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Clock(trial)

上条「とあるバイオ・ハザード――Tウイルスの脅威……!」


――登校中

上条「――ふぅ、今日も以下略が俺の飯が食えなかったぜ。まさかバイキンマ○の中の人が真犯人だったとは」

上条「でも今日は安心さ!珍しく小銭を持ってたからコンビニで買い物ができる!カードじゃないからポイントも貯まらないけど!」



――コンビニ

上条「あ、おにきり安い」

レジ店員「二つで二百円になります。こちら温めますか?」

上条「あ、いえ結構です」

レジ店員 ピッ、カタ――ブーン……

上条「あの、店員さん?温めなくていいですよって言ったんですけど」

チーン

レジ店員「べ、別にあんたのために温めたんじゃないんだからねっ!」

上条「店長を呼べ店長を!お前んトコの店員情緒不安定になってんぞ!」



――バス

運転手『――次はとある高校前−、とある高校前でございまーす』

上条「あっはい、降りまーす」 ピンポーン

運転席『……』 ……

上条「っておい!通り過ぎちまってどうすんだよ!?今日は珍しく遅刻しないで済むと思ったのに!」

運転手『と、停まりたかったら勝手に停まればいいでしょ!?』

上条「職務放棄か。てか走ってるバスから勝手にエスケープしたら大ケガじゃ済まないからな!」



――学校 廊下

上条「チクショー……なんだよこの朝からショートコントの連発。カメラが回ってないドッキリ番組と一緒じゃねぇか」

上条「まっ!ある意味俺の人生の縮図と言っても過言じゃないですけどね!ある意味ではね!」

上条「……いかんいかん。そんなノリツッコミしてる場合じゃない、新年早々遅刻しちまった言い訳を何にするのかを決めないと」

上条「『敵の魔術師の攻撃だ!』は年末に使ったばかりだし、『痴漢に間違われた相手がお姫様だった』はその前に使ったし……」

上条「俺ソックリのニセモノが――うっ、頭が!……なんだろう、とても辛い事があったのを忘れている気がする……!」

姫神「うん。”辛い”って認識してる時点で憶えているよね。具体的にどんな内容かも口走ったし」

土御門「なんかもう『去年のことだし割り切りたい』って思いと、『まぁどうせ今年も扱い変わんねぇだろな』って諦念が見え隠れしてるんだにゃー」

青ピ「神様のオモチャ状態やんねぇ。よっこの鋼鉄の起き上がり小法師!」

上条「おぉっとご機嫌で人をイジってくれるなこのヤローども。俺だって薄々『かもね!』って同意したくなるような仮定だがな!」

上条「てか何やってんだよ廊下で。まさか全員遅刻して立たされてる?」

姫神「ではない。結果的にはサボタージュしてしまっているけれども」

上条「じゃあなんで?」

姫神「見れば分かる。見れば



――室内

小萌『はい、じゃあ連絡事項は以上で終わりなのですよー――』

小萌『――べ、別に可愛い生徒ちゃんたちためじゃないんですからねっ!?』

小萌『夜なべして一人一人のカリキュラムを考えてた訳じゃないんですよ!勘違いしないでください!』

小萌『そろそろ婚期も迫ってきて同期が続々とノーシングルになってる中、先生は生徒ちゃんなんかのためにお仕事してるんじゃないですよ!』

小萌『この間帰省したときも「幼馴染みの○○ちゃんはもう二人目ですって、羨ましいわー」だなんて親にせっつかれてなんかないんですから!』

小萌『だから婚活を第一目標にしてもいいのに、あなた達腐ったミカンのためなんかに残業残業してはいませんよ!』



――廊下

上条「地獄じゃねぇか。先生の人生削って俺たちに捧げてるって、アレか?『幸せな王子様』って若いツバメが宝石ドロボーする話か」

姫神「”若い”は要らない。そこを強調すると別の話になる」

上条「てか朝からずっと続いてる一連のコント、小萌先生までキャスィングしんじゃねぇか。なんかの流行りなのか」

土御門「流行りといえば流行りだけどな、フィーバー的な意味では」

上条「パチンコの大当たり?」

