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Clock(trial)

御坂「今年のバレンタインこそは……ッ!」 〜バレンタイン募集企画〜



――いつものファミレス

初春「――あと最後に抹茶大福でお願いします」

店員「シャッター、ラッシェー」

佐天「え、初春、抹茶大福頼むの?マジで?」

初春「ダメなんですか?前に食べてハズレだったとか?」

佐天「見た目がマリモ・イン・ザ阿寒湖」

初春「あぁそういう。可愛いじゃないですか、食べられない理由がないと思いますけど?」

佐天「次元が違う。あの野性味溢れる健気な子たちをどうしたら食べられるのか……!」

初春「食べちゃいたいほど可愛い、的な?」

佐天「……たまーにいるよね。ペットを可愛がりすぎて、その、弱らしちゃう飼い主」

初春「え、私は動物苦手ですけど」

佐天「一体あたしは何の話をしているんだろ?kawa-ii談義をしているはずが……!」

初春「取り敢えず食材に感謝を捧げればそれっぽく正当化されるってお話ですよね」

佐天「……あぁうん、初春がそれで納得できるんだったらいいけど――いや良くないな!情操教育的にどうかと思うよ!?ですよねっ御坂さん!?」

御坂「んー……?そうね、佐天さんが悪いんじゃない?」 ピピッ

佐天「いやそんな反射的にあたしを悪者にされても。てか御坂さんがゲームやってるなんで珍しいですね。ゲコ太ゲーの新作ですか?」

御坂「いいわねそれ!そのうちゲコ太も英○召喚されないかしら!」

初春「英○の定義とは」

佐天「英雄……まぁある意味、うん」

御坂「ゲコ太に戦わせるぐらいだったら私が……ッ!!!」

初春「代理戦争の意味とは」

佐天「『マスターが前に出るんだったら召喚しなくてよくね?』ってツッコミが捗るよね」

御坂「英○ガチャで青髯引いたら、その場で自害命じる自信があるわ」

佐天「流石にあの泥沼へ突っ込む方はもっと覚悟があるんじゃ?や、まぁヴァルハラの如く永遠に続くソシャゲーはいいとしまして、御坂さんは何をやってんかなーと」

御坂「調べ物なんだけど……あ、そうだ。良かったら初春さんと佐天さんも意見聞かせてくんない?ちょっと迷ってんのよねー」

佐天「任せてください!あたしの人生経験フォルダを火を吹きますよ!」

初春「中一のそのフォルダはスッカスカだと思います。ま、私たちでお役に立てるんでしたら」

御坂「――カカオ豆ってどっから仕入れたらいいと思う?」

佐天「………………はい?」

初春「カカオ豆、ですか?アズキの先物取引的なヤツだったら詐欺ですよ?」

御坂「違うわよ。そうじゃなくって純粋にどこの国の豆がいいかなって話で。どう?」

佐天「いや、どうと言われましても……キリマンジャロ?」

初春「間違ってないですけど、それコーヒーの名前から想像しただけですよね?」

御坂「あーそうねー、やっぱり定番は、うん定番だからこそ外せないって事か。やるわね佐天さん!」

初春「絶対に違うと思います」

佐天「まぁそれほどでも!」

初春「『――問題、キリマンジャロ山のある国を答えよ』」

佐天「え!?キリマンジャロって山の名前だったの!?」

初春「せめてもっと取り繕うとする努力を見せ――ハッ!?ツッコミの人がいない!?今日の担当はまさか私ですか!?」

御坂「初春さんはどこ?ガーナ、それとも南米?最近では北アメリカも有望株だっていうし、国内産ってのもアリっちゃアリかー」

初春「あの、御坂さん?何をしたいのか、具体的に目標を聞かせて頂ければより適切なアドバイスができるかと思うんですが」

御坂「変なこと聞くわね。カカオだったらチョコレートの材料以外に何があるのよ?」

佐天「ミサカー、戻ってこーい」

初春「コーヒーの産地と言った口でチョコですか。まぁ時期っちゃ時期ですけど」

御坂「か、勘違いしないでよね!義理チョコを作るためにカカオから精製するってだけなんだからっ!?」

佐天「もう面白いです御坂さん。そして内容がかなーりルナティックです」

初春「100歩譲って本命だったら、まぁ寝言としては理解出来なくもないんですが。義理にそこまで労力を遣う意味が分かりません」

御坂「ま、まぁ本当に義理なのかって言われたら、今はまだって視点もあるかもしれないわねっ!」

佐天「どうしよう初春。御坂さんがR○狙えるぐらいに面白い」

初春「流石に友人を公開処刑場へ送る根性はないですね。最初はYouTub○の朗読系からスタートさせます。勿論薄手の服を着せて」

佐天「助走の仕方がアスリート!あれも規制の対象になった方がいいんじゃないかな!」

初春「ちょっと昔の曲を聴きたくなって、『弾いてみた』タグで見てみればちょいエ×動画だった私の哀しみを知るがいいですよ」

佐天「あー、ラピュ○であたしもいっかいそれ踏んじゃったよ。スマフォの解像度低く抑えてるとどうしてもねー」

御坂「あたしはラピュ○になりたい……ッ!!!」

佐天「どうしたーミサカー?不安定かー不安定なんだろー?」

初春「パズ○君とシー○さんを乗せるには一抹の不安が残りますよね。情緒不安定すぎて」
(※ラピュタ=スペイン語で「売春婦」。元ネタの小説が超シニカル)

