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Clock(trial)

ステイホー企画

 
――街角

インデックス「ねぇ、とうま。わたしいつも思うんだけどね」

上条「今日の夕飯は酢豚スパゲッティだ」

インデックス「なんて魅惑的な響き!?一見ご当地グルメっぽいんだけど、作ってみたら意外と美味しいかも!」

上条「クックド○とか、最後に混ぜるのを使って普通に酢豚作ってから、パスタの上へ盛るんだ!ボリュームも増えてなお良し!」

インデックス「ぐぬぬ……!ごはんの上へのっけてかっこむのも好きなんだけど……!こう、チャレンジしてみたくなる料理だね!」

上条「あとアレンジ関係で言えば永谷○の麻婆ナスの元ってあるじゃん?あれって実は売り場に二種類あってだ」

インデックス「とうまはもう家事がベテランママさんに域にまで達してるよね?何がそこまでさせるんだよ?」

上条「まぁ聞けよ。片方はあっさり味、もう一つはこってり味。こってりは正直味が濃すぎて微妙なんだけど、まぁ普通に麻婆ナスを作ってだ?」

上条「そこへレンチンしたうどんを入れ、火が通るまで炒めると――簡易焼きうどんの出来上がり!」

上条「しつこかった味もうどんを入れることでまろやかに!丁度いいぐらいの味でオススメだぜ!」

インデックス「ちょっと何言ってるのか分かんないかな。あ、美味しいってのはどういだけど」

インデックス「ただそのね、あんまりお手軽料理ばかりってのはどうのかな、ってまぁ思わなくもなかったり」

上条「いやいやこれは大切な事なんだよ。公安9○も言ってるだろ?『常に100%の力で一つの事件を解決するのではなく、70%の力で三つをこなせ』と」

インデックス「職種が違うよね?」

上条「あぁ、魔法少女でお馴染みの?」

インデックス「それ触手。”しょくしゅ”で変換したら最初に出て来たからビックリしたんだよ!」

上条「いや違う違う、そこは『魔法少女と触手って関係ないよね!?』ってツッコむところ!」

インデックス「どうでもいいんだよ!ぎょーかい的にはそんなに遠くもないかもって知ってるし!」

上条「業が深いよな。いやそれは別にいいんだよ、良くないけど欲はあるってことで」

インデックス「西尾維○先生のぱくりだよね?あんまりそういうのはちょっと、うん」

上条「細かいことはいいんだよ!料理家のコウケンテ○さんも言ってるんだ!」

上条「『前は丁寧に準備をして下拵えをするのが料理だと思っていた――しかし結婚して分かった!そんな暇はないと!』」

上条「『時短できて美味しいんだったらそれに越したことはない!』ってな!」
(※大まかには)

インデックス「随分なカミングアウトだよね。お料理の先生がぶっちゃけちゃっていいのかな?」

上条「俺も主夫として言いたいね!毎日毎日誰が献立考えてると思ってんだゴラァっ!?だっつーにカブってすぐ文句言いやがって!」

上条「確かにコンビニ弁当は美味いさ!美味いし最近じゃ体にいいんだっつー話だよ!そこは否定しない!」

上条「開発の人たちが人生かけて商品考えて!選ばれた精鋭が棚に並ぶのはいいさ!」

上条「でもな、よーく考えろ?人生何年生きるか知らないが、まぁ365日×3食×80年!8万7千600回分食事をするわけだ!」

上条「その中で何回手料理が食べられる!?ベルトコンベアで決められた量の決められた味付けの決められた行程で魂の籠らないメシ喰って嬉しいか!?あぁっ!?」

インデックス「えっと、ごめんねとうま?とうまが傷ついてるのに気づかなくてごめんね?だからもっと声は絞ろう?」

上条「あ、個人的にはほっともっ○の特のりタル弁○が一番好きです」

インデックス「食べてんじゃん。普通に食べてるよね」

上条「全国の主婦を代弁して言ってみた。疲れて帰っても『カップ麺が食べたい』とか言っちゃダメだぞ!例え本音でも離婚が怖いんだったら黙っとけ!」
(※明石家さん○)

インデックス「とうまが疲れているのは分かったから……今日はお外で食べるのかな?まぁたまにはいいんだよねっ!」

上条「メニューを店員へ見せて『ここからここまでまっはでね!』とか無茶な頼み方しなかったらな」

インデックス「うぅ……せめて一列ぐらいは制覇したかったんだよ……!」

上条「――と、言うわけでインデックス。俺たちは仲間だ、パーティだ。ある意味運命共同体だってのは分かるよな?」

インデックス「うん、とうまがすっごい無茶振りしてくるんだろう、っていうのは分かるんだよ」

上条「今からタイムセールが始まる時間帯だ。しかしあっちの八百屋ではお野菜が、向こうのスーパーではお肉が安くなる」

上条「物理的に俺一人では回れない――ここまでいえば分かるよな?」

インデックス「うんっ!八百屋さんの前でしゃがみ込んで、『もう何日もぱぱとままが帰ってこないんだよ……』ってこいきなじょーくを飛ばせばいいんだねっ!」

上条「ディ・モールトだインデックスさん!予想以上に成長してるけど、それやっちまったら俺が監督不行き届きで物理的にお炊き上げされるかもだからランクを落して!」

インデックス「監督じゃなくて管理の間違いだと思うんだよ」

上条「あくまでも程々にだ、いいな?細く長くタカった方が最終的には得になるんだからな?」

インデックス「色々と終わってるけど生きるためにはたたかいが必要なんだね!」

上条「Goインデックス!俺たちのメシランクはお前の肩に掛かっていると言っても過言じゃない!」

インデックス「分かったんだよ!とうまもご武運を祈るんだよ!」

上条「あぁそっちもな!……さて、俺は――」

女の子「あ、すいませーん。そこの薄幸そうな高校生のヒトー?」

上条「……」

女の子「もしくは天が授けた美貌を持つ超イケメン男子高校生?」

上条「それで立ち止まるヤツいねぇよ!?いくら何でも自己評価が高すぎるし、もしも誰かにそう言われてるんだったらただのイジメだ!」

女の子「あ、良かった−。聞こえてたんだねー」

上条「俺?すいません、今時間が無くて」

女の子「簡単なアンケートにご協力くださーい。お願いしまーすっ」

上条「いやだから忙しいつってんだろ。ごめんもう行くわ」

女の子「いやホンットにすぐ終るから大丈夫!当麻お兄ちゃんよりも早いから!」

上条「テメ何が早いっつってんだ俺の何が分かるっつーんだあぁ?」

女の子「うん、それでね?新製品のボールペンのモニタなんだよ、ほらこれ。新しいでしょ?」

上条「聞けよ話を……お馴染みのメーカーの名前だけどこれ本当に新商品?そこいらのコンビニで見たことあんだけど」

女の子「ガワだよ?中身はソリッドオプティカルフレキシブルユーチューバー構造なんだってさ?」

上条「横文字過ぎて想像もできない。なぁ俺騙されてないか?最後ユーチューバ○ってついてないか?」

女の子「まぁいいからいいから、じゃあこっちの紙に必要事項を記入してください」

上条「何々……?名前と住所を書けばいいの?」

女の子「ご協力おねがいしまーすっ!」

上条「はいはい、上条当麻っと」

女の子「かっこ笑いかっこ閉じるは?」

上条「そんな親いるか?自分の息子に(笑)ってつけるアホは死んだ方が世のためにならないか?」

女の子「中東出身で”Abcde(アブシディ)”さんって人はそこそこいるよ?」
(※マジです。何年か前に空港職員が爆笑して失礼だろってニュースになった)

上条「日本で言う一二三(ひふみ)さんみたいなもんか。で、書いたけどこれで終わり?」

女の子「うん、オッケー――じゃ、ないや。ゴメンゴメン、ここの下のところに印鑑もらえる?」

上条「ねぇよ印鑑なんて」

女の子「それじゃ拇印で。はい、朱肉」

上条「はいはいっと……これでいいか?もう行っていいんだよな?本当に終わりなんだよね?」

女の子「まぁ終わりだよね――当麻お兄ちゃんの人生が」

上条「……はい?」

女の子「――『猟犬部隊』」

隊員A「イーッ!」

隊員B「イーッ!」

浜面「イーッ!」

上条「待て今一人おかしいのいたな!?一番最後のヤツ!お前だよお前!顔そらしてっけどバレバレの浜面!」

浜面「大将……分かってくれ!俺はただ幸せになりたいんだ!」

上条「浜面……いいぜかかって来い!お前のそのげん」

隊員A「取り押さえろ!」

隊員B「後ろから行け!」

上条「って卑怯だろクラアッ!?お前らもっと手加減しなさいよ!俺だってカッツカツでやって――!?」 ガシッ

浜面「……すまねぇ上条、俺の事は怨んでくれていい……!言い訳なんてしねぇよ!」

上条「浜面……お前、何があったっていうんだよ……?」

浜面「超県してパチス×したら全部スッちまったんだ……!その差額を埋めるためにもこんな腐れ仕事を……!」

上条「本当に言い訳できる状況じゃねぇぞ?なんてこのクソ厳戒態勢でパリピー根性出してんの?」

円周(女の子)「てか回転率が極限にまで落ちてんだから、少しでも養分(客)から回収しようとするのが普通じゃんね」

浜面「違う!俺はシンフ○の新台をやりにいっただけなんだ!お布施が目的だから!疚しい目的じゃないんだ!」

上条「もうなんかいい加減にしたらどうよ?こうギャンブルに萌え商法ぶっ込んでくるの」

円周「FG○も10万ガチャセットも全部揃えるのには全然足りないっていうしねー。あとカードゲットしてもそこからが本当の戦いでもあるし」

上条「いや、いいと思うよ!男性主人公のボイス格好良いよねっ!」
(※阿部○さん)

円周「やったね当麻お兄ちゃん!少しだけもっさ○との差が埋まったよっ!」

上条「ウルセぇな!だから俺はイジってもいいけど中の人までイジなっつってんだろ!?」

上条「てか何なんだよお前ら!?俺を捕まえて何しようってんだ!?」

円周「はーい、当麻お兄ちゃん、お口アーンっとして?アーンって、お薬のお時間ですねー?」

上条「――!」 グッ

円周「あー!閉じちゃった、意地悪しないでほしいんだけど……浜面?」

浜面「大将、素直に口開けてくれよ。危害を加えようって訳じゃねぇんだ」

上条「――!」

円周「『充分危害入ってるよ』ってツッコんでるみたい。もー、当麻お兄ちゃんったら欲しがりさんなんだから、もうっ」 パクッ

浜面「あ、オイッ!何飲んでんだよ!」

円周「ほほえほいてね?(抑えといてね?)」

上条「――?」

円周「――ちゅっ――ん、あふっ、ちゅっ……ん」

上条「んーーーーーーっ!?んーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!?」

浜面 パシャッパシャッパシャッ

上条「おまっコンプラ的にこれはマズ――」

円周「えろぉ……」

上条 ゴクッ

浜面「あーぁ……」

上条「これは……卑怯、だと思う………………」 コクッ

円周「男の子って悲しい生き物だよねぇ、うんっうんっ!」

浜面「悪魔が!ここに悪魔が一人いるよ助けて滝壺つぁん!」



――とあるスタジアム

レッサー「『レッディィィィィィィィィィィィィィィィィィィスッ、エンッ、ジェントォルマッ!ようこそ来やがりましたねマサーファッカ×ども!』」

上条「……」

レッサー「『今宵ここで行われるのは神を無視した超外道!それでも皆さんは顛末が知りたいかーーーっ!』」

観客たち『オオォォォォォォォォォォォォッ!』

レッサー「『景品の上条さんが欲しいかーーーっ!』」

観客たち『ぉ…………ぉぉ?』

上条「リアクションが中途半端だな!そこは『オォォォォ!』って声張って『なんでだよ!』って俺にツッコまれるか、完全無視して『嘘でもいいから話し合わせろや!』って行くとこだ!」

レッサー「『分かりやすいツッコミ解説ありがとうございます。ですがツッコミを入れつつも、やっていることはボケだと思いますが』」

上条「……あれ?レッサー?」

レッサー「『はいな。”ブリテンが生んだ民安とも○”ことレッサーちゃんです』」

上条「謝れよぉ!あの人はあぁ見えて結構真面目なんだから民○さんに謝れって!」

レッサー「『てか上条さん、ご自分のお体の具合はどんな感じで?』」

上条「どんなも何も――うん?縛られてる?」 ググッ

レッサー「『はい、それではスタジアム上の看板をお読みください』」

上条「えっと……『第一回チキチキ!上条当麻争奪・とあじゃん大会』……?なにこれ?とあじゃん?」

レッサー「『上条さんを景品にしてとあじゃん大会をします、以上!』」

上条「じゃ、ねぇよ!あぁもうツッコミどころが多すぎてどっから手ぇつけたもんか迷うな!」

上条「まず『景品;俺』ってなんだよ!?自分で言うのもなんなんだけど、貰って喜ぶアホはそんなにいないだろ!?」

上条「次に俺は出るって了承した憶えがない!人身売買ハンターイ!そういうの良くないと思います!」

上条「で、最後の『とあじゃん』って何?なんかのゲーム?」

レッサー「『長ツッコミありがとうございました。まぁ何もお立場を分かってないというのが分かりました』」

レッサー「『まず上条さんが欲しいと手を上げられた物好きはそこそこいらっしゃいまして、抽選製と相成りました。ご愁傷様です』」

上条「臓器か?一方通行がちょい前まで戦ってたバイヤーにでも卸すつもりかっ!?」

レッサー「『まぁそれは勝利者のさじ加減次第でありますが、次に上条さんは契約をしたじゃないですか?』」

上条「する訳ねぇよ。あったとしても偽造だ偽造」

レッサー「『ですがここに”俺、三億で売ります☆”ってサイン済み&拇印済みの契約書が』」

上条「バカ!俺のバカ!『どうせ軽いボケなんだろうな』ってあんま考えずボケに乗っかった俺のバカ!」

レッサー「『最後に”未成年が賭け麻雀ってタイムリーどうよ?”て、ポンジャ○やドンジャ○へいこうと思ったのですが』」

レッサー「『実はどっちも製品名であり商標登録されていますので、麻雀っぽいものとして”とあじゃん”のゲームとなりました。見ます?』」

上条「麻雀牌にゲコ太とか常盤台の校章とか、あとこれビリビリのイラストか?」

レッサー「『上条さんのもあります。まぁ詳しくルールは後ほどと致しまして――さて!では本日の主役たちの登場です!』」

レッサー「『東側ゲートをご覧ください!とある界の大御所!ある意味こっちもあっちも主役を務めているといっても過言じゃない!』」

上条「余計な事は言うな、なっ?」

レッサー「『常盤台のエースにしてゲコラー!男女ともにファンは多いわアンチも多い――』」

レッサー「『みっっっっっっっっっっっさか、美琴選手の入場となります……ッ!!!』」

御坂「出づらい。そしてアンチが多いとか言わないでよ」

レッサー「『いやー、来ましたねこの日が!本日の意気込みの程をお聞かせください!』」

御坂「べ、別にあんたが欲しいわけじゃないんだからねっ!」

レッサー「『あ、じゃあお帰りはあちらです』」

上条「空気読めMC!もう伝統芸みたいなもんなんだからマジレスすんなよ!」

レッサー「『えー……じゃあ勝利した暁には、上条さんのどの臓器から抜いていきますか?』」

上条「なんでだよ!?ビリビリはそんな猟奇的なことしないよ!無事解放してくれるって俺知ってんだから!」

レッサー「『信頼を押しつける体で主張をゴリ押し仕様とする姿勢、私は好きですよ−。つーか御坂さんはどうです?』」

御坂「そうね……流石に一括は無理でしょうけど、三億の負債分は払ってもらうわよ!キッチリとね!」

上条「いや……三億ってお前。サラリーマンの生涯収入が二億あれば上の方って感じなのに、俺だぞ?俺の稼ぎだぞ?」

レッサー「『やめてください上条さん!ボケでもなく冷静に事実を認めたって良い事無いじゃ無いですか!』」

御坂「いやだからあたしをなんだと思ってんのよ。もっと現実的な返済プランを考えるでしょ、普通はね?」

御坂「まず一日……そうね、大体2万ぐらいかな?半分は返済、半分は給料として支払うわ。そうすれば全然返せるでしょ?」

上条「一日一万ずつ……?」

御坂「そうよ!しかもただ働きじゃなくてきちんとお給金ももらえるのよ!悪い話じゃないでしょ?」

上条「あ、あぁ、そう、かな?そう、だよな?なんか腑に落ちないけど」

レッサー「『コーヒー一日分に換算すると〜商法ですね。そんなに飲まねぇよorいつか飽きるわ、というツッコミの』」

御坂「要はたった3万日働くだけで返せるのよ!季節季節のボーナスを入ればもっと早く済むし!」

上条「そっか!なんか怖ろしい数字が出て来てる気がするけど早く返せるんだったら安心だな!」
(※3万日=約82年)

レッサー「『このアマ、ガチで一生飼い殺しにするつもりですね。敵ながら天晴れですな』」

御坂「まぁ悪いようにはしないわ!幸せにしてあげるから覚悟しなさい!」

レッサー「『その台詞で上条さんへのヘイトが蓄積されていってる気もしますが……まぁいいです!それでは席へどうぞ!』」

レッサー「『続きまして西側ゲートをご覧ください!常盤台のもう一人のレベル5!クイーンの異名に恥じることない堂々としたおっぱ×!』」

上条「関係ないだろ。貧乳のクイーンだっているよ、このご時世的にはそっちの方が多そうだよ」

レッサー「『新約で一番人気が上下した挙げ句、最後に大暴落したーー、しょっくほー、みさきさんの入場です……ッ!』」

食蜂「まぁ、何一つ反論できないのが辛いわねぇ。あとあなたもうちょっと気を遣うべきだわぁ」

レッサー「『本日の意気込みの程をどうぞ!』」

食蜂「そぉねぇ。『出たら御坂さんが嫌がるかな☆』って以外にはこれといってないかしらぁ」

御坂「やんのかこのアマ、あ?お?あぁ?」

食蜂「きゃあ怖いぃ☆バーバリアン力の御坂さんが襲ってくるわぁ☆」

レッサー「『”――まるで将棋だな”』」

上条「他人様のパワーワードぶっ込んでくるなよ!俺だってそういうの欲しいわ!」

レッサー「『御坂さんと仲がお宜しいのは分かりましたが、上条さんはどう使うおつもりで?ベターなところでドレッサー代わりなんかどうです?』」

上条「女の子に等身大トルソーいるかな?文字通り置物になれってことだよね?」

食蜂「そんな可哀想なことはしないわぁ。そうねぇ、大事に大事にするとだけ言っておくわぁ?」

食蜂「こう見えて尽す女よぉ、わ・た・し☆」

上条「――なぁ運営、これって俺からの逆指名ってシステムないの?」

御坂「待ちなさいよ!どう考えてもハニーなトラップでしょうが!?」

上条「罠と分かっていても踏み抜く勇気……ッ!」

御坂「やだ……格好良い!」

レッサー「『あなたの目は腐っています。私の目にはただエ×根性に負けそうになっている惨めな男が一人見えるだけです』」

食蜂「男子は戦わなきゃいけいな日が来るのよぉ」

レッサー「『少なくとも今ではな――ハッ!?いつのまにか私がツッコミ側に回っている、ですって……!?』」

上条「いいから話進めろよ!いつまで経っても終わんねぇんだからな!ダラダラやってたからサメ周回も終わらなかったし!」

レッサー「『あいあい、では食蜂さんお席の方へどうぞ――続きまして、南側ゲートをご覧ください!』」

レッサー「『みんな大好き中学生!とある界の渋川剛○!この子が絡めばエ×くなる!』」

佐天「すいません。呼び出しがあんまり酷すぎます」

上条「そして一概に否定出来ないのが何とも……業が深いというか」

レッサー「『紹介する前に入って来ましたが、佐天涙子さんの入場ですっ!』」

佐天「あ、どもです。棚中から来ました」

御坂「佐天さん……?あれ?」

食蜂「あらあら御坂さぁん?みっさっかさーーん?」

御坂「いや違うわよ!?別にあたしがお願いして出てもらう的な工作はしてないわ!」

佐天「そうですよ!あたしはあたし自身の意志でここにいます!」

上条「なんか不安になるんだけど……一応聞いておくか。意気込みと勝った場合の俺の処遇はどうなんの?」

佐天「何が何でも勝ちますよー!勝って大事なものを取り戻すまでは!」

御坂「――はい、ストップ。カメラ停めてもらえるかな?叩き壊されたいんだったらそのままでもいいけど」

食蜂「スタッフのみんなはそのまま動かないでねぇ?私からのお・ね・が・い☆」 スッ

上条「レベル5が仲良く共闘しようとすんな!お前ら下手な核よりタチ悪いって自覚しろよ!」

レッサー「『大事なものとはアレですよねっ!よっ、この幻想殺しっ!』」

上条「ナメんなコラ、あぁ?16年ずっとやってきて恥女からのちゅー一つだけって俺をバカにすんな!体張ってる割には実りがゼロに等しいんだからな!」

佐天「動機の方も単純です!あたしが勝った際にはピー助を返してください!」

上条「……ピー助? 誰?」

佐天「返してください!『右手』に新しい能力を宿してドラゴンに乗って妖精さんと活躍する話を!」

上条「それ妄想の話じゃねぇか!?『俺が主役降ろされたら……』って設定で!」

レッサー「『あー、前作の主人公が引き立て役になるってパターンですね。力を封印されたり姿を変えられたり』」

佐天「むしろ聞きたいですね!あたしが主人公になった方が売れるんじゃないんでしょうかっ!?」

上条「――よし、かかって来い。タイマンだ!」

佐天「解決方法がただの暴力!?なんて酷い!」

食蜂「……この子も結構なこと言ってるわよねぇ?」

御坂「『実質的に主役を降りてサポートしろ』よね」

レッサー「『外資の大企業でリストラされる場合、”最後の仕事が後任者へ自分の仕事を全部教える”ってキッツい話に似てますよね』」

上条「てか三億は大丈夫なの?俺の借金肩代わりって設定は?」

レッサー「『あぁお気になさらず。仕入れ値が税込み100円なんで』」

上条「俺の時価が100円かぁ……ガチャポン一回分だなぁ」

佐天「最近は100円よりも高いのが主流ですよ?」

上条「だがしかしガチャ一回分だと考えれば納得も……!俺はみんなに夢を与えられるんだ……!」

御坂「ちょっと何言ってるのか分からないわね」

レッサー「『では佐天さんが勝利してしまったのなら、上条さんはドラゴンになるんですか!ある意味オイシイですよねっ!』

佐天「掌サイズにまで縮んでもらって寮で飼います!マスコットとしてハーレム状態ですよ!」

上条「愛玩動物としてモテても嬉しくない、ってこともないけど。人類としてそれでいいのかって疑問が残るよな!」

食蜂「飼うんだったらウチで飼うわよぉ?」

上条「君は君で別の意味で怖いわ!もっとこう普通のオーナーを用意しとけよ!」

レッサー「『あ、最後はインデックスさんです』」

インデックス「私の扱いワルっ!?なんでこんな仕打ちを受けなきゃいけないのかな!?」

レッサー「『まぁどうせこの流れだとそうなるんだろうな、と期待を裏切らなかった訳ですが、コメントがあればどうぞ!』」

インデックス「とてもアバウトで不安になるんだよ……!」

上条「このアホは母国と一緒で目に入れる物全てを敵に回してるスタイルだから、まぁうん」

インデックス「私も実質的に同じ国なんだけど、一緒にしないでほしいかも!」

上条「そんで?インデックスさんは俺への待遇改善についてどうお考えで?」

インデックス「毎日私のご飯を作ってほしいかな」 キリッ

上条「あぁ大丈夫だインデックス!もし俺にカノジョができたり、結婚することになっても連れて行ってやるから!安心しろ!」

インデックス「もうその言葉だけで『ないす・ぼー○』案件だよね?【!地上波では見せられないよ!】ってキレちゃってもいいのかな?」

佐天「あたしにどーこー言う前に上条さんがかなりペット扱いしてますよね」

レッサー「『フォローしておきますと”じゃないと無理”って解釈も出来ますし――まぁ、それはそれとして」

レッサー「『それでは第一回とあじゃん大会の宣言します!バトラーは席についてください!』」

御坂「分かったわ」

食蜂「はぁい」

佐天「いっちょやったりますか!」

インデックス「ペット感覚……」

レッサー「『では開催に当たりましてとあじゃんのルールをご説明いたします。まぁぶっちゃけ麻雀ルールがベースになっています!』」

レッサー「『諸事情によりほぼドンジャ○ですが、まぁ同じ牌や連番で集めてください!それが役になります!』」

御坂「またデタラメな……」

佐天「持ち点がゼロになったらその時点で負けですか?それとも何回かゲームするとか?」

レッサー「『まぁ取り敢えずはやってみましょう。泣きと役はその場のノリで』」



――第一局

御坂(えーっと配牌は御坂(笑い)×3、垣根(キレ)×3、初春(西葛西)×2、佐天(バット)×1、アニェーゼ(病み)×1、ルチア(闇)×1、上条(そげぶ)×1)

御坂(――って西葛西って何だ!?ここまでなの!?元号も変わったんだから許してあげればいいじゃない!)

御坂(てか他の配も喜怒哀楽だけじゃなくて病みとか闇って何よ!?もっといい顔あるんだったらそっち使いなさいよ!いやいいんだけどちょっとホシイのこのドンジャ○!)

御坂(落ち着いて、揃ってるあたしと垣根はステイ、初春さんは待ち、あとは無難に切るだけか)

御坂(そもそも役が「ノリで」って意味不明のことになってるし、まぁ様子見で一枚のを切る……上条(そげぶ)、かな?なんか持ってるだけで運気が下がりそうな) カチッ

佐天「――はぁいロン!上条(そげぶ)・御坂(超電磁砲)・一方通行(ドヤ)・垣根(黒)で、役名『主人公集結!(オールスターバトル!)』」

御坂「上がるの早っ!?てか忘れてた!佐天さんの引きって異常に強いんだった!」

佐天「任せて下さい!場の空気を読まずに無双ししますよー!」

レッサー「『役名はこじつけてでも結構です。牌が揃っていて関係性が明示されていれば通ったと判断されますんで』」

御坂「くっそー……で?あたしは何点引かれるの?それもノリ?」

レッサー「『ではなく……あぁJCの方、お耳を拝借』」 ボソボソ

佐天「その括りだとほぼ全員そうですけどね」

インデックス「私も年齢的には同じぐらいだけど……」 ジーッ

食蜂「……何よぉ」

御坂「年齢詐称疑惑が一人いるのよねー、誰とは言わないけど」

食蜂「身体的特徴で人を貶すの良くないと思うわぁ」

レッサー「『――では佐天さん、どうぞ』」

佐天「はい、では御坂さん。気は進みませんが、てゆうか恨みっこ無しですよ?」

御坂「な、なに?」

佐天「『――ライデンは重量級なのに御坂さんはフラットなボディなんですね!』」 ザクッ

御坂「ふごおぉっ!?」

上条「なんてこと言い出しやがった!?事実だって言って良い事と悪い事あるだろ!?いくら事実だとしてもだ!」

インデックス「うん、一番悪いこと言ってるのはとうまだけどね」

御坂「さ、佐天さん……?これはどういう……?」

レッサー「『とあじゃんの最大のウリ、というか勝利方法なのですが――』

レッサー「『――相手の悪口を言って心を折ったら勝利です……ッ!!!』」

上条「なんて邪悪なゲーム!?人間関係に後々まで大ダメージを与える!」

レッサー「『さぁある意味デスゲームですよ!ここで降りたければどうぞ降りて下さい!』」

上条「やめようぜみんな!こんな全員が無理心中するような企画に付き合う必要ねぇって!」

御坂・食蜂・インデックス「……」

上条「あ、あれ……?どうしたんだみんな?顔が笑って――ひいぃっ!?」

御坂「――や、全然全然?大丈夫よ?怒ってなんかないわよ?」

食蜂「そうよねぇ。ただのゲームだし、起る要素なんて皆無力よねぇ」

インデックス「そうなんだよねぇ……まぁ、私も言いたいことがないわけじゃないんだよ……!」

御坂・食蜂・インデックス「――あぁ?」

佐天「あ、またやっちゃいました?」
(※(C)賢者の○)

上条「不毛すぎるよ!?ギャグで『俺のために争わないで!』ってやろうとしたのに、この空気じゃ無理だよ!」

レッサー「『違う空気でも無理でしたが。では改めまして第二局、始めぇぇいっ!』」



――第二局

食蜂(手持ちは……帆風(マッチョ)×4、数多(無反動砲)×2、幻生(ジジイ)×2、円周(トリップ)×2、浜面(笑い)×1、浜面(笑)×1)

食蜂(……イヤっていうぐらい『木原』に執着されてるわねぇ。てかこの浜面(笑い)と浜面(笑)の区分おかしくなぁい?笑ってるのか笑われてるかって差かしらぁ?)

食蜂(切るとしたら浜面シリーズよねぇ。『木原』ですぐ役できそうだけどぉ) カチッ

佐天「はいそれロぉン!浜面(笑)・絹旗(ドS)・麦野(ガイノイド)・滝壺(だめんず好き)で『新生アイテム』!」

食蜂「まだ一巡目の一人目なのよぉ!?いくら何でも引きが強すぎるわぁ!?」

御坂「……いや、ホンットに引き運凄いのよ。どこに地雷があっても確実に踏みに行くし」

インデックス「あの……勝負にならないんだけど……」

レッサー「『では佐天さん、食蜂さんへの攻撃どうぞ』」

佐天「『ちょっとのやらかしで消える人気だったら、それ最初からファンじゃないんじゃないですかねっ!?』」

食蜂「まぁそうだけどぉ!私もそう思わなくもないけど、それ本人が言っちゃダメなやつじゃないのぉ!?」

御坂「あー……悪口?微妙に風刺っぽい気がしなくもなく」

インデックス「どっちみち『それ言ったらおわりなんだよ』って話なんだよね。なんだよ多いけど、なんだよ」

上条「ゲシュタルト崩壊するわ」



――第三局

インデックス(上条(そげぶ)×1、上条(制服夏服)×1、上条(制服冬服)×1、上条(制服パーカー)×1、上条(半裸)×1、上条(熱膨張一回目)×1、上条(熱膨張二回目)×1、上条(ラキスケ)×1、上条(ドリル)×1、上条(歯を食い)×1、上条(入院中)×1、上条(やれやれ)×1)

上条「オイ誰だこのゲーム作ったヤツ!そげぶすっから出て来いや!」

レッサー「『はいそこ。観客はプレイヤーの配牌見えるからってツッコまないで下さい。予断が入ります』」

御坂「よく分かんないけど、ここまで悪意を込めると逆に愛を感じるわよね。全部どれがどこか大体分かるし」

インデックス「勝ちが!この私の力を以てしても勝ち筋が見えないんだけよ!」

インデックス「そしてどうせどれを切っても」 カチッ

佐天「ロンでーす、ゴチになりまーす!上条(半裸)・浜面(半裸)・鳴護(お風呂)・佐天(お風呂)で『サービスカット!』」

食蜂「自分の裸(ら)も一切躊躇しない、だと……ッ!?」

佐天「人気があるのはいいことですよねっ!さ、覚悟して下さいシスターちゃん!」

インデックス「接点はほぼいないんだけど……」

佐天「『日本へ来て半年以上経つのに、いまだ語尾が微妙にオカシイってのキャラ作りですよね?』」

インデックス「いや違うんだよ!?そうじゃない、ないんだけどこれには事情っていうか私でも逆らえない力があるっていうかね!?」

御坂「アグネス=チャ○が日本語ペラペラなのと同じよね」

上条「土御門がデタラメ教えたからじゃね?あぁでも魔道書憶えるんだから、普通に日本語憶えるか」

インデックス「どうしてとうまはこういうときだけクレバーになるのかな!?ふぉろーするていで追い込んでくるよねっ!?」



――第四局

佐天「『待ってるだけで勝てるのはガイ○だけですよ!それでも訴えられて負けましたけどね!』」



――第五局

佐天「『なんて酷い……!☆型のカラコンなんて誰に入れられたんですかっ!?』」



――第六局

佐天「『一番近くにいるのにずっ友な関係って憧れますよねっ!新時代です!』」



――第七局

佐天「『あたしがそっちに出ないのは出たら全部持っていくからですか?ならしょうがないですよねー』」



――第八局

御坂「……予想以上に毒吐くわね佐天さん、ストレス溜まってたのかしら……?」

食蜂「そんな場合ですらないと思うわぁ……ここまで0勝っていうか、一巡目も終わらずにアガられたら勝ちようがないしぃ」

インデックス「もうゲームですらないんだよ!ふこーへーにもほどがあるっていうかな!?」

佐天「や−、すいませんね!昔からこの手の運要素の強いゲームじゃ負け無しで!」

レッサー「『流石にこれはゲームになりませんし……あ、じゃあ上条さんとチームを組ませてみてはどうでしょうか?』」

上条「俺は貧乏神か。流石に他人のLUK下げられるような特殊能力あったら誇るわ!」

佐天「まぁそれでも負ける気はしませんけどね!かかってきなさい!」

御坂「くっ……!たまに出る佐天さんのアレなテンションに入っちゃってる!一体どうすれば――」

御坂「――そうか!審判!上条当麻の佐天さんチーム入りを要求するわ!」

レッサー「『とのことですけど?』」

佐天「あたしは別に。てかチーム結成しても運気は下がらないじゃないかと」

御坂「いいのよ、それで充分」

上条「なんか分かんないけど、まぁ分かった」

レッサー「『それでは第八局、スタート!』」

御坂「分かってるわね?」

食蜂「やむなし、だけどぉ」

インデックス「まぁ……きっと神様もお許しになるんじゃないかな。てゆうか私が許すんだよ!」

佐天「――あ、本当に配牌が悪くなってる!?」

上条「スゲー言いがかりだよ!?さっきも言ったけどそんな力あるんだったら逆に自慢するわ!」

御坂「それはそれで悲しいけど――行くわよ!」

……

御坂「ポン!そしてアンジェレネ(師匠)でロン!」

佐天「おぉ……!途中から明らかに三人で結託していたような動きでしたけど、負けましたっ!流石御坂さんっ!」

食蜂「……いや、勝つのは勝ったけどぉ。このポジティブの塊みたいな娘をどうやって凹ますかっていうねぇ」

御坂「……あたしに任せて。いい?覚悟しなさいよ!」

佐天「どーんとこい!むしろ御坂さんとはケンカできるぐらいの仲になりたかったです!」

御坂「あたし的にも人たらしって思うけど――『この、釣った魚にエサをやらないクソヤロー』!」

佐天「……はい?」

上条「待ってくれ審判!?流れ弾がこっちに飛んで来てますよ!?」

インデックス「いや、仕方がないんじゃないのかな?だってとうまもちーむの一員なんでしょ?」

上条「インデックス――つーかお前ら、まさか……ッ!?」

御坂「覚悟しなさいよ!溜まりに溜まったあたし達の鬱憤、ここでその万分の一でも思い知るといいわ……!」

上条「審判!あいつこんな事言って――」

レッサー「『――それでは第九局、レッツ・スタート☆』」

上条「知ってたよ!お前がその場のノリ優先するって前から知ってたわ!」



――第九局

食蜂「『女の子には誠実さを求めながらハーレム構築☆』」

上条「ぐふっ!?お、俺の話じゃないけど、結構刺さるな……ッ!」



――第十局

インデックス「『とうまはなんで私に隠し事をするの?信頼してくれるんだったら話せるよね?』」」

上条「もう悪口じゃねぇよそれ!?家帰ったら謝るから!公開処刑は勘弁してくれ!」



――第十一局

佐天「『あなたが女性に興味ないんじゃないか説についてコメントよろしいですか?』」

上条「やめろ!さも事実を確認するかのようにデマを撒き散らすな!」



――第十二局

レッサー「『――はい、そうです!ガチホ×ですが何か!?』」

上条「よっしゃテメーらかかって来いよ!お前らのふざけた幻想ぶち殺したらぁ!」

御坂「あの佐天さんが味方を撃ってるんだけど……」

佐天「今日の敵は今日の友、今日の友は明日の敵ですねっ!」

御坂「あぁうん、特に考えてはいないのね?『こっちの方が面白いんじゃね?』以外に動機はないのね?」

食蜂「仲良いわよねぇ、あなた達」

御坂「どっかのクソアマに人間不信一歩手前にまで追い込まれましたけど何か?」

食蜂「悪い女子がいるものねぇ?」

インデックス「あれ?クーラー効いてなのに寒いんだよ?」

上条「だから審判オカシイだろこのゲーム!?俺が集中砲火されてんのもそうだが、攻撃方法は『悪口で相手の心折る』ってどんだけだよ!?」

佐天「はい、あたしもそう思います。もっと切断・焼却・鎔解みたいなデスゲームはなかったんですか?」

上条「あれ?もしかしてこっちの方が良心的か?」

食蜂「流行りのデスゲームにくらべたらねぇ。比べるのもなんなんだけどぉ」

レッサー「『と、言われてましてね。これはきちんとした選考によって公平に選ばれた結果ですから』」

レッサー「『相手を傷つけずに、如何にキャッキャウフフしてる的な感じで!見た目は仲良くねっ!』」

上条「その証言が信じられないんですよコノヤロー」

レッサー「『何を仰いますか!?この私の穢れなきナマコを見てください!』」

上条「眼(マナコ)な?海綿体ついてんのか、いやお前だったら隠してそうだけど」

ジジッ、ピーッ

レッサー「『ん?ハウリング?』」

レッサー(録音)『――という感じでゲームをするんですが』

円周(録音)『えー、ゲームするんだったらもっと血とか出た方がいいんじゃないのー?』

レッサー(録音)『いやいや、これぐらいでいいんですよ!お互い醜く罵り合うぐらいでね!』

レッサー(録音)『そうすれば見た方はドン引き!人気も下がって一石二鳥って訳ですな!』

円周(録音)『まぁいいけどー。きちんとお給料は払ってね?払わなかったら酷いんだよー?』

レッサー(録音)『それはモチのロンでございます!きっと多分恐らくきっと用意した報酬の倍支払いししますとも!』

円周(録音)『きっとが二回入ってる』

プツッ

御坂・食蜂・佐天・インデックス・上条「……」

レッサー「――すいません、塾の時間だから帰りますよね?」

上条「歯ぁ食い・し・ば・れ☆」


-終-
(※ご応募ありがとうございました)



