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Clock(trial)

虚数海の女王 BADEND2 「終末の日」

 
――ヴェネツィア

上条「――俺とケンカしようぜ。負けた方は勝った方の言い分に従う、シンプルだろ?」

マタイ「ほぅ、私とかね」

上条「あんたには俺に借りがあるはずだ。それチャラにしようってんだから、悪い話じゃないと思う」

マタイ「……借りね。以前返したような気がしないでもないが、どうにも損をしている気分だよ」

上条「それじゃ?」

マタイ「かかってきたまえ。見所の一つぐらいは作ってあげよう」

上条「言うじゃねぇか――よし、お前ら行くぜ!」

マタイ「学園都市から連れてきた助っ人かね。悪くない手だ、少々他力本願だと言えるが」

上条「余裕ぶっこいていられんのも今だけだからな」

マタイ「君が伏し私が立つ結果が見え――」

打ち止め「よーしかかってくるのだシスの暗黒○!フォー○の力を見せてやるのだとミサカはミサカはバーンと言っちゃったりするの!」

フレメア「二人で力を合わせれば大体不可能なんかないのだ!にゃあ!」

マタイ「」

上条「どうだ……ッ!!!」

マタイ「いや違う、待とうか上条君」

マタイ「あれだろう?これは下手に転ばせて怪我でもしたら世界最悪の鉄砲玉が飛んでくるのだろう?」

マタイ「どこまでいっても追いかけてくるわ、周囲の被害は全く考えずに追尾してくるキラ○のタチ悪いのが。それも二発」

上条「やれるもんならやってみやがれ!多分巻き込んだ俺も一緒にフルボッコされるからな!」

マタイ「どうして手助けになるの思ったのかね?これならばまだそこいらでボディガードでも雇った方が現実的なのに」

マタイ「何をどうトチ狂ったら、なんというかな、こう、難しいな」

上条「――フッ、決まってるぜ!俺が金で雇える相手なんて駄菓子で買収できる相手だけさ!」

マタイ「どう考えてもここまでの旅費で足が出るよね?人件費をほぼタダにしたとしても戦闘力がゼロどころからマイナスなんだから、むしろ邪魔だよね?」

打ち止め「そんなことはないもん!このミサカだって多分役に立つしー!ってミサカはミサカはアッピーーールするんだ!」

フレメア「そうだそうだ!浜面も『もうフレメアは大人なんだからグリーンピース俺の代わりに食べられるよな?』って認められてるし!」

マタイ「その浜面君に少し話がしたい。子供が好き嫌いをするのは分かるとして、自分の嫌いなものを押しつけてやいないかな?」

上条「恐らくそれはこの子がお残しするのを見かねて、テキトーぶっかました結果だよ、うん。核心はないけど、多分多分。いくら浜面だって」

マタイ「言っておくが君も大概だぞ?そんな幼児をヘルプとして連れてきたんだからね?」

上条「攻撃できるもんならな!」

マタイ「子供を人質に取った悪の戦闘員の台詞だね。ライダー改め教皇キックで粉砕してやりたい」

マタイ「……というかだね。どうしてこういうパーティ編成になったんだ。バランス、悪かろ、う……」

打ち止め←(※とても小さい)

フレメア←(※とても小さい)

アニェーゼ←(※小さい)

アンジェレネ←(※とても小さい)

オルソラ←(※大きい)

