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Clock(trial)

鳴護「『プロフェッショナル 〜とある流儀〜2』」

 
――オービット・ポータル芸能警備会社

マネージャー「――端的に言いますと、サメが来ています」

鳴護「もっと言葉を選びませんか?それだと『来ちゃった!』みたいにスタンバってるようにも聞こえますけど」

マネージャー「えぇまぁご存じの通り監督案件でありまして、『そろそろサメ映画も溜まってきたしやっとく?』てきな軽いノリのヤツです」

鳴護「そんな『ポイント溜まったし使っとく?』みたいな軽い感じで、あたしと当麻君はトラウマを植え付けられている訳なんですけど……」

マネージャー「先日事務所へいらした際、少し世間話をしましてね。『最近どんなダメ映画超見ましたか?』的な?」

鳴護「ダメなのが前提なんですね。最愛ちゃんは誰と戦っているのかと」

マネージャー「『パニックサメ映画の”The Requi○”は面白かったので超減点ですね』と」

鳴護「どういう採点法なんです?いい映画だと原点されると後には死体しか残りませんよね?」

マネージャー「いえそれが、ARISAさんもご存じの通り、2021年のベスト・オブ・クソザメ映画は、『Corn of the Shar○』と『Virus Shar○』の二強だったんですが」

鳴護「ご存じないです。可能な限りその記憶を消そうとしてました」

マネージャー「ですがここへ来て!颯爽と現れるダークホースの存在など誰も知らなかったのです……!」

鳴護「マネージャーさんの精神も汚染されていませんか?『サメを覗く者はまたサメからも覗かれている』」

マネージャー「『タイトルが100%出オチなのでこれ以上はやめておきますが、続報を超お楽しみに』との伝言を」

鳴護「被害に遭わない人はこれだから……!いつか、いつかきっとゲスト出演させて……!」

マネージャー「と、まぁ前置きはこのぐらいと致しまして――前やった企画が大変好評でして、ARISAさんに是非出演していただきたいとのオファーが」

鳴護「へー……どれですか?色々やらされましたけど、スポンサーさんは何を?」

マネージャー「あぁ憶えていませんか?様々な職業のプロをお迎えし、一日を取材させて頂くっていう」

鳴護「しました、っけ……?プロ?」

マネージャー「ほら自称パチプロことHAMADURAさん、並びに自称祓い屋の闇咲さんの」

鳴護「プロっちゃあまぁプロですけど判断に困るところですよね!」

マネージャー「後半は霊的なものが映ってしまったためお蔵入りになったんですが、前半部分を深夜番組で流したところ大反響が」

鳴護「心霊現象が起きてるのにどんだけ逞しいんですかスタッフさん」

マネージャー「『やりましたね佐天さん!二重の意味で憑いてるね!』と一部は大喜びしたそうですが」

鳴護「うるっさいよ!どうしてあたしの周囲だけギャグに貪欲なのかな!?」

マネージャー「あれだけ番組続けているのに初らしいです。喜ばしいことでは?」

鳴護「無理だよ。『憑いて憑いて憑いてハーイ憑いて!』って煽ってくる人に対して、幽霊さんは無力だよ。だって無理だもの」

マネージャー「まぁその前半部分、パチプロ改めダメ人間とご紹介したところ、『こんなダメ人間にはなりたくない』という声が多数局の方へ送られてきましてね」

鳴護「あぁ……かもしれませんよね。HAMADURAさんは不本意極まりないでしょうけど」

マネージャー「成功者と違い、失敗した方を取り上げるため、下を見て自分の立ち位置を確かめる方もチラホラと……」

鳴護「後ろ向きすぎませんか?みんなそんなに心病んでいるんでしたっけ?」

マネージャー「日曜の深夜とか、これ誰が見るんだ的な番組ありますよね?見ている方が鬱になるような境遇の方をピックアップするのが」

鳴護「社会派番組までケンカ売らないでくださいよ!?あれはこう、見てる人を意識高くするための役割がですね!」

マネージャー「CMのスポット契約を消化するためですよ。最初の契約でですね、『トータル視聴率○○%』という割り振りが予めありまして」

