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Clock(trial)
『クリスマス企画ver2015』

〜三行で分かるここまでのあらすじ〜

1.「クリスマスだし」
2.「だったらその幻想を(以下略)
3.「それはさておきこれを見てくれ。こいつをどう思う?」

○上条→フロリス
○サローニャ→一方通行
○レッサー→上条
○オティヌス→上条
○上条→アリサ
○パトリシア→二人



○上条→フロリス



――ゴードンストウン寮 12月24日 深夜

フロリス「……ぐー……」

……シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン……

上条(煙突……は、無ぇな。まぁあったら怖いわ、それじゃ通気口……いや、モテ王サー○じゃねぇんだから無理)

上条(僧正の貰ったサンタコスがあれば、誰にもバレずに侵入出来るって言うけど――) スルッ

上条(お、スゲぇな。壁貫通するわ重力無視するわでやり放題だなー)

上条(しかもこれを着ていれば、前後の矛盾を感じられずに侵入出来るってスンポーさ!やったねっ!)

上条「……」

上条(い、いや別にやましい事は考えてなんかないさ!そう、これっぽっちもな!)

上条(「もう少し早く来ればシャワー……」とか思わない!俺は正義の味方だから!そんな事はなっ!)

上条(……てか、この霊装だか術式だか、仕掛けた相手があの干物ジジイだって時点で、悪用すればトンデモないしっぺ返し来そうだ)

上条(ま、いいや。夜空を飛ぶのは割と楽しかったから)

上条(ティンダなんとか言うトナカイに似ても似つかない猟犬にソリを引かれていなければ、だけど)

猟犬『ぎゃははははははははははははははははははははっ!!!』

上条(ていうかこのキモい鳴き声、俺以外に聞こえてないってのが、うんまぁいいが)

上条(さてでは一軒目、っていうかこの後はアリサんチだけど、あー……フロリス、フロリスかぁ?)

フロリス「……くー……すー……」

上条(何を送ったもんかー、んー……あ、そうだ)

上条(丁度良いプレゼントがあった筈、これこれ) ガサゴソ

上条(枕元に置いて、っと……ん?)

上条(なんだ?シーツが不自然に盛り上がっ――)

ランシス「……んー……?」

上条 バサッ

上条「……えっと」

上条(……なんでランシスが――はっ!?)

上条(一応、まぁ同じのの色違いを置いて、と) トン

上条「……」

上条 パシャッ、ピロリロリーン

上条(し、資料だから!決して!そう決してやましい事には!)



――25日 朝

フロリス「ふわぁ――っとぉ、あー……寒んむー……!」

フロリス「あ、でもベッドん中妙に暖け――」

ランシス「……ぐー……」

フロリス「――これでまたレ×疑惑が……てかレッサーんトコ行きなよ」

ランシス「……出番……うん」

フロリス「何?何か言った?ワタシの気のせ、い?ってなんだコレ?」 ガサッ

フロリス「荷物……プレゼント、かな?あ、メッセージカードついてる」

フロリス「差出人は………………あ」



平成XX年12月25日
フロリス様

拝啓
 ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
 さて、私どもは相も変わらず風邪ひとつひかぬ病気知らずで、元気一杯仕事に励んでおります。
 これも、ひとえにお二方のご高配によるものと、あらためて心より感謝申し上げます。
 つきましては、年末のご挨拶がわりに、心ばかりのものをお送りさせていただきましたのでご笑納下さい。
 時節柄、ご健勝のほどをお祈り申し上げます。
敬具

上条当麻より



フロリス「カタいな!?どっかからのコピペだって一発でバレるぜジャパニーズ!」

フロリス「……い、いや。一応友達枠なんだから、もっと軽くても――と、裏になんか書いてある?」



追伸
 霊装の関係上、フロリスさんは冬でも飛び回わなくちゃいけないし、寒くて大変だと思います。
 だから暖かい服を送ります。
 よかったら着てみて下さい。



フロリス「ふーん……?まぁまぁまぁまぁ、こーゆーンだよね、ウン、こーゆーの」

フロリス「こういうさ、小さな気遣いって言うか、ウン」

フロリス「や、でもレッサーに悪い、悪いなぁ――と、反省終わり、よし!」

フロリス「さって中にはマフラーでも入ってんのか、なぁ……」 バリバリ

フロリス「……」

フロリス ゴシゴシ、ゴシゴシ

フロリス「……オッケ、寝惚けてない、よな?夢じゃない、タブン」

フロリス「今見たのはきっと幻覚きっと幻覚そうきっと幻覚に違いない」

フロリス「だからよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ確認すれば、もっときちんとしたものが入ってる。うんそう入ってるよ」 ガソゴソ

フロリス「………………Oh」

ランシス「――はふぅ……おはよー……?」

フロリス「……」

ランシス「どしたの、固まって――あ」

フロリス「……その、サ?」

ランシス「……ん、似合うと思うよ、フロリスにも――」

ランシス「――その、ネコミミメイド服……」

フロリス「チッガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァウウッ!!!?」

フロリス「ていうか順番的に異論があるぜ!なんで二回続けて軽いツカミの扱いなんだよ!?」



○サローニャ→一方通行



――どこか

サローニャ「……」

サローニャ(私は負けた……そう、”また”)

サローニャ(グレムリンへ入って、あの戦争の勝利者ちゃんの顔面を蹴っ飛ばしてやろうとしてのに)

サローニャ(『思い通りに なんかならねぇぞ』って。ただそれだけなのに)

サローニャ(いざ戦争が始まってみれば、私達は『グレムリン』の正式メンバーですらなかった。ただの使い捨ての駒で)

サローニャ(あのヒーローちゃんへ言ったように、『駒の一つに何が出来る』のは、私の方だった訳だにゃー。いやー困った困った)

サローニャ(再起を果たすにも……そう、出来るんだな、これが)

サローニャ(私の『森』は死ななかった……けど、何故?)

