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Clock(trial)

御坂「佐天さんが足を洗う、だと……!?」

 
――とある喫茶店

初春「――やー、すいませんね。わざわざこちらまで来て頂いて」

御坂「あぁ構わない、けど。珍しいわね、初春さんがあたしとサシで話したいってのも」

初春「共通の友人っぽい人を持つ友人ですから。気がつけばかれこれ10年以上」

御坂「まだ一年経ってないけどね!そうね体感的にはそのぐらいかも知れないわね!」

初春「御坂美琴さんにおかれましては、人気投票でも三冠おめでとうございます。いやー凄かったですねー」

御坂「まだやってる最中なのに?ヤオみたいに言われるからやめてくんない。あと何をどうすれば三冠取れるの?ジャンル違いがあったと思うけど」

初春「えーと何かご注文でも。今年流行りのBSSとか如何です?」

御坂「それメニューにはないと思うわ。なんていうかこう、何でも略すから逆に意味不明になる感じで」

初春「生クリームバウムでしたっけ?メロンパンとマリトッツォを魔改造したメロトッツォという新商品もあるらしいんですが」

御坂「あたしには初春さんみたいに果敢にチャレンジする精神はちょっとないかな」

初春「すいませーん!銀○コラボの近○さんをこちらの方へー!」

御坂「チャレンジドさせないでね?侠気はあるし人間として尊敬もできるんだけど、その、厳しいっていうか」

初春「あれ?こんなところに鏡かな?」

御坂「今日は随分毒吐くわね!風紀委員でイラっとすることでもあった!?」

初春「イラっとはしてないです。えぇとお呼びした訳に繋がるんですが、御坂さんに折り入ってご相談したいことが」

御坂「へー、あたしに?だったら黒子も呼べばいいじゃない」

初春「白井さんはガチ過ぎるのでかえって劇物といいますか。むしろ少年の心を持つ少女の御坂さんに相応しい案件といいますか」

御坂「微妙に誉められてない感が……誰の体型がフラットなのよ。初春さんもほぼ同じでしょうが」

初春「あれは佐天さんが悪いと思います。『グラドルかよ、ぺっ!』って感じですからね」

御坂「あれだけあぁだと女子からハブられそう……大丈夫?対人関係でトラブルは?」

初春「男子が総じてガキなのと、『異世界転生したら守ってやる!』的な」

御坂「なんであたしが佐天さんの保護者みたいになってるんだろ……?」

初春「まぁご本人はカラっとしてますんで人当たりもいいですよ?……が、しかし。相談の対象としては合ってますが」

御坂「『――あ、もしもし黒子?うん、例の件やっぱり必要みたいなの。その、佐天さんがやっぱり』」

御坂「『あー……人数?多いと時間がかかるの?そうね、処理できるのって……分かったわー、初春さんに確認したら――』」 ピッ

御坂「――何人ぐらい消せばいいの?桁一つか二つでかわるんだって」

初春「風紀委員の方、この人反社です」

御坂「反射っていわないで!常時テトラ・マカラカー○のクソチート野郎にトラウマがあるのよ!」

初春「私は全く存じませんが、よくまぁ無理ゲー案件クリアしましたよね。一言相談して頂ければ自×するまで追い込んで差し上げたんですが」

御坂「……で、どうしたのよ?佐天さんがエ×犯罪に巻き込まれて、物理的に処分しなきゃいけない炭水化物が何体かあるって話じゃないの?」

初春「そうなった場合でもなんとかしてくれる御坂さんは好きです……いや、ではなくもうちょっと手前の話で、かつ深刻っちゃあ深刻です」

御坂「深刻……聞きましょう、なに?」

初春「佐天さんが、佐天さんが――」

初春「――『実はオバケなんていないんじゃ?』とか言い出したんですよ……ッ!!!?」

御坂「――すいません店員さーん、ふなっし○クレープとあと有機野菜のミックスジュースを」
(※実在するメニュー)

初春「何平然としているんですかっ!?佐天さん一大事じゃないですか!私にも同じのをアイスティーで!」

御坂「保護者かな。てかいいじゃない別に。現実が分かったっていうか、こうそろそろ巣立ちの刻っていうか」

初春「何て酷い事を!?佐天さんからオカルトを取ったら何が残るっていうんですかっ!?」

御坂「酷い事を言っているのは初春さんよね?もっとこうお友達想いとか、良い人とかあるでしょ?」

初春「いいですか、よく考えてください――オカルト好きは、バリアーだったんですよ?」

御坂「ちょっと何言ってるのか分からないわ」

初春「……これは現実にあったらしいことなんですが――佐天さんが放課後呼び出されたそうなんですよ!」

御坂「いいわね!そういう話しましょうよ!魔術師のマウント取りとか戦車の話とかどうでもいいのよ!」

初春「定見文といいますか○○時にどこそこでって感じだったんですが、まぁこんな感じです」 ピッ

御坂゜あれ回想じゃなくて動画あるの?なんでそんなものが……」

……

男子『――ごめんな佐天、こんな時間に呼び出』

佐天『それでそれで!?話したいことって何!?あぁ分かってる分かってる!最近流行りのタールマンってことだね!』

佐天『あれも不思議だよねぇ怖いよねぇなんでタールなんだろ?調べてみないと分からないし!』

佐天『つーかどの噂から派生したのかそれとも自己発生型なのかワクワクするよねぇ……ッ!!!』

……

初春「――と」

御坂「ドキドキ感が、ない。画面端からずっと敵キャラに飛び道具撃って完封したのを見せられた気分だわ」
(※”真鏡名ミ○ 妖怪腐れ外○ 対戦”でググってみよう)

初春「呼び出した男子の心意気は買いますし、まぁストレートなのも個人的にはいいと思いますが……」

御坂「えっと……このお二人、今はどんな感じに?」

初春「朝教室で佐天さんが『おいっす!』と声をかけると、『う、うん……』と言葉を詰まらす感じです」

御坂「なんて酷い!?幼気な少年にトラウマを!?折角勇気を振り絞ったのに!?」

御坂「……いや、いいじゃない。良くはないけど、相変わらずのかっ飛ばしっぷりで」

御坂「ま、まぁ我々が想像してるような甘酸っぱい感じじゃなかったけど!オカルトにハマるのも10代にしかしできない特権よ!」

初春「そうですね。二十歳を超えると流石に周囲の目が厳しくなって、民俗学とか文化人類学とラベルを貼り替えて難を逃れるようですが」

御坂「誰か刺しに行ってない?自傷っていうか、うんまぁ、使いようのない知識がね」

初春「――そして意外と集まった×き××の話!『言えない・書けない・残せない』と走攻守全てがそろったスタープレイヤーと言えなくも!」
(※大分認知度上がっていますが、差別を助長しかねないため無理。水○先生とム○のタッグで何とかというレベル)

御坂「いいから。無理しなくていいから、ねっ?」

初春「という訳で佐天さんの危険がピンチなんですよ!?」

御坂「落ち着きなさいよ。そっち系の地雷踏んだとか、そういうんじゃないでしょ?」

初春「……いえ、それがですね。最近、これも最近のお話なんですが――」

御坂「が?」

初春「――『あれこれもしかしてオバケとか妖怪とかいなくね?』ってこぼすように……ッ!!!」

御坂「年相応よりか若干高めだけど、卒業するルートじゃない。むしろ良かったと誉めましょうよ」

初春「なんで御坂さんは落ち着いていられるんですかっ!?こんな重大事に!?」

御坂「初春さんのテンションが分からない」

初春「佐天さんからオカルトを取ったら何が残るっていうんですかっ!?」

御坂「おい親友。確かな親友が何か言い出したな」」

初春「……えぇまぁこれが普通の相手だったら何も言いません、言いませんとも。むしろ『お帰りなさい!』と笑顔で迎えるところですが!」

初春「佐天さんは――エ×いんですよ……ッ!!!?」

御坂「担当的にね?あたしらの対比っていうか、段々と肉体のごく一部かデフォルメされつつあるのは認めなくもないけど!」

初春「もしここでオカルトがバリアーにならなかったら、佐天さんは普通のエ×い中学生として認知されるじゃないですか!」

御坂「もうなってる。騒いでいるのは外野だし、本人の預かり知らぬ間にそうなってるのよね。残念なことに」



――とある事務所

御坂「――って訳なんだけど、なんとかならないかしら?」

鳴護「うん、事情は分かったけど持ち込む先を間違えてないかな?『HUNTER×HUNTE○の富○先生に憧れてきました!』って言いながら、コロコ○コミックに持ち込みするようなもんだよね?」

