Category

Counter
Access Counter

On-line Counter



Clock(trial)

鳴護「『一日シスター体験!』……まぁ、サメに比べれば」

 
――オービット・ポータル芸能事務所

上条「――やぁやぁようこそいらっしゃいましたARISAさん!お忙しいところをわざわざすいませんね!」

鳴護「……」

上条「最近は多方面でご活躍とか!本業のアイドルだけじゃなくマルチタレントとしてご活躍されているだなんて!流石っすわー!」

鳴護「当麻君はそんな事言わない」

上条「分かってるよ。俺だって途中で『あ、これ追い詰められたレッサーっぽいな』って分かってたよ」

鳴護「その反応は当麻君っぽいけど。いざ言われるとレッチーちゃんが化けててもおかしくはないよね?」

上条「ふっ、まだまだ甘いな!もしもレッサーが俺に化けたら、ストリーキングをぶちかますと思う。特に意味もなく未来もないのに」

鳴護「あぁ分かる分かる。年長組さんのお世話をしてるとき、『なんでそれやろうと思ったのかな?』ってことが時々あるよね。洗濯機の中に顔突っ込んで出られなくなった子とか」

上条「恐らくヤツの精神年齢は同レベルだと思うぞ。『できるからやってみた!後悔はない!』とかな!」

鳴護「むしろあたしたちがリアクションするのも込みで楽しんでる疑惑があるよね」

上条「だよなー――と、いう訳で撮影は明後日からになってますので!集合場所は後日メールで!」

鳴護「待とうか?超待とうか?てゆうかここまで露骨に罠をハメようとしているのにスルーするのって中々ないよね?」

鳴護「どう考えても収録無い所で声張ってるドッキリ番組の出演者並にないよね?仕込みだよね?」

上条「俺を信じ――いや!俺じゃない!レッサーを信じてくれ!あいつの大好きだったフランスの名前に誓って!」

鳴護「うんだからそれもう嘘吐くって宣言してるよね?誰とは言わないけど大統領選挙目当てで露出するために、あっち行ったりこっち行ったりして支持率下げた人だよね?」

上条「大したことじゃないんだよ?ARISA的にも良かれと思ってだよ?」

鳴護「だから視線は合わせようか?嘘吐くんだったらもうちょっと信じられるぐらいの態度があるよね?まずね?」

上条「持ち込み企画があるんです採用して下さい」

鳴護「よくもまぁ素直に言ったよね?いいんだけど!もっとこう情緒ってものがね!」

上条「――そう、あれは一昨日の夜のことだった……ッ!」

鳴護「あ、回想はいいです。どうせしょーものない内容なんだから口頭で説明してくれれば」

……

上条『……ただいまー』

インデックス『おかえりなさい、なんだよ!ごはんにする?こばんにする?それともごはん?』

上条『選択肢用のテキスト間違えてないか?早くメシ作れって催促だよな?』

インデックス『作るなら――今でしょ!』

上条『大体そうな?メシ時ではあるし……まぁいいわ。今日はギャラ入ったから食材もらってきたぞ』

インデックス『わーいだんぼーる一杯の食べものなんだよ!』

上条『そろそろウチも貨幣経済ぐらいは嗜んでほしいところなんだが……あー、リクエストとかある?』

インデックス『うん、全部!』

上条『じゃなくてですね?料理名を言ってくれないか?オムライスとかハヤシライスとかカレーライスとか』

インデックス『らいす縛りはなんなのかな……あ、じゃあ丁度食べたいものがあったのかも!名前分からないんだけど!』

上条『どんな料理だ?流石に外国のローカル料理は無理だが』

インデックス『えーっとね、このあいだてれびでお料理屋さんやってたんだよ』

上条『へー、どんな?』

インデックス『注文の多い料理店』

上条『宮沢賢○の!?料理は料理でも180度違うわ!?』

インデックス『……いい、とうま?「相手を食べていい」のは、「相手に食べられる」って覚悟を持った人間だけの特権なんだよ……ッ!!!』

上条『ヤマネコさん逃げてー!?逆に喰おうとチャレンジするシスターさんから逃げてー!?』

インデックス『あぁでもあれね術式としてはちょっと迂遠なのかもしれないんだよ。術式開示の制約を前提にしてるんだろうけども、だったら相手へ恐怖を与える暇もムダっちゃムダだし』

インデックス『やっぱり種族が関係しているのかも?ヤマネコだったら獲物を楽しんで殺す的なぐういが入ってるのかも?』

上条『フィクションを生々しい視点から解説するんじゃありません!今ご飯作っちゃうから手を洗ってテーブルをオカタしなさい!』

インデックス『オカタなんて何年ぶりに聞いたんだろう……はーい、分かったんだよー』

……

インデックス『天に在す我らの神よ、今日も美味しいご飯をガツガツガツガツガツモグモグッ!!!』

上条『よく噛んでお食べなさい!消化に悪いですわよインデックスさん!』

インデックス『なんでお嬢?』

上条『そして俺への感謝は?食料調達から料理までやった俺への思いは?』

インデックス『異教徒さんにしてはいい態度なんだよ!最後の審判の時には私が「せめて浅めの地獄で」って言ってあげるんだからね!』
(※カトリッ○公式見解)

上条『相変わらずお前のところの神様怖いわー。引くわー』

インデックス『「ローマは国教を十字教にして悔い改めたのになんで滅んだの?」って聞かれたら、「異教徒が悪いんですよ」って答えるからね!』
(※アウレリウス=アウグスティヌス、「神の国」より引用。同じく公式見解)

