上条「闇ちゃんねる特別編 〜しくじった先生〜」
――とある教室風スタジオ
上条「――えー、ただいまより『しくじった先生』のプレ企画を始めたいと思います」
上条「……」
上条「説明しておきますとスタジオには俺しか居ません。多分アリサさんが今回の先生役なんでしょうが。もしくは監督か」
上条「闇咲すらいない状況で俺確実にババ押しつけられてんな!まぁいいや出て来いや今回の先生!」
ガチャッ
オーク「やー、どうもどうもブヒー。お招き感謝するブヒー」
上条「誰だよテメー!?ほぼ完全にオリキャラじゃねぇか!?」
オーク「心外ブヒ!ブヒは日本のフィクション世界でのオーク像が体現した存在ブヒよ!」
上条「ブタじゃねぇか。直立歩行するブタ人間だろ?」
オーク「心斎橋と秋葉原でそこそこエンカウントするブヒ」
上条「人類だよ。若干オークへ寄せてはいるけどヒューマンだよ」
オーク「おっとこんなところにもオーク・ヒーローが一匹いるブヒ!」
上条「なんで俺?D×がオークなねぇだろうがアァンッ!?」
オーク「オーク・ヒーローはオーク亜種の中でも一風変った存在として認知されているブヒ。トーマの世界でも黒ギャルが全員ビッ×だとは限らないブヒね?」
上条「お前が出てくるとこう、たださえ低い品位が更に低下するんだよ。帰ってくれよ、レッサーと同じ便用意すっからイギリスへお帰りよ」
オーク「オーク・ヒーローも同じブヒ。オーク種にしては珍しく社交的で人類を奴隷にしたがる性質があるブヒ」
上条「奴隷ってなんだよ。人類の敵だろ」
オーク「そうブヒねぇ……例えば圧倒的な戦闘力を見せつけて、ヒューマン女子を助けた上で遠回しに肉体関係を迫ったりするブヒ」
上条「最低か」
オーク「他にも心の中ではハーレムを築きたいのに、言い出せないから周囲からそうなるように仕向けたりするブヒ」
上条「お前それ」
オーク「あとは異世界だからって前世の倫理観ぶん投げて、同族殺しも乱れた性関係も許容できるようになったのは種族が変化しているせいブヒ」
オーク「転生する際に悪逆の神であるスパゲッティモンスターの御業ブヒ」
上条「もうそろそろ他の世界観の悪口言うのやめません?何割かは俺にも刺されるんですよね。全部じゃねぇけど」
オーク「そしてオーク・ヒーローの鳴き声が『またやっちゃ○○○○○ぁ?』とか『カガリは今○○○○○○だ!』とか」
上条「おいブタ、いい加減にしろブタ、酢豚にして喰うぞブタ」
オーク「お、やんのかブヒ?ウミガメのスープ(ウミガメ抜き)にしたんぞブヒ!」
上条「だから主旨はどこ行ったんだよ!殴り合いだったら喜んですっけど怪談おじさんどこ行った!?」
オーク「今日はブヒがオークの神話的要素を解説するブヒ!」
上条「そういうの待ってた。ここで延々悪口言ってても意味無いからな」
オーク「まずトーマに聞きたいブヒ。オークにイメージってどんな感じブヒ?」
上条「パワーキャラ強×魔」
オーク「違うブヒ!それは偏見ブヒよ!」
上条「何がだよ。真実の愛でも求めてんのか」
オーク「ただちょっとロ×から熟女からショ×から汚っさんまでいつ何時誰の挑戦でも受けるだけブヒ!」
上条「どういうイメージだよ」
オーク「――っていうのが一般的なイメージブヒ。しかしこれはここ100年で確立されたオーク像ブヒな」
上条「確立された?」
オーク「ぶっちゃけ今のオークの原型は『指輪物語』のトールキン先生が作ったブヒ」
上条「じゃあかなり最近か!?神話じゃねぇだろお前ら!?」
オーク「まさにそうブヒ。エルフやドワーフは北欧神話にも顔を出すブヒし、ゴブリンもまぁ中世ぐらいには存在するブヒ」
オーク「でもオークが神話に出てるのを見たことあるブヒ?ないブヒよね?」
上条「中身が結構真面目なのにブヒブヒ言っててあんまり入ってきません。確かに皆無だよな」
オーク「トールキンの作品に登場するオークは『汚くて繁殖力と食欲に長け、背丈が低く不気味な灰色の肌をした醜い種族』とされているブヒ」
上条「ほーん……?何か、ブタ的な特徴少なくね?」
オーク「ブタヘッドとかキバもないブヒ。何故ならば『オークはエルフが捕らわれて堕落した種族』だからブヒ」
上条「じゃあエルフだろ!?オーク違うじゃねぇか!」
オーク「トーマは第一印象なしで、トールキン・オークの特徴だけを聞いたら何を連想するブヒ?」
上条「汚くてエ×くてメシ食って、あと身長低くて肌の色がおかしいんだっけ?それだけだったら遭遇したときゴブリンだと思うわ」
オーク「そうブビ。ゴブリンブヒよ」
上条「だなぁ。もしかしたら他の種族居たかも知んねぇけど」
オーク「違うブヒ。オークはゴブリンだったブヒ」
上条「……何?何か俺の知らない言語使ってるか?」
オーク「――な、なんと!オークはゴブリンだったブヒよ……ッ!!!」
上条「な、なんだってーーーーーーーーーーーーーーーー!?
