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Clock(trial)

上条「闇ちゃんねるフラグメント――『闇、恵方から来たりて』……」

 
――上条のアパート 2月3日 夜

インデックス「とうまとうまー、このらっかせい何?食べていいのかなー?」

上条「あ−、もうちょっと待ってなー。一応それ節分の豆まきだから、明日になるまでは置いておこうぜ」

インデックス「せつぶん……あぁ知ってはいるんだよ。鬼を退治してきびだんごなんだよね?」

上条「後半が別モンになってる。やねでも節分コーナーにきびだんご売ってたな。関係あるかも」
(※北海道銘菓「きびだんご」)

インデックス「ウチは、ウチではえほーまき食べないのかな……ッ!?さんたさんも来なかったけど、えほーさんも来ないんだよ……ッ!」

上条「恵方巻きは明日のスーパーでの特売を狙うんで待っててください。あと恵方さんは来ねぇだろ、何者なん――」

上条「……」

上条「――あれ?魔導図書館さんでしたっけ?」

インデックス「なんか酷いことを言われそうな気がするんだよ……!何を今更確認することがあったのかなぁ!?」

上条「恵方巻きはもしかして対象外?なんかコンピニの影響で売れたとかそういうオチ?」

インデックス「少なくともわたしの記憶にはないんだよね。日本に来て『へー、そんな儀式があったんだよー』ってむしろ感心したんだもん」

上条「俺もよくは知らない――ん?誰よこんな夜遅く」 ピンポーン

インデックス「つちみかどじゃないかな?余ったえほーまきカモン!なんだよ!」

上条「売れ残った商品を謎ルートで仕入れてくるのは度々あったが――はーい、どちらさまですかー?」 ガチャッ

四つ目の鬼面の男?「――こんばんは」

上条「――悪霊退散悪霊退散!消え去れ、混沌から生まれ混沌としたメシを好み、混沌へ世界を導くものよ!ここはお前の住む場所ではない!」

インデックス「とうま、イギリス人に失礼なんだよ?」

上条「少ないヒントでその答えに達したお前もな?」

四つ目の鬼面の男?「いや、悪霊ではないよ。むしろこれは鬼遣(おにや)らいをする正装であってだな」

上条「その辛気くさい声――闇咲か?」

闇咲(四つ目の鬼面の男?)「非常に失礼だが、まぁそうだな。鬼遣らいにやってきた」

上条「……なに?知ってるかインデックス?」

インデックス「おぉ……!これがじゃぱにーずえくそしすとの本格的なすたいるなんだよ……ッ!!!」

闇咲「まぁ詳しい話は中でしたい。この格好だとどうしても人目を、なっ?」

上条「どっからその仮装で来やがったコノヤロー?ご近所では『また上条では……』って後ろ指差されまくるんだわ」

インデックス「わたしが言うのもなんなんだけど、シスターや神父さんが出入りしている時点で、もう手遅れだと思うんだよ」

……

闇咲「――はい、という訳で今週の闇ちゃんねるは『恵方から来るモノ』だな」

上条「言い方気ぃつけろお前?それだけだとクトゥルーさん関係だと思われんだろ」

闇咲「始まりが近いものがあってだ。某週刊誌の某マンガ家が時事ネタで『恵方恵方って騒いでるけど、実際は得体の知れない怪物でも崇めるんじゃないの?』的なのがスタート地点というか」

闇咲「下手をすれば”そこ”だけ一人歩きして、数年後には『恵方様とはクトゥルフ的な外的宇宙から来た存在である』となったら目も当てられないため、急遽取り上げることになった」

