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Clock(trial)

上条「――異世界を救え!希望の戦士『キュア・ラッキー』……ッ!!!」

 
――オービット・ポータル芸能事務所

上条(動画)『――イエエェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェぇぇぇっ!シャーーーーーーーーーーーーーーーイィンッ!!!』

上条(動画)『はい、っていう訳で今日も始まりました「とあるちゃんねる!」、サンシャイン上条です!』

上条(動画)『いやー、今年も色々ありましたね!何かこう大変だったよな!』

上条(動画)『人気投票ももう少しで一位だったのに惜しかったのに残念だったぜ!でもみんなの応援はありがたかった!』

上条(動画)『みんなもおっぱい大きい人と平たい胸族のフィギュア、ドンドン買ってくれよな!』

上条(動画)『俺のフィギュアは……まぁ、いらないかな!みんなJC大好きだってことだ!はは、あははははははははははははははははっ!!!』

上条(動画)『……』

上条(動画)『……一発芸しまーす。えーっと――』

上条(動画)『――「私は姫神秋沙。一発芸の神様」……』

上条(動画)『えー、今のはですね。クラスメイトにネタを強要されたときに現れた神様です』

上条(動画)『……』

上条(動画)『――続きましてショートコント・「とある魔術の金髪聖女」』

上条(動画)『「今日も不幸だ――あれ?ベランダに何か引っかかってる?」』

上条(動画・裏声)『「あらあらご主人様でございますかー?挨拶が遅れたのでございますが、わたくし現在一身上の都合によりこのままご挨拶を」』

上条(動画)『「――ノーチェンジだ……ッ!!!」』 クワッ

上条(動画)『……』

上条(動画)『えー、続きましてショートコント・「とある科学の金髪聖女」』

上条(動画)『「――おいお前ら何やってんだ!その人から手を離せ!」』

上条(動画・裏声)『「あぁいえいえご心配には及ばないのでございますよ。なんでもとってもいいところに連れて行って頂けると」』

上条(動画)『「――ノーチェンジだ……ッ!!!」』 クワワッ

上条(動画)『……』

上条(動画)『……あーっと……そうだ!みんな異世界行きたいか?俺は行きたい、今の内から練習しといた――』

プツッ

鳴護「……」

マネージャー「あ、すいませんARISAさん。この後に『告知があります』って小ネタが入るんですが」

鳴護「もうこれ以上当麻君を追い込むのやめにしません?」

マネージャー「率直なご感想を」

鳴護「悲しくないのに涙が出そうです。情緒不安定ですかね」

マネージャー「年の瀬ですからね。多少感傷的になるのは仕方がないのかもしれません」

鳴護「あと当麻君が人気投票を脳内改竄してるってぽいのが気になります。SASUK○制覇者でも越えられないような高い高い壁がありましたよね?しかも複数枚?」

マネージャー「嘘は仰っていませんよ?『もう少しで一位』ですので、暫定何位だったとか”少し”の定義で変りますから」

鳴護「大人になるのと嘘が上手くなるのは別次元の話だと思います」

マネージャー「世の中には素敵な嘘もありますけどね。ピノキ○が『おじいさんなんて大嫌いだ!』とか?」

鳴護「なんでピノキ○さんがツンデレ風になるんですか?そしてその台詞でお鼻が伸びなかったら大変なことになりますよね?」

鳴護「あと、こう、ショートコントの中身がインデックスちゃんと美琴ちゃんに大きな禍根を残しそうな……」

マネージャー「『だったら良かったのになぁ』というただの願望ですからね。現実にもしもの話はありませんし」

鳴護「それであの、唐突に同じ事務所の後輩(自称)の動画を見せられたんですが、あたしに何をのぞむんでしょうか……?」

マネージャー「えーっと順を追ってご説明いたしますとですね、シャットアウラ会長はサンシャインさんの雇用に反対だったんですが、最近では前向きになられまして」

鳴護「あ、良かったじゃないですか。仲悪いですしあの二人」

マネージャー「曰く、『今稼いでいるのではなく、未来の可能性を食い潰すんだったら、これはこれであり』と」

鳴護「『前向き』の意味とは。そして動画配信者の方は大体そうですよね」 

マネージャー「というわけで上条さんは昨日付けで事務所から退去となりました。今年の汚れは今年の内にですよね」

鳴護「あぁやっと出ていったんですか面白家族が。インデックスちゃんだけだったら、まぁ許容範囲だったんですけども……」

マネージャー「女子社員が餌づけにかかるのはさておき、会長がことごとくラッキースケベの毒牙に遭うのはどうかと……」

鳴護「最近は『はいはいスケベスケベ』みたいにこなれてましたよね。逆境に晒され続けると感情が磨耗するって分かりました」

マネージャー「まぁ愉快なファミリーが出ていったのはいいとしまして、問題は置き土産がですね」

鳴護「置き土産……?『サンシャイン上条参上!』みたいに落書きしてったんですか?」

マネージャー「ならまだ法的手段に出られるので良かったのですが……こちらのカードを」

鳴護「怪盗がよく送るカードっぽいですけど」

マネージャー「香りからして100円ぐらいのチョコに付属していたクリスマスカードかと」

鳴護「クリスマス、と聞いて一瞬だけ期待してしまう自分がいるんですが」

マネージャー「……だったらまだ良かったのですが」 スッ

上条(カード)【実家に帰らせてもらいます】

