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Clock(trial)

佐天「潜入、ハッピークリスマス団!」


――風紀委員 第177支部詰め所

佐天「こんちゃっすー。どもー」 ガチャッ

白井「あぁ佐天さん、ごきげんよう」

初春「いらっしゃいませ佐天さん。外は寒かったでしょう?」

佐天「ん?あーうん、まぁまぁ?まだコート要らないかなってご陽気かなー、まぁ寒いっちゃ寒いけど」

白井「でしたらコーヒーは如何です?わたくし的にはお紅茶も捨てがたいですが」

初春「今日のお茶請けは差し入れて頂いた北海道の銘菓詰め合わせですよー。佐天さんも遠慮せずに召し上がってください」

初春「特にですね、この『大平原』というお菓子が一部のマニアの中では大流行だそうで、貧乳の上司へ大量に送ったら『殺すぞ』って大変喜んでくださったメールがですね」

佐天「……」

初春「ってどうかしました?」

佐天「ま」

白井「ま?」

佐天「――まさか、別ベクトルの世界に迷い込んでしまった……ッ!?」

初春「予想外です。てっきり『姿を現せこのレプリカントめ!』で来ると思っていたんですが」

白井「流行りですしね、異世界へ行ってハメ外す系のお話が」

初春「白井さんもメイド長わんこ……いやすいませんなんでもないです」

佐天「てゆうか何!?なんでこんなウェルカムなの!?」

佐天「いつもはもっとアレじゃん!初春は文句言いながらもあたし的にはベスツッ!な温度のお茶を用意してくれて!」

佐天「白井さんは白井さんで嫌々な顔しながらも『差し入れですわ』とか言って最新のスイーツお取り寄せしてくれたじゃん!」

佐天「――っていつも通りだったね。ごめんごめん、あたしの勘違いでした」

白井「初春、このナマモノに世間様の厳しさを教えた方がいいのではなくて?」

初春「お言葉ですが白井さんの甘やかしっぷりもどうかと思いますよ。というか自腹切ってたんですね、不自然だと思っていたら」

白井「全部が全部ではありませんけどね。殆どはお姉様への差し入れですわよ」

佐天「いっやぁそんな!常盤台のお嬢様方の用意する物なんて恐れ多いじゃないですか!」

白井「いえ、何混入されてるか分からないのでイーブンですわね」

初春「おい、何食べてさせてんだ。人に」

佐天「逆に考えればマニアの人には嬉しい展開だよ!」

初春「違いますけどね。私たちはマニアと呼ばれる人種とは」

佐天「という訳であたし怒ったぞー!こんなとこにはいられるか!」 グルッ

白井「――はい、という訳でいつもいつもタダ飯ならぬタダスイーツ食べてる方にとっておきのお話がありまして」

初春「学園都市でも五指に入ると呼ばれる名パティシエ、その名も『ツチミ・カード・マイーカ』ブランドの優待券がこちらに!」

佐天「ほう!言ってみたまえ二人とも!あたしは仲間(トモ)の困りごとを黙って見過ごす女ではないと!」

初春「まぁ頼み事なんだなってのは薄々お分かりだとは思いますが、てか分からなかったら怖いですけど」

白井「取り敢えずこちらの動画をご覧くださいませ」 ピッ



――どこかの路上(動画)

