第二章 大食い妖怪エンゲルさん
――第二章
『大食い妖怪エンゲルさん』
バードウェイ「――古来、家に着く――”憑く”モンスターの話は多い」
バードウェイ「神話と妖精の国イギリスを例にあげるならば、一家に一人の妖精メイドキキーモラに一家に一匹番犬ブラックドッグ」
バードウェイ「乾き落ちた魂の残滓バンシー……は、土地か。日本で言えば地縛霊に近いか」
バードウェイ「まぁケルト文化が”比較的”掃討されなかっただけマシではある。余所に比べればな」
バードウェイ「そしてこの極東の島国でも同じ。というか変わりはしないよ」
バードウェイ「納戸婆、小袖の手、隙間女――そして、最もポピュラーかつ知名度が高いのはザシキワラシだ」
マーク「ボス、ポピュラーと知名度は大体同じ意味です」
バードウェイ「ポピュラーかつ認知度が高いのはザシキワラシだな!子供にしか見えず家人へ幸運をもたらすという怪異!」
バードウェイ「他にも倉ぼっこ、アカシャグマなどがあり、これは死んだ幼児や赤子の霊が転じたモノとされている」
バードウェイ「まぁ中には産怪のような”産まれそこなった”モノがタタリを為す場合もあるにはあるが、全体としては少数だ」
バードウェイ「ここでのポイントは『子供』という点にある。マーク、なぜだか分かるか?」
マーク「えぇーっと子供……ゴースト的な扱いでしたら、昔は子供が死にやすかく、それを科学的に止める手段はない」
マーク「だから何らかの形で信仰に取り入れたのでは?祟り神を奉って家神へ転じたように」
バードウェイ「不正解だバカ者。もっと精進しろ」
マーク「……すいません」
バードウェイ「答えは単純にして明快、迷うヒマも考える時間すら惜しいぐらいに簡単な話さ。要は――」
マーク「はい」
バードウェイ「昔から日本人はロ×ショ×を拗らせていたと考えるのが妥当だろう」
マーク「軽く国際問題ですよ?一瞬とはいえ、『あ、流石未来に生きてんなー』と納得しかけましたが、超問題発言ですからね?」
マーク「その発想は文化人類学史上初で最後だと思います。学会で発表したらフルボッコかと」
バードウェイ「先駆者は得てして世界に拒絶されるものだ、な――あぁいや、世界を拒絶しているのは私の方か。度し難い」
マーク「ボス?あんたそれ最近読んでるマンガに影響されてません?メイドさんがアビスするエグいのに」
マーク「『やれやれだ』の、次にぐらいに流行りそうでガクブルなんですが」
バードウェイ「だが、私は言いたい。そうとも、これは宣戦布告である。そう理解してくれて結構だよ」
バードウェイ「――『巨乳のザシキワラシなど認めん』、と!」
マーク「すいませんボス。色々と次元を越えて長距離狙撃するの止めて貰えますか?単純な人気としてはボスの上だと思いますが」
バードウェイ「アレがあぁなったのは、純粋にザシキワラシをロ×にしなかったせいだと思っている」
マーク「おい誰か!ガムテープ持ってないか!コンビニでいいから買ってこい!」
バードウェイ「ついでに言えばアレもコレも取り敢えずメインヒロインを幼女にすれば取り敢えず人気出ると思う。万能調味料的な」
マーク「そんな一部の人の性癖をマヨネーズや味の○(※商品名)と並べること事態が不遜です」
バードウェイ「こんな歌を知っているか?――『傷つき−、倒れてー、疲れた心ーにーはー』」
マーク「いい曲じゃないですか」
バードウェイ「『よぉーじ○ーのー癒やしがー染みるーのさー』」
(※本当に実在する曲の実在する歌詞です。ウロですが)
マーク「アゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥツッ!!!歌の歌詞でも言って良い事と悪い事があるっ!」
マーク「……てゆうか、ボス?あの、今更ですけど、この企画の主旨って分かってます?説明しましたよね?」
マーク「今さっき照れ隠しで上条さん半殺しにしたとき、確認しましたよね?」
バードウェイ「おいおいマークやめてくれよ。人を聞き分けの悪い子供みたいに言うんじゃない」
マーク「そこら辺のガキだったらどんだけ気が楽だったか」
バードウェイ「ナントカという深夜番組があって、その取材を私たちがやってやろうって話さ。問題ない、問題など何一つない」
マーク「……いえあの、ヤラセ、ですからね?何かこう、上条さんち行って禁書目録さんイジって終わり、みたいな?」
バードウェイ「妖怪は――退治してしまっていいんだよなぁ?」
マーク「メッチャ悪い顔してますよボスっ!幼女なのに中身が現代社会から神様にリストラされたオッサンのような!」
バードウェイ「14・15のパッと出の小娘が!今こそ下克上のときと知れ!」
マーク「12歳児が年上相手に何か言ってるな」
バードウェイ「なんか私と二個一セット販売されそう予感もあるが!今の内にツブしておくのが最善だっ!」
マーク「発想がヤンキーです。80年代のチャピオ○にありがちな直結脳ですよ」
バードウェイ「転生した世界で主人公を持ち上げるために登場する悪役がだな」
マーク「だから余所の批判はすんなっつってんだろ」
バードウェイ「さぁ象徴武器(シンボリックウェポン)を構えろ!
