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Clock(trial)

レッサー「『イギリス探偵レッサーの事件簿〜上条当麻の過去を追え!〜』」

 
――

レッサー「『――本当にあった怖い話・人形の謎』」

上条「どういう主旨?先週から引き続き呼び出されてんだけど、持ちネタ披露するためにやってんの?」

レッサー「これは本当にあった話です――つい先日、フィギュアを買いましてね。例の『魔術サイドはいらない子ですか?』フィギュアです」

上条「まだビリビリとおっぱ×大きい子のフィギュアは発売されてない筈だが……まぁ発売された体で聞こう」

レッサー「注文が悪かったのか、それとも業者が悪かったのか。私の家には一体ずつバラけて来るって業者からメールが入りました。まぁ買えたんで万々歳ではあるんですが」

レッサー「それでまぁ先に到着したフィギュアを飾りーの、あと数日後には来るそうなのでペアで飾るのを楽しみにしながら待ち続けました」

レッサー「まぁ……何があったっちゅー訳でもないです。大して特にイベントもなく数日が過ぎたある日、ついに!楽しみにしていたフィギュア二体めが配送されてきたのです!」

レッサー「取り敢えずキレイにパッケージを破って飾りましたとも!二体並べてねっ!」

上条「開封していいのか?箱のまま飾っといた方が汚れなくね?」

レッサー「マジ話ですが箱インしたまんまだと、フィギュアの可塑剤が出まくってベッタベタになります。なので適度な換気と湿気取りはフィギュ使いにとっては常識かと」

上条「そこそこの人数いそうだよなフィギュア使い」

レッサー「フィギュア使いは惹かれ合う……ッ!」

上条「即売会とかイベントがブッキングしてるだけだよ。某運営が『あれこの人、さっきの会場にもいた?』ってデジャブが何回あったことか」

レッサー「そして向こう側も『あ、さっきの人だ』と思われるまでがテンプレですね。ともあれ、そんな感じでフィギュアをゲッツした。その、夜のことです」

レッサー「いつものように株価と長期国債をチェックした後、宿題を見なかったフリをしてベッドへ入り灯りを消しました」

上条「お前ちょいちょい嘘挟むよね?信憑性あげたいんだったら最小限にしておいた方がいいよ?」

レッサー「『あぁ明日はロシア大使館にどんな差し入れ(物理的に)をしてあげようか?』などと考え、うつらうつらしていたら――そう、何やら違和感があったんですな」

レッサー「『なんでしょ?』とケータイの電源を入れてもメッセージはなし。気のせいだったんでしょうか」

レッサー「しかし、私がつけたケータイのモニターがうっすらと室内を照らし出していました。私の部屋のフィギュアたちがボウッと浮かび上がります」

レッサー「どれもこれも思い入れがあったりなかったり、そしてその中にある二体の新顔フィギュア。お揃いの制服を着て……と!私はある事に気づいてしまったのです!」

レッサー「『――あれこれ同い年の同級生なのに、発育度ダンチじゃないですかね……ッ!!!』ってね……!」

上条「要は長文でケンカ売ってるだけだよな?なんだったら俺から伝えてやろうか?言い値で買ってくれると思うぜ?」

レッサー「まさか!まさか人気投票で一位連チャンにも関わらずこの仕打ち!公式は御坂さんに恨みでもあるというのですかっ!?」

レッサー「よりにもよって!そうよりにもよって金髪巨×頭緩めのねーちゃんなんて!平たい胸族の御坂さんには耐えられない屈辱に決まってますよっ!」

上条「あるとすればお前じゃねぇかなぁ。大抵の人が『あ、これって……』って薄々気づいちゃいるけど見て見ぬフリしてんのを斬り込んでんだよ。新撰組の斎藤○のように」

