上条「地獄の罰ゲーム、イメージビデオの闇へようこそ……ッ！！！」
――
絹旗「――はい、という訳で今日からイメージビデオの撮影へ超入りたいと思いますが」
鳴護「あの、ちょ、ちょっといいですか……最愛ちゃん？」
絹旗「最愛ちゃんではありません！撮影が始まったら絹旗監督と超呼びなさい！」
鳴護「あれこれなんで怒られてるんだろ？まだ始まってないので呼ぶ必要はない思うんだけど……」
絹旗「スタッフとして当然の超心構えではないですか！あなただって街でバッタリ上司と出くわしたら『よっ社長』と呼ぶでしょう！？」
鳴護「そんなテンションでは呼ばないかな。だって完全にナメてるからね。その呼び方飲み屋でオゴってもらう方がする感じだよね」
絹旗「それで何かご不満でも！？」
鳴護「監督が何を怒っているのか分からないんですが」
絹旗「とある筋によると某監督の新作映画が超そこそこ面白かったらしく、それでちょっとガッカリ……」
鳴護「あれかな？監督は混沌と人の負の感情を糧にして生きている魔族とかなのかな？もしくはレッサーちゃんと同じ種族？」
絹旗「くっくっくっく……！あなた方は安心しているようですが、この私を倒したところで第二第三の超ダメ映画マニアがこの世に産み落とされるでしょう……！」
鳴護「いやそういうの結構です。そして最愛ちゃんが死ななくても勝手に増殖していきます」
絹旗「あぁでは今から『恋に落ちたシェイクスピ○』でも」
鳴護「主旨変ってますよね？そしてそれデートで見たら確実にフラれるやつ」
（※隠れた題名詐欺映画の一つ。やったら濡れ場が多い）
絹旗「では念願のコックリさん映画マラソンを」
鳴護「日本の映画界は大丈夫ですか？サメ映画マラソンやったようにこっくりさん量産されてるって地獄ですよね？」
絹旗「えっと……じゃあ何か希望でもあれば？どんなジャンルのゴミ話が聞きたいですか？3.1○の○○○○○○○の所業とか？」
鳴護「それ絶対に言えないヤツですよね？地上波どころか関連書籍ですらおおっぴらには言えないことの一つですよね？」
絹旗「なんなんですからさっきから超ダメ出しばかり！そんなに自分が主役じゃないと気が済みませんか！？」
鳴護「超済んでます。このお話を頂いたときも『あ、スタッフで？』って非常によく眠れました」
絹旗「では何が問題だと？」
鳴護「主役っていうかまぁ主役なんですけど、ほら、あれ」
上条（※ビキニ装着）「……」
絹旗「あぁちょっと水着が超派手すぎましたか」
鳴護「待って！？既にレ××目の当麻君にこれ以上悲しい思いはさせられないよ！？なんだったらあたしが撮影代ってもいいよ！？」
絹旗「えぇ私も、半ばギャグで超置いておいた女性ものの水着を本当に着てこられると引きます」
上条（※ビキニ装着）「もう殺せよ。ひと思いに殺してくれよ」
鳴護「ほら見て！魔物に改造されたなろ○系冒険者（※噛ませ犬）の最後っぽい台詞を言ってる！」
絹旗「『こんな状況になったのは自業自得、かつ助けるため』と殺人の超ハードルを下げているんですよね。勉強になります」
上条（※ビキニ装着）「俺は知ったさ。『あぁそういえば”御使堕し”のとき青ピがやったらテンション高かったな』ってさ」
上条（※ビキニ装着）「でも分かったたんだ！テンション上げておかないととてもじゃないがワンピースの水着なんて着られない！」
鳴護「なんか論点違くないかな？芸人としての心構えを聞いてるわけじゃないよ？」
上条（※ビキニ装着）「だって控え室にあったら着るだろ！？」
鳴護「着ないよ？『あ、誰かの衣装だ』って思うよ？」
絹旗「ていうか超キッツイのでジャージ着てください。なんかこう、私もちょっと罪悪感を覚えるレベルに絵が汚いです」
上条「いや無理だぜこれ！？仮にジャージ装着しても今日のヨゴレ仕事って俺のイメージビデオ撮るんだろ！？悪いけど需要ねぇわ！商業ベースで出せるようなカラダじゃねぇよ！」
上条「てかどんな仕事だよ！？魔導具師ダリ○さんだってうつむくわ！『うわクズ男……』ってドン引きするわ！」
鳴護「見事にまでにアレなフィアンセだよね。落差が激しすぎてこう」
絹旗「なお、某『暗部』にいたクズ男曰く、『あれぐらいだったらまだまだ。そこそこレベルの高いクズだったら割り切って結婚する』だそうで」
鳴護「あれより下があるのがもう恐怖だよ」
絹旗「そして『売れた後で復縁を迫りに行き、断れたら可能な限りあることないことデマをバラまく』と
鳴護「ヨナ○さんに斬られるよね？そしてそうなったとしても『あぁ良かったな』としか思わないし」
上条「それと同じ状況に俺は陥ってんだよ！分かるかっ！？」
鳴護「涙子ちゃんが回避したので『じゃこっちで』って、割りと軽い気持ちで巻き込まれただけだよね？てか早くやらないと終わらないと思うんだけど」
上条「くっ！ここに俺の味方はいないのかよっ……っ！？」
鳴護「全部日頃の行いがマホカン○してるだけだと思うな？具体的には、去年」
上条「うっ……頭が割れるように！」
鳴護「監督お願いします」
絹旗「超任されました。カチ割って中身がスイカにすり替わっていないか確認すればいいんですね。せーのっ」
上条「見ろやテメー！？アリサがいつのまにか逞しくなって！今もっかい映画リピートしたらシャットアウラにマウント乗りしてボッコボコにしてそうだぜ！」
鳴護「お姉ちゃんに体術だけで勝てる人は少ないと思う。そして相性の問題で最愛ちゃんでもちょっと厳しい、かも？」
絹旗「同じレベル4ですからね。泥仕合になると体力の無い私に超不利です」
上条「そうだな！じゃあ俺は主人公も一人減ったことだしこの先生き残るためにも戦闘訓練してくるぜ！それじゃっ！」 ｼｭｯ
絹旗「おっと超待ちなさい。あなたが逃げるのであれば残ったARISAさんがMUTEK○デビューですよ。それでも超いいんですか？」
上条「くっ……！なら仕方がない！俺が犠牲になろう！」
絹旗「ふっ、その言葉を超待っていました！敵ながらアッパレです、ここは私が代わりに一肌脱ぎましょう！」
上条・絹旗「……」 ｼﾞｰｯ
鳴護「あれあれおかしいな？『どうぞどうぞ』の流れになってるけど、激流を流れる木の葉のように敵と味方が入れ替わってるよね？」
鳴護「あと前から思ってたんだけど、涙子ちゃんも最愛ちゃんも仲良すぎないかな？ちょっとおかしいよね？」
絹旗「ではARISAさん、試合前のインタビューからの超撮りで如何でしょうか？」
鳴護「なんて危険な現場！？気をちょっと抜いただけで人身御供の流れ弾が飛んでくるね！」
上条「いいかいARISA？ この世界にはね、色々な数の癖（へき）の人がいてね」
鳴護「うんそこから話は広げられないよ？だって癖（へき）の話しちゃったからね？もう行き先は決まってるよね？ギャグ以外ないよね？」
上条「――そんなときには夜空を見上げてほしい。星がどこかで瞬いているのは、きっとその星で雨が降ってシャツを透明に」
鳴護「当麻君は黙りなよ？星の王子様って場末のしょーもないネタにしていい話じゃないんだよ？」
上条「冷静になって考えてほしい。この世界には簡単に分けると四種類の人間が居るんだ」
鳴護「結構いるよね。簡単に分けても二択じゃないのかな？」
上条「まずはイリ○たんが好きな人、美○たんとク○たんが好きな人で三種類。そして残った一種類は――」
上条「――三人とも好きな人、かな」
鳴護「うん、長尺でボケて貰って悪いんだけど、その例えば『あぁ分かる分かる！』って人いるかな？いないよね？今見てるアニメの話するってどうかと思うよ？」
鳴護「そしてその四種類の人たちに言えることは、全種類がもれなくペ×だって事だよね？だって全員ちっちゃいし小学生だからね？」
鳴護「あとせめて例えるんだったら余所様の世界じゃなくてこっちじゃダメなの？なんで余所まで行ったの？」
絹旗「あぁ良かったですねARISAさん。今は去年のツッコミ強化をしていなければ超危ういところだったかと」
上条「次はノリツッコミだな！レッサーを講師として招かないと！」
絹旗「今だったらイギリス超自虐あるあるで一本作れそうですよね」
鳴護「――もういい加減にしてほしいかなっ！当麻君も遊んでないでさっさと終わらせるよ！イメージビデオ撮るだけでしょ今日は！？」
上条「あ、キレた。ふっ、そんなに俺の苦しんでる姿が見たいっていうのうか……！」
鳴護「うんまぁ、態度的にはそれでいいかなって思えちゃうよね」
絹旗「まぁARISAさんにさせると超ありとあらゆる意味で『生々しすぎる』ので今回は男性起用となりました――さて、ではIVを撮る前に超基本な的な質問をします」
絹旗「イメージビデオとはなんぞや、と」
上条「またスッゲー根本的な所から来るな！そしてその知識が必要とも思えねぇな！」
鳴護「……あぁまぁ、分かるような気がするんだね。あたし的には
上条「意外な所から援護が来たけど、どういう風に？」
鳴護「こう、グラビアとかスチールのお仕事貰うじゃない？そうしたらまぁ撮影されるじゃない？」
鳴護「カメラマンさんに色々言われて表情作ったり目線送ったりポーズ決めたりしてるとね――」
鳴護「『――あれ？あたしはなんでこの仕事をしているのかな？』って」
上条「事務所と方向性について話し合うべきじゃないかな？俺からはアドバイスできるのはそれだけだよ？」
絹旗「私が言うのも超なんなんですが、あなたは一度初心に返って声優業を極めた方がいい」
鳴護「中の人ね？当麻君も度々言ってるけど、外側はイジってもいいけど中の人に飛び火するのホントやめてくれないかな？」
上条「いやでも最近の仕事はマルチになってきてるしぃ！強いられてるんだから仕方がないよな！」
鳴護「垣根がなくなってきてるのが何とも……」
絹旗「ともあれお二人の認識は分かりました――が、甘い。超甘いと言わざるを得ないでしょう……！」
上条「なぁアリサ、なんで俺ら怒られてんの？」
鳴護「うん、たまにいるんだよね。初対面なのにマウント取ろうって話振って時間無駄にする業界の人。大抵スベってるんだけど」
絹旗「まぁ超一言で言えば産廃です」
上条・鳴護「なんて？」
絹旗「『大丈夫かこれ？これ大丈夫か？』という業界です。IVは」
上条「あれこれ翻訳魔法エラー起こしてないか？たまにあるだろ、将棋とか」
絹旗「お前のとーちゃんーイーギリース人−」
上条「っだゴラテメコラ！？やんのか！？表出ろゴラアァッ！？」
鳴護「当麻君も病んできてるよね、レッサーちゃんの本当にあった黒歴史シリーズの後遺症が」
上条「病みっていうかアイツらの歴史は基本闇なんだよ！日本史ならぬイギリス史って子供に聞かせられる話じゃねぇぞ！？」
（※答え；「教えていない」）
絹旗「えぇまぁ、誠に超恐縮なのですが……IV業界もそんな感じでして」
上条「ヤッパリか！監督が出張るってことは一筋縄じゃ行かないと思ったらやっぱりそうか！」
鳴護「想像つくよね。控え室に水着が置いてあった時点で分かるもんね」
絹旗「まぁぶっちゃけ超斜陽なんですよ。グラドル業界そのものが」
上条「大丈夫かこれ？またどっかにケンカ売ってるよな？」
