レッサー「アメコミ界のブラックな話!」
――
レッサー「どうも!ヨゴレッサーことヨゴレ仕事がある度に呼ばれるレッサーちゃんですな!」
上条「さすらいのツッコミ職人にして常識人枠の上条当麻です。あとアリサを!アリサさんが居れば俺の出番なくても!」
レッサー「仕事を選り好みしているといざってぇときに困りますよ!今日も張り切って業界の闇を出して幻滅させましょうね!」
上条「そういう裏話は嫌いじゃないんだが、生々しすぎて……」
レッサー「今日もそういう話ですよー!業界のダメな話ですからねー!はりきっていきましょう!」
レッサー「さて!では上条さんに質問です!『キャプテンアメリカ』・『ハルク』・『アイアンマン』・『ブラックパンサー』・『アベンジャーズ』・『Xメン』の原作者ってどなたかご存じですか?」
上条「原作者?作者者じゃなくて?」
レッサー「まぁ正しくは共同開発って形を持っているのもありますがね。それは後述すると致しまして、どれか一作品でも言えます?」
上条「アメリカだとディズニーぐらいしか知らないわ。ウォルト=ディズニーさんだっけか」
レッサー「ディズニーさんも元はイラストというか漫画畑出身ですからね。では本題の回答を致しますと、上に挙げた作品全ては『ジャック=カービー』氏って方ですな」
上条「……はい?マーブルのメインタイトルが一人が原作やってたんだ?へー、そうなんだー、へー」
レッサー「大戦前から生きておられた方なので、今では鬼籍に入っていますね――なお、カービー氏は出版社の方針にぶち切れ、途中でDVコミックスの上へと移籍しています」
上条「何やってんだよマーブル。お前らのカンバン作ってもらった偉大な人間へ対して」
レッサー「なんつーかこれはアメリカ特有の悲しい著作権方が絡んでいましてね。例えば日本の場合ですと基本的に作者が著作権を持ちます」
レッサー「なので作者は自由にキャラクターを描けますし、なんだったら別の出版社で描くことだって出来ると。まぁ仁義的には多少揉めるでしょうが」
上条「まぁそうだろうな」
レッサー「しかしアメリカでは違います。マンガの著作権は出版社か会社に所属しており、例えマンガの原作者であってもキャラクターを使えないんですよ。つーか逆に訴えられます」
上条「最低だなアメリカ!何抉らせたらそうなっちまったんだ!」
レッサー「んー、主体的に担っているのが出版社って考えなんでしょうな。会社側が企画を立ち上げてマンガに依頼して描かせる、だから著作権は会社側にと」
レッサー「まぁゲームとかと同じ考えだと思ってください。『女神転生』シリースの原作者は西谷史先生なのですが、ゲームの著作権はアトラスが持ってるのと同じです」
(※少しはギャラ入ってるらしいですが)
上条「そう考えると……まぁクリエイターの立場が良くなるんだったら」
レッサー「いえ、アメリカの場合ですと超弱いです。なのでカービー先生は何回か出版社移籍していますし」
上条「どうしてそんなキッツイ条件になっちまったんだよ」
レッサー「まず80年ぐらい前の初代スーパーマンの話になりますけど、当時描いてたマンガ家は一ページいくらだったと思います?」
上条「物価が分からんけど100ドルぐらい?」
レッサー「いえ10ドルだそうです。なおそれで出版社側が上げた利益は”年間”95万ドルだったそうで」
上条「うっわー……スーパーマンさんバカじゃねぇのか。同性愛者を助ける前に自分達の親助けろよ」
レッサー「1909年制定された著作権法だとそうだったんですよ。そんなクリエイター不遇の時代は長く、76年に改正されたんですがそれはそれでザルでした」
上条「どうザルいの?」
レッサー「『特別な事情がない限りは作者に著作権がある』――つまり、最初の段階で出版社側が、マンガ原作者へ『著作権は出版社にあります!』と契約させれるんですわ。てか今のマーブルとDCはこれやってます」
