鳴護「『プロフェッショナル 〜とある流儀〜』」
――とあるスタジオ
佐天『こんにちは』
鳴護「あ、どうもです」
佐天『こういう撮影は初めて?』
鳴護「最近はあんまないですね。リモートしやがれって風潮なのに、基本現地集合現地解散ばっかりで」
佐天『彼氏はいるの?』
鳴護「いないですよコノヤロー?そして仮にいたとしても喋ったらネットニュースの芸能欄に載るよ」
佐天『スリーサイズは下から?』
鳴護「あんま調子ぶっこいてると初春さんにチクるよ?そしてスリーサイズを下から申告する人っているかな?」
鳴護「ていうかスタジオのブースの端っこと端っこで寂しいんだけど、今日はどういう主旨のお仕事なんですか?」
佐天『今日はオービット・ポータルのタレントではなく、学園都市ケーブルテレビのお仕事で来ています』
鳴護「本当に手広くやってるよね」
佐天『時期的に番組改編なので、本日はプレ番組の撮影というのを任されまして』
鳴護「本放送になる前に試しで作っておくんだっけ?ぶっつけ本番で作っちゃっても困るから」
佐天『ですです』
鳴護「どんな地雷がダッシュで忍び寄って来るのかコワイよね!見当がつかない所が特に!」
佐天『あーいえいえ、企画自体はかなり真っ当です。ぶっちゃけ「超つまんなくね?」と思わなくも』
鳴護「それを今から収録してるんだよ?そんなアドリブってある?」
佐天『各業界の一線で活躍されている方々を密着取材しまして、彼らの生き様から感動しようと!』
鳴護「いいね!最近お仕事らしいお仕事してなかったけど、そういうの待ってた!」
鳴護「でももっとタイトルは頑張ろうよ!こう、パクるにしてももっとこう分からないようにカモフラージュしないと!」
(※『プロフェッショナル 仕事の流○』)
佐天『ちょっと何言ってるのか分からないですけど、まぁ今回は社会派ですよ。ローカルなケーブルテレビならではといえなくも』
鳴護「コンセプト的にはややありふれた感じだけどもこういうお仕事がしたかったよ!脱・バラドルかグラドルか分からないタレント!ふぁいっおー!」
佐天『ARISAさんはプロと聞いて何を連想しますか?』
鳴護「あー、そうですねぇ。あたしはプロっていうのはお金をもらって成立することなんだと思います。金額の大小じゃなくて、気持ちっていうのかなー」
佐天『あ、そうですか。あたしはゴルファー猿ぐらいしか』
鳴護「プロゴルファー○!?知識あっさ!?単語で遊んでるんじゃなくてね!?」
佐天『では最初のプロフェッショナルを見てみましょうか、レッツ・プロフェー!』
鳴護「かけ声が超ダサい。少なくともプロが作ったんじゃないってよく分かる」
佐天『と、ここでCM入る仕様になっています』
鳴護「あっはい。ではあたしはこのあとブイを見てコメントする感じで?」
佐天『そうですね。既存のドキュメント番組と違って事前にコメントだけの収録はしませんから』
鳴護「見てるよ?あの番組とあの番組は怪しいところもあるけど、忙しいタレントさんだって全部見てから言ってるよ?きっとね?」
佐天『プレ版ですので、ARISAむさんにおかれましてはスポンサーさんが『いいね☆』と連呼するようなコメントを頂きたく!』
鳴護「また無茶振りが来たね!責任重大だけどスタジオのコメント如何で採用が決まる番組ってヤだな!」
ナレーション【――この世界には様々なプロフェッショナルがいる】
鳴護「あぁうん、こういうのだよね。どっか聞いたような声だと思うけど、移動時間中にずっと隣で喋ってた高校生の声によく似てるけど」
ナレーション【なお、プロフェッショナルは”プロの選手”という意味もあるので、日本語で「プロ選手」っていうと”プロフェッショナル・プロフェッショナル”と二重の意味になる……ッ!】
鳴護「当麻君、あのさ?あたしを笑かしにかかってる?ボケるんだったらもっとこう時間を置いてくれないかな?まだ序盤も序盤だよ?」
ナレーション【えーっとまぁそんな感じでプロはプロなのだ!密着取材してみた!】
鳴護「サンシャイン要素が全面に出てきてるよ。ダメなヤツだね」
ナレーション【――彼の朝は早い】
鳴護「あ、始まった」
浜面『ふぁーぁっと……なんだ、もう昼か』
鳴護「スッゴい遅いね!お休みの日のお父さんでももっと早いよ!」
浜面『メシメシ……』
滝壺『……おはよう、はまづら』
浜面『お−、おはよー滝壺。メシは?』
滝壺『できてるけど……』
浜面『ん、サンキュ。メシ食ったら午後からパチンコ行ってくってけど、なんか用事ある?』
滝壺『……』
浜面『なんだよ』
滝壺『その……はまづらも、そろそろ働いてくれると嬉しいかなって……』
滝壺『ふれんだ一人に働かせるのは、そろそろ限界かも……』
浜面『大丈夫だ!俺には考えがあるんだよ!』
滝壺『ほ、ほんとに?』
浜面『明日は新台の入れ替え日なんだ。だから当然クギが緩くなってるに違いない――』
浜面『って考えるのが素人だ!新台を入れればひれだけコストがかかる!つまりその元を回収しなきゃいけない!』
浜面『つまりその前日だったら!クギも緩くなって俺たち消費者へ還元してくれるに決まってる!分かるだろ!?』
(※クギをいじるのは違法行為です)
浜面『スーパービンゴギャラクシ○を打ちに行くんだよ!勝てばギャラクシーになっから!』
滝壺『はまづら……』
浜面『あと金貸してくんね?2万ぐらいでいいから』
ナレーション【プロフェッショナル・とある流儀――】
ナレーション【――浜面仕上(ヒモ)密着ドキュメント……ッ!!!】
鳴護「うるさいな!何となくそうじゃないかなって思ってたけどやっぱりだよ!?そこはサプライズが起きてほしかったな!」
鳴護「ねぇ、あたしは何を見せられているの?このあと男の人が刺されてハッピーエンドになるんだよね?」
佐天『まぁ、なんといいますか番組のプレですので予算がないらしく』
鳴護「関係ある?」
佐天『相手もプライバシー等々ありますんで、当然プロに密着しようにも『取材?金持ってから来いや!』という世知辛いことに』
鳴護「最底辺だよね?二人ともカメラチラチラ見てたから、かなり盛ってるんだと思うしそう思いたいけど、大体リアルでしょこれ?」
佐天『さっきも言いましたが企画は……えぇまぁ企画自体は悪くないんですよ。最大の問題が予算着かないので取材費がほぼゼロ』
佐天『なのでカメラマンさんの人脈を最大限に生かし、ロハでやってくれる人をの中から選ばれたエリートと言えなくも』
鳴護「言えないよ?だってエリートではないもの。エリートは少なくとも財産的な意味で困らせたりはしないはずだからね?」
ナレーション【いやでも金持ちでも『そこに金遣うかぁ?』って人はそこそこ。テイルオ○してる芸能人とか】
鳴護「ナレーションの人は録画設定なんだからツッコんで来ないで!別ブースに入っていったのは分かってるんだよ!」
ナレーション【こうして、ヒモの一日は始まるのだった――】
鳴護「本当に刺されない?」
ナレーション【浜面さん、台を見分けるテクニックなんかあれば教えてもらえませんか?】
浜面『あー、そうだなー。ほれ、台の上に回転数ってあるだろ?』
ナレーション【ナビですかね】
浜面『間隔を空けずに当たってるのがいい台だぜ!レギュラー・ビッグ問わずに!』
ナレーション【確変狙いでなくても構わないと?】
浜面『一発狙いも悪かねえが、男は地道に稼いでナンボだ!』
鳴護「当麻君がごくごく普通にパチス×の話ししてるのがひっかかる。何やってんの、自分の不幸が分からないでもないのに」
佐天『人間がダメになっていく逆進化の過程の教材として取り上げられそうですね』
浜面『見てろ!俺の戦いはこれからだ……ッ!』
ナレーション【――この二時間後、プロは身ぐるみを剥がされて路上に転がされるのだった……ッ!】
鳴護「昭和のコント!?今時はコンプラ的に厳しいから、ギャンブル=反社じゃないってキャンペーン中なのに!」
ナレーション【だがしかしそこはプロフェッショナル。過酷な現実にも慌てず騒がずこう言った】
鳴護「慌てよう?じゃないといつもこんな感じだって思われるよ?」
ナレーション【『――なぁ、大将のパンツどこで買ったの?”犯人はステイル”ってどういう意味?】
鳴護「当麻君までパンイチに!?連帯責任で何があったの!?」
佐天『前もってダイイングメッセージを用意しておく訳か……やりますね!あたしも今度もしよう!』
鳴護「涙子ちゃんに敵はいないよ?前に裁判になったときも、相手は”死んでないだけ”って状態になってるよね?外出たらお礼参りが何人かスタンバってるしさ」
ナレーション【このあと、プロは知り合いに金を融通してもらって九死に一生を得た】
鳴護「ほぼ社会的に死んでるのに生き返ってはないかなー」
浜面『まぁ、長い人生こういうこともあるさ!前向きに生きようぜ!』
ナレーション【でも浜面さんは新たなビジネスに着手されたんですよね?】
浜面『お前っ!?それ言うなって言っただろ!?一番最初は滝壺にって!』
ナレーション【大丈夫ですよ。オンエアは二週間後ですから】
浜面『二週間……まぁそれだけあればいいか』
ナレーション【何かあるんですか?】
浜面『あー、彼女の誕生日なんだわ。だからせめて、いつも世話になってる分、少しだけでも返したいなって』
ナレーション【いい話じゃないですか】
浜面『よせってバカ!照れるだろ?』
ナレーション【ではその画期的な金策とは一体?】
