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Clock(trial)

放課後綺譚 体験版(テキスト)


※お知らせこの物語はフィクションであり、実在の個人・団体とは一切関係はありません。
また開発中につき、立ち絵並びにイベント、選択肢など実装されていない機能が御座います
では、『放課後綺譚 体験版』をお楽しみ下さい


上条(いやぁ……疲れた。つーかずっと寝てたような気もするけど)

上条(ま、でも平和が一番。何ごともないんだったらいっか)

上条「……」

上条(……若者の発想じゃねぇよな、うん)

上条(さてさて、今日はスーパーで何買うんだっけ?プリキュ○バナナ?)

上条(つか、あれファン目当てでやってんのかな?制作がネタに走ってる気がするんだけども)

佐天「かっみっじょーーーさぁぁぁぁぁぁぁぁんっ!」

上条「……はい?」

佐天「はぁいっどぉもっ!こんにちわっです!」

佐天「皆さんのっ、みーなーさーんのぉぉっ!佐天涙子!佐天涙子をヨロシクお願いしまっす!」

上条「落ち着こう?なんか選挙演説みたいになってるから」

上条「つーか君がテンション振り切ってると碌な事がねぇんだけど、主に俺が」

佐天「あ、上条さーん、偶然ですねー?」

上条「そっかな?俺には君がスンタバってたようにしか思えないんだけど」

上条「特に俺が校門出た瞬間に捕まえるって、どう考えても待ってたよね?」

佐天「まーまー、細かい事は言いっこ無しですよぉ。あたし達の仲じゃないですか?」

上条「……いや別に、関係も何も。タダの知り合いの知り合い繋がりじゃなかったっけ?」

佐天「まぁまぁそんな事より、今日はご相談的なものがありまして――」

佐天「今、ぼっちですよね?」

上条「聞き方が違うだろ!?つーかそれ頼み事ある奴の台詞じゃねぇっ!」

上条「もっとこうホラ!『お一人なんですか?』的なのあんじゃんか!?」

佐天「いやー、それはホラ、本当にぼっちだったら悪いじゃないですか?」

佐天「だからこう!先制攻撃かまして相手が凹んでいるウチ、こっちの約束聞かせちまえ的な?」

上条「今君悪いって言いながら、自分の都合だけ優先してるよね?」

上条「それぶっちゃけ、何も配慮してねぇんじゃねぇかな?」

佐天「あ、それじゃ結婚しますか?」

上条「話飛びすぎじゃねぇかな?どう考えてもその流れはないよね?」

上条「つーかさっきから話もボケも飛び飛びで、パスタ食ってんのかって不安になるんだけど」

上条「そろそろ本題に入って貰って構わないかな?」

佐天「でっすねー、ここでお話してるのも嫌いじゃないですけど」

佐天「でわでわ本題ですっ!やったねっ!」

佐天「じゃまずはウチの両親に挨拶ですかね?夏休み前までにあたしから話しておきますんで、はい」

佐天「娘のあたしが言うのもアレなんですけど、基本良い人なんで問題はないと思いますし」

佐天「後は……あぁお姉ちゃんっ娘の弟がいますけど、まぁそれはノリでなんとかいけますって!」

上条「佐天さん、それ婿入りの話じゃねぇかな?いつの間にそうなっちゃったの?」

上条「本題じゃないよね?何となくノリで言っただけのボケを押すってどういう事?」

上条「てか君、弟さんの事『お姉ちゃんっ娘(こ)』って言わなかった?」

佐天「――はい!ここでクイズの時間ですっ!」

上条「佐天さん、『人目』って単語知ってる?ここ結構、俺の知り合いとか通るんだけど」

