが違うんだぜぃ」

上条「外野ウルサイよ!……小萌先生、いやありなしで言えばありだし、俺のゴーストが『まぁこれはこれで』って囁いているが」

小萌「も、もうっ!センセーにそんなこと言うだなんて、上条ちゃんは悪い生徒なのですよっ!」

土御門「おいおいカミやん、向こうは昭和生まれ」

小萌「――はい、それじゃ上条ちゃんと土御門ちゃんの合作レポート楽しみにしてるのですよ☆」

小萌「あ、土御門ちゃんは上条ちゃんがポシャったら連帯責任で留年させるので、そのつもりで☆」

土御門「ペナルティがカミやんよりも重い!?俺は課題だってやんなきゃなのに!」



――帰りのバス

土御門「……ふー、ビックリしたぜぃ。俺が必死になって謝ったお陰でカミやんと一蓮托生は避けられた」

上条「惚れ惚れするようなDOGEZAだったよな。あれいつも舞夏にやってんの?」

土御門「あぁ、最近どうも反抗期らしくてな。メイド服を着てくれないときはいつも」

上条「聞きたくない聞きたくない!知り合い同士のそっちの話ってリアルで聞きたくないんだよ!」

土御門「しっかし妙な敵が現われたにゃー。現実って名の手強い相手ですたい」

上条「学生やってる――のは、この街だったらほぼ全員なんだよなぁ。ビリビリもそうだし、浜面もそう」

上条「一方通行や他の連中も同じ、俺だけが大変だったってのは言い訳にもなんねぇし」

土御門「一部の連中はドロップアウトしてるけど、まぁそっちはそっちで大変だぜぃ」

土御門「学校通ってないって事は奨学金もおりないし、どっかで稼ぐ必要があるにゃー」

上条「比べたらレポート書くぐらいは恵まれているか……実は俺、勝算あるんだよ」

土御門「へぇ?その心は?」

上条「インデックスの知識を借りれば超スッゲーレポートが書けると思う……ッ!!!」

土御門「書けるよ、そりゃ書けるさだって禁書目録が書いてんのと一緒なんだからな」

土御門「でもそのレポートはだ。シスター・オルソラの”あれ”と同じように、魔術サイドにアホみたいな波風が立つのは確実だなー」

上条「魔術理論じゃねぇって。もうこう、ライトな知識を集めてだ」

土御門「そうなると『ダヴィンチ・コード』みたいなトンデモ物語になっちまうぞ。どんだけ真実でも認知されてる常識とは違うんだからな」

上条「昔流行ったよなー。『聖書の嘘』みたいな映画だっけか」

土御門「本当に”マズい”んだったら映画どころか、出版の段階で止められる――いや、止められ”た”んだにゃー」

上条「過去形?」

土御門「今はケータイ一本あれば動画は撮れるし、アップロードするのも不特定多数がアクセス出来るフリースポットが世界中にある」

土御門「全部暴露しようとするアホがいたって、まぁおかしくはないんだぜぃ」

上条「超マズくないか?」

土御門「でもないぜ。情報は飽和させられるもんだから」

上条「えーっと?」

土御門「簡単に言えばどんな真実だって、見る人間が信じなければ真実じゃないにゃー」

土御門「具体的にはカミやん、お前がつべで魔術師の動画見て信じられるか?」

上条「いいや。『最近の特撮、個人でここまでできんのかよ!』って驚くだけ」

土御門「結局の所、とどのつまりは、ざっくばらんに言っちまえば?」

上条「全然結局じゃねぇ」

土御門「人は信じたいものしか信じないぜぃ。オカルトが”ない”と知ってる人間が、そうそう態度を翻す訳がないと」

上条「だったらちょっと安心、か」

土御門「そうだな、実際にカミやんもそうだろう?」

上条「俺も?」

土御門「そうさ。俺が”生きて”いるって、どうして真実だと分かるんだ?」

上条「つち、みかど……?」

土御門「なーんてな!俺は生きてるぜぃ、なんだったら『右手』で触ってくれてもいい!」

上条「……なんだよ。驚かせんなよ」

土御門「あぁ悪い悪い。朝言われたのがカチンときててな」

上条「朝?あぁ悪かったって、なんかこう、うん、そんな気がだな」

土御門「お詫びっつっちゃあなんだが、レポートのアイディアぐらいは出すから、メシ食ったら来るといいぜぃ」

上条「悪い。はっきり言ってすっげー助かる」