上条「――じゃ、ねぇよ!MM○風に煽れなんて言ったか俺!?」
オーク「トールキンの『指輪物語(1954年)』では『オーク』だったブビ。でもその中でホビット達は”オークのことをホビット語で『ゴブリン』と呼んでいた”ブヒ」
オーク「しかしその前日譚『ホビットの冒険(1937年)』では『ゴブリン』ブヒ。後の作品でオークと呼ばれるものはゴブリンと言われていたブヒ」
上条「同じだった、のか?確かにリアル系ダークファンタジーではゴブリンにも強×魔って設定ついてるけど!」
上条「じゃあブタヘッドは?お前らの最大のアイデンティティであるブタヘッドはどっからくっついたの?八戒さん?まさかとは思うが八戒さんじゃないよね?」
オーク「まぁまぁ待つブヒ。結論を急いでも仕方がないブヒ、一休み一休みブヒ」
上条「誰が知ってんだその一休さ○ネタ」
オーク「結論から言うと『オーク=ブタ』ってイメージが定着したのか、誰がやったのかとは判明してないブヒ。研究者皆無ブヒ」
上条「まぁ、そうだけども!そして結論急ぐなって言ってときながら言ったな直で!」
オーク「ただいくつか説があるブヒ。その中の一つでブヒがこれかなー?と思ってるのが『発音が似ているから』説ブヒ」
オーク「ラテン語でのブタは『porcus』、でオークのスペルは『orc』ブヒ」
上条「短くした感じっちゃあ感じだが……ちょっと強引過ぎないか?」
オーク「でもなくて『orc』というスペル自体はトールキンが作ったものではないブヒな。ずっと前から別の意味を持つ単語として存在していたブヒ」
上条「へー?でもそれオーク以外に読み方なくね?」
オーク「日本語風に発音すると『オルカ』ブヒ」
上条「オルカ……シャチか!?オークさんとイメージ全然違うな!?」
オーク「正しくは『海に住む怪物=オルカ』という使われ方をしていたブヒ。だからクラーケンもオルカブヒし、巨大クラゲや大海蛇もオルカだったブヒ」
上条「日本だったら……『あやかし』みたいな感じ、かな……?」
(※『妖怪』全般を指す言葉でなく、『海上の怪=あやかし』でした。今ではトライアングルしたりコンビニエンスしていますが)
オーク「なのでトールキンは『怪物』意味だけを強調するため、オークという言葉を使ったと推測されているブヒ」
上条「それが多方面に広がって今のオークさんになったと?」
オーク「そうブヒ。有名な例では『ホビット』ブヒな。合法ロ×でお馴染みの」
上条「一部の層にだけな!」
オーク「ホビットはトールキンの完全創作ブヒ。他の神話にも登場しないブヒし、そもそも著作権がトールキンにあるから勝手に使ったら訴えられるブヒよ」
上条「種族なのにダメなのか?」
オーク「少なくともグラスランナーとか草原妖精とか、別名が使われている時点でお察しブヒ。そもそもオーク自体も『あんま似過ぎてもアレだから盛っとけ』ってジョークから広がったかもと思ってるブヒ」
上条「なんて可哀想な種族……!ジョークから生まれて性犯罪者として生きる道しかないだなんて……!」
オーク「その物言いの方がよっぽど失礼だと思うブヒ。最近の洋ゲーでは『力が強くて敬虔な種族』として再定義されつつあるブヒよ」
オーク「以上が『トールキンが創作し現代に伝わるオーク』ブヒ。ご静聴あざーすブヒ」
上条「なんだかんだで楽しかった。オークさんが実はエラいとばっちりだったってことも含めて」
オーク「――で、ここから『orc』、つまり海の怪物を突き詰めていく話になるブヒ。そんなに長くないブヒ」
