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Clock(trial)

レッサー「誰でも分かる現代戦車用法……ッ!」

 
――とある酒場

海原「……」 キュッキュッ

上条「――マスター、一番強いのを」

海原「……飲み過ぎじゃないですかね」

上条「いいんだよ!俺だって飲みたい時ぐらいあるんだ!」

海原「炭酸水ばっか飲まれても、その、単価が低すぎてお話にならないっていいますか……」

上条「一番強いヤツだ!ストロン○を持って来い!」

海原「ウィ○の方が体感的に強いっちゃ強いですが、どっちもほぼ誤差レベルです……どうぞ」

上条「――ぷはっ!マスターおかわり!」

海原「帰ってください。バイト先にまで押しかけてきて、一体自分に何の恨みがあるんですか」

上条「……聞いてくれるか海原!俺のこの悲しみを!」

海原「あ、興味ないんでいいです」

上条「なぁ知ってるか?――心霊スポットで怖いのは、オバケよりもDQNだってことを……!」

海原「大体の方は知ってますね。生きてる人間の方が普通に害がありますからね」

上条「そして次に怖いのは占有屋と称して勝手に住み着いてる人たちがアンタッチャブル過ぎてね……ッ!」
(※占有屋=ヤ××に雇われて物件に住むお仕事の人)

海原「おっとなんかちょっと興味出て来ましたね。一体どこで何やってきたんですかあなた」

上条「――俺は、旅に出たんだ」

海原「ご近所ウロウロしてましたよね?ARISAさんの事務所へ勝手に住み着いたり、商業区のビジネスホテルへ遊びに行ったりと充実していましたよね?」

上条「……いやそれがだな。流石にルームサービス頼みすぎたら、金額がヤヴァイことになっちなってな」

海原「いや、それはおかしいですよ。高級ホテルとかだったらまだ分かりますが、ビジネスホテルだったらたかが知れてるじゃないですか」

上条「途中からインデックスと合流して悪ノリでつい……」

海原「あー……ちなみにどれぐらいで?」

上条「えっと……これだけ。端数切り捨てで」 キュッ

海原「二桁は流石に悪すぎますよ」

上条「あぁうんだからな?俺も流石に反省して、週末は闇咲の仕事の手伝いをロハでだな」

海原「成程。でも上条さんだったらプラスマイナスで、大幅にお得になりますよね。『右手』があれば大抵は解決しますし」

上条「うん、俺も正直調子ぶっこいてそう思ってたんだ。『迷惑かけちっゃたけど、収支でプラスにしてすれば問題なし!』的な」

海原「ならいいじゃないですか。自分だって、まぁ許すと思います」

上条「闇咲がなぁ……あのポーカーフェイスで、実は起ってたらしくてなぁ……」

海原「怖っ!?激怒させる方が難しいと思いますよ!」

上条「本人は全然怒ってないって言ってたんだけど……そのバイトの内容が、幽霊じゃなくてヤ××の手の入ってる物件の整理って、どう考えてもおこだよな?」

海原「学生を連れて行く時点でどうかと思います。なんで能力を有効活用しないのかと」

上条「まぁでも勉強にはなったさ!ホームレスのおっちゃん達とも仲良くなったし!」

海原「相変わらずコミュニケーション能力が振り切ってますよね。羨ましくはそんなにないですけど」

上条「そして色々あってムシャクシャしてたから、途中から殴り合いになるのも楽しくなって……!」

海原「上条さん病気では?お大事になさってくださいね?」

上条「――と、いう訳で人気投票ぶっ潰そうと思うんだけど、海原も手伝ってくれるよなぁ?」 ニチャアァッ

海原「まだ諦めてなかったんですか!?もう何か三週に渡って引っ張るようなネタじゃないでしょうが!?」

上条「俺らでさぁ?ランキングの上位狙えば、なっ?分かるだろ?」

海原「デスゲームにありがちな悪役ですね。他の参加者を襲撃して、大抵主人公に返り討ちされて惨たらしい死に方するタイプ」

上条「俺は必死なんだよ!?この頑張り次第で『運営・やっぱり前のは票持ってた疑惑』が確定するかどうかの瀬戸際なんだぞ!?」

海原「自分としては底上げされる分には嬉しいと思います。そして今回は特典が容赦なさ過ぎるため、自分達男性キャラには不利すぎます」

上条「俺だってそう思ったさ!でも一方通行がいるんだぞ!?あいつだけ男キャラで入るとかありそうじゃね!?」

海原「落ち着いて下さい!ここで愚痴っても仕方がないじゃないですか!」

海原「現実を見てくださいよ!今更何をどうしても得票は変らないですし、あとは静かに結果発表を待つ他に何があるっていうんですか!」

上条「……ふっ、俺には秘策があるぜ!実はその手のプロと待ち合わせてしてるんだ!」

海原「帰れよ。炭酸の残りやっから帰れ」

カランコロンッ

上条「『――いらっしゃいませーこんにちはー!お一人様ですかー?お友達いないんですねー!』」

海原「なんで勝手に接客してるんですか!?しかもただの侮辱ですよねそれ!?」

レッサー「――マスター、こちらのボーイにフィッシュ&チップスを!」 スッ

上条「すごく……油っぽいです……!」

海原「またなんか変な客が……!」

上条「よく来てくれたレッサー!俺にはお前の力が必要なんだ!」

レッサー「おぉっと高評価じゃないですか私!ついに入っちゃいましたか私の個別ルート!CG24枚が火を吹きますよ!」
(※”銃騎士 24枚 詐欺”でググってみよう)