上条「そこまでネタな世界じゃねぇだろ。なったらむしろ面白いわ」

インデックス「昨今のねっとろあの拡大&再生産をみるに、あながちそうとも言い切れないかも……」

上条「なにそれ超コワイ」

闇咲「悪い意味で煽ろうとする人間も居れば、良い意味で善良な人間も居るからな。歪に需要と供給が噛み合ってしまえば、非常に面倒臭いことになる」

闇咲「その一例として何度か挙げているが、代表的なモノは『水子(みずこ)』だ。幼くして亡くなった赤児の霊がどうという”””商売”””だ」

インデックス「元々は『すいじ(水児)』って言って言って早く亡くなった赤ちゃん、ってぐらいの意味しかなかったんだけど、ここ半世紀でばくはつ的に広がったんだよ」

上条「今まで弔ってなかったって事、じゃねぇよな流石に」

闇咲「『ななつごさま』というような概念があり、まぁ要は『七歳ぐらいまでは人ではなく神様の子だから存在自体が曖昧である』的な話だ。要は栄養失調や疫病で死にやすい」

インデックス「だからその年齢の内で亡くなっても、あんまり大きなお葬式をしなかったのかも、って話はあるんだけど……」

闇咲「タチの悪いことに、そういう早世した幼児の霊が水子として”憑く”などという概念は精々半世紀ぐらい。それ以前は殆どなかった」

上条「なかった?」

インデックス「んー、例えばね。とうまに兄弟がいたとして、その子たちが事故や病気で亡くなったとするんだよ?まぁ例え話なんだけど」

インデックス「そうなったときに”””憑く”””って話、聞いたことある?ないよね?」

上条「あぁ……そういや水子の霊はよく憑くのに、それ以外がって話はあんまねぇな」

闇咲「一応『すいじ(水児)』供養で有名な場所もあるにはある。有名なのは両国の回向院だ。まぁ色々とセンシティブな問題なので」

インデックス「春を売るお姉さん達が多かったんだよね。だからって話で」

闇咲「……だが、だ?逆に考えてほしい、『それほど水子がよく憑いて祟りを為す存在であれば、全国津々浦々に対処する寺院や呪いがあった筈』だろう?」

上条「……はい?」

インデックス「ぺすとが流行った地域では、呪的にぺすとを抑えようってお呪いとかが絶対にある筈なんだよね。それが効果があるかは別にして、それが人間なんだよ」

闇咲「だが水子にはそれが一切ない。こうも激しく母体に憑いて悩ますのであれば、それ相応の調伏方法があるのに一切ない――つまり」

闇咲「逆説的に歴史も浅いペテン師が作った概念だ、というようになる」
(※ほぼ100%詐欺、もしくは宗教史を知らない素人)