レッサー「まぁそんな訳で誤字でよく”レッツー”と書かれるレッサーちゃんです」

上条「かな入力してる人だけ……慣れれば早いんだけどな、慣れれば」

レッサー「もう御坂さんには後がないんですよ!?残されているのは『女子って気づかれるかどうか、男湯入ってレッツ・チャレンジ☆』ぐらいしか!」

上条「発想がSO○。フィクションの世界ならともかく、現実でバレなかったら問題だわ」

レッサー「何を仰いますか!?この世界では裁判所の裁判官がエ×い盗撮で捕まったりとか事実は小説よりも奇なりって言うじゃないですか!」

上条「現実にはよりフレキシブルなアホに満ち溢れているからね。例えば俺の目の前の人とか、あとちょっと前まで理事長やってた人とか」

レッサー「まぁそれはさておきまして、今回は二部構成でお送りしたいと思います。決してネタが尽きたのではないです!重要なことですから!」

上条「それは中身を見て判断したいところだが……」

レッサー「では張り切っていきましょう――『上条当麻地元伝説・第二弾』!」

上条「記憶にねぇよ。そしてあん時の俺へ対する非難はワンサイド過ぎるだろ」

レッサー「珍しく!そうあまりの惨状に私がツッコミに回ってぐらいの酷さなのにまだ認めようとしませんかっ!?」

上条「いや、だからな?こう、例えば、あー……何か後輩の子のバスケだかサッカーだかの応援に行ってのあったじゃんか?」

レッサー「『パイセンを意識しちゃったから負けたじゃないですか!』ってやつですな」

上条「それじゃシミュレートしてみようか。んではレッサーさんが放課後、呼び出されたとします」

レッサー「『ヘイヘイ、どういうことですか後輩?人気者のレッサーちゃんをこんなトコに呼び出しておいてエ×ことでも!』」

上条「演技がノリノリ過ぎる、そして学校でエ×いことするやついんのか?良くて停学、悪くて警察沙汰だろ?」

レッサー「思春期は獣と大差ないですからね。三大欲求が『性欲・肉欲・承認欲』にチェンジしてんでねぇかと」

上条「強くは否定出来ないが――『せ、先輩が応援に来たんで、俺集中できなかったっす!』」

レッサー「うわぁなんだこいつキメェ」

上条「ってなるだろ!?そうだろうが俺悪くねぇよ!」

レッサー「逆に超可愛い後輩だとしても?」

上条「だとしてもだよ。『あ、こいつ俺に気があるんだな』(ニチャアァッ)とか言い出したら、そっちの方がヤベーわ」

レッサー「もう本人に直で言ってる時点でビッグボーナス入ってますからね?7揃いの画面に入ったのに、『あ、今日はついてないな』って直帰するぐらいのアホですよ?」

上条「パチス×で例えられても知らんわ!とにかく現実を見ろよ!」

レッサー「むしろ見てねーのはあなたの方だと思いますけど。まぁいいでしょう!本日はとある筋から大量に情報を仕入れてきましたとも!」

上条「個人的には昔の俺がどんなだった知りたいけどもだ。お前『信頼できない語り手』って知ってる?探偵小説とかのトリックで使われてんだわ」

レッサー「きちんとやってきましたってば!わざわざ詩菜ママンに甘えるついでに!」

上条「母さんに変な事すんなよ?幻想よりもまずぶち殺すからな?」

レッサー「ぶっちゃけネットに流れてたオナ中の卒アルから、元同級生を特定して話を聞き、またそっから仲が良かったと思われる方に、という数珠繋ぎですね」

上条「できれば狡っ辛い手段じゃなくて魔術を使ってほしかったがな!」

レッサー「まぁでも上条さんにとっては意外な結果に終わると思います。私もまさかあんなオチがつくとは」

上条「やめろ、変なフラグを立てるんじゃない」