上条「余計な事やらせたら世界一のイギリスが生んだ麒麟児!地味な嫌がらせをネチネチさせたらお前に並ぶ者はいないよな!」

レッサー「やだなーそれほどでもないですな!誉められてる気が全くしませんが!あ、何か涙出てきましたねっ!」

海原「あの、上条さん……?そちらは?」

上条「『明け色の陽射し』のレッサーだ!」

レッサー「そうですね!『新たなる光』なんて知らない子ですね!」

海原「いや、ご活躍含めて知ってますけど。ではなく、どうしてこちらをお呼びに……?」

上条「……なぁ海原、こんな話を知ってるか?少し前に映画もプロモも兼ねてた人気投票が潰されたって話を」

海原「コナ○君さんですよね?理想の花嫁がどうって一部のアレな人間の琴線に触れて、でしたっけ。謎の炎上の仕方を」

上条「まぁ多分アレ案件だとは思うんだが――俺は悟った!『あ、これ俺らも炎上すれば人気投票自体ポシャるんじゃね?』ってな……ッ!!!」

海原「な、なんて怖ろしいことを!?」

上条「そして俺には強力な味方が出来た――レッサー、君に決めたっ!」

レッサー「ハイホー!」

上条「レッサー、得意の『炎上発言』だ!」

レッサー「私にお任せあれ!――『パッフェ○さんは非処×』!!!」
(※サモンナイ○公式小説設定)

海原「止めてくださいよ!?あなたそれただの自爆テロと何が違うっていうんですか!?」

上条「くっくっくっく……!怨むのなら公式を怨むがいい!俺はもう止まらんぞ!」

海原「誰か、誰か心ある存在はいないのですか……ッ!?」

レッサー「てか、私思ったんですけどちょっといいですか?」

上条「どうした我がポケモ○よ!デジモ○みたいにメシでも喰いたいのか!」

レッサー「あのシステムいまだに慣れないんですよね。特もウン×の世話をブリーダーがするトコ、デジタルなのにアナログっていう」

レッサー「ではなくてですね。今回の人気投票の特典ってもう発表されてからかなり経つじゃないですか?正味二ヶ月ぐらい?」

上条「それがなんだね!?」

レッサー「その間スルーされてるって事は、今更多少炎上させようとしたってしねーと思います。するんだったらとっくにしてますし」

上条「ば、バカな!?」

海原「まぁ、そうですよね」

レッサー「あとコナ○君さんが潰されたのって、フェ×キ×団体がマウント取りで仕掛けたと思われます。直前に赤○先生が『お話聞かせて?』とガチろうと危機感持ってたんじゃないですかね」

レッサー「よってこれ出てる頃には選挙モード入ってますしー?我々の相手なんてしてる暇はないと思います」

上条「――絶望した!政治絡みで動く団体に絶望した!」

海原「まぁ、それ言うんだったら『コナ○君で大騒ぎするのに、ウクライナではピクリとも動かない』って時点で……恣意的というか」

上条「対象を変えようか?KADOKAW○相手だったらワンチャンあるかも!」

レッサー「相手が超わりーですな。あそこ結構ケンカ上等なんで」

上条「マスター、残りのボトルはキープで」

海原「炭酸水を?確実に気が抜けてただの水になってますけど?」

レッサー「あと天然水は腐りやすいんで開封したら即飲んだ方がいいですな」



――とあるVRスタジオ

上条「……なにココ……?」

レッサー「ここはとあるVRスタジオ――別名『セ×××しないと出られない部屋』……ッ!」

上条「望むところだわー、健全な男子高校生だったら受けて立つわー」

レッサー「――グダグダ抜かすな!新兵どもは口からク×たれる前にサーをつけなさい!サーを!」

上条「イエッサー!」

レッサー「誰がサーですか私はレッサーちゃんですけど!?」

上条「情緒不安定か。お前がつけろって言ったんだよ」

レッサー「『――サー!』」

上条「細かすぎて元卓球少女のあの子のモノマネだって気づけない……!」

レッサ−「サー……あー……」

上条「なんだよ」

レッサー「ルルーシ○関係でボケようと思ったんですが、上条さんが拾えないと困るので……」

上条「ボケる必然性がないわ。あとルルーシ○さんは、えっと知ってるよ!女子同士の友情のお話だって!」

レッサー「『幼○戦記』の方が描いてるスピンオフですね。原作にクソほどもご興味がないご様子で安心しました」

上条「嫌いって訳じゃなくて『どこから手をつけたらいいのか分からない』って初心者あるある……」

レッサー「最新作のガンダ○の名前は言えるけど、キャラクターは誰も知らないって人もまぁ、いなくはないので」

上条「てゆうか異議がある!今週の企画の被害者が俺一人だなんておかしいぞ!レッサーをモルグへ送ってアリサを召喚したい!」

レッサー「いえアリサさんは事務所のお仕事で別撮りしてます。PVですね」

上条「ズッリィな!俺もそっち行きたかったぜ!」

レッサー「あの、みんなのう○の『月の踊り○』ってPVがあるんですよ。あれがまた曲・動画共に絶品でしてね。可愛かったらしいんですよ、そのアニメが」
(※フルバージョンはちょっと感動する)