サローニャ(敵対している相手の力を折るために、全部の苗を抜く。それだったら分かる)

サローニャ(……が、でもあの戦いで、殺そうとしている相手の力が残るのが分かっていたのに)

サローニャ(全部の苗を抜かずにおいたなんて、そんな事が出来るだろうか?それとも偶然かにゃー?)

サローニャ(なんせよ、私はまだ魔術師のまま――)

???『――力が欲しいか?』

サローニャ「誰っ!?」

???『力が欲しいのか、と聞いておる』

サローニャ「魔力……尋常じゃない!」

???『身構えずともよい。儂はオティヌスと同格――いや、あやつが零落した今はもう、それ以上の力を持つ魔神じゃよ』

サローニャ「……魔神ちゃんがどうして私に?」

???『なに、ただの気まぐれと思ってくれてかまわんぞい。さして意味も持たぬ』

サローニャ「なら――欲しい!私が復讐するための力を!」

???『ならば――くれてやるぞい!』

サローニャ「やった……!」

???『まずはこの霊装を!』

サローニャ「あぁ――あ、れ?」

???『一見するとただのミニスカサンタ服に見えるが、実はこれにとんでもない術式が込められておる!』

サローニャ「あ、あの……?」

???『そぉれぇわぁ!なんとこのミニスカ部分は絶対領域になっておって、決してパンチ×せずに済むという優れものじゃ!』

サローニャ『私が想像してたのと違う!?てゆーか力ってこれ!?』

???『後は外からの干渉を一切透過する効果があったり、熱と風への完全耐性を有しておるが、まぁ些細な事じゃの』

サローニャ「おいジジイ人の話を聞け、なっ?」

???『ちなみに女子用はたまたまミニスカであって、特に意味は無いのじゃね!いやホンットに!』

???『娘々とネフテュスに着せようとか思ったりは、うん、儂全然思ってなかったわい。いやー、偶然偶然』

サローニャ「方向性が!だから力の方向性ちゃんが違うんじゃないの!?」

???『あぁ後トナカイ役は猟犬二人を借りたんで、付けておくわい』

サローニャ「だから!」

???『それではよいクリスマスを』



――どこか 上空

サローニャ「………………なんだこれ」

サローニャ「どういう夢……っていうか夢ちゃんじゃないし!この霊装を使ってどうしろって言うの!?」

サローニャ スーハースーハー

サローニャ「……よし落ち着いた。さて、どうしよう……?」

サローニャ「サンタ用に霊装なんか貰っても――っていうか、この流れだと一晩限りの力しか持たないようだし」

サローニャ「一体あのジジイちゃんは何考えて――おや?袋?」

サローニャ「あー、サンタさん用のね。でも何も入ってないぽいっにゃーし、これも霊装ちゃんだったりするのかなー?」

サローニャ「『あの東洋人が入ってる!』、なんつったりしたら本当に入っ――」 ズシッ

サローニャ「……ズシ?なんで急に、重く……」 チラッ

上条「……うーん……」

サローニャ「……なんだこのチート……」

サローニャ「てか要らないし、どこかに捨てて来よ−、うん」

猟犬『ギャハハハハハハハハハハハハハハッ!!!』

サローニャ「気味悪いなこのトナカイ猟犬!ていうか何?あっちの方?」

猟犬『ギャハハハハハハハハハハハハハハハッ!!!』

サローニャ「あー……こいつ、配れって事?へー……」



――とあるマンション

一方通行「――ったりィな。なンで俺がガキ共に……」

黄泉川「はいはいぶつくさ言わないじゃん。つーかそれはジャンケンで決まったじゃんか?」

一方通行「つーかァ?サンタさンなんてェ、ちっこいのもでっかいのも信じてねェだろ?」

一方通行「事前に『東方紺珠○が欲しいってミサカはミサカはサンタさんへ頼んでみたり!』って言われてみ?あ?」

芳川「打ち止めの家庭環境が悪いのかしら?もっと夢があっても良くない?」

一方通行「もう一人は『バーバリ○くれ!ユキチでもいいぜ!』だとよ」

黄泉川「あ−、あれじゃんよ?子供が背伸びして粋がるのと同じじゃん……と、思いたいじゃん」

芳川「年齢的には一番下だし、やっぱり」

一方通行「そンなに大層なもンじゃねェだろ。基本悪意で動いてるってだけで、あいつは」

芳川「そうでもないわよ。あの子が『ネットワークの悪意だけを組み上げてる』って言ってるのは、あくまでも自称だし」

芳川「そもそもポジティブな感情とネガティブな感情、どこをどう分けているのかも分かってない訳だけど」

一方通行「だったらあの女の行動原理は愉快犯っつー……あァまァ、そォ言われりゃ納得出来そうだけどよ」

黄泉川「とにかく!あんたは負けたんだからさっさと置いてくるじゃんよ!」

一方通行「へーへー……」



――ミサカ部屋

一方通行 ガチャッ

一方通行「あァっとォ……」

一方通行(東方紺珠○……箱付きなのな。ていかこれ、発売したの夏じゃなかったっけか?)

