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Clock(trial)

バレンタインの日ver2017



 ミョル子→上条
 アリサ→上条
 ヌレンダ→佐天
 レッサー→上条
 インデックス→上条
 ボス→上条


――旧グレムリン アジト跡

マリアン「――マジで?チョコ贈んの?」

ミョル子「ガタゴト」(うん)

マリアン「いやどうやって作る――あぁ私?いや作ってもいいけどさ」

ミョル子「ガタゴト」(よろしくー)

マリアン「まぁいいけど、チョコ、チョコって脂必要だっけか−、あーん」

マリアン「あぁ丁度良いカンジに、こないだ作った家具の脂の残りが」

ミョル子「ガタゴト」(それ多分体に悪いだろうからやめてあげて)

マリアン「限りある地球資源のためにも、ここはあの野郎に犠牲になってもらって?」

ミョル子「ガタゴト」(だったらマリアン食べなよ)

マリアン「ざっけんな。今時の高級ブタはエサに何食ってるのか分かったもんじゃないんだぞ」

マリアン「着色料に保存料、抗生物質に各種サプリ――と、称する野菜や肉だったモノの絞りかす」

マリアン「そんなん食ってるブタさん食べたいと思わねー、口入れるのもヤだっつーの」

ミョル子「ガタゴト」(それを人に食べさせるのもどうなのかな)

マリアン「肉骨粉なんてまさにそれじゃなかったっけ?グーラー病の治験を世界規模でやってたみたいな」

ミョル子「ガタゴト」(そういうことじゃなくて)

マリアン「LOVEがあれば何だってイケるさ!むしろ無くても食え!」

ミョル子「ガタゴト」(そういうことでもなくて)



――学園都市 朝の路上

上条「――今日は平日、今日は平日、今日は平日……」

上条「今日は、ただの、平日だ!普通の火曜日だ!特に面白くもない!」

上条「近所のスーパーでラフォー○がお安く買える!それだけの日、なんだ……ッ!!!」

上条「……」

上条「カップルなんてみんな死ねばいい」

ミョル子「ガタゴト」(どうしよう。折角来たのにテンションがマイナスに振り切ってる)

上条「だってしょうがないだろっ!?俺だって好きでシングルになった訳じゃない!」

上条「来るって事を!この日がいつか来るって分かってたいたんだ!頭ではな!」

ミョル子「ガタゴト」(まぁ毎年恒例だしね)

上条「けれど俺は悟ったんだ!受け手じゃダメだ!むしろこの日を楽してんでやろうと!」

ミョル子「ガタゴト」(最初の設定がgdgdなんですけど、つまり?)

上条「――と、いう訳でだな。上里君にバールのようなモノと鈍器なようなモノ、どっちをプレゼントしたら良いと思う?」

ミョル子「ガタゴト」(それ撲殺目的だよね?心底この日を呪ってやまないよね?)

上条「え?バレンタインってそういう日じゃなかったっけ?」

ミョル子「ガタゴト」(そんなお祭りがある国は滅んじゃうよ、多分)

上条「……」

ミョル子「……」

上条「……あれ?お前舞夏の乗ってるお掃除ロボだった……よな?。なんかちょっと色黒いけど」

ミョル子「ガタゴト」(うん、通じてないよね。何となく分かってたけど)

上条「舞夏だったら朝から土御門叩き出してチョコ作ってんぞ。ガッコには行くだろうから、もう少し待てば」

ミョル子「ガタゴト」(喋ろうと思えば喋れるけど、引くだろうしなぁ。どうしよう?)

御坂「――ちょっと!」

上条「あ、おはようございます」

ミョル子「ガタゴト」(おはよう)

御坂「あっはい、おはようございます」

上条「――で、なんだったら舞夏ケータイで呼ぶけど、どうする?」

ミョル子「ガタゴト」(清掃ロボに親切なのは好感触だけど、いいの?)

御坂「って待ちなさいよ!なんでいつもいつもあたしスルーすんのよっ!?」

上条「いや、こっちの子?の方が先に話してたし、失礼だろ?」

御坂「ついに清掃ロボにまで手を出して……っ!?」

上条「お前の発想スゲーな」

ミョル子「ガタゴト」(いやそんな、照れるし)

御坂「――って清掃ロボ?形は……まぁ寸胴鍋みたいだし、似てるは似てるわね」

御坂「でもなんか量産型とは違うような……?」

ミョル子「ガタゴト」(ライバルを的確に見抜くこの人の観察力こわい)

上条「んで?お前は何の用だよ」

御坂「しょ、勝負しなさい!あたしと!」

御坂「も、もしあんたが勝ったら”チ”で始まって”コ”で終るものをあげるから!」

上条「チ×コ?――お前ついに超科学で生やして白井とそんなプレイまでっ!?」

御坂「やめろ。薄い本でギネス記録立ててるであろうあたしの心を抉るな!」

ミョル子「ガタゴト」(てゆうか勝負で勝ったらって、薄い本にしかないと思うの)

御坂「この――おバカーーーーーーーーーーーーーーー!!!」

ビリビリビリビリビリッ!!!

上条「どぅおふっ!?」

ミョル子「!!!」

ミョル子「ガタゴト!」(電撃吸収術式発動!)

フシュウウゥゥゥゥゥゥゥッ……

御坂「吸い込んだ!?」

上条「最近の家電スゲーな!?」

ミョル子「ガタゴト」(それほどでも――あ、人集まって来た)

上条「ん?」

ミョル子「ガタゴト」(これ、あげるです)

ペイッ

上条「なんかはき出したな……?包み紙?」

御坂「スロットマシンか!」

ミョル子「ガタゴト」(じゃそういうことで)

ウィーン……

上条「なんだったんだ……?あのレアな清掃ロボは……?」

御坂「そ、それってチョコじゃない!?」

上条「――分かった!謎は解けた!」

上条「変なもの吸い込んじまって動作不良起こしてところに、ビリビリが電撃ぶつけて元へ戻ったんだ!」

御坂「あー……うん、常識的な考えだと、そう、なんでしょうけど……うーん?」

上条「て、ことはこれは誰かへのプレゼント!落とし主へ届けなくちゃならない!」

御坂「どうかなぁ?あたしの勘が違うぞーって絶叫してる」

上条「チョコにはカードが……なになに?」


【ゴトゴト、ゴトゴトゴト……ゴト?】


上条「ちょっと何言ってるのかわっかんないですね」

御坂「や、あのさ?これ多分手作りのやつだし、日持ちしないと思うからさ?」

御坂「念のため!一応念のために!あんたが食べちっゃたほうがいいと思うわ!」

上条「それ拾いパクしろと?」

御坂「あたしが証人になるから!いざって時にはダース単位で弁護士用意して何とかするから、ねっ!?」

上条「そういうんだったら……風紀委員へ問い合わせてしてから、まぁ、うん」



――旧グレムリン アジト跡

マリアン「てかさ、不思議に思ったんだけど」

ミョル子「ガタゴト」(なに?)