上条「へー、あぁそれでアリサも『ウチもやろうよ!」って?」

レッサー「はい、ですんで新進気鋭のアーティストをお呼びして今頃撮影かと」

上条「……その方のお名前はなんて?」

レッサー「KINU-HATAさんですね」

上条「良かった……!俺今日こっちの仕事で絶対に正解だったありがとう神様!」

レッサー「ちなみにアリサさんから来た最後のメールが『単位が違うんだよ、”何匹超出しましょうか?”って!』とのことで」

上条「サメだろ。もしくはエイリア○かプレデタ○。新作出るしな」

レッサー「もうすぐ狂気のサメマラソンもするそうです。夏ですしね」

上条「サメって夏……あぁまぁビーチで襲われる関係上、夏以外には出にくいか」

レッサー「まぁ時間余ったら向こうに合流しますけど!今は目の前の企画に全力で取り組んでくださいな!」

上条「あっちが終わるまでダラダラ時間潰そうと思う。てかここアリサとイメージビデオ底辺をお見舞いされたスタジオなんだが……」

レッサー「今回は何かと話題になっている戦車についてです!」

上条「なんでだよ。東欧以外ではそんなにホットな話題って話でもねぇよ」

レッサー「……あのですね上条さん、私こう思う訳ですよ。『あのときあぁすれば良かったな』とか後悔することってありますよね?」

上条「そりゃあっけどもさ。誰だって」

レッサー「あ、そうなんですか?私はこれといって別に」

上条「お前が振ったんだろ話!?合わせてんだから事情汲めよ!?」

レッサー「まぁ今日ここで仮に、戦車ネタをスルーして向こうに合流したとしましょう。それはきっと楽しいとは思うんですよ」

上条「合流はしたくないですよ?俺なにやらされっか分かったもんじゃないからな」

レッサー「ですが!万が一の話ですが!上条さんが戦場行って戦車に乗せられたらこう思う訳ですな――」

レッサー「『――あぁ、あんときレッサーちゃんに童×切って貰えばよかった』、ってね……ッ!!!」

上条「不謹慎だわ。命の危機に直面してエ×根性発動する可能性はゼロではねぇが、お前にも失礼すぎるわ」

レッサー「あとから悔やんでも仕方がないんですよっ!?少しでも戦車の知識を頭へ入れて置いた方が生存率は高まると思いますし!」

上条「素人が戦車の知識入れても、なぁ?」

レッサー「別に動かし方をキッチリ覚えろって話じゃないですよ!いざという時のために戦車を使った陸戦がどのような行程で運用されているのか、それだけでも違います!」

上条「えー、でもー」

レッサー「てゆうかネタ抜きで日本が戦場になる可能性はゼロでは……ねっ?その時のためにも、ねっ?」

上条「縁起でもないこと言うなや!?みんな薄々気づいてるけど口には出さないでいるんだから!」

レッサー「アホが国家元首になったら手がつけられないですからねぇ。奇しくも現実は小説よりもっちゅーやつですな」

上条「……分かった。講習を受ける。来ないとは思うが、そんな日は」
(※ないとは思いますが、まぁ一応歴史だけでも)

レッサー「ではこれどうぞ」

上条「スコップ……?」

レッサー「上条二等兵塹壕を掘ってくださいな!ほーら早くしないとキャベツ野郎が攻めてきますよ!」

上条「なんでキャベツ?」

レッサー「戦時中にドイツ軍はビタミンC不足へ対し、ザワークラウト(キャベツの漬け物)を食べて補給してましたからね。んでキャベツ野郎と」

レッサー「なお逆にイギリス軍は『ライム野郎』と呼ばれる事もあります」

上条「フランス人は?」

レッサー「第二次世界大戦にはフランスは参戦していませんけど?連合軍の後ろをチョロチョロしてやがったぐらいで」
(※個人の偏見です)

上条「歴史的に全部が嘘って訳でもないな……!で、人力で掘るのかよ!?」

レッサー「重機はないですしねぇ。あっても前線ではデカい的ですし」

上条「ちなみに深さは……?」

レッサー「突貫工事で最低でも自分の腰辺りまでです。深ければ深いほど生存率が上がると思ってください」

上条「任せろ俺に!こう見えても俺の父さんは『アンダーテイカー(墓掘り人)』と呼ばれたことがあるって言ってた!」

レッサー「ご自分の墓穴を深く深く掘ったんでしょうね。ご愁傷様です」

上条「てかバーチャルだからプリン並の強度で掘るのが楽しい。俺の身長ぐらい掘ったけど、こんなもん?」

レッサー「もっと連結させますけど、まぁ一人用としてはそんなもんでしょうな――って敵が来ましたよ!急いで隠れてください!」

ゲコ太『……!』

上条「キャスティング考えろや。ゲコ太がネギ持ってきて襲ってきても怖くは……別の意味で怖いが」

レッサー「なおネギはライフル銃だと思ってください。つーか隠れないと」

パーンッ!