上条『その理屈だと神様よりも異教徒の方がパワーバランス的に上……いやごめん何でもない。いいからミ○飲め、ミ○』

インデックス『ココアっぽい味しかしないんだけど……で、今日もお仕事大変だったの?』

上条『今日は別に。スタジオ撮影だったから楽だったよ』

インデックス『ろけで忙しかったもんねー。ありさは元気だったんだよ?』

上条『あぁとっても!スタジオで声張ってツッコんでたぜ!』

インデックス『そこからだけだと元気かどうかは判断できないんだよ』

上条『俺の狙ったとおり闇咲部分は全カットだったしな!前半ももうちょい頑張ればどうにかなったかも!』

インデックス『とうま根に持ってるんだよね?前のがぶった切られたからって、「今度は全部お見せできないのを作ってやるぜ!」って張り切ってたよね?』

上条『次はもっと頑張ろう!なーにどうせ闇咲の日常なんて地上波どころかネットですらヤバいからな!』

インデックス『魔術師の活動を抜きにしてもダーティなんだよね……そっか、ありさ元気だったんだ』

上条『あぁ最近忙しかったから会えてないのか。Lin○……はやってないだろうし。メールでもすりゃいいだろ?』

インデックス『それがその、あいさから聞いたんだけど、ありさが最近サメに怯えてるって言ってたんだよ』

上条『俺もだよ?言っちゃなんだけどサメスーツという名の海パンヘルメット着せられてる身にもなってみ?』

インデックス『とうまは男の子でしょ!女の子は守ってあげないと!』

上条『無理だよ。だって監督は人の心を持ってないもの。どっかのアホ大統領みたいに宵越しの歴史持たないもの』

インデックス『……分かったんだよ!とうまがそういう態度だったらこっちにも考えがあるんだよ!』

上条『やめとけってお前!?あの悪魔にケンカ売ったら「うっわー超ラッキー!表出ましょう表!ささ早く!」ってなんだぞ!?』

インデックス『どこのれっさーかな?最近クラスでレッサー尾○ってあだ名がついて、言われる度に暴力振るってるって噂が』

上条『そもそも偽名だろ名前。どこの世界に自分の子供へレッサーなんてつけるんだ』

インデックス『それだとれっさーぱんださんが可哀想なんだよ』

上条『だよな?レッサーと同じなんだからな』

インデックス『論点は違うけどそうじゃないよって言えなくもないよね!あとそれへいとだから余所で言っちゃダメなんだよ!』

インデックス『てゆうかとうまは当てにならないからありさは私が救うんだよ!救われない人には救いの手を!』

上条『天草式をパクるなや』

インデックス『わたしは準備があるから!とうまはありさを連れてくるんだよ!分かった!?』

上条『へーい……』

……

上条「――っていうことがありまして」

鳴護「連れてくれば?あたしも久々にインデックスちゃんと会いたいし、回想で長々語るようなこっちゃないよね?』

鳴護「あと監督……最愛ちゃんの人間性はあんまりこう、言及したくないんだけど。下から数えた方がまだ、っていうか」

上条「『利害関係がなければ襲われない(多分)』って意味では、割と話が通じる方なんだよな」


【とある人間性レベル】
100――オルソラ(女神)
90――上条(ちょっとおかしい)
80――神裂(人格者)
70――姫神(善人)
60――吹寄(いいひと)
50――佐天(普通)
40――フレンダ(身内には甘い)
30――絹旗(仕事ならまぁ?)
20――麦野(気分次第)
10――アレイスター(アホ)
0――木原一族(虫)


鳴護「それでその、インデックスちゃんは一体あたしに何をさせようと……?」

上条「アリサは知らないかもだげと、インデックスって――シスターなんだよ」

鳴護「知ってたよ?あれだけシスター性を強調してる服着てるんだからご存じじゃない方がおかしいよね?『あ、普段着から気合いの入ったレイヤーさんだな!』とか思わないでしょ?」

上条「なんか魔術と科学が交差する物語のレイヤーなんだって」

鳴護「存在意義の否定!?ま、まぁホンモノではからある意味正しい見解だと言えなくも!」

上条「それでですね、ARISAさんには指定された時間に指定された場所まで来て頂ければ!あとはこっちでやってますんで!」

鳴護「不安が拭いきれないよ?インデックスちゃんが一枚噛んでるんだから、いきなり水着着ろとか言われないのだろうとは思うんだけど……」

上条「うん、だからな?そのシスターの一日体験みたいなのをさせてあげるんだよ、と張り切ってらっしゃいまして」

鳴護「あ、いいよ!そういうのアイドルっぽいお仕事だよ!アイドルではないんだけど!」

上条「んでスタッフと場所はこっち向きで、最初実家の方へ連絡したそうなんだわ。チンピラ神父の上司さんの方へ」

鳴護「あ、あたしも一回会った人だよね。あのときの三人組の子、今どうしてるんだろう?」

上条「一身上の都合によりなかったことにされると思うが……まぁ、それで上司の人が最近新しくなったばかりの人で、『宣伝とかにもいいじゃない!』と乗り気になったんですよね」

鳴護「なんで敬語?疚しいことがあるってことだよね?」

上条「そして学園都市の一戸建てスタジオ借り切って、せっせと教会風のセットを作ってる最中なんですよ……!」

鳴護「見事なまでに事後報告過ぎないかな?インデックスとその話をしたのって……あぁ一昨日の夜って言ってたっけ」

上条「俺もまさか昨日様子見行ったら知り合いのシスターさんがもう来てたなんて驚くわ!?だから急いで頭下げに来たんですよ!」

鳴護「適当に濁して逃亡しようと……まぁいいけど。スケジュールは……どうなのかなー?なんかあったような?」

上条「それで問題が一つあってだ。実は事務所の方でもう一本用意してたんだと」

鳴護「サメだよね?ほぼ脅迫されているのは用意っては言わないと思う」

上条「あぁ違う違う。黒夜の持ち込みで」

鳴護「海鳥ちゃんの?――ってことはクロ太君の」

上条「ラッコは法律で保護されてるから手を出しちゃいけないのに、何故か漁場へ入ると不幸な事故に遭うアレだ」

鳴護「あぁあの知りたくなかった実話系の話……!」

上条「やり忘れたけど実は裏話があってだな。21世紀型のラッコには今までみられなかった特性ができてだな」

鳴護「そんなネコ型ロボットみたいに言われても……」

上条「何故か彼らは”特定の海域から下には南下してこない”って……ッ!!!」
(※某県漁連の縄張り)

