”第一回学園都市大プレゼン大会!〜食レポ選手権〜”
――廊下
佐天「『――はい、っていう訳で誰得のコーナーはまだまだ続きますよ!やったね!』」
佐天「『突然背景が変わって驚きの方もいるでしょうが、そんな事はお構いなく特に気にせず進行を続けたいと思いますよ!』」
佐天「『ではお次は学園都市が生み出したモンスタァァァァァっ!基本イロモノか飛び道具の二択に現れた正ォォォォォォォォォォ当派っ!ヒロイン!』」
佐天「『88の奇跡でお馴染みのフードファイタァァァァッ!ARISAさんの登場だァアアアアアアアアアアアアアッ!!!』」」
チャーチャー、チャーチャチャー
鳴護「うん違うね。アイドル要素一個も残してなかったよね?」
鳴護「もうご当地アイドル扱いされるのも”歌が上手いグラドル”扱いされるのにもなれたけど、そこは死守したいと思うよ、うんっ!」
佐天「いやあの、個人的にはARISAさんのデビュー直後のプレイベントでご一緒したご縁ですし、そこら辺の事情は理解しているんですが」
佐天「ですが”ARISA”で検索かけてみると”着やせ・グラビア・食レポ”と予測が散々な結果に終る訳であって……」
鳴護「節度を持ってね!応援する方にだってモラルは必要だと思うんだっ!」
佐天「まぁシンガー枠へ応募しておきながらアイドルコースでデビューし、バラドル路線を驀進中のARISAさんには頭が痛いかもですが!」
鳴護「違う、ね?うん、前から言ってるけどもあたしは一貫してシンガーソングライターでやってるつもりなんですけどもっ!」
佐天「それはそれ認識の違いというヤツで――『さて!では急遽始まったプレゼン大会、芸能人の参戦と相成りましたよっ!』」
佐天「『それではご自身が実現させたい謎のプランを発表して下っっっっっさいなっ!!!』」
鳴護「や、うん、それは分かってるんですけど……場所、場所ってここで合ってるのかな?いいの?ホントに?」
佐天「『特設会場に何かご不満でも?』」
鳴護「てかここ廊下だよね?ここの二軒お隣りがあたしや美琴ちゃん達の控え室だし」
鳴護「正面のタグには思いっきり『上条当麻様』って書かれてるんだけど……」
佐天「『――はい、って訳でですねっ!ここでもう一度ルールのおさらいをしたいと思います!』」
佐天「『”上条当麻・天岩戸システム!”では、この扉の前で一発芸をし、上条さんが出てきたらプレゼン採用となります!そんなルールです!』」
佐天「『さぁそんな感じで張り切ってとどうぞARISAさん!レッツ一発芸!』」
鳴護「そんなルールなかったよね?いや当麻君が籠城するところから控え室で見てた、マルッと最初っから」
鳴護「そもそも当麻君出てなかった?前回のゲコ太レンジャーの悪役で、どう見ても当麻君と涙子ちゃんにそっくりな人が出てきてたんだけど……?」
鳴護「てゆうかもうプレゼンの採用基準に一発芸って何かな?設定がもう雑すぎて『あ、じゃ騙されてみよう!』って気分にすらならなかったよ!無理だもん!」
佐天「流石はARISAさん、すっかりツッコミが上手くなって……!」
鳴護「はい、アイドルなのに食レポ食レポ&フードファイトで芸人さん達とご一緒する機会が増えましたね!アイドルのARISAですっ!」
佐天「割り切り方がとてもイイ感じですよっ!そんなこんなでARISAさんのプレゼンする機会を発表して貰いましょうかっ!」
鳴護「いいのかな、こんな導入で――あ、はい。いい?オーケー?後つかえてんだから進めて?……はい」
鳴護「風紀委員の皆さんがゲコ太さんの着ぐるみ着るのもいいと思うの。えっと……うん、目に優しそうでね!」
御坂『着ぐるみじゃないわっ!中の人なんていないのっ!』
鳴護「……あれ?控え室から魂の叫びが……?」
佐天「入ってたじゃないですか。ついさっきまで五人仲良く」
鳴護「ちなみにあの……外の皮はどうしたの?」
佐天「参加賞として各々が持ち帰――る、はずなんですが、白井さんの分は御坂さんが二枚取りということで」
鳴護「あからさまにアレな感じなんだけど……まぁ、あの学園生活を楽しくしよう!ってのは、ちょっと、えっと限定されるっていうかな」
