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Clock(trial)

上条「地獄の闇ちゃんねる……『ケルヌンノス追憶編』!」

 
――とある高校 職員室

上条「――それでも俺はやってないんだ……ッ!!!」

小萌「不謹慎なのですよ?当校直後に呼び出された第一声がネタから入るのってどうのなのですよ?」

上条「土御門と青ピに唆されたんです!責任の一端はあるかもしれませんけど被害者だとも理解していただければ!」

小萌「すっごい場慣れしているのですね?言い訳が堂に入ってるってどうかと思うのですよ?」

上条「つまり――俺の進級はもう安心してもいい、と?」

小萌「現実を見ろこの腐ったミカン?上条ちゃんが逃避する気持ちも分からなくないのですが、いい加減統括理事長がマブだとかぶっこくのは止めるのです!」

上条「……いや、先生!俺はこう見えても前向きに人生を捉えているんですよ!」

小萌「信じたいのですよ、先生は生徒ちゃん達を信じたいのですけど……!」

黄泉川「おっ、具体的になんかしてるじゃん?」

上条「土御門と青ピと協力して台打ちをですね」

小萌「あぁいストップなのですよ!それ以上言及すると三人まとめて補導案件なのですから!」

黄泉川「奇しくもアレの稼働日なんじゃんね。つーか後からまとめて全員説教じゃん」

上条「心外ですよ!俺たちはただ遊戯をしたかったんであってギャンブルとは違うんですよ!」

黄泉川「その言い訳が通じたら警察もウチらもいらないじゃんね」

小萌「まぁ黄泉川先生の教育的指導は後日に回すとして……お客様がみえてらっしゃる、というかまぁ?」

上条「……お客様?俺にですか?なんでまた俺に?」

小萌「……あれお知り合いではないのですか?上条ちゃんをご指名なのですけど」

上条「まぁ誰だか知らないが、会うだけは」

……

闇咲「考古学者の稗田礼二○です」

インデックス「じょしこーせーのしお○なんだよ」

上条「謝れ!諸星大二○先生に謝って!身分詐称にしてももっと他にあったんじゃねぇかとか鏡見て!」

小萌「ほ、ホンモノなのですよ……!マンガ版よりもワイルドなのです……!」

上条「いやまぁホンモノっちゃホンモノだけど!一説には諸○先生ソックリだって話だけど!」

小萌「えっと……お知り合い、なのですよね?」

闇咲「はい、上条君には以前某所での呪い祓いの際に大変お世話になりましてね」

上条「堂々と嘘吐くなや?!身分証まで偽造しやがって!」

インデックス「とうまは黙ってるんだよ!ほんみょうじゃ入れないんだから!」

上条「そういやあったなそういう縛りか!でも来るアホどもがことごとくノーチェックだからそんな設定忘れてたわ!」

小萌「えぇと情報量が多くて混乱しているのですけど……結局、稗○さんはどうしてこちらへ?」

闇咲「何度か彼には助けられている手前、あまりこう強くも言えないのですが……その、正直学業の方が疎かになっているのでは?と思いまして」

小萌「はい、それはもうダブリがほぼ確定してるぐらいに」

上条「先生?なんて今?」

闇咲「それはやはり単位というか受けるべき講義を受けていないという理由でしょうか?」

小萌「これがまだテストの点上位だったら、まぁ、『時間は足りないけど本分は忘れないみたいだし!』的な擁護もできるのですが、そうではないので……」

上条「ねぇこれギャグなんだよね?二人して俺を担いでいるだけなんだよね?」

インデックス「現実は見た方がいいんだよ?」

闇咲「一言一句、先生の仰る通りではありますし、まだ高校生の身分で素行に問題があるのも承知しているのですが――もし宜しければこちらから多少の単位を融通できないでしょうか?」