上条「唐突にボケるのは今更だけど、いい加減俺の外聞的なものをだな」

佐天「問題!以下のキーワードから連想出来る単語を答えよ!」

佐天「1.お下がり、2.姉、3.デジカメ」

上条「それ、弟さんに自分の古い服着せて遊んでたってだけじゃ……?」

佐天「正解はあたしの実家で両親に挨拶する時に発表しますっ!!!」

上条「それ人生詰むよね?ノコノコ回答知りに行ってる時点で罠だもんね?少し興味はあるけどさ」

佐天「正解した上条さんにはもれなく三歳下の彼女が出来まーすっ!」

上条「グイグイ押してくれるのは止めてくれるかな?俺限定でネタにするのも止めて欲しいんだけど」

佐天「でっすねー、ネタだと良いですね−、はいっ」

上条「……いやいや、つーか違うよね。そうじゃなくってだ」

上条「わざわざウチの学校まで来たのは、そのボケするためだったの?」

佐天「いやまぁ?別にここで終わってもいいなー、的な」

上条「話進まねぇから、もうちょっと頑張ろうぜ!あと少しだけだから!」

佐天「ここでさっきのぼっちの話に繋がるんですけど」

上条「ぜ、全然ぼっちなんかじゃないしぃっ!?たまたま今日はみんな用事あるだけだしぃ!?」

佐天「いやいや、傷口に塩塗るつもりはなくてですねその、それ多分あたしのせいです、えぇ」

上条「……はい?どゆこと?」

佐天「まぁまぁ詳しい話は戻りながらにしましょっか。多分皆さんお待ちですしー?」

佐天「大した話じゃないんですよ?えぇもぅ全然全然?」

上条「君のその表情は何か企んでいるようにしか見えないんだけど……」

佐天「まぁアレですね、要は――『怖い話』、ですね」

佐天「余談ですが、カレカノになったらぼっちは避けられますよー?」

上条「佐天さん、いい加減にしよう?主に都条例的な意味で」

佐天「……チッ」



――放課後 教室

上条「って、俺のクラスだよな?」

佐天「いやいや、歩いててわかるじゃないですか」

上条「まぁ、そうなんだけど。ゴールとスタートが同じとは思わねぇじゃん」

青ピ「お、カミやんまいどー。後輩さん迎えに行くにして遅かったですやん」

上条「あれ、お前用事あるつってなかったっけ?」

青ピ「あるぇ……?」

青ピ「言いませんでしたっけ?放課後にみんなで集まるー、いうイベントあるって」

上条「お前かあああああああああああぁぁぁぁぁぁっ!?」

上条「もしかしてお前が情報止めやがったのかよっ!?」

青ピ「ま、待ちぃなカミやん!?ボクじゃないですし!」

佐天「あ、すいません、それあたしでーす」

上条「反省の色がこれっぽっちもねぇなチクショウっ!?」

佐天「なんか、ドッキリやった方が良いリアクション貰えるかな、って」

上条「あぁもうドッキリしたさ!『友達ってなんだろ?』って考えそうになったさ!」

佐天「だが反省はしていない……ッ!!!」

上条「うん、知ってた。出来れば知りたくなかったけど」

上条「つーかさ、廊下歩いてて聞けなかったんだけど、今回の企画って何?どんな無茶ブリをさせられんの?」

佐天「いやですよぉ、無茶ブリだなんて。あたしがそんな酷いする訳ないじゃないですか?」

上条「自覚しよう?君はまず反省以前に、自覚する所から始めような?」

佐天「カミジョーマン!助けて、カミジョーマンっ!」

上条「やってるじゃない?今まさに俺に振ってるじゃない、無茶ブリ!?」