佐天「ゲコ太レンジャー個人的にはアリなんですが、それで喜ぶのは小学校低学年からぐらいですねから。正直」
鳴護「抜本的に大きなところから変えるんじゃなくて、やっぱり小さなところから意識改革?するのも大切じゃないかなー、なんて」
佐天「ほうほう。それでどうすると?」
鳴護「なのでっ!あたしは『学生対抗食レポ選手権』を提案したいと思います……ッ!!!」
ガラッ
上条「――って結局メシ関係のオファーじゃねぇかっ!」
上条「アイドル路線からフードファイターまっしぐらじゃねぇかこの路線!いいのか!?このままだったら卒業後はミステリーハンタ○か旅番組の旅人しかねぇんだからなっ!?」
佐天「ミステリーハン○ーは大出世だと思います。超健全かつ長寿番組の花形ですし」
鳴護「誰もが子供心に一回は憧れる職業だよねー。ただ倍率が国会議員より厳しいってだけで」
上条「……いや、君の場合は曲がりなりにもアイドルとしてやってんだから、国会議員以上のハードルはくぐってるような……?」
鳴護「曲がってないもん!真っ直ぐだもん!『ある意味王道だよね』って2c○でも褒めてくれるもん!」
上条「だったら自分から追い込むような企画用意すんなや!食レポの他にいくらだってあっただろうが!」
佐天「あと”ある意味”の王道なので、決して誉めてないと思います。特にそこでは草生やしまくりかと」
鳴護「や、でも食レポって難しいんだよ?『美味しそうなもの食べてリアクションしてるだけの楽なお仕事!』って言われ方は心外かなっ!」
上条「そこ否定するつもりはないけども、最初の設定思い出せよ。楽しく学園生活どこ行った?」
鳴護「あとねっ、旅番組って一括りにするけども!観光地のブラ旅からどうでしょ○みたいな過酷なものまで色々あるんだからねっ!」
上条「水曜どうでしょ○を旅番組に入れるな。アレはドキュメントの体裁取った身内で口汚く野の知り合うのを楽しむショーだっ!」
佐天「その楽しみ方も病んでます――はっ?!ツッコミ役が帰ってきたのに、あたしがツッコんでる、だと!?」
鳴護「当麻君も時々錯乱するから、ねっ?」
上条「おっとやめてくれないか。それ以上言ったら法廷で再会することになるからなコノヤロー!」
上条「てか前回のゲコ太以上に無理があるよ!ゲコ太はまだ純愛な提案だったけど、食レポ競わせてどーすんだよ!?」
佐天「あ、いえ上条さんが出てきたので、このプレゼン採用ですけど」
上条「マジだったのそのルール!?俺がいないウチに斬新な世界観になってた!?」
鳴護「や、だから当麻君出てたわね?ゲコ太レンジャーであんな的確なツッコミする素人さんそうそういないと思うし……」
上条「ARISAさんそこはシーっで頼む。君業界長いんだから、何でもかんでも喋ればいいってモンジャナイヨ?」
鳴護「わー、超棒読みだー」
スポンサー『面白い、やってみたまえ』
上条「そしてもう……うん、空中で逆さまに漂う謎人間……人間?」
佐天「夜中に廊下で見たら失神ものですよねぇ。キラいじゃないですけど、むしろリスペクツッ!」
上条「君はまず、その『怪奇現象かかってこいや!』的な所から治そう?社会的生活できなくなるよ?」
スポンサー『面白い!やってみたまえ!』
上条「分かってるよ!分かってるから圧かけてくんなよ!なにがツボったのかは知らないけどな!」
――とある商店街
上条「えーっと……『第一回!学生対抗チキチキ食レポ選手けーーーーーーんっ!』』
鳴護「わー……ぱちぱちぱち」
上条「『浮き沈み激しい業界の中!ネット媒体に主戦場を取られて衰退していくテレビ業界の明日はどっちだ!?』」
上条「『ただでさえ少ないイスを廻って繰り広げられる醜い争い!ただ汚く食って”おーいしー”言ってりゃ学も専門知識もなくできるお仕事――』」
上条「――ってこの台本書いたヤツちょっと出て来い!話のほとんどが業界批判と食レポの存在否定だろ!?」
佐天(カンペ)【巻きで】
上条「始まって台詞読んだだけで!?段取り悪いのも程があんだろ!?」
佐天【すいません、そういうのいいですから早く演者さんを】
上条「……ごめんね。納得行かねぇけども……『はーい、本日食レポ選手権へエントリーした猛者はこの人達だっ!』」