――通り

暮亜「上里さん、他の子が問題起こしちゃったみたいです。どうしましょう?」

上里「……今度は何だい?どの子がどうドラブル起こしたの?」

暮亜「どの子じゃなくて、まぁ大体全員?ナンパされかかったのを止めに入って大惨事に」

上里「被害者と加害者の割合は?」

暮亜「今のところ被害者が3、加害者が7でしょうかねぇ。放置すればこっちが10になります」

上里「……止めてきてくれる?」

暮亜「何人かが行ってます……上里君の妹さんとか」

上里「この街を無くすつもりなのかな?」

暮亜「ですので私も行ってきます。上里君は休んでいてください」

上里「ぼくが行かないと収まらないだろう?『右手』が無くたってそのぐらいできるよ」

暮亜「彼女たち、構ってもらいたくて騒いでいるフシがありますので……」

上里「あぁ……それはダメだね、ぼくが行ったら逆効果だ」

暮亜「それとなく指摘しつつ適当に宥めてきます。何かあったらご連絡を」

上里「平和な街で急にバトルは始まらないだろう?」

暮亜「理論的には、ですけど」

上里「それで言えばぼくたちはどんな確率なのか知りたくもないけどね、分かったよ、気をつけて」

暮亜「はい、失礼します」

上里「……全く、中々世の中はままならないものだね。あっちが片付いたと思ったらこっちが片付」

上条「――すいませーん、献血お願いしまーす!このイケメンにおにーさーんー!」

上里「……」

上条「恵まれない子供たちのためにも!どうか献血お願いします!」

上里「募金じゃないよね?経済的に困難な子供たちに血を配るのは猟奇的だよね?」

上条「た、助けて下さい……!俺の家にはお腹を空かせて待っている母がいるんです……ッ!」

上里「君の母親が血液を摂取してる時点で、彼女に必要なのは白木の杭と少しの勇気だ。早く帰って楽にしてあげるといい」

上条「――上里君のバカァっ!もう知らないっ!」

上里「不安定か。ツッコミ役が壊れると超ボケになるのか」

上条「なぁ、ちょっと見ない間にまた人増えてないか?具体的には女の子」

上里「お前にだけは言われたくない」

上条「よっ、釣った魚にエサを釣らずに飼い殺しヤロー!」

上里「だからお前だけには言われたくないよ!大体人のこと言えないだろう!?」

上条「ラノベやゲームでさ。てかハーレムものって腐るほどあるじゃんか?」

上里「話を聞けよオイ。あるのか?ぼくはあまりネタに走られてもツッコめないよ?」

上条「初期ハーレムの一員で登場したのはいいけど、新キャラがどんどん出て来て最終的にモブ化する元ヒロインっているよな」

上条「気がつけば別のキャラとくっついてるってなんかこう!モニョるよなっ!?」

上里「人のエゴだよ。ていうか何しに現れた変質者」

上条「ちょっと腕出してもらえるかな?チクっとするかもだけど、一瞬だけだから」

上里「だからどうして人の血液を採ろうとするんだ。犯行現場にでも残そうって?腹いせに」

上条「俺にそんなに器用なことができる訳が無い……ッ!!!」

上里「なんて説得力」

上条「……いやどうしても嫌だっていうんだったらせめて血液型は教えてくれよ。あと髪も二・三本」

上里「益々意味が分からなくなってきているが、一体何なんだい?理解に苦しむのは前々からだけど。ストーカー?」

上条「けっつえきー、けっつえきー」

上里「B型だけど、だからなんだよ」

上条「だと思った。マイペースなんだよな」

上里「そういう君はO型だろう?『分類;その他』の」

上条「それも正確……そうか、可能性はゼロじゃないか――兄さん」

上里「可能性?可能性ってなん」

上里「……」

上里「――おい今何つったこのバカ?」

上条「兄さん?どうしたんだよ?急に?」

上里「その呼び方をやめろぶち殺すぞ?」

上条「いや、あくまでも可能性の話だからな?ただ、どっちかっていえばお前長男タイプだろ?」

上里「タイプも何も実際に長男だよ!?あぁまぁ下に一人義理でアレな妹はいるけど!」

上条「俺もおかしいとは思ってたんだよ。長男にしては流されすぎるんだ、次男タイプだなって」

上条「……今にして思えばおかしいと思ってんだ!『どうして俺はこんなにも管理人さんが好きなんだろう?』って……ッ!!!」

上里「癖(へき)だよ?ただの?なんで他のことと関連性があると思ったの?」

上条「いやでもまだ可能性があるだけで確定じゃない――よし、兄さん!俺と一緒に行こうぜ!」

上里「だから勝手に弟になるなよ気持ち悪い。というかその呼び方はやめてくれ、他の子が聞いたらどんな」

暮亜「………………にい、さん?」

上里「……うんまぁ知ってたけど。いや違うんだよ暮亜。このバカが錯乱してて」

暮亜「――だ、大丈夫ですっ!みんなにはよく言っておきますから!」

暮亜「『これだけハーレム構築してて手を出さないんだろう?E×かな?』ってみんな心配してる原因が分かっただけで!」

上里「超余計なお世話だよね?そしてぼくはどちらかといえば自制心を誉めてほしいぐらいだ」

上条「お前――兄さんを悪くいうなよ!俺が許さないぞ!」

上里「これは少し陰湿じゃないかな?クラスでハブにしようとセッコイこと企んだぼくがいうのもなんなんだけど」

上里「てゆうか君、あのあと聞いたら下乳目当てで世界を敵に回したんだって?そんなメンタルの相手に何やったって無駄じゃないかな?」

上条「俺と兄さんは大事な話があるんだ。家族についてだから君たちには外してほしい」

暮亜「わ、わかりましたっ!家族ですもんね!ならしたかがないですよねっ!

上里「暮亜、噛んでる。”仕方がない”」

上条「悪いな。ちょっと付き合ってくれ」

上里「イヤだよ」

暮亜「突き合って……!?」

上里「いいからお前は向こう行け」



――ファミレス

上条「――単刀直入に言おう。お前は俺のスールである可能性が高い」

上里「ブラザーじゃないのか?スールっていうと女学院でアレな話じゃないの?」

上条「あぁごめん、そっちの兄弟な。俺も混乱しててさ」

上里「ただの嫌がらせだと思うけど……で、どういうことだい?また魔神に運命改変でも喰らったのかよ?」

上条「その前に聞きたい。お前のご両親ってどんな人?てかご健在なのか?」

上里「まぁ普通にしてるよ。人格者だと言っても過言じゃないかな」

上条「っていうのは?」

上里「……ちょっと人格に難がある義妹がいてね。去鳴って子を引き取る程度には、かな」

上条「……どっちかが妙にこう、アレだったりとかしてないか?」

上里「アレの意味が分からないが、まぁ普通だと思うよ。ぼくとおなじで」

上条「つまり親父さんの方がハーレム構築症候群と?」

上里「殺すぞ?話聞いてたか?」

上条「お前だってアレだろ、あんだけ人にキレときながら無事に修羅場ってんじゃねぇよ!?つーか被害受けたのは俺だよ、主に!」

上里「何度も言うようにぼくはただの高校生だ」

上条「……ま、それは本題じゃないからいいけどもだ。お前の”それ”、あぁいや今はないんだっけ。なんでついたのかは分からないんだよな?」

上里「バカどもの気まぐれだとぼくは思ってい”た”。ただバカどもの痴態を延々体感して、正直どうかと訝しんでいるけどね」

上条「ってのは?」

上里「魔神どもが直接なんかしたんだったら、『フォフォフォフォ……!貴様はワシが育てたわい!』ってドヤ顔で言うと思う」

上条「それ多分正解。あいつらアホみたいに強いから、メンタル部分が小学生に余裕で劣るんだよな」

上里「生物学的には間違ってないけどね。虎が虫相手に策略をしないっていう」

上里「ただまぁ?”誰かか分からない何か”、がやったんじゃないってぼくは思うよ。君もぼくも不自然過ぎる上、作為的だ」

上条「……いやぁ散々世話になっといてなんなんだけどさ、そんなにいいもんじゃねぇぞ?少なくとも俺は」

上里「世話になっておきながら愚痴かい?」

上条「ついこの間なんか、俺の体を乗っ取ってドラゴンにしようとした上、シスター騙してちゅーしようとしていた」

上里「それ別の話してないか?こう、なんだ。男同士のバカ話で『下半身は別人格で……』みたいな話をしてるのかい?」

上条「いやマジなんだよ!?言い方はそう聞こえるかもしれないが、『俺の股間のドラゴンが!』みたいな超シモネタじゃねぇんだよ!」

上条「てかそこまで俺も自信過剰じゃない!ドラゴンは流石に盛り過ぎだ、せめてワイバーンだよ!」

上里「空飛んで毒を撒き散らすのかい。まぁお似合いと言えばピッタリだよ」

上条「……だからマジなんだってば。『俺だったらもっと上手くやった!』とか意味不明の供述をし出すんだよ!」

上里「人面瘡(じんめんそう)って怪談なかったっけ?人の顔っぽい腫瘍がペラペラ喋るの」

上条「嘘じゃないから調べてみればいい……それはいいんだよ。俺もある程度お前の意見は分からないでもない」

上里「作為的ってところかな?」

上条「あぁ。ただ魔神連中、つーか僧正曰く、俺が持ってるのはたまたまなんだと。向こうが仕組んだわけじゃなくて、今のイスに座ってんのが俺ってだけで」

上里「”そいつ”が違っても他の連中である可能性もあると思うけどね」

上条「この場合の”誰か”ってのは置いておこう。そこは重要じゃないし、俺らの知ってる範囲で答えが出せるとも思えない」

上里「個人的には夢を壊されたよ。ゲームで出てくる神がアホばっかりで」

上条「じゃあまぁ――『昔々あるところになんかスっゴイ力を他人へ与えられる存在がいました』」

上里「導入が、雑」

上条「だって確定情報が無きに等しいんだからしょうがないだろ。『で、あるとき不幸なツンツン頭の少年の”幻想殺し”を授けました』」

上里「君は昔から力が使えたのか?」

上条「多分そうらしい。知り合いのプロ曰く、『”右手”が幸運や赤い糸もぶった切ってる』的な事を言われた」

上里「ぼくは……君の後追いで舞台にあげられたもんだと思っていたんだが……」

上条「『いつものように、”右手”を授けた少年がイジられているのを見て楽しんでいましたが、ふと思ったのです』」

上条「『なんかもう一人ぐらい、追加した方が面白いんじゃね?』」

上里「『ドリンクバーでコーラに炭酸水足したら超炭酸できるんじゃね!?』レベルの発想かな」

上条「え!?なんないの!?」

上里「薄いコーラ以外に何ができるんだ。死ぬほどどうだっていい、そしてここまではぼくの予想と同じ――」

上里「……」

上里「――お前、まさか……ッ!?」

上条「彼だか彼女だか、もしかしたら性別なんか分からないような何かはこう考えたんだ――」

上条「――『どうせだったら兄弟で似たような力を与えて、殺し合わせればもっと面白いんじゃないか』って」

上里「……証明の仕様がない、ただ説得力はある。そしてぼくがあのバカどもだったら嬉々としてするな」

上条「まぁ偶然覚醒した、って可能性もあるけどな。俺もお前も」

上里「いや……だけど、ない話じゃない。だが――」

上条「多分レギュラーなのはお前の方だよ。魔術サイドのラスボス的な存在ですら、『理想送り』を全然知らなかった」

上条「……おかしいと思ったことはないのかよ?朝起きたら見知らぬ女の子が隣に寝ていたとか!ベランダにシスターさんが引っかかっていたりとか!」

上条「自分的には普通にやってるつもりなのに、いつまにか好感度が勝手にマックスになっていたり……!」

上里「……覚えがない、とは、言わない」

上条「だろうっ!?年上お姉さんが好きなのに年下ばっかりフラグ立って困るよなっ!?」

上里「困っているのは困っているけれど、論点が違う。もっと大局的に困っているよ」

上条「そして誰にも!誰にも手を出したりエロいことなんかしてないのに、周囲の誤解ばかりが広がっていく……ッ!!!」

上里「お前も……ぼくと同じだったのか……?」

上条「お前だけじゃないぜ!同じ宿命を背負った『聖闘○(セイント)』はまだ他にもいる!」

上里「やめないか。その、なんだ、マンガ原作だと{『主役クラスがもれなく全員異母兄弟』だってどうしようもない設定があるんだから」
(※アテナの親父はゼウスなのでまぁ正しいっちゃ正しい)

上条「だからDNA鑑定をしてくれないか!?お前だけじゃなくて他の連中も運命を弄られた形跡がある……ッ!」

上里「心当たりが、まだあるんだよな?しかも”それっぽい”相手の?」

上条「あぁ……一人は学園都市の能力者第一位。年上のお姉さんと推定年齢数年の幼女と女子に絡まれたり、魔術師に慕われている!」

上条「あと最近はなんか人外にまで手を出したらしいぜ!ロ×巨乳小悪魔だ!ストライクゾーン広いよな!」

上里「『不可抗力仲間を探そう』って主旨なんだよな?立場からして可能性はそこそこあると思うが」

上条「もう一人は常盤台の超電磁砲だ!超モテモテでハーレムっぽいのを構築してる!」

上里「その第一位はよく知らないけれど、超電磁砲は違うんじゃないの?ネットとかで『しょーぱんhrhr』とか騒がれてる子だよね?」

上条「いや、騙されるな!俺の妄想だと三桁は女の子を虜にしている!」

上里「妄想だからかな。陰謀論でももう少し証拠っぽいものは出てくるよ?」

上条「じゃあ反ファシストはどうしてファシストの国じゃなく民主主義国家で活動するの?」

上里「それが仕事だからだよ?その時点でどこの国の仕込みか分かるし、自由のない国で自由を求めたら逮捕されるだろう?」

上条「あともう一人候補はいるんだけど……それはまぁ一応確認と言うことで」

上里「……分かったよ。乗りかかった船だ、ぼくも興味があるしDNA鑑定は受けてもいい」

上里「ただ宛てはあるのかい?そっちの能力者って凄い厳しくDNA管理してるんじゃなかったか?」

上条「知り合いのカエル先生に頼むよ。あの人がダメならどこだってダメだ」

上里「あとこれで貸し借りは無しだからな」

上条「貸し借り?なんかあったっけ?」

上里「……なんでもない。行くよ」

上条「そういえばパトリシアのねーちゃんが『姉より早く恋人を作る妹などいない』って」

上里「12歳未満は普通にNGだ」

上条「いやでもとあるゲーム業界ではヒロインの外見年齢を5歳引き下げたら、企画が一発で通ったって都市伝説がだな」

上里「実話らしいからね。悲しいことに」



――とある警備員・犯罪容疑者拘置所

上里「……城?」

上条「なんかそう言いたくなる気持ちも分かる。ここに収監されているのが学園都市の一番偉い理事長で能力者だ」

上里「どういう流れでそうなったの?悪い事したのがバレたのかな?」

上条「俺的には大人の不始末で情状酌量もあると思うし、そのあとアイツがやったことについては手放しで評価できると思うが。まぁ?」

上条「本人からしたらケジメらしいんだよな。本当にそうかどうかは別にして」

上里「ふぅん?どうでもいいけど、どうやって入るんだい?コネでもあるの?」

上条「いや特に何も?」

上里「ノープランか」

上条「普通に面会に来ました、で会えるだろ……あー、ただ覚悟は必要かもな」

上里「なんの?」

上条「少し前まで嫌がらせかってぐらいボディチェック厳しくやってたんだと。外部から持ち込もうが、意味無いのにな」

上里「拘留されているんだったら、逃亡や証拠隠滅を防ぐのが当然じゃないのか?」

上条「学園都市第一位の能力者だっつってんだろ?出ようと思えば秒で出られるんだよ」

上里「……そういうの。うちにもいるけどな」

上条「まぁ俺は別の意味でも要注意人物だから時間がかかるかもしれない。ここで待ってるか?」

上里「いや、留置所へ入るのもこれが最初で最期になると思うし、ダメ元で会ってみたいよ」



――とある拘置所 鏡がやたら多い部屋

警備員「こちらのトレイへ金属製のものを提出して下さい。また差し入れはこちらで一度預かり、問題が無ければ拘置者へ渡すことになります」

上条「食べ物とかはダメなんですか?」

警備員「専用の売店がありまして、そこで商品を購入したものが直接届くようになっています」
(※刑務所のシステム)

上条「花キューピッ○か」
(※カタログから花を選んで住所を指定、そこの一番近い花屋から選んだ花が発送される)

警備員「これで全部ですか?」

上条「ボトムの金具くらいですかね」

警備員「はい、ではお疲れ様でした。別室へお通ししますので、そちらで待機して下さい」

警備員「ただし被疑者は面会を断る権利もありますから、その場合はお帰り頂くことになります」

上条「どうも……あれ?金属探知機で薄い本のような展開になるんじゃなかったの?」

上条「『おいおい、何か隠しているな!よく見せてみろ!』的な……ッ!!!」

警備員「こっちはそこまで暇じゃねぇよ」

上条「ですよねー」



――待機室 一時間後

上条「……あの、すいません」

警備員「はい?」

上条「一方通行との面会はいつになったら……?」

警備員「えーとですね。面会についてはですが、被疑者の方が面会を渋っているらしく、ぶぶ漬けでも食わせとけという方針らしいです」

上条「あぁ、つまり『会う気はあったんだけど、その前に相手が勝手に帰っちったわー、会いたかったのに残念だわー』と?」

警備員「らしいですね。でもいつまでも回答を引き延ばせないのでそろそろタイムアップですが」

上条「すいません。差し入れと称して拳をプレゼントするのは構いませんよね?」

警備員「是非やって下さい。一部を除いた警備員一同の願いです」

上条「つーか俺のツレは何やってんですか?面会資格がなくて帰らされたんですか?」

警備員「……あぁ、あの、医務室にいる、らしいですよ?」

上条「医務室?貧血かなんか起こしたんですか、すいません」

警備員「いえ、それは……こちらこそすいません」

事務員「――上条当麻さん、被疑者がお会いになるそうです。こちらへどうぞ」

上条「えっと……」

警備員「行ってきてください。彼は自分が守りますから!」

上条「は、はぁ?」



――面会室

上条「――俺のお前の遺伝子をくれないか?」

一方通行「アレか?獄中結婚で盛り上がる無意識高い系か?」

上条「アレだな。きっと調子ぶっこいてスピンオフとかしてる罰が当たったんだな」

一方通行「強いられてるだけだわァ。後にも先にもずゥゥっと強いられてるわァ」

上条「最近どうよ?」

一方通行「帰れや。暇潰しにここまで来てンじゃねェよ」

上条「じゃあさっさと遺伝子くれよ!できれば血液!プリーズブラッド!」

一方通行「呪文じゃねェンだよ。吸血鬼か」

上条「俺を助けてる思って!家には『血が欲しい、血が欲しいザマス……』って病床に伏せる弟が!」

一方通行「トドメ刺してやれよ。クラシカルタイプのバンパイアだろォが」

上条「俺の妹はまだ人間を食べたことがないんだ!だから――」

一方通行「完結したばかりだな?畏れ多いわ」

上条「って訳で『俺とお前って兄弟じゃね?説』の検証のためにも血液サンプルください」

一方通行「なンでだよ。てか鏡見ろ鏡、DNAさんの仕事だって限界があンだよ」

上条「――おかしいと思わなかったのかよ!?『どうしてダークサイドに堕ちたセロリがこんなに人気あるんだろう?』って!」

上条「『フェミ系生っ白い格好で肩からトート提げるような感じなのに……』ってさ!?」

一方通行「それ単にオレDisってンだけじゃねェ?」

上条「プラマイで言えばマイナス一万ぐらいになってるのに、黄泉川先生のフラグ立てるだなんて!この欲張り屋さんめ!」

一方通行「仮にそォだったとして年の差ァ考えろや。相手は一回り先に老いてくンだぞ?」

上条「じゃあ言ってみろ一方通行!お前の親父さんやお袋さんはどうだった!?道を歩けば未亡人に絡まれるオッサンじゃなかったのか!?」

一方通行「オマエの親父すげェな。戦慄するわ」

一方通行「……うちは……まァ?普通だなァ、許容値も含めて」

上条「――『兄さん』って呼んでくれてもいいんだぜ?」

警備員 パシャッパシャッパシャッパシャッパシャッ

一方通行「撮るな撮るな!?そンなフワッとした繋がりで親子関係デッチあげてンじゃねェよ!?そしてなンで撮ってんだ!?」

警備員「あ、すいません。目線こっちにください」

上条「『――ふっ、そんなにいじわるしないでくれたまえよ、兄くん』」

一方通行「超キャラに無理がある、てか無理しかしてねェ。20年前のギャルゲーキャラなんて誰が知ってンだ」
(※シスタープリンセ○の千○)

上条「という訳でこの血液採取パッチを使ってくれ」

一方通行「どォやって持ち込ん……あぁプラ製なのな。どっかのカエル面も何はりきってンだ」

上条「何となくだけどお前って次男ぽくね?やれやれ言いながら苦労人ってキャラで」

一方通行いや知らねェよてかオマエには歳どころか本名すら教えてねェわ」

上条「あれ?鈴何とかさんじゃなかったっけ?」

一方通行「妄想な?テメ何勝手に人様をTSせてンの?バカなの?」

上条「お前がゲ×でも俺は気にしないから!兄弟として事実を受け入れるから!」

一方通行「あン?オマエどさくさに紛れてオレの好感度落そォとしてねェか?気のせい?」

上条「看守のおねーさんも、ほら!俺たちに気を遣って見ないフリしてくれてるから!」

警備員「RECしてまーす」 ピッ

一方通行「録画してンだろ。そりゃ別の意味で見て見ぬフリしてンだろォけども」

上条「……いいか、一方通行?俺には隠していた手がある」

一方通行「なンだよ?どォせしょーもない話なんだろォが」

上条「お前が外にいないのをいいことに、ある事無い事言いふらす」

一方通行「すいませン。それだけは勘弁してください」



――医務室

上条「ったく一方通行も最初から素直になってくれれば……」

上里「……」

上条「あぁごめんごめん。面会時間決まってる相手だったからそっち優先したけど……どうした?目がレ××目になってんぞ?」

上里「――もうこんな世界は嫌なんだ……ッ!!!」

上条「おいホントにどうした?ちょっと目を離した隙にセカイ系の話へ移行したの?」

医者「……そっとしてあげてください。その、彼は非常に激しい取り調べを……」

上条「……そっか。屈強な汚(お)っさんに――辛かったんだな」

医者「いませんよ?屈強は合ってますが、警備員は汚(お)っさん比率は少ない方です。サービス業ですので」

上条「……そっか。陰険メガネにに――辛かったんだな」

医者「いませんね?残念ながら基本肉体言語を駆使する職種ですので、あんまりインテリの方は」

上条「……そっか。味方だと思ってた能力に裏切られて――辛かったんだな」

医者「君もしかして自分の事言ってたの?この子が心配じゃなくて?」

上里「……いいよ。たかだかこれぐらいで取り乱したぼくが悪かった」

上条「気分悪いんだったらもう少し休ませて貰ったら?残りの用事は俺一人でもなんとかなるだろうし」

上里「……それこそごめんだね。君に借りを作るようで気分が悪い」

上条「ならいいけど――てか何があったんだ?」

上里「女性の警備員たちから執拗にボディチェックされた」

上条「バッカお前それご褒美だろ何言ってたんだよ!?お金払ってまでして貰いたい人がたくさんいるんだぞ!?」



――学舎の園

上条「――よし、じゃあちょっと行ってくるぜ!」

上里「おいバカ待てバカ、無策で行くんじゃないこのバカ」

上条「いや、大丈夫だよ?大体いつもゲートで止められるけど、ほぼ100%に近い確率で偶然知り合いが通りかかって話繋いでくれるから」

上里「それがまずおかしいって気づけよ}

上条「――本当に?本気で行ってるか、上里?」

上里「遺憾ながらね」

上条「お前”は”違うんじゃねぇのか?現実を思い出せ……ッ!」

上里「何の話だよ」

上条「お前にはこんな事なかったのかよ!?急いでどっかへ入りたい!でも手段がない!どうしようって困っていたら!」

上条「”たまたま偶然、それを解決するやつが現れて手を貸してくれる”ってことが――!」

上里「――はっ!?確かに、それは――ある」

上条「……多分それも”血”だ!俺たち宿命の兄弟達にしか分からない運命なんだ……ッ!!!」

上里「否定したいけど、激しく否定したいところだけど……そういう体験がないわけでもないね」

上条「よし、じゃあ中へ入れて貰おうぜ!すいませーん!入れてくださーい!」

ガードマン「帰れ」 ポイッ

上条「……」

上里「……」

上条「……あれ?誰も来ねぇな?」

上里「なんでも言うけどバカなのかな?そして一瞬『あるかも!』って乗っかったぼくもどうかしてるよ」

上条「あー、じゃあ役割分担で行こうぜ?まず俺が全裸になってガードマンの注意を引く」

上里「ヘンタイか。全裸の必要性はどこに?」

上条「で、そうやって警備が手薄になっている間にお前が全裸でゲートを突破する――できるな?」

上里「ヘンタイだ。だかに二人して全裸になる意味はなんなんだよ?」

上条「アレもダメだコレもダメだって対案を出しなさいよ対案を!俺たちが学舎の園へ不法侵入できる方法があるんだったら言ってみろや!」

上里「うん、いいから声を落すんだ?多分網手遅れだと思うけど」

ガードマン「『――はい、変質者が一人!応援を頼みます!』」

上条「おい言われてるぞ上里!変質者ってな!」

上里「どう考えてもお前だ、お前」

白井「――呼ばれて飛び出て風紀委員ですのッ!!!」

上里「また変なのが現れたな!そしてキャラも濃いよ!」

上条「ごめん白井さん。急に呼び出したりして」

白井「どこのバカが騒いでいるかと思えば、知り合いのバカでしたか。ごきげんよう」

上里「口悪いな!取り締まる側なのに!」

上条「俺も騒ぐつもりはなかったんだけど、前に貰った連絡先が使えなくてさ?」

白井「そうでしたの?それは災難でしたわね」

上条「うん、なんか警察の事務所に直で繋がったんだけど、固定回線とケータイを間違えるだなんて、白井さんはお茶目だなー!!!」

白井「そうですねわね!わたくしとしたことがついウッカリ!!!」

上里「この事は仲良くなれそうな予感がする。だって気が合うだろうし」

白井「申し訳ございませんが、黒子の血の一滴から何から、全てはお姉様の所有物ですので悪しからず」

上里「大丈夫かい学園都市?ぼくがここへきて出会った人の殆どが病んでいるよね?」

上条「口を慎めよ!白井さんのはビリビリに関すること以外じゃ人格者だって言われてるんだぞ!」

上里「もうその評価が辛すぎる」

白井「それで?類人猿とシュッとした類人猿さんがここで何を騒いでらっしゃるので?」

上条「ビリビリのDNA持ってない?できれば血液が一番簡単らしい」

上里「おいバカ。それで『持ってる』って答える中学生がいると思うか?なぁ?」

白井「ございますけど?」

上里「なにそれこわい。てゆうかなんでだよ!?中学生がどういうルートでどんな目的があれば所持できるんだ!?」

白井「わたくしの口からはちょっと。ただ私的な目的だとだけ」

上里「そっちの方がより怖いだろ!?何かの『組織』がサンプル奪ってこいだとかそっちの方がまだ理解できるよ!?」

白井「そんな……マンガの見過ぎではありませんの?そんな都合よく組織があったりしませんわよ?」

上条「まぁ兄さんのことは放って置いてくれ。で、譲る気はあるのか?」

白井「せめて使用用途を仰ってくださいな。内外の研究所問わず狙われているレベル5ですのよ」

上条「悪い事に使うんじゃないんだ。説明が難しいんだが」

白井「で、あればお話はここまですわね」

上条「ビリビリさんが俺たちの血縁じゃないかって疑ってるんです!」

上里「悪い事じゃないか微妙な線だよね。信じて貰えるかどうかも微妙だけどさ」

白井「違いますわよ?」

上里「ってこの子も言ってるみたいだし、出直し――おいお前今なんて言った?」

白井「以前調べましたの。”たまたま”持っていたお姉様の血液と同じく偶然で持っていたそちらの方の血液をちょちょいと」

上条「……個人でできるようなもんなの?」

白井「一応然るべき機関へ持ち込んだ上ですけどね。なんでしたら鑑定書もございましてよ?」

上里「なんで、とか動機を聞いたら負けなのかな?」

白井「お姉様に諦めさせるため、と最初は。しかし思い直しましたけど」

上里「良かった。悪い事だって気づいたんだね」

白井「『あ、これ実は兄妹だった方がお姉様的にも捗るんじゃね?』と……ッ!!!」

上里「なぁ、上条当麻。この子と姉と呼んでいる人には治療が必要だ思うんだ」

上条「――ふっ、器が狭いぜ!そいつらは『学園都市の僅かな良心』って言われるぐらいマシな方なんだ……ッ!」

上里「……もう帰らないと。ここも直ぐ”闇”に呑み込まれる……ッ!」



――ファミレス

上条「いやー、意外とすんなりいったな」

上里「どこが?ぼくがトラウマ植え付けられて逮捕されそうになったのに、一体どこが”すんなり”いったの?」

上条「誰も血を見てないし挫折もしてないだろ。何言ってんだ」

上里「……あれ?もしかしてぼくはトンデモナイ相手を『念のために殺しとけ』ってしようとしてたのかい……?」

上条「良かったな!未遂で終わって!」

上里「未遂じゃなくしてやろうか?……で、もういいんじゃないのかな?鑑定して貰えばいいだろ」

上条「あぁもう一人候補がいるんだよ。お前と同じ殺人未遂が一人」

上里「ハーレム比率が多いよね。本当に隠し子説の信憑性が上がってきたっていうか」

上条「なるべく静かに俺の後ろを見てくれ。窓側の一番いい席にいるから」

上里「あぁもう近くにいたんだな。どれ」

……

麦野『――だぁかぁらぁ違うっつってんでしょーがゴラアァッ!?』

麦野『あたしが頼んだのは!麦茶の炭酸割りであってほうじ茶のコーラ漬けじゃねぇんだよ!』

浜面『い、いや待てよ!?色的にはそんな感じだろうが!?』

麦野『色で判断するんだったらめんつゆも同じでしょうが!つーか誰かそんなの頼むか!絹旗じゃないんだから!』

絹旗『おぉっと超聞き捨てなりませんね。誰がB級抉らせてB級グルメにまで手を出す美少女ですかっ!?』

麦野『あれ……あんたちょっと見ない間に面白キャラになってない?』

絹旗『えぇサメマラソンとサイレ○をやったので超満足しています。後はギャラクシー街○ぐらいでしょうか』

麦野『タイトル聞いただけで吐きそうになるわよね。見てないのにトラウマが植え付けられそうだわ』

浜面『麦野はいいだろ!?実害受けてんのは俺だけなんだぜ!』

麦野『ちなみに最近で言えば?』

浜面『血まみれスケバンチェーンソ○……!』

絹旗『何言ってんですか!?超何ホザいてんですか!?あれの原作者はもう三本も実写化したその筋では超有名な方なんですよ!?』

麦野『もうタイトルからして何がしたいのか分かるわよね。スケバン……あぁ知識では知ってたけど、生まれて初めて口にした言葉だわ』

浜面『子供の頃見たドラマでやってたな。仮面被ってベイブレー○?みたいなので戦ってた』

麦野『と、いうわけで謝罪。さんはいっ!』

浜面『滝壺さんっ!君の彼氏が虐待されてんだから「そろそろ……」みたいに止めてくれませんかっ!?』

滝壺『ぐー……すぴー……』

浜面『気持ちよさそうに寝やがって可愛いなチクショー!?なんでだよ睡眠不足かよっ!?』

浜面『――まっ、寝かさなかったのは俺の方だけどね』 キリッ

麦野・絹旗『――よし、処刑』

浜面『待ってくれよ!?軽いジョークだってば!つーかそんなに毎日毎日ハッするしねぇよサルじゃねぇんだからな!?』

……

上条「――あ、ごめん。あれは間違ってたわー。俺の勘違いだったわー。全然関係ない人だったわー」

上里「……うん、そう、だね。ぼくたちとは全く関係無い人だよね」



――学園都市の外 とある都市

上条「現状でできることは全てやった!あとは結果待ちだ!」

上里「いやその、ね?ほぼ終わってからいうのもなんなんだけど、要は元凶を締め上げればいいんだよね?」

上条「ほぅ、元凶?」

上里「ぶっちゃけ君の親父さんだよね?君にバーレム構築能力を授けた超本人って?」

上条「と、俺は思っている。いや父さんは信じてるんだけど、父さんのドラゴンは信じてない」

上里「やめてあげないか?不満が溜まってるからといって、ドラゴンをドラゴン呼ばわりはあんまりだと思う」

上里「では、なく。直接聞いてみればいいんじゃないかな?ぼくがそれっぽく演技すれば、引っかかるかもよ?」

上条「演技って、どんな感じで?」

上里「『あなたが――ぼくの本当の父さんなんだね』、みたいな?」

上条「それ却下。仮にそうじゃないとしても、母さんを殺人犯にしたくはないんだ。本当だったら余計にダメだし」

上里「心当たりの一つ二つがあってもどうかなとは思うけど……それじゃあなんでお前はついてくるんだ?」

上条「もしかしたら逆の可能性もあるじゃん?お前のとーちゃんが悪い事した可能性もある――」

上条「――っていうかな!『ぼく?ぼく全然モテないし普通だよ?』っていうヤツに限ってモテるってのが納得できないんだよ!もっとガツガツ行けよ!草食系か!」

上里「うん、興味がないとは口が裂けても言わないけどね。むしろ果敢に攻めに出ているのがダメなんだよね?引かれてるっていうか」

上里「……というか女性ばっかりのコミュニティに突然叩き込まれてやがれ。誰だって若干女性不信になる」

上条「あ、浜面の同僚のマッチョが」

上里「別にそっちの趣味を否定しないけど、無理に開眼させるのもどうかと思うんだよ」

上条「悪い、電話が――『はいもしもしお疲れ様です上条です』」

上里「出方がオッサン臭いよ」

カエル先生『――もしもし?頼まれていた鑑定結果が出たね?』

上条「『マジっすか!?それじゃあやっぱり!』

カエル先生『――いや、他人だね?全くの赤の他人、親戚ですらないよね?』

上条・上里「……」

カエル先生『てゆうかよく一方通行がDNAを提供してくれたよね?心当たりがあるのかな?まぁ誰しも出自を疑う青春があるね?』

カエル先生『まぁとにかく遊んでないで早く戻ってくるんだよ?それじゃ伝えたからね?』

上里「――おい、バカ」

上条「……なぁ、上里、知ってるか?」

上条「”心当たり”から”あた”を取っちまうと”ここロ×”になるってことを……ッ!!!」

上里「どんな意味があるんだ?誤字直すときにポッと思いついたからって、何でもかんでも書けばいいってもんじゃないんだよ?」

上条「なぁ、腹減ったからお前んちでメシ食わしてくれよ!どうせ男友達なんていないんだろ?」

上里「いないことはない!ただちょっと他の子たちと行動を共にするようになってから、距離を置かれているだけで!」

上条「最初から友達じゃなかったんじゃね?」

上里「殺すぞ?」

上条「つっかれーたー、つっかれったー!」

上里「もうぼくのホームなんだから目立つ行動をするなよ!……分かったよ、少し休んだら帰れよ?」

上条「分かった。つーか疲れたのは本当だし、ちょっと楽しかった」

上里「……そうかい。ぼくはちっともだったけどね」

上条「なぁ」

上里「なんだ」

上条「人を殺すってそんなに軽いもんじゃねぇぞ?その人の一生、これから先どう生きるかってのも全部背負うんだぜ?」

上里「……説教なんか聞きたくない。それに」

上条「それに?」

上里「もう、しない。あの脳筋どもを犯人扱いして一方的にぶっ飛ばしたのも、少しは悪いと思っているよ」



――上里家

上里「ただいまー」

上里母「――あらお帰りなさい!どうしたの今日は珍しく連絡も寄越さないなんて!」

上里「知り合いがちょっとアレで」

上里母「知り合い?お友達ね?」

上条「初めまして。上里君の友達のかみじょ」

上里母「――――――刀夜、さん……?」

上条「う、とうまです……?」

上里「……母さん?」

上里母「あらヤダそんなことないわよね!ごめんごめん、人違いだったみたいで!」

上里「いや、あの?」

上条「――よし!なんかこう急にお邪魔するのは悪いからな!俺は折角だから帰るぜ!」

ポンッ

上里「――話をしようか。主に、君の親御さんについて」


-終-
(※ご応募ありがとうございました)