鳴護「人間と住み分けしてるんだよきっと!ラッコさんは頭のいい動物だから空気読んでるんだよ!決して人間の支配地域へ入ったら事故に遭うとかそんなんじゃないよ!」

上条「ARISAもいい感じにやさぐれてきたな!」

鳴護「そのうち法廷で会おうよ?白黒つけるからね?」

上条「それの新シリーズを、ね?黒夜がしたいんだってさ」

鳴護「黒いよね?闇咲さんの方はまだ一部フィクションや神話的なモノが入るからオブラートに包まれるけど、あっちは人の業がモロに出るよね?」

上条「なので事務所にどうですか?って聞いたら『ARISAさんのお好きなように』と」

鳴護「珍しくあたしに選択肢があるけど、どうせどっちもどっちなんだろうなー……海鳥ちゃん、今度は何を?」

上条「大×村だって」

鳴護「あぁ先週のか!当麻君が絶対に放送されないだろうってわざわざ選んだネタだよね!」

上条「言っておくが俺は被害者だ!?『どうせならまた放送に耐えられないブツを仕込んでやるぜ!』とは企んでいたが、あそこまでキッツイ内容じゃなかったわ!」

鳴護「てゆうかその、×麻村って本当に存在するの?犬鳴峠とか杉沢村みたいな都市伝説じゃないの?」

上条「いやそれがマジであるんだって。闇咲と帰りのクルマの中で教えてもらったんだけど、昨今の『田舎で暮らそう!』みたいなブームってあるじゃん?」

上条「どこの自治体も若者を求めてて、ある日ガバって増えるんだって。住民票が」

上条「んで地元の人間が『どんな人間が来るんだろう?』と構えていたら、いざ来たのは何か大人しい連中!一見チャラいけど真面目になんか花を育ててる!」

上条「酒飲んで暴れる訳でもないし、むしろ一日中ボーッとしてるぐらいのダルさで『都会の子ぉらって大人しいんねぇ』と好意的だったのに!」

上条「だがしかしある日一斉に全員検挙される!何故ならば彼らは田舎で大×を栽培して都会で売りさばくというのんびりライフを満喫していたのだから……ッ!!!」
(※実話。15年ぐらい前にあった上、誰とは言わないが、『某相棒女優が田舎へ移住生活→大麻を合法にしたいと選挙に出馬→落選後違法薬物の所持で逮捕』みたいな話も)

鳴護「もうなんか流れるような悪意のコンボだよね。まだウェーイ言ってる子達の方が健全っていう」

上条「くっくっくっく……!いいのか!?ここで断ったら大×村かサメ案件になんだぞ!?それでもいいっていうのかっ!?」

鳴護「なんて嫌な自爆テロ!?当麻君も巻き込まれるのは分かってるはずなのに!?」

上条「なんかちょっと話聞いたら『ダムシャー○とレイクシャー○の違いって分かります?私には超分かりません』とかヌカしてたんだぞ!?」
(※両方実在するサメ映画です)

鳴護「本当に匠の技だよね。できれば生涯関わり合いになりたくはなかった」

鳴護「……あぁうんまぁ、そうだね。インデックスちゃんがセッティングしてくれるっていうし、シスターさんの一日体験がいいかな。シスター服も着れるし」

上条「分かったありがとう!大×村はまた後日だな!」

鳴護「行かないよ?ここまでネタバレっていうか出オチしてるんだから、行ったって面白みはないよね?」



――学園都市某教会”風”スタジオ 数日後 早朝

鳴護「『――はい、っていう訳で始まりましたARISAの一日体験カリキュラム!一発目のお仕事はシスターさんですよー!』」

鳴護「『シスターさん……いいですよねー、シスターさん。日本じゃあんまり見ませんけど、海外ではちょいちよい出歩いてるのを見るんだそうです。あたしは海外行ったことないですけど』」

鳴護「『でもシスター服っていいですよねー。なんか可愛いっていうか、あ、こういったら失礼かも知れませんけど』」

鳴護「『では早速お邪魔したいと思います!こんにちはー、おはようございまーす!』」

上条「あ、ごめんカメラ回してなかった」

鳴護「結構喋ったよ!?止めようとかって判断はなかったのかな!?元気な人じゃん!朝っぱら余所様の家の前で元気で迷惑な人じゃん!」」

上条「大丈夫!話はつけてあるから余所様じゃないよ!」

鳴護「いやいやいやいや、あたしが言ってるのはそういうことじゃない。もっとこう根本的なことであって」

上条「あと基本的にカメラは常時どっかで回ってるから大丈夫!気にしないで演技してくれればいいぜ!」

鳴護「じゃあ帰れば?あ、ごめん間違った。当麻君も一緒に被害を受けるためにいればいいと思うな?」

オルソラ「――はいはーい、仲が宜しいのは幸いでございますが、返す返すも子はかすがいと申しますのでございますよ!」

オルソラ「親しき仲にも礼儀あり、また壁に耳ありショウジにメアリーと国際化が推し進む中グローバルなのでございまして!」

オルソラ「つまり何が言いたかったのかと言えば――」

オルソラ「……」

オルソラ「それはともかくどちらさまでございますか?」

鳴護「雑ですね!?小話っていうか前置きがとっ散らかってる割に片付けようとする気もなく!?」

オルソラ「あぁ今のは『壁に耳あり障子に目あり』というジャパニーズ・ハイークを小粋なロンドンジョークとして昇華したものでございまして」

鳴護「違います。解説を求めてるんじゃなく、そして俳句でもないです。慣用句?」

オルソラ「それでメアリーさまは一体どのようなご用でこちらへ?本日は取材をされる方がいらっしゃいますので、緊急でなければ後日日を改めてお越し頂ければ幸いでございますよ」