――上条家の前

上条「それじゃまた後で」

土御門「あぁ、またなー」

上条 ガチャッ

ステイル「――遅い。減点一」

上条 パタン

土御門「……鍵はーっと、舞夏は今日遅い――ん?カミやん?」 ガチャガチャ

上条「……なぁ土御門」

土御門「うん?」

上条「例えばだ、これあくまでも例え話なんだけど」

土御門「あぁ」

上条「家帰ったら赤髪ロン毛のバーコード神父が胡座かいて座ってたら、お前、どうする?」

土御門「妖精さんだな。それきっとザシキワラシの一種だと思うわ」

土御門「西の方に赤い髪した”アカシャグマ”ってのがいるから、それが不必要に育っちまったんだな」

上条「だ、だよな?疲れて帰って来てる俺に鞭打つような展開には、ならない、よね……?」

土御門「そうだなカミやん。まぁそれはそれとして俺ちっと用事を思い出したから、今日から三日ぐらい帰らな――離せ!俺を巻き込もうとすんな!」 ガシッ

上条「お前も知り合いだろ!どうせ面倒臭くなるんだから付き合えよ!」

土御門「俺だって嫌だよ!どうせ『少年グローリー』か『亡霊騎行ワイルド・ハント』の案件なんだろうから、俺担当じゃねぇんだカミやん!」

上条「やっぱ知ってんじゃねぇか!たまにはお前も付き合――そげぶっ!?」 ペチッ

土御門「それじゃーなカミやん!カミやんの健闘を祈る!」 ダッ

上条「おまっ!?この階から飛び降りたら流石に死ぬ――って、いないな。相変わらずどんな魔術師よりも謎だ……」

上条「……」

上条「……ただいまー」 ガチャッ

ステイル「やりとりが面倒臭い。減点二」

上条「お前いい加減に人んちで遊ぶの止めてくんない」

ステイル「はい座って。あぁ靴を脱いでね」

上条「こっちの話を聞いてねぇし!いつもだよ!いつもこんなんばっかだよ!」 ガチャッ、トスッ

ステイル「……と言いつつ、しっかりドア閉めて座るんだな、君は」

ステイル「で、君、名前は?どっから来たの?」

上条「学園都市在住の上条当麻です。来たかと言うよりは帰って来ただよ」

ステイル「志望動機は?」

上条「後ろから刺されないよう、細心の注意を払っているつもりだ」

ステイル「それ死亡動機。フラグ管理の延長線上の話をされても」

上条「なぁこれ何のプレイ?てゆうかインデックスはどこ行ったの?」

ステイル「君が我が社に入社を希望する理由はなんだい、と聞いているんだよ」

上条「何があってもお前んとこだけはイヤだよ!だって上から下まで『死して屍拾うものなし!』の超ブラックだしさ!」

ステイル「動機は特になし……あぁいや、『御社の家族のような雰囲気に憧れました』、の方がいいかな」 カキカキ

上条「盛るにも限度っつーもんがあるだろ。お前それプレハブ建てようとしてスカイツリー造っちゃったぐらいの詐欺だからな?」

ステイル「じゃあ次に適性検査をするよ。今から僕が次々質問するから、はいかいいえだけで答えるんだ」

上条「そんなんで分かんのかよ」

ステイル「膨大な質問を大量に捌かせることで、反射的に嘘が吐けないようにする」

ステイル「『俺はビビリじゃない』と普段言ってるヤツへドッキリしかけて反応を見る、みたいな話かな」

上条「心当たりがあるようなないような」

ステイル「日本でも自衛隊や警察官の採用試験でされているね。大量にある普通の設問の中へ、危険なのを混ぜて置いて反応を見ると」

上条「危険思想の持ち主が、そもそもなろうとすんのか……?」

ステイル「さぁ?日本のケースは知らないけど、今からするテストはウチのトップが作ったものだから効果は期待出来るよ」

ステイル「それじゃあいいかな、始めても」

上条「いいか悪いかで言えば、最初っから納得すらしてないがまぁオーケー」

ステイル「『リンゴとミカン、どちらも果物である』」

上条「はい」

ステイル「『横断歩道を渡るときには手を上げた方がよい』」

上条「はい」

ステイル「『自分以外は死ねばいいと思う』」

上条「設問のカーブの曲がり方が雑なんですけど!急に切り込んで来やがった!」

ステイル「はい、と……」 カキカキ