佐天「えっとまぁミサ・ラピュタの乗り心地は後の歴史学者に托すとしまして、御坂さんは何をどうしたいと?」

御坂「バレンタインチョコってある種の結納よね?」

初春「あーその問題も私たちには荷が重いと思います。数千年後に『グレゴリウス暦の2月14日はカカオ化合物を贈りあう信仰があった』的な研究が成されるかもですが」

佐天「『阪○が優勝すると白髪の老人像を川へと沈め感謝を捧げていた』とかなりそうだよね。一緒に石版でも埋めておこうかな、『藤○なんていなかった』って彫って」

御坂「だから今年こそは!未来を勝ち取るには転生先じゃ無くて現実世界で努力すべきなのよ!」

初春「正論が、重いです。あとフィクションなんですからあんまりこう、責めないであげてください」

佐天「それでその、努力したいのは分からないでもないですがカカオ買い付けと精製からスタートするのはどうかなぁと」

御坂「……転生先で子供の頃から魔力操作して経験値積むでしょ?」

初春「一周回ってませんか?例え話が飛び飛び過ぎて逆にちょっと面白いです」

佐天「世界を渡るぐらいの愛……凄い、重いです」

御坂「対案の提出を求めるわ!ダメ出しだけじゃなくてきちんとした議論を!」

初春「もっとちょっとイージーにしましょう。えっと、佐天さんと一緒に作るとかはどうでしょうか?」

佐天「パンジャンドラ○を押しつけられた!?」

初春「このままだと『至高の料理!』とかいってカカオ豆に塩振ったブツを渡しかねないので」

御坂「……うん、それはありがたいし、佐天さんの料理の腕は確かなのも分かるわ。分かるんだけど……」

御坂「まぁまぁ仮の話ね?あくまでも想像なんだけど、佐天さんと一緒にチョコなりクッキー作るじゃない?手伝ってもらうから大きな失敗はしないだろうし?」

初春「(でしょうね。てか御坂さんのお料理の腕ってどのぐらいなんですか?一昔前のヒロインみたいに壊滅的だったり?)」

佐天「(ううん、上手いよ。基本しっかりだし憶えもいいし余計な隠し味とかぶっ込まないし。ただその、根性がちょっと)」

初春「(なんで根性?根気がなくて向かないとか?)」

佐天「(前にクッキー作ったとく、『素人が作ったのを食べるより、プロが作った方がよくない?』ってぼそりと)」

初春「(あぁ、確かに根性ですね。男性側からしたら恐怖以外感じないと思います)」

御坂「はいそこ小声でdisらないで!あの頃のブラック御坂はもういないのよ!今はシャドームー○御坂になったんだから!」

佐天「ネタが古すぎて誰も知りません。誰が知ってんですか昭和ライダ○」

初春「最近復活したんでそこそこ知名度はあるかと。そして銀色なんですけど人類の敵ですからね」

御坂「反省したのよ!いつだったか調子ぶっこいてたのをね!」

佐天「まぁクッキー作る程度にはリカバリしてましたしね。それで?なんで手作りに問題あるんです?お相手が既製品じゃないと駄目な方とか?」

御坂「3秒ルールを過大解釈して10秒ぐらいはセーフだと判断しそう」

佐天「いいんですか?逆に大らか過ぎません?」

御坂「だからあたしが心配してるのはそっちじゃなくて……続けるわね?それでまぁ佐天さんも見本って感じで一緒に作るじゃない、チョコ?」

佐天「まぁ普通はそうしますよね」

御坂「そしてこう、完成した後に『佐天さんは誰かにあげるの?』って聞いたら、『いやーその予定はないっすー。初春ですかねー?』って言うのよ」

初春「言いそうですよね。てか確実にあたしにくれると思います」

御坂「で、バレンタイン当日!佐天さんは『あげる相手もいないんだけど−、まぁノリで!』とか言って学校持っていくのね!何となく!」

御坂「でも学校の男子はガキっぽくてソワソワしてるし、なんかあげるのも女子同士のパワーバランスでクッソ面倒になりそうだったからチョコはしまったままで!」