インデックス「まぁ、赤ちゃんの幽霊がいないって訳じゃないんだよ?ただ特筆されるような、異常な祟り方が広まったのは精々ここ半世紀だから注意してね、って話であって」

闇咲「現代よりも遙かに闇が深かった中世以前に登場しないのはどうしてだろう、と考えてくれれば幸いではある」

上条「相変わらず斬り込み方が既存の宗教にケンカ売ってるよな!」

闇咲「実話怪談と称してホラ話を吹聴するのもその類だが――で、だ。いざ恵方の話に戻るが、来るのは来る」

インデックス「うんまぁ、来ちゃうんだよねぇ」

上条「や、やめろよお前ら!?俺を脅かしてもダッ○ぐらいしか出ないぞ!?」

インデックス「結構いいものが出てくるんだよ。てか食べたいな」

闇咲「私ぐらいの歳になると今の時間にアイスは厳しい。ついでに言えば脂肪分の多すぎるのは特にキツい」

インデックス「まぁ別にとうまがっていうか、人間が身構えるような何かじゃなくて。ただの『としがみさま』なんだし」

上条「としがみさま……年神様?お正月に来る神様?いや時期が違うだろ、時期が」

闇咲「いや、合っているよそれで。『歳徳神(としとくじん)』だ」

上条「闇咲まで変なこと言うなや。のんびり屋のサンタさんじゃねぇんだから、一ヶ月遅れで来る筈が」

闇咲「何故ならば”””元々正月と春の節分の日は同じだったから”””だな。前にも少し言ったが」

上条「あー……あぁ?言ったような」

闇咲「よって昔は、というか旧暦では大みそかに年越しそばを食べたり、豆を撒いて鬼を退散させつつ、柊やカツオの頭を軒先へ差して鬼払いをしていた」

上条「カオスだな」

闇咲「だが丁度150年前に新暦へ改め、節分は大みそかと別の行事となり、独立して祝うようになってしまったと」

インデックス「まぁそれが全ての原因だったんだよね。そこがわからないと『なんだこれ?』って理解できないことも多いんだよ」

闇咲「その、君も正月には初詣に行くだろう?実際に行くかは別にして」

上条「中学時代には友達と行った――と、思う」

インデックス「あれ、不思議に思わなかったのかな?」

上条「不思議?不思議にも何もそういうもんじゃねぇの?」

インデックス「違くてね、えーとおしょーがつには門松を立てて、鏡餅をつくって神様をお迎えするんだよね?わたし的には神様って言っちゃうのはアレなんだけど」

闇咲「それは”来る”神だ。故に来訪人とも呼ばれる」

インデックス「でも初詣は”行く”んだよね?神様が来てくれるのに、どうしてとうまは余所に行く必要があるんだよ?誰をお迎えに行くんだよ?」

上条「……言われてみれば。つーか正月の神様って一体誰だよ!?確かにフワッとしてやがんな!?」

闇咲「それには『恵方(えほう)』というものが絡んでいる。まぁ簡単に言えば、『その一年において良いと定めた方角』だな」

インデックス「ちなみにこれはその歳の干支によって変るんだよね。だから毎年違ってくるんだよ」

上条「恵方巻きと同じか?決まった方向向いて食べるのと?」

闇咲「むしろ逆だな。最初に恵方があって、ここ半世紀ぐらいで乗っかってきたのが恵方巻きだ」

上条「商魂たくましいと言えなくも……」

闇咲「商人の話はさておき。初詣には『恵方詣(えほうもうで)・参り』というものがある。既に江戸自体には成立しているのだが」
(※出典;浄瑠璃『夕霧阿波鳴渡』。「病は気から」の元になった台詞がある、という説あり)

闇咲「まぁ要は『元旦には恵方に位置している神社へ初詣に行こうね』というのが流行っていたらしいんだ――が」

闇咲「明治維新後、鉄道会社が首都圏で『恵方参りには○○!』と広告を打ちまくったんだ。そうすれば本来休みである筈の正月にも収益を上げられるからな」

闇咲「その際、各種神社仏閣が『恵方だから!』とやりまくったため、いつの間にか恵方参りは形骸化し、初詣だけが今の形になって残ったと」
(※実話です)

上条「日本のバレンタインか!またしょーもない騒ぎで初詣って広がったんだな!」

インデックス「ま、まぁ江戸自体にも恵方参りはあったし、その流れって言えなくもないんだよね。まぁ一応は」

闇咲「よって元々の『恵方』とは『元旦から始まる干支依存の方角』だと。どちらかといえば年の初めにちなんだイベントであり、節分とは然程関係はなかった」

闇咲「が、恵方巻きのブームによって脚光を浴び、本来恵方は元旦と共に縁起物になるはずが、節分スタートという謎の行事になったと」

インデックス「まぁ……うん。節分の日に神様が来るってのも間違いじゃないんだよね。旧暦の暦を使ってる人にとって、もしくは信仰や家庭の事情で大晦日が節分と一緒だって人もいるだろうし……」

闇咲「というか初詣自体、都市圏だけの話であって本来の正月というのは『大きく晦(つごもり)をする日』、よって『大晦日』だな」

上条「ツゴモリ?」

インデックス「『月・籠り(つき・ごもり)』だって言われてるんだよ。要は外出したりしないで、家に籠もっていましょうねって」

闇咲「前に言った『太歳の客』と呼ばれる来訪神が来るからな。お正月様とも呼ばれる」

上条「結局、正月に来る神様って何?つーか誰?」

闇咲「それについては意見が分かれる。柳田國男は『来訪神』、つまり外から来る神だと主張している。それが福を成すかどうかは分からないと」

闇咲「対して折口信夫は『マレビト』、こちらは祖霊に近い何かだと解釈している」

闇咲「ちなみに私の知人が某研究室へ入った際、教授から真っ先に聞かれたのが、『君は柳田派?それとも折口派?』だったとか」
(※実話です。そのぐらいテッパンなネタ)