上条「待ってくれステイル。そりゃ俺だって聖人君子じゃないから、ショッピングモールでカップルに囲まれた時なんかは思わないでもないが!」

上条「そこはいいえって書いといてくれよ!俺の名誉のためにも!」

ステイル「『他人よりも見栄っ張りだ』、これもはいだね」

上条「答えてねぇのに書き込むなや!」

ステイル「寝る前には歯を磨く」

上条「はい」

ステイル「『L○より永遠○の方が好みである』」

上条「設問が狂ってる!はいって答えたらアウトだし、いいえって答えてもそれはそれで拗らせてるって意味になるだろ!」

ステイル「回答を頑なに拒否……禁書目録の保護者としての適性を問う、っと」 カキカキ

上条「お前それが書きたかっただけじゃねぇのか。俺を陥れるためにこのネタ持って来たんか、なぁ?」

ステイル「『シスター服に異様な興味がある』」

上条「は――いいえ!断固としていいえ!」

ステイル「『結婚したら両親と同居が好ましい』」

上条「状況によるだろ。正直うちのバカップルと同居したら胃がやられそうだが」

ステイル「『国際結婚はありですか』」

上条「はい、かな。残念ながら相手はいないけど」

ステイル「『年上ビッチと見せかけて実は誰とも付き合ったことないお姉さんは好きですか』」

上条「超好きです」

ステイル「『年上はどこまで許容範囲ですか?かっこ、外見は20代です、かっことじ』」

上条「だから質問おかしいだろ!?途中から婚活拗らせて行き遅れた人の切実な声になってんぞ!?」

ステイル「『髪が超ロングのピンク色シスターさんも守備範囲内である』――はい、っと」

上条「お前もお前だよ!ツッコむのもう面倒だからって答えてもねぇのに代弁すんなや!」

ステイル「嫌いかな?」

上条「いや好きだけど!年上のお姉さんに憧れない高校生なんていないと言っても過言じゃないけど!」

ステイル「過言だね。まぁあの年頃は基本異性であればなんだっていい的な感じだろうが」

上条「言うじゃねぇか14歳。お前も後二年ぐらい経てば分かるよ」

ステイル「僕、一応神父なんだが?」

上条「え?イギリスの聖職者って全員ヘンタイなんだろ?」

ステイル「君、国際問題になるようなことをサラッと言ったね。部分的に同意しないでもないが」

上条「てか質問の意図はなんなんだよ!?この企画の主旨は!?」

ステイル「まだ質問は終わっていないんだが、まぁいいか。一応これで適正な面接をしたって書類には残るからね」

上条「面接?今のが?」

ステイル「というか君、ぶっちゃけ童貞だよね?」

上条「ウルセェな!あえて強く否定も肯定もしねぇけど、別に俺の歳じゃ珍しくもねぇよ!多分!」

上条「てか弩ストレートに聞くんだったら、さっきの質問集に混ぜてフワっと流せよ!後から改まって聞くからそこだけ強調されるんだろうが!」

ステイル「いや良かった」

上条「良くねぇよ神父さん!お前だって同じだろ!」

ステイル「いや童貞じゃないと入れないんだよ、君。分かってる?」

上条「ビックサイ○か?ビックサイ○はまぁ確かにそういう傾向なきにしもあらずだが、別にあそこは経験の有無で人を分けるような、そんな狭い了見じゃ」

上条「信仰せいへきの違いで争ったりもしない、ある意味世界遺産に平和の象徴として登録されてもおかしくはない訳で」

ステイル「――それでは上条当麻君、今回の面接の結果を発表します」

ステイル「厳然かつ公正な審査をし、しかも長期スパンでの運用を考慮しないでもない結果、君に適性があると当社は判断しました」

上条「いやだから”当社”ってなんだよ。『必要悪の教会』だろ」

上条「筋通してくれるんだったら、イギリス清教に手ぇ貸すのもやぶさかじゃないんだしさ」

上条「こう、いきなり関係ないところから来られても、心の準備が必要って訳で」

ステイル「――あなたを『必要悪の教会』、ロンドン女子寮の管理人に採用することが決定しました。おめでとう」

上条「………………はい?」



プロローグ −終−

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