小萌「とは?」

闇咲「まぁつまるところ帳尻合わせですね。上条君にはこちら側のトラブルに巻き込んでしまい、彼の大切な時間を奪ってしまいましたから」

小萌「そうなのですか!?……そんな話聞いた事ないのですよ!?」

上条「奇遇ですね、俺もですよ」

インデックス「まぁ一身上の都合なんだよねっ!」

闇咲「しかしながら彼は拘束している最中にもフィールドワークという形で実学を積んでおりましてね」

小萌「……ちなみにどのような形の?」

上条「あー……呪いがどうとかって。夏休みの終わりぐらい、かな?うんきっとそこら辺の話!」

小萌「へー、そんなことやってたのですねー。意外な趣味なのですよ」

上条「襲撃されたんだよこのオッサンに」

小萌「はい?」

上条「――っていうぐらい熱心さで!行き掛かり上仕方がなく!」

闇咲「ですのでこちらからも関係する証明書や付属する書類なども、大学の名前で出しますので。まぁなんとか単位の足しになればと」

小萌「事情は分かったのですよ、それなら多少はマシになると思うのですか――上条ちゃん!そういう事情ならさっさと言うのです!」

上条「いやあの、人助けだったし……はい、すいません」

闇咲「詳しくは後日またということで。あぁそうそう上条君」

上条「あん?」

闇咲「放課後は闇ちゃんねるの収録がある」

上条「帰れよ。用事済んだんだからもう帰れよ」



――上条のアパート

闇咲「――はい、という訳で新年一発目の闇ちゃんねるなのだが」

上条「ツッコミどころが多すぎる。小萌先生も言ってたが、情報量が多すぎてどっから手ぇつけたらいいか悩むんだよ!」

闇咲「本日はスペシャルゲストも来ているので手短にな」

上条「まずは単位の足しになってくれてありがとう!でも思いっきり身分詐称だし問題だろと思わなくもねぇが!」

闇咲「身分自体は本物だな。いくつかあるし、製造元がはっきりしているので偽物でもない」

上条「なんか闇が深いんだぜ……ッ!!!」

闇咲「背乗りに比べれば穏当だと思うが。まぁ夏休みの時に大きな借りを作ってしまったからな、幾ばくか返せたものと認識してほしい」

上条「気持ちは超ありがたいし、進級できたら恩人ではあるんだが……その、こっちも人助けでやったことだがらさ」

闇咲「ついでだからな。気にするな」

上条「なんのついでだよ。んでもう一つの疑問、スタジオで収録しねぇの?」

闇咲「無理だ。あっちのスケジュールに合わせる手前、な」

上条「本体こっちだろ?なんでペルソ○が前面に出て番組乗っ取ってんだよ?」

闇咲「私もそう思わなくもないのだが、再生回数の桁が四つ違うとな……」

上条「だからジャンル違げーよ。向こうはバラエティでこっちは【グロ注意】だよ。だって聞いてて基本嫌な気分になっから」

闇咲「一切話を盛ったりもせず、裏取りをすればレポートとして出せるぐらいの内容なのだがな。やはり世間の求めるクオリティに達していないということか」

上条「需要が……うん、オッサンが男子高校生と延々四方山話をしてんのに興味がある人はごく少数のマニアだけだよ」

闇咲「まぁ今年も特に変らず放送を続けていく。さて、今回はスペシャルなゲストをお迎えしている」

上条「ゲスト?俺の知ってる人?」

闇咲「魔術サイドで最も魔術の真理に近しい人間、10万3,000冊の魔道書を有した魔導図書館ことインデックス先生だ」

インデックス「どうも!まんをじしての登場なんだよ!」

上条「超知ってた。朝からほぼずっといた」

闇咲「本日は宜しくお願いしますインデックス先生」

インデックス「まぁそんなに畏まらなくてもいいんだよ!同じ魔術の徒として上下なんてないんだからねっ!」

上条「なんでインデックスさん調子ぶっこいてんの?そして闇咲さん、態度が随分違くないっすか?」

闇咲「一介の魔術師の態度としては妥当だと思うが。知識へ対しても、かつ知識に溺れない態度に対してもリスペクトを表している」

インデックス「どうっ!?これが正しい魔術師のたいどなんだよ!やみさか家はごれいそくは行儀がしっかりしているんだね!」

上条「最初に問答無用でぶっぱされましたけど俺ら。このご令息さんの癖(へき)で」

闇咲「残念だがあれもまた魔術を極めんとする者の態度だ。穏当な手段では誘拐、最悪となると持っていきやすいように分解」

上条「それ以上言うなアホが!?あぁごめんお前は一応まともな方だったのな!問答無用で『まぁ屍体から取ればいいや』って感じじゃなかったから!」

インデックス「……あの、言っとくけどね。わたしのあどばいすだけで、ふつうの魔術師れべるでも一芸だけは一流ぐらいにまで押し上げられるからね?」

上条「……あれ?その割にインデックスさん、狙われては……あれ?」

闇咲「そこは心配性の保護者が何人かいるからな。目に見えぬ形で、より正確には君たちを慮って心理的な負担にならないような排除をしているのだろう」

インデックス「だったらバラさない方がいいんじゃないかな?なんで言うの?」

闇咲「進路の話ではないが、君たちもそろそろ身の振り方を決めるべき時に来ているのではないのかね?インデックス先生は実家でのアレコレも解決し、帰っても非人道的な扱いを受けることはあるまい」

闇咲「力を持つ者は義務を伴う。モラトリアムを謳歌するのは結構だし微笑ましくもある、しかしそれがいつまでも続くかといえば――」

上条「やめてください闇咲さん!だからお前なんにでもマジレスすっから人気ねぇんだよ!」

インデックス「ま、まぁわたしはいいんだよ!それよりやみさかはどうだったのかな!?」

闇咲「どうとは?」

インデックス「おしょーがつなんだよ!せっかく助けたカノジョさんなんだからいちゃいちゃしてるんでしょってこと!」

闇咲「そんな覚えはない」

上条「え、年末年始休みなし?何やってたの?」

闇咲「寒行(かんぎょう)だ」

インデックス「あー……くらしかるたいぷのね。はいはい、まぁ正しいっちゃ正しい魔術師の在り方ではあるんだけど」

上条「それで通じんだ!?かんぎょー?」

闇咲「山伏の格好して御山に三日三晩籠もって息吹を体の中に溜める行だ。詳しくは私の術式の根幹となるので言えない」

闇咲「年末年始に男がフンドシ一丁で寒い中を駆け回るニュースがあるだろう?あれを少々プライベートでやってきたと思えば」

上条「なにお前このクッソ寒いときにやってんの!?」

闇咲「一番寒いときにしなくては寒行とは呼ばない。レジャーではないのだから」

インデックス「まぁそうなんだけど、こう、もっとあまいろまんちっくなとかね!進展したとか!」

闇咲「インデックス先生には看過されているだろうが、私の術式は梓弓を主体にした神道系。山神の力を降ろして行使するものが多い」

闇咲「しかしながら山神には女性を酷く嫌い、また穢れを厭うものが多いため、まぁ色々とだ」

インデックス「あー……まぁ、そこは上手く付き合ってほしいんだよね……」

上条「ちょっとなに言ってるのか分からないかな」

インデックス「術式や霊装の都合上、異性とのせっしょくを絶たなきゃいけないひとたちがいるんだね」

闇咲「魔術師にも色々いる。中には”血”、血統と長年蓄積したノウハウで術式を行使する一族もいる」

インデックス「もとはるのところなんだよ」

闇咲「だが普通の魔術師、それなりに長くやっている家系であってもそう簡単に力は得られない」

闇咲「よって厳しい環境に自分を追い込んでようやく人並みの力を得られる人間もいる。私のような才能のない術者などはだが」

上条「(って言ってんですけど、闇咲の魔術師としてのレベルってマジでどのぐらいなの?)」

インデックス「(んー……一芸特化した万能たいぷ?わたしに見せたのがぜんぶだとして)」

上条「(どっちだよ。特化してるんだから一芸タイプじゃねぇのか?)」

インデックス「(つかってたのは風と音なんだよ?でもどっちも使いようによってはこうげき手段やいどう手段、他にも探知してたり)」

上条「(ほーん。でもそれってアックアのときにも言ってなかったか?『水だけど万能』って)」

インデックス「(はんよーせーが高いってことなんだよ。出力もあっくあより規模が段違いに劣るんだけど……問題はね、ひきだしがそこだけじゃなくて)」

上条「(そこ?どこの話?)」

インデックス「(わたしを短い時間ながらも魔術的に拘束して、魔道書の一部を盗み見て、かつかうんたー術式だっけ?どらごんなんとかも発動しなかった)」

上条「(あのクッソタチ悪いのな)」

インデックス「(それと同じ真似をかんざきみたいな聖人、しぇりーやおるそらみたいな、天才と言われた研究型の魔術師にでもできるかな?っていったら絶対に無理なんだよね)」

