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Clock(trial)

土御門「『――はるるんの、突撃お隣っぽい陰陽師シリーズ!』」 〜道教と陰陽道について〜

 
――上条家のアパートの前

土御門「『――はるるんの、突撃お隣っぽい晩ご飯シリーズぅぅぅぅぅ!!!』」

土御門「『はい、いつもはるるんチャンネルを見てくれてるお前らありがとうだにゃー!感想はコメントで頼むぜぃ!』」

土御門「『本日は超人気企画、突撃お隣っぽい晩ご飯だぜぃ!もう何回やったかも忘れっちまったけど!』」

土御門「『今回もお邪魔する相手はK条さんだにゃー!もしもーし?Kやんさーん?はるるんですよー?』」 ピポピポピポピポピーンポーン

土御門「『いないんだにゃー――でも心配ご無用!はるるんヒミツ道具の一つ、”ピィィキィングゥセットォ!!!(※デス声で)”』」

土御門「『良い子のみんなは真似しちゃダメだぜぃ?これははるるんとKやんがヤオだから許されることであって――よし楽勝!』」 ガチャガチャ、キーンッ

土御門「『ではお邪魔しまーす。相変わらずシンプルライフっちゅーか物がない部屋だにゃー』」 ギギィッ

土御門「『カミやん達は……いないにゃー。猛暑にエアコンなしの部屋は耐えかねて、某芸能事務所の一室を占拠してるんだぜぃ。詳しくは概要欄を見てくれにゃー』」

土御門「『つーかテーブルの上に”ここにお世話になってます”って紙が……誰に向けてんだよ。誰が入ってんだよ。まぁ俺は侵入してんだけども』」

土御門「『冷蔵庫の中身は……旅行するみたいにカラッポでとけた保冷剤しか入ってないにゃー』」

土御門「『はるるんのワンポイント雑学!冷蔵庫編!』」

土御門「『冷蔵庫やアイシングに使う保冷剤って便利なんだにゃー!誰しもが一度だけじゃなく真夏なんかは毎日お世話になってる人も多いと思うんだが――』」

土御門「『――実は”ペ○ローションと主成分は一緒”なんだぜぃ……ッ!!!』」
(※ポリアクリル酸ナトリウム)

土御門「『つまりこれをご覧のみんなは、次から保冷剤を見るたびに”あれ、中身スケ×ローションと同じなんだよな”って思うように……ッ!』」

土御門「『技術の無駄遣いだと思った?まぁ俺もそう思うんだけどにゃー!』」
(※ジェンダー的には大事な物資ですが)

土御門「『まぁKやん君には俺が買ってきたポリアクリル酸ナトリウムのペットボトルをプレゼントするぜぃ!冷凍庫の中に入れておいて、次コンセント入れたらそのまま使えるように!』」

土御門「『内外に敵の多いKやん君のこと!”どうしよう、武器がない――そうだ!凍らせたペ×ローションボトルがあった!”ってなるかもしれないにゃー!』」

土御門「『決して!そう決して姫神か吹寄に自宅訪問されて”これ、なに?”的なリアクションを期待してんじゃないにゃー!絶対だにゃー!』」

土御門「『では引き続いて洗面所に……お、あったあった歯ブラシ!いかんにゃー、長期出張するんだったらこれもしまうか交換しとかないと。って新品に交換してっと』」 ガサゴソ

土御門「『いつものように下のリンクからオクサイトで販売するんだぜぃ。じゃんじゃん課金してほしいにゃー』」

土御門「『はるるんのワンポイント雑学!オノマトペ編!』」

土御門「『”じゃんじゃん”の語源は火事の時に鳴らす半鐘、つまりカンカン鳴らすアレだっちゅー説だぜぃ。今んとこはそれが有力』」

土御門「『これが転じると奈良県辺りに出没する鬼火に”じゃんじゃん火”っていう怪異があるんだぜぃ。その名の通りにじゃんじゃん言うそうだにゃー』」

土御門「『ウチの学校にもじゃんじゃん言う先生がいるにゃー。一部からは絶大な信頼とともにナイチチ派からはヘイトを集めまくってるにゃー』」

土御門「『そんな訳でここがKやん君のタンスをちょっと拝見――あー、あんま入ってないにゃー。一式持って移動したようで』」

土御門「『まぁでも一応使用済みかつ洗濯後のフェイスタオルとバスタオルを回収。ユニク○で買ってきた新品と入れ替えてっと……』」

土御門「『――よし!これで予定していた全ミッションは達成したな!実は後でコッソリ風呂場の上に隠してあるクッキー缶の中身に隔月化から発禁になりそうなL.○を入れるとして!』」
(※合言葉は「四谷大○」)

土御門「『それじゃー、ここではコメントを拾おうと思うんだぜぃ。あー何々?……『下』?『↓』?『モトハルーうしろうしろーとミサカは声をかけます』?」

土御門「『下?下ってなんだにゃー?後ろとかだったら分かる――あ?”ベッドの下”?』」

土御門「『おいおい、やめてほしいんだにゃー。そんな古典的なドッキリに俺が引っかかるはずが――』」

上条(※ベッドの下)「もぉぉぉぉぉとぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉはぁぁぁぁぁるうぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅくぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅん……!!!」

土御門「『――邪悪な陰陽師の攻撃を受けているぜぃ……ッ!!!』」

上条「今だわ。まさに今俺の目の前に外道陰陽師がいるわ」

上条「つーかお前何やってんの?人んちに入り込んで撮影しやがって何がしたいの?」

土御門「『――おれは、しょうきにもどった』!」

上条「じゃあしょうがないな!自らの意思100%でいいですともさんに協力しやがってた親友()が言うんだったら仕方がないわ!」

上条「――とは言わねぇよコノヤロー?だって俺はセシ○さんじゃないのだから!婚約者に飽きて召喚士の小娘のふとももにhrhrしているセシ○さんとはな!」

土御門「それはちっと独自解釈が過ぎるんだにゃー。カップリングで友情ブレイクするから気をつけるんだにゃー」

上条「つーか俺の私物がたまにしまむ○からユニク○に変ってたと思ったらお前の仕業だったのか……!」

土御門「気づくだろ普通。新しい・古い以前にしまむ○がユニク○にグレードアップしていたら『あ、これやってんな』って気づくだろ」

上条「俺はてっきり妖精さんが普段の行いのご褒美で交換してくれてるものだとばかり……!」

土御門「どんな妖精?キキーモラさんとかブラウニーとか、家事と内職やってくれる妖精さんはいっけど、しまむ○をすり替える妖精って何?悪堕ちしたしまむ○君?」

上条「居るかもしれないだろ!?土着のローカル妖怪かなんかで!」

土御門「『――おっす、俺妖精アカシャグマ!コンゴトモ、ヨロシク!』」

上条「ものべ○で一躍有名になったロ×ペ×妖怪だろ。正直どうかなって思うわー。最近の風潮に戸惑うわー」

土御門「だにゃー。だってアイツ間引×されて死んだ子の幽霊だぞ?」
(※という説あり)