上条「うわ最悪だ!それだったら『ウチで連載したいんだったら……分かるね?』みたいな超パワハラじゃんか!」
レッサー「ちなみに大手両社で成功したクリエイターが待遇を嫌って独立系の出版社へ移籍したりもしているんです。イメージ社っていう第三のアメコミ大手です」
レッサー「そこじゃ日本と同じで作者に著作権がある感じでやってんですが、多少運営がアホがもたつきもしましたけど、今ではどうにかそこそこ軌道に乗っています」
上条「俺が知ってそうなのってある?」
レッサー「『スポーン』と『ウォーキングデッド』ですかね。後者はドラマで超ヒットしてますか」
上条「あれマンガ原作だっんだ!?うわ、知らなかったわー」
レッサー「んで更に二大出版社はそれぞれがディズニー・ワーナーと契約しておりまして。作者置いてきぼりで会社優先と私は見る運用をしている状態ですな」
上条「それ、何とかならないのか?」
レッサー「ご存じの通り、マーブルの親会社ディズニーは世界最悪の超著作権ゴロですからね。版権の切れた童話のキャラクター引っ張って来て、自分のところでキャラクター化して他には絶対に使わせないっていう」
レッサー「詳しくは『くまのプーさん』で調べてみてください。不買運動起こされても文句言えないレベルの酷さですんで」
上条「えっと、質問なんだけどさ。原作者が著作権持ってないのに、どうやって出版社が新シリーズ出せるんだ?日本だと故人のアシスタントさんが、っていう話はあっけど」
レッサー「そこは別のマンガ家さんに依頼します。出版社がどういう方向性にするのかを決め、そこにマンガ家がマンガ描いて売ってって感じです。『シェアード・ワールド』ってやつですな」
上条「今までそれで売ってきたんだから、成功はしてるんだろうが……あぁ日本でもドラゴンボールやってんだっけ」
レッサー「あれは原作者が鳥山明先生でとよたろう先生の原稿をネームの段階でチェックして出しています。そして著作権は鳥山先生がお持ちですしね」
レッサー「んでアメコミの場合、長年権利を嵩に、というかまぁ競合他社を出版力の力ですり潰していた二大大手ですけど、2000年代へ入って陰りが見えてきましてね」
上条「陰り?」
レッサー「はいな。余所の国のメディア、ヤポンのマンガとEUのバンデシネが入って来まして、『あれこれ俺らのコミックってガキが読むもんじゃね?』と気づきだしました」
上条「ばんでしねってなに?」
レッサー「フランス・ベルギー圏で出版されているコミックス群ですな。『タンタンの冒険』やカルト的な方面では『ヨーコ・ツノの冒険』っていう日本人主人公のものもあります」
上条「タンタンは聞いて事あっけど、へーそんなんやってたんだ」
レッサー「んでアメコミの話に戻しますけど構造的な問題が出てきましてね、『編集何やってんだバカ』問題……ッ!」 クワッ
上条「あー……スーパーマンさんがKKKと戦ったり、息子さんがゲイになったりするやつか」
レッサー「日本のマンガ・ラノベ界でしばしば議論になる、『作者の主義が嫌だけど作品は読んでいいもんだろうか?』問題にも通じますな」
レッサー「政治的なスタンスやツイッターでの言動が違うため、作品はどうしたもんか的な話。上条さんはどっち派ですか?読む派?読まない派?」
上条「あー、特に考えたことはないな。てか作者の言動をググったりしてないし、特に気にしてない」
レッサー「それが一番健全かもしれませんね。ちなみに私は読まない派です」
上条「それはそれでどうかと……」
レッサー「いや何読むか読まないかは個人の自由じゃないですか?てかそもそも主義主張は政治的な話もあれば、コーヒーの煎れ方まで多岐に渡ります。合致していないから読め、というのは暴露かと」
