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Clock(trial)

鳴護「あたしに人生をやり直す能力が……ッ!?」

 
――エンデュミオンの塔

シャットアウラ「――そうだ、私……あの時、願った」

シャットアウラ「大事なものを差し引いてでも、奇跡が欲しいと――」

鳴護「――あたしが、生まれた……ッ!!!

レディリー「音声に介入して力を広げてる……!?」

レディリー「違う……この歌じゃ!私の魔法陣は!」

鳴護「幻想なんかじゃない……!」

レディリー「全てが――壊れ――」

……

シャットアウラ「……」

上条「……シャットアウラ。アリサは……!?」

シャットアウラ「……ここに、いるさ」

上条「……そっか。そう、だな。元の場所へ戻っただけ、なんだよな」

シャットアウラ「行くぞ。ここも崩れる」

上条「……あぁ、帰ろう……!」



――どこか、いつか

鳴護「……」

鳴護「……そっか。当麻君とインデックスちゃん……」

鳴護「まぁ……悪くは、ないよね。悪くは。たくさんの人たちを、死なせずに済んだ……」

鳴護「うん、悪くないよ。これで良かったんだよ――」

鳴護「……」

鳴護「――帰りたいよ……ッ!インデックスちゃんともっとお喋りしたかった……!」

鳴護「美琴ちゃんや涙子ちゃん達と一緒にお茶を飲んだり、カラオケ行って冷やかされたりしたいよ……!」

鳴護「でも、もう、もう……ッ!」

鳴護「……助けて……当麻君……ッ!!!」

???『……――』

鳴護「だれ……?声が……?』

絹旗(???)「おぉありさよ、しんでしまうとはちょうなさけない」

鳴護「え!?今週は真面目な企画だと思ってたのに!?」

鳴護「てゆうか最愛ちゃん!?最愛ちゃんが何でここに!?体が無くなった後も付きまとわれる運命なの!?」

絹旗?『いいえ私は超ぷりちーな最愛ちゃんではありません。なんかこう神様っぽいアレです』

鳴護「設定が曖昧だよぉ!外見がそうだし神様だって言うんだったらもっと説得力が欲しいかな!』

絹旗?『とんでもねえ、あたしゃ神様だよ』

鳴護「誰が知ってるの?モーストフェイバリットコメディアンたる志村○さんの持ちネタなんて誰が……ってそこそこ知名度はあるか」

絹旗?『鳴護アリサさん、あなたは志半ばで亡くなりました。その魂はとても善良なものです』

鳴護「はぁ、どうも」

絹旗?『あなたのその善行へ対してチャンスを超与えましょう。あなたは生前超良い事をしました』

絹旗?『生まれて二歳だというのに圧巻のサービスカット――ちっ』

鳴護「舌打ち聞こえてます監督。あとインデックスちゃんも評価してあげてください」

絹旗?『てゆうか親元のシャットアウラさんが貧乳派なのに、あなたが巨乳……願望が超モロに投影された結果でしょうか』

鳴護「遠距離狙撃はやめてください!イジるんだったらあたしだけに!」

絹旗?『ネトフ○だかアメ○だか超忘れましたが、アニメ見放題で映ったのは主人公を差し置いてあなたの劇場版カットでしたね』

鳴護「あれあたしにも事前連絡来なかったんだよ!?おかけでそのあと一ヶ月ぐらい当麻君と連絡取りづらいのなんのって、みんなが思ってるよりもダメージが大きかったんだから!」