上条「ってかカミジョーマンって何?俺上条って言われんの20年近いけど、”マン”言われるのは初めてだからね?」

佐天「説明しようっ!カミジョーマンとは困った時にやってくる、正義のヒーローなのだ……っ!」

上条「この空気をどうにかしてほしいんだけど、カミジョーマン来てくれないの?もしかして有給?」

佐天「大丈夫!勇気を出して!」

上条「えー……やるの?マジで?俺が?どう考えたって大ケガしかしねぇと思うんだけど」

上条「じゃ、まぁ――うん!かかってこい!」

佐天「カミジョーマン!助けて、カミジョーマンっ!」

上条「――とおっ!」

上条「やあ、私がカミジョーマンだよ(キリッ)」

佐天「あ、すいませんそういうの間に合ってるんで、はい」

上条「じゃあなんで振ったの!?カミジョーマン呼んじゃったの!?」

上条「おかしいよな!?俺頑張ったじゃない!恥ずかしいのに頑張ったじゃない!」

上条「カミジョーマン登場してから、どう動くか考えてたのにそれも無視かっ!?つーかなんで振った!?」

上条「っていうか有り得ないだろ!無茶ブリ振っておいて、ハシゴ外すにもいい加減にしないと!」

佐天「いやでも明らかに、『振るなよ?絶対無茶ブリなんかするなよ?』みたいな空気あったじゃないですか?」

佐天「あたしはどっちかって言うと、空気読んだ方かと。ダチョウ的な意味で」

上条「いらねぇよ?日常会話でそうそう空気読まねぇからね?」

青ピ「あ、あんのー……?」

上条「あん?」

青ピ「君ら、もしかして――付き合ってますのん?」

上条・ 佐天「「ねぇよ!・はいっそりゃもうっ!」」

青ピ「……なんかもう帰りたくなってきたわ……」

上条「そりゃ俺だって帰りてぇさ!つーか何なんだよ!?何なのこの企画!?」

佐天「まぁ、アレですね−。怪談ってあるじゃないですか?『学校の怪談』的なの」

佐天「『花子さん』、『テケテケ』、『赤マント』……」

佐天「他にも『動く人体模型』に『一人で鳴るピアノ』とか」

上条「まぁ定番だよな。俺でも知ってるし」

佐天「でもやっぱり怪談だって日進月歩!人が居ればそれだけ新しいバリエーションが出来ます!」

上条「バリエーション言うな新種のお菓子じゃねぇんだから」

佐天「だからこの不肖佐天涙子っ!そういった綺譚を収集しようと思いますっ!」

上条「……はい?いやいや、主旨は分かったけどさ。嫌っつーほど」

上条「つまりアレか?『怖い話知ってる暇人集めて話聞こう』って企画か?」

佐天「でっすねー、大体合ってます」

上条「俺、怪談なんて知らないんだけどさむしろ詳しくない方だよ」

佐天「いやいや、だからいいんですってリアク――司会兼カメラにピッタリじゃないですか」

上条「なんか今気になる単語が聞こえたんだけど。何?前みたいにカメラ回せばいいの?」

佐天「宜しかったら、ですけど……ダメですかね?」

上条(そう言い彼女はおっかなびっくりと俺を伺う)

上条(いや、まぁ?大体ここまでついてきてる以上、このまま帰るつもりはないんだけどな)

上条(けどさ、なんかこう即答するのもアレだから、少しだけ勿体ぶって俺はこう答えた)

上条「あー……まぁ、仕方がないか」

上条「今日は別に何も予定もなかったし?ま、少しぐらいだったら」

佐天「チョロいですねっ!」

上条「違くないかな?そこは感謝の言葉を言おう?」

上条「自分でも『甘いな』って思っては居るけど、最低限の礼儀ぐらい持とう?」

上条(……ま、どっちが上手か、ってのはまた別の話か)