上条「娯楽で楽しんでんだしな。読む自由もあれば読まない自由もある」
レッサー「――と、今上条さんが仰ったことをアメリカのユーザーさんがやってるようで。結果として部数を減らしていますよね」
上条「まぁそれも自由だしな」
レッサー「そんでまたこれは先週のニュースですけど、ヤポンでアメコミの輸入・翻訳を大手出版社が営業不振からアメコミの輸入を打ち切ることになりました!はい残念!現実はこうですから!」
(※マシです)
上条「死体蹴りはやめなさいよ」
レッサー「なんつーか今までは出版社がやや抉らせて政治的な主張をぶっ込んできたんですよ。文字通り権利的にも会社の持ち物ですんで、躊躇いもせずにですね」
上条「それ……非難されないか?政治の話っていっても白か黒かで割り切れない話だって一杯あんだろ?」
レッサー「だから『政治的に正しい』ですな。私も否定はしませんよ?しませんがお腹一杯ってのが正直です」
レッサー「ともかくと致しましてー、結果的に二大大手は囲い込みと独占でコミック界を牛耳ってきた訳なんですな。大手流通で大量に物品を捌きつつ、マルチメディア展開でゲームやアニメに実写と大盤振る舞い」
レッサー「……が、まぁ他の国のアニメやらゲームが入って来ましてね。『えっ?俺たちいつまでスーパースーパー言ってればいいの?』と」
上条「息の長いコンテンツだなーって思ってたんだが、順序が逆か。成功体験から抜け出せられないのか」
レッサー「日本に例えるならば、『いつまで現役やってんだ仮面ライダー』ですな。私は超好きですけども」
上条「正直話聞いてて思ったんだけどさ?同じライダーでも原作か原作者が関わってれば、まぁまぁ分からないでもないんだよ」
レッサー「かれこれ21年連載している仮面ライダー・スピリッツとかありますよね」
上条「原作へ対してリスペクトしつつ、ちゃんとスタッフか原作持ちに近い人間がチェックするってのは」
上条「あー、富樫先生の『HUNTER×HUNTER』を別の人が描いたとするよな?もしも日本でも出版社が権利持ってた場合にはだが」
レッサー「まぁ確実にそうするでしょうねぇ。アメコミだったら富樫先生は巨額の賠償金喰らってると思いますし」
上条「けど他の人が描いたHUNTER×HUNTERって、完全な別モンになるだろ?」
レッサー「作者の人間性や人格はさておきまして、つーか可能性として難病かもしれませんが――まぁ、そうですね。富樫先生は日本の一流のクリエイターなのは間違いないと思います。人格は別にして、ですが」
上条「だから別人に描かせても前ほどの勢いはなくなるか、適当に濁した感じになって終わりそうな気がする」
レッサー「これ20年以上前にエヴァンゲリオンが流行った際、映画版で製作がキャラクターを皆殺しにしたのが物議になりましてね」
上条「トンデモで終わったよな。男女二人だけ、しかも人類屈指のコミュ障が二人残ってもな……!」
レッサー「その際に『るろうに剣心』の和月先生が『原作者がここまで自身のキャラクターに愛情を持たないのは凄い』と仰っていました」
(※主旨です)
上条「別に生存してりゃいいってもんでもねぇが、扱いはあんまりだろ的なのは多々あったよな」
レッサー「んでアメコミの出版社側は作品へ対して愛着もクソもねーんじゃねぇかって思います。どれだけババ引こうが、悪名は担当のマンガ家に押しつけ、自分達はビッグネームを保持したまま新シリーズすりゃいいやって」
上条「出版業で喰ってんだから、その態度も間違いじゃないけども……」
レッサー「まぁファンからすれば、ですがね。”それしかない”時代であれば良いも悪いもなかったのでしょうけど、今じゃ英語だけ読めれば世界中のマンガがある程度読める時代ですし」
上条「現状を打破するのには……?」