女子学生『――でねー、言ってやったのよねー』

男子学生『マジで?それはどうかなー?』

青髪ピアス・金髪グラサン『ハッピーーーー!クリスマーーーーーースっ!!!』

女子学生『誰だよ』

男子学生『てか胡散臭い……』

青ピ『いやちゃうよ?ちゃうちゃう、ホンマ全然怪しいもんちゃいますよ?』

金グラ『そうだにゃー!見やがれ、この俺の澄んだ眼を!』

女子学生『グラサンつけてるから見えない』

男子学生『というかそれ以前に、この寒いのにアロハって』

金グラ『俺は寒くないんだぜぃ――それは!魂が暑いから!』

青ピ『よっヘンタイ!この妹スキーが!』

女子学生『遊ぶんだったら絡んでくるなよ』

青ピ『いやちゃいますって!ボクはインタビューしてますもんで!おおきに!』

男子学生『イントネーションも使い方も間違ってる関西弁もなんとかしろよ』

金グラ『いや、聞いた事ないかにゃー?”緊急質問!路上でドン!”って番組?』

青ピ『ARISAちゃんっていますやん?学生都市のご当地アイドルの、あの子のやってるかもしれない突撃レポート的な?」

女子学生『いや知らない。知ってた?』

男子学生『あー知ってるかも。アレじゃね?何かインタビューするフリをして無茶振りする番組』

青ピ『ピポピポピィィーーーーーーーンポオォーーーーーーーンっ!正ッッッッッッッッッッッッッ解!』

金グラ『そんな君には勇者の帽子を授けるんだぜぃ!あぁあと早押し用のボタンを』 スポッ

青ピ『あ、オネーサンには正解・不正解ブザーを持ってもらいますぅ!あ、使い方は○×のボタン押すだけでっせ』

男子生徒『ちょっと待ってよ!まだやるって何も――』

青ピ『――デデン!第一問!』

男子生徒『え、えぇ!?』

青ピ『オニーサンとオネーサンのご関係はラブラブカップルである?制限時間10秒ぐらい!』

金グラ『チッ、チッ、チッ、チッ……』

男子生徒『は、はい!』 ピンポーン

青ピ『おおっと回答者はオニーサンでんな!素早い回答は自信の表れか!張り切って答えてもらえましょ、どうぞっ!』

男子生徒『”い、いいえ”!』

青ピ『おーーーっと”いいえ”が出たぞー!これは悲しい!クリスマスも近いのにこの回答は切ないぞ!』

金グラ『しかしその答えを決めるのオネーサンの方だ!さぁオネーサンの審判は如何にっ!?』

女子学生『○で』 ピンポーン

男子生徒『……おぉ……』

青ピ『おーーーーっと!?内心ちょっとは期待していたのか男子生徒にこうかばはつぐんやね!』

青ピ『どーですかー?解説の妹スキーさん?』

金グラ『あー、これはですにゃー。オニーサンの思惑としては”こっちじゃ男女のな方だとは思ってないけど、実は向こうから――”』

金グラ『と、まるでハーレム系主人公のような、女の子から告白されるのご都合主義を期待してたんじゃないでしょうか。死ねばいいのに』

青ピ『そうですね。死ねばいいのに』

男子生徒『やめろよおぉぉぉぉ!?そりゃ、なんか期待するだろ!?』

青ピ『はーい、そんなオニーサンに復活企画!第二門!これを正解できれば大逆転のチャンスや!』

青ピ『問題!オネーサンはオニーサンから告られたらオッケーするつもりであるか!?』

男子生徒『……!』

青ピ『制限時間は無慈悲な10秒!人生を変えるかもしれない問題に、オニーサンは答えられるのかっ!どうぞっ!』

金グラ『チッ、チッ、チッ、チッ……』

男子生徒『――はい!』 ピンポーン

青ピ『来いぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃたああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!』

青ピ『一世一代のチャンスとばかりに!オニーサンがマクって来おったあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!』

金グラ『さぁ張り切って答えるがよい若人よ……!その答えで貴様の寂しい年末年始が変るであろう……!』

青ピ・金グラ『その、答えはっ!?』

男子生徒『は、は――』

女子生徒 ブーッ

男子生徒『……い……』

女子生徒 ブーッ、ブブーッ

青ピ『第三問、付き合う気なんてまっさらない?』

女子生徒 ピンポーン

青ピ『第四問、むしろその態度が気持ち悪い?』

女子生徒 ピンポーン

青ピ『第五問、実は彼氏持ちである?』

女子生徒 ピンポーン

男子生徒『……』

青ピ・金グラ『ハッピーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!クリスマーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーースッ!!!』

男子生徒『お前らぶち殺したらあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!?』



――風紀委員 第177支部詰め所

佐天「デジャブかな?」

初春「はい。私も初見で同じ感想でした」

白井「わたくしも動画ファイルの日付確認いたしましたわね」

佐天「これ、てかこの流れ一回見たような……?」

初春「……壊滅、してなかったのですよ」

佐天「いいよ初春。トーン落して雰囲気作らなくっても、もうぶち壊しになってるから」

初春「あの、『ハロウインの悪夢』と呼ばれたハッピーハロウィン団が……!」

佐天「……まさかとは思うけど、これレギュラー化しないよね?来年のバレンタインにまで続いたりとか」

初春「ある人曰く、『ハロウィンからクリスマス、パレンタインまで二ヶ月に一回ずつイベント起きるのってどうよ?』だそうで」

佐天「セルフで首絞めてるだけだと思うよ?たたでさえ農作業で忙しいのに」

白井「まぁそんなわけで、懲りずにこのおバカさん達が復活したのですわね」

佐天「前……えーっと、あたしがイメージしてるお姫様とは程遠いお姫様が出で来て、なんか総じてウヤムヤになったんでしたっけ?」

初春「えぇはい。白雪姫だったら毒リンゴを用意する方ですよね」

白井「その例えは……ちょっと。ただ少し、学園都市で辻斬りをされていただけで」

佐天「切り裂きジャックか」

初春「それも実は誤解だと分かり、ホクホク顔で帰って行かれましたが」

佐天「……まぁ苦労した割にはそんなオチだったよね。白井さんにいたっては常盤台のハイ・エースとクイーンのツープラトンで神隠しに」

白井「白いハイエー○にエッラい風評被害ですが、まぁ怖ろしい体験でしたわ……!」

佐天「まぁ、アレだよね。あたしが言うのもなんなんだけど、殆ど見返りもないのにスッゴいなーって思いますよね」

佐天「そんな懲りないヘンタイさんたちを取り締まるんでしょ?いやマシで尊敬しますって」

初春・白井「……」

佐天「あ、あれ?珍しく空気読んでageたのに微妙な感じに……?」

初春「――で、ですね『ハッピーハロウィン団』改め『ハッピークリスマス団』は活動を再開したわけですが」

白井「前回の反省をしたらしく、これがかなり手強くなってまして」

佐天「お二人がですか!?てかこれただの陰湿なドッキリじゃ?」

初春「はい。私と白井さんで出没するパターンを確認し、事前に網を張っていたのですが……」

白井「梨の礫、ですわね」

佐天「それ……あー、もしかして?」

初春「ですね。私も内部に、というか風紀委員に内通者かシンパがいるという結論です」

白井「えぇ……残念なことに『いいぞもっとやれ』という風紀委員もおりますのよ」

佐天「あー、いるんですね。そういう人も」

白井「ですわね。不本意なことに『カップル共なんか死ねばいいのに、わたくしだってお姉様と腕組んでイチャイチャしたいですわ』って」

佐天「白井さんですよね?内通してるのって白井さんじゃないんですか?」

初春「佐天さん酷いですよ!白井さんには動機があって犯行も可能で、出動前には必ず謎のメールを入れて、予告なしに行動を変えるときは謎の電話番号へ電話してましたけど!」

