超獣戦隊ゲコレンジャー 「復活!逆襲のカ・ミジョー!」
――工事現場
作業員A「オウにーちゃん、これ全部運んでくんな」
上条「了解――ってクッソ重いなこれ!セメント袋ってこんな重かったのかよ!?」
(※一袋25kg)
作業員B「どれ貸してみろ。慣れねぇうちに担ぐと腰悪くすんぞ、腰」 ヒョイッ
上条「マジっすか……!?合計50kg持って腰いわさない!?」
建宮「――オラァッ新入り!泣き言ぶっこいてんじゃないのよ!」
上条「組長……!」
建宮「組長じゃないのよな!ご時世的にはヤヴァイから社長なのよな!」
上条「でも土建会社に○○組って多いよな。なんで?」
作業員A「大体スジモンかスジモンが建てた会社が多いからだな。昔から荒い気性の連中を集めてたのが始まりで」
作業員B「ただ今の都市型テロリストことヤクザとは違う。真っ当に働いてお給金もらってる訳であってだ」
建宮「えぇいウルサイのよ!地方の土建屋には×××なのもたくさん居るから要注意なのよ!」
上条「誰が得すんですかその情報。てか伏せてんだから誰にも伝わってねぇだろ」
建宮「まぁ大体お察しなのよ!さぁそんなことよりも貧弱なのよ少年!どれ俺がいっちょ手本を見せてやるのよな!」 グッ
作業員B「そんな組長代理!?また腰をやっちまいますって!」
作業員A「そうですよ!あんた若くはないんだから無理しなくても!」
建宮「まぁまぁ騒ぐんじゃないのよな……っ!男には負けると分かってても戦わなきゃいけないときがあるのよ……ッ!」
上条「今か?新入り相手にマウント決めるのが絶好のタイミングだって思ってんのか?」
建宮「それによ!俺が負けるとはまだ決まってな――」
グギッ
建宮「ぉおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ………………ッ!!!?」
作業員A・B「組長代理いぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃーーーーーーーーーーーーー!?」
上条「いやお前がこのボケを敢行しようとした瞬間にオチは見えて。てか他の人も組長って言ってんだろ」
建宮「……お、俺が死んだのは三年伏せるのよ……ッ!」
上条「孔明気取りかこの野郎!隠す意味が全くねぇな!そして『あれ誰もいないの気づなかった?』ってなったらもっと切ない!」
――秘密結社・アマクサ組 社員寮
上条「あー……今日も疲れたー。かなり慣れたきたはきたけども、うん」
上条「やっぱ改造されてねぇからな。怪人の中に混ざって働くのはキツいわ」
コンコン
上条「はーい」
五和『――か、上条さんっ!ご飯ができましたっ!』
上条「ういっす。今いきまーす!」
――アマクサ組 社員用大食堂
建宮「『――ではまず俺が四つのときに初めて恋に落ちた話をだな』」
五和「――はい、いただきまーす!」
アマクサ組社員『いただきます!』
建宮「出だしすら言わせて貰えなかった!?」
上条「むしろ言わせてもらった日ってあるんですか?」
建宮「ん?当然なのよ!俺の誕生日とか!」
上条「地獄か」
建宮「ただ実際にツッコミが入らないと間が持たなくて途中で放棄するのよな!」
上条「ボケしかいない漫才師ってただスベってるだけだろ」
五和「組長代理、お疲れ様です。まぁ一杯どうぞ」
建宮「んむ――美味いのよ!労働のあとのこの一杯がたまらないのよな!」
五和「おしほりですけど」
建宮「っておしぼりかーい!なのよ!」
建宮・五和 チラッ
上条「あ、これ変った味付けですね。どうやって作るんですか?」
対馬「あぁこれはね、菊池市の市議がご当地キャラに扮してね」
五和「まさかのツッコミ放棄!?どーすんですか組長代理!これじゃただの痛々しい人じゃないですか!?」
建宮「いや――これはスルーすると見せかけて俺らに自らツッコミを促す高等技術……ッ!この若さでここまでの腕を持つとは末恐ろしいのよ!」
上条「自分トコのご当地キャラが活躍してるのってどんな感じですか?」
対馬「基本『誰か止める人はいなかったのか?』って自問自答する、かな」
上条「いやでも中にはエロゲ×とコラボした挙げ句、住民も大らかだからややこしい反対運動も起きず、駅内にそれのガチャが置いてある駅もですね」
五和「そろそろツッコミが飛んで来てもおかしくないのにスルー一択!?」
対馬「……その目に焼き付けるのよな、五和!空気を読んで急遽台本になかったテンドンへと移行した匠の技を……ッ!!!」
上条「誘ってただろ。一回目はともかく二回目はスルーするように合図してたろ。あと台本言うな」
上条「てかもう五和が組長におしぼり渡すボケはしつこいんだよ!?俺が初めて来た夜からずっとだぞ!ずっと!」
上条「あんときは『あぁ俺の緊張を解こうとしてくれてんだな』って少し感動したけども!」
上条「毎日だぞ毎日!毎日夕メシの時間に何が楽しくてルーチンワークでツッコミ入れさせてんだよオイ!?」
五和「割りと真面目ツッコミますけど、そうやって綺麗に全部拾うからだと思います」
上条「仕方がねぇじゃんかよ!?だって俺がずっとスルーしたらお前ら部屋の前までついてきやがったしな!」
対馬「おまわりさん呼んだら?」
上条「代わりに俺が路頭で迷います!風邪が流行ってまだ寒いこの時期にホームをレスするのはちょっと!」
建宮「まぁまぁいいって事よな!少年もそれだけウチに馴染んだった話なのよな!」
上条「……そう言ってもらえると、まぁ嬉しいですけど」
建宮「ナメた事ぬかすんじゃないのよこの三下が!?我らの血の誓いは金よりも重いのよな……ッ!」
上条「情緒不安定か。急にどした?」
建宮「――んがどーーーしても!どうしても少年が我らの一員になりたいっていうのであればそれ相応の条件があるのよ!」
建宮「まぁ最低でも適当な女衆を見つけて女房にするとか、なのよ!例えば誰とは言わないがナイスアシストでおしぼりをくれる子とか!」
五和「も、もうっ組長代理ったら!私しかいないじゃないですかその条件だと!」
上条「対馬さん、ここら辺で服買えるお店ってあります?持って来たのがそろそろボロボロになっちゃいまして」
対馬「そうねー、しまむ○でいいんだったら場所――あーでもちょっと分かりづらいのよね」
上条「だったら今度の休みにでも」
対馬「ん?んん、まぁいいけど?」
五和「はいそこぉ組長代理の大事な話をスルーしない!そして対馬もナチュラルにデートの約束を安請け合いしないでください!」
上条「あと一応ツッコんどくとしまむ○でデートって成立が困難じゃねぇかな。いや人それぞれだから全否定はしないけども」
五和「じゃあどういうのがデートだって言うんですか!?今後の参考までに詳しく聞かせてくださいよ!?」
上条「まずは映画にだな」
建宮「なんていう童×の発想。そのオーダーで『じゃ行こうか!』ってオーケーしてくれる時点でフラグは立っているのよな……!」
五和「やめてください建宮さん。自身の過去の体験から『あぁ試合すらさせてもらえなかったんだ……』ってしんみりしますから」
上条「いや別にお互いが楽しかったらどこでもデートになるんじゃ?」
建宮・五和「……」
上条「なんすか」
建宮「……いや、あのよ?自分がいつまにか汚れちまったなぁつくづく、な?」
五和「……そうですよねぇ。好きな人といればどこだっていいですねぇ……はぁ」
上条「えっと……まぁ、飲めよ!焼酎っぽいアレが温くなる前にさ!」
建宮「おうそうだったのよな!大体意識飛ぶまで飲んで忘れれば万事解決なのよ!」
五和「ですわよねっ!よーし今日は私も飲んじゃいますよー!」
建宮「どうよ少年も一口!こういうのは少しずつ慣れていくのよな!」
対馬「はいはい避難避難。子供のお酒憶えさせるなんてダメでしょーが」
建宮「俺が少年の時分にはビールやってたのよなぁ!」
五和「教皇代理、じゃなかった組長代理は特殊な例ですからね?真似しちゃいけませんよ?」
上条「だな」
五和「そんなことよりも、ねっ?お姉さんが作ったカクテルをどーぞ?ほら一気に!」
上条「酒クッサ!?誰だ五和にしこたま飲ませたヤツは!?」
対馬「あー、最初からなんかテンションおかしいのはそれかー……」
建宮「まぁ無礼講なのよ!少年もこっち来て盛り上がるのよな!」 グッ
上条「力強っ!?てかお前魔術関係なしに鍛えてっから!」
五和「今夜は寝かせませんよー?」
上条「エロい意味で言われたかったよ!お前らの場合(※ただし絡み酒で)ってつくから嫌なんだよ!」
――自室
上条「あー……疲れた。酔っ払いどもの相手はどーにも始末が……」
上条「見かねた対馬さんが止めてくれたものの……そのウチ、飲まされるんじゃねぇかな俺。まぁいいけども」 キュッキュッ
上条「あー冷たいおしぼりが気持ちいい。誰が置いたんだか少し目を離した瞬間に出現してる謎のおしぼりが。心霊現象かな」
上条「……」
上条「なーんか忘れてるような気がするんだよなぁ……?」
上条「ま、いっか!忘れるぐらいだったら大した事じゃないだろ!忘れるぐらいだったらな!」
ケータイ【メールが届いたよ当麻お兄ちゃん!きっと出会い系業者だね!】
上条「ウルッセぇな!?誰だ人のケータイのメール着信音変えたのは!?」 ピッ
【『ビリビリ』さんから『2,345』件のメールが届いています】
ピッ、カチカチカチッ
上条「――よしっ!今日も一日お疲れ様でした!俺は何も忘れてないし問題はないから寝ようか!」
上条「特に疚しい所なんかない訳だからね!おやすみなさい!」
???「はい、おやすみなさい」 パタンッ
上条「おい今天井裏に誰かいなかったか!?」
――超獣戦隊ゲコレンジャー 作戦室
御坂「……」
佐天「なんだこの茶番は。都落ちしたチンピラ映画か」
初春「以上が上条さん――いえ、怪人カ・ミジョーが映った最新映像となりますね」
佐天「てかこれどうやって撮ってるの……?明らかにアングル的におかしな部分なかった?」
初春「まず相手のスマートフォンからおおよその位置情報を割り出しまして、後は複数の電波中継地から微調整」
初春「更には当該地域の防犯カメラを覗かせてもらいまして、まぁちょちょいとですね」
佐天「凄いよ初春!たったそれだけに何個ぐらい犯罪を犯しているのか分からないよ!」
佐天「……いやでも明らかに目線が合ってたのってなかった?不自然っていうかさ」
初春「最終的にはアマクサ組の方に接触を謀り、『すいませんドッキリ企画なんですけど撮影してもらえませんか?』で中の方に撮って貰っています」
佐天「大人はいないの?平均年齢高そうな人達なのに誰か怪しむ人はいなかったのかな?」
初春「まぁいいじゃないですか。悪の秘密結社『アマクサ組』の内部事情も分かりましたし、結果的にはオーライですよねぇ」
佐天「秘密結社って……完全にこれ地方の土建会社の一シーンじゃない」
初春「……いいえ。一見そう見えるでしょうが、彼らは裏で悪の所業を繰り返しているのですよ……ッ!」
佐天「へー、どんな?」
初春「夜な夜な歓楽街に繰り出しては薄着のお姉さんが接客するお店に行ったり!」
佐天「うんまぁ……それは別にいいんじゃないかな?損をするのもダメージを受けるのも本人のサイフなんだし」
初春「他にも公園の広場を独占してカバディをしたり、スーパーへ行っては『お一人様○○個限り』商品を集団で買い」
初春「挙げ句の果てに道で迷っていたおばあさんを親切にも目的地へ届けたりもしているんですよ……!?」
佐天「最初の二つはまだ分からないでもないけど、おばあさんはいいじゃん。いいことじゃんか」
初春「悪の秘密結社にあるまじき所業です!」
佐天「そういう意味ではね!確かにヒーローの敵役としては不適切だけど!」
佐天「でも気づこうよ初春!『最初っから悪じゃないんじゃ?』って疑問を持とう!」
初春「――フッ、何言ってるんですか佐天さん。我々は引かれたレールの上を走るしかできないんですよ?」
佐天「まぁそうだけども!それ言ったらレールしかないんだけどさ!」
初春「まぁそういう訳で大英帝国ヘイトキングダムの残党、カ・ミジョーさんの居場所は分かりました」
佐天「混沌帝国メシマーズだよね?留学生襲ったり『オリンピックはウチでやってあげようか?』みたいなのを見ると、まぁうん」
初春「なおとある人に言わせれば『まだイギリスは王室ある分だけ恥を知る(※という可能性がゼロではない)』って意見もありまして」
佐天「えっと、どういうこと?」
初春「例えば海外で日本人がやらかした場合、その個人だけではなく日本が顰蹙を買う羽目になります」
初春「『個人の犯罪は個人にのみ来すもので全体ではない』、というのがベースですけど、中々そう上手くはいかないですよね?」
佐天「まぁねー」
初春「なのでイングランドの場合、『俺たちがやらしかたら王室と国家に迷惑かけるぜ!』って自重する考えが”ゼロではない”らしいです」
佐天「超控えめな希望的観測」
初春「対してとあるフロッグイーターが群れをなす国と言っても差し支えない集落ではつい先日こんな風刺番組が放送されました。CM風の動画です」
(※実話です)
初春「イタリア人料理人の方が厨房で咳込みながらピザを焼き、それをお客様にお出しします」
(※実話です)
初春「しかしピザには汚いものが不着し、客は『まずくて食べられないよ』と手をつけず、『これが新しいイタリアのピザ。世界中に広がります』とCMは終わります」
(※実話です)
初春「なおそのピザはイタリア国家と同じ配色のものであり、勿論大炎上して大変な騒ぎになっています」
(※実話です)
佐天「へー、イタリア人って偉いんだね。あたしだったらO-HANASHIしましょう?って行くけど」
初春「屋台骨がないフランスでは恥の概念が余所様と違う、という仮説ですね。個人が勝手に言ってるだけです」
佐天「まぁ……うん。そのタチ悪い人だって全体ではないからね。そういう不謹慎な人がいるのは事実だけど、全体を表してる訳じゃなくてさ」
初春「このご姿勢すら腐ってるんですから、まぁ大概だとは思いますが――さて、我々はどう手を打ったものかと」
佐天「手を打つ?なんかしたっけ?」
初春「え、忘れちゃったんですか!?御坂さんことゲコ太レッドが混沌帝国メシマーズの戦闘員を壊滅させたんですよ」
佐天「なかったよね?そんな描写はスキップしたよね?」
佐天「全身タイツ着た人が暴れて御坂さんが素の戦闘力で制圧しようとしたら腹パン貰ってダブルKOしたってだけの話だよね?」
初春「いいえ違いますね?そのあと御坂さんの正義の心にゲコ太スーツが反応し、ゲコ太レッドとして覚醒したんじゃないですか!」
佐天「てか続いてたんだねこの企画!てっきり一回も出動無しで終わってたもんだと思ってた!」
初春「えぇまぁ三月は何かと忙しいですし、『そういや忘れてた』と」
佐天「知らない人はここを読むと分かるよ!まぁやってることはいつもと変んないんだけどね!
初春「その場のノリとテンションと下ネタで毎週コントしてるだけですからねぇ。いつになったらシリアスがほんの少し入ったギャグ長編が再開されるのかと」
佐天「うん、アレはね。予想以上に使えないネタがね、時事的に」
初春「××××××ですら、ある意味全伏せ字でケンカ売ってるのに今更何言ってんですか」
佐天「……で、なに?今度は平和に暮らしているであろう元怪人さんを襲撃しようって?流石にそれはちょっとどうかなぁ」
初春「ダメですよ!悪は悪なんだからちゃんと滅ぼさないと!」
佐天「カビキラ○のCMじゃないんだからな。その十字教がぶいぶい言わせてた頃の価値観で物事を計られても」
佐天「まず、さ?相手が何もしてないんだったら先手を打って攻める必要がなくないかな?だってこうこっちの武装はオーバーキルっぽいのに」
初春「そんなことないですよ。ゲコ太スーツは防御効果に優れていますが、武器になるようなものは装備できません」
佐天「あ、そうなの?てっきり力が強くなるとかプリキュ○的な身体能力が手に入るとか思ってた」
初春「ただその、顔が見えない正体がバレないで能力が使える、という点においてはやりたい放題ができるという副効果がありまして……」
(※匿名による暴力)
佐天「なんてタチの悪いスーツだ!?自重を忘れたレベル5なんて災厄でしかないな!」
初春「現在打診中のゲコ太二号機、コードネームゲコ太ドリルさんからも概ね好評でして」
佐天「死人出るよね?前回猛威を奮った腹パンもそうだけど、本気で戦隊ものやったら戦闘員は死屍累々だよね?」
初春「まぁそこはそれギャグ世界ですので、一度死んでも次の章では何事もなかったかのように復活してますし」
佐天「あ、ダメだこれ。何言っても聞きゃしないやつだ――御坂さん!常盤台の良心である御坂さんはダメですよねっ!?認めませんよねっ!」
御坂「――急いでカチコミかけないと!麻琴ちゃんの将来は誰にも潰させやしないんだから!」
佐天「落ち着いて御坂さん!前回も言いましたけど脳内でつけた名前がリアルすぎて引きます!」
御坂「悪の秘密結社め……!首を洗って待ってなさいよ!」
初春「まぁそれでいったら学園都市のほぼ全部が『カテゴリー;悪』へ分類されるんですけどね」
佐天「てか今日はあたしのツッコミ多いな!ツッコミ役が不在なんだから仕方がないんだけどねっ!」
――アマクサ組 社員用大食堂 週末の宴会
建宮「――あれはそう、俺が初めて”剣聖”柳生十兵衛宗近様に弟子入りしたときの話だったのよ」
建宮「俺が段平持って斬りかかったのに宗近殿は無手のまま。おいこれぶっ殺しちまうのよ、と俺が考えた刹那にも意識は無くなってたのよな」
建宮「……水をぶっかけて俺を起こしたのは宗近殿。怪我どころか服に砂埃すらつけられなかったのよな。完敗、なのよ」
建宮「で、俺は聞いたのよ。『なんで武器も持たない相手に負けたのか』ってよ?そしたら宗近殿はこう言ったのよ」
建宮「――『剣を持た』」
五和「――はい、かんぱーーーーいっ!!!」
アマクサ組一堂『かんぱーい!』
建宮「ちょっと待つのよな!?『今日は止めるタイミング遅いな、あぁ俺のお誕生日なのよ!』って思ったらこのザマなのよ!」
上条「組長さんのの若い頃には少し興味ある」
建宮「――で、最後に俺はマザーシップへ体当たりをしながら、前の戦争からずっと相棒だった相棒へこう言ったのよ」
建宮「『お前となんか組むんじゃなかった。だから結婚できなかったのよ』ってな!」
上条「なんだやっぱりホラ話か。てか話のオチ用意しなかったからって別映画と無理矢理くっつけるなよ!ちょっと楽しそうだろ!?」
五和「『組長代理の若い頃やったヤンチャ話』は主人公の側近役のイケメン妖怪だったり、鈍感系主人公の相棒になったりとバリエーション豊富なんですよっ!」
上条「そこは主人公で良くね?」
五和「あぁいやホラ、組長代理は名脇役としてはアレなんですけど、個性が濃いから主役食べちゃう感じで」
上条「あー……」
建宮「ふっ、存在感がありすぎるのは困りものよな!漢っぷりは隠せないのよ!」
上条「お前のアフロ見て『あ、素人だ!』って思うのはアフロの国の人達しかいないよ?そんな国あるのか分かんないけど」
建宮「まぁいいから飲んでよく食うのよ少年!今日はお前さんがここへ来て半年になるのよな!」
上条「……もうそんなに経っちまったのか」
建宮「まぁお前も若いのよ。昔の事情は聞かねぇが、これからをどうするかっちゅー話なんだが」
建宮「まっ、楽にして聞いて欲しいのよ」
上条(なんだ――雰囲気が変ッ!?)
建宮「少年――いや、混沌帝国メシマーズの改造人間、カ・ミジョー……ッ!!!」
上条「えっ?」
建宮「えっ?」
上条「何?メシ不味い?」
建宮「い、いやだから改造された人間的な?」
上条「………………あぁ!そういやそんな設定あったな俺!ゴメンゴメン忘れてたわ!」
建宮「……ふー、ビックリしたのよ。ただの素人さんに電波な話振っちまったとばかり!」
建宮「まぁメシマーズは壊滅状態にあるのよな。ある日突然現れた謎の勢力に一網打尽、幹部や改造人間はバラバラ」
建宮「その中にゃ大幹部だったアレイスター、別名”最低最悪全て元凶ロン毛男”が自ら改造したシリーズの最新ロッドが含まれてた、と」
建宮「まぁどこで何やってんのよなぁ?」 チラッ
上条「いや違う違う違う。俺はあの詐欺師に騙されて全身タイツ、別名全タ押しつけられてコントに出されただけで!」
建宮「だから昔の話はいいのよ!ただお前さんも知っての通り、我らアマクサ組も秘密結社なのよ!」
上条「え?誰が?」
建宮「俺らもお前さんと同じカタギじゃないのよな!だから好きなだけいるといいのよ!」
上条「いや知ってたけど。てかお前らも?土建会社じゃなくて?」
建宮「まぁ昔はそこそこ勢力あったんだけどよ。お嬢様がいなくなっちまってからは右肩下がりなのよ」
上条「お嬢様って………………ぷっ」
建宮「少年が何笑ったのか俺は知らないけども!なんちゅーかまぁ俺は腰掛けなのよ!腰掛け!先代の娘さんがお戻りになるまでの!」
上条「あぁだから組長代理なんだ。別に代理じゃなくてもいいと思うんだけど」
建宮「まぁそこはそれ俺自身が納得しないのよ。あの方に代わりはないが、俺であればいくらでも替えが効くのよな」
建宮「――んで、まぁ?こっからが本題なんだがよ、上条当麻よぉ」
上条「あれごめん?そんな台詞って台本にあったっけ?無かったよね?」
建宮「お前さんがここにいるのは歓迎するのよ。歓迎してくれるヤツもいるし、そうじゃないのも当然いるのよな」
建宮「あとはお前さんの行動次第ではあるんだが……よ。今言ったようにアマクサ組は少子高齢化の危機が迫っているのよな」
上条「組長代理自らが童×だからじゃねぇかな」
建宮「俺の話はいいのよな!俺はほら、代理だからエロいことはダメなのよ!」
上条「説得力って単語知ってるか?説いて得する力って書くんだけど、意味は今お前が持ってないもの全てだ」
建宮「まぁこういう場合にはよ?大抵時間が解決したりフラグを立てるなりすんのが一般的なんだが、もっと手っ取り早い方法が、ある」
上条「つーかなんか雲行きが怪しくなってきたぞ……?」
建宮「五和を嫁に貰う気はないのよ?」
上条「またお前台本にない無茶振りを……ッ!?」
五和「きょ、きょきょきょきょきょっ教皇代理!?何言ってんですか唐突に!?」
建宮「正直に答えて欲しいのよな!男――いや、漢としてなのよ……ッ!!!」
上条「オッケ分かった、俺も理解したぜ!ホームだと思ってたらアウェイだったって事がな!このクソアフロ余計な事ぶっ込みやがって!」
五和 グッ
建宮 ニコッ
上条「たまに忘れっけどノリは一緒なのな!どっかのお堅い聖人様が例外なだけで!」
対馬「一緒にしないで。いやホントに」
上条「まぁ聞きたいんだったら教えてやるよ!えっとな、良物件だと思うよ五和さんは!」
上条「可愛くて気立てもまぁ今までの付き合いでは良いと思うし、お世話してもらっても嫌な顔なんかしないし!好印象だよなっ!」
建宮「おぉっ!俺も自分で振っといて『ダメだったら俺の命が危険でピンチ?』とか今になって気づいたけども!中々良いんじゃないの、なぁ五和!」
五和「……」
対馬「……どしたのアンタ?」
五和「おぉう……こんな、こんなところで言われたくなかった……!もっと天草式長編SSとか、私がヒロインやってる回に聞きたかった……!」
建宮「まぁ無駄撃ちなのよな。そしてそもそも日の目を見るかってぇ話にもなるのよ」
対馬「最悪ここで誉められたのが最初で最後って可能性もあるのよね」
五和「分かりました上条さん!今すぐ私の両親の家へ行きましょう!」
上条「……ちょっと待って、まだ終わってないんだよ俺の話は。今のは俺の嘘一つない正直な感想なのは間違いない、でもだ」
上条「そうだな……例えばの話、学園都市で駅から徒歩5分、敷金礼金無しで駐車場は停め放題、そして月々の家賃が3千円の賃貸ってどう思う?」
建宮「どう楽観的に見ても現役バリバリの事故物件なのよな。数日前に不可解な事件が起きたレベルの」
上条「名前はコーポ・アステカっていって、毎日が楽しそうなアステカの魔術師が住んでるんだが――それと同じで!」
上条「『こんな良い子がシングルって特大の地雷抱えてんの?』ってね!そこはかとない不安がな!あるんですよね!」
五和「あ、それは簡単ですよ。天草式の男衆は全員ペ×だからです。ですから私や対馬さんが放置されている訳でして」
建宮「このアマッ!?俺らに何の躊躇いもなくいわれなき汚名を着せやがった……ッ!?」
上条「じゃあお前らの代でどっちみち終わりだろ」
五和「そこは私が!次世代のアダムとイブ的な意味で頑張ります!」
対馬「教皇代理、身内になったら二秒でバレる嘘を押し通そうとする五和が怖いです」
建宮「まぁ年齢的にもギリなのよな」
上条「てか具体的に……は、五和にビール瓶で殴られて記憶消されそうだからやめておくとしてもだ。大体どんくらい?笑えるぐらいなんだろ?」
建宮「少年とニャンニャンしちゃったら五和だけが淫×条例でしょっぴかれる年齢」
上条「どう解釈して良いのかわっかんねぇ表現!?」
建宮「――てのはまぁ冗談として!」 チラッ
上条「俺知ってんだよ。声張るときは大体都合が悪いときだって」
建宮「まぁ……いい機会だから企画も何も放っぽりだして言うのよ。我ら天草式十字凄教の連中はよ、小さい頃から血を吐くような特訓特訓なのよ」
上条「設定忘れんな。悪の秘密結社って設定だろ」
建宮「こういう『結社』には多いんだけどよ、死線を越えてる間に”ファミリー”として認識しちまってんのよなむ
上条「で、ホントはなんで?」
建宮「酒が入ると鬼神のように泣いて吐いて絡む女で、かつ何かあれば超重い相手に手を出す勇気は持ち合わせていないのよな……ッ!」
五和「教皇代理?あとでお話がありますからね?絶対ですからね?」
上条「へー、対馬さんって地毛なんですか?」
対馬「まぁ隔世遺伝でね。ここに残った宣教師の子孫だって説もあるのよ」
五和「見てくださいよ!興味無くしてるじゃないですか!?」
建宮「――ふっ、五和よ!これも天より与えられた試練だと思うのよ!そう事は易々と動かないのよな!」
五和「……我々をイジって遊んでる、って訳ではないんですよね?」
建宮「も、勿論なのよ!アフロに誓って!」
五和「――よし、全部毟る」
建宮「誰なのよ!?俺が小芝居に入ってるなか五和に飲ませたのはアフォは!?」
上条「……あぁこれが事故物件の由来なのか」
対馬「良い子なのよ?ただちょっと絡み酒で男衆から敬遠されているってだけで」
上条「”ただちょっと”が超重い」
――ドォオオオォォォン…………
上条「うん……?地震?」
建宮「いや――違うのよ!」
ブーッブーッブーッ!!!