マーク「あー……魔術結社もヤンキーとノリは一緒っちゃあ一緒ですねー」
マーク「てゆうか禁書目録さんMDF高いんですから、フツーに物理で突っついた方が早い」
バードウェイ「出て来ぉい!隠れているのは分かっているんだぞっ!」
マーク「ボス、先代――奥様の悪い影響を受けすぎです」
ガチャッ
インデックス「……」
バードウェイ「お、出てきたな大食い妖怪エンゲルさん!魔術勝負なら受けて立つぞ!」
インデックス「……あのね。ご近所付き合いって知ってる?」
バードウェイ「あ?」
インデックス「あぱーと共有えりあじゃ騒いじゃいけないの!常識でしょ!?」
バードウェイ「こいつ……正論を!?」
マーク「まぁ、正しいは正しいですがね」
インデックス「これをね、破るとね、ご近所付き合いからムラハチされるんだよ!?わかる!?」
バードウェイ「おぉ……聞いたかマーク!あのジャパニーズ式お付き合いMURA-HACHIだぞっ!」
マーク「嫌がらせじゃないですかーやだー」
インデックス「あなたたちにはささいなことかもしれないけどね、こういった小さな小さな積み重ねがそごをうむんだから!」
バードウェイ「いや普通、学生ばかりの都市で少しぐらい騒いでも『あぁまたかー』ぐらいで済むだろ。オーバーなんだよ」
インデックス「違うもん!わたしだって”かぜあたりがつよくなったな”って思うんだよ!」
バードウェイ「例えばどんな時?」
インデックス「よく聞くんだよ!例えばね、わたしがごきんじょのすーぱーで試食するときとか!」
バードウェイ「すまん。オチが読めた」
インデックス「『ごめんなさい。他の人にも食べて貰わないと!』ってお肉一枚しかくれなかったり!」
バードウェイ「マーク、どうやらこの近くのスーパーは相当のバカかバカな聖人が経営してるらしいぞ!行ってみよう!」
マーク「寛大、ですよね」
インデックス「公園でハトさんにエサをあげてるおじーちゃんに『これ、賞味期限切れのパンだから食っちまえ』って渡されたり!」
インデックス「でもおじーちゃん、うっかりやさんだからいつも食べられるパンなんだけどね」
バードウェイ「ハトのエサを横取りするか、ハトをエサにしないための抑止力だろう」
マーク「飢えた目で瞬きもせず凝視されるハトさん逃げてー!?」
インデックス「ほかにもね、ご近所をわたしがあるくだけで、うわさされるのはまっぴらなんだよ!」
インデックス「『まったくかみじょうさんってばまた新しい女を連れ込んだらしいぜぃ』、『あぁイヤラシイやんか奥様!はしたないっ!』って!」
バードウェイ「それ絶対近所の主婦じゃないだろ。グラサンと青髪ピアスだろ」
マーク「ボス、上条さんの日常についてストーカーしすぎです」
インデックス「ゆいいつよくしてくれるのはいつも見かける『し、しすたーちゃんかわいいぶひ!』って駄菓子くれるおーく族の人だけだもん!」
バードウェイ「マーク」
マーク「イエッサボス。今若いのが向かって……あ、終わりましたね」 ピッ
インデックス「な、なんだろ?下の階から”さっと”が強行突入したようなえすいーが……?」
バードウェイ「そのオーク族の人は永い永い旅に出かけたそうだ。せめて幸多かりしことを祈らんではないか」
インデックス「そ、そうなの!?せめてお別れはいいたかったんだよ……」
バードウェイ「心配しなくてもいい。今頃はエルフの姫騎士がいっぱいいる楽園でキャッキャッウフフしてるだろうから」
マーク「狂った世界観です、ボス。てゆうかそれマジモンのオークさんには地獄と一緒じゃ?」
インデックス「とにかく!そんなわけでご近所迷惑だからさわがないでもらえるかなっ!?」
バードウェイ「今までのアホトピックの中心にいたのはお前であって、あのアホは被害者だろ!可哀想に!」
マーク「そう思ったら上条さんをアホ呼ばわりはやめてあげたらどうですか」
ガチャッ
舞夏「というかー、どっちみちドアの前で騒ぐのはひじょーしきだぞー」
パタンッ
バードウェイ・インデックス「「……」」