鳴護「うん、知ってたよ。どうせそんなこったろうとは思ってたけども!ただの報告じゃん!せめてありがとうぐらいは言ってほしいかな!」

マネージャー「で、こちらが二枚目です」 スッ

鳴護「なんで?一枚目に書ききれなかったの?」

上条【汝の後ろに……!】

鳴護「えっ?」 クルッ

マネージャー「いや勿論いませんが」

鳴護「当麻君が段々とレッサーちゃん化してないかな?ネタに走ってるよね?」

マネージャー「『ツッコミを任せられる人間が一人増えたから、ボケに専念できる』そうで」

鳴護「ますますあたしのノドの負担が増えるよ!?歌を歌うためであってツッコミで枯らすために生まれてきたわけでは!」

マネージャー「UT○のオーディション……まぁサンシャインさんの置き土産はともかくとしまして、動画の続きをご覧ください」

鳴護「あたしのSAN値がガリガリ削られていくんですが、それは」

マネージャー「動画の終盤がかなり、こう厳しくてですね。見て頂いた方が分かるかと存じますが」

鳴護「はぁ、どうせまたムチャ振りで自分を追い込むんでしょうけど」 ピッ

UMAっぽいの(動画)『――大変ヅラトーマ!陽性の国がピンチヅラ!』

鳴護「想像よりも厳しいなコレ!?なに?ウチの事務所に小さいおっさん的なUMAが出てたんですか!?」

上条(動画)『出やがったな陽性妖精!何お前テッパンみたいに使ってんだよ!?誤字から生まれたネタのクセしやがって!』

UMAっぽいの(動画)『いやまぁある意味ではこっちもピンチヅラよ?アルゼンチンの凱旋パレード、あれ感染学的には超ヤベーと思うヅラ?』

上条(動画)『一生に一度ないレベルの慶事だから……まぁまぁ、気持ちは分からなくもないけども、ぐらいに留めてやれよ』

UMAっぽいの(動画)『まぁ何にせよフランスが勝たなくて良かったヅラね!これ以上ヘイトを買わないためにも!』

上条(動画)『あれお前ってレッサーに遠隔操作されてんだっけか?それともフランスさんが世界中で恨まれてるってこと?』

UMAっぽいの(動画)『公用語がフランス語の国はそこそこあるのに本国とは仲が悪いって、ね?ヅラ?そういうことヅラよ?』

UMAっぽいの(動画)『そもそも全世界から、そこまで行かなくてもEU圏内で好かれていればとっくの昔にフランス連合が結成されているヅラ』

上条(動画)『小さいおっさんが世界を語るなや」

UMAっぽいの(動画)『まぁまぁフランスなんてどうでもいいヅラ!そんなことよりも妖精の国がビッ×ヅラよ!』

上条(動画)『ビッ×とピンチって間違える人いるか?最初の音からして「あ、これ違うな」って気づくよな?』

UMAっぽいの(動画)『キュアラッキーの力が必要ヅラ!どうか妖精の国を助けてほしいヅラ!』

上条(動画)『ピンチって言われてもなぁ……正直何がどうなのかも分からんし、そもそも俺一人がノコノコ行ってどうにかなるもんでもねぇだろ』

UMAっぽいの(動画)『トーマにしか出来ないヅラ!ガリア神聖モテモテ帝国の魔の手はなんだったらこちらにも伸びてくるヅラよ!』

上条(動画)『……ガリア?へ−、ガリア?ふーん?』

上条(動画)『……ちなみに、これはあくまでも俺のちょっとした好奇心であって、決してこう心当たりがあるとかそういうんじゃないんだが』

UMAっぽいの(動画)『思いっきり不審ヅラ』

上条(動画)『お前らの国がピンチになったのって、一体何があったん?』

UMAっぽいの(動画)『人界から勇者が召喚されたヅラ!』

上条(動画)『へー、勇者?あーそう?ちなみにどんな感じの人?いや参考までに聞きたいかなって』

UMAっぽいの(動画)『確認されている勇者は二人ヅラ。金髪のチンピラっぽいのとラクロス服を着て――』

上条(動画)『――よっしゃ任せろ俺に!全く全然これっぽっちもそいつらに心当たりはねぇが全員そげぶして元の世界へ追い返してやるぜ!!!』

UMAっぽいの(動画)『なんだったらヌッ殺してもいいヅラけど……』

上条(動画)『さぁ行こうか異世界へ!アホどもを正気づかせて強制送還だ……ッ!』 ピッ

鳴護「……ガリアというのは?」

マネージャー「西ヨーロッパでケルト人が定住した地域を指します。カエサルの書いたガリア戦記が有名ですね」

鳴護「フランス、もしかして版図に入ってます?」

マネージャー「ほぼ中心地ですね……で、どうしましょう?このあとサンシャインさんは光に包まれて消えましたが」

鳴護「この動画は見なかった、それで良くないですか?」

マネージャー「――それで来週のお仕事なんですが、ニューイヤーライブのリハとラジオですね」

鳴護「あー、日曜がオフじゃないんですよね今年は」

マネージャー「はい、ライブの後はそのままネットで生配信という形に。こればっかりは事前収録という形にはできませんので」

鳴護「ファンの子たちの応援はありがたいんですけど……普通に寝ても良くないですか?『新年おめでとう!』ってテンション上げても……」

マネージャー「むしろファンサービスだと割り切って頂ければ。『彼氏いませんから!遊んでいませんよ!』っていうアピールですし」

鳴護「そこまで世知辛くないです、ていうかウチの子たちはみんないいこですからねっ!?」

マネージャー「それは事務所が『あ、こいつヤベぇな』っていう方からのお便りは検閲してますからね」

鳴護「それあたしに言ったら検閲の意味がないような……」

マネージャー「なんでしたら見ます?『模様かな』ってぐらいの小さな手書きのお葉書とか頂いてますし」

鳴護「呪いの紋様ですよねそれ」



――妖精の国?

