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Clock(trial)

姫神「上条君がニートになった。まる」

 
――とある高校 放課後

小萌「――はーい、今日も一日お疲れ様でしたー!」

小萌「良い子の皆さんは帰ってお勉強、悪い子の皆さんは無駄な時間でアオハルを潰せばいいのですよ!」

土御門「センセー、無駄に若者言葉を使うと逆にオッサン度が増すんだにゃー」

小萌「はい、土御門ちゃんはHR終わったら職員室まで速やかに出頭すること!お話がありますからね!」

青ピ「――どうです小萌先生?土御門のアホなんかどうでもいいから、今夜二人でボクの人生設定について話し合いませんか?」

小萌「一昨日来やがったら考えるのです。では、さよーならー」

全員「さよーならー」

ガラガラッ

土御門「って呼ばれちまったにゃー」

吹寄「自業自得よ……って言いたい所だけど。今日は違うんでしょうね」

青ピ「やんなぁ。いつもと違ってツッコミがおらへんから、ボケがただ流れになっとったわ」

吹寄「無駄にボケると私がツッコむ負担が増えるんだけど……」

青ピ「吹寄はんも上を目指すんやったらもうちょっとテクニカルに捌かなあかんよ?」

吹寄「なんでよ」

土御門「いや、違うんだぜぃ。今は『そうそう、もっとスキルアップするためには予備校が必要よね』ってボケに一回乗っかってだな」

吹寄「本当になんでよ!?意味が分からないわ!」

姫神「そのときは一緒してほしい。ツッコミのスキルを持てば普通じゃない。かもしれない」

青ピ「いや最近のて『ツッコミスキルを持つ普通の○○』ってアオリ多いですし、そっからどう属性を増やすかが大事やと思うわ」

吹寄「本当にどうでもいいわよ!てかさっさと行きなさいよ!」

姫神「だったら全員で行かない?私は気になっては仕方がない」

青ピ「やんね。こんなときこそボクらの友情パゥワァを見せつけへんとね!」

土御門「お前さっきの授業で普通に発音してたろ」

吹寄「私はどうでもいいけど……姫神さん一人じゃ大変だから、付き合うわ」



――職員室

吹寄「――先生!考え直して下さい!土御門は悪い事をしたけど、それには事情があったんです!」

土御門「おぉっと開幕超必殺技撃って来やがったにゃー!ノリツッコミ強制したのがそんなに嫌だったのか!」

姫神「そして普段ボケない吹寄さんが言う説得力。私も『あぁ何かやっちゃったんだ土御門君』っと白旗をあげる」

青ピ「あんまボケない子ぉほどハジケるっちゅー例もあってやね」

小萌「土御門ちゃんの悪事は後で聞かせて貰うとして、先生が呼んだのは一人だけなんですけど……」

姫神「心配だからついてきちゃいました。ててぺろ」

吹寄「表情筋が数ミリも動かずに淡々と言われても」

姫神「というかこんにちはインデックスさん。やっぱり?」

インデックス「……そうなんだよ。私じゃどうしよもうなくってこもえに相談しに来たんだけど……」

姫神「よく一人で来られたね。日々学習している」

インデックス「バカにしないでほしいのかも!わたしだって一人でバスと地下鉄には乗れるんだもん!」

インデックス「ただここに来るまで何回かコンビニ袋を被った親切な背の高い男の人と、エコバッグを被った背の高い女の人に助けてもらったけど!」

土御門「保護者同伴出勤だろ。何やってんだねーちんとステイル」

姫神「あぁ。そういえば神父さんにはお礼言ってないや。近くにいるんだったら」

吹寄「脱線するからそのぐらいに。てかこの子が上条当麻の関係者だったら、やっぱり……?」

小萌「まぁ……本来は繊細な案件なんですけど。皆さんは土御門ちゃんから聞いたという体でお願いするのですよ」