絹旗「えぇと本日の企画は自称映像作家と名乗るSE屋（システムエンジニアではなく音響の方）から超伺った話なんですが」
絹旗「なおその方は休みの日にガンマイク持って始発電車の踏み切りの音を撮りに行く超HENTAIです。あのカンカン音ですね」
（※実話です）
上条「すいません監督。監督のその謎人脈に引きます」
鳴護「どういう状況？なにをどうしたらその始発の電車の音が必要になるんですか？」
絹旗「ドラマやゲームのSEで使う際、できれば超リアルな音を撮りたいというプロの魂、ですかね」
上条「本当に闇が深い業界だな」
絹旗「静止画の世界、昔のゲームだったらそれも超可能なんですけど、今はこうモーションに合わせて音を用意する必要がありまして」
絹旗「再生速度をイジることで多少の調整は効くんですけど、やはりそれにも超限界というものが……」
鳴護「そこまでする意味が分からないです」
絹旗「あー……ドルビ○デジタルってご存じ……な、訳ないですね。スピーカー複数置いてあたかも現場にいるような臨場感！という技術なんですが」
上条「あ、聞いた事ある。ホームシアターだっけ？雑誌でワンセットの値段見て『高い！……けど車よりはまだ……？』って」
絹旗「その技術が出始めた頃から3D音響、あー……例えばあなたがアニメの主人公だとして、踏み切りの前に立って電車が通過するのを超待つとしましょう」
絹旗「で、まぁその処理をエフェクトで再現するとしてすれば、電車が来る方のLRボリュームを上げて逆側は超下げます」
絹旗「通過中は両者を超同じ、通過後に反対側の音量を上げてもう片方は下げる――」
絹旗「――と、いうぐらいにちょっとした映画ではこの手の”編集”が。ぶっちゃけそのシーンにいる人間よりも深く深く入っていけるようなエフェクトがかけられています」
鳴護「臨場感出すのにも大変なんだねぇ」
絹旗「えぇまぁそれに加えまして年々音質がダダ上がりしてますでしょう？家庭用でも数万あればソニ○のそこそこいいのが超手に入っていますし」
絹旗「そうなってくると素材をイジルだけでは超飽き足らず、『よし！それじゃ踏切行って収録してくればいいね！』だ、そうです」
上条「正気なのかな？てか踏切一本にそこまでするか！？カンカンだぞカンカン！早朝に！」
鳴護「物語テーマだったり大事なシーンだったらまぁ、分からないでもないかな」
絹旗「余談ですが早朝というのもちゃんとした理由がありまして。生活音が入りにくいんですよ、具体的は人の声だったり車の音だったり」
絹旗「人の行き来が多いと雑音が入りやすいので、超消去法で朝晩となると」
上条「朝晩……あぁ夜はマズいか。ガンマイク持った人が踏み切り立ってたら通報案件だ」
絹旗「あぁ、夜は避けて朝に収録するのもそれはそれで理由が。某神奈川の某踏切で録音したのを、家帰って超聞いたんですよ」
絹旗「するとカンカン音に被せるように、『どいて……』って女性の声が……！」
（※実話らしいです）
上条「オイやめろよ！？怖い話聞く身構えしてねぇのに爆弾放り込んでくるなよ！？」
鳴護「『危ないからどいて』なのか、『私が通るからどいて』なのか、解釈の仕方に迷うよね」
絹旗「なので音響素材集めが熱い！らしいです。HENTAIの所業と超笑ってやってください」
鳴護「謎の職業があるんだね。現代社会の許容値が広いっていうか」
絹旗「まぁそんなような一応の業界人から話を聞いたところ――『終わってる』んだそうです」
上条「話の流れでいうとグラビア界が、か？」
絹旗「20年ぐらい前までは超活気があったんですよ。週刊誌に誰それが載るだけで売り上げが変動する、という時代がありました。広○辺りの話ですね」
絹旗「清純派路線の値札をつけたアイドルも、バラエティ路線のアイドルも、『取り敢えず知名度上げるためにやっとけ！』みたいな感じで次から次へと」
鳴護「すいません監督。冗談抜きで中の人含めスナップのお仕事貰ってる身としては傷つきます」
絹旗「あぁいえ需要はあるんですよ？確実にファンの方は買いますし、実際に宣伝にもなっているんですが――が」
絹旗「果たしてグラビア目的で雑誌買う方が超どれだけいるのかと」
上条「あー……」
鳴護「なんか当麻君がスッゴイ頷いてるんだけど。何か引っかかることでも？」
上条「昔から思ってたんだよ。何でジャン○を除く漫画雑誌にはアイドルのグラビア載ってんのな？っては」
絹旗「あぁ少年ジャン○は腐女子か二次元にしか興味のない人しか超買っていませんから」
上条「その暴言は看過できねぇよ！？普通に読んでる人だって多いよ！」
鳴護「最大発行部数を誇ってる雑誌からして、だからね」
絹旗「まぁ答えは簡単で、関連する事業を超一括してやってるからです」
上条「えっと、事業？」
絹旗「雑誌に載った記事の隅っこ、『売り出し中の○○ちゃん！新しい写真集は○○発売！』みたいな告知が超あるじゃないですか？」
鳴護「タイアップだね。あたしも曲売るのに何回か……うん、何回かね」
絹旗「発行してる出版社がその雑誌と同じだったり系列だったり、超よくある話ですが」
上条「マッチポンプじゃねぇか。業界なんてそんなもんだろうけども」
絹旗「それが悪いって事ではないですからね。事務所が出版社とタッグを組んで販促する。これはマネージメントとしては超当り前です」
絹旗「広告を出すようにアイドルがグラビアを出し、それが支持を得て人気となる、というサイクルが続いていたウチは超良かったんですが」
絹旗「超飽きられましてね。業界全体が」
上条「……理由を聞いても？」
絹旗「超多角的に存在します。まずは粗製濫造、類似商品があまりにも溢れすぎました」
鳴護「人に対して使っていい言葉では……あぁいや改造的な意味では的外れでもないか……」
絹旗「一時期はレーベルも含めて大いに盛り上がったんですよ？あの超クソ忌々しいイエローがキャブするような事務所とか」
上条「私情が入りすぎてます監督」
絹旗「しかしながらデビュー初期は多少話題になりスタートダッシュが稼げたとしても、そのあとの展開で大体超コケる」
鳴護「それ自体は悪い事じゃないと思います、けど。ファンの方に認知されるチャンスを貰った的な感じで」
絹旗「えぇまぁそうなんですけどグラドルはそれが”アガリ”ではないでしょう？いつか引退して他の分野で超活動するまでの腰掛けと」
絹旗「にも、関わらず。事務所が演技の指導をさせず、知名度だけでドラマのオファーを受けたりして超悲惨なことになるのが後を絶たず」
絹旗「あぁいや超誤解しないでくださいね？そういった彼女たちの屍の上に燦然と輝くクソ映画の群れもありすまんで！」
鳴護「流石最愛ちゃん！比較的なんでも美味しくいただいちゃうよね！」
上条「ノン×でも食っちまうよな！」
絹旗「なので当然事務所側としても女優さん側としても『この業界先がねぇな』と超敬遠されつつあり、更に質が低下しています」
絹旗「もっと言いますとルートが外れた？昔はスターへのし上がるための手段として、グラビアで知名度を稼ぐという手法が多かったのに今じゃ超敬遠されがちだと」
絹旗「まぁそれには二番目の理由、購買層の変質にも超繋がるのですがね」
上条「いやいや購買も何も、グラビア楽しみにしてるんだったらヤローしかいないだろ。釣られて買うのも悲しいが俺達しかいないからな！」
鳴護「なんて普通に悲しい……！」
絹旗「えぇまぁ誘蛾灯に超飛び込む羽虫ならそうなんですが……まぁ人口の半分は女性ですよね？誤差レベルではほんの少し多いようですが」
絹旗「なんて言いますか、グラビアであんま活躍しすぎると”そっち”から反感買って好感度が下がるって現象が」
鳴護「あー……うん、なんか分かる気がする」
上条「どういう？」
絹旗「超ぶっちゃけますとエ×を出し過ぎると同性に嫌われ、結果的にエ×以外の仕事をやりにくくなると」
上条「グラビアで！？……あぁでも嫌は嫌だろうな。とーちゃんかーちゃん見たら泣くだろうコレってのもあるし」
絹旗「なので事務所側として”それ以外”で成長が見込めるタレントは、わざわざ肌を出さずに売っていくのが今の超流行りですよね」
上条「世界が変ってんだなぁ」
絹旗「そしてここで問題が生じます。そりゃ超可愛い子でしたらその路線でいいですけど、それ以外の『あーなんかちょっと足りないかな？』ってタレントいますよね」
絹旗「グループにして売るのも『うーん……』みたいな子が、穴場を求めてグラビア界で無理をするのが超増えてきています」
鳴護「……あぁ、そうやってまたよく分からない人たちが……！」
絹旗「当然超美人もいますが、昔と違って事務所もそんなに力を入れていないため、『うーん……？』みたいな？詳しい論評は避けますけど」
上条「監督が言葉選んでる時点で暴力だよ！」
絹旗「そして最後に！超決定的なまでの差がついた理由は――」
上条「は？」
絹旗「初音ミ○さんが超登場したのです……ッ！！！」
上条「なんでだよ！？100歩譲ってそうだとしてもジャンル違うじゃねぇか！？」
鳴護「初○パイセンはグラビアのお仕事はやってないです」
絹旗「ってのは流石に超冗談ですが、まぁ多様化ですかねぇ。今時グラビアwwwも草生やされて終わりでしょう」
鳴護「その草生やされるお仕事をさせられているあたしは一体どうすれば……？」
絹旗「ぶっちゃけエ×を求めるんだったらイメージビデオも不必要ですからね。もっとアレなのは超ありますし」
上条「……ここまでグラビアをコケにしておいて今から撮るの？テンションが上がらないにも程があんだろ！？なあぁっ！」
絹旗「――いえ、それが超意外でもなくIVは超深いんですよ？」
鳴護「あたしがいうのもなんなんだけど、具体的には？」
絹旗「顔が笑顔なのに目は虚ろなアイドルとか、制作の無茶振りで超しょーもないシチュエーションだとか」
絹旗「更に厳選された作品には『あぁこれギャグで撮っているんだな』と乾いた笑いしか出て来ないものとか！そういうものを超取り上げていきたいんです！」
上条「なんだいつもの通りか。大体俺らが監督から課されている苦行と同じじゃねぇか」
鳴護「監督監督、『顔が笑顔で目が虚ろ』は去年のサメ映画二週目ぐらいのあたし達もです」
上条「どんなに楽しそうに笑おうとしても、ただただ乾いていたもんな。スナス○の実の能力者から攻撃されてんのかと思ったわ」
――Aクラス
絹旗「さて、ここからがIVあるあるに超移行したいと思います」
鳴護「あの……当麻君だけ置いて帰っていいですか？あたしには荷が重すぎます」
絹旗「え？この中でIV撮影経験があるのはARISAさんだけじゃないですか？」
上条「個人的にはどんな撮影してるのとか知りたいような？」
鳴護「って言われても……あたしの場合は、ホラ、大東島行って海で泳いだり浴衣着たり、そんな感じなんだけど」
上条「だよなぁ？俺もそんなに見たことがあるわけじゃないけど、アイドルが遊んでるのを見るってイメージが」
絹旗「それはAクラスですね。大体大手の出版社がやってるまともなIVです。竹書○とかワニブック○とか」
