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Clock(trial)

御坂「あたしはネコになりたい……ッ!」

 
――とあるファミレス

佐天「『――勇者ウイハール=カザリー、汝を勇者パーティから追放する……ッ!!!』」

初春「驚くぐらいにひねりのないテンプレですね。あ、12月の新作スイーツ、一口もらっていいですか?私のずんだきなこ豆乳ケーキとディールで」

佐天「『なおカザリーには貴族並の年金と装備相当の資産をくれてやろう!』」

初春「そこそこいい条件ですよね、妥当かどうかは金額次第ですけど。それでですね、取引は成立するんでしょうか?なんだったらずんだきなこ豆乳ケーキをレートを半分にしてもいいんですけど」

佐天「『あとついでにパーティメンバーの女子全員が惚れてて一緒に脱退するって言ってるどうしよう!じゃ追放の話はなかったことに!』」

初春「一周回って元通りですよね、お互いの信頼関係に大きく修繕不可能なヒビを残した以外は。え、ケーキ全部ですか?これ以上はないですよ?佐天さんだから特別ですからね?」

佐天「うん、失敗作だったのは分かったから、執拗にそのマメオンリーケーキを押しつけてこないでくれるかな?結果的にあたしだけが損するんだよね?」

初春「てゆうかそもそもの設定として、ハーレム構築してトロフィー作ろうってゲスが、初期段階とはいえ男性を仲間にするか?っていう疑問が」

佐天「あー、それはまぁ経験値的なアレじゃない?SLGで初期のお助けキャラが成長伸び悩んで後半は外す感じ」

初春「メアリー=スーのように偉大な死にキャラですよね。アレはアレで名前が残っている分だけオイシイですよね」

佐天「てかあたしラスボスへ男子キャラだけで突っ込む派なんだよねぇ。男子の友情、いいと思います!」

初春「私も嫌いじゃないですけど」

佐天「これはとあるあたしもメル友の『プリテン大好き』さんが仰ったことなんですが――」

初春「邪悪なハギスの霊ですね」

佐天「『”不滅のあなた○”を見たときの感想ですが――異性になったところでhrhrするのは三流……一流は性別を超えてhrhrしなければ……!』と」

初春「レベルが高いのか低いのか分からない話ですよね。あのストーカー女の遺伝子が嫌っていう気持ちは理解できますが」

佐天「てかあの人、白井さんよりかは」

初春「――ダメですよ佐天さん?例え事実であってもそれ以上は、ねっ?佐天さんと白井さんはお友達でしょ?」

佐天「うんまぁそれはそうなんだけど、まるで初春がそうじゃないみたいな言い方は……」

初春「それでずんだきなこ豆乳おからケーキは食べないんですか?」

佐天「おからって入ってたっけ?それもう商品名『豆ケーキ』で良くない?……無理って言うんだったら食べるけど。御坂さんはどうです?ネタで一口行っときます?」

御坂「――あたしはネコになりたい……ッ!!!」

佐天「あれ御坂さんってタチじゃなかったんですか?」

初春「即座にシモの話をするのはどうかと思います。あと私も御坂さんがタチだと思っていましたけど」

御坂「違うのよ!そういう下世話な話じゃなくて真剣に話してるんだから!」

初春「何一つ真剣要素がなかったですが」

佐天「まぁまぁ、それで一体何がどうなってネコさんになりたいと?」

御坂「そうね……話せば長くなるから端折るけど、かれこれ10数年モーションかけてる相手がいたとするわね」

初春「ゲ×だからじゃないですかね。もしくは致命的なペ×野郎」

佐天「言い方可哀想だよ!二次元にしか反応しないだけかもしれないじゃない!」

初春「ほぼ意味は一緒ですからね?犯罪かそうじゃないかってだけで、結果的にはお家断絶って意味ですし」

御坂「……そうなのよ。二人が言う通り、『あ、これもう諦めて試合終了かな?』って悲壮感は漂ってるのよ……!」

佐天「まぁ性癖ばっかりはどうしようもないですからね」

初春「絶対に何かが間違ってると思います。ただの年上スキーかもしれないじゃないですか?」

御坂「そうだったら何年か昏睡させれば……!」

初春「ミサカー、発想が怖いぞー」

御坂「でも、そうね最近はこう思うの――『これ、推しと同じじゃないかな』って」