鳴護「やめてくれません?業界の闇をあたしに教え込むと素直にリアクションできなくなるんですよ?」

鳴護「……今回はまともなんですよね?前回はスポンサーさんへのプレゼン番組だから、内容がかなり偏っていましたけど、今回は正視に耐えられるんですよね?」

マネージャー「前回に引き続き、今回もサンシャイン上条さんが取材をされてそのブイをスタジオで歓談する感じになりますが」

鳴護「また当麻君の謎の人脈が火を吹くの……!?どう見ても放送できない面子が……!」

マネージャー「ご本人は乗り気でしたよ?『俺だってできるってことを証明してやるぜ!』と」

鳴護「それフラグですよね?異世界でかませ犬がゴブリン退治に行って主人公に救出されるまでのテンプレですよね?」

マネージャー「サンシャインさんはバイト代をもらっているのが心苦しいそうで。事務所としては税金対策なんですけど」

鳴護「あー……ちなみに当麻君ってどれだけもらってるの?聞いちゃダメです?」

マネージャー「給料制で一月にこれだけ」

鳴護「あ、結構あるじゃないですか。ライバ○見習いにしては多すぎるぐらい」

マネージャー「『――を、全部食べ物で自宅配送』という契約が」

鳴護「相変わらずエンゲル係数が高止まりしている家計……!」

マネージャー「謎ですよね。サンシャインさんはご自宅でこども食堂でもされているのですか?でしたら然るべき手続きをすれば補助金を得られるのですが」

鳴護「当麻君のことは放っておいてあげてください。てかまたあの謎人脈が炸裂するんですね」

マネージャー「と、いう感じでサメとの二択になっていますが。ご要望がありましたらどうぞ」

鳴護「じゃあサメで――っていうヒト、何人います?人類ではいなくないですか?」

鳴護「てゆうかその二択がまずおかしいですからね!?何を思ってそうなってるんです!?」

マネージャー「『あ、ARSIAさん今お仕事ないんですか?超丁度良かった』という風に」

鳴護「カバディですか。別のお仕事をしている限り監督案件からは逃れられるんですね」

マネージャー「サメがお好みでしたらそちらでも構わないのですが……」

鳴護「万が一にもそれはないです。でも”が”?」

マネージャー「そう致しますと現在日本某所で収録中のサンシャインさんの動画がお蔵入りと言うことに……」

鳴護「どこ行ったの?当麻君の謎人脈は今度どこまで足を運ばせられたの?」

鳴護「てゆうか当麻君のお給料が安すぎるんじゃないですかねっ!?動画撮るのってスタッフさんのお仕事では!?」

マネージャー「自分もそう思ったのですけど、先様が『私は構わないが……その、呪的な防御ができないと命の保証は出来ないのだが』と」

鳴護「怪談おじさんその二さんですよね?前にお蔵入りになったのに、何またテンドンしようとしてんですか?」

マネージャー「今度は放送コードに引っかからないようなのを撮ると意気込んでおられましたね」

鳴護「振ってますよね?それきっと放送以前に正視に耐えられないようなの持ってくるって犯行予告ですもんね?」



――スタジオ

佐天『最近聞いた名言――「ぱん○はいてくるなよ」』

鳴護「うん、取り敢えずさっき控え室で見てたテレビのネタはやめようか?絶対に放送では使えないって分かってるよね?」

佐天『そこそこ好きな特撮モノにいっちょ噛みされているので、今頃コラ祭りになってると思うと……!』

鳴護「いや別にそこまで有名な人って訳でも……映画好きでも『あー……いた、かな?』ってぐらいの俳優さん&監督さんだし」

佐天『ちなみにARISAさんが受けた一番酷いハラスメントは?』

鳴護「だから使えないよね?仮にあたしがここで『デビューステージで暗殺されそうになりました!』って事実を言っても、危なすぎて放送に乗らないよね?」

佐天『ちなみにあたしは何かこう裁判にかけられたり、頭がアレな外人さんに殺されそうになりました!』

鳴護「無茶すぎるよね?学園もそうだけど、涙子ちゃんは好奇心さんがネコに近づいてないか監視した方が良いよ?」

佐天『あたし的にはネコよりかタチなんですけど?』

鳴護「三度目になるけど使えないって言ってるよねぇっ!?内容も内容だし!」