一方通行(芳川持ってそォな気もするンだが……まァいいわ) ゴソッ

打ち止め「……ぐぅ……」

一方通行(危機感足ンねェんじゃねェのか、とは言わねェ、言わねェが……どれ、こっちは)

番外個体「お、そこそこ高いヤツだ。っていうかこれ、ミサカが落とそうとしたら横からかっ攫われたヤツじゃね?」 バリバリッ

一方通行「――よし、もォ一回寝とくか?あ?」

番外個体「じょ、ジョークに決まっているさ!落ち着こうぜ親御さん!」

番外個体「なにも聖なる夜に爆殺屍体を出さなくたっていいと思うんだゾ☆」

一方通行「うぜェ、何もかもうぜェわ。つーか誰だよ」

番外個体「こないだ買ったインディアンポーカーに出てたおっぱい大きい人」

一方通行「本当に誰だよ!?……つーか、大人しく貰っとけ。黄泉川の少ない給料から出てンんだからよォ」

番外個体「そう言われるとこのミサカは満更でもないかにゃー――あ、それだとあなたは?何か貰ったの?」

一方通行「クリスマスなんぞガキが騒ぐもンだろォが」

番外個体「いやぁ分っかんないぜー?こう、部屋戻ったらR18のイベントとかありそうじゃんか?」

番外個体「全裸にテープ一本巻いた黄泉川&芳川熟女コンビが、『さぁ、来るじゃん?』みたいな!?」

番外個体「いいなーいいなー!どうせだったらミサカもそっちの方――」

一方通行「――ふンっ!」

番外個体「あべしっ!?」

番外個体「……」 コテッ

一方通行「……寝とけ」



――部屋(一方通行)

一方通行「……」

一方通行(……そォいやァ……あったよな、ンなシチュエーション)

一方通行(ババア二人とガキのサービスシーンってか?嬉しくも何ともねェよ、俺は)

一方通行(つーか、ンな面倒な事ァゴメンだが、こンな俺でもいつか彼女でも出来ンのかねェ?俺に?)

一方通行(想像もつかねェが……まァいいわ、寝よ) ゴソッ

一方通行(――あン?なンかベッドに入って――)

上条「……ん……?」

一方通行「なンでだよ!?つーかオマエじゃねェわ!?お呼びでもねェな!あァ!?」

上条「……一方通行?どした?」

一方通行「それは俺の台詞だわ、っつーか俺の台詞だわ。大事な事なんで二回言ったけども!」

黄泉川「――どうしたじゃんか一方通行!?また敵の能力者の襲撃じゃんか!?」

一方通行「や、あのなァ?そういうンじゃねェが」

上条「あ、黄泉川センセ」

黄泉川「なんて事じゃん……!」

一方通行「言うだけ言ってみ?」

黄泉川「あんた、上条にホ×の字だったじゃん……!?」

一方通行「『ほの字』だな?その言い方だとストレートすぎだろォが!」

黄泉川「いやだから、ストレートじゃないって話じゃん?」

一方通行「違うっつってンだろが!上手い事も言ってねェよ!」

番外個体「――ガチB×が見られると聞いて!!!」

一方通行「オマエもォ帰れよ、なっ?」



――上空

サローニャ「……」

サローニャ「お、お疲れちゃーん!いやー良い仕事をしたにゃー!」



○レッサー→上条



――ゴードンストウン寮 12月24日 深夜

???『てな訳でクリスマス限定の力はどうかの?』

レッサー「――任せてつかーさい!そういうイベントでしたらワタクシにお任せを!」

レッサー「何と言っても五年連続『絡むとロクな事にならない女・学年一位』に選ばれた私の力を持ってすれば!」

???『涙、拭いた方がいいと思うぞい?』

???『ティンダ――トナカイはこっち、ミニスカサンタの霊装はこれじゃね』

レッサー「あざーすっ!」

???『他には……あぁこっちが『望んだモノをお取り寄せ出来る袋』じゃ』

レッサー「……ふっ!何を仰いますかサンタさん!」

???『僧正じゃね?てか儂、基本ボケなのになんでお主が終始押してるんかの?』

レッサー「プレゼントならここにあるじゃあないですかっ!ほら、ここにっ!」

???『儂にはとんと見えんが……謎かけかの?』

レッサー「やっだなぁ違いますよ!決まってるじゃないですか、クリスマスに女の子からの男の子へとプレゼント――」

レッサー「――そう、わ・が・し!」

???『それ”わたし”じゃないかの?』

レッサー「噛みました!」

???『嘘じゃね。噛んでない』

レッサー「クレマンティー○さんの声優は当りですね?」

???『全くなんの関係もないわ!?』

レッサー「……唐突ですが、人間には三大欲求があると言われています!」

???『な、なんじゃね唐突に』

レッサー「一ぉつ!まず性欲!何をさておいても子孫繁栄は大切ですねっ!ンねっ!」

???『明らかに順序は間違っとろうが、まぁまぁ大切は大切じゃよね』

レッサー「次に大切なのは食欲!そして睡眠欲と続く訳ですが――ご存じでしたかっ!?」

レッサー「これらの三大欲求、実は一つにまとめられてしまう、という事実を!」

???『あの、儂帰っていいかな?これから学園都市とイギリスに行く用事あるんじゃけど……』

レッサー「――そう、その通ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉり!食欲も睡眠欲も、それらの単語前に(※性的な意味で)と付ければ全部性欲に収まりますがっ!!!」