御坂「適材適所でしょ?」

鳴護「芸能事務所だよ?ついでに言うとあたしはアイドルだよ?アイドルじゃないけど、シンガーソングライターだけど」

御坂「あの後散々話し合ったんだけどね、中々いい解決策が出なくて……」

鳴護「それはまぁ、そうだろうけど」

御坂「で、佐天さんを知ってる中で一番アバウトかつフレキシブルな人材を擁しているのがここだと」

鳴護「それもまぁそうだけどね!お陰様でねっ!」

鳴護「……いや、美琴ちゃんも言ってたけど、別に良くないかな?オカルトから足を洗っても本人を含めて誰も何も損しないっていう」

御坂「でもよく考えてみたら、将来のリアクション担当が失われるのは人類にとって損失だと思うのよね」

鳴護「熱中症かな?リアクション担当ってどういうこと?」

御坂「あぁホラよくいるじゃない?『あ、あれは伝説の……ッ!?』みたいに盛り上げる人?」

鳴護「涙子ちゃんへそんな業を背負わせるのはどうかと思うんだけど……」

御坂「『闇ちゃんねる』だっけ?あれで噂の霊媒師回は神回だったわね!」

鳴護「あれ精神衛生的に一回も見てないんだけど、どんな回だったのかな?」

御坂「何かこう反社っぽいおじさんが廃墟に乗り込んで霊と戦うのね」

鳴護「ガチな人だよね。気がついたら最近の準レギュラー扱いに」

御坂「でも『どんな霊が襲ってきた!』とか『これはこういう効果があるお経です!』みたいな解説が一切無くて、ただ全般的にスベっていくだけの回」

鳴護「地獄の絵だよね。おじさんが廃墟で淡々とお経読むだけの回」

御坂「ただ……所々スタッフが見切れてるのよね。多分オバケって演技なんだろうけど、もっとカメラワークを意識してほしいわー」

鳴護「絶対に演出じゃないと思うな。あの人どこまで行ってもガチだから」

御坂「そんな訳で佐天さんの希少性を失う訳にはいかないのよ!シャーロッ○ホームズだってワトソ○さんがいないとただのコミュ障でしょうが!」

鳴護「言いたいことは分からないでもないけど……いやまぁ分からないよ!?分からないけど分かったって体で進めるけどもね!?」

鳴護「そもそも涙子ちゃんが怪談不信に陥った原因とかってはっきりしてないのかな?そこが分からないんだったら、対処のしようがないっていうか」

御坂「その……これ見てもらえるかな?一番新しい『花子さんトライアル』らしいのよ」 ピッ

鳴護「なんて時間の無駄遣い……!見る方も撮影した方もそしてやってる当人が一番楽しいのかも!」

佐天(動画)『――えー、19時22分××学区のA小学校へ乗り込んでおります。佐天涙子でございます』

鳴護「炎上動画かな?画質と角度からして天上側から撮影してるっぽいんだけど……?」

御坂「初春さんがどこからか仕入れてきた動画だし、あまり深くは考えない方がいいわよ」

佐天(動画)『本日もまたトレイの花子さんの召喚実験をしたいと思うんですが。ここA小学校にも噂は伝わっているんだそうです』

佐天(動画)『曰く、「7時30分に三階のトイレの手前から数えて三番目の個室をノックとして声をかける」とのことで。ちなみに朝やった子は出てこなかったと証言しています』

佐天(動画)『なのであたしが……あ、時間だね。手前から三番目、てか全部で三つしかないけど』

鳴護「……あれ?これ意外と怖くないですか?あたしそういう苦手なんだけど大丈夫?夢に出たりしない?」

御坂「いやまぁ佐天さんはどこまで行っても佐天さんだし?」

佐天(動画)『それでは声をかけてみたいと思います。えーっと何にしようかな。それじゃ――』

佐天(動画)『――いるんじゃないのかいっ花子さんっ!花子さんいるんじゃないのかいっ!』

鳴護「無理かな−。『はいどうもーいつもお世話になってまーす!』って入るしかないもの。こんな雑な振り方されたら」

佐天(動画)『それでは登場して頂きましょう!曲は「てのひらをたいよう○」で歌うはご存じ花子さんでどうぞっ!』

鳴護「これ、花子さんへ対する虐待行為じゃないかな?」

佐天(動画)『場を温めておきました!さぁレッツサモン花子さん!できれば仲魔になってくださいお願いします!」

……

佐天(動画)『……』

鳴護「まぁ、そうだよね。この空気の中で出てくるようなオバケさんはいないよね?何をどう出たってギャグにしかならないからね?』

佐天(動画)『――ふんぐるい・むぐるうなふ・くとぅるー・るるいえ・なふるふたぐん……ッ!!!』

鳴護「喚んでる対象が別過ぎる。その呪文で召喚されるのはイカタコミックス様だし、そもそも『日本の女子トイレから出て来た』なんて属性加わったら名声が地に落ちるよ?」

鳴護「いやまぁ本当に出てきたら面白いけどね!?なんで女子トイレからとか!場所が小学校でいいの!?みたいな意味でねっ!?」

御坂「『――お分かりいただけただろうか』」

鳴護「ウルサイよ!?美琴ちゃんもそれ言いたかっただけで動画見せたよね!?結果が分かりきってるのに!」

御坂「まぁこんな感じでね。ことごとくハズレを引いたらしく、現在は少し落ち込み気味らしいのよ」

鳴護「放置しなよ?何をどうやったのか不法侵入だし、別の意味で痛い目に遭うよいつか?」

御坂「それずっと前から口をすっぱくして注意してるんだけどねー……初春さん救出で金星上げたのも、まぁあの行動力から来てるし」

鳴護「事情は把握しましたが……生憎、弊社ではこれ以上お力になれることはありません。ご縁がありましたらまた次の機会ということで」

御坂「お、お金なら出すわ!なんだったらそっちの変な番組にあたしが出たっていいし!」

鳴護「涙子ちゃんに求めてたリアクション要員だよ?来てくれるんだったらウェルカムだけど」

???「――話はマルッと聞かせてもらった……ッ!」

御坂「だ、誰よっ!?」

上条(パジャマ)「その依頼――俺たちが請け負わせてもらうぜ!!!」

鳴護「うん、情報量が多い。ビジュアルがアレ過ぎて話の内容が入って来ないね」

上条(パジャマ)「アリサは困ってる人がいても助けないって言うのか!?」

鳴護「あたしが今困っています。カガ○さんは泣いてるかもしれないけど、あたしも困ってるなう」

鳴護「てか美琴ちゃん?ツッコミのお仕事が疎かになってるよ?」

御坂 パシャーパシャーパシャーパシャーパシャーパシャー

鳴護「ケータイで超連続撮影!?レアっちゃレアだけど当麻君のパジャマ姿にそんな価値はないよ!?」

御坂「べ、別にこれはケータイの機能を急に試したくなっただけなんだからねっ!?」

鳴護「あ、マズいなこれ!?この部屋にはツッコミがあたししかいなくなってる!ノドが心配!」

鳴護「……うん、ていうかあの、正直トラブルを解決してくれるのはありがたいよ?お友達のことだから感謝はするんだけど、なんで、パジャマ?」

上条「しまむ○で安かったんだ?」

鳴護「違う違う。そのファッションアイテムに興味あるとかじゃない」

御坂「しまむ○……そこで買えば疑似お揃いカップルと言えなくも……!?」

鳴護「そこまでするかな?そしてそのペアルック日本全国で万に届くよ?いやまぁあたしも後でちょっと見に行くし、場合によっては購入をしないとは確約は出来ない訳だけども」