上条「サイレン!?何が始まったんだよ!?」
アマクサ組戦闘員A「――く、組長代理大変です!アジト内に侵入者が!」
建宮「侵入者だぁ?そんなモン当番の連中で蹴散らせば良いのよな!男なんだから根性見せるのよ!」
アマクサ組戦闘員A「む、無理ですよ!?俺たちが束になってかかっていっても足止めぐらいしかできねぇんです!」
五和「中々筋のあるお客様ですね。お名前はなんて」
アマクサ組戦闘員A「そ、それが”超獣戦隊ゲコレンジャー ”って……」
上条「な、なんだって!?」
――アマクサ組秘密基地入り口
ズドォォォォォォォォォォォンッ!!!
戦闘員B「ぞ、増援はまだか!?組台代理は!?若頭の五和さんは!?」
戦闘員C「文句言ったって仕方がないだろ!俺たちができるのは時間稼ぎだ!」
戦闘員B「死にたくない、死にたくないよぅ……」
戦闘員C「弱気になるな!今の内に女子供を逃がすんだ!あいつらが逃げれば俺たちの勝ちだし、それに――」
バチバチバチバチバチッ
戦闘員C「ぐあああああああああああっ!?」 バタッ
戦闘員B「ひいぃっ!?」
ゲコ太レッド『――で?”それに”?何かあるの?あるんだったら言ってみなさいよ』
ゲコ太レッド『まだ、喋るうちに、ねっ?』
戦闘員B「……な、何が目的なんだ!?俺たち全員を電撃アフロでチリチリにして何がしたいんだよ!?」
ゲコ太レッド『……ごめんなさい。あたしだってあなた達が憎くてやってるんじゃないの、そこは分かって……ってのは無理か』
ゲコ太レット『あたしにとっては大切なものだけど、あなた達にとってはそうじゃない。ただ守りたいだけなの、譲れないだけなのよ』
戦闘員B『そ、それは一体なんだよ……?』
ゲコ太レッド『”麻琴ちゃん”って名前つけたけど、男の子と女の子でやっぱ違う名前を用意した方がいいかな?』
戦闘員B「コイツ……狂ってる!?」
ゲコ太レッド『あたしが狂っているのならば、正常なもの全てを壊すわ。そうすればあたしが普通になる』
ゲコ太レッド『まぁそんな訳だから――消えて、ねっ?』
バヂハチバチッ!!!
戦闘員B「うわあぁっ!?………………お、俺、生きて、る?」
ゲコ太レッド『へぇ、やるじゃん。ちょっとやる気出て来た、かな?』
建宮「……好き勝手してやがったのよな、ゲコ太レッドさんよぉ。俺の大切な家族を、アマクサ組の連中を」
建宮「こいつぁケツ引っぱたくだけじゃ済まないよな。覚悟は良いのよ?」
ゲコ太レッド『他の人は電撃でアフロになってるようだけど、最初からアフロの相手は……そうね、スッキリ丸刈りで爽やかにしようかしら?』
建宮「やれるもんならやってみるのよ!この建宮斎字、いや――」
クワガタアフロ(建宮)「”地獄神官クワガタアフロ”を獲れるもんならなぁ……ッ!!!」
――回想
……ズォォォン……
建宮「……やれやれ、なのよな。やっこさん大暴れしやがって、他人様の基地で修理費どんだけかかると思ってんのよ」
上条「……建宮」
建宮「あぁ少年はいいのよ。俺がパーッと行ってパーッと解決してくるからよ」
上条「――建宮!」
建宮「あぁウルセェのよ。自分の名前ぐらい知ってるのよな」
上条「お前じゃ無理だよ!俺は分かるんだ!あの赤い悪魔と戦って――?」
上条「……」
上条「――は、ないけど!生身の段階で完封喰らってる俺には分かる!俺たちの戦力じゃ勝てない!」
建宮「……オイオイ少年よぉ。戦う前から何言ってんのよ?勝負はやってみなきゃ分からないのよな!」
上条「でも――」
建宮「しつこいのよ!そんな臆病モンはアマクサ組から出ていくのよ!」
五和「組長代理!?」
上条「ふざけんなよ!俺も戦うに決まってんだろ!世話になった仲間見捨てて一人で逃げられる筈ないだろ!?」
建宮「仲間だぁ?お前さんいつから我らの身内になったのよな?何調子こいてんのよ?」
上条「ウルッセェな!お前らがなんと言おうとも俺が思ってればそうなんだよ!」
五和「そ、そうですよ組長代理上条さんはもううちの一員だっていつも言ってるじゃないですか!」
建宮「五和――お前さん、俺の言うことがきけないのよ?この組長代理である建宮斎字の言葉を、よ?」
建宮「だっちゅーんなら今日この日を以てお前さんとはお別れなのよ。この勘違いしたガキ連れてさっさと出ていくのよな!
五和「……どうしたんです建宮さん……?なにか、何かおかしいです……!」
建宮「おかしいもなにもないのよ――対馬!俺は出撃するのよ!」
対馬「……はい。私もすぐに」
上条「建宮――お前!こなんなんでいいのかよ!?」
建宮「部外者に四の五の言われる筋合いはないのよ――が、まぁアレよな。社会常識として言ってはおくのよ」
建宮「どうか達者で、なのよ」
ガチャンッ!
五和「建宮さん……」
上条「五和、そのなんだ?えっと」
対馬「はいはいそこまでにしなさい。あんた達はさっさと逃げる。あ、これ逃走資金ね」 スッ
上条「対馬さん!俺たちも残って戦いますよ!こんな、こんな別れ方じゃ納得できない!」
対馬「あー……組長代理の通訳すんのも面倒なんだけどね−、要は『二人だけで逃げろ』って言ってんのよあのバカは」
五和「え、でもっ!」
対馬「組長代理が本気で怒ってたら『お別れ』ぐらいじゃ済まないでしょ?なんで『破門』にしなかったか分かる?」
対馬「それはもうあんた達に託してんのよ、アマクサ組の未来をね」
上条「俺たちに?」
対馬「私たちが勝てればそれで良し、でも負けてしまってもあんた達がどこかで新しいアマクサ組を立てればそれはそれで良し」
上条・五和「……」
対馬「……バカなのよ、アイツは」
上条「お、俺は!」
対馬「その怒りは取って置いて?戦うべき時はここじゃない、”現実”って敵があなた達を待っているんだからね」
五和「……ありがとうございます、対馬、さん」
対馬「……うん、元気でね」
上条「対馬さんは?」
対馬「んー、まぁ一人ぐらいはアフロに死に様見取ってやる人がいてもいいじゃ無い?それじゃ、さよなら」 スッ
上条「……」
五和「……行きましょう、上条さん。組長代理の気持ちを無駄にしたくはありません」
上条「……なぁ、五和。頼みがあるんだけど」
五和「い、今ですか?後じゃダメですか?」
上条「ダメだ。今じゃなかったら」
五和「できれば手短に」
上条「その――」
上条「――一緒に、死んでくれないか?」
――アマクサ組秘密基地入り口 現在
ズドォォォォォォォォォォォンッ!!!
クワガタアフロ「ぐ、ぐはっ……!?」
ゲコ太レッド『中々やるじゃない。てか何の能力?火に水に雷に風、あと金属?」
クワガタアフロ「五行相克の業、なのよな……」
ゲコ太レッド『秘密結社のトップに相応しい力だったわ。残念なのはあたしとの実力差が分からなかった事だけど』
クワガタアフロ「お、俺を下した程度で調子乗るんじゃないのよな……!俺はただの組長”代理”、組長は俺なんかよりももっと強いのよ!」
ゲコ太レッド『もういい?このあと人を捜さなきゃいけないのよね』
ズドォォ――パキイィンッ……ッ!!!
クワガタアフロ「しょ、少年……!?」
上条「おう、さっきぶり。てか10分も経ってないのにボロッボロだな。人には威勢いいことばっか言いやがったのに」
五和「組長代理……!?なんて酷い姿に、命よりも大切なアフロを全部引き抜かれるなんて!?」 パシャッ、ピロリロリーン
クワガタアフロ「バカ野郎!お前さんたちが来ちまってどうするのよ!?アマクサ組の未来を!」
上条「未来なんていらねぇよ。んなモンクソ食らえだ」
クワガタアフロ「だがっ!」
上条「ここで尻尾巻いて逃げ出して?何年か先に復興させたとしてだ?」
上条「『俺たちは仲間を見捨ててノウノウと生き延びました』って言うような人間、お前は信じられんのか?なぁ?」
クワガタアフロ「そ、そいつぁ……」
上条「……ここで死ななくても、俺の心は死ぬんだよ!お前ら見捨てて一生生きなくちゃいけないなんで俺は嫌だ!」
上条「だったらここで死ぬまで戦ってやる!」
クワガタアフロ「……バカ野郎、なのよな」
五和「代理、こっちへ」
ゲコ太レッド『逃がすと思って?』
上条「おっと待てやコラ!お前の相手はこの俺が!」
ゲコ太レッド『――ゲコ太パーンチ!』 ボスッ
(※ただのパンチ)
上条「ぐふっ!?」
ゲコ太レッド『ゲコ太キーーーック!』 ボスッ
(※ただのハイキック)
上条「あだっ!?」
ゲコ太レッド『ゲコ太腹パン連打!』 ドスドスバスボスッ
(※ただの暴力)
上条「ごふっ!?げふっ!?おうっ!?がぁっ!?」
ゲコ太レッド『あ、何かスッとした。よし!とツーセツト行くわよ!』
上条「――卑怯者!能力使って来なさいよ!生身の身体能力で圧倒するだなんてズルいと思わないのか!?」
佐天(通信)『ちょっと何言ってるのか分かんないですね。多分そのキレ方したのは上条さんが世界初だと思います』
初春(通信)『てか予想以上に御坂さんのバイオレンスが冴え渡ってますよね。ヘイト溜まってたのかなー』
ゲコ太レッド『分かって……!あたしだってしたくないのよ!ただ台本に「超フルボッコでwwwwww」って書いてあるだけで!』
上条「そりゃドSに台本書かせりゃそうなるわ!結果見えてんだから書かせたヤツも共犯だよ!」
ゲコ太レッド『……あなたはもう他の子を見なくていいのよ?あたしだけを見てくれれば、それで――』
上条「なんか雰囲気的にはいい事言ってるぽいが、外見カエルの着ぐるみだからロマンも何もあったもんじゃねぇがな!」
上条「……クソ!俺に力を――!俺も戦う力が欲しい……ッ!」
――キィィンンッ――
ゲコ太レッド『な、何この音は!?』
初春(通信)『気をつけてゲコ太レッド!基地内のイントラへ強制的に誰かが介入しています!』
ゲコ太レッド『あなたよりも上の相手なの!?そんなのいる訳が――』
アレイスター(音声)『――やぁ。中々面白いことになっているようだね』
上条「誰――いやこの声はヘンタイ理事長か!?」
アレイスター(音声)『ヘンタイ呼ばわりは止めたまえ。興奮するだろう?』
上条「だからそういうとこだよ」
アレイスター(音声)『何やら面白いことをしているようなのでね。私も混ぜて貰っても構わないかな』
ゲコ太レッド『――通信を切って!早く!』
初春(通信)『無理ですよ!相手は複数台のスパコン、いや量子コンピューター並の計算速度を使用している模様!』
アレイスター(音声)『君も中々だがね。時として数の暴力に質は負け、質と数の暴力には全てが膝を折る。憶えておきたまえ、さて』
アレイスター(音声)『力が欲しい、君は今そう言ったね?その言葉に嘘偽りはないのかな?』
上条「あぁ!」
アレイスター(音声)『何を犠牲にしても?力の代償に全てを失う覚悟があると?』
上条「……勿論だ」
アレイスター(音声)『では君は何を望む?全てを弑する悪魔の力か、それとも世界を支配する魔王の業か』
上条「いいや、そんなもんいらねぇよ。どうせ持ったって持て余すだろうし、俺はそんな柄じゃない」
アレイスター(音声)『ならば何を?』
上条「俺が求める力……それは誰かを守るための力だ」
上条「力で押しつけるんじゃない、虐げるのも違う……ただ力ない人の力になりたい――」
上条「――そのための、力を……ッ!!!」
アレイスター(音声)『了解した。ではこう叫ぶといい――』
アレイスター(音声)『――”まじかるカナミン、セットアップ護衛艦いづも型”、とね……ッ!!!』
上条「おう!マジカルカナミーーーーーーーーーーーーーーーーン!護衛艦――」
上条「――って違うわ!?これアレだろ!?まじかるカナミンに変身する流れだろ?!系統違う違う!そっちじゃねぇよ!」
上条「見てる人ビックリするだろ!?なの○さんがいきなりフェイ○きゅんの衣装に変身したら『え、何があったの?』ってなるだろ!」
アレイスター(音声)『それほぼ同系統だし、「あぁついに一線越えたんだね」ってファンは驚きもしないよね』
上条「そうじゃなくて!もっとこうね、男っぽいのを!流行りのを!』
アレイスター(音声)『じゃあ『キラメ○チェンジで』
上条「最新だけども!テンションゲージが壊れてると思ったけども!」
アレイスター(音声)『注文が多いな。では何かこう決意表明をしたらどうかね?新シリーズでは童×捨てるとか』
上条「いや俺はアイドル枠だから?誰か付き合ったりしたら、こう神聖不可侵なイメージが悪くなっちゃうから?」
上条「だからうん、しないだけであって?彼女を作ろうと思えばすぐにでも?プロ意識として作らないだけであって?」
アレイスター(音声)『まぁどうでもいいから適当にスーツはこちらから転送する』
上条「分かった……恩に着るぜ、アレイスター!」
アレイスター(音声)『フッ、私と君の利害が一致しただけのことだ。後になってから悔やみ、苦しみ、絶望に満ちたからでも同じことが言えるかね?』
上条「それは……なってみないと分からない。ただ今は、お前に感謝の言葉しかねぇってことだよ」
アレイスター(音声)『どう致しまして、かな』
上条「これ以上……お前らの好き勝手にさせないぜゲコ太レッド!」
ゲコ太レッド『くっ!』
上条「『――来い、新しい俺の力よ!』」
上条「『弱きものを守る剣!狂奔から護る盾に俺はなる――!!!』
上条「……」
ゲコ太レッド・佐天(通信)・初春(通信)『……』
建宮・五和「……」
上条「………………アレ?」
アレイスター(音声)『――あ、ごめん。君の改造手術はしてなかったんだった』
上条「返せよぉ?!俺の時間と見栄と期待を返して!?『俺珍しく主人公っぽい扱いされてるよ!』って思ってたのに!」
上条「つーか今の下り丸々いらなかったろ!?世界で一番意味のない文字の羅列だよ!」
初春(通信)『あの、お言葉ですが、これを言うのでしたらここの運営全てが特に生活に役立つ訳でなく、かつこれといった存在価値もないため、100%無駄だってブーメランが』
佐天(通信)『自虐が過ぎるかな。否定はできないんだけど』
上条「いいよドチクショー!こうなったらも生身で吶喊したらぁ!」
佐天(通信)『ヤケクソですね。てかあたしでもこの展開は心折れるよ』
初春(通信)『味方が積極的に折りに来てますからね。理事長の下りは必要だったのかと小一時間』
ゲコ太レッド『いい度胸ね!かかってきなさいよ!』
???「――お待ちなさい!」
上条「誰だよチクショー!?もう騙されないぞ!俺に味方は居ないんだ!」
???「荒み方が半端ではないですね。控え室で挨拶してから何があったのですか」
ゲコ太レッド『誰よ!?邪魔しないで!』
???「そういう訳にも行きません。我が同胞、我が仲間、我が屋敷、そして護るべき弱者」
???「……ここまで荒らされて、黙っていろと言うのが酷ではないでしょうか」
建宮「あ、あなたさまは……!」
神裂(???)「アマクサ組組長、神裂火織!義によって助太刀致します……ッ!!!」
――アマクサ組 地下
神裂「――アマクサ組組長、神裂火織!義によって助太刀致します……ッ!!!」 ジッ
↓
(※視線)
↓
上条「ん?」
神裂「建宮もよくぞ持ち堪えてくれましたね・。あなたに感謝を」 ジッ
↓
(※視線)
↓
上条「……」
建宮「もったいないお言葉なのよ……!」
上条「あれ……?なんつーか、あれ?視線が、つーか目線が……?」
五和「どうしました?」
上条「ちょっと待って。多分俺の気のせいだと思うけど――建宮!お前こんな傷ついて……!」
神裂「離れなさい外道め!私の師であり大切な配下を痛めつけた罪、後悔させてあげましょう!」 ジッ
↓
(※視線)
↓
上条「……五和ごめん。ちょっとこっちに来て」
神裂「この上五和を人質にとるつもりですか!?……なんと恥知らずな所業を……!」
上条「……あぁうん分かった。なんかおかしいなって思ってんだが、違和感の正体がはっきりしたわ」
神裂「あなたの罪を教えて差し上げましょう――怪人カ・ミジョー……ッ!!!」
上条「ちっっっっっっっっっっっっっっっっがうわ!?俺じゃねぇよ!?何で俺ロックオンしてんだよ!?近視か!?」
上条「敵はあっちだ、あっち!ちょっと落ち着いたら自己矛盾に気づき始めて静かになってる、あれ!ゲコ太の着ぐるみ着た人!」
ゲコ太レッド『うん……?あたしってこんなことがしたかったんだっけ……?』
神裂「……何を言っているのです?アマクサ組がどこかのファンシーな可愛いぬいぐるみに殲滅される訳ないではないですか」
上条「あ、テメーもしかしてアレか。隠れキリシタンならぬ隠れゲコラーだったんたかコラ!?」
建宮「意外に嫌いではないのよ。女教皇は自分のぬいぐるみに名前をつける派なのよな」
神裂「アフロには後で話があるとして――さぁ、尋常に勝負!」
上条「無理だもの。だってどっちとも素手で俺完封できるアマゾネス族の人達だもの」
ゲコ太レッド『――フッ、どうやら天もあたしに勝てと言っているようね!』
上条「まだだ!まだ俺は諦めないぞ!ここは交渉で場を収めるターンとみた!」
初春(通信)『ターン言ってる時点で終わりかと思いますよ』
佐天(通信)『しっ、初春!どこまで足掻くが面白いから!』
上条「誰かに好き勝手言われてる気がするが――待ってくれ組長さん!誤解があるんだ!話だけでもいいから聞いてほしい!」
神裂「どうぞどうぞ。私の確信を覆すのは困難かと思いますが」
上条「だからまずそっから違うだろ!俺が敵だっていうんだったら証明はそっちでしろよ!」
上条「俺が!どっちかっつーと善良な俺が何か悪い事したのかよ!?」
上条「なぁ――俺に罪があるんだったら具体的に言ってみろよ!」
神裂「女の敵で合っていますよね?」
ゲコ太レッド『大体合ってる』
初春(通信)『ぐうの音も出ないほど正論でしたね』
上条「違う――とは言い切れないけども!残念ながら今日に限って証拠を家に忘れてきちゃったから即座に反証はできないけども!」
上条「こう静かに16年振り返ってみれば!『ラキスケ野郎』との冤罪を着せられつつ、実際にはB止まりの俺はむしろシニカルな方じゃないかな!?