???『いや、その理屈はおかしい』

レッサー「(※性的な意味で)食欲、(※性的な意味で)睡眠欲――どぉですかっ!見事に下ネタへと昇華されましたよっ!」

???『そりゃ、どんな対語だって(※性的な意味で)と付ければいかがわしくなるわい』

???『ま、まぁ何を送ろうと好きにするがよい。それもまたクリスマスの深き業の成せる技よの』

レッサー「いざゆかんヤポンへ!」



――上条のアパート 12月24日 深夜

レッサー「……」

レッサー(抜き足差し足忍び足……最近、この表現も使わなくなりましたねぇ、えぇもういつの間にか)

レッサー(所謂漫画的表現ですが、時折スワヒリ語圏ファンサブで見かけますが……まぁ良いとしましょう!それはねっ!)

レッサー「……」 キョロキョロ

レッサー(――よし!お邪魔虫は居ませんね!どうせクリスマスだからって浮かれたサブヒロイン共が押し寄せてるかと思いましたが!)

レッサー(幸いベッドの中にはお一人でいらっしゃるようで!……いや、先客が居たらどうやってこr――ご退場願うか迷いましたね!杞憂でよかった!)

レッサー(さぁお待たせしましたよ上条さん!本編でも語られなかった私達の睦み事を!ようやくここでご開帳しましょーか!)
(※そんな事実はありません)

レッサー「――とおっ!!!」 ガッ

レッサー(お、何か震えてますねー。良いですよー、なんこうテンション上がってきますって言いますか!エロ×のように!)

レッサー(ま・ず・はーっと、全身をですね、こうレッサーちゃん式マッサージで揉みほぐしますよっと) モミモミ

レッサー(こう見えてエロ一番と呼ばれたランシスをもあんあん言わせてた程の腕前!……おぉっと涎が!つい!) モミモミ

レッサー「ほーれ、ええんか?ここがええんか、なぁ?おいちゃん言うてみ、な?なぁて?」

???「……ん、く……」

レッサー(っていうか、スタイル良いですよねっ!体っ!私が想像していたのはもっと筋肉質だったんですけども!)

レッサー(ほっそりとしているっていうか、細い?つーかこれ私よりも細いんじゃ――?) モミモミ

レッサー「……ってそんなわきゃないでしょうが!誰ですがっ!?」 バサッ

オティヌス(???)「……」

レッサー「……」 モミモミ

オティヌス「……て」

レッサー「……はい?なんて?」 モミモミ

オティヌス「手、離せ」

レッサー「もっと具体的に。あなたのどこをどうしている手をですか?」 モミモミ

レッサー「ほぉらハッキリとその可愛らしいお口から言って下さらないと、この手はドンドンエスカレートしますよっ!?」

オティヌス「――よし、殺そう」



○オティヌス→上条



――10分前 上条のアパート

オティヌス「……」

オティヌス(留守、か?出かける用事は無いと聞いたんだが……どうにも間が悪いな)

オティヌス(禁書目録はどこかへお泊まり、タイミングとしては悪くはないと思ったんだがな)

オティヌス(まぁ……それもまた罰か。このフィギュアサイズでは何も出来ん。そう、何もな)

オティヌス(他のメス共に警戒されていないのは幸いではある。あるが……それも残念と考える事こそが、世界が貸した私への罪、だろうさ)