インデックス「(だから戦闘面だけじゃなくて、そういう時間をかけた術式にも長けている時間で……”普通”ではないんだよ)」

上条「(なにそれこわい。つーかそんなアホによく俺勝てたな!)」

インデックス「(たぶん、なんだけど……わたしやとうまへ、決定的な酷い事をしなかったのは”助ける”って目的を汚したくなかったんだよね)

インデックス「(だからもしあのとき手段を選ばず、たとえばとうまを殺して遺体を見せつけたり、わたしを拘束せず物理的に動けなくて心を折るとかね)」

インデックス「(そのらへんの”たが”っていうか、善意のすとっぱー?それが無くなれば魔術史に名前を残す英雄か大罪人になったんだよ)」

上条「(聖杯戦○か)」

インデックス「(でももうカノジョさんができちゃったし、昏い場所ヘ道を踏み外すこともない。魔術師としての限界も見えちゃったんだよね)」

上条「(それは別によくないか?『守るものができたから強くなれるんだ!』的な展開もあるだろ?)」

インデックス「(えーっとね、これはあくまでもたとえだから怒らずに聞いてほしいんだけど……あまくさしきを攻撃するとするじゃない?やみさかが一人で)」

上条「(無理だわ。タイマンだったら建宮とやれたかもしんねぇけど、全員は無理だよ)」

インデックス「(あまくさしきは集団ならちょっとした聖人並でも相手にできる人たちなんだけど……もしそうなったら、人混みの中へがそりんつんだとらっくか何かを突っ込ませると思うんだよ)」

上条「(超近代的な自爆テロ。魔術師の誇りどうしたよ?家出でもしてんのか?)」

インデックス「(そうするとね、あまくさしきは全員が全員いっぱんのひとを助けるでしょ?そうやって削っておいて攻撃するんだよ)」

上条「(あー……そうな。絶対にあいつらならするわな)」

インデックス「(だからね、もうそれを絶対にしなくなった時点で……)」

上条「(アホほど強くて社会不適合者ほど上に行ける!なんて嫌な業界なんだ!)」

インデックス「(魔術師としての技術は一流に間違いないけど、魔術師として大成するかどうかは微妙だと思うんだよ。そもそも本人が”そういうの”には無頓着っぽいし)」

闇咲「そろそろ私も相手にしてくれると嬉しいのだが?」

上条「あぁゴメンナサイね!急に世界経済について気になったからつい!」

インデックス「雑な嘘にも程があるんだよ」

闇咲「流石は禁書目録、世界経済についても一家言をお持ちか」

インデックス「どうしようとうま!?いせかいてんせいしたみたいに何でもかんでも持ち上げられてるんだよ!?」

上条「皮肉じゃねぇかな。だって目が笑ってねぇもの」

闇咲「さて、では今まではほぼカットするとして、本日のお題は『有角の神』だ」

インデックス「あぁケルヌンノスなんだよ。でびるがさまなーするので有名になった」

上条「Jカルチャー大丈夫か?そろそろ色々な国から抗議されないか?」

闇咲「問題ない。ガネーシャの扱いで既に受けている」
(※確かインドだった筈)

上条「そりゃあな!逆にシヴァとかヴイシュヌとか『一番強い魔神と破壊神』だったら嬉しいかもだが、ザコ敵だったら怒るわ!」

闇咲「これはあくまでも個人的な見解なのだが」

上条「おいやめろ!一体どんな不謹慎発言するつもりだ!?」

闇咲「不謹慎ではなく真面目な話だ。ガネーシャとはシヴァ神とパールバティ女神との間に生まれた子で、あるとき母が入浴をする際に見張りを命じられる」

闇咲「そこへシヴァ神が帰って来たのだが、それを止めようとして首を刎ねられて捨てられる。当然怒るパールパティー」

闇咲「よって近くにいた象の首を刎ね、代わりにつけたのがガネーシャが象の頭を持っているのだ、と」

上条「超とばっちりじゃねぇかそこら辺ブラってたゾウさん。そして雑だなシヴァ!」

インデックス「補足しておくとすっごいインドで人気のある神様なんだよ。現世利益がもらえるって評判で、色々な場所に像が飾られているんだからね」

闇咲「そして今から遡ること20年以上前、とある宗教団体が大量破壊兵器でテロ事件を起こしたんだ。君たちは知らないだろうが」
(※オウム真理×)

上条「……大丈夫か?あんま変なこと言うようだったら怒るぜ?被害に遭った人もいるし苦しんでる人もいるんだからな?」

闇咲「変なことではなく研究者としての一見解だ――で、その宗教団体ではシヴァ神を崇めており、教祖は神託を得ていたそうだ。完全に狂人の妄想の類なんだが」

闇咲「少なくとも当人たちは大真面目であり、最初の内は選挙に出たり像を造ったりとソフトな活動をしていたのだが……そのだな。強制捜査で入った画像を見たら、シヴァではなくガネーシャだったんだよ」

上条「はい?」

インデックス「あー……はいはい」

闇咲「教団のマスコットやら巨大な像などがな。シヴァ神を崇めていると公言しているにも関わらず、誰がどう見ても象の頭をもったガネーシャだったんだ」

上条「どういうこと?」

闇咲「つまり彼らは『シヴァ神信仰と謳っておきながら、実際に奉っていた象がガネーシャ神』だったんだ」
(※実話です)

上条「……ゾウだもんな。なんで?間違える、ってことはいくらなんでもないだろうし」

闇咲「意図的にやったのかどうかは誰にも分からないし、司直の手が入ってなお明らかにはならない。もっと解明すべき事があるからだからな」

上条「ガネーシャさん的には不本意極まりないだろうが、『災難だったね』で終わる話じゃないの?」

インデックス「まぁ普通はそれて終わりなんだけど。ただわたし達的に問題なのはがねーしゃが普通の神様ってだけじゃなくてね」

上条「なくて?」

インデックス「祟り神としても信奉されていたんだよね」

上条「うわぁ……」

闇咲「日本でのガネーシャ信仰は非常に薄い。ヒンドゥー教徒が少ないのが理由であるが、あの神は仏教にも取り込まれている」

闇咲「その名前が歓喜天(かんぎてん)。天部の一柱で、象の頭を持った人間二人が抱き合う姿をしている――の、だが」

闇咲「”私が聞いた範囲”でいえば奉り方にやや難があり、功徳も厚いがその分尽くす儀礼も多い」
(※像は必ず金属像、香油を絶やさず塗り、特定の菩薩像も近くに勧請して以下略)

