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Clock(trial)

どこにでもあるようなありふれた夕の風景、そんな話


――商店街

沈麻(さってと……今日はメシは何にすっかなー、と)

沈麻(昨日の残りは全部弁当に消えたし、冷蔵庫の中身はヴェイニッチと澪子、妃后に食われてると見た……!)

沈麻(まぁ……何人か手伝ってくれるし、量さえ買い込んじまえば特に困りはしねぇんだよー、これが)

沈麻「……」

沈麻(……なんだろう?今、『手伝ってくれるならいいじゃん!?こっちは一人でやってんだよ!』って魂の叫びが聞こえたような……?)

沈麻(親父の場合、100%自業自得ではあるんだが……母さん達が幸せそうだし、あんま強くも言ってやれないよなぁ)

沈麻(んー、まぁでもいつか殺すけどな!物理的に!)

沈麻(ていうか親父も子供の事考えろっつーかさ、あるじゃん?親は選べない、的な話?)

沈麻(どこのアフリカの王族か、シスタープリセン○か!いや知らないけどな!)

沈麻(姉妹仲荒れんだろう。常識的な考えでさ……)

沈麻「……はぁ」

アーサー「ってどうしました?一人でこの世の苦労を全て背負い込んでるような顔して?」

沈麻「あながち間違いじゃねぇけどなー……ってお前?」

アーサー「はいな、あなたの妹アッ!サーちゃんですが何か?」

沈麻「今不自然なタメが入らなかった?名前の先っちょの所に、ねぇ?」

アーサー「気のせいかと。つーか今帰りですか?珍しくお一人で買い出しですかねぇ?」

沈麻「いや、一人っつーか、お前は誰だっつーかさ」

アーサー「私らも部活上がりで、お肉屋さんのコロッケでも買い食いしよっかー、と、こっちへブラタモ○」

沈麻「日本語間違ってるよ?……ん?私”ら”?」

フローレンス「よっす。シズマも来たんジャン」

ランスロット「ここのコロッケは美味しい、し。メンチカツも絶品……」

ベイリン「あんまり食べるとご飯が入らなくなるわよ?」

ランスロット「ベイリンは良い……私とフローレンスは……っ!」

ベイリン「いや、だからこれは遺伝だから……」

フローレンス「それとワタシを一緒のカテゴリーにスンナ」

ランスロット「ヴォイニッチやフレイアにいつ抜かされるんじゃないかという恐怖が……!」

沈麻「……グダグダになってんなぁ、なんか」

アーサー「子沢山とママ沢山にはこういう弊害があるんですねっ!」

沈麻「俺のせいじゃない俺のせいじゃない俺のせいじゃない……!」

アーサー「父さんは割とチョロいですからねぇ。沈麻さんも確実に曰く付きの血統を受け継いでいますし」

沈麻「――はっ!?もしかしてお前らが子孫設定になってるって事は――」

沈麻「……アリサさんも、もしかしてどこかに……?」

アーサー「アリサ母さんですか?その方の娘さん、つーか私の姉は――あ、丁度そこの電気屋さんで映してますね」

沈麻「……映す?」

アーサー「そこそこ、テレビの方です」

観客(テレビ)『CHA・LI・CE!CHA・LI・CE!CHA・LI・CE!CHA・LI・CE!CHA・LI・CE!CHA・LI・CE!』

鳴護カリス(テレビ)『みーーーーーーーーーーーんなーーーーーーーーーーっ!CHALICEのライブに来てくれてアリガトーーーー!』

観客(テレビ)『オォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ』

カリス(テレビ)『あたしも大好きだよーーーーーーーーーっ仙台ーーーーーーーーーーーーーっ!!!』

観客(テレビ)『オ、ォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ……?』

沈麻「……なんで客席がキョドってんの?」

アーサー「学園都市ライブなのに『仙台サイコー』的なMCしたからじゃないかね?」

沈麻「天然って遺伝だったんだぁ……」

カリス(テレビ)『じゃ、じゃあじゃあ次の曲――』

ペーペーポー、ペーペペポー……(テレビ)

沈麻「ん?着信?――ってテレビの中からしてんな?」

カリス(テレビ)『――あ、はい、もしもしー?』

沈麻「ってお前かいっ!?ライブに集中しろや!つーかなんで持ってる!?」

アーサー「『あー、わたしわたし、あなたの可愛いアーサーちゃんですよっと』」

沈麻「そして堂々電話を掛けやがったバカがここに居た!?」

アーサー「『あ、今沈麻さん達と商店街に来てるんですけど、ご飯どうしますか?』」

アーサー「『帰って来るんでしたらリク受けますけど、どうですかね?』」

カリス(テレビ)『あー、うん。お食事には間に合わないけど、打ち上げキャンセルして帰るよ。他のタレントさんが気持ち悪いんだもん』

沈麻「お前も言葉を選べ、な?アリサさんはそこまでストレートじゃなかったんだ・ゾ☆」

カリス(テレビ)『ていうか、いいなーアーサーちゃん達、沈麻君と一緒なんだー』

アーサー「『ぶっちゃけ隣で中継見てますんで、メッセージあればカメラへどうぞ』」

カリス(テレビ)『あ、ホント?それじゃーねー――』

沈麻「オイっバカ待て!お前何言――」

カリス(テレビ)『カツ丼とソースカツ丼とカレーライスとスープカレーとオムライスとオムバーグとミートソースカツスパとチキンハンバーグに――』

沈麻・アーサー「……」

カリス(テレビ)『チャーハンとホットサンドとカツサンドとフォー丼とナポリタンとシーザーサラダと名状しがたいコーヒーゼリー(1kg)を――』

沈麻「……俺が予想していたのとはまた違ってたんだが、これはこれで大ケガしてねぇかな?ある意味放送事故?」

アーサー「まぁCHALICEファンは常々よく訓練されていると評判ですし、まぁ今更食生活が暴露された所で、えぇ多分。きっと恐らくは」

沈麻「というかやたらカツが多い気もするが……ライブで油分遣っちまったんかな」

アーサー「あ、ちなみに”CHALICE”は『聖杯』という意味も含まれていますし、結局落ち着く所へ落ち着いた、ってぇ意味ですな」

アーサー「……と、言う事ぁ、王様達が探し求めたものは――」

沈麻「なにそのミニ情報?親父達から聞いたの?」

カリス(テレビ)『――それじゃリクエストお願いだよっ沈麻君っ!』

沈麻「……全部か?全部俺が作るのか、これを?」

アーサー「……違いますよ、そんな訳ないじゃないですか!」

沈麻「……アーサーさぁんっ!お前手伝って――」

アーサー「ヴォイニッチさんも入れれば更に倍でしょう?ファィッ!」

沈麻「だからァァァァァァァァァァッ!俺の、俺の扱いが悪りーーーーーーーーーーーーーーーんだよっ!」


――『どこにでもあるようなありふれた夕の風景、そんな話』 −終−

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