土御門「どっちみち喋るぜぃ」

小萌「今日は月曜なのに上条ちゃんが登校してない時点で色々と察せると思うのですけど、一言で言えば――」

小萌「――上条ちゃんが引きこもったのですよ」



――放課後 路上

インデックス「初めはね−、何かのじょーく?つっこみまち?だと思ったんだよ」

インデックス「土曜日に帰って来てからおふろに閉じこもって出て来なかったり、『俺は人間をやめるぞぉ!』って言ってたり」

吹寄「中二じゃない。てかお風呂?」

インデックス「うん。とうまがいつも寝る場所なんだよ」

吹寄「え、それって!?」

姫神「それ以上はよくない。誰にだって癖(へき)はある」

土御門「余計追い詰めてないかにゃー?まぁ普通はこのシスター服をみて思う人は思うんだけど」

吹寄「アニメであったわよね、確か」

青ピ「癖ってぇのんはみんな違ってみんないいんやで?」

姫神「まぁインデックスさんのことは深くは立ち入るのはよくない。人様のご家庭だから」

吹寄「……そうね。ごめんなさい、インデックスさん」

インデックス「いやそういうんじゃないんだよ!?なんか重い設定みたいな感じになってるけど、この街での身元引受人ってだけで!」

土御門「いや、充分に重いと思うんだが……んで?そっから出て来ないのか?」

インデックス「ううん違うんだよ。食事はいつもの通りに出て来て作ってくれるし、私がお手洗いとおふろを使いたいときには外してくれるし」

青ピ「それで居座ったらボクも引くわ。つーか別に普通やんね?」

インデックス「そんな感じで土日はよかったんだけど、今日になって『学校行かない!』って籠城しちゃったんだよ」

吹寄「話が深刻なのか壮大なノリツッコミ待ちなのか分からないわよね。何か他に言ってなかった?」

インデックス「なんかねー、『俺は6年半待ったのに』とか、『俺は科学のオマケですか』とか」

インデックス「『俺の全身ピンナップに需要はありませんか、ですよねー俺だって欲しくはないですもんねー』って、意味不明のことを言ってるんだよ」

姫神・吹寄・土御門・青ピ「……」

インデックス「あと『人気順にスピンオフのお仕事が来るっておかしくないですか?』、『破妖の○のラエスリー○か俺は』」

インデックス「『せめて”衛宮さんちの今日のごは○”ぐらいで俺は満足するんですけどどうにかなりませんか』って」

姫神「インデックスさんそのぐらいに。それ以上言ったら泣いちゃうと思う。主に私が」

青ピ「なんやろね、こう……うん、溜ってはったんやねぇって」

土御門「『それでね、それでもねっ!あと30分遅かったら事後だったんだよ。この後の癖(へき)に大ダメージだったかも!』」

インデックス「そんなこと言ってないよね?そして多分それをやらかしたら世界が終わるんじゃないかな?」

吹寄「ちょっと何言ってるのか分からないけど、乱入した方もされた方も一生モノのトラウマ背負い込むと思うわ」

姫神「というか仮にも同棲相手がテンション違ってたら……うんまぁ。あるよね。テンション上がっていれば」

土御門「『あと○ちゃんはビッチの方が興奮する。てかリキ・ティキ・タ○の衣装超可愛い』」

姫神「言ってない。これは多分上条君は言ってない」

青ピ「だがちょっと待ってんか!性体験の有無で人を分けるような!そんなディストピアになってほしくはない!」

吹寄「珍しくいい事言ってるわね」

青ピ「好きな相手がビッ×であろうとも!その程度で嫌いになるんやったら真実の”好き”とちゃいますよって!」

青ピ「……そんなんボクの哀しみにくらべれば微々たるもんや。手の届く範囲にいるだけで幸運なんやって」

姫神「つまり?」

青ピ「二次元の相手に恋をしたボクはいつも一方通行なのに……」!