上条(パジャマ)「いや俺も普段はTシャツ派なんだが、ここって冷房が効きすぎるだろ?だから冷えすぎないようにって」

鳴護「会議室だからね?住むのを前提に作られてないからね?」

御坂「住む……?」

鳴護「助けて美琴ちゃん!何かこう呪いのお人形みたいに何回捨てても帰ってくるの!」

御坂「へー……ふーん?……ほーん?」

鳴護「何その反応?『夜のクモは殺せっていうけど、今夕方だからさじ加減次第かなー。どうしよっかなー?』みたいな顔は?」

御坂「事務所……何か入る条件とかってあるの?」

鳴護「気になってるのってそっちかな!?別にウェルカムだけど他にカタギのところって探せばいくらでもあるよ!?」

マネージャー「――本社は福利厚生がしっかりしているのが自慢でございまして、特に売れようが売れまいが関係なくタレントを長い目で育成するというプランが」

鳴護「マネージャーさんいなかったよねぇ!?そして本気で囲いこもうとしてない!?」

マネージャー「この方がいれば監督の呪縛から逃れられるんですよ!?なんだったら学園都市一も狙えますし!?」

鳴護「反省が足りてないな?どうせそれでサメの襲撃を防げたとしても、ずっともっと洒落にならない何かの事件に巻き込まれるんだよ?」

闇咲(Tシャツ)「――と、いうことであればやぶさかではないな。私も手を貸そう」

鳴護「あ、あれ……?ラフな格好の人が増えて……?」

レッサー(タンクトップ)「ならば私も加わりましょう!ダチョ○やろうかと思いましたが今日は自重して!」

絹旗(パジャマ)「義を見てせざるは幽遊白○――宜しい!私も超いっちょ噛みしましょう!」

絹旗(パジャマ)「――あとジャーマネさんはoha-nashiがあります。逃げたら超追いかけますのでそのつもりで」

鳴護「――取り敢えず、美琴ちゃん以外全員正座ね?あたしをハブにしてここでパジャマパーティやってたでしょ?違うかな?」


――とある芸能事務所 上条の私室(仮)

上条「――ここをキャンプ地とする……ッ!」

鳴護「屋根も上下水道もなんだったらクーラー完備なのに?この会議室を占拠している勢力に釈明を求めます」

上条「いやぁやっぱり実家が一番かなって。クーラーへ使い放題だし?」

鳴護「こここじゃないよ?当麻君には帰るべき家があるよ?」

上条「残念!ついこの間(体感時間14年前・現実時間半年前)に爆破されちまったがな!主に父さんの不注意で!」

鳴護「なんで上条家は身を張って笑いを取ろうとするの?どうして笑いへ対して必死なのかな?」

鳴護「てか私物なんとかしなよ!端っこにあるダルマ!『必勝!』って書いてあるけど誰と戦っているのかと!選挙ネタに乗っかったと思うんだけどさ?」

上条「人気投票、かな?あと少ししたら目を入れて飾るんだ!長年の俺の夢が叶ったって堂々と生きるんだ!」

鳴護「――ゴメンね?あたしが悪いみたいだから私物の話はいいかなー」

鳴護「てゆうか一人だったらまだしもねなんで増えてるの?最愛ちゃんにレッサーちゃん、あと意外過ぎる闇咲さんまで全員でパジャマパーティってどういこと?」

鳴護「しかもあたしに黙って!家主に一言もなくされるとハブられてるみたいで気分悪いな!」

上条「待ってくれアリサ!発案は監督だがここに闇咲はいないんだ!」

鳴護「あぁうんどっか行っちゃったね。みんなとお泊まりじゃないの?」

上条「奥さんに気を遣ったらしく仮眠室にいる」

鳴護「じゃあパーティの意味ないな!?律儀にも参加してくれたのはありがたいけど、別室待機だったら特に意義はないよ!?」

鳴護「てか当麻君もそっちで暮らしなよ!勝手に部屋に占拠する行動力は別の場面で発揮したほうがいいよ!」

絹旗「なおこの件は『それはそれでオイシイ』と超提案したのはこの方です」

レッサー「――どうも!イギリスのロビンマス○ことレッサーちゃんです!」

鳴護「その人元々イギリスの超人。あぁまぁタチ悪い順に二人集まればそうかもだけど」

御坂「お、お泊まり会ってその、学校とかに届けなくていいの?ひ、非合法じゃなくて?」

鳴護「想像してるヤツとは違うから大丈夫かな。きっとナイトがプールするパリピヤッホー的ないかがわしいんじゃないから」

上条「『――ねぇ、こういう所来るの初めて?よかったら俺たちと一緒にマリカ○しない?』」

鳴護「やめてくんないかな?あたしの事務所を舞台に不祥事を起こさないでくれる?あとマリカ○にいかがわしい意味は、ない」

絹旗「台詞がA×の導入超そのままの件について」

レッサー「所詮はD×ですからね。想像が追い付かなかったんでしょうな」

上条「やかましいわコラ!最近はイメージビデオでもあるわ!なぁARISA!?」

鳴護「だからあたしを巻き込まないで。あるなしでいえばあるけど。あたしもその、『誰がこの頭悪い台本書いたんだろ?』ってのはある」

レッサー「今のでもたまーに驚愕するような内容ありますからね。中身50分で20分近くダッシュさせていたり」
(※実在します)