――『アイテム』のアジト

テレビ『――本日14時から前統括理事長アレイスター=クロウリー氏より重大発表がある模様です!繰り返します、本日14時より――』

フレメア「……」

浜面「おーい、フレメアー。もっとテレビから離れたないと目ぇ悪くなっちまうぞー」

フレメア「黙ってはまづら!歴史が、歴史がついに動くかもしれないのだ……ッ!」

浜面「そういや統括理事長が一方通行になったんだわ。ほら、お前も知ってる白い人」

フレメア「うーがーーーーーーーーーーーーっ!!!」 パンパンパンッ

浜面「早すぎる反抗期!?助けてボクの仲間たち!」

絹旗「12歳児に超負ける男の人って……」

麦野「ある意味奇跡の存在よね。流石浜面、チーマーの群れに一人残しても無事に帰宅する男」

浜面「お前らドSを抉らせすぎてるんだよ!?教育の悪いったらありしゃしないわ!離婚よ離婚!」

麦野「何を今更。その子が成人したらビックリドッキリわくわくカミングアウトってイベントが待ってんのよ、こっちわね」

浜面「何も正直に言う必要ないじゃない!誰も得に俺が幸せにならない展開はやめようぜ!」

滝壺「……」

浜面「おぉ言ってやれ滝壺しゃん!このレディとして如何なものかと思わずにはいられない人たちにな!」

絹旗「ダイレクトに言うと超暴力が待っていますから、逃げを打ちましたね。姑息です」

滝壺「……はまづら。わたし……不思議なことがある……」

浜面「なぁその話いましなきゃタメかな?いや悪くないんですよ、ですけど流れってあるじゃん?」

滝壺「がくえんとしが……一時的に崩壊したとき、誰がふれめあの保護者になってたの……?」

浜面「おぉっとそれ以上言うな!多分『あ、忘れてた』って神様も言いそうだからなかったことになるんだぜきっと!」

絹旗「今頃フレンダも草葉の陰で三段ツッコミを超しているでしょうね、では麦野どーぞ」

麦野「嫌よ。キャラじゃないわ」

浜面「反省してませんよね?俺もあんま他人様のことは言えねぇけど、麦野もあんまアレだよね?」

フレメア「はーまーづーらー!うっさいし!」

浜面「……将来、こいつがフレンダみたいに俺をアゴで使う日が来るんだろうか……?」

絹旗「デバフ属性のフレンダ、雷属性のフレンガ、万能属性のフレギドラオンと超将来有望ですよね」

浜面「メガテ○の呪文!?ボケモ○デジモ○の進化系統で一ボケ来ると思ったら、呪文で!?」

麦野「雷属性がいつもバランス崩すぐらい強いのよね。定番過ぎるアギ系、特定のボスにだけ強いブフ系、そしてシリーズによってなかったことになるザン系」

滝壺「まぁ……さいごは無属性の打ちあいになるんだからどれもいっしょ……」

浜面「誰が共感するんだメガテ○あるある。こないだ、『ペルソ○ってメガテ○と同じ会社なんですか?』って言われて超驚いたよ!」

フレメア「みんなうーるーさーいーし!大体エラい人なんだから真面目に聞かなきゃダメなんだぞー!?」

麦野「――ねぇ聞きなさい、フレメア?この男はね、あんたほっぽり出して滝壺としっぽりロンドンにまで行った男よ?」

浜面「だってしゃーねーでしょーよ!?あんたらいないんだもん!大切なときに限ってデスザウラ○力とジャガーノー○力は何のためについているの!?」

麦野「少なくともテメェのドラえも○じゃねぇよ。バカンス楽しかったけど」

絹旗「血みどろでしたけどね――あ、超始まりましたよ」

アレイスター(テレビ)『――ごきげんよう、学園都市のモルモット諸君』

浜面「隠せや!嘘でもいいからそれだけは隠そうとしろよ!」

アレイスター『本日は君たちに素敵な提案があるのだが、その前に一つ話をしたい。是非傾聴してくれたまえ、傾聴を』

浜面「それ傾聴言いたいだけだろ」

アレイスター『昨今、世界のあちらこちらで既存の銅像や偉人のオブジェを破壊していることに疑義を示したいと思う』

アレイスター『あぁ勘違いはしないてくれたまえ。思想信条、主義主張の自由は誰にもあるのは間違いない。そこはね』

アレイスター『よって自身と相容れない物が公共の場から撤去するのを求める、それもまた自由だとも思う』

アレイスター『しかしながら”それ”は民主主義によってなされるべきものであり、個人が個人の意志で行っていいものでは決してない』

アレイスター『己の中にある正義を振りかざして相手を殴るのであれば、相手からも相手の正義で殴りつけられる』

アレイスター『”それ”が嫌だからルールというものがある。不満があれば多数決で決めるか、法を改正しなけばただの犯罪行為だ』

浜面「……おう?何言ってんのか分かんねぇけど、まともな話してる?」

滝壺「……間違ってはいない。まぁ……うん」

絹旗「てか今暴れてる人たち、アジア人が新型コロナ関係で襲撃されてたときには何をされてたんでしょうね。超バカンスでもされてたので」

麦野「大統領選挙が近いから乗っかってんでしょ?」

アレイスター『以上を頭へ入れた上で諸君らへ真摯に問いかけたい――』

アレイスター『――彼らへ「差別の象徴である銅像」と称して折○先生像jpgを送りつけて遊んでみよう、と!』

浜面「真面目な話じゃないんかーーーい!?また危険な時事ネタぶっ込んでくるかんと思ったら!」

アレイスター『コンタッ○を持ってくる発想はなかった!素晴らしい!』

滝壺「おりたせんせ○像……?」

麦野「○大にあった先人の像が悪戯が続いてたから大学側が撤去したのよ。そしたらその台座に有志のアホどもがカービ○やらラオ○を造って置くようになったの」
※”折田先生 像 京大”でググってみましょう)

絹旗「全世界に超広まってほしいですよね」

アレイスター『全くだよね』

麦野「あんたたち仲良いわよね。親子か」

フレメア「にゃあ?会話してしない?」

滝壺「……うん。尺の都合で超展開はよくある話……」

レポーター『すいません、前統括理事長……お話が見えないのですけども……』

アレイスター『あぁ、すまないね。凡俗にはどう噛み砕いて話したものか分からないものでね』

浜面「あのロン毛、頭の中にも毛玉が詰まってんのか?」

絹旗「ガワがご立派で中身がスカッスカなのは超よくある話ですがね。例えば金髪に染めて放置してるヤンキー崩れとか」

浜面「ちゃ、ちゃんとブリーチしてるもん!ただ金がなくて自分でやってるだけで!」

麦野「滝壺がやってあげれば?」

浜面「お前らと違って滝壺の手は繊細なんだよ!原付よりも重いもの持ったことないぐらいにな!」

麦野「……原付?何?」

滝壺「はまづらが浮気をしようとしてたから……」

絹旗「誰も『滝壺さんが原動機付き自転車を持ち上げた』ってことに超ツッコまないんですか」

麦野「なんで?できるでしょ、普通に?」

絹旗「もうツッコミが下手で話が超とっ散らかっています!誰か専門の業者の方はいないんですかっ!?」

アレイスター『残念だが今日はそういう主旨なので諦めたまえ。それよりも私の話を聞け』

アレイスター『私の尊敬するHEN-TAIとして名高く、#metooで失脚したバーホーベ○氏という映画監督がいるのだよ』

アレイスター『彼は全裸になるのを嫌がる俳優へ説いて回ることはせず、自らが全裸になって規範を示したそうだ……ッ!!!』
(※実話です)

浜面「率直にいってアタマおかしいよな?」

絹旗「言わなくても超オカすぃですね。そこで『あ、じゃあ監督が脱いだんだったら俺たちも!』って同調するんですか」

アレイスター『私はこの話にとても感動を覚えたものだが……この極東の島国も捨てたものではない。誇りたまえ』

アレイスター『ある筋肉タレント、アーノルド=シャワルツェネガ○氏がこの国を訪問したときのことだ。当然映画の宣伝だがね』

アレイスター『当時この国一番だった映画評論家と対談する運びになったが、まぁ色々とあって雑談になり、何か質問をしたらしい。するとその評論家は』

アレイスター『――「その続きは一緒にお風呂入って話そう?」』
(※実話です)

浜面「ア゛ッーーーーーーーーーー┌(┌^o^)┐ーーーーーーーーーー!!!?」

麦野「超問題じゃないの?」

絹旗「と、普通はお思いでしょうが、淀○先生の誰からも愛されるキャラで超事なきを得ました。そして割と有名な逸話です」

滝壺「……だいじょうぶなの……映画業界……?」

絹旗「一時期は『日本の映画評論家ってゲ○多いな!』って言われてたんですが、まぁ今ではそれなりに」

アレイスター『――なので!私も映画を撮ってみたいと思った!』

浜面「なんで?ホ×だから?」

絹旗「分かります超分かります!始めは有名な監督に憧れるんですよねっ!『私も超クソ映画撮ってみたい!』って!」

麦野「……ねぇ?この子ってこんなに抉らせてたっけ?何か集まるのも久々だし、『浜面のポジ、別の人じゃなかった?』って違和感すらあるんだけど」

滝壺「うん、うん……さめまらそんとさいれ○で、『あぁ、私の居場所はここだったんですね……!』と覚醒したとかしないとか」

アレイスター『なのでまぁ一般人は多大な迷惑をかけると思うが、頑張って生き延びてくれたまえ』

浜面「……」

フレメア「にゃあ……面白くないのだー……」

絹旗「いや、消さないでください!そのアホ今なんて?」

アレイスター『「カメラを止める○」形式と言った方が分かりやすいだろうか?現実に現れるモンスター!平和な街は地獄に陥る!』

麦野「やったばっかでしょ。エレメント事件で死人が出なかったのは不思議なぐらいよ」

滝壺「あれも……いたんだけど、結局いなかったことに……」

アレイスター『まぁ私はロクデナシではあってもヒトデナシではなくてね。諸君らには打開する機会を与えようか』

アレイスター『勝利条件はどこかに捕らわれてるヒロインを助け出し、彼女とともに私を打ち倒す』

アレイスター『だが、その資格を持つのはこの世界にたった一人――』

アレイスター『……』

レポーター『……前統括理事長?』

アレイスター スッ、ピピッ

PiPiPiPi……PiPiPiPi……

フレメア「はまづらー、お電話だしー」

浜面「え、俺?誰だよこんなときに、大将か――『ちょえっす、もしもーし?』」

アレイスター(テレビ&電話)『ごめん。君の名前何だっけ?』

浜面「『この状況で聞く!?つーか事前に調べねぇか普通!?あと番号知ってんだから登録したままを言えよ!?』」

アレイスター(テレビ&電話)『いや、私も思いだしているんだよ!アインズ・ウー○までは分かっているのさ!』

浜面「『それ俺だけど俺じゃねぇぞ?メンタル的にはどっこいどっこいだが、あっちは逆大将ってぐらい超幸運持ってるわ!』」

浜面「『てかこの流れで誰が教えるかぁ!?酷い目に遭うパターンだって俺だって知ってるぜ!』」

絹旗「どうしましたか浜面!?どちらから電話だっんたですか浜面仕上!?」

浜面「悪魔!やっぱり敵はこの中にいた!」

アレイスター(テレビ)『――シンデレラボーイは浜面君、浜面仕上君だ。彼が君たちの希望だと知りたまえ』 ピッ

浜面「切りやがったクソ!」

麦野「てか微妙に会話してるんだから、こっちからも盗聴されてるってことよね?意味無くない?」

滝壺「あいてが……アレな人だから……」

浜面「俺はしないぞ!誰が地雷を踏みにいくか!」

アレイスター『無理だね。ヒロインを用意したと言っただろう?囚われの姿を見るがいい……ッ!!!』

ローラ『あーれー、助けて欲しきことなりしなのよー。だれかー、だれか勇者はおらぬのかー?』

浜面「なぁ、確かその人って人類最強生物の一人じゃなかったっけ?レベル5数人でかかっても勝てない感じの?」

上条『――くっくっくっく……!甘い、甘いぜ浜面!何事にも相性ってもんがある!』

浜面「大将っ!?あんたまさかそっち側についたっていうのかよ!?」

ローラ『きゃー、いやー、たすけーてー』

上条『……くっくっくっく……!助けを呼んでも誰も来ないぜ……!』

ローラ『……』

上条『……』

ローラ『――で?』

上条『え?”で”って何?”で”って?』

ローラ『この斯様な脚線美を持つ超年上のお姉さん相手に、汝はどんな欲望をぶつけたいのか、と』

上条『あー……アレだ!なんかこうエッチなことしちゃうぞ!』

ローラ『具体的には?』

上条『えっと……まずはこう、ダサいジーンスとしまむ○にすら売ってなさそうな真っ白なシャツに着替えろ!』

上条『そしてどこかの寮の専属管理人さんになって、学校帰りの俺を「お帰りなさい」ってお迎えするのだブハハハハハハっ!』

絹旗「超大変です浜面!ガチの童×が攻め役だとただのギャグにしかなりません!」
(※推定年齢15歳+初登場から16年=魔法使い)

浜面「最初っからそうだろ。シモ要素が8割だけどエロ要素はほぼ皆無だろ。エロって名前のギャグだもの」

アレイスター『――と、見ての通りだ!浜面君、君が早く助けに来ないとこの女は未亡人になるぞ!』

浜面「なんで?円盤みたいにエロいことされるんだったらまだ分かるけど、何をどうしたら人質がバツイチになんの?」

アレイスター『まぁこの女を見捨てるのあればそれもいい。一度世話になった人間なのに、だが』

プツッ

浜面「……」

滝壺「……はまづら」

浜面「あー、ちょっと行ってくるよ。メシまでには戻っから、俺の分用意して」

絹旗「――で、昨日見た映画が超面白くてですね。ウミサソリがばーっと」

麦野「やめなさいよ。あんたの”面白い”ってネタなのかマジなのか振れ幅がデカって訳だし」

浜面「誰か聞いてくれませんかねっ!?折角人が格好付けてんのに!?」



――街

浜面「……あー、クソ。俺の休日がしょもーないことで浪費されていく……!」

浜面「アレイスターはモンスターっつったっけ?学園都市でマジモンのモンスターなんていのかよ?」

浜面「つーか麦野も絹旗も滝壺も『関わりたくない』って同行拒むってどういうことだよ!?俺一人でどうにかなる相手じゃなかったら危険がピンチだよ!?」

チンピラA「――浜面さんじゃないっすか!」

浜面「ツッコミ不在だとボケづらいな!……ってどちらさん?どっかで見たことあっけど」

チンピラA「俺っすよ俺!スキルアウトで駒場さんと一緒してた!」

浜面「あー、あーあーあー!俺がバイクの直結教えてやった!」

チンピラA「その節はお世話になったっす!あざっした!」

浜面「懐かしいな……でも悪い。今話してる場合じゃなくてよ」

チンピラA「知ってるっす!なんかこう悪いヤツ倒すんすよねっ?!マジ尊敬するっす!」

浜面「……へ!?……あぁいやいや、そうでもないんだよキミ!俺は巻きこまれた側であってだ」

チンピラA「それでも戦うんすよねっ!?パネェっす!」

浜面「ま、まぁな!俺クラスになると世界が放って置いてくれないっていうかな!戦う宿命っていうかさ?」

浜面「まぁ第三次世界大戦ときも!イギリスで起きた暴動のときも中心には俺!俺がいたってのは決して偶然じゃないよね!」

チンピラA「まさか――どっちとも戦っていた、っすか……ッ!!!?」

浜面「まぁな!(大将と一方通行は)そうだったよな!」

チンピラA「そっすか――なら遠慮なんていらないっすよね!」

浜面「まぁな!俺ぐらいになるとレベルなんてもう関な――おいテメエ今何つったゴラッ!?」

チンピラB「――あ、マジ出たハマー()。ちょえっす」

チンピラC「うっわー生で見るとイマイチ?これが最近チーマー狩りしてるっていうヤローで?」

チンピラA「バカにすんなっすよ!浜面さんは見た目ちょっとアレだけど上位能力者とも張り合えるって!」

浜面「違うよ?俺はゴミ虫だよ?」

チンピラB「マジかよ……ちっ、しゃーねーなー。殺すつもりでやっか」

チンピラC「ついてねーなー。先月ネンショーから出たばっかだってのによ」

浜面「――おっとそれ以上近寄ってみろ!俺の右手のサイコガ○が火を噴くぜ!」

チンピラA「まさかの宇宙海賊……っ!?スゲェっす浜面さん!コブ○じゃねぇっすか!」

チンピラB「マジで?なんてイカレてんだよ……!」

チンピラC「チーマー狩りは伊達じゃねぇってことか……!」

チンピラA「ならこっちも能力出すっす!」

浜面「誰か助けて!?モンスター映画っぽい縛りなのに人間に殺されるっ!?」

黒夜「――何やってるんだ、このバカ」

キッキキキキキキキキキキキキィインッ!!!

チンピラーズ「ぎゃあああっ!?」

浜面「――ヒューッ、サイコガ○の出力がちっとばかり強すぎたようだぜ!」

黒夜「現実に戻って来いバカその二」

浜面「――もう少しで俺の股間のサイコガ○が暴走するところだった!」

黒夜「え?プチウナコー○がなんだって?」

浜面「テメコラ見せた覚えねーぞあぁんっ!?確認もしてないのにそんな事言わなくたっていいじゃない!メ○のバカっ!」

黒夜「テンションの上下が激しすぎて不安定になるわ」

浜面「ハイ、っていうわけでねっ!俺は用事がありますんでこの辺で失礼しますよっと!」

黒夜「オイオイ待てよハマヅラぁ?助けてやったのに、恩人へ対してありがとうの一つも無しで消えるつもりかよ?あぁ?」

浜面「ありあとあっしたっ!それじゃボクは塾に行くからこのぐらいで!」

黒夜「――だァかァらァ、待てよなァ?おねーさんとお話ししようぜ、ハーマちゃんよォ?」

浜面「誰か助けて下さい!そして大将は何してんのっ!?」

黒夜「いやァ、なァ?さっきのアホ三号の記者会見直後、”そっち”の連中へ対してメールが届いたんだわ。ってのも――」

黒夜「『――浜面君を襲撃する有志を求む!でっどおああらいぶ☆』ってなァ?」

浜面「文面が可愛いのに内容が残虐だよぉ!」

黒夜「んで?一応モンスター的な体裁で攻撃しろってェ話なンだが……」

浜面「く、クロにゃんは素ですよねっ!仮装もメイクもしてませんもんねっ!?」

黒夜「”怠惰”の大罪司○?」

浜面「主旨違っげぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇんだよっ!?いい加減フワッフワしててリクくれた人に怒られるよ!?」

黒夜「合法的にお前をいたぶれるんだったらそれで良し!」

浜面「やだ……この子なんて迷いのない濁った瞳なのよ……ッ!?」

黒夜「じゃ、まずお前のサイコガ○をみせてもらおうか!そのままアーケードを散歩を楽しもうぜ!」

浜面「い、イヤアァッ!?滝壺さん以外には見せたことないのに!?」

黒夜「いやそうでもないだろ。オマエちょくちょく全裸になるし、アーカイブのときの学園都市とかロンドンのパブでも」

浜面「素面になってツッコまないで!俺が小さな人間にみえちゃうよ!」

黒夜「実際にその通りだろう。では――――――ぶげらぁっ!?」 バタッ

???「……」

浜面「た、助けに来てたくれた……?つーか、あんた誰よ……?」

ローラ(???)「――ふっ、またつまらないものを切ってしまった、なりしな……ッ!!!」

浜面「捕らわれてるご本人来ちゃった!?」



――街

ローラ「――さっ、ハンマ面!さくさくモンスター達をちぎっては投げ千切っては投げ、あのアホをそげぶしに参ろ・う・ゾ☆」

浜面「誰がハン○だよ。神聖系即死呪文じゃねぇよ」

浜面「つーかなんでよ!?大将に薄い本的なアレコレされててRECされてんじゃ!?」

ローラ「『まずはメル友からお願いします』と言われたんで、『じゃあちょっと距離を離しましょう?』と」

浜面「クッソ……!あの地獄のサメマラソンの後遺症で、上条当麻がアホキャラになっちまった……!」

ローラ「前からあんな感じだったりしてなかろうか?」

浜面「あーっと……周囲にボケが多い上、ツッコミ役が不在だったんじゃねえかな。何となくだけど」

浜面「てか人類最強のコロなんとかさんなんだら、アホ企画もワンパンで潰せんじゃねぇの?」

ローラ「ローラね!今ちょっとご姿勢的に『コロ〜』は厳しいから、ローラってフレンドリーに呼びたることを許すわ!」

浜面「CORON○(パナソニッ○子会社)とコロ○ビールにも超ヤバイ風評被害だよな」

ローラ「……それがなぁ。あのアホ無職厄介な呪いをバラまいていったようで、一から解除せぬことには本尊にはたどり着かぬ趣向でな」

浜面「アレイスター、インケンメガネっぽいキャラだもんな。メガネしてねぇが」

ローラ「その第一の封印がこの辺りにありけるし……!」

浜面「なぁ?キャラ的に間違った古語だってはの分かったけど、古語としても間違ってないか?」

ローラ「というか人の気配が急に減ったる……くれぐれも気をつけて!」

浜面「ったくなんで俺が。つーか喉渇いたな、コンビニもついでに寄って来るぜ」



――コンビニ

……ピンポーン……ピンポーン

浜面「……無人ってオマエどんなホラー映画だよ。電気付けっぱなしで、ちょい前に話題になって消えた無人コンビニ……じゃ、ねぇしな」

浜面「この状況でパチったら、確実にヒトデナシだしな。ポカ○の代金だけ置いて」 ガチャッ

白いカブトムシ『……』

浜面「――オォウッ!?ビックリした!?虫!?カブトムシ……ってお前、垣根、か?あぁそういや朝から姿は見えなかったけど……」

浜面「何やってんだよンなとこで。コンビニの冷蔵庫の中で冬眠?つーか動いてる?」

白いカブトムシ『……』

浜面「返事がねぇな……似てるだけのただのカブトムシだったら、俺何やってんだって話になるが」

浜面「まぁでもコンビニの中に陳列されてるってのも、何か違――」

白いカブトムシ2『……』 ギシッキシッ

浜面「だから驚かせんなよ!?なにここ!白いカブトムシの専門店かなんか!?」

白いカブトムシ3『……』

白いカブトムシ4『……』

浜面「お、おい……?数が、増えて……ねぇか?」

ギシギシギシイィッ!!!

白いカブトムシの大群『……』

浜面「白い波に呑まれ――――――!?」



――コンビニ

ローラ「えーっと、『カブトムシの食性。基本的に顎の力は強くないとされ、樹液をなめ取る』」

浜面(声)『うわなんかチクチクするっ!?気持ち悪っ!?ザラッとしたものが!ザラってしてるよ!」

ローラ「『食肉性はないものの、硬い樹木の表面を削りとる一面もあり、決して弱いわけではない』」

浜面(声)『だ、だメッ!?俺の性感帯はは滝壺さんにだけ許して、だからダメだって?!」

ローラ「『基本的に温厚であるが、保護下では同種のカブトムシを一撃で殺す例もあり、ストレスに注意』」

浜面(声)『服の中へ入らないで!?テメコラいい加減にしろ!俺のサイコガ○が火を噴――」

浜面(声)『――ア゛ッーーーーーーーーーーーーーーー┌(┌^o^)┐ーーーーーーーーーーーーーーーー!!!?』

ローラ「……ハマー、汝の勇気は忘れなきことよ……ッ!」

浜面「――って助けろや!?なに人がカブトムシの大群に押し潰されてんのを傍観してんだよ!?」

ローラ「や、だとおもってカブトムシの習性を」

浜面「でも垣根だろ!?野生のはアゴが強くないからただ気持ち悪いだけだけども!アイツらに限っては自然を無視したオンリーワンなんだよ!?」

ローラ「科学の教科書には『ホモサピエンス(人類)――垣根帝督(虫)』って載りたるかしら?」

白いカブトムシ『私だってしたくてしたんじゃないですよ!何が悲しくて男に群がらねばいけないのかと!』

浜面「お前これから出禁な?ウチの幼女だったらいいみたいな発想は困るんだよ!」

ローラ「幼女じゃなきゃいいってもんでもないと思いけりたるのよ、私は」

白いカブトムシ『じゃあ成人女性で!?それだったら問題ないでしょう!?』

浜面「お、おぅ……?間違っては、ない、か……?」

ローラ「『畜生道に堕ちたる魂よ、安らかに眠りたまえ……!』」

白いカブトムシ『あぁ……光が……』 サラサラサラサラサラッ

浜面「なに成仏させてんの!?一応アイツだって生きて……る、かどうかは微妙だけど!親御さん見たら泣くと思うけど!」

ローラ「わんぱくでも良きかな、たくましく育ってほしい」

浜面「やかましいわ!」

白いカブトムシ(残機9999)『あとご心配なく。まだまだいますから』

浜面「安心はできてねぇよ!?だってお前もうそのノリでいったら人類が核の炎で滅びても垣根だけか生き残って文明を築くんだよね!?」

ローラ「そのときは私も一緒に指さして笑ったるわ、『やーい人類wwwwざまぁwwww』って」



――

ローラ「――さっ、ペース配分を間違ったから残りが少なきことよ!巻きで解決していきたるわ!」

浜面「モンスター要素無ぇよな?垣根もクロにゃんも普段こんな感じだしな?」

浜面「あともう一方通行とか常盤台の子とかがコスプレしてワーってくる展開しか見えないんだよ!手慣れた感じでだぜ!?」

ローラ「ハマーのお仲間にも高ランク能力者は居たよなぁ?」

浜面「モンスターなんかいないですよ?ウチの子たちは女神かなって思いますよ?」

ローラ「うん、たまーに観察すると『本当にお仲間なりし?』って疑問符がつく訳よ」

浜面「ヒューッ!ワガママな子猫ちゃんには困ったもんだぜ!」

ローラ「コブ○なら言うたりし。ただ残念ながら一々生死の境を彷徨うような男には、ちょっと荷が重かろうというもの」

浜面「タメ張りそうなのは破嵐万○アニキぐらいだぜ!」

ローラ「80年代のネタに誰が食いつくかはさておくとして……ハマー、囲まれたりけるよ……ッ!」

浜面「……マジかっ!?」

ローラ「嘘だけど?」

浜面「じゃあ何で言った!?無駄な会話すんのやめろよ!」

ローラ「――ってのも嘘だけど」

浜面「俺を追い詰めないで!?なんかこう、人工知能さんが助けに来てくれてスチームパンク風ゴスロリ少女に化けたらどうすんの!?」
(※スーパーロボット大戦○)

ローラ「ソウ○さんは勝ち組だと思う訳――ほら、来たわよ」

浜面「やだよぉ!お前相手してくれよぉ!俺には荷が思いってば!」

御坂妹「――あのすいません、とミサカはチンピラに声をかけます」

浜面「すいませんっつってんのにすいません加減が全然無ぇな!何よ!」

御坂妹「少々道を伺いたいのですが、とミサカは防犯ブザーに片手をかけながら問います」

浜面「なんで?多分何回があってると思うけど、なんでそんなに当りが強いの?」

御坂妹「『ヒロインがモブの男と喋っていた』、とアンケート葉書でお叱りを受ける時代ですので、とミサカは世の中に疑問を呈します」
(※実話らしいです)

浜面「俺も分からんわその例え話。そして気持ちも分からん」

ローラ「かと思えば『それ不倫か?不倫って呼んでいいのか?』って話もあったりけるよな!」

浜面「うん、ハジけるにも程があるって話だよな。俺には関係ない話だけど」

御坂妹「このミサカのハートは既に奪われてしまっているのですよ、とミサカは所有権を主張します」

浜面「まともな外見なのに毒が濃い。汚染度ハンパねぇ」

ローラ「初見がノット色物だから余計にインパクトいと強きことなりしね」

御坂妹「それで、この近くにコンビニはありませんか、とミサカは道を訊ねます」

浜面「ん?あっちの方に一軒あっけど。大量のカブトムシが常駐している以外はまともな感じで」

ローラ「もう邪は祓ったから問題解決済みなりしよ……っ!」

御坂妹「はぁ、よく分かりませんがご親切にどうも、とミサカはお礼を言って立ち去ります」 シュタッ

浜面「おー、どういたしましてー……って行っちまったな。今の子もトラップの一人だったのか?」

ローラ「……」

浜面「話を聞いてよ!?無視はよくな――」

御坂妹?「すいません、とミサカはドチンピラへ声をかけます」

浜面「誰がドチンピラだ!てかあんた、あれ?今あっちの角曲がって、あれ?」

御坂妹?「道を伺いたいのですが、この近くにコンビニはありませんか、とミサカは聞きます」

浜面「ん、んん?あぁさっきも言ったけど、あそこの角を曲がって直ぐのところに……」

御坂妹?「そうですか、ありがとうございました、とミサカはお礼を言って立ち去ります」

浜面・ローラ「……」

浜面「……一応、うん、一応見ておこうぜ?あの子が視界から消えるまで」

ローラ「……霊的な存在……?いや、魔力は感じられない……?」

御坂妹? クルッ

浜面「あ、曲がっ」

御坂妹??「――すいません、とミサカは雑なチンピラへ声をかけます」

浜面「……おぉうっ!後ろっ!?あ、あれ!?なんで!?どうやったら背後に回れんの!?」

御坂妹??「コンビニを探し――」

浜面「こ、これは……アレか!アレなヤツか!?」

ローラ「そう――『自分が死んだのに気づいていない地縛霊』……ッ!!!」

浜面「――ってまた主旨違うじゃねぇか!?モンスターっちゃモンスターかもしんねぇけどよ!」

浜面「外国じゃそうなの!?オバケってモンスターの一種だって思われてんのか!?」

ローラ「いや、近代小説の影響で最近は認知度も……前は、親族にしか見えないって縛りがあったりして」
(※主に西方キリスト教圏、特にイギリスでは)

ローラ「それが降霊術の普及とともに、『あぁ幽霊ってこんな感じか!』って広がりしことなのよ?」
(※大体実話です。そしてリン○が流行ったもんだから、心霊動画で髪ストレートの女が増える増える)

浜面「あんたらの歴史も大概だよね。大将がいやっちゅーぐらいツッコンでっけどさ」

ローラ「しかし侮るなかれアレイスター……!このような仕掛けを魔術無しで成し遂げてしまうとは……!」

御坂妹??「正直『存在自体が出オチではないのか?』と、最近どのミサカも不安に思っていますが、とミサカは明後日方の向きつつ」

御坂妹??「――隙ありと、、ミサカは本来与えられた役割を無難にこなしました」 プスッ

浜面「あ、あぁ……お………………?」 バタンッ

ローラ「ハツマズゥラーーーーーーーーーーーーーっ!?」



――洞窟

浜面「――誰が外人だテメー!コテコテのしょうゆ顔ナメんなよ!」

ローラ「起きた第一声がツッコミ……上条当麻に似てきてる訳だけど」

浜面「別に上条は大将として尊敬してっけど、ツッコミ能力が羨ましくはねぇよ――」

浜面「――って、ここはどこ?!私は誰っ!?」

ローラ「あなたはこの星に異世界から転生者として生まれた存在で、オリジナル能力は『全裸になると誰からも見えなくなる体(てい)』になりし……ッ!!!」

浜面「体(てい)って体裁の体だよね?それ確か『なってないのになってる感じで』ってことだから、俺が全裸になってもただ脱いでるだけなんだよな?」

ローラ「良かったわ−、ハマヅゥラー。記憶が戻って」

浜面「ボケにボケで返されたらそんな余裕無ぇよ!つーか大将よくノド耐えられるな!」

ローラ「選ばれし者の宿命よ」

浜面「良かったわー俺一般人で−。そんなしょーもない選ばれ方されたらきっと泣いてたわー」

浜面「……てかここ、どこ?妙に暗いし、岩肌剥き出しの……洞窟?なんかのアトラクション?」

ローラ「……私も今目覚めたところなりしよ。風の流れから地下か屋内。空調の無かりけるところよ」

浜面「……あのアホ元理事長!俺に何の怨みがあるって言うんだ!?」

ローラ「まぁB級映画を模してる以上、”ここ”も何かの原作があると踏んでおるわけだが……」

浜面「何?つーことは前のも?」

ローラ「恐らくクモ映画、そして子供が全員宇宙人になってしまった映画のパロディ……!」

浜面「て、ことは次も?」

ローラ「そうよな!まず間違いなく何かパロディで」

エイリア○の着ぐるみ『……』 ヒョコッ

浜面・ローラ「……」

エイリア○の着ぐるみ『……』 スッ

浜面「いや隠れるな隠れるな!?つーか最初から隠れられてねぇから!もう見切れてっからよ?!」

エイリア○の着ぐるみ『……しゃー!』

浜面「怖くは無ぇよ!全体的に作りがちゃちすぎてむしろ哀れみすら覚えるわ!」

ローラ「あと学園都市レベルの”最強”では私の足元にも及ばぬしなぁ」

エイリア○の着ぐるみ『……問題』

浜面「おい、異星人がしゃべり出したぞ!よどみはないが着ぐるみ着てるもんだからくぐもった声で!」

エイリア○の着ぐるみ『俺は何のキャラでしょーか?』

浜面「いや俺、映画は……あぁゴメン見てるわー。暴力と仕事上の都合でちょくちょくしょーもない映画を強いられてるわー」

ローラ「ガンバ、ハマー!きっと正しい答えを言えば出口を教えてくれ……るわよ!」

浜面「語尾思い出せ、なっ?流石にちょっと面倒になってきたとしてもだ?」

浜面「やー、でもここまで造りが微妙だと俺程度じゃちょっと……絹旗にメールで連絡入れていい?あとヒントくれる?」

エイリア○の着ぐるみ『……主人公二人、一話目はメッチャ喋ってたのに二話目から無口になる』

浜面「……一話目?映画じゃねぇのかよ。海外ドラマ?……まぁいいや、送信っと」

……PiPiPiPi……

絹旗(電話)『――超ズハリ、”スマートモンスター○”……ッ!!!』

浜面「なんで知ってんの!?」

絹旗(電話)『で、できれば写メ撮っておいて下さい!超貴重な存在ですよそれ!』

浜面「『……どんな話なん?』」

絹旗(電話)『主役二人がよぬ○(松竹芸○)で心霊写真を撮りに、とある洋館へ超忍び込みます』

浜面「『なんでだよ!?配役の時点で”あ、これダメだな”って分かるでしょーよ!?』」

絹旗(電話)『しかし出て来たのはエイリア○っぽいモンスター!しかも出られず迷い込む地下迷宮!』

絹旗(電話)『まあなんやかんやあって無事出られるのですが――この作品、最大の超キモはそこではありません……!』

絹旗(電話)『ダブル主人公なのに!第一話では有○も濱○と同じぐらいに超メッチャ喋っていたのに、二話以降無口になりました!』

浜面「『な、なんで?人が変わったみたいになったんなら、作中でモンスター入れ替わったとか?』」

絹旗(電話)『脚本家がドラマ第一話を見て、「有○が棒演技過ぎてこれ以上喋らせられない」って超ナイスな判断を……!』
(※実話です)

浜面「『だからする前に分かるだろって!せめて台本読ませるとか現場行くとか!撮影始める前に気づけや!』」

絹旗(電話)『超なにいってんですか!?私の知る限り、「オンエアされた後に演技がクッソ下手で台詞を減らされた」ケースはこれ以外知りませんよ!?』
(※ココリ○遠藤章○の比じゃない)

浜面「『てかモンスターだけで合ってて能力者は!?もっとこう寄せに行けよ!そういう話来てんだからさぁ!?そんなだからもう7年目だっつーのに人が少ししか来ねぇんだよ!』」

絹旗(電話)『あ、動画は用意しておきますんで、帰ってきたら』 プツッ

浜面「――さ、行こうぜ!この茶番劇を終わらせに、な!」

ローラ「本当によな。それ以外の無いってところが、まぁ、うん」



――大ホール

浜面「ここは……?」

ローラ「前に私が捕まっていた場所なりしね」

エイリア○の着ぐるみ『……』 ヌルッ

浜面「お前もついて来てんなよ――ってあんたは!?」

上条「……」

ローラ「汝は……!」

上条 シャキッ

浜面「な、ナイフっ!?あんた何を――」

上条「い、一方通行は塀の中へ消えた……!けど、まだ一人いる……!」

浜面「誰か警備員連れてきてくれ!……はっ、そうだ!ここに人類よりも強いおねーさんが!」

ローラ「――やめなさい!私のために争わないで!」

浜面「ってこいつも根本はアホで悪魔だった!いや知ってたけど!」

上条「も、もう一人!もう一人だけ手を汚せば主人公は俺だけに……!」

浜面「現実逃避すんなよ?常盤台の子たちにどんだけ差を付けられてんだ、つーかな!そして別に主人公は俺じゃねーぞアァンッ!?」

浜面「『いつになったらスピンオフはじまるんだろー☆』って楽しみにしてたら!一方通行、常盤台のおっぱい、そして垣根のヤローに抜かされてんだよ!」

浜面「目を覚ませ!あんたが戦うべきなのは俺じゃないって!」

上条「――おれは、しょうきに、もどった」

浜面「それ続編でトチ狂うヤツじゃね?『いえいえお前ドヤ顔で戻って来てるけど、お前のシャドウが混乱に拍車を掛けてんだボケ』って!」

上条「あれ浜面?どうしたんだよ、こんなとこで?」

浜面「ムリムリムリムリっ!なかったことにはでき」

上条「(……ビリビリのかーちゃん……)」

浜面「――る、よねっ!設定が変わったら掌を返すことだってよくあるさ!だってボクたち生きてるんだから!」

ローラ『――こうして、醜い争いは幕を閉じた。多くのモンスターたちは闇に消え、人類が勝利した』

ローラ『しかし忘れてはならない。彼らを怪物たらしめたのは誰であったのか?そんな立場へ追い込んだのは誰であったのか?』

ローラ『人もまた、心に怪物を飼うモンスターだということに……ッ!!!』

浜面「あんたら全員俺の敵だよ!味方っぽいヒロインも俺を騙して遊んでたじゃんか!」

アレイスター『うん、ていうかこれ全部配信してるからみんな知ってるけどね?』

浜面・上条「えっ?」


-終-
(※ご応募ありがとうございました)