佐天「まぁ、そんな難しく考えないでも大丈夫ですよー。別に上条さんに話して貰おうとか、無茶ブリしませんので」

上条「カミジョーマンは?あれ確か数分前の出来事だよね?」

佐天「集まって貰うのは、7人!」

佐天「あたし、青ピさん、土御門さん」

青ピ「青ピて!?」

佐天「いや、そういう風に聞いているんですから、コレばっかりは」

佐天「あぁっと、どこまで話しましたっけ?」

上条「カミジョーマンが来たぐらいまで?」

佐天「だからあたし、こう言ってやったんですよ!――『あなたが正義を守るのであれば、その正義は誰が決めるの?』って」

佐天「『そんな独りよがりの行為であっても、救われた人はどう思いますか』って!」

上条「ごめんなさい無茶振りしたのも、見事に捌いてるのも分かったら」

上条「戻ろう、本題へ?本題の途中で突っかかってると、いつ帰れるかわっかんないから、ね?」

佐天「今言った三人に加えて、姫神さん、吹寄さん、小萌先生ですね」

上条「一人少なくない?予定じゃ七人だよな?」

佐天「あー、その方はちょっと来れるかどうか分からないみたいなので」

上条「誰?ウチのガッコの面子だったら黄泉川センセ?」

佐天「さぁ?」

上条「把握しとこう?せめて面子ぐらいはなっ!」

佐天「あー、いやいや。違います違います」

佐天「最初は六人の予定だったんですけど、土御門さんにお願いした時、『じゃ、もう一人連れてくるぜぃ?」と」

佐天「だもんでいらっしゃるまでは、誰が誰だか、はい」

青ピ「またアバウトやなぁ……」

上条「らしいっちゃらしいけど。ま、最悪妹さん引っ張ってくんじゃねーの?」

青ピ「妹!いいと思います!」

上条「マジで殺されるから、あんまはしゃがない方がいいぞー?」

青ピ「愛に死ぬのもまた一興……!」

佐天「そして新しい学校の怪談が誕生!素晴らしいリサイクルですね!」

上条「どっちかっつーと自作自演臭がするけどな……」

青ピ「知ってるかい、カミやん?花子さんって――女の子やねんで?」

上条゜うん、俺お前のそういうブレない所は尊敬するけどな?」

上条「でももうちょっとでいいから、フィクションだって気づいてあげて?ね?」

佐天「まー、そんな感じですかねー。今日一日で全部終わらせる必要もありませんし?」

佐天「特に今日は人が少ないですから。いる面子からちゃっちゃとやっちゃいましょうか」

上条「だな。それじゃ誰から話す――?」

佐天「では、あたしから始めさせて頂きます!あぁ中等部の――って自己紹介は今更ですかね」

佐天「あ、すいません今のチョッキンして貰えます?一応18歳以上なのに中等部はマズいですよねー」

佐天「そういう話じゃねぇ?まぁまぁつかみじゃないですかっ、別に少しぐらいボケたって、ねぇ?」

……

それで中等部の話、そうですねーこれは中等部に上がってからのお話です

皆さんは進級とかってどうです?あたしは割と好きな方です、ちなみに

幼稚園から小学校に、小学校から中学校に、中学校から――ってな感じに職場というか環境が一変しますよね?それの話

社会に出てからも同僚さんは変わるでしょうし、中には転々とされる方もいるかも?まぁそれは置いておきましょう、えぇ

でも中には中々なじめない子とかいますよね?前の環境と全然違っちゃったり、友達と離れちゃったり

ゼロから人間関係を始めるとすれば、それはそれで大変なのかも知れません。個人差なのかもですけど

この話はそんな子が主人公のお話、そうですね――仮に『U子さん』としましょうか

彼女が中学生になった頃の出来事です

彼女にはとても仲の良い女の子がいました。そうですねー、仮に――『Sさん』ですかねー

小学校から仲良くしていたU子さんとSさん、彼女達はとても仲が良かったです

どのぐらい……んー、そう改めて考えるとそうですねー

ぶっちゃけ「結婚しようかマジで考えていた」ぐらいで――あぁいやいやっ!違いますって!

「嫌いじゃない!」とか言わないで下さい!割とそっち系のネタはあたし的にもお腹いっぱいなんですから!

……いえあの、そういう事ではなく、なんて言うんでしょうねー?

こう、子供が「ずっと一緒にいようね?」って約束するじゃないですか?あんな感じで!そう!ピュアな感じですよ!

……ま、でもそういう子供の頃の約束って、はいあんまりー……っていうか、殆ど守られないですよね?