インデックス「あがってく?」
バードウェイ「あ、うん」
――アパート室内
インデックス「おせんべい……は、朝食べちゃったから、えっと、おまんじゅうも……ないんだっけ」
インデックス「お茶っ葉も……切らしてて、スフィンクスー”おちゃうけ”って何か残ってたかな?」
ネコ「ニャ−」
インデックス「――あ、そうだよ!残ってんだった、確かね、とうまがね、えっと――あった!」
インデックス「はい、どうぞ!ゆっくりたべないと消化に悪いんだよ!」
コトッ
バードウェイ「……すまん。これは、その、なんだ?」
インデックス「え、すぱげってぃー知らないの!?おいしいんだよ!?」
バードウェイ「あぁいやそうではなくてだな。その、な」
インデックス「これをねー、端の方から少しずつ少しずつぽりぽり食べていくのが通なんだよ」
バードウェイ「……どう、解釈すれば悩む所なんだが――禁書目録」
インデックス「なに?」
バードウェイ「日本のキョートでな、気に入らん来客にはぶぶ漬けを出す、という習慣があるのは知ってる、か?」
インデックス「とうぜんだもん!私の辞書にはないけど、てれびでやってたんだよ!」
バードウェイ「その亜流かなにかでだ。マンマーニ野郎の習慣では突然来た客へパスタをお見舞いしてやる、ということが……?」
インデックス「ない、と思うよ。でもそれがどうしたの?」
バードウェイ「あぁいや、なんかすまん」
インデックス「そんなことよりも遠慮しなくていいんだよ。ほら、食べていいんだから!」
マーク「あれ、おかしいですね?急に雨が降ってきましたね、室内なのに目の前が土砂降りに」
バードウェイ「それはお前が号泣しているからだ――おい」
マーク「あのこれ、つまらないものですが」 スッ
インデックス「つまらない――こ、これっ!?はーげんだっ○の詰め合わせなんだよ!?つまんなくなんかないじゃない!」
バードウェイ「日本のしきたりで一応そう言っておくんだよ」
インデックス「こんなにいっぱい……アイスなんてあいさに出会って以来なのかも……」
マーク「お食べっ!いいから、全部食べていいから!」
インデックス「え、でもお兄さんたちは――」
マーク「お兄さんたちはお腹いっぱいだから!胸が痛くて無理っぽいから!ねっ?」
インデックス「ありがとうなんだよっ!」
マーク「……うっ!」
バードウェイ「……それ食べたら、あー……そうだな、禁書目録」
インデックス「なーに?」
バードウェイ「私たちは学園都市について詳しく知らないんだが、と前置きをしてだ」
バードウェイ「少し経ったら夕食を取ろうと思うんだが、場所を知らな――」
インデックス「わたしが教えられるかも!」
バードウェイ「情報料じゃないが、代金はこちらで持つから、どうだ?」
インデックス「……」
バードウェイ「あぁ気にさわったのであれば、あのバカにツケと――」
インデックス「……夢、じゃないんだよね?」
バードウェイ「うむ?」
インデックス「わたしが見ている夢、じゃないんだよね?ほんとうに、ファミレスでお腹いっぱい、食べられるんだよね……ッ!」
インデックス「いつものように、ごちそうを食べる前に目が覚めたりとか――」
バードウェイ「……そうだな。好きなだけ食べるといいさ」
インデックス「どりんくばーも頼んでいい……?『備え付けのお砂糖をいっぱい入れれば――』」
インデックス「『――どうだインデックス!甘い水の出来がりだぜ!』とかシスターの私でも助走して噛みつきたくなるドヤ顔で言ったり、しない?」
マーク「……うっ……!」
バードウェイ「……あぁ!なんだったらドリンクバー、いやファミレスごと買ってやるから!――マーク!」
マーク「はいボス!新入り先行かせて席取ってますからいつでも行けますよ!さぁ早く行きましょう!」
インデックス「わーい!じゃスフィンクス用のけーじ用意してくるんだよっ!」 ダッ
バードウェイ・マーク「「……」」
バードウェイ「……不思議には思っていたんだよ」
マーク「はい?」