マタイ「……」

上条「おい、なんだよ。俺たちの仲間に文句でもあるっていのうか」

マタイ「いいかい上条君。人類の半分は女性であるが、それはいと高きお方がそのように差配されたのであって」

上条「なに壮大な入りから説教しようとしてんだ。天地創造から始まってもどうせ俺の癖(※へき)の話がどうってことになんだろ」

マタイ「個人的にはある意味手も足も出せないがね。これはこれで問題がありすぎるよ、もう一回戻ってパーティ編制からやり直したまえ」

上条「えー、俺カネないんですけど……」

マタイ「私が出すから。なんだったら雇う分の人件費も少しだけ融通してあげよう」

上条「主旨変ってないか?『何があってもここから先は行かせない!』ってシーンじゃなかったか?」

マタイ「この……幼児たちを連れて行ったところで展望はないだろう。そして保護者の方の了解を取っていないのであれば、君の命が危うい」

上条「――ちょっと俺電話してくる!そしてマッハでパーティ組み直して戻ってくる!」

マタイ「もう少し荒事に長けた人間を選びなさい。このパーティだと書類審査の時点で外される」

上条「分かった!戦闘力の高いヤツ連れてくる!」



――Take2

上条「俺と、俺たちとケンカしようぜ!」

マタイ「ふ、かかってくるが佳い。”教皇級”の実力をその身で思い知れ」

一方通行「――お、話は終わったか?今から逝く場所に祈りを捧げた方がいいンじゃね?」

垣根(白)「心が痛みますが、試練とあらば全力で参ります」

御坂「ちょっと!相手はおじいちゃんなんだから手加減してあげないとダメでしょ!?」

麦野「カマトトぶってんじゃねぇよ。学園都市の”外”の能力者集団、そのトップ相手になぁなぁで勝てねぇだろ」

食蜂「やだぁここバーバリアン女子力高すぎるわぁ☆上条さん怖いぃ☆」

加納「え、えぇっと……な、なんでぼくが呼ばれてるのかさっぱり分からないんだけど!しかもこの人達濃いよ!なんか濃い!」

軍覇「はっはぁ!気合い入ったジジイじゃねぇか!見た目で判断してっと足元掬われんぞ!」

上条「よーし、全員で――行くぜ……ッ!!!」

マタイ「これは酷い。また極端から極端へ飛んだよね?」

上条「え、なんだって?」

マタイ「絶対聞こえているよね?だって視線逸らしているんだから、君は」

マタイ「『もしかして……いやまさか』とは思ったよ?でも経費で落ちるわけはないし、学園都市の上から七人連れてくるのはちょっと……」

上条「でもさ。マタイさんは俺らの力が足りなくて捜索へ向わせられない、って話じゃ?」

マタイ「オーバーキル過ぎるかな。君たちの活躍がどんなものか少しだけ、いやかなり興味があるけど、確実にこう、うん」

上条「この面子だったら誰が来たってなんとかなる!強くてニューゲーム状態!」

マタイ「いやまぁ、君たちでもなんとかならない存在もあるにはあるけど……これはちょっと、駄目だね。別の意味で」

上条「えー……折角来て貰ったのにさ」

マタイ「……私の意見を汲んでくれたのは、まぁ評価しよう。ただもう少し、加減というものがあってだね」

マタイ「なんて言うのかな、こう君たちが無双プレイしたら、ほら、オルソラ君たちが置物状態になるから」

上条「あ、そっか!」

マタイ「そうそう。だからね、こう強い子を連れてくるのはいいんだけど、人数を絞るのも大事だと思うんだ。まぁ一人か二人ぐらいで」

上条「オッケー分かった。じゃ行ってくるわ」



――Take3

上条「俺とケンカ以下略!」

マタイ「かかってきたまえ!」

上条「俺の仲間を見て驚くなよ!来い!」

垣根(白)「やあマタイさん、またお会いしましたね」

垣根(黒)「俺の『未元物質』に死角はない……ッ!」

垣根(グロ)「あばばばばばばばっ!?」

垣根(カブトムシ)『ツクツクボーシ、ツクツクボーシ』

上条「行くぜ――みんなっ!!!」

マタイ「ある意味前より酷い。酷いというよりもヒッドイ感じだね」

上条「いやでも少ない方がって縛りを守ってんだけど……」

マタイ「四人いるよね。いや一人は一匹なんだろうが」

上条「元は一人だぜ?」

マタイ「でも今は四人だよね?しかも約半数が『これ、人類か?』って疑問符がつくのはどうなのかな?」

マタイ「というか半ゲル状になって、バッドステータスというか毒沼に形状が似ているんだが……」

上条「どっこい生きてる箱の中」