インデックス「『おいなりさまに願掛けして、願いが叶ったらずっとお礼しなければならない』みたいな感じで。多分それを悪い意味で解釈したんじゃないかな」

闇咲「よってガネーシャ神が仏門へ取り入れられた歓喜天は得られる益の割に奉られている所が極端に少ない。また秘仏とされ一般公開されていない」

上条「なんか……なんかこう気持ち悪いよな。なんつったらいいのか、こう」

インデックス「まー、しろうとさんが訳も分からずにやったんだと思うんだよ?それがたまたま呪詛っぽくなって、回り回って自分達の首を絞めたって感じ?」

闇咲「カルト宗教の顛末としては最悪の部類だが。そもそもその信仰大系をおかしいと指摘する人間すらいなかったのが、まず問題だな」

インデックス「あとかんぎてんは普通にそこそこ人気のある神様なんだよ?なんでそうだけど、悪い方へ悪い方へ悪意をもってきょっかいするひとが悪いんであって」

闇咲「――と、いうようにだ。某RPGでは中堅妖魔でしかないガネーシャも、きちんとした信仰や歴史を持つ一柱だというのを分かってほしい」

上条「今日ヤッベェな!本題に入ってすらねぇのに人死が関わってんじゃん!」

インデックス「ま、まぁてろりすとに利用されちゃったんであり、決してがねーしゃは悪い訳では、うん」

闇咲「なお当時知り合いが近くの大学で教鞭を取っており、教団の一斉検挙前後に刑事が話を聞きに来たそうだが」
(※これも実話です。○○○○大学)

上条「おい止めろ止めろ!話膨らますにしても”実話です”シリーズは重いんだよ!胃に来るんだよ!」

闇咲「あぁいや胡散臭い話ではなく、ただの印象の話だ。その刑事が”凄かった”そうなんだよ」

上条「凄いって……どう?テレビや映画の主役になりそうな感じの?明○さん?金田○の?」

インデックス「あんな派手なけいじさんはどうかと思うんだよ……」

闇咲「逆だ。”全く記憶に残らなかった”と」
(※伝聞です)

上条「……どゆこと?存在感がないって、それ別に凄くなくね?」

闇咲「あくまでも本人の意見だが、当人は今まで警察のご厄介になったこともなく、またたまたまそこで働いてただけで内心ビクビクしていたそうだ」

上条「まぁそりゃそうだわ。心当たりないけど、警察相手だとなんか怖いもんな。必要以上に身構えるっていうか」

闇咲「話を聞くだけなのに緊張しまくっていたんだが――相手は二人組でどこにでもいるような男性だったと。ごく普通のサラリーマン、草臥れた背広に遣い込まれた革靴」

上条「現実なんてそんなもんじゃね?てっきり『サラリーマン風だけど、眼光が鋭かった……!』ってオチかと思った」

闇咲「事情聴取というか任意での聴取か。それ自体は普通に終わり、名刺交換もして帰ったそうだ。何事もなく普通に終わった」

闇咲「それでその夜、奥さんに昼間のことを聞かれて言葉に詰まった――『顔が思い出せない』」

上条「……は?」

闇咲「何を話したのかも憶えているし名前も憶えているが、どんな顔だったのか個性をしていたのか、全く分からないんだそうだ」

インデックス「それはじゅつしき的なことなんだよ?」

闇咲「ということはないだろうから、個性を消すプロなんだろうなと。顔立ちから身につけているもの、果ては所作に至るまで、全て特徴がなさ過ぎて憶えていない」

闇咲「当時の一級案件であり恐らく公安警察が出張って来たんだろうが、と」

上条「あー……顔憶えられたらアレだからな」

闇咲「そしてもらった名刺も机の上に置いておいたんだが、刑事が帰ったらなくなっていたそうだ。勿論講師が渡した分はなくなっていた」
(※指紋ゲット&痕跡を残さない。全て伝聞ですが、恐らく実話)

上条「へー……ちゃんとあるんだな、そういう部署。実はちょっと安心した」

闇咲「またこれは後日学生から聞いた話だが、その手の刑事が学生側にも接触していた。だがバレッバレだったそうだ」

インデックス「なんで?じみなんでしょ?」

闇咲「『逆に地味すぎて浮いていた』そうだ。学生なんてのは自己顕示欲が多少強めだからな」
(※恐らくその子たちが囮で、内偵やってる人間を動きやすくするため)

上条「またよく分っかんねぇ知識が増えたぜ……!」



――

闇咲「――と、いう訳でBパートだ。まだ今日の本題に全く入っていない」

上条「流せるか?前半は前半でテロ教団と公安警察の話だし、つ○で流して怒られないか?」

インデックス「闇っちゃーうん、まぁこれ以上ないぐらいの闇ではあるんだけど。つーぴーからーぐらいの色違い」

上条「だからジャンルが考えろや!いくら実話だからって踏み込む先をどうにかしろよ!」
(※25・6年前の話なので、まぁ時効かなと)

上条「もっとこう基本的には安全圏から楽しみたいんだよ視聴者は!娯楽を提供するにしたって『ちょっとそこにあった危機と、日々それに対処する表に出ない特殊な組織』の話やってどうすんだよゴラアァッ!?」