バードウェイ「あのマクレー○ばりに運が悪い男の扶養家族、大丈夫か?とだ」
マーク「あ、はい。ダイがハードする映画の主人公ですね」
バードウェイ「道を歩けば敵に襲われ、財布を持てば中身を落とし、カードを契約した当日にフィッシングで全部抜かれる男がだ」
マーク「全部ありそう……!」
バードウェイ「金欠でピーピーいってるヤツが、人一倍食うと評判の禁書目録を養っていけるのか、という疑問は氷解したわけだ」
マーク「『一介の学生にできるわけねーじゃん』ですね」
バードウェイ「さりげなーく、どこかの組織が援助している形跡はある。あるが、それで足りはしないだろうな」
マーク「……ボス?下克上を果たすってプランは――あぁいややって貰ったら困るんですけど」
バードウェイ「鬼退治に行ったら鬼がただのDQNでした、で、桃太郎もはしゃいで虐殺はできないだろうが!」
マーク「鬼でも恐らくはしゃがないと思います。誰かさんみたいな性格でも限りは」
バードウェイ「いや恐らく多分絶対に!マンガ的な表現かなにかでかなり盛ってある!盛ってあるのでフィクションだとは思うが!」
マーク「ボス?誰に予防線張ってんですか?」
バードウェイ「あのシスターは意外と演技派なので、勿論今までの流れもネタだって私は分かっているとはいえだ!」
マーク「この取材はフィクションであり、現在学園都市にて保護されているシスターさんとは一切関係ございません」
バードウェイ「『これはもう然るべき期間へ通報すべきでは?』と、思った瞬間に取材も因縁も吹っ飛んだわ!というかこれ以上死体蹴りできるかっ!」
マーク「あの、ボス。企画、これでいいんですかね?」
バードウェイ「腹ぺこ妖怪に食事与えて退治、的なのでもういい。痛々しくてボケてすらいられん」
バードウェイ「……しかしなんだろうな。あのアホ番組と軽く流していたんだが、あの不屈のテンションで突っ走るマネは無理だろ!」
マーク「何となくですが、あの子がいたら相手が欠食児童であっても、笑顔で九字印切ってお祓い始めそうな気がします」
バードウェイ「常識人だけが割を食う世界観ってどうなんだよ!?本当にここは正しい世界軸へ戻ってきているんだろうな!?」
マーク「え?ボスが常識人?」
バードウェイ「よーし歯を食いしばれ。あのアホに説教をくれてやる前にお前でウォーミングアップとしようじゃないか」
マーク「説教を辞書で調べて下さい!鈍器のようなもので殴るとは書かれてなかったかと!」
バードウェイ「と、言っているがどうだ?」
インデックス「ひとを傷づけるのはよくないことなんだよ、うん」
バードウェイ「コイツを昏倒させればお前の食事の取り分が増える」
インデックス「弱肉強食って言葉はね、わたしの辞書にあるかもしれないんだよね」
マーク「まさかの裏切りが!?シスターなのに!?」
バードウェイ「悪い意味で上条当麻に慣れすぎてるな――っと」 バシッ
マーク「へぶしっ!?」
(後編に続く)
バードウェイ「――古来、家に着く――”憑く”モンスターの話は多い」
バードウェイ「神話と妖精の国イギリスを例にあげるならば、一家に一人の妖精メイドキキーモラに一家に一匹番犬ブラックドッグ」
バードウェイ「乾き落ちた魂の残滓バンシー……は、土地か。日本で言えば地縛霊に近いか」
バードウェイ「まぁケルト文化が”比較的”掃討されなかっただけマシではある。余所に比べればな」
バードウェイ「そしてこの極東の島国でも同じ。というか変わりはしないよ」
バードウェイ「納戸婆、小袖の手、隙間女――そして、最もポピュラーかつ知名度が高いのはザシキワラシだ」
マーク「ボス、ポピュラーと知名度は大体同じ意味です」
バードウェイ「ポピュラーかつ認知度が高いのはザシキワラシだな!子供にしか見えず家人へ幸運をもたらすという怪異!」
バードウェイ「他にも倉ぼっこ、アカシャグマなどがあり、これは死んだ幼児や赤子の霊が転じたモノとされている」
バードウェイ「まぁ中には産怪のような”産まれそこなった”モノがタタリを為す場合もあるにはあるが、全体としては少数だ」