御坂「そして放課後あたしたちとファミレスで合流してあーだこーだ喋ってる間に『あぁだったらみんなで食べましょ――あれ?学校に忘れて来ちゃった』とか言い出して!」

御坂「放課後、誰もいない教室へ行ったら、こう不自然っていうか違和感を感じるのよ!『なんか空気……冷やっとしてる?』って!」

御坂「ちょっと怖いんだけどチョコを回収して帰ろうとしたら、後ろからこう言われるの――『ねぇ、遊ぼう?』って……!」

佐天「すいません御坂さん。見える○ちゃんになっています。あぁパン○は見えないのにで有名なですが」

御坂「オバケから逃げる佐天さん!でも窓やドアは開かなくて上へ上へと行くしかなくて!」

御坂「最終的に逃げ込んだトイレの個室!端から順に、こんこん、こんこんってノックされるの!」

御坂「その音が段々と近くなってきて、次は隠れている個室……と思ったら音は止むの」

御坂「『た、助かった……?』」と上を見上げると――」

御坂「――隣の個室からジーッとこっちを覗いている、顔の潰れた女の子が……ッ!!!」

佐天「具体的過ぎません?あれもしかしてよりにもよってバレンタインの日、あたしがそんなブラクラ体験するって予言ですか?」

御坂「で!最終的になんやかんやあって、ツンツン頭がナイス・タイミング☆で助けてくれるのよ!『あんたそれ絶対に陰で見てたわよね?』ってタイミングで!」

御坂「何かこう傷だらけになってまで助けてくれたのに名乗りもしやがらない恩着せもしないで立ち去ろうとするから、『よ、よかったらこれっ!』ってチョコを渡すの!」

御坂「そうして構築された強固なフラグへ対してあたしは一体どうすればいいって言うのよ……ッ!?」

佐天「落ち着けーミサカー。人をチョロいヒロインみたいに言うなー」

御坂「だってそうじゃない!今までの佐天さんの引きの強さを考えたら可能性はゼロとも言えないわ!」

佐天「何度か死にそうな目に遭っては……まぁいますけど、個人的には超否定したいです」

御坂「……この世から全ての♀を駆逐すれば――!?」

佐天「ホ×になるんじゃないですかね。あとついでに人類が詰みます」

佐天「てかあの、初春もそろそろ否定してくれないと、あたしが今夜辺り暴れミサカに襲われるんだけど……」

初春「――一理ありますね」

佐天「あるのっ!?どこが!?」

初春「いや、佐天さんがどうって話じゃなくてですね。私たちにはちょっと荷が重い話かと」

佐天「バレンタインだよね?そのチョコを原料から作んなって話だよね?」

御坂「や、やっぱりジャマイカ産がいいってこと?」

初春「聞けよ御坂。そうではなくて、えぇと……あ、これですね。昨日白井さんから聞いた教会が」 ピッ

御坂「……教会?」

初春「ちょいバズってそうです。人生相談すれば大体解決するって噂で」

御坂「へー、教会?懺悔的な感じで?」

初春「被害報告は今のところ特にありませんね。金銭的な対価もないみたいですし、一度本職の方に相談――」

御坂「――分かったわ!あ、お会計はあたしが払っとくからそれじゃ!」 ダッ

佐天「必死だね。つーか大丈夫?胡散臭くない?」

初春「まぁ、取り敢えず御坂さんを派遣しておけば、ダメな人たちだったら粉砕するでしょうし」

佐天「派遣型のソシャゲーかな?」



――学園都市 とある教会

御坂「ここが指定された場所だけど……なんか行列できてるわね。まさかとは思うけど教会でスイーツの販売でも?」

御坂妹(シスター服)「えー最後尾はこちらです慌てずにお並びください、とミサカはプラカードをお姉様にチラ見せさせます」

御坂「じゃあプラカの意味なくなるじゃない!周知するためにやってるんだからチラッとじゃなくちゃんと仕事しなさいよ!」

御坂妹(シスター服)「ようこそお姉様、神と悪魔が集うリミックスステーショ○へ」

御坂「伏せ字いらないと思うわー。今もうシリーズが廃れて誰も知らない魔神転○の合体施設なんて誰も知らないわー」
(※魔神転○カーン)