インデックス「ま、まぁまぁ!思っていたよりも重いけど、これからはずっとおかるとの話なんだよ!だから安心するんだよ!」

闇咲「君たちも充分社会的にはアンタッチャブルだかな。私などの闇の末端でしかないのに対し、特にインデックス先生は」

上条「つーか気になってたんだけどなんで先生呼びよ?」

闇咲「朝打ち合わせした際に『禁書目録じゃなくて名前でほしいんだよ』だそうで」

上条「ほぼ同じ意味……まぁいいか。えーっと、ガネーシャ?」

闇咲「神というか神仏に関わらず神的存在というものは様々な側面を持つ。ある時は女神のように、また他宗教に組み込まれれば人を喰う羅刹として」

上条「すいません闇咲さん。軽い気持ちでボケたのは謝るから、どこまでいってもマジレスするのはやめてもらえませんか?」

インデックス「ちなみに今例えに出た”らせつ”ってのもまた、ヒンドゥー教で”らくしゃーさ”って呼ばれる鬼であってね」

上条「収拾つかねぇなコノヤロー!?こんなとき約二年かけてツッコミスキルが上達したアリサがいれば……!」

インデックス「確実に『とうまくんがまた裏切ったよ!?』っていうと思うな」

闇咲「脱線も程々にして話を始めたいと思うが、本日のテーマは『ケルヌンノス』だ」

上条「かかって来いや!俺はいつなんどき誰にでも謝罪する用意があるぜ……ッ!!!」

インデックス「いきおいで言っても格好悪い事ってあるんだよ……まぁ別に襲ってきたりはしないんだよ?ほら、こわくない」

上条「ナウシ○さんと違って母性の欠片も」

インデックス「ぶち殺すよ?」

上条「じゃあ逆聞くがな!俺も知り合いが『妻、小学生にな○』ってドラマタイトル見て『ラッキーやんね!』っていうヤツの方がヤベェだろ!?」

インデックス「なんかもうまっぽーだよね。神様も仏様もない」

闇咲「転生に興味があるならば累(かさね)の話でも」

上条「すいませんもう脱線しませんから!そろそろ半分来てんのに全然テーマ触れてないっておかしいからな!」

闇咲「脱線しようが一向に構わないのだが、まぁケルヌンノスは古代ヨーロッパで広く信奉されていた神だ」

上条「へー」

闇咲「以上だ」

上条「解説短っ!?これだけだったらメールで終わるやりとりだろ!?」」

インデックス「えーっとね、こう、ひっじょーに複雑な感じのかみさまなんだよね。なんていったらいいのか、こう、うん」

上条「……なに?なんか言い淀む程度の裏話でもあんの?大きな声で言えないような?」

闇咲「いいや、単純に情報量が少ないんだ」

上条「あれ?でもお前ヨーロッパで広く信仰されていたって」

インデックス「あー、そのね。”けるぬんのす”の名前が一番古く出るのはパリで出土した『船乗りの柱』ってレリーフなんだよ」

闇咲「有角、つまり頭に日本の角を生やし、髭を蓄えた男性として描かれている。製造は紀元前4世紀、だった筈だ」

上条「そうそう、そういう説明!」

闇咲「以上だ」

上条「テンドンやれっつってんじゃねぇわ!?やるなよ!?二回もやったんだからもう一回は絶対にするなよ!?絶対だからなっ!?」

上条「つーかこんだけ濃い格好の神様なんだからあるでしょーがエピソードが!女神攫ったとか蛇食ったとか!そういうのが!」

インデックス「いやぁ……ないんだよね、それが」

闇咲「期待を裏切るようで恐縮だが、ないんだ」

上条「え、なにそれこわい。有名なのに、ないの?」

インデックス「なんていうかな、けるぬんのす自体はそこそこ見つかっているんだよね。似たような響きの”かるのすこす”とか”けんぬんのす”って単語が刻まれてた神像とかね」