上条「『エントリーナンバー一番!平日の昼間から試食コーナーを急襲する白い悪夢!』」
上条「『ヤツが通った後にはガリ一つ残らず食い尽くす、もはや都市伝説が参戦だっ!』」
上条「『所属不明!学生かどうかも分からないが――インデックスさんのご登場ですっ!』」
インデックス「がんばるんだよっ!」
上条「オイ、端っから学生以外が参戦しちまってんだけど……いいの?今更?」
スポンサー『ふっ、問題など何も』
上条「そうだよね。お前そっち系の核弾頭であるインデックスさん放置して、他のシタッパーを捕まえようとするぐらい優先順位謎だもんな」
スポンサー『勘違いしてほしいのだがね』
上条「おう?」
スポンサー『最近キャラが固まってないとか言われたり、した憶えのない約束の話をされるのだが、どうしたらといいかな?』
上条「認知症ですね、うん。取り敢えずご家族で一回話し合ってください。俺には関係無いんで」
佐天【早く続けて】 サッ
上条「あっはい。それじゃ――『続きましてぇぇぇエントリー二番!学び舎の園からの電撃参戦だ!』」
上条「『正式名称不明!誰もが知らない名前と誰でも知ってる髪型がチャームポイントォォォォォ――の』」
上条「『――縦ロール選手の登場です!』」
縦ロール「ごきげんよう、皆様」
上条「……なんで来てんの?前回のゲストじゃ?」
縦ロール「えぇと、控え室で『誰か出てくれませんか?』とスタッフの方に言われまして」
上条「すいませんねっグダグダで!なんかエキストラ用意できれば良かったんですけど、まぁプレだから!仮にってことで!む
上条「で、その……君は、食レポ、得意なんですかね?」
縦ロール「”しょくれぽ”って何をするんのですか?」
上条「『――はいっ!ってな訳でもうなんかアレな感じですがインデックスさん教えて差し上げて下さいねっ!俺はもう一人紹介するから!』」
上条「『最後のエントリー!学園都市好感度上位ランカー!みんなに愛されるフードファイターことぉぉぉぉ――』」
上条「『――ARISAさんの入場です!』」
鳴護「やー、どーもです」
上条「って出んのかよ!?企画した本人は運営側入るんじゃないのか!?」
鳴護「え?食べたいし、てゆうか食べたいし?」
上条「いやそんな『何言ってんだろ?』みたいなリアクションされてもな……」
鳴護「あのねー、当麻君は分からないかもしれないけど、っていうかあたしも当麻君並の美味しい御飯作れないからなんだけどねー」
上条「うん、ゴメンねARISAさん?これ仮にも一応全学区へ放送してるからアレなんだけどさ?」
上条「『取り敢えず俺の名前を呼ぶのと個人情報出すのって、ARISA的にマイナスだから注意してね』って言ったよね?始まる前に俺釘刺したよね?」
鳴護「ご、ごめんねっ当麻君!?ついいつものクセで言っちゃったよ!」
上条「もう君のファンには目をつけられてるから諦めてはいるんだが……」
佐天【早くカミングアウトして】
上条「残念ながら人様に顔向けできないようなことは何一つしてないよ!残念な話だがなっ!」
佐天【あ、すいません。早く進めて、の間違いでした】
上条「違うよな?間違う要素が全く無かったよね?……えっと、んじゃ――って、これ?これ食べるの?」
上条「『では時間が無いので早速食べて頂きましょうか。でーでん!コロッケー!』」
コトッ
上条「『食レポに参加頂いたお三人さんには、今からコロッケを食べてリアクションして頂きます!勿論素直な感想をね!』」
上条「『決して!食レポでありがちな”何食ってもおいしーい”的な空気を読んだ反応はいりませんよ!いいですねっ!?』」
上条「『ただし!このアーケードは俺が学校帰りによく寄る上に、出題されたお肉屋さんのコロッケはいつもオマケして貰っています!忘れないでねっ人間力!』」
上条「『歩きながら紙で包まれたコロッケは学生に大人気で!俺も好きですねっ!』」
佐天【なんか理不尽な圧力を感じるんですが】
上条「『ちなみに余談ではありますが、リアクションと食レポに定評があるふなっし○さんが”あ、これはダメなヤツだ”と言って食べられなかったのはタガメとサソリだけです!』」
