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Clock(trial)

上条「みんな慌てるな!こういうときにこそ冷静なヤツが生き残るんだ!」

 
――豪華客船 専用レストラン

インデックス「こ、これがきゃびなのかな……ッ!?せ、世界三大珍味と言われている、あ、あのっ……!?」

上条「よーし落ち着けインデックス!騙されるな!醤油漬けしたトンブリかもしれないから、まずは俺が毒味をだな!」

インデックス「とんぶりはとんぶりで美味しいから大丈夫なんだよ!でもできればご飯があればいいんだけど!」

上条「おまっ、高級品をかっこもうたってそうは行かねぇぞ!あぁいうのはどうせ味なんて分かんないんだから、『あぁ高いモン食ってるな』って少しずつ少しずつ食べるのが」

インデックス「おねーさん、らすくください。あればらいすも」

上条「聞けよ話を!?すいません俺にも一つ!」

乗務員「落ち着きやがれお客様、なっ?」

上条・インデックス「……はい」

御坂「……全く、何やってくれてんのよアンタ達は。一緒にいるこっちの身にもなってよね」

上条「そうカリカリすんなよ。あ、ほら、ラスクの切れっ端やるから」

御坂「そんなメニューあるわけないでしょ!?街のパン屋さんで売ってるパン耳ラスクとは訳が違うんだから!」

上条「店員さん、こちらのレディにどんぶり飯一つ」 キリッ

御坂「ないわよ?仮にあったとしてもこの状況でガッついたらアホの子よね?」

佐天「――いや、御坂さん!それがですね意外と合うんですよこれが塩味で!」 ガツガツガツガツッ

インデックス「あーっ!?わたしのとんぶり飯を!?」

御坂「ごめん。ウチにもいたわ、ちょっとアレな子が」

上条「いえいえこちらこそ。えっと、下手に人気がある分そっちの方が苦労してるかなと」

初春「ちなみに佐天さんが食べてるのが100g数万円のトンブリ改めキャビア丼です」

佐天「いやでも合うは合うけど、美味しいって訳でもないよね?」 モッチャモッチャモッチャ

インデックス「なんだよ。しんぷるな塩漬けだけど、もう少し香りにも気を遣ってほしいのかも。魚臭いんだよ、もつと臭味を消した方が」 モッチャモッチャモッチャ

白井「食へ対する冒涜ですわね」

初春「世界三大”珍味”って言われながら、足が早すぎるため塩漬け一本になってる時点でお察しくださいとしか」

インデックス「HENTAIの国で獲れていればもっと活用されただろうに……かわいそうなんだよ」

上条「それ言うんだったらお前の国で消費されてる全ての食材へゴメンナサイしなさい!」

レッサー「その言いざまだと我らが大英帝国が食材を無駄にしているように聞こえますよ!?」

レッサー「まま、それはさておきイギリスが世界へ誇るウナギのゼリー寄せをどうぞ。私のオゴリですんで」

上条「ノーモーションで寄せに来てるじゃねぇか。イギリス屈指の見た目ゲテモノ料理自覚だろこれ」

御坂「初見殺しのアレね。『実は美味しいんじゃないかと食べたら特に期待を裏切ることもなく外見通りの不味さだった』で、有名な」

白井「お姉様を補足いたしますと、ウナギを素のままぶつ切りにしてゼリーにぶっ込んだ形状ですの」

初春「更にフォローしますと、えぇっと……『スライム(※リアル系の)がウナギを体内で消化している過程』でしょうか」

インデックス「あー、でも……しんぷるな味なんだよ。お酢が効いてて全面的に強烈な魚の存在感が」 モッチャモッチャモッチャ

佐天「やるなこの子!?あたしでもちょっとこれはって料理にも即でいった!?」

レッサー「くっ!やりますねあなた!私レベルですら魚臭くて食べられないのに!」