バードウェイ「ここでのポイントは『子供』という点にある。マーク、なぜだか分かるか?」
マーク「えぇーっと子供……ゴースト的な扱いでしたら、昔は子供が死にやすかく、それを科学的に止める手段はない」
マーク「だから何らかの形で信仰に取り入れたのでは?祟り神を奉って家神へ転じたように」
バードウェイ「不正解だバカ者。もっと精進しろ」
マーク「……すいません」
バードウェイ「答えは単純にして明快、迷うヒマも考える時間すら惜しいぐらいに簡単な話さ。要は――」
マーク「はい」
バードウェイ「昔から日本人はロ×ショ×を拗らせていたと考えるのが妥当だろう」
マーク「軽く国際問題ですよ?一瞬とはいえ、『あ、流石未来に生きてんなー』と納得しかけましたが、超問題発言ですからね?」
マーク「その発想は文化人類学史上初で最後だと思います。学会で発表したらフルボッコかと」
バードウェイ「先駆者は得てして世界に拒絶されるものだ、な――あぁいや、世界を拒絶しているのは私の方か。度し難い」
マーク「ボス?あんたそれ最近読んでるマンガに影響されてません?メイドさんがアビスするエグいのに」
マーク「『やれやれだ』の、次にぐらいに流行りそうでガクブルなんですが」
バードウェイ「だが、私は言いたい。そうとも、これは宣戦布告である。そう理解してくれて結構だよ」
バードウェイ「――『巨乳のザシキワラシなど認めん』、と!」
マーク「すいませんボス。色々と次元を越えて長距離狙撃するの止めて貰えますか?単純な人気としてはボスの上だと思いますが」
バードウェイ「アレがあぁなったのは、純粋にザシキワラシをロ×にしなかったせいだと思っている」
マーク「おい誰か!ガムテープ持ってないか!コンビニでいいから買ってこい!」
バードウェイ「ついでに言えばアレもコレも取り敢えずメインヒロインを幼女にすれば取り敢えず人気出ると思う。万能調味料的な」
マーク「そんな一部の人の性癖をマヨネーズや味の○(※商品名)と並べること事態が不遜です」
バードウェイ「こんな歌を知っているか?――『傷つき−、倒れてー、疲れた心ーにーはー』」
マーク「いい曲じゃないですか」
バードウェイ「『よぉーじ○ーのー癒やしがー染みるーのさー』」
(※本当に実在する曲の実在する歌詞です。ウロですが)
マーク「アゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥツッ!!!歌の歌詞でも言って良い事と悪い事があるっ!」
マーク「……てゆうか、ボス?あの、今更ですけど、この企画の主旨って分かってます?説明しましたよね?」
マーク「今さっき照れ隠しで上条さん半殺しにしたとき、確認しましたよね?」
バードウェイ「おいおいマークやめてくれよ。人を聞き分けの悪い子供みたいに言うんじゃない」
マーク「そこら辺のガキだったらどんだけ気が楽だったか」
バードウェイ「ナントカという深夜番組があって、その取材を私たちがやってやろうって話さ。問題ない、問題など何一つない」
マーク「……いえあの、ヤラセ、ですからね?何かこう、上条さんち行って禁書目録さんイジって終わり、みたいな?」
バードウェイ「妖怪は――退治してしまっていいんだよなぁ?」
マーク「メッチャ悪い顔してますよボスっ!幼女なのに中身が現代社会から神様にリストラされたオッサンのような!」
バードウェイ「14・15のパッと出の小娘が!今こそ下克上のときと知れ!」
マーク「12歳児が年上相手に何か言ってるな」
バードウェイ「なんか私と二個一セット販売されそう予感もあるが!今の内にツブしておくのが最善だっ!」
マーク「発想がヤンキーです。80年代のチャピオ○にありがちな直結脳ですよ」
バードウェイ「転生した世界で主人公を持ち上げるために登場する悪役がだな」
マーク「だから余所の批判はすんなっつってんだろ」
バードウェイ「さぁ象徴武器(シンボリックウェポン)を構えろ!