上条「『な、なんじゃこりゃあ……!?』」

レッサー「日本一有名ながらも最近の若い子に言っても『え?』で話終わる刑事の殉職シーンですな。ゲコ太、ウィナー!」

上条「これ、どうすんのが正解?」

レッサー「防御側は塹壕に身を隠しつつ、敵が来たらソッと覗いて銃撃ですな」

上条「攻撃側は?」

レッサー「大砲か迫撃砲を撃ち込んで相手の兵士の動きを止めます。その間に全軍突撃!と」

上条「なんてヒッデー時代だ……!」

レッサー「ただこれひっじょーに効率悪くてですね。重機関銃は存在していたので、防御側が圧倒的に有利って状況が長く続いてたんですよ」

上条「いつの時代だ?」

レッサー「第一次大戦中はこんな感じの戦闘が多かったです。なんちゅーかお見合い状態でどっちもキメ手にかける感じ」

レッサー「一応打開策として手榴弾や迫撃砲など、相手の射程外からカマす方法が取られましたが、効果はあんまりですね」

レッサー「なので攻撃側の兵士が死ぬ死ぬ。先に言った支援攻撃カマしても、結局味方の兵士が突撃する際には砲撃を止めねばならないので……」

上条「穴だけじゃないよな。映画で杭打って鉄条網張ってんの見たわ」

レッサー「だがしかし!この状況を突破すべく新しい兵器が爆誕してしまったのですな!その名も『タンク・マークワン』!」

上条「ほぼそのままじゃねぇか――って何かこっち来た!?」 ギュルギュルギュルギュル

上条「俺の知ってる戦車と違う……?全体的には無限軌道あり、無骨なデザインありで同じだけど。頭ついてないのな?戦車の砲弾ぶっぱする場所が」

レッサー「戦闘目的よりは相手の塹壕を突破するために開発されたので、両脇に機銃がついているだけです。相手の銃座を潰すと」

上条「それでも充分怖いわー。ちなみにこれどこの国が作ったんだ?」

レッサー「イギリスですけど何か?」

上条「『――消え去れ悪魔め!世界へ混沌を撒き散らすモノめ、ここは貴様の住む世界ではない……ッ!!!』」

レッサー「またやっちゃいましたテヘペロ」

上条「あぁだからお前が説明役やってんのな!『科学だから能力者……?』ってちょっと思ったんだよ!」

レッサー「口火を切ったのは我々ですけど、これがまた即座にパクられますから!我々だけが悪いんじゃないですから!」

上条「――想像してほしい。イギリスがこの世にない世界を。イマジ○」

レッサー「まず間違いなくイギリスのポジにポルトガルが収まっていると思います。良かれ悪しかれ」

上条「独裁者スイッ○か。まぁ大抵のもんはそうだろうが」

レッサー「なおタンク・マークワンは改修されて量産、一時は戦場の華へと躍り出た訳なんですが……」

レッサー「やはり短命に終わってしまいました。私はマークワンの無骨なフォルムが好きなだけに残念です」

上条「なんでまたそんなことに?」

レッサー「対抗策が取られたからですな。時速6kmと早歩きぐらいしか速度が出ず、大砲の弾はおろか歩兵が携行している銃弾も場合によっては効果がありました」

上条「んじゃ防御側の機銃に狙い撃ちされたら……」

レッサー「ベッコベコになりつつも何とかいけるといいですよねぇ、という希望的観測です。それでも歩兵を突入させるよりも強力かつ効果的だったんですな」

上条「あー、じゅあ人類史最初の戦車って『塹壕突撃マッシーン』だったんだな」

レッサー「ですな。塹壕や鉄条網も無力しつつ、相手の射程の長い兵器を潰すという」

レッサー「これを兵器として完成させたのがフランス。 『ルノーFT』です、勿論ルノー社謹製」

上条「あ、頭に武器ついてる……が、小さいな。これ大砲じゃなくね?」

レッサー「砲塔で機関銃ですな。『ピュトーSA18』といって、初期のフランス製戦車に多く装備されていたものです」

レッサー「これをグルグル回転させることで死角は無く全周囲に攻撃できると。確かFTが初だった筈です」

上条「おお……!」

レッサー「そしてこのモデルはデッドコピーも含めて多数生産され、中にはボディが壊れたんで砲塔だけ外してトーチカの代わりにしたってエピソードもあったり」

上条「なんて心温まらない話だぜ!」

レッサー「さて、こっからがクソ長いので割愛割愛で巻きで行きたいと思いますが……まぁ、兵士には色々な役割がありますよね?。戦闘担当だったり支援したり兵站運んだりと」

上条「兵士だけじゃなくても同じだな。分業した方が効率的」

レッサー「はいな。それと同じで戦車が陸戦の全てを担当していきます。突撃用の戦車、戦車を潰すための戦車、追撃用の戦車、捜索用の戦車等々」

上条「戦車さん仕事多すぎじゃね?なんで探索までやらせてんだよ」

レッサー「昔は騎兵が担当してたんですよ。今と違ってドローン飛ばして衛星通信して訳ではないんで」

レッサー「それぞれの既存の役割を軽戦車・中戦車・重戦車で分けて引き受けていきました。燃費やら燃料の問題もあり。全てを代用できたのはイギリスとアメリカぐらいでしょうが」