上条「まともって言った？まともじゃないIVってあんの？」
絹旗「こちらがAクラスIVロケーションスタジオになります。さっ、超移動してください」
上条「うわ……南国だな！つーか無駄に凄いわ技術力が！」
鳴護「本当に無駄な予算を――あ、貫通するからVR？」
絹旗「これでも大いに無駄ですが。砂浜で撮影開始します――はいどうぞ！」
上条・鳴護「……」
絹旗「超何やってんですか！カメラマンさんはアクターさんに支持出してください！」
鳴護「あ、あたし？」
絹旗「他にいませんよ！あなたの超撮ったIVを思い出して！さぁ早く！」
鳴護「あー、じゃあアクターさん、はーい笑ってくださーい」
上条「こ、こう？てか喋っていいの？」 ﾆｶｯ
鳴護「全部音声ぶった切られてフリー素材っぽいBGMに差し替えられるから大丈夫でーす。はいカメラ見てー、波打ち際まで歩いてくださいねー」
上条「お、おう？」
鳴護「はいちょっと沖を見て！遠くを指さして下さい！『あれ、なんだろー』みたいな感じで！」
上条「おっ、なんかあるなー！なんもないけどなー！」
鳴護「はい視線こっち！首を軽く傾けて媚びるように！」
上条「やってやるぜチキショー！」 ﾆｺｯ
鳴護「あとは走ってみましょうか！一回走って途中で振り返ってください！」
上条「おらーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ！」 ﾀﾞｯｼｭ
鳴護「――はいカットおぉ！それじゃメイクさん化粧直して下さーい！」
上条「なんでだよ！？大してなんもやってねぇじゃねぇか！？」
鳴護「いやこんな感じだよ！？何かこう具体的なプランがある訳でもなし、ただ監督さんかカメラマンさんの指示でテキトーに動くだけで！」
（※マジでこのレベルらしいです）
絹旗「特に何をする訳でもなく、映画と違って何か演出する訳でもなく。ただアイドル好きに『どう！？』的なブツですからね」
上条「これよく精神耐えられるな！？段々虚ろにってなくるわ！やる気以前の問題で！」
鳴護「……うん、当麻君はいいよ？これが最初の一本で最後の一本になるだけだからね？」
鳴護「でもあたしは！きっとこのあとも何本か撮るんだよ！中の人込みで『一体コレってどんなお仕事なの？』って虚ろな目をしながらね！」
絹旗「可哀相なARISAさん。声優として可愛かったのが超仇になりましたね」
上条「だから中の人イジんなや！俺は、俺たちはこの際どうなってもいいからあっちまで迷惑かけるような真似は勘弁してくれよ！」
絹旗「ちなみにARISAさんは他にはどんな超撮影を？」
鳴護「超撮影はしてないですが、えっと定番が……一応、はい」
絹旗「そうですかバランスボールですか！超いいですね！」
鳴護「監督、何も言ってないのに超反応しすぎです！まぁありますけど！」
上条「バランスボール？……あぁ、通販で一時期流行ったアレか。体幹鍛えてどうすんだよ」
絹旗「まぁまぁ論より証拠と超いいますし、こちら用意してありますのでまず試して下さい」
上条「実は一回ぐらい試してみたかったんだ――」 ﾎﾟﾖﾝｯ
上条「……」 ﾎﾟﾖﾝｯﾎﾟﾖﾝｯ
絹旗「感想は？」
上条「最初の一ポヨンで飽きる」
鳴護「だよね。特にこう感想はないんだけど、ただこう、うん、なんかね」
上条「そしてこれ女の子を乗せて揺らしたいんだろうなぁ、以上の感想は出て来ない。つまり今の俺は無ってことだ。ネオエクスデ○さんよりも更に虚無なんだ」
鳴護「言葉の意味は分からないけどとにかく凄い無だよね！」
絹旗「私も超不愉快なのでコメントしたくないんですが、その筋のプロのARISAさんから何か一言あれば」
鳴護「えーっとね、これさ？あくまでもボールの上に腰を落としたり乗っかったりしてバランスを取りましょう、って使い道なんだよね。邪悪ではなく本来は」
鳴護「最初の一回はともかく、今の調子で完全アドリブで何度も何度も撮られてると、完全にもうバランスが取れてしまう体に……！」
絹旗「健康的でいいじゃないですか。運動器具なのに慣れちゃって運動にならないという超欠点に目を瞑れば」
上条「あの……監督？これまだAクラスなんですよね？ってことはまだ何クラスかあとに控えてるってこと、ですよね？」
絹旗「はい。超予定ではBとCがありますね」
上条「そのクラス分けってのは、一体どういった基準で……？」
絹旗「より、レベルが低くなっていきますが何か？」
上条「やっぱりじゃねぇか！？映画と同じでより悪くなっていくパターンだよ！？」
鳴護「てゆうかあたしの撮ってたお仕事より”下”があるってことに動揺を隠せないよね……ッ！」
絹旗「いいですかー？この世界は超可能性に満ち溢れているものです。『あぁこの映画より下はねぇだろ』とか思っても、数年後に覆されるひとがしばしばあります」
鳴護「いいこと何も言ってないからね？ただの業界批判だからね？」
絹旗「具体的には犬鳴○を見た後にサイレ○を超見返すと、『あぁまだこっちの方がマシだな！』と」
上条「だから具体名は出すなよ！ググって調べた人が軽い気持ちで見て二次被害が拡散されるんだぞ！」
絹旗「くっくっくっく……何の事だか超分からないですね……私は『面白い』だなんて一言も言っていませんけど……？」
鳴護「この子まさかそれが真の狙いで……！？」
――Bクラス
絹旗「はい、という訳で何事もなかったかのようにセット超移動したわけですが」
上条「投影してる画像変えただけだから俺たち1ミリも動いてねぇよ。できれば落ち着くだけの休憩時間がほしい」
鳴護「まぁこのしょーもない企画のために長時間移動するのも嫌だけど。それでBクラスってどういうの？」
絹旗「Aクラスが出版社として上の方、とすればBクラスは超大雑把に言って『普通』のです。資本金そこそこだったり中堅なりの会社ですね」
上条「あの……こういっちゃアレなんだが、全体的にセットが汚くないか？プールもいつものあれだし、廃墟っぽい場所でIV撮るの？」
鳴護「てかこんな所で水着だったら寒いよね？スタッフは一体何を考えて……？」
絹旗「えぇそれには『予算の都合』という超魔物がいまして……」
上条・鳴護「あー……」
絹旗「先程ARISAさんはヨゴレ仕事と超嘆いておられましたが、『寒くないところで撮影する程度は配慮してくれる』はAクラスならでは特権ですよ……！」
鳴護「すいません監督。その、あたしが恵まれてたのは理解しましたが、だからって感謝する気持ちにはこれっぽっちもなれないです」
上条「てか芸人の外ロケじゃねぇんだから。しかしなんだよその鬼仕様」
絹旗「超残念ながら世知辛いと言いましょうか、『採算が取れる』のであればそれ相応の予算でスタッフやロケを組めるのですが」
絹旗「そうではなく”そこそこの”収益しか見込まれないと、やはりこういう場所でしか撮れないんですよ！？超仕方がないじゃないですか！」
絹旗「この一点においては『ゴミ監督のオ×××映画でもスポンサーがつけば映画を撮れる』点で、映画業界よりも超マシと言わざるを得ません！」
（※「撮れる」だけで採算割れか公民館ドサ回り。結果的にライダ○とプリキュ○の黒字を帳消しにする吉永小百×関係事業）
鳴護「あの、監督？その予算の一部でも他の監督さんへ回すのは難しいでしょうか？」
絹旗「マジレスすると超縦社会かつ批判したら徹底的に干される世界です。毒舌（）を売りしているのに、大御所の日本映画には何にも言わない評論家（）とかいますからね」
上条「オイオイ評論家じゃないだろ。脚本書いてしょっぱい賞貰ってただろ、なぁオイ」
鳴護「当麻君が最愛ちゃんのダークサイドに堕ちつつあるよ……！」
絹旗「なおさっき言ってたセクシーな女優さんがハク付けだったり、R15のIV撮るのも超よくある話なのですが――」
絹旗「そちらは収益がかなり見込まれるため、超撮影するスタジオもホテルもロケ地も全てがAクラス”以上”ばかりということに……！」
上条「ごめんな！俺たちがエ×ばっかりにこんなことに！」
鳴護「まぁ根本的な問題はそこだけど、お仕事を受ける方も必死だってのはあるから……！」
絹旗「では早速実践しましょうか――さっ、アクターの方！このアメを超ペロペロしてください！」
鳴護「Bクラスでそれ！？基本ゲスいけど隠そうって努力もなし！？」
絹旗「まぁ超究極的なところエ×目的以外の何物でもありませんので」
上条「そして本当にエ×が好きな人はセクシーな女優さんが出る方見るだろうしな」 ｶﾞｰﾘｶﾞｰﾘｰｶﾞｰﾘ
鳴護「当麻君が躊躇いもせずにアメを食べてる！？」
上条「いや普通だろ。俺がなんかこう雰囲気たっぷりに食っても需要ねぇよって散々言ってんだろ」
絹旗「意外と腐った方たちには？」
上条「そっちはそっちで俺が一番人気かと思いきや、大抵一方通行のオマケだわ！というか一方通行のファンって全員そっちだろ！？」
鳴護「当麻君のファンの子って『人気投票で下位に来た方がオイシイから投票しない』って過激派が……」
上条「もうファンじゃねぇよそれ！ただのストーカーだぜ！」
絹旗「ファン心理なんて超そんなもんかと。とある大泉○ファンの方が『俳優の仕事全部なくなってどうでしょ○だけやってほしい』とも言っていましたし」
鳴護「タチ悪っ！？純粋に言ってるだけだからより深刻だよね！」
絹旗「まぁしかし！このようなBクラスでも人気を博せばAクラスへの超昇格も（時々）ありますよ！頑張ってくださいね！」
上条「あぁじゃあまぁできる範囲で努力はするけど。Bクラスたって何するんだ？ロケ地やセットやスタッフかショボイだけで、他は同じ？」
絹旗「あとはごく普通に水着を着たままマッサージされたり、水着を着たままシャワー浴びたり、水着を着たまま廃墟を超歩き回ったりします」
上条「どっかの部族？とある宗教の人が肌見せ厳禁なのと逆で水着着用しないといけないの？」
鳴護「……まぁ、そのね。あたしも指示されてると段々”無”になってくんだよね。『これ何やってるんだろう？』って」
絹旗「以上全ての撮影しているときでも、基本的に指示するスタッフは『目線・笑って・俯いて・背中』だけで意志を伝えてくるため、日本語を忘れそうになるそうです」
上条「なんて怖い現場だぜ……！」
鳴護「全てがやっつけだよね！」
絹旗「いや、あのですね？グラビア全盛期にはそこそこ名の知れたカメラマンさんだったり映像監督の方が超いらっしゃったりしていました」
絹旗「しかしなから今のご予算ですと、スタッフにもカネをかけられないため、撮影機材が使えるレベルの人しか超来ない……！」
上条「スゲーなBクラス！この下にもうワンランク下の地獄があるんだなんて、オラワクワクワすっぞ！」
鳴護「ありがとうございますありがとうございます！事務所の社長にマネージャーさんは比較的まともだったんですね！もう文句言いませんからランクは下げないでください！」
絹旗「まぁ……フォローしておきますと、機材がそこそこ超安く買えると言いますか。ぶっちゃけスマフォレベルでも撮れるっちゃ撮れるので、そんなにプロの出番がないって言いますか」