上条「『曰く、”口に入れて、「あ、意外と大したことなかったなっしー」とリアクションしようとしたら、ポーンと気づかない間に吐いていた”そうです!怖いですねー!』」
上条「『なのでそれ以外はいけます!大丈夫!何食べてもオイシイっ!』」
佐天【それもう逆に貶してませんか?】
上条「『では一番のインデックスさんからどうぞ!いいかっ!?俺達がお世話になってるところだからなっ!?』」
佐天【もうヤラセ感がハンパねぇですよね】
インデックス「じゃ、頂きます、なんだよ」
上条「『はいどうぞ。熱いから気をつけて下さいね』」
インデックス モグモグ
上条「『――では、エントリー一番の方!気合いの入った食レポをどうぞ!』」
インデックス「――うんっ、美味しいんだよっ……ッ!」
上条「……」
インデックス「……うん?」
上条「『いえあのインデックスさん?続きは?』」
インデックス「美味しい、って言ったよね」
上条「『……だから具体的にどう、ってのを』」
インデックス「……ねぇとうま、わたしはねいつもいつも思うんだよ」
インデックス「この世界には悲しいことやつらいこと、それはもうたくさんあるんだよ。目に入れたくないのに、どうしても現実は追いかけてくる」
インデックス「そんな、悲しいニュースを見ながらこう考えたんだよ」
インデックス「――『本当に美味しいものを食べて、”おいしい”以外の形容詞が必要かな』ってね……ッ!!!」
上条「『はいありがとうインデックスさん。帰ったらお説教だから覚えとけコノヤロー』」
インデックス「なんでなんだよ!?理不尽だし!?」
上条「『それ言ったらこの企画お終いじゃねぇか!?主旨違うわ!』」
上条「『……あと悲しいニュースってなんかあったっけ?お前がニュース番組見てた憶えがそもそもないんだけど?』」
インデックス「ううん、かなみんでやってたかも」
上条「『――はい、っていう訳でシスターさん的には質素倹約が美徳なのでアレでしたね!難しかったかなー!』」
上条「『では続きまして縦ロールの方!常盤台の期待はあなたの肩に掛かってますよっ!』」
縦ロール「あ、はい頂きたいのですが」
上条「『が?』」
縦ロール「その、手づかみで頂くのははしたないか、と」
上条「『はーいありがとうございましたっ!この企画ずっと商店街ですから最初っから戦力外ですねありがとうございますっ!』」
佐天【ま、まぁ御坂さんが例外であって、ですからね】
上条「『それでは真打ち!企画立案にして食レポアイドル!ARISAさんに頑張って貰いましょうか!』」
上条「『いやマジでなんとか!ここで逆転しないと放送事故だけになっちゃうから!』」
鳴護「期待が重いよ!……えっと、それじゃ頂きます」
鳴護 モグモグ
上条「……」
鳴護 モグモグ
上条「『ど、どうでしょうか……?』」
鳴護「もぐ――これはっ!?」
上条「『おぉっ!』」
鳴護「中のお芋と香辛料多めの合い挽き肉が絶妙で、食べるたびに次から次へと止まらなくなる……!」
鳴護「外の食感がカリっとサックサク、そして中のつなぎを噛みしめる度に溢れる肉汁が、口の中へ溢れ……!」
上条「『そうっ!そのリアクションを待っていた!』」
鳴護「あ、でも当麻君が作ってくれた方が好きかも」
上条「『――以上でARISAの食レポ選手権を終りにしたいと思います!アリガトウゴザイマシタっ!』」
佐天【天然って怖いですねぇ】
上条「『なお、番組中の発言は全て演出であり、実在のご当地アイドルとは一切関係はありません!ないったらない!』」
――プレゼン会場
上条「結論というか教訓としては『食べ物が本当に好きなやつには職サポは務まらない』ってことかな」
佐天「シスターの子は、まぁある意味正しいとは思うんですが」
佐天「あ、そうだ。気になってんたんですけど」
上条「はい?」
佐天「エントリーされた方の一緒に暮らしてるってマジですか?」
上条「君はホンットに細かいことに気づくよねっ!触れて欲しくないところにダイレクトで!」
佐天「いやぁそれほどでも!」
上条「誉めてない、全く」
佐天「あ、今控え室から御坂さんが」
上条「――おっと!俺ちょっと今から”がごぜ(妖怪)”の取材行ってくるんだった!あとヨロシクっ!」