闇咲「歴史的に非常に重要な『グンデストルップの大釜』にも、ケルヌンノスだと思われる有角の神が描かれている」

上条「有名なのに、誰も知らない……?」

インデックス「歴史がね、うん。『多分ケルト人のどこかの一派が崇めていた』のは確実なんだけど、失伝しちゃって具体的にどんな神様かは分かっていないんだよ」

闇咲「ただある程度の地域に渡って残されており、有力な神であったのは間違いないとされている。しかしどうだったのかは推測の域を出ない」

上条「あの、サブカル知識でアレなんだけど、『魔法使いの○』ってあるじゃん?」

闇咲「嫁をもった時点で魔法使いではない」

上条「やかましいわ!超ウルッセェよ!だったら俺は魔法使い決定かコラ!?」

闇咲「そういうのもいるんだ。僧職が妻を娶った時点で罪なんだぞ?」

上条「コメント困るんだよ!『あれ?お釈迦様って確か?』とかな!」

インデックス「私もしすたーさんだから立場上、結婚したら続けられないんだよ?」

上条「――なんてことだ……ッ!!!オルソラが嫁になったらシスターさんじゃなくなるなんて!?」

闇咲「イギリス清教は聖職者でも平気だったはずだが……まぁ君たちの修羅場はさておき、ケルヌンノスの話だ」

上条「はい、質問です!なんで正体不明っつーか謎の神様が偉そうにしてるんですかっ!?」

インデックス「かみじょうさんにはあとでお話があるとして、まず残された遺物の中でも大切な位置にいるからかな」

上条「位置?」

闇咲「ケルヌンノスは牡鹿と共に描かれ、彼の眷族もしくは一部が牡鹿と見なされていた」

上条「鹿……あぁ忘れてた!『魔法使○』ので鹿っぽい神様出てたけど、あれなんで鹿?鹿って偉いの?」

インデックス「とうじの食生活っていうか文化かなー。狩猟でとれる牡鹿は大切なタンパク質であるとともに、毛皮も大切にされたんだよ」

上条「ん?食われる方なのに?」

闇咲「『人類に牡鹿を遣わして食べさせてくれる』と、”””推測される”””んだ」

上条「あぁ……その”かもしれない”ってことか?」

闇咲「彼の許しを得られれば彼の眷族である牡鹿を狩れる、という思想だな。まぁそれ自体は珍しくはない」

インデックス「とうまがいつか戦うあるてみすなんかそうだね。狩猟のかみさまであり、かつ獣の神様であるんだよ」

上条「あれ?俺いつのまにかカンピオー○の世界に来てる?」

闇咲「他にもケルヌンノスは様々な動物と共に描かれており、『獣の王』や『冥府の王』とも推測されている」

上条「なんかもう雑になってきたな。『モナリザの腕が欠けてしまったから最高の芸術なんだ』論に近い」

インデックス「あれはあれで主張の一つなんだよ。ただせいさくしゃは『どうせだったら完成したの見て評価して!』ってつよくつよく思ってるんだよ」

上条「まぁケルヌンノスが狩猟の神様っぽいのは理解した。ただ『冥府の王』って超格好いい呼び名はどっから?」

闇咲「彼の眷族に蛇やネズミがいる」

上条「ほう」

闇咲「以上だ」

上条「ホントにテンドンしてんじゃねぇよ!?ここは最後に俺が『なんでしねぇんだよ!?』ってノリツッコミする予定だったにさ!」

インデックス「とうまがじょうちょ不安定なんだよ……や、あのね?そういうものなだよ?こう大昔は文字も何も発達してないから、絵に存在を写し取る的な?」

闇咲「蛇というのが古代において死と再生の象徴とされており、冥府の神であれば共に描かれるのが普通なんだ」

上条「おぉそういうのいいな!もっと前面に出してケルヌンノスをメジャーデビューさせていこうぜ!」

闇咲・インデックス「……」

上条「また地雷踏んだっすね!つーかどこに何があるかわっかんねぇから怖いわ!」

インデックス「えぇとなんだよ、まことにまことに申し上げにくいことなんだけど、けるぬんのすさんは既にめじゃーでびゅーを果たされていまして……」

上条「それもそうか。じゃなかったらメガテ○に出て来ないよな」

インデックス「っていうのもあるんだけどね、こう……いちぶのあほどもに……ッ!!!」 クワッ

上条「インデックスの目が赤く……!?警戒色に!」

闇咲「私もとあるマンガを読んではいるのだが、とある女神とその眷族か伴侶として登場した、ケルヌンノスと思われる牡鹿の神がいただろう?」

上条「いたなぁ妊婦さん」

闇咲「その日はいつか憶えているか?」

上条「憶えているって……クリスマスの直前だったよな?」

闇咲「冬至の日、サマインの日だ」

上条「あー、あったっけ?」

インデックス「ともあれ、けるぬんのすの祭日はさまいんの日で、まぁ魔女的な性に奔放な儀式をするんだって主張する人がいるんだよ!」

上条「ふー……ん?でも失伝してるって」

インデックス「そうなんだよ!その人らは『多分そうなんじゃないかな』って勝手に!既存の!あれやこれやをミックスしてけるぬんのすを崇めはじめたんだよ!」
(※実話です)

上条「……どゆこと?」

闇咲「そうだな、例えるならば前に猪八戒の話をしたろう?『昔は何か意味があったのかもしれないが、今では失われた何か』という話を」

上条「可能性としては牽牛で、しかも鉄関係の……キョウ族?の神様だったかもって話だよな?」

闇咲「それで言うのならば、『猪八戒を豚丼の神様として崇めてみた』という感じか」

上条「超分かんないです」

闇咲「最新の猪八戒は公式声優が石田○でモチーフが牛○」

上条「全部の情報間違ってなくね?石田○さん石田○さんでもB○の方の『最遊○』の石田○さんだよね?」

インデックス「なんていったらいいのか、こう、むかしのかみさまと、それっぽい類似しているのをテキトーにくっつけて信仰し始めたんだよ!」

上条「……新興宗教?」

闇咲「まさにそうだな。ネオペイガニズムとも言う」

上条「誰が何を信仰するのも勝手だけど……酷いの?」

闇咲「是非については言及しない。個人の問題だからな」

闇咲「だがまぁ、歴史的な経緯やら考古学的な検証や裏付けとはかけ離れている、と言っておこう」

インデックス「なんかこうねー、いいとこどりっていうかさー、既存の宗教や神様の解釈をねー、ちょいちょいつまみましたー的な?」

上条「インデックスさんオコってことは、正しくはないと?」

闇咲「ケルヌンノスが”有角”という属性を持っているため、ギリシャ神話の牧童神や異端審問官お馴染みのサバトから取り入れてみたり、まぁ迷走しているなと」

インデックス「なんかもうワヤなんだよ!ぱんはまぁまだ分からなくないけど、さばと自体は十字教史観が大いに入っているから、それを再現したって意味がないんだからねっ!?」