当人同士は大真面目でも、どうやったってですし?片方が守ろうと思っても、もう片方には通じなかったり

U子さんとSさんもそうだったんですよ、やっぱり中学に入って環境が変わり、クラスも別々になってしまいました

あぁ別にどっちもクラスで浮いているとかじゃないですよ?

でもやっぱり、普通はクラスに新しい友達を作れば、そっちと一緒にいる時間は多いですからね

同じように仲が悪くなったとかでもありませんから。登下校中に会えばフツーに会話はしますし、お休みの日には遊んだりと

……でも、やっぱりアレですよね中学に――上に学校に入るって事は、やっぱり“世界”が広がるっていうか

その分だけ、広がっただけ以前の世界は希薄になる、って言うんでしょうか

片や委員会のお仕事、もう片方は部活の練習……そうしている内に、話す機会もなくなっていきました

悲しいような、寂しいような話ですけど。まぁそれは仕方がないって言うか、ですよね?しょうがないですよね?

あたしもまぁ理解はしようと思うんですが――U子さんは、違ったんですよ

噂、ご存じですか?知りません?中等部で女子の間に流行ってる噂なんですけど


――選択肢(体験版では選択できません)1.音楽室のベートーベン2あぎょうさん


それそれ!そうですよ!『音楽室のベートーベン』、ご存じだったんですか?

定番?そりゃまぁそうですけど、多分想像してるのとは違うと思いますよ

ホラ、音楽室のベートーベンって言ったら、夜中にギョロっと動く!……って奴ですよね?

普通はそこで終わりますよね?抜け出すパターンもありますけど、ウチのは違うって言うか

なんかね、『そのベートーベンにお願いすると、相手との仲を取り持ってくれる』んですって……!

え?……いやまぁ、言いたい事、っていうかツッコミ所は多々あるんですけど

「そんな簡単に仲良くなれるんだっ!?」って

……違う?「そもそもベートーベン、対人コミュ無関係だろ?」むしろ人嫌いの偏屈だって説もありますけどねぇ

いやまぁ現代のベートーベンは詐欺――すいませんすいません!帰らないで下さい!危険なネタは自制しますから!

『また光、もらっちゃ――』

すいませんっ!?いやホントっもうしませんからっ!座って下さい、ねっ?

……こほん、まぁそんな感じで噂、あるんですよね

はい?

「試したの?」ですか?そりゃーもう、試しましたともっ!真っ先に!

効果……?あー……はい、その相手はまだ結納をしてくれないそうです、えぇ

……って、まぁ、ですね?冗談半分ネタ半分、ぶっちゃけ100%信じる人はいないんですけど

そもそも音楽室、カギ閉まってるじゃないですか?最近ではイタズラ動画?が流行ってますし、学校でもあったんだそうで

放課後も、ウチの吹奏楽部は結構遅くまでやってますので。部外者がノコノコ入れるような空気でもなく

だからって授業が始まる前後に、とかはやっぱり厳しいみたいですよ。噂を本気で信じてるとか、知られたくないですもん

あ、別にあたしは気にせずしましたけどねっ!いぇーいっ!

