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Clock(trial)

バレンタインの日 前半戦(ver2016)


――2月14日 御坂→上条

上条「……今日は平日今日は平日今日は平日今日は平日……!」

上条「『我が思うが故に我在り』……そう、つまり!」

上条「俺が平日だと思い込むことによって、今日は平日と変らなくなるんだ……ッ!!!」

御坂「……なに朝っぱらから念仏唱えてんのよ、あんた」

御坂「ていうか行っちゃいけない方へ行ってる訳だし、思い込みで納得するんだったら苦労しないっての」

上条「お前には分かるまいこの俺の――いやっ、俺達の怨嗟の声を!」

上条「砂漠を通り抜ける風に乗って運ばれる、報われぬ男達の慟哭の叫びを!」

御坂「それネクロノミコ○よね?」

上条「この季節になるとスーパー・デパート・書店・コンビニ・ゲーセン全てにおいてバレンタインフェアをやっててな!」

上条「それを見る度全く関係ねぇ俺らはガリガリSAN値を削られるんだよ!視界へ入る度にな!」

御坂「チョコ嫌いな子にとっちゃ嫌がらせよね−。あんたたちの動機はおかしいけど」

上条「常盤台という女子校に居ながらも結構チョコ貰いまくってるお前には分からないだろうがな……!」

御坂「言わないでよ!?あたしだって困ってるんだからね!」

上条「なんでだよ!モテモテ()じゃないですかー!」

御坂「……厚意でくれるのは、まぁありがたいと思うけどね。その、好意を通り越してオプションになるのはちょっと」

上条「あー……白井さんですよねー。なんであの子ビリビリに関わるとアレな子になるんだろうな……」

上条「ていうかその白井は?今日辺りだったら一日中お前に引っ付いてガードしてそうじゃね?」

御坂「あぁ今日は一日中シフトだって。『しっと団』とか言うテロリストが犯行予告を」

上条「あ、そうか。そういう方法もあったんだよな!」

御坂「テロを正当化すんな。しかもやってる事はただの妬みでしょーが」

上条「そんな事は無いさ!俺達はこう、純粋に不純な気持ちでやってるだけだよ!」

御坂「それがもう不純よね?純粋って言葉付けりゃ何言ったっていいと思ってんの?あ?」

上条「しかもこの時期はチョコ好きな男子()にとっても地獄でさぁ……」

御坂「どうしてよ。フェアやってるから、普段は見ないチョコがよりどりみどりじゃない」

上条「……お前、男が一人でチョコ買えると思うか……?」

御坂「……あー……」

上条「確かに!『非モテの男が寂しく自分でチョコを買う』なんてのは都市伝説だと思う!流石にそんなアホは居ないと思うぜ!」

御坂「……いやぁ脳内彼○の『クリスマス企画とか見ちゃうと……うん」

上条「でもなっ!仮にそうだとしても!店員さんに怪しげな目で見られなくっても、売り場には女子()しか居ない訳で!」

上条「そんな場所に野郎が入っていけるか!?行ける訳が無いさ!」

御坂「反語よね」

上条「ちなみに俺の知り合いの弟のメル友は、『もう気にしない』って平然とチョコ選ぶそうだ。オッサンなのに」

御坂「営業妨害かっ!?しかも開き直っただけタチが悪いな!」

上条「どうた御坂!俺達の苦労が――」

御坂「――はい」 グッ

上条「……わかっ、た……か?」

御坂「……受け取りなさいよ!」

上条「は、はいっ!」

御坂「そ、それじゃ――またねっ!」 ダッ

タッタッタッタッタッ

上条「……え?何?チョコ?マジで……っ!?」

上条「――ハッ!?これはまさか!」

上条「シチリアマフィアは親しい相手を暗殺する前には贈り物をするという……!」

ミサカ10032号「ちげーよ、つーかお前いい加減にしろや、と通りすがりのミサカはツッコみます」



――2月14日 フロリス→上条

フロリス「ちーっす」

上条「おっす」

フロリス「あ、これバレンタインねー」

上条「お、ありがと――って、これ何?ぬいぐるみ?」

フロリス「と、カードだぜ。あー、あんまこっちじゃ一般的じゃないの?」

上条「うんっ!俺はよく知らないが日本のバレンタインは魔改造されてるって話だ!よく知らないけども!」

フロリス「なんで二回言った……?」

上条「いや多分真実を話してしまったら、俺にキック食らわせて逃げていき……いやなんでも」

フロリス「なんかスッゲー気になる」

上条「そんな事よりも!そんな事よりも『新たなる光』の皆はどう?元気にしてんのかな?」

フロリス「レッサーとランシスはまぁ……なんかやってるし、ベイロープも最近調子いいみたいでさ」

上条「なんだっけか。スコットランド独立で大変だった、みたいなのをハロウィンで聞いたんだが」

フロリス「んーとね、ワタシも直に聞けないから聞きかじりなんだケドも、今大分収まったみたいでさ。独立運動」

上条「へーそうなんだ?割と僅差っぽい感じだったけど」

フロリス「原油価格がねー……ウン、暴落しまくってる感じで」

上条「……うん?」

フロリス「独立しても北海油田じゃやって行けそうにない、って、ウン」

上条「カネじゃねーか!?しかも相当生臭いなオイ!」

フロリス「バカじゃんねー?」

上条「……いいけどさ。つーかそんなんで独立頓挫すんだったら、最初っからすんなよ」

フロリス「ちゅーか後先考えられる国、今のEUにある?ある意味ウチは先取りしたよーかんじだったけどね」

上条「何かもう政治がネタ化してるような感じだよな。いつかどこでぶっちゃけると思うが」