−続−
佐天「『――はい、っていう訳で誰得のコーナーはまだまだ続きますよ!やったね!』」
佐天「『突然背景が変わって驚きの方もいるでしょうが、そんな事はお構いなく特に気にせず進行を続けたいと思いますよ!』」
佐天「『ではお次は学園都市が生み出したモンスタァァァァァっ!基本イロモノか飛び道具の二択に現れた正ォォォォォォォォォォ当派っ!ヒロイン!』」
佐天「『88の奇跡でお馴染みのフードファイタァァァァッ!ARISAさんの登場だァアアアアアアアアアアアアアッ!!!』」」
チャーチャー、チャーチャチャー
鳴護「うん違うね。アイドル要素一個も残してなかったよね?」
鳴護「もうご当地アイドル扱いされるのも”歌が上手いグラドル”扱いされるのにもなれたけど、そこは死守したいと思うよ、うんっ!」
佐天「いやあの、個人的にはARISAさんのデビュー直後のプレイベントでご一緒したご縁ですし、そこら辺の事情は理解しているんですが」
佐天「ですが”ARISA”で検索かけてみると”着やせ・グラビア・食レポ”と予測が散々な結果に終る訳であって……」
鳴護「節度を持ってね!応援する方にだってモラルは必要だと思うんだっ!」
佐天「まぁシンガー枠へ応募しておきながらアイドルコースでデビューし、バラドル路線を驀進中のARISAさんには頭が痛いかもですが!」
鳴護「違う、ね?うん、前から言ってるけどもあたしは一貫してシンガーソングライターでやってるつもりなんですけどもっ!」
佐天「それはそれ認識の違いというヤツで――『さて!では急遽始まったプレゼン大会、芸能人の参戦と相成りましたよっ!』」
佐天「『それではご自身が実現させたい謎のプランを発表して下っっっっっさいなっ!!!』」
鳴護「や、うん、それは分かってるんですけど……場所、場所ってここで合ってるのかな?いいの?ホントに?」
佐天「『特設会場に何かご不満でも?』」
鳴護「てかここ廊下だよね?ここの二軒お隣りがあたしや美琴ちゃん達の控え室だし」
鳴護「正面のタグには思いっきり『上条当麻様』って書かれてるんだけど……」
佐天「『――はい、って訳でですねっ!ここでもう一度ルールのおさらいをしたいと思います!』」
佐天「『”上条当麻・天岩戸システム!”では、この扉の前で一発芸をし、上条さんが出てきたらプレゼン採用となります!そんなルールです!』」
佐天「『さぁそんな感じで張り切ってとどうぞARISAさん!レッツ一発芸!』」
鳴護「そんなルールなかったよね?いや当麻君が籠城するところから控え室で見てた、マルッと最初っから」
鳴護「そもそも当麻君出てなかった?前回のゲコ太レンジャーの悪役で、どう見ても当麻君と涙子ちゃんにそっくりな人が出てきてたんだけど……?」
鳴護「てゆうかもうプレゼンの採用基準に一発芸って何かな?設定がもう雑すぎて『あ、じゃ騙されてみよう!』って気分にすらならなかったよ!無理だもん!」
佐天「流石はARISAさん、すっかりツッコミが上手くなって……!」
鳴護「はい、アイドルなのに食レポ食レポ&フードファイトで芸人さん達とご一緒する機会が増えましたね!アイドルのARISAですっ!」
佐天「割り切り方がとてもイイ感じですよっ!そんなこんなでARISAさんのプレゼンする機会を発表して貰いましょうかっ!」
鳴護「いいのかな、こんな導入で――あ、はい。いい?オーケー?後つかえてんだから進めて?……はい」
鳴護「風紀委員の皆さんがゲコ太さんの着ぐるみ着るのもいいと思うの。えっと……うん、目に優しそうでね!」
御坂『着ぐるみじゃないわっ!中の人なんていないのっ!』
鳴護「……あれ?控え室から魂の叫びが……?」
佐天「入ってたじゃないですか。ついさっきまで五人仲良く」
鳴護「ちなみにあの……外の皮はどうしたの?」
佐天「参加賞として各々が持ち帰――る、はずなんですが、白井さんの分は御坂さんが二枚取りということで」
鳴護「あからさまにアレな感じなんだけど……まぁ、あの学園生活を楽しくしよう!ってのは、ちょっと、えっと限定されるっていうかな」
佐天「ゲコ太レンジャー個人的にはアリなんですが、それで喜ぶのは小学校低学年からぐらいですねから。正直」
