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Clock(trial)

鳴護「『アイドルが事故物件で生活してみた☆』……わーい、たのしーなー……」

 
――オービット・ポータル芸能事務所

マネージャー「――お疲れさまです」

鳴護「事務所は今度あたしから何を奪おうとするのでしょうか?」

マネージャー「おぉっといい感じに信頼度が低下していますね。流石に良心が痛みます」

鳴護「ないですよね?去年散々あたしのアイドル人生を縮めるような企画をやっておきながら、ここへ来てまだ解放されてないって時点で良心もってないですよね?」

マネージャー「そう、ですね。戦場では良い人間から退場するものですて……」

鳴護「かもしれませんけど、ここは学園都市ですからね?そしてもっとまともなお仕事をください!もうアイドルでもいいですから!音楽関係で無くても!」

マネージャー「今回はお時間がないので巻きで発表しますが、リモート企画です。題して『アイドルが事故物件で生活してみた☆』です」

鳴護「今までお世話になりました。多分二度とご一緒することはないと思いますが、どうかお元気で」

マネージャー「お待ちくださいARISAさん。まだタイトルだけで中身には触れてもいません」

鳴護「心霊系ですよね?てゆうか素人を騙してそっち系の物件に住まわせて、悪質なリアクションを楽しもうって企画ですよね?」

マネージャー「まぁ概ねそうなんですが、ご心配なく。事故物件ではありません」

鳴護「企画の主旨がヤラセ!?そこは守りましょうよ!あたしは絶対にしたくないですけど!」

マネージャー「いえ当社の大切なタレントさんをむざむざと事故物件に押しつけるような真似は、ねぇ?流石にねぇ?」

鳴護「似たようなことはしてましたよね?今年に入ってもコーポ・アステカの件といい、去年は去年で絹旗監督とヨゴレ仕事をどれだけさせられたか……!」

マネージャー「ですのでこう、せめて心理的なプレッシャーがないようにしているつもりですが……」

鳴護「まぁ……ヤラセの方がありがたいですけど。だったらその物件であたしはなにをすればいいんですか?出ないんですよね、そもそもが?」

マネージャー「はい。なので心霊と銘打ってARISAの私生活を切り売りしたいと思います」

鳴護「ヨゴレですよね?誰とは具体的に言いませんけど、セクシーなお仕事をされている女優さんが宣伝も兼ねてしているSNSと何が違うんですか?」

マネージャー「『これは幽霊、つまりフィクションですから』と予め設定しておけば、視聴者のハードルを下げる感じで」

鳴護「あたしへの負担はどうなんですか?ただ何もない物件で生活させられるあたしはっ!?」

マネージャー「まぁそこは、プロの方をですね」

鳴護「待ってくださいよこれ監督案件じゃないですか!?見えてる地雷原を歩かされてのと何が違うっていうんです!?」

マネージャー「いえい監督は今ダメ映画を見に行くかもしれないのでオフだそうです。モンスターをハンターするアレを」

鳴護「意外と評判良いらしいですけど」

マネージャー「もしくは子供化の食指を人妻にまで伸ばし、新境地を開拓しつつあるあれとか」

鳴護「一部だけですよね?ロ×の裾野はどこまでいっても不毛ですよね?」

レッサー「――ぐぎぎぎぎ……!ロ×だけに不毛とは中々上手い事を仰るじゃないですか……ッ!!!」

鳴護「待って!?あたしが何か下ネタ言ってスベったみたいに話を掘り下げないで!?」

マネージャー「あ、ご紹介しますね。今回の企画、『事故泊(じことま)』を持ち込まれたレッサー=チャンさんです」

レッサー「はじめましてARISAさん!あなたの大ファンです!握手してください!」

鳴護「白々しいよね?何回かお仕事もうやってるよね?」

レッサー「デビューシングルの『秘密の恋☆vs未必の故意☆』は新曲ですよね!」

鳴護「歌ってないです。そして電波ソングにありそうで歌詞にちょっと興味あるかな」

レッサー「『アーストラゼネーカ○輸出量ゼロー♪あーとーで拗れる人間関係ー♪』」

鳴護「やめてもらえるかな?初○さんのCMソングにイギリスの自虐ネタをぶっ込んでより酷くしないで?」
(※EU「イギリス工場のワクチン、1mlも海外に輸出した記録ねぇんだけど?」、イギリス「ちょっと何言ってるのか分らないですね」)