上条「聞きたくねぇわアホ!?ひめみ○(大)様の古いファンの俺でも!?」

土御門「――いや、カミやん違うんだ!俺がカミやんの私物を交換していたのには深い理由があるんだ!」

上条「言うだけ言ってみろや。場合によってはそげぶすっから」

土御門「カミやんっていつもいつもバトルするんじゃん?」

上条「まぁ、するなぁ。まるで神様からムチャ振りをさせられているのかような頻度で」

土御門「そんで服って破れるじゃん?」

上条「まぁ、それなりにはな。カエル先生の病院着に『上条当麻様?』って名前タグ貼られてたときは、流石に両親に対して申し訳なく思ったわ」

土御門「だから俺は!そんなカミやんに無償の差し入れっていうテイで様々な物資を援助してたんだぜぃ!」

上条「お、おう?そう、か?」

土御門「カミやんには実害なんてなかっただろ!むしろ新品になってサッパリとしていた筈だ!」

上条「あぁまぁ、そう、だけど……」

土御門「今までは言わなかったのはカミやんを無駄に恐縮させたくなかったからだぜぃ!折角戦ってくれてるんだから!」

上条「……そっか?あり、がとう?」

土御門「どう致しましてカミやん!さぁここでこの話は終わるんだぜぃ!『服とタオルって違くね?』ってツッコミはするだけ野暮ってもんだぜぃ!」

土御門「つーかカミやんどうしたん急に?忘れ物でもあったんだったら、事前に連絡くれないと!」

上条「どうして俺が俺の部屋へ帰るのに許可が必要なのか納得できないんだが……まぁ、お前を探してたんだよ」

土御門「俺?なんかトラブった?」

上条「じゃなくて闇ちゃんねる案件だわ。なんか投稿があってさ」

土御門「話するのはいいんだが、専門の人いるだろ。闇咲はどうしたんだ?」

上条「『土御門家以外に適任はいない』、んだそうで」

土御門「あー……陰陽師かー?」

上条「『道教と陰陽師って何が違うの?』って」

土御門「またなんつーかクリティカルな質問なんだにゃー。まぁ話すと長いから座れよ」

上条「俺の部屋だけどな!」

土御門「……『抱朴子』の絡みでぶん投げやがったにゃー。貸し一だにゃー」

……

土御門「あ、これカミやんの新しいマグだぜぃ。今回からは中が真空になってるやつ用意してみたんだにゃー」

上条「お、いいやつじゃんこれ!いいのか?」

土御門「まぁ気にするなよ!俺とカミやんの仲だからな!あぁあと前のコップはこっちで処分したからな!分別は任せろぃ!」

上条「てゆうかインデックスの分は?」

土御門「ステイルに荼毘られるからダメだにゃー。ご時世的にもシャレじゃすまねぇし」

上条「絶対になんか後ろ暗いことやってる……!」

土御門「まぁまぁその話はいいとして、冷たいものでも飲むといいにゃー。あ、丁度冷凍庫に冷えてないジュースが」

上条「ローションだろうが。なんて愉快なもん冷凍庫入れやがって!できれば帰ってきたときに『あれこれ何のジュースだろ?飲んでみりゃ分かるか」ってサプライズしたかったわ!」

土御門「カミやんの笑いに対する姿勢は凄いと思うんだぜぃ。見習うかは別にして」

上条「んでまぁ道鏡?陰陽師の話なんだけども」

土御門「まぁ俺以外に適役はいないにゃー。神童と呼ばれて調子ぶっこいてたら権力争いで負けちまった俺以外にはな!」

上条「お前もお前で自虐が過ぎるんだよ」

土御門「実家も没落が進むだけだぜぃ。闇咲なんかいい例だにゃー」

上条「闇咲と知り合いだったのか?」

土御門「『その筋』では有名な元拝み屋で祓い屋なんだぜぃ。ただ土御門家が全盛期だったら放置されてないんだにゃー」

上条「『必要悪の教会』みたいな?」

土御門「それの緩ーい感じのヤツだにゃー。一応ヤンチャする魔術師連中を取り締まってんだけど……まぁ、うん?今じゃ『昔は名門だったね!』ぐらいのレベルに」

土御門「ちゅーのもなー、『玉体をお守りするのが我らの仕事』って何百年マウント取ってて出遅れてる上、地方鎮護は有力な魔術結社に任せていた訳で」

土御門「その中の武闘派の神裂達が離脱したせいで、もうなんか酷い事になってるぜぃ?まぁ今の話は裏の事情だから関係ないけども」

上条「元春君が泥船から逃げ出せたってのは理解できた。苦労してたんだな、ほら、冷えてないけどペ○ローションでも飲めよ?グッと一息」

土御門「飲めなくはないけど飲みたくはないにゃー。まぁそんな微妙な裏話はともかく、結論から言う?それともJOJ○に言う?」

上条「出来れば結論から。徐々じゃなくてJOJ○に言ったらどうなるのかは超興味あんだけど」

土御門「『――太陽の波○!山吹色の波紋疾○……ッ!!!』」

上条「技名だろ。ツェペ○さんじゃねぇか」

土御門「結論から言えば超関係あるぜぃ。仏教とミックスした道教が陰陽道に転じてると言っても過言ではないにゃー」

上条「結論が情報過多すぎるぜ!生憎と俺に理解出来る内容ではなかったようだな!」

土御門「即座に恥ずかしげもなく白旗掲げるカミやんは流石だにゃー。何がって話でないけども」

土御門「あー、んじゃまずカミやんは『陰陽師』で思いつく単語言ってみ?思いつくだけ全部」

上条「金髪グラサン、あと東京卍リベンジャー○にゲスト出演しそう」

土御門「俺じゃねぇか。あと別に俺はヤンキーキャラでは売ってねぇから呼ばれたりはしないぜぃ」

上条「あー、何か空飛んでそう?」

土御門「映画の悪い影響だにゃー。エンタメとしては笑いどころ満載のクソ映画なんだが」
(※監督案件)