鳴護「食べられないのに出すのはどうかと思うな」

絹旗「超ですね」

フレンダ「や、だからね絹旗?『そうですね』みたいに言うのは

上条「てか人多いなここ!?集まりすぎじゃねぇか!」

御坂「仕方がないでしょうが。ここ以外で食べられるところなんてないんだから」

上条「いやいや俺が言ってんのはそうじゃなくてだ。こうなんでお前らいんの?豪華客船クルーズで鉢合わせるって相当な確率だよな?」

御坂「むしろ一般学生未満の生活のあんたに言いたいんだけど……まぁ、当たったのよ。クルーズ旅行が」

上条「へー?」

御坂「なんかね、佐天さんの引きの強さで商店街のガラガラで当てたんだってさ。まぁ今アレがアレしてる時期じゃない?だから余ってんのかなって」

上条「ちょっと何言ってるのか分からないけど、長編じゃないからこっちは世界情勢とは関係ないよ?何の事だか分からないけど」

御坂「んでまぁチケットが余ったんでみんなで――って何よ、袖引っ張んないでよ」

レッサー「奇遇ですねぇ。実は私も同じですよ、商店街のビンゴゲームではいてないベイロープが珍しく大当たり引きまして」

上条「ついてないな?はいてないだと一時期流行ったエ×い魔法少女になるから」

青ピ「むしろ、ボクは思うんよ――」

青ピ「――性的な目で見られていない魔法少女なんておらへんよね?ってな……ッ!!!」

上条「おい運営大丈夫か?ギャグマンガの最終回みたいに次から次へと登場人物ぶっ込んでるけど、続くよな?唐突に終わったりしねぇよな?それはそれでバッチコイだが」

鳴護「あたしはなんかロケらしいんだけど……当麻君はまさかとは思うけどくじ引き?」

上条「何言ってんだよ、俺がヤラセと仕込みと犯罪以外でクジが当たると思ってんのか?」

鳴護「泣いてもいいと思うよ?なんだったら胸貸すけど」

上条「俺は、アレだ。横断歩道でおばあさんが渡れなくて困ってるのをだな」

御坂「……助けただけでチケット?豪華客船の?」

上条「あぁいやちょっと違う。『押しボタン型の横断歩道はボタン押さないと青にならないですよ』って押してから立ち去って」

上条「そのあと本屋寄ってFX関係の雑誌を立ち読みしてからジャン○買おうとして今週は休みかって」

鳴護「その後の詳細まではどうでも良いんだけど」

上条「そうして大体3時間ぐらい経過した帰り道、またそのおばあさんが横断歩道前で待っていたんだ……ッ!」

絹旗「新手の都市伝説ですね。もしくは超頭の悪い美人局」

佐天「地縛霊かもしれないよ?あと……アドリブの効かない俳優さんとか」

上条「そして俺が手を引いて渡ったら、『心の綺麗なあなたに』ってこのチケットをくれたんだ……ッ!!!」

フレンダ「そんな余剰財産があるんだったら一人で買い物行かなくない訳?」

上条「てか俺のボケに対して全員でツッコんでくんなよ!?なんか豪華だぜ今回!」

御坂「……あからさまに怪しいわね――きっとこれはゴルゴ○の仕業よ!気をつけて!」

レッサー「なんとこの中にテロリストが居るんですか!?ならば私がとっちめてやりましょうそうしましょう!さぁKMJさん私の前へテロリストを連れてきて下さいな!」

上条「歳が明けてもレッサーさんの一休さ○vs虎屏風ネタはキレッキレっすね」

鳴護「あと、できればボケは挙手制でお願いできるかな?この中でツッコめるのってあたしと当麻君と白井さんと飾利ちゃんと、って結構いるね!」

白井「それがもうボケですわね」

ピンポンパンポーン

上条「お?」

???『くっくっくっく……!本日はラウ=ル=クルー○船舶をご利用頂き誠に感謝するよ……!』

上条「死亡フラグコツコツ立てんなや!超縁起悪いぞその名前!なんかこう、人一倍の頑張り屋さんなのに空回りしてそう!」