……ま、そんな感じで『音楽室のベートーベン』は、噂ほどには試した人はいないみたいです

さて、ではU子さんの話に戻します

委員会の活動でしょうか?U子さんは学校に居残り、書類を作っていたんですね

不器用なぐらいに真面目な子だから。新しく出来た友達が手伝ってくれるのを辞退して、U子さんは一人で作業したんです

当然、中学生ぐらいになればそのぐらいお互いに分かりますし?お友達も邪魔をしないように、帰っていきました

何時間が経ち、書類の整理の目処がついた頃、U子さんは、ふとこう思ってしまいました

U子「こういう時、Sさんならどうしてくれただろう」

実は前にも似たような事があり――その時、Sさんは一緒に残ってくれたんですね

別に何か手伝えるような事もないのに、一人じゃU子さんが寂しいだろうって

当然何をするでもなく、出来ると言えば雑談ぐらい。作業効率も気が散れば当然落ちますし

けれどその時、U子さんは不思議と寂しくはありませんでした。それに比べて今は……

書類を出来た所まで先生に提出し、頭に浮んだモヤモヤを振り切ろうとすると――

反対側の校舎からたくさんの生徒が出てくるのを見えました

U子「あれは確か……吹奏楽部の人達……?」

ずいぶんと遅くまで残ってしまっていたんですね。確か吹奏楽部は熱心な活動で有名でしたから

――と、ここで唐突に思い出しますそういえば、と

U子「そういえば……あの人達が居た音楽室には――」

U子「――仲を取り持ってくれる、噂があったっけ?」

U子さんは噂を信じていた訳ではありません。それどころかお化けや幽霊が苦手な方です

いつも面白半分で脅かしてくるSさんの、そういう所だけは好きじゃありませんでした

U子「噂好きのSさんなら、知ってるでしょうけど」

教室に戻り帰る支度を……しながら、つい思ってしまいました

U子「Sさんが好きな怪談……調べて、あげた方が、いいのかな……?」

信じてはいませんけれどもしかして、という僅かな期待もない訳ではありません

それに何よりも、『そういう体験を教えれば、Sさんが喜んでくれるんじゃないか?』とも

U子さんは勇気を振り絞って、旧校舎の音楽室へ向かう事にしました。ほんの少しの打算と希望と一緒に

カツ、カツ、カツ

不思議なものでして、夜の学校はとても静かです。日中は喧噪に紛れて聞こえない自分の足音ですら響く

中途半端に反響したそれがこだまし、まるで自分の後を誰かがつけているか、のような感じです

U子「――ッ!?……ふぅ」

元来そういった雰囲気が苦手なU子さんは、おっかなびっくり廊下を進んでいきます

……まぁ、分かりますよね。普段賑やかな人が居なくなれば、なんか寂しい気もしますし

昼間は何の気なしに歩いてる廊下ですら、あちらこちらに影が出来る

照明の届かない所は薄暗く、何かいるんじゃないか、と女の子を驚かすには充分でした

U子「……ひ、引き返――いえ、ダメ、です……!」

U子「それじゃきっと、これからも――」

例えば度胸試し、ってあるじゃないですか?危ない事をして心を鍛える、みたいなの「あれに比べればこれは平気だ!」って

あたしはあんまり好きじゃないですけど、Uさんは何故かそれを思い出していたんですって

自分に足りないものは『勇気』なんじゃないかって

Sさんと離れて寂しいって、なんで直接Sさんに言えなかったんだろう

嫌われるのが怖い、鬱陶しがられるのはもっと怖い。無視されたらどうしよう?生きていけないかも?

どうしようどうしようどうしよう……?

でも、それは違う自分はこれだけ勇気を振り絞ることが出来たんだ

大っ嫌いなお化けが出そうな夜の学校を一人で歩いている!あの、恐がりだった自分が!

比べて昔の親友に思いを伝えるぐらいなんだ!大した事じゃない!そうだ!

明日、明日の朝一番に自分のこの小さな冒険談を伝えに行こう!

そして今まで悩んでいた事、寂しかった事を言えばいい!