鳴護「多分それあたしです。あとメアリーではないです。鳴護アリサです」

オルソラ「あぁでしたか!なら最初からそう仰って頂ければ!」

鳴護「少なくともメアリーと名乗った覚えはないです。あと、本日はお世話になります。よろしくおねがいします」

オルソラ「それで最近は色々とお高くなりでしょう?あ、この間もですね、イタリアでは一月の電気代が500ユーロを超えたと昔の同僚が」

鳴護「助けて当麻君!?話が行ったり来たりしてすれ違ってるよ!?」

上条「――今は辛いと思うけど最後まで走り切れ!そうすればきっとツッコミスキルが一段も二段も上がってるって実感できるから!」

鳴護「違う、そうじゃない。薄々主旨そっちじゃないかって疑ってはいるけど、多分違う」

オルソラ「まぁまぁメアリーさんこんなところで立ち話もなんですので中へどうぞ!」

鳴護「メアリーさん違います。鳴護です」

オルソラ「……その、まことに恐縮ではございますが、当院は歌手のARISAさまをお迎えしなければならないので、鳴護さんはお引き取りを」

鳴護「本人です!芸名がARISAで本名が鳴護アリサです!」

オルソラ「あらあらまぁまぁそうでございましたか!……で、つかぬことを伺いますですけれど」

鳴護「な、なんでしょうか?」

オルソラ「ではメアリーさんは今どちらへ?」

鳴護「そろそろ血管が切れそうです」



――アクィナス特設教会

オルソラ「――改めましてこんちにはでございます!わたくしはここアクィナス特設教会の修道長を勤めさせて頂いておりますオルソラ=アクィナスと申しますので!どうぞよしなに!」

鳴護「……どうもARISAです。タレントっぽいことをやってます、あと喉が朝からピンチなのでお水をいただけませんか?」

オルソラ「芸能人の方にお目にかかるのは初めてでございまして、少々張り切っておりますが!」

鳴護「あぁいえそんなにいいもんじゃないです。サメと怪談おじさんの襲撃に怯える精神年齢14歳です」

オルソラ「本日ARISAさんにおかれましては、当院でのシスター体験をお望みとか!実際にはどちらまでされるのでございますか?」

鳴護「どちら?不勉強で恐縮ですが、コースみたいなものがあるんですかね?」

オルソラ「えぇとまず正しくは申し上げますと、こちらは修道院でなく”っぽい”施設でございまして」

鳴護「ぽい?」

オルソラ「はい。新しく聖堂を建てるにはその教区や管轄者の同意を得ねばならず、今回に限りまして教会”っぽい”ところでの入信体験となるのでございますよ」

鳴護「本格的になりたいんだったら、別の施設ってことですか?」

オルソラ「立場は教導ということで、様々な矛盾に目につぶって頂ければ幸いかと存じます。『細けぇことはいいんだよ』でございますね」

鳴護「すいませんっ!軽い気持ちですいませんでしたっ!」

オルソラ「いえいえとんでもないのでございます。これを機に信仰に興味を持たれる方がいらっしゃれ良いですし」

鳴護「それに関しても絶対ごめんなさい!誰一人として敬虔な気持ちでは見てないと思います!」

オルソラ「それもまた良くある話でございますね。最近はアニェーゼさんたちが外へ出るたび写真を撮られまくるということになっておりますので」

オルソラ「シスター・ルチアには『ガーターをおやめになっては如何でしょうか?』と申し上げているのですが……」

鳴護「なんだろう……?この親近感は」

オルソラ「ともあれシスターとして活動を始める前に、まずは沐浴をしてこちらの衣装をお着替えくださいませ」

鳴護「あ、可愛い!シスターさんが着てるのですね!」

オルソラ「ありがとうございますのですよ。今回ARISAさんは十字教ではないので、ロザリオのデザインはないのが心苦しゅうございますけど……」

鳴護「あー、やっぱり十字教の人じゃない持っちゃダメなんですか?」

オルソラ「と、わたくしは考えております。ファッション感覚で身につけるのも多様性でございますが」

鳴護「まぁ個人の考えはそれぞれですからね」

オルソラ「ではではこちらへどうぞー。ロッカーとシャワー室へご案内致しますので」



――簡易シャワー室前

鳴護「ここ、かな?」

アニェーゼ「ARISAさんですかい?」

鳴護「はい、そうです。今日お世話になる鳴護アリサです。よろしくお願いします」

アニェーゼ「あぁこりゃご丁寧にどうも。シスター・アニェーゼ、もしくは船○と呼んでくださいな」

鳴護「それ合ってます?十字教は詳しくないですけど今ボケましたよね?」

アニェーゼ「今からARISAさんにはシャワーを浴びてもらいますが、基本水です」

鳴護「え!?結構寒いんですけど!?」

アニェーゼ「身を清める目的があるんですがね。あ、じゃあまぁそこからお話ししましょうか。丁度今使用中ですし、そちらへおかけくださいな」

鳴護「はい、ありがとうございます」

アニェーゼ「まず私のドレッド可愛いですよね?」

鳴護「お洒落だなーって思いました。あと編むのが大変そう」

アニェーゼ「ありがとうございます。ARISAさんもウゼェぐらい可愛いですよ」

鳴護「本心を言っただけなのに毒を吐かれたよ!?」

アニェーゼ「ま、ローマ正教的ジョークはさておくとしまして、ドレッドヘアーの由来には諸説様々あるんですよ。ドワーフ説やら海賊説までそりゃもうたっくさん」

鳴護「あー、ハイファンタジー系のロ×じゃないドワーフさんってそんなんですよね」

アニェーゼ「えぇ、その中で有力な説として『聖人がドレッド編んでた』って話があるんですよ」

鳴護「はぁ、ピンとこないですけど。要は凄い聖職者の方ですよね?」

アニェーゼ「正しく超スッゴイ聖職者です……一般的な意味合いでは、ですが」

アニェーゼ「つーか昔は聖職者といいますか十字教の司祭が髪を切るってぇのがダメって風潮があったんですよ。これが大体4世紀から10世紀ぐらいの間」

鳴護「え、なんでですか?清潔感があった方がいいじゃないですか」

アニェーゼ「えぇまさに逆なんですよ。『神の使徒として修行を積んでいるのだから、汚くて当然』って感じで」
(※本当にありました。ただし全部ではない)

鳴護「インドの修行僧チックですよね」

アニェーゼ「土地がそこそこ近いんで影響受けたのも否定出来ないんですが、まぁそちらは怪談おじさん二号機に訊ねてみてくださいな。長ったらしいウンチク帰って来ると思うんで」

鳴護「それが嫌です。凄い嫌です」

アニェーゼ「他にも『神から頂いたものを鋏を入れるとは何事か!』という考えもあったため、切らずに編んだという説もあります」

鳴護「へー、じゃあアニェーゼさんもやっぱり信心深いから?」

アニェーゼ「いえ、お洒落だから?」

鳴護「おい聖職者」

アニェーゼ「他にも経済的な理由があったんですよ。フロに入ったりするのは薪が必要、つまり経済的にも恵まれてなきゃいけない訳なんですよ」

鳴護「あー、だから質素な生活の方は無理だと」

アニェーゼ「まぁそれだけであれば良かったんですがね。後々『水は危険だ』ってことでヨーロッパ全土で湯浴みの風習が途絶えちまうんです。それが13世紀頃から300年以上続きます」
(※実話です)