マネージャー「ではお互いに打ち解けたようですので、あとは現地でどうぞ」

鳴護「だから待ってくださいよ!?何一つ説明されないままお泊まりってどういうことですか!?」



――事故物件(嘘)のアパート

レッサー「『えーと名前は?おっぱい大きいですけど何カップ?』」

鳴護「動画の種類が違う。決して余所様の役割を否定はしないけど、あたしの担当じゃないですそれ」

レッサー「ではご唱和ください――『ふんぐるい・むぐるうなふ・くとぅるー・るるいえ・うがなぐる・ふたぐん』」

鳴護「何を呼ぶ気なのかな?それもし『来ちゃった☆』って万が一なっちゃったら、人型の染みが二つ残るだけになるよ?事故物件じゃなくて聖地になるよ?」

レッサー「……」

鳴護「って何か言いなよ!?テンドンは三回までって身構えてたのにタメを作るなんてどうなかのなっ!?」

レッサー「グーですよアリサさん、グー!もう完全にツッコミ一本で食べていけるじゃないですか!」

鳴護「強いられているけどね!本来ツッコミ担当の人り出番が減って!」

レッサー「ほら、あそこを見てくださいアリサさん。あそこの看板の隣に見える、瞬いている星がきっと上条さんなんですから……!」

鳴護「生きてるよ?ついさっきもSNSでやりとりしたし、レッサーちゃんが指してるのはただの電飾」

レッサー「私がケツモチするからにはもう勝利したも当然ですよ!まさに『勝利が約束されし栄光の剣(エクスカリバー)』です!」

鳴護「パーだよね?色々な意味でエクスカリ”パー”の方だよね?パチモンって意味でもクルクルパーって意味でも」

レッサー「ではまずこちらの用紙にサインをプリーズ。なぁにただの事務所移籍の手続きですから」

鳴護「正直事務所を脱退するか本気悩んではいるんだけど……ちなみにこの事務所さんに所属されているタレントさんの、昨日のお仕事はなにやってたんです?」

レッサー「世界各国のフランス大使館のツイッターを煽りに煽って煽りましたけど?」

鳴護「発想が、うんっ!なんていうか間違って意味でブレないよね!メンタル強い!」

レッサー「くっくっくっく……!今は情報戦の時代です、少しでもイメージが落ちれば私の勝ち……!」

鳴護「もっとこう他にすることはないのかな?SNSで戦ってる人と同レベル……!」

レッサー「一時期”竹書○ 反社”でサジェストが流行ったりしてましたっけ」

鳴護「あれはよく編集さんが通したよね。自社にダメージを与える漫画家さんって一体」

レッサー「それだったら”ジャン○の編集が担当の女性漫画家と不倫してたのを連載漫画でバラされて離婚”って伝説が」
(※実話。興味ある方は”幕張 瓶子吉久 不倫”でググってください。確か今の編集長)

鳴護「人間として最低だと思います」

レッサー「なので!業界人として酸いも甘いも噛みしめた私が憑いています!どうぞビリーブミー!」

鳴護「ホントにね。ついてるっていうかもう憑いているよね。除霊したいなー、闇咲さんか当麻君に依頼したらどうにかなるかなー」

レッサー「心配無用!では私が除霊致しますのでその邪悪な存在を私の前へ連れてきてくださいな!」

鳴護「レッサーちゃんホントに一休さ○ネタ好きだよね?本当にイギリス人なのか怪しいよね?」

鳴護「……まぁ、じゃあ一応信じてみることにするんだけど……具体的にあたしはどうすれば?」

レッサー「あぁ簡単ですよ、アリサさんは普通に事故物件に住む体で自撮りしてください」

鳴護「ごめん、そんな普通はない」

レッサー「適度に薄着と薄化粧をして、露出度を高くしながら寒い自撮りで一人語りしてください」

鳴護「言い方!?お仕事だからするけど別にしたくてしてる訳じゃないからね!?」

レッサー「そこへ私が何らかの心霊現象、もしくは怪奇現象を起こしますのでリアクションを頑張って!」

鳴護「事前には……教えてくれないんだよね」

レッサー「教えたらリアリティに欠けますからねぇ」

鳴護「そもそもリアルではない訳なんだけど」

レッサー「実話系怪談(創作)と同じですよ!あれは話の粗を見つけて笑いものにするまでがワンセットです!」

鳴護「うん、だから楽しみ方が邪悪」

レッサー「誰とは言いませんが、『平泉に出た心霊写真に当世具足が映ってた』的な」
(※当世具足=奥州藤原氏が皆殺しになったときよりも200年以上経って開発された鎧)