佐天「あー……なんかたどり着いちゃいけない境地に達しましたかー」

初春「別名現実逃避じゃないですかね」

御坂「まだ二人には早かったなー。あたしみたいな恋愛上級者とは違うのわよね」

初春「なんか急にマウント取り始めましたね」

佐天「確実に恋愛上級者()だよね」

御坂「こう、あたしレベルになるとね?課金すれば彼氏が出来るのよ?」

初春「佐天さんの仰る通りでしたね。あとそれは基本無料でも出来ると思います」

佐天「残念ながらその体験はないです。ガチャ回すのにお小遣いからって経験はありますけど」

御坂「でもこれは浮気ではないのよ!恋愛の駆け引きを学ぶための教材としてお布施をしてるんであって!」

初春「正気に戻ってください御坂さん。得られる経験は『最終的にモノを言うのは札束』だけです」

佐天「いや、可能性としては『やっぱ三次元ってクソだな』かも。どんな愛でも課金すれば大概叶うからね」

御坂「リアルな話をしてるのよ!アンリアルじゃなくて!」

初春「すいません御坂さん。その言い方は特定のジャンルを呼び起こしかねないので自重してください」
(※コミックアンリア○)

佐天「アンスリウムと同じだよね。どこかの県では栽培して町興しにしようとしてるのに、ググると出てくるのは別の成人雑誌っていう」
(※コミックアンスリア○)

御坂「真面目に聞いて欲しいの!」

初春「ずっと不真面目でしたよね?開幕ぶっぱが『ネコになりたい』とかいう寝言じゃないでしたっけ?」

佐天「あたしは嫌いじゃないけどね、にゃー」

御坂「確かにそこだけ聞けば『あ、コイツ頭アレだな?ケガしちゃってるな?』って思うのは当然よね。まぁ最後まで聞いてから判断してほしいのよ」

初春「伺いましょう。恐らく変らないと思いますが」

佐天「どう考えても長い長いフリとしか……」

御坂「まずその、さっきも言ったけど気になる相手から全く異性として認識されないってよくあるわよね?ねぇあるわよね?あるって言ってよ!あるに決まってるでしょ!?」

佐天「初っ端から情緒不安定です、御坂さん」

初春「いや、これは佐天さんが長いフリって言われたんでボケたんではないかと」

御坂「これは男女関係なしに、想った相手と付き合えないのって悲しいわよね。そしてまた圧倒的多数が好きな相手と幸せになれるとは限らない、それもまた現実なのよ」

佐天「振れ幅がスッゲぇですが。まぁそんなもんですよね」

初春「中学生なんだからもっと夢があっても……まぁ現実は非情ですね」

御坂「まぁ、受け入れられない理由は色々あるとの思うの。あれがダメだとかこれがダメだとか、価値観の違いだったりよくあるじゃない?」

御坂「でもだからってストーカーになったり、犯罪をしたりするのは論外よ?好きな人だったら傷つけられないし、ホンモノだとは思わないわ」

佐天「初春……割といい事言ってんだけど、これどう考えても」

初春「フリですよね」

御坂「異性として側にいられない、かといって犯罪者になってまではダメ――そう、だったらネコになればいいじゃない、って気づいたのよ……!!!」

佐天「ミサカー?そろそろ現実に戻ってこーい?そっちはお前の住む場所じゃないぞー?」

初春「しっ、佐天さん今いいところなんで!ドロォっとしたのが表面化してる感じです!」

御坂「ネコっていってもこう家猫の方よ?こう、ご主人様が帰ってきたら可愛く鳴いて甘えて、一日の疲れを癒してあげるの?それは彼女にだってできないでしょ?」

佐天「比較対象がおかしいです。彼女とネコを比較して、ネコに軍配上げた人って人類初じゃないですかね」

初春「いやー、結構いると思いますよ?先週やった爛れた愛し方ではなく、純粋に家族だって人はかなり」

御坂「他にも……ほら!なんかにゃーにゃー鳴いてればいいじゃない!職業的に!」

佐天「もしも今ネコに人権があったのなら『そんなに安い職業じゃねぇよ、ご主人ガチャやってんだよ』ってツッコんでると思います」

初春「人権ないですけどね。ネコですから」

御坂「恋人とは別れるかもしれないけど、ネコだったらずっといっしょじゃない!?一緒に旅行へ行ったりお泊まりしたり!なんだったら実家に連れて帰ってご両親に挨拶したり!」