インデックス「そんな簡単に割り切れるようなもんじゃないんだよね。ご先祖様の霊と同時に、神様であっても矛盾しないんだから」

上条「矛盾してんだろ」

闇咲「『あの人は亡くなって神様になった』でもあるし、『私達のご先祖様は○○って神様だった』、だな」

インデックス「明確な境があった訳じゃないから、そこら辺は受け取り方なんじゃないかと思うんだよ」

上条「……つーかさ。前になんか山の話をしたよな?特定の日は出歩くな、みたいなヤツ?」

闇咲「何度か言ったな。『果ての二十日』や『山の神の移動日』なんかがそうだ」

上条「科学的な話じゃなくて、あくまでもオカルト的な与太話としての視点だけど。超マズイのか?」

闇咲「大抵は拙い。だからそういう危険な日には人々が家に籠もって出歩かないようにし難を逃れる、という対処方法を取ってきた」

闇咲「その中でも、最も危険且つ尋常じゃない厄日と伝えられてきた日がある。曰く、その日には邪気が溢れ出して人々を害す。曰く、魑魅魍魎が跋扈する」

闇咲「だから人々は邪気を払うために豆を撒く、方相氏の仮面を被って鬼を払う、その他色々な厄払いや邪気祓いをするんだよ」

上条「……もしかして節分の日って超マズい日?」

インデックス「おかると的には、って意味ではほぼ最悪なんだよ。だからこう『○○幼稚園では園児が豆まきをしましたー』ってほのぼのにゅーす流してる場合じゃないんだからね?」

闇咲「また複合的な話になるのだが、前に行き逢い神の話をしたろう?山の神が里へ下って田の神に転じる日」

闇咲「それは立春の日の前日であるため、得体の知れない何かがそこら辺を徘徊するので非常に危険でもある」

闇咲「……まぁ、実際に危険かどうかは別にして、少なくとも昔から大勢の人達が忌み嫌った上に対策を講じてきたわけだ。それが現代にも伝わっている」

インデックス「てゆうか『鬼』っていう概念も具現化されすぎるんだよね。元々の鬼は『隠(おん)』って意味であって、『目には見えない災害』みたいな使われ方をしてたんだよ」

闇咲「中国の道鏡では『鬼(き)』であり、死者の魂や幽霊という意味が強い。今のようなトラ柄パンツの有角形は日本へ入って来てからだ」

インデックス「今と違って科学とは程遠いんだよ。だから一年で一番寒くて辛い大晦日や節分自体が恐怖だったのかもしれないね」

上条「あー、風邪とか病気とかでって意味でか?」

闇咲「加えて冬の寒さに食料不足などもあっただろうな。とにかく『目に見えない災い』が人外の某かが引き起こしていると仮定し、打ち払おうとした」

インデックス「まぁ結果的にお祭りっぽくなって労るって結果になったんだし、そんなもんじゃないかなとは思うんだよ」

上条「そっか、来るのは来ちゃうのかー……」

闇咲「節分の日に奉る祝詞は『鬼は外、福は内』、これは大抵の人間が知っている。知っては、いる」

闇咲「だが『福は内』の”福”とはなんだ、というのは知らない。ただの福の神なのだが、元々持っていた意味が失われてしまった」

闇咲「……行き逢い神の中には、一つ目小僧、山姥、疱瘡神、病疫神等々が存在する。だが彼らがどこから来たのかも、何なのかも分からない。何なのかも想像でしかないが――」

インデックス「中には元々神格があったのに剥奪されて忘れ去られたのもあったのかも、って後味の悪い〆方をするんだよ」

闇咲「よって『節分の日に恵方から何が来るのか?』と答えとしては、『昔正月だった頃の名残で、歳徳神やお正月様などの幸運の神』が的確だと思われる」

上条「本当に何か来てたことにビックリだぜ!」

闇咲「なお『恵方』、つまり縁起のの良い方向に関してもルーツっぽいものはもある。『方違(かた・たがえ)』といって、縁起の悪い方位を避けて移動する風習で」

インデックス「例えば北東の、丑寅という悪い方へ行く際には、まず北へ移動してから東へ、というように直接その方角へは向わないようにしていたんだね」

闇咲「そしてその方違を節分、つまり旧の大晦日に行われていたのを『節分方違』と呼び重要視していたと」
(※出典;枕草子)

上条「はーい質問。誰が来るのかも正月由来だってのは分かった、んでさ?だったら『恵方』って何?年によって違う方角が幸運になるとかってのはどういう理屈?」

インデックス「中国の道鏡由来なんだよね。もとはるの方が詳しいんだろうけど」

闇咲「あそこが本家本元な上、中国にはもう残っていないからな」

上条「ってことは陰陽師的な?」

インデックス「まさにそうなんだよ。まぁ一言でいえば方位の神格化っていうか」

上条「むしろ理解が困難になったわ。なんで方位が神様扱いになってんだよ」

闇咲「中国の場合だと歴代王朝が滅亡するのは異民族が原因だからな。よって結界系の思想が流行ったのだと思われる」

インデックス「そもそも干支だって方位へ獣を宛がって神格化したものだし、そういうものとしか言えないんだからね」

インデックス「で、まぁその暦の八将の一柱に『太歳神(たいさいじん)』って人がいてね。この人は干支と同じように一年ごとに移動するんだけど、その方位吉方とされているんだよ」