上条「『式神召喚――来い!悪魔よ!』」

土御門「ちょっと合ってないことはない。葛葉ライド○だろそれ」

上条「横山智○?」

土御門「カミやん、超古い?どこの世界にツインテツンデレかつエ×オッケーの陰陽師がいんの?ご褒美なの?」
(※鬼神童子ZENK○。犬神編で終わっとけば名作だったのに)

上条「だがしかし21世紀でも『あやかしトライング○』という鬼子が連載されているのだった……!」

土御門「あぁまぁあのエ×作品も陰陽師っちゃあ陰陽師、か?式神使ってたしな」

上条「あと四聖獣だっけか?玄武・白虎・青龍・朱雀、中二病患者にはお馴染みの」

土御門「そこはまぁ歴史的にも価値があるんだから、憶えて損するもんじゃねぇにゃー」

上条「嘘だ……ッ!どっかの運営は四聖獣に十二神将、あと般若心経に大祓祝詞憶えたのに使うチャンスがなかったって言うぞ!?」
(※今のところは)

土御門「それ使う機会って何なん?悪霊か妖怪とでも戦うのを想定してんの?」

上条「あとは……あぁ何かコックさん帽被ってる」

土御門「烏帽子な?あれは別に正装であって陰陽師は関係ねぇんだにゃー」

上条「『ドリフター○』で『そういやあの人どこ行ったっけ?』説」

土御門「テロ活動してた……筈だぜぃ?俺も今の今まで忘れてたけど」

上条「まぁ俺のイメージとしてはそんな感じだ!マンガとかの分かりやすいのは別にして!」

土御門「そっち語ってくれても全然構わないんだが……まぁ玄武とかいるんだにゃー?そっち関係の術を使う的なイメージがあると?」

上条「だな」

土御門「四聖獣って中国の神獣なのに、なんで日本で陰陽師が使ってるとか考えた事ないにゃー?」

上条「――言われてみれば確かに……!?古墳とかの壁画にも描かれてたっけか!」

土御門「今ので大体全てなんだが。まぁ順序立てて説明すっと、まず『道教』ってなんだか分かるか?」

上条「中国の、あー神話的なもんだよな?」

土御門「そうなんだけども、それが全てかっちゅーと違くもあり」

上条「どっちだよ」

土御門「狭義の道教は老子が書いた書物、『老子』って名前の書物を元にしたもんだぜぃ」

土御門「『宇宙の間には”道”っていう恒久不変の理法があって、人の営みは一時的で相対的なもんなんだよ』的な?」

上条「あー、言いたいことは分からんでもない」

土御門「所謂『無為(むい)』、自然のままで過ごしましょうって感じに。どっかで聞いた事ないか?」

上条「五○先生の超必殺技」

土御門「じゃ、ねーよ。あぁまぁあれも陰陽師っちゃ陰陽師だけど、あそこまで派手ではない」

土御門「まぁそこは後回しにするとして、老子自体は紀元前6世紀ぐらいの人で、『孔子に教えを貰いに行った』って人だぜぃ」

上条「結構古めだな」

土御門「この老子が神格化すると『太上老君(たいじょうろうくん)』、あー藤○先生版封神演義で三大仙人の一人として登場してる」
(※太極図を使う、常に寝てる人)

上条「あ、いたわそんな人――あれ?それっておかしくないか?」

土御門「なんすかカミやんさん?」

上条「道教って結構悪魔っつーか妖怪いるよね?四聖獣もそうだけど、メガテ○だと北斗七星の神様みたいなの出てたし?」

土御門「北斗星君と南斗星君な。二人で囲碁をやってるエピソードが有名だにゃー」

上条「実在の人物なのに道教の祖なの?だったらよりレベルの高そうな孔子も封神演義とかに出てたりとかしないの?」

土御門「うん、ごっちゃになったんだぜぃ!」

上条「ごっちゃってお前……」

土御門「実在したと思われる老子が書物『老子』の中で説いた道教が超バズったんだわ。超ぶっちゃけると」

上条「あー……なんか嫌な予感が」

土御門「狭義の道教は老子とその書物、んで影響を受けた思想を含める――んだけども。ここでにゃー、老子の神格化が始まるんだぜぃ!」

上条「立川のパンチの方がプロデュースされるようなもんか」

土御門「曰く『伏羲の時代から何回か生まれ変わってる』とか『ブッダに教えを説いたのは老子』とか、『実はブッダが老子の化身だったのだ』とかにゃー」

上条「押○伝説か。あれちょっと楽しいんだよな」

土御門「んで老子の死後には今まであった中国神話が道教ら組み込まれていくんだにゃー。どこでも似たような感じで」

土御門「例えば北斗星君・南斗星君なんかも、道教思想によって神格を得たりしてんだぜぃ」

上条「なんでそんな面倒臭いことになってんだよ?」

土御門「ポイントとは”””道”””かにゃー。要は『人の理ではなく、普遍かつ絶対の道理がある』って説いてんだけど、それって裏を返せば神様とか神的存在を肯定してんじゃん?」