浜面『まず電話をするんだ、「オレオレ、オレだけどって」』
鳴護「なんか足りないと思ったらこれ、ツッコミがずっと不在なんだよね。VTR作った当麻君が故意か悪意で総スルーしているから」
佐天『足りないのは頭とか良識かと』
ナレーション【最期にプロへ質問をしてみた。浜面さんからプロを目指す人にコメントを】
浜面『そう、だな。俺から言えることは少なくないが、まぁこれだけは言える――』
浜面『――勝った負けた、それはあるぜ?人生誰しも勝ちまくってる訳じゃない、当然負けることだってあるし、負けが込むこともだってある』
浜面『しかし確率を信じろ!今日負けたってこと明日は勝てるんだ!もし明日負けても明後日は倍勝てばいいだけの話だ!』
ナレーション【――以上、パチン×廃人の浜面仕上プロの生き様でした。プロフェー】
鳴護「学べるところが一個もない。『こういうだめんずには引っかからないようにしようね』ぐらいかな。頑張ってそれだけかな」
佐天『あたしも不安になるぐらいの出来ですけど、つーか初めてブイ見ましたがヒッドいですよね。「覚悟して下さいね」ってスタッフさんからは注意されてたんですけど』
鳴護「ねぇ、涙子ちゃんのケーブルテレビってタブーとかないの?番組にする前に誰かが止めるよね?」
ナレーション【だって予算がないから俺の人脈でどうこうするしかないのだった……ッ!!!】
鳴護「そりゃそうかもだけど完全に会話してるし、せめてあたしを取材するとか」
佐天『某映画監督との密着ロケだった日にゃ「ARISA実はバラドル説!」が確定するだけだと思います』
鳴護「もういい加減一々否定するのが面倒だからだよ!ファンの子だって普通にイジってくるんだからね!?」
ナレーション【だって監督の『コーン・オブ・ザ・デッ○』あらすじ聞いたか?たった一行聞いただけで「あぁこれ見たいな!」って思うよ!】
鳴護「それは当麻君が悪い影響を受けているからだね。お祓いしてもらった方がいいと思うな」
――とあるスタジオ
ナレーション【気を取り直してBパートへ行くのだった……ッ!】
鳴護「まだあるの?当麻君の謎の人脈の闇は深くて広いよね?」
佐天『どうせ誰も引き受けてくれなかったんで、きっとシスターさんとかでお茶を濁すんじゃ?』
鳴護「インデックスちゃんの生活パターンは……いい歳したおっさんは許されないけど、女の子だったら許されるから」
ナレーション【――プロフェッショナルの一日は早い】
……ザーッ……
鳴護「……何?砂嵐、じゃないね。滝の、音……?」
闇咲『――六根清浄(ろっこんしょうじょう)……!六根清浄……!六根清浄……!』
鳴護「滝行!?プロっちゃ確実にプロだけど、よくまぁオーケーしてくれたねこの人!スッゴイ変化球投げてきたなコレ!」
佐天『つーか初めてみましたよ。あんな修行している人って本当にいるんですねぇ』
ナレーション【えっと、楽しいですか?】
鳴護「失礼だよね?一応やってくれてる人に対してどうかと思うな」
闇咲『楽しくはない、これも生業の一環だ』
ナレーション【どういうバフ効果があるんですか?】
闇咲『有り体にいえば身を清める意味がある。悪しき物は不浄な物が多く、身綺麗にしていれば多少はマシ、かもれしない程度の話だ』
ナレーション【成程。つまり趣味でやっていると】
闇咲『その逆だと言ったな?まぁ必要かと問われれば微妙なラインと言わざるを得ないが』
ナレーション【本日は密着取材ですが、緊張していますか?】
闇咲『全く。ただ、使い物になるかまで保障しかねるが』
ナレーション【それはどういう意味で?】
闇咲『本業の方も副業の方も、あまりこう電波的な媒体とは相性が良くない。行けば分かるか』
ナレーション【まずどちらへ?】
闇咲『放送局だな』
ナレーション【あれ?闇ちゃんねるの収録って入ってたっけ?】
……
タレントA『――はい、っていう訳で始まりましたラジオ心霊特集ですけどね!』
鳴護「あ、知ってるタレントさんだ。心霊おじさんで有名な」
佐天『一回○○○○のタブーに触れて干された心霊おじさんですね』
鳴護「お金取ってイベントするんだから、その内容になんかあれば責任は取らないといけないと思うんだけど……」
タレントA『本日のゲストは心霊グッズコレクターのBさんです!宜しくお願いしまーす!』
タレントB『どうもー、心霊グッズ収集家のBですー』
タレントA『Bさんは怪しいグッズを集めてらっしゃるんですよね−。怖くないんですか?』
タレントB『いや僕は霊感ないんですね!あんま幽霊とか見たことないんですわ!』
タレントA『そしてですね!特別ゲストとして祓い屋をやられているYさんに来て頂いております!』
闇咲『Yだ。宜しく頼む』
タレントA『Yさんは初めましてになるんですが、いつもはどういうお仕事をされておられるんですか?』
闇咲『祓い屋だ。その名の通り良くないものを祓うのを生業としている』
タレントA『良くないもの、具体的には幽霊とか呪いとかも?』
闇咲『含めてだ』
タレントB『えー、フカシちゃいますのん?霊能力者ってそないにホンモノがほいほいいる訳が』
闇咲『――”断魔の弦”』 ブオンッ!
タレントA『え――密閉されてるプースで突風……?』
タレントB『く、空調の、せい、やないですか?まさか、えっと……』
鳴護「すいません、放送事故です」
佐天『Bパート中に何回か言いそうですよね、その台詞』
闇咲『霊”能力”とは違う。今のは力なき者が力なき故に身につけたものだ』
タレントA『そ、そうですか……で、では改めまして、心霊グッズ収集家のBさん!今日はスゴイのを持ってきてくれたんですよね!』
タレントB『そうなんですよ!見てくださいこれ!』
タレントA『うわなんだこれ気持ち悪い……かつら、ですか?全体的に古い感じがしますが……』
タレントB『見てくださいよここ!」
タレントA『えぇと白髪、ですよね――ってことはまさかこれ人毛ですかっ!?』
タレントB『そうなんですよ!間違いありません、これね、人の毛でくられたものなんですわ……ッ!』
タレントA『異常ですよね……一体誰がどんな目的で……?』
タレントB『いやそこまで分かんないですわー!ただでも人毛でしょ?明らかに何らかの呪物としか思えないんですよね! 』
タレントA『コワっ!コワイですよ!やめてくださいよ!』
タレントB『いやでも大丈夫ですよ!持っている人には悪さをしますけど、他の人には大丈夫なんで!』
タレントA『悪さ……何か霊障あったんですか?』
タレントB『実はですね、これを手に入れた日に、知らない番号から電話がかかってくるようになったんですわ!』
タレントA『そうなんですか!?』
タレントB『番号はスーッと消えてしまうんですが!出てもボソボソ、ボソボソって何言ってるのか分からないんですよ!』
タレントA『えぇ大変ですね!完全に憑かれてますよねそれ!』
タレントB『ここへ来る途中も大変やったんですよ!いやぁホンモノの心霊グッズはね!』
タレントA『見た感じ、長さから女性のカツラなんでしょうが……Yさんのご見解はどのような?Bさんにはどんな霊が憑いてしまっているのでしょうか?』
闇咲『あぁまぁ見解というか意見はあるのだが、少々辛辣になるが構わないだろうか?』
タレントA『はい、勿論ですよ!リスナーは鍛えられていますからね!』
闇咲『では全く遠慮も配慮もせずに言わせてもらうが――まずカツラ、体裁が悪いので以後ウィッグと呼ぶが、それらは過去人毛で造られていた』
闇咲『現存する最古のものは古代エジプトのファラオの仮面だな。あの鬣のような頭巾は”ネメス”といい、ウィッグと共に被っていた』
闇咲『そして時代が下ると権力の象徴から衛生的な視点へと切り替わる。ウィッグと聞くとどうしても不衛生的なもののように感じるが、断じて違う』
闇咲『ノミやシラミの流行を防ぐため、髪を短く刈り込むようになった。しかしそれで格好がつかないということで用いたのがバリスターズウィッグ、今でも政治家や弁護士がつけてる場合がある』
闇咲『まぁそういう需要を満たすように女性は髪を売っていた。そして金に困る女性は短くするため、「短髪=春を売る商売」というイメージがついた。ユーゴーの小説などか有名だが』
(※ジャン=バルジャ○の養女の母親。だから修道女は「髪を短くしてはいけない」という不文律がある)
闇咲『ともあれそれ自体が正装の一部であり、同時に当時の技術としては人毛を使うほかにはないため、人毛のウィッグが忌諱されたという事実はない』
闇咲『そして東洋、本邦では”カモジ(髢)”という文化がある。ウィッグというよりはエクステ、だったか?髪につけるウィッグ、ともいうか』
闇咲『あれの最古のものは……そうだな、ひな人形の官女がいるだろう?こう威嚇をするキングコブラのような感じの?』
闇咲『元々は全てを地毛で結っていたのだが、それも長髪を維持するのが面倒になったり無駄だと思われるようになったりし、カモジが使われるようになる。それが鎌倉時代の話だ』
闇咲『ちなみに元禄時代には若衆歌舞伎や遊女歌舞伎などの少年や遊女が歌舞伎を公演する出し物が流行った』
闇咲『しかしそのどちらも禁止され、既存の歌舞伎でも前髪を落とすように指導されたのだが、まぁウィッグで代用したとかなんとか。同性愛にもそこそこ寛容だったらしい』