マタイ「数十年前のアニメの歌詞を誰が知ってるって言うんだい?あまりこう、マイナーなのは佳くないと思うよ」

マタイ「そしてその、カブトムシの子?なんで『ツクツクボーシ』って言わせたの?ゲシュタルト崩壊しそうになる」

垣根(カブトムシ)『僕言ったんですよ!これじゃ駄目ですよって!』

マタイ「人の諫言は聞きたまえ。いや、人かどうか判断に困るが」

垣根(カブトムシ)『「クックドゥードルドゥー」の方が英語圏の人にも分かりやすいって!』

マタイ「論点が致命的に違う。あと私はドイツ系イタリア人だ」

上条「さっ、かかって来い!」

マタイ「これはちょっと……うん、キャラ的にどうかなって。まだ前回の方がね、佳かったっていうか」

上条「キャラ変えたし、顔も中の人も同じだからアニェーゼたちも存在感薄くならないだろ?」

マタイ「駄目だよ、別の意味で濃いから。シスター四人も目立つけれど、ここへ来るまでどんな反応だった?」

上条「カブトムシ垣根を含めて『サーカスのイベントですか?』って何回か聞かれた」

マタイ「真っ白だからね。あと中の人はいないのにガンガン動いているからね」

マタイ「これじゃちょっと……うん。戦力的にはクリアしてもね、『なんだあの三つ子とカブトムシは!?』ってなっちゃうから」

上条「えー……また学園都市戻んのかよ」

マタイ「私が悪いみたいに言うけれど、確実に君は狙ってきているよね?謎のフォーカードを仕込んできているものね?」

上条「マタイさんが何言ってるのか俺には分からないけど……しゃーねーな。もう一回だけだぞ?あんまチェンジすると怖い人出てくるんだからな?」

マタイ「……あぁうん。すまないね」



――Take4

上条「ただいま」

マタイ「お帰り、じゃあ」

上条「やるぜ!――頼むぜ、みんな!」

建宮「――おいおい、話が違うのよな!ケンカ手伝えっては言われたけどよ、まさか教皇猊下がお相手だなんて聞いてないのよ!」

五和「教皇代理、怖いんだったら下がってください。邪魔です」

対馬「五和、またあんたそんなことを。教皇代理の話は前フリに決まっているでしょう?」

建宮「お、おう!そんなつもりはなかったと言いにくいけど、実はその通りなのよな!」

五和「対馬さんの追い込みの方がエゲツないですよ」

神裂「あなた達、軽口を叩く暇があったら目の前の相手を注視しなさい。遙か格上の相手ですよ」

神裂「――いざ!」

天草式十字凄教一堂『――おぅ!!!』

マタイ「増えてるね。人数の桁が一つ繰り上がってる」

マタイ「君は一次記憶にも問題があるのかな?最初に『大人数で囲むの禁止』って言ってあったよね?」

上条「そこはそれ逆転の発想で?七人が駄目なら増やしてみようって?」

マタイ「フワっとするね。この人数で来られたら、過去最大級にテーマがフワッとするから」

マタイ「あぁいやテーマとかはないんだけど。あくまでも仮の話だけど主役がボケると言うのかな」

上条「これだったら勝てる……ッ!」

マタイ「君がどれだけ私を評価しているのかは知らないけれど、神裂君に真っ正面から勝てる人類は10人いないよ?」

マタイ「あぁいやそれも私の主観であって、野に埋もれた英傑はいるだろうが。私は違う」

上条「ちょっと待ってろ。今俺がマタイさんをハニーフラッシ○させっから」

マタイ「話を聞こうよ?あと以前にも言ったが、君の出現で霊装以外をも着込むという風潮が高まってだね」

上条「履いてなかったのかよ。夢あるな魔術サイド!」

マタイ「あと私はバチカンにある多重霊装とシンクロしなければいけない手前、この身へ殆ど霊装を纏うのは……まぁそれはいい」

マタイ「だから戦力が過剰だと言っているんだ。強いというのは決して悪い事ではないし」

マタイ「正直なところ『まぁこのメンバーだったらいいか?』と、もう全てを放り投げたい気分で一杯である」

上条「そっか……やっと認めてくれたんだな!」

マタイ「ホンッッッッッッッッッッッッッッットに話を聞かないな!今の発言のどこにその要素があった?」

上条「もうアレだよ。そんなに心配だったらマタイさんも来いよ」

マタイ「そんな人を遊びに連れて行く感覚で誘わないでくれたまえよ。私もいい加減『まぁそれはそれで』と思わなくもない」

マタイ「……まぁ私はこの場を離れられん。予感だがまだ”何か”ある」

上条「何かって、何が?」