初春「中の人繋がりネタですね本当にありがとうございました」

佐天「壮大なライバル関係も実はただの身内のケンカだしね」

アレイスター(???)『ほぅ?初春君は私の正体を看過したというのだね?これはこれは、嬉しい誤算というものだよ……!』

初春「他にできるようなHENTAIはそんなにいないかと……」

アレイスター『まぁともあれ諸君らの命運は私が握っているのをお忘れなく……それでは、暫しの幸福を味わあっ?』

上条「『あっ?』つったかお前?オイロン毛お前なんか言ったよな?噛んだの?それともシャレにならないことでもやりやがったの?」

アレイスター『――ふっ、流石は我が生徒達!君たちへ教えられる事はもうないようだ――』

アレイスター『抑えられる内容が無いよう……ッ!!!』

上条「オイ誰でもいいからあのアホの居場所知ってるヤツいないか!?今からちょっとシバキ回してくるから!」

絹旗「超行きたいのですけど。多分もう無理なんじゃないんですかね」

上条「なんでだよ?」

絹旗「いえ、船がさっきからこう傾いてるのが分かりませんか?こう水を垂らせば」

上条「あ、スーッて流れていった」

レッサー「あー、自爆スイッチ的なモノを入れちゃいましたか−。いやはや様式美ですねぇ」

上条「言ってる場合か!?急いで逃げな――……あれ?どうして君たち俺から離れてるの?後ろにオバケでもいるの?」

インデックス「た、他意はないんだよ?ただちょっと『ここでとうまの側にいたらギャグで船内に取り残されるんだろうなぁ』ってだけで」

初春「死亡フラグですよね」

上条「正直に答えてくれてありがとうインデックスさん。お返しにお前ら全員から下船するまでくっついててやらぁ!」



――無人島?

上条「……やれやれ、やっと一息つけそうだぜ」

佐天「言うことはそれだけですか?全員がもう少しで海の藻屑になりそうだったのに」

フレンダ「狙ったように防火シャッターが降りてきたり、消化剤が行く手を塞いだり、超呪われてる感じですよね」

上条「昔のことはいいんだよ!誰一人として欠けることなく無事に脱出できたのを喜ぼうじゃないか!」

上条「――って楽観視も出来ないんだよなぁ」

白井「とは?」

上条「流されてる最中、グルっとこの島を見る機会があったんだが、パッと見人家どころか建物も漁港もない」

インデックス「と、いうことは」

上条「……あぁ、そうだ!俺たちは無人島に来ちまったんだよ……ッ!!!」

鳴護「そ、そんなっ!?」

上条「――だがみんな慌てるな!こういう危機的状況のときにこそ冷静な対応が必」

初春「――はい、そんなときに頼れるガジェット。学園都市謹製スマートフォンですねー」

佐天「あれあれ……?参ったなー、ここ圏外だよ、アンテナ立ってないじゃんか。ちぇーっ」

初春「皆さんにも覚えはありませんか?最新のケータイなのにまるでジャマーがかかったようにぶつきりになってしまう。ありますよねぇ」

佐天「どうしよう……!このまま無人島に取り残されたら春期テストでライバルに差をつけられちゃう!」

初春「でも心配はいりませんよ。佐天さんの持っていたのはTATARAコーポレーションのミスリルAシリーズだったのです」

佐天「え、これが?でもこれってただのケータイだよ?」

初春「いえいえいえいえ。見た目はただのケータイですけど、ここのホームボタンを押しながらタッチするだけで」

佐天「――あ、通じた!?通じたよ!どうなってるの!?」

初春「どんな時にもこれ一本あれば世界中どこからでも通話が可能。しかもチタン合金なので胸ポケットへ入れていれば防弾にもなります」
(※本当に狙撃銃で撃たれたら衝撃が外へ逃げられずコナゴナになります。比喩表現ではなくマジな話)