闇咲『まぁそのどちらも明治になり短髪が好まれるようになり、以前ほどカツラの需要は減った――が、しかし』
闇咲『平成の世へ入ると今度はまた別の角度からウィッグの需要が増える。医学的な見地だな』
闇咲『というのも高度医療の発達により、難病や回復できなかった命を助けることができる。それはとても良いことだ』
闇咲『だがその副作用で頭髪など体毛が薄くなるという副作用が出る。抗がん剤や放射線治療がそれだ」
闇咲『そしてまた白血病などは抵抗力が相当落ち、無菌室やそれに近い環境で治療が進められるため、地毛は残しておけない』
闇咲『なのでそういう難病の患者のため、自分の毛を伸ばし、然るべき長さになったら切ってウィッグとしてプレゼントしている慈善団体がある』
闇咲『そのボランティアで望まれるのは女性なのだが、特に壮年以上の方は中々辛いそうだ』
闇咲『周囲の目があり、ウィッグを造るために必要な長さは非常に悪目立ちをし、また髪が傷むのでヘアカラーはおろか白髪染めすら使えない』
闇咲『しかしながらそれもまた人助けと割り切り、かつそういうボランティアもあるのだと啓蒙活動をしている。それこそ、今日も』
(※全部実話です)
闇咲『……あぁ、すまないな。一方的に話してしまったが、そろそろ主旨を理解できているのであれば幸いだが』
タレントB『……』
タレントA『……つまり、これはただの……?』
闇咲『人毛のウィッグなのだろう。しかし過去珍しくもなかったし、現代でも珍しくもない』
闇咲『白髪があるのも、お歳を召された方が艶のありすぎるウィッグをつけていたらおかしい。よって”それ相応の”年代の人間の髪のウィッグが妥当となる』
闇咲『まぁ、もしかしたら誰かの遺品なのかもしれないがね。心ない持ち主に出会ったのは不運としか言いようがないが――さて』
闇咲『以上を踏まえて、君たちに足りないのは”常識”だ』
闇咲『オカルトというか文化人類学的な裏付けがほしいのであれば、まずその手の書物を一通り読んでから創作をするのをお勧めする』
闇咲『何をして金稼ぎをするのも自由だし、話を創るのもいいし語るのもまぁ勝手だが、人の善意を踏みにじる真似は避けてほしい』
闇咲『そしてこれはあくまでも厚意から来る忠告だとも付け加えておこう。適当に、そして無責任に話を合わせるのは至極簡単だ』
闇咲『が、君のその与太話が大々的に広まった後、誰かから事実を突きつけられてはたまらないだろう?』
タレントB『じゃ、じゃあ電話が!』
闇咲『別件ではないのかね?その謎の着信がウィッグだと判断した根拠は?』
闇咲『そもそもの話、”霊感がない”人間が自身に降りかかる霊障を一体どのように判別しているんだ?』
闇咲『何かこうあるんだろう?どこかの寺院か御山で何年ぐらい行を?』
タレントB『……』
闇咲『気を悪くしないで聞いてほしいのだが、君はその、不幸になったり、ともすれば死に至るような呪物とされるものをだ』
闇咲『幽霊や霊障が”ある”と思っているにも関わらず、次々と購入して試している、と?』
闇咲『呪物を全く信じていない詐欺師か、度し難い自殺願望の持ち主――』
タレントA『――はいっていう訳でYさんでしたー!次のコーナーに行きましょうね!ねっ!?』
鳴護「Yさんのコメントが非情過ぎません?総合格闘技の試合に拳銃持って殴り込みかけるようなもんですよね?」
佐天『”誰の挑戦でも受ける!”ともし銘打っているのであれば、チャカ持ってようと挑戦者には代わりはないんですか』
鳴護「試合と殺し合いを一緒にしちゃうのはダメだと思うよ」
鳴護「そして巻き込まれるのが嫌なのかナレーションさんがお仕事してないよね?当麻君が『オイオイ』ってツッコまないから大惨事になっているって気づいて!」
ナレーション【黙っている方が面白いと思ったのだった……ッ!!!】
鳴護「そのせいでYさんがもう二度とあのラジオにお呼ばれすることはなくなったけどね!まぁお互いのためには良かったのかな!」
佐天『ガチ勢と非ガチ勢で住み分けるということですね。あたしはネタですんで、非ガチ勢です』
鳴護「大体の人がそうだよ?闇ちゃんねるの配信者さんがガチ過ぎるだけだからね?」
ナレーション【――このあと局をつまみ出された我々が目にしたものとは……ッ!?】
鳴護「まぁ当然だよね。そしてこの放送がどうなったのか知りたいよね、きっと大惨状だと思うけど」
佐天『えーっと、今ググってみましたが、「異世界転生して元の世界の倫理観で殴るYさん」的なヒットしています。ぶっちゃけプチ炎上です』
鳴護「可哀相なのは相手の人だよ!自腹を切って『あ、オカルトグッズみっけ!』って軽い気持ちで持ってきたのにね!」
佐天『たまーに、ほんとーに、ネタではマジだと思い込んでしまう方もいるので、太い太い釘を刺しておくのも悪くは……はい、まぁ娯楽として楽しみましょうね!』
……
ナレーション【なんやかんやあってもプロはへこたれない。だってプロなのだから】
佐天『ナレーション下手か。「サッカー選手がサッカー上手いのは選手だから」レベルの説明ですよ』
鳴護「そしてプロはへこたれないかもだけど、あたしは挫けそうです」
ナレーション【闇咲さん、次はどこを荒すんですか?】
闇咲『荒した覚えなど皆無だが、まぁ副業ではなく本業の方だな。一応念のために確認するが、君は呪的防御力はかなり高いのだったな?』
ナレーション【ホントにどこ行くつもりだテメー!?お、俺に何かあったら、えっと、アレだぞ!父さん母さん以外にも一人か二人ぐらいは泣いてくれる人がいるんだぞ!】
鳴護「自己評価の低さに涙が……」
佐天『保護された犬と同じ目をしている……ッ!人に裏切られた目をだッ!』
闇咲『――ではまずここから始めようか』
ナレーション【普通のマンションですね。割と新しくて外壁も綺麗な】
闇咲『だが裏手に回れば』
ナレーション【あー……墓地っすね。しかも周りビルに囲まれて、いつ撤去になってもおかしくないような感じの】
闇咲『ではマンションの中へ入ろうか』
ナレーション【なぁこれ大丈夫か?呪われたりはしない?】
闇咲『何を言ってる。というか私を誰だと思っているんだ?』
ナレーション【だ、だよな!なんだかんだでプロだしな!】
闇咲『不完全ながらも”抱朴子”の魔道書を閲覧した男だぞ?そこいらの雑霊ごときの呪いを祓えなくてどうする』
ナレーション【呪いかかるの前提で!?つーかもしかして今日の俺は鉱山のカナリア役!?】
鳴護「どうしよう涙子ちゃん。不謹慎だけど、当麻君がパニクるのが超楽しい」
佐天『いいんじゃないんですかね。心霊検証動画かと思いきやいつの間にか「低俗○」ですし。ジャンルちげーだろ的な』
ナレーション【我々取材班が見たものは……ッ!?……あ、意外に普通の内装ですね】
闇咲『入居者を募集しているのだから当り前だ。それでだな、ここには女性の幽霊が出るという噂がある』
ナレーション【プロが言うとガチだから笑えねぇけど!それで?】
闇咲『不動産用が用意した内見用の写真素材に映り込んでいる。このように』 ピッ
ナレーション【あー、押し入れからチラッと覗いてる感じの】
闇咲『しかし問題はここで亡くなった女性はいない。そしてこの写真がコラージュだったとも判明している』
ナレーション【でも噂だけが残った?】
闇咲『なのでその手の人間に依頼し、”お祓いをしましたよ”という付加価値をつける』
ナレーション【炎上の逆ですね。ちゃんとやったんでもう大丈夫ですよってアピールするのか】
闇咲『それで事態が沈静化するのか、それともまた「あぁ……お祓いしないといけないレベルなんだ……」と再炎上することもある』
ナレーション【なんすかそのサイコロ振ってみないと出目が分からない案件】
闇咲『とはいえオーナーにとっては死活問題だからな。当該の部屋だけでなく、下手をすれば建物全体が幽霊物件などと言われてしまえば人が入らない』
ナレーション【盛り上がっている人はいいけど、当事者にとっては死活問題なのか。スゲー風評被害】
闇咲『霊が出る出ないという話はさておき、都会で過去に死人が出ていない場所はまずない。この地域も関東大震災や太平洋戦争の空襲で大勢の命が失われたのだが』
ナレーション【でも出てくるのは数年前に死んだ”って噂”の人か】
闇咲『なので今から祝詞を挙げる――「高天原に神座……」』
ナレーション【――よっ!ユーレイビビっちゃってるのかい!ビビっちゃってるのかいユーレイ!】
鳴護「当麻君のテンションがおかしくなって――ハッ!?まさかこれが心霊現象かも!?」
佐天『多分怖さのテンションが振り切っただけだと思います。あたしも時々目の光彩消えた初春見てるんですけど、まぁこんな感じでしたね』
ナレーション【まだまだ頑張れよ!現世に未練あるんだからさぁ頑張って!】
闇咲『立場がおかしくないか?そっち応援しろって言ったか?』
ナレーション【――お前の背中は俺が守るぜ……ッ!!!】
闇咲『触れるなよ?絶対だからな?スーツには霊装が仕込まれているんだからな?』
佐天『上条さんGO!まさかのハニーフラッシ○ですよ!』
鳴護「需要が、うん、ないっていうか皆無っていうかね』
ナレーション【ダチョ○なのであった!】
闇咲『いいから貴様は顔でも洗ってこい。邪魔はするな』
ナレーション【ういっすー。洗面所洗面所……つーか水出んのか?】
ナレーション【――んん?なんだこれ、鏡になんか陰が――】 ピタッ
……パキイィンッ……!!!