マーク「あー……魔術結社もヤンキーとノリは一緒っちゃあ一緒ですねー」
マーク「てゆうか禁書目録さんMDF高いんですから、フツーに物理で突っついた方が早い」
バードウェイ「出て来ぉい!隠れているのは分かっているんだぞっ!」
マーク「ボス、先代――奥様の悪い影響を受けすぎです」
ガチャッ
インデックス「……」
バードウェイ「お、出てきたな大食い妖怪エンゲルさん!魔術勝負なら受けて立つぞ!」
インデックス「……あのね。ご近所付き合いって知ってる?」
バードウェイ「あ?」
インデックス「あぱーと共有えりあじゃ騒いじゃいけないの!常識でしょ!?」
バードウェイ「こいつ……正論を!?」
マーク「まぁ、正しいは正しいですがね」
インデックス「これをね、破るとね、ご近所付き合いからムラハチされるんだよ!?わかる!?」
バードウェイ「おぉ……聞いたかマーク!あのジャパニーズ式お付き合いMURA-HACHIだぞっ!」
マーク「嫌がらせじゃないですかーやだー」
インデックス「あなたたちにはささいなことかもしれないけどね、こういった小さな小さな積み重ねがそごをうむんだから!」
バードウェイ「いや普通、学生ばかりの都市で少しぐらい騒いでも『あぁまたかー』ぐらいで済むだろ。オーバーなんだよ」
インデックス「違うもん!わたしだって”かぜあたりがつよくなったな”って思うんだよ!」
バードウェイ「例えばどんな時?」
インデックス「よく聞くんだよ!例えばね、わたしがごきんじょのすーぱーで試食するときとか!」
バードウェイ「すまん。オチが読めた」
インデックス「『ごめんなさい。他の人にも食べて貰わないと!』ってお肉一枚しかくれなかったり!」
バードウェイ「マーク、どうやらこの近くのスーパーは相当のバカかバカな聖人が経営してるらしいぞ!行ってみよう!」
マーク「寛大、ですよね」
インデックス「公園でハトさんにエサをあげてるおじーちゃんに『これ、賞味期限切れのパンだから食っちまえ』って渡されたり!」
インデックス「でもおじーちゃん、うっかりやさんだからいつも食べられるパンなんだけどね」
バードウェイ「ハトのエサを横取りするか、ハトをエサにしないための抑止力だろう」
マーク「飢えた目で瞬きもせず凝視されるハトさん逃げてー!?」
インデックス「ほかにもね、ご近所をわたしがあるくだけで、うわさされるのはまっぴらなんだよ!」
インデックス「『まったくかみじょうさんってばまた新しい女を連れ込んだらしいぜぃ』、『あぁイヤラシイやんか奥様!はしたないっ!』って!」
バードウェイ「それ絶対近所の主婦じゃないだろ。グラサンと青髪ピアスだろ」
マーク「ボス、上条さんの日常についてストーカーしすぎです」
インデックス「ゆいいつよくしてくれるのはいつも見かける『し、しすたーちゃんかわいいぶひ!』って駄菓子くれるおーく族の人だけだもん!」
バードウェイ「マーク」
マーク「イエッサボス。今若いのが向かって……あ、終わりましたね」 ピッ
インデックス「な、なんだろ?下の階から”さっと”が強行突入したようなえすいーが……?」
バードウェイ「そのオーク族の人は永い永い旅に出かけたそうだ。せめて幸多かりしことを祈らんではないか」
インデックス「そ、そうなの!?せめてお別れはいいたかったんだよ……」
バードウェイ「心配しなくてもいい。今頃はエルフの姫騎士がいっぱいいる楽園でキャッキャッウフフしてるだろうから」
マーク「狂った世界観です、ボス。てゆうかそれマジモンのオークさんには地獄と一緒じゃ?」
インデックス「とにかく!そんなわけでご近所迷惑だからさわがないでもらえるかなっ!?」