佐天『内容が――ないよう……ッ!!!』

鳴護「そろそろ表出ようか?あたしにだって拳はついてるんだからね!戦うときは戦うよ!」

佐天『――はい、っていう訳で始まりました!「プロフェッショナル 〜とある流儀〜」!まさか本放送が始まるとは夢にも思いませんでしたが、ご感想は?』

鳴護「あたしは何も。えっとパチプロさんの動画がバズってことなんだよね?」

佐天『らしいですね。鬼気迫る表情でカイ○台を打つのが視聴者の方の胸を打ったとか』

鳴護「立場的には同じじゃないの?二次元の世界で頑張ってるカイ○さんを打ってる時点で、フィクションじゃない人生ゲームで躓いてるってことだよね?」

佐天『メーカーの方が気に入ったらしく。「賭博マッポー伝説ハマヅラ」のオファーが来てるとかって』

鳴護「あー、筐体になったら版権元には凄いお金が入るって聞いたことあるけど……それも全部溶かしそうだよね」

佐天『えー、なんかもうARISAさんが流しモードへ入って面白くないです』

鳴護「我慢には限界があるからだよ?あとこれといって前回のプレ番組に思い入れはないです」

佐天『いえいえ何を仰いますか!人には歴史あり、その歴史を学ぶことにより賢くなれるってカンペに書いてあるじゃないですか!』

鳴護「そこは自分で思ったって体でいいんじゃないかな?確実にそんな小難しいことは考えてないであろうけど」

佐天『最近のマイブームは――いったんもめん……ッ!』

鳴護「興味ないよね?涙子ちゃんの方こそプロ根性に欠けると思うんだけどな?」

佐天『最初は全く興味無いのに、ブイを見たらググってみる――そんな番組を作ることがあたし達のお仕事ではないでしょーか!』

鳴護「うっ、それを言われると……!」

佐天『恐らく視聴者の方は「ARISA可愛いな」としか思っておらず、なんだったらもう取材も何もなくスタジオトークだけでいいんじゃねぇかと思わなくもないですけど!』

鳴護「それは言わなくてもいいんじゃないかな?どの局のどの番組とは言わないけど、『あぁこれ悠木○ファンしか見てないな』ってのは、うん正直」

佐天『あ、じゃ検証してみます?今週は我々のフリートークだけで一本入れて、来週のフルのやつとどっちが率高いかって実験を』

鳴護「勝っても負けても落ち込みそうだからいいです……!」

上条「……」 ジーッ

佐天『なんて悲しい目をしてこっちを見て……!?』

鳴護「涙子ちゃんの提案飲んだら、撮ってきたVTRが無駄になるんだよね。数日かけて取材した人の心も理解して上げてほしいかな」

佐天『それはつまりダチョ○的な意味ですか?』

鳴護「大分業界に毒されてるよね!あたしも正直見たくはないけど!礼儀としての話であって!ねっ!?」

上条「待ってくれ!逆に考えるんだ――『スルーされた方がオイシイ』と……ッ!」

鳴護「もう二人とも遊ぶんだったら余所でやってくれないかな?スタッフさんは本気で番組を作ろうとしているんだよ?」

佐天『あぁいえ残念ですが、この番組の相方にあたしが呼ばれた理由が、「学探」のスタッフさんがこっちも作ってるってご縁でして』

鳴護「あったねそんな設定!ケーブルテレビ業界って狭いな!」

佐天『最近では誰でも動画撮れて編集できるから結構淘汰されてる感じらしいです。なので我が局はオリジナリティを前面に!』

鳴護「SN○かな?格ゲー黎明期に勃興した項羽さんみたいな存在になるよ?」



――

佐天『――さて!んでは早速一本目のプロフェッショナルをお呼びしましょう!レッツプロフェー!』

鳴護「せめてこうの空気を何とかしてから行かない?時間挟んだっぽくなってるけど、ディレクターさんに泣きつかれてそのままやってるからね?」

ナレーション【――プロフェッショナル、とある流儀】

鳴護「前回に引き続き当麻君のナレーション……身内で安く固めるのもどうかと思うよ?」

ナレーション【こんにちは。今日はよろしくお願いします】

???『はい、こちらよろしくお願いします。自分の出来る限りご協力できればと思っています』

鳴護「あ、なんか爽やかそうな男子」

佐天『高校生ぐらいですね。前に上条さんと遊んでるのを見たこと……あれ?他にもどっかで見たような?』