絹旗?『まぁそんな訳であなたに能力を超授けましょう。もうなんかパターン過ぎて笑いそうになりますが、人生をやり直す能力です』

鳴護「なんで?ありがたいのはありがたいんですけど、正直もっと他の救済方法無かったですか?例えば死ななかったことにするとか?」

絹旗?『では逆に超問いますが、あなたの核となっていたシャットアウラさんがいますよね?』

鳴護「はい。それが何か?」

絹旗?『ご本人は鉱物にエネルギーを溜める能力者なのに、何をどうやったらあなたが超生まれたのですか?』

鳴護「こまけぇこたぁツッコムなってことですよね!分かります!」

絹旗?『同じレベル4として一度死合いたいと超思います』

鳴護「あれ?やっぱり最愛ちゃん?最愛ちゃんだよね?」

絹旗?『まぁフレメアの例もありますし、超何らかの集団的無意識的な異能かもしませんが。それはさておくとしまして』

絹旗?『やり直すとしても限度があります。あなたがやり直しできるのは善良な魂であるが故、それを超逸脱するような真似はできません』

鳴護「あの、監督?人生やり直す時点で、ある意味人様の人生を踏みにじってると思うんですよ。のび○くんとか」

絹旗?『のび○くんの視点に立つか、しず○ちゃんの視点に立つかで大局が超変ってきますよね。そして当て馬にされる出来○くん』

鳴護「友情がテーマの大長編で『OPでもう一人出ていなかった?』って微妙な気分に……」

絹旗?『まぁ出来○くんの例もありますし、やり直すにしても超節度ある行動をお願いします』

鳴護「アリとナシの境をせめて例示して頂けると……」

絹旗?『人を使っての他ヒロインへ直接危害を加えるのは超NGで一発BANです』

鳴護「ちょっとしたネトゲー並のギスギス感!?PKナシってそこからスタートなんですか!?」

絹旗?『しかし直で超殴り合う分にはアリです。てか実際にされている方いますし』

鳴護「美琴ちゃん……!遠距離から近距離までオールラウンダーだし漢らしいよね!相変わらず!」

絹旗?『超ぶっちゃけますと「どっかの自称主人公よりもバトルシーンが派手」という意味も……』

鳴護「と、当麻君は頑張ってるよ!ただ今はちょっと具体的にどれとかどうとかは思いつかないだけで!」

絹旗?『あとはまぁSNSで中傷するとか、品性や人格を超疑うような真似は慎んでください』

鳴護「うん、あのね、最愛ちゃんね?ツイッタ○で嘘ばっかり流してもヒロインは交代しないと思うよ?『あ、暇な人がいるなー』って思われるだけだよ?」

絹旗?『アリサさん……今度こそ超幸せになるのです……』

鳴護「あっはい、どうも?」

絹旗?『無事生き残ったと思ったら、アイドルとしての人生も散々でグラドルのお仕事を超余儀なくされたり』

絹旗?『もしくは声優志望だったのにいつしかアイドルと大差ない仕事ばかりで、「あれこれ声優のお仕事だっけ……?」と自問自答する日が来るのを超期待しています……!』

鳴護「業界批判はやめよ?今だと鬼○声優さんが出まくってるけど、ちょっと微妙な気分になるからやめよう、ねっ?」

鳴護「てゆうか絹旗ちゃん何の役なの?火の○?手○先生の大御所キャラの一人になったつもり?」

絹旗?『ではよいやり直しを――あ、私はいつでも超見守っていますので、ご心配なく』

鳴護「それが一番心配だよぅ!」



――病院

鳴護「……」

カエル先生「――うん、意識は戻ったようだね?バイタルも正常値……と、若いってのはいいんだね?」

鳴護「あ、の……ここは?」

カエル先生「君が患者で私は医者だよね?高高度を飛行する旅客機の事故に君は巻き込まれた、憶えているかい?」

鳴護「は、い……体が……」

カエル先生「うん、だろうね。君の体は著しく憔悴――というよりは消耗している、って感じだね?」

鳴護「え、と……?」

カエル先生「まぁ発現したばかりの能力者には多い症状だね?安静にしていれば大事はな――」

看護師「――先生急患です!もう一人患者さんがいたようです!」

カエル先生「分かった――詳しくは後でね、名無しさん?」

鳴護「……」

パタン

鳴護「……あたし……戻って……!」



――警備員 本部

警備員「記憶がない、じゃん?」

鳴護「……はい、すいません」

警備員「あー困ったじゃんね。あんたの登場記録はなし、つーか該当する人物も見当たらないじゃんし……」

警備員「外から来るのは不可能、つーか乗り込むような真似は出来ないじゃん。んー」

鳴護「あの、施設にでも入れて頂く訳にはいかないでしょうか?」

警備員「それしか選択肢がないじゃんけど……小萌先生は今ちょっと問題児抱えてるじゃんし……」

警備員「あんたに選択肢は二つあるじゃん。学園都市の外に出て国の施設にお世話になる」

警備員「もう一つは孤児院で厄介になるじゃん?ただこっちは厳しいじゃん」

鳴護「大丈夫です!やっていける自信はあります!」

警備員「いやそれがじゃんね?今空きがあるところって二つしか無いじゃんよ。一つが少年鑑別所みたいなとこじゃん」

警備員「評判は悪くないし、どっちかっつーと体や心が怪我してて、一人になりたいって子が行くじゃんね」

警備員「もう一つはとにかく大所帯で、団体行動ができないと辛いじゃ――」

鳴護「そ、そっちでお願いします!大丈夫です!あたし小さい子好きですから!」

警備員「ん、って話なんじゃんが……まぁいいじゃん。そしたら早速送っていくじゃん」



――鳴護院

院長先生「ごきげんよう、私が鳴護院の院長をしている者ですが」

鳴護「お、お世話になります!ご迷惑でしょうが!」

院長先生「いたしませんわよ。あなた、心得違いをされているのではなくて?」

鳴護「え、あ、はい?」

院長先生「大人が子供の世話をするのは当り前の話、他人の迷惑なんて体面を気にするのはおよしなさい」

院長先生「精進なさい、そして誇れるような自分におなりなさい?いいですね?」

鳴護「院長せんせえぇぇぇ……!」

院長先生「あらあら、今度の子は泣き虫ですか。猫を被るんだったら最後まで突き通しなさい」



――夜

鳴護「……」

鳴護(よく分からない展開になったけど……まぁやり直してる、よね?大掛かりなドッキリじゃない限りは)

鳴護(このままの流れで行ったらレディリーさんにスカウトされてデビュー即デスゲームに放り込まれる訳で……それは何としても避けたい、かな?)