鳴護「いやそこはいいよ別に言わなくても!どうせ誰も分かんないんだし!」



――事故物件(嘘)アパート 玄関

鳴護「『――はいっ!みなさん、こーんにーちーはー!シンガーソングライターのARISAです!』」

鳴護「『今日はですね、皆さんが喜んでくれるヨゴレ仕事です!やったね!ドンドン抗議してね!あたしもするけど!』」

鳴護「『なんかこう事故物件にお泊まりするんだそうです!やー、怖いですねー!テンション下がるよねー!』」

謎の声『すいませんアリサさん。ヤケになるのは分かるんですけど、テンションが振り切って某オカルト好きJCと芸風がソックリです』

鳴護「『って言っている間にも謎の音声が!喋らないでねって約束したのにこんな感じです!』」

鳴護「『さて、ではではということで、えっとアパートの中をご紹介しましょう。こちらが築30年になる、名前は言えませんが某アパートです』」

鳴護「『なんでも数年前から”出る”という噂が流れ、今では住んでいるのがただお一人だそうで。それでも住んでる人いるんですね』」

鳴護「『今回はここの一室をお借りしまして、一週間ほど生活したいと思います。どうか皆さん応援してくださいね!あと事務所へのクレームよろしく!』」

鳴護「『では早速敷地の中へ入って――あれ?何か、聞こえる?』」

鳴護「『えーっと二階の方からですね。あ、音声配信だけのお友達に説明しますと、外に廊下があるタイプのアパートです。クラシカルタイプですね』」

鳴護「『音がするのは、この部屋――』」 ガチャッ

レッサー(※ヴァイキングヘルム装備)『ヤーホー!ヤァーーホーー!ヤーホー、ヤンララララララララララランッ!!!』

鳴護「『ごめんレッサーちゃん。悪ふざけをしているようにしか見えない。そして多分その通りなんだよね?そろそろそげぶしてもいいんだよね?』」

レッサー(※ヴァイキングヘルム装備)『待ってつかーさい!?ホワイ!?なんで!?ニンジャナンデ!?』

鳴護「『ニンジャスレイヤ○さんはいません。そしてもう真面目に弁解するつもりすらない、と』」

レッサー(※ヴァイキングヘルム装備)『ですから何かですか!?私は言われたとおりに至極真面目に心霊現象をエミュレートしているつもりですけど!』

鳴護「『うん、じゃあまず素敵なお帽子外そうか?防御力と一緒に攻撃力も上がるタイプの装備だよね、それ?』」

レッサー『いいでしょー?今回のために持ち込んだんですからね!感謝してくださいな!』

鳴護「『別にそれはどうでもいいし、別段興味もないんだけど……なんでヴァイキングなの?』」

レッサー『いいでしょういいでしょう!我が母国イングランドにはノルマンディー公ギヨームが制した歴史がありまして!』

レッサー『なので時々ヴァイキングの遺跡が出てくると共に!幽霊も、ねっ?ほらっ?分かりますよねっ?』

鳴護「『へー、そうなんだ?そこまではまぁ理解はするけど、でも何をどうすれば全力で歌う人が出てくるの?妖怪?』」

レッサー『失敬な!?クラシカルタイプとはいえ立派な我が国のゴーストですよ!』」

レッサー『夜な夜な遺跡や洞窟に現れては大昔のヴァイキングの歌を歌って騒ぐ!鎧の音もするもんだからウルセーのなんのって有名なんですから!』
(※あっちの幽霊にはそう。フィクションも含めてペラッペラ喋る上、露骨に姿を出す)