土御門「既に信仰されていた神や精霊、あと仙人に妖怪の類も道教に組み込まれちまったんだわ」

上条「はい、土御門先生質問でーす」

土御門「どうぞカミやん君」

上条「老子の主張は分かったし、何かこれから起きるであろうオチも何となく読めてきたんだけどさ」

上条「陰陽師とかの『陰陽』とか『五行』?みたいなのはいつ出てくるの?」

土御門「うん、どっちも後世の思想から丸パクしちゃいました☆」

上条「……はい?」

土御門「そうなー、大体紀元前5世紀頃?春秋戦国時代に『陰陽家』ってのが学者集団が出てきたんだにゃー」

上条「学者?宗教じゃなくて?」

土御門「一応は学者だぜぃ。思想集団でもあるが、まぁ当時としては立派な学問だったにゃー」

土御門「まぁ中身をザックリ話すと『この世界の全ては陰と陽の二つに分かれる』だな。全てをそれに当て嵌めて解釈する感じの」

上条「そんなんが学問になんの?」

土御門「だったらお前儒家なんか『仁と礼を大事にね☆』だぜぃ?まぁ当時としては受けたし、今も東アジアには絶大な影響力がある思想なんだわ」

土御門「でもってこの陰陽、もう少し時代が経つと『五行』思想がぶっ込まれるにゃー。例えば『木は鉄に弱く』とか相克、つまり万物に相性がある的な?」

土御門「それもまた道教に取り入れられる。『お前それ老子の時代になかっただろ』的な、立派な陰陽図が道教の道場にはあったりするにゃー」

上条「なんか、なんかこう釈然としないな!いつのもことだが!」

土御門「カミやんまだまだだにゃー。悪魔合体はもうちっと続く。そっから700年ぐらい経つと風水が成立するにゃー」

土御門「中国では昔っから天文学・方位学は盛んだったぜぃ。それの集大成の一つとして風水学ができはじめるんだぜぃ」

上条「なんでまたその二つが発展したんだ?」

土御門「天文学は暦や天候など、農作物や治水に関連する事業だったにゃー。つってもまぁ稲作が主軸になってくっから、その運用が主だっちゅー話ですたい」

土御門「方位学は地理だな。都市を造るために必要不可欠な知識でもある。こっちも精度や信憑性は超怪しいんだけど、まぁ学問の萌芽としちゃこんなもんだろうぜぃ」

上条「どっちも大切な学問なんだろうけど、庶民にはあんま関係無くないか?」

土御門「庶民には微妙だったんだにゃー。天文学はともかく方位学の方は。ただし『庶民じゃない』方にはクリティカルだったんで?」

上条「じゃない方?」

土御門「所謂為政者側だな。中国の歴史はほぼ異民族との戦いだぜぇ。大抵王朝末期には異民族が襲撃して荒れて滅亡、って感じで」

土御門「だから境だったり壁だったり、まぁ物理的にも呪術的にも結界っぽいものを張って、災いを退けよう、ってのがスタートだぜぃ」

土御門「”現実の脅威として異民族の襲来”があり、それをなんとかしようとして、っていうのが流行った結果だと個人的には思うにゃー」

上条「効果あったん?」

土御門「――想像してくれカミやん。リモートで家の前の防犯カメラを覗いてみたら、変なものが映っていた」

土御門「それが血まみれドロドロのオバケとガスバーナーで窓ガラスを焼き切ろうとしている強盗団、どっちがいい?」

上条「どっちも怖いわ!?前者だったらまだお留守番の子の前に瞬殺されるんだろうが、後者だと薄い本的な展開に!?」

土御門「呪術で異民族退散できるんだったら苦労しねぇにゃー、っちゅー話だぜぃ」

上条「前に疲れた顔で怪談おじさん言ってたわ、『幽霊は魔術でどうにかなるから楽』って」

土御門「でまぁ道教はそんな感じに、後発の『学』を取り入れたり、先発の中国の原始信仰を取り込んだりだぜぃ」

上条「先発の?」

土御門「まぁ色々だにゃー。黄龍だったり伏羲だったり女禍だったり。地方のローカルな信仰を神仙や妖怪として取り込んでいくにゃー」

上条「質問。さっきから『道教がパクった』って言ってっけど、逆じゃないの?十字教が前の宗教取り込んだみたいに、その陰陽家だっけ?が、道教をパクったんでは?」

土御門「主と従ってのがあるんだぜぃ。俺の考えだと道教が陰陽と五行を取り込んだ――”だから道教として残った”んだわ」

土御門「もしもこれが逆だったら『陰陽五行学の中の道教派』みたいになってる筈だからな」

上条「あー、成程……?」

土御門「ただし――ここで一回変質が起きるんだぜぃ。『仙人化』だ」

上条「嘘だろ?なんかキャッチーでバカそうな単語……!」

土御門「いやいやマジマジ、マジ話なんだ!俺のこの目を見て言ってくれ!」

上条「真っ暗で曇ってますね。高校生がかけるにはお高そうなグラサンじゃねぇか」

土御門「カミやん憶えてるかにゃー?老子の所で『宇宙には普遍の理があって』みたいなヨタ飛ばしてたの?」

上条「超主語デカくない?俺『地球さんは苦しんでいるんですよ!』って人は観察したことあんだけど、宇宙さんは初めてだよ?」

土御門「地球さんはちょいちょい死んだり瀕死になってっからにゃー。終末時計がゼロになっても、人類の文明が終わるだけで生物は生きる残るんだぜぃ」

上条「俺達からすればゲームオーバーなんだよ。巻き込まれて大量死するし」

土御門「でなー、あーこれ言っちゃっていいかにゃー?どうしよっかにゃー?これ言ったら身も蓋もないんだけどにゃー?」

上条「もう手遅れだから言っていいよ?」

土御門「道教が成立&変遷する過程で様々なモン取り込んだり、取り込まれたりしてんだにゃー。それは道教だけじゃなく仏教もなんだけど」

上条「まぁそりゃやってんだろうな。三蔵法師さんがソロでインド行ってんのに、面白おかしく三人のシモベ設定したり」

土御門「老子も段々こう『宇宙の真理を知ってる仙人!』的な扱われ方をしつつ、地方の伝承やら英雄神や方角獣を取り込みつつやってたんだが――」

上条「が?」

土御門「内部から、つーか道教の一派から過激派(仮)が登場しちまったんだにゃー……」

上条「あー………………」

土御門「そいつの名前が『葛洪(かつこう)』。書いた書物が『抱朴子(ほうぼくし)』だにゃー。大体4世紀ぐらいの人」

上条「超知ってるわー、『抱朴子』。闇咲がインデックスさんからパクろうとしてたヤツじゃん」