初春「しかもお値段を抑えたレギュラーシリーズ、連続稼働時間一ヶ月のハイユーザーシリーズと生活スタイルに合わせた機種をご用意しております」

バババババババババッ

佐天「見て初春!レスキューのヘリが来てくれた!」

初春「別サービスで未成年へのフィルタリングもしております。お子様へ持たせておけば安心ですねっ」

佐天「販売は『とりあえず殴ってみよう、だってワシらドワーフじゃもの』でお馴染みのTATARAコーポレーションでした☆」

上条「ごめん、ちょっとヘリ帰投してもらっていかな?まだ俺の話が、つーか導入部分すら終わってねぇのに帰還ってありえないから!」

佐天「え、でも帰れるチャンスですよ?」

上条「最悪な?最悪の最悪の手段としてはいいと思うんだけど、俺らまだ島上陸してから10分経ってないよね?早すぎるよね?」

レッサー「サラマンダ○より?」

上条「うるっさいわ!真面目な話してるんだからアリサさんに構ってもらいなさい!」

鳴護「あの、当麻君?真面目な話でもないし、レッサーちゃん係はあたしには荷が重いんだけど……」

上条てか「誰が知ってんだよ。『学探』のスポンサーがそのメーカーだって誰が覚えてんだよ言ってみろよ!?」

初春「凄い理不尽なことを言われている気がしますけど……」

御坂「まぁまぁ、分からないでもないわね。もっとこう学園都市の学園生なんだから、能力を使った解決方法を取ってほしい、みたいな感じでしょ?」

上条「いいこと言ったぜビリビリ!そう、ここで帰ったらただの結果報告になっちまうから!」

御坂「あ、そこにいると危ないわよ?」

上条「あい?」

グォンッ!!!ガガガガガガガッ!!!

御坂「あたしの外部パーツね。別名メカ少女用エクステなんだけど、まぁ取り敢えず10人ぐらい乗りなさい。三回も往復すれば全員いけるでしょ」

上条「待って?取り敢えず待ってもらっていいかな?」

御坂「なによ。あ、あんたは最期なんだからね!べ、別に突然機械が調子悪くなって二人きりになるとかないんだから!」

白井「お姉様は……たまにINTが下がりますわよね?そしておのれ類人猿……ッ!」

上条「違うよね?そういう回じゃないよね?俺たちが遭難するところからスタートだっつーのに、なんでゴールに着いちゃってんの?」

上条「もっとこう人力で!俺たちの能力でさ?サバイバルも楽勝!みたいな回なんだけど!」

御坂「そうなの?だったら先にそう言ってもらわないと困るんだけど――黒子−」

白井「はい、お姉様」

御坂「ここから一番近い陸地までどのぐらいある?あと距離も」

白井「そうですわね……流された場所と漂流していた時間から察しますと、東南東の方向に10km弱、でしょうか」

御坂「ありがとー、それじゃ――行きますかねっと」

上条「いやお前本格的に待てや!?何一人で海入ろうとしてんの!?」

御坂「いや10kmぐらい余裕で泳げるでしょ?」

上条「お前はな!?この人力でとは言ったけど!解決がほぼ力押しじゃねぇか!?」

御坂「いや能力もダメ、科学もダメっていうんだったら『じゃ泳いどく?』みたいな感じ?」

上条「だからお前なんなの?X-ME○に内定でもしてんの?」

鳴護「あの、当麻君ちょっと……これは要相談じゃないかなって」

上条「ちょっと待っててくれ。審査員と掛け合ってくる」

御坂「いつの間に出来たのよその審査制度」

……

上条「――話し合った結果、えーっと、皆さんにご報告があります。ビリビリ縛りで行くことになりました」

御坂「縛りってなに!?バイオがハザードするアレでナイフ一本的で攻略するみたいな話かコラ!?」

御坂「なんでよ!?立派に役に立ってるじゃない!?」

上条「一時期お前とエシディ○さんを比較するネタあったんだが、やっぱビリビリだわー。無人島へ持っていくんだったら高いレベルでバランスの取れているビリビリさんだわー」