御坂妹(シスター服)「おかえりはあちらですよ、とミサカはあの名作をコケにされた怒りを露わにします」

御坂「初代は……それなりだけど。2は上位種属のアルカナ撃ち合い、カー○に至っては『伝説のクソゲー』に名前を連ねる始末よ……!」
(※久しぶりの新作で予約が大量に入る→体験版頒布→予約キャンセルが相次ぐ)

御坂妹(シスター服)「東京ゲームショ○のアトラ○ブースまで行って『魔神転○のリメイクを』と書いた猛者もいますが、とミサカは運営の恥を暴露します」

御坂「いいじゃない好きなんだから!結果的にはデビルサバイバ○出たし!」

御坂妹(シスター服)「という訳でおかえりはあちらですよ、とミサカは即座に追い出しにかかります」

御坂「反抗期?もうちょっと仲良くなかったっけ?」

御坂妹(シスター服)「なんと言いましょうかその、人生相談のお手伝いをしているのですよ、とミサカはキリキリ自白します」

御坂「……まさかとは思うけど」

御坂妹(シスター服)「いえ、このミサカや他のミサカでもなく、首謀者は他にいます、とミサカは説明します」

御坂「そこはまぁ、情緒的に無理だってのは知ってたけど……あんたがなんでこんな所でシスター服を着ているのかって説明は?」

御坂妹(シスター服)「アルバイトです、相談をすると言いつつ野次馬根性で見に来た際、列の整理を頼まれたので、とミサカは御坂に答えます」

御坂「そう――あれ今あんたあたしにタメ口きかなかった?」

御坂妹(シスター服)「気のせいでは?とミサカはそっぽを向いて口笛を吹きます、ひゅーひゅー」

御坂「段々芸達者になってるわね!変な方向に進化して戻れなくなったGジェ○のユニットみたくならないといいけど!」

御坂妹(シスター服)「では試しに他の人の相談を見てみますか、とミサカはシンプル体験コースを提案しました」

御坂「個人情報だだ漏れなのは分かったわ」

御坂妹(シスター服)「ではこちらへ――あ、その前に一つ小咄を、とミサカは唐突に思い出します」

御坂「な、なによ?」

御坂妹(シスター服)「妹達(シスターズ)だけにシスター服なのですよ、とこのミサカはドヤ顔で渾身のギャグをぶっぱします」

御坂「また変なこと覚えてきてあんた達は!悪い友達と付き合っちゃいけないってアレだけ言ってたでしょ!?」
(※「もしかして;イギリ○人」)