上条「……」

上条「――あれ?小さいおっさんもといハマッヅラどこいった?おーい、ミニ浜面ー?」

上条「まいったな。森の中に取り残されても何が何だか……あぁまぁ浜面とレッサーを殴るのは確定だが。ん?誰かいる?」 ガサガサ

上条「すいませーん、道に迷ったんですがここどこか分かりますかー?」

オーク『……』

上条「――妖精の国にオーク!?世界観もうちっと安定させろや!薄い本じゃねぇんだぞ!?」

オーク『ブヒヒー、ブヒヒヒ−、ブヒヒッヒッヒー』

上条「前にもなんかこんなんあったような……あぁ悪い。俺日本語しか話せなくて、なんて言ってのか」

オーク『「恋のマイア○」のサビパートブヒ』

上条「なんで急に!?いやなんか聞き覚えはあったんだけどこの場面で歌う意味ねぇだろ!?」

オーク『金かけてステマした挙げ句、商標登録で大いに炎上しまくったブヒな』

上条「だからなんで知ってんの?あと忘れてやれよ、エイベック○にとっては世知辛い思い出なんだから」

オーク『お前もしかして異世界勇者ブヒか?ハマッヅラの言ってた?』

上条「あぁ多分俺の事だ」

オーク『童×の?』

上条「じゃあ違うわ。仮にそうであってもそこまで失礼な個人情報流されたらこのまま帰るわ」

オーク『頼むブヒニンゲン!ブヒ達を救ってほしいブヒ!』

上条「待て待て落ち着け!俺もこっち呼ばれたばっかで状況がよく分かってないんだ!」

オーク『どっかから来たアホが異世界の異世界の概念持ち込んでヤンチャしまくってるブヒ』

上条「じゃあケジメ案件だな!不本意ながら多分そいつら知り合いだし!」

オーク『と、とにかくブヒ達の村まで来てほしいブヒ!話はそこでするブヒ!』

上条「分かった――で、歩きながら聞きたいんだが」

オーク『なにブヒ?なんでも聞いてほしいブヒ?』

上条「お前……まさかとは思うが、ここ一年ぐらい俺に絡んできたオークじゃないよな?個体識別できないから分かんねぇけどよ」

オーク『いや他人ブヒ。トーマのことなんて全然知らないブヒね?』

上条「正直に言ってくれてありがとう。あとお前らオークって脳って搭載してんの?ちょっとお洒落なメロンパン入れとかそういうの?」



――オークの集落

上条「……なんだよこれ。家が焼かれて……!ひっでぇなクソ!これは連中の仕業かよ!?」

オーク『いいブヒよ。建物がなくても人さえ残っていればいくらでもやり直しができるブヒ』

上条「だな。つーか何があったんだ?」

オーク『先週、ブヒの仲間が捕獲した魔女っ子を助けに来た正規軍に焼かれたブヒ』

上条「じゃあ正当な扱いだな!むしろ建物だけ焼いた程度で済ませた相手が偉いわ!?」

オーク『ヒュームってアホブヒ。「子供のために!」とか「他に生きる道がなかった!」とか言うと動きが鈍って仕留めやすくなるブヒ』

上条「滅べやネタ種族。レッサーたちと合流して殺ってやっかなマジで!」

オーク『まぁ待つブヒ。トーマの気持ちも分からないでもないブヒ、ブヒ達オークは闇側の種族ブヒな』

オーク『しかし光と闇、その両方のバランスが均衡していることで世界は成り立っているブヒ。ヒュームだけ栄えても世界はおかしくなるブヒ』

上条「さっきまでお前『ニンゲン』って言ってただろ」

オーク『そこはまぁ演出だと思ってほしいブヒ。ともあれ世界がおかしくなってるのは、外から来た勇者のせいブヒ』

上条「てか何やらかしたんだあいつら?」

オーク『これ、分かるブヒか?』

上条「こ、これはっ!?」

オーク『ブヒ特選の黒エルフ(ロ×)が出ている同人ゲームブヒ』
(※『アリア戦○』)