鳴護「え、そうなんですか?!向こうの王様って豪華なお風呂入ってるような……?」

アニェーゼ「答えから言えばペストですね。なんでも公衆浴場を媒介にしても感染爆発しやがりましたんで、閉鎖されまくりました」

鳴護「水から伝染したんですか?」

アニェーゼ「正しくは飛沫感染ですかね。絶対に”密”な訳ですから」

アニェーゼ「ちなみにそのとき一般人とは違い、十字教の聖職者が罹りにくかったのも水を媒介にしての感染が少なかったからだ、という説もあります」

鳴護「公衆衛生的にはどうかなって思うんですが……」

アニェーゼ「そのあと何回も流行りやがりましたからねぇ。当時としてはそれが精一杯だったんじゃねぇかと」

アニェーゼ「シャワーが開発されたり近代医学が発達するにつれて大分マシになりました。今でも経済的な理由で水シャワーする学生とかいますし」

アニェーゼ「それはさておくとしまして、信仰と歴史的な意味も兼ねて温かいお湯はダメです」

鳴護「だ、大丈夫かな?」

アニェーゼ「とはいっても体は大事ですからね。神様は『熱いシャワーを使っちゃならねぇ』とは仰らなかったんで、そこは個人の自由ってことで」

鳴護「話が極端過ぎます」

アニェーゼ「あーいえいえ、それはARISAさんがお客様だからであって、我々ホンモノのシスターは毎日毎日苦行を強いられてますから」

鳴護「そうですか、お疲れさまです――あ、空きましたね」

ガチャッ

アンジェレネ「あ、あーいいお湯でしたね!さ、さすがは学園都市の給湯整備は違いますよ!」

アンジェレネ「こ、コックを捻っただけで温かいお湯が水のように!お、お湯なんですけど!」

アニェーゼ「……シスター、シスター・アンジェレネ」

アンジェレネ「し、シスター・アニェーゼの言ったとおりいいお湯でしたよ!こ、これ持って帰れませんかねイギリスに!」

アンジェレネ「あ、あっちの寮だと施設が古くて、一番温かいシャワーは奪い合いになりますし!ど、どうか購入を考えてみては!」

鳴護「……えっと」

アニェーゼ「――お?何見てんですかケンカなら買いますよアァンッ!?

鳴護「キレ方が理不尽過ぎるよぉ!?『あーさっぱりしたー』って感じのシスターさんをどうやったって擁護できないし!?」



――アクィナス特設教会

アニェーゼ「はい、っていう訳でARISAさんにはシスター服へと着替えてもらいました。どんなもんですかい着心地は?」

鳴護「思っていたよりも軽い感じです」

アニェーゼ「そうでしょうそうでしょう。神が祝福されていますからね」

鳴護「あの、そうではなく物理的な意味で。ドン○って袋に入ってたペラい衣装なのですが……」

アニェーゼ「サイズが……えぇまぁ何着か用意してきたんですが、あなたにピッタリのサイズがちょっとなくてですね」

アニェーゼ「シスター・アンジェレネや私のタッパは同じなんですが、明らかに胸回りがキツいですし。かといってスシター・ルチアやオルソラ嬢に合わせれば裾を引きずっちまいますし」

アニェーゼ「苦肉の策としてそちらのカメラマンさんがジョークで用意したドン○のなんちゃってシスター服以外に選択肢が……」

鳴護「笑いに対してストイックすぎないかな?どういうシチュエーションを想定してたの?」

上条「俺としては軽い気持ちで用意してたんだけど。控え室に普通のシスター服と一緒に置いてあったら『誰がこっち選ぶのかな!?』で一笑いを」

アニェーゼ「ですので今回に限りましてジャージ着用の上にペラいシスターコスでお送りします」

鳴護「何から何まで不本意です船長、じゃなかったシスター長」

上条「あ、すいませんARISAさん!何枚か撮るんで目線もらえますか?」

鳴護「今かな?さぁこれから仕事するぞ!って前に撮る必要あるのかな?」

アニェーゼ「何を言ってんですかい!?シスターのお勤めの一つに『写真撮影』はあるんですよ!?」

鳴護「あれあれ?あたしの知ってる十字教とは別の宗教なのかな?」

アニェーゼ「あぁいえそれがですね、聞くも涙語るも涙、涙涙の物語なんですがね」

鳴護「日本語お上手ですねシスターちゃん」

アニェーゼ「最近じゃあやれニューカルトだ自然食だ、昔の神様だの多様性が広まりまして。昔よりか信心深い人間が減ってるのもまた事実です。嘆かわしいことなんですが、死ねばいいのに」