マタイ「当たるも八卦当たらぬも八卦、というやつさ。個人的に契約しているシビュラ殿の”予”言だ」

マタイ「……さて、という訳で私も暇ではない。君たちと遊ぶのは悪くはなかったよ」

上条「シメの台詞に入ろうとすんなよ!?この大戦力に勝てるもつもりか!?」

マタイ「もう発言がレットリボ○軍だね。確かにこの場では勝てないだろうが、ローマ正教総出で邪魔をするということさ」

上条「……あぁ、そういう嫌がらせもできんのか。じゃあ俺たちが筋を通さなかったら――」

マタイ「君が私に喧嘩を売ってくるのを筋が通った、と評価するのは避けるとして。まぁ、そういうことだ。腕力だけ強ければ佳い訳でもない」

マタイ「私を止めるにしろ、様々な手段がある。政治的な働きかけ、腹芸、情に訴える。暴力を見せろとは言っていない……まぁ、実力で黙らせるのが最短距離でもあるが」



――Take5

マタイ「かかってきたまえ(※棒読み)」

佐天「――はいっ、ってゆうわけでですね!という訳でですね、元号とかも変りましたけど!」

上条「変ったなぁ。なんか高校生活が二桁の大台乗ってる感じがすっけど。君ちゃんと知ってる?」

佐天「合ったり前ですよ!れ・い――」

上条「そうそうそう」

佐天「――ん・めー・かー☆」

上条「レイしか合ってねぇよ!文字数も知名度もプロレスファン以外は通じないネタすんなよ!」

佐天「いやでも知名度上がってませんか?カープ女子とかって流行りましたけど、最近はプロレス好きな女の子も結構いますよ?」

上条「それは分かるけど。中継とか見てると結構客席の比率とか、マイクで拾う応援の声とかで分かるわ」

佐天「でも知ってます皆さん?プロレスラーってのはホンッッットに大変なんですよ!」

上条「試合とか見ると殴って走って投げられて、よくまぁ毎週のように興行できるよなっては思うけど」

佐天「毎週ですからね?ほぼ、ま・い・しゅ・う!それだけやる格闘技なんか他ないですからね−」

佐天「えぇ勿論!怪我をしないためってのもありますが、それ以上に精神を鍛えるために入門生時代から地獄のトレーニングが!」

上条「へー、そんなに大変なんだ?」

佐天「ですよ。上条さんなんかには務まりませんって」

上条「なんかって言うなよ。いや俺だっていけるよ。こう見えて根性はあるんだから」

佐天「あぁじゃあやってみます?」

上条「おっけ。――『ここが超日本プロレスの道場か。すいませーん!』」

佐天「で、最近はザシキワラシに絡む原田龍○がマイブームなんですけど」

上条「やれよ!?何俺一人でセルフコントさせて無視してんだ!?」

佐天「いやでもザシキワラシが」

上条「プロレスの話してただろ!ブームがどうって!」

佐天「あ、こんなところに貧乏神が」

上条「俺にしか効果が無いけどな!別に不幸なだけであって貧乏神とセットになってるつもりはないわ!」

佐天「上条さんのフラグっぷりは神様に愛されているかイジられているのか二択ですよね」

上条「そんな歪んだ愛はノーサンキューだ。目指せ浜面!頑張ってカノジョ持ちに!」

佐天「また志が低っくいですね。あ、そんなときこそザシキワラシをハントしてwin-winに!」

上条「ザシキさんとばっちりじゃねぇか。金目当てかニッチな癖(へき)目当てか、どっちにしろ碌な未来が来ない」

佐天「――あ、じゃあこうしましょう!上条さんはザシキワラシを捕まえに来た不幸な学生って設定で!」

上条「俺だよね?それ設定じゃなくて俺が行く事前提でコント進めようって話だよね?」

マタイ「もう手がつけられないよ」

佐天「あ、すいません。お客の方、コントはまだ落ちてないんで」

マタイ「世界観!シュール過ぎるよ上条君!フワッとした不条理な世界観を持ち込まないで貰えるかな!」

マタイ「――不合格だ。少しばかり強めに殴るが、まぁオルソラ君に優しく看護してもらいたまえ」

上条「あざぁぁぁぁぁすっ――そげぶぶぶぶっ!?」 ドバスッ

佐天「本気で殴りましたね?」

マタイ「峰打ちだ」

上条「な、なんでやねん……がくっ!」

佐天「か、上条さーーーーーーーんっ?!」

マタイ「それはそっちの台詞だ」

佐天「ナイスツッコミ☆」

マタイ「もう君たちとはやっていられないよ」

佐天「ありがとーごさいましたー!」

上条「ひ、人ぶん殴っておいてその反応か……がくッ!?」



――ヴェネツィア 大広場が一望できるカフェ