御坂「『い、いつも来てるわ!学校よりも高い頻度で通ってるわ!むしろこっちが実家よね!』」

鳴護「美琴ちゃんも寂しいからってノッて来なくて大丈夫だよ?テンポ悪いからも」

鳴護「てゆうかボケしかいないなここ!さっきも言ったけどあたしのノドのストレスがマッハだよ!」

上条「異議あり!ノリツッコミ右手一本でやってる子だっているぜ!」

絹旗「もうそれが超ボケですけどね。そしてあなたは『ツッコミの上手いボケ』であり、本質的にはボケです」

鳴護「――はい、じゃああたしが仕切るよ!涙子ちゃんをオカルト好きに戻すって企画なんだけど、当麻君はどういうプランをお持ちなのかな!?」

上条「人を」

レッサー「『――人を助けるのに理由がいるかい?』」 ドヤァッ

絹旗「全体的に超パッとしない内容なんですけど、その台詞だけが一人歩きしてる感じですよね」

上条「他人のボケが終わるまでは黙っていなさいよ!俺がこれ言うためだけに引き受けたようなもんなのに!?」

絹旗「ツンデレ風に言うと?」

上条「『べ、別にあんたのために受けたんじゃないんだからねっ!』」

鳴護「それツンデレ違う。嘘は良くないよ」

レッサー「ちなみに本物はこうです――ミサモン、君に決めたっ!」

御坂「『た、ただ人助けがしたい気分になっただけなんだからね!』」

絹旗「これが超天然とパチモンの超圧倒的な差です。恥を超知りなさいこのD×が」

鳴護「美琴ちゃんも段々ノリについていってきてる……!?あとボケが多すぎて捌けなくなってるな!」

上条「まぁなんだ!ノリで引き受けちまったが特にノープランだ!取り敢えずマリカ○しながらどうするか決めようぜ!」

鳴護「終わってからでいいんじゃない?そして後悔するんだったら一度立ち止まろうよ」

上条「くっ!父さんから遺伝した何でも安請け合いする呪いが……!」

レッサー「上条家オリジンの呪いっすわー。そして女運に全振りした能力値」

絹旗「最初のボスはなんとかできても、中盤で超詰むタイプですよね」

御坂「えっと……パジャマ!お着替えセット買ってくるからちょっと待ってて!」

鳴護「――はい、仕切る人がいないからここからはあたしが仕切ります!美琴ちゃんはマネージャーさんに車出してもらって!」

鳴護「ついでにレッサーちゃんもそっちの班に!外泊許可取るのに大変だろうからいつものアレな感じで騙くらかしてきて!」

レッサー「イエッサマム!私に任せておけばクイーン・エリザベスに乗ったつもりで!」

上条「お前の場合二択なんだよ。成功するかスッゴイ失敗するかの恐怖の二択」

御坂「そしてクイーン・エリザベス号はイタリア軍によって大破……まぁ爆沈させられてない分だけ、うん」

上条「俺は?」

鳴護「出歩くと謎の組織に絡まれるからジッとしてて!それでも襲撃される可能性がゼロじゃないけど!」

絹旗「しかしこの戦力であれば大体超返り討ちに出来と思います」

レッサー「いいですな!ではグループ名は『シン・新たなる光』で!」

鳴護「語彙が被ってる。響きも悪い」

絹旗「あの……名前を超呼ばれていない私はどうしたら?戦力外通告ですか?」

鳴護「できればそうしたいんだけど……先に何をどうするのか大体の方向性を決めちゃいたいので」

絹旗「超お任せください。私のチームでは『チームの良心兼名アドバイザー』と呼ばれていましたから」

鳴護「……メンバーの人たちは召喚された悪魔とか?」

絹旗「おぉっと暫く見ない間に超毒を吐くようになりましたね。ちゅーしますよ?」

鳴護「ごめんなさい監督!?あとレッサーちゃんもだけどなんで人の嫌がることを的確にするんですかっ!?」

絹旗「超嫌がるからですね。むしろそれがいい」

鳴護「助けて当麻君!?この二人はオイシイと思った大抵のことは敢行するんだよ!?」

上条「――クソッ!こんなときに俺のクツヒモが切れて!」

鳴護「スリッパだよね?我が社のアメニティグッズにはヒモないですけど?」

絹旗「いや流石に超本気でするつもりはないですけど」

上条「危ないところだったな!」

鳴護「そしてこういうときに役に立たない当麻君……」

上条「あと監督の言ってることは大体合ってるらしい。友達の浜面が『殴る前に理由を教えてくれる分だけ優しい』ってコメントをだな」

鳴護「生まれる時代を間違えてきたよね。種籾までキメる時代だったら面白暗殺券の伝承者に選ばれてると思う」

絹旗「『天……!』とか暗殺券使って目指す人の兄弟弟子はちょっと……」



――とある芸能事務所

絹旗「――村シリーズ・ラストを飾る『牛首○』が超ゴミだった件について」

鳴護「うん、取り敢えず開幕ぶっぱは止めてくれないかな?話題がね、こう二転三転して」

絹旗「あぁ超怒っているんじゃないですよ?最近はこうダメ映画でもCGで誤魔化すような風潮が強いですが、あえてこう”全てにおいて誉めるところがない”と果敢にチャレンジ」