レッサー「問題ありませんとも!上条さんの関係者だと分からないように100均で売ってた鼻メガネを装着して行きましたから!」

上条「結果的に超目立つわ。『鼻メガネの不審人物が俺の過去を探っていった』って都市伝説になるだけだろ」

レッサー「あとバレないようにカップ入りのキャミも着ましたよ!」

上条「完璧じゃねぇか。男子だったら100%エ×いことしか考えてないからな」

レッサー「ついでにつけ乳×を計6個装着しつつ!」

上条「牛か。もしくは押切蓮○先生作品に出てくるビックリ人間か」

レッサー「では再現VTRをどうぞ!」

上条「なんで撮ってんの?口頭の説明でいいよな?」

……

レッサー『サーセン!ちょっとお話聞かせてほしいんですが!』

高校生『うわ外人だ!?』

レッサー『マジで!?サインもらわないと!』

高校生『アンタだよ。アンタっつーか、歳分かんねーな外人は!』

レッサー『海外でヤポン人が年齢不詳に見られるのと同じですな!あ、これ私のサインですが、良かったらどうぞ!』

高校生『すいません外人の方。「東方腐敗」は人名ではないです。あと腐ってますよ?』

レッサー『まぁ細けぇこたぁいいじゃないですか!それよりも工×会の会長が××手術失敗したことについてコメントお願いします!』

高校生『一介の高校生には荷が重いです。あとそれ事実とは違うので……』

レッサー『えぇと……「国会議員を義理の弟にすれば報道されない」」っと。メモメモ』

高校生『やめてくださいよ!?まさか見てるはずもないですけど人を呼びますよ!?』

レッサー『まぁ軽いジョークは成功したとしまして、おにーさん、上条・刹那・当麻さんをご存じですか?』

高校生『自信はないです。上条くんにそんな素敵なミドルネームはなかった筈』

レッサー『――フッ!引っかかりましたね!上条の名前に反応してしまった、それがあなたのミスだと知りなさい!』

高校生『すいません、登校途中で少年探偵みたいな詰め方をされても、その、困ります』

レッサー『で、本題なんですけど、上条当麻さんの昔の素行ってどうでした?』

高校生『……そういうアンタは上条とどういう関係?』

レッサー『あぁ怪しいものじゃないですよ!異世界転生しておきながら「転生三点セットをあげるのじゃ!」とか宣う神様ぐらい怪しくないです!』

高校生『ほぼ敵だね』

レッサー『ったく信用でないですなぁ。あー、ほら上条さんがロシアで見切れた放送事故って知ってます?』

高校生『超バズったよ。何やってんの上条って同級生全員がツッコんだと思う』

レッサー『その動画か画像って今もお持ちで?』

高校生『女子は持ってるかもだけど、俺が持ってたら気持ち悪い――あ、これか仲間内の画像で回ってきたやつ』 ピッ

レッサー『あぁこれですね。んでこの後ろに注目してくれません。ほーら上条さんの肩の所に手が!』

高校生『このアングルだと下にいる女の子がやってるのは丸わか、り……?』

レッサー『なーーーーーーーうっ!!!』

高校生『あ、上条と一緒に写ってる子だ!?アンタもロシア行ったんだ!?つーかなんで上条あんなとこ行ったん!?』

レッサー『まぁまぁあまり詳しくは機密に触れるので言えないのですが、言えるところだけを当たり障りのない範囲でお教えするのならば――』

レッサー『――”ほぼ陸路で、私がパクった自動車だった”と、だけ……!』

高校生『手段は聞いてない。興味のあるなしでいえばあるけど……』

レッサー『さぁ選ぶのです若人よ!このまま上条・S・当麻についてゲロするのか、それともこのまま学校へ行くまで「荒城の月(※ラップバージョン)」を歌いながら着いていくかお選びなさい!』