佐天「目を覚ませ、なっ?」

白井「まぁ流石に今のはジョークですが、心情的に分からなくもない、という方が少なくないのも事実でして」

初春「この季節、騒ぎを起こすのも巻き込まれるのも彼氏彼女連れが多いですからね。乳繰り合ってるのなら家でやれ、と」

佐天「ボランテイアで熱心にやってる分だけ、”闇”が溜るんだろうか。この人達」

初春「なんで一部の、という上層部、というのも違うんですが、警備員の方にも要請を頼んだんですよ」

佐天「えー、無理だよ。だって学生のイタズラでしょ?」

初春「はい。『ぶっちゃけ私もカップル死なねぇかなって思うんじゃんよ』って予想外の反応が」

佐天「予想外すぎないかな?てか大人がそんなぶっゃけ方していいの?怒られない?」

白井「まぁわたくし達も手をこまねいていただけではございませんのよ――初春、例のものを」

初春「はい、これですね」 パサッ

佐天「おー……おぅ?地図?」

白井「捜査で分かった事、それはハッピークリスマス団がクリスマスに大規模な行動を起こす……!」

佐天「いえあの、ハッピー”クリスマス”団なんだから当たり前じゃないんですか?」

初春「思っていたよりも彼らは支持を得、以前よりも規模が大きくなりました。予想では数十人、一説には数百人とか」

初春「あくまでも噂ですが、レベル5を数人要しているとさえ……!」

佐天「超噂だけだと思うな。その人数もだけど」

白井「真偽はともかく以前よりも大きくなっているのは確か……ですが、その規模故に団員のテンションもまちまちですのよ」

初春「ノリで入ってる人もいれば、割と本気でカップル撲滅考えてる過激派の人まで多様らしいんですよ」

佐天「二人が思ってるほど、ちゃんとした理由があるとは思えない……!」

白井「そこで必要になってくるのはテンションですの」

佐天「また珍しい台詞が珍しい方から出ましたねぇ」

初春「おかしな話じゃないんですよ。選挙でも決起集会で支持者のテンション上げるじゃないですか?あれと同じで」

佐天「あれも正直、支持者の人向けのポーズなんだったらいらないんじゃ?」

初春「はい、かもしれませんがハッピークリスマス団には有効なんですよ」

初春「基本『暇だけど異性に告白する度胸もなければモテる努力もしない』、っていう残念の人達だったのが功を奏しました」

佐天「ちょくちょく毒を吐くのは……うんごめん。初春も怒ってんだよね。このクソ忙しいときに仕事増やしやがってって」

白井「で、集まったところを幹部ごと一網打尽、ですわね」

佐天「残った人達は?」

初春「幹部の方達がパクられれば自然消滅するかと。元々が他力本願な方達ですし」

佐天「……そっかぁ。二人とも大変なんですね」

白井「それでですね、ねぇ初春?」

初春「ですよね、はい」

佐天「なに?なんですか?」

白井「前述した通り、わたくし達は動くに動けない状態ですのよ。内通者がいる以上こちらの行動は筒抜けになっていまして」

初春「情報漏洩もどこからあるか分かってものではないですし、私たち二人だけでは、ですね」

佐天「へー――」

佐天「――あ、ごめん。あたしちょっとバイトの時間だから帰りますねっ☆」

白井「お待ちになってください。逃がしませんわよ」 ガシッ

初春「てゆうかここまで聞いておいて帰れるとでも?」 ガシッ

佐天「だよねー。あは、あははははっ……!」



――いつものファミレス

滝壺「……集まってもらったのはほかでもない……ッ!」

麦野「集まったというか、いつもダベってるというか。まぁ通常運転よね」

絹旗「まぁそれはそうかもですけど、今日は超レアに自ら話し出す滝壺さんなんですから」

フレンダ「そうよー麦野。あんたには人の心ってモンが足りないって訳、分かる?」

麦野・絹旗・滝壺「……」

フレンダ「あによ。人の顔ガン見して」

絹旗「あれ?フレンダって先週超死にませんでしたっけ?」

フレンダ「斬新な角度でのイジリ方!?イジリっていうよりももうイジメよね!またネタだって分かってても超気分悪い訳!」

フレンダ「麦野からも何か言ってやりなさいよ!この子は年々あんたに似てきて悪魔超○としての道を着実にステップアップしてる責任を!」

麦野「てかあたしが殺したよなぁ?」

フレンダ「おまわりさんこのひと犯人です」

滝壺「まぁ謎の能力で復活したていで……死んだ後も働き続ける」

絹旗「そんなハチいませんでしたっけ?」

フレンダ「よーしあんたらあたしに喧嘩売ってる訳ね?いいわよ、買うわよ全部買ってやろうじゃない!」

滝壺「ふれんだはいい。それよりもはまづら、大問題……」

フレンダ「滝壺?浜面――ってまさか!?」