鳴護「あの……カメラ、一応取材って体で来てるから、ねっ?」

上条「大丈夫だ、このシスターはいつもこんな感じだから」

鳴護「インデックスちゃんの情操教育に悪すぎないかな?もっとこう明るい場所で堂々としてほしいよね!」

アニェーゼ「あぁすいませんつい本音が。しかし信仰が少なくなろうが、信心深い人間が減ろうが、我々神の教えを広く伝えることに変わりはねぇんですよ」

鳴護「ご立派だと思います」

アニェーゼ「えぇ、ですんで私も仕方なしにこの超ミニシスター服を着ざるをえなく」

鳴護「なんて?」

アニェーゼ「よーく考えみてくださいな。人間の三大欲求はエ×・動物・動画投稿サイトですよね?」

鳴護「テレビですよね?もう見る目もないぐらいに劣化しきった業界の、昔々のテッパンですよね?」

アニェーゼ「興味の有る無しに関わらず、存在自体を認知しないといけない――そうなってると三大欲求に訴えかけないといけません!違いますか!?」

鳴護「追い詰められた動画配信者さんみたいになってますよ」

上条「分かる……!凄い分かる……!」

鳴護「当麻君もいい加減サンシャインさんに迷惑かかるから名前変えればいいよ」

アニェーゼ「ですから私は!この身を犠牲にしてお洒落なシスター服を着たりクツを履いたりしてんですよ!観光客へ媚びるために!」

鳴護「可愛いって自覚している部分で犠牲にはなってないと思うな。うんまぁよく似合ってると思うけど」

アニェーゼ「ですからARISAさんも!スチール写真は持って帰って教会に飾りますから目線くれればいいじゃないですか!」

鳴護「うん、そんなだから信仰心が目減りしてるんじゃないんですか?全体的に雑なところが」

上条「ARISAの写真代でインデックスの食費になってるんだからな!?もっとこう自覚してくれよそこら辺を!人を養うって責任を!」

鳴護「無茶だよね?そしてウチの事務所は大声では言えないようなお仕事をしてるんだから、あたしの稼ぎなんて微々たるもんだよ」

鳴護「あとあたしは十字教徒じゃないのに、宣伝に使うのはどうかと思うんですよね。あぁいや悪いって事じゃなく、事実無根って意味で」

アニェーゼ「マジ話、今こっちにくればかなり手厚く歓迎しますけど?」

鳴護「あ、結構です!ロン毛の神父さんに襲撃受けたのがトラウマになってますんで!」

上条「あ、じゃあ二人で肩組んでもらいまして、空いてる方の手でハートマークを作ってくれます?」

鳴護「それもうアイドルだよね?軽めの雑誌に出るヤツだよね?シスターちゃんからも言ってやってくれません?」

アニェーゼ「実は――ちょっとだけ憧れてないでもなかったので、割と乗り気ですけど」

鳴護「目の前のあたしを見てもそんな事言える?基本強いられているし、夢を売る方には夢がないんですよ?」

アニェーゼ「そりゃあしょうがねぇってもんですよ。ディズニーラン○のスタッフなんかどんだけ訓練されてやがんだと」

鳴護「アクターさんとシスターさんを同列視するのは間違っていると思います。お互いの名誉のためにも」

アニェーゼ「受け入れてくださいな。我々も好きでやって訳ではないんで」

鳴護「いやでもまさか、そんなことがある筈ないじゃないですか?いくら何でも盛り過ぎかと」

コンコン、ガチャッ

ルチア(※ガーターベルト)「――失礼致します。お食事の用意ができました」

鳴護「……」

ルチア(※ガーターベルト)「……えぇと、何か?」

鳴護「あぁいえなんですもないですっ!お疲れさまです!」

ルチア「あ、はい、失礼します?」 ガチャッ

アニェーゼ「……ねっ?」

鳴護「そう、だけども!一瞬空気が凍り付いたけども!」

上条「ドンマイwwww」 パシャッ

鳴護「いや構えるよ!?インデックスちゃん主導だからそんなには構えてなかったんだけど構えるよ!?」



――簡易食堂

アニェーゼ「――はい、という訳で着替えた後は普通お祈りなんですが。今回は先に我々の食事をお見せしましょう」

アンジェレネ「――ま、まず!そ、そうですね戦いは袋を開けるところ始まっているといっても過言ではないんですよ!」

アニェーゼ「基本的に前日に用意したものを火を入れず食べます。汁物にパンと簡素かつ質素なものばかり、まぁ朝は忙しいのでね。中々豪勢に、ともいかねぇんですよ」

アンジェレネ「ふ、フタに蒸気がついてしまっているので、お弁当の中に混入しないように、サッ!と取りますよ!も、もたつかずに迅速行動で!」

アニェーゼ「とは言いましても夕食はそこそこ温かいメニューも並びますし、何よりも

アンジェレネ「そ、そしていざご開帳したら手を合わせて、い、一礼すること!こ、これから戦闘に向うための一儀式としてモグモグガツガツガツガツ!!!」

鳴護「あの、すいません。内容が頭に入って来ないです。これっぽっちも入って来ないです」

アニェーゼ「あぁいえこちらこそ。学生さんにしては少しカロリーが足りねぇかもですが、まぁそこは今日だけですんで我慢してくださいな」

鳴護「いやそうではなく、そちらの方?そこでかつ○のテイクアウトと思われるカツ丼と戦っているシスターちゃんが……」

鳴護「『なんでだよ』と『取材が来てんだから部屋で食べれば?』って疑問が頭にこびりついて、他の情報が入ってこないんです」

アンジェレネ「あ、あげませんよぉ!?わ、わたしはこのためだけに日本へ来たと言っても過言ではないんですからねっ!?」

鳴護「寄越せって言ってるのではなく、堂々と目の前でタブーを破られても……っていいますか、お肉って口にしてもいいんですか?」

アニェーゼ「あー、修道院の派閥や教義に寄りますかねぇ。でも大体はそこそこ食べます。謝肉祭って聞いた事ないですか?」

鳴護「カーニバル的なウェーイですよね?」

アニェーゼ「まぁ十字教のお祭りなんですけど、信徒全体恵みを与えてくださった神に感謝する、ということは食べるのを推奨しておられますし」

アニェーゼ「派閥によっては特定の曜日に肉を食べずに魚を、という所もありますんで。一般の信徒さんであればそれほど気にせずともいいかと」

鳴護「……カツ丼はありなんですか?」

アニェーゼ「美味しいですよね。私はタルタル定食がマイフェイバリットです」

鳴護「ちなみになんでかつ○をかっ込んでいるのか伺っても?」

アンジェレネ「わ、わたしが悪いんじゃないんですよぉ!た、ただちょっと寝坊しただけじゃないですかぁ!」

鳴護「シスターちゃんは見習いとか?」

アニェーゼ「いいえ、残念ながら古参の一人です。ただ見た目と言動が幼いため、『まぁいいか』的な扱いになってるだけです」

アンジェレネ「そ、それほどでもないですよぉ!」

鳴護「たくましくて結構だけども!その強靱なメンタルはもっと他の場所で発揮してほしかったけども!」



――特設教会 聖堂

インデックス「なっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっがいんだよ!?ここまで来るのにどんだけかかってるのかな!?」

