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Clock(trial)

次回予告1



――イギリス清教 地下大聖堂

ステイル「『――そうだ。そこを壊して――何?』」

インデックス「……とうま……」

ステイル「『今はそんな事を話している場合じゃない――縁起でもない!そんな事を――!」

インデックス「うん?」

ステイル「『……あぁ分かった、分かったよ。キミがそう望むのであれば、僕は叶えてやらなくもないよ』」

ステイル「ただし貸し一だからね。必ず返せよ――』」

ステイル「『――生きて帰って、だ』……ほら」

インデックス「えっと……?」

ステイル「ベツレヘムの星に居るあのバカとこの霊装は繋がってる。ここを持ちながら話せば向こうへ声は届く」

ステイル「……話があるんだってさ。君に」

インデックス「……うん――『もしもし?とうま?』」

上条『……よぉインデックス。元気か?』

インデックス「『ちょっと頭がクラクラするかも』」

上条『そいつはフィアンマに操られてたからだ。そっちの術式はぶっ壊したけど、その間お前の隣に居るヤツが傷付けないように抑えてくれたんだよ』

上条『一応でいいからお礼言っとけ』

インデックス「ありがとうなんだよ」

ステイル「……仕事だからね」

上条『まぁ……あんま大した話じゃないんだが――その、聞いてほしくってさ』

上条『もしかしたら最期になっかも知んないし、さ?』

インデックス「『とうま!そんなこと言っちゃダメなんだよ!』」

上条『いいから、聞いて欲しい』

インデックス「『でも!』」

ステイル「……聞いてあげなよ。男の一世一代の見せ場だ」

インデックス「……うん」

上条『俺はさ。お前に嘘……吐いてきたんだよ』

インデックス「『……うん』」

上条『いつか……いつかきっと言おうって!ずっとずっと思って――』

インデックス「『それはもういいんだよ、とうま』」

上条『インデックス……!』

インデックス「『ちゃんと帰って来てくれれば、それだけで』」

上条『違うんだインデックス!これはそんななぁなぁで済ませて良い問題じゃないんだ!』

上条『きちんと!お前に謝らなきゃ!俺自身の中でケジメが決かねぇんだよ!』

インデックス「『……うん。だったら聞くんだよ。とうまが何を言いたいのか、もう分かってるけど』」

上条『……ありがとうインデックス――その、俺、俺さっ!俺、実は――』

上条『――ヅラ、だったんだよ……ッ!!!』

インデックス「『』」

ステイル「……」

上条『……』

インデックス「――はっ!?」

上条『インデックス?』

インデックス「『あーうんごめん?なんか今ちょっとよく聞こえなかったのかも?』」

上条『俺――ヅラだったんだよ!』

インデックス「『……うんごめんね、とうま?いやあの、そうじゃなくって』」

上条『何?』

インデックス「『うんその、ヅラだって事は分かったから、本題を――』」

ステイル「――男の告白を茶化すなッ!!!」

インデックス「!?」

ステイル「……あぁごめんよ。大きな声を上げてしまって」

ステイル「けれど、これは大事な話だ。きちんと聞いてあげなきゃダメだ!」

インデックス「わたしがふさげてるのかな?どう考えてもとうま達の方がネタに走ってるとしか……」

上条『……初めて会った時から!俺、お前に嘘吐いて……!』

上条『嘘がバレるのが怖いから!ヅラだって言い出せなかったんだ!』

インデックス「『記憶は?とうまの記憶がなくなってたって下りはしなくていいのかな?』」

上条『バカヤロウ!何言ってやがんだよ!』

インデックス「『この流れで怒られるのは納得行かないかも……!?』」

上条『……いいか、良く聞けよ?確かに俺の記憶はなくなってたかも知れない』

上条『それでインデックスに嘘を吐いた……あぁ認めるさ!それは俺の過失ではある!』

上条『でもなインデックス?よく考えてみようぜ』

上条『記憶ってのは幾らでもやり直す事が出来る。生きてさえ居れば何度だって繰り返す事が出来るんだよ!』

上条『楽しかった事!辛かった事!何度でも何度でも、忘れられなくなるまですりゃいいだけの話さ!』

上条『……でも、でもな。記憶はそれでいいのかも知れない。それでどうにかなるかも知れない。けど!』

上条『――毛根は一度死んだらそれでオシマイなんだよ……ッ!!!』

インデックス「『……とうま……』」

ステイル「……くっ!」

インデックス「『――って待って待って?ちょっと深い話かもって一瞬思っちゃったけど違うよね?これただのお馬鹿なお話しだよね?』」

インデックス「ていうかあなたも共感してるって事は……!?」

ステイル「……」

上条『……あぁこれで言いたい事もなくなった――思い残す事はない!』

インデックス「『こんなのが言いたかったのかな?他にもうちょっと言うべき事はあったよね?』」

インデックス「『ていうか今までよく隠せたのかが不思議なんだけど……』」

上条『うん?』

インデックス「『や、あのね?病院でお医者様に治療を受ける時とか、あっくあに攻撃されてあいしーゆー?へ入ってたのはどうしたの?』」

上条『カエル先生は協力者だ!あの髪型を見ただろう?』

インデックス「『髪型っていうか、あれはハゲ散らかるっていうか……』」

上条『ステイル――もし、もし俺に何かあったら!』

インデックス「『とうま!わたしを心配して――』」

上条『俺のヅラは、お前が使ってくれ……!』

インデックス「『譲渡するの!?ヅラってそういうシステムだったんだ!?』」

ステイル「『断る。君からの施しを受けるつもりはない』」

ステイル「『僕のヅラは僕が勝ち取ってから着ける!今までも、そしてこれからもそうさ!』」

上条『……へっ、こんな時まで嫌なヤローだぜ』

ステイル「『お互い様だと思うがね、それは』」

インデックス「あのー?二人ともおかしくないかな?」

インデックス「ていうかどんな世界観なんだろう?ヅラを継承する世界ってつまり、滅んでもいいよね?」

上条『――っと、そろそろ限界みたいだ』

ステイル「『……ま、ヘマしないようにね』」

上条『分かってるよ――じゃな』 プツンッ

インデックス「『とうま、とうまーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!?』」



――ベツレヘムの星 落下地点

御坂「――どこよ!?あんにゃろ一体にどこに居るって言うのよ!」

御坂「てかさっきから電磁波レーダーにはゴミしか引っかからないし!どこまで落ちてん――」

御坂「――あった!ここから近い所に!」

御坂「……」

御坂「……これは――」

ヅラ「……」

御坂「千切れた、あいつのヅラ――!」



――『上条「俺、ヅラだったんだ」』、へ続く

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