鳴護「また当麻君の人脈が……あぁでも学園都市の中の人だったら、そこまでおかしなことはない、かな?うんきっとないよ!そうに決まってるよ!」

佐天『自分に嘘を吐いてますよね。気持ちは分かりますけど』

鳴護「前回の反省をして穏やかな人選にしたってこともあるよ!だって爽やかな人だし!」

佐天『――あ、思い出した!確かこの人!』

鳴護「当麻君関連の知り合いさんじゃないの?」

佐天『そっちじゃなくて御坂さんの方が先でした!相談されたの憶えてます!』

鳴護「……相談?」

ナレーション【――プロフェッショナル・その三。ストーカー男子の一日……ッ!!!】

鳴護「ねぇこれ誰か止めなかったのかな!?当麻君も自重しなよ!?これ絶対にカットされるの前提で人選してるよね!?」

佐天『前に御坂さんが「超ウゼェあのアホボン」って言ってたんですよ』

ナレーション【愛に生きる男・海原(仮名)の一日を追ってみた】

海原(???)『どうも。あ、顔は特殊処理してありますので、この顔ではありませんよ?』

ナレーション【――プロフェッショナルの一日は早い……おはようございます。早いですね、まだ四時ですよ】

海原『まぁ楽ではないですね。でも慣れれば楽ですよ』

ナレーション【そう言った笑ったプロの顔は明るい。彼は最初の職場へと入っていった】

鳴護「……コンビニ、だね。何かこう血が凍るような邪悪な映像かと思ったら、そうでもない……?」

佐天『てかここあたしも入ったことありますよ。可愛い店員さんがいるって評判の』

女性店員『――おはようございまーす!いらっしゃいませー!』

鳴護「あ、美人さんだね……ってまさかこの人を狙ってるとか!?」

佐天『職場って言いませんでした?オンエアされたら即バレですし、まさかそんな下手を打つとかはないかと』

鳴護「そこまで考えてないと思うよ?だって当麻君の知り合いだから」

女性店員『いらっしゃいませ!お弁当温めますかー?』

鳴護「いや普通の店員さんの接客風景なんだけど。最初の男子は一体どこへ?」

佐天『実は見張ってるとか?映像のどっかで見切れている感じで』

鳴護「心霊映像じゃないんだから、流石にはそれはない……とは言いきれないのが怖い所だけど」

パパパーパハー、パパパパパパー

御坂『……』

佐天『ファミ○ですね。そして見切れてる御坂さん』

鳴護「ターゲット来たから行動に移すって事?」

女性店員『お支払いは現金で?』

御坂『Tペイで――ども』 ピッ

女性店員『ありがとうございましたー。またのご来店をお待ちしておりますー』

鳴護「……帰っちゃったね。どこにも不自然な点はなかったような」

佐天『ですね』

ナレーション【――お分かりいただけただろうか】

鳴護「何が?なんでここで柳ユーレ○っぽい感じになるの?」

佐天『いいですねー!バッチ来いっすわ!』

鳴護「涙子ちゃんもいい加減落ち着こうか?生まれてから一回も落ち着いたことないと思うけど」

女性店員『まーたーのーご来店をーお待ちしてーおりますぅ……』

鳴護「店員さんアップにしてスロー再生されてもね!どうせ『結構美人だった』とか関係ないネタなんでしょ!?」

ナレーション【この女性店員、実は海原(仮名)の変装した姿なのだった……ッ!!!】

海原(女性店員)『お待ちしておりますぅぅ』 ニチャアッッ

鳴護「闇ふっか!?底が見えないぐらい深い上に光明が差さないよ!?」

佐天『蜘蛛の糸すら届きそうにない距離ですよね』

ナレーション【プロはこう語る】

海原『ポイントは女性になりきることです。そして革、あぁいや肌の管理を万全にしておけば割と楽にできますよ?』

鳴護「もう怖いです。ストーキングっていうよりもクライム系映画を見せつけられているような恐怖を覚えます」

佐天『まるでフルCGのような完全変装する能力ですかね!個人的には超羨ましいです!』

鳴護「似たようなものだよね。バイ○の最新作、たかがジーンズ一枚を表現するのにテクスチャ6枚重ねって暴挙をしてるぐらい技術の無駄遣い」
(※ベーステクチャ+折り目パターン+エイジング+毛羽立ち+色むら+細かいシワ)