鳴護(まぁ巻き込まれても当麻君とインデックスちゃんと知り合いになれていれば、最悪の最悪は避けられるわけで。でもその場合はあたしも消えちゃうけど)

鳴護(んー……まぁいいか。やり直し自体は一回だけって言われた憶えもないし。やるだけやってみよう、うん)

鳴護(まずはキーボードを買うためにバイトしつつ、年少組さんのお世話かなぁ)



――半年後 路上

鳴護「『――以上、ARISAでしたー。ありがとうございましたー』」

通行人A「……」

通行人B「……」

鳴護「うぅ……知名度ゼロからやり直すのは辛いな……!まぁ歌唱スキルがそのままなのはありがたいけども!」

鳴護「あ、でも今のウチに未来で流行る曲、ジェプセ○さんやパトリッ○さんの曲を丸コピすれば大ヒットするかも……!」

絹旗?『ノー、ダメです。そういうのはとあるコンプラに超引っかかります』

鳴護「当人同士の殴り合いがアリなのに、強くてニューゲームの醍醐味がダメってどうなのかな、って今誰かいた?ここにいちゃいけない人が?」

鳴護「まぁいいや……おひねりも殆ど入ってないし……あぁこれプルタブだし。初めのうちにやられた挫折感がもう一度!」

白い人「――よォ」

鳴護「お金は持っていません!あと処×なんでメンド臭いです!」

白い人「聞いてねェよ。そして路上ですげェカミングアウトすンなや。俺は人買いかなンかか?」

鳴護「ち」

白い人「ち?」

鳴護「超美白……!?MAT○さん!?MAT○さんなの!?」

白い人「サイボーグだよあれ多分。つーか誰もツッコンでやンねェのは優しさじゃねェと思うわ」

鳴護「あ、はいそうですね?じゃああたしはこの辺で失礼します。ありがとうございました」

白い人「だから早々にハケよォとすンなよ。チンピラがカツアゲしてンじゃねエンだからよ」

鳴護「いやでも、あからさまにカタギじゃ無い目つきの人に言われても説得力が……」

白い人「親譲りだわ。オヤジもこンな目つきしてたわ」

鳴護「お母さん大英断ですねっ!」

白い人「オマエ俺の両親にケンカ売ってンの?いや別に替って買ったりはしてねェけどもだ」

鳴護「きょ、今日の稼ぎは全部渡しますから!見逃してください!」

白い人「だから犯罪的なアレじゃねェっつってンだよ。見ろ、俺の格好を」

鳴護「白いですよね」

白い人「そうじゃねエ、格好見ろつってけどもそうじゃねェンだよ。もっとこう装備してるコンビニ袋を見ろや」

鳴護「缶コーヒーがいっぱい――あなたが犯人っ!?」

白い人「なンでだよ。俺がオマエにキーボードケースにプルタブ入れて、また絡むってどンだけ暇か」

鳴護「え、じゃあどのようなご用件で……?」

白い人「あー、アレだ。そのプルタブ捨てンのか?」

鳴護「えぇはい。ペットボトルキャップと違って持っていくトコもないですし」

白い人「あァじゃあ俺が買い取るわ」

鳴護「ほしいんですか?でしたら別にお金なんて要らないですけど」

白い人「あーっと、アレだわ。それ集めるとキャンペーン的なのがやっててだ。ジャンバーだかなんかの」

鳴護「なんで欲しい人が曖昧なんだろう……?」

白い人「百円ぐらいでいいか?あンま多いンだったら増やすけど」

鳴護「あ、すいません。そのキャンペーンは先週に終わってるみたいです。ほら、あそこの張り紙に」

白い人「知ってンだよ!つーか分かれや話通じねェなこの女!」

鳴護「ウッカリさんですね。あ、外見は怖いのに天然の人だ!」

白い人「……なンで俺は声かけちまったんだろう。あァ疲れてンだな、疲れてンだわ、きっとそォだわ」

鳴護「コーヒーにはですね、カフェインって成分が入っていまして」

白い人「うン知ってる。つーか知らねェ人の方が少数派」

白い人「……あァ面倒臭ェ。ここに置いておくからな、じゃあな」 チャリーン

鳴護「500円ありがとうございました!またのお越しをお待ちしております!」

白い人「嫌がらせ?一応気ィ遣った俺に対して?」



――路上 夕方

鳴護「『――ARISAでしたー。ありがとうございましたー』」

通行人 パチパチパチ

鳴護「あー、ちょっとはお客さんも増えて来たかなー。少しずつ曲も売れるようになったし」

鳴護「『コラボしよう』って男の人が増えて困ってるけど……そして女子からは遠目にされる……?なんで?」