鳴護「止まりなよ。一回叱ったんだから止まるのが礼儀だよ?」

絹旗「ゴーストバスター○新作の95%部分はゴミですが、ラスト10分で超号泣します!旧来のファンの方は超是非ご覧くださいな!」

鳴護「当麻君出番です。いつもの調子でそげぶしてやってください」

上条「人のアイデンティティをツッコミ一本みたいにさせんなよ。俺はもっとこう、えっとほら!ツッコミ以外でも可能性は無限大だ!」

絹旗「私には超見えます――10年後、浜面と一緒に朝一でパチ屋に並んでいる姿が……!」

上条「人生楽しそうで結構じゃねぇか。あと浜面は今既にそういう感じのお仕事してんだろ」

鳴護「あの……税制的には大丈夫なの?仮に大勝ちとしたとしても、換金してるんだから古物商として免許が必要なんじゃ?」

絹旗「あぁ、問題ないですよ?FXや転売と違って100%負けますから、利益として超計上されないんですよね」

上条「でも浜面って結構勝ってるぜ?」

絹旗「浜面には最近ついてる……超憑いているらしくてですね、電脳の妖精的なアレが」

上条「あー……『朝起きたら口座の桁が一つ上がってておまわりさんいっぱいたすけ』ってDM来たのは、そっち関係か−」

鳴護「ゴメンね?素朴な疑問を口に出したのは謝るから、そろそろ戻って来て貰っていいかな?その浜面さんって人知らないし」

絹旗「想像してみてください――新台入れ替えの日、並んで開店を超待っている人の中に金髪の青年がいます。それが浜面です」

鳴護「個性がザックリし過ぎてるよね?全国に何人金髪のピラっぽいお兄さんがいるのかと」

上条「あぁ分かる分かる。俺もついてこないだ、駅前で浜面と話してたら『あれ大将?その人誰?』って別の人だった」

鳴護「二人ともザックリし過ぎてるよね?むしろ逆に興味が湧いてきたよ」

上条「まぁともあれアリサの心意気は分かった!寝落ちするまでマリカ○する俺の夢を叶える日だし、さっさと決めちまおうぜ!」

鳴護「家でしなよ。インデックスちゃんって相手が……あぁ、家電に嫌われるんだっけ」

絹旗「では私は有志アリサさんとダメじゃなくてガチに怖いホラー映画マラソンを。あ、超怖いだけですからご心配なく」

鳴護「うん、キャスティングは後で考えようか?レッサーちゃんは確か映画大好きーみたいなこと言ってたような気がしないでもないし、多分そっちになると思うけど」

上条「アリサもついにレッサーを売るように……まぁレッサーだしいっか、的な答えに落ち着くんだが」

絹旗「ともあれ概要は私も超聞いてたんでずが、要はその佐天さんとやらにオカルト的な興味を持たせればいいんですよね?」

鳴護「うん、何か名案でも?」

絹旗「こんなことわざがあったかもしれません――『水を飲む気がない馬を水辺に連れて行っても水は飲まない』と」

鳴護「どっかで聞いたような……まぁそうだよね。で、その解決策は?」

絹旗「『水を飲むまで繋いでおく』、ですね」

鳴護「ねぇ当麻君、最愛ちゃんのお友達ってみんなこんな感じなの?ステータスを上げて物理で殴る以外の選択肢がない感じ?」

上条「浜面も……まぁ『アイテム』のリーダーっちゃリーダーと言えなくもない、か?」

絹旗「おっとクレームがあるんだったら超聞きますけど?我ながら完璧なプランに問題でも?」

鳴護「馬だったらそれで通るのかもしれないけど、問題は対象が人間で興味を持たせるってことかな」

絹旗「え?殴れば大体の物事って超解決しません?」

鳴護「――はーい最愛ちゃん一回休みです!みんなが帰ってくるまで提案はできません!そういうルールです!」

絹旗「ちっ、ルールなら仕方がないですね。ツッコミに超専念するとしましょう」

上条「何だろうな。俺も反省してるんだが、このアイドルの手慣れてる感」

絹旗「手遅れですからね。この間歌番組に出ているARISAさんを超拝見しましたが、MCへ普通にツッコんでましたし」

鳴護「もっと穏当な解決方法はないのかな!?誰も傷つかないし円満に終われるようなのが!」

上条「はい。監督が言ったように結局は興味持たせるのがポイントだと思いまーす」

鳴護「それはそうなんだけど……問題なのは持たせ方じゃないかな?食べ物と違って上手く料理すれば食べられます、ってはならないし」

上条「――ふっ、愚問だな@RISA!」

鳴護「勝手にネームチェンジさせないでください。ワゴンセールで大安売りしそうなユーチューバ○みたいな名前に」

上条「元々オカルトが好きな土台はできているんだ!ならちょっとだけ背中を押せばきっとまたオカルト女子になってくれるぜ!」

鳴護「『ナイナイ』ってツッコム所なんだけど、涙子ちゃんだったらそうだよね。んー?まぁ案の一つとしていいかなー?」

絹旗「超問題なのは中身では?下手に押しつけたら『やっぱいいわー』みたいに反発されたりもするでしょうし」

鳴護「だよねぇ。そして相手が相手なだけにどこがどう琴線に触れるのか予想できない……!」

上条「そこもきちんと考えてある!『闇咲逢魔と回る不良物件バスツアー』なんてどうだ!?」

鳴護「あれそれ当麻君やってなかったっけ?オカルトよりも怖い占有屋さんと殴りあってたって」

絹旗「怖いっちゃあ超怖いですし、JCだったら別の意味でも激烈に不安を覚えますが、そういう話ではないと思います」

上条「ガチの幽霊に会いに行く.」

鳴護「無理かな−。だってトイレの花子さんあれだけ煽る子に幽霊さんだって会いたくないと思うよ?」

絹旗「……あぁ、それは超アリかもしれませんね」

鳴護「あんな無茶なテンションが!?」

絹旗「ではなく。ガチの方です」

鳴護「……監督が埋めた方とかに、心当たりが?」

絹旗「埋めたことは超ありませんね、まだ。あと私の所にも化けて出て来たことはないですし、幽霊なんていないに決まってるじゃないですか」

鳴護「う、うん……?そう、だね!深くは追求しないけどオバケなんていないよね!」

絹旗「私が言っているのはガチではなく”ガチっぽい”のです。ぶっちゃけ超ヤラセです。つーか世に溢れる100%が超ヤラセですけど」

鳴護「(……って言ってるんだけど……?)」

上条「(住む世界が違うからな。アリナシでいえば”アリ”の世界で、魔術師がいっちょ噛みすれば監督も呪われる)」

絹旗「なんて言いますかね。映画のオチでも多用されていますし、こないだ某有名なモキュメンタリーでもかっ飛ばしやがった手法ですが」

鳴護「モキュメンタリーってなんですか?」

上条「ノンフィクションっぽいフィクション映画のこと。ブレアさんがウィッチするアレとか」

絹旗「その映画では『ここの監獄施設には幽霊が……』とスタッフが撮っていたんですが、そこに警備員のオッサンが来て昔の話を超聞かせてくれます」

絹旗「ロケ隊は撮影を続けましたが幽霊は取れず、しかし歴代の監獄長の写真を見たらなんとそのオッサンの写真が!……と超微妙なオチになる映画です」

鳴護「つまり……ヤラセで幽霊っぽいのを見せろ、と?」

絹旗「が、いいんじゃないですかね。テンションが元に戻った後にでも超ネタバラシしとけばいいですし」

鳴護「その時のリアクションが少し怖いけど、イベントとしてみれば楽しそうでいいのかも』

上条「あぁそれだったらいい企画があるぜ。てかARISAに来てたテレビの話があってだな」

鳴護「ちょっと待ってそれあたし聞いてないしなんで当麻君が先に知ってるのかなぁ!?」

上条「『本当にいたら怖い学校の怪談コンベンション!』だ、そうだ。正しくは地獄の闇ちゃんねる系列のヨゴレ仕事だ」

鳴護「出ないよ?きっとそれしょーもないか凄い怖いのか、もしくはどっちもだよね?」

絹旗「まぁ夏ですから多いやつですね。その中にヤラセを一体超紛れ込ませて、『アレ誰が用意したの……?』と不安を煽る方向で」

鳴護「いいのかなー。どう考えても場当たり的なんだけど――まぁ今更だね!それよりもお泊まり会の準備しようか!考えてもしょうがないから!」

絹旗「段々ARISAさんも我々の流儀に超馴染んできましたね。『レットイットビー(あるがままにあれ)』と」

上条「人生は諦めが大切だよな!」

鳴護「あとサンシャインさんのお給料から経費は抜くようにしたから、マイナスになるけど覚悟してね?」

上条「絹旗さん、優秀な弁護士のお知り合いは?」

絹旗「麦野に超聞いておきましょう。元お嬢っぽいですし、きっとツテはありますよ」



――とある廃墟学校風テーマパーク 夜

佐天「『――梅雨が明けたと思ったらメッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッチャンコ暑くて大変ですね佐天涙子ですっ!』」

鳴護「『えーっとギアがまだセカンドから上がっていませんARISAです』」

佐天「『いやーいいっすねぇ!不法侵入した廃墟とか勝手に入った学校とかじゃないんで声を好きだけ張れるのは!』」

上条(カンペ)【ただいま一部誤解を招く発言がありましたが、当番組といたしましてはコンプライアンス遵守精神を第一に活動しております】 サッ

鳴護「『相変わらずのこの手慣れてる感……第一に活動してるとは言ってるけど、守ってるとは明言してないし』」

佐天「『大人の世界なんてそんなもんかと。綺麗な絵と綺麗な音楽のゲームを作っているのは汚いオッサン、略して汚っさんばかりですし』」

鳴護「『な、中の人は違うもん!みんな格好良かったり可愛かったり美人さんばかりだと思うよ!』」

佐天「『”演技ができてスタート地点、外見が良くて何とか一人前”という声優業界の批判ですねっわかりますんっ!』」

鳴護「『そういう風潮はきっとどこかでしっぺ返しが、ね。うんきっと』」

佐天「『歌手役をやらせるんだったら歌の上手い中の人だっているんだぞ!例えばそう劇場版で活躍した人とかですね!』」

鳴護「『ヨイショが露骨すぎるね!評価してくれるのはありがたいけど気づいて逆効果だって!』」

佐天「『さて!突然ですがARISAさんはどの学校怪談がお好きでしょうかっ!?』」

鳴護「『これといって特には』」

佐天「『おぉ”天井の怪”ですか!またマニアックなのご存じですね!』」

鳴護「『ねぇこれMC一人で良くないかな?同じ言語喋ってるのに意思疎通ができないのはレッサーちゃんと同じだね!そういえばね!』」

佐天「『ちなみに”天井の怪”というのは寄宿舎だったり夜の校舎だったりで、ジーッと天井を見上げる訳ですよ』」

鳴護「『あんまないよね?今は勿論だけど昔もそんなに機会はやってこないよね?』」

佐天「『そうしますと天井がぐにゃーって曲がり出します!ニンジャナンデ!?コワイ!』」

鳴護「『そ、それで?』」

佐天「『――で、終わりです!ただ見たらそこそこの確率で死にますけど!』」
(※実在する怪談です。現実に存在するかは別にして)