レッサー「どうしようもないと思います。だって数字は取れていますし、成功はしているのは間違いない」
レッサー「なんといっても映画会社の傘下にある以上、映画を売るためには原作ブランドが必須です――とはいえ」
レッサー「関係性自体は雇用主と下請け、ぶっちゃけ親会社は『最悪マーブル・DCがダメになったんだったら切ればいいや』的なのも事実でして」
レッサー「図らずも出版社とマンガ家の関係を、今度は逆の立場で味わうことになっています」
レッサー「まだ……相手がワーナーのDCの方が多少自由度があると言えなくもないですが……」
上条「夢と希望に溢れる世界なのに、中身は予想以上に辛かった件について!」
レッサー「10年……いや、早ければその半分ぐらいで凋落が始まるかと。一定のファン層は見捨てないでしょうが、その分だけ運営が”気づく”のに時間がかかると思いますし」
レッサー「仮に気づいたとしても、今までずっとそれで通してきたレギュラーキャラのゴリ押し以外は何もできないかと」
上条「ディズニーと組んだんだったらもう安泰じゃねぇの?」
レッサー「三ヶ月ぐらい前に魔女ババアの実写映画封切りしたんですが……『未来に生きてるな!』って感想でしたよ?」
上条「何があったんだよディズニー。逆に見たいわ」
レッサー「と、いう訳でアメコミ業界の闇はこのぐらいで!一番ブラックなのかマンガ家だってのは笑える話ですよね!」
(※イギリスもほぼ同様の法律があり、かつアメコミも市場が狭いので作家さんは悲惨)
上条「日本に生まれて良かったよな!それじゃまた!」
-終-
(※ちなみにアメコミの大手のやってることをスケールダウンすると、日本のテレビ局がやってる映画ゴロと同じになります)
【パンドラの筺に入ってたモノ一覧】(2022/12月時点)
・ブリジッ○さん
・ビキニアーマー
・ショ×
・ロ×
・スーパーマ○
・やおい
・ふたな×
・ケモナー
・マンガ原作者のゴミのような扱い
レッサー「どうも!ヨゴレッサーことヨゴレ仕事がある度に呼ばれるレッサーちゃんですな!」
上条「さすらいのツッコミ職人にして常識人枠の上条当麻です。あとアリサを!アリサさんが居れば俺の出番なくても!」
レッサー「仕事を選り好みしているといざってぇときに困りますよ!今日も張り切って業界の闇を出して幻滅させましょうね!」
上条「そういう裏話は嫌いじゃないんだが、生々しすぎて……」
レッサー「今日もそういう話ですよー!業界のダメな話ですからねー!はりきっていきましょう!」
レッサー「さて!では上条さんに質問です!『キャプテンアメリカ』・『ハルク』・『アイアンマン』・『ブラックパンサー』・『アベンジャーズ』・『Xメン』の原作者ってどなたかご存じですか?」
上条「原作者?作者者じゃなくて?」
レッサー「まぁ正しくは共同開発って形を持っているのもありますがね。それは後述すると致しまして、どれか一作品でも言えます?」
上条「アメリカだとディズニーぐらいしか知らないわ。ウォルト=ディズニーさんだっけか」
レッサー「ディズニーさんも元はイラストというか漫画畑出身ですからね。では本題の回答を致しますと、上に挙げた作品全ては『ジャック=カービー』氏って方ですな」
上条「……はい?マーブルのメインタイトルが一人が原作やってたんだ?へー、そうなんだー、へー」
レッサー「大戦前から生きておられた方なので、今では鬼籍に入っていますね――なお、カービー氏は出版社の方針にぶち切れ、途中でDVコミックスの上へと移籍しています」
上条「何やってんだよマーブル。お前らのカンバン作ってもらった偉大な人間へ対して」
レッサー「なんつーかこれはアメリカ特有の悲しい著作権方が絡んでいましてね。例えば日本の場合ですと基本的に作者が著作権を持ちます」