吹寄「そんなオチだろうと分かってたわ」

インデックス「あの……おおぎりはやめてほしいかも。ていうかとうまの問題なんだよ」

姫神「事情が分かれば分かるほど。より深刻じゃないって分かってている。残念」

インデックス「ちなみに家を出る前には『ユーチューバ○として食っていけるか?』って」

土御門「末期だな。てが可愛い子ならともかく、アホみたいに一攫千金狙った雑魚なんて腐るほどいるのに」

インデックス「そうなんだよ!このあいだもがちゃがちゃ?で『幸せのビットコイ○』って騙されて買っちゃったし!」
(※実在します)

姫神「それがあれば幸せになるんだったら安いもの。私も欲しい」

青ピ「って言うてますけど、どうなんですか土御門さん?」

土御門「ビットコイ○が暴落した後に今は上がり基調だにゃー。どっかの自国通貨を外に持ち出せない社会主義国から需要が増えてるんだぜぃ」

インデックス「で、まぁとうまがちゅーばー?で末代までの恥を残すのはあまりにも忍びなくて……うん」

吹寄「賢い子ね。何かお菓子……あ、カロリーメイ○食べる?」

インデックス「そんなもので懐柔されると思ったらモグモグガツガツガツカッ!」

吹寄「あの男の悪い部分が似て来ちゃってるわよね。食えるものは食えるうちに食っとけ、みたいな」

姫神「ワンパクでもいい。逞しく育ってほしい」

青ピ「なんで姫神がそんな大昔のCMを……?」



――上条のアパート 室内

姫神「我々はそんな訳でやってきたのだった……ッ!」 クワッ

吹寄「なんでテンション上がってるの?思ったよりも綺麗なとこだけど、別に珍しいとは」

青ピ「お隣が土御門んチやんね。舞夏いるか、お兄ちゃん疲れたわー」

土御門「ぶち殺すぞ?」

吹寄「可愛いって評判の妹さんだっけ?」

土御門「まぁ、それほどじゃないけどな!メシでも食ってけ委員長!」

吹寄「よく言われるけど別に委員長って訳じゃないんだけどね。それでインデックスさん?」

インデックス「――シッ、なんだよ。何か聞こえてくるかも……!」

吹寄「聞こえるって――」

上条『――はーい!配信を待ってたヤローどもこんにちは!今日も「異世界行ってないおじさん」を始めちゃうぞ☆』

姫神「痛い……この。痛みはなに……!?」

吹寄「――開けろ上条当麻!今貴様は取り返しのつかないことをしている!」

土御門「早まるなカミやん!それは世間を笑っているようで実は笑われてるだけなんだぜぃ!」

青ピ「勇者が……!おぉ、ネットへ流出したら最後!終末の日まで延々ネタにされ続けるっちゅーんに伝説の勇者がここにおったでぇ……!」

インデックス「よく分かんないけど、ねっとはいしん?してるんだよね?何か悪いのかな?」

土御門「悪いといえばまず頭が悪い。そしてこれからずっと先、カミやんは世間様から『あ、つ○で可哀想な配信やってた人だ』って後ろ指を指されるハメに……!」

上条『今日は……えーっと、ちょい足しでカップ焼きそばを美味しくできる秘訣を教えたいと思います!』

姫神「あ。ちょっと知りたい」

土御門「否定はしないんだが……果たしてカミやんに

上条『既にカップ焼きそばは湯切りしてソースも入れてあります。そこへ――』

上条『――カレー粉を入れる!たったこれだけでカレー風焼きそばに……ッ!』

姫神「上条君上条君。リアクションに困るから。その。ツッコミ入れるほどマズくはないけど。かといって別に珍しくもないようなのは。ちょっと」

吹寄「一般のご家庭にカレー粉は用意してないでしょ。カップ焼きそばのために買うのもアレだし」

青ピ「多分試したら美味しいんやろうけども……なぁ?」

インデックス「とうま!一人で食べちゃうのはズルいんだよ!」

上条『あぁ待ってろ今紹介しちまうから!続きまして第二弾!のりた○をかけると非常に美味しいぜ!』

吹寄「それはちょっと意外ね。試してみようかしら」

上条『ちなみにこれは以前ふりかけメーカーとカップ焼きそばの会社がコラボして製品化済みだ!定番にはならなかったが、俺は今でも食べ続けている!』