ギュイーン、ギュッギュッギュッ、ギュイーン

オティヌス「――誰だ!?」

???『ここでTOUJO!儂がSOJYO!鬼のGYOUSO!ばあさんSANJYO!』

???『Hey, so-jyo!No, To-yo!』

オティヌス「いや本当に誰だよ!?」

???『折角Mステにジェプセ○出たのに、老害ジジイがジャスティ○の事しか聞かなくて嘆いておる少女よ……』

オティヌス「人違いだ」

???『ほっほっほ!悩める少女よ、今こそその力を解き放つ時が来たぞい!』

オティヌス「いや、つい先日それやって世界滅ぼしたんだが……」

???『お主の願い、叶えて進ぜよう……!』

オティヌス「……私の?願い、だと?」

???『ジェプセ○のソロライブのチケットじゃったな?』

オティヌス「違うな?それ普通の洋楽好きの女の子だろう?」

???『最近分かった事じゃが、名前入れる系の同人ゲームで主人公に「ハマヅ×」って入れると、どんなカルマ下がる行為でもホイホイ出来る不思議……!』

オティヌス「帰れジジイ、な?ボケてんだから、つーかボケてんだから」

???『これは儂からのプレゼントじゃ。朝が来たら解けよるが、まぁお主にも幸福が来てもいいじゃろ』

???『どーーーーーーーんっ!!!』

オティヌス「何を――これは!?」

???『まだ何もやってないわい』

オティヌス「じゃあなんで『どーん』言った!?」

???『改めて……ドーーーーーーーンッ!!!』

オティヌス「――くっ!?光が――」

???『いやだから何もやってないわい』

オティヌス「死ぬか?あぁ?」

???『って言ってる隙にドーーーーーーーーーーーーーーーーーーンッ!!!』

……

オティヌス「……?」

オティヌス「気配が……消えた……?」

オティヌス「跡形もなく……いや、白昼夢だった、のか……?まさか」

オティヌス「はは、クリスマスなんて縁も縁も無いと思っていたが、それなりに浮かれて」 ギシッ

オティヌス「……ん?”ギシ”?」

オティヌス「私程度が飛び乗ったぐらいで音が出来るような、そこまでチープなベッドではなかったは、ず……」

オティヌス「――戻って、る?」

オティヌス「大きくなっている……以前の大きさにまで!?」

オティヌス「力は――無理か。体だけが元に戻った……のか」

オティヌス「……」

オティヌス「誰かは知らんが……感謝する、が、えぇっと」

オティヌス「確か『今日は平日、平日だから当然のように平日のスケジュールで動く!』とか言っていたっけな、奴は」

オティヌス「で、あれば、ここで待っていれば――」

オティヌス「べ、ベッドを温める、的な?アレか?」

オティヌス「……クソ、魔術以外にはどーでもいいと放置してきたツケが……!」

オティヌス「……まぁ、いい。私をくれてやろう、それ以外にやれるものも無い



――現在

オティヌス「――と、言う訳で」

レッサー「告白の台詞、ぶっちゃけ私の告白シーンと被ってませんか?」

オティヌス「仕方がないだろうが!?だって時間的な余裕がある訳でもないし!」

レッサー「自信を持って言いますが、神様(※鎌池先生)だったらばアレなんぞよりも100倍ステキな告白になりますよねっ!」

オティヌス「よく分からないが、誰かのハードルを上げてないか?」

レッサー「しっかしどーしたもんでしょうねー。お気持ちは分かりますが、ここで二人でレ×ってても生産的ではありませんし」

オティヌス「貴様は帰れ。ここは私の家だぞ」

レッサー「……かっちーんと来ましたよこのテロリスト風情が!」 モミモミッ

オティヌス「離、せ……っ!」

レッサー「くっくっく!どうやらガワだけで魔力は戻っていないご様子!はっ、魔神が聞いて呆れますね!」

レッサー「魔力の無いあなたなどただの片眼眼帯下乳エロおっぱい中ぐらいエロい少女でしかありませんから!」 モミモミ

オティヌス「なんでエロ二回言っ――くぅっ!?」

レッサー「元・世界の敵が私の手であんあん言ってると思うと、これはこれで嫌いじゃないですね、えぇホント」

オティヌス「だから!さっきからどこ触っ、て!」

レッサー「言って下さいな?あなたの、どこを、私の手が触っているの――」

上条「――ただいまー、いやーつっかれたー、大変だったぜ」

レッサー・オティヌス「……」

上条「黄泉川先生にはアレな目で見られるし、一方通行はぶち切れ一歩手前だったし」

上条「プレゼント配ってたらさ、途中で意識が遠く、なっ、て……」

レッサー・オティヌス「……」

上条「……」

レッサー「い、いや!違うんですよ!?」

オティヌス「そうだぞ!これには事情があって!」

上条 パシャッ、ピロリロリーン

レッサー「何冷静に写メ撮ってんですか!?」

上条「だ、大丈夫!俺は理解あるから!」

オティヌス「理解してないだろ!確実に誤解しているだろ!」

上条「……だって、分かるさ!そう、今日は――」

上条「――クリスマス、だしさ!」

レッサー「ちょ、まっ!?」

オティヌス「だから、これは――」

上条「お幸せに……っ!」 パタンッ

レッサー「あーぁ……」

オティヌス「じゃ、ない!?どうしてくれるんだ!?」

レッサー「あー、一緒に暮らしてるんでしたっけ?フラグ立たないって理由で」

オティヌス「その理由は違うがな!」

レッサー「あ、こうしましょうか?」

オティヌス「うん?」

レッサー「今度はそちらがタチで」

オティヌス「だからお前もう帰れ、なっ?」



○上条→アリサ



――12月某日 自宅 回想

上条「……」 カチャカチャ

上条「あぁっとチケット会社……ここか」 ピッ

ホームページ『いらっしゃいませ、ご希望のプランとご予算をご入力下さい』

上条「……」

上条(あー……年末年始はどこもいっぱいだなぁ。まぁ仕方かないっちゃないんだけども)

上条(片方は芸能人だし、もう片方は元『暗部』組織のトップ。二人とも忙しいだろうし、ある程度は近場で)

上条「……」

上条(ARISAのEUツアーの警備代、つーかバイト料?名目上は)

上条(何に遣うか迷ったんだけども、俺は結局アリサへ返す事にした)

上条(つっても直接的には受け取ってくれないだろうから、珍しく悩んだ結果シッャトアウラとの旅行でもどうかなーと)

上条(あの旅以来、ほんの少しだけ我が侭を言うようになったアリサ。そしてその彼女へ厳しい事も言うようになったシャットアウラ)

上条(家族ってのはそういうもんだと思う。お互いに大事にしながらも、余所様じゃ踏み込めないような事も言って)

上条(ぎこちなくはあるが、これでようやっと普通の家族としてやっていくんだろう――ってのの、まぁ後押しするような感じかな?)