高校生『凄い迷惑。でもちょっと聞きたいなラップバーション』

レッサー『「おーまーえーはーアーホーか○」』

高校生『誰が知ってるのかな?横山ホットブラザー○が荒城の月を持ちネタにしてるって誰が「あぁ知ってる!」って言うと思うの?』

レッサー『さぁチャッチャと答えてもらいましょうか!これ以上通学路で恥ずかしい思いをしたくなければね!』

高校生『あんたが上条の関係者だってのはよーく分かったわ。そういややたら騒がしい女子とかいたっけか』

レッサー『ほう!?そういうのを詳しくお願いしますよ!?どんなオスガ×でしたっ!?』

高校生『女子だよ。男もいないことはいなかった、かな?でも彼女はいなかったはず』

レッサー『でもカレシはいたと?』

高校生『アンタ調査しにきてないよね?さっきから決め打ちが露骨』

レッサー『もしくは特定の誰かはおらず、取っ替え引っ替えだったとか?』

高校生『そんかな性格だったらもっと良かったと思う。直の知り合いじゃないし、ほとんど話したこともないんだが……不憫?可哀想?』

レッサー『不幸、ではなくてですか?』

高校生『前にコクってるのを見ちまったんだけど、上条はなんかスルーしてた感じ?「お前それ勇気出して言ってんだよ!」的な?』

レッサー『分かります分かります。あのニブチ×チ×には直で言わないと分からないでしょうしね』

高校生『チンが不自然に一つ多い。まあ、それだけだったら「上条ってイヤなやつだなー」みたいな感じになったんだろうけど……』

レッサー『けど?なんです?』

高校生『フラれた女子が尖鋭化してって、イジメっぽい事を……』

レッサー『あー……無口な悪いツンデレですか』

高校生『まあ中学生だし、もっとこうやり方はあったと思う。今から考えれば』

レッサー『ちなみにあなたさんは上条さんについて如何お考えで?』

高校生『噂では酷いもんだけど。前に体育祭の時、一人で片付けしてたら手伝ってくれたんだよ。、クラス違うのに』

高校生『俺の中じゃ「なんだこいつバカだなー」ではあるが、イヤなやつでは決してない』

レッサー『ぐぬぬぬぬぬぬ……!陰口の一つでも聞けるか思えば友情エンドのフラグおっ立てやがってますね……!』

高校生『だから違うわ』

レッサー『あ、でも悪い噂はあったんですよね?』

高校生『噂だけね。夜出歩いてるのを見たとか、ヤンキーと一緒してたとか。あんまり良くない感じの』

レッサー『まぁそれぐらいは別にあってもおかしくはないでしょうけどね』

高校生『中には「陰陽師みたいな格好の人に絡まれてた」とか、「ブギーポッ○と一緒にいた」とか』

レッサー『あ、それはホントのヤツですね』

……

レッサー「『結論――上条当麻の地元はツッコミ力が高め』」

上条「まぁ、そうな!モブなのにやるなぁと思って感心してたわ!」

レッサー「なんかイジメっぽいことなっていたようですが、ご感想は?」

上条「だから覚えてねぇんだよ。嫌な記憶だったらそれもアリだとは思うが」

レッサー「まぁ加害者がある意味被害者である可能性も否定出来ないんですが……まぁ、さておきまして。こんな感じで何人かに聞いて回りました」

上条「お前ヒマなの?もっと他にやることねぇかな?」

レッサー「最近は『ファシズムの世界にお帰りなさい!』ってドイツ大使館を煽るのを趣味にしています」

上条「国際問題になるからやめろよ。えっと、まぁ言いたくなる気持ちは分からないでもないが」

レッサー「まぁ基本皆さん口を揃えて、『上条は悪い噂があった、しかしそんな人間では決してない』とのことです」

上条「おぉ!悪い噂が引っかかるけどなんか嬉しいな!」

レッサー「中には女子の対応で好感度低めな方もいましたが、少なくとも理不尽な嫌われ方はしてなかったようです。恐らく直接接触があったかどうかの違いなんでしょうな」

上条「ありがたいっちゃありがたいが……噂、うん。俺なんかやってたのか?」

レッサー「ちなみにここまで『”噂”はあったが、実際に”見た”』って証言が皆無でしてね。レッサーちゃんも『なんぞこれ?』と首を傾げていたのですが」

レッサー「つーかむしろ……あぁこれは動画見た方が早いですね。証言その二、どぞー」

……

レッサー『目を覚ましなさい娘よ……今、あなたの脳内に話しかけています……』