青髪ピアス「おうおうねーさんよぉ、誰に断っとぉてここで演奏してんねんな!」

鳴護「これが警備委員から発行された路上使用許可証です。そしてこっちが地元の商店街さんのサインで」

青髪ピアス「しっかりしとったな!?ストーリートミュージシャンでそこまでカッチリして子ぉ他におらへんよ!?」

鳴護「院長先生から『あなたはつけ込まれるからしっかりしなさい』って教わっていまして……心外だけど」

青髪ピアス「これ以上ないぐらい適切なアドバイスでんな!余計なことしくさってからに!」

鳴護「ですのでこれ以上何があるのであれば、警備員事務所でお話し頂くようになりますけど」

青髪ピアス「いや違ったわ−。そうやなかったわー。今のはアレやね、ただの掴みのギャグみたいなもんで」

鳴護「ご用件は何でしょうか?」

青髪ピアス「良かったらボクとコラボせぇへん――」

青髪ピアス「――そう!人生という名のデュエットをやね……ッ!!!」

鳴護「『もしもし風紀委員さんですか?はい、ストーカーが』」

青髪ピアス「秒で通報!?ギャグへ対してツッコんでもくれへんの!?」

鳴護「『前に警告されていた青い人だと思います、はい』」

青髪ピアス「あ、なんや普段の行いやね!ボクが悪かったわ!」



――路上 夜

鳴護「『――ARISAでしたー。ありがとうございましたっ』」

通行人A パチパチパチ

通行人B「お疲れ様です」 チャリーン

鳴護「ありがとうございましす。これで院のみんなのおかず一品増やせそうです」

ホスト?「いい曲だったな。ダウンロード配信してねぇのか?」

鳴護「えっとアドレスは……」

ホスト?「あ、そういう苦手な人か。あーっとなぁ、QRコードで直リンさせた方がいいっつーか」

ホスト?「チップも一律いくらに設定して、電子マネー使った方がいいぜ?」

鳴護「すいません日本語でお願いします」

ホスト?「ほぼ日本語しか喋ってねぇよ。だからな?コンビニでベイすっときにバーコード写すよな?」

鳴護「すいません一身上の都合でガラケーなので」

ホスト?「誰かこいつに通訳してくれ!あと今モバイルは契約次第で安くなってっからそれ使えよ!」

鳴護「はぁ……凄いんですね」

ホスト?「君いままでどうやって生きてきたの?人魚姫かなんか?」

鳴護「まぁある意味似たような感じっていうか、そのままな気がしないでも無いですけど」

ホスト?「なんでだよ」

チンピラA「オゥオゥ姉ちゃん、誰に断ってここで商売失礼しますすいませんでした二度と関わりません!!!」

チンピラB「テメコラここら辺を仕切ってんのがもうしません田舎へ帰って実家を手伝おうと思いますごめんなさい!!!」

鳴護「最速のハケ方!?因縁を付けに来たのか、意思表明をしに来たのか分かんないよ!?」

ホスト?「まぁアレじゃね?真っ当に生きるんだったら彼らのためなんじゃね?」

鳴護「それはそうですけど、なんか納得がいかないって言いますか。山の中でクマを見て逃げ帰る感じで」

ホスト?「クマなぁ。クマ程度と一緒にされてもな」

鳴護「あとおひねりは頂けないんですか?キーボードケースが寂しいって」

ホスト?「いややるけど!ここでやらなかったらただの変な人だけど!もっとこう君は気ぃ遣えや!」



――路上 深夜

鳴護「『――ARISAでしたー。ありがとうございましたー……』」

鳴護「……って人は殆どいないし、酔っ払いのオジサンぐらいだし」

鳴護「てか治安悪いのかと思ったらそうでもないんだよね。ホストさんが来たら冷やかしの人もいなくなったし……?」

鳴護「ま、いいか。よし!今日はもう帰ろ」

喪服を着た男「……」 ユラッ

鳴護「先週に引き続き新手の都市伝説!?あぁいや先週なんて知らないけど!」

喪服を着た男「……あぁすまない。驚かせてしまっただろうか、いい歌なので気配を殺していた」

鳴護「殺すのは気配だけですよね?ならいいんですけど、それもカタギの人にはできない所業ですからね?」

喪服を着た男「チップは……取って置いてくれ」 ガサッ

鳴護「ちょっと待ってください多すぎますよ!?こんな、新聞紙かと思うような量を!」

喪服を着た男「いや――いいんだ。いくら探して見つからない、無駄になりそうだから。私が持っていても仕方のないものだ」