佐天(通販)『まぁ昨今のダークファンタジーor転生モノの二極時代には貴重な存在ですね。即手を出す情緒も駆け引きも切なさの欠片もない、エロのないエロゲ×モドキが』
上条「俺だけじゃないわ!大抵のヤローは紳士的なんだよ!一方通行とか垣根とかは(性的な意味で)浸漬だろがよ!?」
神裂「ちょっと何言ってるのか分かりませんが、そろそろ構いませんよね?辞世の句は詠んだということで」
上条「そしてお前こういうときに限ってノリッノリなのな!?台本に逆らえ逆らえ!言われた通りに演じてるだけじゃアクタージ○じゃないよ!」
建宮「女教皇は仮面ライダ○(無印)の再放送を毎週楽しみに見てた派なのよな!」
五和「そしてアクタージ○はそういう話でしたっけ?」
上条「でも誤解しないでほしいんだ!神裂の疑問へ対して明確な答えを今日は持ってないだけだ!不意打ちだったからきっと!」
上条「だから釈明の場を用意してくれれば!俺は弁護士同席して号泣しながら疑問に答える用意がないわけでは無い!」
五和「号泣の下りが入ってる時点でギャグですよね?何かもう『せめて笑いを取ろう』って思いが伝わってきます」
上条「俺の味方は……じゃ、じゃあ建宮!建宮は俺が無実だって証明してくれるよな!?」
建宮「あー……」
上条「あ?」
建宮「――あいつがやったんです」
上条「オマエ、オマエえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!?」
建宮「すまんのよ少年!俺の中の芸人魂が『あ、これどうぞどうぞの流れだ』って囁くのよな!」
上条「まぁ俺だってそうするけども!そっちの方がオイシイけども!」
佐天(通信)『しかしご覧の有様をよく考えてみると、上条さんことカ・ミジョーがここへ流れてきたのが悪いと言えなくもなかったり?』
初春(通信)『ハートフルな展開がほんのちょっとあったのに、色々台無しですよね』
神裂「覚悟しなさい上条当麻!今まで泣かせた分の精算を!」
ゲコ太レッド『そうね!あたしもいつかこんな日が来るとは思ってたけど!』
上条「……クソっ!俺に逃げ道はないのか!?」
???「――待てウエェイ!その争い異議があります!」
上条「レッサーだろ?”待て”と”ウェイト”くっつけてスベるのって一人しかいないし」
レッサー(???)「いやまぁそうですけど!何あなた勝手にバラしてくれやがってんですか人の見せ場を!?」
ゲコ太レッド『取り敢えず排除ね』
レッサー「いやそうでもなく!私が来たのはそのアホを助けるためではございません!プギャーするためです!」
神裂「なんて説得力。疑いようがないではないですか」
ゲコ太レッド『まぁ……そう、よね?』
レッサー「私が来たのはですね、ちょいとばかり疑問がありまして、Sono-Ahoについてですが」
上条「人のこと悪くいっちゃダメなんだぞ!アフォっていうほうがアフォだからね!」
ゲコ太レッド『あんたは黙ってなさい。で、なに?忙しいのよこっちは』
レッサー「まぁまぁまぁまぁ、私もまぁ乙女ちゃあ乙女ですし、皆さんの憤りは理解できるんですよ」
レッサー「上条さん改め、16年間やっぱ何もできなかったヘッタレー怪人に人生を左右され被害者に関しては」
上条「怪人名違う。そして運営がコメ欄で聞いて貰ったのに期待を裏切ってくれなかった!」
レッサー「どころか孔明と武田信玄を素で間違える始末でしたね。INTが低いのに無理をするからkono-zamaですが」
(※高くしたいです)
レッサー「まぁそれはさておき!お二人がやろうとしているのはただの私刑!一時的にスカッとしても、そこに生産性はあるんですかねっ!?」
ゲコ太レッド『そう……かな?さっきちょっとボコってあたしはスッとしたけど』
神裂「あの……台本。私は演じているだけでですね。大まかな流れとして」
レッサー「そういった意味でのストレス発散も大切なのは認めましょう!だがしかし上条さんにはもっと大切な責任の取り方があるんではないかと!」
上条「大切って……損害賠償でもしろっつーのかよ」
レッサー「いいえ――人生の墓場的な、ね……ッ!!!」
ゲコ太レッド・神裂・五和「……!?」
レッサー「えぇまぁ不満はおありでしょうけど!昔流行ったツンツン頭なんて今時ではないでしょうし、異能無効化だなんて何周後れなのかと!」
上条「それ全部俺が始めたんだよ。テンプレも何も神様(※鎌池先生)が偉大すぎてみんな似たような感じになったんだよ」
レッサー「んがしかし!穢されちまった哀しみを拭うには!人並み幸せを手にするためには!手近な事故物件で手を打つ勇気も必要です!目を覚まして!」
上条「今俺を事故物件って言ったか?オマエの幻想以外もぶち殺すぞ?」
佐天(通信)『関わったら呪われるという意味では、まぁはい、合っていなくもないような?』
初春(通信)『安い上にどこにでもありそうな落とし穴って感じもそれっぽいですよね』
上条「あれかな?君らこっちから顔見えてないからって暴言吐いてもいいって訳じゃないからね?俺だって人並みにはナイーブなんだからね?」
レッサー「確かに上条さんは加害者です!そして皆さんは被害者なのも間違いではありません!」
レッサー「ですがこれでいいのかと!被害者が加害者を許し、手と手を取り合って未来を作りあうなんて素敵じゃあないですか?ねぇっ!?」
ゲコ太レッド『あー……まぁ、ね。うん、反省して心を入れ替えるんだったら、まぁまぁ、うん。トドメを刺すのは本意じゃないしね』
神裂「ですね。更正するのであればいいことだと思います」
五和「で、ですよねっ!」
レッサー「じゃあその路線で――”””誰”””が引き取るんですか?」
ゲコ太レッド・神裂・五和「えっ?」
レッサー「いやですから被害者の方は大勢(一万弱)いる訳ですが、全員ってのは無理じゃないですか?体的にも法的にも」
上条「一万弱って注釈いるか?アルプスか」
佐天(通信)『補足しておくと一万弱とアルプス一万尺を描けたボケでですね』
初春(通信)『原曲はヤンキードゥードゥルですね。イギリスが植民地だったアメリカを扱き下ろした曲なのに、アメリカは嬉々として替え歌作って楽しんだという』
レッサー「なのでまぁ?ひじょーにお気の毒様ではございますが、上条さんを引き取るのは覚悟のあるお一人だけということで。えぇ先着の」
レッサー「皆様方におかれましてはね!この先ずっと罰ゲーム状態ではありますが!涙を飲んでどなたかお一人だけ犠牲になって貰うって事でシクヨロ!」
上条「なぁ観客気分で見てる二人の子に聞きたいんだが、俺ってそんなに罰ゲーム扱いなの?マジで事故物件なの?」
初春(通信)『世界を救う人が家庭も救えるかと言えば疑問符が』
佐天(通信)『ダイがハードする映画史の主人公は離婚した上、娘からも超嫌われてたよねー、です』
上条「オイオイ俺に味方はいないのかな?イスカンダ○まで行けば一人ぐらいいっかな?」
佐天(通信)『顔色悪い現地妻ができて、その元婚約者に付け狙われる未来が見えます』
レッサー「さぁ勇気を出して!誰か上条さんを引き受けたいって猛者はいませんかっ!?」
ゲコ太レッド『まぁ――仕方がないわね!あたしが犠牲になってあげるわ!気が進まないけど!全然これっぽっちも気乗りしないんだけどね!』
神裂「で、あれば私が。更正させるのには我らが天草式が最善かと思いますので」
五和「い、いえそんなとんでもないっ!お二人の大切なお時間を”嫌々”奪うんであれば不肖私が!」
ゲコ太レッド・神裂・五和「……」
ゲコ太レッド・神裂・五和 「ちょっと、話そうか(しませんか)?」 バチッ
建宮「お、おぉ……!大気が怒りで震えているのよな!オームが、オームの怒りを買ってしまったのよな……ッ!」
上条「アイツら相手でもこの三人だったらそこそこ戦えるだろ。物量で来られたら一方通行と垣根ぐらいしか相手になんないよ」
レッサー「いや流暢に長台詞でツッコんでないで、さっ今のうちにこちらへ」
レッサー「てゆうかあの数の暴力を捌ける学園都市が怖いです」
――某アジト
レッサー「――ようそこ上条さん!我らが『明け色の陽射し』アジトへ!」
上条「あぁうんありが――いや違う違う、お前らって『新たなる光』だろ。なんでバードウェイんとこの名乗ってんだよ」
レッサー「よく混同して間違えられるんですよねぇ。『ろ』がついてる方に”ロ”が入ってると憶えやすいですよ」
上条「ボスの悪口はやめろ!なんだかんだで20位内に入って来た特殊な癖(へき)の人達の琴線に触れる(であろう)ボスを悪く言うな!」
レッサー「次以降のアニメでは大暴れですけど、その機会はいつになったら……」
上条「六年半ぐらい間が空くとして2026年だぞ。オリンピック二回しなきゃ来ない数字だ」
レッサー「かれこれ16年の長い旅路ですしね。まだ可能性はあるっちゃあるでしょうが」
上条「てかレッサー、お前助けてくれたの?」
レッサー「ふっ、お任せください!伊達にイギリスのドリフター○と呼ばれた私でないですよ!」
上条「可哀想に。地元なのに異邦人呼ばわりされて厄介者扱いか」
レッサー「あれあれ?こちらの意図が正確に伝わっていませんねぇ?」
上条「あぁでもそれがマジなら助かったよ。ありがとうな」
レッサー「いえいえそんなとんでもない。お力になれれば幸いですが」
上条「で、悪いんだけど俺これから予備校行かなくちゃいけないから帰るよ。それじゃあな!またいつか会おうぜ!」
レッサー「ちょぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉと待ちましょうや、ねぇ?人に助けてもらっておいてその態度は!ないんじゃないですかねっ!?」 グッ
上条「やめて離して下さい!?誰か警察呼んで!?俺をこれ以上アホな世界に巻き込まないで!?」
レッサー「帰るんですか?いいんですかねぇ本当に?そんなことして?」
上条「なんでだよ。俺はNoと言える日本人を目指してるんだ!」
レッサー「おぉっとぉ?上条さんは?助けられた恩も返さずに?ゴーホームするのが主人公だ、と仰る訳で?」
レッサー「あーこれスピンオフ企画からオファー遠ざかっちゃいますねー。そんな主人公って主人公って言えないですしねー」
上条「――話を聞くぜレッサー!俺は助けて貰った恩をなるべく返す正義の人だっ!」
レッサー「話して途中で不安になったのか『なるべく』をつけたところが小市民っぽくでナイスです!流石は上条さん!」
上条「……先に言っとくけどダメなのはダメだからな?俺はメシがマズい国に骨を埋めるつもりはないんだ」
レッサー「超お言葉ですけど最近では改善されて来ましたよ?ただ伝統的なイギリス料理が食卓から消え、多文化共生主義になっただけで」
上条「レッサーは万年最下位の野球チームのメンバー全員を大リーガーに入れ替えて優勝しても、ファンはついてくると思う派?俺は最初の段階で持ってたグッズをお炊き上げする派だけど」
レッサー「イタリアがちょい前までそんな感じでしたな。国民の肌色が変る前に終わったようですけど」
レッサー「ではなく!上条さんをウチへお招きしたのは訳があるんですよ!じゃなければあんな修羅場へ割って入ったりはしませんとも!」
上条「修羅場っつーか俺一人が不当に扱われていたっつーか、まぁいつもと言えばいつもだが!」
レッサー「ですよね、あんまりですよね。復讐する力とか欲しくありませんか?」
上条「復讐はいらない。ただボケに巻き込まれても怪我しない程度のツッコミ力が欲しい」
レッサー「そうですよねっ!怪人のステップアップとして敗北イベントばかりってないですもんね!」
上条「だから方向性が違うっつってんだよ!?お前らのどーしよーもないマウント争いに俺を巻きこむな!俺はただ静かに暮らしたいだけなんだ!」
レッサー「……えぇ、まぁ私だってそうですよ。静かに暮らしていきたい、そう思っていましたとも」
レッサー「ですが!ですがこの状況を見てくださいよ!?あなたの目には何が映っていますか……ッ!?」
上条「状況言われてもな。別にどっかの倉庫か荷物置き場としか」
上条「てかお前の友達どうした?今回は単独犯なのか?」
レッサー「……ですよ」
上条「お?」
レッサー「いないんですよ……!卑怯な、卑怯な裏切りにあって『新たなる光』は私一人だけに……ッ!」
上条「マジかよ……!何があったんだ!?」
レッサー「……それは雨が降る夜のことでした――」
――回想
フロリス「……」
レッサー「――お、良かったですよランシス!こんなところにいたんですね!」
フロリス「……何か用かヨ……?」
レッサー「用じゃないですよ!何やってんですかあなた達は?週一にはアジト集まるって約束してましたのに!」
フロリス「ヤ、集まるも何も、ナ?分かるだロ?」
レッサー「全員が全員私の連絡を既読スルーしたり、電話したら着信拒否だなんて一体何の冗談ですか!?」
レッサー「――ハッ!?まさか私のお誕生会を内緒で計画していたり……!?」
フロリス「改めて思ったケド、オマエのメンタル半端ねぇナ。どんだけポジティブなんだ」
レッサー「まぁそういうことならバンバン許しますけど!まぁ今日は嫌でもついてきてもらいますよ!」
フロリス「――放せヨ」 パシッ
レッサー「あなた――まさか新型」
フロリス「それだけはネタにすんナって注意されてたロ!?何速攻で破ってんだコラ!?」
レッサー「私の体調を気遣ってくれる……優しい!」
フロリス「だから違うわ。てかそのネタから距離とれ距離。アホの××新聞みたいに自社に放火する趣味でもあんのカ」
レッサー「つまりはどういう?」
フロリス「あー、なンだ?前にイギリスでドンパチやったジャン?ワタシらを差し置いて」
レッサー「ありましたねー。アレイスター量産型が押し寄せる悪夢のような感じでしたが」
フロリス「そンときにダ、『よぉおぉっし!では私が様子を見てきましょうか!あなた方は待機していてください!後から連絡入れますんで!』ってゆーナ」
フロリス「……結局連絡はこねーシ、ワタシらが駆けつけたら終わってたシ、いいトコなんかなかったんだよ!?アァッ!?」
レッサー「随分悪いヤツが居ますね!よーしならば私の前へ連れてきなさい!私自ら世間様の厳しさを教えて差し上げましょう!」
フロリス「ヘイ誰か鏡持ってないカ!もしくはトラのビョーブでもいいゼ!」
――回想終わり
レッサー「――憎い!私から仲間を奪ったゲコ太レンジャーが憎いんですよ……ッ!」
上条「お前だよ。今の回想で分かったのはお前が予想以上にアホだったってことだけだよ」
上条「てか今の回想別に雨も降ってなかったし夜でもねぇしゲコ太レンジャー関係ねぇし!文字しかないんだから細かいボケを大量に押し込んでくんなや!」
上条「そもそも100%お前のせいじゃん。まぁそんなこったろうとは思ってたが、想像以上でも以下でもなかったわ」
レッサー「だって仕方がないじゃないですか!?予想以上に『ア系ロ×陽射し』のボスが厳し優しくてツルむの楽しかったんですから!」
上条「何度もいってっけど『明け色の陽射し』な?世間様から石を投げられそうなそんな楽しい組織名ねぇよ」
レッサー「ですから上条さんお願いです!新組織を立ち上げるためにも!私と一緒に戦ってくれませんか!?報酬は私のボディ差し上げますから!」
上条「その報酬は腐ってるからいいかな。一見食べられそうなんだけど、口開いた檻の中に置いてあるのが見え見えだから」
レッサー「では……?」
上条「まぁ助けて貰った恩もあるし、俺でいいんだったら新組織に参加させて貰おうかな」
レッサー「ありがとうございますありがとうございますっ!」
上条「ていうかさ、新組織ってなにすんの?アマクサ組ははフツーのヤ××っぽい土建屋さんだったけど」
レッサー「フランス大使館へ差し入れするNPOを結成しようかと」
上条「おぉ意外とまとも。差し入れって良心的じゃん、弁当とか水?」
レッサー「あぁじゃあちょっとやってみましょうか。丁度近くの大使館がありますんで」
――某国大使館前
レッサー「ここですね」
上条「立派――でも、ないな。意外と煤けてる感じだが。予算なかったのかな?」
上条「てかお前差し入れも何も手ぶらなんだけど」
レッサー「髪ブラの方がお好みですか?」
上条「エロい話してねぇよ。あと手ブラの方が好きだけど。生まれ変わるんだったらブラになりたいけど」
レッサー「神様がもしいたら『ちょっと何言ってるのか分かんないんじゃよね』って言ってると思いますよ」
上条「差し入れっていってもなぁ。今だったら紙製品とかマスクとか?」
レッサー「あぁいえそうではなく、ここに袋があります。できればコンビニ袋よりも土嚢袋の方が適度な硬さがあってベターですが、ないんでコンビニのです」
上条「お前それゴミ箱から拾ってきたヤツ……衛生的に最悪じゃねぇか」
レッサー「で、これにですね。そこら辺に落ちてる石やらガレキ、工事現場に落ちてたナットやボルトを袋につめてラッピングします」 キュッ
レッサー「こうすることで多少軽いものでも安定する上、ある程度威力を高めることができると」
上条「……プレゼント?どう見ても時価0円のゴミを?」
レッサー「何言ってんですか上条さん!こういうのは気持ちですよキ・モ・ティ!お値段リーズナブルでも贈る気持ちが大切なんですよ!」
レッサー「想像してみてくださいな。児童がご両親へプレゼントした手作りの何か!拙い、ぶっちゃけゴミでもあなたはどうされるので!?」
上条「そうだけどさ。お前は幼稚園児じゃねぇし、フランスさんはお前のご両親でもねぇよ」
レッサー「まぁまぁ。お互いの理解を深めるためにも、こういう地道な文化交流が必要でしょうに」
上条「程度によるかな。そのゴミを受け取る度量が大使館側にあるかどうか」
レッサー「では気持ちを込めましょう――こおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ……ッ!」
上条「キャラじゃないことすんなよ!?何お前闘気的なもの練ってんの!?」
レッサー「『フランスに死を!フランスに死を!フランスに死を!フランスに死を!フランスに死を!フランスに死を!フランスに死を!フランスに死を!フランスに死を!フランスに死を!フランスに死を!フランスに死を!フランスに死を!フランスに死を!フランスに死を!フランスに死を!』
上条「ふービックリした。なんだいつものレッサーか」
レッサー「そして!私の思いがたっぷり詰まったこのプレゼントを!」 グッ
上条「を?」
レッサー「『コ××ピザお届けに上がりましたーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!』」
ブゥンッ、バ゚リーーーインッ!!!
上条「何やってんだテメー!?一人インティファーダ!?」
(※犯罪です。絶対に真似しないでください)
レッサー「さっ、逃げますよ!我々の善意がフランスに届いたと信じて!」
上条「出頭しろやドアホ!?お前これ普通に国際問題だからな!?」
レッサー「何を仰いますか!私は奥ゆかしい人間なので、善意のプレゼントへ対し名乗りでるような真似はしませんとも!えぇ!」
警備員『――いたぞ!あいつらだ!』
レッサー「よーし逃げましょう上条さん!ダッシュで逃げましょう上条当麻さん!日本からお越しの上条さんは足遅いんで逃げ遅れないでください当麻さん!」
上条「人の名前連呼するんじゃねぇこの悪魔!?あぁお前が頑なに本名名乗らないのってそういうのが理由!?」
――新しい魔術結社・アジト
レッサー「いやー、いい汗かきましたねー。私の善意がフランスの皆さんに届くかと思うと、いい気分になれますなー」
上条「……お前何なの?イギリス警察が黙ってないよ?」
レッサー「イギリス警察がフランスのために動くとでも?」
(※個人の感想ですが、同国人相手ですらザルです)
上条「だから何回も言ってるけどお前ら文明人名乗るのやめろよ、なっ?」
レッサー「なんでですか!?私の善意が受け入れられないって言うんですか!?酷い!」
上条「じゃあ聞くけど、お前んちに石投げられてガラス割られたらどうよ?」
レッサー「何言ってんですか。犯人捕まえてアレとコレとソレを割るに決まってるでしょう?」
上条「正気じゃねぇか。ベイロープさんに連絡して格子窓の病院に収容して貰おうかと思ったけど」
レッサー「――と、いうのが我々の新しい結社の主な活動指針となります!」
上条「結成動機が反社会的!?いくらグローバルだからってその存在理由は許容されねぇぞ!?」
レッサー「なお理由は『大使がドMだから喜んでくれると思った』」
上条「一概に否定出来ないのが何とも……いや、だからさ。やるんだったらもっとまともにしろよ。じゃないと他のメンバー帰ってこないぞ?」
レッサー「他のメンバー?」
上条「お前が反省するまで距離置いているだけかもしんないし、あんまバカやったら余計逃げられるだろ」
レッサー「いや知りませんね?『新たなる光』?なんですそれ新しいソシャゲーの名前ですか?英雄×戦○の新キャラですか?」
上条「好きな会社ほどソシャゲー初めて本業に帰ってこないってどうなんだろうなぁ……」
レッサー「幼女ハンター怪人カ・ミジョーさんはヴラ○様の壁に等しい乳が好きだと……メモメモ」
上条「一言も言ってない。だがあのキャラデザだけ微妙に力入ってるような……?」
レッサー「逆にお聞きしますけど、上条さんの方のご要望はないんですか?設立メンバーの一人なんですから、融通は利くかと」
上条「非人道的なのは全部NGだ。んなことしやがったらまず俺が敵に回る」
レッサー「了解しました。そのボーダーはどのぐらいですか?フランスへ行って『ドイツがトイレットペーパーを奪いに攻めてくるぞ!』っていうのはオーケーですよね?」
上条「だから今のご時世で危険なのは自重しろって言ってんだろ!?ドイツ巻き込むなよ!?」
レッサー「……くっ!国の違いがここで仇になりましたねっ!」
上条「二週間ぐらい前、混沌帝国メシマーズの市長候補が『五輪ウチでやってあげようか?』って宣ったときは、うん」
上条「あれがイギリスの総意だっていうのなら、お前らはそのまま乾いていけばいいんじゃないかな?」
レッサー「日本のクルーズ船プギャーして調子ぶっこいてた頃ですね。あのときは良かった……」
上条「あぁそういえばあの船の船籍はイギリスなんだから、保護の義務はお前ら――」
レッサー「――さっ!前を向いて歩きましょうね!過去は振り返らず顧みずに!」
上条「お前らそんなんだかに何度も何度も失敗するんだよ。何回大戦起こしてりゃ気が済むんだ」
レッサー「失敬な!地域紛争(中東戦争×4・ボスニア内戦・ユーゴスラビア内戦)を含めてまだ10回未満ですよ!」
上条「そういうとこだぞ?ダメなのは?」
レッサー「ですがまぁ非人道的じゃない悪の秘密結社を作ろうぜ、と言われましても。正義じゃないライダ○がいるのかと!?」
上条「結構いるわー。アポロガイス○時代からいるから、かれこれ半世紀近く前からいるわー」
レッサー「では発想を変えましょうか。我々が悪になる必要は必ずしもないのでは?」
上条「そうだね。俺の知り合いが魔術結社未満のサークルだって名乗っておきながら、イギリス連邦にテロしかけた人たちもいるしね」
レッサー「そんな反社的な奴らがいるんですか!?私がそげぶしてやりますよ!前に出て来なさい!」
上条「そういやお前にらはしてなかったっけか。だから『宇宙で最も迷惑な奴として蘇るのだ』って復活ししやがったんだな」
レッサー「お言葉ですが昭和ライダ○からディケイ○ネタまで一体何人がついてくるのかと」
上条「いいんだよ別に!ゲコ太レンジャーは戦隊ものをイメージして始めたのに、全然出番がないんだからな!」
――超獣戦隊ゲコレンジャー 作戦室
初春「いやー、大戦果でしたね御坂さん!まさかあそこまで白熱するとは!」
御坂「危なかったわね!スーツがなければ勝負は分からなかったわ!」
佐天「あの……『これ以上は匿名にしないと放送できない』って向こうが譲ってくださったような。ぶっちゃけた方が試合に勝って勝負に負けた的なアレですよね」
御坂「あたしも顔出しだったら負けてたわね!流石はゲコ太スーツ!」
佐天「普通に物理攻撃出してましたもんね。一応とはいえ好きな相手にあれはどうかなー?どうなのかなー?」
御坂「――すれ違いから始まる恋だって、あると思うのよね?」
初春「あくまでも未確認情報ですけど、街中で超電磁砲らしき物が何回か発射されたと記憶に。未確認ですけどね」
佐天「あれあれー?おかしいのはあたしでいいのかなー?」
御坂「ま、まぁいいじゃない!悪い人達は改心して土建屋さんとして頑張るって言ってくれたし!」
佐天「一周回って同じところへ着地してるだけです――って何?アラーム?」
――ヴェーオッヴェーオッヴェーオッヴェーオッヴェーオッ――
初春「『――はい、こちら作戦司令室です!報告を――』」
初春「『ってもしもし?電波が途絶えて、もしもーし!?』」
御坂「どうしたの?」
初春「……って切れてますね。『侵入者が――』までは聞き取れたんですが」
佐天「それって大変じゃんか!?」
初春「ですね。警備部を突破してきているのですから事態は深刻です――御坂さん」
御坂「了解。ちょっとオシオキして来る――」
ドォォォォォォォォンッ!!!
佐天・初春「きゃっ!?」
御坂「――危ない!」 バチッ
佐天「……すいませ、ん?おぉ……鉄骨がリアルに曲がってる」
初春「助かりました」
御坂「……」
一方通行「――あァクッソつまんねェ。なンで俺がこンな仕事しなきゃいけねェンだ?なァ?なンでだと思う?」
御坂「残りの人生全てをあたしのクローンのお菓子台を稼ぐために遣うから?」
一方通行「いやァまァ?強くは否定しできねェっつーか、そンなにダイレクトに言われっと、反発してェよっつーか?」
佐天「反論しましょうよ。そこは諦めずにきちんと言わないと!」
一方通行「まァ別にお散歩で来た訳じゃねェンだよ。ゲコ太レッドさンよォ、言ってる意味は理解できたか?オーケェ?」
御坂「一方通行――ッ!!!」
一方通行「あァいや違うンだわ。俺は俺で合ってるけども、その名前はちっと違う。今の俺は学園都市第一位でもねェ。名乗るとすれば、こうだ――」
綿棒伯爵(一方通行)「――悪魔怪人、綿棒伯爵ってなァ……ッ!!!」
御坂「あぁ……まぁ、白いわ細いわで、そうっちゃあまぁ、そうよね」
佐天「疑問に思いましょう?このクサレ仕事のオフアー来たとき、役名確認して抗議する時間はなかったんですか?」
綿棒伯爵「ウルセェよ!勝手に引き受けちまったから後に退けねェんだよ!?」
佐天「意外と律儀だった!?」
初春「まぁ契約社会ですからねぇ」
御坂「――二人とも、行って」
佐天「御坂さん!?」
御坂「ここはあたしが時間を稼ぐから、だなんて月並みな台詞は言いたくなかったんだけどね。ま、仕方がないわ」
初春「……せめて!せめてゲコ太スーツほを装着してください!そうすればまだ勝ち目が!」
御坂「スーツも必要ないわるあれは――本来の持ち主へ返しておいて」
佐天「本来って……?」
御坂「いいから早く!じゃないとあたしが逃げられないから!」
初春「分かりました。行きましょう!」 タッ
佐天「……絶対ですからね?御坂さんが来るまであたしたちずっと待ってますからね?」 タッ
御坂「えぇ約束よ」
綿棒伯爵「いいのか?できもしねェ約束なンぞ結ンじまって?」
御坂「いいのに決まってるでしょ。これからアンタをボッコボコにするし、お友達に見られたくないのよねぇ。あんまり」
綿棒伯爵「上ォォ等ォッだよオマエ!!!」
御坂「行くわよ。ハアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!」
ズウゥンッ……!!!