フレンダ「どういうネタな訳?」

絹旗「『第三位は電撃しか使えないけど、炎やその他を操れるエシディ○の方がいいよな』、と」

フレンダ「多分そのミームにいっちょ噛みした人たちは、本当に選ぶんだったらなんの迷いもなく女の子を選ぶと思う訳」

御坂「あたしだって嫌だわ!なんで人外との二択にされてんのよ!?」

上条「と、いうわけでですね、ビリビリさんはオブザーバーでお願いします!奥の手みたいな感じで!」

佐天「既にあたしらのケータイで計二本になってますけど、腕」

上条「いや、そうじゃないんだ!こう安易に助かるんじゃなくてもっと成長の機会がほしいんだ!」

初春「つまりもっと厳しいサバイバルがしたいと?」

上条「そうそう!確かに現代機器は凄いし能力も凄いよ!でもこう『普段は役に立たない知識が!』みたいなの!」



――無人島 森の中

上条「――走れアリサ!立ち止まるんじゃない!」

鳴護「ごめん……当麻君、あたしもう、足が……」

ガサッ、バキバキバキバキッ!!!

上条「クソッ!もうあんな近くまで来やがった!」

鳴護「……当麻君、あたしはもういいよ。一人で逃げて?」

上条「そんな訳にいかないだろ!?アリサを置いて――」

???『……えくすーーーーーーー……』

鳴護「……当麻君!?」

上条「待ってろ!今何か考えるから!この状況を打開する方法を――」

鳴護「そ、そうじゃなくって!あ、あれ……!見てっ!」

上条「あれって――うわっ!?」

フレ/ンダ「あ、扱いが……悪、すぎる訳……よ」

鳴護「あの怪物に出くわしちゃった人かも!」

上条「多分違くね?てかギャグで使っていいの?ねぇいいのかな?」

鳴護「当麻君もそうなっちゃうから!ダメコラ量産される前に、一人で逃げて……ッ!」

上条「今更だぞコノヤロー。俺レベルでも色々イジられんのに、その下は暗澹たるさまだぞ」

上条「……でも、ここで逃げるわけにはいかない!」

鳴護「けどっ!」

上条「ここで俺一人助かったとしても次が絶対に逃げられる保障なんてない!だから――ここで戦おうぜ!体力がまだあるうちに!」

鳴護「そう、だね!二人でかかればなんとかなるかも……!」

ガサガサッ

鳴護「来たっ!」

上条「おうっ!」

絹旗(???)「――あなたもエクスアー○に超してあげましょうかっ!?」
(※意訳;「バカが余計なことしくさって原作にもダメージを与えてやろうか?」)