何も難しくはない!そう、簡単だ――

苦笑しながらU子さんは目的地の前につきました。しかし思っていたよりも怖くはありません

それよりも今は、「明日、Sさんになんて切りだそう?」「どうやったら面白可笑しく伝えられるかな?」

そんな事で頭がいっぱいだったからです。そして――

ガタン、と扉を開けました

本来、鍵が閉まっている筈の扉をガタン、と

瞬間、視界の隅で光が踊り、何かが飛び出した気がしました

U子「なに……?」

しかし音楽室の中は真っ暗で何も見えません。いくら目をこらしても、時間が過ぎても輪郭すら浮き上がってきませんでした

当然ベートーベンの肖像画など見える筈も無く、その瞳が動いてるかなんて分かりません

さて、ここまで来てどうしたものでしょうかU子さんは悩みます

電気を着ければ楽に確認できます。けれど先生に見つかる可能性もあります

「噂を確かめに」、なんて言おうものなら叱られるでしょうからね。どうしたものでしょうか

少し悩んだ末、U子さんは教室に入って壁伝いに移動し始めます

少しぐらい怒られるよりも、友情――あと少なからぬ好奇心を優先させたのです

スイッチの場所は教室で大体共通している筈――と、ありましたありました。手に馴染みの突起の感触が引っかかります

U子「先生に叱られるかも?」

と悩んだのは一瞬で、直ぐにスイッチを入れます

入れます、入れます、入れます

どうしたものでしょう。教室は明るくなる気配すらありません

電気系統のトラブルか、大規模な停電でも起きているのでしょうか?

そういえば、先ほどからついている筈の非常灯も消えていました

携帯電話を取り出して……バックライトの不調か、音はすれども画面は真っ暗なままです

これはもう噂を確かめるどころではない。そうU子さんは帰る事にし――

?「そこに居るのは――だれ……っ!?」

U子「!?」

突然かけられた声に驚き、音のした方を向いても見えません。相変わらず真っ暗なままです

先生「U子さん……!?U子さん、どうしたのですかっ!?」

声は先ほど書類を提出した先生のものです

見つかってしまったのは仕方がありません。どう説明しようか、口を開こうとしました

しかし、U子さんが事情を説明する前に、先生はこう叫びます

先生「あなた、その目はどうしたの……!?」

……

次にU子さんが目を覚ましたのは、消毒液の匂いがするベッドの上でした

ごわごわする感覚に顔へ手を当ててみれば、包帯でぐるぐる巻きになっています

……あぁ、あれは夢では無かったんだな

しかし一体自分に何が起きたのか?これからどうなるのか?どうすればいいのか?

様々な疑問や不安が浮んで消える中、ふと、もぞりと何かが動いた気配がします

U子さんはそれが両親か医者だと思いました

理解したくありませんでしたが、誰かが事情を話しくれるそう期待していたのですが

しかし、その期待は裏切られます。それも、良い方に

S「もう、大丈夫だから、ね?」

「――離れてて、ごめん。でも――」

「――U子は、私が一生側にいるから……」

U子さんの願いは、叶いました

……

佐天「――以上で、あたしの話は終わります」

上条「フィクション、だよな?だって本人でもない限り分かりようがない、し?」

上条「まぁ結局誰がやったのかってのは、分からなかったけどさ」

上条「その手の変質者だったのか、『ベートーベン』じゃない別口の都市伝説とか」

上条「だって初――U子さんは、結局“お願いしてない”んだからな」

佐天「ですねぇ、U子さん“は”してませんよねぇ」

上条(何がおかしかったのだろう?佐天さんは酷く楽しげだ)

上条(それよりも――だ)

上条(一体いつ日が暮れた?)

上条(他の話し手はどこに行ったんだ?)

上条(何か、おかしい)

上条「それじゃ、次の話へ移ろ――」

佐天「あ、そうそう。一つだけ忘れていました」

上条「なに?」

佐天「てか、最初に言いましたよね?――『もう試した』って」

上条「――え?」

佐天「あれ、実は“二人分”なんですよねぇ」

ジョッキン

上条「あ、あああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

佐天「大丈夫、上条さん!」

佐天「あたしが二人とも一生面倒看ますから、ね?」


――バッドエンド1 『ずっと一緒に……』(※体験版用)