レッサー「なので作者は自由にキャラクターを描けますし、なんだったら別の出版社で描くことだって出来ると。まぁ仁義的には多少揉めるでしょうが」
上条「まぁそうだろうな」
レッサー「しかしアメリカでは違います。マンガの著作権は出版社か会社に所属しており、例えマンガの原作者であってもキャラクターを使えないんですよ。つーか逆に訴えられます」
上条「最低だなアメリカ!何抉らせたらそうなっちまったんだ!」
レッサー「んー、主体的に担っているのが出版社って考えなんでしょうな。会社側が企画を立ち上げてマンガに依頼して描かせる、だから著作権は会社側にと」
レッサー「まぁゲームとかと同じ考えだと思ってください。『女神転生』シリースの原作者は西谷史先生なのですが、ゲームの著作権はアトラスが持ってるのと同じです」
(※少しはギャラ入ってるらしいですが)
上条「そう考えると……まぁクリエイターの立場が良くなるんだったら」
レッサー「いえ、アメリカの場合ですと超弱いです。なのでカービー先生は何回か出版社移籍していますし」
上条「どうしてそんなキッツイ条件になっちまったんだよ」
レッサー「まず80年ぐらい前の初代スーパーマンの話になりますけど、当時描いてたマンガ家は一ページいくらだったと思います?」
上条「物価が分からんけど100ドルぐらい?」
レッサー「いえ10ドルだそうです。なおそれで出版社側が上げた利益は”年間”95万ドルだったそうで」
上条「うっわー……スーパーマンさんバカじゃねぇのか。同性愛者を助ける前に自分達の親助けろよ」
レッサー「1909年制定された著作権法だとそうだったんですよ。そんなクリエイター不遇の時代は長く、76年に改正されたんですがそれはそれでザルでした」
上条「どうザルいの?」
レッサー「『特別な事情がない限りは作者に著作権がある』――つまり、最初の段階で出版社側が、マンガ原作者へ『著作権は出版社にあります!』と契約させれるんですわ。てか今のマーブルとDCはこれやってます」
上条「うわ最悪だ!それだったら『ウチで連載したいんだったら……分かるね?』みたいな超パワハラじゃんか!」
レッサー「ちなみに大手両社で成功したクリエイターが待遇を嫌って独立系の出版社へ移籍したりもしているんです。イメージ社っていう第三のアメコミ大手です」
レッサー「そこじゃ日本と同じで作者に著作権がある感じでやってんですが、多少運営がアホがもたつきもしましたけど、今ではどうにかそこそこ軌道に乗っています」
上条「俺が知ってそうなのってある?」
レッサー「『スポーン』と『ウォーキングデッド』ですかね。後者はドラマで超ヒットしてますか」
上条「あれマンガ原作だっんだ!?うわ、知らなかったわー」
レッサー「んで更に二大出版社はそれぞれがディズニー・ワーナーと契約しておりまして。作者置いてきぼりで会社優先と私は見る運用をしている状態ですな」
上条「それ、何とかならないのか?」
レッサー「ご存じの通り、マーブルの親会社ディズニーは世界最悪の超著作権ゴロですからね。版権の切れた童話のキャラクター引っ張って来て、自分のところでキャラクター化して他には絶対に使わせないっていう」
レッサー「詳しくは『くまのプーさん』で調べてみてください。不買運動起こされても文句言えないレベルの酷さですんで」
上条「えっと、質問なんだけどさ。原作者が著作権持ってないのに、どうやって出版社が新シリーズ出せるんだ?日本だと故人のアシスタントさんが、っていう話はあっけど」
レッサー「そこは別のマンガ家さんに依頼します。出版社がどういう方向性にするのかを決め、そこにマンガ家がマンガ描いて売ってって感じです。『シェアード・ワールド』ってやつですな」
上条「今までそれで売ってきたんだから、成功はしてるんだろうが……あぁ日本でもドラゴンボールやってんだっけ」