ナレーション【ヤ、ミサーカさーーーーーーーーんっ!?へるぷみーーーーーーーーーーーーーーーーっ!?】
ナレーション【なんかいたって今!人影が鏡で!タッチしたらパキーンってなったんだよ!!!?】
鳴護「あ、ちょっとインデックスちゃんっぽい」
佐天『なんでしょうこの惨劇は』
闇咲『”幽霊がいない”とは一言も言っていない。噂が噂を呼んでいるのも事実であるし、私が祓えばここは浄化されていた筈だが』
ナレーション【ホウレソウちゃんとしろやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?俺だって「あ、ここはもう流していいな」って感じなユルーくなってたんだよ!】
闇咲『私に不満を言われても困る』
鳴護「えーっと、目が当てられないぐらいに醜いクレーマーが……」
佐天『安全地帯だと調子ぶっこいていたら実は危険だったんですね。よくある話っちゃ話です』
闇咲『君の協力のお陰でここはもういいだろう』
ナレーション【やだもうおうち帰りたい……!ダークフェニック○見て俳優の悪口で盛り上がりたい!】
鳴護「当麻君も確実に病んできてるよね。その映画は見てないから分かんないけど」
佐天『お化粧が……はい、映画公開時には若干22歳の女優さんとは思えないほど、貫禄っていうかなんていうか』
佐天『ミラ=ジョボビッ○さんと並ぶと「お母さんと娘さん?」ってぐらいに……どっちがどっちとは言いませんけども』
(※ミラ=ジョボビッ○さん45歳、ソフィー=ターナ○さん25歳)
ナレーション【そんな訳で我々は和気藹々と次の現場にまでやってきたのだった……っ!】
鳴護「当麻君、生きてるよね?声だけ帰って来たとかそういうオチじゃないよね?」
佐天『さっき控え室で普通にご挨拶しましたけど。ロケ弁をリュックに入るだけ詰め込んでいました』
鳴護「人としてのマナーはどうかと思うけど、扶養家族が大っきいから。多いじゃなくてヘヴィって意味で」
ナレーション【さて闇咲さん。都外まで来てしまいましたが、ここは一体どのような場所になるんですか?】
闇咲『ふむ……なんといって説明したものか迷うのだが、下手に話して引っ張られるのも拙い、か』
ナレーション【なんかお地蔵さんと赤い風車がいっぱい並んでんですけど。枯れススキばっかりの原っぱで他に建物はないですし】
ナレーション【――ってこともないのか?赤ちゃんの泣き声がどっからかすんな】
闇咲『あっ』
ナレーション【なんだよその”あっ”って!?やっちゃったみたいな言い方すんなよ!?プロなんだからさぁ!?】
闇咲『いや、大丈夫だ。問題はない』
ナレーション【ホントか!?信じていいんだなそれ!?】
闇咲『取り敢えずアイマスクをつけようか』
ナレーション【なんで?】
闇咲『念のためだ。他意はない』
ナレーション【だからなんで?俺今からここで始末されんの?】
闇咲『気にするな。騙されたと思って、ほら早くしろ」
ナレーション【分かったよ……これでいいか?】 ギュッ
闇咲『では私が君の左手を引いていくから、ゆっくりと歩いていけばいい。ただしその間、私が君の右手に触れるまでは絶対に目隠しを取るな。いいか?』
ナレーション【何が俺に起きてるんだろうマジで――あ、きっと行った先で俺の友達がサプライズパーティを!やったね俺!頑張れ俺!】
佐天『本当に恐怖でテンション振り切ってますよね』
鳴護「説明しない闇咲さんが悪いと思う」
闇咲『では行くぞ』 グッ
ナレーション【おう……つかこれ、どこまで歩かされんのマジで?あんま怖いのは嫌なんだけど……】
闇咲『ほら、ついたぞついたぞ。とっていいぞ』
ナレーション【あぁもう着いたか?じゃあ――】
闇咲『――最初に言ったと思うのだが。君の”右手”に触るまで外してはいけない』
ナレーション【はい?でも今いいって言ったじゃねぇか】
闇咲『君の前を歩いている私の声がどうして後ろからしたのか、よく考えたまえ』
ナレーション【――ってマジモンのアレじゃねぇか!?何巻き込んでんだよ!?】
闇咲『実地で体験できて良かったじゃないか。と、もう外してもいいぞ』 ポンッ
ナレーション【……きっとこれはサプライズパーティ……!これを外したら水着の管理人さんがいっぱい……ッ!】
佐天『本当に壊れてますね。や、まぁあたしも多分同じ状況だったら現実逃避するでしょうけども』
鳴護「てゆうかもうあたしも帰りたいよ!ガチは嫌なんだよ!「」
ナレーション【……って小川……?】
闇咲『次にペットボトルの水で顔と手を洗い口を濯げ。ぶくぶくぺっ、だ。分かるか?』
ナレーション【俺は幼児か……パシャパシャっと、ガラガラガラガラ、ペッ。これでいいか?】
闇咲『最後に手で水を器のようにして、そう、そこに水を少し溜めてだ。後ろを振り向かないまま、背後へザバっと投げ捨てる』
ナレーション【引っかかりそうで怖いが……こう!か】 バシャッ
闇咲『ナウマクサンマンダ・オン・アカラナータソワカ!不動明王火界咒!』 ゴウンッ!!!
???『キィィィィィィィィィィィヤァァァァァァーー……』
ナレーション【……】
鳴護「……」
佐天『……』
闇咲『――と、今のは全てドッキリだった訳だが』
鳴護・佐天・ナレーション・【『「嘘吐くなよ!!!」』】
……
ナレーション【――こうして、プロに密着取材は終わった。もう二度としねぇよコノヤロー】
鳴護「え、説明は!?何が当麻君に襲い掛かったのかとか、どうやって祓ったのかとかそういう補足説明はないのかな!?』
佐天『多分ウブメかカタラキウワ辺りじゃないかなぁ。赤ちゃんですしね』
ナレーション【最後に闇咲さんに質問です。あなたにとってプロとは一体何ですか?】
闇咲『特に考えたことはないな』
ナレーション【そうですかありがとうございましたもう帰る絶対に帰るもうやんないよこんな仕事絶対にね!】
鳴護「ヤサグレ加減がハンパ無いよね。でも気持ちはよっっっっっっっっっっっっっっっっっく分かるよ!あたしが当麻君の立場だったら、その場でアヴェマリア絶唱するもん!」
佐天『ARISAさんが本気で歌えばアンデッドに特効入りそうですよねぇ。いいなー』
ナレーション【べ、別に呼ばれてもノコノコ来たりなんかしないんだからねっ!】
鳴護「あれ意外に余裕ある?もしかして全部ヤオだった?」
佐天『芸人としての生き様を見た気がします、無駄に――さて!という訳で二種類のプロフェッショナルをご紹介しましたが、ご感想をどうぞ!まとめのコメントプリーズ!』
鳴護「あっはい、人選が最悪でしたよね。片やチンピラ、もう片や【閲覧注意】案件で」
佐天『そうですね!まぁそんな感じで多分新番組はないと思いますが、それでは次回の放送でお目にかかりたいと思います!レッツ・プロフェー!』
鳴護「さよーならー」
……
上条「あ、お疲れ」
鳴護「当麻君さっきも聞いたけど大丈夫?実は死んでて魂だけ戻って来てないかな?」
上条「収録から何日も経ってるし、その間シスターさんと寝食を共にしていたからきっと大丈夫だ。シスター能力がどうかなって言われたら否定しできないが」
上条「帰ったらスッゴイ怒られたよ!なぁ知ってるかアリサ?インデックスが本気で怒ると『かぶーぎゃー』じゃなくて、『うん、そういうのはいいから正座』って言うんだぜ?」
鳴護「苦労したのはお疲れさまだけど、当麻君の人選も良くはなかったよね?深淵を覗き込んだら逆に覗き返されるって分かってたよね?」
上条「まさかあそこまでガチだとは思わなかったよ!そして最後まで正体教えてくれなかったし、何をしたかのも分からないままだしさ!」
上条「つーか闇咲も天草式もあんな日常送ってんのか!?そりゃ病むわ!得体の知れない何かと戦ってるんだったらな!」
鳴護「ま、まぁまぁ!無事に帰還したんだから、ねっ?インデックスちゃんがオッケー出してるんだったら、きっと問題ないよ!」
上条「……なぁアリサ。俺思ったんだよ、つーか今回の放送で分かっちまったんだ」
鳴護「な、なにが?」
上条「ガチな世界よりも絹旗監督のツッコミどころだらけの再現映画の方がずっと優しいってことに……!」
鳴護「気をしっかりと当麻君!比較対象が悪すぎるよ!」
-終-
(※オボ憑き。死霊の方)
佐天『こんにちは』
鳴護「あ、どうもです」
佐天『こういう撮影は初めて?』
鳴護「最近はあんまないですね。リモートしやがれって風潮なのに、基本現地集合現地解散ばっかりで」
佐天『彼氏はいるの?』
鳴護「いないですよコノヤロー?そして仮にいたとしても喋ったらネットニュースの芸能欄に載るよ」
佐天『スリーサイズは下から?』
鳴護「あんま調子ぶっこいてると初春さんにチクるよ?そしてスリーサイズを下から申告する人っているかな?」
鳴護「ていうかスタジオのブースの端っこと端っこで寂しいんだけど、今日はどういう主旨のお仕事なんですか?」
佐天『今日はオービット・ポータルのタレントではなく、学園都市ケーブルテレビのお仕事で来ています』
鳴護「本当に手広くやってるよね」
佐天『時期的に番組改編なので、本日はプレ番組の撮影というのを任されまして』