佐天「どこまでいったってネコですけどね。てかいます?『ウチの子をよろしくね!』とかネコに言うご両親とかいると思ってます?」

初春「大分SAN値が下がったご家族ですよね。きっとネコが人の姿に見えてんでしょう。沙○の世界的な」

御坂「夫婦が離婚することはあってもネコは絶対に別れられない……!なにそれ天国じゃない!?」

佐天「すいません、そろそろ正気に戻って欲しいです」

初春「てかトリップ中に大変恐縮なんですけど、確かにネコさん好きな方は大勢おられますし、その中にはネコを家族のように」

初春「つーかまぁようにって言いますか、ほぼ家族同然の扱いする人も結構いるとは思います。佐天さんのご実家にいるイヌとかは完全にそうなんで」

御坂「――同志!」

佐天「では、ないです。ウチの子は爛れていませんから」

初春「私が言いたかったのはですね、まぁまぁペットのポジションが一部の方にとって魅力的なのは否定しません。推しっていいますか、温かく見守りたいって気持ちは」

御坂「――やっぱり同志?」

初春「じゃないです。いやまぁ優しい飼い主は適度に尊敬すべきだとは思いますけども、えーっと……あぁそれで御坂さんはいいんですか?」

御坂「何がよ」

初春「仮にペットになったとして、その推しさんが彼女さんなり奥さんなりと楽しい生活を送ってる姿を、一番近くで見続るのってちょっとした刑罰じゃないですか?」

佐天「ブラックコメディでありそうだよね。『幸せの一番近くで見られるんだけど、絶対に手には入らない』っていう」

御坂「……そうね。確かに全国のネコさんが直面してる問題といっても過言ではないわね」

佐天「過言過ぎます。あとネコさんに謝ってください!」

初春「『ぐへへへへへへへへへへへっ……ご主人hrhr』とか、家猫が考えてると分かったら半分ぐらいお暇を出しそうですよね。野良の世界へレッツゴー」
(※虐待です。ペットはあなたの家族です)

御坂「まぁ、そればっかりは仕方がないんじゃない?離婚やケンカ別れもしない反面、できないことだってあるでしょ?」

佐天「ペット目線で異性と張り合ってるのは……まぁ全人類で数名だと思います。もっといるかなぁ?いないといいなぁ?」

初春「あくまでも一説ですが、ネコさんは人類のことを『デカいネコ』だと認識してるって説が。他のペットも同じく」

御坂「想像してほしいの。あなたの推しと推しが愛した人、その間には愛の結晶と呼ぶべきものが生まれるわ」

御坂「そして、その尊いながらも無垢でか弱い存在へ対し、あたしは先達としてこう思うの――」

御坂「『――ペットって人権はないんだけど、同時に刑事事件の責任を問われない』って……!」 ニチャアァッ

佐天「コイツ……っ!?ペットの立場を利用してなんかやらかすつもりだ……ッ!?」

初春「良かったですよね人類で。発想がやや獣よりですけど」

佐天「あぁ……新しいボスになったライオンがまずするのって子殺しだっけ?将来の潜在敵なライバルを駆逐するっていう」

御坂「その結果推しと推し以外の関係がどうなろうと構わないわ!だって無邪気なペットがしたことなのだから!」

佐天「――それで?御坂さんは追放系ざまぁで適度な落とし所ってどこら辺だと思います?」

初春「一連の話題をなかったことにしたい気持ちは分からないでもないですが、その、これを放置するのは如何なものかと……」

佐天「この問題は白井さんに任せるって選択肢は……」

初春「『わたくしだってお姉様の所有物になりたいですわ!』で、ボケとツッコミが逆転するだけですかね。常盤台の始末は同じ常盤台生でやってもらいたいところです」

御坂「――で、トラックで転生できるんだったら、なんとかならないかしらね?歩道橋の上からダイブするとか?」

佐天「ミサカーいい加減にしとけよー?コンプラ的にアウツだからなー?」

御坂「いっそのことネコミミつければネコだと誤認されるかも……!」

初春「もうちょっと疑問を持って下さい。あと彼にその案が通るんだったら推しヤッベェと思いますよ。ヤバイ、ではなくヤッベェ」

御坂「……まぁ、色々言ってはみたけど現実的じゃなかったわね。あたしも無理筋っぽいのは理解してるつもりよ」

佐天「いやですから、この時点で”ぽい”って言ってる時点で闇が深めです」

御坂「飼われるのがダメなら飼えばいいじゃない……!」

初春「まぁ、そうですね。御坂さんがいいんだったらいいんじゃないですかね?」

佐天「初春……ツッコミが凄い雑なんだけど……」

初春「トラック転生にチャレンジドされるよりは、まぁこちらの方がいくらかマシですので。生きていればこそ、ということもありますし」

佐天「DKを飼うJCって将来が楽しみすぎるよね。一体何をやらかすんだって意味で」

御坂「女子校生を飼って髭を剃る話だってあるんだから、その逆があってもいいじゃない!」

初春「あれ確実におまわりさん案件なんですよね。未成年者略取という法律が日本にはありまして」
(※脅迫・強制的に連れて行くのが誘拐罪、騙して連れて行くのが略取罪。そして未成年の場合、本人の同意があっても保護者の同意なしで連れ回したらアウト)