マリアン「なんであいつにバレンタイン?グレムリンにだって男は――」

マリアン「……まぁ、どいつもこいつもクソヤローだけど、いるのに、なんで?」

ミョル子「ガタゴト」(私より不幸だから、『頑張って!』って意味で?)

マリアン「あー……」



――バレンタイン前日 某所

鳴護「――んー……できた、っと」 カタッ

鳴護「院の子達のぶん、院長先生のぶん、お友達のぶーん、と」

鳴護「インデックスちゃんに、御坂さん、佐天さん、初春さんに、白井さん――と」

鳴護「カードは……『いつもありがとう、これからもよろしくね』……かな」 カキカキ

鳴護「当麻君も、なんだけど……お友達、なんだよねぇ」

鳴護「お友達、うんまぁ、他に呼び方はないって言うかなー、むぅ」

鳴護「……えぇまぁ、義理チョコ以前に友チョコに偽装しないと渡す事すら出来ないヘタレですけど」

鳴護「いいもん!こっそり贈って目立たないように意思表示して!自己満足するから!」

鳴護「……」

鳴護「カード、うん、チョコ買うともれなくついてくるカード。なんて書こう……」

鳴護「『あなたが好きです!』――って無理だし!ビックリするし!あたしがビックリだよ!」

鳴護「あー……なしなし。ないかなー、それは。だったら――」

鳴護「――『次のシングルは当麻君の事考えて歌うよ!』……あ、これいいかも?アイドルさが前面に出てる感じで」

鳴護「でも普通に考えれば直に告白した方が衝撃は少ないよ!だって歌にしたら歌う度に『あ゛あ゛あ゛!』ってなるから!」

鳴護「そして成功すれば笑い話で済むだろうけど、そうじゃなかったら歌う度にテンション下がる!下がるよっ!」

鳴護「……なんだろうなー、疲れてるのかなー。ここ最近オチ要員or当麻君不在のツッコミ要員のお仕事ばかりだったし……」

鳴護「ツッコミはアイドルの仕事じゃないし……いやいや違う違う!アイドルじゃなくてシンガー!歌う人!」

鳴護「……」

鳴護「……普通に?これからもヨロシク、みたいな……うーん、無難すぎるような」

鳴護「もう少し踏み込んで、それでいておかしく思われないな……」 カキカキ

鳴護「『来年のバレンタインは、違う理由(今年中に関係が変わる事を願って)で貰って下さい』……」

鳴護「来年、うんそう、来年、ね。来年から本気出そう!来年から!」



――学園都市某所 バレンタイン当日

上条「……」 コツコツコツ

御坂「……」 コツコツコツ

上条「……」 ピタッ

御坂「……」 ピタッ

上条「……あの、すいません。ちょっと、ちょっといいですかね?」

御坂「何よ?」

上条「私が思いますにですね、ストーカー的な人が憑いてきてるような?」

御坂「そう?あたしが見張ってた限りじゃいなかったわよ?」

上条「嫌味が通じねぇ……!」

御坂「しょうがないじゃない!たまたま!あたしもこっちの方に用事があるんだから!」

上条「や、あの、てか俺今から学校行くだけでエスケープとかしないよ?」

上条「てかビリビリさんもですね、学園都市の名門校へ行かれた方がいいんじゃねぇかなって」

御坂「『あー、もしもし?ちょっと悪いんだけど、うん――そうそう、都合が入っちゃって』」

御坂「『――はい、ヨロシクー』」 ピッ

上条「この優等生め!お高くとまりやがって!(意味不明)」

御坂「ただ単に普段の行いの差だと思うんだけど」

鳴護「……」

上条「いやお前も人の事言えないからね?今泣いてる白井さんとかいると思う――」

御坂「なに?」

上条「いや今誰か知り合いが――」

鳴護 ササッ

上条「てかアリサ?」

御坂「――あ゛あ゛?」

鳴護「違います違います!私そんな鳴護アリサなんかじゃないですゴメンナサイっ!」

上条「いやフルネームで言ってるし。てか通学路でなにやってんすか学園都市ご当地キャラアイドルが?」

鳴護「当麻君、シンガーだけはつけよう?もう着やせとかグラドル呼ばわりも納得はしてないけど許容はするから」

鳴護「シンガーの部分だけはそこだけは守って行きたいな!」

御坂「大変よねー、アイドルは」(←アイドル化計画が始まった人)

鳴護「だよねぇ」(←前からアイドル)

上条「おっと一般人へ対する侮辱はそのぐらいにして貰おうか!俺は関係無いけどな!」(←相変わらず一般人)