闇咲「それが日本でも大流行したため恵方信仰が浸透した……まぁ本邦は本邦で、京以外は何度も何度も荒れ果てていたからな」

インデックス「らしょーもんの話とか聞くと、都市部でも辛かったんじゃないかと……」

闇咲「当時としては国家鎮護の最新技術だからな。呪術的な意味でも執り行っていたのは間違いない。効果があったかどうかは別にして」

上条「……そんなもんなのか?なんかかなーり無駄なような気が……」

闇咲「一応フォローしておくとだ。帝や公家の世界を『昔の特権階級で飢えのない世界』とイメージする人間も多いんだが、それは違う」

闇咲「南北朝から応仁の乱、そして戦国時代に突入するまで京はかなり荒れ果てていて、宮廷にも公卿にもとにかく金がなかった」

闇咲「具体的には1,383年から1,625年まで間、皇后不在の時期が300年弱続いていた」
(※徳川秀忠の娘までずっと不在)

上条「なんでだよ。奥さん居なかったら途絶えるだろ」

闇咲「宮廷に金がないため皇后位を用意出来なかったんだ。正式に任じるとそれ相応の位階だったり儀式をしなければいけなかったのだが、予算がなくて……」

インデックス「中には『おとうさんが亡くなったのにお葬式が出来ないんだよ』って王様も……うん」

上条「何か色々とイメージ変る」

インデックス「ただ、そんな時代にあっても一部の公家だけはお家芸で稼いでいた人達もいるんだよね。誰とはいわないけど、誰とは」
(※もしかして;土御門家)

闇咲「資産がなくて地方の豪族を頼りに行ったら、そこでクーデターに巻き込まれて死亡という痛ましい話も」
(※大寧寺の変。「西京って素晴らしいんだって!」→「行幸できるかもしれないし見に行こうよ!」→クーデター勃発で敵味方死にまくる)

上条「意外と切なかったんだなその時代は。藤原家んときイキってたのに」

闇咲「政治の実権が武力と合体した武士に移ったらどうしようもなく、だな。こればかりは時代の流れであるし」

上条「あぁうん、今日もまた余計な知識をありがとう。来年から『恵方ってなんだろう?』って疑問に頭を悩ませずに済むわ」

闇咲「あくまでも私見だが、『節分ってwwwwww』とバカにするのも個人の自由だ。強制するつもりは全くない」

闇咲「だが節分の鬼遣らいに関しては『鬼』は元々目に見えない災厄全般を指し、それらを遠ざける儀式として確立されている」

闇咲「心霊スポットやパワースポットを信じて、それ以外を否定するのというのはあまり、こう、うん」

インデックス「『イワシの頭も信心から』?じゃないんだけど、結果的に自分の芯的なところを弱くしてるんだよね」

インデックス「もしも何か疲れたときとか、心が弱くなったときとか、まぁ縋りたいものがあるんだよ。家族とか友人とか、その中に信心もあるんだけど」

インデックス「普段からある程度敬意なり信心をもって接していれば、ある程度の救済効果はあるのに、バカにしてたが為に頼ることができないっていうね」

闇咲「まぁ、それもまた自由ではあるが――と、今回はこのぐらいだな。インデックス先生、ありがとうございました」

インデックス「うんまぁいいんだよ!先生って呼ばれるほどじゃないけどね!」

上条「闇咲、帰るのか?泊まっていけ――って言えないんだよなぁ。部屋狭いから」

闇咲「気持ちには感謝する。が、これから少し野暮用が」

上条「野暮用?夜なのにか?」

闇咲「土御門家の麒麟児が出張っているんだ。座して見ているのは少しばかり惜しい――ではまた」 パタンッ

上条「あぁおやすみー。てか土御門?朝からいなかったけど」

インデックス「大いなる力には大いなる義務があるんだよ、きっとね!」

上条「アメコミか。否定はしないが、(※ただしケンカの勝てる相手にだけ)って注釈つくだろ」


-終-

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