上条「シャチの名前ってことで落ち着いたんじゃ?」
オーク「逆に考えるブヒ――『じゃあなんでシャチに”orc”って名前がついたか?』って話ブヒ」
上条「トールキン・オークさんが”pork”と響きが似てるから一緒くたにされたとして……シャチもブタっぽい要素があった、とか?」
オーク「確かにイルカは海豚(いるか)とも書くブヒが、そんな単純な話ではないブヒ。シャチも実はその脅威から『orc(怪物)』って名前を授けられていたブヒ」
上条「逆に?シャチがオルカって呼ばれてたから、『海の怪物』って意味を持ったんじゃなくて?」
オーク「逆ブヒ。orcにはもっと古く、旧い頃から『怪物』――もしくは『死神』って意味があったブヒ」
上条「……穏やかじゃねぇな。聞かせてくれよ」
オーク「トーマは天体に興味あるブヒ?どこそこの衛星の名前とか言えるブヒ?」
上条「いや専門外。惑星の中二っぽい響きは好きだけど」
オーク「なら知らないブヒだろうけど、冥王星の近くにある天体で『オルクス(orcus)』って星があるブヒ」
上条「オルクス……?メガテ○の魔王にいたような……?」
オーク「まさにそれブヒ。冥王星の英名プルートーはローマ神話の冥府の神『ディス(dis)』ブヒ。その時代に同じく信仰されていた『オルカス(orcus)』という死神がいたブヒ」
オーク「これが後に統一されて、オルカスもまたプルートーの別名だとされるブヒ。天体名も『冥王星の近くで軌道も似てるし?』という意味で命名されたブヒ」
上条「プルートーって言ったらかなり古いだろ!?」
オーク「それだけシャチを筆頭に海の怪物が怖れられていたブヒ。『orc(死神)』と呼ばれるぐらいブヒし」
上条「てかさっきのラテン語のブタ、『porcus』と一字違い……」
オーク「補足しておくブヒが、元々オルクスは冥府の神霊の一柱だったとも言われているブヒ。それがディス・パテルと混同され、プルートーやハデスと同一視されるブヒ」
上条「へー、色んな所で繋がってんだな−。でも流石に八戒さんとは無関係だったか」
オーク「……」 ニチャアァッ
上条「えっ?」
オーク「ハーデスの神器、今風に言えば宝具は『豊穣の角(コルヌコピア)』。ぶっちゃけ”””有角神”””ブヒ。まぁ超大雑把な分類ブヒが」
オーク「そしてブヒ達オーク種も分類的には”””有牙神”””。遠い昔に別れ、全く別の変遷を辿った存在が、現代で交わったとも言えなくもないブヒね」
上条「あれ……?ケルヌンノスとか、あれ……?」
オーク「これは偶然ブヒよ?決して誰かがそう考えた訳ではないブヒ、そこら辺は決して間違えてはいけないブヒ」
上条「だ、だよなぁ?偶然だよなぁ?」
オーク「ファンタジー文学の祖でもあり、数々の世界観を構築するに辺り、文化人類学の知識が多々用いておられるトールキン先生が」
オーク「orcとorcusの関係についても一切知らず、ただの偶然の一致として使ってたってだけの話ブヒ」
上条「――えっ?」
オーク「――以上で『しくじった先生・オーク編』は終わりブヒ!それじゃあまたどっかで会えるといいブヒね!」
上条「あ、あぁお疲れさまです。ありがとうございましたブタ先生」
オーク「悪い事してる子のところには、夜中オークが行くブヒよ!?」
上条「ペナルティ重すぎる子供たち。色々な意味で喰われるわ、てかそんなエ×ゲーあったわ」
オーク「……まぁオークへ対して色々と思うところはある思うブヒ。RPG前半のザコ敵、そしてエ×要員、後は姫騎士とか」