絹旗「えぇまさかの超どんでん返しでそういうことに。てか時系列面倒なので端折りますけど、そうなんですよ」

フレンダ「うっわ意外……でもないな。最初から同情的だったし、典型的なダメ男に引っかかるパターンか」

滝壺「はまづら、頑張ってくれたよ……?」

フレンダ「まぁいいんだけど。それで?」

麦野「このゴースト、数々の疑問を放って本題進めようとしてるわね」

絹旗「制作から……えぇ色々と大人の超事情がありましてね」

滝壺「はまづら、最近おかしくて……」

麦野「前からじゃない」

絹旗「超前からですよね」

フレンダ「前からそうって訳だし」

滝壺「おかしいのは、まぁ普通なんだけど……おかしいのが、おかしいっていうか」

絹旗「超フワッフワしてますが。具体的にはどんな?」

滝壺「……素行が、いつもに増して、へん」

フレンダ「彼女にすらデフォで変扱いされてるのは同情は……しないんだけど、だからどんな感じで?」

滝壺「くりすます近くなったら、えーっと」

麦野「はいはいのろけのろけ。クソムカつくなこのアマ」

絹旗「知り合いのそういう生々しい話は超聞きたくないんですが」

滝壺「……違う。その、くりすますが、忙しいんだって」

麦野「浮気ね」

絹旗「浮気ですね」

フレンダ「浮気って訳じゃん」

滝壺「結論がはやいっ!?……いやいや、はじめはそうかも、って思ったけど。はまづら、局地的にはモテる、し?」

麦野「それはそれで腹立つんだが。浮気じゃないの?」

滝壺「けーたいをね、ちょっと調べてみても痕跡はないし……」

絹旗「複数端末は超基本ですよ滝壺さん。ヤツはそういうスキルを持っている男です!」

フレンダ「ねぇ楽しんでるよね?誰か一人だけはしゃいでる子いる訳よね?」

麦野「そうよ絹旗。浮気ってのはバレなきゃ浮気じゃないんだからね?」

フレンダ「あゴっメーン。二人だった」

滝壺「『あいてむ』の絆はここまでもろいとか……!」

麦野「ノリで殺った。反省はしているが二回目もないとは言い切れないわ!」

絹旗「超反省しましょうよ。ガワだけでもせめて」

滝壺「……で、その、浮気はなかったんだけど、その代わりにね、変な人達とメールのやりとりしてて」

麦野「……へぇ?」

フレンダ「(ねぇねぇキヌハター)」

絹旗「(変な呼び方しないで下さい淫乱ゴールド)」

フレンダ「(あたしの名前も原型が一つもない!?そしてなんか懐かしい!)」

フレンダ「(……じゃなくてっさ。これ、アレよね?『符丁使って浮気相手と密会してます』ってパターンよね?)」

絹旗「(お静かに。滝壺さんは気づいてないみたいですから、私たちが穏便に超解決するってことでしょうか)」

滝壺「――ってわけ、なんだけど」

麦野「そうね、私は考えすぎだと思うけど、滝壺が気になるんだったら調べてみよっか?」

滝壺「……うん」

麦野「オッケー。それじゃ悪いんだけどそっちの二人、潜入捜査してきてもらえる?”念のため”だけど」

絹旗「了解しました。”万が一”はないでしょうが、イベントのつもりで。いいですよね、フレンダ?」

フレンダ「ん、あたしも問題ナッシングよ。でも潜入って何?」

麦野「折角にクリスマスイブ、あのアホが彼女放置して行くイベントがあるんだって」

絹旗「……一人で?」

滝壺「……おともだちと、らしい」

フレンダ「それってただのバイトじゃない訳?浜面だってアホはアホだけど、そんなバレッバレのねぇ?」

滝壺「あんな格好いいひと、他の女が放っておかない……!」

麦野・絹旗・フレンダ「そーですね」

麦野「……まぁ浜面に対する滝壺の見解はさておくとして、底抜けのアホである可能性もゼロじゃないのよ」

絹旗「そうですね。前にシタッパーやってたときも、我々のケータイへバニーさん画像を送りつけやがった超アホですしね」

フレンダ「思い出したくない訳!なんで浜面の性癖をカミングアウトされなっきゃいけないの!?」

絹旗「それで我々はどこへ超忍び込めばいいんでしょうか?」

滝壺「えっと……『はっぴーくりすますだん』……?」



――某学区イベント会場 12月24日 昼

フレンダ「……つーかさぁ。あたし思う訳よ」

絹旗「超言わないでください」

フレンダ「なんっっっっっっっっで!クリスマスの日に!あんたと潜入ミッションこなさなきゃなんない訳!?」

絹旗「だから言わないでくださいってば。。私だって思うところがない訳ではないんですから」

フレンダ「あの日は『浜面の浮気現場押さえてボコにしちゃうぞ☆』ってテンション上がってたけどさ!よくよく考えるとあのアホのために手間暇かけるのがアホらしいって訳!」