上条「だと思ったわ!?『どうせすんなり本題には行かないだろうな』って思ってたけどやっぱりだわ!」

オーク『オークジョークブヒ。一回ボケとけっておとーちゃんがいつも言ってるブヒ』

上条「マジかよオーク……!種族全体がどうかしてるんだな……!」

オーク『んでまぁ見てほしいのはこれブヒ。トーマはこれが何か知ってるブヒ?』

上条「クロスボウだな。どっかのお姫様が味方に構えてた」

オーク『一般的ではないブヒ?』

上条「俺の国ではあんまり。この上位武器が席巻してるから、趣味とか規制回避で持ってる人がたまにいる、ぐらいかな」

オーク『これをニンゲンが使い始めてきたブヒ。パワーバランスが崩れるブヒ』

上条「俺が言うのもなんなんだけど、お前ら滅びた方がいいんじゃねぇのか?」

オーク『オークの集落でその発言できるトーマは勇者だと思うブヒが……そう、話は単純ではないブヒ』

上条「っていうと?」

オーク『ブヒ達は”まだ”温厚な種族ブヒよ?』

上条「嘘だろお前。潜在的なエ×ハンターは何をどうしても敵同士じゃねえか」

オーク『それは間違いないブヒが、ブヒ達オークはニンゲンの滅亡とかは考えてないブヒ。何故かと言われたらニンゲンが滅びたらブヒ達も滅ぶからブヒ』

上条「あー……どういう設定なのか分からんけど、オスしかいない種族なのか」

オーク『だから女子供は殺さないブヒし、必要以上に手にかけたりもしないブヒ』

上条「道徳観が俺らと大分違うが……理解は出来なくもない。共感は一切ねぇが」

オーク『しかしニンゲンはオークを敵だと割り切って皆殺しにしてくるブヒ。それが女子供であろうともブヒし、ブヒ達が攫ったニンゲンも「楽にしてやる……!」とか訳の分からない理屈でブヒ』

上条「そこら辺はどこまでいっても平行線だと思う。価値観も倫理観も違いすぎる」

オーク『それはブヒ達も分かってるブヒし、理解したところでどうしようもないのは分かってるブヒが――ここで登場したのがこの武器ブヒ』

上条「なんでだよ。クロスボウは強いっちゃ強いだろうが、魔法やモンスターのいる世界のパワーゲームだと誤差レベルじゃないのか?」

オーク『まぁそうブヒな。平均的なオークであれば、キンタ×に直撃しない限りはまず死なないブヒ』

上条「例えが悪すぎる。つーかオークじゃなくてもキンタ×撃ち抜かれたらドラゴンだって死ぬわ!俺ドラゴンになった時ついてなかったけども!」
                     
オーク『ただこの武器が開発されるとそうも行かなくなるブヒ。子供や老人も取り敢えず殺しておけ、っていう判断が増えるブヒな』

上条「クロスボウとの関連性が……?」

オーク『この武器は力の弱いニンゲンも扱えるブヒし、ブヒ達にとっても数が揃えばそこそこの脅威になるブヒ』

オーク『よって「将来の仲間が殺されるのであれば今の内に……」っていうアホどもの声が通るようになるブヒ』

オーク『更に今度は「オークの攻撃性が高くなった!なんとしても皆殺しにしないと!」っちゅー声が高まって、血で血を洗う泥沼になるブヒよ』

上条「そっか……便利な兵器を持ち込んだらそういう話に……!」

オーク『もう一度言うブヒがブヒ達オークは”まだ”温厚な種族ブヒな。これがニンゲンをエサとしか見てない種族はどう思うブヒ?』

上条「『なんかちょっと危なくなった?』」

オーク『「だからこれ以上危険になる前に……」ブヒな』

上条「嘘だろ!?そんな殺伐とした世界観なのかよココ!?」

オーク『あー、例えるんだったら……家の庭に草が生えてるブヒ。そのまま食べると少し甘くて美味しいブヒし、時間を置くと再生していくらでも食べられるブヒ。ネギの先っちょ的な』