ナレーション【プロはまた恥ずかしそうにこう言った】

海原『あぁ誤解しないでくださいよ?犯罪目的には使いませんよ。自分にもプライドがありすましね』

鳴護「2022年に聞いた中で一番説得力ない台詞だよね。まだあと九ヶ月残ってるけど優勝でいいと思うな」

佐天『待ってください!「身分詐称の現行犯だろテメー」ってツッコミ待ちなのかもしれませんよ!』

鳴護「ううん、本気じゃないかな。だってキラッキラした瞳をしているもの」

ナレーション【ぶっちゃけ軽い気持ちかつ出オチを期待してオファーしたのに、俺自身も引いているのだった……ッ!】

鳴護「それは……分かるかな。微妙に動画がブレるんだよね」

佐天『武者震いか恐怖の二択ですね』

ナレーション【と、次にプロが移動したのはショッピングモールだった】

鳴護「モーリーがアイトランドするやつだね。イオ○のお子様コーナー」

佐天『ゲコ太目当てて通うあれですな』

鳴護「てかこれもどうせアレだよ、きっと変装した匠が見切れてて『あそこにHENTAIが!?』ってなるんでしょ?パターン分かったよ。お腹一杯だし」

ナレーション【そこで我々取材班が見たものとは……ッ!?】

鳴護「図星だからって声張らなくていいよ?」

佐天『待ってくださいARISAさん!あそこに御坂さんが!』

鳴護「だろうとは思ったけど……プライスマシン用のカードを大人買いしているよね。ゲコ太のUFOキャッチャー目当てかな」

佐天『やってることがガキ大将なんですよね。微笑ましいと言っておきます、良く言えば』

ナレーション【……一見何気ない普通の光景。幼子にそれ以外が混ざるというありふれた日常の一コマに思える――】

ナレーション【――だが気を許してはならない!我々を蝕む”闇”はどんな所にでも口を開いて待っているのだから……ッ!】

鳴護「急にどうしたのかな?ドキュメント風じゃなくて心霊現象っぽくやれってスタッフさんに言われた?」

佐天『あたし的にはこっちの方が好みです!それでそれで!?』

御坂『――あぁもう取れないわね!店員さんそろそろ取ってよ!』

鳴護「あんまり取れないと店員さんが取ってくれるよね。でもぶっちゃけ女の子にしか取ってくれないけど」

ナレーション【――お分かりいただけただろうか】

鳴護「え!?なんかあった!?美琴ちゃんしか映ってなくない!?」

佐天『あたしも今のは分からなかったです。まさか御坂さんに擬態した?だったらスッゲークオリティですけど』

ナレーション【UFOキャッチャーを楽しむ少女、その後ろをご覧頂きたい】

ナレーション【そこには生者を羨む女性の霊が映り込んでいたのだった……ッ!!!】

鳴護「んー……?……あぁ、誰か映って」

白井『……』 ニチャアァッ

鳴護「いや違う違う違う違う違う!?幽霊違うよこれ!先週あったし白井さんと!」

鳴護「あぁいや怖いは怖いし、恐怖には違いないけど!完全に目的を見失ってるよねこれ!?」

ナレーション【プロはこう語る】

海原『ガードが堅くて自分は近寄れないんですよね。まだまだ、ということです』

鳴護「プロは頭でも打ったのかな?あとこれ放送できないよね?美琴ちゃんの恥になるし風紀委員的にも大ダメージだよね?」

佐天『あたしの知ってる白井さんとしては平常運転です。抱きつきに行かない分だけむしろ大人しいかと』

鳴護「呪われてるのかな?美琴ちゃんも闇咲さんにお祓いしてもらった方がいいのかな?」

ナレーション【続いてこの動画を見てほしい】

上条『――打球上がったーーーーーーーーーーーーーーっ!レフーーーーーーーーーーーっ!』

青ピ『任せときぃや!セカンッ!』 シュッ

土御門『あぁいキャッチー!判定は!?』

姫神『ゲッツー成立。スリーアウトで交代です』

上条『ナイスプレーだお前ら!よしこれから反撃だ!』

鳴護「……草野球……?当麻君と秋沙ちゃん、あと見覚えのある面子だよね」

佐天『全員制服ですね。放課後にグラウンドの隅っこでやってんじゃないかと思われます』