マタイ「――と、都合五度目の防衛に成功したわけだよ。相変わらず出方が読めない」

レディリー「元気がいいのはなによりじゃない」

マタイ「子供であればな。しかしいつまでも子供のままでも困る」

レディリー「あなたにしてみれば人類の殆どは子供でしょうに」

マタイ「老衰を迎える少年も居れば、産声で大悟する少女もおる。どちらが悪いということもない。しかし……」

レディリー「なに?」

マタイ「オープンカフェだと人目を引き過ぎる。もう少し自覚したまえ」

レディリー「きっと噂しているのよ。『あの妖艶なレディと少年は釣り合いが取れていない』って」

マタイ「ご婦人よ。あまり年寄りをからかうものではない」

レディリー「あら。あなたがおじいちゃんなら私なんておばあちゃんよ?」

マタイ「私に敬老精神を期待するのであれば、それらしい言動をするのだな」

レディリー「パパー」

マタイ「……止めてくれ。明日のタブロイドの一面を飾るのはごめんだ」

レディリー「なら追加でジェラードも頼んでいいかしら?新作らしいのよね」

マタイ「総資産はちょっとした国家を凌ぐご婦人にたかられる日が来ようとはな。終末の日はもうすぐ側まで来ているかも知れん」

……PiPiPi……

マタイ「『――私だ』」

レディリー「ローマ教皇もスマートフォンを使うのね。感慨深いわ」

マタイ「の、形を模した霊装だよ――『あぁいやすまない。こちらの話――そうか。ではそのように』」 ピッ

レディリー「見つかったの?」

マタイ「あなたが幻視(み)た通りの場所に」

レディリー「こうして闇から闇へ事実は葬られていくのね。あぁ怖い怖い」

マタイ「あなたが覗いた闇に比べれば、私などHaunted houseをおっかなびっくり歩いてるに過ぎん。知りたくもないし、正直持て余す」

レディリー「で?始末したの?」

マタイ「オルウェルが『終わった』と言ったのだ。だからこの件は全て片がついたことになる。そこに疑問を差し挟む余地などない」

マタイ「例え彼らがどこかで生き延びていようが、私の関知するところではないよ」

レディリー「ウィリアム=オルウェル――『アックアの居場所は分からない』ってボウヤたちに言ってなかったかしら?」

マタイ「”アックア”は知らぬ。オルウェルとは利害関係の一致から行動を共にしているがね」

レディリー「予言してあげるわ。あなた、確実に地獄へ堕ちるわよ?」

マタイ「願ってもない。私のような人でなし、正しく裁きが下されればそうなるのは必定。いと高き御方の裁定が正しい証明となろう」

レディリー「呆れた……あら?」

マタイ「む」

レディリー「世界が終わったみたい」

マタイ「……えぇと、それは上条君に感化された、独特のギャグセンスが発揮された結果なのかね?」

レディリー「だったら良かったのだけれど、ね」

マタイ「何が起きた?」

レディリー「地中海が凍結したわ」

マタイ「何、いや、これは――冷気か……ッ!?」

レディリー「どこが基点なのかは分からないけれど、残念だったわね?」

マタイ「間違い、だったのか……!子供たちを守るのが罪だとでも言うつもりかっ!」

レディリー「さぁ?細かいところは私には分からない――こともないけど。あなた自分で言ってたじゃない」

レディリー「『いつまでも子供のままでも困る』って」

マタイ「……」

レディリー「氷の範囲がどれだけ広がるかは分からないけど、あのボウヤの『右手』だけで打ち消せる規模ではないわね」

レディリー「他にも氷の棺から這い出るモノたち、そして仄暗い水底から浮かび上がる兵士」

レディリー「他にも千年の宿縁を裁とうとする英雄が一人。あなたが会いたがっているとか言うから、向こうから来てくれたみたいよ?」

レディリー「それと、これは災禍の中心にいるのは……私の先輩ね」

マタイ「……行かねばならぬ」

レディリー「そう。精々頑張ってね」

マタイ「あなたは?」

レディリー「私は先に逝っているわ。またここと同じ別のどこかでお茶しましょう?」

マタイ「男女の会合の場合、主に目上の者が支払うと聞いてるのだがね」

レディリー「……苦しんで死ねばいいわ。多分そっちの方が観客も喜ぶと思う」

マタイ「貴重な助言をありがとう。精々足掻いてみせるとするさ」


−終−


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