レッサー「あれは原作者が鳥山明先生でとよたろう先生の原稿をネームの段階でチェックして出しています。そして著作権は鳥山先生がお持ちですしね」
レッサー「んでアメコミの場合、長年権利を嵩に、というかまぁ競合他社を出版力の力ですり潰していた二大大手ですけど、2000年代へ入って陰りが見えてきましてね」
上条「陰り?」
レッサー「はいな。余所の国のメディア、ヤポンのマンガとEUのバンデシネが入って来まして、『あれこれ俺らのコミックってガキが読むもんじゃね?』と気づきだしました」
上条「ばんでしねってなに?」
レッサー「フランス・ベルギー圏で出版されているコミックス群ですな。『タンタンの冒険』やカルト的な方面では『ヨーコ・ツノの冒険』っていう日本人主人公のものもあります」
上条「タンタンは聞いて事あっけど、へーそんなんやってたんだ」
レッサー「んでアメコミの話に戻しますけど構造的な問題が出てきましてね、『編集何やってんだバカ』問題……ッ!」 クワッ
上条「あー……スーパーマンさんがKKKと戦ったり、息子さんがゲイになったりするやつか」
レッサー「日本のマンガ・ラノベ界でしばしば議論になる、『作者の主義が嫌だけど作品は読んでいいもんだろうか?』問題にも通じますな」
レッサー「政治的なスタンスやツイッターでの言動が違うため、作品はどうしたもんか的な話。上条さんはどっち派ですか?読む派?読まない派?」
上条「あー、特に考えたことはないな。てか作者の言動をググったりしてないし、特に気にしてない」
レッサー「それが一番健全かもしれませんね。ちなみに私は読まない派です」
上条「それはそれでどうかと……」
レッサー「いや何読むか読まないかは個人の自由じゃないですか?てかそもそも主義主張は政治的な話もあれば、コーヒーの煎れ方まで多岐に渡ります。合致していないから読め、というのは暴露かと」
上条「娯楽で楽しんでんだしな。読む自由もあれば読まない自由もある」
レッサー「――と、今上条さんが仰ったことをアメリカのユーザーさんがやってるようで。結果として部数を減らしていますよね」
上条「まぁそれも自由だしな」
レッサー「そんでまたこれは先週のニュースですけど、ヤポンでアメコミの輸入・翻訳を大手出版社が営業不振からアメコミの輸入を打ち切ることになりました!はい残念!現実はこうですから!」
(※マシです)
上条「死体蹴りはやめなさいよ」
レッサー「なんつーか今までは出版社がやや抉らせて政治的な主張をぶっ込んできたんですよ。文字通り権利的にも会社の持ち物ですんで、躊躇いもせずにですね」
上条「それ……非難されないか?政治の話っていっても白か黒かで割り切れない話だって一杯あんだろ?」
レッサー「だから『政治的に正しい』ですな。私も否定はしませんよ?しませんがお腹一杯ってのが正直です」
レッサー「ともかくと致しましてー、結果的に二大大手は囲い込みと独占でコミック界を牛耳ってきた訳なんですな。大手流通で大量に物品を捌きつつ、マルチメディア展開でゲームやアニメに実写と大盤振る舞い」
レッサー「……が、まぁ他の国のアニメやらゲームが入って来ましてね。『えっ?俺たちいつまでスーパースーパー言ってればいいの?』と」
上条「息の長いコンテンツだなーって思ってたんだが、順序が逆か。成功体験から抜け出せられないのか」
レッサー「日本に例えるならば、『いつまで現役やってんだ仮面ライダー』ですな。私は超好きですけども」
上条「正直話聞いてて思ったんだけどさ?同じライダーでも原作か原作者が関わってれば、まぁまぁ分からないでもないんだよ」
レッサー「かれこれ21年連載している仮面ライダー・スピリッツとかありますよね」
上条「原作へ対してリスペクトしつつ、ちゃんとスタッフか原作持ちに近い人間がチェックするってのは」