上条「もっと他に例えようなかったかな?」

オーク『でもある日、その草の葉っぱがトゲトゲしくなって手を切ったブヒ。なんだったら毒っぽい味も混じるようになったブヒ――で、トーマはその草を放置するブヒ?』

上条「引っこ抜いて捨てるわ……おいもしかしてヤッベェのか?」

オーク『もしかしなくてもヤッベェブヒな。この武器以上の武器ができたらもっとヤバイブヒ、竜とか上位存在に調子ぶっこいて突っ込んでいったら目も当てられないブヒ』

上条「あのアホども今頃火薬作ってんだろうな……!」

オーク『オークも上位存在からしたら「甘い草の隣に生えてくるベニテングダケ」的な扱いブヒ。一蓮托生ブヒ』

上条「だからもうちっと例えを努力しろ?まぁ合ってるは合ってっけどもだ!」

オーク『まぁ最終的にニンゲンが勝ち残ったとしても、次に武器を向けられるのは人間同士の抗争ブヒけど』

上条「もうそっちまでは面倒見きれんわ。あー、どうすっかな。まずはアホどもに接触して(※拳で)説得するっきゃねぇかなー」

オーク『間○、ブヒににグッドプランがあるブヒ』

上条「当麻な?二度とすんなよその地獄の間違い」

オーク『まずはトーマを奴隷商人に叩き売るブヒ』

上条「おい誰か!こいつの頭を叩き割れるぐらいの斧あったら貸してくれ!」

オーク『超アウェイなのにスッゲー提案するブヒな――だが生憎ブヒはこの集落で一目置かれた存在ブヒ!手を貸す同胞はいないブヒ!』

オークA『バトルアクス持てるか?ヒュームにはちっと重いぜ?』

オークB『体格的にハンドアクスかスクラマサクスの方が合ってそうだな!おい誰か持って来い!』

オークC『いやダメだ!出来る限り長く苦しめたい!ウォーハンマーで削るのがベストだろう!?』

オーク『――見たブヒか!?これが我らの無双の友情ブヒよっ!?』

上条「芸風がレッサーか。あとお前だけがブヒブヒ言ってる理由について」

オーク『細けぇことはいいブヒ!それよりもプランの続きブヒ!』

上条「てか他のオークが割かしまとも(※除く性癖)だったのは割かし救いだが。そんで俺を叩き売った後にどうすんだよ?」

オーク『まずそのお金を元手に投資をするブヒ。年末にある「アリーマー記念」レースで一発当てるブヒ』

上条「レッドアリーマ○さんがダービーすんのか。有○記念をパロったんだろうが、絶妙に語感悪くないな」

オーク『で、そこで一発当てたら次はそのお金を持って夜の町へ繰り出すブヒ』

上条「……夜の?」

オーク『そこでお酒をしこたま飲んで豪遊するブヒ。きっと楽しいブヒ』

上条「……今の話のどこがグッドプラン?」

オーク『世界がメチャクチャになるんだったら、その前に遊んどけみたいなブヒ?』

上条「なぁ、お前が標準的なオークなの?だったらオークも近々滅亡すると思うんだ」

オーク『んじゃセカンドプランで行くブヒ?』

上条「もうちょっと具体的なのがいいな」

オーク『作戦名――「みんながんばれ」』

上条「セカンドプランが自由行動!?あれ言われた方も混乱するだろうな!『魔王と戦ってんのにもっと具体的に言えや!』って!」



――ガリア神聖モテモテ帝国(仮)首都

上条「ここがガリア神聖モテモテ帝国――って恥ずかしいわ!もっといくらなんでもネタに走らない命名あっただろ!?」

上条「こんな名前つけんのってレッサーかながいけ○先生ぐらい――ハッ!?っていうことはまさか!?」

オーク『ここは転生したなが○先生が作った国家ブヒか……ッ!!!?』

上条「生きてるわ、超ご存命だわなが○先生。ただちょっと体調が悪いっぽいだけで」

オーク『という訳で、元反乱軍・現ガリア神聖モテモテ帝国の首都にまで来てみたブヒ。召喚勇者がいるとすればここか前線のどっちかブヒ』

上条「てか道中考えてたんだが、結構住んでる人らの生活って悪くなかったよな?景気もいいし、治安もそこそこ良かった」

オーク『新兵器開発と新設軍のお陰でニンゲンに取って邪魔者は排除されているブヒ。主にブヒ達のような敵性亜人とブヒが』

上条「じゃあなんでお前が首都まで入って来られんだよ」

オーク『ブヒはオークっぽい人であって人っぽいオークではないブヒ!……っていう体ブヒな!』

上条「超ガバいじゃねぇかこの国」

オーク『実はここにもオークが潜んでいるブヒよ。ほら、あっちの通りにも何体かいるブヒ』

上条「そんなにいんのかよ。なんか治安の悪そうな場所だが……?」

母親『――お願いです!お金は必ず返しますから!その子は、その子だけは!』

少女『助けてママ!?』

奴隷商人『やかましい!金を返せないんだったら売り飛ばすって契約だったろうが!』

母親『そんなっ!?返すのはいつでもいいよって言ってくれたじゃないですか!?』

奴隷商人『そんな一文契約書には書いてないだろうが!嘘つくんじゃない!』

上条「――ちょっと用事思い出したから行ってくるわ」

オーク『あー、待つブヒ。あれオークブヒな』

上条「誰が?全員人間にしか見えないぞ?」

オーク『いや違うブヒ。あそこの奴隷商のオッサンは「オーク・ナローマーチャント」ってオークの一種ブヒ』

上条「はー……よく化けてんなー」

オーク『バカみたいに性欲に忠実でヘイトを買いまくる性質を持つブヒ』

上条「……はい?」

貴族『――おい商人!娘はまだ手に入らないのか!?』

奴隷商人『おぉこれは貴族様!ただいま母親と交渉中でしてな、暫くお待ち下さいませ』