――超獣戦隊ゲコレンジャー ラボ
一方通行「……」
一方通行「……あン?あれ?」
初春「あ、気がつかれしたようですね。どうですか?頭が痛いとか吐き気がするとか、調子の悪いところはありますかね?」
一方通行「いや、ねェけども」
初春「なら結構」
一方通行「いや結構じゃねェよ。なンでオレ磔になってンの?ウルト○兄弟が強い敵にシバかれてピー○姫状態なンだけど?」
初春「私の知ってるピー○姫は磔になるシーンはなかったと思いますが……」
一方通行「配管工とカメ、どっちが彼氏が選べるか?」
初春「あの世界はフワッとしていますから、それ以上はちょっと。ただもっと適齢期の男性はいないんでしょうか」
一方通行「てか俺がさらし者になってるってェことは負けた?いやァ、俺負ける要素あったか……?」
初春「……いやぁ、激闘でしたね!まさか御坂さんの左フックが反社を貫通するとは!」
一方通行「してねェよ。能力ナメんてのかコラ?あと反社じゃなくて反射な?ボケが細けェわ」
初春「かっちゃ○?」
一方通行「いやまァ合ってるっちゃあ合ってるけども。それ言うんだったら、うン。触れない方がお互いのためにもだな」
初春「と、いう冗談はさておきまして。危なかったですね。専門の人質を用意してなかったら負けていました」
一方通行「人質?」
打ち止め(in培養カプセル)「いやーなんか懐かしい場所なんだぞ、ってミサカはミサカは感慨に耽ってみたり!」
一方通行「墓石はホームランバ○のハズレ棒でいいンだっけ?」 ビキッ、ビキビキビギッ
初春「待ってください!それ以上動いたらアホ毛ちゃんが大変なことになりますよっ!?」
一方通行「言うじゃねェか。どォすンだって?」
初春「私の言う事を聞かなければ――成長させます」
一方通行「テメェ……ッ!!!」
一方通行「……」
一方通行「何ゴメン。今なンつった?リピートプリーズ?」
初春「ですからこのアホ毛ちゃんを急速に成長させたいと思います」
一方通行「いや……オリジナルもいるし、無茶な真似はしねェとは思ってたンたが……成長?成長ってなンでそれが?」
初春「ペ×ですよね?」
一方通行「違うわ。俺の存在意義からして違うわ」
初春「成長されたら困るのはあなたでしょう!?」
一方通行「いやァ……熱出すとか、今より健康になるンだったら別に何も?お守りからも解放されるしなァ」
初春「今は××歳児だからいいものの!大人になって密着されたら困りませんか!?」
一方通行「いや、それも別に?」
初春「……女性に興味無し――メモメモっと」
一方通行「やめてくンねェ?人の台詞から壮大に話盛るのやめてくンねェかな?俺が言うのもアレだけど、常識的な話じゃね?」
初春「ではあなたがアホ毛ちゃんが大人になってもいいと仰るんで?」
一方通行「体に負担がかかったり寿命が減ったりっつーよーなリスクがねェンだったら、まァ?いいンじゃねェの?」
初春「ミサワさんが二人に増えるとしても?」
一方通行「地獄だな。マジでしたら別の話に行ってても殲滅すンぞ?」
初春「そして本人が割りと乗り気でして」
一方通行「あ?」
打ち止め「くっくっくっく!このミサカが大人バデーになったらノーサツするんだ!ってミサカはミサカは野望を表してみる!」
一方通行「すいませン。何でも言う事聞くからやめてもらえませンか?」
初春「ご理解を頂いたようでありがとうございました。アホ毛ちゃんは速やかに送迎致しますので」
一方通行「ンで?俺に何させてェんだ?」
初春「お忙しい方にお願いするのは非常に心苦しいのですが」
一方通行「じゃあ帰せよ。俺だって仕事あンだよ、もう直ぐ新学期だし」
初春「実はヴィラン役をやって頂けないかと」
一方通行「あーそれもォやってるわー。今調べたら16年前(無印3巻・2004年9月初版)からそンな感じだわー」
初春「えぇ、実は私もビビったのですが、第一巻の発売日が同年4月で三巻が9月。三ヶ月弱で一冊書く神様(※鎌池先生)の体力とは……!」
一方通行「そりゃァ仕方がねェわ。だって相手は神様だし」
初春「ある意味我々に試練を強いている元凶であると……!」
一方通行「止めろ。薄々思ってっけど、誰も彼も空気読ンで黙ってンだよ」
初春「で、一方通行さんにはヒーローではない方の人気役をですね」
一方通行「……ヒーローよりか汚れ役の方が俺には似合ってっけどよォ。まァいいわ。ボランティア活動よりかはマシだろ」
初春「ありがとうございます。では効率的に子供を泣かせてくるのはどうしましょうね?」
一方通行「重いわー。ヴィラン引き受けてから一秒で消化しきれない台詞が来たわー」
初春「はい?何か?」
一方通行「子供を泣かすってどォいうことだよ?悪の組織の改造人間的なアレなンだよなァ?」
初春「はい。ヴィラン同盟にバ○君が捕まって改造された感じで」
一方通行「だから中の人ネタはいいンだよ。今何にハマってるか丸わかりじゃねェか」
一方通行「……子供?社会不安にさせンのか?」
初春「いいえ?子供が泣くと像からダイアモンドがドバーッと吐き出す仕様らしいですよ?」
一方通行「パチスロか」
初春「いえ本当にあるんですそういう悪の組織が!毎週毎週しょーもない方法で子供を泣かせようとしてたんですから!」
(※兄弟拳バイクロッサ○)
一方通行「へー……なにオマエ、そのしょーもない悪役を?俺に?やれっつってンのか?あァ?」
初春「特にご希望も無いようですので、消去法で?」
一方通行「嫌だわ!俺だってやるからにはもっとまともに悪役してェわ!」
初春「では”赤い通り魔”レッドマ○を」
一方通行「それヒーロー戦隊じゃなくてウルトラ特撮系じゃねェか。あと赤い通り魔は正式名称じゃねェぞ?ファンが勝手に呼ンでんだからな?」
初春「いいじゃないですか!どうせ最後は負けるんですから設定なんてどうでも!」
一方通行「ヒーロー企画の全否定してンなよ。だったらヒーロー以外要らねェって結論になンだろ」
初春「ですが!エ×同人では難しい服を描いた方が売り上げが伸びるというデータも……ッ!」
一方通行「まァそォいうもンだからな。やることァ結局同じでも」
――新生 『新たなる光』アジト
レッサー「――今日も元気だスコーンが美味い!頑張って今日も一日反社しましょう!」
上条「イエース、プリテン!今もみみっちく大英帝国とか一部で言ってる国に忠誠を!」
レッサー「上条隊員!昨日の成果はどうでしたかっ!?」
上条「はいっ隊長!海外全てのフランス大使館のツイッターへ動画を貼っておきました!」
レッサー「ほう、動画を?その内容は?シミッタレたもんだったらケツバットですよ!」
上条「いいえ隊長!例の動画に英語字幕を入れて、『コロナピザってフランス製だと言われてますけど、あなたの国ではこんなしませんよね!』って!」
レッサー「ナイスですよ上条隊員!レッサーちゃんメダルを一枚進呈しましょう!」
上条「ありがとうございます!で、隊長は何をされていたんですかっ!?」
レッサー「私はバイトをしていましたよ!最近転がり込んできたヤローが役に立たないもんでね!」
上条「俺もそろそろ家が恋しいですけどどんなバイトを?」
レッサー「『恵まれない子に愛の手を』って箱を持って一日中立っているお仕事です!」
(※募金詐欺・違法です)
上条「流石は隊長!さすたい!」
レッサー「では次に誰か!他に報告はないんですかっ!?」
……
上条「隊長!僭越ながらお耳に入れたいことがあります!」
レッサー「なんだね上条隊員!私も丁度君に聞きたいことがあったんですが!」
上条「どんなしょーもない結社であっても、たった二人では回らない」
レッサー「私もそれを指摘しようとしてたところです。ボケ一人とツッコみ一人がベストだと思ったんですが」
上条「芸人じゃないからでは?我々がやろうとしているのは秘密結社であって、タレントではないかと」
レッサー「……盲点でしたね!以後気をつけましょう!」
上条「では隊長、今日の格言をどうぞ!」
レッサー「どんな温厚なイギリス人ジェントルをぶち切れさせる一言――『あぁ君ってイギリス人なの?てっきりフランス出身だと思ってた』」
(※言いません)
上条「ノイローゼか。あぁいや最近お前の気持ちが1%ぐらい分かるようになってきたけどもだ!」
レッサー「そうでしょうそうでしょう。大体世界の悪い事は太陽王orナポレオン時代のフランスかイギリスの仕業ですからね!恥を知りなさい!」
上条「俺、そこで一応イギリスも出す芸は凄いと思うわ。ただの事実かもしんないが」
レッサー「しかし新隊員ですかー。そこを突かれると厳しいところですな」
上条「基本この一週間やったのってしょーもないセコイ悪事ばっかだしな。誰かはモロトフ・カクテルをフランス大使館へ差し入れしそうになったが。俺は見てないから」
レッサー「『いつもパン籠ありがとーございまーす!』って意味ですよ?感謝を込めてるんですから分かって頂きたいかと」
レッサー「――あ、思いつきました!新しい隊員の募集方法!」
上条「おっ、なんすか隊長」
レッサー「赤ちゃんを量産すれば事実上戦闘員は無限大……ッ!」
上条「作った憶えはねぇな!?そしてその子が大事であればあるだけ戦闘員なんかさせられる訳がないわ!」
レッサー「まぁブラックな職場ですしねぇ。福利厚生なにそれおいしいの?的な」
上条「でも悪の秘密結社もお前ら魔術結社も、実態はそんなに変んないっちゃ変んないよね。死して屍拾うものなし」
レッサー「殺るか殺られながら道連れにする世界ですからね」
上条「……どっちみち一人は殺すのな」
レッサー「ではまぁポッと出の悪の組織としまして、今日は我々の武力を高める訓練を選んだ!ピコーン!」
上条「SLGあるあるだな。プリュマがヴェールしてツヴァイする問題作」
レッサー「現在の我々のクラスは戦闘員(※鉄砲玉)ですし、上級幹部職を目指さないと!」
上条「まぁ間違ってはないけど嫌な立場ですよね!だって一週間に一人ずつ消えていく運命だから!」
レッサー「一応ステップアップするために既存のヒーローを踏襲しようと思うんですが、何かご希望は?」
上条「怪人役がヒーローってのは深くは考えないとして……問題なのは枚数じゃね?」
レッサー「というのは?」
上条「だから単純に人手不足?戦隊モノだったら最低でも三人、ベストは五人だろ」
上条「てゆうか気になってたんだけど、これ超獣戦”隊”ゲコレンジャーだよね?」
上条「戦隊って名前なのにゲコ太レッドしか出てないってどういうこと?ビリビリのぼっち力はこんなところでも発揮しちゃうの?」
レッサー「そこはそれここの運営は長編以外は特にオチもなにも決めず、その場のノリで始めるようですので」
上条「そんなんでよく始められるな。アホか勇者か……アホだなむ
レッサー「『人数集まらないのも御坂さんっぽくてこれはこれでオイシイですね!』と」
上条「もう諦めてプリキュ○すっか?この間初代以来ぶりに生放送で見たら、敵が人型じゃなくて巨大な怪獣で驚いたわ!」
レッサー「私も詳しくは知りませんが、今回の主人公のメンタルがヘラってるって噂も少々。ですがあぁいう主人公って大なり小なり病んでいませんか?」
上条「ノーコメントでお願いします。しかし二人……んー、もう一人スカウトする?フロリスにごめんなさいしてさ」
レッサー「心配ご無用ですとも!こんなこともあろうかと二人組の戦隊ヒーローはリサーチ済みです!」
上条「あんの?そんなニッチなの?」
レッサー「兄弟拳バイクロッサ○です……ッ!!!」
上条「前の章でイジったヤツだろ!?一回出たネタなんだから引っ張るんなや!?」
レッサー「いえいえ、これがマジな話です。ご兄弟が変身ヒーローになるというニッチな作品でして」
上条「中身は……」
レッサー「お兄さんが格闘要員、主にカラーテでバッタバタをなぎ倒します」
上条「いいね!王道だよな!」
レッサー「弟さんがバイク要員、スズ○を乗り回します」
上条「また予想を裏切らない迷走ぶりだな!?なんでそうなった!?」
レッサー「では上条さんがお兄さん、私が弟さんのクラスに就く方向で」
上条「待てコラ!俺の疑問に答えてくれよ!?何をどうしたら弟がバイク担当になんの?暴走族的な感じ?」
レッサー「まぁそれは合体技で判明するんで……あ、じゃあ一回リハでやってみましょうか?」
上条「そんな軽い感じで行けんの?仮にも変身ヒーローの合体技を?」
レッサー「流石に弟さんの乗っているバイク、『ギンクロ○』は用意できませんのでこの原付で代用しましょう」 ブゥンッ、ブロロロロロッ
上条「リミッター切ってる独特のエンジン音。そして鍵穴が引き上げられて直結しやがったなテメーコラ」
レッサー「路上に落ちていたので落とし物として警察へ運んでいる最中ですよ?ただいつ持っていくのか、タイミングは私次第ということで」
上条「後で返してきなさい!持ち主は困ってるんだから!」
レッサー「へいへい、では改めまして――『兄さん!敵は怯んでいるよ、今のうちにブレーザーカノ○だ!』」
上条「……」
レッサー「『兄すぅわん!敵が!怯んで!』」
上条「分かったから声張るなよ。俺はただちょっと現実逃避してただけだから、『どうせ兄貴役俺だろうな』って」
レッサー「『行くよ、兄さん!』」 ブロゥンッ!!!
上条「『お、おう弟よ!』」
レッサー「――よいさっと」 ブロロロロロロロロロロロロロンッ!!!
上条「……」 スッ
レッサー「あれ?合体失敗ですね、ではもう一度!」 ブロロロロロロロロロロロロロンッ!!!
上条「……」 ササッ
レッサー「何やってんですか上条さん!合体攻撃なんだから合体しないと!」
上条「……なぁ、レッサー。多分100人中100人がどういう状況か理解できてないと思うから、説明していいかな?」
レッサー「あ、どうぞどうぞ。内心描写がないんで難しいですしね」
上条「まずレッサーがやってんのはエンジン吹かして俺の方にウィリーして突撃してきてる。器用だなーとは思う」
上条「それを俺はガチで回避している。ここまでで何か間違ってるかな?」
レッサー「外から見たらその通りかと」
上条「――俺を殺す気かこのアホ!?何原付で力一杯突っ込んで来てんだよ!?まだ俺は車にはねられたことはねぇぞ!?」
レッサー「”まだ”っていうのがとても悲しいです」
レッサー「ではなく!上条さん、合体ですよ!合体!ちびっ子から大きなお友達までロマンを感じるヤツですって!」
上条「だからどうやんだよ!?傍目にはお前が痴情のもつれで俺を轢き殺そうとしてるだけだ!」
レッサー「ある意味、正解」
上条「ウルッセェよ。DTなのに痴情がもつれてたまるか!」
レッサー「いやー……上条さんはワガママですなぁ。では一つ一つご説明いたしましょう」
上条「多分説得されても分からないと思う」
レッサー「まずですね、兄弟拳バイクロッサ○の主役は二人。なので敵を倒すときも兄弟力を合わせて、的な感じが求められています」
上条「タイトルにも入ってるよな。戦隊モノなのか変身ヒーローなのか微妙だが」
レッサー「で、この弟さんの乗るバイク、ギンクロ○のライト部分がビーム兵器も兼ねています。まぁブレーザーカノ○砲と呼ぶんですけど」
レッサー「このヒーローの世界では強敵相手にこの技でフィニッシュするのがパターンなんですな」
上条「ふーん?ライダ○がキックでシメるようなもんか……あれ?でもそれじゃ弟さん一人しか活躍してなくね?兄貴の出番は?」
レッサー「えぇ、ですからそこで合体攻撃と相成るわけです。力を合わせる訳ですな」
上条「あぁそれだったらまぁ――って待て待て。合体ってどうすんだよ。お前が轢きに来てたのと何か関係があんのか?」
レッサー「できれば私もジャンプしたかったんですが、ホンモノは高く高く飛び上がります。弟さんが巧みにパイクを操るんですね」
上条「うん」
レッサー「で、その宙に浮いたバイク(弟ride)をお兄さんがキャッチして、肩の上へ担ぎます。こう弟さんごとガシっと」
上条「無駄な労力!?てか弟降りろや!兄貴が持ち上げるんだったら少しでも軽い方が振り回しやすいだろ!?」
上条「『兄さん、お願いします!』って任せた方が早いわ!振り回せるぐらいのパワーあったらな!」
レッサー「その状態で弟さんが『発射準備完了!』と叫ぶと、バイクの脇腹からニュッと標準が出て来まして、そこを覗いて敵にタゲを合わせます」
レッサー「そして二人で『シューティング!』と唱和すれば、バイクのライトからビームが出て敵を粉砕するのですな……ッ!!!」
上条「兄貴側の負担が一方的過ぎる。そして肩に乗せる意味がわっかんねぇよ!?弟がバイク乗ったままビーム撃ちゃいいじゃねぇか!?」
上条「つーかそんなバイク持ち上げるパワーあったら殴れ殴れ!どう考えても力の配分間違えてるよ!」
レッサー「――と、いうのが兄弟拳バイクロッサ○。今もファンの間では『アタマおかしい(良い意味で)』と語り継がれている名作です!」
(※一切盛っていません)
上条「ごめん、チェンジでいいかな?戦闘中にバイクで突っ込んでくる仲間をリフトアップする自信がないんだ」
上条「そして確実に敵倒したあと揉めると思う。『さっきのアレどういう事?俺を撥ねる気だったの?』って」
レッサー「ちなみに弟さんが突っ込む側なのでタチ、お兄さんが受ける側ですのでネコですね」
上条「やかましいわ!意味知らない人がググってトラウマ与えるような用語使うな!」
レッサー「いやぁ上条さんがそう仰るんだったらいいですけど、そんな余裕あるんですかねぇ?」
上条「なんだよ余裕って」
レッサー「あー……知らなかったかー。チッ、黙っときゃよかったですね」
上条「だから何が」
レッサー「あ、これ今日のタブロイドです。一面のところをご覧ください」
上条「なになに――って、これは……ッ!?」
新聞【ゲコ太レッド敗北!?綿棒伯爵怒濤の快進撃――――――か?】
――とあるシティ
ゲコ太レッド『――どうしてよ!?こっちの攻撃が全然当たらない!?』
一方通行「どンなに早く動いても着ぐるみだからじゃねェかな?てかなンで自分でハンデしてンだよ」
ゲコ太レッド『おかしいわね……?前の敵には通用したのに!』
一方通行「敵がアホだからじゃね?『あ、ゆるキャラ相手だし能力全部キャンセルで楽勝!』とかぶっこいてたからからじゃねェの?」
ゲコ太レッド『そんなことないわよ!きっと今ちょっと思いつかないけど!あとから文章にして提出するわ!』
上条「――やめろ。俺をフォローするフリをして追い込みをかけるんじゃない」
ゲコ太レッド『あんた――一般人は下がって!ここは危ないわよ!』
上条「その一般人の会社へカチコミかけたヒーローは危なくないの?特に悪い事もしてなかったんだが?」
ゲコ太レッド『繁華街でミニサッカーしたり、街中で突然カバディ始めたりって苦情が入ってたのよ!』
上条「迷惑ユーチューバ○レベルの悪事だな。ご時世的には自粛した方がいいぞ」
ゲコ太レッド『離れて!学園都市の平和はあたしが守るわ!』
ゲコ太レッド『……例え、この命を捨てるとしても!平和は守ってみるわ!』
上条「なんて、なんて邪悪なんだ一方通行!お前は黒歴史を反省してイイやつになったと思っていたのに!」
上条「とあ一で『あ、このぐらいのモラル持ってたら無双プしてなくね?』とか!先生とは呼ばれて調子乗ってんのかアァッ!?」
一方通行「オマエさァ?この後に及んでドサクサに紛れて好感度下げようとしてねェかな?いや別にどーだっていいンだけど」
ゲコ太レッド『そして下げよう下げようとして、自分にマホカン○喰らう展開よね。これって』
上条「てゆうか最近さぁ!?『一方通行さんに何しやがんだこの時代後れのツンツン頭』とか海外のファンサイトで騒がれてんですけど!?俺はもうどうしたらいいんですか!?」
一方通行「それに関しては『ごめんなさい』としか言えねェよ。俺はなにもやってねェが」
ゲコ太レッド『「原作?あぁいいいい、その人興味無いから」って、超電磁砲アニメから入った人へ小説貸そうとしたら断られるとかね。一部で被害が』
(※実話です)
上条「もう俺のニセモノでもいいんじゃないかな?」
ゲコ太レッド『鬱になるのはやめなさい。誰だって自分の悩みと戦ってるんだから!』
一方通行「そうだぞ。俺も……まァ?なんかこう教育改革とかドブさらいで忙しい、っつーかお前も手伝えよ」
上条「――よし!俺が来たからにはもう安心だ!この世界は混沌帝国メシマーズ()が貰ったぜ!」
ゲコ太レッド『今急に設定思い出したわよね。そして何がどう安心しろというのか』
一方通行「よく分かンねェけど早くしてくれね?ただ別にアホ一人増えても戦力外じゃね?」
上条「――はいタッチ」 パキイィンッ
一方通行「……」 クタンッ
上条「はい俺の勝ち俺の勝利!この物語は俺が全勝利してエンド――」
ゲコ太レッド『あ、ごめんなさい。ゴミついてるわよ、とってあげるわ――ねっ!!!』 バスッ
上条「そげぶっ!?」
ゲコ太レッド『ってよく見たら腹筋だったわね!ごめんねっ!』
上条「テメ……人の横隔膜強打しておいてそれだけかコラ……!」
一方通行「危ねェよ。なにオマエ台本にないことしてンだよ。『二人まとめてかかってこいよ三下ァ!』ってターンだろォが!」
初春(通信)『――もしもし、聞こえますか?』
ゲコ太レッド『……ダメよぬ手も足も出ないわ……!』
上条「殴っただろ?素早く投了させてんのにお前が殴って試合再開させたよね?無理無理やりに?」
初春(通信)『そうですね。以前倒したはずの怪人カ・ミジョーも復活しましたし、状況は最悪、よりも悪いですね』
ゲコ太レッド『でもマイナスだけじゃないみたいよ。一緒に戦ってくれるって言ってるわ!』
初春(通信)『そうですか、ならはアレが使えるかも……いいえ、アレは危険すぎて封印したんでした』
ゲコ太レッド『教えて初春さん!アイツを倒せる可能性が一パーセントがあるんだったら!』
上条「迫真の演技中なんだけど、二人が役へ入り込みすぎてて逆に笑える。吹き替えで『あの声優さんだ』って感じで」
一方通行「そして待機中なンだよな。コーヒー買って来ていいか?」
上条「今だとセブ○のキリマンジャロがオススメだ。ホットしかないのが残念だけど、三月いっぱいは割引クーポンが貰えてお得だぞ」
一方通行「あぁセブ○のアイスコーヒーってストローつかなくなったンだよなァ。どォよ?」
上条「ホットのやつと同じ系のフタになった。俺は気になんないけど、飲み口からダイレクトに氷が出てくる。ワイルドだ」
一方通行「ワルイドってそンな風に使う単語だったっけか?」
上条「ラテ系でもセブ○がオススメ。ファミ○も美味しいんだが、ちょっと泡がフワってしすぎててなー。飲み終わった後に残ってるから、家帰ってコーヒー足すんだ」
一方通行「コンビニカフェの意義ねェな」
初春(通信)『ゲコ太スーツに隠された最後の能力、それは――「合体」です……ッ!!!』
上条「オイやめとけって!着ぐるみのままバイクロッサ○したら死人出んぞ!?」
一方通行「組み体操で首の骨イキそォだわな。逆に見てみてェ」
初春(通信)『着ぐるみ?ちょっとなにを仰ってるのか分かりませんね?当社のパワードスーツが何か?』
上条「まだその設定生きてんのか。中の人も含めて誰一人として信じてないであろう設定を」
初春(通信)『丁度そこにカなんとかさんがいます!不本意ではあるでしょうが、彼の力を借りればきっと!』
上条「態度が悪い。力を借りるとかって前提なにカなんとかさんってどういうこと?」
ゲコ太レッド『待って!?ダメよそんなの!あたしにはできないわ!』
上条「なんでだよ。さっさと終わらせて打ち上げ行こうぜ」
ゲコ太レッド『もし……ここで合体しちゃったら、ゲコ太レッドの正体が――』
上条「ビリビリだろ?電撃属性で超電磁砲撃って佐藤利○っぽい声だったらビリビリ以外に誰がいんの?」
上条「ここまで来て違う人だったら超怖いわ!?『え、関係ない人が好き勝手してたの、こわっ!?』ってなるじゃん!」
佐天「……えぇまぁそのもしもがあるのが、この運営の怖いところで。お疲れ様です」
上条「あぁお疲れ様です。なに今日は現場に来てんの?」
佐天「はい、初春指令から密命を頂きまして。こちらを大声で読め、とのことです」
上条「俺が?合体するかけ声かなんかなのかな。んじゃ――」
上条「『俺はビリビリがどんな姿だって分かるに決まってるだろ?』」
御坂(ゲコ太レッド)『――さっ、きびきび合体するわよ!あたしたちの実力、見せてやろうじゃない!』
上条「もう一連の流れでギャグだよね?ラブゴメのラブ要素が皆無だよね?」
上条「……まぁすっけどさ。合体ってどうすんの?俺も着ぐるみ着て組み体操すりゃいいの?」
チャラララッララ、チャラララッチャラー♪
上条「あ、BGMだ」
御坂 ジーッ、ズボッ
上条「何普通に出て来てんだよ!?子供の夢ぶち壊すなや!?」
佐天「あ、これどうぞ。ポカ○と塩飴です」
御坂「ありがとう――合体しないとね!」 ズボ
上条「水分と塩分補給して中の人が戻ってた!?意味分かんねぇよ!合体じゃなかったのかよ!?」
佐天「では、どうぞ上条さん!そのまま中へ!」
上条「合体って着ぐるみの二人羽織って事か!?発想が小学生だよ!そして強くなる筈がないな!」
上条「ごめんなさいバイクロッサ○!あなた達の合体の方が数倍マシでした……!」
上条「……でも入らないと終わんないんだろうな……あぁなんかこう、うん。お邪魔しまーす」 ゴソッ
上条(inゲコ太スーツ)「狭っ!?そして予想以上に熱っ!?ちょっとしたサウナ入ってる感じだよ!」
初春(通信)『すいません上条さん。乙女ハートを傷づけないように言葉を選んでください』
上条(inゲコ太スーツ)「ビリビリの体温をよく感じるよ!そして南極でも自由に動けそうだぜ!」 グッ
佐天「それで喜ぶ乙女はいません。いるとしたらチョロインです」
御坂「きゅ、急に言われても!心の準備ってモノが!」
佐天「いましたね、残念ながら」
ゲコ太レッド『えーっと……合体っつーか入ったんだけど、誰か助けて。自由行動どころか腕の上げ下げぐらいしかできない」
初春(通信)『おかしいですね……?理論上では超電磁砲と異能キャンセルのダブルスキルを発動させられる筈なのに……?』
ゲコ太レッド『”理論上では”って台詞が負けフラグになってるからだな!てか君実は思ってたよりも頭悪いのな!』
初春(通信)『あー、場所が悪いんですかね−。ステージを変えましょう』
佐天「すいません、台車に乗せるんで手伝って貰えませんか?」
一方通行「敵に頼むなよ。よっとォ」
佐天「ついでに押すのも」
一方通行「計画グダグダだな。もォ計画と呼ぶのすらおこがましいわ」
……
初春(通信)『――はい、では到着しました!後はそちらのアドリブでお願いします!』 ピッ
上条「アドリブって、おい、もしもーし?……通信切りやがった」
御坂「とにかく出ない?なんかこう、密着してて落ちたつかないっていうか」
上条「合体のテーマから外れるような気がするが……投げっぱなしになってるみたいだし、一回出る、わ……?」
御坂「何よ。止まってないで早く出なさいよ!」
上条「――待てビリビリ!これは敵の能力者(※初春さん)の攻撃なんだ……ッ!!!」
御坂「定番ネタはどうでもいいわ。流石に中が熱くて蒸し蒸し、して……?」
上条「……えっと、まずだ。まず状況を確認しようか?」
御坂「そう、ね。誤解があるといけないし、現状の確認は必要じゃないかしらね」
上条「俺たちは今個室にいるんだ。大きさからしてホテルだと思うんだよ、俺の知ってるのは大分違うが」
御坂「そうね。なんかこうドピンクのムーディな照明が違和感ありまくりよね」
上条「そしてあっちが多分フロなんだ。ただちょっと全面ガラス張りで外からほぼ見えるだけの」
御坂「そうね。きっと安全対策じゃない?一人で入って溺れないように」
上条「最後に部屋のど真ん中にあるのが巨大なベッドなんだが。謎のスイッチが周囲についている感じで?」
御坂「そうね。きっと脱出装置ね、押せばバネでびょーんって飛ばされるんだわ」
上条「俺は思うんだよ――赤ずきんさんがおばあさんに化けた狼と問答してるのって、こんな感じじゃねぇかなってさ?」
御坂「気のせいじゃない?ただの何の変哲も無いホテルの一室でしょ?」
上条「……」
御坂「……」
上条「いや合体は合体でもそういう意味じゃねぇよ!?てかエロゲ×だってそんなお気軽に合体変形しねぇよ最近じゃあなぁ!?」