上条「ほぼシモじゃね?」
オーク「でも、オークとして生を受けたからにはこれだけは知ってほしいブヒ。例え全世界が敵に回ったとしても、そして味方になってくれなくても、ブヒの思いを理解してくれる人がいる」
オーク「たったそれだけで救われる事ってあるブヒな」
上条「ほう、それは?」
オーク「『――分からせるより、分からせられたい』」
上条「癖(へき)じゃねぇか!?だから最初っから言ってっけどずっとシモの話しかしてねぇよ!?」
上条「つーか何『愛されるより愛したい』みたいに名言言った風になってんだよ!?ドヤ顔で言うようなこっちゃねぇしな!」
上条「てかお前中身俺の知ってるヤツだろ!着ぐるみみたいに青ピ入ってんじゃ!?」
ガラガラッ
鳴護「……あ、いた当麻君!控え室にいないから探したよー!」
上条「控え室ってなんだよ。今丁度収録が終わって」
鳴護「……収録?何の?」
上条「ん?だから『しくじった先生』の」
鳴護「ちょっと分からないんだけど、今闇咲さんから連絡があってこっちに来られないからキャンセルしてほしいって」
上条「……え?だったら今のブタは?」
鳴護「ブタさん……?いないけど?」
上条「え――」
ガチャッ
オーク「あ、ごめんブヒ。ARISAに言いたい事があったの忘れてたブヒ」
上条「出てくんなよ!?このまま終わって『あれ何か後味悪い……』って余韻出せや!?」
オーク「ブヒが見たイメージビデオには、アイドルが延々水着でゴルフレッスンしてるのとか、全48分中18分以上ランニングしているのを延々映すのとかあるブヒ」
(※実在します)
オーク「まだまだイメージビデオの深淵には及ばないブヒ!入り口ではしゃいでいるだけなのを忘れちゃダメブヒな!」
鳴護「誰目線?一体どういう観点からあたしは叱られているんだろ……?」
上条「『下には下がある』って事だろ。知りたくねぇよ!」
-終-
(※ほぼ実話です。冥府神オルカスがいた→「怪物」って意味でシャチに命名される→トールキンが使い出す→響きが似てるからブタヘッドに「オーク」と名前がつく、という変遷を遂げています)
(※あと千年ぐらい経過したら、「21世紀初頭にはオルクス神の影響を受けた書物が散見されるようになった」と記される可能性も)
上条「――えー、ただいまより『しくじった先生』のプレ企画を始めたいと思います」
上条「……」
上条「説明しておきますとスタジオには俺しか居ません。多分アリサさんが今回の先生役なんでしょうが。もしくは監督か」
上条「闇咲すらいない状況で俺確実にババ押しつけられてんな!まぁいいや出て来いや今回の先生!」
ガチャッ
オーク「やー、どうもどうもブヒー。お招き感謝するブヒー」
上条「誰だよテメー!?ほぼ完全にオリキャラじゃねぇか!?」
オーク「心外ブヒ!ブヒは日本のフィクション世界でのオーク像が体現した存在ブヒよ!」
上条「ブタじゃねぇか。直立歩行するブタ人間だろ?」
オーク「心斎橋と秋葉原でそこそこエンカウントするブヒ」
上条「人類だよ。若干オークへ寄せてはいるけどヒューマンだよ」
オーク「おっとこんなところにもオーク・ヒーローが一匹いるブヒ!」
上条「なんで俺?D×がオークなねぇだろうがアァンッ!?」
オーク「オーク・ヒーローはオーク亜種の中でも一風変った存在として認知されているブヒ。トーマの世界でも黒ギャルが全員ビッ×だとは限らないブヒね?」
上条「お前が出てくるとこう、たださえ低い品位が更に低下するんだよ。帰ってくれよ、レッサーと同じ便用意すっからイギリスへお帰りよ」