鳴護「てゆうか入りづらいし、出づらいよ!こんなピリピリしてる中に割って入るの無駄だもん!」

御坂「あーっと、その、まず根本的な事聞きたいんだケド」

御坂「ARISAとこいつのご関係は……?」 ピリッ

鳴護「お、お友達――だよねっ?」

上条「そーだぞビリビリ?俺は誓ってやましい事なんて」

鳴護「三日ぐらい泊まらせて貰ったけどなかったよね!」

上条「待とうかアリサさん?君は俺を電気椅子へ懸けたいのか、それともダチョ○なのかはっきりさせておこうか!」

鳴護「――で、チョコをね、二人に持ってきたんだけど……」

御坂「あー……ちょっと用事思い出しちゃった!ごめんねっ!」

鳴護「違うの!?そんな露骨に気を遣わなくても良いから!むしろハードル上げるから!違うの!」

御坂「や、あの、マジで?マジなの?」

鳴護「御坂さんの仰ってる事は何一つわからないけど、まぁ……そう、かな?」

上条「何二人で通じ合ってんだよ」

鳴護「まぁ当麻君には分かって欲しくはない、かな。今は」

御坂「……まさか黒子の他にオプション(※グラディウ○)が装着されるとは……orz」

鳴護「あれ?御坂さんも分かってなかったの!?てか誤解する方向がそっち!?」

上条「大丈夫!俺理解ある方だから!嫌いじゃないよ!」

鳴護「当麻君はメモリを無駄に積んでそうだけど、チップの厳しい携帯端末だよね?『そこ力入れるところ違げぇよ』みたいな?」

鳴護「……まぁ、フリーズしちゃった御坂さんはさておき――これ、どうぞ!バレンタインですっ!」

上条「……ありがとう。普通に感動するな!」

鳴護「あと、御坂さんや佐天さん達にもって思ったんだけど」 チラッ

神坂「……オトメディウス○……新作はいつに……」

鳴護「それとなく販促しながらブツブツ言ってるみたいだし、これ正気に戻ったら渡してもらえるかな?ちょっと時間が」

上条「あぁ分かった――って俺も登校途中なんだが」

鳴護「じゃ、また会おうね――できればギャグシーン以外で!」

上条「それはむしろ神様(※鎌池先生)にお願いした方がいいんじゃねぇかなぁ」

上条「……」

上条「メッセージカード入ってんな、えっと」

上条「『来年のバレンタインは、違う理由で貰って下さい』……?』

上条「えっと……つまり」

上条「今の俺は――ARISAファン(ダウンロード購入客)だから、違う理由、てか関係だと」

上条「――あっ!ARISAファン(獣課金組)って事ね!もっとカネ遣えと!」

御坂「おいお前いい加減にしとけよ?」



――バレンタイン前日 学園都市某アジト

絹旗「――うぇ!?フレンダがですか!?あの超フレンダが!?」

フレンダ「人の名前に超つけるのやめて?」

絹旗「いやだって、バレンタインですよ!?知ってますかバレンタイン!?」

フレンダ「や、だからその相談を持ちかけたのがあたしな訳だし」

絹旗「そうするとお相手は――浜面……うわぁ、超うわぁ……」

フレンダ「違う訳!なんであたしがあのイケボにCP全振りしたような男に恵むって!?」

絹旗「たまーにいません?超ダメ男に甲斐甲斐しく尽くす系の?」

フレンダ「……滝壺なんてなりそうな訳ー。実はちょっとフラグが立ち気味だとあたしは踏んでるけど」

絹旗「じゃあどなたへ?」

フレンダ「うん、ちょっと最近出来た半年ぐらい前からの知り合いって訳で。何を贈ろうかなって」

絹旗「矛盾してません?それ超矛盾してません?」

絹旗「あぁ超忘れますがフレンダも外人なんですよね……ちっ」

フレンダ「なんで舌打ち?」

絹旗「その、超最近、大きくなって来やがった胸がっ!!!」

フレンダ「可愛い服着れなくなるし正直邪魔なだけなんだけど、そんな話してなかった訳よね?」

フレンダ「それでね。絹旗だったら貰ってどっちが嬉しいかなー、っと歳も同じぐらいだし」

絹旗「はぁ、まぁそういうお話でしたら」

フレンダ「こっちの水煮のサバ缶と醤油煮のサバ缶、そして塩づけのサバ缶のどれが喜ぶと思う訳?」

フレンダ「あたしのオススメはこの香味油のサバ缶だけどねっ!」

絹旗「まずサバ缶から離れろや缶詰ジャンキー」

フレンダ「なんでよっ!?何食べたっていいじゃない!」

絹旗「……まったく、鮭好きの麦野といい、悪球打ちの滝壺さんといい、『アイテム』には超常識人が一人しかいないんでしょうかね」

フレンダ「あれあれー?絹旗すっごい棚に上げなかった訳?」

絹旗「……うん?」

フレンダ「はい?」

絹旗「――ふと思ったんですがフレンダさん」

フレンダ「”さん”!?絹旗があたしに”さん”!?」

絹旗「フレンダさんとの付き合いも超そこそこになりますが、結構寝食を共にしている言っても過言ではなく」

フレンダ「そ――う、かな?ま、仕事上がりとかでゴハン食べに行くのはよく行くっちゃあ行く訳よね」

絹旗「なので断言しても良いんですが、食生活、超特に変化はありませんよね?」

フレンダ「好き嫌いもあるはあるけど。とっくには、まぁ急ハンドル切ったような変え方はしてない訳」

絹旗「――よって!フレンダのここ近々の急成長は!」

絹旗「その、新作のサバ缶によって超成長ホルモンがもたらされたと結論づけるのが正しいかと!!!」

フレンダ「そんな人が好きで食べてる缶詰をドーピング剤みたいに言われても……」

絹旗「そうじゃないと『アイテム』の貧乳カーストで私が超最下位になるじゃないですか!」

フレンダ「そーねー、それは大変よねー――ってあたしをスッゴイ下に見てなかった?ねぇ?」

絹旗「SABA-kan or BREAK?」

フレンダ「それ顔面割るぞって脅しよね?仮にも味方に言って良い事と悪い事が思う訳よ、いやマジでさ」