上条「すいませんあの、通訳の方、こちらはなんて?」

闇咲「『ケルヌンノスは有角の神である、そういえばサバトを仕切るレオナルドやバフォメットは有角の悪魔だ』」

闇咲「『――よし!だったらサバトをすればケルヌンノスさんを崇めるのと一緒だな!』」

上条「雑か。全てにおいて雑か」

インデックス「そもそもまじょがりの口実のためにさばとは盛られてるんだからね!?時系列的にも千年近く空いてるんだよ!そこんところ大事でしょ!?」

闇咲「サバト自体は『十字教のタブー』をふんだんに盛り込んでいるため、現実の魔女――薬師の一族の文化を全く考慮していない」

インデックス「特にばふぉめっとはアブラハムの三宗教の最後の預言者○○○○○を貶めた悪魔だから。すたーと地点でフィクションなんだよ」

上条「てか俺がケルヌンノスさんだったらそのアホども全員呪うわ。なんで十字教ない時代の神様が十字教の影響受けてんだよ」

闇咲「価値観の変化というかな。コミュニティの中心が教会だった時代が終わり、誰も彼も好きにやれるようになったと」

上条「既存の宗教じゃダメなのか?もっとこう穏やかなのとか、あんじゃん?」

インデックス「あるんだけどねー……まぁ深く考えない方がいいかも。きっと分からないんだよ」

闇咲「預言者になりたいんだろう、自分だけがお言葉を賜れて信徒を導ける唯一無為の存在。そんな預言者に」

インデックス「要は×××さんなんだよ。ものいわぬちきゅうの悲鳴を聞き取る的な?」

上条「やめなさい!『あぁ……』って俺は思ってない!思ってないからな!」

闇咲「……まぁそういう人間に崇められ、変な風に知名度は高い。だがここで奇しくも彼らが重要な問題提起をしてくれてもいる」

インデックス「それは――『ヨーロッパ(※主にフランスとデンマーク周辺)でけるぬんのすだと言われているモノは本当にけるぬんのすなのか!?』、説……ッ!!!」

上条「役に立ったんだったら――おい待てお前ら今何つった?今まで話ぶち壊しにするような爆弾放り込んでこなかったか?」

闇咲「研究者の中でも議論が分かれている。そしてケルヌンノスはいるのはいるんだが、『別の似たような神じゃね?』と」

上条「あー、すまん。マジで何言ってるのか分からない」

インデックス「じゃあまずここにとりけらとぷすの化石があるとするんだよ。がりあ中心にその一部、角の一部が何本も発掘されてるみたいな」

上条「その話聞くと『結構トリケラっているんだな』って思うよな」

インデックス「でも半世紀ぐらい経ってぎじゅつのしんぽが進んだら、『あれこれとりけらとぷすじゃなくて、似た別の恐竜の骨じゃ……?』って疑惑が」

闇咲「セントロサウルス辺りだな」

上条「やめてあげて!?ケルヌンノスさんが可哀想でしょーが!」

闇咲「カンブリア爆発の例もあるし、大勢の人間が関わって間違えることもある。あまりにも情報量が足りない――上にだ。もっと悪い可能性もある」

上条「き、聞きたくないけど、どんな?」

インデックス「『やーごめんごめん!今までずっととりけらとぷすって言ってた化石なんだけど、これ全部大きめのせんとろさうるすの骨だったみたいなんだよ!』」

闇咲「と、ケルヌンノスが既存の別の神の異名だったという説も」

インデックス「最有力候補としてはでゅおにそすだよね。牡鹿のけんぞくだったりほうじょうのつのがしんぼるだったりするんだよ」

上条「誰か助けてあげてください!?ケルヌンノスさんが救われません!?」

闇咲「少年はデミウルゴスを知っているか?」

上条「知ってるよ!メガテ○からアイン○さんの参謀まで活躍は幅広いぜ!」

闇咲「元ネタは?」

上条「十字教のパチモンって話じゃなかったっけか?」

闇咲「概ね正解。では時期は?」

上条「……つい最近?」

闇咲「一世紀ぐらいには存在し、3世紀から4世紀に全盛を極め、後に十字教同士の抗争に負けて異端とされた」

上条「超古ぃな!?今までバカにしててすいませんでしたデミウルゴスさん!」

インデックス「あとその言い方はちょっと看過できないんだけど……」

闇咲「あとごく稀に、思い出したように議論に登ってくる。主に哲学の分野だが」

インデックス「十字教のぱちもん、っていうか異端扱いなのは間違いないなんだけど、古さからいえばそんじゃそこらの宗教の上を行く訳なんだよね」

インデックス「でもそんなでみうるごすさんも、サブカルやら新興宗教で使われまくって、『ただの胡散臭いパチモン』って扱いになってるんだよ……!」

闇咲「それと同じ扱い、というか同じルートに入っている。もうどうしようもないんだ」

インデックス「ゆーめーな神様だったら『これこれこういう記述があるんだよ!』って証拠が、それこそ山のようにあるんだよ。だからトンデモ論をぶち上げても研究者に鼻で笑われて終わりだったんだけどね」

上条「……ま、真面目な研究者の方は……?」

闇咲「それを期待しよう。ケルト人は一部しか読み書きできず、書物はほぼ残されていないにも関わらず、詳細が記された注釈書か神話一覧が出てくることを」

上条「絶望的じゃないですかやーだー」

インデックス「まぁ十字教圏もかなり長い間、文字は特権階級というか教会側でかんりしてたしね」

闇咲「というか焼いたからな物理的な意味で。キリスト教は迫害されてた時代も長かったが、自分達が多数派・権力者側に回るとより酷い虐殺を繰り返してきた」

インデックス「じょせいでありながら高い見識を持つ新プラトン主義哲学者のヒュパティアさんも、『女のくせに何を言ってるてんだ!』って理由で殺されたんだよ。あと十字教徒ね?そこ大切なんだよ?」

上条「現代の人間が聞けば激怒しそうな内容だよな」

インデックス「ふらんくりん・るーずべるともれいしすと認定されて、像が撤去されはじめたし……うーん?って感じかな。それ選んだ人に責任はないの?って」

闇咲「ともあれケルヌンノスは変な意味で知名度が高い不遇な神である」

インデックス「魔法使いさんのおよめさんでまた広がっちゃったら、うんまぁ、そのびんじょーしょーほーに走る……うんまぁ、しんこうのじゆーなんだけども」

上条「そういう連中全員呪われればいいのにな」

闇咲「――と、ここまでがオカルト”なし”の話だ。”あり”だと少し、いや大分マズい」

上条「あぁ魔術に使われてるってことか?」

インデックス「そうなんだけど、そうじゃなくてね。例えばさ、『新たなる光』のヒトがつかってる霊装で『すっごい力帯』があるんだよ」

上条「そんな名前じゃなかった。もっと格好良い感じのだった」

インデックス「まぁそれは『力持ちのとーるの逸話』を再現した霊装なんだよ。”神様が使っていたっぽいのでぱわーあっぷ!”的な?」

闇咲「類感呪術だ。相手の人形へ針を刺して呪うのと一緒、儀式として模倣することにより力を発揮できる。と、されている」

上条「おまじないだろ。そのぐらいは俺でも分かる、つーかお前らに鍛えられたんだよ!」

闇咲「まぁそれはそれで構わないし、オカルトではなく現実の護符やお守りにも使われている。祝詞も経も十字架も、まぁそうだと言っても過言ではない」

インデックス「ってのは個人の意見であって、私はどうか思わなくないんだけど……それでね、『けるぬんのすってなに?』ってことに戻るんだよね」

上条「当時メジャーだったけど、今はよく分からない神様だろ。ヤマチチみたいな感じ、つったらスケールが違うが」

闇咲「……そんな”よく分からない何か”を御せると思うか?」

上条「あー……!そうだな!ワッケ分からん相手だもんな!」

インデックス「ろまんがあるしきょうみも引かれるし、何よりもよく知られていないから対抗策が取られにくいってめりっともあるんだよ。そこは否定しないのかも」

インデックス「ただねー、どこから来たかも不明だし何を司っていたのも分からない神的存在を、ってのは……しろうとさんにはおすすめしないのかも」

上条「いやまぁ、別にそのぐらいだったら」

闇咲「それだけであればまだマシなんだがな。既存の『冥府の神』の神官の役割の一つにな。間引きと堕胎、あと生贄の選別という通常業務がある」

上条「そんなんばっかだなお前ら!?またそういう話かよ!?」

インデックス「紀元前後の神様なんて荒い荒い。ぜんいんがさっとぅーまーと同じ価値観だったんだよ。いやマジで」
(※死して屍拾うものなし)