上条『そして最後!家に何もないヤツはカツオ節を投入するだけで全然風味が違うぜ!まぁこれも前に製品化されては消えてったネタだけど!』

インデックス「とーえーまー!」

上条『えぇいちょっと待ってろ!』

ガチャッ

上条「早食いして食レポ頼む!」

インデックス「まーかせて!」 ガツガツガツガツッ

ガチャッ

上条『さぁ今スペシャルゲストが審査中だぜ!少し待っててくれよな!』

吹寄「出て来たわよね?貴様、私たちと目が合ったわよね?」

姫神「というかお風呂中継は絵面的にどうなんだろう」

インデックス「――ごちそうさまでした、なんだよ!」

上条『おぉっと!グルメモンスターが食べ終わったようだ、さて!評価は如何にっ!?」

インデックス「うーんとねー。カレー粉は☆3つかなぁ。悪くはないんだけど、カレー粉の入れ加減が難しいのかも」

インデックス「入れすぎるとソースの風味が消えちゃうし、少なすぎるとカレー焼きそばっては言えないかも、なんだよ」

上条『意外にしっかりした食レポですね完食しやがった割りには!』

インデックス「二番ののりた○は……いいね、うん、☆5つあげちゃうかも!なんていったってのりた○だし!」
(※オススメです)

姫神「それ。インデックスさんが個人的にのりた○が好きなだけじゃ?」

インデックス「ちっちっち、それは違うんだよあいさ。のりた○の絶妙な塩加減と卵のフワフワ感、そして海苔の香り」

インデックス「完成したカップ焼きそばへそのまま入れても、お互いに邪魔をしないどころか引き立てる有様なんだよ……!」

土御門「おーい、アウレオルス見てるかー?お前の弟子は立派に育ってるんだにゃー」

青ピ「誰だか知らへんけど、シスターの成長記録としちゃ不適切なような……」

インデックス「最後のかつおぶしは……悪くはないし、美味しいんだけど……うーん、ちょい足しって意味では一番お手軽かもなんだよ」

インデックス「でもね!本当に美味しいものを作りたいんだったら手間暇がかかるのは当たり前なんだよ!だから☆4つ!」

上条『ありがとうインデックスさん。でも主旨完全に理解してねぇじゃねぇかコノヤロー」」 

姫神「☆4つなんだからしてると思う。多分上条君判定で採点が加点されてるとみた」

上条『――さっ、今日の更新はここまで!チャンネル登録してくれれば異世界行ってないおじさんに毎日会えるぜ!よろしくなっ!』

パチッ

上条『――なんだよお前ら!急に押しかけて来やがって!?非常識でしょーが!』

吹寄「そのツッコミは手遅れだと思うわ。ここまで元気に引きこもっておいてよくまぁ」

姫神「思っていたよりも深刻じゃなくてよかった。というかなんでユーチューバ○?今更?」

上条『この職ならここから一歩も出ないで出来るじゃないか!』

青ピ「出とった出とった。思いっきりカップ焼きそばの受け渡ししてましたやん」

吹寄「といいうかまず『ユーチューバ○は職業か?』っていう所から話あった方がいいと思うわ」

上条『帰って!俺はずっとここに住むんだから帰って!』

土御門「まぁカミやん、聞くんだ。俺たちはな、禁書目録がお前を心配してどうにかしてほしい、って頼まれたんだぜぃ」

青ピ「そうやでカミやん!ここにはいないけど小萌センセも心配しとったんやで!」

上条『みんな、が……?』

土御門「それにな。ユーチューバ○なんていつまでできるか分からないだろ?広告効果だって正直怪しいもんだし、同業他社が増えれば一人当りのパイも小さくなる」

上条『べ、別にゆーちゅーば○じゃなくても食っていけるさ!引きこもりだって!』

青ピ「ほー、例えば?」

上条『投稿小説サイトに応募すればいい!全部書き上げてんのに毎日少しずつ更新して、全部のコメントに低姿勢でお礼言って卑屈になれば人気出るよ!』

土御門「だから特定の層を狙い撃ちにするのはやめるんだカミやん!びた一文稼ぎにならないのに似たような事を五年やってるアホもいるんだそぜ!」
(※どうもご贔屓に)