フレンダ「……まぁそれで満足するんだったら新作のサバ缶あげるけどー、やっぱ遺伝だと思う訳よ、遺伝だと」

絹旗「とは?」

フレンダ「パンダって居る訳。あいつらは殆どササしか食べないのにあんだけおっきくなる訳でさ」

フレンダ「それってつまり、最初から遺伝情報によって規格が決まってて、その中で大小の誤差がある訳。分かる?」

絹旗「――つまりパンダを食べれば私も超成長する、と?」

フレンダ「逃げてー!?愛媛だかの動物園のパンダさん逃げてー!?」

フレンダ「蛮族が!倒した相手を食べればその力を取り入れられると考えた蛮族が狙ってるから!」



――棚中 バレンタイン当日・放課後

佐天「おっつかー、初春ー」

初春「お疲れ様です」

男子生徒A チラッ

佐天「今日は風紀委員ないんだよね?だったら一緒に遊ぼうよ」

初春「いいですよー。御坂さん達にも連絡取っておきますし」

男子生徒B チラチラッ

佐天「どったん?」

初春「いやあの、何かみょーに男子が見切れるって言うかですね」

初春「いつもだったらさっさと部活や街へ繰り出すのに、今日は居残りがやけに多いような……?」

佐天「バレンタインだしね−、期待して待ってるんじゃないの?」

初春「佐天さんはどなたかへあげる予定は?」

佐天「勿論愛する初春に!」

初春「あー、はいはい愛してます愛してます。それで?他には?」

佐天「……むぅ、ウイハルンが冷たいよ……まぁバレンタインだし!って気合い入れて作ったけどさ!」

佐天「で、まぁまぁ我ながらディ・モールト!のデキで、御坂さんと白井さんにもおすそ分けしたいかなぁってさ」

初春「あ、いいですね――で?」

佐天「それだけだけど?」

初春「……まぁ佐天さんですもんね−。あげるって言ってもご両親やご兄弟ですか」

佐天「ううん、そうでもないよ。『作ってください!』って言ってくれれば、材料費だけで仕上げるし」

初春「いやあの、そういうことじゃなくて――ってクラスの男子が膝をつきまくってる!?」

佐天「まぁ何事も行動起こさないと駄目だそー」

初春「そして佐天さんは地雷を踏みに行くのも自重!」



――佐天の寮

佐天「たっだいまー」

初春「お邪魔しまーす」

佐天「ごめんね、初春?荷物取りに付き合わせちゃって」

初春「あぁいえ別に構いませんよ。生もので足が早いんだったら当然ですし」

ピンポーン

声『すいませーん!お荷物届いてます!』

佐天「『あぁはい、取りに行きます!』――て、ごめん、お茶でも煎れてて飲んでてっ」

初春「お構いなく――って早っ!?」

佐天「ダッシュで奪取して来ました!」

初春「で、荷物はどれですかね?」

佐天「今のはね、ダッシュと奪取をかけてあってだね」

初春「滑ったギャグを得意げに解説し出す佐天さんのメンタルが強靱すぎます……!」

佐天「昔の偉い人は言いました――『スベったんじゃない、これはスベりにいったんだ』と!」

初春「それは主観的か客観的な判断であって、結局スベってるのに代わりはないかと」

佐天「荷物荷物っと」

初春「話を振っておいてスルー!?」

佐天「半年ぐらい前から友達になった外人の子だね。可愛いんだけど、なんかこう、抜けてる感じ?」

初春「へー――てか重そうですね。そのダンボール」

佐天「カッターでー開封っと」 チキチキ、ジーッ

佐天「こ、これはっ!?」

初春「……サバ缶の詰め合わせ?」

佐天「幻の炭酸サバ缶まで……!?」

初春「ただ単に発酵して腐ってるだけじゃ?――と、カードも入ってますね」

佐天「なになにー、『いつかはありがとうな訳、またカレー食べさせてねっ!!!』だって」

初春「変わった方ですねぇ。サバ缶好きなんて」

佐天「『PS.同志佐天におかれましては、あたしが無類のサバ缶好きだと理解されているかと思います』」

初春「そして露骨に見返りを求めている!?」

佐天「あ、そうだよ!何かお返ししないといけないよ!」

初春「ですね、そうした方がいいと思います」

佐天「ここは思い切って冒険してサバチョコを作ってみよう!」

初春「食材を無駄にするの、ダメ、ゼッタイ」

初春「B級グルメ愛好家としては、少しだけ、そう少しだけは興味ありますけど!」



――バレンタイン当日 放課後

レッサー「――一億と二千年前から愛していました!結婚してくださいっ!」

上条「臨・兵・闘・者・皆・陣・列・在・前!」

レッサー「おぉっと出会い頭に九字印を切るとは中々やるようになってきましたなカミジョーさん!」

レッサー「だがしかぁし!このレッサーちゃん愛と平和と紅茶を愛するブリテンの使徒であって退魔降伏の呪文なんか効きませんことよっ!」

上条「――こおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!」

レッサー「な、なんだと!?上条さんのパワーが有頂天に上がっていく!?」

上条「英国病・三枚舌外交・血の日曜日事件(1920年)・血の日曜日事件(1972年)・血の金曜日事件・フォークランド紛争――」
(※英国病・60年代に自国企業を国有化し、労働意欲と技術開発の停滞を招いた)
(※三枚舌外交・今の中東+クルド人問題のほぼ全てを引き起す原因になったイギリス外交)
(※血の日曜日事件(1920年)・紛争中だった北アイルランドで軍警がアイルランド人捕虜を法規にかけず処刑、てか私刑)
(※血の日曜日事件(1972年)・北アイルランドでデモ中のアイルランド人へイギリス軍が銃撃、14名死亡)
(※血の金曜日事件・アイルランド解放軍によるテロ事件)