闇咲「人類の歴史上、狩猟から農耕へと移行している最中であり、かつ緯度によっては農耕に適さないか不安定な地域も数多くあった」

闇咲「よって余剰人口はどうしたかと言えば……という話だな。文化の話であってそこに是非や善悪は存在しない」

上条「そうかもしんねぇけどさ」

インデックス「めいふの神様はきびしいんだけど、こみゅにてぃの維持のために必要な役割を托されているんだよ。それは絶対に必要なんだからね」

闇咲「――と、いうような背景を持っているかもしれない相手へ対し、安易に力を借りるような発想は難しい」

インデックス「『時価』って書かれたおすしやさんに入るようなもんなんだよね」

上条「みんなも注意してくれよな!軽くマウント取るつもりでも、死んだ後に負債が積み上がってるかもしれないぜ!」

闇咲「特に狩猟神に多い逸話なのだが、気に入られたり気に障ったりして眷族にさせられるケースが多々ある。アルテミスだな」

上条「どっちだよ。罰ゲームなのに」

インデックス「その、けんぞくっていうのがオオカミだったりクマだったり、まぁ人間をやめさせられるんだから……ねっ?っていうか話であって」

インデックス「特に十字教の視点で見れば『獣には神も魂もない』んであり、結果的に超ばつげーむなんだからね!本当に注意するんだよ!」
(※世界の全てが人類のために用意された、という考えが一般的だった)

上条「オカルトありの世界だったら、今崇めている人達はどこに行くんだろう……まぁいいぜ!今回も血なまぐさい嫌な話をありがとう!」

闇咲「なお、これは補足事項なのだが、『コルヌー・コピアイ』。日本語に直訳すれば『豊穣の角』という用語がある」

上条「ツノ?」

インデックス「ぎりしゃしんわのぜうすの育ての母がぜうすからもらったアイテムなんだよ。ぜうすに飲ませていたヤギの乳を与えていたんだけど、その容器はヤギ自身の折った角だったんだね」

インデックス「それをぜうすは返礼として角に花を満たして返し、折れた角からは食べ物があふれ出るようになったんだよ」

闇咲「よってヤギの角は豊穣のシンボルとされ、件のケルヌンノスやデュオニソスの塑像やレリーフにも描かれるようになった」

上条「あー、もしかしてヤギヘッドの悪魔が存在するのって」

インデックス「ぎりしゃしんわを貶めたものなんだよね。異教の神なんだから」

闇咲「ともあれ古代では富の象徴とされており、今でも収穫祭などで描かれたりするのだが――さて、ケルヌンノスと統合された”かもしれない”デュオニソスは元々ギリシャの神ではなかった」

上条「……はい?」

インデックス「よくあるでしょー?他の地域での有力な神様を自分の所の神様だって取り入れるっていう」

上条「孫悟空もそうだったっけな。ハヌマーンがどうって」

闇咲「デュオニソスもそう。元々はオリエント、エジプト・メソポタミア辺りの神だったと言われている」

上条「ふーん。それで?」

インデックス「……ねぇ、とうまってメガテ○のあくまじてんとか見る方?すてーたすにしか興味ないんだよ?」

上条「人を上っ面だけみたいな言い方すんなや!?いつもじゃねぇけど『へー、こんな悪魔いるんだー?』ってそこそこ読むわ!」

インデックス「だったらがねーしゃがどんな”顔”をしているか、分かるんだよね?」

上条「ゾウヘッドだろ?……一瞬『この話の流れだとヤギじゃねぇよな?』って過ぎったが、ゾウだゾウ、エレファントの方」

闇咲「正解だが、全てではない。丁度ここにD○のストレンジジャーニ○がある」

上条「なんで起動したまま持ってんだよ。つーかガネーシャって脱線した話であって、今日の本題とは関係無いだろ?」

インデックス「いいから。みればいいと思うよ?」

上条「見るけどさ。3D○じゃなくてなんで、あ、ガネーシャだよな。青色の顔のゾウさん」

闇咲「他には?」

上条「なんか化粧っぽいのしてる。インド風の、デコのところに宝石つけるの?」

インデックス「他にはないかな?」

上条「他にって言われてもな。ゾウヘッドなのが一番目につくし、他に変ったところがあるんだったら、そうだなー――」

上条「――あ、あった。よくよく見てみるとガネーシャって右側のキバ折れてんじゃん、か……」

上条「……」

上条「折れた、キバ……ツノ――え、いや偶然、だよな?いやマジで、関係ない、んだよな?」

上条「インドの祟り神も兼務してるガネーシャさんの影響がある、とか?影響を与えてるとかないよな?」

闇咲・インデックス「……」 ニチャアァァッ

上条「否定しろやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?なんで繋がってんだよ!気持ち悪いわ!変な所でカルトに利用されてるのまだ同じじゃねぇか!?」

インデックス「――て、ゆうのは流石に冗談なんだよ?両者が影響を受けていると断定できるだけの証拠はないからね?誤解しないようにね?」

闇咲「ただ残されたケルヌンノス像とガネーシャ像の構図が、妙に共通しているのも気にはなる。ただの座像と言われればその通りなんだが」
(※ガネーシャの座像とソックリ)

インデックス「どっちも”角”、有角神としての神性を持ってるからね−。ちいき的にも近いっちゃ近いし」

上条「――はい、っていう訳で本日の闇ちゃんねるはどうでしたでしょうか!今日もなんか這い寄る恐怖を感じましたね!」

上条「良い子の皆さんは決して安易な気持ちで神様とかを信仰しないように!代償が何か分かったもんじゃないからな!」
(※程度による)

上条「本日のお相手は上条”アニメそろそろどうかな!”当麻と!」

インデックス「げすとのきんしょもくろく!」

闇咲「そして暇人の闇咲逢魔がお送りした」

上条「――では皆さんリクエストはもう二度と送ってこないように!絶対にな!絶対だからな!絶対に送ってくるんじゃないぞ本気で答えるんだからこのアホどもは!」

闇咲「次回は『上条当麻、既に竜関係の眷族になってる説』を検証しようと思う」

上条「あれ?俺も実はもうオカルトのカンオケに足突っ込んでる?」


-終-

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