――オービット・ポータル芸能事務所

マネージャー「――あ、お疲れ様ですARISAさん。すいませんね、お呼び立てしてしまいまして」

鳴護「あ、いえ、それは別に。できれば弁護士同伴の上でケリを付けたいと思いますが、まぁはい。いいです」

マネージャー「なら良かったです。最近の調子はどうですか?お仕事で悩んでいたりしませんか?」

鳴護「えっと、悩みではないんですけど……ツタ○へ行ったら、ついついサメ映画のコーナーを確認するクセがつきました」

マネージャー「後遺症ですね。お若いのに不憫な話です」

鳴護「誰のせいだと思ってんですかっ!?あれだけサメマラソン走らされた後でサイレ○ですよ!?もっと手加減とか必要じゃないですかねっ!?」

マネージャー「いやいや、評判は良かったんですよ?お陰様でスポンサーさんから幾つもオファーを頂きましたから」

鳴護「それは良かったですねっ!あたしのメンタルは削られましたけども!」

マネージャー「例の監督からは『じゃあ次はエイリア○のパチモン映画で二週ぐらい超楽勝です』と邪悪なメールが届いてますし」

鳴護「業者の方に祓ってもらって下さい。呪われていますから」

マネージャー「で、そんなARISAさんに新しいお仕事のオファーがですね」

鳴護「映画は嫌ですよ!?てか前のだって映画って話だったのに、ただただネタ映画の再現ドラマじゃないですか!?」

マネージャー「えぇまぁ流石にですね、それでは悪かろうともっと肩の力を抜けるような、こう楽なお仕事です」

鳴護「……騙されませんよ?いくらあたしでもお断りしますからね?」

マネージャー「まぁ話だけでもどうぞ。何か飲みますか?冷たいお茶と温かいお茶のどちらがいいですか?」

鳴護「お茶一択ですが……冷たい方を」

マネージャー「事務所の平均年齢が高いのでどうしても。お若い方は社長とARISAさんとTorma☆さんだけですので」

鳴護「最後の売れないユーチューバ○みたいの誰ですか?もしかしてあたしの知ってる人です?」

マネージャー「で、まぁ次のお仕事の話ですが、司会進行、なんてチャレンジしてみたくありません?」

鳴護「またアイドル路線から変な所へワープしようとしてますよね!?あぁいやアイドル違いますけども!」

マネージャー「そこはアイドル関係無いと思いますよ?指○さんなんかとても進行がお上手じゃないですか」

鳴護「あぁそれはあたしも思いますけど」

マネージャー「顔だけでアナウンサーモドキの仕事をしてる方々と、比べるのが失礼になるぐらいですよね」

鳴護「言ってませんからね?あたしは何も言ってないですからね?」

マネージャー「ですのでARISAさんのツッコミスキルの上がっていますし、ここら辺で新しいジャンルのお仕事に挑戦されては如何でしょうか、と」

鳴護「あの地獄はそういう意図があったんですねっ!てっきり思いつきで偏ったジャンルをしたものだとばかり思ってました!」

マネージャー「ちなみに並行してもう一つオファーが来ていますが、こちらは正直オススメしません」

鳴護「どんなお仕事ですか?」

マネージャー「テレビの仕事なんですが、『あの人、今何してるじゃんね?』っていう」

鳴護「無理です。一身上の都合で満二歳です」

マネージャー「そこはそれ、ウチの男性タレント部門のトップが演技をしまして」

鳴護「当麻君は全面的に信用はしてるんですけど、腹芸部門は壊滅的になると思います。スタジオからあたしがブイへ延々ツッコむだけになるかと」

マネージャー「え、ですからそういう企画ですけど?」

鳴護「……あの、まさかとは思いますけどね。あたしの歌手生命終わらせようとしていませんか?お姉ちゃんか誰かに命令されて?」

マネージャー「あはは、まさかそんなことは!」

鳴護「ないって言ってくださいよ!ないって!あたしの目を見ながら!」

マネージャー「……『とーまくんのせいで芸能界から渡×ったんだから、責任取って』……」 ボソッ

鳴護「――で、収録はいつなんですか?出来れば事前の打ち合わせとかも必要だと思うんですよね」

マネージャー「大変結構な変わり身ですね。中々神経も図太くなられて」

鳴護「家族を探すって意味では、まぁ叶っちゃいましたし?」

マネージャー「引退されるのもそれはそれでいいですが、それだとこの芸能事務所の命運がTorma☆一人にかかってしまいます」

鳴護「うん、当麻君が現実を直視するまでもう少し続けようかな。それでもう一本のお仕事って何です?」

マネージャー「それは演出、というかプロデューサーの方が直で来られているので、そちらから詳しいお話を」

鳴護「え、いらしてたんですか!?てか先に言ってくださいよ!失礼じゃないですか!」

マネージャー「ではどうそ」

鳴護「どうぞって。応接室に行けばいいんですね」

マネージャー「ではなく。机の上をご覧ください」

白いカブトムシ『やぁ、初めましてARI』

鳴護「あ、虫」 ブシューーーッ

白いカブトムシ『ぐあぁぁぁぁぁぁぁ……!』」

白いカブトムシ『――ってなんでですかっ!?Gとは違いますよ!Gとは!あんな汚いものと一緒にしないでください!』

白いカブトムシ『ムシキン○とG!全然違うじゃないですか!レア度とか美しいフォルムとか!』

鳴護「いやでも正直、虫嫌いな人からすれば大差ないかなー……」

白いカブトムシ『なんて人だ……ッ!この国では人権を認めないのかっ!?』

鳴護「人の定義とは」

白いカブトムシ『人の心を理解でき、他人へ優しくできれば資格はありますよ!例えば私なんかね!』

鳴護「てゆうか、すみません。とっ散らかっててどこかせらツッコんだものか迷うんですけど……」

鳴護「世界観がフワっとしていてよく分かりません!ここは妖精の世界かなんかですかっ!?」

マネージャー「おっとそれ以上はいけませんよ!『陽×の国から来た妖精ハマッヅ○』と共に封印したギャグが解かれてしまいすまからね!」

鳴護「えぇこの調子だとあと3年は封印解けないでしょうけどね!三年続いているかは不明ですが!」

マネージャー「ともあれ改めてご紹介します。机の上のオブジェに擬態されていたのが、演出を担当されている垣根プロデューサーです」

垣根『カブPと呼んでください』

鳴護「無理です。てゆうか自ら虫方面へ寄せていかなくても!」

垣根『では垣P?』

鳴護「柿ピ○みたいな発音で言わないでください!そのうち訴えられますよ!」

垣根『では間を取って「今ちょっと落ち目だけど頑張れ垣根!いつか主人公になれる日が来る帝督!」で』

鳴護「丁度人生最悪の地点にいますもんね。その後も実験材料になったり、クーラーボックスでお取り寄せされたり悲惨ですけど」

垣根『えぇでもそこまで酷くはないんですよ?私の好感度が暴落した際も、なぜか「いいぞもっとやれ!」ってごく僅かながら声援が』

鳴護「あー……ファン根性を抉らせた極々一部の層ですよね。別名精神的ストーカー」

垣根『という訳でいつものように「お兄ちゃん」で』

鳴護「超初対面だっつってん――ハッ!?あたし今何を口走って!?」

マネージャー「超いい感じでツッコミが魂に刻まれていますね!その調子です!」

鳴護「そっか……事務所はあたしの敵だったんだ……ッ!!!」

マネージャー「敵だなんてとんでもない。ただ自分達は面白おかしくイジりたいだけですけど?」

鳴護「相撲部屋の『かわいがり』と同じだよね?」

垣根『私は味方です……どうか信じてください!』

鳴護「外見がちょっと……人類ではない方はどうかなって」

垣根『いやこれには事情がありまして、こうしている方が何かと動きやすいんですよ。マスコットキャラ的な意味で』

鳴護「は、ちょっと無理めじゃないですかね?よくよく見るとトゲトゲが厳ついって言いますか」

垣根『まぁそれは仕事を見てから判断して頂きたいものです。というか受けて頂けるので?』

鳴護「演出……うん、節足動物がプロデュースする何かに出演……頑張れARISA!ふぁいおーっ!」

垣根『あれあれ?何か酷い誤解をされてませんか?」

マネージャー「人は第一印象がほぼ100%ですからね、なんだかんだ言って外見に捕らわれる物でして」

垣根『八尺様の実写版みたいなド白い人間形態よりはマシだと思ったんですがねぇ……』

鳴護「……確認したいんですけど、あたしは何をさせられるんですか?」

垣根『ヒーローショーの司会のお姉さんです。デパートの屋上やイオ×のイベント会場とかでやってますよね?』

鳴護「お仕事のグレードが下がってる!リオレイ○をナイフとブーメラ○縛りで倒した後に、カニ退治に来てる感じがする!」

マネージャー「……ほぼ初仕事がデスゲームでしたからねぇ。そのときに比べれば、えぇ」

鳴護「あなたもですからね?不問にしてますけど荷担してましたよね?」



――とあるショッピングモール 特設ステージ控え室

垣根『基本的には台本通りに進めて頂ければ』

鳴護「……意外とちゃんとしたヒーローショーなんですね。タイトルの”無限増殖カブトマン!”が不安定になりそうなのを除けば、ですが」

垣根『まぁアクターさんは全員プロですので、多少既定路線から外れたとしてもアドリブで軌道修正してくれると思います』

鳴護「へー、凄いんですねープロの俳優さんって」

垣根『え?俳優?』

鳴護「はい?」

……グラグラグラ……ッ

垣根『――あぁはい俳優俳優!俳優の方はプロですからねー!お任せすればきっと成功しますよー!』

鳴護「情報を小出しにされると動揺するんですけど。割と帰りたいです」

垣根『まぁ所詮は子供だましですから!』

鳴護「それ絶対に言っちゃいけないのですよね?スタッフ全員が薄々思ってはいても、口には出しませんよね?」

垣根『いえ、それが意外に子供の方が厳しい目を持ってましてね。プリキュ○ショーが終わってクレームが来ることだってありますし』

鳴護「大きなお友達ですよねそれ?まぁ、自由っちゃ自由ですけど自由すぎませんかねっ!子供が楽しむものに大人が口出すのはどうかなって!」

垣根『それを言われるとラノベ原作のアニメの殆どは社会人だと思うんですが』

鳴護「え、円盤も売れるし!ライブにも来てくれるいいお客様ですよねっ!……て、遊んでる場合じゃないですよ。もう少しで本番ですし」 ガチャッ

垣根『どちらへ?』

鳴護「他の演者の方へご挨拶をしてき」

……グラグラグラ……ッ

鳴護・垣根「……」

鳴護「……さっきから気になってたんですけど、カブPさん?」

垣根『素敵な名前ですよね。業務用原付を女性向けにリニューアルしたようなお名前です』

鳴護「若い女性ほどカ○とは無縁だと思います……じゃなくて、ここについてから地震が頻発しているような……?」

垣根『ですね。私も正直怖いんですが』

鳴護「Pがご存じではないってことは、工事でもしてるんですかね……?」



――控え室1

コンコン

鳴護「――すいません、おはようございます。本日お仕事をご一緒させて頂くことになりましたARISAと申し――」

削板「――こぉおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ……ッ!!!」 グラグラグラグラッ

鳴護「助けて当麻君!?上半身裸で気を練ってる人がいるよ!?」

鳴護「てかさっきから地震の原因がこれ!?カブトムシの人もそうだけど、人類から離れすぎてないかな!?」

削板「根性!根性があればなんだってできるぜ!」 グラグラグラグラッ

鳴護「すいません。取り敢えず地震止めてもらっていいですか?とあるコンプラ的に不謹慎ネタに抵触しかねないので……」

削板「気合いが足んねぇんだよ!地に足つけて生きてねぇからグラグラしやがるんだ!」

鳴護「ちょっと何言ってるか分かんないですね……えーっと、ヒーロー役の方ですよね?」

削板「おう!削板軍覇だ!ヨロシクな!」

鳴護「あ、はい。司会進行のARISAです、宜しくお願いします」

削板「知ってるぜ!『塔』が折っ切れても生還したんだよなぁ!ナイスガッツ!」

鳴護「あ、いえそれはあたしは何も特には。助けてくれた人たちが頑張って下さったおかけですから」

削板「それも含めてだ!根性入った仲間ができんのも根性入ってねぇと無理だぜ!」

鳴護「はぁ……どうも?」

削板「――よし、タイマンだな!」

鳴護「なんでですかっ!?あたしなにも悪い事してないのに!?」

削板「いいか、お前にはガッツがある!誰にも負けない根性がある!それはとてもいいことだ!」

鳴護「ないです。結構弱音吐いてましたけど」

削板「そりゃしょうがねぇよ!誰も彼も強い訳じゃねぇんだ!体が強くたって気合いが足りねぇヤツが居るし、心が強くたって体が伴うって訳じゃねぇ!」

鳴護「あぁ、そのぐらいは分かるんですね」

削板「お前は俺が分からない、俺もお前が分からない。当たり前だ!初対面の相手が直ぐに分かってたまるかよ!」

削板「なら殴り合えば分かる!拳を交わしゃダチって昔から言うだろう!?」

鳴護「あたしも読んでた本にはないですかねー。もっとこうキラキラ光ってました」

削板「じゃあしょうがねぇ!キラキラ光ってんだったらそれもまたアリだぜ!」

鳴護「あ、あれ?意外と判定が甘い?」

削板「要はアレだ!俺は悪人どもをぶっ飛ばせばいいんだよな!」

鳴護「大体合ってますけど、段取りがありますからね?台本通りに」

削板「知ってるか?誰の人生だって用意された台本なんてねぇんだぜ?」

鳴護「人生だからですよ?お芝居に関しては割とありますからね?」



――控え室2

コンコン

鳴護「――すいません、おはよーございまーす。本日ご一緒にお仕事をさせて頂くARI」

上条「――だから言っただろ!?Unit○はマシンを選ぶって!」

青ピ「いや、まぁそうはそうやけども……最近のパソってどれもこれも高スペックですやん?やから敢えて低スペックユーザー向けにせぇへんでもいいんちゃいます?」

上条「俺は全ユーザー向けに優しい環境を整えて欲しいだけだ!決して俺の使ってるノーパソが型落ち中古だから言って訳じゃない!」

土御門「どこで足切りすんのかも大切な話だぜぃ。全ユーザー向けっつーのも現実的じゃない一方、『この内容で超処理重いのってギャグか?』ってのは困りもんなんだぜぃ」

青ピ「システムの脆弱性ってちゅーのもあるやん?出したゲーム、即全部抜かれたら超気ぃ悪いし」

上条「それはどこのシステムだって早いか遅いかの違いじゃないか?だったらアップデートで対応するとか」

土御門「最近はそれが主流だな。『どうせ割られるんだったら、内容小出しにして』って、言い方は悪いが対応としちゃ悪くないにゃー」

上条「だからM○とかじゃなくていいんだよ!システムさえ整っていればWol○かac○で充分なんだ!」

青ピ「まぁ……大手さんが作っとぉフル3DCGがゴリゴリ動くんのとちゃうしなぁ。開発費だって限られとぉし」

上条「だろ!?だからレトロなシステムでも売れる筈なんだ!wol○が上位に食い込んでるの見ただろ!?リン○とか!」

土御門「否定はしないにゃー。ただそれらのゲームが『他のソフトでも売れたんじゃね?』って言われればどうする?」

上条「そ、それは開発環境が初心者にも優しいから!それだけ内容の方へリソース割り振れるって話だ!」

青ピ「つちみー、それは卑怯な質問やで。それ言うたらミドル向けゲームやって同じことやし」

土御門「意地が悪かったな。カミやんの着目点はいい、他の人間が狙っていない場所を狙うのは俺も賛成だぜぃ」

土御門「ただそれが、レトロ回帰すりゃ売れるかっつーのも難しい話だぜぃ。よく作り込まれてるのが売れるのはどの開発環境でも同じだ」

青ピ「ボクはカミやんのレトロゲー路線には賛成やよ?ただ有りきで作るんはちゃうと思う」

青ピ「『これが作りたいからこの環境!』っちゅー選び方が正しいんちゃいます?手持ちのカードから札捨てるんやなくて!」

上条「そうだな――ありがとう二人とも!お陰で俺たちの進むべき道が拓けた気がするぜ!」

上条「――リーフジオメト○さんや大人の道○さんにも負けない!俺は、俺たちはエロ同人ゲームで一発当て」

パタンッ

鳴護「……すー、はー、すー、はー――――――よし」

コンコン

鳴護「すいませーん、共演者のものなんですがご挨拶よろしいでしょうかー?」

上条(声)『はい、どうぞ』

鳴護「失礼しまーす」 ガチャッ

青ピ「――それで、つっちー?ドイツからのアメリカ軍撤退をどう思うてはるのん?」

土御門「そうだな。はっきり言えるのはブラフじゃないってことだな」

青ピ「ちゅーのんは?」

土御門「今まで西側の砦、悪い意味でショーウィンドゥ役としてドイツ駐留米軍は存在価値があった。それは当然の話だ」

上条「そっか。分かる分かる!見世物ってことだよな!」

土御門「南北冷戦が終わり西側諸君の勝利にはなった。ただそれはあくまでもそのフェーズでは、って意味でだ」

上条「そうそう!えっと……フェーズってことだよな!」

土御門「だが実際には民主主義になりながらも旧態依然としているロシア、そして社会主義から平等だけを抜き去った中国」

土御門「そいつらへ対する脅威度は依然変わらない。どころか最悪を更新し続けているわけで」

上条「そうそう!最悪だよな!」

土御門「当然ウクライナ侵攻に危機感を覚えいているのは当事者だけじゃない。最近じゃポーランドもアメリカへ『ウチに部隊置かない?』って言ってるぐらいだ」

土御門「――ってのに、だ。前線の位置が変わって理解してないアホが大慌てだって話だ」

上条「そうそう!大変だよな!」

鳴護「もう遅い、かな?エロ同×ゲームの話をしていたのに……うん、今更どうやっても失った好感度は帰ってこないよ?」

青ピ「そしてカミやんの相づちも薄い薄い。最近のサキュバスみたいですやん」

鳴護「あの人たちの衣装は着てないのと同じだよね?まぁなんで知ってるかはさておき、服としての意味があるのかと」

上条「――なぁARISA?」 ポンッ

鳴護「な、なにかな?お顔が近いけど!必要以上に!」

上条「同人音声ってジャンル、聞いたことあるかな?」

鳴護「お金に対して必死!?何かヨゴレ仕事をさせられそうな気がするよねっ!?」

上条「ヨゴレなんかじゃないぞ!ただ少しだけ演技の勉強をするだけで!」

鳴護「うん、当麻君はいつか後ろから刺されると思うな?」

上条「心配ない。一回刺されてるから」

鳴護「なんで?『人生はテンドンしないよ』、って法則性はなかったよなね?むしろ積極的に不幸さんは二度三度カブせてくるよね?」

上条「それも男相手に。いや憶えてないんだけどさ」

鳴護「あー……フラグ管理間違っちゃったかー……」



――廊下

鳴護「……」

垣根『ささっ、どうぞARISAさん!最後の演者さんへご挨拶を!』

鳴護「俳優さん一人も居ないんですけど?豪華っちゃまぁ豪華っぽい人もいますがアクターさんはどこに?」

垣根『――人間、誰しもがこの世界へ生まれ落ちた瞬間から演者になっているんですよ……ッ!』

鳴護「あの、遅れてやってきた中二病に対して恐縮なんですけど、人類以外の方が言われるのは如何なものかと」

垣根『あなたに何が分かるって言うんですかっ!?ある日突然人間ではないと告げられ、ケンカ売ったら返り討ちでどん底にまで落ち込んだことが!?』

鳴護「半分ぐらいは経験しています。あと自業自得って言葉知ってますか?」

垣根『……あなたは近くによいご友人がいたのですね。私はロクなヤローがいませんでした』

鳴護「それについても同じ言葉を贈りたいと思いますが……まぁ、どうもです」

垣根『しかしあなたを助けたのは女の子だったからで、実は男性だったら放置してたんじゃないか説』

鳴護「と、当麻君はそんな人じゃないよ!うん多分きっと恐らく!」

垣根『ならば次のチャレンジへお進み下さい!新たな笑いの刺客があなたを襲います……ッ!』

鳴護「主旨が一体どこにあるんですか?てゆうか笑える要素が一つもないってのはどういうことでしょうかね!』



――控え室3

ガチャッ

鳴護「――か、かかって来てください!あたしは誰の挑戦でも受けますよっ!」

神裂「――そうですか。挑まれたからには武士として対応を」

鳴護「違うんです!?今までがずっとボケ倒しだったら先手を打っておけってカブトムシが!」

神裂「疲れているんですね、可哀想に」

鳴護「もっと違うんですよ!?そんな可哀想なモノを見る目で見ないでくださいっ!?」

神裂「ARISAさん、でしたよね?先日はウチのロン毛が大変失礼なことを致しまして、彼の代わりに深く謝罪申し上げます」

鳴護「テンションの切り替え方がついて行けませんが……いえいえそんなっ!なんだかんだで手伝ってくださいましたし!」

神裂「無礼を働いた分、少しでもお返しできればと」

鳴護「あれあれ?人の貸し借りをしょーもない企画で差し引きゼロにしようとしてる?」

神裂「何か?」

鳴護「あぁいえなんでもないですっ!ただちょっと安心したなぁと」

神裂「……他の演者に問題があるのですね。私も隣室からにゃーにゃーと聞こえてきて、ほらトリハダが」

鳴護「それはそれで酷いような……?」

神裂「しかしご安心を。未成年ばかりの中、大人としての義務を果たし、立派に演じきって見せましょう……!」

鳴護「悪の女幹部さんが一番真面目ってどうかな、と思わなくもないですが!大変心強いです!」

神裂「それで――なのですが、私の衣装はいつになったら届くのでしょうか?」

鳴護「お衣装がですか?い、今カブトムシに確認してきますっ!」

神裂「相談する相手を間違ってはいないでしょうか」

バタンッ!!!

建宮「じゃっじゃーん、なのよ!呼ばれて飛び出てビビデバビデブ○のど根性建宮さんなのよ!!!」

鳴護「混ざってます。色んなのが多すぎて原形留めていません」

神裂「昭和テイストに生きる男ですから、どうか無視してやってください」

建宮「女教皇のお困りだと聞いて見・参!なのよ!」

神裂「えぇ、はい。確かに困っていますが、オチは見えるので……あぁ、ARISAさんそこに立っていると巻き込まれるので、二歩ほど右へどうぞ」

鳴護「あ、はい。ここでいいですかね」

建宮「なんちゅーか、こう!女教皇には危機感が足りてないのよな!もっとヒロインとしての自覚を持ってほしいのよ!」

建宮「無駄に育ちすぎて時流に乗り損ねた外見!そして人気投票上位陣は全員胸の平たい人族!この如何ともしがたい現実を!」

鳴護「もう殴ってもいいんじゃないですかね?溜める必要はあるんですか?」

神裂「一応は最後まで聞きましょう。チャージ時間も長くなりますし、好都合です。こぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ……!」

建宮「んがしかぁし!まぁそれはそれこれはこれで精神で!少年がマニア気質である事を祈るのよな!」

鳴護「癖(へき)がニュートラルだとマニア呼ばわりされる時代って……」

建宮「この不肖建宮斎字がご用意した大淫婦サキュバスめいグボォウウラオッ!!!?」 グシャッ

神裂「――衣装の予備を探してきます。では失敬」

鳴護「あっはい。人間って意外と良く飛ぶんですねっ!驚きまし――」

鳴護「――ちょ、ちょっと待ってください!今出て行かれたらお時間が!」



――特設ステージ

鳴護『みんな、こーんーちはー!』

子供たち「……」

鳴護『――はーい、こんにちは!リアクション薄いぞー?クールキャラ気取ってるのかなー?それとも誰も知らないヒーローショーだからなのなかー?』

鳴護『まぁいいや!本日は司会をする事になったARISAでーす!”ARISAお姉さん”って呼んでねー!』

上条(声)『――姉、さん……?あなたが俺の姉さんだったんだね……ッ!!!』

鳴護『はーいそこ舞台袖からボケないでねー!話が収集つかなくなるし、あなたの場合は自虐ネタも入るから静かにしようねー!?』

鳴護『はい、ではまずステージを始める前にお願いです。ショー中は危ないので席を立っちゃダメだよー。後ろのお友達が見えなくなっちゃいます』

鳴護『次に気分が悪くなったら近くの大人に人へ言ってね。我慢しないでください』

鳴護『最後にショー中には写真撮影は禁止です。大きいお友達も自制しようね』

鳴護『なお約束を破った悪い子は、帰り道で白いカブトムシに誘拐され――ないよ!?なんで?!何この注意書き怖いな!』

鳴護『はい、ではショーを始めまーす!皆さんはくしゅー!』

観客 ……パチパチパチパチパチ……

ジャジャンジャジャンジャジャンジャジャン

上条(黒タイツ)『――ぶはははははははははは!この会場は悪の秘密結社ムギノ・コワーイが占拠したのだ!』

土御門(黒タイツ)『――にゃーっはっはっはっは!女子供のウチ小さい子は俺の担当だぜぃ!兄君って呼ぶんだにゃー!』

青ピ(黒タイツ)『――ふっふっふっふっふ!じゃあボクはレディ担当やね!やった、念願のハーレムが叶ったわ!』

鳴護『なんで?なんで弱そうなの来ちゃったの?』

上条(黒タイツ)『ふっ!このコスチュームはただの全身黒タイツに見えるがそうじゃない!普通のじゃないんだよ!』

上条(黒タイツ)『何が違うかって、伝線しにくくてカカトが荒れ気味な冬場にも有効活用できるのだ!』

鳴護『いや、凄いけども!指摘してるのはそこじゃなくって!』

上条(黒タイツ)『あとなんか業務連絡なんだけど神裂のアホいねーんだよどうしようブハハハハハハハ!!!』

鳴護『やめて!?本番中のアドリブで比較的絶望的な報告しないで!?』

上条(黒タイツ)『よくぞ集まったなお前たち!今日はお前たちの時間を稼いで神裂が来るまでの時間稼ぎをしてやろうか!』

鳴護『当麻君?いやあの、分かりやすくていいんだけども、うんもっとこう事前に伝えるとか、さりげなくするとかないの?』

土御門(黒タイツ)『――はい、って言うわけで始まっちゃったんですけども』

土御門(黒タイツ)『今日はみんなどこから来たんだにゃー?あ、そこの君は?県外から?へー、お父さんとお母さんと遊びに?』

鳴護『戦闘員が手慣れた感じで前座っぽいことしてる!?』

土御門(黒タイツ)『俺のオススメはフードコートのメイドパフェかにゃー?終わったら是非食べに行くといいぜぃ!』

鳴護『場を繋ぐにしたって!もっとこう、アレだよ!悪の秘密結社っぽい何かあるんじゃないのかなっ!?』

青ピ(黒タイツ)『ショートコント、”多目的トイレ”』

鳴護『子供相手にそれだけはやめてあげて!?お父さんお母さんが「あれ、なんだったの?」って後から聞かれて困るような事は!』

上条(黒タイツ)『大八洲さん一人で番組はもたないと思う』

鳴護『そう、だけどね!ふなっし○探偵の縁で相方ふなっし○さんにすればいいんじゃないかな!?』

青ピ(黒タイツ)『「――あ、もしもし?オレオレ。うん、今からなんだけどタクシーで」』

鳴護「青ピさん、後でサインあげますから一人で黙々と進行しないでください!もうその状況が面白いですから!』

土御門(黒タイツ)『――はい、じゃあ撮るぜぃ』 パシャッ

鳴護『勝手にお客様と仲良くなって記念撮影しないで!?まだお客様イジる方が健全!』

上条(黒タイツ)『……』

鳴護『な、なにか?』

上条(黒タイツ)『ナイスツッコミ☆』 グッ

鳴護『ウルサイよ当麻君!”いいね!”じゃなくてね!あたしだって別に好きで上手くなったわけじゃないからね!?』

鳴護『てか時間稼ぐにしたってもっと方法はあるし全員がバラバラだし収集がつかない!』

土御門(黒タイツ)『「あ、渡○さーん?あたしあたしー」』

上条(黒タイツ)『――ふっ、尻尾を掴んだぜ!これで今週の売り上げはウチがトップだ!』

鳴護『なんで合流しちゃったの?一番の問題行動に乗っかろうと思ったのかな?』

上条(黒タイツ)『てかアリサちょっとスカート短くないかな?子供向けにしてはどうかなって』

鳴護『素に戻られるとあたしが恥ずかしいよ!中にショーパン履いてるから大丈夫だもん!』

上条(黒タイツ)『いやでも若い子があんま生足晒すってのはどうかと』

鳴護『てか当麻君はあたしの彼氏か!なってほしいけど!』

上条(黒タイツ)『おっ、みたか青ピ。今のがツッコミの奥義の一つ、”ツッコんでボケる”だ』

青ピ(黒タイツ)『内容はスルーえへんよ?あとカミやんはシメるけどね?』

土御門(黒タイツ)『なんだよお前ら、つき合っちゃうといいんだにゃー』

鳴護『というか悪の組織の活動は!?ヒーローは悪いことしないと来てくれないんだよ!?』

削板『天知る、地知る、人が知る――』

削板『――悪を倒せと、俺が居る……ッ!トゥッ、俺参上!!!』

鳴護『あぁまた空気読まない人がここに!てかまだ出番じゃないのに!』

削板『助けを呼ぶお前の心の声が聞こえた!』

鳴護『あぁだったら仕方がないですよね。会場つく前からずっと呼んでましたから、って……あの?』

削板『さぁ下がれ!ケンカに巻き込まれんぞ!』

鳴護『いやそうじゃなくて、あの、仮面は?カブなんとかさんの』

削板『いいかい嬢ちゃん?仮面なんてのは自分に自信のないヤツが付けるもんだ!恥ずかしくねぇんだったら胸を張れ!』

鳴護『その理屈で言うと大体のライダ○が不合格ですよね?大先輩disっていいんですか?』

上条(黒タイツ)『出たな!無限増殖カブトマン!カブトっぽい要素ねぇけどもだ!』

土御門(黒タイツ)『敢えて言えばシャツの模様?』

削板『これは私服だぜ!』

鳴護『だから衣装は?今まで運営のいうこと一個も守っていませんよね?』

削板『あんなキラッキラした服、ケンカのときに破いちまったら可哀想だろ!?』

鳴護『いいえ。カブトムシ要素を全部スルーされたカブPさんは泣いていると思う。あ、もしかしたら鳴いているかもですが』

青ピ(黒タイツ)『カブって鳴くん?』

土御門(黒タイツ)『スッゴイ小さな声で鳴くらしいぜぃ。空気の通り道レベルじゃないにゃー』

土御門(黒タイツ)『なお死んだ個体の胸を押すとヒューヒュー音がするってwikiに書いてあった』

青ピ(黒タイツ)『なにそれめっちゃこわい』

鳴護『か、カブトマンさんはもう少し待っててください!今この人達が悪い事しますから!』

上条(黒タイツ)『本末転倒だろ。ヒーロー待機させたまま暴れる戦闘員がどこにいんだよ』

土御門(黒タイツ)『今回のはねーちんが悪いけど、このまま殲滅されたらちょっと頭のアレな人を虐殺した人だにゃー』

青ピ(黒タイツ)『よっしゃ任せときぃ!悪い事するでー!ボクらは!』 ザックザックザック

鳴護『……なんで土を掘るジェスチャーをしてるのかな?』

青ピ(黒タイツ)『種蒔いて、雑草引いて、水まきして』 ザッザッザッ

削板『農作業アイドルだな!』

鳴護『いや多分ツッコミ違います。別に普通に働く分にはいいんじゃないかな……』

土御門(黒タイツ)『なぁブラウ、それ、何の株?』

青ピ(黒タイツ)『これ?これはね、大麻○の株やよ?』

鳴護『栽培するところからスタート!?割とセンシティブな問題だからあんまりリアリティを出さないで!』

上条(黒タイツ)『「――あ、もしもし?オレオレ、オレなんだけど、今実家が炎上して家出ちゃってさー?」』

鳴護『そういうところかなー。当麻君もお友達らしいなって思うよね』

土御門(黒タイツ)『「――タカシ……?その声、アンタもしかしてタカシやないのよっ!?」』

上条(黒タイツ)『「母、さん……?ま、まさかオレの母さんなのかっ!?」』

鳴護『すいませんヒーローさん。もうどうなってもいいですから、全員ぶっ飛ばしてください』

削板『いいやダメだ!親子の対面を邪魔するなんてできねぇよ!』

土御門(黒タイツ)『「アンタ、アンタどれだけ心配したと思ってんの!?おとーちゃんなんかね、アンタどれだけ探し回ったと思ぉとん!?」』

上条(黒タイツ)『「ごめん、母さん……!でもオレには夢が……」』

青ピ(黒タイツ)『「……タカシ……タカシやねんな」』

上条(黒タイツ)『「父さん……」』

青ピ(黒タイツ)『「えぇんやで……?母さんはヤイヤイ言うけども、父さんはタカシの味方や、なっ……?」』

上条(黒タイツ)『「うん、うん……っ!」』

削板『いい話だな!』

鳴護『そうですね。ヒーロー要素が皆無ですけどね』

青ピ(黒タイツ)『「それでな。父さん、こんど手術すんねん?やから、指定する口座へプリペ経由で現金を入れてぇな?」』

上条(黒タイツ)『「分かったぜ父さん!今からダッシュで全財産振り込んでくる!」』

鳴護『まさかのオレオレ詐欺返し……ッ!?』

削板『いい話だな!』

鳴護『話聞いてます?』

上条(黒タイツ)『――どうだヒーロー!俺たちが如何に残虐非道か分かったか!』

鳴護『コントだよね?全員がボケて笑いを取りに来てるだけだよね?』

上条(黒タイツ)『もうなんか神裂遅ぇし時間も限界だからかかってこい!フルボッコにさせてやるぜ!』

鳴護『世界で一番弱い悪役みっけ』

削板『そうかい、なら――行く、ぜエェェェェェェェッ!!!』

土御門(黒タイツ)『にゃーーーー』

青ピ(全裸)『なんやーーーー』

鳴護『待って!?今視界の隅に肌色だらけの人が映っちゃったけど大丈夫!?』

上条(黒タイツ)『あれだよ、きっとダメージを受けるとアーマーブレイクする仕組みなんだよ』

鳴護『ダメージ受ける前からじゃなかったかな?』

削板『残ったのはお前一人だ!覚悟しろ!』

上条(黒タイツ)『くっ!こうなったら――来い!』 グイッ

鳴護『キャッ!?』

削板『……おいおい、そいつぁちょっと根性無しじゃねぇか?よぉ?』

上条(黒タイツ)『くっくっくっく!何とでも言うがいい!人質さえあればお前は手出し』

鳴護 ギュッ

上条(黒タイツ)『……』

鳴護 スリスリ

上条(黒タイツ)『……あ、あのアリサさん?もう少し離れてもらっていいかな?ほら、ソーシャルディスタンスっていうかさ?』

鳴護『え、何?ゴメン聞こえなかった』

上条(黒タイツ)『いや別に何があったって訳じゃないんだ!ないんだけどもホラこう色々あるじゃんか!』

上条(黒タイツ)『てか今オレタイツだしアリサは露出度高いしあぁとにかく一回仕切り直してください!もしくは俺をうつぶせ気味で倒してくださいお願いします!』

土御門(死体)『――説明しよう!カミやんのカミやんは臨戦状態になったのだ!』

上条(黒タイツ)『せんでいいわ!いや違うし!風評被害も甚だしいがな!』

削板『よく分かんねぇが気合い入ってねぇな上条!人質を取るなんてよぉ!』

上条(黒タイツ)『いや、話的に俺らが瞬殺されたら面白くも何ともねぇから!ただ強いツッコミが来ただけだって思うから!』

鳴護『えっと……これ、どうやって収集つければいいんだろ』

神裂『――そこまでです!』

削板『誰だ!』

神裂(私服)『よくもウチの可愛い部下達を可愛がってくれましたね!』

鳴護『またカジュアルな格好できましたね!斬新って言えば斬新ですけど!』

上条(黒タイツ)『色んな意味で時代の先端を行ってるよな。そしてなぜかそのセンスは同じ流派でも建宮しかいないっていう』

神裂『だ、騙されてなんかいませんよ!五和や対馬がいまどきのファッションでいいなー、なんて一度たりとて思ったことなどあるモノですか!』

上条(黒タイツ)『薄々気づいてんじゃねぇか』

神裂『そ、それはさておき!それ以上の狼藉は許し、ませ――』

削板←普通

鳴護←ステージ衣装

上条←ヘンタイ

神裂『……』

鳴護『神裂、さん……?』

神裂『――ダフルヒーローで悪を滅ぼしましょう!人質をお離しなさい!』 クルッ

上条(黒タイツ)『やっぱその流れかよ!?』

鳴護『うん、どう見ても今の当麻君にプラス要素はないんじゃないかな。全身黒タイツに人質とってる時点で、敵幹部もツッコミで倒してくると思うよ?』

上条(黒タイツ)『くくくく……!例えこの俺を倒したとしても、第二第三のヘンタイが現れるのだ……ッ!!!』

鳴護『エラい小さい悪人像!まぁ時として大事にはなるし、刑法改正して無期懲役ぐらいにした方がいいとも思うけど!』



――控え室

垣根『いやー、お疲れ様でしたねARISAさん。数々のハプニングがあったにも関わらず、無事に終わらせるとは!』

鳴護「全員が全員、人の話を聞かない上にボケ倒すってどう思います?ツッコミ要員の数が足りないって思いません?」

垣根『仰る意味が分かりませんが?司会のおねーさんはツッコミ側では?』

鳴護「司会ってそんなヘヴィーになお仕事だったんだ……」

垣根『言う事を聞かないゆるキャラとご当地キャラを巧みに操作し、中の人の体力にも気を遣ってやりくりする仕事です』

鳴護「あいち○さんだけですよね?ご当地キャラ界の飛び道具の手綱を握れる唯一の人だからですよね?」

垣根『まぁでも中々楽しかったでしょう?』

鳴護「そう、ですね。ツッコミの勉強にはなったかと思います。でも『あのときツッコミを勉強してて良かった!』って日は永遠に来ないと思いますけど」

垣根『……いいえ、そんなことはありませんとも。私ももっとツッコミを若い頃に勉強していれば、と思うときがよくあります』

鳴護「カブトムシが?」

垣根『この子を見なかったか――と聞いて、なんでやん!の一言があれば、あぁもボコられずに済んだと』

鳴護「関係無いと思います。白い人からすれば飾利ちゃんはその他大勢ですし」

垣根『まぁしかし何か一つでも良かった点があって良かったですね!』

鳴護「えぇ不本意極まりないですが」

垣根『――じゃ、午後の部もそんな感じで頑張ってください』

鳴護「嫌です帰ります弁護士を呼んでください」


-終-
(※ご応募ありがとうございました)