(※規制がやや厳しくなりました。何年か前に「タイトルは自重してね!」ってお達しが)
上条「てか今週はいつもに増して下ネタ多いな!?あぁこれレッサーと絡んだせいだきっと!俺知ってるんだあのアホが出るとシモ多いって!」
御坂「何言ってんのよ。いいからこっち来なさいよ、もうっ」
上条「やめて離して!?俺をおうちに帰し――」
上条「ア゛ッーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!?」
――10年後
上条「……」
元御坂「あらあなた、懐かしい写真見てるじゃない。どうしたの急に?」
上条「あぁいや懐かしくなってな。初代ゲコ太スーツがほら」
元御坂「そうねー。こう見ると雑よねー」
上条「あん時初春さんか暴走してくれなかったら、俺たちこうやって結婚することもなかったかなって」
元御坂「そうね。初春さんには感謝しないとね」
上条「……」
元御坂「なに?」
上条「いや……ずっと疑問に思ってたんだけどさ」
元御坂「何よ。奥さんに隠し事するつもり?」
上条「じゃなくて、その。あの企画って妙に手が込んでたよな?」
元御坂「そうね。初春さんも頑張ってくれたんじゃない?」
上条「その予算はどっから出たのかなー、なんて。普通の中学生はよういできないよな?何かの賞金も寄与してたしさ?」
元御坂「……」
上条「まさかとは思うけど、あれ全部お前の仕込み――」
元御坂「――そんなことよりね、麻琴がピーマン食べたのよ!頑張ったんだって!」
上条「……うん、そっか!ならよかった!」
元御坂「てゆうか何か言ってた?よく聞こえなくって」
上条「う、ううん?別に何も?ただ幸せだよなって!」
元御坂「何言ってんのよ、あたしの方が幸せに決まってるじゃない!」
上条「おっと!俺の方が幸せに決まってるぞ!そこは譲らないぜ!」
-終-
作業員A「オウにーちゃん、これ全部運んでくんな」
上条「了解――ってクッソ重いなこれ!セメント袋ってこんな重かったのかよ!?」
(※一袋25kg)
作業員B「どれ貸してみろ。慣れねぇうちに担ぐと腰悪くすんぞ、腰」 ヒョイッ
上条「マジっすか……!?合計50kg持って腰いわさない!?」
建宮「――オラァッ新入り!泣き言ぶっこいてんじゃないのよ!」
上条「組長……!」
建宮「組長じゃないのよな!ご時世的にはヤヴァイから社長なのよな!」
上条「でも土建会社に○○組って多いよな。なんで?」
作業員A「大体スジモンかスジモンが建てた会社が多いからだな。昔から荒い気性の連中を集めてたのが始まりで」
作業員B「ただ今の都市型テロリストことヤクザとは違う。真っ当に働いてお給金もらってる訳であってだ」
建宮「えぇいウルサイのよ!地方の土建屋には×××なのもたくさん居るから要注意なのよ!」
上条「誰が得すんですかその情報。てか伏せてんだから誰にも伝わってねぇだろ」
建宮「まぁ大体お察しなのよ!さぁそんなことよりも貧弱なのよ少年!どれ俺がいっちょ手本を見せてやるのよな!」 グッ
作業員B「そんな組長代理!?また腰をやっちまいますって!」
作業員A「そうですよ!あんた若くはないんだから無理しなくても!」
建宮「まぁまぁ騒ぐんじゃないのよな……っ!男には負けると分かってても戦わなきゃいけないときがあるのよ……ッ!」
上条「今か?新入り相手にマウント決めるのが絶好のタイミングだって思ってんのか?」
建宮「それによ!俺が負けるとはまだ決まってな――」
グギッ
建宮「ぉおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ………………ッ!!!?」
作業員A・B「組長代理いぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃーーーーーーーーーーーーー!?」
上条「いやお前がこのボケを敢行しようとした瞬間にオチは見えて。てか他の人も組長って言ってんだろ」
建宮「……お、俺が死んだのは三年伏せるのよ……ッ!」
上条「孔明気取りかこの野郎!隠す意味が全くねぇな!そして『あれ誰もいないの気づなかった?』ってなったらもっと切ない!」
――秘密結社・アマクサ組 社員寮
上条「あー……今日も疲れたー。かなり慣れたきたはきたけども、うん」
上条「やっぱ改造されてねぇからな。怪人の中に混ざって働くのはキツいわ」
コンコン
上条「はーい」
五和『――か、上条さんっ!ご飯ができましたっ!』
上条「ういっす。今いきまーす!」
――アマクサ組 社員用大食堂
建宮「『――ではまず俺が四つのときに初めて恋に落ちた話をだな』」
五和「――はい、いただきまーす!」
アマクサ組社員『いただきます!』
建宮「出だしすら言わせて貰えなかった!?」
上条「むしろ言わせてもらった日ってあるんですか?」
建宮「ん?当然なのよ!俺の誕生日とか!」
上条「地獄か」
建宮「ただ実際にツッコミが入らないと間が持たなくて途中で放棄するのよな!」
上条「ボケしかいない漫才師ってただスベってるだけだろ」
五和「組長代理、お疲れ様です。まぁ一杯どうぞ」
建宮「んむ――美味いのよ!労働のあとのこの一杯がたまらないのよな!」
五和「おしほりですけど」
建宮「っておしぼりかーい!なのよ!」
建宮・五和 チラッ
上条「あ、これ変った味付けですね。どうやって作るんですか?」
対馬「あぁこれはね、菊池市の市議がご当地キャラに扮してね」
五和「まさかのツッコミ放棄!?どーすんですか組長代理!これじゃただの痛々しい人じゃないですか!?」
建宮「いや――これはスルーすると見せかけて俺らに自らツッコミを促す高等技術……ッ!この若さでここまでの腕を持つとは末恐ろしいのよ!」
上条「自分トコのご当地キャラが活躍してるのってどんな感じですか?」
対馬「基本『誰か止める人はいなかったのか?』って自問自答する、かな」
上条「いやでも中にはエロゲ×とコラボした挙げ句、住民も大らかだからややこしい反対運動も起きず、駅内にそれのガチャが置いてある駅もですね」
五和「そろそろツッコミが飛んで来てもおかしくないのにスルー一択!?」
対馬「……その目に焼き付けるのよな、五和!空気を読んで急遽台本になかったテンドンへと移行した匠の技を……ッ!!!」
上条「誘ってただろ。一回目はともかく二回目はスルーするように合図してたろ。あと台本言うな」
上条「てかもう五和が組長におしぼり渡すボケはしつこいんだよ!?俺が初めて来た夜からずっとだぞ!ずっと!」
上条「あんときは『あぁ俺の緊張を解こうとしてくれてんだな』って少し感動したけども!」
上条「毎日だぞ毎日!毎日夕メシの時間に何が楽しくてルーチンワークでツッコミ入れさせてんだよオイ!?」
五和「割りと真面目ツッコミますけど、そうやって綺麗に全部拾うからだと思います」
上条「仕方がねぇじゃんかよ!?だって俺がずっとスルーしたらお前ら部屋の前までついてきやがったしな!」
対馬「おまわりさん呼んだら?」
上条「代わりに俺が路頭で迷います!風邪が流行ってまだ寒いこの時期にホームをレスするのはちょっと!」
建宮「まぁまぁいいって事よな!少年もそれだけウチに馴染んだった話なのよな!」
上条「……そう言ってもらえると、まぁ嬉しいですけど」
建宮「ナメた事ぬかすんじゃないのよこの三下が!?我らの血の誓いは金よりも重いのよな……ッ!」
上条「情緒不安定か。急にどした?」
建宮「――んがどーーーしても!どうしても少年が我らの一員になりたいっていうのであればそれ相応の条件があるのよ!」
建宮「まぁ最低でも適当な女衆を見つけて女房にするとか、なのよ!例えば誰とは言わないがナイスアシストでおしぼりをくれる子とか!」
五和「も、もうっ組長代理ったら!私しかいないじゃないですかその条件だと!」
上条「対馬さん、ここら辺で服買えるお店ってあります?持って来たのがそろそろボロボロになっちゃいまして」
対馬「そうねー、しまむ○でいいんだったら場所――あーでもちょっと分かりづらいのよね」
上条「だったら今度の休みにでも」
対馬「ん?んん、まぁいいけど?」
五和「はいそこぉ組長代理の大事な話をスルーしない!そして対馬もナチュラルにデートの約束を安請け合いしないでください!」
上条「あと一応ツッコんどくとしまむ○でデートって成立が困難じゃねぇかな。いや人それぞれだから全否定はしないけども」
五和「じゃあどういうのがデートだって言うんですか!?今後の参考までに詳しく聞かせてくださいよ!?」
上条「まずは映画にだな」
建宮「なんていう童×の発想。そのオーダーで『じゃ行こうか!』ってオーケーしてくれる時点でフラグは立っているのよな……!」
五和「やめてください建宮さん。自身の過去の体験から『あぁ試合すらさせてもらえなかったんだ……』ってしんみりしますから」
上条「いや別にお互いが楽しかったらどこでもデートになるんじゃ?」
建宮・五和「……」
上条「なんすか」
建宮「……いや、あのよ?自分がいつまにか汚れちまったなぁつくづく、な?」
五和「……そうですよねぇ。好きな人といればどこだっていいですねぇ……はぁ」
上条「えっと……まぁ、飲めよ!焼酎っぽいアレが温くなる前にさ!」
建宮「おうそうだったのよな!大体意識飛ぶまで飲んで忘れれば万事解決なのよ!」
五和「ですわよねっ!よーし今日は私も飲んじゃいますよー!」
建宮「どうよ少年も一口!こういうのは少しずつ慣れていくのよな!」
対馬「はいはい避難避難。子供のお酒憶えさせるなんてダメでしょーが」
建宮「俺が少年の時分にはビールやってたのよなぁ!」
五和「教皇代理、じゃなかった組長代理は特殊な例ですからね?真似しちゃいけませんよ?」
上条「だな」
五和「そんなことよりも、ねっ?お姉さんが作ったカクテルをどーぞ?ほら一気に!」
上条「酒クッサ!?誰だ五和にしこたま飲ませたヤツは!?」
対馬「あー、最初からなんかテンションおかしいのはそれかー……」
建宮「まぁ無礼講なのよ!少年もこっち来て盛り上がるのよな!」 グッ
上条「力強っ!?てかお前魔術関係なしに鍛えてっから!」
五和「今夜は寝かせませんよー?」
上条「エロい意味で言われたかったよ!お前らの場合(※ただし絡み酒で)ってつくから嫌なんだよ!」
――自室
上条「あー……疲れた。酔っ払いどもの相手はどーにも始末が……」
上条「見かねた対馬さんが止めてくれたものの……そのウチ、飲まされるんじゃねぇかな俺。まぁいいけども」 キュッキュッ
上条「あー冷たいおしぼりが気持ちいい。誰が置いたんだか少し目を離した瞬間に出現してる謎のおしぼりが。心霊現象かな」
上条「……」
上条「なーんか忘れてるような気がするんだよなぁ……?」
上条「ま、いっか!忘れるぐらいだったら大した事じゃないだろ!忘れるぐらいだったらな!」
ケータイ【メールが届いたよ当麻お兄ちゃん!きっと出会い系業者だね!】
上条「ウルッセぇな!?誰だ人のケータイのメール着信音変えたのは!?」 ピッ
【『ビリビリ』さんから『2,345』件のメールが届いています】
ピッ、カチカチカチッ
上条「――よしっ!今日も一日お疲れ様でした!俺は何も忘れてないし問題はないから寝ようか!」
上条「特に疚しい所なんかない訳だからね!おやすみなさい!」
???「はい、おやすみなさい」 パタンッ
上条「おい今天井裏に誰かいなかったか!?」
――超獣戦隊ゲコレンジャー 作戦室
御坂「……」
佐天「なんだこの茶番は。都落ちしたチンピラ映画か」
初春「以上が上条さん――いえ、怪人カ・ミジョーが映った最新映像となりますね」
佐天「てかこれどうやって撮ってるの……?明らかにアングル的におかしな部分なかった?」
初春「まず相手のスマートフォンからおおよその位置情報を割り出しまして、後は複数の電波中継地から微調整」
初春「更には当該地域の防犯カメラを覗かせてもらいまして、まぁちょちょいとですね」
佐天「凄いよ初春!たったそれだけに何個ぐらい犯罪を犯しているのか分からないよ!」
佐天「……いやでも明らかに目線が合ってたのってなかった?不自然っていうかさ」
初春「最終的にはアマクサ組の方に接触を謀り、『すいませんドッキリ企画なんですけど撮影してもらえませんか?』で中の方に撮って貰っています」
佐天「大人はいないの?平均年齢高そうな人達なのに誰か怪しむ人はいなかったのかな?」
初春「まぁいいじゃないですか。悪の秘密結社『アマクサ組』の内部事情も分かりましたし、結果的にはオーライですよねぇ」
佐天「秘密結社って……完全にこれ地方の土建会社の一シーンじゃない」
初春「……いいえ。一見そう見えるでしょうが、彼らは裏で悪の所業を繰り返しているのですよ……ッ!」
佐天「へー、どんな?」
初春「夜な夜な歓楽街に繰り出しては薄着のお姉さんが接客するお店に行ったり!」
佐天「うんまぁ……それは別にいいんじゃないかな?損をするのもダメージを受けるのも本人のサイフなんだし」
初春「他にも公園の広場を独占してカバディをしたり、スーパーへ行っては『お一人様○○個限り』商品を集団で買い」
初春「挙げ句の果てに道で迷っていたおばあさんを親切にも目的地へ届けたりもしているんですよ……!?」
佐天「最初の二つはまだ分からないでもないけど、おばあさんはいいじゃん。いいことじゃんか」
初春「悪の秘密結社にあるまじき所業です!」
佐天「そういう意味ではね!確かにヒーローの敵役としては不適切だけど!」
佐天「でも気づこうよ初春!『最初っから悪じゃないんじゃ?』って疑問を持とう!」
初春「――フッ、何言ってるんですか佐天さん。我々は引かれたレールの上を走るしかできないんですよ?」
佐天「まぁそうだけども!それ言ったらレールしかないんだけどさ!」
初春「まぁそういう訳で大英帝国ヘイトキングダムの残党、カ・ミジョーさんの居場所は分かりました」
佐天「混沌帝国メシマーズだよね?留学生襲ったり『オリンピックはウチでやってあげようか?』みたいなのを見ると、まぁうん」
初春「なおとある人に言わせれば『まだイギリスは王室ある分だけ恥を知る(※という可能性がゼロではない)』って意見もありまして」
佐天「えっと、どういうこと?」
初春「例えば海外で日本人がやらかした場合、その個人だけではなく日本が顰蹙を買う羽目になります」
初春「『個人の犯罪は個人にのみ来すもので全体ではない』、というのがベースですけど、中々そう上手くはいかないですよね?」
佐天「まぁねー」
初春「なのでイングランドの場合、『俺たちがやらしかたら王室と国家に迷惑かけるぜ!』って自重する考えが”ゼロではない”らしいです」
佐天「超控えめな希望的観測」
初春「対してとあるフロッグイーターが群れをなす国と言っても差し支えない集落ではつい先日こんな風刺番組が放送されました。CM風の動画です」
(※実話です)
初春「イタリア人料理人の方が厨房で咳込みながらピザを焼き、それをお客様にお出しします」
(※実話です)
初春「しかしピザには汚いものが不着し、客は『まずくて食べられないよ』と手をつけず、『これが新しいイタリアのピザ。世界中に広がります』とCMは終わります」
(※実話です)
初春「なおそのピザはイタリア国家と同じ配色のものであり、勿論大炎上して大変な騒ぎになっています」
(※実話です)
佐天「へー、イタリア人って偉いんだね。あたしだったらO-HANASHIしましょう?って行くけど」
初春「屋台骨がないフランスでは恥の概念が余所様と違う、という仮説ですね。個人が勝手に言ってるだけです」
佐天「まぁ……うん。そのタチ悪い人だって全体ではないからね。そういう不謹慎な人がいるのは事実だけど、全体を表してる訳じゃなくてさ」
初春「このご姿勢すら腐ってるんですから、まぁ大概だとは思いますが――さて、我々はどう手を打ったものかと」
佐天「手を打つ?なんかしたっけ?」
初春「え、忘れちゃったんですか!?御坂さんことゲコ太レッドが混沌帝国メシマーズの戦闘員を壊滅させたんですよ」
佐天「なかったよね?そんな描写はスキップしたよね?」
佐天「全身タイツ着た人が暴れて御坂さんが素の戦闘力で制圧しようとしたら腹パン貰ってダブルKOしたってだけの話だよね?」
初春「いいえ違いますね?そのあと御坂さんの正義の心にゲコ太スーツが反応し、ゲコ太レッドとして覚醒したんじゃないですか!」
佐天「てか続いてたんだねこの企画!てっきり一回も出動無しで終わってたもんだと思ってた!」
初春「えぇまぁ三月は何かと忙しいですし、『そういや忘れてた』と」
佐天「知らない人はここを読むと分かるよ!まぁやってることはいつもと変んないんだけどね!
初春「その場のノリとテンションと下ネタで毎週コントしてるだけですからねぇ。いつになったらシリアスがほんの少し入ったギャグ長編が再開されるのかと」
佐天「うん、アレはね。予想以上に使えないネタがね、時事的に」
初春「××××××ですら、ある意味全伏せ字でケンカ売ってるのに今更何言ってんですか」
佐天「……で、なに?今度は平和に暮らしているであろう元怪人さんを襲撃しようって?流石にそれはちょっとどうかなぁ」
初春「ダメですよ!悪は悪なんだからちゃんと滅ぼさないと!」
佐天「カビキラ○のCMじゃないんだからな。その十字教がぶいぶい言わせてた頃の価値観で物事を計られても」
佐天「まず、さ?相手が何もしてないんだったら先手を打って攻める必要がなくないかな?だってこうこっちの武装はオーバーキルっぽいのに」
初春「そんなことないですよ。ゲコ太スーツは防御効果に優れていますが、武器になるようなものは装備できません」
佐天「あ、そうなの?てっきり力が強くなるとかプリキュ○的な身体能力が手に入るとか思ってた」
初春「ただその、顔が見えない正体がバレないで能力が使える、という点においてはやりたい放題ができるという副効果がありまして……」
(※匿名による暴力)
佐天「なんてタチの悪いスーツだ!?自重を忘れたレベル5なんて災厄でしかないな!」
初春「現在打診中のゲコ太二号機、コードネームゲコ太ドリルさんからも概ね好評でして」
佐天「死人出るよね?前回猛威を奮った腹パンもそうだけど、本気で戦隊ものやったら戦闘員は死屍累々だよね?」
初春「まぁそこはそれギャグ世界ですので、一度死んでも次の章では何事もなかったかのように復活してますし」
佐天「あ、ダメだこれ。何言っても聞きゃしないやつだ――御坂さん!常盤台の良心である御坂さんはダメですよねっ!?認めませんよねっ!」
御坂「――急いでカチコミかけないと!麻琴ちゃんの将来は誰にも潰させやしないんだから!」
佐天「落ち着いて御坂さん!前回も言いましたけど脳内でつけた名前がリアルすぎて引きます!」
御坂「悪の秘密結社め……!首を洗って待ってなさいよ!」
初春「まぁそれでいったら学園都市のほぼ全部が『カテゴリー;悪』へ分類されるんですけどね」
佐天「てか今日はあたしのツッコミ多いな!ツッコミ役が不在なんだから仕方がないんだけどねっ!」
――アマクサ組 社員用大食堂 週末の宴会
建宮「――あれはそう、俺が初めて”剣聖”柳生十兵衛宗近様に弟子入りしたときの話だったのよ」
建宮「俺が段平持って斬りかかったのに宗近殿は無手のまま。おいこれぶっ殺しちまうのよ、と俺が考えた刹那にも意識は無くなってたのよな」
建宮「……水をぶっかけて俺を起こしたのは宗近殿。怪我どころか服に砂埃すらつけられなかったのよな。完敗、なのよ」
建宮「で、俺は聞いたのよ。『なんで武器も持たない相手に負けたのか』ってよ?そしたら宗近殿はこう言ったのよ」
建宮「――『剣を持た』」
五和「――はい、かんぱーーーーいっ!!!」
アマクサ組一堂『かんぱーい!』
建宮「ちょっと待つのよな!?『今日は止めるタイミング遅いな、あぁ俺のお誕生日なのよ!』って思ったらこのザマなのよ!」
上条「組長さんのの若い頃には少し興味ある」
建宮「――で、最後に俺はマザーシップへ体当たりをしながら、前の戦争からずっと相棒だった相棒へこう言ったのよ」
建宮「『お前となんか組むんじゃなかった。だから結婚できなかったのよ』ってな!」
上条「なんだやっぱりホラ話か。てか話のオチ用意しなかったからって別映画と無理矢理くっつけるなよ!ちょっと楽しそうだろ!?」
五和「『組長代理の若い頃やったヤンチャ話』は主人公の側近役のイケメン妖怪だったり、鈍感系主人公の相棒になったりとバリエーション豊富なんですよっ!」
上条「そこは主人公で良くね?」
五和「あぁいやホラ、組長代理は名脇役としてはアレなんですけど、個性が濃いから主役食べちゃう感じで」
上条「あー……」
建宮「ふっ、存在感がありすぎるのは困りものよな!漢っぷりは隠せないのよ!」
上条「お前のアフロ見て『あ、素人だ!』って思うのはアフロの国の人達しかいないよ?そんな国あるのか分かんないけど」
建宮「まぁいいから飲んでよく食うのよ少年!今日はお前さんがここへ来て半年になるのよな!」
上条「……もうそんなに経っちまったのか」
建宮「まぁお前も若いのよ。昔の事情は聞かねぇが、これからをどうするかっちゅー話なんだが」
建宮「まっ、楽にして聞いて欲しいのよ」
上条(なんだ――雰囲気が変ッ!?)
建宮「少年――いや、混沌帝国メシマーズの改造人間、カ・ミジョー……ッ!!!」
上条「えっ?」
建宮「えっ?」
上条「何?メシ不味い?」
建宮「い、いやだから改造された人間的な?」
上条「………………あぁ!そういやそんな設定あったな俺!ゴメンゴメン忘れてたわ!」
建宮「……ふー、ビックリしたのよ。ただの素人さんに電波な話振っちまったとばかり!」
建宮「まぁメシマーズは壊滅状態にあるのよな。ある日突然現れた謎の勢力に一網打尽、幹部や改造人間はバラバラ」
建宮「その中にゃ大幹部だったアレイスター、別名”最低最悪全て元凶ロン毛男”が自ら改造したシリーズの最新ロッドが含まれてた、と」
建宮「まぁどこで何やってんのよなぁ?」 チラッ
上条「いや違う違う違う。俺はあの詐欺師に騙されて全身タイツ、別名全タ押しつけられてコントに出されただけで!」
建宮「だから昔の話はいいのよ!ただお前さんも知っての通り、我らアマクサ組も秘密結社なのよ!」
上条「え?誰が?」
建宮「俺らもお前さんと同じカタギじゃないのよな!だから好きなだけいるといいのよ!」
上条「いや知ってたけど。てかお前らも?土建会社じゃなくて?」
建宮「まぁ昔はそこそこ勢力あったんだけどよ。お嬢様がいなくなっちまってからは右肩下がりなのよ」
上条「お嬢様って………………ぷっ」
建宮「少年が何笑ったのか俺は知らないけども!なんちゅーかまぁ俺は腰掛けなのよ!腰掛け!先代の娘さんがお戻りになるまでの!」
上条「あぁだから組長代理なんだ。別に代理じゃなくてもいいと思うんだけど」
建宮「まぁそこはそれ俺自身が納得しないのよ。あの方に代わりはないが、俺であればいくらでも替えが効くのよな」
建宮「――んで、まぁ?こっからが本題なんだがよ、上条当麻よぉ」
上条「あれごめん?そんな台詞って台本にあったっけ?無かったよね?」
建宮「お前さんがここにいるのは歓迎するのよ。歓迎してくれるヤツもいるし、そうじゃないのも当然いるのよな」
建宮「あとはお前さんの行動次第ではあるんだが……よ。今言ったようにアマクサ組は少子高齢化の危機が迫っているのよな」
上条「組長代理自らが童×だからじゃねぇかな」
建宮「俺の話はいいのよな!俺はほら、代理だからエロいことはダメなのよ!」
上条「説得力って単語知ってるか?説いて得する力って書くんだけど、意味は今お前が持ってないもの全てだ」
建宮「まぁこういう場合にはよ?大抵時間が解決したりフラグを立てるなりすんのが一般的なんだが、もっと手っ取り早い方法が、ある」
上条「つーかなんか雲行きが怪しくなってきたぞ……?」
建宮「五和を嫁に貰う気はないのよ?」
上条「またお前台本にない無茶振りを……ッ!?」
五和「きょ、きょきょきょきょきょっ教皇代理!?何言ってんですか唐突に!?」
建宮「正直に答えて欲しいのよな!男――いや、漢としてなのよ……ッ!!!」
上条「オッケ分かった、俺も理解したぜ!ホームだと思ってたらアウェイだったって事がな!このクソアフロ余計な事ぶっ込みやがって!」
五和 グッ
建宮 ニコッ
上条「たまに忘れっけどノリは一緒なのな!どっかのお堅い聖人様が例外なだけで!」
対馬「一緒にしないで。いやホントに」
上条「まぁ聞きたいんだったら教えてやるよ!えっとな、良物件だと思うよ五和さんは!」
上条「可愛くて気立てもまぁ今までの付き合いでは良いと思うし、お世話してもらっても嫌な顔なんかしないし!好印象だよなっ!」
建宮「おぉっ!俺も自分で振っといて『ダメだったら俺の命が危険でピンチ?』とか今になって気づいたけども!中々良いんじゃないの、なぁ五和!」
五和「……」
対馬「……どしたのアンタ?」
五和「おぉう……こんな、こんなところで言われたくなかった……!もっと天草式長編SSとか、私がヒロインやってる回に聞きたかった……!」
建宮「まぁ無駄撃ちなのよな。そしてそもそも日の目を見るかってぇ話にもなるのよ」
対馬「最悪ここで誉められたのが最初で最後って可能性もあるのよね」
五和「分かりました上条さん!今すぐ私の両親の家へ行きましょう!」
上条「……ちょっと待って、まだ終わってないんだよ俺の話は。今のは俺の嘘一つない正直な感想なのは間違いない、でもだ」
上条「そうだな……例えばの話、学園都市で駅から徒歩5分、敷金礼金無しで駐車場は停め放題、そして月々の家賃が3千円の賃貸ってどう思う?」
建宮「どう楽観的に見ても現役バリバリの事故物件なのよな。数日前に不可解な事件が起きたレベルの」
上条「名前はコーポ・アステカっていって、毎日が楽しそうなアステカの魔術師が住んでるんだが――それと同じで!」
上条「『こんな良い子がシングルって特大の地雷抱えてんの?』ってね!そこはかとない不安がな!あるんですよね!」
五和「あ、それは簡単ですよ。天草式の男衆は全員ペ×だからです。ですから私や対馬さんが放置されている訳でして」
建宮「このアマッ!?俺らに何の躊躇いもなくいわれなき汚名を着せやがった……ッ!?」
上条「じゃあお前らの代でどっちみち終わりだろ」
五和「そこは私が!次世代のアダムとイブ的な意味で頑張ります!」
対馬「教皇代理、身内になったら二秒でバレる嘘を押し通そうとする五和が怖いです」
建宮「まぁ年齢的にもギリなのよな」
上条「てか具体的に……は、五和にビール瓶で殴られて記憶消されそうだからやめておくとしてもだ。大体どんくらい?笑えるぐらいなんだろ?」
建宮「少年とニャンニャンしちゃったら五和だけが淫×条例でしょっぴかれる年齢」
上条「どう解釈して良いのかわっかんねぇ表現!?」
建宮「――てのはまぁ冗談として!」 チラッ
上条「俺知ってんだよ。声張るときは大体都合が悪いときだって」
建宮「まぁ……いい機会だから企画も何も放っぽりだして言うのよ。我ら天草式十字凄教の連中はよ、小さい頃から血を吐くような特訓特訓なのよ」
上条「設定忘れんな。悪の秘密結社って設定だろ」
建宮「こういう『結社』には多いんだけどよ、死線を越えてる間に”ファミリー”として認識しちまってんのよなむ
上条「で、ホントはなんで?」
建宮「酒が入ると鬼神のように泣いて吐いて絡む女で、かつ何かあれば超重い相手に手を出す勇気は持ち合わせていないのよな……ッ!」
五和「教皇代理?あとでお話がありますからね?絶対ですからね?」
上条「へー、対馬さんって地毛なんですか?」
対馬「まぁ隔世遺伝でね。ここに残った宣教師の子孫だって説もあるのよ」
五和「見てくださいよ!興味無くしてるじゃないですか!?」
建宮「――ふっ、五和よ!これも天より与えられた試練だと思うのよ!そう事は易々と動かないのよな!」
五和「……我々をイジって遊んでる、って訳ではないんですよね?」
建宮「も、勿論なのよ!アフロに誓って!」
五和「――よし、全部毟る」
建宮「誰なのよ!?俺が小芝居に入ってるなか五和に飲ませたのはアフォは!?」
上条「……あぁこれが事故物件の由来なのか」
対馬「良い子なのよ?ただちょっと絡み酒で男衆から敬遠されているってだけで」
上条「”ただちょっと”が超重い」
――ドォオオオォォォン…………
上条「うん……?地震?」
建宮「いや――違うのよ!」
ブーッブーッブーッ!!!