上条「……」

上条(なんかもう、時系列がメッチャクチャな気がするな!まぁ気にしないけども!これは、回想だから!)

上条(ともあれ。アイドルと『暗部』組織の二人にプライベートな時間は中々持てない)

上条(あー……アレだ。『Shooting MOON』ツアーの打ち上げで、「スタッフさんで記念撮影しませんか?」ってアリサさんが言い出したんだよ)

上条(詳しくはARISAの『Pray』の初回特典DVDについてるんだが、まぁまぁそれ自体は良いんだ。その発想はな)

上条(だがしかしノコノコと現れた『黒鴉部隊』の皆さんがですね、もう少し空気読め?なっ?)

上条(全員が全員、黒ずくめのロングコートの機械機械じみたサングラス、そして何があっても素早く動けるような自然体)

上条(攻殻な機動隊のように、一目でカタギの人間とは思えないご立派な体と鷹のような目つきをされたヤク×のような集団が……)

上条(そして何が切ないかって、剥がされた顔面のせいで包帯被ったままの柴崎さん……!横溝正○シリーズに必ず出て来そうな色物状態で!)

上条(――と、いう悲しい出来事のせいで、うん、こう、あの姉妹にはたまには二人っきりで水入らず的な時間を過ごして欲しいと)

上条(元々、金がなくなったらバイトすりゃいいだけの話だしさ、そんなに欲しいものがある訳でもないし)

上条(あんまお高いのは無理だし、そんで出来ればそこそこのサプライズ……)

上条「……」

上条「んー……時期的に厳しい、よなぁ」

上条(12月になってから予約取ろうとしたって、やっぱり変な所のしか残ってないよなぁ。もしくはキャンセル待ち)

上条(まぁ……芸能活動で年末年始もないだろうし、今回はご縁が無かったと言う事で一つ、か)



――クリスマス上空 現在

上条「――と、いうのが昨日もまでの俺だった……が、しかぁし今日の俺は違う!」

上条「そうさまるでドラえも○のひみつ道具のように!”てれれってれー”で!マジカルな道具をサモンナト○!」

上条「さぁ――出て来いマジカルチケット……ツ!!!」

上条「……」

上条 ゴソゴソ

上条「……地味だな、絵が……えっと」

上条「○○温泉優待券、二名様……良し!地味だか良し!」

猟犬『ぎゃははははははははははははははははっ!!!』

上条「アリサんとこまでヨロシク−……てかもう慣れたよ、慣れちまったよ」



――学生寮 アリサの部屋

鳴護「えっと……」 カキカキ

鳴護(こっちの楽譜をこうして……ペンタブだと慣れないなぁ、なんか)

鳴護(てかキーボードにSDカードついてるんだから、打ち込みじゃなくたって演奏した方が早いと――)

……シャンシャンシャンシャンシャン……

鳴護「……?」

鳴護(鈴の音?……あー、そっか。今日ってクリスマスだっけ?)

鳴護(アイド――もとい、シンガーソングライターなんてやってるけど、あんま縁はないよねぇ。LIVEあるぐらいだけど)

鳴護(っていうかむしろ、恋の歌メインに作ってる割には、こう、初恋もまだ終ってないっていうか?……なんだろ、これ)

シャンシャンシャンシャンシャン

鳴護「……うん?イベントでもやってるのかな、段々音が近付いて――」

上条「ハッピーハロウィーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーンッ!!!」

鳴護「当麻君それ違う、違うよっ!?二ヶ月前にやったから!済ませたよ!」

上条「クリスマスなのに起きてる悪い子いねーがぁー!?」

鳴護「秋田の伝統芸能!?主旨も違うし!」

上条「――ほっほっほ!ワシはサンタクロース的なアレじゃよ」

鳴護「”的”なアレって……設定杜撰すぎないかな?ねぇ?」

上条「良い子のアリサさんには、これをプレゼントしよう……!」

鳴護「うん、ツッコミ所が多すぎてあたしじゃ捌けないんだけど……え、これって?チケット?」

上条「JT○の○○温泉○○旅館のじゃね」

鳴護「っていうか、これ、その……二枚ある、よね?」

上条「あぁペアだしな」

鳴護「――もしかして!?」

上条「君の大事な人と――そう、大事な人と行ってあげなさい」

鳴護「当麻君……!」

上条「当麻君じゃねぇけど――さらばだっ!」

鳴護「あ、ちょっ――」

猟犬「ぎゃはははははははははははははっ!!!」

鳴護「名状しがたいぐらいに気持ち悪い動物に乗ってるよ!?」

上条「てかツッコム所そこか!?――もとい、さらばじゃっ!」

シャンシャンシャンシャンシャンシャン……

鳴護「てか凄――く、気持ち悪い何かに乗ってるけど……当麻君、だよね?」

鳴護「夢、じゃないし……チケット……残ってる、よ……」

鳴護「……」

鳴護「インデックスちゃんゴメンナサイっ!インデックスちゃんゴメンナサイっ!!インデックスちゃんゴメンナサイっ!!!」

鳴護「御坂さんと佐天さんとレッサーちゃん達その他の皆さんもほんっとーーーーーーーーーーーーーーーーーーーにごめんなさいごめんなさいっインデックスちゃんゴメンナサイっ!ごめんなさいっ!」