――どこか、いつか

フロイライン「――あまり非生産的な行為は好きではないのだけれど」
(※「新約とある魔術の禁書目録」出身)

レディリー「生産、凄惨、聖餐……そう?どれもどれも素敵じゃないかしらね?」
(※「とある魔術の禁書目録 エンデュミオンの奇跡」出身)

マーリン「いやいやアカンアカン。そないに後ろ向きなこと言ぃないな。悪い方悪い方行ってまうよ?」
(※「英雄×戦姫 GOL○」出身)

マーリン「人間生きればそれだけでエエのんよ?今どんだけ辛ぉとも、いつか『あ、メシ美味いな』って日が絶対に来よるで」
(※「英雄×戦姫 GOL○」出身)

フロイライン・レディリー「……」
(※「とある魔術の禁書目録」出身)

マーリン「何やの?その『なんでコイツここにおるん?』みたい目ぇは!?」
(※「英雄×戦姫 GOL○」出身)

フロイライン「ありがとう。こちらの言い分をほぼ正確に理解しているわよね」

レディリー「そうね。私もどうしたからいいのか戸惑っているわ」

マーリン「いやんっ!そないに見つめんといて!女の子は繊細なんよ!大切にせなアカンで!」
(※「英雄×戦姫 GOL○」出身)

マーリン「――あ、でもこの筐体性別なかったんやないかーーーーーい!ルネッサン○ーーーーーーーーーーーーっ!!!」
(※「英雄×戦姫 GOL○」出身)

レディリー「食べて、いいのよ」

フロイライン「いただきます」 ゴリュッメキメキボリボリボリポリッ

マーリン「ぎにゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

レディリー「何味?」

フロイライン「綿アメに、ホルモンを入れた感じ……?」 クッチャクッチャクッチャ

マーリン「――ってなにさらすんじゃコラアァァッ!?ワイの残機無駄に減らさんといてぇな!?」

レディリー「何類なの?」

マーリン「なぁそこは『何物』でええんちゃうかな?スタート地点から人類外すのってどうかと思うんよ?」

フロイライン「酸っぱい豚肉?」

マーリン「そかそか、酸っぱい豚肉か−。そうやんねーねこっちは純粋培養の養豚場直送やないしなー」

マーリン「アレやん?昨今の健康食ブームもブームやなしに定着して体にエエもん食べるやん?」

マーリン「けどなー、むしろコンビニ弁当は好きやし、スイーツも新作はチェックしながらロキソニ○ガンガン呑んでるわー」

マーリン「ってそれ人間食った感想やないかーーーーーい!ルネッサン○ーーーーーーーっ!」
(※諸説あり)

レディリー「おかわり」

フロイライン「……ラジャー」 ボリボリポリッ

マーリン「ぐおあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

フロイライン「……マズい」 ペッ

マーリン「ペッしたダメでしょお、ペッて!口に入れたんやから最後まで食べるのがルールやんな!?」

レディリー「闇鍋よね……まぁいいわ、サンジェルマンの切れっ端か何かでしょうし、たまには、ね」

マーリン「まいどっ!おおきにっ!」

フロイライン「……というか、お久しぶり。レディリー」

レディリー「ごきげんよう、フロイライン。あのヘンタイについていっても死ねなかったようで何よりだわ」

フロイライン「私はあなたとは違うわ。現状に満足しているもの」

レディリー「だといいのだけどね」

マーリン「それでな、ワイはな、ひぐらしのなく頃○の映画版も悪くないと思うんよ」

レディリー「そんな話してなかったわよ」

マーリン「あれあれぇ?ちょい前にワイの残機潰したんは誰やったっけ?」

フロイライン「そんなことよりも感想の続きを」

レディリー「えっと……誰かツッコミの人はいないかしら……?」

マーリン「やからね、こう赤ちゃんが間違ぉてビー玉とか呑み込んだとき、見せるとペッてぇ感じで」

レディリー「吐く映画ってことよね?――待って!?この面子、ツッコミがいないわ!」

フロイライン「……ファイッ!」 ポン

マーリン「大丈夫、長生きはするもんやで?」 ポン

レディリー「……肩を叩かないでくれない?特にそこの謎せい、ぶ、つ?」

マーリン「うん、それでな?映画版に限って言えばコープス・パーテ○は原作に忠実やってな」

レディリー「本気で消すわよ?」

マーリン「ごべんなたい」

フロイライン「食べる?」

レディリー「それはあなたにとって罰ゲームだから可哀想よ」

マーリン「あるぇ?虎は食物連鎖の頂点やのに可哀想って何なん?毒で当たったらってコト?」

レディリー「この子は虎以上だけどね。分類としては”何か”ってことで」

フロイライン「私はただ優しい神父様に言いつけをよく守っているだけ」

マーリン「(……中世の胸糞悪い異端審問官の話やろ?なんでまた?)」

レデイリー「(私に聞かれてもね。愛するのも愛されるのも素敵なように、責められるのが好きなんじゃないの?)」

マーリン「(まぁワイは食われてんやけどね!しかも失のぉた機体が影も形もなく消失しとぉてるけど!)」

フロイライン「それで……あなたは、どうして?」

マーリン「やって?ほら、素直に言うてご覧よ?ワイやって鬼やない、正直に言えば、なっ?」

レディリー「どう考えても歓迎されてない謎生物に言ったのよ?」

レディリー「……まぁ、人格を持った術式か、雑精霊でしょうけど……よくもまぁ”ここ”へ入れたわね?」

マーリン「『ワイ、マーリン!ブリテン一の魔術師やで!』」

レディリー「興味は特にないのだけれど――あぁ、そう、ね。あなたとは初対面で顔見知りだったかしらね」

フロイライン「……魅了の術式?」

レディリー「今見てるお芝居の話よ。このまま終わってしまうかもしれない、か細くてひとりぼっちの女の子のお話」

マーリン「……まぁ、そうやなかったらワイみたいのが流れ着かへんからなぁ」

フロイライン「よく分からない……まぁ、座って?何か飲む?」

マーリン「あぁおおきに。あんま気ぃ遣わんといてぇよ」

フロイライン「ちょっと待つ……お昼に食べたホットドックが、まだ完全には」

マーリン「気ぃ遣わないにも程があるんちゃうかなぁ!?何人にゲ×飲ませようとしてんねん!?」

フロイライン「ん?……生物ではよくあるけれど?」

マーリン「……あぁ、まぁ鳥とかがやりおるなぁ。自分ちの子に半消化したのって……」

レディリー「見た目以外益々人類から離れてきてるわね……まぁ、いいわ。最近どう?」

フロイライン「BL×が新しいハンバーガーだと思ってた件について」

レディリー「どこの上司?てゆうかどういう盛り合わせなの?」

フロイライン「ベーコンレタスマッ○?的な?」

マーリン「ありそうやんね」

レディリー「直接私たちには関係ないけれど、まさか21世紀になってまだ魔女狩りを見るとは思わなかったわね」

フロイライン「正義による正義のための正義を為す十字架。今度は誰に背負わすのでしょう」

マーリン「ワイは大体寝とぉし、そんなに大変でもなかったけど……レディリーはん大変やったんちゃうの?」

レディリー「”成った”のが十字軍全盛期だし、あぁまたか、ぐらいよね」

フロイライン「私が”私”だと自覚したのは魔女狩り――魔女でない人を魔女だと狩っていた頃……」

マーリン「神の子もそうやったっけな。十字旧教のパリサイ派がローの帝国に呑み込まれよって、政情不安になる下地ができとぉねんわ」

マーリン「全世界的なパンデミックで、正直『あんたらそれでええのん?今それしてる場合ちゃうよね?』って思うねんけど」

レディリー「あら、自由な意志ってとても可愛いじゃない?例えそれが誰かに植え付けられた激情でも、拳を振り上げるのは生きている証拠だわ」

フロイライン「誰かの言うことを信じるのだって素晴らしい事よね。うん、きっとそうに違いない」

マーリン「あんたらが言うとシャレにならへんけど……でもなんぞ関係あるんかな?”不死者”と時代っちゅーんは」

フロイライン「あなたが本物なら詳しい筈。ブリタニアのために決起した王を導く魔法使いさん?」

マーリン「いや、まぁあの時代はなぁ?アングロ族やらサクソン族やら、ガリアの蛮族どもがガンガン攻めて来とぉししゃーない的な?」

レディリー「王様は死んでないのよね?」

マーリン「ちゅー話もあるけども!ワイらには畏れ多くて何も言えへんよ!」

レデイリー「かと思えばヨーカイ?モンスターの絵姿をプリントして盛り上がってる謎の国もあるみたいだし」

フロイライン「アマビエ饅頭……美味しかった」

マーリン「アマビエな。あれせめてどローカルな妖怪やのぉて神様にしとぃきぃやと。御利益も微妙やし」

フロイライン「……どんな神様?饅頭を司る?」

マーリン「そんな神様おらんわ――と、言いたいところやけど、饅頭神社も一応あるんよ?ご神体置いとぉかは調べてへんけど」

フロイライン「ちょっと行ってくる……!」

レディリー「待ちなさい。ネタなのか本気でやっているのか分からない国よね」

マーリン「針や鋏も供養する国やし、まぁ中々理解すんのは難しいと思うわ」

レディリー「それとアマビエ?どんな神なのかしら?」

マーリン「足三本で髪長い鱗まみれの半漁人女やよ」

レディリー「モンスターじゃない」

マーリン「何かクマモ○県辺りの漁師がな?海中で夜に光っとぉ何やこれ?って見に行ったら』」

マーリン「『もう少ししたら疫病が流行るけど、ウチを描いた紙貼っとぉたら難逃れられるんよ!』って神託をな。神ちゃうから予言?」

フロイライン「モンスターよね」

マーリン「そうやけども!『あれこれなんで信じられると思ったんやろ?怪しさ大爆発やんな?』とか思うけども!」

レディリー・フロイライン「あ、モンスター」 チラッ

マーリン「ワイはカンケーないでしょお!?外見で人を判断するのやめてくれますぅ!?」

レディリー「『鳴護アリサさんがもふもふだった場合、助けには行かなかった説』」

マーリン「やったら話がミニマムになるねんな?原稿用紙10枚ぐらいの短編やんね?」

フロイライン「どこまでが助けに行くボーダーなのか、少し試してみたい……」

マーリン「上条はんやったら通りすがりの犬ぐらいまで助けに行きそうやな……」

フロイライン「オッサン口調の葉巻を嗜むレトリバーがメインヒロイン……時代の最先端!」

レディリー「普通に動物虐待のような気もするけど……」

マーリン「昔から異類婚姻譚もあるし、別に今更、ちゅーかあんたら態度悪いで!?人に説明させといて何よ!?」

レディリー「あらごめんなさいね?私たちの文化圏じゃ馴染みがなくて、戸惑ったのよ。ねぇ?」

フロイライン「神父様は言いました――『善きことは神の御業、悪きことは悪魔の仕業』、と」

マーリン「まぁ、なぁ?特に熱心な十字教圏じゃその考えが浸透しとぉわ。仮に予言があるとしても」

レディリー「聖女、もしくは聖人かしらね。もしくは大司教ぐらい?」

マーリン「仮にそうでなくても”そう”解釈されてしもぉてね。まぁそれはそれで信仰の一部だと言えなくもないんやけどな」

レディリー「半漁人で、しかも『自分の絵姿を残せ』って自己顕示欲が強いのね。女だからかしら?」

マーリン「現在の研究じゃ同系統の怪異、『アマビコの書き間違いちゃうのん?』って説が強い。ただその絵姿を残したり、信仰にしてぇなってのは別の所から引っ張って来とぉな」

マーリン「”講(こう)”っちゅーんがあってなぁ……あー、例えばブディズム(仏教)の開祖はんの絵姿あるやん?基本は像やねんけど」

マーリン「あれを描いて売りもんにしたり、逆に配って信者獲得しようとしたりしとぉわ」

レディリー「十字教とは違うわよね。なんていうかこう」

フロイライン「雑?」

レディリー「ね?」

マーリン「基本的には江戸時代、『ブディスト以外あきまへんえ!』って全国一律で規制されてたんやけども……」

マーリン「『まぁブディストやけどウチは色々な神さんや上人(しょうにん)いますんやね!』って、かなーりカオスな状況になっとぉた訳で」

レディリー「それで問題が無かったらいいじゃない」

マーリン「そいで地方の町や村で流行っとったんが”講”っちゅー……まぁ十六夜講だの廿(にじゅう)一夜講だのて感じ?」

フロイライン「夜の……神様?」

マーリン「いんや、ほぼ関係ないんよ。観音さんやったり庚申虫、あとは別に名前もない山の神さん拝んだり?」

マーリン「――っていう名目で夜に集まってワイワイ騒いどぉ」

レディリー「あぁそういう集まりね」

フロイライン「娯楽目的の信仰は……どうかしらね?」

マーリン「娯楽が皆無に近い時代やし大目に見てほしいわ。あとやり過ぎで『お前らええ加減にしときぃよ?』って行政から叱れることもしばしばやった」

マーリン「まぁそれでも信仰は信仰やね。意外とバカにならんかったらしく……ちゅーか”ならないと思った”人間がおって」

マーリン「その”講”に既存の神様作り替えてぶっ込もうとした連中がおるんよ」

レディリー「オルフェウス教団みたいよね」

フロイライン「……ギリシャ神話の竪琴弾き?新興宗教っぽい響き……」

レディリー「発祥が”少なくとも紀元前5世”って由緒正しいカルトよ?考え方は当時としては珍しい輪廻転生かしらね」

マーリン「下手すりゃ十字旧教やブディズムの根幹となったぉな。ぶっちゃけブラフマー教の一派っちゅー気もするけど」

マーリン「まぁ日本の話へ戻すとな、主に宣伝活動を担当したんが瞽女(ごぜ)や座頭(ざとう)っちゅー人らやったん」

フロイライン「ザトーは知っている……カツ・シンタロ○?」

マーリン「まぁそうなんやけども!どっちも目ぇ見えへんか視力が弱いって人らでな、唄や芸を見せて地域を廻っていた旅芸人一派、みたいな感じやね」

レディリー「目が見えないのに?」

マーリン「見えない分だけ他の感覚に優れとぉ。あーっと、発祥が結構古ぉて平安時代ぐらい?やから最大で1,100年ぐらい前からある職業や」

フロイライン「スケールが……」

マーリン「日本でいっとう偉い人がある日突然目ぇが見えなくなったんたよ。ほいで慰めに琵琶や唄で慰めるようになって、『よぉやった!』って官位を授かっとぉ」

マーリン「それから視覚障害者の官製ギルドが結成されとぉて、そこでは音楽や整体を学んで生計を立てる術を教えとぉな」

レディリー「ちょっと待ちなさい。千年以上前から?」

マーリン「本格的に回り出したんは室町当りからやけどね。そこで薫陶受けた人らがある程度の範囲を巡業しとぉよ」

レディリー「……目が見えないのに?」

マーリン「やからね。悪さがそもそもできへんし、当時は娯楽なんぞそれこそ祭りや講ぐらいしかなかったから、どの町や村でも歓迎されたんよ」

フロイライン「無抵抗であるからこそ愛される……あぁ、神父様の仰っていたのはそういう……!」

レディリー「絶対に違うと思うわ、それ」

マーリン「まぁ実際にはグループ単位で行動しとったし、目の見える引率役もおらんといかんかったようけどねー」

マーリン「噂やけど諜報員みたいなこともやっとぉらしいんよ。眉唾やけども」

マーリン「あとはこれに加えて旅の六部(りくぶ)、ブディズムの聖地巡礼して歩き回っといた人らも広めよった」

マーリン「――っていうのが前置きで、前のアマビエに話が戻るんやわ」

レディリー「前置きが長すぎるわぁ」

マーリン「だってしょーがないでしょぉ!?前提すっとばして話とぉてもただ前後が繋がらなくなるだけで!」

マーリン「……じゃあもうええわ。結論から言えばアマビエは八百比丘尼の派生した存在やね」

レディリー・フロイライン「なんて?」

マーリン「だから言わんこちゃないでしょーが!すっ飛ばして言ったって分からへんよってね!?」

レディリー「……悪かったわよ。それで何をどうすれば二つは同じなの?」

マーリン「まぁ日本の中世から近代にかけて、雑多な信仰があったんよ。その中で室町時代ぐらいから続いとぉてたんが八百比丘尼や」

マーリン「これもまぁ……旦那さんがどっかから怪しい肉仕入れとぉ、嫁はんが勝手に食ぉたら不老不死になったっちゅー話や」

レディリー「こっちにもあるわね。神々の果実を口にしたら死ねなくなったペルセポネとか」

マーリン「そうそう、黄泉戸喫(よもつへぐい)やんな。死者の国の食べ物食うてはいかんよ?ちゅー寓話や」

フロイライン「寓話……?ノンフィクションじゃないの?」

レディリー「ノーコメントよ」

マーリン「――っていう”伝説を吹聴しながら、稼ぎに使ぉとった連中が居る”んよ。ただ単純に」

レディリー「……なに?誰が?」

マーリン「いや、やからね?芸を売ったり信仰売ったりすんのはええとワイは思うんよ」

マーリン「まぁ詐欺……と、までは言わへんけど、騙されて小銭巻き上げられぐらいやったら可愛いもんやんか?」

レディリー「流石、吟遊詩人にアーサー王伝説を流布させて、在りもしない架空の英雄を造り上げた人は言うことが違うわ」

フロイライン「詐欺師ー」

マーリン「いや知らんよワイは!?……まぁそういう説もあるっちゅーことは否定せぇへんけどもね!研究者としては!」
(※諸説あり)

マーリン「まぁ八百比丘尼の伝説、つーかほんまに不死の存在がいたんかどうかは知らへんし、あんたらみたいに今も生きとぉかはもっと知らんわ」

マーリン「やけども、や!その伝説に乗っかって布教してたんが――」

レディリー「あぁ、そうね……各地を巡りながら、芸で食べていた人間、かしら?」

マーリン「そうそう、それやね」

フロイライン「でもそれは、成立はしないのでは?不老不死の人間がそこら辺にいる訳ない――し」

フロイライン「そもそも”不老不死”というのをどうやって”芸”で稼ぐの?人は、死ぬわ」

マーリン「あぁそりゃ超簡単やわ。まず村ことで適当に廻って情報収集すりゃええんよ」

マーリン「『私はとある尼でございますが、何かお困りのことは……』とか言うて、最終的には霊験あらたかなお札売る感じの?」

レディリー「詐欺師の商売じゃない」

マーリン「そんで集めた情報をメモっといて数年後から十数年後にまた廻るんよ」

マーリン「『私は歳を取らない八百比丘尼、そういえば○○さんはお体の具合はまだお悪いのでしょうか?』っちゅー感じで」

レディリー「加齢するでしょうが」

マーリン「そんなん親戚か娘にでもやらせたらええんよ。大体一回あっただけの人間の顔、よぉ憶えてへんって」

フロイライン「……夢もロマンもない話……あぁ」

マーリン「いやそんな顔されてもワイは説明しただけで!もしかしたらどっかに”ホンモン”がおるかもしれへんけど!」

レディリー「世界三大ガッカリ観光名所を見た感じだけど……と、アマビエもそんな感じなの?あんまり共通点はないような感じだけど?」

マーリン「その証拠、ちゅーかなんで関係なかったらアマビエが人魚の姿しとぉん?西洋の人魚と違ぉて魚人やけども」

レディリー「それは……海、だから?」

マーリン「アマビエに一番似とるんが、実はザンっちゅー怪異や。場所的にもビエが熊本、ザンが沖縄から石垣島までで超近い」

マーリン「まぁそのザンっちゅーんも『予言をする人魚』であってな。村の若い衆が人魚釣り上げるんねん」

マーリン「でも『これは喰われへんやろー、無理やろー』ちゅーて逃がしとぉたら、そいつが『助けてくれておおきに。津波来るから避難しぃや』と」

マーリン「言われて従ごぉたらホンマに来よった助かったわー、てのが一つ」

フロイライン「だから予言する人魚と八百比丘尼の共通点は――」

マーリン「っていう人魚を喰ぉたさかい、不老不死になっもぉたんが八百比丘尼、っちゅー話や」

レディリー「まぁ……繋がったわね。尋常ではないものを食べてしまったからこそ、特異な力を得てしまった、と」

フロイライン「似ていますね」

マーリン「なんちゅーかな、『なんで人魚なん?』ちゅー疑問は残るわな。モモンガがカッパの肉でもえぇのに」

レディリー「レクチャーしてくれた礼じゃないけれど――それ、きっと因果が逆転してるだけだわ」

マーリン「逆転満塁ホームラン?」

レディリー「はいそこ、話し終わったからってボケないで。きちん聞きなさい……食べさせるわよ?」

フロイライン「あーん」

マーリン「サーセンでしたぁ!もうあの生きたまま捕食される感覚だけはカンベンしてつかぁさい!」

レディリー「全く……で、まずその詐欺師、だか本物だかは保留するとして、八百比丘尼やその一派がいたのよ。その霊験だか術式を見せて興行する集団が」

レディリー「彼女たちは『人魚を食べた』ってギミックで不老不死になったと言い、信憑性を与えた――」

レディリー「しかしこれには絶対的な前提が必要よね。その『人魚って存在が特別視される存在だと”周知されてる”のが大前提』なのよ」

フロイライン「……どういう?」

レディリー「そうねぇ。やってもらえる?」

マーリン「『よってらっしゃい見てらっしゃい!ワイは不死不老の尼さん、八百比丘尼やで!』」

フロイライン「絶対にそんな軽い感じではしなかったと思うわ」

マーリン「『超長く生きとぉワイは物知りやし、なんと未来のことも占のぅえるんやで!どやゴイスーやろ!』」

レディリー「『あらそうなの?ではあなたはどうやってそんな特異な体質になったのかしら?』」

マーリン「『なんや疑うんか!?ワイはな、人魚の肉喰ぉてしもぉたさかいに!歳を取らなくなってしまったんや……!』」

レディリー「『わーすごーい、あの人魚を食べたんだー』……というのが、パターン一」

マーリン「演技がやっつけなんが気になる……!」

レディリー「続いてパターン二――『人魚?なにそれ?魚は魚でしょう?食べだって寿命は延びないわよね?』と」

フロイライン「……あぁ、八百比丘尼の話を吹かすためには、聞いている側が人魚の異能性について周知していないと効果が無いのね」

レディリー「有名なサッカー選手だと紹介されても、紹介された側が『サッカーって何?サッ×野郎ってこと?』って言われて終わりなのよ」

レッサー「――『ジー○サッカー……ッ!!!』」
(※30年ぐらい前のゲームのタイトル。直訳すると「ジー○のサッ×野郎」)

レディリー「あれ今誰かいなかった?」

フロイライン「分かったわ。当時はネットも人の往来もなかったし、有名な伝説の上に盛らなければいけなかったのね?」

レディリー「そうね。そうしないと八百比丘尼の神聖性をアピールできなかった、というのが八百比丘尼が成立したときの話」

マーリン「年代的には室町当りやんね。ちなみに人魚自体はもっと古くて六国史(7世紀)前後の書物に顔出しとったわ」

マーリン「まぁ当時は人面魚扱いで?文字通り顔だけやったけども!」

フロイライン「……えっと……どういう?」

マーリン「やめてぇな!?スベったギャグに追い打ちするのガンベンしてあげて!?」

レディリー「で、大魔法使いさん?ザンとアマビエの出現時期はいつ頃?」

マーリン「あーっと、ザンは明治とそれよかちょい前やね。アマビエは1846年、明治維新から20年ちょい前や」

レディリー「出没時期はほぼ被るということは?」

マーリン「似たような妖怪が出現しとぉた……ッ!!!?」

レディリー「お黙りなさいモンスター。あなたみたいな規格外がホイホイ顔出したりはしないのよ」

フロイライン「私の出会った何人かの”不死”も、面倒だから隠れて住んでいる……」

マーリン「どゆこと?」

レディリー「二つの人魚、という魚人の認知度はどの程度だったのかしら?」

マーリン「ローカルな存在やし、アマビエも地方のローカル紙に取り上げられた感じやんね」

マーリン「実数どのぐらいかは知らないけど、少なくとも今の時代になって名前出るっちゅーぐらいには残っとぉ」

レディリー「じゃあそれまで”託宣”や”予言”をしていた人魚はいたの?」

マーリン「あー……ワイは知らへんわ。ちゅーか初めて話聞いたときも『こっちの人魚とは全然ちゃうねんね』って思っとぉぐらいや」

フロイライン「……船を海中に引き込んだり、歌を歌って船乗りを迷わせる……」

レディリー「と、いうのが一般的なのよ。決して占ったり未来を予言したりはしないの――と、いうことは」

レディリー「”なに”からその二つの属性を付加されたのか、という話になるのだけれど、どうかしら?まだ説明が必要?」

フロイライン「大昔にはなかった能力が、かなり経過したのちに付加された原因が八百比丘尼”から”……」

フロイライン「そんな……神性が混ざり合うようなことが、あるというの?」

レディリー「ずっとそうよ?私がアポロンのシビル(託宣巫女)だった頃だって、元々は別の神格だった夜の女王セレーネが、アルテミスやヘカーテと同一視されていたもの」

マーリン「……まとめると、や。八百比丘尼は自分の特異性を、『人魚喰ぉたからやで』ちゅーて補強しよぉた」

マーリン「で、次にそっから500年ぐらい経っとぉたら、人魚がいきなり『災害を予知するんよ!』へ変わっとぉ」

マーリン「その能力を引っ張って来た相手が八百比丘尼、ちゅー推測やねんね?」

レディリー「あくまでも仮の話ね。モンスターや魔術師でもなく、既に流布されてる噂や伝説へ便乗しよう、と思ったら下地が必要だもの」

フロイライン「……不思議な話ね。人魚から不死者に繋がって、また不死者から人魚へと戻る……」

レディリー「八百比丘尼は人魚を利用したのよ。自分がメジャーな存在じゃなかったため、誰しもが聞いた事のある存在を借りた」

レディリー「そして次にアマビエだったり、ザンが八百比丘尼の”やっていたこと”を利用したのね」

フロイライン「……託宣」

マーリン「補足、ちゅーか今パッと思いついたことを言ぉと件(くだん)っちゅー妖怪もおったなぁ」

マーリン「ウシやイヌの子ぉやったりするんやけど、顔が人面やねん。人の言葉で予言したら直ぐに死んでまう――」

マーリン「――が、これがまた当りよんねん。命が亡くなる分だけ呪術としても効果強いんやろか?」

フロイライン「他に……予言をするモンスターはいないの?」

マーリン「おるよ。ほらそこに」 チラッ

レディリー「タルタロスに突き落とすわよ?」

マーリン「やって似たようなもんやないの!?あんまワイも差別すんのは嫌いやけど、系列的にはレディリーはんも同じでしょーが!」

レディリー「強く否定は出来ないかしらね。十字教が予言――預言を独占したせいで”それ以外”は偽物か悪魔憑きに貶められたわ」

フロイライン「日本は関係無かったんじゃない、の……?」

マーリン「うんまぁ、あるんよ?異類婚姻譚ちゅージャンルが世界中にあるはある」

レディリー「羽衣伝説よね。ある人外の女神や怪異が、自分の皮や服を脱いで水浴びをしていると男が通りかかるの」

レディリー「あまりに美しさに男はつい着物を盗んで隠してしまうのよ。そして女を自分の妻に娶るわ」

マーリン「そのあとのオチはケースによって変わっとぉてな。着物、つーか羽衣や皮を女が見つけて、子供と一緒に帰っていくパターン」

マーリン「そこを旦那が追いかけて、子供や嫁はんの仲間を殺すパターンもあるねんな。なんつーかムナクソやけど」

フロイライン「なんていうか、こう、身も蓋もない、性的な話」

レデイリー「具体的にはスコットランドのセルキー、北欧神話のヴァリキリーね」

マーリン「まぁその手の人類×怪物ちゅージャンルを指して、異類婚姻譚や。チ○はんとエイン○はんとかな」

レディリー「フィクションでしょ?まぁ分かりやすいけど」

マーリン「で、まぁまぁまぁまぁ?日本じゃ蛇女房って伝説が何個も残っとぉわ。導入は大体同じで」

マーリン「あるとき田んぼか道端で白蛇を助けんねん。おぉ白蛇は神さんの遣いやし助けなあかんちゅーて助けるんよ」

マーリン「そしたらその日の夜、エッラい美人で色白の娘さんが訊ねて来よって、『一晩、泊めていただけませんか……?』と」

マーリン「――で、結婚と!まぁ昔話やからここら辺は曖昧やけどね!」

フロイライン「突然訊ねてきた女を嫁にする勇気」

レディリー「話の展開上仕方がないけど、まぁ素直は素直よね」

マーリン「まぁ昔話やし、話半分に聞いててほしいねんけど……まぁ何年か経って子供ができんねん」

マーリン「家族仲もええし、いつまで経っても嫁はんは若いまま――で、旦那はおかしいって疑うんよ。『あんたホンマは人間ちゃうやろ』ってな」

マーリン「ほしたら嫁はんは自分が助けられた蛇やと正体を明かし、立ち去ろうとすんねん。けど子供には乳をやらにゃならねんね」

マーリン「しゃーないんで嫁はんは自分の瞳をくり貫き、それをしゃぶらせとぉたらええよ、と言って今生の別れとなる」

マーリン「んでその子が育って高名なサムライになっとぉたり、自分の子を助けるために予言もしとぉたり」

マーリン「他には授けた瞳を丁寧に奉ったとぉたら、お大尽になったもうたり、逆に悪いヤツに盗まれとぅたらもう一つ与えて盲目になっとぅ」

レディリー「……ちょっと待って、盲目?一番最初に盲目の人たちの話してたわよね?」

フロイライン「何かある、わよね」

マーリン「あくまでもワイの解釈やけど、大昔は人の行き来なんかまともにできへんかったんよ。どっか行くのもそうやし、その逆はもっとそうや」

マーリン「なので狭い範囲で婚姻を続けていけば、なにをどうやっても血が濃くなる。なんで余所から血を受け入れないとあかんのよ」

マーリン「そこで旅人、瞽女の女の人を嫁はんをしとぉた、ちゅー暗喩的な話しちゃうかな?」

レディリー「途中で母親が姿を消すのは口減らし?」

マーリン「ただの病気ちゃうかなぁ?出産のときの産褥熱ちゅーんは昔から超怖かったし、不慣れな場所で体調崩すのもよぉある話やろ」

マーリン「乳飲み子がカーチャン無しで育つのもまぁよくある話やって。大体村や町には他のカーチャンおるから、そっから乳貰ぉたりしてんねん」

レディリー「まぁ、大体は分かったわ。お互いに利用してやろうと思った属性が混ざり合ったのね」

マーリン「補足しておくと文化人類学系の研究室入って一番に言われるのが、『言い伝えをそのまま信じたらあかんよ?』やったそうやねん」

フロイライン「研究室って……学校のでしょ?研究者が信じないって……矛盾してない?」

マーリン「あー、なんつったらええんかなー……悪気はないんよ?ないやんけども大嘘ぶっこいているってケースがちょこちょこあったり?」

レディリー「悪気がない嘘ってどういうことよ」

マーリン「極端な話やけど……なんやエッライ強い神さん勧請するとするやん?何かこう竜退治の伝説持っとぉ感じの」

フロイライン「『昔々あるところに騎士がいました。暴虐の限りを尽す竜を退治し、その地を長く守ったのでした……』」

マーリン「多少入れ替わっとぉけど……まぁええわ。その騎士さんを神さんとして奉るお社建てんねん」

マーリン「そしたら当然?『ウチの神さんはこれだけ偉いエピソード持っとぉ御方なんやで!』って喧伝するやん?」

レディリー「強さだけじゃないけど、まぁどこも普通にするわね。霊験あらたかな神やそれ以外でもそうよ」

マーリン「――で、その数十年かもっと先の話。騎士さん神社ができた土地に行ってみれば、そこで騎士さんが竜退治した場所になってんねん」

レディリー・フロイライン「ちょっと何言ってるのか分からないわね」

マーリン「やからね?数世代も人が入れ替われば混同してしまうんよ。外から持ってきた外ルーツの信仰なのに、いつの間にか舞台が我が町、我が村になっとんねんよ」

マーリン「だから周辺地域の歴史や文化を調べた上で、『あぁこれは史実とちゃうなぁ』ってのがそこそこあるねんね」

レディリー「……実際に、その土地では似たような竜退治があった、って話じゃないの?」

マーリン「っていうパターンもあるんよ。アマビコやないけど、勝手にくっついたり離れたりしとぉケースもかなり多いわ」

マーリン「名前は出せへんけど、槍もった英雄が悪神殺した伝説があっとぉ場所があってな。最初は『はいはいどっからが流れてきたんでしょ?』的な扱いで」

マーリン「でも調べていくウチに古墳ありよんねん。しかも彩色古墳」

フロイライン「そのお墓に何かある、ってこと?」

マーリン「そうやなくて古墳内部に塗っとぉせんりょうねん。通称ベンガラっちゅー酸化鉄の一種や」

レディリー「鉄が?」

マーリン「そうそう。つまりそこの近辺で鉄鉱脈がおぉて、そっから作っとぉ槍で異民族か蛮族倒したのが伝承になった、ちゅー話が」

レディリー「事実だとすれば大発見よね」

マーリン「しかしながら!諸事情により真実は闇の中や……!」
(※金銭的な問題と地権者的な問題)

レディリー「そっちの方が闇じゃない」

マーリン「他にも笠地蔵――ブディズムの像に善行をしたら恩返しに来てくれるっちゅー話は東北地方に散見しとぉけども……」

マーリン「流石にそれ全部が全部動いたわけはないやんな?どっか一箇所から派生してんのは間違いないんよ」

レディリー「都市伝説か」

マーリン「まぁ今と違ぉて大昔の話やさかい。勘違いや錯覚、思い込みも大いにあって当然やからなー」

フロイライン「……それが”不死者”を即肯定したらいけないと」

マーリン「八百比丘尼をワイは『娘か親族に継承させた香具師(やし)』って考証したんやけど……他の可能性もなくはないんねんよ。方向性は同じやけど」

レディリー「詐欺師関係の話?」

マーリン「や、のぉて血族っちゅー話よ。ローカルっちゅーかもっとベタな話で、山姫とか山姥やんな」

フロイライン「それも”女”ね……」

マーリン「西洋の魔女に近い、というよりかそのものやんよ――『あるとき男が山に迷ったら不思議な光景を見おった』」

マーリン「『それは若い娘が鞠(まり)をついて歌う姿やったが、この世のもんではないやんな、と一目見ただけで走って逃げた』」

マーリン「『男は家に帰り、父親へ事の次第を話したが、父親はしかめっ面になって何も言わなかった』」

マーリン「『そして時は流れて男が子を持ち、子が子を産んで爺と呼ばれるようになったある日のこと』」

マーリン「『山仕事から帰ってきた孫は、真っ青な顔でこう言った――』」

マーリン「『――なぁ爺さま、俺山ん中で鞠ついてる子を見たんよ』と」

レディリー「ほぼ怪談よね」

マーリン「なんかこう歳取らない女の子か母親らしき人間が山の中でずーっと暮らしてるんよ、歳も取らずに――」

マーリン「これもまた八百比丘尼伝説の一つとしてカウントされるケースもあるねん。迷い込んだ庵の中で尼さんが修行しとぉて、ってな」

マーリン「それを家帰って話したら、じーちゃんがワイも若い子に世話になったんよ!?あれが八百比丘尼ちゃうんか!?的なオチになるんよ」

フロイライン「で、その正体は?」

マーリン「うん、だから誰かが山ん中で暮らしてたんちゃう?何代にも渡って住んどぉたら、親子やのに『同一人物!?』って見間違うアホも出てくるやん?」

レディリー「待ちなさい。そんなに厳しい山中で誰が住むのよ?」

マーリン「柳田國男が提唱した説で『山人(さんじん)』ちゅーのがあってな。そのまま『山の中で独自の生活様式を保った人々』やねん」

フロイライン「魔女と同じ、ね……深い森に住み、時々人里に近づいては人を惑わす」

レディリー「こっちじゃ異民族じゃないのか、って扱いだけど」

マーリン「柳田は先住民族やないの?って話やね。平地とは違ぉた独自の文化を持つ集団が山中に隠れ住んどぉ……ッ!!!」

レディリー「日本の文化には詳しくないけれど、初耳……よね?」

マーリン「これ、証拠が21世紀になっても見つかってないねんよ」

レディリー「……はい?」

マーリン「やからな?平地じゃのぉて山ん中住んどった人らがいると仮定しよか?」

マーリン「最低限コロニーを維持するだけの人数が必要でその栄養源はどっから調達したん?住居跡やら文化がなんで残っとらへんの?」

フロイライン「アイヌ、だっけ?」

マーリン「その人らは時の権力者に存在確認されて税納めてましたやん。その人らが北東北だけじゃなく全国に渡って住んどぅの?」

レディリー「それは”ない”わね」

マーリン「やからもう一回言うな――『言い伝えをそのまま信じたらあかんよ?』、やねんね」

マーリン「柳田國男は”怪異の元になった存在はいる”っていう前提の元に仮説を立て、その結果出て来たのが山人論」

マーリン「まぁ……言い分は完全に間違いでもないねん。散発的に山に住んどった人はいるんよ?」

マーリン「どっかから脱走したり、捨てられたりして仕方がなく山ん中で暮らすっちゅー人らはいたと思うわ」

マーリン「けども、今と違ぉて自然の脅威がそのままで病気の知識も何もない、かつ栄養状態なんぞ下の下や」

マーリン「自然ナメたらいかんよ!現代ですら御せないのに昔やったら話にならんのは当たり前やで!」

レディリー「……中々夢のない話よねぇ。『証明できなければ存在しない』のは、少し立場的には寂しいかしら」

マーリン「学問自体は現実の上に乗っかってするもんや。そこに夢や希望で推測立てんのは絶対にあかんよ、誰の幸せにもならんからな」

フロイライン「見間違いに勘違いにただの金稼ぎ……私たちの同族は意外と少ないようで」

レディリー「あまり彩りのある人生じゃないし、まぁ余計な苦労を背負い込む人が少ないのはいいことよね」

マーリン「いやー、分からへんよー?意外と真実はザルでしょーもないオチやったかもしれへんし?」

フロイライン「どういう……?」

マーリン「人魚もおって人魚の肉も食ぉたら不老になんねんけど、不死やないから戦乱でバッタバッタ死によった、とか」

レディリー「その仮説だったら一応理屈は通るけど、ただの空想にしか過ぎないのよね」

マーリン「死なんなんてええもんやないけどな――さて!暗くなんもあれやし、ここからフランスの悪口でも言おか!」

レディリー・フロイライン「なんでよ」


-終-
(※ご応募ありがとうございました。なんて夢のない話ですが)
※お知らせ


――
リクエスト『上条さんが食蜂との記憶をもっていたらの話が見たいです』
リクエスト『上食はいいぞ、ときどき上げて落とすのはまぁ……うん…』

上条さんが記憶を持っていたらの話
=「食蜂さんがヒロインだとは言われてない」
=「食蜂さんがヒロインである必要はない」
=「油断するな!敵の魔術師(能力者)の攻撃だ……ッ!」