土御門「元々はラテン語の『febris(熱)』が原義だから掠っていもいない」

上条「あぁじゃあグロ映画でお馴染みのキャビンがフィーバーするヤツなのか」

土御門「――ん、せいかーい!ネタで言ってんだろうが大正解だぜぃカミやん!」

上条「やぁめぇろぉよぉ!?正解だろうが不正解だろうが不吉な感じ・だ・ロ☆」

姫神「上条名人。もうパニック状態です」

青ピ「あ、ほら。カミやんって防御力は高いんやけど、INT低めやからバステ喰らいやすいんやね」

上条「誰が肉盾だコノヤロー。もっとこう……アレだ!最近リアクション芸しか披露してないけど、受け身じゃないときだってあるんだ!きっと!」

土御門「選択肢が最初から無い状態で『さぁ未来をつかみ取れ!』状態だもんな。JRPGにありがちなド一本道パターン、シナリオによっては地獄と化す」

青ピ「無課金ソシャゲ並に狭い選択肢。なんやあれもゲーム業界じゃ壮大な自殺やっとぉ気がするんやよね」

土御門「……いいか、カミやん。俺はギャグやネタで言ってるんじゃない!俺たちが巻き込まれているのはガチな話なんだよ……ッ!」

上条「そのフリがもうギャグを誘うためにしか聞こえないが……まぁ、聞こうか、何が起きてるんだ?」

土御門「パンデミック、ホットゾーン、有名になりすぎちまったのがバイオハザードって感じで」

上条「おい!まさかこれって――」

土御門「ようこそカミやん!ポスト・アポカリプスの世界へ!」



――空き教室

上条「……ポスト・アカポカリプス……?」

姫神「『黙示録もの』という意味。世界大戦や疫病で現代文明が破壊された……という設定の物語を言う」

上条「バイオがハザードするアレか。映画三作目以降」

青ピ「まぁゲームで言うたら『ラストハルマゲド○』?」

上条「そこはメタルマック○で良くね?誰が30年前のゲームなんて憶えてんだ」

姫神「ざわざわ森のがんこちゃ○もある。意外とあなどれない」

上条「児童向け番組に妙なメッセージ持たせるのもどうかと思うよね!」

土御門「まぁ状態は恐ろしく悪い。絶望的だと言っても構わない程にだ」

上条「パーティメンバーがいつもの悪ノリする連中しかいないのに、なんて難題を課せられてるんだ……!」

上条「……って待て待て。なんか最近みんなのノリがおかしいのは事実だけどもだ。いくらなんだってそんな大事が進行してるなんて」

土御門「気づいているのは俺たちぐらいかもな。もくし見て見ぬフリをしているのか」

上条「フィーバー……なんかのウイルスが流行ってるのは理解したが、具体的にはどんなんだよ?」

土御門「聞いた事無いか?Tウイルスだ」

上条「ウソだろマジで!?それって悪名高いゾンビになるヤツじゃねぇの!?」

土御門「あぁいやちょっと違う。頭文字だけ同じなんだよ」

上条「だよな!?あんなんが流行ってたらどんなアホだって気づくわ」

土御門「Tウイルス――通称ツンデレウイルスが俺たちの敵の名前だ……ッ!!!」

上条「……はい?今なんて?」

土御門「だからツンデレウイルスだが?」

上条「脅威性はないよ!?ある意味伝染するっちゃするけど、別にツンデレに感染したって人類滅亡しないだろ!?」

青ピ「――カミやんのバカァ!」 ペチッ

上条「そげぶっ!?」

青ピ「考えてもみぃよ!この世界がツンデレ一択になったら崩壊するに決まってますやん!」

上条「だからその理屈が分かんねぇっつってんだろ!?別にツンデレ増えたって『あ、なんか態度の悪い人が増えたなー』ぐらいの影響でしかないよ!」

上条「あと俺は違うけど、そっちが好きな人には幸せな世界だろ!俺は生憎お腹いっぱいだけどもだ!」

土御門「まぁ……そうだな。感染した人間が本当にツンデレになるんだったら、ご褒美と言えなくもない――だが!」

土御門「Tウイルスに罹患した人間の恐ろしいところは、必ずしもツンデレになるとは限らないところだぜぃ!」

上条「じゃあ名前変えろよ。ツンデレにならないんだったらT名乗るなよ」

姫神「全員が全員ツンデレにはならない。中にはクーデレやヤンデレ。熱血デレにになってしまう個体もいるらしい」