鳴護「気持ちは分かるけど理不尽だよ。あぁまぁあたしのための一企画用意してくれたのは感謝しかないけど」

インデックス「たった五個のカツ丼(松)だけで我慢してたわたしのみにもなってほしいのかも!」

鳴護「結構ガッツリいってるよね?成人男性の数日分のカロリーをオヤツ感覚で食べてるよね?」

インデックス「わたしを異常みたいに言うけどありさだって同じぐらい食べるんだからね!知ってるんだよ!」

鳴護「あたしはスーパーの試食品コーナーローテまではしたことがないんだよね」

インデックス「他にすることないから久々にお祈りしてたんだよ!そのぐらいヒマだったんだよ!」

鳴護「シスター……あぁうんなんでもないよ。大分本題からそれているし、今日の撮れ高がゼロに等しいけど」

インデックス「ともかく押してるから!巻きで行くんだよ、巻きで!」

鳴護「あっはい分かりました。それでシスターさんのお仕事って何をするんですか?」

インデックス「んー………………神父様のお手伝い?」

鳴護「具体的には?」

インデックス「そりゃあ色々あるんだよ?洗礼するときとか、祝福するとか、懺悔を聞いたりとか」

鳴護「あー、一般的にイメージするのだよね。それで今日は一体何を?てゆうか神父さんはどちらに?挨拶した方がいいよね、あたし」

インデックス「いないんだよ?ここは教会”風”のセットであって神父様なんか呼べないんだよ。むしろ呼んだら怒られるのかも」

鳴護「ってことはここにはいらっしゃらない、と?」

インデックス「そうなんだよ!ろんげの人に頼もうかと思ったんだけど、失礼だからやめたんだよ!」

上条「ステイルざまぁwwwww」

鳴護「はいそこカメラマンさん私情を挟まない――ではここでインデックスちゃんに再度質問です」

インデックス「はーい!ドンとくるんだよ!なんでも答えるんだよ!」

鳴護「神父さん不在のここでの通常業務とは一体何をすればいいんでしょーかっ!?」

インデックス「え、特にないけど?普通の修道院だったら特産品作ったり、畑のお手入れとかもあるんだけどね」

インデックス「だからまぁ待機中?みたいな?」

上条「『――はい、っていう訳でシスタードッキリ如何だったでしょうか!またまた騙されてしまいましたねぇARISAさぁんわぁ!』」

鳴護「エンディングのナレーション始めないで!?諦めたら試合終了だけどまだそんな時間じゃないよ!」

上条「終わってるだろ。教会の仕事体験させようって企画でどうしようもない展開になってんだろ」

鳴護「”風”だから!何かこう普段の業務感覚でやってる”風”なのはないのかな!?例えば懺悔とかっ!?」

インデックス「あるけど、それをシスターはしちゃダメなんだからね?使徒かその代理とされる司教、最低でも司祭様ぐらいがいないと」

鳴護「くっ!こんなところで意外と信心深いインデックスちゃん信仰が仇に……!」

インデックス「ダメはなものはダメなんだからね!わたしの信仰は堅いんだよ!」

上条「――なぁインデックス、もしもこの企画がお蔵入りになった場合、アニェーゼ部隊とオルソラの滞在費用とかが自腹に」

インデックス「――って思ったけども!ときにはじゅーなんに対応する必要もあるかもしれないよね!わたしの信仰は柔らかいのかも!」

鳴護「インデックスちゃんも考え方がサンシャイン化してきてないかな?声張ればなんだって許されると思わない方がいいよ?勢いがあればいいってもんでもないし?」

鳴護「でも今から企画って言われても……人が集まるのかな?」

上条「そこはフレキシブルにやろうぜ!要は放送に耐えられるだけの尺を稼げればあとはなんだっていいんだ!」

鳴護「お馴染みのメンバーで行くんだね。大体誰が来るか想像出来るよ」



――教会風スタジオ 懺悔室っぽい小部屋

鳴護「えっと……なんかきちんとした感じで、これ本当に突貫で作ったのか信じられないけど」

上条『間違って発注したのをそのまま流用する感じだ」

鳴護「では気を取り直して懺悔のコーナー!お仕事ですので頑張りたいと思います!では最初の方どうぞー!」

青ピ『――モニタの中からカノジョが出て来ぃへんのです!』

鳴護「大体予想通りだった。ジャブと見せかけて鈍器で殴ってくるって想像はしてた」

青ピ『カノジョは、カノジョはちょいシャイなだけなんですぅ!どれだけ課金すりゃ次元の壁は越えられるんですかっ!?』

鳴護「そのお金でなんでかんでも解決しようとするの良くないと思うよ?大体は解決できるけども、悲しいことに』

青ピ『そんなっ?!愛があって金も遣ぉとるのに!?他に何が必要なんっ!?』

鳴護「次元の壁を越えられないっていう常識」

青ピ『信じてればいつか夢は叶うんや……!』 ニチャアァッ

鳴護「諦めも大切だと思います。あとカメラマンさん、怖いから近くにいてください」

上条(※裏声)『二次元の世界へ行けばいいと思うよ♪』

青ピ『――天才か……ッ!!!』

鳴護「冗談にならない冗談はやめようよ!?あとこれはあたしが言ったんじゃないからね!?いざ責任問題に発展しても断固として法廷で戦うよ!」

上条(※裏声)『レッツ・トラック転生♪』

青ピ『――おおきにARISA!ボクは、ボクが行くべきところに行くんや……!』 ガタッ

鳴護「……これ記録残ってるよね?あとから警察沙汰になっても勝機は充分だよね?」

上条(※裏声)『さぁっ次の人どーぞ♪』

鳴護「無理があるよね、ってそれ多分あたしのモノマネなんだけど似せる努力すらしてないよね?それで誰が間違う人がいる?いないよね?」

浜面『十字○が出ないんすけど、俺はこの先どうすれば……!』

鳴護「うんまず整理しようか?誰のこの時点では理解できてないてないだろうし、できてたら凄いねって個人的には思うんだけども」

鳴護「十字架は十字架でもそれ萌えスロの十字○だよね?規制が緩かった頃で、もうなんだかんだで10年ぐらい前だと思うけど、シスター繋がりでそのネタ引っ張って来たんだよね?」