御坂「でも合法的に話を進めるんだったら、札束で引っぱたけば大抵の無理は通る――そうだ!」

御坂「今だったら仮想通貨を買わせておいて合法的に沈めたところを救出すれば……ッ!!!」

佐天「ねぇ初春、これって何かの罪になるよね?」

初春「詐欺だと分かっていて勧めたら詐欺罪ですが……既存の証券会社を勧めて煽るのは適応外だと思います」

佐天「てか株って買った後に上がらないと意味無いよね?全体的に不況気味の中だと、流石に引っかからないんじゃ?」

初春「いえ、『空売(からうり)』と呼ばれる金融商品がありましてね。証券会社が保有する特定の銘柄の株を出資者が借り、それを売ります」

佐天「え?そんなことしたら会社が損だけするじゃん」

初春「が、この後、一定の期限内に出資者は同じ株を同じだけ買って返さなくてはならないんですよ。多少イロをつけてですが」

佐天「意味無くない?返しちゃうんでしょ?」

初春「いえ、株価というのは一定じゃなく上がったり下がったりを絶えず繰り返していまして。なので出資者が売ったときより、その銘柄が下がっていれば、買い戻す際に利益になるじゃないですか?」

佐天「つまり逆に株価が上がっていたら……?」

初春「『大変ご愁傷様ですけど、その分の差額をきちんと支払って返してくださいね☆』っていう契約になっています」

佐天「それなんて地獄」

初春「これは100%偏見ですけど、自称証券会社社員のバブリーな生活見たら、どこへ億り人の血と汗が消えているのかは一目瞭然でしてね」

御坂「――分かったわ。フロに沈む直前まで『FX戦士上条当○』をすればいいのね!?」

佐天「あれそういういかがわしいマンガじゃないです。下手なヤクザマンガよりも辛い現実が待ってますけど」

初春「戻ってこーいミサカー?そっちの道はD/L(邪神)ルートまっしぐらだぞー?」

……

土御門「なんか騒がしいんだにゃー。デスサウラ○の溜まり場とは別の場所だった筈だが……?」

青ピ「なにそれ超行ってみたいですやん」

土御門「いやぁお前が行ったらマジで危険がピンチなんだぜぃ。改心したフリしてるだけの猛獣だからな、あの連中」

青ピ「ちゅーカミやん遅ぉない?ATMで降ろしてくる言ぉてたけど、もしかしてオゴリなん?」

土御門「割と深刻っぽい顔してたぜぃ。まぁドリンクバーぐらいは奢ってもらうにゃー?その方が話しやすいだろうし?」

青ピ「下手にカミやんに奢ってもらうと、その日の夜辺りに『あぁカミやん、一食分減らしてお腹空かせとぉ?』って後味悪い過ぎるんやよね……」

上条「――おぉいたいた!ごめんな、近くのATMが襲撃されてたからちょい先まで行っててさ?」

青ピ「どこの魔界都○?いやまぁ、この街も結構あるけどもそーゆーとこ」

土御門「定期的に危機的状況に陥るんだにゃー。こないだの宇宙からの侵略者もなぁなぁて済ませてっけどもにゃー」

上条「……ごめんな?急に呼び出したりして、あ、今日は俺のオゴリだから何でも好きなの頼んでくれ」

青ピ「そんなにハラ減ってないねん。ドリンクバーだけでええよ」

土御門「右に同じだにゃー。てか俺らだけでいいか?吹寄と姫神も呼ぶ?」

上条「あぁいや二人は呼んでないよ……つーか、話の内容的にお前らしか頼る人が居なくてさ?悪いと思ったんだけど」

青ピ「そない言われとぉたらはりきるしかないわー!それでそれで!?恋の悩み!?それとも金策け!?」

土御門「なんでも言ってみるんだにゃー!カミやんが人に頼るだなんて滅多にないから弱み――もとい!俺たちはマブだにゃー!」

上条「ありがとうお前ら!実は俺――」

上条「――俺、イヌになろうと思うんだ……ッ!!!」

土御門「超ウルサイにゃー。散々引っ張っといてこのオチかにゃー」

青ピ「やんね!美人の飼い主にイイコイイコされて最期は優しく看取ってもらえるなんて人類越えてますやん!」

土御門「お前らもう結婚しろよ。そこまで話合うんだったら性別の壁以外は完璧だろ」


-終-

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