上条「益々名前から外れてきてるわ。そんだけバリエーション豊かに変化すんだったら主にTウイルスでいいだろ」

土御門「問題なのはだ。全員が全員綺麗にツンデレになってないってことだ」

上条「綺麗なツンデレってどういうこと?俺が知らないだけで邪悪なツンデレとかいんの?例えばボスとか、浜面んトコのおねーさんだとか」

青ピ「なぁカミやん、ガッコ来るまでにTウイルスに罹患した人らを見たと思うんやけど、カミやんはどう思った?」

上条「アレをツンデレと呼ぶんだったら、俺は運営に抗議のメールを出しまくる」

土御門「……そうだ。Tウイルスの恐ろしいところは、感染した人間がノーマルなツンデレになるとは限らない……!」

青ピ「……カミやんだって知ってるだろ?ツンデレの悲しい歴史を、な」

上条「知らないわー。ただ響きからして面白おかしいネタなんだねって想像はつくわー」

土御門「ツンデレとは――2000年初頭、某エロゲーのキャラが超人気で広まったとされる。永遠的なアレだ!具体名は避けるが!」

青ピ「補足しておくとサブキャラなんよね。メインヒロイン達ではなくて」

上条「だってもうここまで聞いただけで悲しさの欠片もないもの。『どうせしょーもないオチが待ってんだろな』って確信するくらいだもの」

土御門「そのキャラ及び作品は一世を風靡!陽の当たらなかったギャルゲー業界は地位向上!……した、まではよかった。あぁそこまではな」

上条「決して今も陽の下にはねーぞその業界。関係者はこう、親戚の集まりで職業聞かれたら『ニートですけど何か?』って即答しなきゃいけないんだからな!」

姫神「それは携わった作品による。タイトル全てが放送禁止用語だったりする人は人間として厳しいかもしれない」

土御門「……問題はそこからだった。いやもう増えた増えた、超増えた。各作品に一人は絶対、大体妹枠と敵枠とか数人ずつ追加される始末!」

上条「まぁキャラ立たせるのに簡単だしな。ただそうやって安易なキャラ付けばっかしてると……」

青ピ「カミやんの言う通りや。結果的に定番としては残ったけども、今は『ツンデレ()』とネタにされる始末」

姫神「というか態度の悪くて直ぐにデレるのはツンデレではないと小一時間」

上条「もうツンデレの定義すら分からなくなってきたよ!」

土御門「実際そうなんだ、そういう曖昧なまま来たのが感染力に現れてる。おかしいとは思わなかったか?」

上条「もう俺たちのいる世界の設定そのものがおかしい」

土御門「もしもTウイルスが接触・空気感染するのであれば、俺たちもとっくの昔にツンデレなっていなければおかしい、ってな!」

上条「だからおかしいのはツッコミしきれないぐらいの世界設定だよ!?てかウイルスだったらもっとちゃんと設定しておけ!」

青ピ「これに対してボクが立てた仮説は――”萌え”や」

上条「もうウイルス関係なくなってきたな?それってケミカルな話じゃなくて受け取った側の癖(へき)の話になってるよね?」

土御門「まぁ、つまりだ。Tウイルスに感染した患者と接触しても、全員が新しく感染するわけじゃない。条件がある」

土御門「それはTウイルスへ対して”MOE”を感じたかどうかで決まるんだ……ッ!!!」

上条「なぁ姫神、俺が言うのもなんなんだけど、友達は選んだ方がいいと思うんだ」

土御門「ここまで事実しか喋ってないのに塩対応……!?」

姫神「『な。なんだって!?』とシームレスで受け入れる方がちょっとどうかしている」

上条「……まぁ、アレだ。何かおかしいのは分かったが、お前らが揃って平気な理由が――」

青ピ「――この、恋愛マイスターのボクを萌えさせるツンデレがあるんやったらお目にかかりたいもんやね!」

上条「ブレないみたいでありがとう。でもお前はもっとこう、他人へ対するハードルを下げないと幸せにならないよ?姫神は?」

姫神「私はツンデレよりクーデレ派。急なデレ期が来るよりも。ワンクッション挟んだ淡々としたデレを時代は求めている」

上条「ちょっと何言ってるのか分かんないですよね!そんなフワッフワした姿勢で罹患しないんだったらTウイルス怖くねぇよ!」