鳴護「いやあの、何かあったんですか……?あたしで良かったらお話を聞きますけど」

喪服を着た男「大した話ではないさ。知り合いが少しばかり体を壊して、治せる見込みが立たない。学園都市最高の医師でも現状維持がやっとだそうだ」

喪服を着た男「……まぁ分野が違うからな。藁にも縋る思いできてみればこの様だ」

鳴護「あー……治療費だったんですね、これ」

喪服を着た男「その一部だがな――では失礼する。君の歌は素晴らしかったよ」

鳴護「ま、待ってください!受け取れませんし今ちょっとお時間ありますかねっ!?」

喪服を着た男「無理矢理押しつけるつもりはないし、時間もあるが……?」

鳴護「い、今から全力で歌います!だから彼女さんに見せてけあげてください!録画でもいいですから!」

喪服を着た男「いや、気持ちはありがたいが。流石に歌一つで治るような生易しいものでは」

鳴護「あたしを信じて、ね?」

喪服を着た男「……分かった。動画でいいかな、今の時間だと彼女は眠っているはずだから」

鳴護「はい、じゃあそれで。鳴護アリサ、もといARISAがお送りします――」

鳴護「――『明日晴れるかな?』」

……

鳴護「『――ありがとうございました』」

喪服を着た男「…………こ、れは……!?」

鳴護「ってなんで泣いてるんですか!?」

喪服を着た男「――――――聖女」

鳴護「……はい?」

喪服を着た男「いや、独り言だ。ありがとう、本当にありが、とう……!」

鳴護「え、あーはい、どうも?」

喪服を着た男「この借りは必ず返す。ではまた」

鳴護「あぁはいさよならです?」

鳴護「……」

鳴護「んー……大丈夫かなぁ?少しぐらいは効くと思うんだけど」



――あの日

ステイル「――鳴護アリサさん、で会っているよね?」

上条「どうしたステイル、お前もサインが欲し」

ステイル「――『炎剣』!」 ゴウッ

上条「あっぶな!?なにしやがんだこの通り魔野郎!」 パキイィンッ

鳴護「当麻君!」

ステイル「君には幾つかの容疑がかけられている、ってゆうかまぁ犯罪的なアレじゃないんだけど、もっと悪いっていうかさ?」

ステイル「まぁ断れば?被害が?周囲にかかるってだけで?」

上条「最低だなテメー!インデックスがいないからって雑な演技しやがって!」

シャットアウラ「――おっと、それは困るな!」 ズォンッ

上条「があぁっ!?」

鳴護「当麻君!?当麻君っ!」

シャットアウラ「……」 ゲシッ

上条「あだっ!?」

鳴護「あったかな?今の追撃ってホンにはなかったよね?」

ステイル「チィッ能力者か!」

シャットアウラ「鳴護アリサ、こっちへ来るんだ。身の保障はしないしどうなるかも知らない」

シャットアウラ「ただ?そこのロン毛と違ってお前の周囲へ手を出さない、どうだ?」

鳴護「……行きます。だから当麻君を!」

上条「ダメだ!行くなアリサ!」

ステイル「みすみす取り逃すとでも?――『イノケンティウス!』」 ゴオウンッ!!!

喪服を着た男「――『断魔の弦』」 ブウンッ

ステイル「んなっ!?」

鳴護「あな、たは……?」

上条「誰、だ……?」

闇咲(喪服を着た男)「――闇咲逢魔だ、『魔術師名;抱朴子(ク・リトルリトル)』」

闇咲「一身上の都合により邪魔をさせてもらう。立てるか、少年?」

ステイル「邪魔を……邪魔をするなぁっ!」

闇咲「ならば推し通るがいい。だが我が信念、折れるものならば!」

シャットアウラ「引っ込んでいろ部外者が!」 ドォォンッ!!!

ホスト?「――『未元物質』」 スゥッ

シャットアウラ「んなっ!?消えた!?爆発もせずに!?」

ホスト?「ハッハァ!俺でも分からねぇが、つまりはそういうことだぜ!俺を倒したければデイジーカッターでも持って来な!」

鳴護「……ホスト、さん?」

ホスト?「なーんか楽しそうでいいじゃん、なぁ!なんでこうなってんの修羅場?なぁ!?」

ホスト?「まぁいいぜ、まぁいいわ、まぁどうでもな!ケンカ売るってんだったら俺が代わりに買ってやるよ!」

垣根(ホスト?)「この、『未元物質』の垣根帝督がな!!!」

シャットアウラ「学園都市第二位だと!?」

???「――そこまでしてもらいましょうか」 ドウンッ!!!