絹旗「そうですねー。今にして思えば率先して他人様の不幸に首突っ込むあの女、今回はどうした?と思ったら超逃げやがったんですね」

フレンダ「そうよねっ!そう思うわよねっ!?」

絹旗「ですがフレンダ。今ここを放棄すれば麦野には超怒られるでしょうし、滝壺さんも悲しみますよ?」

フレンダ「……あんたやっぱ男前よね」

絹旗「殺す」

フレンダ「体型なんて一言も言ってない訳!?考え方がよ!」

絹旗「はぁ、どうも。私が男でも『アイテム』やあなたはちょっと――」

イベント会場バイト「――いいじゃねぇかよ!女の子同士だって恋愛しても!」

絹旗・フレンダ「……」

イベント会場バイト「あ、お疲れ様です」

絹旗「どうも」

フレンダ「なんで会話に加わってんのよ。てかツッコミどころ違くない?」

絹旗「というかこのパターンに見覚えがありすぎて……まぁ超距離を取りつつ、会場を監視しましょう」

フレンダ「監視、っていうかさ。ここってイベント会場ばっかある訳じゃない?」

絹旗「コンサートホールに、展示会?あ、恐竜展も来月ですって」 ピッ

フレンダ「うん、あたしらが張り込んでるあのホールは……」

絹旗「――の、情報は残念ながら載っていませんね。セキュリティも超万全だとか」

フレンダ「その割には、あたしらが見てるだけで結構入ってる訳よね?」

絹旗「収容人数1500人。イベント開始まで一時間切りましたからね。一番集まる時間ですが、問題なのは……」

フレンダ「誰も入り口でチケット出してないって訳か」

絹旗「ですね。受付の男と二・三語会話してから中へ入っています。これは集まるメンバー超暗記しているんでしょうか?」

フレンダ「ってのも考えにくい訳。だってほら、コスプレしてる人もそこそこいるし」

絹旗「ということは合い言葉ですか?なんて古典的で厄介な」

フレンダ「でも逆によ?何人かのを観察していけば行ける訳」

絹旗「読心術もできませんしねぇ。私たちも適当に仮装して乗り込むのが第一プランでしょうか」

フレンダ「第二プランは?」

絹旗「武力で超突破」

フレンダ「うん、知ってた」



――『ハッピークリスマス団』 イベント会場入り口受付

爽やか糸目「……」

フレンダ「(なんかエラい場違いなイケメンが受付やってんですけど)」

絹旗「(超意外ですよね。道歩いてるだけで『見せられないよ!』と放送コードに引っかかる系の方ばかりかと)」

フレンダ「(問題発言やめて)」

絹旗「(――ってフレンダが言ってました)」

フレンダ「(事故を押しつけるのもっとやめなさいよ!?何してくれてんのよあんた!?)」

絹旗「(あ、誰か来ましたよ)」

クワガタアフロ「よぉブラザー!」

爽やか糸目「お疲れ様です」

フレンダ「(ちょくちょく見かけるんだけどあのアフロ)」

絹旗「(じゃ今のウチに後ろへ移動しましょう)」 コソッ

爽やか糸目「すいません、このホールはただいま改装中でして。クリスマスのイベントは二つ隣のホールでやっていますよ?」

クワガタアフロ「そうなのよ!?こりゃ失敗失敗なのよな!」

フレンダ「リアクションが昭和か」

爽やか糸目「まぁそれはそれとして――『山』」

絹旗「そして超不自然極まりないワード入れて来ましたね!?」

クワガタアフロ「え!?待つのよ待つのよ!そのパターンだとえぇっとー、なんだったのよ!?」

爽やか糸目「制限時間ありますよー、さぁ間に合うか!」

クワガタアフロ「ヒント!ヒントほしいのよな!」

爽やか糸目「えー?どうしよっかなー?」

フレンダ「いい歳した大人がイチャイチャすんな!鬱陶しい訳よ!」

クワガタアフロ「意地悪しないでほしいのよ!このイベントのために俺は来たのに!」

絹旗「そしてもう隠そうとする気すらなくなりましたね。すぐうしろで私ら超スタンバッてるにも関わらず」

爽やか糸目「じゃヒント――『川』!」

フレンダ「答え言った!?しかも古典的な合い言葉だった!?」

絹旗「フレンダがそのネタを知ってるのに超驚きです」

クワガタアフロ「えー、まだ難しいのよー。これだけだと分からないのよなー」

爽やか糸目「やれやれ、仕方がないですね。あと一回だけですよ?」

フレンダ「もう殴り倒して中入る訳。色々な意味で寒いわ!」

絹旗「待って下さいフレンダ!こんな時こそ前回の失敗を思い出して下さい!」

フレンダ「失敗を生かしていいような場面じゃない」

絹旗「いえいえ力技だけでは通用しない相手もいるんですよ。そんなときには頭を超使うんです!」

フレンダ「よかったー。ジャガーノー○みたいな頭の使い方ばっかするあんたが成長してくれてた−」

絹旗「あれ?あそこに歩いているのはタレントの一一一では?」

フレンダ「マジでっっっっ!?どこどこ?!あたしサインもら――」

絹旗「オラァっ!」 バスッ

フレンダ「げふぅっ!?」

絹旗「あのーすいませーん」

爽やか糸目「はい?」

絹旗「私たち超急いでくるように言われてるんですが、先に中入っていいですか?」

爽やか糸目「いやでも……」

絹旗「あとこの子、ちょっと気分悪くなっちゃったみたいで、中で休ませたいんですよ」

フレンダ「目、目の前で……腹パン……しただけじゃない……!」

爽やか糸目「それは大変ですね!早く運ばないと……あぁでも自分はここを動けない!」

クワガタアフロ「なら俺が連れて行くのよ」

絹旗「いえどうかお気遣いなく。女の子ですのでデリケートですし」

クワガタアフロ「お、おぅなんかすまなかったのよな!」



――イベント会場内

絹旗「――ふう、無事に潜入できましたね」

フレンダ「そうね!あたしのシクシク痛む横隔膜の痛みを除けばね!てゆうか全然無事じゃない訳だけど!」

絹旗「普通っちゃ普通ですよね。クリスマス風の飾り付けもなし、歩いてる人が超サンタばっかりってだけで」

フレンダ「その時点でもう普通じゃない訳よ。しっかしどうすんのこっから?『今から何するんですか?』って聞いて回るわけにも行かないし」

絹旗「それもアリっちゃアリだと思うんですよね。大抵のヤローは私たちぐらい年代の女の子に超弱い筈ですし」

フレンダ「うん……!うん!深くは否定しきれない訳だけど!そうはっきり断言するのもよくない訳よ!きっと――」

イベント会場バイト「――裏切り者だ!裏切り者が出たぞーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!」