上条「……土御門のアホはツンデレ以前に妹スキーで論外としても……吹寄は?」

土御門「あぁ吹寄だったらここに」 ガチャッ

吹寄「ムーーーーーーーーーーーーーーっ!?」

上条「吹寄ーーーーーーーーーーーーーっ!?お前ら縛り上げてロッカー詰めるだなんてギャグでやっていいことの範疇を超えてるよ!?」

吹寄「ぷ、ぷはぁっ!?……死ぬかと思ったわ……!何よこれ怖いじゃない!」

上条「――すいませんどうか裁判沙汰だけは許してください!全部土御門と青ピが悪いんです!」

姫神「流れるように責任転嫁を始めた。まぁ私も『吹寄さん教室にいなかったっけ?』とは不思議に思ってた」

吹寄「いいから早く縄解いてよ!?あぁもう一時間目始まってるじゃない!」

吹寄「――ま、まぁ今更解いても感謝なんかしないんだけどね!」

上条・土御門・青ピ・姫神「……」

吹寄「ど、どうしたのよ!?」

上条「いっやー、これって、なぁ?」

青ピ「うん、これもう手遅れちゃいますのん?」

姫神「でもない。吹寄さんは前からこんな感じ。だったかもしれない」

吹寄「なに訳分かんない事言ってんのよ」

上条「……なぁ、吹寄。一応これは形式的な質問なんだけど、俺が縄ほどいたらなんて言う、かな?」

吹寄「いや解きなさいよ。一応ありがとうは言うけど」

上条・土御門・青ピ「ツンデレだ……ッ!?」

吹寄「ちょっと意味が分からないわよね!?てか普通何かしてもらったらありがとうは言うでしょ!普通に!?」

姫神「そうなんだけど。今は事情が事情だから」

上条「いや?前に絡まれてる子を助けようとしたら、ナンパと一緒に電撃喰らったよ?それが一般的な反応じゃないのか!?」

姫神「それもう刑法を何個か抵触してるよね」

土御門「カミやんの場合、『助けてたつもりがドツボに嵌まる』って典型的なカタに嵌められるパターンが多々あるんだにゃー」

上条「――気をつけろ!吹寄もTウイルスに感染してる……!」

吹寄「この世界観がよく分からないわ」

上条「逃げよう!こんなところに居ても助けは来ない!」

姫神「どう考えても死亡フラグです。上条君のこれからにご期待ください」

吹寄「あの……どうでもいいから外していってくれない?」

土御門「……あぁ悪いがカミやん、どうやら俺はここまでのようだぜ」

上条「土、御門……?」

吹寄「聞きなさいよ人の話を!」

土御門「見てくれ、こいつを」 バサッ

上条「そ、それは……!?皮膚が変色して……!」

土御門「キ○マークだ」

上条「自慢か。てか知り合いのそういう一面見せつけられるとなんかモニョるんだよ!隠せ隠せ!しまっとけ!」

土御門「……そうじゃない、そうじゃないんだよカミやん。俺はもう手遅れなんだぜぃ」

上条「手遅れって……まさか!?」

土御門「――そう、初めは一週間ぐらい前だった。舞夏の様子がおかしかったんだ」

上条「あー……ここ一週間ぐらい会ってなかった、な?」

土御門「『べ、別にアニキのためなんかじゃないんだからなー?』照れながらそういう舞夏は天使だった……!何か可笑しいとは思っていたんだけど!」

土御門「俺は!俺には舞夏をどうこうすることなんてできなかったんだ!Tウイルスに罹っていようとも俺の妹だから!」

上条「テメーあれだよな?なんかこう美談に持ってく流れだけど、要はその、具体的に言えないような事したってだけの話だよな?欲に負けて?」

土御門「いつもと態度が違っててむしろ良かった……ッ!」

上条「発症云々の話はどこいったんだよ!?てかお前がもうウイルスに罹ってるんだったら!」

土御門「決まってるだろ――『カミやんのためなんかじゃない』ってな」

上条「事実じゃん。別に学校で長々と説明するんだったら家でメール入れてくれても――」

青ピ「……さっ、行くでカミやん。土御門の心意気無駄にしたらアカンよ!」

上条「行くのはいいんだけど、つーか逃げる場所なんてあるのか?」

青ピ「任しぃよ。ボクのとっておきの場所が――」

ガシャーーンッ!!!