上条「――スコットランド独立運動ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」

レッサー「ぐぬおぉおアアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!?」

上条「混沌から産み落とされ、混沌としたメシを好み、世界を混沌へ導く使徒よ!自らの世界へ帰るがよい!」

レッサー「オ、オノレ――って今あなたさりげなくイギリス飯を侮辱しませんでしたか?ねぇ?」

レッサー「”混沌としたメシ”は撤回して頂きたい!私らだって好き好んで混沌メシを食してる訳ではないんですからね!」

上条「消え去れ!この世の邪悪を凝縮した悪魔め!」

レッサー「ぶ、ブリテンが滅んだとしても、第二、第三のブリテンは現れますよ……!」

レッサー「何故ならばブリテンとは――ヒトの心の闇が生み出した、魔物なのですから……!!!」

上条「良かった……!前の時間が世界史の時間で良かった……!」

レッサー「ま、でもブリテンはまだマシな方でフロッグイーターメンズカントリーって国がありましてね」

レッサー「他にもザワークラウト好き好きアカと組んだらVW売り上げ美味しいです国ってのも」

上条「フランスとドイツって言ってやれよ!途中からもう日本語になってるしな!」

レッサー「我らがブリテンは『ここ半世紀は国際合意を(ほぼ多分)守ってる』って評価は高いんですからねっ!」

上条「てかお前なんできたの?回想シーンスキップして何来やがってんだよ」

レッサー「これは異な事を!バレンタインの日に合わせて来てんですから、分かってんでしょ?やだなーもうっ!言わせたがり!」

上条「……いや、そうじゃなくて。『わざわざ出オチのために来日するお前何なの?』って意味で」

レッサー「チ○コですよっ!よっ、この色男!」

上条「不自然に伏せ字を入れるな!あとそのネタは朝にやったばかりだし!」

レッサー「本場ブリテンにある一流のベルギーチョコ店から購入して来ましたが!」

上条「それベルギーから直輸入で買った方が早いんじゃ……?」

レッサー「ちなみにマジレスすると固形チョコレートを生み出したのはブリテンであって、それまでは飲料としてが一般的でした」

上条「へーそうなんだ?イギリスみたいな寒いところでカカオ豆育つんだ?」

レッサー「プークスクス!何言ってんですか上条さんあんな緯度が高くて寒いところでカカオが育つ訳ないじゃないですかー!」

レッサー「第一、今でも主食に欠けて食文化が暗澹たる羽目になってんですからねっ!」

上条「オイ、泣くか笑うかどっちかにしろや。でもだったら」

レッサー「……まぁ、アレですな。生産国第二位のガーナはブリテンの植民地だったって事で一つ、それとなーく察して頂ければ……」

上条「お前らホンット碌な事してねぇな!地球にゴメンナサイしなさいよっ!」

レッサー「てか今日お持ちしたゴディ○もベルギー産なんですが、連中も大概でコンゴ自由国じゃノルマを果たさない黒人奴隷の手足をですね」

レッサー「四桁万人だった人口を三桁にまで引き下げたという武勇伝が!」

上条「聞きたくない聞きたくない聞きたくない!お前らってホントスーツ着た蛮族だよな!」

レッサー「なおその苛烈な支配を布いたベルギー国王は王太子時代に清と日本を訪れ」

レッサー「『清と日本もウチの植民地にしちゃおうぜ!』と宣った傑物です」

上条「もうそろそろ日本は怒ってもいいんだよな?高い高い棚を乱立製造して、そこへ自分達だけ乗りまくってるお前らにキレていいんだよね?」

レッサー「――と、いう訳で!意外にもブリテンはチ○コの歴史か古いのですよ!なのでレパートリーも結構あります!」

上条「なんだろう、素直に喜べない気もするが……テンション上げていこう!ありがとなっ!」

レッサー「いやそんなっ!お礼は中を見てから言ってくださいな!」

上条「中身は……おぉ、高そ――う?」 カサッ

レッサー「どうかなさいましたか?狐に包まれたような顔をして?」

上条「”つままれる”な?優しく包んで貰ってどうする」

上条「何か紙が……?」

レッサー「それはですね、アンケートの用紙ですな。既に必要事項は書き込んでおりますので、そこへお名前をサササッと記名して頂ければ」

レッサー「まぁ全国から抽選で上条さん一名に素敵なプレゼントが当たると!そういったぁ案配でございますよ!」

上条「……へぇ?ちなみに景品は?」

レッサー「よっくぞ聞いてくれました!景品は何とですねっ!ピッチピチのJCが嫁になるって権利ですよ!」

レッサー「ただちょっと国籍が変わって大君陛下から女王陛下へ中世の対象が変わるってだけで!そんなに違いはないですから!

上条 ビリビリビリッ

レッサー「なんてご無体な!?折角こっちで住所や保証人調べて書いといたのに!?」

上条「その執念が怖えーよ!あと日本は18歳でまだ結婚できる年齢違うわ!」

レッサー「あ、でしたらですね、こちらに英国への留学スキルアッププランってのがありましてね」

レッサー「グローバル社会をイマジネントするデカルチャーでクックパッドな人的資源を開発するには、まさにうってつけのプランだと思うんですよー」

上条「それ留学で目的も目標も語学力も無しに渡航する一番駄目なプランだからな!」

レッサー「ラノベにありがちwwwwwwwwwwww」

上条「最近は学園ものも廃れに廃れ、ネトゲ知識だけでお手軽に書けるのが流行ってるんだ……」

レッサー「――と、いうわけでチョコを貰ってください!打算はありません!純粋な好意です!」

上条「残念。その言葉を俺が信じると思ってるお前も残念だよ」



――バレンタイン当日 『新たなる光』アジト

ランシス「……うーん」

フロリス「どった?」

ランシス「今頃、レッサーはチョコを渡してる気がする……」

フロリス「時差的にゃどーだろーネー。マ、渡すぐらいはできると思うけど」

ランシス「……ヘタレッサー?」

フロリス「ヘタレッサー、ウン。恥ずかしさがリミッター超えてネタに走ると思われ」

ランシス「それに気づかないのも、どうかなって……」

フロリス「マ、いーんじゃね?さっさと勝負がつくのも面白くないジャンか?」

ベイロープ「――あ」

ランシス「ん?」

ベイロープ「レッサーからメール入ったわ」

フロリス「なんて?」

ベイロープ「『トラトラトラ、我奇襲に成功せり』」

フロリス「負けフラグだろ」

ベイロープ「『なおアキハバラへ強行偵察を敢行した結果、兵站が覚束ず孤立せり』」

ベイロープ「『支給速やかに下記の口座まで飛行機代振り込んでくださいお願いします』」

フロリス「後半完全に遊びじゃねーカヨ」

ベイロープ「……どうする?」

ランシス「『――バカめ』、と」

ベイロープ「……そうね。ば・か・め、っと」 ピッ



――バレンタイン前日 上条のアパート・昼間

インデックス「ちょこをね、送ろうと思うんだよ……ッ!!!」

ネコ「なー?」

インデックス「とうまにはお世話になってるし、シスターさんとしても本場のバレンタイン的なのをね、しようかなって!」

ネコ「ごろごろごろ」

インデックス「おりょうりをね、しようとね、思ったんだけどね」

ネコ「くはぁ……」

インデックス「よく考えたらとうまの好物も知らないんだよ……」

ネコ「……にゃあ」

インデックス「オフクロのアジ?も、とうまのお母さんに会った時も、なんかドタバタしてて教えてもらえなかったのに」

ネコ「なーぅ」

インデックス「ねー、聞いてるのー?……もう」

ネコ「なーご」

インデックス「お前はいいよね−、一日中食っちゃ寝してて、鳴いていればいいんだから。羨ましいんだよ、ホント!」

ネコ「んにゃ、にゃ」

インデックス「ネコにはチョコ駄目なんだよ!……あれ、犬だっけ?。どっちにしろまぁ、味が濃すぎるのは良くないとは思うんだけど」

ネコ「なぁご?」

インデックス「……うん、まぁ取り敢えずのね、問題はね」

インデックス「――この家にチョコが一つもない、って事ぐらいかな」



――コンビニ

プシューッ

浜面「らっしゃいあっさぁー」

インデックス「チョコ、ください!」

浜面「……へ、あぁ外人さん。チョコ、売ってるけど、そこで?」

インデックス「………………んー」

浜面「決まったら言ってくれよな。メッセージカードも付けろって店長から言われてっから」

インデックス「思ってたよりも、お高い、かも!」

浜面「まぁな−。外国のや特別にラッピングしてあるからって、その分たっけーよなぁ」

浜面「予算ナンボ?見てやるよ、暇だし」

インデックス「……にじゅうえん……」

浜面「お帰りはあちらですまたどうぞお客様」

インデックス「だって!だって仕方がないのかも!私のお小遣いの全額なんだよ!」

浜面「てかお前虐待とか誘拐とかされてんじゃねぇのか?なんだったら相談乗るけど」

浜面「ウチにはな、えぇーっと……お子様に分かりやすく言えば」

浜面「デスザウラ○(お姉さん)とシールドライガ○(ロリ)とクズタ○(おっぱい)とケーニッヒウル○(かませ犬)がパーティ組んでるようなもんだし?」

インデックス「くずた○は運用の問題であってネタじゃないと思うかも!あとうる○も運用次第だし!」

浜面「てか昼間っからシスターさんのコスプレした幼女だなんて、もうなんか犯罪の臭いしか――そうだ!」

インデックス「な、なに?」

浜面「俺の友達に運は悪いけど女関係が関わったトラブルならまず100%解決する知り合いが――」

インデックス「ごめん。ノーサンキューなんだよ、どっかで聞いたお話だし」

インデックス「……もっと安いのは、ないかぁって」

浜面「20円つったらチロルが精々だけど……あ、廃棄予定のチロルのミニパックだったら、奥にあるぜ?」

インデックス「みにぱっく?」

浜面「ん、7〜10個入ってて100円ぐらいで売ってんの。人気ないから廃棄処分にすんだって店長が」

インデックス「それだったら売ってくれるのっ!?」

浜面「売りもんじゃねぇしタダでいいぜ、いいんだが……」

インデックス「だが?」

浜面「チロル・パクチー味とブルーチーズ味、なんだよ」
(※実在します)