鳴護「『分かった、世界観が違うよ!?日本はもっとこうジットリとした湿度の高いゴーストなんだから、そんなご陽気な人はおウチ帰って!』」

レッサー『えー、折角入管通さずに持ち込みましたのにー』

鳴護「『これ公開されるんだからね?ご陽気なレッサーちゃんの姿がご両親にも見られる可能性が高いんだからね?』」

レッサー『あぁそれはご心配なく!”見てね!”って動画のサイトを送付済みです!』

鳴護「『ご両親が可哀相だよ!?アホな子を持って苦労してるんだから!多分!』」

レッサー『ちっ、分かりましたよ!カルチャーギャップなら仕方がないですね、ここは引っ込みまして最終兵器を持ち出しますから!』

鳴護「『早くない?まだダメ出し一回しかしてないのにネタ切れ起こすってどんだけ企画をナメてるのかな?』」

レッサー『尺を稼ぐつもりだったんですよ尺を!最初はご陽気なアル中のオッサンがいるかと思ったらゴーストでしたって!』

鳴護「『それ怖くないかな?ご近所に昼間っからお酒を飲んで待機しているオジサンは絵的にも存在的にも怖いよね?今そこにある危機だよね?』」

レッサー『アリサさんはページめくったら即×××されてそうですよねっ!』

鳴護「『なんて暴言を!?人を犯罪者ホイホイみたいに!?』」

レッサー『あー、じゃあ時間をくださいな。真っ昼間から現れるタイプの怪異ではないので』

鳴護「『信用していいんだよね?できれば事前に確認をしたいけど、あたしも後がないから分かった上でボケたりはしないんだよね?』」

レッサー『あの、お言葉ですけどヴァイキングの幽霊も実家じゃハロウィンに並ぶぐらいのマジな幽霊なんですが……』

鳴護「『その言葉を信じてあげたいんだけど、前科がありすぎてもうね……!』」

レッサー『お任せを!名誉を挽回するくせらいの働きぶりを見せて差し上げましょう!』

鳴護「『だからそーゆートコだよ?間違ってるのを確認して使っているよね?』」

レッサー『次は絶対大丈夫ですって!こんな事もあろうかと予備で仕込んでおいたブツですから!』

鳴護「『……系統はどんなの?ゲルマン人の幽霊?』」

レッサー『その質問にはいいえですけど、イギリスへ入植してきたのはアングロ人・サクソン人・ノルマン人、全員がゲルマン人です』

鳴護「『世界史の教科書投げたくなるよね。”じゃあも最初からゲルマン人でいいよね!”って』」

レッサー『同意しなくもないですが、ともあれ!次は大丈夫です!都市伝説系ですから!みんな大好きの!』

鳴護「『あー……現代の怪談だね。うん、いいんじゃないかな。オバケよりも怖さがダウンするし、まだ』」

レッサー『まっかせてくださいよ!夕方ぐらいになったら動きますんで!ではっ!』

鳴護「『でも都市伝説系ってピンキリなような……し、信じよう!形だけでも信じないと!』」



――夕方

鳴護「『――と、そんな感じでここから一週間……うーん、何か怖いですよねー。色々な意味で今から逃げたいぐらいです』」

鳴護「『まぁでも今日はあとずっとオフなんで、何しよっかな。ボイトレと腹筋とあと最近はジョギングを始めたんですよ。体力つけないとライブできないからねー』」

鳴護「『でもまずお腹が空いたんで、差し入れでマネージャーさんからいただいたチャーシュー弁当を10人前ほど』」

ガタッ、ガタガタッ

鳴護「『あれ?ベランダで音が――ってここ二階なのに?……うっわー、来ちゃいましたかねー、これ』」

鳴護「『日ももうすぐ暮れてきそうですし、カーテンをめくって――』」 シヤーッ

鳴護「『……いない、ね。うん、何もいませんでした』」

鳴護「『ベランダには洗濯物を干す台とエアコンの室外機、非常用のハシゴっぽいぐらいで』」

鳴護「『隠れる所もなく、猫ちゃんが……いないね。いたらちょっと餌づけしたかったんだけど』」

謎の声『――ホーゥ、ホーゥ……』

鳴護「『あ、フクロウの鳴き声だ!いるんだねー、学園都市みたいな都会にも』」

謎の声『ホーゥ、ホーゥ』

鳴護「『うんなんかどっかで聞き覚えのあるボイスだけど!お友達が無理して出してる感がする声だけど!』」

鳴護「『てか、段々近づいて……?』」

バサッ、バサササッ!!!