鳴護「抜本的に大きなところから変えるんじゃなくて、やっぱり小さなところから意識改革?するのも大切じゃないかなー、なんて」
佐天「ほうほう。それでどうすると?」
鳴護「なのでっ!あたしは『学生対抗食レポ選手権』を提案したいと思います……ッ!!!」
ガラッ
上条「――って結局メシ関係のオファーじゃねぇかっ!」
上条「アイドル路線からフードファイターまっしぐらじゃねぇかこの路線!いいのか!?このままだったら卒業後はミステリーハンタ○か旅番組の旅人しかねぇんだからなっ!?」
佐天「ミステリーハン○ーは大出世だと思います。超健全かつ長寿番組の花形ですし」
鳴護「誰もが子供心に一回は憧れる職業だよねー。ただ倍率が国会議員より厳しいってだけで」
上条「……いや、君の場合は曲がりなりにもアイドルとしてやってんだから、国会議員以上のハードルはくぐってるような……?」
鳴護「曲がってないもん!真っ直ぐだもん!『ある意味王道だよね』って2c○でも褒めてくれるもん!」
上条「だったら自分から追い込むような企画用意すんなや!食レポの他にいくらだってあっただろうが!」
佐天「あと”ある意味”の王道なので、決して誉めてないと思います。特にそこでは草生やしまくりかと」
鳴護「や、でも食レポって難しいんだよ?『美味しそうなもの食べてリアクションしてるだけの楽なお仕事!』って言われ方は心外かなっ!」
上条「そこ否定するつもりはないけども、最初の設定思い出せよ。楽しく学園生活どこ行った?」
鳴護「あとねっ、旅番組って一括りにするけども!観光地のブラ旅からどうでしょ○みたいな過酷なものまで色々あるんだからねっ!」
上条「水曜どうでしょ○を旅番組に入れるな。アレはドキュメントの体裁取った身内で口汚く野の知り合うのを楽しむショーだっ!」
佐天「その楽しみ方も病んでます――はっ?!ツッコミ役が帰ってきたのに、あたしがツッコんでる、だと!?」
鳴護「当麻君も時々錯乱するから、ねっ?」
上条「おっとやめてくれないか。それ以上言ったら法廷で再会することになるからなコノヤロー!」
上条「てか前回のゲコ太以上に無理があるよ!ゲコ太はまだ純愛な提案だったけど、食レポ競わせてどーすんだよ!?」
佐天「あ、いえ上条さんが出てきたので、このプレゼン採用ですけど」
上条「マジだったのそのルール!?俺がいないウチに斬新な世界観になってた!?」
鳴護「や、だから当麻君出てたわね?ゲコ太レンジャーであんな的確なツッコミする素人さんそうそういないと思うし……」
上条「ARISAさんそこはシーっで頼む。君業界長いんだから、何でもかんでも喋ればいいってモンジャナイヨ?」
鳴護「わー、超棒読みだー」
スポンサー『面白い、やってみたまえ』
上条「そしてもう……うん、空中で逆さまに漂う謎人間……人間?」
佐天「夜中に廊下で見たら失神ものですよねぇ。キラいじゃないですけど、むしろリスペクツッ!」
上条「君はまず、その『怪奇現象かかってこいや!』的な所から治そう?社会的生活できなくなるよ?」
スポンサー『面白い!やってみたまえ!』
上条「分かってるよ!分かってるから圧かけてくんなよ!なにがツボったのかは知らないけどな!」
――とある商店街
上条「えーっと……『第一回!学生対抗チキチキ食レポ選手けーーーーーーんっ!』』
鳴護「わー……ぱちぱちぱち」
上条「『浮き沈み激しい業界の中!ネット媒体に主戦場を取られて衰退していくテレビ業界の明日はどっちだ!?』」
上条「『ただでさえ少ないイスを廻って繰り広げられる醜い争い!ただ汚く食って”おーいしー”言ってりゃ学も専門知識もなくできるお仕事――』」
上条「――ってこの台本書いたヤツちょっと出て来い!話のほとんどが業界批判と食レポの存在否定だろ!?」
佐天(カンペ)【巻きで】
上条「始まって台詞読んだだけで!?段取り悪いのも程があんだろ!?」
佐天【すいません、そういうのいいですから早く演者さんを】
上条「……ごめんね。納得行かねぇけども……『はーい、本日食レポ選手権へエントリーした猛者はこの人達だっ!』」