吹寄「まぁ……生産性があるかどうかは別にして、趣味があるのはいいことよね。でも貴様に文才があっただなんて初耳だけど」

上条『……文才が無ければダメなのかよ……?』

吹寄「え?」

上条『文才が無くたっていいじゃねぇかよ!俺は楽して儲けたいだけなんだからな!』

姫神「よりレベルが低くなってる」

土御門「そしてちょっとパクった海原に謝れ」

上条『俺は珍しく勝算がある!俺の体験をそのままノンフィクションで書けば賞が取れそうな気がするんだ!』

上条『アニメ化したりスピンオフになったり!きっと主人公の等身大ポスターなんか全国のアニメイ○で売られたりするぜ!』

姫神「『お前よりにもよってそこからパクんのかよ』って。全方向から叩かれると思うよ」

吹寄「……何年か前に丸パクリを応募して入選したのってなかったっけ?」

青ピ「あの作者さんは今なにやってんやろねぇ」

上条『お前らに俺のに気持ちが分かるのか!?辛い体験をした俺の思いが!』

姫神「――上条君のバカ!」

上条『姫神……!?』

姫神「……」

上条『……?』

姫神「あぁいや今のは流れで言ってみただけ。特に深い意味はない」

上条『お前らも反省しろよ!?俺の姫神がこんなシュールキャラになってんのはお前らの悪い影響だぞ!?」

土御門「はいそこ。所有権を主張しない」

インデックス「っていうかあいさは割りと最初の方からかっ飛ばしていたような気がするんだよ……?」

上条『とにかく帰れよ!帰ってくれないと……ほら、アレだ!俺の右手からドラゴンを召喚することになるぞ!』

青ピ「カミやんマジで目を覚ましぃや!?そりゃ邪気眼患った末期(中二)病の症状やで!?」

土御門「今の状態だとあながち出来なくもないかもだが、まぁいい。場所を変えよう、作戦会議だ」



――リビング

青ピ「つーかマンションの構造上、2メートルも離れてないんやけど。1kやしね」

上条 チラッ、チラチラッ

土御門「『かみじょうとうま、は、なかまになりたそうに、こっち、を、みている』」

姫神「思っていたよりもギャグ寄りでよかった。ガチなアレだったら手がつけられない」

インデックス「……あいさからすれば面白いかもだけど、同居人としてはちょっと、なんだよ」

吹寄「インデックスさんには悪いけど、このまま解散で良いんじゃないの?明日には飽きて何事もなかったかのように出てくるわよ」

姫神「取り敢えず今日の分のノートのコピー。時間がなかったので急遽用意した四人分の寄せ書きをどうぞ」

インデックス「なんかスカッスカで人望ないように見えるよね!あと大きく『同性愛バンザイ』って書いた人は反省するんだよ!」

青ピ「つーかカミやん急にどったん?学園都市が再会したらkonozamaて、溜ってたもんが爆発したんかな。それとも連休ボケ?」

姫神「私も知りたい。二人はどこかでゆっくりしてた――訳は。ないよね。いつものように」

インデックス「えーっとねー、どこから話したものか迷うんだけど……」

土御門「簡単に言えば長期のバイトリーダーをやってて、その最終日に体調崩しちまったんだにゃー」

土御門「でも少し良くなったから、打ち上げにいってみればソックリのヤツがバイトリーダー()として皆からさすお○されまくってたんだ、的な?」

吹寄「あぁ、東洋人なんて皆同じに見えるしね。確かにそれだったら引きこもりたくなる気持ちも分かるけど」

インデックス「なんか言外に非難されてる気がするんだよ……ッ!」

土御門「アレは誰だって騙されるんだにゃー。本人にとっては超迷惑だろうけど、入れ替わったら家族ぐらいしか気づけない」

土御門「……ただ、俺はあの女が『ニセモノだろうがホンモノだろうがどちらも助ける』って言い出さなかったことに、正直失望しているがな」

青ピ「どなたさん?」

土御門「大人になり損なってるガキの話だぜぃ。そういう意味ではガキを貫いている建宮の方が比較できないぐらい”真っ当”だがな」

姫神「話を戻そう。上条君の置かれている状況は分かった。だから対策を立てたい」