鳴護「ヨゴレ仕事だからね。カメラマンさんももっとこう生産性の高いものが撮りたいと思うよね」
絹旗「そして素人がノリとテンションで撮る上、スケジュールも数日単位なのでクオリティも超下がると……」
上条「誰が得するんだよ。てかそんなんで買う人いるっつー方が不思議だわ」
絹旗「いないから超オワコン扱いされています。そりゃ真っ当なアクターさんも嫌がるわって話で」
鳴護「あの、監督？学園祭のノリじゃないんですから、もっとこうマシな感じなのはないんでしょうか？」
絹旗「私が制作に関わったことがないため、何とも言えないんですが。予算か時間、できればその超両方がそろっていませんと」
上条「映画とは違う？」
絹旗「逆に聞きますが、どれだけ予算があろうとも撮影現場にホーガ○娘が来たら超詰みます。どれだけ予算があろうとも……！」
上条「オーケー監督、分かりやすくはあったが言葉を選べ？なっ？」
絹旗「何かしらの”柱”、超ぶっちゃけ映画だったら脚本やら演出で誤魔化しは効くんですよ。実際に面白い映画は美男美女ばかり出ているわけではないですよね？」
絹旗「ただそれがIVでする事も一緒ですし、新機軸を取り入れるわけでもないのだと、何をどうやっても素材の善し悪しで全てが超決定されてしまいます」
鳴護「どれだけ聞いてもこれから先の展望が見えてこない業界だよね……ッ！」
絹旗「ただ基本的に出演されている方は大真面目ですので、グラビアアイドルwwwと草を生やさず、超温かい目で見守ってほしいものです」
鳴護「……うん、全体的に雑だなぁって感じるし、苦労はしてるんだろうね。しなくてもいい苦労を」
上条「あの……絹旗監督？ちょっといいっすか？」
絹旗「はい？」
上条「なんかシメっぽいコメント出してるところに恐縮なんですが、これこのあとまだ続きますよね？IV最下層、ある意味コキュートスが残ってますもんね？」
絹旗「残りは割りと地獄です。なので良識ある方やドン引きしたくない方はここで閲覧を超終了させて下さい」
上条「あぁ確かにアリサにはさせらんねぇな！？俺で良かったわ！そんなクサレ仕事ヤローがギャグ半分でしかできないわ！」
鳴護「上を見ればキリがないけど、下を見たら後がない……！」
――Cクラス
絹旗「さて、ではここからが地獄です。てゆうかIV業界でも”滅多に”はない超問題作のヤラカシをご紹介したいと思います」
上条「Bクラスで引いてるのにその下ってどんだけ闇が深いんだ……！ちょっと楽しみだぜ！」
鳴護「当麻君、ホンッッットに気をつけてね？ミイラ取りがミイラ職人になりつつあるよ？」
絹旗「ではまず一本目、グラドルさんもやっぱり超引退の時はあるじゃないですか？どなたさんでもそうですけど」
上条「そうなの？」
鳴護「あるんだよ。スタイルだって維持するのにどれだけ苦労してるか」
絹旗「まぁ様々な事情はあるでしょうが、こればかりは年齢もありますしね。お歳ょ召されても超お綺麗な方もいるにはいますが、それは基本的に例外ですし」
上条「監督が超言葉を選んでる時点でアレなんだなって分かるわ……でもここアレじゃね？普通のビジネスホテルっぽくね？」
鳴護「”普通の”だよね。落ち着いた壁紙で、特に特徴が有るわけでもなく」
絹旗「はい、ではアクターさん超撮影をしますのでベッドの方へどうぞ」
上条「あ、うん。こう？」
絹旗「ここでゴロゴロしながら30分弱超撮りましたー。ではバスルームへ移動してください」
上条「移動も何も画像が切り替わるだけだから。はい、移動しました」
絹旗「ここでまたシャワーを浴びつつ30分弱超撮影しましたーとという体で」
上条「風邪引くだろ。お湯使えばいいのに」
鳴護「レンズ曇るから基本的には、ねっ？あたしもどうかと思うんだけど」
絹旗「――あぁい完成しました！以上で撮影は超終わりとなります！スタッフ撤収となります！お疲れさまでした！」
上条「早っ！？実質1時間弱で終わり！？」
絹旗「っていう作品が超マジでありました」
（※一切盛っていません）
鳴護「低コストだけど……いいのそれ？なんと言うか、引退、なんだよね？」
絹旗「恐らく事務所側とモメるに超モメたんだと思います。ご本人にやる気の欠片もなく、ただビジネスホテルの一室で撮っただけの超低予算作品でした」
上条「何か……切ないな！」
絹旗「ちなみにその方は『ミス・ヤング○○○○グランプリ！』的な人です。曲がりなりにも雑誌のトップを取った（という体裁）なのに、業界を超去るときにはこんな感じです」
鳴護「あぁ斜陽……うん、本当の意味でそんな感じなんだね」
絹旗「加えて言いますと”引退作”って銘打って出して貰えるだけまだマシ、って部分も超あります」
絹旗「あー、名前出しますけど次原か○さんってグラドルさんが居ました」
上条「だから大丈夫か？訴えられたら即座に謝れよ？」
絹旗「あぁいや彼女はグラビア界では超かなり著名な方です。映画で助演女優だったり、ホラー映画の呪○にもちょい役で出たり、活躍している方です」
鳴護「あたしは聞いた事ない人なんだけど、今は何を？」
絹旗「消息不明です」
上条・絹旗「……は？」
絹旗「ご本人のブログ更新も途絶えて7年弱。事務所側からは引退したともしないとも発表されずに、超それっきりです」
上条「映画やってんのにか？」
絹旗「はい。超真面目に論評しますと普通に見られる演技でしたよ？光ってはいませんが違和感もないぐらいの感じで」
絹旗「しかしそんな方でも突然姿を消します……超怖いですよねぇ」
鳴護「それはなんか別の要因があったんじゃないのかなー、なんて思ったりするんだけど。不祥事的なアレとか」
絹旗「まぁ恐らくそうなんでしょうが、そこそこ有名な方でも超消える業界です。まさにオワコンだと」
上条「今の話はグラドルの闇なのか芸能界の闇なのか、ちょっと判断しにくいかな……」
絹旗「では更にステージを移しまして、こちらはとある某第三セクターが超運営するアミューズメント宿泊施設です」
上条「あぁ！名前は言えないし俺も見たことがない立派なホテルだな！俺は全く知らないから分からないけど！」
鳴護「当麻君はもっと嘘吐くの上手くなった方がいいよ？人を傷つけるからね？」
絹旗「さっ、今日はここを借り切って撮影しましょう！超豪華ですねー！」
上条「マジで！？やったなアリサ！俺もついグラドルの頂点にまで登り詰めたぜ！」
鳴護「無理だよね？流石にアレな業界でも男性が一躍トップに立ったら、ビルボードチャートの”民族音楽・その他”ってジャンルだよね？」
絹旗「プールは使い放題！しかも施設内は人が居ないので自由ですよー！超やりましたね！」
上条「全くだぜ！でも基本撮影スタイルは水着でウロウロするだけだけだから関係ないけどな！」
鳴護「最愛ちゃんがテンション高くなるってこと、大体高く高くタメておいて落とす時なんだよね」
絹旗「はい終わりましたよ！撮影は以上となります！アクターさんも超お疲れさまでした！」
上条「今回のは自信作です！売れるといいなっ！」
絹旗「――では今の”プロモーション動画”の公開は○○月になります！超楽しみにしていてくださいね！」
上条「待てやコラ、テメいまなんつった？」
絹旗「え？ですから超プロモーションムービーをですね」
鳴護「今のって当麻君撮ってたよね？」
絹旗「えぇですから”施設のプロモーション撮影（宣伝用）と称して使用許可を取り、グラドル連れ込んでIV撮った”んですけど何か？」
（※っていう噂。”ここまで”はただの噂）
上条「ごめん監督。あまりにも酷すぎて感情がついてこない」
絹旗「ですから『あ、第三セクターの施設で撮影したいなーでも許可降りないだろうなー』」
絹旗「『――よし！じゃあ嘘の申請すればいいや！』と」
上条「だから重いっつってんですよ。幕の○選手のボディブローを延々喰らってる気がします」
鳴護「……いいの？」
絹旗「超いいわけないじゃないですか。その後スタッフもアクターさんも話を聞きません」
上条「裁判沙汰になってないんだったら……まぁ、嘘か盛ってる、んじゃないか？」
絹旗「まぁここまでは話半分なんですが……ただ、中身を見たら超納得できる感じの作りでした」
鳴護「どんな？監督が納得するような地獄だったんですか？」
絹旗「では超具体的に。アクターさん、ジャージの前をはだけて座って下さい。あ、こちらがカメラだと仮定して」
上条「あいよ」
絹旗「まぁこれはIVではよくある風景ですよね。超見えるようで見えない、頭の悪さを前面に出すスタイルです」
上条「日本に約半分いる俺たちだよ。悲しいがそういう生き物なんだよ」
絹旗「が、しかし横からは超普通に見えるわけですよね。ARISAさんの角度だと」
鳴護「うん、当麻君の大胸筋が見えてるけど。女の子だったら問題あるよね」
絹旗「――っていう角度からの動画もまんまIV超入れやがったんですよ」
（※盛っていません）
上条・鳴護「タチ悪っ！？」
絹旗「何故か演者さんの大学の同級生が妖精役でチョイ出演していたり……！」
（※盛っていません）
上条「なんて？そして、なんで？」
絹旗「そしてIV終盤に演者さんがオリジナルのテクノソングを歌い出す……！」
（※盛っていません）
鳴護「監督、お時間貰えませんか？一つ一つの現実を咀しゃくして受け入れるのに時間が必要だと思うんです」
絹旗「当然その方の超出演はそれが最初で最後です。これ以上業界にいても良い事は無かったでしょうし、まぁ……はい」
上条「スタッフ最低だなそれ！？そしてよくまぁ発売したな！？」
絹旗「私が出演者の親だったらスタッフ皆殺し行っていると思います。えぇ超確実に」
（※えぇ確実に）
鳴護「怖い！怖いよ当麻君！人間不信になりそう！」
絹旗「恐らく、ですが。口ばかりで実績もクソもないスタッフが集まって、超適当に事務所にも入っていない女の子を騙してってのが真相かと」
（※100%発売前に事務所のチェックが入る）
絹旗「今では絶版になっていますが、普通に考えれば超事件でもおかしくないのに。スルーされていますね」
絹旗「超”笑った”のはサメ映画マラソンで『ラブホの鏡に見きれる全裸カメラマン』だったのですが、こうなってくるともう……」
上条「……その子、大丈夫か？今後の人生ハードモードになってないか？」
絹旗「まぁそればっかりは何とも。名前出すのも二次被害に超繋がるためここでは出しませんが」
鳴護「なんて闇が深い業界なんだろう……！」
絹旗「スタッフ全員は超確実に村八分にされるので、類似の被害を出した話がないのがまだ救いですが……いや、本当にARISAさんも超気をつけてくださいね？」
絹旗「冗談抜きで事務所の看板ないアイドルは、この手の悪質な詐欺に超引っかかりやすいですから」
鳴護「はい！ありがとうございます！」
絹旗「あなたが引退してしまったら、誰が私のムチャ振りに答えるのでしょう！超大事にしてくださいね！」
鳴護「やっぱり邪悪な意図じゃないですかコノヤロー」
上条「そして俺は当て馬かコノヤロー。いやまぁマジでIV撮られても困るけどもだ！」
-終-