上条「人力で悪かったですねコノヤロー」

レッサー「以上がものっそいザックリとした説明ですが、今までが戦車の黎明期の話です。これからが過渡期の話です、つってもまぁここ70年ぐらいの話ですけど」

上条「『戦車さんに任せましょう!』で終わりの話じゃないのか?」

レッサー「えぇまぁまさにそういう内容なんですが……上条さん、陸上部隊の基本○○科って何か知ってます?主に戦闘で矢面に立つ兵科なんですけど」

上条「皆無だなぁ」

レッサー「あなたの国の場合、『普通科・機甲科・特科』ですね」

上条「最後の何だよ!?兵士と戦車は何となく分かるけど!」

レッサー「昔の砲兵科ですな。『野砲』をぶっぱする科」

上条「やほう……?」

レッサー「検索エンジンの方ではなく、野外の砲撃で野砲です。別名カノン砲」

上条「せんせー質問でーす!砲撃だったら戦車でいいんじゃないですかー!?」

レッサー「それはまぁアタリでもあるしハズレであるとも言えます」

上条「どっちだよ。頼りになんねぇです先生」

レッサー「ではまずお話しする前に、基本的な野戦戦術の話をしましょう。ごくまぁ一般的なものだと思ってください」

上条「流石に俺の人生でその知識を生かすことはないと思うが……」

レッサー「まず前線に立つ兵士は三種類。兵士・戦車・砲兵です」

上条「戦車と兵士は分かる」

レッサー「砲兵は戦車とは別の扱いをされています。というのも彼らが使う野砲は戦車よりも射程距離が長いんですよ」

上条「あ、そうなん!?戦車の方が長いと思ってた!」

レッサー「ウクライナ侵攻では何回か撮影されていますね。人の背丈の三倍ぐらいある大砲を、兵士四・五人でぶっ放す画が」

上条「あー、あるなぁ。斜め45度にぶっぱする」

レッサー「あの角度にも注目してくださいな。戦車砲は基本敵へ向って直線の軌道を取りますが、野砲は大きく弧を描いて飛んでいきます」

上条「なんつーか、発射するだけの機械が剥き出しなってる分だけ、戦車よりもよく飛ぶ?」

レッサー「口径自体はその通りですな。まぁとにかく戦車よりも全く移動できないものの、長距離まで攻撃できると理解してください」

レッサー「それで陸戦の基本戦術ですが、敵陣もしくは敵支配地へ対してまず砲兵が野砲でバッカンバッカン撃ち込みます」

レッサー「相手をビビらせると共に可能な限り主力兵器を無効化させる――これはつまり敵戦車や砲撃兵で味方が攻撃されるのを最小限に留める働きを持っています」

レッサー「そしてある程度耕したらそこへ戦車と歩兵が突っ込みます」

上条「な、なんでやねん……ッ!」

レッサー「空気を読まずに無理にしてくださってありがとうございました。完全にスベっていましたがご愛敬」

レッサー「んで敵陣で戦車が敵を蹴散らし、そのフォローを歩兵が務めます」

レッサー「そして安全が確保されれば砲兵や後方部隊を呼んで陣地にする。これのくり返しですね。まぁこれが一苦労なんですけど」

上条「気になったんだが……歩兵が戦車についていくのって大変じゃね?敵陣入ってからは、まぁ進軍速度?も落ちるだろうが、それまではダッシュでついて行けるもんなのか?」

レッサー「昔はダッシュでしたが、今は車です。ジープって知ってます?正しくは商標登録されていますけど、何かこうゴッツイ車」

レッサー「あれとかハーフトラックを用いて人員輸送しています――し、上条さんのその疑問は非常にいいところを突いています」

上条「あと砲兵?の野砲って言ったっけか?それも一方的にカマす分にはいいんだろうが、当然敵からも狙われるよな?」

レッサー「むしろ最優先ですな」

上条「だったら移動できたらいいと思うんだが……」

レッサー「――良い質問ですねっ!キラッ!」

上条「止めなさい。その、手鏡をデコのところで反射させてモノマネをするのは自重しなさい」

レッサー「『天安×事件はなかったんですよ……ッ!』」
(※学生向けセミナーで発言)

上条「すいませんレッサーさん、その重たい話ばかりだけどギャグは要らんわ」

レッサー「まぁ……時代の変遷と共に技術が洗練されていったものでしてね。ショギョームジョーでオーイズミのヘボい演技がアレと言いますか」

上条「だからヘイトを挟むな!みんないつか北海道に戻るのを楽しみにしてるんだよ!」

レッサー「歩兵の皆さんもトラックで運搬されていたのが、いつの間にか装甲車で輸送もされたりするようになりました。だってて怖いですからね、敵の攻撃が」

上条「まぁ、そうだよなぁ」

レッサー「しかしハーフトラックにせよ装甲車にせよ。どちらも戦車ほどの装甲や耐弾性を持ちません」

上条「最前線で撃たれまくる戦車に比べっちまうと……仕方がないんじゃ?」

レッサー「私もそう思いますが、しかし歩兵の皆さんはこう思った訳ですな――『そうだ!だったら俺たちも戦車で運んでもらおうぜ!』って」

上条「なんて?」

レッサー「そして砲兵の皆さんも思いましたとも!『あれ俺らなんで剥き出しの野砲で敵とバカスカ撃ちまくってんの?ヤバくね?』と!」

上条「そういう仕事だからだろ。役割っつーか」

レッサー「そして彼らもこう思いました――『そうだ!だったら俺たちも戦車使おうぜ!』、とね……ッ!」

上条「だからなんて?つーかなんで?なんで全てが戦車で解決させようとしてんの?」

レッサー「今言ったような基本戦術は変らないんですが、『どうせだったら歩兵輸送車にも攻撃力つけようぜ!』ってソ連がやらかしました。BMPっていうんですが」

レッサー「これがまた画期的なシロモノでしてね。攻撃力は主力の戦車と同等、しかも8人の歩兵を運べる上に核戦闘も想定されており、空気清浄機もついてると」

レッサー「これに触発された西側諸国が似たようなコンセプトで戦車を作りだし、『歩兵戦闘車』というカテゴリーが出来てしまいました」

上条「スゲーが……ソ連って人命軽視してなかたっけ?そんな国が作るもんかね」

レッサー「どっちかと言えば国の面子があったんでしょうなぁ。軍事パレードにも即並ばせたり、『これだけ作る余裕があるんだよ!』って示威行為です」

レッサー「なお実力に関しては……あー、コンセプトは素晴らしいんですが、この車両には欠点が幾つかありましてね。ソ連以外でも」

上条「欠点?」

レッサー「まずコストがクッソ高いってことですな。戦車じゃないのに歩兵運ぶだけにどんだけ予算かけてるんだ的な」

上条「スペックを高く設定すればするほどお高くなりますよね。パソコンと同じで」

レッサー「あと人員を輸送する手前、中身はスッカスカになるんですよね。Gファイタ○と同じように」

上条「ガンダ○に飛び火させんな!あのプラモがほしかった小学生だっているんだぞ!」

レッサー「よって主力戦車と比べて非常に打たれ弱くなっています。そしてソ連製のBMPにはもう一つ欠点が」

上条「あの、ソ連さんのHPが残り少ないのでこのぐらいに……」

レッサー「国的にかなーり無理したらしく、なんかこう中身の不具合がスッゲー多いんです。軽めの損傷で基盤火ぃ吹いたわ、みたいな」

上条「やめて可哀想!?」

レッサー「いやいや、これはマジ話で。第四次中東戦争でソ連がアラブ諸国へ兵器供与したんですよ。その中にBMPが数百あったそうなんですが」

レッサー「イスエラルが鹵獲したBMPのうち、100台ぐらいが『きちんと修理すれば直るのに勿体ない』と」

上条「残念すぎるわ。そんな戦車に世界が振り回されたのか」

レッサー「とはいえコンセプト的には賛同する国も多かったんですよ。歩兵を危険に晒すよりか、お金で人員が守られるのならばと」

上条「戦場なのに人命優先なんだな」

レッサー「否定はしませんが、それだけではありません。現代戦の軍人は替えが効かないんですよ。高度に機械化されていますし、戦車兵は勿論砲兵に歩兵、そのどちらも高い金をかけて訓練した上で機器を使いこなしています」