帆風「――と、いうわけで私はタイムスリップして過去にやってきました」

食蜂「ちょっとなに言ってるのか分からないわねぇ」

帆風「ある殿方に『根性注入・超すっごいパンチ☆』をいただいて、気がついたら夏休み前まで戻っておりましたの……!」

食蜂「そっちを聞かせてくれるかしらぁ?場合によっては『派閥』とどっかの根性熱血バカと戦争になるからぁ」

帆風「えぇと遭遇自体は不幸な事故ですし、誤解も彼らが脳筋でなければ避けられた不運な出来事かと」

食蜂「つまり100%あのバカが悪いってことねぇ。知人のバーバリアンと相打ちしてくれないかしらぁ」

帆風「あの、『女王(クイーン)』?そんなことよりももっと差し迫った大事なことが」

食蜂「そんなことって何よぉ。私の可愛い子たちに手を出した罪は重いわよぉ?」

帆風「『女王』……ッ!そんなに私たちの事を思っていてくださるんですね!」

食蜂「当然でしょぉ?大なり小なり似たような立場だしねぇ」

帆風「ありがとうございます!『女王』が素行の悪さからレギュラーヒロインからゲストヒロインへ格下げになりそ――」

食蜂 ピッ

帆風「『イラッシャイマセー』」

食蜂「てゆーかどぉゆうことよぉ!?今どこにいるのか分からないけどぉ!?」

帆風「落ち着いて『女王』!まだ夏休み前です!挽回はできます、まだ何も魔術と科学は交差してないのですから!」

食蜂「そ、そぉ、よねぇ?まだ勝負は始まってすらないよわねぇ?」

食蜂「……て、ゆーかね。私は何をやったのよぉ?時々普通にあってお喋りしたり、偶然を装って出会ってお喋りしたり、作為的に出くわしてお喋りしてたんじゃないのぉ?」

帆風「エンカウントして話すだけではないでしょうか。もう一歩踏み込まないと、ただのストーカーですからね」

帆風「……まず落ち着いてよく聞いてください。今から話すことはあくまでも”IF”の話ですからね?決して正史ではないですから!」

食蜂「あまりにもサラっとした暴言を吐いたような気がするけどぉ!まぁどうせバレなきゃいいわよねぇ!」

帆風「えっと……その、あまりこうIFの話をリアルにするのは憚られますので……そうだ!シンデレラにしましょう!シンデレラ風に!」

食蜂「何よそれぇ……まぁ大体分かるんだったらいいけどぉ」

帆風「私のメンタルでは殿方の名前を呼ぶのすら致命傷になりかねないのです。どうかご容赦を」

食蜂「普通に暴漢はぶん殴ってたけどぉ、それで?」

帆風「まず王子様が記憶喪失になります」

食蜂「シンデレラじゃなくなぁい?別の物語よねぇそれって?」

帆風「ですが王子様は自分の記憶が失われたことをひた隠し、シンデレラはそんな彼を陰に日向に支えます!」

食蜂「いいじゃなぁい。もうだからシンデレラが独自解釈しすぎて原型を留めてないけどぉ」

帆風「そんなシンデレラを虐める悪辣な継母!しかしギャラリーはそんなシンデレラを応援するんです!」

食蜂「王道よねぇ!頑張ってあたし!シンデレラふぁいっ!」

帆風「まぁその、継母役が『女王』なのですけど」

食蜂「なんでよぉぉっ!?まぁ話聞いてる間に『あ、これ悪役の方だ☆』って分かったけどぉ!流れからして前フリだったからぁ!」

食蜂「『ふぁいっ!』の意味も変るわよねぇ!?むしろイジメろってどういうこと!?悪役令嬢に転生してもそこまで露骨なのは……あるけど!」

食蜂「でもなんで!?超絶美人&ナイススタイル&ミステリアスな私が!平たい胸族の御坂さんに負けるのよぉ!?」

帆風「ま、まだです『女王』!このあと関係は改善されますから!」

食蜂「そ、そぉ?でも心が既に折れそうになってるって覚えておいてねぇ?」

帆風「ま、継母もそれなりの事情があったんです!それは王子様をシンデレラよりも好きになっていたのは継母の方だったんです……!」

食蜂「ねぇ?いい加減このシンデレラ風のやめないかしらぁ?その、仮にも義理の母親と娘が同じを取り合うのって、コンプラ的にどうかなぁって」

帆風「原作では実母と実姉ですけれど?」

食蜂「違う。そうじゃない。そういうことを言ってるんじゃ、ない」

帆風「色々ありましてシンデレラと継母は和解の一歩手前にまでこぎ着けました!わたくしも一肌脱ぎたかったのですが、同じゲコラーとして!」

食蜂「あなたはただ同好の士がほしいだけだと思うわぁ」

帆風「そしてシンデレラと継母は同じカボチャの重戦車に乗って!王子様の危機へと駆けつけたのですわ……ッ!!!

食蜂「ねぇ今重戦車って言ったぁ?例えにしたって、どんなゲテモノに罰ゲームで乗せられるの?未来の私死んでなぁい?」

帆風「その姿はまるで天空という海原を泳ぐゲコ太のような凜々しさでした……!」

食蜂「何があったの?将来御坂さんはどんなジャンルに魔改造されていくのぉ?まだ人の姿はしてた?人の心は持ってたぁ?」

帆風「それでまぁ共通する悪魔……えぇまぁ悪魔っぽい方を退治し、勇者達を讃える晩餐会に事件は起きたのです」

食蜂「例え話が戻って来たわねぇ。一応シンデレラが下地になってるのに原形留めてないの気にしてたのかしらぁ?」

帆風「何と!継母は王子様ドッペルゲンガーにコロっと騙され、ニセモノさんを守るために『女王』はイギリス首脳部をあらかた洗脳します!」

食蜂「ねぇ?それって嫌われるとか嫌われないとかってレベルじゃないわよねぇ?軍隊が動くベルじゃないのぉ?」

帆風「トドメに地の文含め『”派閥”のメンバーにゴメナンサイ』的なことは一行たりともありませんでしたよ!なんて酷い!」

食蜂「それってヒロインって名乗っていいのぉ?あ、もしかしてぇ根に持ってるのぉ?独断で敵になったからってぇ?」

帆風「……いいえ、『女王』。わたくし達『派閥』メンバーは『女王』が最優先ですわ。玉砕するときもご一緒いたします!」

食蜂「愛が重いわぁ。ぶっちゃけ引くわぁ。うん、まぁ何から言ったものか迷うけどぉ――」

食蜂「てゆうかまずシンデレラに謝った方がいいと思うわぁ?固有名詞以外何もカブってないのだしぃねぇ?」

帆風「そしてあの、えぇと一部常盤台生からは『顔が同じなら裏切る女、やっぱ貧乳サイコー』と『愛が重い。あぁ乳袋に栄養を座れすぎたんだな、ケッ』と評価が」

食蜂「御坂、さん……?その評価をしたのってまさか御坂さん……ッ!?」

帆風「そして私のいた未来、もといIF世界では『やらかしをネタにするゲストヒロイン』というポジションに……」

食蜂「どうせだったらレギュラーがいいわぁ!なんでそんな不遇な立ち回り方してるのよぉ私!?しくじり先○に出られるわぁ!」

帆風「えっと……シンデレラが特に大した意味も無くガラスの靴を隠したり、パーティ会場で暴れてみたり?」

食蜂「病んでるじゃない」

帆風「そうですよ!どうされたのですかっ『女王』!?普通好感度が上がったら上がったままで誰も幸せじゃないですか!?」

食蜂「そうよねぇ。話だけ聞いてると『誰が得するのぉ?』って本ッッッッッッ気で思うわぁ!誰よ余計な一手間加えたのぉ!」

帆風「えぇまぁわたくしも『あれ?もしかして”継母”ハイになっちゃってる?』と少々不安になるぐらいのハジケっぷりでしたわ」

食蜂「まぁ色々あったんでしょうねぇ……頑張れ、操折っ!まだ未来は確定してないわぁ!」

帆風「まず『女王』もお気づきかと存じますが、最初に王子様が記憶喪失になられてしまったのが、最大のしくじりかと」

食蜂「……何があったのぉ?てか本当にポンポン記憶飛ぶけどぉ?」

帆風「学園都市”外”の能力者の方と一悶着あったとのことです。大丈夫です『女王』!初戦さえ無事切り抜ければ何とか!」」

食蜂「そぉよねぇ。今までコツコツ溜めてきた好感度がリセットされれば、その時点でコントローラーぶん投げるけどぉ」



――上条のアパート

ステイル「――できる訳がないだろう!?昨日今日会ったばかりの人間の!その知り合いに全てを任せろだなんてできる筈がない!」

上条「ステイルのバカ!」 バキッ

ステイル「……ぐっ!?」

上条「……」

ステイル「……うん?なんで殴った?」

上条「あぁいや別にこれといった意味はないけど?」

ステイル「殺すぞ、つーか死ね!」

上条「よせよステイル!仲間同士で争ってる場合じゃない!」

ステイル「誰が?というか今きみ殴ったよね?ギャグシーンの一環として僕のこと殴ったよね?」

上条「そんなことはどうでもいいんだ!見ろ、インデックスは苦しんでいるんだぞ!」

インデックス「うーん……むにゃむにゃ……」

ステイル「演技をね?確かに楽屋でブーブー言ってたけど、もっとこう、するフリでもすればいいと思うんだよ」

上条「……あぁお前が俺を信用できないってのは分かる!人間なんて信じられないよな!」

上条「長年つき合った友達でもポッと出の新キャラに裏切られることも、ある!信じていたロ×に堂々と騙されたこともないわけじゃ無いさ!」

上条「そして例え俺の不幸の全責任を担っていたらしい、ある意味元凶にして相棒だと思ってたクソ『右手』が!最後の最後でエロ目的で裏切ることだってなっ!!!」

ステイル「なんだ、その、うん、気を確かに?いいことも、ある、さ?」

上条「だが時には踏み込む勇気も必要だろ!?お前このままこの子がずっとリセットを繰り返してもいいってのかよ!?」

ステイル「うるさい!君なんかに言われなくてもそんなことは僕が一番分かってる!」

ステイル「でも仕方がないだろう!?現状維持するのが最善だと!僕は、僕たちは……ッ!」

上条「あー、じゃあ待ってどうすんだよ?」

ステイル「……なに?」

上条「なに、じゃねぇよ。だから現状維持して未来があんのかよ?」

ステイル「……今はまだ方法が見つかっていないだけだ!」

上条「じゃ、いつ?具体的にどれだけ待ったら解放する見込みが立つんだ?」

ステイル「……」

上条「方法が見つかったとして、それまでインデックスが使い潰されない保障は?無事に解放してくれんかよ、お前んトコの組織は」

上条「百歩譲って全部の条件をクリアしてだ。そのお前の上司だかそのまた上司さんの許可も得て自由にしてくれるって話になって」

上条「『さぁじゃあ解除しましょう、術式を外しましょう――あ、失敗した!ゴメーン!解除は成功したけど本人は死んじゃった☆』」

上条「――って極大の不穏因子を始末する可能性は?」

ステイル「他に……ある、訳が……!」

上条「――よっし、じゃあ話はまとまったな。行くぜ」

ステイル「……行くって?」

上条「お前話聞いてなかったの!?」

ステイル「僕の台詞だよ。だからどこに?」

上条「織の知り合いの能力者に頼みに行くっつってんだろ!?だから時間がないんじゃねぇの!?」

ステイル「待て!そんな結論にはならなかったろう!?」

上条「お前が救ってやれよ」

ステイル「え?」

上条「大事なんだろう、この子が?」

ステイル「……当り前だ!世界の誰よりも、僕は……ッ!」

上条「じゃあお前が救わないで誰が救うってんだよ?」

ステイル「……っ!」

上条「……お前さ、お前はさ?もっと早くにぶち切れればよかったんだよ」

上条「『僕の大事な人に何しやがるんだ!』って。そしてお前の組織全員を敵に回してでも戦えよ」

ステイル「……もしも失敗したときは?」

上条「失敗する訳がねぇ。これだけ人が揃ってて失敗するんだったら、そりゃ最初から成功する可能性が用意されてなかったってことだ」

ステイル「……バカが」

上条「いいぜ、かかって来い!その、お前らのクソッタレの『幻想』は俺が」

PiPiPiPi……PiPiPiPi……

上条「……」

ステイル「……」

PiPiPiPi……PiPiPiPi……

ステイル「……鳴ってるけど?」

上条「分かってるよ!あぁもうタイミング悪ぃなオイ、キメ顔作ってたのに『――もしもし!?』」

食蜂『――こんにちはぁ、あなたの操折ちゃんよぉ☆』

上条「『あぁ食蜂さん。今丁度そっちに連絡取ろうと』」

食蜂『私もよぉ☆近くまで来てたから迎えに行くわねぇ』

上条「『そ、そう?それで悪いんだけどさ』」

食蜂『貸し一ねぇ。どうやって返して貰おうかしらぁ、あ、早くいつもの場所まで来てねぇ?』 プツッ

上条「……」

ステイル「そういう能力なのか?もしくは盗聴器?」

上条「そんなは価値はねぇよ!?自分で言うのもなんなんだけど男子高校生の日常知りたいって物好きはな!」

ステイル「でも時にはそういうマニアも」

上条「言わないで!それに関しては後で問い詰めるから、今は話が早いのを喜ぼうぜ!」



――路上

神裂「――どこへ行くのですか、と問うのも野暮ですかね」

上条「――くっくっく、カンザキカナ○さん!お前との決着をつける日が来たようだ!」

神裂「それ別の人。虎ファンの声優さんで最近は思い出したようにお仕事をされている人です」

ステイル「てゆうか君、ついさっきボッコボコにされた上、同情されて見逃されたのに引き分けだと思ったの?」

上条「おいおい味方なのに後ろからも撃ってくるのかよ!お前は俺をフォローしろよ!」

ステイル「いや君と仲間になった覚えはないんだが」

神裂「支配系の精神干渉を受けているのでしょう?……今ならばそういうことにしてあげます。さ、聞き分けなさい」

上条「そうだぞお前、いい加減にしないと国のお父さんとお母さんも泣いてるぞ」

ステイル「二人に言ったよね?てゆうか時間が無いのに何ボケ倒してるの?バカなの?死ぬの?」

上条「んじゃまー気は進まないけど、打ち合わせ通りに」

ステイル「……あぁ!」



――待ち合わせ場所

食蜂「……」

ステイル「君が……あいつの言っていた能力者か?」

食蜂「そぉ、だけどぉ……あれ?二人だけ?もう一人わぁ?」

ステイル「足止めを、している。そんなことより、この子を!」

インデックス「う、うーん……」

食蜂「事情は聞いてるけどぉ、段取りっていうか目論見から外れてきてるわよねぇ……?」

ステイル「頼む!僕の支払える代価であれば何だって払う!だから、この子の”枷”を外してくれないか……ッ!?」

食蜂「はいはい、出来る限りはするけどねぇ。離れてなさぁい。あなたが身代わりになってもいい気分じゃないしぃ」

ステイル「断る」

食蜂「いや断るって」

ステイル「どんな魔術が発動するかもしれない。対抗するには僕が近くに居ないといけない」

食蜂「……はぁ、まぁだったらいいわぁ。それも込みであなたなのねぇ」

食蜂「――じゃ、行くわよぉ?鬼が出るか蛇が出るか、よねぇ」



――路上

上条「……くっくっく……!どうだ、神裂さん!俺の実力を見たか!」 クタッ

神裂「えぇ……はい、何回か殴っただけで路上へ転がって息も絶え絶えになっていますよね。実力通り」

上条「だってしょーがないでしょー!?音速超えて殴ってくる相手に一般人が対抗できるわけがないしさ!?」

神裂「音速出していません。全部ジャブです」

上条「てかお前もお前よ!?体張って止めてる相手に全力出すってどうなの!?空気読めよ!?」

神裂「いやあの、私が本気でぐーぱんちしますと、人体は吹き飛ぶのではなく貫通するのですが」

上条「――俺の……秘められた力が……ッ!?」

神裂「解放して、いません。ですから手心を加えたと言っているでしょう」

上条「へ……ッ!口では何とでも言えるよな!」

神裂「実演しましょうか?コンクリ壁を握りつぶせますけど」

上条「ごめんなさい」

神裂「全くもう、時間稼ぎとはいえ調子が狂う……その、一つ聞いても?」

上条「好みタイプは管理人さんで、お前じゃ役不足だ!出直してこい!」

神裂「聞いてねぇよ……ではなく。ステイルを行かせてあなたが残る、というのは少々意外でした」

上条「意外?そうでもねぇだろ、魔術?だかのプロが側にいた方が、素人が付き添うより大分合理的だろ」

神裂「いいえ、非合理ですよ。ただの少年よりもステイルの方が余程脅威です」

神裂「彼だってそう判断しませんでしたか?あなたはあの子を連れて行け僕が残る、そう言わない筈が無いのです」

上条「……」

神裂「答えが無いのであれば、お暇しますけど」

上条「……だって、仕方がないだろ。ちょっと格好良いって思っちまったんだからさ」

神裂「格好いい?」

上条「あぁ。たった一人の女の子のために、自分を殺して世界を敵に回すような大バカ野郎をな」

神裂「……あなたは、子供です。何も分からずにだだをこねていればお菓子をもらえると思っている子供」

神裂「格好いい……?――ハッ!何をふざけたことを!その場のノリで味方面したあなたに何が分かるというのです!」

上条「分かるさ。だって”これ”はステイル=マグヌスの物語」 グッ

神裂「な――立った……ッ!?」

上条「主人公が女の子を助けてんだから、邪魔してんじゃねぇよコラ……ッ!!!」

神裂「――『Salvare000(救われぬ者に救いの手を』」

上条「あ?」

神裂「改めまして名乗りを上げましょう――私の名前は神裂火織、ローマ正教の聖人」

上条「俺の名前は――えっと、土御門!土御門元春だ!デルタフォースの一角にして今日はちょっと染め忘れたけど、グラサンかけてにゃーにゃー言ってる俺だ!」

神裂「無理です上条当麻さん。お名前は確認済みですし、言ってることとやってることが極端から極端にブレますよね?」

神裂「もうどの道取り返しはつかないんですから、徹底的に目をつけられていますよ?」

上条「こうなったら……レッサー!俺に力を貸してくれ……ッ!」

神裂「時系列。そして大丈夫ですか?設定がバグっていませんか?」

上条「大丈夫だ問題ない!『記憶を失う前の俺はレッサーと知り合いではなかった』って設定がない以上、知り合いだった可能性はゼロじゃない!」

神裂「最近のNH○の時代劇を見ているようです。そして二週続いてシリアスな話だったんで疲れているんですね」

上条「臨・兵・闘・者・皆・陣・列・在・前!」

神裂「ですからそれは呪文で言えばMAK・MDFアップの効果でありまして、直接邪物を祓うという効果は後世に付け加えられたものであり」

上条「『――水樹奈○』」

神裂「はい?」

上条「『池澤春○……ッ!』」

神裂「はぁ」

上条「『よりにもよってなんでこのタイミング?』と思わないでもないが!さぁどうする神裂さん!シングルになって取り残される気分は!?」

神裂「いえ特には。おめでとうございますと」

上条「……」

神裂「……」

上条「――あ、しまった!?これ対御坂用の奥の手だった!?」

神裂「もういい加減追い付かないといけないので、手早く折りますね?」

上条「待ってー!?まだとっておきのがギャグがあるんだよ!×ニラのテーマソングにゴリラって変えて歌うとちょっと面白いんだ!」

神裂「……ほぅ?それではそのゴリラパワーを見せてあげましょう!」 ギリギリギリッ

上条「折れる折れる折れ――」

帆風「――お待ちください!」 パシッ

神裂「私の拘束を解いた……!?」

帆風「ここは私にお任せを!どうか早く『女王』の元へ!」

上条「常盤台の……食蜂さんの知り合いか!?」

帆風「名乗るほどものではございませんわ。さ、どうか!」

上条「いやぁ、そういう訳にも」

神裂「お待ちなさい!行かせるとでも――くっ!?」 ギシッ

帆風「力、だけは……っ!自信がありましてよ……?」 ギシッ

神裂「どうして、誰も彼も邪魔を――ッ!」

帆風「殿方が命をかけ、何かを為そうとしているのです。それも幼き方をそれぞれの方法で守るために」

帆風「ならば!笑顔で見送るのが佳き女ではないでしょうかっ!?」

神裂「くっ……!無茶苦茶な内容なのになぜか負けた気になりますね!」

上条「あれ?この子の方が主人公っぽい?」

帆風「いいえ?わたくしはただ少しだけ身体能力を高めるだけで」

上条「ズリィよぉそれ!?俺だって土壇場で人格持って裏切らないそういう能力がほしい!」

……ズゥゥンッ……ッ!!!

上条「火柱……?」

神裂「――『竜王の息吹』……ッ!?そんな、バカな……!」

上条「ステイルがなんで……クッソ!他にも仲間が隠れてやがったのか!」

神裂「いいえ違います上条当麻。ここへ来ている魔術師は二人だけです」

上条「……うん?じゃあステイルなんであんなど派手な魔術使ってんの?」

神裂「あれはステイルではありません。系統が違う、テレズマを用いた術式は彼の専門外です」

上条「だったら……」

神裂「もう一人いるでしょう?――魔術を使えない”はず”の子が、ね」



――

インデックス『――自動攻撃シーケンスを発動しました

食蜂「ちょ、ちょっとお!?聞いてないわ、てゆうか聞いてないよぉ!?なにをどぉしたら覚醒するのよぉ!?」

ステイル「――あのクソ女!殺してやる殺してやる殺してやる……ッ!!!」

食蜂「こっちはこっちで聞いてないしぃ!?誰か事情ぐらい言ってもいいじゃないのぉ!?」

インデックス『巨乳――敵』 ゴオォゥンッ!!

食蜂「きゃあ☆」

ステイル「――『イノケンティウス』!!!」 ゴオウンッ!!!

食蜂「ねぇ見た今の!?とても私的なことで灼かれそうになったわよねぇ今っ!?」

ステイル「僕にはちょっと聞こえなかったなー。何も聞こえなかったなー」

食蜂「ぐぬぬぬぬ……!シリアスなのに適度にユルい……!」

ステイル「そんなことよりも、だ。何となく想像はつくけど……」

食蜂「……まぁ、誰でも分かるわよねぇ。性根の捻くれた誰かさんがトラップ力を発揮して妨害してるのよぉ」

ステイル「解除する方法は?」

食蜂「私を誰だと思ってるわけぇ?……って言いたいところだけどぉ、接触するぐらいまで近づければ、何とか」

ステイル「……念のため聞くけど100m走の自己ベストは?」

食蜂「リタイアせずに走りきるのが大事よね、って先生は誉めてくれたわぁ」

ステイル「……可能な限り、抑える」

食蜂「頑張りなさぁい。ダメそうだったら私は逃げるわぁ」

ステイル「僕もそうしたいけどね――あ、ライター持ってない?どこかに落してきた」

食蜂「禁煙しなさいよぉ。デリカシーのない人って論外なのよぉ?」

ステイル「そうだね、生き残ったらチャレンジしてみよう――『魔女狩りの王』ッ!」 ボウンッ!!!

インデックス『強力な術式を感知、敵対行動だと認識します。ただちに排除、排除、排除』

ステイル「それ、もう一体だ!」 ゴウンッ!

インデックス『排除、排除、排除……』

食蜂「これで、どうにか……?」

インデックス『――優先順位の書き換えを支持します。三秒後には広範囲殲滅術式の発動を開始』

食蜂「ちょっ!?」

インデックス『ウィザード、”紅蓮鋼”。開始し――』

ステイル「――させるかッ!」 ジュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ

食蜂「って、あなた!?」

ステイル「早く、しろっ!僕が抑えてる、間に……ッ!」

食蜂「炎を抑えても、あなたは――!?」

ステイル「……構わない、構うもん、かっ!耐火、術式は、組んでいる……ッ!」

ステイル「それ、に!この子の……苦しみに比べれば、どうってことは――」

食蜂「……なら、そうしなさぁい。女の子をたった30秒だけ抱きしめるだけの、簡単なお仕事でしょお?」 ピッ

ステイル「言って、くれる……!」

インデックス『排除、排除、排除……』

ステイル「……なぁ、聞いているかい?こうして、君を抱きしめたのは……まぁ、見栄を張っても仕方がないからね」

インデックス『排除、排除、排除……』

ステイル「正直に言えば……たった、二回目だけれどね……一度目は、あの……聖堂で」

インデックス『排除、排除、排除……』

ステイル「泣きじゃくる君を見て……居ても立っても居られなくなった僕が……いや、覚えては、いない、んだろう?」

インデックス『排除、排除、排除……』

ステイル「……まぁ、それもいい。この世界は嫌なことばかりだ、忘れてしまうのも……」

インデックス『排除、排除、排除――はい、じょ、排除……ッ!』

ステイル「だから、僕のこと、なんか、忘れて、楽しく、過ごして」

インデックス『はい、じょ……ッ!』

ステイル「……あぁ、さよなら――」

上条「――って、告り逃げしてんじゃねぇよこのバカ野郎!!!」

――パキィインッ……!!!



――学園都市 郊外

上条「……もう行っちまうのか?」

ステイル「怪我は完治したからね。ここにいつまでも居る理由はないよ」

インデックス「ありがとう!本当にお世話になったんだよ!」

上条「できれば行き先でも紹介したいところなんだが……」

ステイル「無理はするなよ。女の前だからって格好付けようとするんじゃない」

上条「お前には言われたくねぇよ。お前にだけはな!」

ステイル「ま、そうかもね」

上条「……これから、どこに行くつもりだ?」

ステイル「そりゃあ帰るさ、イギリスに。ケジメはつけてこないと、枕を高くして眠れないからね」

インデックス「まぁ無理だったらまた逃げてくるかも!そのときは美味しいご飯を用意して待っててくれると嬉しいかも!」

上条「ふざけんな。君一人でどんだけウチの家計にダメージ与えたと思ってる!?」

ステイル「……ま、神裂もこっち側だし最悪のことにはならない、するつもりもないさ」

上条「そっか……じゃ、また」

ステイル「なんだい?またってことはまた君に出会わなくちゃいけないのかい?」

上条「ウルセェよ。社交辞令だ」

ステイル「そう、だね。テンプレは必要だよね……それじゃ、また」

インデックス「ばいばい、なんだよ」

帆風「あなた方の行く先にどうか幸せがあらんことを祈っておりますわ」

食蜂「……」

帆風「ね、『女王』

食蜂「……あれ?てゆうかぁ、あれ?」

帆風「どうかなさいましたか、『女王』?」

食蜂「あの、ねぇ?上条さんのフラグ折り・折りに成功したのはいいのねぇ?まぁそれはよかったんだけどぉ」

帆風「はい、『女王』のお陰ですわね!」

食蜂「うん、ありがとう?そこはいいのよ、いいんだけど、こう違和感があるっていうかぁ」

上条「なぁ、帰りにメシでも食っていこうと思うんだけど、帆風先輩と食蜂さんもどうだ?」

帆風「はい、是非に」

食蜂「行くけどぉ……?あれ?これって、えっとぉ……?」

上条「てか先輩ってスゲー能力なんだな!俺をお姫様抱っこして時速100kmだなんて!」

帆風「どうか言わないでください!婦女子としてはあまり嬉しい力ではないので……」

上条「そう?使い方だと思うんだけど、まぁあんま先輩には似合ってないかも」

帆風「じゃあどのような能力ならば?」

上条「装備しているドリルがだな、こうギューンって回転して」

帆風「違いますわ!よく言われますし、『あ、ドリルだ』って子供から指を刺されますが!」

上条「嫌だったら変えればいいんじゃ……?」

帆風「いいえ!これは『女王』に一ウケした記念でこのままに!」

上条「愛が重いなオイ――って食蜂さん、どうした?」

食蜂「あ、はい。違和感がさっきから……?なんなのかしらねぇ、これぇ?」

神裂「――ただの現実逃避ですよね、それ。受け入れがたい現実を直視できないっていう」



――

帆風「お疲れ様でございましたわ『女王』!あの危険な状況にも関わらず、少女へ手を翳すあなたは聖母のよう……ッ!」

食蜂「あぁはい、それはいいんだけどぉ。これで終わりなのよねぇ?」

帆風「はい、最大の課題であった王子様の記憶は死守しましたわ!後はもう消化試合の如く!」

食蜂「へー消化試合――待ってぇ?”試合”ってことはぁ、何らかのイベントはある訳かしらぁ?」

帆風「今回の一件に比べれば全然難易度は低いですわ。『派閥』メンバーさえ動員すれば辛うじて解決できるかと」

食蜂「それ……マズいと思うのよねぇ」

帆風「ですが、ここで放置してしまいますと王子様の身に危険が」

食蜂「そうじゃなくてねぇ?私も上条さんを放置するつもりなんてないんだけどぉ、こう、情緒的な感じでぇ?」

帆風「……申し訳ございません。何を仰っているのか、私には……」

食蜂「うんぶっちゃけね、あの人と『派閥』を引き合わせたらフラグが乱立しまくるんじゃないのぉ?」

帆風「フラグ……?旗?」

食蜂「えぇっとねぇ。分かりやすく言えば、常盤台には男子に免疫のある子が少ないわよねぇ、ってお話でねぇ」

帆風「あぁそういう!でしたら問題ございませんわ、みんな『女王』を愛しておりますので」

食蜂「ねぇそれどういう意味かしらぁ?信頼や友愛的な意味なのぉ?それとも御坂さんちの白井さん的な意味でぇ?」

帆風「えぇと、どちらも同じではないのでしょうか……?」

食蜂「そうねぇ、白衣いさんだったらそういうと思うわぁ。実態はどうであれ」

帆風「まぁですけれど『女王』がそう仰せであれば、王子様に関わる人員を最低限に留めた上、死ぬほど頑張れば、まぁ何とか?」

食蜂「……死ぬほど?死ぬほどの試練って何があるのぉ?」

帆風「近々のイベントですと、先日助けたシスターさんの元家庭教師さんが学園都市に巣を作ります」

帆風「しかしシスターさんがいないだめイベントは不成立。巫女さん一人を監禁・放置されたままスルーされます」

食蜂「……今すぐ助けなさぁい!イベント云々じゃなくてねぇ!」

帆風「では『派閥』へ指示を出しておきます――次は学園都市第一位の方と御坂さんの肉親を巻き込んで戦います」

食蜂「あー……うん、御坂さんのアレよねぇ。てか勝てるのぉ?あの謎生物にぃ?」

帆風「王子様が超頑張って辛勝です。ですので数の暴力で多少負担は軽減できるかと」

食蜂「……あの子も関わってるしぃ、見殺しにするのはできないわよねぇ。御坂さんはしたいけどぉ」

帆風「その後、まぁ一言で言えば『天使』と戦います」

食蜂「まさかの真・女神転○ルート入ってるぅ!?上条さんは何と戦っているのよぉ!?」

帆風「えっと、学園都市の外の研究機関が作った生物兵器?の、ようなものらしいですわ」

食蜂「……存在は知ってるんだけどねぇ」

帆風「あとは学園都市へゴーレムが襲ってきたりシスター大隊が襲ってきたり傭兵や聖人に狙われてから、世界の敵になったりもします」

食蜂「……マジで?」

帆風「かなりザックリ言っていますけれど、小物との戦いを入れれば更に増えます。シスターさんが側にいない分だけ、多少減りますけど」

食蜂「……正直に答えて『派閥』だけでどうにかなるのぉ?」

帆風「えぇ、ですか『女王』にもお出まし頂いた上、死ぬほど頑張れば、まぁどうにかなるかもしれませんと」

食蜂「……個々の負担を減らして、生存率と稼働率を上げつつ――かつ競争率を可能な限り減らした場合を答えなさぁい!」

帆風「少々お待ちを、レポートを書いて参りました」 ドッサッ

食蜂「……そんなになのぉ?デジタル化待ったなしの時代に敢えて紙媒体をチョイスした理由はなぁにぃ?」

帆風「まず『女王』を始め、学園都市のレベル5を集結させます。これが最も命の危険性は低く抑えられます」

食蜂「うん、そうよねぇ。人格破綻者が私以外じゃなかったら悪くないんでしょうけどぉ」

帆風「その下調べは既に。第一位さんと第二位さんは”偶然”その場に居合わせた『女王』が助ければ、恐らく」

食蜂「……助けるのぉ?白い人は私にとっても仇みたいなものなんだけどぉ?」

帆風「そこをどうにかすれば乙女ゲームのように複数の殿方が愛を囁く展開に」

食蜂「違う。目的がまず違う」

帆風「能力が十全のあの方がいればかなり楽になれるのですが……では御坂さんをこちらへ引き入れては?」

食蜂「えー、ってゆうか、えー?」

帆風「王子様を陰に日向にフォローされ、何度も何度も命を助けているのは御坂さんですし……もし、外したら命の危険性が高まりますわ」

食蜂「……私かあなたで代用できないのぉ?」

帆風「私も流石に第三次世界大戦中のロシアへ単身乗り込み、核弾頭を素手で無効化させるような力は……」

食蜂「あれあれぇ?御坂さんってばもうすぐマーベ○コミックからお誘いが来るのかしらぁ?もう人じゃないわよねぇ?」

帆風「最近ではアイアンマ○のハルクバスタ○ぐらいだったら完封しそうな勢いで……えぇ」

食蜂「怖いわぁ!?普通に戦慄するでしょお!?」

帆風「ですので御坂さんは絶対に外せません。あの方は『派閥』全員でかかっても、その穴を埋めるのは不可能です」

食蜂「……その言い方だと、私は要らない子に聞こえるわねぇ」

帆風「はい、あ、いや、いいえ『女王』!IFの世界では記憶の外の存在だったため、ほぼ『コイツ誰?』でした!」

食蜂「……ふぐっ!知ってはいたけど地味にクるわねぇその台詞!」

帆風「レディとしてはどうか思いますが、もっと積極的に動かれては如何でしょうか?その、友人枠と恋人枠はまた別何ですから」

食蜂「……善処するわぁ。でも多分無理よぉ」

帆風「どうしてですかっ!?こんなに魅力的なのに!?」

食蜂「まぁそうだけどぉ……決めたわぁ!今から彼の家へお邪魔してくる!」

帆風「では私もご一緒に」

食蜂「そういうことじゃないのよぉ?そういうとこなのよぉ?」



――上条のアパート

食蜂「――ごめんくださーいっ!来ちゃっ――」 ガチャッ

アニェーゼ「あ、どうもです……って、業者の方ですか?」

食蜂「誰がデリバリーする人よぉ!誰がどう見たって制服がパッツンパッツンじゃないのぉ!」

アニェーゼ「正確に自己判断できているようで何よりです。で、ご用件は?」

食蜂「あのぉ……?ここって上条さんちよねぇ?」

アニェーゼ「いえ、違いますよ。ここはローマ正教日本学園都市支部です」

食蜂「あ、あぁそぉ?ごめんなさいねぇ、似たようなお部屋ばかりだからつい」

アニェーゼ「お気になさらず。私も迷っちまうんですよねぇ、お恥ずかしいことに」

上条「おーいメシできたぞー」

アニェーゼ「ってわけですいません、お引き取りください」

食蜂「いえいえこんな時間にゴメンナサイねぇ――」

食蜂「――って違うわよねぇ!?そうじゃないでしょお!?そういうこっちゃなくてぇ!?」

食蜂「てか今ナチュラルに上条さんいたしぃ!?なんで私が来たのに無視するのよぉ!?」

上条「いやなんかボケてるから。ツッコミ待ちなのかなって」

食蜂「待ってるのは待ってるけどねぇ!誰もしてくれなかったから自分でせざるを得ないだけでぇ!」

食蜂「てゆうか誰よぉこの子!?良い趣味してるじゃなぁい!時代の最先端か!」

上条「落ち着け食蜂さん!確かにロ×の認知度が高まっているけれど、それほど一般的ではまだないよ!」

アニェーゼ「誰がロ×ですかい。私には無限の未来があるってもんです」

食蜂「……あなた、おいくつかしらぁ?」

アニェーゼ「貧乳はステータスです」 キリッ

食蜂「なんて心の強い子……ッ!?」

アニェーゼ「その意味であなたは負け組ですか、はっ」

食蜂「流れるように罵倒までぇ!?」

上条「まぁいいから上がってくれよ。丁度相談したいことがあったんだ」

食蜂「……まぁ聞くけどぉ。そんなに安い女だと思わないでよねぇ……」

アニェーゼ「ツンデレ乙()」

食蜂「もうホンットいや!?流れ自体がそんなに変ってない気がするわぁ!」



-終-
(※ご応募ありがとうございました)
(※記憶喪失後の上条さんへチンピラさを若干加えています。一巻の頃って微妙にキャラ違うんですよね)