青ピ「みんなでなんかワイワイ騒いだらいいとちゃいますの?そうすりゃシレっと混ざってくるわ」

吹寄「そんな単純な問題かしら?サラッと聞いた話だと同情できなくもないし」

土御門「つってもなぁ?俺たちがカミやんハブった訳じゃないから、対策っていって甘やかすのもどうかと思うんたぜぃ」

青ピ「あ、ゴメンな。トレイ借りるわ」 ガチャッ

上条「終わったら消臭剤撒いとけよ」

青ピ「そらボクだって空気読みますわ」

姫神「で上条君なんだけど。どうすれば満足してくれる?」

上条「そうだな。俺だったらこう、適当にサプライズ要素がほしいよな」

姫神「とは?」

上条「皆が来てくれたから俺の中で『俺、生きててもいいんだ!』って多少満たされてんだけど、もう一押ししてほしいっていうかな」

上条「こう、一度引きこもった手前、劇的な転換点!みたいなのを用意してくれると、出やすいですよねって」

姫神「ニートなのに注文が多いよね」

青ピ「――ありがとさん。まいど」 ガチャッ

上条「あぁうん。まぁそんな感じで頼むよ」 ガチャッ

吹寄「――オイ今貴様人に出てたろ!?つーか普通に会話に交じってたでしょ!?」

姫神「ビックリ。あまりにもナチュラルに出て来たから。もう飽きたのかと」

インデックス「というかお料理するときには普通に出てくるし……うん」

土御門「まぁカミやんの性格を熟知する俺に秘策がある……ッ!」

吹寄「先に言っておくけどエッチなことはしないからね」

姫神「右に同じく。普通でも譲れない一線がある」

インデックス「以前のパターンからするととうまの癖的な事をするとホイホイつられる、っていうね」

青ピ「おいカミやん大丈夫か!?クラスメイト女子だけじゃなくて同居人の子ぉにも性癖熟知されてるやん!?」

上条『あ、それはいいんだ。つーか別にそういうのは望んでないんだ。身内のエロ話なんて引くだろ!』

土御門「また勝手な事言ってやがるなこのユーチューバ○()」

姫神「じゃあ癖的な視点から外れて。もっとこう情に訴える。的な?」

青ピ「『とうまっ!アンタが学園都市行きたいいうから母さん許したけども!引きこもりなんてアンタ何考えてんのっ!?』」

土御門「『そうだぞ当麻!母さんだけじゃない!父さんも怒ってるんだぞ!』」

姫神「以心伝心。一瞬でボケに転じてくれる技術は職人の拘りが見て取れる」

吹寄「あの、ね姫神さん?このボケどもとは距離取った方が良いと思うのよ?インデックスさんも?」

インデックス「否定する材料に乏しいんだよ」

青ピ「『もう帰るんよ!学園都市なんか引き払ってアンタを育った西葛西に!』」

土御門「『今なら、ほら!学校なら転校すればいい!やり直しはきくんだからな西葛西で!』」

姫神「悪意を感じるよね。元号も変わったのにまだするかと」

吹寄「ちょっと何言ってるのか分からないけど、新シリーズを期待してるだけよ!きっと!」

上条『――待ってくれ父さん母さん!俺にだって意地ってモンがあるんだ!』

土御門「『当麻!』」

上条『学園都市来たからには一旗揚げたい!ここででっかいことしたいんだよ!そういう俺をバカにした奴らを見返してやりたい――』

上条『――そう、ユーチューバ○になって!日本一のユーチューバ○になるんだ!』

吹寄「実家でやれよ。配信先別にどこだっていいでしょ」

姫神「そして下手にここの情報を流すとシャットアウトされる。確か」

土御門「『……そうか。当麻がそこまでいうんだったら父さんはもう知らん!西葛西へ帰る!』」

青ピ「『アナタ!?とうまを置いて!?』

土御門「『あぁ声優の豊崎愛○さんのマンションがあった噂がない訳ではない西葛西へな!』」

インデックス「これ……ヘイトだよね?」

姫神「問題ない。一般男性とめでたく入籍したから何一つ問題ない」

土御門「『お前が帰ってくるまで――日本一のユーチューバ○になるまで!ウチの敷居はまたがせないと思いなさい!』」

上条『父、さん……ッ!』

青ピ「『とうま……父さんはあぁ言っとぉけど、辛くなったらいつでも帰って来ていいねんよ?』」