インデックス「え?どっちもおいしいよ?」

浜面「まぁ……気持ちだよ!大切なのは!モノじゃなくって!」

インデックス「当然、だけど」

浜面「メッセージカードも余りそうだからやっからよ!頑張って気持ちを伝えるといい!」

インデックス「うん、ありがとうなんだよっ!」



――バレンタイン当日夕方 上条のアパート

上条「たっだいまー」

インデックス「おかえりとうまっ!早かったね!」

上条「あぁ!途中で妨害が入ったけど、巻いてきたぜ!」

インデックス「相変わらずへびぃーな日常生活かも……!」

上条「変わりはなかったか?メシも……食ってるよな、よし!」

インデックス「あの、とうま?私の健康基準をお留守番にしてたネコと同列で判断するのは、ちょっとこう、うんっ!」

インデックス「そんなことよりも、とうまっ、はいっ!」

上条「これ……チロル?」

インデックス「ハッピーバレンタイン、なんだよ!」

上条「……」

インデックス「と、とうま?」

上条 (´;ω;`) ブワッ

インデックス「まさかの号泣!?なんで号泣するなのかな!?」

上条「苦節10年……体感はきっと恐らく数ヶ月……!」

上条「まさか、まさかインデックスさんから!食べ物を貰う日が来るとは……!」

インデックス「とうま?とうまは私の事随分低い評価をしてるよね?」

インデックス「ま、まぁ私の言動も問題のあったのかも……ちょっとね!ちょっとだけだけど!」

上条「――インデックス!」

インデックス「な、なんなのかな?」

上条「お嫁に行かないでくれ!一生いて良いからなっ!」

インデックス「とうま、それって――!」

インデックス「……」

インデックス「……お嫁に”行かないで”くれ……とは?」

上条「あぁ本心だ!俺は心からそう思ってる!」

上条「……俺もさ、たまーに考えるんだよ。二人で暮らすのは楽しいけど、まぁいつかは変わらなくちゃいけない、そう迫られる日が来るって」

インデックス「そ、それはまぁ、同意しなくもないんだよ」

上条「将来俺も誰か付き合って最終的には結婚するし、お前もいつかはお嫁に出さなきゃいけない――」

インデックス「雲行きが!完全にとうまそれは私のパパさんの思考してるし!」

上条「でもいいんだ!頑張って説得するから!結婚相手にはきちんと断って一緒に暮らせるようにするから!」

上条「むしろお前を飼えないような相手なんか知らない!こっちからお断りだ!」

インデックス「とうま、あの、昨今の犯罪事情から鑑みてギリギリだからね?自重した方がいいかも?」

上条「働かなくていい!何とかして一財産溜めるから!」

上条「俺が先に死んでも困らないように!インデックスが一人残されても大丈夫な遺産を残すから!」

インデックス「……とうま、おすわり!」

上条「はい?」

インデックス「せいざ」

上条「なんで?」

インデックス「それが分かってないなら、まずせいざ」

上条「えっと……こう?」

インデックス「――じゃ、かくごするんだよ……ッ!!!」



――パレンタイン以前某日 某所

シャットアウラ「――私は思う」

クロウ9「はっ!」

シャットアウラ「戦場にて尊いのは速度!即ち電撃戦であると!」

クロウ9「はっ!」

シャットフウラ「確かに兵站や糧食、また航空支援や重砲の支援は現代戦にとってはもはや必要不可欠な存在だ」

シャットアウラ「しかしながらどれかに優先順位を付けるとすれば、まずは一当て!相手へ一撃を入れる戦力こそが戦術レベルでは正義だ!」

クロウ9「イエス、リーダー!」

シャットアウラ「そして当然の如く!各国が競って開発した先端技術は民生にまで落とされ、今や数世代前の軍需品レベルの機械が携帯端末で使われている!」

シャットアウラ「使い道はあまりに大したものではないが、その転用する技は軍需品も民生品への転化が容易と言える!」

クロウ9「イエス、リーダー!」

シャットアウラ「つまり形を変えながら本質はそのままに、軍で培ったものが他分野でも通用する!まさにその実証だと!」

クロウ9「イエス、リーダー!」

シャットアウラ「つまり――」

クロウ9「イエ――?」

シャットアウラ「――チョコを渡すのも電撃作戦をとれば成功間違い無しだと言う事だッ!!!」

クロウ9「おい誰か!衛生兵、衛生兵をここへ!リーダーがまた錯乱したぞ!」

シャットアウラ「何を言うのか貴様!?私の話を聞いていたのか!?」

クロウ9「はい、いいえっ!面倒ですしもうそろそろ交代の時間なので聞き流していました!サーっ!」

シャットアウラ「よく言った!正直者の貴様にはプレゼントをくれてやろう!この後も交代無しで私に付き合え!」

クロウ9「イエス、リーダー!ありがとうございます!」

シャットアウラ「……」

クロウ9「……どうかされましたか?」

シャットアウラ「てゆうかムリ……!ムリムリ、あんなの普通のテンションで渡せないって……!」

クロウ9「リーダーあなた疲れてるんですよ、ねっ?今女の隊員呼びますから、ゆっくり休んでください?」

シャットアウラ「――いや、私は負ける訳に行かないのだ!ここは心を鬼にしても作戦を実行へ移さなくては!」

クロウ9「すいませんリーダー、面倒臭いし声張るの疲れましたから通常任務モードへ移りますけど、一体何のお話ですか?」

シャットアウラ「バレンタインの話に決まっているだろうバカ者が!」

クロウ9「……それを俺に聞くのかねぇ……」

シャットアウラ「何か言ったか!?」

クロウ9「ちょっと明日の天気の事で――で、バレンタインですか。まぁいいんじゃないですかね」

シャットアウラ「か、勘違いするな!あくまでもこれは義理なんだからな!」

クロウ9「軍女+ツンデレの組み合わせは、そんなに新鮮味がないですが……ていうかリーダーが渡してくれば」

シャットアウラ「それができるなら!こんな、話は、してないっ!」

クロウ9「でしたら……業者の方へ頼んでは如何かと」

シャットアウラ「ほぅ、とは?」

クロウ9「全国チェーン店の花屋が記念日に花を届けるサービスをいまして、その一環としてバレンタイン用のがあると聞きました」

シャットアウラ「わ、笑われないかな……?」