絹旗「よっし修羅場ですね!超待っていました!」

フレンダ「待ちなさいよジャガーノー○。声はあっちから聞こえるし」

絹旗「えー……なんかもう超面倒になったんで、全員ぶっ飛ばして終わりにしません?」

フレンダ「あんたホントいい加減にしなさいよ!お父さん(※麦野)の悪いとこばっかり真似するようになって!」

絹旗「つーかですね、あれ。聞き覚えありません?」

フレンダ「バイトの方?あたしの友達じゃない訳」

絹旗「じゃないです。捕まってる方」

フレンダ「あい?」

浜面「――待ってくれ!?俺が捕まってるんだよ?!これは冤罪だ!」

金グラ「って言ってるが、どうだ?」

イベント会場バイト「……いいや!こいつは嘘を吐いている!カノジョ持ちだ!」

金グラ「それは残念だぜぃ。折角友達になれそうだったのに、生まれ変わったら仲良くやろうや」

浜面「嘘を吐いているのはそっちの方だ!俺にはカノジョなんていない!」

イベント会場バイト「いや、ここにだな誤送信で知り合いのメアドに一斉送信された画像付きメールがあるんだ」 ピッ

金グラ「あー……詳しくは言えないけど、寝てるカノジョの横顔と一緒にドヤ顔で写ってるんだにゃー」

イベント会場バイト「どう考えてもこれ詳しくは言えないけどエロいことした後だろ!?」

浜面「い、いや違うんだ!彼女はカノジョじゃねぇんだ!」

金グラ「ほう?だったら一つのベッドで寝るだなんてハレンチな関係は何だっていうんだ!言い訳できるんだったら言ってみろ!」

浜面「え、えーと……そうだ!この子は妹なんだよ……!」

金グラ・イベント会場バイト「……」

絹旗「私か過去聞いた中で、最大級に超頭の悪い言い訳が来ましたよ。流石浜面」

フレンダ「もうあれ見捨ててよくない?滝壺にも無断で写真撮っててなおかつ流出させたんだし」

浜面「オヤジが再婚してできた義理の妹なんだ!だからこう、お兄ちゃんのベッドに潜り込む的なアレだ!」

イベント会場バイト「……バニーさんの格好で?」

浜面「ウサギが大好きなんだ!俺に似てな!」

絹旗「どんな写真が超見たいですね」

フレンダ「奇遇ね。あたしも少し見たい訳」

金グラ「なぁ、これって」

イベント会場バイト「そうだな」

浜面「た、ダメか……?」

イベント会場バイト「……すまない。俺か悪かったぜ」

金グラ「妹ならしょうがないよな。だって妹なんだから」

絹旗「あいつら超頭悪いですよ。もしかしたら頭の中に脳入ってないかもしれません」

フレンダ「そうね。反射神経だけで生きてるって言われても納得するチョロさよね」

浜面「へへ、分かってくれりゃそれでいいぜ。だって俺は――ってあれ?」

イベント会場バイト「どうした、同士HAMADURA」

浜面「あそこにいるのって俺のダチじゃね?」

金グラ「ダチって……女!?おいどうしてここに女がいるんだ!?」

フレンダ「帰ったらあたしが浜面殺すわ」

絹旗「ダメです。私が殺るんですから」

イベント会場バイト「捕まえろ!スパイだ――ぐっ!?」

金グラ「お前!やっぱり裏切ってたんだな!」

浜面「――先に行け、二人とも!ここは俺に任せて行くんだ……ッ!」

絹旗「いや行きますけど。徹頭徹尾お前のせいだからな?あとで憶えとけよ?」 ダッ

フレンダ「なーんか納得いかない訳−」 ダッ



――イベント会場 通路

絹旗「……ふう。ここまで来れば暫くもつでしょう」

フレンダ「足遅いから逃げ切るのも超楽だけど。なんでバレた訳?仮装してんのに」

絹旗「ですね。私はトナカイっぽい色合いの服と角で、フレンダは超ミニスカサンタなんですけどね」

フレンダ「あたしそんなの着せられてたの!?そりゃ生足誇示してれば見つかって当然って訳だ!」

絹旗「気をつけて下さいね?」

フレンダ「全力疾走した後で言われてもな!ショーパン履いてても、うん、なんかテンション的にね!」

佐天「あのー?」

絹旗「誰っ!」

フレンダ「――っとストーーーップ!?あんたの腹パンは一般人にしたら貫通するからダメ!」 ガシッ

フレンダ「てか、あんたなんでここに……?」

絹旗「お知り合いですか?」

フレンダ「うん、友達」

佐天「ここだと見つかるので、こっちです、こっち」 ガチャッ

絹旗「って言ってますけど」

フレンダ「……大丈夫。あたしが保証する訳」

絹旗「なら、まぁ」



――

佐天「――って訳でこの組織はテロを目論んでいるんです……ッ!」

フレンダ「どういう訳?出だしからまだ何も説明してない訳よね?」

絹旗「まぁお互いの事情は超いいじゃないですか。どうせどこかの組織の子でしょうし、要点だけを簡潔に」

佐天「はい、まぁあたしはとある風紀委員のバイトで潜入してんですけど」

フレンダ「言っちゃった。この子自分の組織名言っちゃった訳」

絹旗「私たちは『暗部』の一員ですが、これ以上はあなたの命に関わりますので詳しくは」

フレンダ「あんたも対抗してどうすんのよ?関わるんだったら言わなくてよくない?てかあたしの友達になんつーこと吹き込んでくれんのよ!?」

佐天「デパートで銃持った相手に立ち回ってたので、なんとなくそうなんじゃいかなー、とは」

絹旗「おい、淫乱ゴールド」

フレンダ「その話はさておいて!テロって何!?」

佐天「そんなことよりも淫乱と呼ばれている理由について詳しく!」

フレンダ「空気読んで、ねっ!?」

佐天「『ハッピークリスマス団』、通称HK団は怖ろしいテロを計画していたのです!」

フレンダ「クリスマスだから”C”ね?」

佐天「おっと失敗。流石は外人さんだけでありますなぁ」

フレンダ「遠回しにdisられてる気しかしない」

絹旗「それで、この胡散臭い団体で一体何が?」

佐天「はい。この前身になったのが『ハッピーハロウィン団』という、まぁカップルを冷やかす動画を投稿して小銭稼ごうって個人でした」