――とある教会内 バックヤード

御坂「裏口から入って随分生活臭のするところ、っていうかここ民家じゃない。入って大丈夫だったの?」

御坂妹「問題ありませんとも、許可は取ってありますよ、とミサカは内心の動揺を抑えつつ嘘をつきます」

御坂「まさか勝手にやってんの!?だったら大問題でしょこれ!?誰がやってるのにしても!」

マタイ「――おや?お客様かね?」

御坂「まさかの前教皇!?あぁまぁこの人だったら何やっても問題ないわね!」

マタイ「そんな事はない。神の家は常に開かれているものだ。門戸を叩く者は誰であろうとも等しく受け入れられる」

御坂「ドッキリ……ですよね?あなた確か先週ぐらいに崩御されたってニュースが」

マタイ「ふむ?君が誰のことを言ってるのかは検討もつかないが、死んだ人間は甦ってなどこないよ」

御坂「あー……まぁそうですけど。この人だったら生前にリレイ○系の復活呪文用意しておきそうな気も……」

マタイ「いいや?どこぞ優しい悪魔と取引をしたまでだよ。契約の天秤が釣り合えば応じざるを得ない」

マタイ「シンプルが故に難しい。誰しもが自身の値札には欄外にまで桁を増すが、他人のそれは値下げシールが貼られるまで手に取ろうともしないのだから」

御坂「中二?」

マタイ「の、ようなものだね。えぇと君は確か御坂美琴君?話は妹さんから聞いているよ」

御坂「あ、はいどうも。多分その姉です」

マタイ「粗忽者で思いやりがなくて真っ直ぐなブーメランのように一回投げたら回収するまで戻って来ずゲコ太には際限なく課金する困ったお姉さん?」

御坂「違いますね。その姉ではなかったですぶっ飛ばすから覚えてろ愚妹ども」

マタイ「佳い佳い。仲の佳い姉妹ほど喧嘩するというものだ」

御坂「誰か、誰か悪い友達の影響を受けているっぽいんです……!」

マタイ「悩みどころではあるね。それで?君も何か相談かな?」

御坂「悩みがないって訳じゃないですけど」

マタイ「ならば暫く待ちたまえ。休憩時間が終わったら先に並んでいる者たちの悩みを訊かねばならぬ」

御坂「いやあの」

マタイ「そう時は置かないつもりであるが、暫し待たれよ」 ガチャッ

御坂「あー……ツッコミたいところは色々あるんだけど」

御坂妹「それは性的な意味ですか、とミサカはこっそりと部屋のドアを半開きにして危機感をあらわにします。かちゃり」 カチャッ

御坂「あんたほんっとにいい加減にしなさいよ!?どこの世界に自分と同じ顔の相手に欲情するヘンタイがいるの!?」

御坂「てかマタイ=リースのそっくりさんが何やってんの?ヒマなの?オリジナルが亡くなったから?」

御坂妹「レゾンタートル、というヤツですね、とミサカは意味も分かっていない単語を使ってしったかぶりをします」

御坂「レゾン”デ”ートルね?なんでカメが唐突に出てくるのよ……てかここ多分詐欺よ。さっさと帰りましょう、ほら」

御坂妹「あのジジイが詐欺師なのですか?とミサカはお姉様に問いかけます」

御坂「ジジイ言わない。まず外見からしてアレでしょうが、ご本人が亡くなっているんだったら偽物以外のなんだっつーのよ」

御坂妹「実はローマにあるご遺体が偽物であり、こちらが本物という可能性もゼロでは無いのでは?とミサカは第二の質問をします」

御坂「微妙にロシア産魔女っ子とカブってきてる。本物だとしても意味が分からないわ。あー……なんていうかな」

御坂「バーナム効果ってのがあってね、大抵誰にでも当て嵌まるようなことを言って信用させるのよ。例えば『あなたは今不安を持っていますね?』とか」

御坂妹「――エスパー……ッ!?とミサカは驚愕を露わにします」 クワッ

御坂「エスパーよ?最初っからそうだし、なんだったらあなたもそうよ?」

御坂「他にも『ストレスが溜まりがちなのに上手く発散できていない』とか『他人の動向が気になって仕方がない』とか。ものっそい当たり障りのなく、かつ広範囲の人に引っかかるようなことを言うのね」