上条「『エントリーナンバー一番!平日の昼間から試食コーナーを急襲する白い悪夢!』」
上条「『ヤツが通った後にはガリ一つ残らず食い尽くす、もはや都市伝説が参戦だっ!』」
上条「『所属不明!学生かどうかも分からないが――インデックスさんのご登場ですっ!』」
インデックス「がんばるんだよっ!」
上条「オイ、端っから学生以外が参戦しちまってんだけど……いいの?今更?」
スポンサー『ふっ、問題など何も』
上条「そうだよね。お前そっち系の核弾頭であるインデックスさん放置して、他のシタッパーを捕まえようとするぐらい優先順位謎だもんな」
スポンサー『勘違いしてほしいのだがね』
上条「おう?」
スポンサー『最近キャラが固まってないとか言われたり、した憶えのない約束の話をされるのだが、どうしたらといいかな?』
上条「認知症ですね、うん。取り敢えずご家族で一回話し合ってください。俺には関係無いんで」
佐天【早く続けて】 サッ
上条「あっはい。それじゃ――『続きましてぇぇぇエントリー二番!学び舎の園からの電撃参戦だ!』」
上条「『正式名称不明!誰もが知らない名前と誰でも知ってる髪型がチャームポイントォォォォォ――の』」
上条「『――縦ロール選手の登場です!』」
縦ロール「ごきげんよう、皆様」
上条「……なんで来てんの?前回のゲストじゃ?」
縦ロール「えぇと、控え室で『誰か出てくれませんか?』とスタッフの方に言われまして」
上条「すいませんねっグダグダで!なんかエキストラ用意できれば良かったんですけど、まぁプレだから!仮にってことで!む
上条「で、その……君は、食レポ、得意なんですかね?」
縦ロール「”しょくれぽ”って何をするんのですか?」
上条「『――はいっ!ってな訳でもうなんかアレな感じですがインデックスさん教えて差し上げて下さいねっ!俺はもう一人紹介するから!』」
上条「『最後のエントリー!学園都市好感度上位ランカー!みんなに愛されるフードファイターことぉぉぉぉ――』」
上条「『――ARISAさんの入場です!』」
鳴護「やー、どーもです」
上条「って出んのかよ!?企画した本人は運営側入るんじゃないのか!?」
鳴護「え?食べたいし、てゆうか食べたいし?」
上条「いやそんな『何言ってんだろ?』みたいなリアクションされてもな……」
鳴護「あのねー、当麻君は分からないかもしれないけど、っていうかあたしも当麻君並の美味しい御飯作れないからなんだけどねー」
上条「うん、ゴメンねARISAさん?これ仮にも一応全学区へ放送してるからアレなんだけどさ?」
上条「『取り敢えず俺の名前を呼ぶのと個人情報出すのって、ARISA的にマイナスだから注意してね』って言ったよね?始まる前に俺釘刺したよね?」
鳴護「ご、ごめんねっ当麻君!?ついいつものクセで言っちゃったよ!」
上条「もう君のファンには目をつけられてるから諦めてはいるんだが……」
佐天【早くカミングアウトして】
上条「残念ながら人様に顔向けできないようなことは何一つしてないよ!残念な話だがなっ!」
佐天【あ、すいません。早く進めて、の間違いでした】
上条「違うよな?間違う要素が全く無かったよね?……えっと、んじゃ――って、これ?これ食べるの?」
上条「『では時間が無いので早速食べて頂きましょうか。でーでん!コロッケー!』」
コトッ
上条「『食レポに参加頂いたお三人さんには、今からコロッケを食べてリアクションして頂きます!勿論素直な感想をね!』」
上条「『決して!食レポでありがちな”何食ってもおいしーい”的な空気を読んだ反応はいりませんよ!いいですねっ!?』」
上条「『ただし!このアーケードは俺が学校帰りによく寄る上に、出題されたお肉屋さんのコロッケはいつもオマケして貰っています!忘れないでねっ人間力!』」
上条「『歩きながら紙で包まれたコロッケは学生に大人気で!俺も好きですねっ!』」
佐天【なんか理不尽な圧力を感じるんですが】
上条「『ちなみに余談ではありますが、リアクションと食レポに定評があるふなっし○さんが”あ、これはダメなヤツだ”と言って食べられなかったのはタガメとサソリだけです!』」