バードウェイ「今までのアホトピックの中心にいたのはお前であって、あのアホは被害者だろ!可哀想に!」
マーク「そう思ったら上条さんをアホ呼ばわりはやめてあげたらどうですか」
ガチャッ
舞夏「というかー、どっちみちドアの前で騒ぐのはひじょーしきだぞー」
パタンッ
バードウェイ・インデックス「「……」」
インデックス「あがってく?」
バードウェイ「あ、うん」
――アパート室内
インデックス「おせんべい……は、朝食べちゃったから、えっと、おまんじゅうも……ないんだっけ」
インデックス「お茶っ葉も……切らしてて、スフィンクスー”おちゃうけ”って何か残ってたかな?」
ネコ「ニャ−」
インデックス「――あ、そうだよ!残ってんだった、確かね、とうまがね、えっと――あった!」
インデックス「はい、どうぞ!ゆっくりたべないと消化に悪いんだよ!」
コトッ
バードウェイ「……すまん。これは、その、なんだ?」
インデックス「え、すぱげってぃー知らないの!?おいしいんだよ!?」
バードウェイ「あぁいやそうではなくてだな。その、な」
インデックス「これをねー、端の方から少しずつ少しずつぽりぽり食べていくのが通なんだよ」
バードウェイ「……どう、解釈すれば悩む所なんだが――禁書目録」
インデックス「なに?」
バードウェイ「日本のキョートでな、気に入らん来客にはぶぶ漬けを出す、という習慣があるのは知ってる、か?」
インデックス「とうぜんだもん!私の辞書にはないけど、てれびでやってたんだよ!」
バードウェイ「その亜流かなにかでだ。マンマーニ野郎の習慣では突然来た客へパスタをお見舞いしてやる、ということが……?」
インデックス「ない、と思うよ。でもそれがどうしたの?」
バードウェイ「あぁいや、なんかすまん」
インデックス「そんなことよりも遠慮しなくていいんだよ。ほら、食べていいんだから!」
マーク「あれ、おかしいですね?急に雨が降ってきましたね、室内なのに目の前が土砂降りに」
バードウェイ「それはお前が号泣しているからだ――おい」
マーク「あのこれ、つまらないものですが」 スッ
インデックス「つまらない――こ、これっ!?はーげんだっ○の詰め合わせなんだよ!?つまんなくなんかないじゃない!」
バードウェイ「日本のしきたりで一応そう言っておくんだよ」
インデックス「こんなにいっぱい……アイスなんてあいさに出会って以来なのかも……」
マーク「お食べっ!いいから、全部食べていいから!」
インデックス「え、でもお兄さんたちは――」
マーク「お兄さんたちはお腹いっぱいだから!胸が痛くて無理っぽいから!ねっ?」
インデックス「ありがとうなんだよっ!」
マーク「……うっ!」
バードウェイ「……それ食べたら、あー……そうだな、禁書目録」
インデックス「なーに?」
バードウェイ「私たちは学園都市について詳しく知らないんだが、と前置きをしてだ」
バードウェイ「少し経ったら夕食を取ろうと思うんだが、場所を知らな――」
インデックス「わたしが教えられるかも!」
バードウェイ「情報料じゃないが、代金はこちらで持つから、どうだ?」
インデックス「……」
バードウェイ「あぁ気にさわったのであれば、あのバカにツケと――」
インデックス「……夢、じゃないんだよね?」
バードウェイ「うむ?」
インデックス「わたしが見ている夢、じゃないんだよね?ほんとうに、ファミレスでお腹いっぱい、食べられるんだよね……ッ!」
インデックス「いつものように、ごちそうを食べる前に目が覚めたりとか――」
バードウェイ「……そうだな。好きなだけ食べるといいさ」
インデックス「どりんくばーも頼んでいい……?『備え付けのお砂糖をいっぱい入れれば――』」