上条『行くぜ!次はホームランだ!』

鳴護「あぁうん、楽しそうだなーってのは伝わってくるけど……これとプロの関係は?プロが映ってるの?」

ナレーション【――お分かりいただけただろうか】

鳴護「いや分かんないです。てゆうか今日ずっと分からないです」

佐天『――あ、待って下さいARISAさん!ここですここ!体育倉庫っぽいところ!』

鳴護「んー……?あ、誰かいるね。でもこれプロでも黒子ちゃんでもないっぽ――」

御坂『……』 ジーッ

鳴護「今度は美琴ちゃんがストーキングする方に!?しかも余所の高校の敷地に入ってるなコレ!?」

佐天『成程……インガオホー的なアレって事ですね!』

ナレーション【俺はどうすればいいのでしょうか。幅広いご意見をドシドシ募集しています】

鳴護「言ってる場合じゃないよね?そんな余裕あるんだったら風紀委員さんへ駆け込めばいいと思うんだよ」

佐天『霊現象よりタチ悪いですよね。寺生まれのC君に出自マウントしてもらえば除霊できるのに、できない以上根が深いという』

ナレーション【こうして長かった一日は終わりを告げた。朝以外ターゲットと接点がなかったプロはこう告げる】

海原『人はですね、誰しも夢を見ると思うんですよ。大きくなったらサッカー選手になりたいとか、ラブライバ○になりたいだとか』

鳴護「ライバーね?ラブライバ○ってなると別の意味になっちゃうからね?誰でもなれるよ、お金と時間さえあればお手軽に」

海原『しかし実際に、望んだ自分になれる人間というのは少ないものです。夢を忘れたり、途中で変ったり挫折したり。大抵の方は他の生き方を選んでいきます』

海原『それが悪い事ではありませんし、現実を見るという意味でも悪くないと思います。決して誰かに卑下されるようなものでもないし、するようなものでもありません』

海原『ただ、自分はこう思うんですよ――』

海原『――諦めない、そう夢を叶えるために努力し続ければいつかきっと……ッ!!!』 ニチャアァッ

鳴護「この女神官を見つけたゴブリンのような笑い方やめてもらっていいかな?コメント欄で誉められたからって多用しすぎだと思うんだよね」

鳴護「そしてここまで心に響かないコメントもないよね?レッサーちゃんが『死刑反対!』って言ってるようなもんだからね?」

佐天『からくりサーカ○のフェイスレ○指令ですね。「もっとお前別の所に努力するところあんだろ」的な』

ナレーション【あと本気で誰か助けて下さい……ッ!】

鳴護「当麻君の場合、他人をネタにしていたのがマホカン○されただけかな。うん」



――

佐天『――はいっていう訳で今回からは見事レギュラー放送を勝ち取ったんですが!』

鳴護「Aパートをなかったことにしてる!?気持ちは分かるしあたしもそうしたいけど、だったら尺が大幅に減るよ!?」

佐天『ちょっと何言ってるのか分からないですね』

鳴護「もしできるんだったらあたしの収録全部なかったことにしたいんだけど……まだあるの?後半も大丈夫?」

ナレーション【――プロフェッショナルのフットワークは軽い】

闇咲『おはよう。では行こうか』

鳴護「なんっっっっっっっっっっっっっっっっっっっでかなっ!?前回丸々一本NG喰らったの憶えてないの!?」

佐天『想像ですけど……ストーカー一本撮ったらヤケになって、「あぁじゃあもうテンドンでいいや」ってなったんじゃねぇかと』

鳴護「安易だな!多分それで合ってるだろうし!」

ナレーション【今日のお仕事はどのようなものを?】

闇咲『祓い屋だな。本業のような副業のような、まぁ請われた故に』

鳴護「……ねぇ、これ闇咲さんも大概だよね?守秘義務とか禁則事項とか、いっぱい引っかかると思うんだけどさ?」

ナレーション【残念ながら闇咲は迷信の類をすり潰す活動をしているのだった!】

鳴護「やってるのは怪談おじさんだよね?身も蓋もないっていうか、心に刺さるっていうか」

佐天『あたしとしちゃ嬉しいですけどね。いい感じで人の幻想ぶち壊しやがったな的な恨み辛みはなくもないですが』