鳴護「本放送になる前に試しで作っておくんだっけ?ぶっつけ本番で作っちゃっても困るから」
佐天『ですです』
鳴護「どんな地雷がダッシュで忍び寄って来るのかコワイよね!見当がつかない所が特に!」
佐天『あーいえいえ、企画自体はかなり真っ当です。ぶっちゃけ「超つまんなくね?」と思わなくも』
鳴護「それを今から収録してるんだよ?そんなアドリブってある?」
佐天『各業界の一線で活躍されている方々を密着取材しまして、彼らの生き様から感動しようと!』
鳴護「いいね!最近お仕事らしいお仕事してなかったけど、そういうの待ってた!」
鳴護「でももっとタイトルは頑張ろうよ!こう、パクるにしてももっとこう分からないようにカモフラージュしないと!」
(※『プロフェッショナル 仕事の流○』)
佐天『ちょっと何言ってるのか分からないですけど、まぁ今回は社会派ですよ。ローカルなケーブルテレビならではといえなくも』
鳴護「コンセプト的にはややありふれた感じだけどもこういうお仕事がしたかったよ!脱・バラドルかグラドルか分からないタレント!ふぁいっおー!」
佐天『ARISAさんはプロと聞いて何を連想しますか?』
鳴護「あー、そうですねぇ。あたしはプロっていうのはお金をもらって成立することなんだと思います。金額の大小じゃなくて、気持ちっていうのかなー」
佐天『あ、そうですか。あたしはゴルファー猿ぐらいしか』
鳴護「プロゴルファー○!?知識あっさ!?単語で遊んでるんじゃなくてね!?」
佐天『では最初のプロフェッショナルを見てみましょうか、レッツ・プロフェー!』
鳴護「かけ声が超ダサい。少なくともプロが作ったんじゃないってよく分かる」
佐天『と、ここでCM入る仕様になっています』
鳴護「あっはい。ではあたしはこのあとブイを見てコメントする感じで?」
佐天『そうですね。既存のドキュメント番組と違って事前にコメントだけの収録はしませんから』
鳴護「見てるよ?あの番組とあの番組は怪しいところもあるけど、忙しいタレントさんだって全部見てから言ってるよ?きっとね?」
佐天『プレ版ですので、ARISAむさんにおかれましてはスポンサーさんが『いいね☆』と連呼するようなコメントを頂きたく!』
鳴護「また無茶振りが来たね!責任重大だけどスタジオのコメント如何で採用が決まる番組ってヤだな!」
ナレーション【――この世界には様々なプロフェッショナルがいる】
鳴護「あぁうん、こういうのだよね。どっか聞いたような声だと思うけど、移動時間中にずっと隣で喋ってた高校生の声によく似てるけど」
ナレーション【なお、プロフェッショナルは”プロの選手”という意味もあるので、日本語で「プロ選手」っていうと”プロフェッショナル・プロフェッショナル”と二重の意味になる……ッ!】
鳴護「当麻君、あのさ?あたしを笑かしにかかってる?ボケるんだったらもっとこう時間を置いてくれないかな?まだ序盤も序盤だよ?」
ナレーション【えーっとまぁそんな感じでプロはプロなのだ!密着取材してみた!】
鳴護「サンシャイン要素が全面に出てきてるよ。ダメなヤツだね」
ナレーション【――彼の朝は早い】
鳴護「あ、始まった」
浜面『ふぁーぁっと……なんだ、もう昼か』
鳴護「スッゴい遅いね!お休みの日のお父さんでももっと早いよ!」
浜面『メシメシ……』
滝壺『……おはよう、はまづら』
浜面『お−、おはよー滝壺。メシは?』
滝壺『できてるけど……』
浜面『ん、サンキュ。メシ食ったら午後からパチンコ行ってくってけど、なんか用事ある?』
滝壺『……』
浜面『なんだよ』
滝壺『その……はまづらも、そろそろ働いてくれると嬉しいかなって……』
滝壺『ふれんだ一人に働かせるのは、そろそろ限界かも……』
浜面『大丈夫だ!俺には考えがあるんだよ!』
滝壺『ほ、ほんとに?』
浜面『明日は新台の入れ替え日なんだ。だから当然クギが緩くなってるに違いない――』
浜面『って考えるのが素人だ!新台を入れればひれだけコストがかかる!つまりその元を回収しなきゃいけない!』
浜面『つまりその前日だったら!クギも緩くなって俺たち消費者へ還元してくれるに決まってる!分かるだろ!?』
(※クギをいじるのは違法行為です)
浜面『スーパービンゴギャラクシ○を打ちに行くんだよ!勝てばギャラクシーになっから!』
滝壺『はまづら……』
浜面『あと金貸してくんね?2万ぐらいでいいから』
ナレーション【プロフェッショナル・とある流儀――】
ナレーション【――浜面仕上(ヒモ)密着ドキュメント……ッ!!!】
鳴護「うるさいな!何となくそうじゃないかなって思ってたけどやっぱりだよ!?そこはサプライズが起きてほしかったな!」
鳴護「ねぇ、あたしは何を見せられているの?このあと男の人が刺されてハッピーエンドになるんだよね?」
佐天『まぁ、なんといいますか番組のプレですので予算がないらしく』
鳴護「関係ある?」
佐天『相手もプライバシー等々ありますんで、当然プロに密着しようにも『取材?金持ってから来いや!』という世知辛いことに』
鳴護「最底辺だよね?二人ともカメラチラチラ見てたから、かなり盛ってるんだと思うしそう思いたいけど、大体リアルでしょこれ?」
佐天『さっきも言いましたが企画は……えぇまぁ企画自体は悪くないんですよ。最大の問題が予算着かないので取材費がほぼゼロ』
佐天『なのでカメラマンさんの人脈を最大限に生かし、ロハでやってくれる人をの中から選ばれたエリートと言えなくも』
鳴護「言えないよ?だってエリートではないもの。エリートは少なくとも財産的な意味で困らせたりはしないはずだからね?」
ナレーション【いやでも金持ちでも『そこに金遣うかぁ?』って人はそこそこ。テイルオ○してる芸能人とか】
鳴護「ナレーションの人は録画設定なんだからツッコんで来ないで!別ブースに入っていったのは分かってるんだよ!」
ナレーション【こうして、ヒモの一日は始まるのだった――】
鳴護「本当に刺されない?」
ナレーション【浜面さん、台を見分けるテクニックなんかあれば教えてもらえませんか?】
浜面『あー、そうだなー。ほれ、台の上に回転数ってあるだろ?』
ナレーション【ナビですかね】
浜面『間隔を空けずに当たってるのがいい台だぜ!レギュラー・ビッグ問わずに!』
ナレーション【確変狙いでなくても構わないと?】
浜面『一発狙いも悪かねえが、男は地道に稼いでナンボだ!』
鳴護「当麻君がごくごく普通にパチス×の話ししてるのがひっかかる。何やってんの、自分の不幸が分からないでもないのに」
佐天『人間がダメになっていく逆進化の過程の教材として取り上げられそうですね』
浜面『見てろ!俺の戦いはこれからだ……ッ!』
ナレーション【――この二時間後、プロは身ぐるみを剥がされて路上に転がされるのだった……ッ!】
鳴護「昭和のコント!?今時はコンプラ的に厳しいから、ギャンブル=反社じゃないってキャンペーン中なのに!」
ナレーション【だがしかしそこはプロフェッショナル。過酷な現実にも慌てず騒がずこう言った】
鳴護「慌てよう?じゃないといつもこんな感じだって思われるよ?」
ナレーション【『――なぁ、大将のパンツどこで買ったの?”犯人はステイル”ってどういう意味?】
鳴護「当麻君までパンイチに!?連帯責任で何があったの!?」
佐天『前もってダイイングメッセージを用意しておく訳か……やりますね!あたしも今度もしよう!』
鳴護「涙子ちゃんに敵はいないよ?前に裁判になったときも、相手は”死んでないだけ”って状態になってるよね?外出たらお礼参りが何人かスタンバってるしさ」
ナレーション【このあと、プロは知り合いに金を融通してもらって九死に一生を得た】
鳴護「ほぼ社会的に死んでるのに生き返ってはないかなー」
浜面『まぁ、長い人生こういうこともあるさ!前向きに生きようぜ!』
ナレーション【でも浜面さんは新たなビジネスに着手されたんですよね?】
浜面『お前っ!?それ言うなって言っただろ!?一番最初は滝壺にって!』
ナレーション【大丈夫ですよ。オンエアは二週間後ですから】
浜面『二週間……まぁそれだけあればいいか』
ナレーション【何かあるんですか?】
浜面『あー、彼女の誕生日なんだわ。だからせめて、いつも世話になってる分、少しだけでも返したいなって』
ナレーション【いい話じゃないですか】
浜面『よせってバカ!照れるだろ?』
ナレーション【ではその画期的な金策とは一体?】
浜面『まず電話をするんだ、「オレオレ、オレだけどって」』
鳴護「なんか足りないと思ったらこれ、ツッコミがずっと不在なんだよね。VTR作った当麻君が故意か悪意で総スルーしているから」
佐天『足りないのは頭とか良識かと』
ナレーション【最期にプロへ質問をしてみた。浜面さんからプロを目指す人にコメントを】
浜面『そう、だな。俺から言えることは少なくないが、まぁこれだけは言える――』
浜面『――勝った負けた、それはあるぜ?人生誰しも勝ちまくってる訳じゃない、当然負けることだってあるし、負けが込むこともだってある』