中学生『突然怖いです。てゆうかここただの道路なんですけど』

レッサー『かくかくしかじかこういう感じで調査しているCIAのモンなんですが、今どんなパンツ履いてます?』

中学生『どうしようし不審者だ……!しかも外人の方!』

レッサー『ハイクを詠め!カイシャクしてやるぞ!』

中学生『それコッテコテの日本人が原作者……というかまぁ、全てを含めたネタっていうか』

レッサー『トリック・オア・トリート――そういえば昔「とり×と○」ってゲームがありましてね。如月○さんが主演なので買わざるを得ないとどっかの運営が』

中学生『生まれる前ぐらいのエ×ゲーの話をされても……』

レッサー『さぁ吐いてもらいましょうか!あなたが上条当麻さんと昵懇なのはある筋から聞いております!下手に隠し立てすると、あなたのご実家の周囲で不審火が相次ぎますよ!?』

中学生『脅し文句が外見に反してエグいね!?……あぁでもなんか上条先輩の関係者って感じがする!』

レッサー『いやそれが関係を持とうしてるんですが、頑なに拒むんですよあの童×』

中学生『知らないけど……てゆうか上条先輩と一緒に写ってた人だ。へー……』

レッサー『一緒にあいの○した仲でもありますな。戦火の中をドナドナされていった感じで』

中学生『Lin○で回ってきた変質者情報と一致』

レッサー『――おぉっとどこにそんなけしからんヤツがいるんですか!?天が許してもこのレッサーちゃんが許しませんよっ!?』

中学生『「エラくノリのいい外見だけはいい外人」』

レッサー『意外と正確な情報流しやがりましたね』

中学生『えぇと……それでなんであたしのとこにまた来たんですか?』

レッサー『上条当麻さんと仲が良かった女子を辿っていったら、その捜査線上にあなたのお名前がありましてね。実のところ、どうなんですか?D×は実はエアD×だったり?』

中学生『それは知らないけど……あたしが仲良ったのはデマだと思うよ。ほとんどお話ししたことないし?』

レッサー『ありゃマジっすか?だったらデマつかまされましたね――一番近いところのゴミ捨て場の場所を検索っと』

中学生『っていうのは嘘で仲良かったよ!』

レッサー『やだなーもージョークがキツイですなー!』

中学生『接点がほとんどないってのは本当なんだけど……』

レッサー『しかし周囲からはそう見られてなかったって事ですな。心当たりはおありで?』

中学生『前に……部活の帰りが遅くなっちゃったとき、変な人に追いかけられて』

レッサー『その話を詳しくプリーズ!一体どのような×的××を加えられたのですかっ!?』

中学生『加えられてはないよ!怖かったけど!っていうか助けてもらったから!』

レッサー『つまり――その変な人が上条さんだった、と?』

中学生『日本語上手いのに文脈を理解するのすっごい下手だね。大体分かりそうなもんじゃん?「あ、これ助けた方だな」とかって?』

レッサー『だって上条さんですよ!?「初見は悪者なのに実は……」ってパトゥーンアリだと思います!』

中学生『フィクションの世界ではね?大体まぁ外見がヤバイ人は内面もヤバイから』

レッサー『あぁそれは完全そうとは言えなくてですね。リアルなシリアルキラーの中でも、サイコパス属は「非常に社交的でコミュニケーション能力に長ける」っちゅー特徴が』

中学生『中学生相手に語る?』

レッサー『――はい、っていうことでここで告知があるそうなんですが!』

中学生『どういう世界なの!?先輩について聞きたいんじゃなくて!?』

レッサー『いやなんかお腹イッパイですわ。私は上条さんの悪いところをピックアップしに来たっていうのに!どいつもこいつも陰口の一つもないじゃないですか!?』

中学生『最低か』

レッサー『もう、こうあるでしょーが!?思春期特有のドロオォッとした感情が!リビドー8割ジェラシー5割ぐらいのヤツ!』

中学生『あなた、中身は40過ぎたオッサン入ってない?入ってるでしょ?流行りの転生かTS転生で』

レッサー『噂は聞こえてくるのにも関わらず悪口はなし!もっと私を楽しませてくださいよ!ねえぇっ!?』

中学生『本当に最低か』

レッサー『しかし妙ですね……?伝言ゲームのように噂は広がっているのに、肯定する人間が皆無っちゅーのは引っかかります。これだけ大勢に聞き込んでんですから、一人ぐらい――』