レッサー「なので人員を無為に消費しないためこそ、兵士の命を優先しているのが西側のコンセプトだと思ってください……とはいえ」

レッサー「やはりどうしても先立つものがないと導入できませんから。『やっぱ装甲車で良くね?』と両方を作ってる国もあります、アメリカとか」

上条「ちなみに日本は?」

レッサー「89式装甲戦闘”車”というパッと見戦車にしか見えないのが何台が。やはりお高いので予算の壁に突き刺さっている感じです」

上条「軍人さんの命も人命なんだかなぁ」

レッサー「歩兵戦闘車についてはこのぐらいで……次は自走砲ですな。野砲を戦車に魔改造したような、頭でっかちのデザインが素敵です」

上条「これのコンセプトは?」

レッサー「『撃って逃げろ撃って逃げろ!』ですね。ただの野砲だと撃ってる間に発射場所を特定されかねませんので」

レッサー「既存の野砲に比べて自走砲の方がほぼ全てにおいて上回っています――」

レッサー「――ただ一点を除いてはね……ッ!!!」

上条「コストだろ?知ってんだ俺、たった今やったばっかりだから」

レッサー「なお自衛隊の『99式自走155mm榴弾砲』の射程距離は”””カタログ上”””は30kmとなっています。砲弾を変えても40km?」

上条「超飛ぶじゃん。なんかあんの?」

レッサー「我らのイギリスが誇る同世代の自走砲は70km越えるので……ねぇ?というだけの話です。他意は全くありません」

上条「あー……ないよな!特に何もな!」

レッサー「んで一部のアホどもが戦車不要論輪を唱えているようです。まぁウクライナでクソザッコ弱々プーチ×チ×ロシア製のゴミ戦車がぶっ壊されてまくってるのを見た影響でしょうが……」

上条「が?」

レッサー「――いや違いますよ!あれはロシア軍の練度の問題ですから!」

上条「練度?兵器じゃなくて?」

レッサー「戦車は無敵の兵器ではないんですよ。弱点も多いですし、兵器単体として完結しているとは程遠い存在です」

レッサー「だからこそ歩兵が随伴してフォローする!それは戦車黎明期からずっと続いて来たことなんですよ!」

上条「具体的には?」

レッサー「対戦車ロケットやミサイルを撃たせないようにするんです。人類の視野の広さと認識能力は動物界でも上の方ですからね」

レッサー「恐らく、というかまぁ間違いなく今回のウクライナの件。ウクライナ側の兵士のレベルが高いことに加え、そこら辺の連携取れないアホどもを送り込んできたとしか」

上条「まぁ……戦争中にかっぱらいするようなアホどもだしなぁ。てかウクライナって意外と強かか?」

レッサー「意外とではなく、ですね。なんだかんだで国内に軍需産業抱えてますし、国外に自走砲売ったりと。何よりもクリミア侵略以後、危機感を覚えた政府が男子徴兵制にしてますから」