御坂「そうすると『あ、当たってる!実は――』って対象が話し出すから、そこからまた情報を引き出していくのがテンプレかしらね」

御坂妹「別に悪くはないのでは?とミサカは反論します」

御坂「ちゃんと使えばね。ちゃんと使ってる相手を見たことがないけど」

御坂妹「では取り敢えず見ては如何でしょうかね、とミサカはコッソリ懺悔室に続く穴を指さします」

御坂「なんであんのよそんなもん」

御坂妹「色々厳しくなってきたからコンプラ的に、と神父さんは仰っていましたよ、とミサカはイマイチ理解できてないながらも補足します」

御坂「まだ深くは考えなくていいと思うわ、まだね」

……

マタイ『ようこそ、迷える者よ。悩みがあれば話すが佳い』

青ピ『――神父様聞いてぇな!ボクがこれだけ他人を愛しとぉのに誰もボクを愛さへんのよ!』

青ピ『もうどぉしたらええのか検討もつかへん……!』

マタイ『君が誰かを好きになる努力をしているのは分かる。それは実に素晴らしい事だ、才能とも言える』

青ピ『才、能……?ボクが?』

マタイ『そうだとも。粗探しばかりの世界では特に得がたい資質だ。それ自体は誇るべきであると私は考えるよ』

マタイ『しかし君は誰かから好かれるような努力をしたのかな?』

青ピ『好かれる、努力……?』

マタイ『左様。君が誰かを好きになったのはきっと某かの理由がある。その中には個人が築きあげた才覚や経験はなかったかね?』

青ピ『ない、とは言わへんけど。あぁまぁ化粧したりプロポーション保とぉのも努力、か?』

マタイ『ならば次に君がすべき事は分かるね』

青ピ『好きになってもらうような人になる――そうや!ボクが今までモテなかったんは他人にばかり求めすぎとぉたからや……ッ!』

青ピ『ありがとう神父さん!ボクこれから頑張るわ!』

マタイ『佳き人生を』

……

御坂「えーっと……うん、いいっちゃいいんだけど、その、これでいいのかなって、うん」

御坂妹「結果的にプラスになればオールオッケーでは?とミサカは気休めを言います」

御坂「ま、まぁ確かに!ナンパ野郎が『自分を変えて好きになってもらおう!』って宗旨変えするのは、悪くはないんだけど……」

御坂妹「どんな風に飛んでいくかは分かりませんね、とミサカは御坂の内心を代弁してみました。まる」

御坂「だからなんでタメ口?――ってまた誰か」

……

上条『――いや、俺じゃないんだよ?俺じゃないんだけど、知り合いが童×をなんとかしたいって。具体的には彼女がほしい』

マタイ『答えは簡単だよ。結婚するか、もしくはそれに準じた相手を作ればいい』

上条『それができないから言ってんですけどコノヤロー』

マタイ『勘違いをしている。目的と手段が入れ替わっている』

上条『……うん?逆って何が?』

マタイ『情を交わすというのは愛情表現の一種類にしか過ぎない。あくまでも手段なのだ』

マタイ『人はパンを焼くために生きるのではない、人が生きるためにパンを焼くのだ、と言い換えても佳い。とにかく――』

上条『つまり――結婚を前提にお付き合いをしろ、と?』

マタイ『まぁそういうことではないんだがね、君が納得するんだったらそれでいいんじゃないかな?』

上条『ありがとうシ○の暗黒卿!続三部作での復活は賛否両論だけど俺は嬉しかったぜ!』

……

御坂「同レベルの悩みか!てかそんなん悩むことじゃないでしょーが!」

御坂妹「他人からすればしょーもない悩みでも、当事者にとっては深刻なのですよ、とミサカは知ったかぶりをします」

御坂「それで済ませるんだったら大体そうよね?他人の悩みなんて赤の他人からすれば『そっかー、大変だねー』って終わる話よ」

……

結標『少年がてぇてぇ』
(※「てぇてぇ」=惑星ベジー○の方言で「尊(とうと)い」の意味)