土御門「書いちまったんだにゃー。『ワンチャン不老不死の仙人になれるかも!あ、でも材料ないから俺はなってないけどな!』って」

上条「典型的な投資詐欺だろ。『いい儲け話ありますよ!俺は原資がないから投資してませんけど!』」

土御門「お陰様で『道教=仙人になるかも!』ってイメージがつき、そっから約1,800年間ほど詐欺師がご活躍するハメに……」

上条「よく闇咲やったな?そんなもんに頼ろうとしたな?」

土御門「魔道書と魔術師の相性だな。病気をただ癒すのであれば十字教の聖人関係でよくあるが、東洋にはあんまりないぜぃ」

土御門「不老不死だったら徐福に抱朴子。しかし前者は仙道なので闇咲からは遠い」

土御門「なので仏教を媒介にした道教の後続としての密教で何とか行けるかも、って感じ?選択肢が限りなくなかったんだにゃー」

土御門「個人的に、というか一魔術師として言わせてもらえるのなら。闇咲が『抱朴子(ほうぼくし)』に失敗して良かったと思っている」

上条「失敗するからか?」

土御門「失敗はまだいいんだ。闇咲の力及ばずこれも因果か、と本人は悔やむだろうが、それだけで終わる」

土御門「問題なのは成功したらどうなるかが分からない」

上条「『病気治ったよラッキー☆』だろ?」

土御門「いいや上条当麻。『抱朴子』とは不老不死になれると説いているが、『万病を治す』とか『呪いを解除する』とは言ってない」

土御門「つまり最悪の最悪、死ねないまま病気や呪いを抱え込んだって可能性もあった」

上条「バッドエンドじゃねぇか。長編小説で一番悪いヤツが喰らう系の」

土御門「――なぁ知ってるかカミやん?中国の歴代皇帝の死因って、水銀中毒が結構多いんだぜぃ?」

上条「ネタじゃねぇのかよ!?有害じゃねぇか道教!?」
(※水銀が「不老長寿の霊薬」として用いられた。ただまぁ皇帝以外はあんまり死なず、そこそこ長生きしているのもいるため、陪臣が”知っててやってた”可能性が高い)

土御門「――と、まぁ以上が広義での道教の話だぜぃ。罪深いだろ?」

上条「俺知ってんだ!これまだ半分だろ!?このあと陰陽師ターンが待ってるって俺知ってんだよ!」

土御門「ここで終わったらどうかと思うぜぃ。あ、補足なんだけど玄武とかの方位の神格化、まぁ正しく言えば連中は獣であって神じゃねぇんだけど」

土御門「それをやったのが風水が流行り出す頃だぜぃ。微妙に誰が言い出したのかも判明してない」

上条「……地方の信仰じゃないのか?」

土御門「と、思われるな。前にも闇咲言ってたけど、彦星が零落した英雄神である可能性もあるしぃ?結構ワヤになっちまってんだにゃー」

上条「そこら辺の理由は?」

土御門「主に王朝交代、つーか異民族に王朝が滅ぼされると以前の文化のリセットが起きたと思われるにゃー」

土御門「またそれ以外の周辺民族も、基本的に蛮族って蔑まれているから中々書物に載らない。日本と違って風土記みたいなのが少ないぜぃ」

土御門「まぁ日本と違って文字通り民族国家じゃねぇから、冷淡というか興味がないっつーか?」

土御門「んでなんか質問ある?中国産道教についてここ分かんねぇよ的なの?」

上条「はい、グラサン先生質問です」

土御門「予備校でキャラ作りのためにいそうな名前だぜぃ。何ですかカミやん君?」

上条「ぶっちゃけ道教って宗教なの?スタート地点が学者?っぽい人だけど」

土御門「宗教だにゃ−。『三教』っちゅー、仏教・儒教・道教と当時の定番だったぜぃ」

上条「儒教って宗教じゃなくね?」

土御門「文化的にも未分化で、そこら辺の線引きが曖昧だった時代だぜぃ。例えばそうだにゃー、孔明っているよな?『主君を見る目以外はほぼ完璧』でお馴染みの」

上条「劉備さんdisんなよ。俺は嫌いじゃないんだ。中の人が超好きだから」

土御門「それただのエ×ゲー設定。じゃなくて孔明が赤壁の戦いの時、祈祷したら雨が降ってきた的な伝説があるんだが」

土御門「そっから『孔明って道教もやってた?』って説があるんだにゃー」

上条「学問なのか宗教なのか分っかんねぇよ……!?」

土御門「狭義の道教だけなら分からなくもないけど、広義の方だとトンデモ過ぎるぜぃ」

上条「てか仏教だったらお坊さん、儒教だったら……儒家、だっけ?道鏡は何?やっぱりお坊さん?」

土御門「いや違う。そう呼ばれる場合もあったんだが、別の名称があってカミやんも絶対に知ってる筈だぜぃ」

土御門「その名も――『道士(どうし)』……ッ!!!」

上条「『来々キョンシー○』の!?」

土御門「正確には『幽幻道○』だぜぃ。まさにキョンシ○と戦ってたのが道士、道教を修めて扱う魔術師なんだにゃー」

上条「胡散臭さのレベルが上がったよドミえもん!」

土御門「語呂が悪いにゃー。せめてツチミえもんの方がよかったにゃー」

上条「あぁでもなんかそう言われると――って待て待て。俺の記憶だと『幽幻道○』の道士って割と好き勝手やってなかったか?」

土御門「ってのは?」

上条「酒飲んだりエ×いことしたり。お坊さんなんだよね?」

土御門「全く違うにゃー。その証拠に仏教と違って女の子抱いたり酒飲んだりしても、一切ペナルティがなかった――どころの話ではなく」

土御門「全世界全時代の男子の夢である『房中術』も実は道教の道士が広めてたぜぃ……ッ!!!」

上条「オイこれ大丈夫か?道教部分だけでかなりバグってんのに、陰陽師の方行ったらご覧の有様になるんじゃねぇのか?」

土御門「まぁ実際の主体は陰陽師じゃなくて、陰陽五行の方なんだけどにゃー。とにかくまぁ中国本土の道教はかなーりやらかしやがってるんだぜぃ」

土御門「一応軽くまとめとくと――」


○狭義の道教
老子が書いた『老子』。そこに書かれてあった『無為』を中心とする思想集団

○広義の道教
上記に加えて、中国の方位・星辰・山岳・精霊信仰+陰陽五行の廃ミックス


上条「凄いぜツチミー!たったこれだけなのにワクワクすっぞ!」

土御門「はいそこ、他人の不幸を喜ばない。少なくとも当事者だけは必死だったと思われるぜぃ」
(※『不老不死の霊薬』を実験して死屍累々。『房中術』で他者の気運を上げようとして性病パンデミック)