浜面『しかし確率を信じろ!今日負けたってこと明日は勝てるんだ!もし明日負けても明後日は倍勝てばいいだけの話だ!』
ナレーション【――以上、パチン×廃人の浜面仕上プロの生き様でした。プロフェー】
鳴護「学べるところが一個もない。『こういうだめんずには引っかからないようにしようね』ぐらいかな。頑張ってそれだけかな」
佐天『あたしも不安になるぐらいの出来ですけど、つーか初めてブイ見ましたがヒッドいですよね。「覚悟して下さいね」ってスタッフさんからは注意されてたんですけど』
鳴護「ねぇ、涙子ちゃんのケーブルテレビってタブーとかないの?番組にする前に誰かが止めるよね?」
ナレーション【だって予算がないから俺の人脈でどうこうするしかないのだった……ッ!!!】
鳴護「そりゃそうかもだけど完全に会話してるし、せめてあたしを取材するとか」
佐天『某映画監督との密着ロケだった日にゃ「ARISA実はバラドル説!」が確定するだけだと思います』
鳴護「もういい加減一々否定するのが面倒だからだよ!ファンの子だって普通にイジってくるんだからね!?」
ナレーション【だって監督の『コーン・オブ・ザ・デッ○』あらすじ聞いたか?たった一行聞いただけで「あぁこれ見たいな!」って思うよ!】
鳴護「それは当麻君が悪い影響を受けているからだね。お祓いしてもらった方がいいと思うな」
――とあるスタジオ
ナレーション【気を取り直してBパートへ行くのだった……ッ!】
鳴護「まだあるの?当麻君の謎の人脈の闇は深くて広いよね?」
佐天『どうせ誰も引き受けてくれなかったんで、きっとシスターさんとかでお茶を濁すんじゃ?』
鳴護「インデックスちゃんの生活パターンは……いい歳したおっさんは許されないけど、女の子だったら許されるから」
ナレーション【――プロフェッショナルの一日は早い】
……ザーッ……
鳴護「……何?砂嵐、じゃないね。滝の、音……?」
闇咲『――六根清浄(ろっこんしょうじょう)……!六根清浄……!六根清浄……!』
鳴護「滝行!?プロっちゃ確実にプロだけど、よくまぁオーケーしてくれたねこの人!スッゴイ変化球投げてきたなコレ!」
佐天『つーか初めてみましたよ。あんな修行している人って本当にいるんですねぇ』
ナレーション【えっと、楽しいですか?】
鳴護「失礼だよね?一応やってくれてる人に対してどうかと思うな」
闇咲『楽しくはない、これも生業の一環だ』
ナレーション【どういうバフ効果があるんですか?】
闇咲『有り体にいえば身を清める意味がある。悪しき物は不浄な物が多く、身綺麗にしていれば多少はマシ、かもれしない程度の話だ』
ナレーション【成程。つまり趣味でやっていると】
闇咲『その逆だと言ったな?まぁ必要かと問われれば微妙なラインと言わざるを得ないが』
ナレーション【本日は密着取材ですが、緊張していますか?】
闇咲『全く。ただ、使い物になるかまで保障しかねるが』
ナレーション【それはどういう意味で?】
闇咲『本業の方も副業の方も、あまりこう電波的な媒体とは相性が良くない。行けば分かるか』
ナレーション【まずどちらへ?】
闇咲『放送局だな』
ナレーション【あれ?闇ちゃんねるの収録って入ってたっけ?】
……
タレントA『――はい、っていう訳で始まりましたラジオ心霊特集ですけどね!』
鳴護「あ、知ってるタレントさんだ。心霊おじさんで有名な」
佐天『一回○○○○のタブーに触れて干された心霊おじさんですね』
鳴護「お金取ってイベントするんだから、その内容になんかあれば責任は取らないといけないと思うんだけど……」
タレントA『本日のゲストは心霊グッズコレクターのBさんです!宜しくお願いしまーす!』
タレントB『どうもー、心霊グッズ収集家のBですー』
タレントA『Bさんは怪しいグッズを集めてらっしゃるんですよね−。怖くないんですか?』
タレントB『いや僕は霊感ないんですね!あんま幽霊とか見たことないんですわ!』
タレントA『そしてですね!特別ゲストとして祓い屋をやられているYさんに来て頂いております!』
闇咲『Yだ。宜しく頼む』
タレントA『Yさんは初めましてになるんですが、いつもはどういうお仕事をされておられるんですか?』
闇咲『祓い屋だ。その名の通り良くないものを祓うのを生業としている』
タレントA『良くないもの、具体的には幽霊とか呪いとかも?』
闇咲『含めてだ』
タレントB『えー、フカシちゃいますのん?霊能力者ってそないにホンモノがほいほいいる訳が』
闇咲『――”断魔の弦”』 ブオンッ!
タレントA『え――密閉されてるプースで突風……?』
タレントB『く、空調の、せい、やないですか?まさか、えっと……』
鳴護「すいません、放送事故です」
佐天『Bパート中に何回か言いそうですよね、その台詞』
闇咲『霊”能力”とは違う。今のは力なき者が力なき故に身につけたものだ』
タレントA『そ、そうですか……で、では改めまして、心霊グッズ収集家のBさん!今日はスゴイのを持ってきてくれたんですよね!』
タレントB『そうなんですよ!見てくださいこれ!』
タレントA『うわなんだこれ気持ち悪い……かつら、ですか?全体的に古い感じがしますが……』
タレントB『見てくださいよここ!」
タレントA『えぇと白髪、ですよね――ってことはまさかこれ人毛ですかっ!?』
タレントB『そうなんですよ!間違いありません、これね、人の毛でくられたものなんですわ……ッ!』
タレントA『異常ですよね……一体誰がどんな目的で……?』
タレントB『いやそこまで分かんないですわー!ただでも人毛でしょ?明らかに何らかの呪物としか思えないんですよね! 』
タレントA『コワっ!コワイですよ!やめてくださいよ!』
タレントB『いやでも大丈夫ですよ!持っている人には悪さをしますけど、他の人には大丈夫なんで!』
タレントA『悪さ……何か霊障あったんですか?』
タレントB『実はですね、これを手に入れた日に、知らない番号から電話がかかってくるようになったんですわ!』
タレントA『そうなんですか!?』
タレントB『番号はスーッと消えてしまうんですが!出てもボソボソ、ボソボソって何言ってるのか分からないんですよ!』
タレントA『えぇ大変ですね!完全に憑かれてますよねそれ!』
タレントB『ここへ来る途中も大変やったんですよ!いやぁホンモノの心霊グッズはね!』
タレントA『見た感じ、長さから女性のカツラなんでしょうが……Yさんのご見解はどのような?Bさんにはどんな霊が憑いてしまっているのでしょうか?』
闇咲『あぁまぁ見解というか意見はあるのだが、少々辛辣になるが構わないだろうか?』
タレントA『はい、勿論ですよ!リスナーは鍛えられていますからね!』
闇咲『では全く遠慮も配慮もせずに言わせてもらうが――まずカツラ、体裁が悪いので以後ウィッグと呼ぶが、それらは過去人毛で造られていた』
闇咲『現存する最古のものは古代エジプトのファラオの仮面だな。あの鬣のような頭巾は”ネメス”といい、ウィッグと共に被っていた』
闇咲『そして時代が下ると権力の象徴から衛生的な視点へと切り替わる。ウィッグと聞くとどうしても不衛生的なもののように感じるが、断じて違う』
闇咲『ノミやシラミの流行を防ぐため、髪を短く刈り込むようになった。しかしそれで格好がつかないということで用いたのがバリスターズウィッグ、今でも政治家や弁護士がつけてる場合がある』
闇咲『まぁそういう需要を満たすように女性は髪を売っていた。そして金に困る女性は短くするため、「短髪=春を売る商売」というイメージがついた。ユーゴーの小説などか有名だが』
(※ジャン=バルジャ○の養女の母親。だから修道女は「髪を短くしてはいけない」という不文律がある)
闇咲『ともあれそれ自体が正装の一部であり、同時に当時の技術としては人毛を使うほかにはないため、人毛のウィッグが忌諱されたという事実はない』
闇咲『そして東洋、本邦では”カモジ(髢)”という文化がある。ウィッグというよりはエクステ、だったか?髪につけるウィッグ、ともいうか』
闇咲『あれの最古のものは……そうだな、ひな人形の官女がいるだろう?こう威嚇をするキングコブラのような感じの?』
闇咲『元々は全てを地毛で結っていたのだが、それも長髪を維持するのが面倒になったり無駄だと思われるようになったりし、カモジが使われるようになる。それが鎌倉時代の話だ』
闇咲『ちなみに元禄時代には若衆歌舞伎や遊女歌舞伎などの少年や遊女が歌舞伎を公演する出し物が流行った』
闇咲『しかしそのどちらも禁止され、既存の歌舞伎でも前髪を落とすように指導されたのだが、まぁウィッグで代用したとかなんとか。同性愛にもそこそこ寛容だったらしい』
闇咲『まぁそのどちらも明治になり短髪が好まれるようになり、以前ほどカツラの需要は減った――が、しかし』
闇咲『平成の世へ入ると今度はまた別の角度からウィッグの需要が増える。医学的な見地だな』
闇咲『というのも高度医療の発達により、難病や回復できなかった命を助けることができる。それはとても良いことだ』