（※大体実話です。皆さんもIV撮る？と誘われたら断る勇気を）
絹旗「――はい、という訳で今日からイメージビデオの撮影へ超入りたいと思いますが」
鳴護「あの、ちょ、ちょっといいですか……最愛ちゃん？」
絹旗「最愛ちゃんではありません！撮影が始まったら絹旗監督と超呼びなさい！」
鳴護「あれこれなんで怒られてるんだろ？まだ始まってないので呼ぶ必要はない思うんだけど……」
絹旗「スタッフとして当然の超心構えではないですか！あなただって街でバッタリ上司と出くわしたら『よっ社長』と呼ぶでしょう！？」
鳴護「そんなテンションでは呼ばないかな。だって完全にナメてるからね。その呼び方飲み屋でオゴってもらう方がする感じだよね」
絹旗「それで何かご不満でも！？」
鳴護「監督が何を怒っているのか分からないんですが」
絹旗「とある筋によると某監督の新作映画が超そこそこ面白かったらしく、それでちょっとガッカリ……」
鳴護「あれかな？監督は混沌と人の負の感情を糧にして生きている魔族とかなのかな？もしくはレッサーちゃんと同じ種族？」
絹旗「くっくっくっく……！あなた方は安心しているようですが、この私を倒したところで第二第三の超ダメ映画マニアがこの世に産み落とされるでしょう……！」
鳴護「いやそういうの結構です。そして最愛ちゃんが死ななくても勝手に増殖していきます」
絹旗「あぁでは今から『恋に落ちたシェイクスピ○』でも」
鳴護「主旨変ってますよね？そしてそれデートで見たら確実にフラれるやつ」
（※隠れた題名詐欺映画の一つ。やったら濡れ場が多い）
絹旗「では念願のコックリさん映画マラソンを」
鳴護「日本の映画界は大丈夫ですか？サメ映画マラソンやったようにこっくりさん量産されてるって地獄ですよね？」
絹旗「えっと……じゃあ何か希望でもあれば？どんなジャンルのゴミ話が聞きたいですか？3.1○の○○○○○○○の所業とか？」
鳴護「それ絶対に言えないヤツですよね？地上波どころか関連書籍ですらおおっぴらには言えないことの一つですよね？」
絹旗「なんなんですからさっきから超ダメ出しばかり！そんなに自分が主役じゃないと気が済みませんか！？」
鳴護「超済んでます。このお話を頂いたときも『あ、スタッフで？』って非常によく眠れました」
絹旗「では何が問題だと？」
鳴護「主役っていうかまぁ主役なんですけど、ほら、あれ」
上条（※ビキニ装着）「……」
絹旗「あぁちょっと水着が超派手すぎましたか」
鳴護「待って！？既にレ××目の当麻君にこれ以上悲しい思いはさせられないよ！？なんだったらあたしが撮影代ってもいいよ！？」
絹旗「えぇ私も、半ばギャグで超置いておいた女性ものの水着を本当に着てこられると引きます」
上条（※ビキニ装着）「もう殺せよ。ひと思いに殺してくれよ」
鳴護「ほら見て！魔物に改造されたなろ○系冒険者（※噛ませ犬）の最後っぽい台詞を言ってる！」
絹旗「『こんな状況になったのは自業自得、かつ助けるため』と殺人の超ハードルを下げているんですよね。勉強になります」
上条（※ビキニ装着）「俺は知ったさ。『あぁそういえば”御使堕し”のとき青ピがやったらテンション高かったな』ってさ」
上条（※ビキニ装着）「でも分かったたんだ！テンション上げておかないととてもじゃないがワンピースの水着なんて着られない！」
鳴護「なんか論点違くないかな？芸人としての心構えを聞いてるわけじゃないよ？」
上条（※ビキニ装着）「だって控え室にあったら着るだろ！？」
鳴護「着ないよ？『あ、誰かの衣装だ』って思うよ？」
絹旗「ていうか超キッツイのでジャージ着てください。なんかこう、私もちょっと罪悪感を覚えるレベルに絵が汚いです」
上条「いや無理だぜこれ！？仮にジャージ装着しても今日のヨゴレ仕事って俺のイメージビデオ撮るんだろ！？悪いけど需要ねぇわ！商業ベースで出せるようなカラダじゃねぇよ！」
上条「てかどんな仕事だよ！？魔導具師ダリ○さんだってうつむくわ！『うわクズ男……』ってドン引きするわ！」
鳴護「見事にまでにアレなフィアンセだよね。落差が激しすぎてこう」
絹旗「なお、某『暗部』にいたクズ男曰く、『あれぐらいだったらまだまだ。そこそこレベルの高いクズだったら割り切って結婚する』だそうで」
鳴護「あれより下があるのがもう恐怖だよ」
絹旗「そして『売れた後で復縁を迫りに行き、断れたら可能な限りあることないことデマをバラまく』と
鳴護「ヨナ○さんに斬られるよね？そしてそうなったとしても『あぁ良かったな』としか思わないし」
上条「それと同じ状況に俺は陥ってんだよ！分かるかっ！？」
鳴護「涙子ちゃんが回避したので『じゃこっちで』って、割りと軽い気持ちで巻き込まれただけだよね？てか早くやらないと終わらないと思うんだけど」
上条「くっ！ここに俺の味方はいないのかよっ……っ！？」
鳴護「全部日頃の行いがマホカン○してるだけだと思うな？具体的には、去年」
上条「うっ……頭が割れるように！」
鳴護「監督お願いします」
絹旗「超任されました。カチ割って中身がスイカにすり替わっていないか確認すればいいんですね。せーのっ」
上条「見ろやテメー！？アリサがいつのまにか逞しくなって！今もっかい映画リピートしたらシャットアウラにマウント乗りしてボッコボコにしてそうだぜ！」
鳴護「お姉ちゃんに体術だけで勝てる人は少ないと思う。そして相性の問題で最愛ちゃんでもちょっと厳しい、かも？」
絹旗「同じレベル4ですからね。泥仕合になると体力の無い私に超不利です」
上条「そうだな！じゃあ俺は主人公も一人減ったことだしこの先生き残るためにも戦闘訓練してくるぜ！それじゃっ！」 ｼｭｯ
絹旗「おっと超待ちなさい。あなたが逃げるのであれば残ったARISAさんがMUTEK○デビューですよ。それでも超いいんですか？」
上条「くっ……！なら仕方がない！俺が犠牲になろう！」
絹旗「ふっ、その言葉を超待っていました！敵ながらアッパレです、ここは私が代わりに一肌脱ぎましょう！」
上条・絹旗「……」 ｼﾞｰｯ
鳴護「あれあれおかしいな？『どうぞどうぞ』の流れになってるけど、激流を流れる木の葉のように敵と味方が入れ替わってるよね？」
鳴護「あと前から思ってたんだけど、涙子ちゃんも最愛ちゃんも仲良すぎないかな？ちょっとおかしいよね？」
絹旗「ではARISAさん、試合前のインタビューからの超撮りで如何でしょうか？」
鳴護「なんて危険な現場！？気をちょっと抜いただけで人身御供の流れ弾が飛んでくるね！」
上条「いいかいARISA？ この世界にはね、色々な数の癖（へき）の人がいてね」
鳴護「うんそこから話は広げられないよ？だって癖（へき）の話しちゃったからね？もう行き先は決まってるよね？ギャグ以外ないよね？」
上条「――そんなときには夜空を見上げてほしい。星がどこかで瞬いているのは、きっとその星で雨が降ってシャツを透明に」
鳴護「当麻君は黙りなよ？星の王子様って場末のしょーもないネタにしていい話じゃないんだよ？」
上条「冷静になって考えてほしい。この世界には簡単に分けると四種類の人間が居るんだ」
鳴護「結構いるよね。簡単に分けても二択じゃないのかな？」
上条「まずはイリ○たんが好きな人、美○たんとク○たんが好きな人で三種類。そして残った一種類は――」
上条「――三人とも好きな人、かな」
鳴護「うん、長尺でボケて貰って悪いんだけど、その例えば『あぁ分かる分かる！』って人いるかな？いないよね？今見てるアニメの話するってどうかと思うよ？」
鳴護「そしてその四種類の人たちに言えることは、全種類がもれなくペ×だって事だよね？だって全員ちっちゃいし小学生だからね？」
鳴護「あとせめて例えるんだったら余所様の世界じゃなくてこっちじゃダメなの？なんで余所まで行ったの？」
絹旗「あぁ良かったですねARISAさん。今は去年のツッコミ強化をしていなければ超危ういところだったかと」
上条「次はノリツッコミだな！レッサーを講師として招かないと！」
絹旗「今だったらイギリス超自虐あるあるで一本作れそうですよね」
鳴護「――もういい加減にしてほしいかなっ！当麻君も遊んでないでさっさと終わらせるよ！イメージビデオ撮るだけでしょ今日は！？」
上条「あ、キレた。ふっ、そんなに俺の苦しんでる姿が見たいっていうのうか……！」
鳴護「うんまぁ、態度的にはそれでいいかなって思えちゃうよね」
絹旗「まぁARISAさんにさせると超ありとあらゆる意味で『生々しすぎる』ので今回は男性起用となりました――さて、ではIVを撮る前に超基本な的な質問をします」
絹旗「イメージビデオとはなんぞや、と」
上条「またスッゲー根本的な所から来るな！そしてその知識が必要とも思えねぇな！」
鳴護「……あぁまぁ、分かるような気がするんだね。あたし的には
上条「意外な所から援護が来たけど、どういう風に？」
鳴護「こう、グラビアとかスチールのお仕事貰うじゃない？そうしたらまぁ撮影されるじゃない？」
鳴護「カメラマンさんに色々言われて表情作ったり目線送ったりポーズ決めたりしてるとね――」
鳴護「『――あれ？あたしはなんでこの仕事をしているのかな？』って」
上条「事務所と方向性について話し合うべきじゃないかな？俺からはアドバイスできるのはそれだけだよ？」
絹旗「私が言うのも超なんなんですが、あなたは一度初心に返って声優業を極めた方がいい」
鳴護「中の人ね？当麻君も度々言ってるけど、外側はイジってもいいけど中の人に飛び火するのホントやめてくれないかな？」
上条「いやでも最近の仕事はマルチになってきてるしぃ！強いられてるんだから仕方がないよな！」
鳴護「垣根がなくなってきてるのが何とも……」
絹旗「ともあれお二人の認識は分かりました――が、甘い。超甘いと言わざるを得ないでしょう……！」
上条「なぁアリサ、なんで俺ら怒られてんの？」
鳴護「うん、たまにいるんだよね。初対面なのにマウント取ろうって話振って時間無駄にする業界の人。大抵スベってるんだけど」
絹旗「まぁ超一言で言えば産廃です」
上条・鳴護「なんて？」
絹旗「『大丈夫かこれ？これ大丈夫か？』という業界です。IVは」
上条「あれこれ翻訳魔法エラー起こしてないか？たまにあるだろ、将棋とか」
絹旗「お前のとーちゃんーイーギリース人−」
上条「っだゴラテメコラ！？やんのか！？表出ろゴラアァッ！？」
鳴護「当麻君も病んできてるよね、レッサーちゃんの本当にあった黒歴史シリーズの後遺症が」
上条「病みっていうかアイツらの歴史は基本闇なんだよ！日本史ならぬイギリス史って子供に聞かせられる話じゃねぇぞ！？」
（※答え；「教えていない」）
絹旗「えぇまぁ、誠に超恐縮なのですが……IV業界もそんな感じでして」
上条「ヤッパリか！監督が出張るってことは一筋縄じゃ行かないと思ったらやっぱりそうか！」
鳴護「想像つくよね。控え室に水着が置いてあった時点で分かるもんね」
絹旗「まぁぶっちゃけ超斜陽なんですよ。グラドル業界そのものが」
上条「大丈夫かこれ？またどっかにケンカ売ってるよな？」