上条「だからお前だよ。お前も結構道教を刺してる方だよ」

土御門「なおあくまでも俺個人の意見として狭義・広義を決めているので悪しからず。まぁ道教っつっても老子の書いたヤツだけしか認めないとか、それ以外も含めるとか色々あるんだぜぃ」

上条「同人誌のカップリングじゃねぇんだからな」

土御門「いやぁ、それに近い感じが……こないだエ×動画見てたら、ヨガ教室に陰陽マークのポスター貼ってあったし」

上条「インドにまで行ってんの?それともそのヨガやってる人が形から入る人なだけ?」

土御門「さて、この道教なんだが直接的には日本には来ない」

上条「え?来ないの?」

土御門「直接は来ては、ないんだぜぃ。つーのも日本の国策として仏教と律令を取り入れたんだにゃー。つーか日本側の使者か『あ、仏教だけでいいです』って道教は断れたって逸話も」

上条「それはそれで切ないだろ。なんで嫌われてんだ道士さん」

土御門「方向性の違いだと思われるにゃー。国家鎮護のために求められたのは仙人になるのが目的の道教じゃなく、仏教だったって話で」

土御門「俺の個人の見解だけどー、下手打って大々的に道教取り入れなかったのは賢明だと思うぜぃ。仏教と儒教も大概だけどにゃー」

上条「『――こうして、邪悪な道教の手から日本は守られたのだった……しかし、忘れてはならない!第二、第三の道教が我々を狙っているのを……!』」

土御門「はいそこ勝手にモノローグ着けて終わらせない。まだ陰陽師の導入部分なんだから、これからこれから」

土御門「ただ結局?日本は仏教だけを取り込もうしたんだが、結果的に失敗する。ちゅーか仏教もまた道教の影響を受けてたから切り離すのは不可能だったんだぜぃ」

土御門「最大の例が高松塚古墳だぜぃ。四聖獣や星辰が思いっきり描かれてる。基本的には仏教とは関係ないはずなのに」

上条「……偶然、とか?」

土御門「もしも四聖獣なり星辰なりが仏教の有力な埋葬礼として存在するんだったら、以後の古墳や墓の様式になってないとおかしいんだにゃー」

土御門「なのに見つかってんのはキトラ古墳ぐらい?そっちには干支を模した獣頭人身像らしきものも彫られているしぃ……」

土御門「一番の特徴なのが天文図が描かれてんだにゃー。赤道・黄道・北斗七星や星座など」

上条「凄いっちゃ凄いけど、それが?」

土御門「東アジア最古の天文図なんだぜぃ。中国よりも古い。まぁ残存してねぇだけと思うが」

上条「つまり――『天文学がその当時の日本へ入って来ていた』、か?」

土御門「『しかも道教の神々と一緒に』ってのもセットだにゃー。ここまでは一切盛ることないただの事実だぜぃ」

上条「考古学的には価値あるんだろうが、散々道教の悪口聞いた後だと素直に喜べねぇよ!」

土御門「当時の最先端である技術を取り入れる過程で、道教とその得意としている星辰、月日や正座、暦関連の知識がバーッと伝来したのも確かなんだにゃー」
(※これといって書物に特記されていないため、確認がやや困難)

上条「……」

土御門「どったんカミやん?トイレ休憩でもする?」

上条「それは必要ない、つーかそれじゃねぇ。お前の説明聞いてると、道教が日本へ入って来てたのは間違いないんだよな?」

土御門「それは絶対だにゃー。身近な所では『急々如律令』ってあんじゃん?」

上条「それこそキョンシ○相手にやってた。つーかお札の下んとこに書いてあんだっけ?」

土御門「あれも道教の道士が使うもん。直訳すると『急急に律令のように厳しくせよ!』って」

上条「りつりょう……あぁ律令制の律令か!?」

土御門「でもこれよくよく考えるとおかしいよな?『なんで悪霊やキョンシ○が法令でダメって言われるとダメージ受けるの?』って」

上条「言われてみれば……!人の法がオバケに通じるって!?」

土御門「邪悪よ退けえぇ!――『急々如淫行条例』!!!」

上条「なんでだよ。ペ×い人に淫行条例チラつかせれば退散するとは思うが」

土御門「この場合の律令は道教の『理』って意味であって、『邪なる物は天道に背くから去れ』って言われてんのと同じなんだぜぃ」

土御門「あとオカルトでお馴染みの『九字護身法』。『臨、兵、闘、者、皆、陣、列、在、前』って九字印切るヤツ」

上条「たまに闇咲やってんな。それが?」

土御門「あれも道教ルーツだにゃ−。しかも出典が『抱朴子』」
(※マジです)