鳴護「『フワッとした内容なのにペナルティ重っ!?大して怖い由来があるんじゃないのに!?』」

佐天「『主体となって広めていくのは子供たちですからねぇ。インパクト重視なのでは?』」

上条【なんか言い出したぞ中学生が。去年までランドセル背負ってた分際で】

鳴護「『小学校時代の涙子ちゃんを知りたいような知りたくないような……』」

佐天「『外部組なんで普通の小学生でしたよ?いやー、卒業式でコクられまくりました!地元を離れるからって軽い気持ちだったんでしょうね!』」

鳴護「『その男子達の想いを汲んで上げてください。少しだけでいいから』」

佐天「『全員に”――まずは妖怪を捕まえてからにしてしろ!”と応えましたけど?』」

鳴護「『全員完全にフラれたって認識しただけだよ?だって妖怪さんはいないもの』」

上条【だがしかしこの時点は誰も気づいていなかった――少年が、妖怪を滅ぼす”槍”と共に旅立っていたことを……ッ!】

鳴護「『蒼○君かな。もうそうなったら世界を揺るがす戦いだから、告るどうこうの話ではないよ』」

佐天「『あぁあたし最近考えてるんですけど、あれ最初に真由○ちゃんが槍を抜いても成立すんじゃねぇかって』」

鳴護「『もういい加減にしてくれるかな!?ボケるのとお化けの話で全然進まないし!』」

佐天「『えーっと、今のはですね、”オバケ”と”ボケ”の語呂を合わせた感じで』」

鳴護「『だから事故を押しつけるのって良くないよ?”バ”しか合ってないのにドヤ顔する人っているかな?いないよね?』」

鳴護「『てゆうかOPトークにあんまり時間割いても使われないんだからね?二回三回ややウケしたと思ったのに、バッサリ切られてる事も普通だよ?』」

佐天「『えー、実はあたしこの間御坂さんと一緒にパワーストーン屋さんへ行ったんですよ』」

鳴護「『だから話聞いて!?これだけハードル上げても絶対にウケるって自信でもあるんだったら別だけど!?』」

佐天「『間違いないですから!絶対にスベらな○話と同じぐらいでウケますから絶対に!』」

鳴護「『あれ全部スベってるよ?』」

上条【仮装してスタンバッてる人が倒れそうなので……】 サッ

鳴護「『用意してるだけで倒れるって何させるつもり!?どう考えてもお笑いの刺客が着ぐるみ的なもの着て待ってる画しかないな!』」



――

御坂「……ねぇ、この空気のままするの?無理がない?だってこれ『有吉の○』よね?」

レッサー「初期はきちんとやってたのに最近はバッサリ切られるオープニングトークですな。一説に寄りますとアレが短くなったのは理由がありまして」

レッサー「まぁぶっちゃけ『ネタがつまらなくてオンエアに乗らない』んで、『あれアイツOPにいたのにネタオンエアされなかったな?』って」

御坂「うん、軽い気持ちでボケたのに予想以上のレスが来て戸惑ってるわ」

レッサー「なお初期のサンシャイン某さんがそうですかね!流石は上条さんが勝手に芸名パクっただけのことはあります!」

御坂「多分適当に決めただけじゃないかな。未だにご本人様のネタを見てない……うん、そもそもやってないっていうか」

レッサー「芸人の大量消費社会ですよね。イギリスでは逆にバントで似たような現象が起きています」

御坂「それはまぁどこでも同じじゃないの?あれでしょ、動画投稿サイトからのスカウト組でしょ?」

レッサー「いやーそれがですなー。タレント事務所の紐付きが多くて萎える萎える。なんでテメー流暢に小粋なトークもかっ飛ばせんですかって感じのが」

御坂「あーはいはいサクセスサクセスってのね」

絹旗(※inシャークレッド)「――超いい加減にしてくださいあなた達!ここへ何しに来たっていうんですかっ!?」 ペタッ

レッサー「一風変ったアクティビティですね分かります」

御坂「あの……ごめんなさい?あたしの理解が追い付かないだけなのかなー、その格好で出るって訳じゃない、わよね?私服、よね?」

レッサー「それはそれでルナティックだと思います。その発想は嫌いじゃないですか」

絹旗(※inシャークレッド)「なんですか!?超怖いじゃないですかサメの着ぐるみがいたら!」 ペタッ

御坂「うん、怖いわよ?でもベクトルが別方面向くのよ、主旨が違うわっていうね?」

レッサー「――くっ、確かに!深夜の校舎にいたら爆笑必至ですな……ッ!」

御坂「あんたもあんたでウケ狙いよね?大丈夫かなこれ……手段から人選まで全部の選択肢で間違っちゃったかな……」

絹旗(※inシャークレッド)「………………む?」 ピタッ

御坂「ど、どうしたのよ?幽霊でもいた?」

レッサー「ここ廃校風セットですしいる訳ねーですわ。逆に『ここで死んだ生徒の霊です……』とか言い出したらギャグです」

絹旗(※inシャークレッド)「――いいですか、二人とも?今から私の言うことを超聞いてください、決して一言一句聞き逃さないで!」

御坂「本当にどうしたの?なんか悪い霊にでも取り憑かれた?」

レッサー「だとすればB級映画の霊じゃないですかね。もしくはゴミ映画のため不当に浪費されたフィルムの霊とか」

絹旗(※inシャークレッド)「な、夏は夜になっても、建物内に熱が残っているので、暑さ対策を、忘れず……に……!」 パタッ

御坂「ただの熱中症かクラアァァァァァァァァァァァァッ!?あぁもうそんな格好しているからよ!」

レッサー「そーいやこの方って中身は普通の女の子でしたっけ。態度が超ビッグなので忘れがちですが」

御坂「言ってる場合か!スタッフのバンに連れて行くから救急車呼んどいて!あとクルーに事情説明!」

レッサー「えー、我々が抜けると撮影に穴が、って……あぁ大丈夫です?そっちは何とかなる?」

ランシス「……ん、問題……ない」

レッサー「分かりました!ではそっちはそっちで健闘を祈ります!ブラジャー!」

ランシス「ブはいらない……そしてラジャー言うタイミングでもない」

御坂「一応大丈夫だと思うけど、何かあったら連絡するから!それじゃっ!」

ランシス「ブラジャー……」

ランシス「……」

???『――おひいさま、宜しいので?』

ランシス「まぁ……許可は、貰ったし……?』

???『左様で御座いますか。ならば鬨の声を』

ランシス「『――クリック、クラック。十字は十時に従事する妖精よ、その理を解け……』」

ランシス「『……ヴォーダンの軛も今はなく、泣く泣く無く鳴くロバを追い立てる……』」

ランシス「『……全ては一夜の夢の中――』」



――とある廃墟学校風テーマパーク 夜

鳴護「……うん?今風が吹いて……?」

佐天「こおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉっ!!!」 ソヨーッ

鳴護「いや違うそうじゃない。そういえば涙子ちゃんは風使いだったんだね、ド忘れしてたんだけど」

佐天「あたしもたまに忘れてますが、地元帰ると『雲の涙子』とそこそこ知名度が」

鳴護「その人は自由を履き違えて風になった人だよ。本人もヤンチャだったけど、お父さんのヤンチャが兄妹に深刻なダメージを与えた実例」

佐天「『効かぬ、効かぬのだウポアアアアッ!?』」

鳴護「吐血してる!?充分効いてる!?」

佐天「てか校内で風は吹きませんて。まぁ学校風テーマパークですんで空調は間違いなくあるでしょうが」

鳴護「涙子ちゃんに諭されるとなんか納得いかない……!あぁまぁそうだよね。人の動きがあるだったら風ぐらい吹く、よね?」

佐天「えぇでは改めましてこんばんは!なんか今日はもう少し経ったらオープンするお化け屋敷に来ています」

鳴護「それでまぁ事前のプレ確認といいますか、幾つかお勧めのオバケをピックアップして我々が体感する――もうイヤだよこんなお仕事!?」

佐天「魂の叫びありがとうございましたっ!ファンのみんなは円盤を買えるだけ買ってね!そうすればヨゴレ仕事から歌手業に専念で・き・る・ゾ☆」

鳴護「ウチの達はみんな良い子だからねっ!『いいぞもっとやれ』ってメールは番組に送らないこと!絶対にねっ!?」

佐天「もうそれがやれっちゅーのと同じですが。てか今回の企画、珍しくARISAさん持ち込みですけど、詳しい内容は教えて貰ってないんですか?どんなオバケ出るとか配置とか」