インデックス「『――どうだインデックス!甘い水の出来がりだぜ!』とかシスターの私でも助走して噛みつきたくなるドヤ顔で言ったり、しない?」
マーク「……うっ……!」
バードウェイ「……あぁ!なんだったらドリンクバー、いやファミレスごと買ってやるから!――マーク!」
マーク「はいボス!新入り先行かせて席取ってますからいつでも行けますよ!さぁ早く行きましょう!」
インデックス「わーい!じゃスフィンクス用のけーじ用意してくるんだよっ!」 ダッ
バードウェイ・マーク「「……」」
バードウェイ「……不思議には思っていたんだよ」
マーク「はい?」
バードウェイ「あのマクレー○ばりに運が悪い男の扶養家族、大丈夫か?とだ」
マーク「あ、はい。ダイがハードする映画の主人公ですね」
バードウェイ「道を歩けば敵に襲われ、財布を持てば中身を落とし、カードを契約した当日にフィッシングで全部抜かれる男がだ」
マーク「全部ありそう……!」
バードウェイ「金欠でピーピーいってるヤツが、人一倍食うと評判の禁書目録を養っていけるのか、という疑問は氷解したわけだ」
マーク「『一介の学生にできるわけねーじゃん』ですね」
バードウェイ「さりげなーく、どこかの組織が援助している形跡はある。あるが、それで足りはしないだろうな」
マーク「……ボス?下克上を果たすってプランは――あぁいややって貰ったら困るんですけど」
バードウェイ「鬼退治に行ったら鬼がただのDQNでした、で、桃太郎もはしゃいで虐殺はできないだろうが!」
マーク「鬼でも恐らくはしゃがないと思います。誰かさんみたいな性格でも限りは」
バードウェイ「いや恐らく多分絶対に!マンガ的な表現かなにかでかなり盛ってある!盛ってあるのでフィクションだとは思うが!」
マーク「ボス?誰に予防線張ってんですか?」
バードウェイ「あのシスターは意外と演技派なので、勿論今までの流れもネタだって私は分かっているとはいえだ!」
マーク「この取材はフィクションであり、現在学園都市にて保護されているシスターさんとは一切関係ございません」
バードウェイ「『これはもう然るべき期間へ通報すべきでは?』と、思った瞬間に取材も因縁も吹っ飛んだわ!というかこれ以上死体蹴りできるかっ!」
マーク「あの、ボス。企画、これでいいんですかね?」
バードウェイ「腹ぺこ妖怪に食事与えて退治、的なのでもういい。痛々しくてボケてすらいられん」
バードウェイ「……しかしなんだろうな。あのアホ番組と軽く流していたんだが、あの不屈のテンションで突っ走るマネは無理だろ!」
マーク「何となくですが、あの子がいたら相手が欠食児童であっても、笑顔で九字印切ってお祓い始めそうな気がします」
バードウェイ「常識人だけが割を食う世界観ってどうなんだよ!?本当にここは正しい世界軸へ戻ってきているんだろうな!?」
マーク「え?ボスが常識人?」
バードウェイ「よーし歯を食いしばれ。あのアホに説教をくれてやる前にお前でウォーミングアップとしようじゃないか」
マーク「説教を辞書で調べて下さい!鈍器のようなもので殴るとは書かれてなかったかと!」
バードウェイ「と、言っているがどうだ?」
インデックス「ひとを傷づけるのはよくないことなんだよ、うん」
バードウェイ「コイツを昏倒させればお前の食事の取り分が増える」
インデックス「弱肉強食って言葉はね、わたしの辞書にあるかもしれないんだよね」
マーク「まさかの裏切りが!?シスターなのに!?」
バードウェイ「悪い意味で上条当麻に慣れすぎてるな――っと」 バシッ
マーク「へぶしっ!?」
(後編に続く)