上条「助けてインデックスさん!?そろそろ俺には理解不可能な混沌っぷりを見せているよ!?」

土御門「おまえアレだぞ。禁書目録は俺の1,000倍確実かつ深い知識を披露してくれるだろうが、専門知識持った人間でも分かんない領域になんぞ?いいのかコラ?」

上条「……たまーに、さ?こう悪役とインデックスが喋ってんじゃん?『あなたの魔術は稚拙なんだよ!』とか言って、ネタバラシっていうか、推理ハラスメントっていうか」

土御門「微妙に同意しないでもないが、それがどうした?」

上条「俺実は『この人は何を言っているんだろう?さっさとそげぶして帰りたいなー』ってしか思ってなくて……!」

土御門「えっと……うん、まぁ!適切があるからな!合う合わないってのが多様性だと思うし!」

土御門「そんなことよりも楽しい話をしようぜ!俺達の理解力で何とかなる程度の話をな!」

上条「それでですね土御門さん!俺思ったんですけど、道教がそんなに前から入ってるんだったらなんで超無名なの?おかしくないですかね!って事ですよ!」

上条「仏教は超バズったとして、儒教もまぁ普通に知られてるのにどうして道教だけほぼ無名なんだ?確実に影響は受けてんのに?」

土御門「あぁ、それはな……言うも涙、語るも涙、涙涙の物語があるんよ……!」

上条「どっちも言ってる方だけ泣いてんじゃねぇか。あと青ピと被るから口調変えんな」

土御門「何となく、そうここまで話せば何となくは想像つくだろうが、道教&知識は日本へ入って来た。んで特定の集団がそれらの知識を基に新たな思想集団、それこそが――」

土御門「――陰陽師だったんだにゃー……ッ!!!」

上条「まぁ知ってたわ。ここで全然別の集団だったら詐欺だからな」

土御門「レッツゴー陰陽○!」

上条「それなんか違う。いや俺はアレ好きだけど。電波ソング?」

土御門「俺としては豪血寺シリーズの知名度がもっと上がってほしいぜぃ。L.○でお馴染みのあの御大がキャラデザやってんのに」

上条「ご本人には黒歴史なんだから黙っててやれよ」

土御門「まぁそんなこんなで道教は天文学が主にして入って来て、それが暦関係の仕事をする陰陽師、正確には陰陽寮って官僚に任されたんだぜぃ」

上条「官僚?」

土御門「官位を持ってたからにゃー。まぁ今と違って元号や暦を管理するのは大事な仕事だった、って事だぜぃ」

土御門「で、陰陽寮成立後、道教は陰陽道にカスタマイズされちまったんだぜぃ」

上条「道教じゃないのな。陰陽道」

土御門「道教も大切だったけどそれ以上に星辰の流れや方位や暦に関連する陰陽の方が重宝されたんたぜぃ。メインがそっちだな」

土御門「てか正直、道教は都合が良かったんだぜぃ」

上条「都合が?」

土御門「例えば四聖獣っているよな?それぞれ各方位の守護をする獣なんだが――」

土御門「これ、位置的に言えば日本全体って青龍だけで充分だよな?」

上条「んん?意味が分からん、どういうこと?」

土御門「野球場があるよな。んで『阪○ファンは阪○の守護神トラッキ○を持って一塁側スタンドで応援!』となったとするぜぃ」

上条「タイムリーだわ。いつ書いてるのか分かるわ」

土御門「もし仮にトラッキ○の神霊がいたとして、一塁側しか守護しないよな?護ってる場所が阪○側だから」

上条「対戦チームは知らんわな」

土御門「同様にだ?本来であれば道教世界で言えば東も東の極東日本、そこを守護するというか応神する聖獣は青龍”だけ”なんだにゃー」

土御門「何故ならば”央”を中国の中心、ぶっちゃけ皇帝がいる場所を基準として、中国全土の鎮護を計るからだぜぃ。分かるか?」

上条「何となくは……つまり道教ガチ勢からすれば日本は端っこなのな?」

土御門「そうそう。でもこれがマズいってなったにゃー」

上条「なんで?」

土御門「中国道教の教えそのままだったら、日本は東、場合によっては北東の鬼門に位置すっから超縁起悪いんだぜぃ」

土御門「よって設定をし直したんだぜぃ。京都、つまり玉がおわすところを”央”にして、そこから設定を始めた」

土御門「まぁこれ自体はそれほど珍しくないぜぃ。道士が家の風水なんか決めるときには、その家の中心を”央”として設定するし?」

土御門「んでこう言っちゃアレなんだけど、つーかまぁその時代はデフォなんだけども。『京が世界の中心で、地方へ行けば行くほど化外の地である!』って価値観が」

上条「あー……うん。あるよな、今も微妙に」

土御門「よって陰陽道が玉やその寄生虫をお守りするのには適していた、という説がある。しかしこれは初期の話で、途中から様相が変わり始める」

上条「へー、どんな風に?」

土御門「カミやんさぁ?宮中行事ってどんだけ知ってる?追儺や方相氏とかなんだけど」

上条「たまーにニュースで見るぐらい?この間の退位の時もチラッとかな」

土御門「それ見ておかしいと思わなかった?――『どうして皇室が望んで仏教を取り入れたのに、皇室自体は神道系なんだ』って?」

上条「………………あぁ!言われてみればそんな気が!」

上条「でもそれって明治政府の方針じゃねぇの?神仏分離で神様の方だけ残ったって?」

土御門「じゃあ”それまで”は残ってた筈だろ?皇室が仏教系だったら、伊勢神宮やらその他多く、少なくとも関わる先全部が仏教系になっててもおかしくないんだが?」

上条「あー、他にもさ。出家する人って多くなかったっけ?」

土御門「そうだな。いたのにも影響力が皆無っておかしいよな?」

上条「なんだこれ……?何があったんだ?」

土御門「あくまでも個人的な見解であって推測に過ぎないが……陰陽寮自体が仏教へ対するカウンターパートになったんだと思うにゃー?」

上条「カウンターするおばちゃん?」

土御門「パートタイマーでないぜぃ。部署っていうか部門っていうかな」

土御門「始まりは仏教を鎮護のために導入した。民間にも広まって信仰を集めた。そこまでは問題なかったにゃー」

土御門「しかし仏教を取り入れても鎮護どころか、何度も天災は起きてしまっている」

土御門「それどころか京都近くの寺は僧兵集めて悪党のような振る舞いを見せるものすら出始めた」

上条「時代的にはどのぐらいだ?」

土御門「平安から兆しはあったが、致命的になったのは鎌倉時代直前の保元の乱だと思うぜぃ」