鳴護「いやそれが全然……『真に迫る生の演技が超ほしいです』と主導した方が謎の供述を」

佐天「ならあたしと同じモルモットとしてリアクション頑張りましょう!逆にオバケを引かせる程のウォークライを!」

鳴護「出来なくはない、ないんだよ。気持ちを載せて全力で歌うと『能力』が勝手に発動するから」

佐天「普通に暴発する子いそうですよね。ジャマーの必要性が認められます」

鳴護「そこまでしてお化け屋敷へ入る意味がまず、無い」

佐天「分かりませんよー?何かこう人質を取られ『お化け屋敷へ入れ!』って理不尽な命令が!」

鳴護「『あ、じゃあいいです、当麻君かレッサーちゃんは好きにして下さい』って言って切るな。だってそれもう企画のニオイしかしないから」

佐天「『歌も歌える芸人』なのにガートが堅い!」

鳴護「だからその認識が間違ってるよぉ!?歌がメインでそれ以外はオマケ的なね!?」

上条(カンペ)【じゃあなんでアルバムに写真集つけたりバージョン違い出してファンを試してんすか】

鳴護「事務所の方針だからでしょ!?むしろあたしが『よーし次は写真集もつけちゃうぞ!』なんて言ったことないからね!?」

鳴護「『あ、今回のアルバムのジャケにしますんでー』って撮る割には、なんか枚数多いし観光地なんだなーって思ったけども!」

佐天「ARISAー、アウトー。どう考えてもその時点で薄々気づきそうなもんです、ギルティです」

鳴護「……実はちょっとそんな気はしてました。ちょっとだけ、うんほんとに少しだけだけど」

佐天「自覚があるなら宜しい!あたしが許します!」

鳴護「全く意味は無いですが、ありがとうござ――って、あれ?何か聞こえるね?」

…………ュル……キュル……

佐天「――よっしゃ来た!車輪のキュルキュル音だったらナースゾンビさんが延々追いかけてくるやつですな!」

鳴護「特定まで早っ!?そして怖がろうよ!嘘でもいいから!」

佐天「か、隠れないと!正面から対応したら怪談名場面の一つ、『トイレの個室の仕切りの上からずーっと覗いていた』が再現できない!」

鳴護「そういう気遣いはいらないかな。てゆうか運営さんもそこまで忠実に再現してないと思うし」

佐天「トイレに逃げるのが難しいですかねぇ。基本順路沿いに歩くだけですし、一パーティの人数が3人以上だとどうやっても物理的に入るのは難しいですし」

佐天「いっそのことどこかの教室か準備室などやや狭い場所へ逃げてから、一回通り過ぎた後に上の窓からジーッと見てるのなんかだったら、まぁ再現可能かな?」

鳴護「そこまでマジに考えてもらわなくても。あ、来たよホラ。曲がり角の先から」

青い光が留ったワゴン キュルキュルキュルキュル

佐天「んー………………?」

鳴護「なんかシュールなの来たな!?怖いっちゃあまぁ怖いけど!」

上条(カンペ)【説明お願いします。音だけ聞いてる人もいるんで】

鳴護「どういう商売の仕方してるの?声優さんにあたし達が似てるからって発想?」

鳴護「……まぁするけど。えーっと、給食とかを運ぶワゴンがあります。その上に青く光る人魂――にしては、はっきり発光してるのが乗ってオートで動いてます、だよね?」

佐天「ですね、あたしも初めて――いや、どっかで見たような気がするんですよね−。どこだったっけ、というか何で見たんだっけかなー……?」

鳴護「心当たりがあるのが凄いよね」

上条(カンペ)【なお怪談おじさん二号は今回は必要ないだろうとお休みを頂いております】

鳴護「そういう意味ではほぼ必要ないよね?今まで一回でもホンモノに出くわしたことなかったしね?」

鳴護「てかこれ、場所からすれば学校の怪談、じゃないの?何か低学年層に受けそうなソフトかつフワッとした感じだしね」

上条(カンペ)【よくできてるよな。動力部分が何で動かしてるのか全然分からん。まぁ超科学かあっち側なんだろうが】

鳴護「(こっちは分かるけど、え、あっちにもそんなのが?)」

上条(カンペ)【見るか?俺とドラム子さんとのツーショットを】

鳴護「(女性に対して甚だ失礼過ぎるよね!)」

上条(カンペ)【いや見れば分かる。ほらほら】

鳴護「(……ルン○の試作機?)」

上条(カンペ)【に、間違われるのが最近の悩みだそうだ。自由を求めて旅立った機体扱いされて、たまーに保護されそうになんだと】

鳴護「(本当に交友関係謎だよね。ナンパでもした?)」

上条(カンペ)【隕石デブリに乗って特効かけてきたのをサムライガールが迎撃した】

鳴護「(世界観おかしくないかな?あたしの知らないSFのネタ入ってない?)」

上条(カンペ)【なおそのサムライガールと最悪同僚になっていたのがARISAさんです】

鳴護「(ブラック企業には上があったんだね……ここが最底辺だと思ってた。だってほぼ反社だから)」

佐天「――『ブルーキャップ』!!!」

鳴護「あぁビックリした!?何突然どうしたの!?」

佐天「アレの正体ですよ!いやーイイモン見ました!まさか日本で見られるとは!」 パシャッパシャッパシャッ

鳴護「ブルー、キャップ?」

上条(カンペ)【レッドの方は知ってる。つーか超有名だよな、返り血で帽子染めゴブリン】

鳴護「ある意味ゴブリンをハンターする戦士の方とは同業と言えなくもない気が……」

佐天「系統的には同じゴブリンですが、出現場所が坑道で姿が見えないタイプのですよ!その代わりに青い光の玉になって見えるって!」

鳴護「何をどうもってゴブリンの定義とするのか悩む案件だよね。ウィルオーウィスプ?の亜種にしか見えない」

上条(カンペ)【なんでそれが給食のワゴンをキュルってんすか?】

佐天「あーそれはですね。このブルーキャップさんは善寄りの妖精さんでして、きちんと対応すれば炭鉱のトロッコを押してくれたりするんですよっ!」

鳴護「どこの誰かさんの犯行だって理解できたけど、引っ張ってくる相手がマイナーすぎてこそんなに怖くないな!」

上条(カンペ)【もしかして;メシがマズい国の人】

佐天「ですです。イギリスの炭鉱によく出るんだとか」

鳴護「……まぁまぁ、うん、充分に怖いは怖いけど……あ、離脱していった」

青い光が留ったワゴン キュルキュルキュルキュル

佐天「悪くはないですしビジュアル的にも中々鮮烈です――が!ちょっとばかりマイナーなのが頂けませんな!」

鳴護「充分怖いよ。出典先がまさかのイギリスだとは思わなかったけど」

上条(カンペ)【よし!じゃあちょっと怪談おじさん呼んでくる!】

鳴護「カメラマンさんは自分のお仕事をしてください。オバケ以前の問題で夜の校舎に女子二人は厳しいです」

佐天「『――あなたが私のマスターか?』」

上条(カンペ)【――こうして、聖○を巡る俺たちの戦いは始まったのだった……ッ!!!】

鳴護「夢がビッグ過ぎるね?あと深夜の学校に忍び込んでも、待っているのは少女じゃなくてセコ○と警備員さんだけだからね?」

……ハァーッハァーッハァーッハァーッ……!