レッサー『……』

中学生『ど、どうしたの?』

レッサー『あなたさんは上条パイセンに助けられたんですよね?まぁマジモンの汚っさんかはさておき』

中学生『怖かったよぉ。あのあとどうなったのかは分からないけど』

レッサー『それでこう、お礼の一つもしなかったんですか?せめて「あざーす」的な言葉だけでも』

中学生『え?きちんと伝えてもらったよ?できれば会って直接言いたかったんだけど……』

レッサー『ど?』

中学生『「私が言っておくよ!」って言ってたし、それっきり』

レッサー『……成程成程。そういうことでしたか――謎は全てじっちゃんの灰色の脳細胞にかけてマルッとスキトキメトキ○!』

中学生『最後の何?探偵ものがキメラになってるのは分かったけど……』

レッサー『噂だけで語られる素行、対峙した人間からの評判、そして現れた第三者の影――』

レッサー『――この証拠から導き出せる答えは一つ……ッ!!!』

……

上条「いつも言ってんだろ。『さすがの猿○』のOP曲なんて誰が知ってんだよ」

レッサー「文句言いつつも拾ってくれるんですよね。ヤポンネタだから通じると思ったんですが」

上条「てかいつの間にミステリー風になってんだよ」

レッサー「いや、おかしいじゃないですか!このぐらいの年頃だと私の前で上条disしようとペラペラ盛ってくれそうなのに!」

上条「まぁそういうお年頃なのも否定はしないが……」

レッサー「ではここまでの疑問点を整理しましょう。まず第一の疑問、『不良の噂』ですね」

上条「あんまり実感ねぇなぁ。ヤンキー、つーか浜面みたいなのとも友達だったりするけど、悪さしたりはしない……と思う」

レッサー「まぁ日本の中学生時代のお話ですからね。精々ケンカしたとか夜出歩いてたとか、その程度のレベルでは?」

上条「どうだろうなぁ?一世を風靡したヤンキー漫画全盛期でも、リアルな学生が殴りあってた訳でもねぇしさ」

レッサー「てか上条さんの性格上、悪い噂が先行すると思います?ヘタレだったらともかくとして」

上条「ヘタレは余計だが、俺もそう思うわ。てかんな度胸ねぇよっていう」

レッサー「続きまして第二の疑問、『実物は意外と良い人説』ですな」

上条「何か特にやってるつもりはないけども」

レッサー「これに関しては恐らく事実だと思われます。クラスメイトに同級生から『不良?んなこたぁねーよ』的な回答を得ていますので」

上条「となると、誰かが噂が流してたって事か?なんつーかヒマっていうか、嫌われてんだなぁ」

レッサー「そして三つ目の謎、『フラグ立ってるのにスルー』!私的にはもっとこう掘り下げて猛省してほしいところですが!」

上条「覚えてねぇよ。あとなんかお前は考えすぎなんだよ」

レッサー「いえそっちではなく。『何かトラブルに巻き込まれたけど上条さんに助けてもらったよ』って証言がそこそこ出てきました」

上条「ふーん?じゃあますます誰かが噂流したって話になっちまうよな」

レッサー「勿論そっちの可能性も高まるんですけど、私は対人間関係について疑問を覚えましてね」

上条「オイオイ誰が薄っぺらい人生を送ってるっていうんだよHAHAHAHAHA!!!」

レッサー「ご自覚があるのがまた悲しいです。定期的に入院されているのに『あぁまた上条か』で誰もお見舞いに来ないんでしたっけ?」

上条「み、みんな忙しいだけだから!上里が来た時にアッサリ掌返したとかじゃないから!」

レッサー「苦労されてますよね。オヤジの因果が子に報い、だとは思いますが……ともあれ。例えばの話、上条さんは誰かに助けられたらどうします?」

上条「まずは『ありがとう』だろ?事情によっては『コレつまらないものですが……』みたいにお礼の品持って行くとか」