上条「『曰く、”口に入れて、「あ、意外と大したことなかったなっしー」とリアクションしようとしたら、ポーンと気づかない間に吐いていた”そうです!怖いですねー!』」
上条「『なのでそれ以外はいけます!大丈夫!何食べてもオイシイっ!』」
佐天【それもう逆に貶してませんか?】
上条「『では一番のインデックスさんからどうぞ!いいかっ!?俺達がお世話になってるところだからなっ!?』」
佐天【もうヤラセ感がハンパねぇですよね】
インデックス「じゃ、頂きます、なんだよ」
上条「『はいどうぞ。熱いから気をつけて下さいね』」
インデックス モグモグ
上条「『――では、エントリー一番の方!気合いの入った食レポをどうぞ!』」
インデックス「――うんっ、美味しいんだよっ……ッ!」
上条「……」
インデックス「……うん?」
上条「『いえあのインデックスさん?続きは?』」
インデックス「美味しい、って言ったよね」
上条「『……だから具体的にどう、ってのを』」
インデックス「……ねぇとうま、わたしはねいつもいつも思うんだよ」
インデックス「この世界には悲しいことやつらいこと、それはもうたくさんあるんだよ。目に入れたくないのに、どうしても現実は追いかけてくる」
インデックス「そんな、悲しいニュースを見ながらこう考えたんだよ」
インデックス「――『本当に美味しいものを食べて、”おいしい”以外の形容詞が必要かな』ってね……ッ!!!」
上条「『はいありがとうインデックスさん。帰ったらお説教だから覚えとけコノヤロー』」
インデックス「なんでなんだよ!?理不尽だし!?」
上条「『それ言ったらこの企画お終いじゃねぇか!?主旨違うわ!』」
上条「『……あと悲しいニュースってなんかあったっけ?お前がニュース番組見てた憶えがそもそもないんだけど?』」
インデックス「ううん、かなみんでやってたかも」
上条「『――はい、っていう訳でシスターさん的には質素倹約が美徳なのでアレでしたね!難しかったかなー!』」
上条「『では続きまして縦ロールの方!常盤台の期待はあなたの肩に掛かってますよっ!』」
縦ロール「あ、はい頂きたいのですが」
上条「『が?』」
縦ロール「その、手づかみで頂くのははしたないか、と」
上条「『はーいありがとうございましたっ!この企画ずっと商店街ですから最初っから戦力外ですねありがとうございますっ!』」
佐天【ま、まぁ御坂さんが例外であって、ですからね】
上条「『それでは真打ち!企画立案にして食レポアイドル!ARISAさんに頑張って貰いましょうか!』」
上条「『いやマジでなんとか!ここで逆転しないと放送事故だけになっちゃうから!』」
鳴護「期待が重いよ!……えっと、それじゃ頂きます」
鳴護 モグモグ
上条「……」
鳴護 モグモグ
上条「『ど、どうでしょうか……?』」
鳴護「もぐ――これはっ!?」
上条「『おぉっ!』」
鳴護「中のお芋と香辛料多めの合い挽き肉が絶妙で、食べるたびに次から次へと止まらなくなる……!」
鳴護「外の食感がカリっとサックサク、そして中のつなぎを噛みしめる度に溢れる肉汁が、口の中へ溢れ……!」
上条「『そうっ!そのリアクションを待っていた!』」
鳴護「あ、でも当麻君が作ってくれた方が好きかも」
上条「『――以上でARISAの食レポ選手権を終りにしたいと思います!アリガトウゴザイマシタっ!』」
佐天【天然って怖いですねぇ】
上条「『なお、番組中の発言は全て演出であり、実在のご当地アイドルとは一切関係はありません!ないったらない!』」
――プレゼン会場
上条「結論というか教訓としては『食べ物が本当に好きなやつには職サポは務まらない』ってことかな」
佐天「シスターの子は、まぁある意味正しいとは思うんですが」
佐天「あ、そうだ。気になってんたんですけど」
上条「はい?」
佐天「エントリーされた方の一緒に暮らしてるってマジですか?」
上条「君はホンットに細かいことに気づくよねっ!触れて欲しくないところにダイレクトで!」
佐天「いやぁそれほどでも!」
上条「誉めてない、全く」
佐天「あ、今控え室から御坂さんが」
上条「――おっと!俺ちょっと今から”がごぜ(妖怪)”の取材行ってくるんだった!あとヨロシクっ!」
−続−