上条「サイレン!?何が始まったんだよ!?」
アマクサ組戦闘員A「――く、組長代理大変です!アジト内に侵入者が!」
建宮「侵入者だぁ?そんなモン当番の連中で蹴散らせば良いのよな!男なんだから根性見せるのよ!」
アマクサ組戦闘員A「む、無理ですよ!?俺たちが束になってかかっていっても足止めぐらいしかできねぇんです!」
五和「中々筋のあるお客様ですね。お名前はなんて」
アマクサ組戦闘員A「そ、それが”超獣戦隊ゲコレンジャー ”って……」
上条「な、なんだって!?」
――アマクサ組秘密基地入り口
ズドォォォォォォォォォォォンッ!!!
戦闘員B「ぞ、増援はまだか!?組台代理は!?若頭の五和さんは!?」
戦闘員C「文句言ったって仕方がないだろ!俺たちができるのは時間稼ぎだ!」
戦闘員B「死にたくない、死にたくないよぅ……」
戦闘員C「弱気になるな!今の内に女子供を逃がすんだ!あいつらが逃げれば俺たちの勝ちだし、それに――」
バチバチバチバチバチッ
戦闘員C「ぐあああああああああああっ!?」 バタッ
戦闘員B「ひいぃっ!?」
ゲコ太レッド『――で?”それに”?何かあるの?あるんだったら言ってみなさいよ』
ゲコ太レッド『まだ、喋るうちに、ねっ?』
戦闘員B「……な、何が目的なんだ!?俺たち全員を電撃アフロでチリチリにして何がしたいんだよ!?」
ゲコ太レッド『……ごめんなさい。あたしだってあなた達が憎くてやってるんじゃないの、そこは分かって……ってのは無理か』
ゲコ太レット『あたしにとっては大切なものだけど、あなた達にとってはそうじゃない。ただ守りたいだけなの、譲れないだけなのよ』
戦闘員B『そ、それは一体なんだよ……?』
ゲコ太レッド『”麻琴ちゃん”って名前つけたけど、男の子と女の子でやっぱ違う名前を用意した方がいいかな?』
戦闘員B「コイツ……狂ってる!?」
ゲコ太レッド『あたしが狂っているのならば、正常なもの全てを壊すわ。そうすればあたしが普通になる』
ゲコ太レッド『まぁそんな訳だから――消えて、ねっ?』
バヂハチバチッ!!!
戦闘員B「うわあぁっ!?………………お、俺、生きて、る?」
ゲコ太レッド『へぇ、やるじゃん。ちょっとやる気出て来た、かな?』
建宮「……好き勝手してやがったのよな、ゲコ太レッドさんよぉ。俺の大切な家族を、アマクサ組の連中を」
建宮「こいつぁケツ引っぱたくだけじゃ済まないよな。覚悟は良いのよ?」
ゲコ太レッド『他の人は電撃でアフロになってるようだけど、最初からアフロの相手は……そうね、スッキリ丸刈りで爽やかにしようかしら?』
建宮「やれるもんならやってみるのよ!この建宮斎字、いや――」
クワガタアフロ(建宮)「”地獄神官クワガタアフロ”を獲れるもんならなぁ……ッ!!!」
――回想
……ズォォォン……
建宮「……やれやれ、なのよな。やっこさん大暴れしやがって、他人様の基地で修理費どんだけかかると思ってんのよ」
上条「……建宮」
建宮「あぁ少年はいいのよ。俺がパーッと行ってパーッと解決してくるからよ」
上条「――建宮!」
建宮「あぁウルセェのよ。自分の名前ぐらい知ってるのよな」
上条「お前じゃ無理だよ!俺は分かるんだ!あの赤い悪魔と戦って――?」
上条「……」
上条「――は、ないけど!生身の段階で完封喰らってる俺には分かる!俺たちの戦力じゃ勝てない!」
建宮「……オイオイ少年よぉ。戦う前から何言ってんのよ?勝負はやってみなきゃ分からないのよな!」
上条「でも――」
建宮「しつこいのよ!そんな臆病モンはアマクサ組から出ていくのよ!」
五和「組長代理!?」
上条「ふざけんなよ!俺も戦うに決まってんだろ!世話になった仲間見捨てて一人で逃げられる筈ないだろ!?」
建宮「仲間だぁ?お前さんいつから我らの身内になったのよな?何調子こいてんのよ?」
上条「ウルッセェな!お前らがなんと言おうとも俺が思ってればそうなんだよ!」
五和「そ、そうですよ組長代理上条さんはもううちの一員だっていつも言ってるじゃないですか!」
建宮「五和――お前さん、俺の言うことがきけないのよ?この組長代理である建宮斎字の言葉を、よ?」
建宮「だっちゅーんなら今日この日を以てお前さんとはお別れなのよ。この勘違いしたガキ連れてさっさと出ていくのよな!
五和「……どうしたんです建宮さん……?なにか、何かおかしいです……!」
建宮「おかしいもなにもないのよ――対馬!俺は出撃するのよ!」
対馬「……はい。私もすぐに」
上条「建宮――お前!こなんなんでいいのかよ!?」
建宮「部外者に四の五の言われる筋合いはないのよ――が、まぁアレよな。社会常識として言ってはおくのよ」
建宮「どうか達者で、なのよ」
ガチャンッ!
五和「建宮さん……」
上条「五和、そのなんだ?えっと」
対馬「はいはいそこまでにしなさい。あんた達はさっさと逃げる。あ、これ逃走資金ね」 スッ
上条「対馬さん!俺たちも残って戦いますよ!こんな、こんな別れ方じゃ納得できない!」
対馬「あー……組長代理の通訳すんのも面倒なんだけどね−、要は『二人だけで逃げろ』って言ってんのよあのバカは」
五和「え、でもっ!」
対馬「組長代理が本気で怒ってたら『お別れ』ぐらいじゃ済まないでしょ?なんで『破門』にしなかったか分かる?」
対馬「それはもうあんた達に託してんのよ、アマクサ組の未来をね」
上条「俺たちに?」
対馬「私たちが勝てればそれで良し、でも負けてしまってもあんた達がどこかで新しいアマクサ組を立てればそれはそれで良し」
上条・五和「……」
対馬「……バカなのよ、アイツは」
上条「お、俺は!」
対馬「その怒りは取って置いて?戦うべき時はここじゃない、”現実”って敵があなた達を待っているんだからね」
五和「……ありがとうございます、対馬、さん」
対馬「……うん、元気でね」
上条「対馬さんは?」
対馬「んー、まぁ一人ぐらいはアフロに死に様見取ってやる人がいてもいいじゃ無い?それじゃ、さよなら」 スッ
上条「……」
五和「……行きましょう、上条さん。組長代理の気持ちを無駄にしたくはありません」
上条「……なぁ、五和。頼みがあるんだけど」
五和「い、今ですか?後じゃダメですか?」
上条「ダメだ。今じゃなかったら」
五和「できれば手短に」
上条「その――」
上条「――一緒に、死んでくれないか?」
――アマクサ組秘密基地入り口 現在
ズドォォォォォォォォォォォンッ!!!
クワガタアフロ「ぐ、ぐはっ……!?」
ゲコ太レッド『中々やるじゃない。てか何の能力?火に水に雷に風、あと金属?」
クワガタアフロ「五行相克の業、なのよな……」
ゲコ太レッド『秘密結社のトップに相応しい力だったわ。残念なのはあたしとの実力差が分からなかった事だけど』
クワガタアフロ「お、俺を下した程度で調子乗るんじゃないのよな……!俺はただの組長”代理”、組長は俺なんかよりももっと強いのよ!」
ゲコ太レッド『もういい?このあと人を捜さなきゃいけないのよね』
ズドォォ――パキイィンッ……ッ!!!
クワガタアフロ「しょ、少年……!?」
上条「おう、さっきぶり。てか10分も経ってないのにボロッボロだな。人には威勢いいことばっか言いやがったのに」
五和「組長代理……!?なんて酷い姿に、命よりも大切なアフロを全部引き抜かれるなんて!?」 パシャッ、ピロリロリーン
クワガタアフロ「バカ野郎!お前さんたちが来ちまってどうするのよ!?アマクサ組の未来を!」
上条「未来なんていらねぇよ。んなモンクソ食らえだ」
クワガタアフロ「だがっ!」
上条「ここで尻尾巻いて逃げ出して?何年か先に復興させたとしてだ?」
上条「『俺たちは仲間を見捨ててノウノウと生き延びました』って言うような人間、お前は信じられんのか?なぁ?」
クワガタアフロ「そ、そいつぁ……」
上条「……ここで死ななくても、俺の心は死ぬんだよ!お前ら見捨てて一生生きなくちゃいけないなんで俺は嫌だ!」
上条「だったらここで死ぬまで戦ってやる!」
クワガタアフロ「……バカ野郎、なのよな」
五和「代理、こっちへ」
ゲコ太レッド『逃がすと思って?』
上条「おっと待てやコラ!お前の相手はこの俺が!」
ゲコ太レッド『――ゲコ太パーンチ!』 ボスッ
(※ただのパンチ)
上条「ぐふっ!?」
ゲコ太レッド『ゲコ太キーーーック!』 ボスッ
(※ただのハイキック)
上条「あだっ!?」
ゲコ太レッド『ゲコ太腹パン連打!』 ドスドスバスボスッ
(※ただの暴力)
上条「ごふっ!?げふっ!?おうっ!?がぁっ!?」
ゲコ太レッド『あ、何かスッとした。よし!とツーセツト行くわよ!』
上条「――卑怯者!能力使って来なさいよ!生身の身体能力で圧倒するだなんてズルいと思わないのか!?」
佐天(通信)『ちょっと何言ってるのか分かんないですね。多分そのキレ方したのは上条さんが世界初だと思います』
初春(通信)『てか予想以上に御坂さんのバイオレンスが冴え渡ってますよね。ヘイト溜まってたのかなー』
ゲコ太レッド『分かって……!あたしだってしたくないのよ!ただ台本に「超フルボッコでwwwwww」って書いてあるだけで!』
上条「そりゃドSに台本書かせりゃそうなるわ!結果見えてんだから書かせたヤツも共犯だよ!」
ゲコ太レッド『……あなたはもう他の子を見なくていいのよ?あたしだけを見てくれれば、それで――』
上条「なんか雰囲気的にはいい事言ってるぽいが、外見カエルの着ぐるみだからロマンも何もあったもんじゃねぇがな!」
上条「……クソ!俺に力を――!俺も戦う力が欲しい……ッ!」
――キィィンンッ――
ゲコ太レッド『な、何この音は!?』
初春(通信)『気をつけてゲコ太レッド!基地内のイントラへ強制的に誰かが介入しています!』
ゲコ太レッド『あなたよりも上の相手なの!?そんなのいる訳が――』
アレイスター(音声)『――やぁ。中々面白いことになっているようだね』
上条「誰――いやこの声はヘンタイ理事長か!?」
アレイスター(音声)『ヘンタイ呼ばわりは止めたまえ。興奮するだろう?』
上条「だからそういうとこだよ」
アレイスター(音声)『何やら面白いことをしているようなのでね。私も混ぜて貰っても構わないかな』
ゲコ太レッド『――通信を切って!早く!』
初春(通信)『無理ですよ!相手は複数台のスパコン、いや量子コンピューター並の計算速度を使用している模様!』
アレイスター(音声)『君も中々だがね。時として数の暴力に質は負け、質と数の暴力には全てが膝を折る。憶えておきたまえ、さて』
アレイスター(音声)『力が欲しい、君は今そう言ったね?その言葉に嘘偽りはないのかな?』
上条「あぁ!」
アレイスター(音声)『何を犠牲にしても?力の代償に全てを失う覚悟があると?』
上条「……勿論だ」
アレイスター(音声)『では君は何を望む?全てを弑する悪魔の力か、それとも世界を支配する魔王の業か』
上条「いいや、そんなもんいらねぇよ。どうせ持ったって持て余すだろうし、俺はそんな柄じゃない」
アレイスター(音声)『ならば何を?』
上条「俺が求める力……それは誰かを守るための力だ」
上条「力で押しつけるんじゃない、虐げるのも違う……ただ力ない人の力になりたい――」
上条「――そのための、力を……ッ!!!」
アレイスター(音声)『了解した。ではこう叫ぶといい――』
アレイスター(音声)『――”まじかるカナミン、セットアップ護衛艦いづも型”、とね……ッ!!!』
上条「おう!マジカルカナミーーーーーーーーーーーーーーーーン!護衛艦――」
上条「――って違うわ!?これアレだろ!?まじかるカナミンに変身する流れだろ?!系統違う違う!そっちじゃねぇよ!」
上条「見てる人ビックリするだろ!?なの○さんがいきなりフェイ○きゅんの衣装に変身したら『え、何があったの?』ってなるだろ!」
アレイスター(音声)『それほぼ同系統だし、「あぁついに一線越えたんだね」ってファンは驚きもしないよね』
上条「そうじゃなくて!もっとこうね、男っぽいのを!流行りのを!』
アレイスター(音声)『じゃあ『キラメ○チェンジで』
上条「最新だけども!テンションゲージが壊れてると思ったけども!」
アレイスター(音声)『注文が多いな。では何かこう決意表明をしたらどうかね?新シリーズでは童×捨てるとか』
上条「いや俺はアイドル枠だから?誰か付き合ったりしたら、こう神聖不可侵なイメージが悪くなっちゃうから?」
上条「だからうん、しないだけであって?彼女を作ろうと思えばすぐにでも?プロ意識として作らないだけであって?」
アレイスター(音声)『まぁどうでもいいから適当にスーツはこちらから転送する』
上条「分かった……恩に着るぜ、アレイスター!」
アレイスター(音声)『フッ、私と君の利害が一致しただけのことだ。後になってから悔やみ、苦しみ、絶望に満ちたからでも同じことが言えるかね?』
上条「それは……なってみないと分からない。ただ今は、お前に感謝の言葉しかねぇってことだよ」
アレイスター(音声)『どう致しまして、かな』
上条「これ以上……お前らの好き勝手にさせないぜゲコ太レッド!」
ゲコ太レッド『くっ!』
上条「『――来い、新しい俺の力よ!』」
上条「『弱きものを守る剣!狂奔から護る盾に俺はなる――!!!』
上条「……」
ゲコ太レッド・佐天(通信)・初春(通信)『……』
建宮・五和「……」
上条「………………アレ?」
アレイスター(音声)『――あ、ごめん。君の改造手術はしてなかったんだった』
上条「返せよぉ?!俺の時間と見栄と期待を返して!?『俺珍しく主人公っぽい扱いされてるよ!』って思ってたのに!」
上条「つーか今の下り丸々いらなかったろ!?世界で一番意味のない文字の羅列だよ!」
初春(通信)『あの、お言葉ですが、これを言うのでしたらここの運営全てが特に生活に役立つ訳でなく、かつこれといった存在価値もないため、100%無駄だってブーメランが』
佐天(通信)『自虐が過ぎるかな。否定はできないんだけど』
上条「いいよドチクショー!こうなったらも生身で吶喊したらぁ!」
佐天(通信)『ヤケクソですね。てかあたしでもこの展開は心折れるよ』
初春(通信)『味方が積極的に折りに来てますからね。理事長の下りは必要だったのかと小一時間』
ゲコ太レッド『いい度胸ね!かかってきなさいよ!』
???「――お待ちなさい!」
上条「誰だよチクショー!?もう騙されないぞ!俺に味方は居ないんだ!」
???「荒み方が半端ではないですね。控え室で挨拶してから何があったのですか」
ゲコ太レッド『誰よ!?邪魔しないで!』
???「そういう訳にも行きません。我が同胞、我が仲間、我が屋敷、そして護るべき弱者」
???「……ここまで荒らされて、黙っていろと言うのが酷ではないでしょうか」
建宮「あ、あなたさまは……!」
神裂(???)「アマクサ組組長、神裂火織!義によって助太刀致します……ッ!!!」
――アマクサ組 地下
神裂「――アマクサ組組長、神裂火織!義によって助太刀致します……ッ!!!」 ジッ
↓
(※視線)
↓
上条「ん?」
神裂「建宮もよくぞ持ち堪えてくれましたね・。あなたに感謝を」 ジッ
↓
(※視線)
↓
上条「……」
建宮「もったいないお言葉なのよ……!」
上条「あれ……?なんつーか、あれ?視線が、つーか目線が……?」
五和「どうしました?」
上条「ちょっと待って。多分俺の気のせいだと思うけど――建宮!お前こんな傷ついて……!」
神裂「離れなさい外道め!私の師であり大切な配下を痛めつけた罪、後悔させてあげましょう!」 ジッ
↓
(※視線)
↓
上条「……五和ごめん。ちょっとこっちに来て」
神裂「この上五和を人質にとるつもりですか!?……なんと恥知らずな所業を……!」
上条「……あぁうん分かった。なんかおかしいなって思ってんだが、違和感の正体がはっきりしたわ」
神裂「あなたの罪を教えて差し上げましょう――怪人カ・ミジョー……ッ!!!」
上条「ちっっっっっっっっっっっっっっっっがうわ!?俺じゃねぇよ!?何で俺ロックオンしてんだよ!?近視か!?」
上条「敵はあっちだ、あっち!ちょっと落ち着いたら自己矛盾に気づき始めて静かになってる、あれ!ゲコ太の着ぐるみ着た人!」
ゲコ太レッド『うん……?あたしってこんなことがしたかったんだっけ……?』
神裂「……何を言っているのです?アマクサ組がどこかのファンシーな可愛いぬいぐるみに殲滅される訳ないではないですか」
上条「あ、テメーもしかしてアレか。隠れキリシタンならぬ隠れゲコラーだったんたかコラ!?」
建宮「意外に嫌いではないのよ。女教皇は自分のぬいぐるみに名前をつける派なのよな」
神裂「アフロには後で話があるとして――さぁ、尋常に勝負!」
上条「無理だもの。だってどっちとも素手で俺完封できるアマゾネス族の人達だもの」
ゲコ太レッド『――フッ、どうやら天もあたしに勝てと言っているようね!』
上条「まだだ!まだ俺は諦めないぞ!ここは交渉で場を収めるターンとみた!」
初春(通信)『ターン言ってる時点で終わりかと思いますよ』
佐天(通信)『しっ、初春!どこまで足掻くが面白いから!』
上条「誰かに好き勝手言われてる気がするが――待ってくれ組長さん!誤解があるんだ!話だけでもいいから聞いてほしい!」
神裂「どうぞどうぞ。私の確信を覆すのは困難かと思いますが」
上条「だからまずそっから違うだろ!俺が敵だっていうんだったら証明はそっちでしろよ!」
上条「俺が!どっちかっつーと善良な俺が何か悪い事したのかよ!?」
上条「なぁ――俺に罪があるんだったら具体的に言ってみろよ!」
神裂「女の敵で合っていますよね?」
ゲコ太レッド『大体合ってる』
初春(通信)『ぐうの音も出ないほど正論でしたね』
上条「違う――とは言い切れないけども!残念ながら今日に限って証拠を家に忘れてきちゃったから即座に反証はできないけども!」
上条「こう静かに16年振り返ってみれば!『ラキスケ野郎』との冤罪を着せられつつ、実際にはB止まりの俺はむしろシニカルな方じゃないかな!?