レッサー「中学生ぐらいでそこまでしっかりとしてるかは横に置くとしまして、まぁ普通はお礼を直で言いますよね?礼儀として当然っちゃ当然の話です」

上条「そうだな。感謝したいって気持ちもあるけど、ケジメもつけたいって思うよな」

レッサー「ですよねぇ――が、しかし。しかしですよ?私がインタした方の殆どが上条さんご自身へお礼を言ってないとしたら?」

上条「へー……え?大したレベルでもないヘルプだったって話じゃね?その場で『あざーす』みたいな」

レッサー「乱闘も含めて結構重めのもありましたね。下手すれば大ケガか少年院直送ぽいのとか」

上条「……そいつらが薄情だった、とか?」

レッサー「話聞きに行って喋ってくれた上、『元気してんの?ケータイ知ってる?』っていうぐらいには上条さんに恩を感じてらっしゃいました」

上条「……ますますよく分からん。どゆうこと?」

レッサー「――全てのパズルのピースは揃いました!では解決編、どうぞ!」

……

???『……』

レッサー『えー、あなたが犯人だったんですぬぇー』

???『絶望的に似てない古○のモノマネ』

レッサー『ヤッベェぐらいに質落ちてた大○なのに、現代台詞を取り入れてゴミのようなクオリティになりましたよねぇ』

???『本題は?私、暇じゃないんだけどな』

レッサー『では前置きはこのぐらいにするとしまして――謎は三つありました』

レッサー『一つは”悪い噂”――しかしこれは噂であり、肯定する人間がごく少数でした』

レッサー『二つめは”意外と本人良いヤツじゃん”――直で会った人達はほぼ肯定し、私がネガな方へ煽っていたにもかかわらず、誰も乗ってきませんでした』

レッサー『よって二つ目の謎は事実なのは間違いないでしょう――そして三つ目の謎、”助けた人間がそこそこいるのに対人関係が希薄”、ですか?』

レッサー『これ――あなたの仕業ですよねぇ?』

???『何を……言っているのか分からないよ』

レッサー『宜しい。では仮の話、あなたが誰かに、例えば上級生に助けられたとしましょう』

レッサー『しかもそれはやや重め、タチの悪いストーカーや暴力事件、特にはイジメも含めて大変な恩を受けました――さて、どうします?』

???『普通だったらお礼を言うんじゃないかな?言わなかったら、そうきっと人間性に問題があるんじゃないかな?』

レッサー『そこは私も同意しますね。全員が全員そうだった可能性もゼロではない、が、しかしですよ?』

レッサー『接点の薄い相手ですが、その方に近しい立場の人間が別にいたらどうです?友人だったり部活の後輩だったり、色々関係はありますよねぇ』

レッサー『”””普通”””であれば、本人へ直撃する前にその方へ聞いたりするしません?ワンクッション置く形で?』

???『……まぁ、そういうこともあるかもね』

レッサー『てか直接聞いてますからね――”お礼を伝えたいと頼んだ”ってね』

???『それで?その子はなんて?』

レッサー『”気持ちは受け取ったから言いに来なくて大丈夫だよ!”と。数日後にはほぼそのテンプレでお礼参りという名前のフラグはへし折られていきました』

???『その人にとっては大した事じゃなかったんじゃないの?だからお礼なんていいよ、みたいなね』

レッサー『かもしれませんが――てか、上条さんの悪い噂を流したのもあなたですよね?』

???『……話題が変ったよねぇ?』

レッサー『いいえ変っていませんとも。これは全て計画的に練られたフラグブレイカー事件だったんですよ……ッ!!!』

???『一応、うん、一応は聞かせてくれるかな?妄想としては面白いかも』

レッサー『まず私は誰が噂を流したのか考えました。フラグをへし折られた女子?――それは、ノーです』