レッサー「惜しむらくは……今の大統領、当選したときは『俺はプーチンとサシで話して平和実現させるぜ!』結構なお花畑だったって事でしょうか。もっと緊張感持てやと」

レッサー「ただ戦時下においてはよくやってると思いますし、私も個人的にはそこそこ高めの評価をしたいです」

上条「戦車を減らす話はどうなった?」

レッサー「あぁ『コスパ的にどうなの?』ってヤツですな。議論にも値しない暴論かと」

レッサー「まず今までお話ししたように戦車といっても様々な種類があります。得意分野も違う」

レッサー「昔は塹壕突破の動く盾だったんですが、現代の戦車の役割としては歩兵へ対する優位も含まれます」

上条「対戦車ミサイルで終わるんじゃ?」

レッサー「あれ一発ロシア戦車へぶち当てるため、どんだけウクライナ人死んでると思います?そしてロシアがどれだけアホでも想定してないと?」

レッサー「視界の良い場所では近寄れない以上、市街地へ敵を引き込まないと無理――つまり一般人へ対して多大な損害を出すのと引き替えにしている感じですな」

レッサー「コスパコスパホザきますが、装備に金をかければかけるほど命を守れる”可能性”が上がります」

上条「そこ言い切らないのかよ」

レッサ−「断言するのは逆の方です。装備を出し惜しみすればするだけ、確実に正比例して兵士の命を削っていきます。それは絶対に」

上条「実際、対戦車っていうか戦車キラーみたいなのはないのか?」

レッサー「戦車の一カテゴリーの中に『対戦車用戦車』というものがあるにはありました。第二次世界大戦中、ドイツの堅すぎる戦車を前に主砲の口径上げたりしたんですな」

レッサー「しかし対戦車ミサイルなりロケットなりが発達し、今では完全に廃れています。戦車が戦車を潰すのはその通りですが、特化はしてないって感じで」

レッサー「アメリカ軍の陸戦部隊に習うのであれば、装甲車に対戦車ミサイルを装備させたのが有名でしょうかね」

上条「……装甲車が?」

レッサー「そうです。分類的には車で速度を出して回避しつつ、誘導性能の高いミサイルで破壊する。という”想定”です」

上条「机上の空論とか?」

レッサー「シビアな話になりますが、実戦経験がないんですな。アメリカはドンパチやってますけど、相手は戦車も持ってないようなテロリストが主体。国家ではないです」

レッサー「代理戦争でドンパチやってた時代とは違います」

上条「ソ連製……つーか思ったんだけど、ソ連が崩壊後は軍もグダグダになったじゃん?今のロシアのダメッぷりもそれが影響してるんじゃ?」

レッサー「っていう評価もない訳ではないです。西側の兵器だったら外国へ武器供与する際にバレるもんですが、ロシアですしねぇ?」

レッサー「まぁそこら辺は今ウクライナに入ってる外国の技官が分析してるでしょうが」

上条「やっぱり、いるよな?」

レッサー「ウチとアメリカさんは確定でしょうね。つーかそれが嫌なら一生引きこもってればいいんですよ」

レッサー「まぁ兵器とはいえ、ナメた話は止めておいた方がいいですよ?私らもそれで前の戦争の時失敗したんで」

上条「イギリスの戦車って優秀じゃないのか?」

レッサー「トータルで見ればかなり上の方だと思います。『なんでこんなん作ったの?』とか『空軍にエンジン取られなかったらできる子なんですよ!』とか」

上条「あー、大戦中にはゴタゴタしまくってたのな。何か外から見れば優等生って感じだったけど」

レッサー「いやいや逆逆。あの最初に戦車戦術説明しましたよね?戦車が相手陣地へ突貫して、歩兵と一緒に制圧して、みたいなの」

レッサー「あれイギリスでは実践できていませんでしたもん。つっても当時やってたのはドイツとソ連ぐらいですが」

上条「うん?んじゃどうやって戦争してたんだ?」

レッサー「まず戦車が敵陣地に突っ込ます。歩兵も一緒に随伴します」

上条「映画だと引きの画で見せるシーンだな」

レッサー「相手が弱ったら――戦車は帰ります!頑張れ歩兵の諸君!大英帝国の威信は君ら手の中だ!」
(※実話です)

上条「ブラック過ぎるわ。旧日本軍とはダンチだが」

レッサー「えぇこればっかりやってたもんで、敵陣地の中で歩兵が死にまくり、大戦終盤には歩兵が足りなくなるっていうね……!」
(※実話です)

上条「お前らなんでそんなに楽しい歴史なの?どう考えても勝者なのにセルフで辛いところまで追い込まれてんの?」

レッサー「まぁこれには二つ原因がありまして。『騎兵戦術をそのまま戦車に持ってきた』っちゅーのが一つめ」

上条「騎兵……あぁ馬のな」

レッサー「主に第一次世界大戦中まで採用された戦術ですが、銃で武装した騎兵がまず突貫します。そして歩兵も以下略っていう」

上条「変ってねぇのか!?お馬さんから鉄の塊に変更されてんのに!?」

レッサー「んで二つめが『階級的な問題』です。イギリスって階級社会だって話は聞いたことがありません?」

上条「まさかそれって……」

レッサー「えぇ『歩兵=労働階級』、『士官=中流以上』って考えをそのまま持ち込んでしまいして……」

レッサー「よって”結果的に”ではありますが、歩兵の損傷率がハンパねぇ状態に。いやまぁ当時の軍属なんてそんなもんっちゃそんなもんですが」

上条「俺らから見ると恵まれてる感じなんだがなぁ」

レッサー「イギリスはまたマシな方で、ソ連には有名な『タンク・デサント戦術』ってのかありましてね」

上条「あれそれドリフター○でやってなかったっけ?巨人にゴブリン載せて敵陣へ突っ込ませてたの」

レッサー「あっちがパクったんですな。正しくは戦車のガワに手すりを溶接して、そこへ歩兵を5〜8名ほど乗せます」

レッサー「そして『行ってこいウラーーーーーーーーーーーーーーーッ!』と」

上条「俺たちのKAMI-KAZEが有名だけど、ソ連も大概じゃねぇか」

レッサー「そして一説に寄ればデサント歩兵の平均寿命は二・三週間っていうね……ッ!」
(※と言われています)

上条「人道ってなんだっけか。ロシアさんでは売ってないみたいだが」

レッサー「ちなみになんでこんなアホみたいな戦術取ったかといえば、ロシアは歩兵輸送用のトラックが数不足だったそうで」

上条「作れば……良くないか?」

レッサー「『戦車で代用可能――なら戦車でいいじゃないか!』ってアホの指導者が」

上条「うわぁ……」

レッサー「そしてたまたまやってみた歩兵使い捨て戦術が意外にハマったもんですから、米英からトラックが供与されるまでこの状態が続きましたとさ」

上条「誰か止めろや。ツッコめるだろ普通に」

レッサー「それがですね、アホのスターリンが共産革命したのはいいものの、当然叛逆を怖れたんですよ。自分がしたんですから」

上条「まぁなぁ」

レッサー「だもんで優秀な士官から技官まで次々と粛正しまくった挙げ句、まとな連中が残らなかったっていうね……!」

上条「アメリカは?アメリカさんよくソ連と手ぇ組む気になったよね?」

レッサー「あそこは悪い意味で別格です。ちゅーかVRスタジオいるんでシミュレートしてみましょう」 ピッ

上条「おっ、ドイツ人っぽい軍服」

レッサー「あなたはドイツ人将校で大量の戦車と歩兵を要し、絶対無敵スッゲーつよつよ陣地で防衛戦の真っ只中って設定です」

上条「圧倒的じゃないか我が軍は!」

レッサー「人生で一回使ってみたいですよねその台詞。壮大な負けフラグとも言いますが」

上条「てかこの状況で負けなくね?不安があるとすれば武器弾薬にメシぐらい?」

レッサー「『閣下見てくださいな!敵のアメリカ軍の戦車は中・軽量級が殆どです!これだったら我が軍の重戦車部隊が有利です!』」

上条「かかって来いアメリカ!ドイツの科学力は世界イチィィィッ!」

レッサー「『ですな――あ、あれはなんだっ!?』」

上条「どうしたレッサー上等兵!敵士官に美人でもいたのかアッハッハッハッ!」

レッサー「『違います閣下!上を見てください上を!』」

上条「上?何を言っているんだね君、戦車の敵が空から来るだなんて話は――」

ゲコ太航空爆撃兵『……』 ヒューン

上条「退避ーーーーーーーーーーーーーーっ!?全軍空からの攻撃に備えろーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!?」