闇咲『だがその副作用で頭髪など体毛が薄くなるという副作用が出る。抗がん剤や放射線治療がそれだ」
闇咲『そしてまた白血病などは抵抗力が相当落ち、無菌室やそれに近い環境で治療が進められるため、地毛は残しておけない』
闇咲『なのでそういう難病の患者のため、自分の毛を伸ばし、然るべき長さになったら切ってウィッグとしてプレゼントしている慈善団体がある』
闇咲『そのボランティアで望まれるのは女性なのだが、特に壮年以上の方は中々辛いそうだ』
闇咲『周囲の目があり、ウィッグを造るために必要な長さは非常に悪目立ちをし、また髪が傷むのでヘアカラーはおろか白髪染めすら使えない』
闇咲『しかしながらそれもまた人助けと割り切り、かつそういうボランティアもあるのだと啓蒙活動をしている。それこそ、今日も』
(※全部実話です)
闇咲『……あぁ、すまないな。一方的に話してしまったが、そろそろ主旨を理解できているのであれば幸いだが』
タレントB『……』
タレントA『……つまり、これはただの……?』
闇咲『人毛のウィッグなのだろう。しかし過去珍しくもなかったし、現代でも珍しくもない』
闇咲『白髪があるのも、お歳を召された方が艶のありすぎるウィッグをつけていたらおかしい。よって”それ相応の”年代の人間の髪のウィッグが妥当となる』
闇咲『まぁ、もしかしたら誰かの遺品なのかもしれないがね。心ない持ち主に出会ったのは不運としか言いようがないが――さて』
闇咲『以上を踏まえて、君たちに足りないのは”常識”だ』
闇咲『オカルトというか文化人類学的な裏付けがほしいのであれば、まずその手の書物を一通り読んでから創作をするのをお勧めする』
闇咲『何をして金稼ぎをするのも自由だし、話を創るのもいいし語るのもまぁ勝手だが、人の善意を踏みにじる真似は避けてほしい』
闇咲『そしてこれはあくまでも厚意から来る忠告だとも付け加えておこう。適当に、そして無責任に話を合わせるのは至極簡単だ』
闇咲『が、君のその与太話が大々的に広まった後、誰かから事実を突きつけられてはたまらないだろう?』
タレントB『じゃ、じゃあ電話が!』
闇咲『別件ではないのかね?その謎の着信がウィッグだと判断した根拠は?』
闇咲『そもそもの話、”霊感がない”人間が自身に降りかかる霊障を一体どのように判別しているんだ?』
闇咲『何かこうあるんだろう?どこかの寺院か御山で何年ぐらい行を?』
タレントB『……』
闇咲『気を悪くしないで聞いてほしいのだが、君はその、不幸になったり、ともすれば死に至るような呪物とされるものをだ』
闇咲『幽霊や霊障が”ある”と思っているにも関わらず、次々と購入して試している、と?』
闇咲『呪物を全く信じていない詐欺師か、度し難い自殺願望の持ち主――』
タレントA『――はいっていう訳でYさんでしたー!次のコーナーに行きましょうね!ねっ!?』
鳴護「Yさんのコメントが非情過ぎません?総合格闘技の試合に拳銃持って殴り込みかけるようなもんですよね?」
佐天『”誰の挑戦でも受ける!”ともし銘打っているのであれば、チャカ持ってようと挑戦者には代わりはないんですか』
鳴護「試合と殺し合いを一緒にしちゃうのはダメだと思うよ」
鳴護「そして巻き込まれるのが嫌なのかナレーションさんがお仕事してないよね?当麻君が『オイオイ』ってツッコまないから大惨事になっているって気づいて!」
ナレーション【黙っている方が面白いと思ったのだった……ッ!!!】
鳴護「そのせいでYさんがもう二度とあのラジオにお呼ばれすることはなくなったけどね!まぁお互いのためには良かったのかな!」
佐天『ガチ勢と非ガチ勢で住み分けるということですね。あたしはネタですんで、非ガチ勢です』
鳴護「大体の人がそうだよ?闇ちゃんねるの配信者さんがガチ過ぎるだけだからね?」
ナレーション【――このあと局をつまみ出された我々が目にしたものとは……ッ!?】
鳴護「まぁ当然だよね。そしてこの放送がどうなったのか知りたいよね、きっと大惨状だと思うけど」
佐天『えーっと、今ググってみましたが、「異世界転生して元の世界の倫理観で殴るYさん」的なヒットしています。ぶっちゃけプチ炎上です』
鳴護「可哀相なのは相手の人だよ!自腹を切って『あ、オカルトグッズみっけ!』って軽い気持ちで持ってきたのにね!」
佐天『たまーに、ほんとーに、ネタではマジだと思い込んでしまう方もいるので、太い太い釘を刺しておくのも悪くは……はい、まぁ娯楽として楽しみましょうね!』
……
ナレーション【なんやかんやあってもプロはへこたれない。だってプロなのだから】
佐天『ナレーション下手か。「サッカー選手がサッカー上手いのは選手だから」レベルの説明ですよ』
鳴護「そしてプロはへこたれないかもだけど、あたしは挫けそうです」
ナレーション【闇咲さん、次はどこを荒すんですか?】
闇咲『荒した覚えなど皆無だが、まぁ副業ではなく本業の方だな。一応念のために確認するが、君は呪的防御力はかなり高いのだったな?』
ナレーション【ホントにどこ行くつもりだテメー!?お、俺に何かあったら、えっと、アレだぞ!父さん母さん以外にも一人か二人ぐらいは泣いてくれる人がいるんだぞ!】
鳴護「自己評価の低さに涙が……」
佐天『保護された犬と同じ目をしている……ッ!人に裏切られた目をだッ!』
闇咲『――ではまずここから始めようか』
ナレーション【普通のマンションですね。割と新しくて外壁も綺麗な】
闇咲『だが裏手に回れば』
ナレーション【あー……墓地っすね。しかも周りビルに囲まれて、いつ撤去になってもおかしくないような感じの】
闇咲『ではマンションの中へ入ろうか』
ナレーション【なぁこれ大丈夫か?呪われたりはしない?】
闇咲『何を言ってる。というか私を誰だと思っているんだ?』
ナレーション【だ、だよな!なんだかんだでプロだしな!】
闇咲『不完全ながらも”抱朴子”の魔道書を閲覧した男だぞ?そこいらの雑霊ごときの呪いを祓えなくてどうする』
ナレーション【呪いかかるの前提で!?つーかもしかして今日の俺は鉱山のカナリア役!?】
鳴護「どうしよう涙子ちゃん。不謹慎だけど、当麻君がパニクるのが超楽しい」
佐天『いいんじゃないんですかね。心霊検証動画かと思いきやいつの間にか「低俗○」ですし。ジャンルちげーだろ的な』
ナレーション【我々取材班が見たものは……ッ!?……あ、意外に普通の内装ですね】
闇咲『入居者を募集しているのだから当り前だ。それでだな、ここには女性の幽霊が出るという噂がある』
ナレーション【プロが言うとガチだから笑えねぇけど!それで?】
闇咲『不動産用が用意した内見用の写真素材に映り込んでいる。このように』 ピッ
ナレーション【あー、押し入れからチラッと覗いてる感じの】
闇咲『しかし問題はここで亡くなった女性はいない。そしてこの写真がコラージュだったとも判明している』
ナレーション【でも噂だけが残った?】
闇咲『なのでその手の人間に依頼し、”お祓いをしましたよ”という付加価値をつける』
ナレーション【炎上の逆ですね。ちゃんとやったんでもう大丈夫ですよってアピールするのか】
闇咲『それで事態が沈静化するのか、それともまた「あぁ……お祓いしないといけないレベルなんだ……」と再炎上することもある』
ナレーション【なんすかそのサイコロ振ってみないと出目が分からない案件】
闇咲『とはいえオーナーにとっては死活問題だからな。当該の部屋だけでなく、下手をすれば建物全体が幽霊物件などと言われてしまえば人が入らない』
ナレーション【盛り上がっている人はいいけど、当事者にとっては死活問題なのか。スゲー風評被害】
闇咲『霊が出る出ないという話はさておき、都会で過去に死人が出ていない場所はまずない。この地域も関東大震災や太平洋戦争の空襲で大勢の命が失われたのだが』
ナレーション【でも出てくるのは数年前に死んだ”って噂”の人か】
闇咲『なので今から祝詞を挙げる――「高天原に神座……」』
ナレーション【――よっ!ユーレイビビっちゃってるのかい!ビビっちゃってるのかいユーレイ!】
鳴護「当麻君のテンションがおかしくなって――ハッ!?まさかこれが心霊現象かも!?」
佐天『多分怖さのテンションが振り切っただけだと思います。あたしも時々目の光彩消えた初春見てるんですけど、まぁこんな感じでしたね』
ナレーション【まだまだ頑張れよ!現世に未練あるんだからさぁ頑張って!】
闇咲『立場がおかしくないか?そっち応援しろって言ったか?』
ナレーション【――お前の背中は俺が守るぜ……ッ!!!】
闇咲『触れるなよ?絶対だからな?スーツには霊装が仕込まれているんだからな?』
佐天『上条さんGO!まさかのハニーフラッシ○ですよ!』
鳴護「需要が、うん、ないっていうか皆無っていうかね』
ナレーション【ダチョ○なのであった!】
闇咲『いいから貴様は顔でも洗ってこい。邪魔はするな』
ナレーション【ういっすー。洗面所洗面所……つーか水出んのか?】
ナレーション【――んん?なんだこれ、鏡になんか陰が――】 ピタッ
……パキイィンッ……!!!