鳴護「……」

鳴護「――よし!これでもう大丈夫、だよね?ゴメンナサイしたし?」

鳴護「うん、うんっ!当麻君が決めたんだし、仕方がないよねー、うんうんっ」

鳴護「……」

鳴護「……あー、なんか今なら良い曲書けるかも……!」



○パトリシア→二人



――イギリス某所 某家庭

パトリシア「あ、じゃお姉さんおやすみなさい」

バードウェイ「あぁおやすみ。サンタが来るだろうから、早めに寝ておくんだぞ」

パトリシア「やっだなぁサンタさんなんて今時非科学的な」

バードウェイ「居ないというのであれば仕方がない。今年の私からのプレゼントはなかった事になるな」

パトリシア「や、やったー!サンタさんが来るかもしれないですからっ、早く寝ますよっ!」

バードウェイ「子供はそうでないといかん」

パトリシア「いやあの、お姉さんって幾つでしたっけ……?」



――パトリシアの部屋

パトリシア「……はふー……」

パトリシア(今年も色々ありましたけど、激動の一年でしたねー。特に後半は)

パトリシア(北極海でダイブしかけたり、学園都市で変な人に追われたり)

パトリシア(挙げ句にはお姉さんの命と引き替えに助けて貰いそうになったり……なんなんでしょう?)

パトリシア(色々な人に助けて貰いましたが――あー、結局、ステイルさんと上里さんへ、お礼っていいましたっけ?)

パトリシア(心残りと言えば、まぁ心残りですよねぇ)