絹旗「えぇと本日の企画は自称映像作家と名乗るSE屋（システムエンジニアではなく音響の方）から超伺った話なんですが」
絹旗「なおその方は休みの日にガンマイク持って始発電車の踏み切りの音を撮りに行く超HENTAIです。あのカンカン音ですね」
（※実話です）
上条「すいません監督。監督のその謎人脈に引きます」
鳴護「どういう状況？なにをどうしたらその始発の電車の音が必要になるんですか？」
絹旗「ドラマやゲームのSEで使う際、できれば超リアルな音を撮りたいというプロの魂、ですかね」
上条「本当に闇が深い業界だな」
絹旗「静止画の世界、昔のゲームだったらそれも超可能なんですけど、今はこうモーションに合わせて音を用意する必要がありまして」
絹旗「再生速度をイジることで多少の調整は効くんですけど、やはりそれにも超限界というものが……」
鳴護「そこまでする意味が分からないです」
絹旗「あー……ドルビ○デジタルってご存じ……な、訳ないですね。スピーカー複数置いてあたかも現場にいるような臨場感！という技術なんですが」
上条「あ、聞いた事ある。ホームシアターだっけ？雑誌でワンセットの値段見て『高い！……けど車よりはまだ……？』って」
絹旗「その技術が出始めた頃から3D音響、あー……例えばあなたがアニメの主人公だとして、踏み切りの前に立って電車が通過するのを超待つとしましょう」
絹旗「で、まぁその処理をエフェクトで再現するとしてすれば、電車が来る方のLRボリュームを上げて逆側は超下げます」
絹旗「通過中は両者を超同じ、通過後に反対側の音量を上げてもう片方は下げる――」
絹旗「――と、いうぐらいにちょっとした映画ではこの手の”編集”が。ぶっちゃけそのシーンにいる人間よりも深く深く入っていけるようなエフェクトがかけられています」
鳴護「臨場感出すのにも大変なんだねぇ」
絹旗「えぇまぁそれに加えまして年々音質がダダ上がりしてますでしょう？家庭用でも数万あればソニ○のそこそこいいのが超手に入っていますし」
絹旗「そうなってくると素材をイジルだけでは超飽き足らず、『よし！それじゃ踏切行って収録してくればいいね！』だ、そうです」
上条「正気なのかな？てか踏切一本にそこまでするか！？カンカンだぞカンカン！早朝に！」
鳴護「物語テーマだったり大事なシーンだったらまぁ、分からないでもないかな」
絹旗「余談ですが早朝というのもちゃんとした理由がありまして。生活音が入りにくいんですよ、具体的は人の声だったり車の音だったり」
絹旗「人の行き来が多いと雑音が入りやすいので、超消去法で朝晩となると」
上条「朝晩……あぁ夜はマズいか。ガンマイク持った人が踏み切り立ってたら通報案件だ」
絹旗「あぁ、夜は避けて朝に収録するのもそれはそれで理由が。某神奈川の某踏切で録音したのを、家帰って超聞いたんですよ」
絹旗「するとカンカン音に被せるように、『どいて……』って女性の声が……！」
（※実話らしいです）
上条「オイやめろよ！？怖い話聞く身構えしてねぇのに爆弾放り込んでくるなよ！？」
鳴護「『危ないからどいて』なのか、『私が通るからどいて』なのか、解釈の仕方に迷うよね」
絹旗「なので音響素材集めが熱い！らしいです。HENTAIの所業と超笑ってやってください」
鳴護「謎の職業があるんだね。現代社会の許容値が広いっていうか」
絹旗「まぁそんなような一応の業界人から話を聞いたところ――『終わってる』んだそうです」
上条「話の流れでいうとグラビア界が、か？」
絹旗「20年ぐらい前までは超活気があったんですよ。週刊誌に誰それが載るだけで売り上げが変動する、という時代がありました。広○辺りの話ですね」
絹旗「清純派路線の値札をつけたアイドルも、バラエティ路線のアイドルも、『取り敢えず知名度上げるためにやっとけ！』みたいな感じで次から次へと」
鳴護「すいません監督。冗談抜きで中の人含めスナップのお仕事貰ってる身としては傷つきます」
絹旗「あぁいえ需要はあるんですよ？確実にファンの方は買いますし、実際に宣伝にもなっているんですが――が」
絹旗「果たしてグラビア目的で雑誌買う方が超どれだけいるのかと」
上条「あー……」
鳴護「なんか当麻君がスッゴイ頷いてるんだけど。何か引っかかることでも？」
上条「昔から思ってたんだよ。何でジャン○を除く漫画雑誌にはアイドルのグラビア載ってんのな？っては」
絹旗「あぁ少年ジャン○は腐女子か二次元にしか興味のない人しか超買っていませんから」
上条「その暴言は看過できねぇよ！？普通に読んでる人だって多いよ！」
鳴護「最大発行部数を誇ってる雑誌からして、だからね」
絹旗「まぁ答えは簡単で、関連する事業を超一括してやってるからです」
上条「えっと、事業？」
絹旗「雑誌に載った記事の隅っこ、『売り出し中の○○ちゃん！新しい写真集は○○発売！』みたいな告知が超あるじゃないですか？」
鳴護「タイアップだね。あたしも曲売るのに何回か……うん、何回かね」
絹旗「発行してる出版社がその雑誌と同じだったり系列だったり、超よくある話ですが」
上条「マッチポンプじゃねぇか。業界なんてそんなもんだろうけども」
絹旗「それが悪いって事ではないですからね。事務所が出版社とタッグを組んで販促する。これはマネージメントとしては超当り前です」
絹旗「広告を出すようにアイドルがグラビアを出し、それが支持を得て人気となる、というサイクルが続いていたウチは超良かったんですが」
絹旗「超飽きられましてね。業界全体が」
上条「……理由を聞いても？」
絹旗「超多角的に存在します。まずは粗製濫造、類似商品があまりにも溢れすぎました」
鳴護「人に対して使っていい言葉では……あぁいや改造的な意味では的外れでもないか……」
絹旗「一時期はレーベルも含めて大いに盛り上がったんですよ？あの超クソ忌々しいイエローがキャブするような事務所とか」
上条「私情が入りすぎてます監督」
絹旗「しかしながらデビュー初期は多少話題になりスタートダッシュが稼げたとしても、そのあとの展開で大体超コケる」
鳴護「それ自体は悪い事じゃないと思います、けど。ファンの方に認知されるチャンスを貰った的な感じで」
絹旗「えぇまぁそうなんですけどグラドルはそれが”アガリ”ではないでしょう？いつか引退して他の分野で超活動するまでの腰掛けと」
絹旗「にも、関わらず。事務所が演技の指導をさせず、知名度だけでドラマのオファーを受けたりして超悲惨なことになるのが後を絶たず」
絹旗「あぁいや超誤解しないでくださいね？そういった彼女たちの屍の上に燦然と輝くクソ映画の群れもありすまんで！」
鳴護「流石最愛ちゃん！比較的なんでも美味しくいただいちゃうよね！」
上条「ノン×でも食っちまうよな！」
絹旗「なので当然事務所側としても女優さん側としても『この業界先がねぇな』と超敬遠されつつあり、更に質が低下しています」
絹旗「もっと言いますとルートが外れた？昔はスターへのし上がるための手段として、グラビアで知名度を稼ぐという手法が多かったのに今じゃ超敬遠されがちだと」
絹旗「まぁそれには二番目の理由、購買層の変質にも超繋がるのですがね」
上条「いやいや購買も何も、グラビア楽しみにしてるんだったらヤローしかいないだろ。釣られて買うのも悲しいが俺達しかいないからな！」
鳴護「なんて普通に悲しい……！」
絹旗「えぇまぁ誘蛾灯に超飛び込む羽虫ならそうなんですが……まぁ人口の半分は女性ですよね？誤差レベルではほんの少し多いようですが」
絹旗「なんて言いますか、グラビアであんま活躍しすぎると”そっち”から反感買って好感度が下がるって現象が」
鳴護「あー……うん、なんか分かる気がする」
上条「どういう？」
絹旗「超ぶっちゃけますとエ×を出し過ぎると同性に嫌われ、結果的にエ×以外の仕事をやりにくくなると」
上条「グラビアで！？……あぁでも嫌は嫌だろうな。とーちゃんかーちゃん見たら泣くだろうコレってのもあるし」
絹旗「なので事務所側として”それ以外”で成長が見込めるタレントは、わざわざ肌を出さずに売っていくのが今の超流行りですよね」
上条「世界が変ってんだなぁ」
絹旗「そしてここで問題が生じます。そりゃ超可愛い子でしたらその路線でいいですけど、それ以外の『あーなんかちょっと足りないかな？』ってタレントいますよね」
絹旗「グループにして売るのも『うーん……』みたいな子が、穴場を求めてグラビア界で無理をするのが超増えてきています」
鳴護「……あぁ、そうやってまたよく分からない人たちが……！」
絹旗「当然超美人もいますが、昔と違って事務所もそんなに力を入れていないため、『うーん……？』みたいな？詳しい論評は避けますけど」
上条「監督が言葉選んでる時点で暴力だよ！」
絹旗「そして最後に！超決定的なまでの差がついた理由は――」
上条「は？」
絹旗「初音ミ○さんが超登場したのです……ッ！！！」
上条「なんでだよ！？100歩譲ってそうだとしてもジャンル違うじゃねぇか！？」
鳴護「初○パイセンはグラビアのお仕事はやってないです」
絹旗「ってのは流石に超冗談ですが、まぁ多様化ですかねぇ。今時グラビアwwwも草生やされて終わりでしょう」
鳴護「その草生やされるお仕事をさせられているあたしは一体どうすれば……？」
絹旗「ぶっちゃけエ×を求めるんだったらイメージビデオも不必要ですからね。もっとアレなのは超ありますし」
上条「……ここまでグラビアをコケにしておいて今から撮るの？テンションが上がらないにも程があんだろ！？なあぁっ！」
絹旗「――いえ、それが超意外でもなくIVは超深いんですよ？」
鳴護「あたしがいうのもなんなんだけど、具体的には？」
絹旗「顔が笑顔なのに目は虚ろなアイドルとか、制作の無茶振りで超しょーもないシチュエーションだとか」
絹旗「更に厳選された作品には『あぁこれギャグで撮っているんだな』と乾いた笑いしか出て来ないものとか！そういうものを超取り上げていきたいんです！」
上条「なんだいつもの通りか。大体俺らが監督から課されている苦行と同じじゃねぇか」
鳴護「監督監督、『顔が笑顔で目が虚ろ』は去年のサメ映画二週目ぐらいのあたし達もです」
上条「どんなに楽しそうに笑おうとしても、ただただ乾いていたもんな。スナス○の実の能力者から攻撃されてんのかと思ったわ」
――Aクラス
絹旗「さて、ここからがIVあるあるに超移行したいと思います」
鳴護「あの……当麻君だけ置いて帰っていいですか？あたしには荷が重すぎます」
絹旗「え？この中でIV撮影経験があるのはARISAさんだけじゃないですか？」
上条「個人的にはどんな撮影してるのとか知りたいような？」
鳴護「って言われても……あたしの場合は、ホラ、大東島行って海で泳いだり浴衣着たり、そんな感じなんだけど」
上条「だよなぁ？俺もそんなに見たことがあるわけじゃないけど、アイドルが遊んでるのを見るってイメージが」
絹旗「それはAクラスですね。大体大手の出版社がやってるまともなIVです。竹書○とかワニブック○とか」
上条「まともって言った？まともじゃないIVってあんの？」