上条「ぐ、ぐああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」



――

上条「いや違う違う違う違う!厳しいっつっても限度はあるわ!?厳しいは厳しいにしても生死を賭けたレベルは求めてねぇんだよ!?」

絹旗「えー、折角フレンダの一発芸も超披露したのに」

フレンダ「なお手品ね?本当に/はされてない訳……よね?信じてもいいのよね?」

絹旗「超勿論です、よ?」

フレンダ「いいの?人の生き死にをネタでコンプラ的に大丈夫な訳?」

絹旗「ホワイトハウスへ超吶喊した人の命は大事じゃないらしいので、まぁ?」

鳴護「あとごめんなさい。最愛ちゃんはなんの役やってたの?あたしたちはどんな怪物から追われていたのかな?」

絹旗「あぁそれはですね、『助監としてはそこそこなのにメガホン握ったらゴミに堕ちる』という、まぁ映画界の超呪いみたいなものですね」

鳴護「ごめんね?説明されても分からないんだ、うん」

絹旗「業界の闇は超深いんですよ。バイト店員が将来店を持つためコツコツ飲食店で働き、いざ独立したら経営と料理の才能が全く無かったと気づくようなもんで」

鳴護「それもっと初期段階で分からないかな?」

絹旗「何年前から天下りならぬ粗大ゴミの流用は問題になっていたのですが……まぁ詳しくは別のSSにて」

上条「宣伝目的か。帰れ帰れ!俺は真面目にやっているんだ!」

鳴護「脱出ルートをえり好みしている時点で真面目ではないよ?不真面目だよ?」

佐天「――あ、すいません御坂さん。お水をもう少しもらえません?」

御坂「ちょっと待ってね。今電気分解で水素取り出しちゃうから」 バチッ

上条「なぁアリサさん本当にそう思う?暇だからってサバイバルの基礎の基礎をたった一行で解決できるムチャっぷりを見てもそう思う?」

鳴護「美琴ちゃんもえっと……その、ボケが容赦ないっていうか、うん?空気読も?」

御坂「あれ?なんか水素を圧縮してたら固体になったわね?」

上条「なんでだよ――って水素って固体になるんだっけか?」

初春「それがもし水素金属だったら最低価格が兆になります。夢の常温超伝導が開発できたってことですから」

佐天「どういうこと?」

初春「常温で一度電気を流したらずっと磁場が発生し続ける永久磁石の出来上がり。そしてそれをモーターへ転用すれば、怖ろしく効率のいい発電機が」

佐天「そうじゃなくてもっと簡単に」

初春「最低でも翌年のノーベル賞を貰った上、教科書に『21世紀を代表する科学者』と載ります。いやマジで」

上条「帰って!真面目にサバイバルしてくれないお友達はどっか行って!」

御坂「超心外だわ!?あたしにだって持てる能力の全てを使って頑張ってんのよ!?」

上条「もっこうサバイバルだけど生命の危機とかは関係なくって!それでいて緊張感があるのがいいです!」

鳴護「段々と日帰りオリエンテーリングの様相を帯びてきたんだけど……」



――

御坂妹【――えーこちら10032、報告を求めます。とミサカは他のミサカに情報を請います】

ミサカ10033【こちら10033、A-44地点は断崖絶壁で食物はありません。とミサカはオーバーします】

御坂妹【そうですか。それではA-43地点のミサカと合流して帰還して下さい。とミサカは最適解を伝えます】

ミサカ10034【こちらは10034、緊急事態発生。イノシシを発見しましたとミサカは近隣のミサカへ狩りの時間だぜ、とヒャッハーします】

ミサカ10035【おぉそれはナイスです、食卓改善のためにもこのミサカは腕を奮います。ぬっ殺す】

ミサカ10036【あまり逸るのは失敗の元ですよ、とミサカは釘を刺すフリをしつつ喜んで討伐隊に参加します】

ミサカ10037【やったぜ今夜はブタ鍋だぜ、とミサカは俄然張り切って吶喊するであります】

御坂妹【くれぐれも怪我だけはしないでくださいね、とミサカは平気なフリをしつつ、昆布で出汁をとる準備に入ります】



――

上条「――うん、多くね?」

鳴護「多いよね!クルーズ船にどんだけ隠れてたの?とかって疑問に思うよね!」