ナレーション【ヤ、ミサーカさーーーーーーーーんっ!?へるぷみーーーーーーーーーーーーーーーーっ!?】
ナレーション【なんかいたって今!人影が鏡で!タッチしたらパキーンってなったんだよ!!!?】
鳴護「あ、ちょっとインデックスちゃんっぽい」
佐天『なんでしょうこの惨劇は』
闇咲『”幽霊がいない”とは一言も言っていない。噂が噂を呼んでいるのも事実であるし、私が祓えばここは浄化されていた筈だが』
ナレーション【ホウレソウちゃんとしろやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?俺だって「あ、ここはもう流していいな」って感じなユルーくなってたんだよ!】
闇咲『私に不満を言われても困る』
鳴護「えーっと、目が当てられないぐらいに醜いクレーマーが……」
佐天『安全地帯だと調子ぶっこいていたら実は危険だったんですね。よくある話っちゃ話です』
闇咲『君の協力のお陰でここはもういいだろう』
ナレーション【やだもうおうち帰りたい……!ダークフェニック○見て俳優の悪口で盛り上がりたい!】
鳴護「当麻君も確実に病んできてるよね。その映画は見てないから分かんないけど」
佐天『お化粧が……はい、映画公開時には若干22歳の女優さんとは思えないほど、貫禄っていうかなんていうか』
佐天『ミラ=ジョボビッ○さんと並ぶと「お母さんと娘さん?」ってぐらいに……どっちがどっちとは言いませんけども』
(※ミラ=ジョボビッ○さん45歳、ソフィー=ターナ○さん25歳)
ナレーション【そんな訳で我々は和気藹々と次の現場にまでやってきたのだった……っ!】
鳴護「当麻君、生きてるよね?声だけ帰って来たとかそういうオチじゃないよね?」
佐天『さっき控え室で普通にご挨拶しましたけど。ロケ弁をリュックに入るだけ詰め込んでいました』
鳴護「人としてのマナーはどうかと思うけど、扶養家族が大っきいから。多いじゃなくてヘヴィって意味で」
ナレーション【さて闇咲さん。都外まで来てしまいましたが、ここは一体どのような場所になるんですか?】
闇咲『ふむ……なんといって説明したものか迷うのだが、下手に話して引っ張られるのも拙い、か』
ナレーション【なんかお地蔵さんと赤い風車がいっぱい並んでんですけど。枯れススキばっかりの原っぱで他に建物はないですし】
ナレーション【――ってこともないのか?赤ちゃんの泣き声がどっからかすんな】
闇咲『あっ』
ナレーション【なんだよその”あっ”って!?やっちゃったみたいな言い方すんなよ!?プロなんだからさぁ!?】
闇咲『いや、大丈夫だ。問題はない』
ナレーション【ホントか!?信じていいんだなそれ!?】
闇咲『取り敢えずアイマスクをつけようか』
ナレーション【なんで?】
闇咲『念のためだ。他意はない』
ナレーション【だからなんで?俺今からここで始末されんの?】
闇咲『気にするな。騙されたと思って、ほら早くしろ」
ナレーション【分かったよ……これでいいか?】 ギュッ
闇咲『では私が君の左手を引いていくから、ゆっくりと歩いていけばいい。ただしその間、私が君の右手に触れるまでは絶対に目隠しを取るな。いいか?』
ナレーション【何が俺に起きてるんだろうマジで――あ、きっと行った先で俺の友達がサプライズパーティを!やったね俺!頑張れ俺!】
佐天『本当に恐怖でテンション振り切ってますよね』
鳴護「説明しない闇咲さんが悪いと思う」
闇咲『では行くぞ』 グッ
ナレーション【おう……つかこれ、どこまで歩かされんのマジで?あんま怖いのは嫌なんだけど……】
闇咲『ほら、ついたぞついたぞ。とっていいぞ』
ナレーション【あぁもう着いたか?じゃあ――】
闇咲『――最初に言ったと思うのだが。君の”右手”に触るまで外してはいけない』
ナレーション【はい?でも今いいって言ったじゃねぇか】
闇咲『君の前を歩いている私の声がどうして後ろからしたのか、よく考えたまえ』
ナレーション【――ってマジモンのアレじゃねぇか!?何巻き込んでんだよ!?】
闇咲『実地で体験できて良かったじゃないか。と、もう外してもいいぞ』 ポンッ
ナレーション【……きっとこれはサプライズパーティ……!これを外したら水着の管理人さんがいっぱい……ッ!】
佐天『本当に壊れてますね。や、まぁあたしも多分同じ状況だったら現実逃避するでしょうけども』
鳴護「てゆうかもうあたしも帰りたいよ!ガチは嫌なんだよ!「」
ナレーション【……って小川……?】
闇咲『次にペットボトルの水で顔と手を洗い口を濯げ。ぶくぶくぺっ、だ。分かるか?』
ナレーション【俺は幼児か……パシャパシャっと、ガラガラガラガラ、ペッ。これでいいか?】
闇咲『最後に手で水を器のようにして、そう、そこに水を少し溜めてだ。後ろを振り向かないまま、背後へザバっと投げ捨てる』
ナレーション【引っかかりそうで怖いが……こう!か】 バシャッ
闇咲『ナウマクサンマンダ・オン・アカラナータソワカ!不動明王火界咒!』 ゴウンッ!!!
???『キィィィィィィィィィィィヤァァァァァァーー……』
ナレーション【……】
鳴護「……」
佐天『……』
闇咲『――と、今のは全てドッキリだった訳だが』
鳴護・佐天・ナレーション・【『「嘘吐くなよ!!!」』】
……
ナレーション【――こうして、プロに密着取材は終わった。もう二度としねぇよコノヤロー】
鳴護「え、説明は!?何が当麻君に襲い掛かったのかとか、どうやって祓ったのかとかそういう補足説明はないのかな!?』
佐天『多分ウブメかカタラキウワ辺りじゃないかなぁ。赤ちゃんですしね』
ナレーション【最後に闇咲さんに質問です。あなたにとってプロとは一体何ですか?】
闇咲『特に考えたことはないな』
ナレーション【そうですかありがとうございましたもう帰る絶対に帰るもうやんないよこんな仕事絶対にね!】
鳴護「ヤサグレ加減がハンパ無いよね。でも気持ちはよっっっっっっっっっっっっっっっっっく分かるよ!あたしが当麻君の立場だったら、その場でアヴェマリア絶唱するもん!」
佐天『ARISAさんが本気で歌えばアンデッドに特効入りそうですよねぇ。いいなー』
ナレーション【べ、別に呼ばれてもノコノコ来たりなんかしないんだからねっ!】
鳴護「あれ意外に余裕ある?もしかして全部ヤオだった?」
佐天『芸人としての生き様を見た気がします、無駄に――さて!という訳で二種類のプロフェッショナルをご紹介しましたが、ご感想をどうぞ!まとめのコメントプリーズ!』
鳴護「あっはい、人選が最悪でしたよね。片やチンピラ、もう片や【閲覧注意】案件で」
佐天『そうですね!まぁそんな感じで多分新番組はないと思いますが、それでは次回の放送でお目にかかりたいと思います!レッツ・プロフェー!』
鳴護「さよーならー」
……
上条「あ、お疲れ」
鳴護「当麻君さっきも聞いたけど大丈夫?実は死んでて魂だけ戻って来てないかな?」
上条「収録から何日も経ってるし、その間シスターさんと寝食を共にしていたからきっと大丈夫だ。シスター能力がどうかなって言われたら否定しできないが」
上条「帰ったらスッゴイ怒られたよ!なぁ知ってるかアリサ?インデックスが本気で怒ると『かぶーぎゃー』じゃなくて、『うん、そういうのはいいから正座』って言うんだぜ?」
鳴護「苦労したのはお疲れさまだけど、当麻君の人選も良くはなかったよね?深淵を覗き込んだら逆に覗き返されるって分かってたよね?」
上条「まさかあそこまでガチだとは思わなかったよ!そして最後まで正体教えてくれなかったし、何をしたかのも分からないままだしさ!」
上条「つーか闇咲も天草式もあんな日常送ってんのか!?そりゃ病むわ!得体の知れない何かと戦ってるんだったらな!」
鳴護「ま、まぁまぁ!無事に帰還したんだから、ねっ?インデックスちゃんがオッケー出してるんだったら、きっと問題ないよ!」
上条「……なぁアリサ。俺思ったんだよ、つーか今回の放送で分かっちまったんだ」
鳴護「な、なにが?」
上条「ガチな世界よりも絹旗監督のツッコミどころだらけの再現映画の方がずっと優しいってことに……!」
鳴護「気をしっかりと当麻君!比較対象が悪すぎるよ!」
-終-
(※オボ憑き。死霊の方)