鳴護「『キャッ!?』」

人間大フクロウ(の着ぐるみ)『ホーゥ!』 バサッ

鳴護「『なっっっっっっっっっっっっっっっっっっんでなのかな!?あれこれやっぱりギャグに走ってるよね!?』」

人間大フクロウ(の着ぐるみ)『ホーゥ!?』 バサバサッ

鳴護「『いや無理だよ!?どう取り繕おうとしてもサイズがアレだしフォルからして中に人入ってるの丸わかりだしさ!?』」

鳴護「『なんて言ってもちょっと面白いよ!なんでフクロウ!?フクロウの着ぐるみを登場させる意味が分からないかなっ!?』」

人間大フクロウ(の着ぐるみ)『ホゥッ!』

鳴護「『立つの?直立不動になってるけど、フクロウってそんな、こう、堂々としたっけ?』」

人間大フクロウ(の着ぐるみ)『ホーーゥッ!』 ノッシノッノッシノッシ

鳴護「『無理がないかな?基本飛ぶ動物が地上をノッシノッシ歩くかな?関節の位置もこう人間としか思えないんだけど』」

人間大フクロウ(の着ぐるみ)『ホーゥッ!ホーーーウッ!』 バサッ、バササッ

鳴護「『いやだから飛べないよ?その構造の大きさだと相当筋肉があるか、中身スカッスカじゃないと自重で飛んだりできないよね?』」

人間大フクロウ(の着ぐるみ)『ホゥッ!』 バサッ

鳴護「『翼を広げて何を……あぁ荒ぶる鷹のポーズか!ずんぐりむっくりで少し可愛いけど、でもそれ多分本来のフクロウの生態とは違うよ!』」

人間大フクロウ(の着ぐるみ)『(すいません、ハケたいんですけど)』

鳴護「『帰りたいんだったら帰ればいいんじゃないかな?立派な翼あるんだから飛びなよ、飛べるもんだったら』」

人間大フクロウ(の着ぐるみ)『――ホゥッ』

鳴護「『いやごめんあたしが悪かったから飛ぼうとしないで!?二階のベランダでも打ち所悪かったら骨折だけじゃ済まないんだから!?』」

人間大フクロウ(の着ぐるみ)『ホーーゥッ!』

ガラガラ

鳴護「『……』」

鳴護「『――はーい、っていう訳で!謎の巨大フクロウが突如として出現したわけですが!あたしのベランダでまだ何かやっていますけど!』」

人間大フクロウ(の着ぐるみ)『すいません、脱げないんでチャック降ろしてもらえませんかね?』

鳴護「『だからもぅっ!?信頼はほぼしてなかったけど、”もしかしたら”って思ってたのにこれだよ!』」

鳴護「『てかなんで!?何をどうしたらフクロウの着ぐるみがスタンバイしてるの!?』」 ジーーーッ

レッサー『――ぷはーっ!あー、外の空気がウマイですね!暑かったです!』

鳴護「『ツッコミどころが多すぎて何をどうすれば……まぁいいや!ナニコレ!?なんでわざわざフクロウの着ぐるみを選んだのかなぁ!?』」

レッサー『アリサさんが何を怒ってらっしゃるのか分かりませんが、これは”コーンウォールのオウルマン”です』

鳴護「『こーんうぉーる……イギリスの地名だよね?』」

レッサー『はいな。そこで今からかれこれ40年前に出現していた都市伝説の怪異ですね』
(※実話かどうかはさておき、く盛っていません。70年代イギリスで目撃証言が多発したUMAです)