上条「そっか、保元の乱か!俺は知ってるけど、念のために知らない人がいるかもしれないから解説お願いしますね!」

土御門「俺カミやんのそういうアホなところは結構好きだにゃー。えーと保元の乱っちゅーのが鳥羽法皇・後白河天皇と崇徳院上皇の権力争いで、結構死人が出てるぜぃ」

土御門「でその負けた方の崇徳院は罪人として追放され、暗殺されたっちゅー逸話がある」

土御門「実際に勝った側は崇徳院を罪人だとして、天皇にあるまじきまともな葬式すらしなかった――ん、だがにゃー」

土御門「その直後に祟る祟る。勝った側の女房がまとめて死んだり大火が起きたり平氏と源氏の戦いが勃発したり」

土御門「『あれこれ崇徳院の祟りじゃんね?』って当時の貴族の日誌にはよーく出るようになったんだそうだな」

上条「役に立たなかったかー、仏教」

土御門「それどころの話じゃねぇんだにゃー。この崇徳院は敬虔な仏教で自らの血で写経を書いたっちゅーぐらいの人だぜぃ」

上条「なにそれこわい」

土御門「一応日本の三大怨霊の一柱だぜぃ。あとは菅原道真に平将門とかな」

土御門「死んだ人間が祟りを為す、所謂御霊信仰が出来はじめたんだぜぃ。しかも『仏教は何してんの?』って感じで役には立ってない」

土御門「そこで宮中は陰陽寮に目をつける。幸いにも陰陽師が信仰しているのは仏教ではなく陰陽家が入った道教。なので丁度良かったんだと思うぜぃ」

土御門「でも陰陽寮が呪術的な意味で活躍できたのは大体ここまでかにゃー。政治の中心が宮中から武家へ変っていったから、段々と相手にされなくなったんだぜぃ」

土御門「『陰陽師?ほうそなたは儂の未来が見えると申すか。ならば今からそなたの首を刎ねるかどうか当てるがよい!』的な、超脳筋世界に」

上条「ちょっと見てみたいその絵面」

土御門「ちなみに陰陽師の”正しい意味で”の絶頂期が安倍晴明が活躍する10世紀ぐらいかにゃー。宮中行事や派生する地下家(宮中参内を許されない貴族)まで請け負ってた」

土御門「……ただ、まぁ?やっぱり始まっちまうんだ。ドロッドロの権力闘争が」

土御門「歴史的には加茂家が一抜けする。そしてその弟子の安倍晴明も同じく。んで両家が事実上の二大陰陽師家となったんだぜぃ」

土御門「この後から何百年と権力闘争を繰り返す。結果として安倍氏は公卿の身分にまで登り詰め、陰陽寮の長官の職も安倍氏が世襲することになったにゃー」

上条「生臭い話だが、超イキってんじゃん」

土御門「ただなー?やっぱ続いたじゃん戦乱が?鎌倉幕府はともかく、足利は歴代将軍ボンクラばかりでずーっと戦乱続きで戦国時代入ったろ?」

土御門「なので安倍氏だけじゃなく陰陽師全体が衰退していったんだにゃー。悲しいにゃー」

上条「あぁまぁな。現実的な脅威があるのに、方位が悪いとか仏滅だとか言われても困るしな」

土御門「しかし安倍氏はへこたれないにゃー!徳川家が勝ったらそこに取り入って日本で唯一の陰陽師宗家としての地位を得るにゃー!流石汚い憧れないぜぃ!」

土御門「具体的には全ての陰陽師の任官は俺達が決める!俺が、俺達が陰陽師だぜぃ……ッ!!!」

上条「だからもう分かるだろ。調子ぶっこいたら後はもう下り坂を転げ落ちるって分かってるだろ」

土御門「徳川幕府のときは朝廷行事も含めて全部安倍氏に任されてたんだけど、明治政府になったら『陰陽師?知らんわ!どっか行け!』ってことで無官に……」

上条「相変わらず神も怖れないよな、サッツー魔人」

土御門「いや、一応ちゃんと華族としての地位ももらったんだけどにゃー。今はもう直系の子孫が64歳のおじさん(妻子なし)って有様に……」
(※よって「安倍晴明の流れを汲んだ〜」は絶対に詐欺。そうじゃなくても詐欺ですが)

上条「順調に関係各所からの恨みを大人買いしてっからだよ。高く高く積んだジェン○が崩壊とも言うが」

土御門「まぁ多分?『公卿に取り上げてもらいながらお前何で徳川家に媚び売ってんの?死ぬの?』って、上司から同僚にまで、なっ?多分だけど?」

土御門「ちなみにドリフター○で安倍晴明とサッツー魔人が会合するシーンがあったけど、安倍晴明の子孫を一掃するのも薩摩藩っていうギャグだにゃー」
(※多分)

上条「長い長い陰陽師の歴史もここで終わりかぁ。話聞いてるだけでも長かったなぁ」

土御門「とも言えないんだにゃー。安倍氏・加茂家が陰陽寮を私物化していく過程で、多くのその他の陰陽師が弾かれていったにゃー」

土御門「そういう人間達が民間に下って陰陽師ベースの仏教をやったり、密教に取り込まれてたりしてたんだにゃー」

土御門「その結果、さっきも行ったように道教の名残があちらあちらで見られるってことに繋がってんだぜぃ」

上条「東○ロジェクトの霊○の後ろに張りついてる『陰陽玉』だったり、ガンガンお札も撃ってたっけ」

土御門「あそこの世界観は道教ベースの陰陽家が多い。つーか仙人多すぎだせぃ」

土御門「あぁこれ雑談なんだけども、カミやんは氏(うじ)と家名の違いって分かるか?」

上条「氏?苗字じゃねぇの?」

土御門「間違ってないが正確には違う。例えば足利尊氏は源尊氏(みなもとのたかうじ)でもあるんだにゃー。源(みなもと)っていう氏族で天皇に仕えてたから」

上条「足利は?」

土御門「それが家名だぜぃ。源氏っていう氏族の足利家の尊氏ってのが彼の正式な名前なんだにゃー」

上条「あー、聞いたことあるわ。大名がみんなして源氏の子孫だって名乗りたがったとか」

土御門「あくまでも超古代だからにゃー。てか利便性の問題もあって家名を使い始めるんだぜぃ」

上条「なんで?」

土御門「宮中の多くが藤原氏だけになっちまった」

上条「あぁそういう」

土御門「一族が多くなるとそういう弊害が出るんだにゃー。なので件の安倍氏も途中から家名を名乗るようになるぜぃ」

上条「ほう。どんな?」

土御門「それが――『土御門』家だにゃー」

上条「へー………………えぇ!?」


-終-
(※説明で『四神(玄武・白虎・青龍・朱雀)』を 『四聖獣』と呼称していますが、これは「四神は獣であって神ではない」説をとっているためです)

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