上条「――ごめん、野暮用思い出したから行ってくるわ」

オーク『だから待つブヒよ!あの貴族もオークブヒ!』

上条「嘘吐くなや!体型はともかくどっちも人間にしか見えねぇよ!」

オーク『ホントブヒよ!あれは「オーク・ナローノーブル」ってオークの一種ブヒ!』

オーク『その証拠にバカみたいに性欲が強くてヘイトを買いまくるブヒ!間違いないブヒ!』

上条「いやだから定義がおかしいわ!?それだとエ×くてゲスい汚っさんは大体オークになっちまうだろ!?」

オーク『え、そうブヒよ?』

???『――おい、その汚い手を離しやがれっ!!!』

奴隷商人『なんだぁ?若造が話しに入ってくるんじゃない!このお方をどなただと思っている!?』

貴族『そうだぞ貴様!魔法貴族に逆らったらどうなるか分かっているんだろうな!?』

???『……へー、逆らったらどうなるって言うんだ?』

貴族『決まっている!この国を動かしている勇者様に貴様は裁かれる!正義の元にな!』

???『ほーん?ソイツってどんなヤツよ?』

貴族『フッ、下賤の者にも教えてやろう!ガリア神聖モテモテ帝国の勇者様はくすんだ金髪に変な色のジャージ!』

貴族『そしてまだ10代なのにオッサンのようなチンピラくさい風貌、の……?』

浜面(???)『なぁそれちっと言い過ぎじゃね?てか俺そんな酷い認識されてんのか?』

貴族『ゆ、勇者ハマヅラ、だと……ッ!?』

浜面『お前たちの蛮行は目に余る!兵士、連れて行け!』

貴族『く、くそおっ!?』

母親『あ、ありがとうございました勇者様!』

少女『ありがとうございましたっ!』

浜面『話は聞いたよ。なんか大変なんだってな?』

母親『お恥ずかしい話ですが、前の主人が戦争で亡くなってしまいまして……この子一人を育てるのが精一杯で』

浜面『じゃあどうだろう?俺の屋敷で働いてみては?』

母親『え?いえご心配には及びませんわ!勇者様のお手をわずらせる訳には!』

浜面『あぁいいんだいいんだ!どうせ俺の金じゃねぇから、なっ?』

母親『いえでも!』

兵士『――あぁ!?』

母親『……分かりました。末永くお仕え致しますわ……』

浜面『じゃあ帰ろうか!』

オーク『ね、ブヒ?表面上は上手く落ち着いたように見えるブヒね?』

上条「……あれもオークだな。『オーク・ナローヒーロー』とかって言うんだろ?」

上条「前二種類のオークよりも狡猾で、強い性欲と承認欲求を満たすため、大きなハーレムを構築してトロフィー代わりに異性を集めるって習性があるヤツだ」

オーク『トーマよく知ってたブヒね!?オークの中でも一番タチが悪い種族ブヒ!』

上条「つーかあのアホが調子ぶっこいて深く物事を考えずこの世界を混沌に……!まぁオークだったら仕方がないか!」

オーク『まぁ、何のかんの言いつつ全員生粋のニンゲンブヒよね』

上条「まぁそうだけどもな!人間の敵は結局同じ人間ってことだけどもだ!」

オーク『高度に進化した人類はオークと見分けがつかないブヒ』

上条「進化してっかな?何かあったら即暴力か金の力か権力(※ただしヒロインの)に訴える人類って、進化しているって言えるかな?」

オーク『人はオークから生まれ、またオークへと還っていくブヒ……!』

上条「どういう意味?何となく微妙に意味が通じなくもない」

オーク『異世界でやってることは、大体産業革命以降にコーカソイドが銃持って出張先でやってきたのと同じブヒね?』

上条「だからなんでお前は時々真相突くの?オークってそんな種族だっけ?」

上条「てゆうか今の勇者、モロ知り合いだっ――」

上条「……」

上条「――悪い!俺に出来ることはここまでのようだな!折角召喚してもらったのに!」

オーク『ナチュラルにこの国を見捨てようとしてるブヒ?』

上条「妖精の国……うん、なんかファンタジー要素ねぇし、そもそも本当にここがその国なのかって今更ながらに不信感がな……」

上条「てか革命起きてからの方がイキイキとしてね?俺の気のせいか?」

オーク『前は完全帝政だったからブヒね。比べればマシブヒ』

上条「……魔法の国なのにか?」

オーク『だからブヒ。政治・経済・外交・軍事、特に外交と軍事面では魔力の強い人間しか採用されないブヒし』

オーク『あとニンゲンの、あー……「魔法の国のプリンセス」みたいな話は伝わってないブヒ?』

上条「昭和の魔女っ子アニメだな。なんでか日本に留学してくるんだよ」

オーク『あの一族が永遠に統治する絶対王政ブヒ。血が濃くなりすぎると異世界のニンゲンを攫って一族に加えるブヒ』

上条「……ちなみに、魔力のない人や一般人は?」

オーク『奴隷か辺境に送られるブヒよ?』

上条「滅べや異世界。あぁいや一回革命起こしたんだから浜面はむしろよくやったのか!ナイスファイッ!」

オーク『まぁ今が絶頂期で、この後は仲間同士の抗争もしくは勇者様が新天地()へと旅立つターンになるブヒ。ドラク○3のエンディング後とかブヒ』

上条「もう一人はともかく浜面危機的状況か?」

オーク『旧妖精王国側残党の動静次第ブヒ。走狗なんとかブヒ』

上条「だからお前ホントになんなん?中身実は日本人か?『オーク・ハラキリー』とかいう種族?」

オーク『シンクロニシティブヒな。異世界の言語や風習、時には名前や地名やモンスター名、あとは人権や世界観等々が全然関係無い世界で定着してるとか、そういうことブヒ』

上条「てかそもそも妖精の国なのにトールキ○先生の悪ふざけで生まれたお前らがいるっていうのも……」