???『どうして?嫉妬に狂った女の子って怖いんだよぉ?』

レッサー『手段はともかく、ご本人が関係改善はしたい以上、下手に悪口を言ってるのを聞かれたら全部終わりますからね。よってその線はない』

レッサー『では上条さんを嫌う方でしょうか?――それも、ノーですな』

???『ありそうだけとなぁ』

レッサー『嫉妬にやっかみ、当然あるでしょうし、私もあのアホが刺されたら祝杯を挙げたいぐらいにはアレですが。しかし場所がなんといっても中学という狭いコミュニティでの話』

レッサー『間接的に上条さんへ偏見がない人間がやたら多く、かつ助けられた人間もそこへ加われば噂なんて一蹴されるでしょう?』

レッサー『……まぁ、やってないことはないでしょうが。ここまで広がりをみせるのはおかしいと思いませんか?』

???『じゃあ、誰が』

レッサー『だからあなたですよ――乙姫さん!』

乙姫(???)『私が?なんで?おにーちゃん大好きなのに?』

レッサー『好きな相手だから誉めるしかない、嫌いな相手ならば貶すしかない、っちゅー訳ではないですよねぇ。その逆もまたしかり』

レッサー『ありがちな話で恐縮ですがライバル蹴落とすために、みたいな話はありますよね?』

乙姫『へぇ、面白いねぇ?続けて続けて?』

レッサー『助けられたパイセンがいて、かつあまり素行が宜しくないとの評判がある。これはどうしたものか、と思いついた先に行くのが従妹のあなたという存在ですよね』

レッサー『まぁ見事にあしらわれたのですが……あなた、本当に上条さんへ報告していました?握り潰したとかではなく?』

乙姫『やっだなーそんなことする訳ないじゃない。ちゃんと私はおにーちゃんへ伝えたよ?なんだったら聞いてみればいいんじゃない――聞けるんだったら、ね』

乙姫『てゆうか悪い噂を流してたのもレッサーちゃんの想像でしょ?証拠がある訳じゃないんだよね?』

レッサー『全ての真相は闇の中、ということですか。ちっ、中々いい性格してやがりますねこのアマ』

乙姫『お話がそれだけだったら、今度は私から聞きたいんだけどぉ――』

乙姫『――当麻おにーちゃんを、ロシアへ連れて行って危険な目に遭わせたのは、あなたってことかなぁ?』

……

レッサー「――以上、レッサーちゃんの事件簿その一でした!」

上条「怖っ!?なんだこの結末!?このあとどうなったんだよお前ら!?」

レッサー「え?なんだかんだで意気投合したんでカラオケ行って連絡先交換しましたけど?」

上条「アホなのかな?いやまぁ知ってたが!お前の良心が人類の枠越えてるってことは!」

上条「……てかこれ、どこまでマジなの?本当に俺の従妹が情報操作やりやがってたって話かこれ!?」

レッサー「何分事件の中核を知る人物が頭アッパーになっていますので、これ以上は何を言っても憶測になるかと……」

レッサー「ただ私の感触だと、上条さんへお礼を言いたい人達をガードしてたのはやってる感じでしたね。悪い噂は、多分違うんじゃないかなぁと」

上条「動機はあるけど……従妹自ら流したら怪しまれるからな」

レッサー「ですが学校裏サイトの匿名掲示板もあるんで、不可能って訳でもなく」

上条「あの子はやってない!やってないよ!何故ならばこの先も親族の冠婚葬祭でちょくちょく顔を合わせるだろうから!」

レッサー「ってとこが落とし所ですかねぇ。強攻策が取れれば解決できたんですが」

上条「強攻策?」

レッサー「一人一人噂の出所を暴力で吐かせていけば、きっと……!」

上条「もうお前がサイコパスだわ。そんな発想ねぇもの普通の人は」


-終-

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