オーク「オーク・ヒーローも同じブヒ。オーク種にしては珍しく社交的で人類を奴隷にしたがる性質があるブヒ」
上条「奴隷ってなんだよ。人類の敵だろ」
オーク「そうブヒねぇ……例えば圧倒的な戦闘力を見せつけて、ヒューマン女子を助けた上で遠回しに肉体関係を迫ったりするブヒ」
上条「最低か」
オーク「他にも心の中ではハーレムを築きたいのに、言い出せないから周囲からそうなるように仕向けたりするブヒ」
上条「お前それ」
オーク「あとは異世界だからって前世の倫理観ぶん投げて、同族殺しも乱れた性関係も許容できるようになったのは種族が変化しているせいブヒ」
オーク「転生する際に悪逆の神であるスパゲッティモンスターの御業ブヒ」
上条「もうそろそろ他の世界観の悪口言うのやめません?何割かは俺にも刺されるんですよね。全部じゃねぇけど」
オーク「そしてオーク・ヒーローの鳴き声が『またやっちゃ○○○○○ぁ?』とか『カガリは今○○○○○○だ!』とか」
上条「おいブタ、いい加減にしろブタ、酢豚にして喰うぞブタ」
オーク「お、やんのかブヒ?ウミガメのスープ(ウミガメ抜き)にしたんぞブヒ!」
上条「だから主旨はどこ行ったんだよ!殴り合いだったら喜んですっけど怪談おじさんどこ行った!?」
オーク「今日はブヒがオークの神話的要素を解説するブヒ!」
上条「そういうの待ってた。ここで延々悪口言ってても意味無いからな」
オーク「まずトーマに聞きたいブヒ。オークにイメージってどんな感じブヒ?」
上条「パワーキャラ強×魔」
オーク「違うブヒ!それは偏見ブヒよ!」
上条「何がだよ。真実の愛でも求めてんのか」
オーク「ただちょっとロ×から熟女からショ×から汚っさんまでいつ何時誰の挑戦でも受けるだけブヒ!」
上条「どういうイメージだよ」
オーク「――っていうのが一般的なイメージブヒ。しかしこれはここ100年で確立されたオーク像ブヒな」
上条「確立された?」
オーク「ぶっちゃけ今のオークの原型は『指輪物語』のトールキン先生が作ったブヒ」
上条「じゃあかなり最近か!?神話じゃねぇだろお前ら!?」
オーク「まさにそうブヒ。エルフやドワーフは北欧神話にも顔を出すブヒし、ゴブリンもまぁ中世ぐらいには存在するブヒ」
オーク「でもオークが神話に出てるのを見たことあるブヒ?ないブヒよね?」
上条「中身が結構真面目なのにブヒブヒ言っててあんまり入ってきません。確かに皆無だよな」
オーク「トールキンの作品に登場するオークは『汚くて繁殖力と食欲に長け、背丈が低く不気味な灰色の肌をした醜い種族』とされているブヒ」
上条「ほーん……?何か、ブタ的な特徴少なくね?」
オーク「ブタヘッドとかキバもないブヒ。何故ならば『オークはエルフが捕らわれて堕落した種族』だからブヒ」
上条「じゃあエルフだろ!?オーク違うじゃねぇか!」
オーク「トーマは第一印象なしで、トールキン・オークの特徴だけを聞いたら何を連想するブヒ?」
上条「汚くてエ×くてメシ食って、あと身長低くて肌の色がおかしいんだっけ?それだけだったら遭遇したときゴブリンだと思うわ」
オーク「そうブビ。ゴブリンブヒよ」
上条「だなぁ。もしかしたら他の種族居たかも知んねぇけど」
オーク「違うブヒ。オークはゴブリンだったブヒ」
上条「……何?何か俺の知らない言語使ってるか?」
オーク「――な、なんと!オークはゴブリンだったブヒよ……ッ!!!」
上条「な、なんだってーーーーーーーーーーーーーーーー!?