ナレーション【現在我々が来ているのは……あぁマズいか。日本のどこかであった!】

鳴護「そりゃそうだよ。そして当麻君が名前言うのを躊躇うような状況ってなに?ヒナミザ○にでもカチコミかけるの?」

ナレーション【誤解があるようだから言っておくけど、俺は取材前日に『取材させてくんね?あ、オッケー?20時にとある駅のターミナル集合で、はいーお疲れー』】

ナレーション【ぐらいのやりとりしかしておらず、一体どこへ向うのかも何をするのかも聞いてないのであった!】

鳴護「ノープラン過ぎるよね?そして普通移動中、車なり飛行機の中で『何やるんです?』みたいに聞くよね?」

ナレーション【まさかこの後、あんな悲劇が待っていようとは……!】

鳴護「あぁうんちゃんと酷い目には遭ったんだね。じゃあ良かってよ、あと反省はしようね?」

佐天『なんだかんだでこの番組、Bパートで上条さんが酷い目に遭うってのが定番になりそう』

鳴護「てゆうか、ここどこ?山の中の廃墟?廃村?」

佐天『そう――ではないみたいですね。ほら、お洗濯物出てる家もありますし、お家の前に犬を繋いでいるところも』

鳴護「限界集落っぽいよね。でも全体的に年齢はお若いような……?」

ナレーション【えーっとプロ?こちらはどういう村になるんですか?】

闇咲『元々あった限界集落へ補助金を出して都会の人間を移り住ませるという行政が成功した集落だな』

ナレーション【ふーん?その割にはなんかみんな目が虚ろなような気が】

闇咲『今日は大×の話とは別件だからな。そっちは気にしなくていい』

ナレーション【あぁそう?そっかー、大×じゃないから安心してい――】

ナレーション【……】

ナレーション【おいテメー今何つった?大×?胎魔じゃなくてハッパの方がコラアァッ!?】

ナレーション【助けてARISA!?軽い気持ちでノコノコついてったら案の定KONAZAMAに!?】

鳴護「……」

佐天『ご指名ですよ?』

鳴護「コメントをすればするだけ損をしそうなのでしたくないです」

佐天『右に同じく』

鳴護「そしてオチがここじゃないから、ずっともっと酷い何かがあるってことだよ!とても残念なことにね!」

闇咲『――さて、ここが指定された依頼人の家だ』

ナレーション【田舎の古民家……あ、民宿の名前っぽい表札が】

闇咲『ではまず結論から言っておくと――祟りではない。ただの中毒だ』

ナレーション【すいませんプロ。開幕から超必殺技撃ってくるのやめてもらえません?俺にだって心の準備ってものがあるんですよ?】

闇咲『元々ここの集落は一度住民が居なくなっていたんだ。高齢化でありオカルト的な要因は皆無なのだが』

闇咲『自治体としては近いから住人を募り、軽い気持ちで移住を進めた。割と都市圏から近いこともあり、それなりに人が集まったものの――』

闇咲『――今度は移住者が原因不明の祟りで体調を崩す、という羽目に』

ナレーション【なぁ俺車戻ってていいかな?多分絶対いや確実にお役に立ちそうにもないから!残念だけど!】

闇咲『だから祟りではないと言っているだろう。彼らに何か霊障があった訳ではない』

ナレーション【じゃあなんでだよ!?】

闇咲『生水を飲んだからだよ』

ナレーション【……水?そりゃ飲むだろ水ぐらいは?】

闇咲『いいや?普通は煮沸消毒や濾過したりするんだが、それをせずに飲んだため微生物に当たって中毒になっただけの話だ』

ナレーション【それっておかしくねぇか?だって今までここに住んでた人は】

闇咲『野菜などの土落しに沢の水は使っていたものの、直接口にする水は山の上にある水道から引いたものだ。見えるだろう?あそこにあるタンクの』

ナレーション【……マジで?】

闇咲『いや、確かにあそこの水道設備ができる前までは誰もがそこら辺の水を口にしていたんだろうが、今は環境は違う』

闇咲『温暖化で沢自体の水温が上がり、微生物が繁殖できてしまうような環境になってしまったということある』

ナレーション【タタリチガウ?コワクナイ?】