上条『ありがとう母さん……』

土御門「――これにて、一件落――まいかッ!?」 バスッ

吹寄「オチないわよ?このまま帰ったらインデックスさんに多大な迷惑がかかるでしょうが!」

インデックス「う、うん。気持ちはありがたいんだけどね、その、拳で横隔膜をドツくのはやりすぎかも、って思うんだよ!」

姫神「インデックスさんも小さくなって上条君の頭に呪いをかけてるような。ハ×の呪い」

インデックス「そんな小さなネタにまでツッコまれても……」

青ピ「いや、ボクとツッチーの迫真の演技以外にどうしろっちゅーんよ」

吹寄「最終的にニートを容認してどうすんのよ!あぁいや人によって事情はあるし、全部か全部悪いとは言わないけども!」

吹寄「少なくとも上条当麻が引きこもってる件に関して!放置するわけにもいかないでしょ!?」

姫神「うんまぁ。それは問題ない。私が考えてある」

ピンポーン

姫神「うん。丁度届いた。私の実家とは大違い」

土御門「姫神?」

姫神「私に腹案がある。トラストミー」

吹寄「非常に縁起と信頼のない言葉のコンボで来られても……」



――上条家のユニットバス

上条「あれ……なんか静かになったな……?寝た……訳ないよな。つーか全員で寝てたら怖いわ。保育園のお昼寝タイムか」

上条「じゃ帰った……?いやいやそんな音はしなかったし、インデックスがお見送り――って感じもないな。だったら……」

上条「……んー……?」

ガチャッ

インデックス・吹寄・土御門・青ピ「――お疲れ様ーーーーーーーーッ!!!」

姫神「お疲れ様です」

上条「お……おぉ、お疲れ様、です?つーかこれ、メシ?ジュース?」

姫神「ケータリングで私が頼んだ。あ。費用は全員の割り勘で」

上条「や、それは分かったけど」

姫神「なお。上条君も頭数に入っている。少し頼みすぎた」

上条「や!それも分かったけど!なんのイベントだよこれ!?」

姫神「私はあなたが何をしてきたのか分からない。何もしてこなかったのかもしれないけど」

姫神「でもまぁ。パーティにお呼ばれしなかったのが悔しいのは分かる。だったらお疲れ様会をすればいい。それだけ」

上条「……そう、か?俺はそういうことで凹んでたのかな……?」

姫神「ありきたりだけど。こういうのも悪くはない」

上条「――ってインデックスさん!?俺のオモテナシなのに何吶喊して食ってんだゴラァァッ!?」

インデックス「けーたりんぐも悪くないはかも!たまにーだったらモグモグモグモグッ!」

姫神「ねぇ話聞いてたのかな?いい事言ってたよね私?」

吹寄「『バカを論破はできない。何故ならばバカは論破されたことを理解できないからだ』という言葉を贈るわ。いや別にただの比喩だけど」

土御門「てか俺パーティの話したっけ?」

青ピ「どうしたつっちー?」

土御門「いんや別に。最近姫神が仲の良い音楽室の地縛霊は意外と喋るってだけで」

青ピ「――新たな出会いの予感が……ッ!」

土御門「可哀想だろ!万が一お前が呪い殺されたらずっとずっとあの学校に残るんだぞ!」

青ピ「あるぇ?その可哀想って誰対象なん?もしかして後から来る後輩たち?」

姫神「……誰も。聞いてない……ふふ。私はフツーの女」

上条「あーいやいや、俺は感謝してるぞ?タダメシが食えるってことには」

吹寄「貴様も払うのよ。というか殆ど食べてるのはインデックスさんだけど……」

姫神「まぁいい。それはそれでいつもこと。あ。そういえば――」

姫神「――お帰りなさい。上条君」

上条「……あぁ、みんな……ただいま……ッ!」


−終−



青ピ「あれカミやんさん?ベッドの下になんかプラスチックの薄いケースが……?」

上条『そんな手には引っかからないぞ!全部ケータイに保存してあるぜ!教育上の問題で!」

インデックス「……語るに落ちるとはこの事なんだよ……」

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