クロウ9「リーダーが全身パッツンパッツンの超悪目立ちする戦闘スーツを、私服と言い張って着ていかなければ、まぁまず大丈夫かと」

シャットアウラ「そうか、そんなサービスがあるのか……いやでも、確実性に欠けはしないだろうか?何と言っても一企業には荷が重いかもしれん」

クロウ9「どんなブツ運ばせようとしてんですか。あー……じゃ、隊員の中から、なんでしたら自分が行きましょうか?」

シャットアウラ「だ、ダメだダメだダメだっ!何を言ってるんだ貴様!?」

クロウ9「えぇまぁデリケートな案件なのはわかってますから、女性隊員に――」

シャットアウラ「あいつがガチホ×だったらどうするんだっ!?」

クロウ9「泣くであろう女の数だけぶん殴って帰ってくる」



――バレンタイン当日 上条のアパート

上条「――あれ、チーズ切らしちまってたか。インデックス−、おーい粉チーズ知らね?」

インデックス「なんで私が知ってると思うのかな?」

上条「ふりかけ代わりにご飯にかけて食ってたじゃん?あれ最後だったんだっけ?」

インデックス「だね」

上条「じゃちょっとコンビニへ買いに行ってくるわ」

インデックス「私も、行く――あ!」

上条「カナミン始まるんだろ。サッサと行ってくるから見てていいよ」

インデックス「いってらっしゃい、なんだよ」



――夜道

上条「……」

男「――上条、当麻だな?」 ス

上条「後ろを――いつの間に!?」

男「騒ぐな、そのまま進め」

上条「……イヤだって言ったら?」

男「特に何も。ただ少しばかりお互いにとって不幸な事になる」

上条「俺は既に不幸なんだが?」

男「そうか。それは気の毒に」

上条「……」 スタスタスタ

男「……」 スタスタスタ

上条「――バン?」

男「そう。車に乗るだけでいい、後は運転手付きでドライブだ」

上条「……なんとも、バレンタインだってのについてねぇなぁ」

男「……全くだ。なんて仕事をさせられてるいるのかと思うよ」

上条「お疲れ様です」

男「……あぁどうも。そちらも気をつけて」

バタンッ



――車内

上条(俺を乗せた黒いバンは大して音も立てず――電気式なのか、そういう技術なのか――走る)

上条(もうすぐ日が暮れる街並は綺麗だが……長々と鑑賞するな余裕はなかった)

上条(ケータイを取り上げてられない、ってのは幸運だが。取り上げる必要性すらない、とも)

上条(土御門に連絡してインデックスの身柄を確保して貰おう――そう、結論告げる前に、車は静かに停まった)

男「出ろ」

上条「……うん?」

上条(連れてこられたのはよくある……とすんのもどうかと思うが、まぁ俺にしては馴染みがある倉庫的な場所)

上条(天井がほど高く、出入り口が限られていて、窓は手を伸ばせないぐらい高い位置にある。そんな、場所)

上条(どうやって逃げよう、どうやって連絡を取ろうか――そう、考えていた俺の前に姿を現したのは!)

シャットアウラ「――あぁこれ、バレンタインチョコを用意してみたんだか」

上条「――長い!ここまで来るのに引っ張りすぎだよ!流石に俺でも分かったもの!なんかこれ仕込み臭いなって!」

上条「途中クロウ9が口パクで『ゴメンネ☆』って言ってくれてたし、気がついたらどっか見た変な服着た人に囲まれてから、なんとなーく予想はしてたけどさ!」

上条「大掛かりすぎんでしょーが!なんでこんな仕込みしたの?普通に渡せなかったの?」

シャットアウラ「ふ、普通に渡して噂とかされたら恥ずかしいだろうが!」

上条「俺的には相変わらずのピッチピチのボディスーツ着る方がバツゲームだと思う……」

シャットアウラ「や、やっぱり甘いのダメだったか?……クソ!ホワイトチョコにしておけばよかった!」

上条「話聞けよコラ」

シャットアウラ「そうか――危機的演出か!やっぱり吊り橋効果をもっと狙うべぎたったんだな!?」

シャットアウラ「くっ!映画だと思って軽く見ていたものの、やはり先達の智恵というものは疎かにはできんか!」

上条「――『あ、もしもし?風紀委員の?――あ、初春さん、ごめんね?あ、非番だったのに?』」

上条「『何か俺知らない人たちに誘拐されちゃったみたいで――うん、いやマジで。仕込みじゃなくて』」

シャットアウラ「いけない上条当麻!奴らは敵だ!」

上条「『あぁうん、待ってる』――敵ってなんだよ、敵って」

シャットアウラ「あいつらは私が歩いているだけで直ぐ職務質問してくるんだぞ!何も悪い事してないのに!」

上条「そりゃまぁその戦闘服着てればムリねぇよ……てかお前もなんだかんだでウヤムヤになってるけど、柱倒そうとしてなかったっけか?」

シャットアウラ「何の事だね?私はただ当時の雇用主を止めに行っただけだが?」

上条「うわ汚ねぇ!俺だって調書やら書きまくったのに!」



――バレンタイン以前 イギリス某所

バードウェイ「なぁ我が妹よ、大変な事実が判明してしまったぞ!」

パトリシア「はぁ、なんでしょーかお姉さん」

バードウェイ「極東の島国ではな、今”幼女”がブームらしいんだ……ッ!!!」

パトリシア「それタイヘンじゃないですよね?”HEN-TAI”な事実ですよね?」

バードウェイ「なんでも幼女がキャベツ野郎の手先になって戦う話らしいな!」

パトリシア「それ幼女である必然性は……?」

バードウェイ「フランス軍相手に勇ましく戦って内容らしいんだが……なぁ?フィクションも過ぎるよな?」

パトリシア「です、ねぇ。ええ流石に」

バードウェイ「第二次世界大戦中に戦ったフランス人などいなかった筈だが……?」
(※個人の感想です)

パトリシア「お姉さん?お姉さんそれはちょっと問題発言ですし、他のヒロインの方のキャラを奪うんじゃないかなって」

バードウェイ「「パルチザンと称して非武装地帯で延々と民間人を殺しまくってたのを、軍功に数えるのであれば、まぁ世界屈指と言えなくもない」
(※あくまで個人の感想です)

パトリシア「私も世界史やって驚きましたけど、あの国本当にそんなんばっかで、ネタにする気持ちも分からないではないです……」

※コラム・楽しい世界史〜みんな大好きフランス海軍(第二次世界大戦編・本国駐留組)〜
(暇だったら読んでね☆)