レッサー「――って感じです」

上条「無理じゃんこれ。勝てないじゃん」

レッサー「アメリカの思想は世界でおもっくそ割りきったものでして、戦車自体は中・軽量級が歩兵応援と」

レッサー「なので対戦車には航空爆撃だったり攻撃だったり!無理ですわあんなん!」

上条「こっちがチェスしようぜって言ってんのに軍人将棋持ち出してんじゃねぇか。いやまぁ勝ったもん勝ちだけどさ」

レッサー「ですが第二次世界大戦に関わった全世界の軍関係者を代弁し、僭越ながら私がツッコんでおきましょう――」

レッサー「『――予算あったらウチでもやってたわ!ないからみんなできる範囲でできることをやってただけだわ!』と!」

レッサー「なお余談ではありますが、アメリカ製・中戦車には重戦車並の攻撃力を誇るバケモンが多々あったため、陸戦だけでも安心はできなかったんですがね……!」

上条「やったぜアメリカ!戦争する相手を間違えた以外は完璧だったな!」

レッサー「――と、まぁ長くなってきたのでそろそろまとめに入ります。第二次世界大戦中、どっこの国もワタワタしまくっていました」

上条「ドイツも含めて?」

レッサー「まさに。ティーガー系列は攻撃・防御力ともに高く名車なのは間違いなんですが……」

レッサー「しかし生産コストが異常に高くて量産ができず、攻撃力の代償に機動力を捧げたものですから、他での転戦も効かずと」

レッサー「まぁですがね。これは恐らくいつの時代もどこの地域でも同じことです――”絶対”はないですからね」

レッサー「可能な限り万全を期そうとしていても、どっかで必ず漏れはあります。それを埋めて次の課題に、っていうトライ&エラーが人類の歴史です」

レッサー「……あぁまぁあまり参考にはならないでしょうが、イギリスの『チャレンジャー1』って戦車がありましてね」

レッサー「湾岸戦争の際、旧ソ連製&中国製の戦車群と戦ったんですが、損害を一台も出さず、向こうの戦車数百台を破壊しました」
(※実話です)

上条「なんだかんだ言ってすげーなイギリス製」

レッサー「相手が古かったのであまり素直には喜べません。しかし中には『ソ連の傑作!』と言われた戦車も含まれており、時代の流れは残酷であるとも言えるでしょう」

レッサー「備えを怠った国とそうではなかった国とでは、このように差がついてしましたとさ」

上条「でも全体的にウェイトから見ればそんなに、って気はする。長距離ロケットだっけ?とかに比べれば」

レッサー「それも役割の違いですな。ICBMや各種長距離ミサイルは”””壊す”””という能力に特化しています。存在価値とも言えますが」

レッサー「しかし戦車は”””治める”””という仕事があり――あ、上条さんSLGとかします?世界大戦のIFのとか?」

上条「すまん。Gジェ○とスパロ○ぐらいしか」

レッサー「んじゃ分からないでしょうが、ゲームの中で『都市を占領できるのは歩兵、もしくは歩兵随伴させた戦車隊だけ』ってルールがあるのがありまして」

レッサー「どれたけ強い核ミサイルであろうが、戦闘機であろうが、都市を守ったり占領するのは絶対にできないんですな」

上条「あー……まぁ、そうだよなぁ。飛行機部隊が常駐して治安維持とか無理だもんな」

レッサー「防衛戦しかり、また敵に進駐された都市の奪還でも必須ですからねぇ。むしろ逆になくてはならない存在です」

レッサー「まぁでも逆に考えてみればいいかも知れませんよ?――『敵として攻め込むんだったら戦車邪魔だな』ってね!」

上条「相手の嫌がることをするのが基本だからなっ!まぁまさかそれが目的で戦車にイチャモン付けてる訳じゃないだろうが!いや絶対にだ!」

レッサー「コスパだけを追求するだけであれば、防衛予算をゼロにすれば防衛戦闘は起きません。当然戦争にすらなり得ないでしょう」

レッサー「ただその後に民族浄化なり虐殺なりが待っていますが、お金はあの世にまでは持って行けませんからね。それはそれで考え方の一つだと思います」

レッサー「はっきり言いますが、この21世紀の世界で戦争や侵略など武力をもって仕掛けてくるアホどもに、まとな対話ができるとは思わないでください」

レッサー「『敵国には何やってもいいと攻撃してきた相手が、進駐地域ではジェントルマンへ変貌した』――という話が一切無いのはウクライナで理解していただけかと」

上条「ほぼオークだもんな。それもリアルかつ俺たちと同じ人類が21世紀にやってる話だ」

レッサー「オークやゴブリンだったら、まぁお互いに異種族の仇敵同士ですからね。プーチ×チ×の面子以外に開戦理由が皆無っていう」

レッサー「それでは以上で現代戦における戦車の重要性の説明を終わりたいと思います!あざーした!」

上条「闇ちゃんねるもそうだけど、一体誰が得すんだよこの特集。怪談よりも需要ねぇわ」

レッサー「ですが心霊体験よりも戦争体験の方がより身近になってきましたね!」

上条「やかましいわ!まぁ多分使いどころに困る知識だといいな!」


-終-

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