――いつもの病室

上条「……」

カエル先生「まぁね?結果からいえば、また、なんだよね?うんまたなんだね?」

カエル先生「朝の通学路で10トントラックに撥ねられそうになった小学生を無傷で救出?」

カエル先生「その勢いで某国のお姫様を誘拐しようとしていたテログループにタックルして救助?」

カエル先生「そこから反動で倒れた拍子に、核ミサイルのスイッチに手をかけていた悪の女幹部にラッキースケベ?」

カエル先生「……」

カエル先生「ピタゴラスイッ○なのかな?」

上条「人の人生を面白い風に言わないでください」

カエル先生「凄いのはそこまで無傷だったのに?ドヤ顔で決め台詞をかまそうとしたいたら、足元のバナナの皮で滑って転んで頭を強打したね?」

カエル先生「そして、また、なんだよね?君記憶喪失になるの何度目だっけ?」

上条「先生のご指導ご鞭撻のお陰です」 キリッ

カエル先生「ヒトデナシだよね?もしそういう教えるブローカーがいたら真っ当な職ではないよね?」

上条「……てか何度も、ですか?」

カエル先生「うんまぁどこまで覚えてるのかな?」

上条「えっと……すいません。自分の名前ぐらいしか」

カエル先生「まぁ前もそんな感じだったし、今日の企画はギャグだから戻っても戻らなくてもいいんじゃないかな?」

上条「企画とか言うなや」

カエル先生「まぁ、そんなだから?今日は一日休んで明日には退院していいからね?」

上条「対応が雑じゃないっすかね!?もっとこうCTしたり検査すると思うんですよねっ!?」

カエル先生「そうだね、上条当麻君?君は夢オチってのを知ってるね?」

上条「まぁ有名ですね。多用しすぎでもう禁じ手になってる感じの」

カエル先生「うん、僕もねそう思うんだよね?あまりにも多く使われすぎると陳腐化するっていうね?」

カエル先生「例えば90年代のマンガでは既に規制されていた感じなんだけど?」

上条「はぁ」

カエル先生「それで何度も何度も記憶喪失に公式で罹るって、どう思うのかな?」

上条「おっとそれ以上は言うなよ!俺はいくらでもイジっても構わないけど神様(※鎌池先生)イジるのだけはやめろよ!俺は構わないけどもだ!」

カエル先生「そもそも記憶喪失ネタだって90年代後半のゲームではよくあったね?各作品に一人ぐらいずつ出て来ていたり?」

上条「ALM○はよかったよ!原画が……うん、原画がね。なんていうかこう、アレだけどさ」

カエル先生「まぁあれは偉大な先人のお陰ではあるけど?何かこう、そろそろ、ね?」

上条「永遠はあるよっ!あるっていうんだからあるに決まってんだろ!」

カエル先生「なのできっともう一回ぐらい記憶が飛ぶと思うし、今のウチから日記でもつけていればいいんじゃないかな?」

上条「なげっぱか。俺の対応おざなりか」

カエル先生「いやこれが御坂美琴君レベルだったら世界的にも危険になるんだけど、君だったら『○○年ぶり二回目』ってギャグになるよね?」

上条「人の不幸をネタにすんやコノヤロー」



――隣の病室

ウレアパディー「――時は来た……ッ!!!」

ソーズティ「どうしたんだい姉さん」

ウレアパディー「聞いていて?今がチャンスがピンチだという話を」

ソーズティ「隣の病室から聞き覚えのあるツッコミ声が聞こえてはきたけど、てゆうか狭い世界だよね」

ウレアパディー「実は今日こうなることを予言していたのよ」

ソーズティ「違うよね?冷蔵庫に残ってた買った覚えのない卵を食べたせいだよね?胃を洗浄されてたよね?」

ウレアパディー「――魔術的に改造された後遺症なの、分かるかしら?」

ソーズティ「そうだね。『前からフワッとした性格だったけど、改造後は改造をネタにしてボケるようになった』というのが私の認識かな」

ウレアパディー「私の言うことが信用できない、と?」

ソーズティ「この世の終わりかってぐらい吐いてたのが演技だとはちょっと……」

ウレアパディー「私を信じて――ビリーブ・ミー……」

ソーズティ「いや、だから」

ウレアパディー「ビリーブ・ユー?」

ソーズティ「そういうトコだよ?信じられる要素が一瞬事に目減りしていくんだよ?」

ウレアパディー「『夢をっ信ーじーて−、破れたー翼ーでー』」

ソーズティ「ドラゴンクエス○のアニメ版だよね?今にして見るとよくできてるし、ED曲も神だけど当時はイマイチ扱いされたアレだよね?」

ウレアパディー「妹が……反抗期……」

ソーズティ「うん、違うんだよ。会話のキャッチボールをしようか?姉さんはピッチングマシンでこっちへ襲ってるだけだから」

ウレアパディー「大家さんは思春○……」

ソーズティ「今日はグイグイ来るよね?自粛中でアニメ見まくったの?つべで流れてる公式無料の?」

ウレアパディー「お金があれば何をしたっていいとは思わないの、どう?」

ソーズティ「その妹のバイト代で生きてるからね?姉さんは主にニートしてるだけで、それいう権利はないよ?」

ウレアパディー「ソシャゲーの販促のためにアニメ作ったんだけどポシャッたけもフ○と、ソシャゲーのために延期した超電磁砲○」

ソーズティ「ボケが長いよ!そんな一行にいっぱい詰められてもサバないんだからねっ!?」

ウレアパディー「落ち着きなさいソーズティ。ここは弱った人たちが集まる場所なのよ?」

ソーズティ「同室の人から『不安定になる』ってクレームが来て個室を用意された人はいうことが違うよね!あぁもう殴りたい!」

ウレアパディー「それでも、私、思ったの」

ソーズティ「話が巻き戻ってるようで全然進んでない!てか何を!?」

ウレアパディー「もしもあなたがこのまま実りも彩りもないアオハルを送ってみなさい?後に残るのは何?」

ソーズティ「流行ってもないパワーワードを使っても年代差は覆らないよ?ギャル語連発してるオッサンみたいで」

ウレアパディー「……同期はみんな寿退社、気づけば一人会社に残ってしまうお一人様ルート……!」

ソーズティ「テレビでしょ?何かのドラマの話だよね?」

ウレアパディー「あながち仕事が出来るもんだから、男は寄りつかず甘えたいのに甘えられないジレンマが――」

ウレアパディー「――しかし!あるときドSに新入社員男子に秘密を見られ、翻弄されるソーズティ……ッ!!!」

ソーズティ「レディコミか。そしてどうして私が普通の会社に就職してるの?もっと魔術的な副業で喰っていくつもりだよ?」

ウレアパディー「だってあなた魔術師としては普通だし、キャリアもまだまだでしょう?大量破壊兵器の私と違って」

ソーズティ「そこはボケて来るところだろ姉さん!?マジレスが人を傷つけるんだよ!?」

ウレアパディー「……ソーズティ、私は心配しているの」

ソーズティ「姉さん……」

ウレアパディー「もしあなたに何かあったら、私の面倒は誰が見てくれるの?」

ソーズティ「働けよニート」

ウレアパディー「そういうけれど、私が働こうとしたら止めるのはあなたよね?」

ソーズティ「『一時間話を聞くだけで数万円がもらえる』って仕事は仕事じゃないよ!まぁ多分自由恋愛的な意味なんだろうけども!」

ウレアパディー「全く……いつまでたっても姉離れができないんだから」

ソーズティ「そうだね。姉さんは私が目を離したら三日ぐらいでノタレ死にしそうだからね」

ウレアパディー「だからお財布は、ね?いくつあっても困らないっていうか、ね?」

ソーズティ「人間として最低だよ。魔術師関係なく」

ウレアパディー「『――これが、ゼー○の光……ッ!?』」

ソーズティ「だから魔術関係ないよね?『なんでリアルロボットなのに精神コマンド使ってんの?』って最近の子は言うけど」

ウレアパディー「だから、ね?私の被保護者が増えるためにも、どう?」

ソーズティ「仮にここでつけ込んだとしても、収支は大赤字になると思うな。だって相手が悪すぎるもの」

ウレアパディー「――っていう理由を作ってあげても、ダメ?あなたは立ち止まったまま、前へ進むのを諦めてしまったの?」

ソーズティ「……お姉ちゃん」

ウレアパディー「私は具現したブラフマーの天弓、人間らしい感情はもう大して残っていないのだけれど」

ウレアパディー「それでもあなたを愛しているわ。私の大切なソーズティ」

ソーズティ「……」

ウレアパディー「まぁそれはそれとして、取り敢えず外堀から埋めていけばいいと思うの」

ソーズティ「台無しだな!いやまぁ分かってたけどもねっ!」

ウレアパディー「そしてなぜかここにフォトシ○で合成した幼少時の写真が用意されているのね」

ソーズティ「どっから取り出したの?私のはともかく、あの男のは入手が困難じゃなかったかな?」

ウレアパディー「いいえ?某老舗サイト『LOVELOVE-SON』で彼と思わしき写真が大量に」

ソーズティ「なにそれ気持ち悪い。オッサンが一人でやってんのかな」



――上条当麻の病室

コンコン

上条「はーい、どうぞー?」

ソーズティ「……失礼する」 ガチャッ

上条「どうも?えーっと、看護婦さんな訳ないか。学生さん?」

ソーズティ「……セーラー服を着ているが、これはずっと借りてるだけであって。いや、そうではない」

ソーズティ「あーっと、なんだ、その、なんていうかな」

上条「あぁトイレはここを出てから右手の方に」

ソーズティ「どんなチャレンジャーだ。知り合いの病室入っていきなりトイレの場所聞くのは何か別の目的を感じるわ」

上条「じゃ、じゃあ部屋にあるトイレを使えばいいと思うよ!緊急時だったら仕方がないさ!」

ソーズティ「もう何が主目的なのかも分からなくなったな。あぁまだ場所を聞きに来るよりは確率が高いが」

上条「あー、もしかして俺の知り合いだったりする?だったらゴメン、今なんつーか、えーっと、ネタでもボケでもなくってだ」

ソーズティ「……知っているさ兄さん。無理はしなくてもいい」

上条「そっか、悪いな。気を遣わせて――」

上条「――って”兄さん”?」

ソーズティ「そうなんだ!兄さんは忘れてるかもしれないが、私はお前の妹だったんだよ……ッ!」

上条「な、なんだってーーーーーっ!?」

ガチャッ

バードウェイ「――ちょっと、外で話そうか?」

ソーズティ「…………いや違うんだ。そうじゃないんだ」

バードウェイ「恥を知れ恥を!褐色が不動の需要を誇っていたとか思えば、最近ダークエルフが規制されて不安にでもなったのか!?」
(※BL○案件。マジらしいです)

ソーズティ「何言ってるのか分からないが、怖いのは分かる」

バードウェイ「人の弱みにつけ込もうとは!魔術師以前に人としての資質を疑うな!」

ソーズティ「くっ……!そう言われると何一つ反論できないが……!」

上条「あのー?何が?」

バードウェイ「貴様は黙っているがいい!まぁ色々とあるんだこの業界のマウント争いが!」

バードウェイ「エルフや褐色や人妻!ドラゴンハーフに人外にアンデッド!血で血を洗う熾烈な戦いが人知れず繰り返されている!」

上条「癖(へき)だよね?それって別にみんな違ってみんないいって話じゃないの?」

バードウェイ「いいや違うさ!属性を盛れば盛るだけ強くなるわけじゃない!時としてシンプルなヤツほど強い、そう――」

バードウェイ「――金髪ロ×の私とかな……ッ!!!」

上条「ちったぁ顧みろや。まぁ、その、えっと……強く、うん、強くはできないんだけど、喋る前に少しだけ考えようか?『これ言ってもいいのかな?』ってさ?」

バードウェイ「この女は!ただでさえ高い人気の属性を持つ上、そこへプラスしようとしてきたんだぞ!?黙って見ていられるはずが」

ガチャッ

マーク「――あ、ボス?言われたとおりに戸籍調べてみました。いややっぱザルですわー」

マーク「専門の業者じゃなくても、ちっとばかりクレーマーに弾んでやれば改竄は簡単にできそうです。よかったですねー」

マーク「あ、それでなんですけど、どっちを親にします?血縁アリなのか養子縁組なのかって聞かれまして」

マーク「ブラウ曰く『義妹なら結婚できて良し!実妹であればそれはそれで狭いストライクゾーンを突いとぉな!』と」

バードウェイ ユラッ

マーク「ボス?どうしたんですか虐殺ビリビリロッドなんか持ち出し」

(※暫くお待ちください)

バードウェイ「――と、まぁ見ての通りお前の妹だ」

上条「あ、どうも」

ソーズティ「おいそこの違法ロ×。まず、謝れ!散々扱き下ろした私へ対する謝罪から入れ!」

バードウェイ「順番からすると私の妹だな」

ソーズティ「設定に無理がある。人種を差し引いても」

バードウェイ「そこはそれ、私がエルフの血を引いている的な?」

ソーズティ「大丈夫かイギリス?懐が広すぎる」

上条「マジでっ!?エルフって想像上の存在じゃなかったんだ!?」

バードウェイ「な?」

ソーズティ「日本もだった!クソっ!二次元と三次元の境がないというのは本当だったのか……!」

上条「まぁある意味事実ではあるけど」

バードウェイ「それでお兄ちゃん、どうする?退院してもいいんだたったら家へ帰ろうじゃないか」

ソーズティ「……ぷっ!お兄ちゃんってお前……!」

バードウェイ「黙れ三下が!貴様はポジション的には元気っ子だから『あにぃ』だろうが!」

上条「それなんてシスタープリンセ○――って、俺が記憶を失う前はそんなしょーもない呼び方をさせていたのか!?」

バードウェイ「ほらみろ。お兄ちゃんが自責の念で苦しんでいる、いつものように呼んでやれよ、なっ?」

ソーズティ「し、しすたー?何の話だ?」

バードウェイ「性格がもっと素直にならないと人気は出ないぞ。それとも白○がいいか?」

ソーズティ「日本人か?童話の人物の名前をつけるのか?」

上条「キラキラネームも流行ってるし、俺の周りはそんなんばっかだぜ!トールとかサンドリヨンとかいるしな!」

バードウェイ「それは魔術師としての存在を賭けているんであって、多分実名は別にあると思うが」

バードウェイ「まぁいいさ。帰り道を教えながらゆっくり戻ろうか」

上条「ねぇねぇ、俺って実家住み?それともアパート?」

ソーズティ「アパート、だな。何回か爆破されているが」

上条「テロの魔の手が日本にも!?……実は異世界に来ちまったのか……!?」

バードウェイ「テロリストもいるにはいるが、どれ。手を出せ、迷子にならないように握っててやろう」

上条「あぁ悪い――ん?なんだこの廊下をダッシュする音!?」 ダダダダダダダッ

バタンッ!!!

レッサー「――恥をお知りなさい、恥を!」

上条「ごめん。それもう一回やってる」

バードウェイ「あ、白○がきた」

レッサー「誰が不遇な不人気キャラですかっ!?ちょっと待ってくださいよ!海原エレ○さんはあの面子の中じゃあ上位で残ってる方でしょうが!」

上条「出てないよ?その人は全然キャスティングされてないんだから、余計なことは言うなやコラ?」

レッサー「なんでしたらあなたも『あにあに』と呼んでやりましょうか……ッ!?」
(※初期設定)

上条「詳しいなオイ」

レッサー「しかもあの子、回想シーンで幼少時には普通の喋り方してるんですよね。『〜ですの』ではなく」

上条「白井さんか、ってなぜか知らないのに単語が浮かんでくる……?これは回復している証拠なのか!?」

ソーズティ「ただのツッコミの宿命だよ」



――上条家のアパート

バードウェイ「いやー疲れたな。お兄ちゃん、お茶を煎れてくれないか。日本茶がいい」

上条「あぁちょっと待ってろ……?」

レッサー「相変わらず殺風景な部屋ですねぇ」

ソーズティ「や、あのお前たち?このままくつろいでいてもいいのか……?」

バードウェイ「肉親の部屋で寛ぐのの何か問題でも?」

ソーズティ「同居人が」

バードウェイ「いなかった」

ソーズティ「いや、いなかったじゃなくて。有名な禁書目録が」

バードウェイ「……そうか、お前はまだこっちに来たばかりだったな。教えるのが遅くなってしまった、許せ」

レッサー「ですねぇ。できれば隠しておきたいところだったんですけど、まぁしゃーないですな」

バードウェイ「その理由はコイツが話してくれる」

レッサー「って全部丸投げぇ!?ちょっと仲良くなったと思ったのに!?」

バードウェイ「お前ならできる!だってお前は詐欺師国家の末裔なんだからな!」

レッサー「そう誉められるとやる気がマッハですな!……えーっとですね、当麻あにあにはここで一人暮らしをしていたのです。親元から離れて」

ソーズティ「それそうだろうが、実際に二人分のザブトンとか」

バードウェイ「てゆうか当麻あにあにって語呂が悪すぎやしないか」

レッサー「イマジナリーフレンドです……ッ!!!」

ソーズティ「は?」

レッサー「寂しさのあまりですね、彼は目に見えない存在と同居するようになったのです!、そう、それは井上涼○のように!」
(※井上涼子 〜ROOMMAT○〜)

上条「おい何バカ話で盛り上がってんだ。そんな訳ないだろ」 コトンッ

バードウェイ「お茶請けもくれ。和菓子がいいな」

上条「――おいお前ら動くな!いいか、不用意に動いたらそげぶすると思え!」

ソーズティ「お、おいどうした?なんでお前まで不安定になってるんだ!?」

上条「――俺たちは今、敵の能力者の攻撃を受けている……ッ!!!」 キリッ

バードウェイ・ソーズティ・レッサー「いや、そういうのいいから」

上条「いやネタじゃねぇんだよ!?マジな話なんだよ!?」

レッサー「一応聞きますけど、何か根拠でもおありで?」

上条「お前ら全員俺の妹なんだろ?そしてお互いにお互いが妹だって思ってると?」

バードウェイ「不幸に事故だが、そういうことなってはいるな」

上条「だが……室内を軽く物色した結果、ここには二人が住んでいた痕跡しかなかった!」

上条「歯ブラシは二人分!タオルも二人分!食器はなんか……定食屋みたいにプラ製のがどっちゃりあって心霊現象っぽいが、見なかったことにするぜ!」

レッサー「情けないことを男らしく言い切りましたね」

上条「つまり、この証拠から導き出される結論は一つ――」

上条「――この中に、ニセモノの妹がいる……ッ!!!」

バードウェイ・ソーズティ・レッサー「うん、知ってる」



――

上条「気をつけろ!敵は記憶を改竄する能力も持っている!」

バードウェイ「バカが盛り上がっているのに恐縮だが、『この中に一人、妹がい○』ってラノベがあってだな」

レッサー「あぁ知ってます知ってます。『主人公には実妹がそもそもいなかった』っていう、驚愕のタイトル詐欺のですね」

ソーズティ「タイトル間違ってないか?」

レッサー「よくある話なんですけど『まずは三巻!三巻くらいで終わらせるように頑張って!』って編集さんに言われ、その後人気が出て続刊したら構想がぶち壊れるってパターンかと」

バードウェイ「鳴り物入りで登場した敵キャラが瞬殺されたB.A.○とかな。あれは名作だけども」

上条「いいからお前ら真面目に探せよ!もしかしたら相手はレベルの高いスタンド使○かもしんねーじゃんか!」

レッサー「違和感に気づいたのは流石というか奇跡とも思えるんですけど、また持って行き方がどうかなーと。配送先間違えていてますよー」

バードウェイ「そもそもだ。お前の妹に擬態して何か得でもあるのか?こんな冴えない男の身内にな!」

ソーズティ「おい、投げたブーメランが全弾戻って来てるぞ」

上条「――と、いうかだ。お前らにまず聞かなきゃいけないことがある。場合によっては俺がこの足で駆けつけてそげぶしてこなきゃいけない」

上条「この混沌とした状況を作った相手は父さん母さんか!?どっちとも奔放なのか!?」

バードウェイ「おい、嘘担当」

ソーズティ「担当なんだ」

レッサー「……えぇ、私のママンはこう言いましたよ」

ソーズティ「それで言うのか」

レッサー「『私に何かあっても、あなたはあなたの綺麗な髪を見なさい。そうすればいつでも私を思い出せるでしょう』と」

レッサー「しかしね!私は聞き返しました!ママンの髪は綺麗なブロンドなのにって!」

レッサー「するとママンは『この髪の色は父さん似よ、誇りなさい』と仰いましたよ!」

上条「一部だけ染めてるだろお前。人間の遺伝子がそんなミラクル起こすか」

ソーズティ「てかその設定だと死んでることになってないか?」

バードウェイ「こいつの親だからなー、『もっとやれ』、もしくは『もっと設定を盛れ』ぐらいは言うな」

ソーズティ「本当に故人である可能性も……ない訳ではないかと」

バードウェイ「そして女運に全振りしたせいで、頭皮を疎かにしたオヤジに似るか?遺伝子そこまで頑張るか?」

上条「父さんの頭がアレって言うなや!中身がアレなのか外部装甲に乏しいのか、どっちにしろ良い意味ではないだろ!」

ソーズティ「深く抉っているのはお前だと思うが」

レッサー「まぁなんですかね当麻あにあに。現実を諦めて受け入れるのがいいかと」

上条「いやだから一人も妹がいないとは言ってないだろ。ただどう考えても二人暮らしの部屋に四人が集うっておかしいってだけで」

バードウェイ「最初に確認するんだが、お前は記憶無いんだよな?」

上条「微妙にあったりなかったり?常識的なことは大体覚えてるものもある。交通標識とか」

ソーズティ「完全に忘れているんだったら日本語だって話せないだろうしな」

バードウェイ「ならば学生で二人暮らしといったら、彼女である可能性を排除するのはなんでだ?」

上条「彼女が居るんだったら病院来てくれるわ!もしくは来られなくてもケータイで『頭大丈夫?』ってメールくれたり!」

ソーズティ「その文面だと逆に嫌われてるように見える」

上条「――そうだ、ケータイだよ!履歴さえ見ればお前らとの関係がわかる!」

チーンッ

上条「ってレンジ?なんか温めるものあったっけ?」

レッサー「――大変ですあにあに!電子レンジの中からあなたのケータイが!?」

上条「なっ?敵いるだろ?この中に少なくとも一人は混ざってるだろ?」

ソーズティ「事態をややこしくするなバカ!逆に怪しまれるだろ!?」

上条「……くっ!一人は確定したけどもう一人のどっちがニセモノか迷うぜ……!」

レッサー「おぉっとお言葉じゃないですかコノヤロー!なんだったら我が母国が誇る手料理をお見舞いしてやりましょうか!?」

ソーズティ「旧宗主国として誇りを持て。あとなんでお前たちは大帝国を築いたのにメシが貧相なんだ」

バードウェイ「産業革命と行き過ぎたピューリタニズムの浸透だな。その割にメイドさんが大好きだが」

上条「……手料理というのは悪くないかもしない」

ソーズティ「腹が減ったのか?なんだったら作ろうか?」

上条「あぁまぁ減ったのは減ってんだけどそうじゃなくて。ほら、俺って記憶がないみたいだが、それは表層的なもんなんだよ」

レッサー「でしたっけ?」

バードウェイ「魔術と異能でぶっ壊されたりだな。そしてちょったした後遺症も残っている」

上条「いや、でもな!俺の魂は憶えてると思うんだよ!」

上条「それが妹の作ってくれた味ってなら!肉親の料理だったら頭では忘れていても胃は忘れてないぜ!きっとな!」

……

上条「――と、いうわけで『第一回チキチキ上条当麻の妹は誰だ!?選手権!』、最初の勝負は手料理だ!」

バードウェイ「おいバカ、私の予想と大分違ってんだがいいのか?怒られないかこのバカ?」

ソーズティ「予想?」

バードウェイ「貴様らが余計な気を起こしていなければ、今頃性的な意味じゃなく一緒に寝たりしていたぞ……っ!!!」

レッサー「どう聞いても通報案件ですありがとうございました」

上条「マジで?今の日本の法だと家族で一緒に泊ってもアウトになんの?」

レッサー「ですね。私が陪審員だったら市中引き回しの上、チン×切断です」

上条「海外怖っ!?」

ソーズティ「流石にそこまで……あぁ旧植民地では似たようなケースはあったが」

バードウェイ「まぁいい!かかって来い有象無象のエセ妹め!リアル姉の力を見せてやろう!」

上条「姉だから妹力は関係なくね?あとその子と俺の関係性について」

バードウェイ「お前、人の妹にまで興味があるのか?偏った趣味してるな」

上条「だから矛盾してんだよ!?俺が忘れてるだけでフワっとした世界へ来ちまった可能性もゼロじゃないけどもだ!」

ソーズティ「分かる分かる。姉さんと話してるとSAN値がガリガリ減ってくんだよな」

上条「あれ?ババ一枚減らしたと思ったのに他の子も同レベルの酷さ?」

レッサー「ふっ、ならば我が郷土料理フィッシュ&チップスを喰らうがいいですよ!さぁ記憶と愛を取り戻してください!」

上条「愛はない。記憶無いけどお前へ対して愛はなかった……いただきます」 パクッ

レッサー「どうですか!あなたの中にあるスピリッツが呼び起こされはしませんかっ!?」

上条「……うん、まぁ、フライだなぁって」

レッサー「あれ?割と忠実に作ったのに不評に!?」

上条「いや美味しいんだよ?サクサクでお酢をつけて食べるのも新鮮だし、つけ合わせのポテトも男子高校生にはありがたい感じだ」

上条「油っぽいかな、と思ったけどごま油がきいてて意外と食える感じ」

レッサー「あざーすっ!珍しくポジティブなご評価を頂きまして!」

上条「ただこれが俺の家庭の味かと言われると……懐かしさは皆無なんだよな」

レッサー「一生コメでも食ってろこの日本人が!」

上条「コンプラ的に日和りやがったなテメー!でも最近は国籍出すのもダメだっていわれるときがあるけどな!」

バードウェイ「つまりぶっちゃけ」

ソーズティ「ほっともっ○の白身魚フライと大差ない」

レッサー「ぶち殺しますよ?」

上条「いやいや、店で出してるものと同レベルって何気にスゲーことだって!流石えっと……俺の妹!」

レッサー「最終的に自分を誉めているようにしか聞こえないんですがそれ」

バードウェイ「そして私の持ちネタだな――よし!では二番手の私はクッキーだ!魔術で作ってみた!」

上条「なぁお前企画の主旨分かってる?それとも俺のご家庭ってハリーさんがポッターするようなマジカルな日常なの?」

レッサー「いいえ?お父様が浮気を疑われてお母様にボッコボコにされるようなハートフルな日常ですけど?」

上条「ハートフルじゃなくてハードフルボッコ……まぁ父さんは星になったと仮定して話を進めよう。えーっとクッキーだっ」

パキイィンッ

上条「……」

ソーズティ「――あぁ、魔術で作ったから判定的にはアウトだったのか」

上条「知らねぇよ!?なにこの謎能力!?俺の『右手』になんか宿ってんの!?」

バードウェイ「……………………ぐすっ」

レッサー「なーかしたーなーかしたー!せーんせーに言うてやろー!」

上条「黙ってろこの悪魔め!兄ちゃんが悪かったから!今度Switc○廉価版買ってやるから!」

レッサー「うわぁ……幼女にゲーム機で買収って犯罪の臭いがしますよねぇ」

上条「お前憶えとけよ……!まかり間違ってお前が俺の妹だったら、お前の結婚式にフルチ×で『CAN YOU CELEBRATE○』歌ってやっかんな!」

レッサー「超縁起ワルっ!?全裸なのは私的にポイントアップですけど!」

ソーズティ「この人たち怖い」

上条「心配すんな。俺はずっと『弟か妹がほしかったな』ってずっと思ってたのに、『やっぱいらねぇよな』って宗旨変えしようとしている最中だ」

ソーズティ「記憶戻ってないか?調子いいところだけ戻るって不自然じゃないか?」

上条「細けぇこたぁいいんだよ!それより一番期待してる妹その二(仮)頼むぜ!さっきからいいカレーのニオイがしてんだ!」

バードウェイ「……まぁ確かにな」

レッサー「カレーはイギリスの国民食ですからね!いやー世界へ広げた甲斐がありましたよ!レッツ・パクス・ブリタニカ!」
(※パクス・ブリタニカ=イギリスが最も帝国主義だった時代)

上条「お前それガンジーが聞いたら助走せずに高く高く跳んでドロップキックかましてくると思うわ、オカダ式の」

ソーズティ「そもそもカレーはタミール族の……まぁいい。とにかく全員分あるから食ってしまえ」

上条・バードウェイ・レッサー「いただきまーす」

……

ソーズティ「――ごちそうさまでした。ど、どうだ?」

上条「……ごめん。どうやら俺の胃さんも記憶喪失みたいなんだよ」

ソーズティ「人に作らせといてその態度!?」

バードウェイ「まぁ正しいと言えばその通りではあるんだが」

レッサー「いやでもマジで最後のカレー美味しくなかったですか?なんでダメなんです?」

上条「本格的すぎんだよ……ッ!駅前のちょっとお高めの店で出て来たんだったら、『おっ、当りだな』って思うけどご家庭の味じゃねぇよ!」

上条「俺が求めてるのはアレだよ!実家へ帰ったら『今日のカレー美味しいでしょう?ルゥ二種類混ぜてみたの』ってカーチャンが言う感じのカレーなんだよ!」

ソーズティ「普通か!」

上条「しかもその『あれこれそんなに味変ってなくね?』ってコッソリ確かめてみたら、こくま○カレーの中辛と甘口だったってオチがつくんだ!」
(※実話です)

バードウェイ「どんな親だよ」

上条「なのでインド人が本気で作ったようなカレーは失・格☆俺のソウルは反応しなかったよね!」

ソーズティ「美味しく作ったのに……!頑張ったのにこの仕打ち……!」

レッサー「あぁ分かります分かります。こっちの善意が空回りすることってよくありますよねー」

バードウェイ「全くその通りだな。背後から汚いドリルを突きつけられたりとかな」

上条「いやー残念だわー。記憶がないもんだから俺にコメントする権利はないけども、『ほぼお前らの自業自得だよ』っては言えないわー」

ソーズティ「……この面子の中じゃ、私が一番穢れていない……?」

レッサー「いいですか姉さん、生きるってことはヨゴレってことなんですよ?」

上条「芸人な?たまに方向性間違って笑えない方に行くヤツいるけど」

上条「――つーか違うんだよ!メシとかじゃないんだよ!肉親に求めているものはもっとこう精神的なものだ!」

バードウェイ「また面倒臭いこと言い出しやがったが、具体的にどうしてほしいんだ?あぁ?」

上条「例えば俺の好きなものとか!身内だったら絶対に知ってるあるあるだよ!」

レッサー「『快楽○』」

バードウェイ「『L.○』」

ソーズティ「『快楽天BEAS○』」

上条「随分正確に把握してんじゃねぇかテメーら!?つーかなんで知られてんだよ俺!?」

レッサー「いえあの、料理をしようと戸田を開けたら表に”666”と書かれた紙袋がありましてね。その中にブツが」

バードウェイ「禁書目録避けに獣の数字を書いたんだろうが、多分魔道書の一部としてストックされてるぞ」

ソーズティ「そっかー……エ×本はも完全暗記するのかー」

上条「全部は俺のじゃねぇしそもそもアレだ!俺は村田蓮○先生と火○先生とマコちゃん絵日○が読みたくて買ってるだけだから!」

レッサー「なんでも言いますけど、最後は結構前に終わってますからね?まぁそれを読んでる方の人生もですが」

上条「てかお前ら本当に俺の妹なのかよ!?もっとこう分かりやすい証拠とかねぇの!?」

ソーズティ「だったら……この写真を見ろ!何よりの証拠だ!」

上条「どれちょっと拝借して……どっかの縁側でツンツン頭のガキがスイカ食ってんな。これが俺だと」

バードウェイ「その横でカレーを立ち食いしている少女……シチュエーションが不自然じゃないか?」

レッサー「てかこれ部分によって解像度が違いますよね?明らかにピント的なものも」

ソーズティ「仕方がないだろう!?多分姉さんが面白半分で始めて途中で飽きたんだから!」

バードウェイ「姉だから仕方がない」

上条「合成説はさておき、俺の子供の頃の写真持ってんだから関係者なのは分かった。保留で」

レッサー「ふっ、そんな合成丸出しの写真に比べれば!私のは凄いですよ!」

上条「見せてくれ……うん?薄着の女の子が寝ている写真……!?」

レッサー「あ、すいません間違えました!それフロリスがキャミ一枚で寝ている写メでしたテヘペロ☆」

バードウェイ「悪意があるな」

上条「レッサーさん、妹ポイント+1」

ソーズティ「いつのまにかそんなシステムに!?しかもポイントアップの条件が主旨と違うぞ!」

レッサー「くっくっくっく……!我が大英帝国仕込みのショッパイ搦め手ですよ!こうやってセコいことの積み重ねが今の地位を築いているのです!」

バードウェイ「イギリスに人格があったらお前侮辱罪で訴えられてるぞ」

上条「じゃあ内容は合ってんじゃねぇかよ。名誉毀損じゃなくて侮辱罪で提訴するんだったら」
(※ハゲの人に「ハゲ」という→侮辱罪。ハゲじゃない人に「ハゲ」という→名誉毀損)

レッサー「まぁこまけぇことはいいとして、私のポケモ○は君に決めてカオシック・ゲー○、オープン!」

上条「色々混ざっちまってる。だから誰がカードゲームとして売り出すはずだったマンガなんて知ってんだよ」

上条「――って、こ、これはっ!?」

レッサー「神裂さんじゅうはっさいさん(39)とお風呂で遭遇した当麻あにあにですけど?」

上条「関係ねぇな!?お前ホントに企画の意味分かって来てる!?何でもかんでもボケればいいってもんじゃねぇんだよ!?」

上条「そしてまだお前よりも日本人ってだけで画像の女の人の方が血縁ありそうだよ!まだな!ゼロかイチか言えばだが!ポイントは更に+1だけども!」

バードウェイ「ジャッジが黒すぎる。最初から快楽○出したヤツが優勝でいいんじゃないか、もう」

ソーズティ「もう妹どうでもいいだろ!お前もヤケになるんじゃない!」

バードウェイ「まぁどけ妹モドキども!貴様らではギャグになりこそすれ、真の妹ではない!」

上条「血縁があるかないかじゃね?もしくは戸籍上の手続きって意味で……あ、写真これか」

上条「んー………………?」

レッサー「ベビーベッドを上から撮った感じですね。フル・モンティではないですが、毛の生えている赤ん坊があにあにですな」

上条「頭にな?へー、これが俺の赤ん坊の写真かー……って、おいおい。俺が赤ん坊だったらお前はどこに」

バードウェイ「画面端のベビーベッドを覗き込んでいるのが私だ」

上条「おかしいだろ時系列!?それともなんだ!?俺が知らねぇだけでこの世界にエルフ的なものとか永遠○的なものが結構あんのか!?」

レッサー「永遠○は雑誌です。コンビニでは買えなくなってしまった雑誌」

ソーズティ「しかし作り込んであるな。無駄に、そして無意味に」

バードウェイ「いいか上条当麻、シュレディンガーの猫という事象を知っているか?」

上条「もうなんか名前を出すのも恥ずかしいぐらいに有名だな。観測すると確定するんだっけ?」

バードウェイ「つまり、妹も同じだったんだよ……ッ!!!」

上条「ちょっと何言ってるのか分からないですね」

バードウェイ「別に真贋は大切ではないだろう!?血の繋がりや戸籍よりももっと大事なものがあるんじゃないのか!?」

バードウェイ「世の中には血縁だろうとも殺し合う関係だってある!それに比べれば事実がどうであるかなんて大したことじゃない!」

上条「なぁそれ自供してんのかな?動機は分からないけど、とにかく俺に妹はいないってことでいいんだよな?」

レッサー「あにあに、静かに。面白いんでもう少し話させてときましょう」

バードウェイ「些事に拘っては大事を逃す!もっと大切なモノがあるんじゃないかっ!?」

上条「つまり具体的には?」

バードウェイ「癖(へき)だな」

上条「まぁ大体においてはそうな!確かにそれ持ち出されてたらそれ以上の反論はできないけどもだ!」

上条「でもそれでオッケーだったら無限に家族が増えるよやったねた○ちゃん、じゃねぇよ!?概念だけのエア妹はただのレイヤーさんと同じだ!」
(※「やったねた○ちゃん」のスプンオフのマンガがどっかで連載されています)

レッサー「レイヤーさんは一応衣装は作っていますし、本物に近づく努力しているかと。命を賭けて雌オークで笑いを取った方もいますし」

ソーズティ「もう本物の定義があやふやだよな」

上条「つーか俺は妹よりも姉派なんだよ!転生して姉になってから出直してこいや!」

バードウェイ「トラック転生しても先には生まれ変わらないかなー。あぁこの間読んだラノベで心を病んだ妹がメイドに転生して先回りしてたってのはあった」

ソーズティ「妹とは一体……」

レッサー「もう『ガンダ○だ』っていう人もいますし、私たちが妹でもなんの不都合があるのかと!」

上条「だから血縁じゃねぇってとこかな、うん。つーかもう帰れよ!今から俺は黒歴史ないか家捜しするんだから!」

レッサー「あぁ……記憶を失う度に新鮮な気持ちで探険ごっこができるんですね。分かりません」

バードウェイ「内容が悲惨なのにギャグだよな」

バタンッ

ウレアパディー「――お腹が、すいたわ……ッ!!!」

ソーズティ「もうやだこんな生活!?姉さんまで来たら収集がつかなくなるに決まってるさ!?」

上条「……」 スッ

ソーズティ「な、なんだ?私の手を取って?」

上条「君が俺の妹だったのか……ッ!!!」

バードウェイ・レッサー「やっぱり癖かコノヤロー」

ウレアパディー「でも世の中の殆どってそうじゃない」

ソーズティ「姉さん、言って良い事と悪い事があるよ!」



-終-
(※ご応募ありがとうございました)