絹旗「こちらがAクラスIVロケーションスタジオになります。さっ、超移動してください」
上条「うわ……南国だな！つーか無駄に凄いわ技術力が！」
鳴護「本当に無駄な予算を――あ、貫通するからVR？」
絹旗「これでも大いに無駄ですが。砂浜で撮影開始します――はいどうぞ！」
上条・鳴護「……」
絹旗「超何やってんですか！カメラマンさんはアクターさんに支持出してください！」
鳴護「あ、あたし？」
絹旗「他にいませんよ！あなたの超撮ったIVを思い出して！さぁ早く！」
鳴護「あー、じゃあアクターさん、はーい笑ってくださーい」
上条「こ、こう？てか喋っていいの？」 ﾆｶｯ
鳴護「全部音声ぶった切られてフリー素材っぽいBGMに差し替えられるから大丈夫でーす。はいカメラ見てー、波打ち際まで歩いてくださいねー」
上条「お、おう？」
鳴護「はいちょっと沖を見て！遠くを指さして下さい！『あれ、なんだろー』みたいな感じで！」
上条「おっ、なんかあるなー！なんもないけどなー！」
鳴護「はい視線こっち！首を軽く傾けて媚びるように！」
上条「やってやるぜチキショー！」 ﾆｺｯ
鳴護「あとは走ってみましょうか！一回走って途中で振り返ってください！」
上条「おらーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ！」 ﾀﾞｯｼｭ
鳴護「――はいカットおぉ！それじゃメイクさん化粧直して下さーい！」
上条「なんでだよ！？大してなんもやってねぇじゃねぇか！？」
鳴護「いやこんな感じだよ！？何かこう具体的なプランがある訳でもなし、ただ監督さんかカメラマンさんの指示でテキトーに動くだけで！」
（※マジでこのレベルらしいです）
絹旗「特に何をする訳でもなく、映画と違って何か演出する訳でもなく。ただアイドル好きに『どう！？』的なブツですからね」
上条「これよく精神耐えられるな！？段々虚ろにってなくるわ！やる気以前の問題で！」
鳴護「……うん、当麻君はいいよ？これが最初の一本で最後の一本になるだけだからね？」
鳴護「でもあたしは！きっとこのあとも何本か撮るんだよ！中の人込みで『一体コレってどんなお仕事なの？』って虚ろな目をしながらね！」
絹旗「可哀相なARISAさん。声優として可愛かったのが超仇になりましたね」
上条「だから中の人イジんなや！俺は、俺たちはこの際どうなってもいいからあっちまで迷惑かけるような真似は勘弁してくれよ！」
絹旗「ちなみにARISAさんは他にはどんな超撮影を？」
鳴護「超撮影はしてないですが、えっと定番が……一応、はい」
絹旗「そうですかバランスボールですか！超いいですね！」
鳴護「監督、何も言ってないのに超反応しすぎです！まぁありますけど！」
上条「バランスボール？……あぁ、通販で一時期流行ったアレか。体幹鍛えてどうすんだよ」
絹旗「まぁまぁ論より証拠と超いいますし、こちら用意してありますのでまず試して下さい」
上条「実は一回ぐらい試してみたかったんだ――」 ﾎﾟﾖﾝｯ
上条「……」 ﾎﾟﾖﾝｯﾎﾟﾖﾝｯ
絹旗「感想は？」
上条「最初の一ポヨンで飽きる」
鳴護「だよね。特にこう感想はないんだけど、ただこう、うん、なんかね」
上条「そしてこれ女の子を乗せて揺らしたいんだろうなぁ、以上の感想は出て来ない。つまり今の俺は無ってことだ。ネオエクスデ○さんよりも更に虚無なんだ」
鳴護「言葉の意味は分からないけどとにかく凄い無だよね！」
絹旗「私も超不愉快なのでコメントしたくないんですが、その筋のプロのARISAさんから何か一言あれば」
鳴護「えーっとね、これさ？あくまでもボールの上に腰を落としたり乗っかったりしてバランスを取りましょう、って使い道なんだよね。邪悪ではなく本来は」
鳴護「最初の一回はともかく、今の調子で完全アドリブで何度も何度も撮られてると、完全にもうバランスが取れてしまう体に……！」
絹旗「健康的でいいじゃないですか。運動器具なのに慣れちゃって運動にならないという超欠点に目を瞑れば」
上条「あの……監督？これまだAクラスなんですよね？ってことはまだ何クラスかあとに控えてるってこと、ですよね？」
絹旗「はい。超予定ではBとCがありますね」
上条「そのクラス分けってのは、一体どういった基準で……？」
絹旗「より、レベルが低くなっていきますが何か？」
上条「やっぱりじゃねぇか！？映画と同じでより悪くなっていくパターンだよ！？」
鳴護「てゆうかあたしの撮ってたお仕事より”下”があるってことに動揺を隠せないよね……ッ！」
絹旗「いいですかー？この世界は超可能性に満ち溢れているものです。『あぁこの映画より下はねぇだろ』とか思っても、数年後に覆されるひとがしばしばあります」
鳴護「いいこと何も言ってないからね？ただの業界批判だからね？」
絹旗「具体的には犬鳴○を見た後にサイレ○を超見返すと、『あぁまだこっちの方がマシだな！』と」
上条「だから具体名は出すなよ！ググって調べた人が軽い気持ちで見て二次被害が拡散されるんだぞ！」
絹旗「くっくっくっく……何の事だか超分からないですね……私は『面白い』だなんて一言も言っていませんけど……？」
鳴護「この子まさかそれが真の狙いで……！？」
――Bクラス
絹旗「はい、という訳で何事もなかったかのようにセット超移動したわけですが」
上条「投影してる画像変えただけだから俺たち1ミリも動いてねぇよ。できれば落ち着くだけの休憩時間がほしい」
鳴護「まぁこのしょーもない企画のために長時間移動するのも嫌だけど。それでBクラスってどういうの？」
絹旗「Aクラスが出版社として上の方、とすればBクラスは超大雑把に言って『普通』のです。資本金そこそこだったり中堅なりの会社ですね」
上条「あの……こういっちゃアレなんだが、全体的にセットが汚くないか？プールもいつものあれだし、廃墟っぽい場所でIV撮るの？」
鳴護「てかこんな所で水着だったら寒いよね？スタッフは一体何を考えて……？」
絹旗「えぇそれには『予算の都合』という超魔物がいまして……」
上条・鳴護「あー……」
絹旗「先程ARISAさんはヨゴレ仕事と超嘆いておられましたが、『寒くないところで撮影する程度は配慮してくれる』はAクラスならでは特権ですよ……！」
鳴護「すいません監督。その、あたしが恵まれてたのは理解しましたが、だからって感謝する気持ちにはこれっぽっちもなれないです」
上条「てか芸人の外ロケじゃねぇんだから。しかしなんだよその鬼仕様」
絹旗「超残念ながら世知辛いと言いましょうか、『採算が取れる』のであればそれ相応の予算でスタッフやロケを組めるのですが」
絹旗「そうではなく”そこそこの”収益しか見込まれないと、やはりこういう場所でしか撮れないんですよ！？超仕方がないじゃないですか！」
絹旗「この一点においては『ゴミ監督のオ×××映画でもスポンサーがつけば映画を撮れる』点で、映画業界よりも超マシと言わざるを得ません！」
（※「撮れる」だけで採算割れか公民館ドサ回り。結果的にライダ○とプリキュ○の黒字を帳消しにする吉永小百×関係事業）
鳴護「あの、監督？その予算の一部でも他の監督さんへ回すのは難しいでしょうか？」
絹旗「マジレスすると超縦社会かつ批判したら徹底的に干される世界です。毒舌（）を売りしているのに、大御所の日本映画には何にも言わない評論家（）とかいますからね」
上条「オイオイ評論家じゃないだろ。脚本書いてしょっぱい賞貰ってただろ、なぁオイ」
鳴護「当麻君が最愛ちゃんのダークサイドに堕ちつつあるよ……！」
絹旗「なおさっき言ってたセクシーな女優さんがハク付けだったり、R15のIV撮るのも超よくある話なのですが――」
絹旗「そちらは収益がかなり見込まれるため、超撮影するスタジオもホテルもロケ地も全てがAクラス”以上”ばかりということに……！」
上条「ごめんな！俺たちがエ×ばっかりにこんなことに！」
鳴護「まぁ根本的な問題はそこだけど、お仕事を受ける方も必死だってのはあるから……！」
絹旗「では早速実践しましょうか――さっ、アクターの方！このアメを超ペロペロしてください！」
鳴護「Bクラスでそれ！？基本ゲスいけど隠そうって努力もなし！？」
絹旗「まぁ超究極的なところエ×目的以外の何物でもありませんので」
上条「そして本当にエ×が好きな人はセクシーな女優さんが出る方見るだろうしな」 ｶﾞｰﾘｶﾞｰﾘｰｶﾞｰﾘ
鳴護「当麻君が躊躇いもせずにアメを食べてる！？」
上条「いや普通だろ。俺がなんかこう雰囲気たっぷりに食っても需要ねぇよって散々言ってんだろ」
絹旗「意外と腐った方たちには？」
上条「そっちはそっちで俺が一番人気かと思いきや、大抵一方通行のオマケだわ！というか一方通行のファンって全員そっちだろ！？」
鳴護「当麻君のファンの子って『人気投票で下位に来た方がオイシイから投票しない』って過激派が……」
上条「もうファンじゃねぇよそれ！ただのストーカーだぜ！」
絹旗「ファン心理なんて超そんなもんかと。とある大泉○ファンの方が『俳優の仕事全部なくなってどうでしょ○だけやってほしい』とも言っていましたし」
鳴護「タチ悪っ！？純粋に言ってるだけだからより深刻だよね！」
絹旗「まぁしかし！このようなBクラスでも人気を博せばAクラスへの超昇格も（時々）ありますよ！頑張ってくださいね！」
上条「あぁじゃあまぁできる範囲で努力はするけど。Bクラスたって何するんだ？ロケ地やセットやスタッフかショボイだけで、他は同じ？」
絹旗「あとはごく普通に水着を着たままマッサージされたり、水着を着たままシャワー浴びたり、水着を着たまま廃墟を超歩き回ったりします」
上条「どっかの部族？とある宗教の人が肌見せ厳禁なのと逆で水着着用しないといけないの？」
鳴護「……まぁ、そのね。あたしも指示されてると段々”無”になってくんだよね。『これ何やってるんだろう？』って」
絹旗「以上全ての撮影しているときでも、基本的に指示するスタッフは『目線・笑って・俯いて・背中』だけで意志を伝えてくるため、日本語を忘れそうになるそうです」
上条「なんて怖い現場だぜ……！」
鳴護「全てがやっつけだよね！」
絹旗「いや、あのですね？グラビア全盛期にはそこそこ名の知れたカメラマンさんだったり映像監督の方が超いらっしゃったりしていました」
絹旗「しかしなから今のご予算ですと、スタッフにもカネをかけられないため、撮影機材が使えるレベルの人しか超来ない……！」
上条「スゲーなBクラス！この下にもうワンランク下の地獄があるんだなんて、オラワクワクワすっぞ！」
鳴護「ありがとうございますありがとうございます！事務所の社長にマネージャーさんは比較的まともだったんですね！もう文句言いませんからランクは下げないでください！」
絹旗「まぁ……フォローしておきますと、機材がそこそこ超安く買えると言いますか。ぶっちゃけスマフォレベルでも撮れるっちゃ撮れるので、そんなにプロの出番がないって言いますか」