闇咲『一応祝詞は挙げるがそれ以上はしない。した上で住民の血液検査や井戸水の水質検査などをして白黒をつけるだけの話だ』

ナレーション【……これ、祓い屋の仕事か?】

闇咲『前も言った思うが、こういうのは”祓った”という事実が必要なんだ。効果があるなしに関わらず』

ナレーション【すいませんプロ。これ小説かなんか書いた方がいいんじゃねぇの?】

闇咲『面倒なので断る。色々と具体的に地名やら何やら書けないことの方が多い』
(※いやマジで)

ナレーション【ふーん、色々大変なんだなぁ】

闇咲『撮影許可をもらってくるから待っていろ』

ナレーション【アッハイ、ご面倒をおかけします……あぁもうなんだ!なんなんだよ!俺こんなんばっかだな!今更だけども!】

ナレーション【あぁでも風景は緑一杯で癒されるわー。学園都市にもこういう画がほしいわー……ってなんだこれ?】

ナレーション【ツルッとした大きな樹の幹に、腕が生えてる……?気味悪いっ!?つーす趣味悪っ!?誰だよこんな前衛芸術造ったアホは!?】

ナレーション【てかこれよくできてんのな……?見た感じ赤ちゃんの腕っぽいし、材質なんだろ?塩化ビニール】 ツンッ

???『オギャアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァぁあああああっ!!!?』 パキイィンッ

ナレーション【は!?なに!?どうした!?なんで消えた!?】

闇咲『……何をした?』

ナレーション『腕が!樹から!触ったらパキーンって!』

闇咲『「赤手児(あかてご)」だな。なりこそなった何かだから、まぁ祓う分には問題はない、筈だ』

ナレーション【………………つまり?】

闇咲『いや、だからな?前にも言ったように「”祟りが原因ではない”とは言ったが、”祟りがない”と言った訳ではない」んであって』

ナレーション【もうやだ俺帰るっ!労働に対価が見合ってねぇんだよ!?前からそうだったけど!】

プツンッ

鳴護・佐天「『……』」

ナレーション【――こうして、俺は半泣きのまま車で待っていました……ッ!!!】

鳴護「うん、整理しようか?放送事故ばっかりで、どうせきっとこれもお蔵入りするだろうから、コメントするだけムダだろうけど整理しよう。とっ散らかってるのを」

鳴護「まず当麻君たちは地方の村へ行きました。そこでは謎の病気があったけど祟りではなく、普通に水を飲んだせいでしたと」

鳴護「でも当麻君が安心していたら何か別の地雷を踏んだ、で合ってるかな?」

佐天『ちなみに今ググったところ、上条さんが踏んだ妖怪はそんなには害はないそうです。良かったですね』

ナレーション【プロフェッショナル、とある流儀如何だったでしょうか……!】

鳴護「まとまらないよ?二回連続で心霊映像を引きの強さは評価するけど、どうせもとめコメントを言ったところでヤバくて放送できないからね?分かってるよね?」

ナレーション【前回の闇咲部分が全カットされて「じゃあ次はもっとお見せできないモノを撮ってきてやるぜ!」って俺の目論見は果たした訳だが!】

鳴護「芸人気質が凄いよね。ライバー並に実を削ってまですることじゃないよ」

佐天『正直羨ましいです。次のロケあたしがついてってもいいですか?』

鳴護「涙子ちゃんが行ったら可哀想だよ!?煽るだけ煽ってどうせ呪われるのは当麻君だってオチになるんだからねっ!?」

ナレーション【だがしかしそれはそれでアリ!ウチの魔道図書館さんが働く機会になるかもしれないしな!】

鳴護「あんまりインデックスちゃんを過信しない方が……いや決して実力を疑ってる訳じゃないけど、今一こう決定力に欠ける感がなくもないような……」

ナレーション【ではまた次回、「××村のプロフェッショナル」で会おうぜ!】

鳴護「今放送で最後だと思うよ?そして今回のAB両パートが放送できないからね?」


-終-

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