――オービット・ポータル芸能事務所

マネージャー「お疲れ様ですARISAさん」

鳴護「はい、お疲れ様です」

マネージャー「自粛中どうでした?」

鳴護「いえ特にこれといって何かはしていませんが」

鳴護「というかあたしの記憶が確かならばサメ映画マラソンにサイレ○をイジったりと、特に代わりはありませんでしたけど。無茶振りの回数が増えたぐらいで」

マネージャー「あぁでも動画を投稿されていたじゃないですか?」

鳴護「それもまぁ特には?『ARISAがお料理作ってみた』を配信したのはいいものの、『量が引く』と逆にマイナスになった気がします」

マネージャー「大丈夫ですよ!それで引くようでしたら最初からファンじゃないですから!」

鳴護「客商売でそれを言うのはどうかと思うんですよ?自己反省もなく突き進むと、前に待っているのは大抵ガケですし」

マネージャー「いえいえそんなことは。人間誰であってもキャラは作りますし、むしろ飾らないARISAさん素敵と好感度が上がりますよ?」

鳴護「今度は何を企んでいるの!?事務所はあたしにどんな無理ゲーをさせようとしているのかなっ!?」

マネージャー「あの、流石にポジショントーク程度でMM○並の反応をされても困るのですが……」

鳴護「実際そうじゃないですか。ただのお世辞だって」

マネージャー「会話の潤滑油みたいなものですよ?取り敢えず誉めておけば大抵の方は気分が良くなりますし、好印象を持つ」

鳴護「……元ボディガードの方とは思えませんよね。もっとこう無口でビシッと感じかと」

マネージャー「サービス業ですからねぇ。依頼人と良好な関係でないと仕事に支障がですね」

鳴護「いや別にそれは興味無いんですけど……それで?今日呼び出されたのはどういう?」

マネージャー「えぇっとです、書類が――」

鳴護「――の、前に日常会話としてお話しします。あくまでも日常的な会話の一環としてですが」

マネージャー「はい?」

鳴護「長○さんが事務所を退所することになりましたよねー。あー、ファンとしてはアイドルやっててほしいかなー、ホンット残念だなー」

マネージャー「おぉっと中々嫌な感じでイヤミを切り出してきましたね。イイ感じで悪いお友達の悪い影響を受けていますよ」

鳴護「なので発言とお仕事の種類には是非気をつけていただければなと!拒否権もセットでお願いします!」

マネージャー「ファーストフードのセット感覚でつけるようなものではないんですが……分かりました。ARISAさんがそこまでフラストレーションを溜めていたとは」

マネージャー「体調管理を怠った事務所の責任でもありますね。大変申し訳ありませんでした」 スッ

鳴護「はい、その謝罪が心からだと信じたいんですけど、書類をこちらへ押しつけるのと同時に頭を下げられても。誠意の欠片も無いって言いますか」

マネージャー「ではARISAさんが時折発動するワガママはこれぐらいにしまして、自粛明け一番では合宿に行ってもらいます」

鳴護「退所届はどこへ置けばいいでしょうか?念のために書いてきた良かったー」

マネージャー「どうして!?折角事務所の方でARISAのスキルアップできるように取りはからったのに!?」

鳴護「……えぇと、もう何回言ったのかも忘れるぐらいに言いましたけど、もう一回言いますね?これが最期になるかと思うと感慨深――くも、ないですが」

鳴護「私がなんのお仕事をしているか言ってもらっても?一応確認しておきたいんで」

マネージャー「何を仰っているんですか!事務所の人間ですよ自分は!」

鳴護「ではどうぞ」

マネージャー「俳優業へチェンジしたものの、大味な演技がアレでB級映画ファンから目をつけられているグラドル」

鳴護「今までお世話になりました。退所届は後日内容証明郵便で送りますね」

マネージャー「待ってください!どうしてダメなんですか!?」

鳴護「ダメじゃない箇所ありました?シンガーソングライターで入ったのに、一つも当たってないんですよ!?」

マネージャー「えーっとですね、これは自分もARISAさんがダダをこねる度に口を酸っぱくして言っているのですが」

鳴護「あたしがワガママみたいに言わないでください」

マネージャー「木根尚○さんという方がいます」

鳴護「いやホントに誰ですか!?」

マネージャー「誰と言われればTMネットワー○という、90年代に大当たりしたバンドの方で、担当はギターです」

鳴護「あ、それは知ってます。『ひとーりーでは、解けない愛のパズルをー』って歌の」

マネージャー「しかし彼、後年になってエアギターだったと告白されましてね」
(※実話です)

鳴護「どういうことですか!?要りませんよエアギターなんて!?」

マネージャー「元々はキーボードとギターがメインだったらしいのですが、小室哲○とカブるというだけで『あ、じゃあ君ギターね!』と」

鳴護「いや要りませんよ!?メンバー有りきでエアの人加入させてどうするんですか!?」

マネージャー「後に彼はちゃんとエレキギターも弾けるようなったのですが、当初はエアギター担当としてバンドメンバーだったそうです」

鳴護「イジメじゃないですかそれ!?『弾けないのに何やってんのアイツ?』って後ろ指刺されるでしょう!?」

マネージャー「当時のファンたちも彼がエアギターだったとは分からなかった――という逸話から学べる教訓があります」

鳴護「……なんですか」

マネージャー「ファンは別にギター弾いていようがいまいが関係なかった、と!」

鳴護「そこ気にしますか?ファンの人って『あ、ギター弾いてる!』って一々確認すると思います?」

マネージャー「――それとARISAさんも同じなんですよ!別にファンは歌を歌っていようがいまいがそんなに関係ないと!」

鳴護「訴えますよ?名誉毀損で」

マネージャー「じゃあ聞きますけどねぇ!事務所が頑張って作った前のアルバムあるじゃないですか!有名なデザイナーさんに発注した!」

鳴護「あたしはあれ好きですけど。てかそこそこ売れましたよね?」

マネージャー「ファンの方からの反応が『デザインよりもARISAの写真載せろ』って……!」

鳴護「すいませんっ!そういう子ばっかりじゃないんです!たまたま一部の悪目立ちする子がいるだけで!」

マネージャー「全体的な売り上げとしてはミニ写真集つけた方が売れましたしね!どこかの声優さんと一緒で!」

鳴護「あたしが関係ないですけどほんっっっっっっっっとにすいません!いやでも謝るのもどうかと思いますが!」

マネージャー「何かもうスチル入れとけばいいか、みたいな空気がですね!スタッフの士気も下がり気味で!」

鳴護「諦めないでくださいよ!?そりゃ買って頂けるのは嬉しいですけど、方向性重視で!」

マネージャー「……まぁ、こちら側としても少しずつ別のお仕事を振っていきながら、どこかに適性があるかとぃうのをですね。悪意はそんなにないです」

鳴護「そんなにって言いました?少しあるんですか、悪意?」

マネージャー「そこでまぁ冒頭の合宿の話へ繋がるんですが、ツッコミを学んできて頂きたいと」

鳴護「なんでですか」

マネージャー「何か危険があったとき、身を守ってくれるじゃないですか?」

鳴護「過大評価が過ぎませんか?護身術みたいなノリじゃないんですよ?」

マネージャー「て、いいますかね、あー、これ言っちゃっていいのかな。ドッキリ的なね?サプライズみたいな?」

鳴護「あー……はーはーはー、そういう」

マネージャー「詳しくは言えないんですが、合宿行ったらARISAさんと縁が深いあの方も!という感じのアレですね」

鳴護「……友達の、ですよね?誰かなー、知ってる人かなのかー?」

マネージャー「地雷をよく踏み抜く方です」

鳴護「まぁ、ツッコミだったら。そう、なりますよね。人選的に」

マネージャー「適任でしょうね」

鳴護「ちなみに参考までに聞きたいんですが、合宿っていうからには公認でお泊まり、なんですよね?」

マネージャー「何がどう公認なのかは分かりませんが、まぁ二泊三日を予定してします」

鳴護「へー……」

マネージャー「とはいえ、ですね。あまりこう無理強いしたくもありませんし、ARISAさんのモチベーションを下げてしまうのも怖いですから」

鳴護「やります!気は進みませんがプロとして!一度お引き受けしたお仕事はしたいと思います!」

マネージャー「ありがとうございます!引き受けて頂いた事実はありませんが、流石ARISAさんですね!」



――合宿所 某県 山中の廃校

鳴護「ここが合宿所かー……どう見ても廃校にしか見えないけど。というかオバケでも出そうだけど」

鳴護「窓のところに【歓迎!@RISAさん!】って垂れ幕がね。字を間違えてるし、誰も見ないから意味ないな!」

姫神(巫女風装備)「……」 スッ

鳴護「うわビックリした!?心霊現象かと思った!?」

姫神「……」 ジーッ

鳴護「こ、こんにちは?私は鳴護アリサと申しますが、合宿所の方ですか……?」

姫神「……」 スッ

鳴護「え、後ろ?ですか?霊的なアレじゃないよね!?」

姫神「『だーれだ』」 ピトッ

鳴護「実物を既に確認してるのに!?いや知らないよ!『この子誰だろう?』って脳内検索かけて心当たりはなかったんだからね!?」

姫神「『ヒント。名前が似ている』」

鳴護「似てるってことは同じじゃないから当てようがないよ!?」

姫神「『人はどこから来てどこへ行くのだろう?』」

鳴護「週末を越えてカオスが近づいてるよ?もう質問形式を取ったただの中二病ボケだよね?」

姫神 スッ

鳴護「あ、解放された」

姫神「こんにちは。地獄のツッコミ合宿へノコノコとよいこそ」

鳴護゜いるかな?今の『だれーれだ』の下りって必要だったのかな?」

鳴護「もっかい言うけど本人が目の前にいるのにわざわざ後ろ向かしてまでするようなイタズラでもないし!大したボケもなかったし!」

鳴護「それと何回も言うようだけどノコノコ言うのはダメだよっ!まぁ何となくそんな企画じゃないかなーとは分かってたけど!」

姫神「とる高校のカニエ・ウエス○こと姫神秋沙です」

鳴護「大統領選挙出るんだ?第一報聞いた事『え!?今頃!?予備選挙終わってるのに!?』って思ったけど」

姫神「……減点一。ここは『アリサと秋沙。まるで神様(※鎌池先生)が用意してくれた双子のよう』って言わないと」

鳴護「決して忘れてたんじゃない。きっとサプライズを用意してくれたんだよ、うんきっとまず間違いなく」

姫神「私はアドバイザーをする。だから安心」

鳴護「うん、巫女服を着ている時点で不安しかないかな。肩書きが横文字なのになんで巫女?」

姫神「私は魔法少女になりたかった……」

鳴護「はい」

姫神「で。今に至る」

鳴護「直通してる!?どこにも寄らずに結論がおかしいよぉ!?」

姫神「話せば長くなる。お母さんに話したら『じゃあちょうどいいのがあるわよ!』と」

鳴護「そこもダイレクトだよね?お母さんはどうして巫女服を用意しちゃったのかな?」

姫神「山奥の過疎地なので他に巫女さん役をする人がいなかった。よってこれは私にとっては魔法少女のコスチューム」

鳴護「……まぁ本人が納得してるんだったら」

姫神「いや。納得はしていない。できれば私もヒラヒラしたのが着たい」

鳴護「当麻君助けて!?まるで木か石とお喋りしてるみたいだよ!?」

姫神「照れる。まるで自然精霊のような可憐さだなんて」

鳴護「そう、だね。話が通じないって意味でいえば、まぁ合ってるかな」

姫神「お部屋へ案内します。どうぞこちらへ」

鳴護「あっはい。気持ちの整理がついてないんですけど、ここにいるよりは」



――第一教室

佐天「どうも、柵中の熊本妖怪アマビエこと佐天涙子です」

鳴護「自己紹介で妖怪に例える人っているかな?大体悪口の一環で妖怪って使われない?」

姫神「アマビエは益妖怪。あの絵姿を貼っておけば病気にならない」

鳴護「昔の話だよ?病気とかウイルスの概念がまだ日本になかった頃の」

佐天「むしろ『コイツを持っていれば病気にならない=犯人の自作自演じゃね?』説すら囁かれる始末ですし」

鳴護「可愛らしくアレンジされてるけど、魚人の足三本なんだよね。ちょっとなぁ」

佐天「ちなみにそこから派生した都市伝説として『あたしか御坂さんか白井さんか初春の写真(ポスター)を部屋に貼っておけば新型コロナに罹らない』っていう」

鳴護「不謹慎ネタはやめよ、ねっ?炎上するほど人はいないけど、不謹慎で笑いを取ろうとするのはよくないと思うんだよ」

佐天「あぁいやこれはマジです。あたしの弟のメル友が調べてみたんですよ」

鳴護「久しぶりに聞いたねその前フリ」

佐天「知り合いや友人のツテを辿って聞いたみたところ――」

佐天「――なんと!『新型コロナに罹っていない人は部屋に萌えor腐ポスターが貼ってある』って調査結果が!」
(※実話です)

鳴護「それ交友関係が偏ってるだけだよ!?元々インドアを極めていて籠ってても大して問題ない人たちだし!?」

姫神「それこそ偏見。年に数回は三密のイベントに行って生活費を稼がなくてはいけない」

鳴護「自主的にだよね?別に強いられたものではないよね?」

姫神「それはそうとサインください。グローリア初回限定版のジャケットです」

鳴護「今!?タイミング今かな!?今までお部屋案内してもらったりしたときに機会はあったよね!?」

佐天「――イグザクトリィ!」

鳴護「違う。多分『エクセント』の間違い」

佐天「ARISAさんが放り込まれたこの合宿……目的はなんだったでしょうか?」

鳴護「あたしの忍耐力を試す」

佐天「そう、その通り!ツッコミ力を伸ばしてたださえ面白くない芸人の仕事を少なくしてやろうという企画です!」

鳴護「話を聞いて?昨日の事務所からずっと誰もあたしの話をスルーするの?」

佐天「ですので!ツッコミ力向上のためにも我々講師三人は色々とボケまくります!なのでその都度適切なツッコミをプリーズ!」

鳴護「……いやあの、そうなんじゃないかなーってのは薄々気づいてはいたけどね。その、なんと言いますか」

佐天「はい?」

鳴護「事務所の者が『地雷をよく踏み抜く人が参加してる』っていってたのは、どうなんだろなーって」

佐天「改めましてこんにちは!地雷をよく踏み抜く女、佐天涙子ですっ☆」

鳴護「騙されたよ!?騙し方がエゲツナイ!」

姫神「正しい意味でのナイス・ドッキリ」

鳴護「本当に心に来るからやめて!追い詰めないで!?」

姫神 スッ

鳴護「な、なに?背後に立たれると呪われそうなんですけど」

姫神「今は授業中。前を向かないと講師の方に失礼」

鳴護「あ、はい。生徒の後ろに立つのもどうか思いますが」

姫神 スッ

鳴護「あの、秋沙、さん?前が見えない……」

姫神「『だーれだ』」

鳴護「だからなんで今!?ほんの20分ぐらい前にやったでしょ!?」

姫神「『その幻想をぶち殺だーれだ』」

鳴護「相性。頑張って当麻君へ寄せにいってくれるのは分かるけど、台詞との相性ってあるよね?寄ろうとしても寄れない関係ってあるよね?」

姫神「『管理人好きなのにあっさい知識で語ってるのだーれだ』」

鳴護「いや、あのね?別に当麻君の肩を持つわけじゃないけど、当麻君の面白ドッキリ日常生活は癖(へき)を披露する場所じゃなくてね?」

姫神「『”陽性の国から来た妖精”ってネタが危なくて使えなくなったのだーれだ』」

鳴護「いやだからダメだって言ったじゃん!?控え室で散々『それだけはやめてくれ』って言われてたのに敢行する価値はないよ!?」

佐天「いいなーそのネタあたしもいっちょ噛みしたいです」

鳴護「これ以上属性を増やさないで!?混沌過ぎて捌くのが精一杯だよ!?」

姫神「あ。じゃあ私の後ろに」

鳴護「見えないけど怪しい儀式だよね?見えないけど!」

レッサー「ではそのサテーンさんを私が『誰だ!?』することで、更にユニットを延長しましょう!」

鳴護「助けて!?声しか聞こえないけど混沌の国から来た魔王がいるよ!主に食事とか!」

レッサー「失敬な!ただ少しだけ味が薄味で調理が煮るしかなくて冷たい飯が主流でテーブルマナーが陰湿なだけじゃないですか!ふぐぅっ!」

鳴護「どうせ盛ってる自虐ギャグで嘘泣きなんだろうけど悲しいよ!」

レッサー「それでは私から――『誰だ!?』」

佐天「『お前は誰だ!?』」

姫神「『誰だ?』」

鳴護「待ってこれおかしいよ!?アニメの最終回で主人公が世界から追い詰められるシーンっぽいよ!?」

ガラッ

食蜂「ごめんなさぁい、お化粧直したら時間に遅れてぇ――って邪神を呼ぼうとしているっ!?」

鳴護「逃げて、早く逃げてください!あたしのノドを守るためにも!」

レッサー「ノープロブレム、上条さんも一度通った道です」

鳴護「ジョブが違うんです!勇者兼遊び人と歌姫を一緒にするのとはどうなのかなっ!?」

姫神「遊び人も歌姫も系統的にはアウトサイダー。儚い夢を見るよりも堅実に生きるべき」

鳴護「あ、あれ?ニートな人たちとあたしが一緒くたに語られている……?」



――合宿所 ARISAの部屋 夜

姫神「さて。お分かりいただけたろうか」

鳴護「当麻君が『ウルセェよ』ってツッコミ気持ちがよく分かったよ!でもアイドルは汚い言葉が使えないから言わないけど!」

姫神「まぁそんな感じで頑張ってほしい。授業は明日から」

鳴護「はぁ、頑張ってみます。不安しかないですけど」

姫神「……」

鳴護「な、なにかな?」

姫神「ゲームでもする?」

鳴護「えっと……?」

姫神「なんだったらお祓いでもいい」

鳴護「いえお構いなく、ってゆうか気になるんですけど」

姫神「はい」

鳴護「秋沙さんは自分のお部屋へ帰らないんですか?」

姫神「ルックアットミー?」

鳴護「いや見てるよ?この部屋には二人しか居ないんだからそりゃ見てるけども」

姫神「ヒアー」

鳴護「荷物だね。あたしのじゃないけど」

姫神「部屋は同室。ARISAが退屈しないように接待をする係」

鳴護「いえあの、お気持ちだけで結構なんですが」

姫神「好きな人できた?」

鳴護「今日会ったばかりの人に話すような内容かな!?事務所をできれば通してほしい案件だ!」

姫神「相談次第では上条君の高校生活フォルダが火を噴く。かもしれない」

鳴護「何でも聞いて!なんだったら一緒に写真撮ろっか!?」

姫神「気持ちはありがたい。けれど普通な私には荷が重い話。ふふふ」

鳴護「あの、秋沙さんって普通に雰囲気のある美人だと思うんですけど……」

佐天「ですよねー?何が普通なのかと!」

鳴護「あ、あれ?パジャマ姿に換装した涙子ちゃんが?」

佐天「コイバナと聞いて参りましたが何かっ!?」

鳴護「もっとこう別のことに労力を割いた方がいいんじゃないかなって」

佐天「え?知り合いの痴情のもつれなんて適度にリアリティがあって面白いじゃないですか?ポシャッても、まぁそれはそれで?」

鳴護「発言が不謹慎だよ!てゆうか講習時間外なのにツッコミが増えてる!」

佐天「よし、じゃあこうしましょう!あたしの分の講習はこれで終わりにしますから!」

鳴護「そんなにアバウトな生き方でいいのかな?確かに講習一回分はツッコんだ覚えはあるけど、まだ説明の触りしか聞いてないよね?」



――合宿所 外

???「くっくっくっく……暢気にやっていられるのは今のウチだと知るがいい……!」

???「ツッコミ合宿も俺が来たからにはその幻想をぶち殺してやるぜ……ッ!!!」

???「……」

???「……あれおかしいな?今なんか要らない台詞が挿入されたような……?」

???「まぁいいぜブハハハハハハ!何か知らない間にビリビリが新番組になってサラッと二周目に突入して訳が分っかんねぇな!」

???「多分俺らだったらそのまま円盤だったろうに、また自虐ネタが捗るぜグハハハハハハハッ!……ぐすっ」



――合宿所 翌日

レッサー「――はい、っていうわけで合宿も二日目!スターウォー○に例えるならばジャージャ○が出番削られた二作目ですよ!やったね!」

鳴護「正直……うん、正直嫌われ方がワールドワイドだよね。中の人がほぼいなくてよかったと思う」

レッサー「あぁ申し遅れました!私はイギリスが生んだジャスティスブレイバ○ことレッサーと申します!どうぞよしなに!」

鳴護「なんで正確な自己分析!?」

レッサー「いえあの、そこはボケたんで肯定しては頂きたくはなく。というか否定してくださいよ!『レッサーちゃんは悪い事なんてしない』って!」

鳴護「ねぇ、レッサーちゃん。あのね、どんなに上手く嘘を吐いて他人が信じてくれたとしても、自分だけは嘘だって分かってるんだよ?」

レッサー「ARISAルートのキモですねコノアマ。なんかちょっと懐かしい気分になりましたよ!あの頃の綺麗な上条さんはもういませんけどね!」

鳴護「いるよ?ただ今は少しだけ理性さんが家出しているだけで」

レッサー「それで講義へ入る前に連絡事項があります。悪いお知らせといいお知らせ、どっちからいきましょうか?」

鳴護「聞かないって選択肢はないんだよ……それじゃ悪い方で」

レッサー「好きな物を最後まで取っておくのは一人っ子タイプですな。えーとまずこちらのカメラ画像をご覧ください」 ゴトッ

鳴護「緑色の……あぁ防犯カメラなのかな。廃校舎の裏側っぽい」

仮面の不審者『……』

鳴護「いやジャンル違うじゃん!?予想以上のガチで悪いニュースじゃん!?」

レッサー「いや意外と綺麗に撮れてるもんですよね。ホムセンで売ってた安いヤツなんですけど」

鳴護「いいけどこれ報告する段階間違えてるよ!?見たら直ぐにでも警察に連絡してから全員で集まるやつだよ!?」

鳴護「秋沙さん全員集めてきて!どう考えても合宿中止して武装しないと!」

姫神「大丈夫。問題はない」

鳴護「でもっ!」

レッサー「続きましていいニュースなんですが、動画をそのままご覧ください」

仮面の不審者 ブンッブンッ

姫神「斧持って素振りしているし!どう見ても今から薪割りしますって感じじゃな」

レッサー(防犯カメラ)『……』 バチコーンッ

仮面の不審者『……!?………………っ!?』

レッサー(防犯カメラ)『……』 ボスッボスッボスッボスッ

仮面の不審者『……』 グタッ

レッサー(防犯カメラ)『……』 ズルズルズルズルッ

レッサー「――と、まぁこんな感じで撃退済みですな」

鳴護「あぁそう、なんだ?お疲れ様?であってる?」

レッサー「なお不審者の断末魔は『お前それ魔術じゃねぇだんだからズッリィよ!?』とのことです。成仏してください」

鳴護「当麻君の命は!?動画だと後ろからバールのようなもので殴りかかってたけど生きてるの!?」

レッサー「それでは私の授業へ移りますね☆」

鳴護「いやいやこれ違うから!?当麻君がドッキリいれてリアクションみるってイベントは!?体を張ってボコられたのに軽くスルー気味で可哀想だよ!?」

レッサー「……いいですか、ARISAさん。こう考えるのです」

鳴護「ど、どう?」

レッサー「――『上条さんは最初からこの合宿に来ていなかった』、とねっ……ッ!!!」

鳴護「まさかの証拠隠滅!?フワっとした企画が大惨事に!?」

レッサー「ARISAさんも……朝食にでてきたウミガメのスープ、美味しい美味しいっておかまりまでされましたよね?」

鳴護「待って!?あの趣味の悪い都市伝説を再現しないで!?」

姫神「補足しておくとお味噌汁しか出て来なかった」

レッサー「まぁ頑丈な方なので一日も寝ていれば治るでしょう。さて、改めまして本日の講義ですが!」

レッサー「今日はJKからJCにブランドが移送しつつあるのをテーマにしましょうかねっ!」

鳴護「発言がオジサンだよね?しかもそれ正確にはオジサンじゃなく汚っさんと書いてオッサンと読む人種の人たちだよね?」

レッサー「そんな酷い!?中には純粋にただ癖(へき)と欲(よく)のために頑張ってる汚っさんだっているんですよ!?」

鳴護「えっと……秋沙ちゃん?」

姫神「心得た。レッサーさん。ARISAさんの隣へ」

レッサー「え、あぁはい並べばいいんで?」

姫神「そう。そのまま――さん。にー。いち。チーズ」 パシャッ

鳴護・レッサー「……」

姫神「これでよし」

鳴護「ラスボスなのかな?誰よりも身近にいる人が本当の敵だってこともあるよね?」

レッサー「なんかイギリスのダチを思い出しますなぁ。沈黙の変態ランシスを」

鳴護「沈黙シリーズみたいに言わないで」

姫神「うん?違った?」

鳴護「ちょっと思ってたのとは違うかな。講師の人コンプラ的な大丈夫?って意味で話を振ったんだけど」

姫神「問題ない。中には16年前からヒロインがJC一本でやってる人もいる」

鳴護「それについてはコメントを差し控えたいと思います。年代をね、うん読者層に合わせたんだと思うよ?」

レッサー「ならばガキンチョでは到底おいつかないぐらい課金コンテンツがバンバン売れているのはどうお考えで!?」

鳴護「げ、ゲーム性が高いんだよ!そうやってみんな自分に嘘を吐いてまで楽しんでいるんだねっ!」

姫神「嘘を吐かないで。という話はどこへ?」

レッサー「とも、あれ!JCコンテンツを極めれば大体のことは無理を通せるのですよ!」

鳴護「だからその部分を強調するのやめよ?そこだけピックアップしないで、もっとフワっとした持ち上げ方すればよくないかな?」

レッサー「例えば……絶賛放映中にケチがついてしまったアニメ第三期!あれもそのまま終わるのかと思いきや、まさかの二周目が始まるらしく!」

鳴護「あの展開はビックリしたね!何も最初から始めるんじゃなくって、ダイジェストとかすれはいいのに!」

姫神「それは新作が作れないときに散々やったので無理。まぁご褒美といえばご褒美だけど」

レッサー「えーっとですね、これは私が言っていいものか迷いますが……とあるラノベがあります。もうかれこれ16年以上続く、原作だけで50巻近く刊行されているバケモンです」

鳴護「世界観どうなってんの?メタネタ出すにしたってここまでおおっぴらに展開したらそろそろ怒られるんじゃないの?」

姫神「あとバケモノいうのよくない。モンスターならセーフ」

レッサー「まぁその主人公の方は地味だのツンツン頭だの、甲斐性のない一芸特化の永遠の童×だの言われながら頑張ってきたんですよ……!」

鳴護「悪口言いたかっただけたよね。あたしも強くは否定できないところだけど」

姫神「まぁ。本人もネタにしているようだし」

レッサー「しかぁし降って湧いた大チャンス!ネットフィリッ○だったかアマプ○だったか、加入キャンペーンで使うって連絡が!」

レッサー「えぇまぁその人は喜びましたよ!やったぜ父さん母さん!あなたの自慢の息子が全国デビューだ!まぁCMだけど!とねっ!」

鳴護「あー……あん、あれかー、あー……」

姫神「うん?何か心当たりが?」

鳴護「ちょっと……」

レッサー「いつ呼ばれるのかなー?スナップ写真撮られるんだろうなー?とワクワクしながら待つも連絡は来ない!」

レッサー「あれどうしたんだろう?企画がなくなったのかななら仕方がないか、と諦めていたその時!」

レッサー「たまたまつけた帰れマンデ○バスの旅のCM中、全国のお茶の間に流れたのはライブ衣装のARISAさんでしたとさ……ッ!!!」
(※実話です)

姫神「ARISAさん。それはちょっと酷い」

レッサー「まぁ確かに。『ちょっと古くね?』って方よりもいとうのい○さんがデザインした田中雄○先生キャラデザのアイドルの方が見栄えがいいですもんねっ!」

姫神「せめて御坂さんだったら『まぁ仕方がないか』で納得できたのに」

レッサー「さぁどうですかARISAさん!この酷い仕打ちをしたアイドルへ対して如何ご感想を!?」

鳴護「――いやー凄いよねJC力って!あたしも知らないところでそんなプッシュがあったなんて!」

鳴護「あとそのアイドルさんは悪くないよ!『あれ?なんで今更スナップ写真撮るんだろう?』って特に考えもしなかったみたいだし!」

レッサー「まぁ今のは極端な例ですけど、JC力を極めれば異世界転生が可能となります」

鳴護「レッサーちゃん、あなた疲れてるんだよ。帰ろう?あなたにも故郷はあるでしょう?」

レッサー「えぇまぁ歴史を知れば知るほど微妙になる国でお馴染みのイギリスですが。まぁマジです。これをご覧ください」

鳴護「えっとマンガ本?」

レッサー「みちきん○先生が連載されている分厚い雑誌です」

鳴護「こんな堂々としたセクハラがあった!?あぁいや同性同士ってセクハラって成立しないんだっけ!?」

レッサー「同性同士でも禁止するのが普通ですけど、今のところ下火ですなぁ。詳しくは言及しませんけど」

姫神「では年齢的に私が拝見――あ。これ」

レッサー「そうっ!そこに描かれていたものとは……ッ!!!」

鳴護「ごめん、部屋帰っていいかな?こうイメージ的な守りたいものがあるんで」

レッサー「佐天さんそっくりのキャラクターが出ているんですよ……ッ!?」

鳴護「『もしかして;気のせい』」

レッサー「あっさり切らないで下さいよ!?折角見つけたんですから!」

鳴護「いや、あのね?読んでないから分かんないけど、涙子ちゃんのアイコンっていう属性は黒髪ロングと髪飾りだけども……別にそれ二つがカブれば同じってのはどうかなって」

レッサー「あなたにか何が分かるんですかっ!?ニャル○の色違いと言われてずっと辛酸を舐め続けてきた私の気持ちが!?」

鳴護「主旨は!?ツッコミ力向上っていう体裁は!?」

レッサー「今こそ叛逆の時がキター!我らの友情パワーで次のスピンオフ企画をもぎ取ってみましょうよ!」

鳴護「無理だと思うよ?帆風さんのファンの子ですら、帆風さんが主人公になる日が来るとは予想してなかったと思うな。一部の人を除いては」

姫神「――この面子であれば都市伝説やUMAを追っていくのがベストだと思う」

鳴護「あれあれ?アドバイザーってそういう意味で?」

姫神「私は部室に棲み着いた地縛霊という設定で。あなた達へ助言する係」

鳴護「世界観をねじ曲げないで!あなたは人の子だよ!」

姫神「出番が無くてモブと一緒くたにされるより。短時間でも人の記憶と思い出に残るキャラクターになりたい」

レッサー「――その言葉がほしかった!認めましょう、あなたは『なんか最初から出てる地縛霊で、誰が考えてもコイツ怪しいだろ』ってキャラで出演を認めます!」

鳴護「助けて当麻君!?バカ話がタダ流れになってキャスティングが勝手にされてるしそして都市伝説関係だからきっと!」

佐天「――ふっ、都市伝説に詳しいようだが、あんたここらじゃ二番目だぜ」

レッサー「あ、あなたは!?」

佐天「――あたしが一番だからなぁ!どや!」

鳴護「あのね、涙子ちゃんね?前から言おうと思ってんだんだよ、うん。悪い意味じゃなくてね。ちょっと思ってただけなんだけど」

鳴護「その、可愛いからって何でもかんでも許される訳じゃないんだよ?まぁ許されるんだけど。人気があったら大抵のことはスルーされるんだけど」

鳴護「でも可愛いからってね、あんまりそこで調子にのっちゃうと後から大変っていうかね、レッサーちゃんも言ってるようにブランドってのは寿命が短いからこそ貴重っていうか」

鳴護「鈴木○さんのように子役から脱却してインス○芸人として頑張ってる人もいるし、いつまでも状況が変らないって訳じゃないってのをね」

佐天「初登場(2007年09月頃)から一貫して無能力者なのに、能力バトル漫画で人気上位へ入ってますけど何かっ!!!」

鳴護「くっ……!なんて覇気なの……!?」

姫神「あ。ツッコミ放棄してボケに乗っかった。しかし気持ちは分かる」

レッサー「まぁ正直『どうなんだろう?もう一人自称無能力者さんいたよね?』と思わなくもないんですが」

レッサー「しかし……来ませんね。上条さんの性格なら『お前らアリサ可哀想だろもっとやれ!』って怒鳴り込んできそうなんですが」

鳴護「当麻君は癖以外でそんな事言わないよ!」

佐天「癖だったら言うと思われるんですね」

姫神「上条君はツッコミが上手なボケ。本質的にはステゴロが強い魔法使い」

レッサー「二重の意味で魔法使いなんですよね。ありがとうございました」

鳴護「あの、だからね?講習を受けてる場合じゃなくって、背後からバールのようなもので強打された当麻君は大丈夫なのかなーって」

鳴護「秋沙ちゃんはお見舞いに行ったの?涙子ちゃんは?」

姫神「普通に寝ていたから大丈夫だと思う」

佐天「あたしはお会いしてませんけど、食蜂さんが看病は私がぁ☆だそうです」

鳴護「へー。美琴ちゃんからあんまりいい噂聞かなかったけど、面倒見の良い人なんだね」

レッサー「――助けに行かないと!」

鳴護「なんで?」

レッサー「上条さんの童×の危機なんですよっ!?」

鳴護「だからなんで?思うとこがない訳でもないんだけど、そこは別に当麻君のプライベートであってね?」

姫神「悪い男に騙されているかもしれない」

鳴護「――だねっ!よし行こうよ!当麻君から守るために!」

レッサー「意外とやりますねあなた!」

姫神「素直になれない属性が羨ましい」



――合宿所 元空き部屋

鳴護「――当麻君大じょ、う、ぶ……?」

上条「いや、違うんですよ?そうじゃないんですよ、これはね、俺が思ってたことじゃなくてね?」

上条「たまたま!そう偶然にもですね!俺が目を覚ましたら横でおっぱい、じゃなかったおっぱいの大きい女の子が寝てただけで!」

上条「俺は紳士だから!HEN-TAIと呼ばれる紳士だからね!?手を出すどころか紳士的に!毛布を掛けてあげようって思いましてね!」

上条「で、これまた偶然!なんか制服に手があたっちゃったらしくてね!重力さんが小粋な計らいをしたもんだから!」

上条「こう、ニュートンさんが見つけた法則に従って落下したら、つい!触るつもりはなかったのに!タッチしちゃいましてね!」

御坂「つまり?」

上条「気をつけろビリビリ!俺たちは今、敵の魔術師の攻撃に晒されている……ッ!!!」

御坂「――墓に刻むのはそれでいいのね?」

上条「だから違うんですよ!?横にこの子が眠っていたのも!全部誰かの陰謀であって!」

食蜂「……んうーん、上条さんのぉ、えっ・ち☆」

御坂「……エッチなことをした、と?」

上条「いやそうじゃなくてね!あぁ丁度いいレッサー、お前からもこいつの言ってやっ――」

パタンッ

レッサー「……」

鳴護「レッサー、ちゃん?助けなくて、その」

レッサー「ね、ほら言ったでしょう?『上条さんなんていなかった』って!」

レッサー「いなかったんですから仕方がありません!我々は楽しい合宿を続けましょうか!」

鳴護「う、うん?そうかな、そうかもしれないよねっ!」

姫神「実は検索してみたら近くにボートを貸してくれる湖があるらしい」

佐天「おっ、いいですなー。それじゃ昼間はそっちいきませんか?お昼はどうしましょうか?」

姫神「それもロッジのオーナーが経営しているレストランがある。鮎のフライが絶品」

鳴護「……意外にアクティブなんだね。秋沙さん」

姫神「こうなったら私たちの出番はない。上条君の分までアクティビティを楽しむべき」 ポンッ

鳴護「……まぁいいけど。あとできれば巫女服じゃなくて、もっと普通の服に着替えてほしいかな」



――オービット・ポータル芸能事務所

鳴護「……お疲れ様でーす」

マネージャー「あぁお疲れ様です、お帰りなさいARISAさん。如何でした、ドッキリ大めの慰安旅行は?」

鳴護「トータルで言えば楽しかったです。涙子ちゃんや秋沙さんと連絡先交換しまたし。ツッコミ疲れてノドが厳しいのを除けば大体は」

マネージャー「……成長しましたね」

鳴護「いやしてないですよ!?二泊三日で成長すんだったらどんな大冒険してきたんですか!?」

マネージャー「ナイス・ツッコミ☆」

鳴護「殴っていいですか?」

マネージャー「やめてください!ほぼ全身にチタンを埋め込んでいますので、怪我していますよ!」

鳴護「……当麻君の元気っぽい姿を見たし、まぁそれはよかったんですけど。ほぼすれ違いでしたけど」

マネージャー「……」

鳴護「……なんでしょうか?」

マネージャー「いや、それがですね……あぁいやでも、これ言っちゃっていいんですかね」

鳴護「なんですか・。事務所側でミスでもあったんですか?」

マネージャー「という訳ではないんですが。ただそのですね、ちょっとした怪奇現象がありまして」

鳴護「えっ!?やめてくださいよ、そういうの苦手なんですから!」

マネージャー「……ARISAさんにも間接的に関わることですから、お耳に入れておいた方がいいと思うんですよ」

鳴護「えー……聞きたくないなぁ」

マネージャー「……実はですね、あの合宿――」

鳴護「合宿?」

マネージャー「御坂美琴さんはお招きしてなかったんですよ……ッ!!!」

鳴護「知ってました。そんな気はしていました」

マネージャー「怖くないですか!?お呼びしてないのにいるって!?」

鳴護「いやまぁ普通に考えればそうですけども!まぁ100%涙子ちゃんが呼んだってオチですよ!ただのね!」



-終-
(※ご応募ありがとうございました。食蜂さんの出番が少なかったですがオチその一要員だったので……)

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