鳴護「ヨゴレ仕事だからね。カメラマンさんももっとこう生産性の高いものが撮りたいと思うよね」
絹旗「そして素人がノリとテンションで撮る上、スケジュールも数日単位なのでクオリティも超下がると……」
上条「誰が得するんだよ。てかそんなんで買う人いるっつー方が不思議だわ」
絹旗「いないから超オワコン扱いされています。そりゃ真っ当なアクターさんも嫌がるわって話で」
鳴護「あの、監督？学園祭のノリじゃないんですから、もっとこうマシな感じなのはないんでしょうか？」
絹旗「私が制作に関わったことがないため、何とも言えないんですが。予算か時間、できればその超両方がそろっていませんと」
上条「映画とは違う？」
絹旗「逆に聞きますが、どれだけ予算があろうとも撮影現場にホーガ○娘が来たら超詰みます。どれだけ予算があろうとも……！」
上条「オーケー監督、分かりやすくはあったが言葉を選べ？なっ？」
絹旗「何かしらの”柱”、超ぶっちゃけ映画だったら脚本やら演出で誤魔化しは効くんですよ。実際に面白い映画は美男美女ばかり出ているわけではないですよね？」
絹旗「ただそれがIVでする事も一緒ですし、新機軸を取り入れるわけでもないのだと、何をどうやっても素材の善し悪しで全てが超決定されてしまいます」
鳴護「どれだけ聞いてもこれから先の展望が見えてこない業界だよね……ッ！」
絹旗「ただ基本的に出演されている方は大真面目ですので、グラビアアイドルwwwと草を生やさず、超温かい目で見守ってほしいものです」
鳴護「……うん、全体的に雑だなぁって感じるし、苦労はしてるんだろうね。しなくてもいい苦労を」
上条「あの……絹旗監督？ちょっといいっすか？」
絹旗「はい？」
上条「なんかシメっぽいコメント出してるところに恐縮なんですが、これこのあとまだ続きますよね？IV最下層、ある意味コキュートスが残ってますもんね？」
絹旗「残りは割りと地獄です。なので良識ある方やドン引きしたくない方はここで閲覧を超終了させて下さい」
上条「あぁ確かにアリサにはさせらんねぇな！？俺で良かったわ！そんなクサレ仕事ヤローがギャグ半分でしかできないわ！」
鳴護「上を見ればキリがないけど、下を見たら後がない……！」
――Cクラス
絹旗「さて、ではここからが地獄です。てゆうかIV業界でも”滅多に”はない超問題作のヤラカシをご紹介したいと思います」
上条「Bクラスで引いてるのにその下ってどんだけ闇が深いんだ……！ちょっと楽しみだぜ！」
鳴護「当麻君、ホンッッットに気をつけてね？ミイラ取りがミイラ職人になりつつあるよ？」
絹旗「ではまず一本目、グラドルさんもやっぱり超引退の時はあるじゃないですか？どなたさんでもそうですけど」
上条「そうなの？」
鳴護「あるんだよ。スタイルだって維持するのにどれだけ苦労してるか」
絹旗「まぁ様々な事情はあるでしょうが、こればかりは年齢もありますしね。お歳ょ召されても超お綺麗な方もいるにはいますが、それは基本的に例外ですし」
上条「監督が超言葉を選んでる時点でアレなんだなって分かるわ……でもここアレじゃね？普通のビジネスホテルっぽくね？」
鳴護「”普通の”だよね。落ち着いた壁紙で、特に特徴が有るわけでもなく」
絹旗「はい、ではアクターさん超撮影をしますのでベッドの方へどうぞ」
上条「あ、うん。こう？」
絹旗「ここでゴロゴロしながら30分弱超撮りましたー。ではバスルームへ移動してください」
上条「移動も何も画像が切り替わるだけだから。はい、移動しました」
絹旗「ここでまたシャワーを浴びつつ30分弱超撮影しましたーとという体で」
上条「風邪引くだろ。お湯使えばいいのに」
鳴護「レンズ曇るから基本的には、ねっ？あたしもどうかと思うんだけど」
絹旗「――あぁい完成しました！以上で撮影は超終わりとなります！スタッフ撤収となります！お疲れさまでした！」
上条「早っ！？実質1時間弱で終わり！？」
絹旗「っていう作品が超マジでありました」
（※一切盛っていません）
鳴護「低コストだけど……いいのそれ？なんと言うか、引退、なんだよね？」
絹旗「恐らく事務所側とモメるに超モメたんだと思います。ご本人にやる気の欠片もなく、ただビジネスホテルの一室で撮っただけの超低予算作品でした」
上条「何か……切ないな！」
絹旗「ちなみにその方は『ミス・ヤング○○○○グランプリ！』的な人です。曲がりなりにも雑誌のトップを取った（という体裁）なのに、業界を超去るときにはこんな感じです」
鳴護「あぁ斜陽……うん、本当の意味でそんな感じなんだね」
絹旗「加えて言いますと”引退作”って銘打って出して貰えるだけまだマシ、って部分も超あります」
絹旗「あー、名前出しますけど次原か○さんってグラドルさんが居ました」
上条「だから大丈夫か？訴えられたら即座に謝れよ？」
絹旗「あぁいや彼女はグラビア界では超かなり著名な方です。映画で助演女優だったり、ホラー映画の呪○にもちょい役で出たり、活躍している方です」
鳴護「あたしは聞いた事ない人なんだけど、今は何を？」
絹旗「消息不明です」
上条・絹旗「……は？」
絹旗「ご本人のブログ更新も途絶えて7年弱。事務所側からは引退したともしないとも発表されずに、超それっきりです」
上条「映画やってんのにか？」
絹旗「はい。超真面目に論評しますと普通に見られる演技でしたよ？光ってはいませんが違和感もないぐらいの感じで」
絹旗「しかしそんな方でも突然姿を消します……超怖いですよねぇ」
鳴護「それはなんか別の要因があったんじゃないのかなー、なんて思ったりするんだけど。不祥事的なアレとか」
絹旗「まぁ恐らくそうなんでしょうが、そこそこ有名な方でも超消える業界です。まさにオワコンだと」
上条「今の話はグラドルの闇なのか芸能界の闇なのか、ちょっと判断しにくいかな……」
絹旗「では更にステージを移しまして、こちらはとある某第三セクターが超運営するアミューズメント宿泊施設です」
上条「あぁ！名前は言えないし俺も見たことがない立派なホテルだな！俺は全く知らないから分からないけど！」
鳴護「当麻君はもっと嘘吐くの上手くなった方がいいよ？人を傷つけるからね？」
絹旗「さっ、今日はここを借り切って撮影しましょう！超豪華ですねー！」
上条「マジで！？やったなアリサ！俺もついグラドルの頂点にまで登り詰めたぜ！」
鳴護「無理だよね？流石にアレな業界でも男性が一躍トップに立ったら、ビルボードチャートの”民族音楽・その他”ってジャンルだよね？」
絹旗「プールは使い放題！しかも施設内は人が居ないので自由ですよー！超やりましたね！」
上条「全くだぜ！でも基本撮影スタイルは水着でウロウロするだけだけだから関係ないけどな！」
鳴護「最愛ちゃんがテンション高くなるってこと、大体高く高くタメておいて落とす時なんだよね」
絹旗「はい終わりましたよ！撮影は以上となります！アクターさんも超お疲れさまでした！」
上条「今回のは自信作です！売れるといいなっ！」
絹旗「――では今の”プロモーション動画”の公開は○○月になります！超楽しみにしていてくださいね！」
上条「待てやコラ、テメいまなんつった？」
絹旗「え？ですから超プロモーションムービーをですね」
鳴護「今のって当麻君撮ってたよね？」
絹旗「えぇですから”施設のプロモーション撮影（宣伝用）と称して使用許可を取り、グラドル連れ込んでIV撮った”んですけど何か？」
（※っていう噂。”ここまで”はただの噂）
上条「ごめん監督。あまりにも酷すぎて感情がついてこない」
絹旗「ですから『あ、第三セクターの施設で撮影したいなーでも許可降りないだろうなー』」
絹旗「『――よし！じゃあ嘘の申請すればいいや！』と」
上条「だから重いっつってんですよ。幕の○選手のボディブローを延々喰らってる気がします」
鳴護「……いいの？」
絹旗「超いいわけないじゃないですか。その後スタッフもアクターさんも話を聞きません」
上条「裁判沙汰になってないんだったら……まぁ、嘘か盛ってる、んじゃないか？」
絹旗「まぁここまでは話半分なんですが……ただ、中身を見たら超納得できる感じの作りでした」
鳴護「どんな？監督が納得するような地獄だったんですか？」
絹旗「では超具体的に。アクターさん、ジャージの前をはだけて座って下さい。あ、こちらがカメラだと仮定して」
上条「あいよ」
絹旗「まぁこれはIVではよくある風景ですよね。超見えるようで見えない、頭の悪さを前面に出すスタイルです」
上条「日本に約半分いる俺たちだよ。悲しいがそういう生き物なんだよ」
絹旗「が、しかし横からは超普通に見えるわけですよね。ARISAさんの角度だと」
鳴護「うん、当麻君の大胸筋が見えてるけど。女の子だったら問題あるよね」
絹旗「――っていう角度からの動画もまんまIV超入れやがったんですよ」
（※盛っていません）
上条・鳴護「タチ悪っ！？」
絹旗「何故か演者さんの大学の同級生が妖精役でチョイ出演していたり……！」
（※盛っていません）
上条「なんて？そして、なんで？」
絹旗「そしてIV終盤に演者さんがオリジナルのテクノソングを歌い出す……！」
（※盛っていません）
鳴護「監督、お時間貰えませんか？一つ一つの現実を咀しゃくして受け入れるのに時間が必要だと思うんです」
絹旗「当然その方の超出演はそれが最初で最後です。これ以上業界にいても良い事は無かったでしょうし、まぁ……はい」
上条「スタッフ最低だなそれ！？そしてよくまぁ発売したな！？」
絹旗「私が出演者の親だったらスタッフ皆殺し行っていると思います。えぇ超確実に」
（※えぇ確実に）
鳴護「怖い！怖いよ当麻君！人間不信になりそう！」
絹旗「恐らく、ですが。口ばかりで実績もクソもないスタッフが集まって、超適当に事務所にも入っていない女の子を騙してってのが真相かと」
（※100%発売前に事務所のチェックが入る）
絹旗「今では絶版になっていますが、普通に考えれば超事件でもおかしくないのに。スルーされていますね」
絹旗「超”笑った”のはサメ映画マラソンで『ラブホの鏡に見きれる全裸カメラマン』だったのですが、こうなってくるともう……」
上条「……その子、大丈夫か？今後の人生ハードモードになってないか？」
絹旗「まぁそればっかりは何とも。名前出すのも二次被害に超繋がるためここでは出しませんが」
鳴護「なんて闇が深い業界なんだろう……！」
絹旗「スタッフ全員は超確実に村八分にされるので、類似の被害を出した話がないのがまだ救いですが……いや、本当にARISAさんも超気をつけてくださいね？」
絹旗「冗談抜きで事務所の看板ないアイドルは、この手の悪質な詐欺に超引っかかりやすいですから」
鳴護「はい！ありがとうございます！」
絹旗「あなたが引退してしまったら、誰が私のムチャ振りに答えるのでしょう！超大事にしてくださいね！」
鳴護「やっぱり邪悪な意図じゃないですかコノヤロー」
上条「そして俺は当て馬かコノヤロー。いやまぁマジでIV撮られても困るけどもだ！」
-終-
（※大体実話です。皆さんもIV撮る？と誘われたら断る勇気を）