???『――力が欲しいかの、ならばくれてやろう……!!!』

パトリシア「誰――サンタさん!?」

???『ていうか儂は以下略』

パトリシア「バッサリ端折られました!?」

???『ちゅー訳で、トナカイのソリと、サンタ服(幼女用)を着るのじゃ』

パトリシア「幼女用て……」

???『あーでも、そろそろ刻限が迫っておる。というかさっさと行って来るが良いの』

パトリシア「いえその、わたし行くだなんて一言も」

???『大丈夫!これは夢(みたいな)モンじゃし!』 グッ

パトリシア「そっかー、夢ですかー、ならお爺さんが空飛んでても納得ですよね−」

???『というよりも、ほれ。他の国ではそろそろクリスマスイブが終ってしまうぞい』

???『儂の魔法が切れる前に、疾く行くのがべたぁじゃね』

パトリシア「よく、分かりませんが、それじゃお願いします――あ、二箇所とか駄目ですか?」

パトリシア「イギリスと学園都市なんですけど、多分」

???『なら近場から行くが良いじゃろ、ホイっとな』

ヒュンッ



――必要悪の教会 ステイルの私室

パトリシア「煙草クサッ!?」

パトリシア「――てか喋ったら気づかれ――」

ステイル「……」

パトリシア「――て、ないですね。ステルス機能があるサンタ服……謎の仕様ですか」

ステイル「……」

パトリシア「死んだように眠ってますねー、いつもお疲れ様でーす。わたしのような子を守ってるんでしょうけど、きっと」

パトリシア「それじゃプレゼント……あれ?」

パトリシア「袋……は、無いですね。忘れて来ちゃった……」

パトリシア「それに、ステイルさんの好きなものも分かりませんから――そうだ!」

ステイル「……」

パトリシア「えっと、でも……いいやっ」 ギュッ

ステイル「……」

パトリシア「たばこ臭い……けど、なんでしょう」

パトリシア「あの日……わたしを守ってくれた人の匂い……」

パトリシア「……ありがとう、ステイルさん」 スッ

ステイル「……」

パトリシア「あなたにとって、多分誰かを守るために戦っているあなたにとっては」

パトリシア「わたしを助けた事なんて、百の中の一つ、千の中の一つに過ぎないでしょうけど」

パトリシア「――それでも、わたしは、あなたに感謝しています。ありがとう……」

ステイル「……」

パトリシア「……出来れば、夢じゃなく。本当にまた再開した時に言いたかったですけど――」

パトリシア「それじゃ――」

……パタン

ステイル「……」

ステイル カチッ、カチカチカチッ、シュボッ

ステイル ジジジ……フー……

ステイル「……下らないね。それはきっと感傷だ」

ステイル「僕がそうであるように、君も」



――学園都市 上空

パトリシア「えっと、上里さんチは……」

猟犬『ぎゃははははははははははははははははははははははははっ!!!』

パトリシア「あぁうん、あっち?……てか慣れた来たらキモ可愛いかも……」




――上里勢力の借りているマンション

パトリシア「お邪魔しますよー……っと、あれ?」

女の子達「……」

パトリシア「なんでしょう……?お姉さん達が、まるでクロスカウンターで殴り合って力尽きたかのように、死屍累々と」

パトリシア「中には絵恋お姉さん達も居ますし……Japanの伝統芸能か何かですかね?」

パトリシア「上里さんのお部屋は……こっち、かな?」



――上里の部屋

上里「……」

パトリシア「ふはー……なんでしょう。こっちはこっちで疲れ切った顔のままベッドに突っ伏してますし」

パトリシア「この部屋もそことなく、乱戦にでもなったような傷跡があちらこちらに……ホント、なんでしょーねー?」

パトリシア「ま、まぁそれはいいとして!お礼、そうお礼をしなきゃいけません!」

パトリシア「……えっと」 ギュッ

上里「……」

パトリシア「……上里さん、わたしはあなたに感謝しています。なんて言ったら良いでしょうね、こう、その、とっても」

パトリシア「けど、上里さんは悩んでるみたいだし、わたしが直接相談された訳じゃないですから、あんまり知らないんですけど」

パトリシア「わたしは、わたしを助けてくれた。そんなあなただからこそ、『ありがとう』と言います」

パトリシア「他の誰でもなく、わたしを助けてくれた、助けようとしてくれた、あなたに」

上里「……」

パトリシア「……ただ、その、よく分からないですけど――」

パトリシア「――もし、もしも上里さんがご自分を信じてやれないのであれば――」

パトリシア「――上里さんを好きなお姉さん達を、信じてあげればいいんじゃないでしょうか……?」

上里「……」

パトリシア「……さようなら、上里さん。いつかまた現実で」 スッ

……パタンッ

上里「……」

上里「………………”それ”を」

上里「――”それ”を認めてしまったら、俺は――いいや、僕は」

上里「……『人に近しい何か』を、会話もせず、ただただ一方的に――」



――12月25日 朝 イギリス某所

パトリシア「おっはよーございまーすっ!」

バードウェイ「やぁおはよう、我が妹よ。今日は機嫌が良さそうだな?」

パトリシア「えっへへー、分かりますか?分かりますよね?実は昨日とつても良い夢を見たんで――」

バードウェイ「その話をする前に座れ。朝食は出来ているぞ、恋多き女パトリシアよ」

パトリシア「あっはい、そう――あれ?今何か不自然なワードが聞こえたような?」

バードウェイ「気のせいだな。それより朝食を食べよう」

パトリシア「あ、今日はお姉さんが用意してくれたんですね……あれ?」

バードウェイ「どうかしたかね?」

パトリシア「ライス――てか、これ日本のご飯ですよね?」

パトリシア「それも赤飯、って言うんでしたっけ?お祝いの席で振舞われるの」

バードウェイ「そうだなぁ、そういう事になるな」

パトリシア「クリスマスはおめでたい事ですけど、ウチもお赤飯でお祝いするんですか?」

バードウェイ「……」

パトリシア「……お姉さん?どうして遠い目を……?」

バードウェイ「……私もな、こう、我が妹は子供だ子供だと思っていたんだがな」

パトリシア「なんですかその、今から長い長いお説教が始まりそうな前フリは」

バードウェイ「まさか一晩で二人の男を抱くようなビッ×に成果ててるとは、なぁ?」

パトリシア「違いますから!?誰が一晩で二人もって話になってんですか!?」

バードウェイ「別に隠さなくとも良いんだぞ?『という夢を見た』だけだから」

パトリシア「わ、わたしはそんないかがわしい事はしてませんし!感謝のハグをしてきただけです!」

バードウェイ「それにしても、なぁ?」

パトリシア「あ、あのお姉さん?その、もしかしたらなんですけど」

バードウェイ「なんだ」

パトリシア「自分の所に当麻お兄さんが来なかったから、拗ねてるとかじゃないんですよね……?」

バードウェイ「……」

パトリシア「……」

バードウェイ「――気にしてないぞ?いや全然全くもってそういう話ではない!」

バードウェイ「誰とは言わんが私命と言っておきながら、私や淫乱ゴールドの話が出もしなかった事なんて、ホントっに気にしてないからな!誰とは言わんが!」

パトリシア「気にしてるじゃないですかっ!?しかも恨み言タラタラですし!」

バードウェイ「ていうかお前、本当にフラグ管理はしっかりしておかないと刺されるぞ?私の知り合いなんか、本当に何回か刺されたんだからな?」

パトリシア「上条お兄さんは別の理由で刺されたんだと思いますけど」

バードウェイ「そもそも新約第二巻で、マークと共謀してお前に私の弱点を聞いている過去があるのに、どうしてお前を知らないんだろうなぁ?」

パトリシア「止めて下さいね、それ以上はお姉さんでも殴りますからね?」

バードウェイ「まぁ、ブリテン式ジョークはさておくとして――その、な?妹よ、個人的に、そう個人的にちょっと思ったんだが」

パトリシア「はい?」

バードウェイ「……マークは?」

パトリシア「マークお兄さんが、何か?」

バードウェイ「北極海のプラントから、お前を助けてくれたよ、なぁ?」

パトリシア「――――――ぁっ」

バードウェイ「……やれやれ。やはりオッサンでは駄目か。若くて生きの良いメンズではなければだめだ、と?」

パトリシア「ですからーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!」



−終わり−



(※リクエスト下さった皆様、ご協力本当にありがとうございました。ではまた次の企画で)

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