バードウェイ「まぁ多くの軍属が自国へ誇りを持ち、文字通り命を賭して戦ったのはフランスならずとも事実ではあるのだが」

バードウェイ「後世の歴史書、そして後々振り返ってみれば『コイツらなんなの?』と疑問符イッパイ夢イッパイのカオシックな感想を抱くと」

パトリシア「まぁフランスの現在まで至る『コイツらなんなの?』の、歴史はともかく、幼女がどうですって?」

バードウェイ「私もな。流石に彼我の戦力差は理解しているつもりだ。分かるな?」

パトリシア「分かりますけど」

バードウェイ「将来スーパーモデル顔負けのボディへ成長が確約されてるとは言え、今は流石に年相応のものでしかないんだ!」

パトリシア「ごめんなさいお姉さん、やっぱ分からないです」

バードウェイ「まっ、今のお前には遠い道かも知れないが!精々精進するが良い!」

パトリシア「言っときますけど、私達姉妹ですからね?私の道が果てしなければお姉さんも酷道通るハメになるんですからね?」

バードウェイ「これはだな、一部の人間にまことしやかに囁かれている説なんだが……どうやら、ヤツはその気があるらしい」

パトリシア「通報しましょう?」

バードウェイ「まぁ待て!確たる証拠も無しに決めつけてしまってはダメだ!上条当麻ロリコ×説などと広げてはいけない!」

パトリシア「いやぁ、お兄さんは違うんじゃないかな−。何となくですけど真逆のタイプが好きそうな気がします」

バードウェイ「以前とあるインタビュアーが突撃した際には、シロとの判定が出たんだ。一応は」

パトリシア「でしたら別に問題視するような事じゃ――てかむしろクロって出た方が問題視すべきですよ!シロだったらいいじゃないですか!」

バードウェイ「これは例え話なのだが――以前、家具にされていたある女がいたんだ」

パトリシア「例え話がグロっ!?」

バードウェイ「まぁ色々あって女運へCP全振りした男が助けた、それはいいだろう」

バードウェイ「私でも手を焼くような、元へ戻す作業もその男の主導によって成された。ここもまぁ美談ではあるな」

パトリシア「美容整形、的なアレでしょーかねぇ。学園都市の整形技術」

バードウェイ「私も彼女とは知り合いというかな、顔見知りというか」

パトリシア「へー、お友達で?」

バードウェイ「まぁ髪を掴んで引きずり回すぐらいには、仲がよかったな」

パトリシア「殺伐とした人間関係!?例えるにしても表現下手ですね!」

バードウェイ「ともあれ既知であるのは間違いなく、正直彼女が助かった事に関しては喜ばしくもある。あるんだが――」

バードウェイ「――縮んでたんだ」

パトリシア「……はい?なんて?」

バードウェイ「縮んでた、と言ったぞ」

パトリシア「え?それってどういうことですか?」

バードウェイ「以前に会った時には、ジュニアハイスクールか、ハイスクールぐらいかなーと思っていたんだが」

バードウェイ「……私が見たのはschoolchildにしか見えない彼女だった……!」

パトリシア「すいませんお姉さん。流石に引きます」

バードウェイ「――と、以上の証拠により『上条当麻、自分好みの幼女を作り上げた疑惑!』だと!」

パトリシア「例え話なんでしょうけど、なんか間にワンクッション入ってる気がしますよ?お料理の勉強してる女の人とか」

バードウェイ「なので――今年のバレンタインはこれで決まりだ……ッ!!!」



――バレンタイン当日・夜 上条家

ピンポーン

上条「『はーい、どちらさまで?』」

マーク『夜分遅くすいません、上条さんにお届け物です』

上条「『帰ってください。今日はもう朝からイベントありすぎてHPがないんですよ!』」

マーク『おっと!ここで私がそのまま帰れば私の命の保証はありませんが!それでもいいんですかっ!?』

上条「『やだ斬新かつ説得力溢れる脅し方』」 ガチャッ

マーク「こんばんは上条さん!いい夜ですよねっ!」

上条「……あーはい、いつもいつも無茶振りで学園都市までお疲れ様です……」

マーク「バレンタインですのでね、こうえっと、まぁまぁチョコレート的なものをどうぞ」

上条「空輸でよかったと思うんですが……ありがとうございます。ボスの方にはこっちから電話で礼言っときますんで」

上条「て、いうかよかったらお茶でも如何ですか?なんだったら泊まって行ってくださっても」

マーク「あぁいおお気遣いなく!それではさようなら!」

上条「あぁはいどうも?」 ガチャッ

インデックス「どうしたのーとうま。こんな夜遅く」

上条「バードウェイからチョコがな」

インデックス「……ふーん?」

上条「あ、こっちにもメッセージカード入ってら。なになに――」


【みんなちがって、みんないい】


インデックス「……交通標語?J×?」

上条「あ、まだ続きがあったわ」


【ちっちゃくってもいい、ニンゲンだもの】


インデックス「なんかこう、うんっ!なんかこう、だよねっ!」

上条「なんだろうな、あー、穏当なそうな言葉の裏に深い深い闇が隠れてそうな!」

インデックス「あ、まだ箱の下にあったかも」

上条「どれどれ」


【ロリコ×にちわ】


上条「――ぶっ×すぞあの幼女!?なんで特定方向を諭すような標語が入ってんだよ!?」

インデックス「それはとうまの普段の行いだと思うんだけど……」

上条「なんでですかぁぁぁぁぁぁ!?てか出会う女の子にエロ含めて一切アプローチしてない真摯な俺に向かって!」

上条「インデックスさんだってそうでしょうが!身の危険を感じるような相手と一緒にいられないよなっ!?」

インデックス「まぁ、合ってるっちゃ合ってるんだけどねー、うーん、まぁまぁ逆にすけべ根性見せないところがー……みたいな?」

上条「なんでだよっ!?紳士的に振舞ってる俺のどこが悪いってんだ!?」

インデックス「そこはまぁ来年の課題って言うか、神様がもしかしたら決めてくれるかもだし!」

上条「来年、あるのか来年……?」


バレンタインの日ver2017 −終−


――翌日 上条家

上条「さってと、結構貰っちまったなぁ。ありがたい事に」

上条「貰ったモンと相手を書きだして、ホワイトデーには何か返さない――と?」

上条「うん?バードウェイの箱の中、まだなんか入ってるな。カードがまだ見落としてたヤツか」

上条「何々……『マリー・ミー』?人名?つーか誰?」

上条「書き間違えか――そうか!マリーさんへ贈るカードがこっちへ紛れ込んでたんだな!納得!」

インデックス「とうまはね、いつか必ず刺されると思うんだよ」

上条「なんでだよっ!?こんな真っ当に生きてる俺が!」




【――Marry Me】
(結婚してください)




(※バレンタイン企画へ週遅れで追加した小話を誰が読んでんだとも思いますが、まぁ)

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