上条「なんだ……お前は!?」

神裂(???)「気乗りのしない仕事……まぁ今でも全く全然これっぽっちもやる気は無いのですが」

神裂「流石にこれだけの人材を集める気質、求心力たるやそっち系の『聖女』である可能性も高い」

鳴護「……『聖女』?」

上条「ウッホウッホ――じゃなかった神裂!アリサはお前と筋肉の付き方、具体的には引くぐらいのシックスバック腹筋のお前とは全然違うだろ!?」

神裂「台本にありましたか?今一回ゴリラ語を経由したのはアドリブですよね?あとで憶えておきなさい?」

ステイル「『聖女』って言ってもね、自己犠牲タイプや戦闘特化タイプ、そしてゴリラタイプにビキニアーマータイプと色々あるんだよ」

鳴護「すいません。途中から合体メカの説明になっていませんか?」

神裂「なので!あなたの身柄はここで確保――」

チュドォォォォォォォンッ!!!

神裂「――だ、れですか!音速で缶コーヒーを投げてきたのは!?」

白い人「――あァ、すンませーン。キャッチボールしてたらァ間違ったみたいでェ」

神裂「そんなはずがないでしょう!」

白い人「まァそォなンだけど落ち着けババア、はしゃぐなババア、てかスゲー格好してンのなババア」

神裂「――シィッ!!!」 ヒュンッ

ギイィンッ

神裂「な――跳ね返、した……!?」

白い人「ババア聞けよ、唯一のアドバンテージ年の功が台無しになっからよォ。人の話は最後まで」

白い人「つーかなに?よく分かンねェけど、誘拐?調子ぶっこいてンの?まァいいけどよォ、ここから先は」

上条「一方通行!」

一方通行(白い人)「オマエぶち殺すぞ?俺の台詞途中、しかも一番いいとこで何入ってンの?死ぬの?」

鳴護「あの、状況が掴めないんですけど……?」

一方通行「知り合いが誘拐されそォになってンだったら、まァ止めンだろ。運動にもなンねェだろォが」

神裂「これは……流石にマズいですね」

上条「なんかよく分からないが囲め囲め!囲んでフルボッコだぜ!」

青髪ピアス「そやんね!ボクらの友情パワー見せてあげましょか!」

鳴護・上条・一方通行・垣根・闇咲「いや、お前はいい」

青髪ピアス「なんでぇな!?ボクも仲間に入れてぇよ!」


『〜逆ハーレムルート〜』 -終-



――どこか、いつか

絹旗?『おぉありさよ、しょかいでぎゃくはーるーとなどなんてちょうえげつない』

鳴護「いや知らないよ!?なんで最初から助けてくれる人が増えてるのかな!?」

絹旗?『超流石ですねアリサさん、難易度Sの逆ハーレムを初回でクリアするなんて。カタリ○さん並の剛運をお持ちで』

鳴護「あの、ね?助かるのは助かるだろうけど、情緒も何もないって言うかね?数と力の暴力で押し切って終わりだよね?このあとね?」

絹旗?『超問題なのはそこですよね。彼女持ち一人を除いて、全員で醜い争奪戦が始まるっていう』

鳴護「あたし?あたしに問題ないですよね?この世界を設定した人が歪んでるだけですね?」

絹旗?『さぁどうしますかアリサさん!この世界で超決定ですか、それとも!?』

鳴護「すいません、フィクションならともかくこの状況でやり直さない人って壊れてると思います」

絹旗?『あなたは今全国の乙女系女子にケンカを売りましたが……超いいでしょう!次のやり直しでは幸運を掴んでくださいね!』

鳴護『あ、はい。頑張りたいと思います。割と切実に」



――路上 昼

鳴護「『――ARISAでしたー。ありがとうございましたっ』」

金髪女子「――うっまーい!あんた歌上手いって訳ね!プロの人?」 パチパチパチパチッ

鳴護「あ、ありがとうございます。素人ですけど、いつかなれたらいいなって」

金髪女子「なれるなれる!絶対なれるわ!あたしが保障するし!」

鳴護「どうもです」

金髪女子「でさ、よかったらライ○友にならない訳?どっか遊びに行くわけよ!」

鳴護「すいません、初対面でグイグイ来られると引くっていうか……」

金髪女子「意外とシャイって訳!?じゃあなんで自己顕示欲も無いのに弾き語りやってんのよ!?」

鳴護「将来はシンガーソングライターになって、歌かそれ関係で行くって決めたんです!」

鳴護「決して!そう決して落ち目のアイドルのようなヨゴレ仕事や、落ち目のグラドルのようなヨゴレ仕事はもう嫌なんですよ!」

金髪女子「もしかして二周目?前世でアイドルやって転生した系の子かな?」

鳴護「ですので、えっとライ○友はいいんですけど……あんまり返せないかもって」

金髪女子「あ、いいのいいの。たまーに返信してくれるぐらいでいい距離感って訳」

金髪女子「つーかさ?専用ライ○のアカ作ったらどう?ライブ告知っていうか、『ここで歌ってます』って言った方が人も集まるって訳だし」

金髪女子「あとねー。現金のお布施してもらうんじゃなくて、一回ポチると100円みたいなシステム組んだら?QRコードのプラカ置いといて、そっからアクセスしてもらう感じで?」

鳴護「あー、すいません。あたしそういうのに全然疎くて」

金髪女子「あ、じゃああたしがやったける訳!つっても友達で得意な子に丸投げする訳だけど」

鳴護「お友達多いんですねー」

金髪女子「何言ってんのよ!あんたも今日からそうだって訳だし!」

鳴護「いえあたしはちょっといいです」

金髪女子「頑ななだな!なんでそんなに警戒すんのよ!?」



――半年後

金髪女子【――あたしあたしー♪今どこー?近くだったら寄る訳よ】

鳴護【いや結構です】

金髪女子【あんたいい加減心開きなさいよ!?どんだけあたしが手間暇かけてフラグ立ててんのか知ってる訳か!?