佐天(通販)『まぁ昨今のダークファンタジーor転生モノの二極時代には貴重な存在ですね。即手を出す情緒も駆け引きも切なさの欠片もない、エロのないエロゲ×モドキが』
上条「俺だけじゃないわ!大抵のヤローは紳士的なんだよ!一方通行とか垣根とかは(性的な意味で)浸漬だろがよ!?」
神裂「ちょっと何言ってるのか分かりませんが、そろそろ構いませんよね?辞世の句は詠んだということで」
上条「そしてお前こういうときに限ってノリッノリなのな!?台本に逆らえ逆らえ!言われた通りに演じてるだけじゃアクタージ○じゃないよ!」
建宮「女教皇は仮面ライダ○(無印)の再放送を毎週楽しみに見てた派なのよな!」
五和「そしてアクタージ○はそういう話でしたっけ?」
上条「でも誤解しないでほしいんだ!神裂の疑問へ対して明確な答えを今日は持ってないだけだ!不意打ちだったからきっと!」
上条「だから釈明の場を用意してくれれば!俺は弁護士同席して号泣しながら疑問に答える用意がないわけでは無い!」
五和「号泣の下りが入ってる時点でギャグですよね?何かもう『せめて笑いを取ろう』って思いが伝わってきます」
上条「俺の味方は……じゃ、じゃあ建宮!建宮は俺が無実だって証明してくれるよな!?」
建宮「あー……」
上条「あ?」
建宮「――あいつがやったんです」
上条「オマエ、オマエえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!?」
建宮「すまんのよ少年!俺の中の芸人魂が『あ、これどうぞどうぞの流れだ』って囁くのよな!」
上条「まぁ俺だってそうするけども!そっちの方がオイシイけども!」
佐天(通信)『しかしご覧の有様をよく考えてみると、上条さんことカ・ミジョーがここへ流れてきたのが悪いと言えなくもなかったり?』
初春(通信)『ハートフルな展開がほんのちょっとあったのに、色々台無しですよね』
神裂「覚悟しなさい上条当麻!今まで泣かせた分の精算を!」
ゲコ太レッド『そうね!あたしもいつかこんな日が来るとは思ってたけど!』
上条「……クソっ!俺に逃げ道はないのか!?」
???「――待てウエェイ!その争い異議があります!」
上条「レッサーだろ?”待て”と”ウェイト”くっつけてスベるのって一人しかいないし」
レッサー(???)「いやまぁそうですけど!何あなた勝手にバラしてくれやがってんですか人の見せ場を!?」
ゲコ太レッド『取り敢えず排除ね』
レッサー「いやそうでもなく!私が来たのはそのアホを助けるためではございません!プギャーするためです!」
神裂「なんて説得力。疑いようがないではないですか」
ゲコ太レッド『まぁ……そう、よね?』
レッサー「私が来たのはですね、ちょいとばかり疑問がありまして、Sono-Ahoについてですが」
上条「人のこと悪くいっちゃダメなんだぞ!アフォっていうほうがアフォだからね!」
ゲコ太レッド『あんたは黙ってなさい。で、なに?忙しいのよこっちは』
レッサー「まぁまぁまぁまぁ、私もまぁ乙女ちゃあ乙女ですし、皆さんの憤りは理解できるんですよ」
レッサー「上条さん改め、16年間やっぱ何もできなかったヘッタレー怪人に人生を左右され被害者に関しては」
上条「怪人名違う。そして運営がコメ欄で聞いて貰ったのに期待を裏切ってくれなかった!」
レッサー「どころか孔明と武田信玄を素で間違える始末でしたね。INTが低いのに無理をするからkono-zamaですが」
(※高くしたいです)
レッサー「まぁそれはさておき!お二人がやろうとしているのはただの私刑!一時的にスカッとしても、そこに生産性はあるんですかねっ!?」
ゲコ太レッド『そう……かな?さっきちょっとボコってあたしはスッとしたけど』
神裂「あの……台本。私は演じているだけでですね。大まかな流れとして」
レッサー「そういった意味でのストレス発散も大切なのは認めましょう!だがしかし上条さんにはもっと大切な責任の取り方があるんではないかと!」
上条「大切って……損害賠償でもしろっつーのかよ」
レッサー「いいえ――人生の墓場的な、ね……ッ!!!」
ゲコ太レッド・神裂・五和「……!?」
レッサー「えぇまぁ不満はおありでしょうけど!昔流行ったツンツン頭なんて今時ではないでしょうし、異能無効化だなんて何周後れなのかと!」
上条「それ全部俺が始めたんだよ。テンプレも何も神様(※鎌池先生)が偉大すぎてみんな似たような感じになったんだよ」
レッサー「んがしかし!穢されちまった哀しみを拭うには!人並み幸せを手にするためには!手近な事故物件で手を打つ勇気も必要です!目を覚まして!」
上条「今俺を事故物件って言ったか?オマエの幻想以外もぶち殺すぞ?」
佐天(通信)『関わったら呪われるという意味では、まぁはい、合っていなくもないような?』
初春(通信)『安い上にどこにでもありそうな落とし穴って感じもそれっぽいですよね』
上条「あれかな?君らこっちから顔見えてないからって暴言吐いてもいいって訳じゃないからね?俺だって人並みにはナイーブなんだからね?」
レッサー「確かに上条さんは加害者です!そして皆さんは被害者なのも間違いではありません!」
レッサー「ですがこれでいいのかと!被害者が加害者を許し、手と手を取り合って未来を作りあうなんて素敵じゃあないですか?ねぇっ!?」
ゲコ太レッド『あー……まぁ、ね。うん、反省して心を入れ替えるんだったら、まぁまぁ、うん。トドメを刺すのは本意じゃないしね』
神裂「ですね。更正するのであればいいことだと思います」
五和「で、ですよねっ!」
レッサー「じゃあその路線で――”””誰”””が引き取るんですか?」
ゲコ太レッド・神裂・五和「えっ?」
レッサー「いやですから被害者の方は大勢(一万弱)いる訳ですが、全員ってのは無理じゃないですか?体的にも法的にも」
上条「一万弱って注釈いるか?アルプスか」
佐天(通信)『補足しておくと一万弱とアルプス一万尺を描けたボケでですね』
初春(通信)『原曲はヤンキードゥードゥルですね。イギリスが植民地だったアメリカを扱き下ろした曲なのに、アメリカは嬉々として替え歌作って楽しんだという』
レッサー「なのでまぁ?ひじょーにお気の毒様ではございますが、上条さんを引き取るのは覚悟のあるお一人だけということで。えぇ先着の」
レッサー「皆様方におかれましてはね!この先ずっと罰ゲーム状態ではありますが!涙を飲んでどなたかお一人だけ犠牲になって貰うって事でシクヨロ!」
上条「なぁ観客気分で見てる二人の子に聞きたいんだが、俺ってそんなに罰ゲーム扱いなの?マジで事故物件なの?」
初春(通信)『世界を救う人が家庭も救えるかと言えば疑問符が』
佐天(通信)『ダイがハードする映画史の主人公は離婚した上、娘からも超嫌われてたよねー、です』
上条「オイオイ俺に味方はいないのかな?イスカンダ○まで行けば一人ぐらいいっかな?」
佐天(通信)『顔色悪い現地妻ができて、その元婚約者に付け狙われる未来が見えます』
レッサー「さぁ勇気を出して!誰か上条さんを引き受けたいって猛者はいませんかっ!?」
ゲコ太レッド『まぁ――仕方がないわね!あたしが犠牲になってあげるわ!気が進まないけど!全然これっぽっちも気乗りしないんだけどね!』
神裂「で、あれば私が。更正させるのには我らが天草式が最善かと思いますので」
五和「い、いえそんなとんでもないっ!お二人の大切なお時間を”嫌々”奪うんであれば不肖私が!」
ゲコ太レッド・神裂・五和「……」
ゲコ太レッド・神裂・五和 「ちょっと、話そうか(しませんか)?」 バチッ
建宮「お、おぉ……!大気が怒りで震えているのよな!オームが、オームの怒りを買ってしまったのよな……ッ!」
上条「アイツら相手でもこの三人だったらそこそこ戦えるだろ。物量で来られたら一方通行と垣根ぐらいしか相手になんないよ」
レッサー「いや流暢に長台詞でツッコんでないで、さっ今のうちにこちらへ」
レッサー「てゆうかあの数の暴力を捌ける学園都市が怖いです」
――某アジト
レッサー「――ようそこ上条さん!我らが『明け色の陽射し』アジトへ!」
上条「あぁうんありが――いや違う違う、お前らって『新たなる光』だろ。なんでバードウェイんとこの名乗ってんだよ」
レッサー「よく混同して間違えられるんですよねぇ。『ろ』がついてる方に”ロ”が入ってると憶えやすいですよ」
上条「ボスの悪口はやめろ!なんだかんだで20位内に入って来た特殊な癖(へき)の人達の琴線に触れる(であろう)ボスを悪く言うな!」
レッサー「次以降のアニメでは大暴れですけど、その機会はいつになったら……」
上条「六年半ぐらい間が空くとして2026年だぞ。オリンピック二回しなきゃ来ない数字だ」
レッサー「かれこれ16年の長い旅路ですしね。まだ可能性はあるっちゃあるでしょうが」
上条「てかレッサー、お前助けてくれたの?」
レッサー「ふっ、お任せください!伊達にイギリスのドリフター○と呼ばれた私でないですよ!」
上条「可哀想に。地元なのに異邦人呼ばわりされて厄介者扱いか」
レッサー「あれあれ?こちらの意図が正確に伝わっていませんねぇ?」
上条「あぁでもそれがマジなら助かったよ。ありがとうな」
レッサー「いえいえそんなとんでもない。お力になれれば幸いですが」
上条「で、悪いんだけど俺これから予備校行かなくちゃいけないから帰るよ。それじゃあな!またいつか会おうぜ!」
レッサー「ちょぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉと待ちましょうや、ねぇ?人に助けてもらっておいてその態度は!ないんじゃないですかねっ!?」 グッ
上条「やめて離して下さい!?誰か警察呼んで!?俺をこれ以上アホな世界に巻き込まないで!?」
レッサー「帰るんですか?いいんですかねぇ本当に?そんなことして?」
上条「なんでだよ。俺はNoと言える日本人を目指してるんだ!」
レッサー「おぉっとぉ?上条さんは?助けられた恩も返さずに?ゴーホームするのが主人公だ、と仰る訳で?」
レッサー「あーこれスピンオフ企画からオファー遠ざかっちゃいますねー。そんな主人公って主人公って言えないですしねー」
上条「――話を聞くぜレッサー!俺は助けて貰った恩をなるべく返す正義の人だっ!」
レッサー「話して途中で不安になったのか『なるべく』をつけたところが小市民っぽくでナイスです!流石は上条さん!」
上条「……先に言っとくけどダメなのはダメだからな?俺はメシがマズい国に骨を埋めるつもりはないんだ」
レッサー「超お言葉ですけど最近では改善されて来ましたよ?ただ伝統的なイギリス料理が食卓から消え、多文化共生主義になっただけで」
上条「レッサーは万年最下位の野球チームのメンバー全員を大リーガーに入れ替えて優勝しても、ファンはついてくると思う派?俺は最初の段階で持ってたグッズをお炊き上げする派だけど」
レッサー「イタリアがちょい前までそんな感じでしたな。国民の肌色が変る前に終わったようですけど」
レッサー「ではなく!上条さんをウチへお招きしたのは訳があるんですよ!じゃなければあんな修羅場へ割って入ったりはしませんとも!」
上条「修羅場っつーか俺一人が不当に扱われていたっつーか、まぁいつもと言えばいつもだが!」
レッサー「ですよね、あんまりですよね。復讐する力とか欲しくありませんか?」
上条「復讐はいらない。ただボケに巻き込まれても怪我しない程度のツッコミ力が欲しい」
レッサー「そうですよねっ!怪人のステップアップとして敗北イベントばかりってないですもんね!」
上条「だから方向性が違うっつってんだよ!?お前らのどーしよーもないマウント争いに俺を巻きこむな!俺はただ静かに暮らしたいだけなんだ!」
レッサー「……えぇ、まぁ私だってそうですよ。静かに暮らしていきたい、そう思っていましたとも」
レッサー「ですが!ですがこの状況を見てくださいよ!?あなたの目には何が映っていますか……ッ!?」
上条「状況言われてもな。別にどっかの倉庫か荷物置き場としか」
上条「てかお前の友達どうした?今回は単独犯なのか?」
レッサー「……ですよ」
上条「お?」
レッサー「いないんですよ……!卑怯な、卑怯な裏切りにあって『新たなる光』は私一人だけに……ッ!」
上条「マジかよ……!何があったんだ!?」
レッサー「……それは雨が降る夜のことでした――」
――回想
フロリス「……」
レッサー「――お、良かったですよランシス!こんなところにいたんですね!」
フロリス「……何か用かヨ……?」
レッサー「用じゃないですよ!何やってんですかあなた達は?週一にはアジト集まるって約束してましたのに!」
フロリス「ヤ、集まるも何も、ナ?分かるだロ?」
レッサー「全員が全員私の連絡を既読スルーしたり、電話したら着信拒否だなんて一体何の冗談ですか!?」
レッサー「――ハッ!?まさか私のお誕生会を内緒で計画していたり……!?」
フロリス「改めて思ったケド、オマエのメンタル半端ねぇナ。どんだけポジティブなんだ」
レッサー「まぁそういうことならバンバン許しますけど!まぁ今日は嫌でもついてきてもらいますよ!」
フロリス「――放せヨ」 パシッ
レッサー「あなた――まさか新型」
フロリス「それだけはネタにすんナって注意されてたロ!?何速攻で破ってんだコラ!?」
レッサー「私の体調を気遣ってくれる……優しい!」
フロリス「だから違うわ。てかそのネタから距離とれ距離。アホの××新聞みたいに自社に放火する趣味でもあんのカ」
レッサー「つまりはどういう?」
フロリス「あー、なンだ?前にイギリスでドンパチやったジャン?ワタシらを差し置いて」
レッサー「ありましたねー。アレイスター量産型が押し寄せる悪夢のような感じでしたが」
フロリス「そンときにダ、『よぉおぉっし!では私が様子を見てきましょうか!あなた方は待機していてください!後から連絡入れますんで!』ってゆーナ」
フロリス「……結局連絡はこねーシ、ワタシらが駆けつけたら終わってたシ、いいトコなんかなかったんだよ!?アァッ!?」
レッサー「随分悪いヤツが居ますね!よーしならば私の前へ連れてきなさい!私自ら世間様の厳しさを教えて差し上げましょう!」
フロリス「ヘイ誰か鏡持ってないカ!もしくはトラのビョーブでもいいゼ!」
――回想終わり
レッサー「――憎い!私から仲間を奪ったゲコ太レンジャーが憎いんですよ……ッ!」
上条「お前だよ。今の回想で分かったのはお前が予想以上にアホだったってことだけだよ」
上条「てか今の回想別に雨も降ってなかったし夜でもねぇしゲコ太レンジャー関係ねぇし!文字しかないんだから細かいボケを大量に押し込んでくんなや!」
上条「そもそも100%お前のせいじゃん。まぁそんなこったろうとは思ってたが、想像以上でも以下でもなかったわ」
レッサー「だって仕方がないじゃないですか!?予想以上に『ア系ロ×陽射し』のボスが厳し優しくてツルむの楽しかったんですから!」
上条「何度もいってっけど『明け色の陽射し』な?世間様から石を投げられそうなそんな楽しい組織名ねぇよ」
レッサー「ですから上条さんお願いです!新組織を立ち上げるためにも!私と一緒に戦ってくれませんか!?報酬は私のボディ差し上げますから!」
上条「その報酬は腐ってるからいいかな。一見食べられそうなんだけど、口開いた檻の中に置いてあるのが見え見えだから」
レッサー「では……?」
上条「まぁ助けて貰った恩もあるし、俺でいいんだったら新組織に参加させて貰おうかな」
レッサー「ありがとうございますありがとうございますっ!」
上条「ていうかさ、新組織ってなにすんの?アマクサ組ははフツーのヤ××っぽい土建屋さんだったけど」
レッサー「フランス大使館へ差し入れするNPOを結成しようかと」
上条「おぉ意外とまとも。差し入れって良心的じゃん、弁当とか水?」
レッサー「あぁじゃあちょっとやってみましょうか。丁度近くの大使館がありますんで」
――某国大使館前
レッサー「ここですね」
上条「立派――でも、ないな。意外と煤けてる感じだが。予算なかったのかな?」
上条「てかお前差し入れも何も手ぶらなんだけど」
レッサー「髪ブラの方がお好みですか?」
上条「エロい話してねぇよ。あと手ブラの方が好きだけど。生まれ変わるんだったらブラになりたいけど」
レッサー「神様がもしいたら『ちょっと何言ってるのか分かんないんじゃよね』って言ってると思いますよ」
上条「差し入れっていってもなぁ。今だったら紙製品とかマスクとか?」
レッサー「あぁいえそうではなく、ここに袋があります。できればコンビニ袋よりも土嚢袋の方が適度な硬さがあってベターですが、ないんでコンビニのです」
上条「お前それゴミ箱から拾ってきたヤツ……衛生的に最悪じゃねぇか」
レッサー「で、これにですね。そこら辺に落ちてる石やらガレキ、工事現場に落ちてたナットやボルトを袋につめてラッピングします」 キュッ
レッサー「こうすることで多少軽いものでも安定する上、ある程度威力を高めることができると」
上条「……プレゼント?どう見ても時価0円のゴミを?」
レッサー「何言ってんですか上条さん!こういうのは気持ちですよキ・モ・ティ!お値段リーズナブルでも贈る気持ちが大切なんですよ!」
レッサー「想像してみてくださいな。児童がご両親へプレゼントした手作りの何か!拙い、ぶっちゃけゴミでもあなたはどうされるので!?」
上条「そうだけどさ。お前は幼稚園児じゃねぇし、フランスさんはお前のご両親でもねぇよ」
レッサー「まぁまぁ。お互いの理解を深めるためにも、こういう地道な文化交流が必要でしょうに」
上条「程度によるかな。そのゴミを受け取る度量が大使館側にあるかどうか」
レッサー「では気持ちを込めましょう――こおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ……ッ!」
上条「キャラじゃないことすんなよ!?何お前闘気的なもの練ってんの!?」
レッサー「『フランスに死を!フランスに死を!フランスに死を!フランスに死を!フランスに死を!フランスに死を!フランスに死を!フランスに死を!フランスに死を!フランスに死を!フランスに死を!フランスに死を!フランスに死を!フランスに死を!フランスに死を!フランスに死を!』
上条「ふービックリした。なんだいつものレッサーか」
レッサー「そして!私の思いがたっぷり詰まったこのプレゼントを!」 グッ
上条「を?」
レッサー「『コ××ピザお届けに上がりましたーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!』」
ブゥンッ、バ゚リーーーインッ!!!
上条「何やってんだテメー!?一人インティファーダ!?」
(※犯罪です。絶対に真似しないでください)
レッサー「さっ、逃げますよ!我々の善意がフランスに届いたと信じて!」
上条「出頭しろやドアホ!?お前これ普通に国際問題だからな!?」
レッサー「何を仰いますか!私は奥ゆかしい人間なので、善意のプレゼントへ対し名乗りでるような真似はしませんとも!えぇ!」
警備員『――いたぞ!あいつらだ!』
レッサー「よーし逃げましょう上条さん!ダッシュで逃げましょう上条当麻さん!日本からお越しの上条さんは足遅いんで逃げ遅れないでください当麻さん!」
上条「人の名前連呼するんじゃねぇこの悪魔!?あぁお前が頑なに本名名乗らないのってそういうのが理由!?」
――新しい魔術結社・アジト
レッサー「いやー、いい汗かきましたねー。私の善意がフランスの皆さんに届くかと思うと、いい気分になれますなー」
上条「……お前何なの?イギリス警察が黙ってないよ?」
レッサー「イギリス警察がフランスのために動くとでも?」
(※個人の感想ですが、同国人相手ですらザルです)
上条「だから何回も言ってるけどお前ら文明人名乗るのやめろよ、なっ?」
レッサー「なんでですか!?私の善意が受け入れられないって言うんですか!?酷い!」
上条「じゃあ聞くけど、お前んちに石投げられてガラス割られたらどうよ?」
レッサー「何言ってんですか。犯人捕まえてアレとコレとソレを割るに決まってるでしょう?」
上条「正気じゃねぇか。ベイロープさんに連絡して格子窓の病院に収容して貰おうかと思ったけど」
レッサー「――と、いうのが我々の新しい結社の主な活動指針となります!」
上条「結成動機が反社会的!?いくらグローバルだからってその存在理由は許容されねぇぞ!?」
レッサー「なお理由は『大使がドMだから喜んでくれると思った』」
上条「一概に否定出来ないのが何とも……いや、だからさ。やるんだったらもっとまともにしろよ。じゃないと他のメンバー帰ってこないぞ?」
レッサー「他のメンバー?」
上条「お前が反省するまで距離置いているだけかもしんないし、あんまバカやったら余計逃げられるだろ」
レッサー「いや知りませんね?『新たなる光』?なんですそれ新しいソシャゲーの名前ですか?英雄×戦○の新キャラですか?」
上条「好きな会社ほどソシャゲー初めて本業に帰ってこないってどうなんだろうなぁ……」
レッサー「幼女ハンター怪人カ・ミジョーさんはヴラ○様の壁に等しい乳が好きだと……メモメモ」
上条「一言も言ってない。だがあのキャラデザだけ微妙に力入ってるような……?」
レッサー「逆にお聞きしますけど、上条さんの方のご要望はないんですか?設立メンバーの一人なんですから、融通は利くかと」
上条「非人道的なのは全部NGだ。んなことしやがったらまず俺が敵に回る」
レッサー「了解しました。そのボーダーはどのぐらいですか?フランスへ行って『ドイツがトイレットペーパーを奪いに攻めてくるぞ!』っていうのはオーケーですよね?」
上条「だから今のご時世で危険なのは自重しろって言ってんだろ!?ドイツ巻き込むなよ!?」
レッサー「……くっ!国の違いがここで仇になりましたねっ!」
上条「二週間ぐらい前、混沌帝国メシマーズの市長候補が『五輪ウチでやってあげようか?』って宣ったときは、うん」
上条「あれがイギリスの総意だっていうのなら、お前らはそのまま乾いていけばいいんじゃないかな?」
レッサー「日本のクルーズ船プギャーして調子ぶっこいてた頃ですね。あのときは良かった……」
上条「あぁそういえばあの船の船籍はイギリスなんだから、保護の義務はお前ら――」
レッサー「――さっ!前を向いて歩きましょうね!過去は振り返らず顧みずに!」
上条「お前らそんなんだかに何度も何度も失敗するんだよ。何回大戦起こしてりゃ気が済むんだ」
レッサー「失敬な!地域紛争(中東戦争×4・ボスニア内戦・ユーゴスラビア内戦)を含めてまだ10回未満ですよ!」
上条「そういうとこだぞ?ダメなのは?」
レッサー「ですがまぁ非人道的じゃない悪の秘密結社を作ろうぜ、と言われましても。正義じゃないライダ○がいるのかと!?」
上条「結構いるわー。アポロガイス○時代からいるから、かれこれ半世紀近く前からいるわー」
レッサー「では発想を変えましょうか。我々が悪になる必要は必ずしもないのでは?」
上条「そうだね。俺の知り合いが魔術結社未満のサークルだって名乗っておきながら、イギリス連邦にテロしかけた人たちもいるしね」
レッサー「そんな反社的な奴らがいるんですか!?私がそげぶしてやりますよ!前に出て来なさい!」
上条「そういやお前にらはしてなかったっけか。だから『宇宙で最も迷惑な奴として蘇るのだ』って復活ししやがったんだな」
レッサー「お言葉ですが昭和ライダ○からディケイ○ネタまで一体何人がついてくるのかと」
上条「いいんだよ別に!ゲコ太レンジャーは戦隊ものをイメージして始めたのに、全然出番がないんだからな!」
――超獣戦隊ゲコレンジャー 作戦室
初春「いやー、大戦果でしたね御坂さん!まさかあそこまで白熱するとは!」
御坂「危なかったわね!スーツがなければ勝負は分からなかったわ!」
佐天「あの……『これ以上は匿名にしないと放送できない』って向こうが譲ってくださったような。ぶっちゃけた方が試合に勝って勝負に負けた的なアレですよね」
御坂「あたしも顔出しだったら負けてたわね!流石はゲコ太スーツ!」
佐天「普通に物理攻撃出してましたもんね。一応とはいえ好きな相手にあれはどうかなー?どうなのかなー?」
御坂「――すれ違いから始まる恋だって、あると思うのよね?」
初春「あくまでも未確認情報ですけど、街中で超電磁砲らしき物が何回か発射されたと記憶に。未確認ですけどね」
佐天「あれあれー?おかしいのはあたしでいいのかなー?」
御坂「ま、まぁいいじゃない!悪い人達は改心して土建屋さんとして頑張るって言ってくれたし!」
佐天「一周回って同じところへ着地してるだけです――って何?アラーム?」
――ヴェーオッヴェーオッヴェーオッヴェーオッヴェーオッ――
初春「『――はい、こちら作戦司令室です!報告を――』」
初春「『ってもしもし?電波が途絶えて、もしもーし!?』」
御坂「どうしたの?」
初春「……って切れてますね。『侵入者が――』までは聞き取れたんですが」
佐天「それって大変じゃんか!?」
初春「ですね。警備部を突破してきているのですから事態は深刻です――御坂さん」
御坂「了解。ちょっとオシオキして来る――」
ドォォォォォォォォンッ!!!
佐天・初春「きゃっ!?」
御坂「――危ない!」 バチッ
佐天「……すいませ、ん?おぉ……鉄骨がリアルに曲がってる」
初春「助かりました」
御坂「……」
一方通行「――あァクッソつまんねェ。なンで俺がこンな仕事しなきゃいけねェンだ?なァ?なンでだと思う?」
御坂「残りの人生全てをあたしのクローンのお菓子台を稼ぐために遣うから?」
一方通行「いやァまァ?強くは否定しできねェっつーか、そンなにダイレクトに言われっと、反発してェよっつーか?」
佐天「反論しましょうよ。そこは諦めずにきちんと言わないと!」
一方通行「まァ別にお散歩で来た訳じゃねェンだよ。ゲコ太レッドさンよォ、言ってる意味は理解できたか?オーケェ?」
御坂「一方通行――ッ!!!」
一方通行「あァいや違うンだわ。俺は俺で合ってるけども、その名前はちっと違う。今の俺は学園都市第一位でもねェ。名乗るとすれば、こうだ――」
綿棒伯爵(一方通行)「――悪魔怪人、綿棒伯爵ってなァ……ッ!!!」
御坂「あぁ……まぁ、白いわ細いわで、そうっちゃあまぁ、そうよね」
佐天「疑問に思いましょう?このクサレ仕事のオフアー来たとき、役名確認して抗議する時間はなかったんですか?」
綿棒伯爵「ウルセェよ!勝手に引き受けちまったから後に退けねェんだよ!?」
佐天「意外と律儀だった!?」
初春「まぁ契約社会ですからねぇ」
御坂「――二人とも、行って」
佐天「御坂さん!?」
御坂「ここはあたしが時間を稼ぐから、だなんて月並みな台詞は言いたくなかったんだけどね。ま、仕方がないわ」
初春「……せめて!せめてゲコ太スーツほを装着してください!そうすればまだ勝ち目が!」
御坂「スーツも必要ないわるあれは――本来の持ち主へ返しておいて」
佐天「本来って……?」
御坂「いいから早く!じゃないとあたしが逃げられないから!」
初春「分かりました。行きましょう!」 タッ
佐天「……絶対ですからね?御坂さんが来るまであたしたちずっと待ってますからね?」 タッ
御坂「えぇ約束よ」
綿棒伯爵「いいのか?できもしねェ約束なンぞ結ンじまって?」
御坂「いいのに決まってるでしょ。これからアンタをボッコボコにするし、お友達に見られたくないのよねぇ。あんまり」
綿棒伯爵「上ォォ等ォッだよオマエ!!!」
御坂「行くわよ。ハアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!」
ズウゥンッ……!!!