マタイ『ちょっと何言ってるのか分からないかな』

結標『おかしいと思わない!?ちょっと前までは同性愛も心の病気にカテゴライズされていたのに、ショ×はどうしてダメなのよ!?』

マタイ『年齢が年齢だからかな。人類の歴史的にはそう珍しいものでもないのだが』

結標『昔は許されたんだから今だっていいじゃない!武田信○も『小姓に浮気なんかしてないんだからねっ!』って手紙が残っているぐらいで!』

マタイ『まさかの信玄卿も現代でここまで侮辱されるとは思っていなかっただろう』

結標『あなた達だって子供好きじゃない!性的な意味で!』

マタイ『不祥事だからね?組織の一部に犯罪者がいたからって全体がそうだとは思わないでほしいものだが』

結標『え、でも長い間隠蔽してたんでしょ?』

マタイ『自浄作用がないのは組織の罪だが……そうだね。君の言葉ももっともだと思うが』

マタイ『しかし我らは一応ながらも断じる姿勢を見せたが――』

結標『――これで勝ったと思わない事ね!きっと第二第三のショ×スキーが現れるであろう……!』

マタイ『うん、どこかの極東の島国のせいで「子供が(多分に性的な意味で)好きでもいいんだ!」という風潮には困っているのだが』

結標『覚えておきなさい――あなたの身内の中にも我らの同志が紛れ込み、決起の日を待ちわびているのだから!』

マタイ『決起した瞬間にいなかったことにされると思うのだが……まぁ、君の前途に幸あらんことを祈るよ』

……

御坂「教皇っぽい人が押されてるんだけど、いいのかな?」

御坂妹「まぁマニアの一念石をも砕くと言いますし、きっと100年後には『好き好き少年教団』に名前を変えているのではないか、とミサカは聞きかじりの知識を披露します」

御坂「大体もう誰があんたの人格形成に関わったのか分かったわ」

……

鳴護『――アイドルやめたいんです!できれば歌のお仕事一本でなんとか!』

マタイ『相談する相手を間違えているのは確実だが……そうだね、君を応援してくれている子たちはなんと?』

鳴護『「シンガー扱いされないARISAもオイシイね!」って……!』

マタイ『もう引退してもいいんじゃないかな?道は一つだけとは限らないだろうし』

鳴護『そこをなんとか!なんでしたら一筆書いてもらっても構いません!』

マタイ『前代未聞の珍事になるかな。逆に君が悪い意味で知名度も広がるし』

鳴護『あ、じゃあせめて今年のサメマラソンでは是非参加してもらって。分母が大きくなれば一人当たりの負担も減りますし』

マタイ『アリサ君、君は疲れているんだよ。少し長めの休息を取ったらどうだね?なんだったらローマの私邸へ紹介してもいい』

鳴護「え、嫌ですけど……どうせスタッフが【ドッキリ☆大・成・功☆】ってプラカ持ってスタンバイしてるんでしょうし』

マタイ『一度私も事務所でお話しようか?あの少年に連絡先は教えているから、そちらからまた』

……

御坂「ARISAの謎人脈を見た!」

御坂妹「まぁアイドルを長くやっていれば色々とあるのでは、とミサカは適当に相づちを打ちます」

御坂「あぁまぁモノマネ芸人繋がりで面識はある、っていうか海外のタレントさんなのかしら……?」

……

一方通行『なにやってンだジジイ。さっさと国へ帰れ』

マタイ『ようこそ迷える子羊よ。君の悩みを聞かせてくれたまえ』

一方通行『ねェよそンなもン。あってもペラペラ個人情報晒すってかェの』

マタイ『本当に?』

一方通行『あァ?』

マタイ『悩みのない人間などいない、などと陳腐な台詞を吐くつもりはないがね。心の内を他人へ話して楽になることだってある。少なくともそれなりの数は』

一方通行『引っ込ンでろ。そォいうのはオカルト信じてェヤツに言ってやれ』

マタイ『なぜ?』

一方通行『……その歳になっても分かンねェのか。いいか?世の中には取り返しのつくこととつかねェことがあンだよ。シンプルに』

マタイ『そうだ。この歳になっても分からないことは多い、君が何へ対して”取り返しのつかない”のか検討もつかないがね』

一方通行『だったら――』

マタイ『ある日、家に帰ったらケーキがあった。少年はそれが自分のために用意されたと思って食べてしまった』

マタイ『が、実はそのケーキは妹の誕生日を祝うためのものであった。そして少年はこう思った訳だ――』

マタイ『――「取り返しがつかない」と』

一方通行『……ぶち殺されてェのかジジイ?事情も知らねェクセに』

マタイ『しかしこれは――本当に「取り返しがつかない」んだろうかね?』

一方通行『あァ!?』

マタイ『確かにケーキは返ってこない。食べてしまったものをもう一度など神の御業だ』

マタイ『しかしやりようはあったのだとも私は思う。少年は妹に聞くなり親に相談すれば佳かったのだ――で、だ』

マタイ『君が”””取り返しがつかないから”””と判断したのは、一体どのような根拠を元にしているのかな?』

一方通行『それは……』

マタイ『失われたものは返ってなどこない、それは自然の理だ。世界にはどうしようもないものがあり、むしろそちらの方が多いとすら言えよう』

マタイ『だが「取り返しのつかない」と線を引いたのは誰か?』

一方通行『あァ!?』

マタイ『少年の妹が「取り返しがつかない、だから諦める」と言ったのであれば、それはそうであろう。本来の持ち主なのだからな』

マタイ『しかし少年の方が妹に確認もせず諦めてしまえば。つまり線を引いたのは少年の方だと言えるね?』

一方通行『……』

マタイ『目的と手段を違えておるのだ。正統性や遵法性など捨てておけば佳い』

マタイ『もし私であれば、そうだね――世界で最も信徒を抱える宗教に自分達の価値を認めさせる、とか?』

マタイ『「クローンであろうがなかろうが命は命、故に魂もあれば人権もある――」』

マタイ『「――故に今後”は”厳しく取り締まられるが、既に産まれた命は祝福されて然るべきだ」など、偉そうな人間に言わせれば佳いのだ』

一方通行『それは――』

マタイ『そちらとこちらは犬猿の仲、されど生命想像の研究停止とバーターに、命を認めさせるのは容易かろう?』

マタイ『まぁ、神の家は常に開かれておる。その気になったら来るが佳かろう――新・統括理事長殿』

……

御坂「落差がありすぎないかな?もっとこうペース配分に余裕を持たせるっていうか。段階を踏んだ方がいいと思うのよ」

御坂妹「あ、すいません、難しそうな話だったのでSNS見てました、とミサカはトレンドワードが『#いなくなってくれてありがとう藤○』だということに戦慄を隠せません」

御坂「死球を量産して他球団から怖れられるってどんだけよ」

……

レッサー『ヘイッ、ホォレシッ!フランス・ギャン言わせる・ナイスなアクション・で検索!』
(※ホーレシ=Holy See、教皇管区つまりバチカン市国のこと指す。主にアメリカでの公的な呼び名、決してホーリーシッ×ではないが、アホがわざと発音を近づけて使う場合あり)