鳴護【なんでしょうか?こう死ぬオーラが出てるっていうか】

金髪女子【なんでよ。死ぬってもう半年】

金髪女子【】

鳴護【どうしました?こっちの場所は送りましたよね?】

金髪女子【――必要無い。あなたがこっちへ来い】

鳴護【あの?一体何が?】

金髪女子【信じなければそれもいい。そして誰か相談しても同じことになる】

金髪女子【あなたには選択肢があるが、フレンダにはもうない。これはそういう話だ】

鳴護【誰?一体何を?】



――廃工場

鳴護「き、金髪の人!」

金髪女子「自己紹介しなかったっけ?絶対してる訳よね?ここまで半年もあったんだから絶対に言ってる訳よね?」

鳴護「よかった……!ツッコミができる元気はあるんですね!」

金髪女子「まぁね!椅子に縛られて身動きが取れない以外は差し当たって問題ない訳だけどね!」

パーカー女子「すいません、超急な呼び出しをしてしまいまして。ご都合が悪かったですか?」

鳴護「フレ――えっと……離して!あたしの大切なフレンドを!」

金髪女子「あと二文字!なんかもう意図的に忘れてる説が出てもおかしくない訳だけどもう少しだけ頑張って思い出して!」

パーカー女子「『フレ』までは思い出して、超取り繕いましたね。強引のは超嫌いじゃないです」

パーカー女子「では端的にこちらの要望をお伝えしましょう、さぁ超選びなさい――」

鳴護「な、何を……ッ?」

パーカー女子「私の映画の主役を務めるか、顔面陥没するか好きな方を!」

鳴護「今時の悪役は絶対にしてこない凶悪な脅し方!?擁護できる側面が一切ないな!?」


『〜B級映画のスターへの道〜』 -終-



――いつか、どこか

絹旗?『――ではこのルートで超確定ということで構いませんね?』

鳴護「構います、超構います」

鳴護「てゆうか不自然な展開がありせんでした?明らかにチート行為の気配すらあるんですけど?」

絹旗?『銀幕のスターですよ!?どんな超文句があるんですか!?』

鳴護「一言でいえばスターじゃないから、かな。最愛ちゃんの場合、強く邪悪な意志と確固たる悪意をもってイジるから」

絹旗?『……いいですかARISAさん?これは私ではない、とある超可憐な少女の真情を吐露したものなのですが』

鳴護「修飾子が過剰です。最愛ちゃんがそれでいいんだったらいいですけど」

絹旗?『例えばクソゲーがあるとするじゃないですか?どこへ出しても超恥ずかしいようなブツが』

絹旗?『それをプレイしてしまって「時間の無駄だったな」と凹みます。それは分かります。誰にだって超あるでしょう?』

鳴護「まぁゲームだけじゃなくてもありますよね」

絹旗?『しかし他人へその体験を押しつけることで!超残念な価値観を共有することでババを押しつけるのです!有意義でしょう!?』

鳴護「有意義の意味とは」

絹旗?『と、いうわけで来週は事務所のシーンからというコトで』

鳴護「待ってください監督!?ハロウィンも近いですし、そろそろリク取らなきゃならないんですよ!?」

絹旗?『えー、まだチャレンジするんですか?』

鳴護「まだ二回ですよ!?何回もトライするのが大事だと思うんです!」

絹旗?『まぁそう仰るんであれはどうぞ。気の済むまで頑張ってください』

鳴護「頑張るよ!全員生存ルートを目指すし!」



――路上 夕方

レッサー「――ヘイ、お嬢さん!一曲弾いてくれませんか!」

鳴護「運命があたしを潰しに来てる!?なんでいるの!?呼んでないしそんな過去もなかったはずなのに!?」

レッサー「ア・リーサさんのためであればこの私が!時空を飛び越えてでもイジ、もとい救ってみせましょう!」

鳴護「本当の敵は味方の顔した人だよね。誰とは言わないけど。あとアリサです、ア・リーサって誰?」

レッサー「なので伴奏をお願いします!多分アリサさんの知らない曲だと思いますんで」