初春「あの、それ以前に無人島に1万人弱って密も密ですし、そもそも毎日一万人分の食料&水が消えていくので、デスゲーム待ったなしなんですがそれは」

佐天「――人は、争わなきゃ生きていけないのかな……?」

レッサー「えぇまぁ理解できないって悲しいですよね。丁度我が母国の近くにも100年戦争やったと思えば王政倒して赤化起こしてまた帝国へ変身した謎の蛮国が」

インデックス「一応、ちゅーりつな立場から言わせて貰うと『対岸にさんぎょーかくめいとか帝国とか怖い国がある』って言うと思うんだよ……?」

佐天「どうぞ、審判」

初春「『どっちも滅んでくれねぇかな』と常に近隣国からは思われているかと。特にベルギーとドイツとイタリアとポルトガル」

佐天「もし仲の良い隣国があったとして、本当に良かったら同じ国になってるよね、って話だよね」

上条「だからもっと!君たちみたいな逞しい女性じゃなくって!もっとこう『守ってあげたいな!』って人がいい!キャスト的に!」

初春「注文が多いようですが。では次行ってみよー」



――

上条「まずは……枯れ葉を下にひくんだ。乾燥して濡れてない葉っぱ」

上条「並行して小さくて火のつきやすい木の枝、そして一度火がついたら中々消えにくい太くて長いを囲むようにして置いてっと」

上条「そこへ取り出したペットボトル!水を入れたヤツの底でジーッと焦点を合わせてやると……」

ジジッ……

上条「よし引火した!シュロの木の繊維を乗せて、静かーに……

……ボウッ

上条「できた種火をこっちへ引火して……よし!焚き火の出来上がりだ!」

打ち止め「わー、すごーい!簡単に火が出来るんだねってミサカはミサカは喜んでみたり!」

フレメア「にゃあ!これで生じゃないお魚さんが食べられるのだ!」

上条「――キャストに悪意がある。てか悪意しか感じねぇ」

打ち止め「なーにってミサカはミサカは疑問へ疑問を返してみる?」

フレメア「にゃあ?」

上条「……悪い、取り乱した。えっと、君らの他に生存者はいないのかな……?」

打ち止め「残念ながら、ミサカシリーズはいないのだー、ってミサカはミサカは残念でーすって言ってみたり」

フレメア「はまづら……いないにゃあ……」

上条「助けて神様!?この子たちを連れてサバイバルしたら難易度が数倍に跳ね上がるから!」

レッサー「やりましたね上条さん!リアル無邪気の楽○じゃないですか!」

上条「邪気しかねぇよ?あれ邪悪な気配しかしてねぇよな?」

レッサー「『とうさん、幼気です……ッ!』」

上条「あれ鬼太○の妖怪センサーってそんな疚しい字だったけか?妖怪の妖じゃなかった?」

白井「そしてまさか今時ペットボトルの収斂引火如きでドヤる殿方がいるとは……」

上条「普通はこんなんだよ!?君らレベルが高すぎて○っさんぐらいしかついていけてないだけだから!」

初春「その方もついてってはいませんよ?ドロップアウトといいますか」

佐天「ついてってないっていうか、ついてっちゃったからアウトーな訳だよね」

絹旗「まぁ超食いまくってたんでしょうけど」

上条「さぁアリサツッコんでやらないと!スルーしたらただの事実になるから!」

鳴護「だから当麻君はあたしにヨゴレ仕事を押しつけてきてるよね?」

上条「誰か……!誰か助けて下さい!このアホループを終わられる力を……!」

土御門「――にゃーはっはっはっは!呼んだかい、マイブラザー?」

レッサー「おい距離取れよ」

上条「いやだから不謹慎なのはやめようって通達あったよね?『中の人がアレしたら笑っていられないんだから、せめてイジるのは退院してから』って言われてたよな?」

御坂「その通達もギャグになっているような……」

土御門「まぁここはアメリカ式サバイがバルーする方式で行んだにゃー。こう何日か島で暮らして、定期的に脱落者を多数決で決めるやつ」

上条「そういうの待ってた!実力が人気へ直結するようなの!」

フレンダ「あれ?それって悪名高いやつ」

レッサー「シーッ静かに!今面白いところなんで!」