一方通行「――おゥおゥ、楽しそうでなにはしゃいでンだァ?あァ?」

上条「一方通行!?なんでお前がこんなところに!」

一方通行「……決まってンだろ。俺がこォするのは俺のため、痛みも!悦楽も!全部俺だけのためにあるンだ!」

上条「どうしよう。ツンデレと中二病を併発してて付けいる隙が無い」

青ピ「……まさかのここで学園都市第一位のお出ましとはな。ボクもツキが回ってきたってもんやね」

青ピ「だってアンタをボコれば学園都市最強の名前が手に入る――超オイシイですやん!」

上条「青ピ?」

一方通行「ホザいてンじゃねェぞ雑魚が」

青ピ「――ゲフッ、ゲホゲホッ!」

姫神「その咳き込み方――青ピ君。もうとっくにTウイルスに罹って……!」

上条「急に設定ちょい足しするのやめてくんないかな?今まで長々と話してきてそんな設定微塵もなかったよね?初耳なんだけど」

青ピ「ケッ、ボクもヤキが回った、っちゅーことですわ。何やカミやんなんか見捨てて楽しくやっとけば良かったんやけど――」

青ピ「はよ行きぃ!ボクがボクである内に!Tウイルスに自我を呑み込まれないうちに!」

上条「いやそんな競っていなかったと思うが……悪い!恩に着る、姫神!」

姫神「青ピ君の名前は忘れない」

青ピ「直ぐ忘れたってええんやで?だってこれは、カミやんたちのためにやってることじゃないさかいな……!」

一方通行「いい度胸してるじゃねェ――なに!?」 パーン

土御門「おいおい一人で格好付けないでくれよ、俺との別れのシーンに何出しゃばってくれてんだ」

青ピ「つっちー……まだ体が、動いて!?」

土御門「ウイルスのせいだな。連日連夜エロいことをしたのに、俺の体力は有り余っているぜ!」

青ピ・一方通行「だから知り合いのそういう話は聞きたくねェ」

吹寄「そして遊ぶんだったら余所でやりなさい、余所で」



――路上

レッサー「――こ、これっ!上条さんのために作ってきま――」

上条「おら!」 バスッ

レッサー「モルスァ……な、流れ作業で……腹パン、とは……!」

姫神「大丈夫?」

上条「前から混沌としてたけど、こんなにおかしかったか?道を歩けば学生に絡まれるわ、知り合いに出会えばツンデレっぽくリアクションされるわで!」

姫神「まぁこの機会だからワンチャン狙ってるとみた。別名ダメ元」

上条「――それより急ごう!さっさと事態を収束しないと取り返しのつかないことになる!」

上条「いや具体的に何が?と聞かれても、今ちょっと思い当たらないけど!直ぐにはな!」

姫神「それは構わないけれど。一体どこへ向っているのかな?当てもなく探し回っても体力をむだにするだけ」

上条「分かったんだ」

姫神「分かった?」

上条「……土御門のお陰だ。アイツが俺にヒントをくれたんだよ」

姫神「そう。なのかな?」

上条「あぁ。このアホ騒ぎが顕在化したのは今日、どう考えても昨日まではここまでおかしくはなかった」

上条「その間、Tウイルスはひっそりと感染してたんだろうけど……舞夏は、土御門の妹は違ってた」

姫神「一週間ぐらい前だっけ?なら妹さんが大元の保菌者だと?」

上条「そうじゃない。けど発症してたのが本当なら、俺たちよりもずっと前に舞夏は大元のTウイルス――」

上条「――原種、ともいえる存在と遭遇していたんじゃないかって」

姫神「だからずっと早く感染していた……そうか。筋は通るね」

上条「舞夏の知り合いの中でTウイルスを持ってそうなヤツに心当たりがある。ソイツはここに住んでる」

姫神「……そう。やっぱりここに行き着く」



――常盤台 学舎の園

警備員「べ、別にお前を中へ入れたいなんて思ってないんだからねっ!?」

上条「なんかもう脳が心配になるぐらいあっさり入れたな!」

姫神「うん。これはこれで心配」

上条「まぁここまで入っちまったら後は楽だぜ。警備員や整備の人もツンデレになってるから、即死級の攻撃はしてこないだろうし」

姫神「……そう。じゃあ頑張るといい」

上条「姫神?あぁ疲れたのか、それじゃ少し休んで」

姫神「行ってほしい。私はもうここから先には進めない」

上条「お、おい!どうしたんだよ、縁起でもない!」

姫神「上条君が会う”原種”。私が付いていけば意識を乗っ取られてしまうかもしれない。何故ならば」

姫神「私も。私はTウイルスに感染してしまってるから」

上条「いつからだよ……ッ!?」

姫神「割りと最初の内から。私はヤンデレ気味だった。しかし誰も気づいてくれなかった。普通に」

上条「そんな!?そんなことって!?」

姫神「危ないところだった。学園で二人きりになっていたらR指定を喰らいそうなことをしていたかもしれない」