上条「――じゃ、ねぇよ!MM○風に煽れなんて言ったか俺!?」
オーク「トールキンの『指輪物語(1954年)』では『オーク』だったブビ。でもその中でホビット達は”オークのことをホビット語で『ゴブリン』と呼んでいた”ブヒ」
オーク「しかしその前日譚『ホビットの冒険(1937年)』では『ゴブリン』ブヒ。後の作品でオークと呼ばれるものはゴブリンと言われていたブヒ」
上条「同じだった、のか?確かにリアル系ダークファンタジーではゴブリンにも強×魔って設定ついてるけど!」
上条「じゃあブタヘッドは?お前らの最大のアイデンティティであるブタヘッドはどっからくっついたの?八戒さん?まさかとは思うが八戒さんじゃないよね?」
オーク「まぁまぁ待つブヒ。結論を急いでも仕方がないブヒ、一休み一休みブヒ」
上条「誰が知ってんだその一休さ○ネタ」
オーク「結論から言うと『オーク=ブタ』ってイメージが定着したのか、誰がやったのかとは判明してないブヒ。研究者皆無ブヒ」
上条「まぁ、そうだけども!そして結論急ぐなって言ってときながら言ったな直で!」
オーク「ただいくつか説があるブヒ。その中の一つでブヒがこれかなー?と思ってるのが『発音が似ているから』説ブヒ」
オーク「ラテン語でのブタは『porcus』、でオークのスペルは『orc』ブヒ」
上条「短くした感じっちゃあ感じだが……ちょっと強引過ぎないか?」
オーク「でもなくて『orc』というスペル自体はトールキンが作ったものではないブヒな。ずっと前から別の意味を持つ単語として存在していたブヒ」
上条「へー?でもそれオーク以外に読み方なくね?」
オーク「日本語風に発音すると『オルカ』ブヒ」
上条「オルカ……シャチか!?オークさんとイメージ全然違うな!?」
オーク「正しくは『海に住む怪物=オルカ』という使われ方をしていたブヒ。だからクラーケンもオルカブヒし、巨大クラゲや大海蛇もオルカだったブヒ」
上条「日本だったら……『あやかし』みたいな感じ、かな……?」
(※『妖怪』全般を指す言葉でなく、『海上の怪=あやかし』でした。今ではトライアングルしたりコンビニエンスしていますが)
オーク「なのでトールキンは『怪物』意味だけを強調するため、オークという言葉を使ったと推測されているブヒ」
上条「それが多方面に広がって今のオークさんになったと?」
オーク「そうブヒ。有名な例では『ホビット』ブヒな。合法ロ×でお馴染みの」
上条「一部の層にだけな!」
オーク「ホビットはトールキンの完全創作ブヒ。他の神話にも登場しないブヒし、そもそも著作権がトールキンにあるから勝手に使ったら訴えられるブヒよ」
上条「種族なのにダメなのか?」
オーク「少なくともグラスランナーとか草原妖精とか、別名が使われている時点でお察しブヒ。そもそもオーク自体も『あんま似過ぎてもアレだから盛っとけ』ってジョークから広がったかもと思ってるブヒ」
上条「なんて可哀想な種族……!ジョークから生まれて性犯罪者として生きる道しかないだなんて……!」
オーク「その物言いの方がよっぽど失礼だと思うブヒ。最近の洋ゲーでは『力が強くて敬虔な種族』として再定義されつつあるブヒよ」
オーク「以上が『トールキンが創作し現代に伝わるオーク』ブヒ。ご静聴あざーすブヒ」
上条「なんだかんだで楽しかった。オークさんが実はエラいとばっちりだったってことも含めて」
オーク「――で、ここから『orc』、つまり海の怪物を突き詰めていく話になるブヒ。そんなに長くないブヒ」
上条「シャチの名前ってことで落ち着いたんじゃ?」
オーク「逆に考えるブヒ――『じゃあなんでシャチに”orc”って名前がついたか?』って話ブヒ」
上条「トールキン・オークさんが”pork”と響きが似てるから一緒くたにされたとして……シャチもブタっぽい要素があった、とか?」
オーク「確かにイルカは海豚(いるか)とも書くブヒが、そんな単純な話ではないブヒ。シャチも実はその脅威から『orc(怪物)』って名前を授けられていたブヒ」
上条「逆に?シャチがオルカって呼ばれてたから、『海の怪物』って意味を持ったんじゃなくて?」
オーク「逆ブヒ。orcにはもっと古く、旧い頃から『怪物』――もしくは『死神』って意味があったブヒ」
上条「……穏やかじゃねぇな。聞かせてくれよ」
オーク「トーマは天体に興味あるブヒ?どこそこの衛星の名前とか言えるブヒ?」
上条「いや専門外。惑星の中二っぽい響きは好きだけど」
オーク「なら知らないブヒだろうけど、冥王星の近くにある天体で『オルクス(orcus)』って星があるブヒ」
上条「オルクス……?メガテ○の魔王にいたような……?」