土御門「でも大丈夫かいカミやん?そういうのは実力が無かったらアッサリ切られるんだぜぃ?」

上条「バッカお前何言ってんだよ、俺を誰だと思ってんだって話だ」

上条「……」

上条「――あれ……俺誰だっけ……?」

インデックス「自虐が過ぎるんだよとうま!?原因の一端になった身としてはそこまでして笑いを取る意味が分からないんだよ!」

上条「途中から記憶が、ない、だと……ッ!?」

土御門「カミやんカミやん、俺がいうのもアレだけど不謹慎」

レッサー「あなたは私のフィアンぐべらぼあべはあぁっ!?」 バチバチバチバチバチッ

御坂「なんでもないのよ?何もしてないんだからね?」

初春「今傷害事件が目の前で」



――

佐天『――はい、という訳で唐突に始まってしまいました素人さん参加方番組!暇だったんで進行役になりました佐天涙子です!』

鳴護『えぇっと、たまたま居合わせたアイドルARISAです。ゲストらしいです』

佐天『さて!この番組は実に単純!一週間ごとに参加者全員で投票をして、最も多かった人間が島から追放となります!』

鳴護『おうちへ帰れるんだったらいいんじゃ?』

佐天『いえいえそれがそうともならず!ゲームでは島で暮らした日数に応じてお金を頂けるというエゲツない仕組みになっております!』

鳴護『あー、なんか後々まで禍根を残しそうな』

佐天『ちなみにARISAさんが参加するとしたらどうします?』

鳴護『一日目にカロリー不足でリタイアせざるを得ません』

佐天『なんとも悲しい理由ですね!では参加者の皆さんレッツ・サバイバル!』



――

上条「一日目!まず大切なのは水だ!流れ着いたペットボトルとパイプを利用した濾過器を作るぜ!」

上条「同時に木の皮を剥がしつつ、その皮で容器を作る!湧き水を入れて煮沸すれば細菌やウイルスも殺して飲用可能だ!」
(※ただし鉱物中毒になる危険性はあり。非常時以外は真似しないでください)

上条「二日目!次に大切なのは食だ!ガッチンコ漁法で川魚をゲット!」
(※石を水中の岩にぶつけて魚を気絶させるが、稚魚から何か死ぬため禁止。非常時以外は以下略)

上条「三日目!廃材を利用して屋根付きのテントとトイレを作るぜ!出来れば雨が多い場所だったらもっと優先度は高いが!」
(※雨に濡れたままだと低体温症になりやすく普通に死ぬ。船が転覆して救命胴着を着ていても亡くなるのはこれが理由)

上条「四日目!塩だ塩!適当な常緑樹へ海水を何度も何度もぶっかけてると、そのうち枝に塩の結晶ができる!」
(※古式の塩の取り方)

上条「五日目!空いた労働力で器を作る!将来的には保存食を視野に入れつつ、今は塩で一杯にしてやるぜ!」

上条「六日目!少し生活に余裕が出て来たから草を編んで網とロープの作成へ入る!」

上条「鳴子と合わせればいざ来る獣対策としても使える!もしも異世界転生したら真っ先に作っておきたい一品ですね!」

上条「そして運命の七日目!追放されるのは――」

他の参加者たち「この人追放です」 ビシッ

上条「なんっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっでだよ!?頑張ったじゃねぇか!率先して働いてただろ馬車馬のように!?」

佐天『あの、すいませんツッコミ待ちかと思ったんですけど』

鳴護『ダイジェストでお届けしたけど、当麻君一人が突っ走って待っただなしに』

上条「当り前だろ!?そりゃ分業できるんだったらするけど、一人でやれるんだったら他の作業は他の人に任せるさ!?」

初春「他の方が文句言いつつやらされるのに対し、上条さんが嬉々として職人のように生活インフラ作ってるのはもうギャグかと」

上条「クッソ……!あれもダメこれもダメ、俺はどうしたら――」

上条「――よし、分かった。もう俺一人でいいからお前ら全員帰ってくれ!無人島には一人で来るのがベストなんだ!」

御坂「多分その発想をした人類はあんたが最初で最後だと思うわ」


-終-

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