佐天「しかしそれが大好評。ウザいカップルに嫌がらするんだったら俺も俺もと団員殺到」

佐天「そして謎のスポンサーがついてカップルを別れさせようと尖鋭化。手がつけられない有様に」

絹旗「どこかの政治結社を見てるようです。上の方はそこそこ正気なのに超引っ込みがつかなくなる感じ」

佐天「……会場にサンタさんばっかりだったでしょう?実はそこにテロの思惑がありまして」

フレンダ「怪しまれないようにって訳?今日明日は街にゴロゴロいるでしょ」

佐天「――そう、サンタさんであれば少しぐらい大きな包みを持って歩いていても不審に思われない……!」

絹旗「確かに。『バイトの人だな』ぐらいですよね」

フレンダ「なんて考え抜かれたようでボロッボロなプラン!そこまでしてここの連中は何をしようとしてる訳……!?」

佐天「……これを見てください。あたしがパチったHC団のサンタ袋です」 ドンッ

絹旗「意外に重そうですよね。あ、開けますよ?」 ガサッ

フレンダ「出てきたのは……アンプとスピーカー?と、携帯用音楽プレーヤー?」

佐天「そう、彼らはこれを使って一斉ゲリラ放送をしようと企んでい――」

絹旗「――そろそろ浜面と合流しましょうか。フルボッコは超終ってるはずですし」

フレンダ「あたしらの分も残ってるといい訳だけどね。まぁするんだけど」

佐天「待って下さいよ?!マジな話なんですからこれ!あたしがきちんと調べた結果ですし!」

フレンダ「騙されたんじゃないの?あいつらだって聞かれてホイホイ答えるようなもんじゃないでしょ?」

佐天「いいえ、『教えなさいよ小○!』って言ったらかなり率先して」

絹旗「それは超仕方がないですね。あなたにそう言われればこの国の約半数はなんでもゲロります」

フレンダ「この国、滅びる訳よ。てか音楽?放送つったって何をするって」

佐天「ポチッとな」 カチッ

プレイヤー『かーさんがー、よなべーをしてー、てぶくーろあんでくれーたー』

フレンダ「悪質だな!?こんなんクリスマス気分で浮ついてたテンション吹っ飛ぶ訳だし!?」

絹旗「……くっ!中々オイシイじゃないですか!」

プレイヤー『きみたーちの、がくひはだれがー、かせいーでいるのかなー?』

フレンダ「そして始まるオリジナル歌詞。まともな学園生が聞いたら超凹むわ!」

佐天「でしょう!?まぁ一応学生の本分は勉学とはいえ、クリスマスに一斉にこれ流したら商店街の人にもダメージですよ!」

フレンダ「そっか……バカどものサイフ狙ってる店も多い訳か。あたし的には頑張らないと行けないかも。ね、絹旗」

絹旗「……」

フレンダ「どったの――けぶしっ!?」 ボスッ

絹旗「……ごめなさい、フレンダ」

佐天「まさか――あなたもHC団の一員だったんですか!?」

絹旗「いえ、カップルどもを凹ませるのが超楽しそうなので裏切りますね」

フレンダ「な、なんて……刹那的な、発想……ぱたっ」

佐天「口で言いましたけど、ぱたって」

フレンダ「いいのよ!気絶したフリしないと、気絶するまで殴ってくるんだからこの子!」

佐天「あたしが言うのもなんなんですけど、友達はもう少し選んだ方がいいと思うな」

絹旗「さて、そちらの方も抵抗すれば超怪我をしますよ――」

絹旗「――フレンダが!」

フレンダ「待って?気絶してるあたしがツッコむのもなんなんだけど、その文脈っておかしくない?屍体蹴りよね?」

絹旗「まぁあなた方の首を手土産にして、私は幹部になりますので超ご安心を」

佐天「くっ!卑怯な!」

絹旗「という訳で、ぺちっ」 ペチッ

佐天「あ、あれ?痛くない?」

フレンダ「気絶しといたフリがいい訳よ」

佐天「と思ったけど気絶しましたわー。これ以上ないってぐらいしちゃいましたわー」

絹旗「では超運びますんで、抵抗しないでくださいね」



――幹部の部屋

青ピ「ちゅーわけで侵入者二人とお連れしましたわ。あと入団希望の見学者が一人」

絹旗「どうも」

佐天「(意外とあっさり入れたよね。二人とも普通に拘束もされてないのに)」

フレンダ「(それだけ相手が強いかバカって訳よ。もしくは強いバカかもだけど)」

???「そうですか。では後は私がお話を聞きますので、下がってください」

青ピ「危険やないですかね?何人か待機させてますけど?」

???「その方達も結構です。イベント決行の時間も近いですし、それぞれ待ち場へ」

青ピ「わっかりました!おおきに!」 パタンッ

???「……行きましたか――ごめんね?ケガはない?酷い事とかされなかった?」

佐天「あなた――ARISAさん!?」

鳴護(???)「涙子ちゃんだよね?よかったぁ、人違いかと思った」

フレンダ「ちょ、ちょっと待つ訳!知り合い、つーかARISA!?ご当地アイドルの!?」

鳴護「いやシンカーソングライター……はい、ご当地アイドルですね。そういう認識ですよね」

絹旗「あー……はい、知ってます知ってます。ゆるキャラグランプリで」

鳴護「その単語が出てる時点でもう違うからね!そういう視点で戦ってはないし!」

佐天「つーか、あの、ARISAさんが幹部ってどういう話で?」

鳴護「ごめんなさい!全部終わったらすぐ解放するから、もう少しだけここにいるだけで、ねっ?」

絹旗「はぁ。それは了解しましたが、このアホな団とアイドルさんがなんで同じバスに乗ってるのかと」

鳴護「それは……同じ、だからかな」

フレンダ「同じ?」

鳴護「――私には夢があったんだ。アイドルになって有名になって、っていうまぁ、女の子だったら夢に見るような」

佐天「あたしは別に」

絹旗「同じくですね。フレンダは?」

フレンダ「興味はある」

鳴護「普通の女の子だったら夢に見るようなの!普通の子だったら!」

鳴護「……でも、いざ芸能界へ入ったら違ってた……!」

鳴護「毎日毎日毎日毎日!フードファイターと食べレポのお仕事!あとグラビアがたまーにで歌はあんまりだし!」