上条「ごめん、そこ詳しく教えてもらえないかな?なに?なにをしてもらえたの?」

姫神「……でももう無理。ここからは君が一人で行くべき」

上条「……そっか。じゃあちょっと行ってくるぜ、パパって片付けてくるわ」

姫神「それがいい――」



――常盤台 どこかの屋上

上条「よっ、探したぜ」

御坂「……随分遅かったのね。もう全部手遅れよ」

上条「やっぱり犯人は、つーかツンデレウイルスの大元になってたのはお前かよ」

御坂「あたしが悪いの……?」

上条「……いいや、お前は悪くない。悪いのは――そう、みんなだよ」

御坂「……」

上条「ツンデレが世界を獲った時代があった。万人から愛された結果定番として残った。黒蜜きなこが残ってタピオカが消えるように、実力者は残るんだよ」

上条「……でも、それだけじゃダメなんだ!ツンデレが、全員がツンデレになっちまったらどうするんだ!?俺みたいなニッチな癖を持ってる人間は!?」

御坂「でも!」

上条「でもじゃねぇよ!お前に俺の気持ちが分かるのか!?ファミ○の広告に載ってた超電磁砲のアニメ広告!」

上条「超電磁砲コミックスとアストラと一方通行の宣伝しか一緒になかった俺の気持ちが!原作ガン無視してた広告が!」
(※実話です)

御坂「ごめん、それほんとに分からないわ」

上条「安易なキャラ付けに逃げるんじゃねぇよ!お前には、お前たちにはツンデレ以外にももっと長所だってあるだろ!」

御坂「具体的には?」

上条「貧乳キャラ?」

御坂「――よし殺す☆」

上条「あばばば゛ばば゛ば゛゛゛ばば゛はばばっ!?」



――上条家のアパート

上条「……」

インデックス「……とうまー、ねぇねぇねどうしたんだよ、とうまー?」

上条「……あれ?インデックス?どうした?」

インデックス「もー、どうした、じゃないんだよ。珍しくお昼寝してたと思ったら、スッゴイうなされているし」

上条「ツンデレウイルスは?」

インデックス「別に困らなくないかな?人類がつんでれになっても喜ぶ人が多いんじゃない?」

上条「おい誰だインデックスにツンデレの概念を教えたアホは!?」

インデックス「普通にアニメとかで出てくる用語なんだけど……まぁ顔を洗ってくるといいんだよ」

上条「あぁうん、ごめん。夢だったか、そうだよな、あんな夢――」 ガサッ

上条「新聞……?」

インデックス「あとちょっとお腹が減ったんだよ。おやつくれれば嬉しいかなー、なんてとうますっごい顔してるんだよ?」

上条「――大変だインデックス、この世界の危機はまだ終ってなんかいなかったんだ!」

インデックス「ど、どうしたんだよ!?」

上条「……ちょっと待ってくれ。この”T”って――」

上条「――『とある科学の超電磁砲T』の”T”ってもしかして、ツンデレって意味なのか……ッ!!!?」


○T(ツンデレ)ウイルスの特徴
・ツンデレウイルスに罹った人間のデレに萌えると感染します
・感染すると時間差で発症してツンデレになります
・ただ人によっては完全にならず、量産型ツンデレ(※人気出ない)になります
・特に意味はありません


(※多分thirdです。前はsecondだからS)
(※まぁ今年もこんな感じでしょーもないSSしか書けません。宜しければお付き合い下さい)



【※告知】
唐突ですが、バレンタイン募集用SSを書く時間がなかったのに、期日が迫ってきたので応募となります
今年もやりますネタに詰まったときに読者様参加企画

【誰】が【誰】へ【バレンタイン(のチョコだったりカードだったり)を持っていく】のかを明記すると、そのSSが出来るかも知れません
また「普通のバレンタインがいいなー」という方は、【誰】が【誰の家】へお呼ばれ(※含む自主的に)して遊びに行くと書いて頂ければそれなりに

なお基本的な制限は以下の通りとなっております

・とある魔術の禁書目録・超電磁砲のキャラクターのみ。含む新約・劇場版
・多くてもトータルで10人(話)ぐらいなので、まぁ早い者勝ちでどうぞ
・募集期間は1月いっぱいぐらいまで?

基本的に分かればオッケーです。例として、

【上条さん】が【常盤台女子寮】へ【とある科学の超電磁砲アニメ化おめでとう、それで原作は?】と難癖をつけに行く
【レッサーさん】がダメ王族の反乱でぐぬぬとなる
【姫神さん】が気がついたら都市伝説の一つとして語り付かれている

みたいな感じで↓に書いておくとその内容がSS化するかもしれません
あまり人が多かったら無作為に抽選となりますが、残念ながらそんな事態は一度もなく (´・ω・`)





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