オーク『オーク差別ブヒ!?ブヒ達にだって人権はきっとあるブヒ!』

上条「ないんじゃないのか?あとさっきはちょっと同情的になったけど兵器で駆逐されても仕方がなくね?お前らは人間とは共存できないタイプの種族だからだよ」

オーク『そういう傲慢な考えもニンゲンが名誉オーク人として認定される一員だと思うブヒ』

上条「最悪の蔑称だよな。名誉イギリス人ぐらいの」

オーク『何言ってんですか!?爵位をもらうというのは階級社会では最大の名誉だって言うのに!それがアホボンの元であっても!』

上条「うん?あれ今何かが……」

オーク『まぁ細かいことはいいブヒ!この世界を救うブヒ!』

上条「浜面は……ホイホイ喚ばれてハニトラ喰らって辞書代わりに使われてっけど、命の危険性はないっぽいから放置、うん放置でいいな」

オーク『大丈夫ブヒか?陽性の妖精が火を吹くかもブヒよ?』

上条「あ、陽性ってそういう意味だったの!?都市伝説の『ミートゥー(はぁと)』に浜面がされる危険性が!?」         

オーク『まぁその言っちゃアレだけど男子校・女子校ってのは、ブヒね?分かるブヒよね?』

上条「ちょっと何言ってるのか分からないわー。親御さん的に悪い虫がつかないようにって配慮してるとか検討もつかないわー」

上条「とにかく勇者HAMADURA伝説は面白いから放っぽっとくとしてだ。問題はイギリスが生んだ悪魔の方なんだよな……」

オーク『知り合いブヒ?』

上条「違うよ?多分全然知らない人なんだけど……あーガリア帝国っつったか?」

オーク『ガリア神聖モテモテ帝国ブヒ』

上条「中部分は要らんわ。問題なのはガリアって確か、昔のフランス辺りの地名だった筈だが……」

上条「レッサーの性格上、フランスを扱き下ろすことはしても持ち上げることは絶対にない。それは絶対にだ!」

オーク『そう強く強く言い切られると、その子の人間性に疑問が出てくるブヒ』

上条「いやだって異世界来て命名っつったら『お前それ事情知ってるヤツにはバレんだろ』的なテンプレあるよな?」

オーク『まぁそういうとこはあるブヒね。こう名前入力式のRPGでついついヒロインに好きな子の名前をつけて、そのデータごと友達に貸したら一日で広まった的なブヒ』

上条「なんて悲しい黒歴史……!結構泣いてそうな人いそう!」

オーク『今の時代では考えられない惨事ブヒね』

上条「そうだなぁ。今じゃストリーミングで認証してたりすっから、中々ゲームの貸し借り自体が成立しな――」

上条「……」

上条「――そうだ、それだよ!好きな子の名前つけるヤツの反対だ!」

オーク『嫌いなヤツの名前をつけたブヒか?矛盾してるブヒ?』

上条「あー、そうだな。最近この国で評判悪かったことって何かなかった!?」

オーク『そうブヒね……グミエ傭兵団ってのが最悪だったブヒ』

上条「グミエ?なんで傭兵が?」

オーク『妖精の国と戦うのにはなんだかんだで兵士が足りなかったブヒ。だからブヒたちオークを雇ったブヒな』

上条「あぁ……だからお前一応亜人種なのに堂々と入国できるわけか。オークっぽい人類かと思ってた」

オーク『ブヒ達は頑張ったブヒよ?正規兵の何倍もニンゲンを倒したブヒ』

上条「だったらもうちょっと好かれていそうなモンだが」

オーク『え、超評判悪かったブヒよ?』

上条「だから何やったよお前ら」

オーク『行く先々で殺しまくって×しまくっただけブヒが?』

上条「本能に忠実で良かったな!?せめて雇われてる最中には抑えろやもっと!」

オーク『途中からガリアも奴隷にしたエルフを随行させたブヒ。しかし被害は全然収まらなかったブヒな』

上条「……それ、もしかして俺たちの世界にもある話か?」

オーク『あるブヒあるブヒ。フランス黒歴史・第二次世界大戦編でベスト3に入る逸話ブヒ』

上条「あれ……なんでお前が」

オーク『現実のグミエ兵は主にモロッコ人で結成された屈強な兵士ブヒ。まぁカエル野郎に比べれば大抵が上ブヒが、少なくとも優れた兵士だったのは間違いないブヒ』

上条「……グルガ兵だっけ?聞いたことねぇけど」

オーク『優秀すぎたブヒ。イタリア戦線に投入されたグミエがなんちゅーか字面に起こせないぐらいの戦争犯罪、特に非戦闘員の殺害と性犯罪をしまくったブヒ。女だけじゃなく子供や男も含めて』
(※実話です。被害に遭ったのはイタリア人パルチザンも含む)

上条「マジで?」

オーク『マジブヒ。人口3,000人弱の村で800人が被害に遭ったって報告もあるブヒ』
(※実話です)

上条「何やってんだよフランス!?そんなん放置してやがってんのか!?」

オーク『いやいや、そこは流石のフランス野郎ブヒよ?きちんとした対処を取ったブヒ――』

オーク『――自分の植民地のベルベル人を「非戦闘従事者」と称して強制的に連れてきて、ブヒね?分かるブヒな?』
(※実話です)

オーク『なお余談ブヒがベルベル人はムスリムブヒが殆どブヒな……ッ!!!』
(※つまり貞淑でなくなった場合、親兄弟からイスラム法で裁かれる可能性が高い)

上条「なぁフランスって大丈夫か?その内、周囲全部から焼かれね?」

オーク『付け加えるならば、その後に起きたインドシナ戦争で最前線に立たされてグミエ兵は死にまくったブヒ』
(※よってフランスはイタリアからも、そしてベルベル人、更には当事者のモロッコ人からも蛇蝎のように忌み嫌われています)