鳴護「こんなのってないよ!てかアイドルでもなかったんだし!」

佐天「あー……溜ってたんですねぇ、ARISAさんも」

鳴護「でもあたしは頑張ったもん!こんなあたしでもファンの人がついてきてくれて!その人達のために食べたよ!どんな次○も!」

絹旗「最後の一言で超台無しですよね。食ってるだけじゃねぇか」

鳴護「それであるとき、別のお仕事で仲良くなった子達がね、えっと別のお仕事で再登場してて……」

鳴護「そのとき、その子達をって声は一杯あったんだけど……」

絹旗「あなたのはなかった、と」

鳴護「『あれ?あたしは?』って!いらない子だったのかなぁ!?」

佐天「メタネタは、つーかローカルすぎるネタは慎んで頂ければ幸いかと思うんですが……」

鳴護「あとアイドルにはクリスマスもお盆もお正月もバレンタインもないんだよ!?酷いよねっ!?酷いと思わないっ!?」

鳴護「マネージャーさんに抗議したら、『養分、もといファンの方達を安心させるために夢を売ってる商売ですから』って言うんだよ!?」

フレンダ「いや、それはジャーマネが正しい訳」

佐天「中の人に過剰な期待もよくないよ!別に誰かを擁護するんじゃないけどね!」

鳴護「――と、いう訳で学園都市の繁華街数百箇所で、私の本気歌い中継をしようと思います!」

絹旗「また超フワっとした動機でテロ決行ですね」

フレンダ「もうなんか『すれば?』って感じな訳」

鳴護「さぁ決行まであと少し!止められものなら止めてみてください!」

絹旗「はい、じゃあ今から超喉握り潰しますので」

鳴護「物理的に!?そうじゃなくて言葉で説得してって意味でだよう!」

絹旗「いえ、この距離で私の攻撃から逃げられるとでも?」

フレンダ「悪役の台詞よね」

鳴護「あれ?最後の最後で詰んだ?」

佐天「すいません、フレンダさんの友達さん。現役アイドルの喉は流石に致命傷なので、軽く腹パンする程度でやめて頂けないでしょうか?」

絹旗「まぁ軽くシメてからエロい写真撮るだけにしますから、穏便に」

鳴護「穏便じゃないよ!それ薄い本だったら二ページ目で服着てないヤツ!」

バタンッ

イベント会場バイト「――女の子のエロい写真と聞いて!」

フレンダ「帰れよ」

鳴護「当麻君!?」

上条(イベント会場バイト)「アリサ、もうやめるんだこんなこと!こんな悲しい事したって誰も救われないんだよ!」

上条「ただちょっと世間様の大半であるカップルうぜーと思う人達が溜飲を下げるぐらいだ!たったそれだけだから!」

フレンダ「結構いる訳よね、てかほとんどじゃん」

鳴護「……当麻君の言葉はとどかないよ!アイドルの孤独を知らない人には!」

佐天「てか要約すれば今の話、『養分は養分としてキープしたいけど、それとは別口に遊びたい』ってだけですからね」

佐天「あれ?初春から怒られそうな……?」

絹旗「もう許してあげましょうよ。何年経ってんですかTom-×uck in 西葛西」

上条「くっ!俺には止められないのか!?」

絹旗「いや、ですから物理的には超何したって止められるじゃないですか。四対一で囲んでんですから」

上条「くっ!俺にはアリサの気持ちを変えることはできないのかっ!?」

絹旗「いや、でしたら心が折れるまで殴って殴って殴って殴って、生きてるって素晴らしいと再確認させるのが最短かと」

フレンダ「物理だろうがメンタルだろうが、力でねじ伏せに来んのねあんたは」

佐天「――いえ、ダメです上条さん。ARISAさんの心を動かすには、そんな言葉だけじゃ!」

上条「じゃあどうすれば……!」

佐天「ですから――と、言って――すれば」

上条「……マジで?そんなんでいいの?」

佐天「あたしを信じて!」

上条「それが一番信用できないんだが――えっと、アリサさん?」

鳴護「なに?当麻君のお願いだって聞けないよ!」 カチッ

鳴護「てゆうかもうスイッチいれちゃったもん!あとはあたしが歌うだけなんだからねっ!」

絹旗「てかこのアマ、男一人増えたら微妙に態度変りましたね」

フレンダ「そしてダチョウ的な雰囲気よね」

上条「俺、今からちょっと暇なんだけど、よかったら遊びに行かないか?」

鳴護「『みんなーーーーー!ARISAでーーす!突然のゲリラライブで驚いてるかもだけど、聞いてねー!』」

鳴護「『全力で歌います――清しこの夜!』」

佐天「……なんでしょうね。体の中から強制的にデトックスされそうなこの歌は」

絹旗「兆歌ってる本人は清い心の欠片もないんですがね。恐らく」

フレンダ「つかなんだこのオチ」



【※告知】
クリスマス緊急企画ではSSのシチュエーションを募集しています
今年もやりますネタに詰まったときに読者様参加企画。マンネリ化してますが気にしない

【誰】が【誰】へ【どんなプレゼントを持っていく】のかを明記すると、そのSSが出来るかも知れません
また「普通のクリスマスがいいなー」という方は、【誰】が【誰の家】へお呼ばれ(※含む自主的に)して遊びに行くと書いて頂ければそれなりに

なお基本的な制限は以下の通りとなっております

・とある魔術の禁書目録・超電磁砲のキャラクターのみ。含む新約・劇場版
・多くてもトータルで10人(話)ぐらいなので、まぁ早い者勝ちでどうぞ
・募集期間は11月中ぐらいまで?

基本的に分かればオッケーです。例として、

【上条さん】が【一方通行さん】ちへ【とある科学の一方通行のアニメ化おめでとう】と難癖をつけに行く
【世界のHAMADURA】が【ハンゾー&廓さん】たちのクリスマスを邪魔しに行く
【御坂さん】が世界を滅ぼす

みたいな感じで↓に書いておくとその内容がSS化するかもしれません
あまり人が多かったら無作為に抽選となりますが、残念ながらそんな事態は一度もなく (´・ω・`)





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