鳴護「『……モスマンっていなかったっけ?』」

レッサー『あれは60年代後半にアメリカで出たヤツです。オウルマンは70年代にイギリスで出たので別物ですね』

鳴護「『……ちなみに、何をする人なの?』」

レッサー『これといって何も?あぁただ目撃証言がですね、基本10代の少女がやたらめったら多いようです』

鳴護「『へー、なんで?』」

レッサー『ペ×だからでは?』

鳴護「『期待してた答えと違うよ!?なんかこう”血が好きなんです!”みたいに話を掘ろうとしてたのに!』」

レッサー『いや仕方がないじゃないですか!基本歩行している場合が多いんですから!』

鳴護「『歩行?飛ばないの?』」

レッサー『ですから今のは正確にエミュレートした結果です!個人的な解釈や付け足しは一切していませんから!』

鳴護「『それはそれで問題あるような』」

レッサー『なんかですね、このオウルマンは基本直立で普通に歩行するんですよ』

鳴護「『翼は?鳥なのに飛ばないの?』」

レッサー『んでもって外敵や危険を察知致しますと、”ホーゥ!”と両手を広げて威嚇します!』

鳴護「『飛べば?』」

レッサー『最終的には!にっちもさっちもいかなくなったら飛んで逃げたそうです!』

鳴護「『っていう都市伝説?』」

レッサー『はい!警戒心が強いんで!』

鳴護「『警戒心が強いのにノコノコ人家へ近づくの……?』」

レッサー『それはやっぱりUMAですから!我々には窺い知れない何か理由があるのでしょうなぁ!』

鳴護「『あのね、レッサーちゃんね?えーっと、なんて言ったらいいかなー?なんて言えば納得してくれるかなー?』」

レッサー『あ、じゃあポケモ○で例えてください』

鳴護「『ポケモ○の世界にミッキ○連れ込んじゃダメだよ?』」

レッサー『なんて分かりやすい例え……ッ!?』

鳴護「『版権的に怖しくて、うん。大人の事情がね――と、言うわけで今日はもう帰ってくれるかな?あとはもう適当にあたしがやっとくから』」

レッサー『戦力外通告ですと!?割かし真面目にやってたじゃないですか!頑張ってダメなゴーストとモンスター選んだのに!』

鳴護「『ほーらやっぱり』」

レッサー『てへっ☆』

鳴護「『あとはもう秋沙ちゃん呼んで見切れてた貰ったりすれば大丈夫だよ』」

レッサー『問題ありません?人をオバケ扱いするんですよね?』



――オービット・ポータル芸能事務所

マネージャー「お疲れさまでしたARISAさん。最初のネタを含めて結構評判よかったですよ」

鳴護「まさかあのシーンも使うとは思っていませんでしたが……いいんですか?ヤラセですよ?」

マネージャー「某オカルト好きJCとか黒髪ロングJKとか呼んで、特に何もなくダベっているだけで最高視聴回数を記録するファン層ですので……」

鳴護「基本的にユルいですよね。優しいんじゃなくて、ただただユルい」

マネージャー「まぁたまにはこういうのも悪くはないかと。急なお仕事でしたが」

鳴護「……なんかこうオカルト系のイメージがついてしまって非常に嫌です。不本意です」

マネージャー「で、なんですが……これ、言っちゃっていいんでしょうかね?社長からは止められているんですが」

鳴護「ちょ、ちょっと待ってくださいよ!?それってまさかこっち系の話しにありがちなヤツですか!?」

マネージャー「はい、俗に言う”うつっちゃったんですけど”ですね」

鳴護「嫌ですよ!?やめてくださいよそういうの!」

マネージャー「できれば自分もスルーしたかったんですけど、立場上そうもいかず、っていうかこの画像を見てください」

鳴護「えー……」

マネージャー「見たくないんでしたらそれでも構いません。幽霊じゃないですからね」

鳴護「え!?オウルマンうつってたんですか!?」

マネージャー「イギリスから飛んでは来ないでしょう。逆にそんなのいたら捕獲して研究所送りです」

鳴護「逞しいですよね、学園都市」

マネージャー「どうされます?」

鳴護「怖さよりも何が映っているのかが気になって……」

マネージャー「なら結構。こちらご覧ください」

鳴護「あー、涙子ちゃん秋沙ちゃんとアパートの前で記念撮影したやつですね。これ確か一般には非公開のアカのやつですけど」

マネージャー「ですね。なのですが……ここ、後ろの木をよく見てください」

鳴護「あれこれ、誰か映って――」

御坂『……』

鳴護「御坂さんっ!?なんで見切れてるのかな!?」

マネージャー「『友人枠で呼ばれると思ってスタンバってた』、という所でしょうか」

鳴護「友達ですけど!忙しいレベル5さんをしょーもない理由で呼び出す度胸はないですよ!?」

マネージャー「まぁ、次回ですね。次は事務所の方でお声をかけておきますので」

鳴護「撃たれますよ?あたしと違って超電磁砲ツッコミを入れてきますからね?」


-終-

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