鳴護「あぁうん洋楽は分かんないけど、合わせればいいんだね?」

レッサー「まぁあとはアドリブで。では聞いてください――」

レッサー「――『キンタの大冒○』」

鳴護「洋楽じゃ無いよそれ!?いやまぁ知ってるは知ってるけど20世紀最低のコミックソングだよ!?」

レッサー「『キン○守って−!キン○守っーて!キン○!ま!もって!』」


『〜胎魔のオラトリオ再び〜』 -終-



――どこか、いつか

鳴護「違う違う違う違う!あれは暇人の妄想であって公式とは何ら関係は無いから!何だったら意味も無いし!」

絹旗?『でも正直、今の子が延々妨害をする様は超見たいですけど』

鳴護「運命変化のサイコロがバグってるよ!?ここでレッサーちゃんが来るなんて有り得ないでしょ!?」

絹旗?『私に言われましても。実際に超振っておられるのはアリサさんですし?』

鳴護「諦めないよ!きっと自分の運命は自分で切り拓いてみせる!」

絹旗?『素晴らしいです。きっとその調子であれば超未来が勝ち取れるかと』



――路上 昼間

姫神「『――ショートコント。最近のふなっ○』」

鳴護「待って!?キーボード弾いてる人の側でショートコントやり出すのはおかしいって思って!?」

姫神「うん?あなたの心意気は伝わった。だから私も伝えたいと思う」

鳴護「いい台詞ぽく言われても!やってるのはちょっと頭がアレな感じで!」

姫神「『ふなっし○は最近買い物をしちゃったなっしなー。なんと。お値段52万円の日本刀なっしー』」
(※実話です)

鳴護「なんで?これっぽっちも抑揚のないモノマネ見せられるのも苦行だけど、内容がシュール過ぎて気にならないよ!」

姫神「『あぁそれはなしな、ネトオクで”50万円!妖刀村正!”って出品されてたなしよ?』」
(※実話らしいです)

姫神「『それを冷やかしで。冷やかし半分でポチったら即・落札しちゃったなっしー』」
(※実話らしいです)

鳴護「なんで?だからなんで梨の妖精さんが妖刀村正をゲットしようと思ったのかな?」

姫神「……」

鳴護「な、何かな?」

姫神「いいツッコミ。二人ならば天下が取れる。コンビ名は『アリサとあいさ』……ッ!」

鳴護「いや別に普通だしジャンルが違うし!」

姫神「『あいさとアリサ』?」

鳴護「名前の順に不満があった訳じゃなくてね!あたしの名前を先に持ってきてくれたのは嬉しいけども!」


『〜結成・アリサとあいさ〜』 -終-



――どこか、いつか

絹旗?『どんかな漫才をするのか超興味あります』

鳴護「大体今みたいな感じだと思うよ?シュール過ぎる秋沙ちゃんにあたしがツッコむ感じで」

絹旗?『超おめでとうございます!方向性は違いますけど有名になれるじゃないですか!』

鳴護「芸能界ナメない方が良いよ?小学生レベルに知能を落して恥を晒して親兄弟に迷惑かけて、その上で売れないのが普通だからね?」

絹旗?『というかアリサさんは受けなのが良くないと思います。もっと超攻めに行きませんと』

鳴護「あの、歌スキルに全振りした人間に攻めとか無理なんですけど……」

絹旗?『あぁいえ私もそこまで超無茶なことは言いません。路上演奏一本はどうかと思いまして、もっとアクティブに動かれては?』

鳴護「こっちから動く……」




――誰かのアパート

上条「ただいまー、って誰もいないんだけ、ど?」

上条「洗濯物出したっけ?ベランダに何か引っかかって……?」

鳴護「……」

上条「――って女の子が!?なんで!?」

鳴護「お、お腹が空いて……」

上条「またベタな理由だな!いやまぁ事情はあるだろうけども!」


『〜いや運命が変るっちゃ変るけど友情とは一体〜』 -終-

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