オーク「まさにそれブヒ。冥王星の英名プルートーはローマ神話の冥府の神『ディス(dis)』ブヒ。その時代に同じく信仰されていた『オルカス(orcus)』という死神がいたブヒ」
オーク「これが後に統一されて、オルカスもまたプルートーの別名だとされるブヒ。天体名も『冥王星の近くで軌道も似てるし?』という意味で命名されたブヒ」
上条「プルートーって言ったらかなり古いだろ!?」
オーク「それだけシャチを筆頭に海の怪物が怖れられていたブヒ。『orc(死神)』と呼ばれるぐらいブヒし」
上条「てかさっきのラテン語のブタ、『porcus』と一字違い……」
オーク「補足しておくブヒが、元々オルクスは冥府の神霊の一柱だったとも言われているブヒ。それがディス・パテルと混同され、プルートーやハデスと同一視されるブヒ」
上条「へー、色んな所で繋がってんだな−。でも流石に八戒さんとは無関係だったか」
オーク「……」 ニチャアァッ
上条「えっ?」
オーク「ハーデスの神器、今風に言えば宝具は『豊穣の角(コルヌコピア)』。ぶっちゃけ”””有角神”””ブヒ。まぁ超大雑把な分類ブヒが」
オーク「そしてブヒ達オーク種も分類的には”””有牙神”””。遠い昔に別れ、全く別の変遷を辿った存在が、現代で交わったとも言えなくもないブヒね」
上条「あれ……?ケルヌンノスとか、あれ……?」
オーク「これは偶然ブヒよ?決して誰かがそう考えた訳ではないブヒ、そこら辺は決して間違えてはいけないブヒ」
上条「だ、だよなぁ?偶然だよなぁ?」
オーク「ファンタジー文学の祖でもあり、数々の世界観を構築するに辺り、文化人類学の知識が多々用いておられるトールキン先生が」
オーク「orcとorcusの関係についても一切知らず、ただの偶然の一致として使ってたってだけの話ブヒ」
上条「――えっ?」
オーク「――以上で『しくじった先生・オーク編』は終わりブヒ!それじゃあまたどっかで会えるといいブヒね!」
上条「あ、あぁお疲れさまです。ありがとうございましたブタ先生」
オーク「悪い事してる子のところには、夜中オークが行くブヒよ!?」
上条「ペナルティ重すぎる子供たち。色々な意味で喰われるわ、てかそんなエ×ゲーあったわ」
オーク「……まぁオークへ対して色々と思うところはある思うブヒ。RPG前半のザコ敵、そしてエ×要員、後は姫騎士とか」
上条「ほぼシモじゃね?」
オーク「でも、オークとして生を受けたからにはこれだけは知ってほしいブヒ。例え全世界が敵に回ったとしても、そして味方になってくれなくても、ブヒの思いを理解してくれる人がいる」
オーク「たったそれだけで救われる事ってあるブヒな」
上条「ほう、それは?」
オーク「『――分からせるより、分からせられたい』」
上条「癖(へき)じゃねぇか!?だから最初っから言ってっけどずっとシモの話しかしてねぇよ!?」
上条「つーか何『愛されるより愛したい』みたいに名言言った風になってんだよ!?ドヤ顔で言うようなこっちゃねぇしな!」
上条「てかお前中身俺の知ってるヤツだろ!着ぐるみみたいに青ピ入ってんじゃ!?」
ガラガラッ
鳴護「……あ、いた当麻君!控え室にいないから探したよー!」
上条「控え室ってなんだよ。今丁度収録が終わって」
鳴護「……収録?何の?」
上条「ん?だから『しくじった先生』の」
鳴護「ちょっと分からないんだけど、今闇咲さんから連絡があってこっちに来られないからキャンセルしてほしいって」
上条「……え?だったら今のブタは?」
鳴護「ブタさん……?いないけど?」
上条「え――」
ガチャッ
オーク「あ、ごめんブヒ。ARISAに言いたい事があったの忘れてたブヒ」
上条「出てくんなよ!?このまま終わって『あれ何か後味悪い……』って余韻出せや!?」
オーク「ブヒが見たイメージビデオには、アイドルが延々水着でゴルフレッスンしてるのとか、全48分中18分以上ランニングしているのを延々映すのとかあるブヒ」
(※実在します)
オーク「まだまだイメージビデオの深淵には及ばないブヒ!入り口ではしゃいでいるだけなのを忘れちゃダメブヒな!」
鳴護「誰目線?一体どういう観点からあたしは叱られているんだろ……?」
上条「『下には下がある』って事だろ。知りたくねぇよ!」
-終-
(※ほぼ実話です。冥府神オルカスがいた→「怪物」って意味でシャチに命名される→トールキンが使い出す→響きが似てるからブタヘッドに「オーク」と名前がつく、という変遷を遂げています)
(※あと千年ぐらい経過したら、「21世紀初頭にはオルクス神の影響を受けた書物が散見されるようになった」と記される可能性も)