浜面『俺は真面目にパチスロ打ってんだよ!趣味じゃなくて生活がかかってんだよ、分かる!?』

鳴護「当麻君?コメントしづらい時には沈黙するって卑怯じゃないかな?こういうときに引き受けてくれると嬉しいんだけど」

上条(※裏声)『大丈夫だよ!いま筐体が設置されてたら違法(多分)だから!』

鳴護「だからその説明で誰が分かるのかな?ゲーセンの片隅で設定高めで稼働してるって可能性もあるよ?」

浜面『そっか……じゃあバッティングセンターの片隅にあるヤツ打って勝利してくるぜ!サンキューな!』

鳴護「部分的には勝つかも知れないけど……その、一切景品を現金に替えられないから、ただ自己満足以外にないっていうか……まぁいいか』

上条『――十字○の新シリーズ、あれはシスターって言っていいんだろうか……ッ!!!?』

鳴護「分けて来ないでよ!?面倒だからいっぺんに来ればいいんじゃないかな!?」

上条『シリーズ出る度に新しい設定作るのはわかっけどさ!主人公ダンピールだからシスター要素の欠片もないしな!』

鳴護「あぁうん……シスター萌えの人には死活問題なんだね。分かりたくないけど分かる――」

鳴護「――けどもよく考えて!既存のシスターさんが出てくるフィクションだと、キャバク○と大差ない格好だからどっちもどっちだよ!」

上条『ありがとうございますシスターさん……結局、真のシスターさんは俺たちの心の中にいるって事かな?』

鳴護「そうじゃないよ。そんなことは言ってないし、萌えスロでここまで話拡げろって予想外すぎるよね?もっとしょーもない懺悔とかないの?」

絹旗『――超ご指名ありがとうございます。呼ばれて飛び出て最愛ちゃんです』

鳴護「くっ……!ガチな懺悔をしなきゃいけない人が来た……!」

絹旗『懺悔といいますか、神様に超ごめんなさいしなければいけないといいますか……この間、「Dun○」という映画を見ましてね』

鳴護「あー、去年の映画だよね。暮れぐらいにCMバンバン打ってたっけ」

絹旗『時期は忘れましたが、まぁそうですね。ちなみに原作は戦後に書かれたSFの超名作であり、ナウシ○とかも影響を受けている、という説があります』

鳴護「随分古いのの映画化したんだね」

絹旗『ていうか何回してますしね。私の知る限りでは四回目ぐらいの映像化だったと思います――が、しかし同じく去年年末に「Planet Dun○」って映画が超公開されたんですよ』

鳴護「へー、メイキング含めた完全版みたいな?」

絹旗『いいえ?Dun○原作とは全く関係無いタイトルだけ超似せた映画ですけど?』

鳴護「ちょっと何言ってるのか分からないかな」

絹旗『超例えるならばトランスフォーマ○が流行った年にトランスモーファ○という映画を出す感じです』

鳴護「タチ悪いよね?そんな手法で訴えられないの?」

絹旗『その会社のオリジナル作品が、件のシャークネー○などサメ映画を超量産しておりまして、「相手にしたら負け」ぐらいの認識でしてね』

絹旗『もし仮に訴えた場合、「やったね訴訟されて広告費浮いたぜラッキー!ぐらいの』

鳴護「アメリカにもレッサーちゃんみたいな人が……!?」

絹旗『ちなみに内容は似ても似つかない感じです。Dun○がちょっとしたベン・ハ○ぐらいのヒューマンドラマをしているのに対し、Planet Dun○はよくあるパニック映画ですから』

鳴護「ならまぁ……住み分けしてるんだったらいいんじゃない、かな?うん、そこはね」

絹旗『はい、それだけでしたら私も懺悔にわざわざ足を運んだりはしないのですが……超致命的な問題がありまして』

鳴護「な、なに?どうしたのかな?」

絹旗『Dun○本物がクッッッッッッッッッッッッッッッソ超つっまんねぇんですよね』

鳴護「個人の意見だよ!?決してこう、なんか!そんなんじゃないから!」

絹旗『いや急にピタっと宣伝止まりましたよね?まぁそれは超そういうことでないかと』

絹旗『超擁護しておきますと、SFX含めての出来はかなりいいと思います。内容もややダイジェスト風味ながらも、150分の中に青年の成長を入れたのは評価できるんですが』

絹旗『ですが原作超知らない人からすれば……ですので』

鳴護「あー……古典の名作でもそういうことってあるんだ」

絹旗『ただ超問題なのがPlanetの方です。砂の惑星に探検隊到着→デカい砂蛇に襲撃さぁ大変という、まぁDun○本物とはタイトル以外似てない作品なんですが……』

絹旗『正直、エンターテイメント映画としてはオリジナルよりも超格段に上っていうね』
(※個人の意見です)

鳴護「もう訴えらればいいんじゃないかな?」

絹旗『神様、私を超お許しください!まさか名前だけ似せたダメ映画が本物を超える日が来るとは……!!!』

鳴護「そろそろ神様も限界じゃないかな?あと呼ばれてないのに来るのはどうかと思うんだよね、当麻君の仕込みだと思うんだけど」

鳴護「もっとこうギャグじゃなくて普通のが!ちゃんとした懺悔する人っていないのかな!?」

闇咲『――今まで手を汚してきた私が、果たして幸せになっていいものだろうか……ッ!』

鳴護「もうギャグですよね?闇咲さんも当麻君の悪いところに影響受けてますよ?」



――オービット・ポータル芸能警備会社

マネージャー「お疲れさまでございました。今回も名状しがたい企画ですね」

鳴護「なんとかなりませんかね?シスターさんの衣装着られるってかなり嬉しかったんですけど、ご当地アイドルの方でももっとちゃんとしてません?」

マネージャー「え?ARISAさんは学園都市のアイドルですよね?」

鳴護「メジャーデビューしてますけども何かっ!?」

マネージャー「人気者の辛いところですよね――で、次の企画なんですが、ZANGEちゃんに扮するARISAさんが懺悔を聞いて回るっていう」

鳴護「そのすぐにパクるのやめません?」

マネージャー「大丈夫です!前回の放送も『ARISAのシスター可愛かったね!』以外の感想皆無だったですし!」

鳴護「本当に特定の人たちの興味しかないですよね!いやありがたいことですけど!」


-終-

inserted by FC2 system