上条「あー、富樫先生の『HUNTER×HUNTER』を別の人が描いたとするよな?もしも日本でも出版社が権利持ってた場合にはだが」
レッサー「まぁ確実にそうするでしょうねぇ。アメコミだったら富樫先生は巨額の賠償金喰らってると思いますし」
上条「けど他の人が描いたHUNTER×HUNTERって、完全な別モンになるだろ?」
レッサー「作者の人間性や人格はさておきまして、つーか可能性として難病かもしれませんが――まぁ、そうですね。富樫先生は日本の一流のクリエイターなのは間違いないと思います。人格は別にして、ですが」
上条「だから別人に描かせても前ほどの勢いはなくなるか、適当に濁した感じになって終わりそうな気がする」
レッサー「これ20年以上前にエヴァンゲリオンが流行った際、映画版で製作がキャラクターを皆殺しにしたのが物議になりましてね」
上条「トンデモで終わったよな。男女二人だけ、しかも人類屈指のコミュ障が二人残ってもな……!」
レッサー「その際に『るろうに剣心』の和月先生が『原作者がここまで自身のキャラクターに愛情を持たないのは凄い』と仰っていました」
(※主旨です)
上条「別に生存してりゃいいってもんでもねぇが、扱いはあんまりだろ的なのは多々あったよな」
レッサー「んでアメコミの出版社側は作品へ対して愛着もクソもねーんじゃねぇかって思います。どれだけババ引こうが、悪名は担当のマンガ家に押しつけ、自分達はビッグネームを保持したまま新シリーズすりゃいいやって」
上条「出版業で喰ってんだから、その態度も間違いじゃないけども……」
レッサー「まぁファンからすれば、ですがね。”それしかない”時代であれば良いも悪いもなかったのでしょうけど、今じゃ英語だけ読めれば世界中のマンガがある程度読める時代ですし」
上条「現状を打破するのには……?」
レッサー「どうしようもないと思います。だって数字は取れていますし、成功はしているのは間違いない」
レッサー「なんといっても映画会社の傘下にある以上、映画を売るためには原作ブランドが必須です――とはいえ」
レッサー「関係性自体は雇用主と下請け、ぶっちゃけ親会社は『最悪マーブル・DCがダメになったんだったら切ればいいや』的なのも事実でして」
レッサー「図らずも出版社とマンガ家の関係を、今度は逆の立場で味わうことになっています」
レッサー「まだ……相手がワーナーのDCの方が多少自由度があると言えなくもないですが……」
上条「夢と希望に溢れる世界なのに、中身は予想以上に辛かった件について!」
レッサー「10年……いや、早ければその半分ぐらいで凋落が始まるかと。一定のファン層は見捨てないでしょうが、その分だけ運営が”気づく”のに時間がかかると思いますし」
レッサー「仮に気づいたとしても、今までずっとそれで通してきたレギュラーキャラのゴリ押し以外は何もできないかと」
上条「ディズニーと組んだんだったらもう安泰じゃねぇの?」
レッサー「三ヶ月ぐらい前に魔女ババアの実写映画封切りしたんですが……『未来に生きてるな!』って感想でしたよ?」
上条「何があったんだよディズニー。逆に見たいわ」
レッサー「と、いう訳でアメコミ業界の闇はこのぐらいで!一番ブラックなのかマンガ家だってのは笑える話ですよね!」
(※イギリスもほぼ同様の法律があり、かつアメコミも市場が狭いので作家さんは悲惨)
上条「日本に生まれて良かったよな!それじゃまた!」
-終-
(※ちなみにアメコミの大手のやってることをスケールダウンすると、日本のテレビ局がやってる映画ゴロと同じになります)
【パンドラの筺に入ってたモノ一覧】(2022/12月時点)
・ブリジッ○さん
・ビキニアーマー
・ショ×
・ロ×
・スーパーマ○
・やおい
・ふたな×
・ケモナー
・マンガ原作者のゴミのような扱い