佐天「――以上で体験版は終了となります。ありがとうございましたーっ!」

上条「バッドエンドだけどねっ!こんな後味悪ぃ終り方で話続けられねぇし!」

佐天「今回は選択肢出ませんでしたので、まぁ仕方がないっちゃないですけどね」

佐天「ネタバレ覚悟で言いますけど、あれ最初に『結納に行く』を選んでないせいじゃないですかね?」

上条「違うね?それ別の意味でゲーム終わるよね?俺の人生ゲーム、ゴールに着いちゃうよね?」

佐天「幸せにするさっ!」

上条「否定はしねーけどさ!グイグイ押すよりもたまには引けよ!?」

佐天「愛してますよ、兄さん?」

上条「それは人のネタだからな代理で書いたようなもんだし」

佐天「さてさて、では最後なんでもう一つだけ怖い話をしましょうか」

上条「何?まだなんかあんの?」

上条「目ぇ抉られるよりもエグい事なんてねえよな、普通は」

佐天「実はですね?実話なんですけど」

上条「今地味に“実は”と“実話”をかけたよね?上手いっちゃ上手いけど、さりげなさ過ぎて誰も気づかねぇんじゃね?」

佐天「この体験版――エイプリルフール用の、嘘企画に作った物なんですっ!」

上条「へー……?」

上条「……」

上条「――ってマジでッッッッッ!?」

佐天「さーっ!いえっさーっ!」

上条「バカじゃねぇの?いや、本格的にバカじゃねぇの?」

佐天「いや、ですからタイトルやHPに『Apr.Fool(エイプリル・フール)』って書いてるじゃないですか?」

上条「え、本当に?どんだけ手間かけてんの!?」

上条「著作権フリーの音楽とか効果音用意してだ、しかも背景素材とか立ち絵とかも!?」

上条「しかもゼロからプログラム組んで、ADV用のエンジン作ったって事かよっ!?」

佐天「モジュールも10個作りましたからねーあ、HSPって言うプログラムですが」

佐天「まぁ、折角なんで。つい?出来心みたいな?」

佐天「まぁHPも立ち上げたし、勢いでやっとけ!的な、えぇ」

上条「たかだか一日のためにやりやがったのか!?作った奴バカだろう!?」

佐天「ちなみにぶっちゃけ話まだありますよー?聞きますかー?」

上条「……聞きたくないけど、どうせ言うんでしょ?分かってるもの」

上条「選択肢機能つけなかったのって、故意犯なんだよね?」

佐天「『N∴L∴』が遅れに遅れたのは、このエンジン組んでたのが理由ですね、えぇ」

上条「バカだよな?つーかもう死ねばいいんじゃね?」

佐天「まぁまぁそんな感じでシメに入ります最後まで見てくれたキミに届け、ありがとう!」

上条「……いやうんまぁ、色々とすいませんあらゆる意味で」

佐天「来年は弾幕系STGでボクと握手!」

上条「カミジョーマンでも思ったけど、無茶ブリ止めてくれないかな?」

上条「つーかせめて作ったエンジン活用しなよ!?」

佐天「ですかねぇ?一応今年のHSPプログラミングコンテストに出すらしいですけど」

上条「……イヤもうこんなネタで一喜一憂するのって!?」

上条「どうせなんかコッソリゲーム完成させて、バッドエンドは俺が酷い目に遭うんでしょっ!?」

佐天「ひぐら○も好きですけどね。アニメの二期で膝をついたらしいですが」

上条「あれなぁ……うみね○欲しいんだけど、ストーリーの概要聞いてるだけでお腹いっぱい……」

佐天「まぁそんな感じで一つ、はいっ!」

上条「いやまぁ……うん」

佐天「では最後までお付き合い頂いたあなたに感謝を!それではまたどこかで会おうぜ!」

上条「俺は嫌だけどねっ!つーかそれ『ゲーム完成=バッドエンド満載で俺の残機がゴリゴリ減ってく』って意味だから!」

佐天「それじゃさよなら――うーーーーーーーいっはっるーーーーーーーっ!愛してーーーーるぞーーーーーーーっ!!!」

上条「……いやもうホント色々すいません最後まで、うん、なんか、すいません」


――『放課後綺譚 体験版』 −終−

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