フロリス「ま、ウチがなんかあったらレッサーがしでかすんだろうケド、それまでは様子見で」

上条「分かってるよな?ベイロープの胃壁のためにもお前も頑張れよ?一緒になってやらかすんじゃねぇからな?」

フロリス「ダイジョウブダヨー?ゼンゼン?」

上条「分かってない!絶対に分かってないし分かるつもりもねぇな!」

フロリス「つー訳でそろそろ帰るよ……ってそうそう。こっち来て気になったんだケド」

フロリス「なんかジャパンのバレンタインって全体的にピンクだよね?何か浮かれる……っていうか、繁殖的っていうか」

上条「どういう感じだよ、繁殖的」

フロリス「てかフツー男女が友達にプレゼントする日なのに、なんかゲ×のパレードみたいに仰々しいっちゅーか」

上条「あぁそりゃさっきも少し言ったが、日本だと意味合いが違うからな」

フロリス「へー?」

上条「うん、こっちだと女の子が好きな男の子へプレゼントする日だから」

フロリス「……」

上条「……」

フロリス「……か、返せっ!そんなんじゃねーし!」

上条「そう来ると思ったさ!だから言いたくなかったんだよ!」

上条「ていうかハロウインもクリスマスん時も思ったけどさ」

フロリス「あ、あんだよ!?やんのかっ!?」

上条「フロリスって結構女子力高――」

フロリス「――セイっ!」 ベシッ

上条「OH!!!?」



――2月14日 アリサ→上条

鳴護「当麻君、オハヨウゴザイマスっ!鳴護アリサですっ!」

上条「ウン知ってる。知ってるから通学路で自己紹介は止めてあげて、頼むから?」

上条「キミがアイドル――に、そっくりさんだってのは分かって貰えると思うけども!勘違いする人が出るから速やかに!」

鳴護「い、いいお天気だよねっ!」

上条「週末大雪降ったんだけど……」

鳴護「最近どうかなっ!?」

上条「うんまぁ、昨日も財布落として路地裏を探してたら女の子を助けて大冒険したけど、まぁ平常運転ですね」

鳴護「だ、だよねっ!所詮は当麻君だもんねっ!」

上条「落ち着けアリサ。いつも以上にテンパってて自分が割と暴言吐いてるのに気づいてないから!」

鳴護「ホントに女の子絡みのTo LOV○るは多いよねっ!」

上条「あれ?もしかして確信犯(※故意犯)?ねぇキミわざとDISってるの?」」

鳴護「あ、あのっ今日は何の日だっけ……?」

上条「今日は平日だよ、いやうんまごう事なき平日だな」

鳴護「いやそうかも知れないけど、っていうか本当だったら日曜日だけど……そうじゃなくって!

上条「鳴護さんもですね、こうあまり浮かれていてはアイドルというお仕事がどうかと思ったりしますよ、えぇホント」

上条「センテンススプリングさんに抜かれて、CM全滅したりだとかしちゃいますからねっ!」

鳴護「そんな極端な、しかもほぼ最悪の例を持ち出されても困るって言うか……そ、そんな事よりもっ!これっ!」

上条「はい?」

鳴護「いっつもお世話になってるし……うんっ、感謝の気持ちも込めてみましたっ!」

上条「……」

鳴護「今日は平日じゃないよっ!バレンタインだもんっ!すっごく大切な日なんだからね!」

上条「……」

鳴護「当麻君……?」

上条「――カメラっ!?カメラはどこだ……っ!?」

鳴護「当麻君っ!?リアクションがおかしくないかなっ!?」

上条「あ、アレだろっ?!どうせまた佐天さんが隠れてて『ドッキリ、大成功!』みたいな看板持って出てくるんだろ!?」

上条「わ、分かってるさコノヤロー!どうせあの時もこの時も壮大な手間暇かけたドッキリだったもの!」

鳴護「当麻君……今までどんなトラウマがあったんだろ……?」

上条「ていうか出て来いや柵中のアトミックバズー○!隠れてやがるんだろーが!」

鳴護「だから、ね?当麻君は疲れてるんだと思うよ?」

鳴護「そんな、こう、佐天さんがいつもいつも決定的瞬間に居合わせているとか、そういうのはな――」

佐天「――くっくっく!よくぞ見破ったな明○クン!」

鳴護「ホントに居たっ!?居たよっ!?」

佐天「ていうか何ですか人を核弾頭扱いなんて!ていうかあの世界実は核珍しくないじゃないですか!」

佐天「MSのジェネレーターは『融合炉』ですし、そもそも小説版だと堂々とザ○を破壊した時、汚染がどうって記述があったですし!」

上条「いやだから、そこだよね、そこ。オトナの事情で触れるんなっつってるトコに土足で踏み込むなつってんだよ!」

鳴護「当麻君もツッコミ所が違くない?そこは掘り下げなくてもいいんじゃないって思うんだけど……」

佐天「――と、言う訳で!ここに不思議と現役アイドルと冴えない高校生の密会写メが!」

上条「オイ待ちやがれ!お前それは流石にシャレになってねぇから!」

上条「君は初春さん辺りに『めっ』ってされて終るだろうが、俺はシャットアウラに『滅』ってされて(人生が)終るんだよ!」

佐天「すいませんそれ、あんま面白くないですよ」

上条「ですよね!俺もちょっとそう思った!」

佐天「あと写メとシャレもかけたつもりなんでしょうが、誰も気づいてくれないって言うね」

上条「止めてあげて!?俺の傷口に塩を塗り込むのはカンベンしてあげて!」

佐天「では――さらばっ!」 ダッ

上条「待ちやがれテメー!」 ダッ

……

鳴護「……言っちゃた、なんて……まぁ、またウヤムヤだし……うん?」

鳴護「そういえば、佐天さんどうしてこっちまで来てたんだろ……?」



(後半戦に続く)

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