上条「救いが!救いがねぇんだよお前ら!?」

オーク『”そういう”話は基本的に表には出て来ないブヒ。ヘドロのようにいつまでも鬱積して、時々マグマのように爆発するブヒね』

オーク『フランス人の元サッカー選手ジダンが、ワールドカップで頭突きした事件があったブヒ。覚えてるブヒ?』

上条「生で見てたわ」

オーク『対戦相手はイタリアだったブヒ』

上条「へー……決勝戦だったよな」

オーク『んでジダン選手は元アルジェリア人で民族的にはベルベル人だったブヒなので……まぁ、何を言われたブヒかね?』

オーク『それこそ国代表になるほどメンタル強い選手をマジギレさせるような一言って、なんだと思うブヒ?』

オーク『まぁ”表面上は仲のいい隣国”ほど、裏ではドロォッとしたものがあるブヒ』

上条「聞きたくもなかったのに細かい説明までありがとう。とにかく、あのアホがガリアを名乗った理由が解明された!あのアホはこっちの世界でもフランス黒歴史を起こして、評判を下げるつもりだ!」

オーク『戦国モノのなろ○でたまにあるブヒな』

上条「つーかお前随分と詳しいんだな、レッサー?」

オーク『あぁいえそれほどでもないですとも!フランス黒歴史・第二次世界大戦編の中で言えばベスト3程度!この上を行くクズエピソードがですね!』

上条「……」

オーク『――って話を聞いたブヒ!うんきっと多分ブヒ!』

上条「『――チャンチャチャ、チャラチャッチャ、チャッー♪』」

オーク『そ、そのオープニング曲は……ッ!?』

上条「『――君のっ、涙っ、最後ーにすーるー訳はー♪』」

上条「『虹のっ、橋がっ、もうすーぐかーかーるからー♪』」

上条・オーク「『煌めくレインボー♪心のおーくのー♪カギを開ければ−、輝くのーさー♪』」

上条「――ハモリやがったなレッサー!」

レッサー(オーク)『――くっ!流石は我が終生のライバル!魔神英雄伝ワタ○無印のOP歌ってハモられせるとはね!』

上条「一応補足しておくが、あれ歌ってるのは女性姉妹デュオだからな!知らない人多いけども!」

レッサー『私、またやっちゃいましたくわぁ?』 (ドヤ顔で

上条「やかましいわ。ドヤ顔も何もお前今オークそのまんまなんだから、全部が凶相にしか見えねぇよ」

レッサー『いや私も鏡で見たときにびっくりしたんですけど、このボディって喜怒哀楽全てが種×けおじさんのニチャアァっとした笑顔なんですよね。それはそれでオイシイですが』

上条「てかお前なんでオークなんかになってんだよ?カフカと同じで心の汚さがアバターに反映されてんのか?」

レッサー『失敬な!?私の精神をもし具現化したのならば破嵐万○さん並に輝いてると愚考致しますが!』

上条「あの人はちょっとアレだろ。高潔すぎて自分を灼く人だけど、お前は誘蛾灯レベルだよ。キモい虫が次から次へと」

レッサー『あ、その虫がここに一人』

上条「頼まれたんだから仕方がねぇんだよ!余所の世界にご迷惑かけやがって!ほら帰るぞ!」

レッサー『くっくっくっく……!いいんですか上条さん――いえ!ここは敢えてキュアラッキーとお呼びしましょうかね!』

上条「な、なんでお前がその名前を……!?」

レッサー『ふっ、簡単な話でしょう?世界に選ばれて魔法少女になったのはあなただけではないです!そう、私もその一人ですな!』

上条「な、なんだってーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっー!?」

上条・レッサー「……」

上条「……いやいや、変身しろよ。待ってんだよ」

レッサー『その心根が遅いと言ってます!私の変身は既に終わらせていますからね!』

上条「……ん?なんでだよ、だってお前オークボディのまんまじゃんか」

レッサー『愛と勇気と性欲の戦士――キュア・オーク!ここに見参……ッ!!!』

上条「嘘だろ。キュアから一番遠い存在なのにか!?オークなんて本能以外はこれっつって特にないだろ!?」

レッサー『どうしましたキュア・ラッキー!あなたも変身して雌雄を決しようじゃあないですか!』

上条「あ、ごめん。俺は変身できる”体”でってずっと言われてるから、その、変身とかは、ちょっと……できない、かな?」

レッサー『何を情けないことを!その身に流れているプリキュ○の血は泣いていますよ!?』

上条「一ミリも流れてねぇよ。そしてプリキュ○さんってそんなシステムでもねぇ」

上条「……つーかいいからもう帰ろうぜ?もうすぐ新年だっつーのに何やってんだ俺ら」

レッサー『いえその、私も戻りたいところではあるんですが』

上条「が?」

レッサー『あの、変身はどうやって解除したらいいんでしょうか……?』

上条「お前そういうとこだぞ!?後先考えずに行動すっからだよ!?お前から女性要素取ったら残ったのってただのチンピラじゃねぇか!?」

レッサー『あぁでもこのまま元の世界に戻ってベイロープたちを分からせるのも悪くないですな!』

上条「やっぱり性根が肉体に反映されてるわ。戻ったら暇な魔神さんに土下座して頼んでやっから、なっ?大人しくしとけ?」

レッサー『人は誰しも心にオークを飼っているのですよ――そう、あなたにもね……ッ!!!』

上条「ただの人の業だよ。別名癖(へき)っても言い換えられるが」


-終-
(※出来がイマイチですが、まぁ今年も一年お付きあい頂き、真にありがとうございましたございました)

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