マタイ『君がフランス国籍を取る』

レッサー『確かに……ッ!盲点でしたね!どうして今まで気づかなかったんでしょう!素行最悪の私がフランス人になれば相対的にフランスは下がるって寸法ですな――』

レッサー『――ってバカ!?なんでですか!?私がフランス人になってテロでも起こせば……』

レッサー『……』

レッサー『あ、悪くないですね。全部捨てる覚悟でいけばワンチャン』

マタイ『自分で言っておいてなんだが、「元○○国籍の○○民族」とか普通に報道するから無理だね』

……

御坂「だから落差なんとかしなさいよ!『あ、真面目な人たちが並ぶんだな』とか思ったらしょーもない話を!」

御坂妹「我が友レッサーちゃんさんはキレッキレですね、と友の健闘を讃えます」

御坂「縁を切りなさい今すぐここで!」

御坂妹「まぁともあれお姉様にもあのお年寄りが有効であるとお分かり頂けたかと、とミサカは話を露骨に変えます」

御坂「今の話はあとでジックリするとして、まぁ……うん、ダメッて事はないわね。少なくとも詐欺じゃないし」

御坂妹「と、言いますかお姉様も相談されては如何でしょう?とミサカは御坂に提案します」

御坂「今日は当たり強いわよね?いよいよ反抗期来てるの?」

マタイ「――お待たせしてすまない。午前の部は終わった、話を伺おうか」

御坂「え、でもあたしは別にほら」

御坂妹「お姉様いい機会ですよ、ここにいるのは口の堅い者だけですし、とミサカは素直な気持ちで後押しします」

御坂「ほぼ一万弱にリアルタイムで配信されるのに?」

マタイ「佳い佳い。大切な事は何度口にしても目減りすることなどないとも」

御坂「えーっと、あー……じゃあ相談なんだけど。バレンタインのね」

マタイ「もう諦めたら?」

御坂「またバッサリ切って捨ててくれたわね!?昔の時代劇のように躊躇なく!?話のとっかかりすら言ってないのに!?」

マタイ「相手からは蛇蝎の如く嫌われているんだろう?妹さんから聞いたよ?」

御坂「またあんたは!?ついに嘘吐くって成長したのね!良かったけどダメよそういうのは!」

御坂妹「ツンデレ最盛期の時代は終わりを告げ、今ではもうギャグの一環としか捉えられていません、とミサカは非情な事実を口にします」

御坂妹「これからは無表情クールの時代なのです、とミサカは追撃をしました」

御坂「表出なさいよ!全員教育してあげるわえぇもう拳でね!」



-終-



【※告知】
バレンタイン緊急企画ではSSのシチュエーションを募集しています
今年もやりますネタに詰まったときには読者様参加企画

【誰】が【誰】へ【どんなバレンタインのプレゼントを持っていく】のかを明記すると、そのSSが出来るかも知れません

なお基本的な制限は以下の通りとなっております

・とある魔術の禁書目録・超電磁砲のキャラクターのみ。含む新約・劇場版
・多くてもトータルで10人(話)ぐらいなので、まぁ早い者勝ちでどうぞ
・募集期間は1月中ぐらい?場合によっては伸びます。縮みません

基本的に分かればオッケーです。例として、

【上条】さんが【御坂】さんへ【あれこのフィギュアって片方胸が平たいんだけど不良品ですか?】ってバレンタインプレゼントを送る
【絹旗】さんが【HAMADURA】さんへ【売れ残りの鬼○グッズ】をプレゼントする
【レッサー】さんが【キャーリサ】さんへ【ハゲてない方の王子ってポジ的にあなたですよねどんな気持ちどんな気持ち】と自ら死刑台に上がる

みたいな感じで↓に書いておくとその内容がSS化するかもしれません
あまり人が多かったら無作為に抽選となりますが、残念ながらそんな事態は一度もなく (´・ω・`)





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