――超獣戦隊ゲコレンジャー ラボ
一方通行「……」
一方通行「……あン?あれ?」
初春「あ、気がつかれしたようですね。どうですか?頭が痛いとか吐き気がするとか、調子の悪いところはありますかね?」
一方通行「いや、ねェけども」
初春「なら結構」
一方通行「いや結構じゃねェよ。なンでオレ磔になってンの?ウルト○兄弟が強い敵にシバかれてピー○姫状態なンだけど?」
初春「私の知ってるピー○姫は磔になるシーンはなかったと思いますが……」
一方通行「配管工とカメ、どっちが彼氏が選べるか?」
初春「あの世界はフワッとしていますから、それ以上はちょっと。ただもっと適齢期の男性はいないんでしょうか」
一方通行「てか俺がさらし者になってるってェことは負けた?いやァ、俺負ける要素あったか……?」
初春「……いやぁ、激闘でしたね!まさか御坂さんの左フックが反社を貫通するとは!」
一方通行「してねェよ。能力ナメんてのかコラ?あと反社じゃなくて反射な?ボケが細けェわ」
初春「かっちゃ○?」
一方通行「いやまァ合ってるっちゃあ合ってるけども。それ言うんだったら、うン。触れない方がお互いのためにもだな」
初春「と、いう冗談はさておきまして。危なかったですね。専門の人質を用意してなかったら負けていました」
一方通行「人質?」
打ち止め(in培養カプセル)「いやーなんか懐かしい場所なんだぞ、ってミサカはミサカは感慨に耽ってみたり!」
一方通行「墓石はホームランバ○のハズレ棒でいいンだっけ?」 ビキッ、ビキビキビギッ
初春「待ってください!それ以上動いたらアホ毛ちゃんが大変なことになりますよっ!?」
一方通行「言うじゃねェか。どォすンだって?」
初春「私の言う事を聞かなければ――成長させます」
一方通行「テメェ……ッ!!!」
一方通行「……」
一方通行「何ゴメン。今なンつった?リピートプリーズ?」
初春「ですからこのアホ毛ちゃんを急速に成長させたいと思います」
一方通行「いや……オリジナルもいるし、無茶な真似はしねェとは思ってたンたが……成長?成長ってなンでそれが?」
初春「ペ×ですよね?」
一方通行「違うわ。俺の存在意義からして違うわ」
初春「成長されたら困るのはあなたでしょう!?」
一方通行「いやァ……熱出すとか、今より健康になるンだったら別に何も?お守りからも解放されるしなァ」
初春「今は××歳児だからいいものの!大人になって密着されたら困りませんか!?」
一方通行「いや、それも別に?」
初春「……女性に興味無し――メモメモっと」
一方通行「やめてくンねェ?人の台詞から壮大に話盛るのやめてくンねェかな?俺が言うのもアレだけど、常識的な話じゃね?」
初春「ではあなたがアホ毛ちゃんが大人になってもいいと仰るんで?」
一方通行「体に負担がかかったり寿命が減ったりっつーよーなリスクがねェンだったら、まァ?いいンじゃねェの?」
初春「ミサワさんが二人に増えるとしても?」
一方通行「地獄だな。マジでしたら別の話に行ってても殲滅すンぞ?」
初春「そして本人が割りと乗り気でして」
一方通行「あ?」
打ち止め「くっくっくっく!このミサカが大人バデーになったらノーサツするんだ!ってミサカはミサカは野望を表してみる!」
一方通行「すいませン。何でも言う事聞くからやめてもらえませンか?」
初春「ご理解を頂いたようでありがとうございました。アホ毛ちゃんは速やかに送迎致しますので」
一方通行「ンで?俺に何させてェんだ?」
初春「お忙しい方にお願いするのは非常に心苦しいのですが」
一方通行「じゃあ帰せよ。俺だって仕事あンだよ、もう直ぐ新学期だし」
初春「実はヴィラン役をやって頂けないかと」
一方通行「あーそれもォやってるわー。今調べたら16年前(無印3巻・2004年9月初版)からそンな感じだわー」
初春「えぇ、実は私もビビったのですが、第一巻の発売日が同年4月で三巻が9月。三ヶ月弱で一冊書く神様(※鎌池先生)の体力とは……!」
一方通行「そりゃァ仕方がねェわ。だって相手は神様だし」
初春「ある意味我々に試練を強いている元凶であると……!」
一方通行「止めろ。薄々思ってっけど、誰も彼も空気読ンで黙ってンだよ」
初春「で、一方通行さんにはヒーローではない方の人気役をですね」
一方通行「……ヒーローよりか汚れ役の方が俺には似合ってっけどよォ。まァいいわ。ボランティア活動よりかはマシだろ」
初春「ありがとうございます。では効率的に子供を泣かせてくるのはどうしましょうね?」
一方通行「重いわー。ヴィラン引き受けてから一秒で消化しきれない台詞が来たわー」
初春「はい?何か?」
一方通行「子供を泣かすってどォいうことだよ?悪の組織の改造人間的なアレなンだよなァ?」
初春「はい。ヴィラン同盟にバ○君が捕まって改造された感じで」
一方通行「だから中の人ネタはいいンだよ。今何にハマってるか丸わかりじゃねェか」
一方通行「……子供?社会不安にさせンのか?」
初春「いいえ?子供が泣くと像からダイアモンドがドバーッと吐き出す仕様らしいですよ?」
一方通行「パチスロか」
初春「いえ本当にあるんですそういう悪の組織が!毎週毎週しょーもない方法で子供を泣かせようとしてたんですから!」
(※兄弟拳バイクロッサ○)
一方通行「へー……なにオマエ、そのしょーもない悪役を?俺に?やれっつってンのか?あァ?」
初春「特にご希望も無いようですので、消去法で?」
一方通行「嫌だわ!俺だってやるからにはもっとまともに悪役してェわ!」
初春「では”赤い通り魔”レッドマ○を」
一方通行「それヒーロー戦隊じゃなくてウルトラ特撮系じゃねェか。あと赤い通り魔は正式名称じゃねェぞ?ファンが勝手に呼ンでんだからな?」
初春「いいじゃないですか!どうせ最後は負けるんですから設定なんてどうでも!」
一方通行「ヒーロー企画の全否定してンなよ。だったらヒーロー以外要らねェって結論になンだろ」
初春「ですが!エ×同人では難しい服を描いた方が売り上げが伸びるというデータも……ッ!」
一方通行「まァそォいうもンだからな。やることァ結局同じでも」
――新生 『新たなる光』アジト
レッサー「――今日も元気だスコーンが美味い!頑張って今日も一日反社しましょう!」
上条「イエース、プリテン!今もみみっちく大英帝国とか一部で言ってる国に忠誠を!」
レッサー「上条隊員!昨日の成果はどうでしたかっ!?」
上条「はいっ隊長!海外全てのフランス大使館のツイッターへ動画を貼っておきました!」
レッサー「ほう、動画を?その内容は?シミッタレたもんだったらケツバットですよ!」
上条「いいえ隊長!例の動画に英語字幕を入れて、『コロナピザってフランス製だと言われてますけど、あなたの国ではこんなしませんよね!』って!」
レッサー「ナイスですよ上条隊員!レッサーちゃんメダルを一枚進呈しましょう!」
上条「ありがとうございます!で、隊長は何をされていたんですかっ!?」
レッサー「私はバイトをしていましたよ!最近転がり込んできたヤローが役に立たないもんでね!」
上条「俺もそろそろ家が恋しいですけどどんなバイトを?」
レッサー「『恵まれない子に愛の手を』って箱を持って一日中立っているお仕事です!」
(※募金詐欺・違法です)
上条「流石は隊長!さすたい!」
レッサー「では次に誰か!他に報告はないんですかっ!?」
……
上条「隊長!僭越ながらお耳に入れたいことがあります!」
レッサー「なんだね上条隊員!私も丁度君に聞きたいことがあったんですが!」
上条「どんなしょーもない結社であっても、たった二人では回らない」
レッサー「私もそれを指摘しようとしてたところです。ボケ一人とツッコみ一人がベストだと思ったんですが」
上条「芸人じゃないからでは?我々がやろうとしているのは秘密結社であって、タレントではないかと」
レッサー「……盲点でしたね!以後気をつけましょう!」
上条「では隊長、今日の格言をどうぞ!」
レッサー「どんな温厚なイギリス人ジェントルをぶち切れさせる一言――『あぁ君ってイギリス人なの?てっきりフランス出身だと思ってた』」
(※言いません)
上条「ノイローゼか。あぁいや最近お前の気持ちが1%ぐらい分かるようになってきたけどもだ!」
レッサー「そうでしょうそうでしょう。大体世界の悪い事は太陽王orナポレオン時代のフランスかイギリスの仕業ですからね!恥を知りなさい!」
上条「俺、そこで一応イギリスも出す芸は凄いと思うわ。ただの事実かもしんないが」
レッサー「しかし新隊員ですかー。そこを突かれると厳しいところですな」
上条「基本この一週間やったのってしょーもないセコイ悪事ばっかだしな。誰かはモロトフ・カクテルをフランス大使館へ差し入れしそうになったが。俺は見てないから」
レッサー「『いつもパン籠ありがとーございまーす!』って意味ですよ?感謝を込めてるんですから分かって頂きたいかと」
レッサー「――あ、思いつきました!新しい隊員の募集方法!」
上条「おっ、なんすか隊長」
レッサー「赤ちゃんを量産すれば事実上戦闘員は無限大……ッ!」
上条「作った憶えはねぇな!?そしてその子が大事であればあるだけ戦闘員なんかさせられる訳がないわ!」
レッサー「まぁブラックな職場ですしねぇ。福利厚生なにそれおいしいの?的な」
上条「でも悪の秘密結社もお前ら魔術結社も、実態はそんなに変んないっちゃ変んないよね。死して屍拾うものなし」
レッサー「殺るか殺られながら道連れにする世界ですからね」
上条「……どっちみち一人は殺すのな」
レッサー「ではまぁポッと出の悪の組織としまして、今日は我々の武力を高める訓練を選んだ!ピコーン!」
上条「SLGあるあるだな。プリュマがヴェールしてツヴァイする問題作」
レッサー「現在の我々のクラスは戦闘員(※鉄砲玉)ですし、上級幹部職を目指さないと!」
上条「まぁ間違ってはないけど嫌な立場ですよね!だって一週間に一人ずつ消えていく運命だから!」
レッサー「一応ステップアップするために既存のヒーローを踏襲しようと思うんですが、何かご希望は?」
上条「怪人役がヒーローってのは深くは考えないとして……問題なのは枚数じゃね?」
レッサー「というのは?」
上条「だから単純に人手不足?戦隊モノだったら最低でも三人、ベストは五人だろ」
上条「てゆうか気になってたんだけど、これ超獣戦”隊”ゲコレンジャーだよね?」
上条「戦隊って名前なのにゲコ太レッドしか出てないってどういうこと?ビリビリのぼっち力はこんなところでも発揮しちゃうの?」
レッサー「そこはそれここの運営は長編以外は特にオチもなにも決めず、その場のノリで始めるようですので」
上条「そんなんでよく始められるな。アホか勇者か……アホだなむ
レッサー「『人数集まらないのも御坂さんっぽくてこれはこれでオイシイですね!』と」
上条「もう諦めてプリキュ○すっか?この間初代以来ぶりに生放送で見たら、敵が人型じゃなくて巨大な怪獣で驚いたわ!」
レッサー「私も詳しくは知りませんが、今回の主人公のメンタルがヘラってるって噂も少々。ですがあぁいう主人公って大なり小なり病んでいませんか?」
上条「ノーコメントでお願いします。しかし二人……んー、もう一人スカウトする?フロリスにごめんなさいしてさ」
レッサー「心配ご無用ですとも!こんなこともあろうかと二人組の戦隊ヒーローはリサーチ済みです!」
上条「あんの?そんなニッチなの?」
レッサー「兄弟拳バイクロッサ○です……ッ!!!」
上条「前の章でイジったヤツだろ!?一回出たネタなんだから引っ張るんなや!?」
レッサー「いえいえ、これがマジな話です。ご兄弟が変身ヒーローになるというニッチな作品でして」
上条「中身は……」
レッサー「お兄さんが格闘要員、主にカラーテでバッタバタをなぎ倒します」
上条「いいね!王道だよな!」
レッサー「弟さんがバイク要員、スズ○を乗り回します」
上条「また予想を裏切らない迷走ぶりだな!?なんでそうなった!?」
レッサー「では上条さんがお兄さん、私が弟さんのクラスに就く方向で」
上条「待てコラ!俺の疑問に答えてくれよ!?何をどうしたら弟がバイク担当になんの?暴走族的な感じ?」
レッサー「まぁそれは合体技で判明するんで……あ、じゃあ一回リハでやってみましょうか?」
上条「そんな軽い感じで行けんの?仮にも変身ヒーローの合体技を?」
レッサー「流石に弟さんの乗っているバイク、『ギンクロ○』は用意できませんのでこの原付で代用しましょう」 ブゥンッ、ブロロロロロッ
上条「リミッター切ってる独特のエンジン音。そして鍵穴が引き上げられて直結しやがったなテメーコラ」
レッサー「路上に落ちていたので落とし物として警察へ運んでいる最中ですよ?ただいつ持っていくのか、タイミングは私次第ということで」
上条「後で返してきなさい!持ち主は困ってるんだから!」
レッサー「へいへい、では改めまして――『兄さん!敵は怯んでいるよ、今のうちにブレーザーカノ○だ!』」
上条「……」
レッサー「『兄すぅわん!敵が!怯んで!』」
上条「分かったから声張るなよ。俺はただちょっと現実逃避してただけだから、『どうせ兄貴役俺だろうな』って」
レッサー「『行くよ、兄さん!』」 ブロゥンッ!!!
上条「『お、おう弟よ!』」
レッサー「――よいさっと」 ブロロロロロロロロロロロロロンッ!!!
上条「……」 スッ
レッサー「あれ?合体失敗ですね、ではもう一度!」 ブロロロロロロロロロロロロロンッ!!!
上条「……」 ササッ
レッサー「何やってんですか上条さん!合体攻撃なんだから合体しないと!」
上条「……なぁ、レッサー。多分100人中100人がどういう状況か理解できてないと思うから、説明していいかな?」
レッサー「あ、どうぞどうぞ。内心描写がないんで難しいですしね」
上条「まずレッサーがやってんのはエンジン吹かして俺の方にウィリーして突撃してきてる。器用だなーとは思う」
上条「それを俺はガチで回避している。ここまでで何か間違ってるかな?」
レッサー「外から見たらその通りかと」
上条「――俺を殺す気かこのアホ!?何原付で力一杯突っ込んで来てんだよ!?まだ俺は車にはねられたことはねぇぞ!?」
レッサー「”まだ”っていうのがとても悲しいです」
レッサー「ではなく!上条さん、合体ですよ!合体!ちびっ子から大きなお友達までロマンを感じるヤツですって!」
上条「だからどうやんだよ!?傍目にはお前が痴情のもつれで俺を轢き殺そうとしてるだけだ!」
レッサー「ある意味、正解」
上条「ウルッセェよ。DTなのに痴情がもつれてたまるか!」
レッサー「いやー……上条さんはワガママですなぁ。では一つ一つご説明いたしましょう」
上条「多分説得されても分からないと思う」
レッサー「まずですね、兄弟拳バイクロッサ○の主役は二人。なので敵を倒すときも兄弟力を合わせて、的な感じが求められています」
上条「タイトルにも入ってるよな。戦隊モノなのか変身ヒーローなのか微妙だが」
レッサー「で、この弟さんの乗るバイク、ギンクロ○のライト部分がビーム兵器も兼ねています。まぁブレーザーカノ○砲と呼ぶんですけど」
レッサー「このヒーローの世界では強敵相手にこの技でフィニッシュするのがパターンなんですな」
上条「ふーん?ライダ○がキックでシメるようなもんか……あれ?でもそれじゃ弟さん一人しか活躍してなくね?兄貴の出番は?」
レッサー「えぇ、ですからそこで合体攻撃と相成るわけです。力を合わせる訳ですな」
上条「あぁそれだったらまぁ――って待て待て。合体ってどうすんだよ。お前が轢きに来てたのと何か関係があんのか?」
レッサー「できれば私もジャンプしたかったんですが、ホンモノは高く高く飛び上がります。弟さんが巧みにパイクを操るんですね」
上条「うん」
レッサー「で、その宙に浮いたバイク(弟ride)をお兄さんがキャッチして、肩の上へ担ぎます。こう弟さんごとガシっと」
上条「無駄な労力!?てか弟降りろや!兄貴が持ち上げるんだったら少しでも軽い方が振り回しやすいだろ!?」
上条「『兄さん、お願いします!』って任せた方が早いわ!振り回せるぐらいのパワーあったらな!」
レッサー「その状態で弟さんが『発射準備完了!』と叫ぶと、バイクの脇腹からニュッと標準が出て来まして、そこを覗いて敵にタゲを合わせます」
レッサー「そして二人で『シューティング!』と唱和すれば、バイクのライトからビームが出て敵を粉砕するのですな……ッ!!!」
上条「兄貴側の負担が一方的過ぎる。そして肩に乗せる意味がわっかんねぇよ!?弟がバイク乗ったままビーム撃ちゃいいじゃねぇか!?」
上条「つーかそんなバイク持ち上げるパワーあったら殴れ殴れ!どう考えても力の配分間違えてるよ!」
レッサー「――と、いうのが兄弟拳バイクロッサ○。今もファンの間では『アタマおかしい(良い意味で)』と語り継がれている名作です!」
(※一切盛っていません)
上条「ごめん、チェンジでいいかな?戦闘中にバイクで突っ込んでくる仲間をリフトアップする自信がないんだ」
上条「そして確実に敵倒したあと揉めると思う。『さっきのアレどういう事?俺を撥ねる気だったの?』って」
レッサー「ちなみに弟さんが突っ込む側なのでタチ、お兄さんが受ける側ですのでネコですね」
上条「やかましいわ!意味知らない人がググってトラウマ与えるような用語使うな!」
レッサー「いやぁ上条さんがそう仰るんだったらいいですけど、そんな余裕あるんですかねぇ?」
上条「なんだよ余裕って」
レッサー「あー……知らなかったかー。チッ、黙っときゃよかったですね」
上条「だから何が」
レッサー「あ、これ今日のタブロイドです。一面のところをご覧ください」
上条「なになに――って、これは……ッ!?」
新聞【ゲコ太レッド敗北!?綿棒伯爵怒濤の快進撃――――――か?】
――とあるシティ
ゲコ太レッド『――どうしてよ!?こっちの攻撃が全然当たらない!?』
一方通行「どンなに早く動いても着ぐるみだからじゃねェかな?てかなンで自分でハンデしてンだよ」
ゲコ太レッド『おかしいわね……?前の敵には通用したのに!』
一方通行「敵がアホだからじゃね?『あ、ゆるキャラ相手だし能力全部キャンセルで楽勝!』とかぶっこいてたからからじゃねェの?」
ゲコ太レッド『そんなことないわよ!きっと今ちょっと思いつかないけど!あとから文章にして提出するわ!』
上条「――やめろ。俺をフォローするフリをして追い込みをかけるんじゃない」
ゲコ太レッド『あんた――一般人は下がって!ここは危ないわよ!』
上条「その一般人の会社へカチコミかけたヒーローは危なくないの?特に悪い事もしてなかったんだが?」
ゲコ太レッド『繁華街でミニサッカーしたり、街中で突然カバディ始めたりって苦情が入ってたのよ!』
上条「迷惑ユーチューバ○レベルの悪事だな。ご時世的には自粛した方がいいぞ」
ゲコ太レッド『離れて!学園都市の平和はあたしが守るわ!』
ゲコ太レッド『……例え、この命を捨てるとしても!平和は守ってみるわ!』
上条「なんて、なんて邪悪なんだ一方通行!お前は黒歴史を反省してイイやつになったと思っていたのに!」
上条「とあ一で『あ、このぐらいのモラル持ってたら無双プしてなくね?』とか!先生とは呼ばれて調子乗ってんのかアァッ!?」
一方通行「オマエさァ?この後に及んでドサクサに紛れて好感度下げようとしてねェかな?いや別にどーだっていいンだけど」
ゲコ太レッド『そして下げよう下げようとして、自分にマホカン○喰らう展開よね。これって』
上条「てゆうか最近さぁ!?『一方通行さんに何しやがんだこの時代後れのツンツン頭』とか海外のファンサイトで騒がれてんですけど!?俺はもうどうしたらいいんですか!?」
一方通行「それに関しては『ごめんなさい』としか言えねェよ。俺はなにもやってねェが」
ゲコ太レッド『「原作?あぁいいいい、その人興味無いから」って、超電磁砲アニメから入った人へ小説貸そうとしたら断られるとかね。一部で被害が』
(※実話です)
上条「もう俺のニセモノでもいいんじゃないかな?」
ゲコ太レッド『鬱になるのはやめなさい。誰だって自分の悩みと戦ってるんだから!』
一方通行「そうだぞ。俺も……まァ?なんかこう教育改革とかドブさらいで忙しい、っつーかお前も手伝えよ」
上条「――よし!俺が来たからにはもう安心だ!この世界は混沌帝国メシマーズ()が貰ったぜ!」
ゲコ太レッド『今急に設定思い出したわよね。そして何がどう安心しろというのか』
一方通行「よく分かンねェけど早くしてくれね?ただ別にアホ一人増えても戦力外じゃね?」
上条「――はいタッチ」 パキイィンッ
一方通行「……」 クタンッ
上条「はい俺の勝ち俺の勝利!この物語は俺が全勝利してエンド――」
ゲコ太レッド『あ、ごめんなさい。ゴミついてるわよ、とってあげるわ――ねっ!!!』 バスッ
上条「そげぶっ!?」
ゲコ太レッド『ってよく見たら腹筋だったわね!ごめんねっ!』
上条「テメ……人の横隔膜強打しておいてそれだけかコラ……!」
一方通行「危ねェよ。なにオマエ台本にないことしてンだよ。『二人まとめてかかってこいよ三下ァ!』ってターンだろォが!」
初春(通信)『――もしもし、聞こえますか?』
ゲコ太レッド『……ダメよぬ手も足も出ないわ……!』
上条「殴っただろ?素早く投了させてんのにお前が殴って試合再開させたよね?無理無理やりに?」
初春(通信)『そうですね。以前倒したはずの怪人カ・ミジョーも復活しましたし、状況は最悪、よりも悪いですね』
ゲコ太レッド『でもマイナスだけじゃないみたいよ。一緒に戦ってくれるって言ってるわ!』
初春(通信)『そうですか、ならはアレが使えるかも……いいえ、アレは危険すぎて封印したんでした』
ゲコ太レッド『教えて初春さん!アイツを倒せる可能性が一パーセントがあるんだったら!』
上条「迫真の演技中なんだけど、二人が役へ入り込みすぎてて逆に笑える。吹き替えで『あの声優さんだ』って感じで」
一方通行「そして待機中なンだよな。コーヒー買って来ていいか?」
上条「今だとセブ○のキリマンジャロがオススメだ。ホットしかないのが残念だけど、三月いっぱいは割引クーポンが貰えてお得だぞ」
一方通行「あぁセブ○のアイスコーヒーってストローつかなくなったンだよなァ。どォよ?」
上条「ホットのやつと同じ系のフタになった。俺は気になんないけど、飲み口からダイレクトに氷が出てくる。ワイルドだ」
一方通行「ワルイドってそンな風に使う単語だったっけか?」
上条「ラテ系でもセブ○がオススメ。ファミ○も美味しいんだが、ちょっと泡がフワってしすぎててなー。飲み終わった後に残ってるから、家帰ってコーヒー足すんだ」
一方通行「コンビニカフェの意義ねェな」
初春(通信)『ゲコ太スーツに隠された最後の能力、それは――「合体」です……ッ!!!』
上条「オイやめとけって!着ぐるみのままバイクロッサ○したら死人出んぞ!?」
一方通行「組み体操で首の骨イキそォだわな。逆に見てみてェ」
初春(通信)『着ぐるみ?ちょっとなにを仰ってるのか分かりませんね?当社のパワードスーツが何か?』
上条「まだその設定生きてんのか。中の人も含めて誰一人として信じてないであろう設定を」
初春(通信)『丁度そこにカなんとかさんがいます!不本意ではあるでしょうが、彼の力を借りればきっと!』
上条「態度が悪い。力を借りるとかって前提なにカなんとかさんってどういうこと?」
ゲコ太レッド『待って!?ダメよそんなの!あたしにはできないわ!』
上条「なんでだよ。さっさと終わらせて打ち上げ行こうぜ」
ゲコ太レッド『もし……ここで合体しちゃったら、ゲコ太レッドの正体が――』
上条「ビリビリだろ?電撃属性で超電磁砲撃って佐藤利○っぽい声だったらビリビリ以外に誰がいんの?」
上条「ここまで来て違う人だったら超怖いわ!?『え、関係ない人が好き勝手してたの、こわっ!?』ってなるじゃん!」
佐天「……えぇまぁそのもしもがあるのが、この運営の怖いところで。お疲れ様です」
上条「あぁお疲れ様です。なに今日は現場に来てんの?」
佐天「はい、初春指令から密命を頂きまして。こちらを大声で読め、とのことです」
上条「俺が?合体するかけ声かなんかなのかな。んじゃ――」
上条「『俺はビリビリがどんな姿だって分かるに決まってるだろ?』」
御坂(ゲコ太レッド)『――さっ、きびきび合体するわよ!あたしたちの実力、見せてやろうじゃない!』
上条「もう一連の流れでギャグだよね?ラブゴメのラブ要素が皆無だよね?」
上条「……まぁすっけどさ。合体ってどうすんの?俺も着ぐるみ着て組み体操すりゃいいの?」
チャラララッララ、チャラララッチャラー♪
上条「あ、BGMだ」
御坂 ジーッ、ズボッ
上条「何普通に出て来てんだよ!?子供の夢ぶち壊すなや!?」
佐天「あ、これどうぞ。ポカ○と塩飴です」
御坂「ありがとう――合体しないとね!」 ズボ
上条「水分と塩分補給して中の人が戻ってた!?意味分かんねぇよ!合体じゃなかったのかよ!?」
佐天「では、どうぞ上条さん!そのまま中へ!」
上条「合体って着ぐるみの二人羽織って事か!?発想が小学生だよ!そして強くなる筈がないな!」
上条「ごめんなさいバイクロッサ○!あなた達の合体の方が数倍マシでした……!」
上条「……でも入らないと終わんないんだろうな……あぁなんかこう、うん。お邪魔しまーす」 ゴソッ
上条(inゲコ太スーツ)「狭っ!?そして予想以上に熱っ!?ちょっとしたサウナ入ってる感じだよ!」
初春(通信)『すいません上条さん。乙女ハートを傷づけないように言葉を選んでください』
上条(inゲコ太スーツ)「ビリビリの体温をよく感じるよ!そして南極でも自由に動けそうだぜ!」 グッ
佐天「それで喜ぶ乙女はいません。いるとしたらチョロインです」
御坂「きゅ、急に言われても!心の準備ってモノが!」
佐天「いましたね、残念ながら」
ゲコ太レッド『えーっと……合体っつーか入ったんだけど、誰か助けて。自由行動どころか腕の上げ下げぐらいしかできない」
初春(通信)『おかしいですね……?理論上では超電磁砲と異能キャンセルのダブルスキルを発動させられる筈なのに……?』
ゲコ太レッド『”理論上では”って台詞が負けフラグになってるからだな!てか君実は思ってたよりも頭悪いのな!』
初春(通信)『あー、場所が悪いんですかね−。ステージを変えましょう』
佐天「すいません、台車に乗せるんで手伝って貰えませんか?」
一方通行「敵に頼むなよ。よっとォ」
佐天「ついでに押すのも」
一方通行「計画グダグダだな。もォ計画と呼ぶのすらおこがましいわ」
……
初春(通信)『――はい、では到着しました!後はそちらのアドリブでお願いします!』 ピッ
上条「アドリブって、おい、もしもーし?……通信切りやがった」
御坂「とにかく出ない?なんかこう、密着してて落ちたつかないっていうか」
上条「合体のテーマから外れるような気がするが……投げっぱなしになってるみたいだし、一回出る、わ……?」
御坂「何よ。止まってないで早く出なさいよ!」
上条「――待てビリビリ!これは敵の能力者(※初春さん)の攻撃なんだ……ッ!!!」
御坂「定番ネタはどうでもいいわ。流石に中が熱くて蒸し蒸し、して……?」
上条「……えっと、まずだ。まず状況を確認しようか?」
御坂「そう、ね。誤解があるといけないし、現状の確認は必要じゃないかしらね」
上条「俺たちは今個室にいるんだ。大きさからしてホテルだと思うんだよ、俺の知ってるのは大分違うが」
御坂「そうね。なんかこうドピンクのムーディな照明が違和感ありまくりよね」
上条「そしてあっちが多分フロなんだ。ただちょっと全面ガラス張りで外からほぼ見えるだけの」
御坂「そうね。きっと安全対策じゃない?一人で入って溺れないように」
上条「最後に部屋のど真ん中にあるのが巨大なベッドなんだが。謎のスイッチが周囲についている感じで?」
御坂「そうね。きっと脱出装置ね、押せばバネでびょーんって飛ばされるんだわ」
上条「俺は思うんだよ――赤ずきんさんがおばあさんに化けた狼と問答してるのって、こんな感じじゃねぇかなってさ?」
御坂「気のせいじゃない?ただの何の変哲も無いホテルの一室でしょ?」
上条「……」
御坂「……」
上条「いや合体は合体でもそういう意味じゃねぇよ!?てかエロゲ×だってそんなお気軽に合体変形しねぇよ最近じゃあなぁ!?」
(※規制がやや厳しくなりました。何年か前に「タイトルは自重してね!」ってお達しが)
上条「てか今週はいつもに増して下ネタ多いな!?あぁこれレッサーと絡んだせいだきっと!俺知ってるんだあのアホが出るとシモ多いって!」
御坂「何言ってんのよ。いいからこっち来なさいよ、もうっ」
上条「やめて離して!?俺をおうちに帰し――」
上条「ア゛ッーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!?」
――10年後
上条「……」
元御坂「あらあなた、懐かしい写真見てるじゃない。どうしたの急に?」
上条「あぁいや懐かしくなってな。初代ゲコ太スーツがほら」
元御坂「そうねー。こう見ると雑よねー」
上条「あん時初春さんか暴走してくれなかったら、俺たちこうやって結婚することもなかったかなって」
元御坂「そうね。初春さんには感謝しないとね」
上条「……」
元御坂「なに?」
上条「いや……ずっと疑問に思ってたんだけどさ」
元御坂「何よ。奥さんに隠し事するつもり?」
上条「じゃなくて、その。あの企画って妙に手が込んでたよな?」
元御坂「そうね。初春さんも頑張ってくれたんじゃない?」
上条「その予算はどっから出たのかなー、なんて。普通の中学生はよういできないよな?何かの賞金も寄与してたしさ?」
元御坂「……」
上条「まさかとは思うけど、あれ全部お前の仕込み――」
元御坂「――そんなことよりね、麻琴がピーマン食べたのよ!頑張ったんだって!」
上条「……うん、そっか!ならよかった!」
元御坂「てゆうか何か言ってた?よく聞こえなくって」
上条「う、ううん?別に何も?ただ幸せだよなって!」
元御坂「何言ってんのよ、あたしの方が幸せに決まってるじゃない!」
上条「おっと!俺の方が幸せに決まってるぞ!そこは譲らないぜ!」
-終-