佐天「やっべ何かまた来ましたね!?もしくはレベルの高いストーカー!」

鳴護「主旨変っちゃうから後ろの可能性は無いよ」

上条(カンペ)【――私、そーっと振り向いたんですよ。何か、何か後ろから誰がついてくるような気がして。そうしたら――】

上条(カンペ)【――背後には海原君の皮を被ったエツァリさんがシーッとこっちを見てたんです……!】

鳴護「当麻君そろそろ普通に喋れば?カンペ用のスケッチブックの無駄遣いになるから」

佐天「てか普通にオンエア見たら上条さんのテロップ入ってますもんね。最初っから喋れよ的な」

上条「あぁじゃお言葉に甘えて。てかこれ正面から行くんじゃなくて、ここの教室に隠れね?もっと逃げ回った方が学校怪談の醍醐味だと思うんだよ」

佐天「いいこと言いましたっ!確かにそうです!脅かされる側が堂々と『次は何かなー?』って態度じゃ良くなかったです!」

鳴護「涙子ちゃんは反省しよう?誰相手にでも『取り敢えず物理で殴ってみる』って対処法が問われているんだからね?」

上条「仕掛け人のモチベーション考えてけあげようぜ。思いやりって回り回って自分のためだと思うんだ」 ガラッ

鳴護「お邪魔ししまーす。教室の中はなにもないね。アトラクションで使われることは考えてないのかな?」

佐天「今回の感触次第じゃないですかねぇ。学校怪談系オバケが徘徊する中、安全地帯として教室の中へ逃げ込みつつ探索、ってのはいいかも?」 ピシャンッ

上条「映画ヲタとしちゃ『分かる!』と言いたいが、今回はカメラマンなので黙っておくぜ!」

鳴護「散々喋ってたよね?意思表示してたっていうか。あ、来た」

……ピタッ、ピタッ、ピタッ、ピタッ、ピタッ……

毛むくじゃらの人のようなもの?『……ハァーッ……ハァーッ……ハァーッ……』

鳴護・佐天・上条「……」

……ピタッ、ピタッ、ピタッ、ピタッ、ピタッ……

鳴護「あれ……中に人、いるんだよね?にしてはこう、迫真の演技っていうか、歩き方や動作が自然体、みたいな……」

上条「イエティ?にしてはこう小さすぎたし、夜の学校でエンカウントするような相手じゃねぇぞアレ!?」

佐天「恐らく、ですけどバグベアじゃないですかね」

鳴護「外国のオバケ?」

佐天「はい、イギリス原産の子です。全身が毛で覆われていて、別名『バガブー』。女神が転生するアレでちょい有名になった感じで。やっぱり妖精っていうかゴブリンです」

鳴護「ゴブリンデッキでも組んでるのかな」

佐天「それで言い伝えだと『親の言うことを聞かない悪い子を攫って食べてしまう』そうで……」

上条「おぉっとぉ!脅威度高めのが来たな!」

鳴護「ナマハゲじゃん」

佐天「えぇまさにそういう使われ方をしているそうです。『あんたみたいな悪い子は!』って風のしつけに」

鳴護「てか脈絡がないな!あえて言えば首謀者のイギリス縛りだろうけど、何か無差別に出てるよ!」

上条「これはこれで意外性があってちょっと楽しいが。何かこうしっくり来ないというか、もっとこう日本のオバケをリスペクトしてほしいっていうか」

……ザリッ、ギリギリギリギリギリッ、ザリリッ……

鳴護「……鉄の軋む音……?」

上条「つーか鎖だな。ウチの校門の車止め揺らす音と似て」

鎖を引きずる黒犬『……』

鳴護・上条「……」

佐天「おぉマジっすかスゲー!バーゲストですよバーゲスト!地獄の猟犬って中二っぽい異名そのまんまでカッケーですよ!」

鳴護「……あの、落ち着いて聞いてほしいんだけどね、涙子ちゃん?今のは中の人とかいなかったよね?だって犬だもんね?」

佐天「どうやってやらせてるのかが気になりますよね!よーし今からちょっくら捕まえてきますよ!」

鳴護「――待って!今ちょっと当麻君と相談するからそれが終わってからにして!」

佐天「相談て。あたしはハブられるんです?」

鳴護「きょ、今日はこっちがホスト側だからね!ちょっと何か予定していたのとは違ってるから!すぐ終るから――」

鳴護「(――ってどうしようこれ、ガチだよね?最悪あたし達はガチでガチな人たちの中に放り込まれてる可能性がある、よね?)」

上条「(魔術……まぁうん、最悪なんかの魔術だろうから、俺がそげぶすればきっと何とかなる)」

上条「……」

鳴護「(……当麻君?)」

上条「(――よし!レッサーを×そう!今だったら緊急措置的な意味でお目こぼしされるはずだ!)」

鳴護「(思い切りが良すぎるよ!?もっとこうせめて葛藤してあげて!?)」

上条「(あのアホとは一回決着つけなきゃいけないんだ!今日がたまたまそうだっただけなんだ!)」

鳴護「(ホラー映画で錯乱するモブその一になってる。いいから落ち着け)」

鳴護「――って話し合った結果ね!取り敢えず校舎の外へ出てからしようか!まだトライアルの最中だし!」

佐天「あ−そうでしたねー。そんな設定だったのにすっかり忘れていました」

鳴護「ちょ、ちょっと事前に聞いてたのとは違う感じだったら、うんっ!一回外に出るのを優先してもらってもいいかな!お互いのためにもねっ!」

佐天「ジャンルの話ですか?あたしも驚きましたもん、七不思議とかで攻めて来ると思ったら海外のヤツでしたし」

鳴護「……何か、分かったの?」

佐天「はい、今まで出てるのはイギリスの学校で目撃されている怪異ですけど」
(※マジです)

鳴護「あんなファンタジーなのが!?」

佐天「いやいやかなりマジですって!あのーアレですよ、『世界の面白動画』みたいな番組のホラーコーナーで、監視カメラに映った人も居ないのに動く椅子とか見たことありません?」

鳴護「ポルターガイスト、じゃないの?」

佐天「ちゃいます。学校に出るのはブルーキャップの仕業だって説が」
(※某海外掲示板より)

鳴護「海外でも学校の怪談が盛り上がってる、とか?」

佐天「みたいですなぁ。それも新種じゃなくて『あれこれ昔話に出てくる○○のしわざじゃんね?』みたいに、懐古主義的な感じで」
(※何か知りませんが、そういう解釈が多い)

鳴護「って事はそこまで致命的なアレやコレはいない……だったらまぁ、あとでグーパンするぐらいでいいかな。ね、当麻君……当麻君?」

上条「……すいません、佐天涙子さん。もし宜しければご意見を伺いたいのですが、宜しいでしょうか」

鳴護「なんで超丁寧に?」

佐天「はい?なんですかー?」

上条「俺はオバケも妖怪も怪物も、ネタの範囲で知ってる限りだからよく分からないんですけども――」

上条「廊下の上窓からこっちを覗いてる、一つ目っぽい巨人は一体どこのどなたなんですかねぇっ!?」

一つ目の巨人?『……』 ジーッ

鳴護「怖っ!?」

佐天「これはナックラヴィーじゃないですか!『魔法使いの○』でキャンプ先で襲ってきやがったのにケルピーさんに一蹴されたオイシイキャラです!」

佐天「その吐息は毒であり一説には昔の死神が零落した姿だって説が――」

上条「言ってる場合かコレ!?こんな密閉空間でぶっぱされたらヤバイじゃねぇか――ちょっと行ってツッコミ入れてくる!」

鳴護「待って当麻君!?怪談おじさん呼んだ方がいいって!」

上条「間に合わない、な!ちょっと興味あっけど時間がかか――」

ランシス「『――浅き夢みし一夜の光、キラキラ舞うは夜泣き鳥』」

ラシンス「『……嗚呼、朝だよ、朝だよ、目を覚ましたまえ……』」

ランシス「『――はつかねずみがやってきた。話は……おしまい……』」

パキィィンッ……ッ!!!

鳴護「消え、た……?」

佐天「あ、まだ撮ってないのに――って痛っ!?」 ペチッ

ランシス「……めっ」

佐天「あの、あたし何で怒られてんですか?」

ランシス「めっ」

佐天「えっと……」

上条「謝っとけ。多分必要だから」

佐天「納得いかないんですけど、ごめんなさい……?」

ランシス「ん、許した……注意、してね……?みんな、見てる、から……」

佐天「は、はぁ。そうですか?ファンの方ですか?」

ランシス「まぁ、ファンと言えばそうかも……?それじゃまた……」 ピッ

佐天「……随分と可愛い子でしたけど、どなたですか?」

鳴護「あぁうんあたしのお友達だよ。EUツアーの時にお世話になったんだ」

佐天「はぁ、それで何であたしが叱られるハメに?」

上条「多分”ワンアウト”なんだと思う。何回アウトになったらリアル人生ゲーム・ゲームセットなのか、俺には分からんけど」

佐天「思いっきり何言ってるのか分からないです」

鳴護「あぁそれじゃ戻ろうか……あ、そうそう涙子ちゃん。飾利ちゃんから聞いたんだけど、最近こうオカルト関係に興味ないって話は……」

上条「誤解だろ。こんだけテンション上げてんだから興味失ったとかねぇわ」

佐天「何言ってんですか、あたしがそんな訳ないじゃな――あ!」

鳴護「心当たりある?心配してたよ?」

佐天「あーはいはいはいはい、アレですなきっと。他の事が気になってて適当に返事したせいかもしれません。後で謝っておきます」

鳴護「そうしなよ……ちなみに気になってたのって聞いても?」

佐天「この画像です!」 ピッ

スフインクスに乗ったオティヌスの画像『……』

鳴護・上条「……」

佐天「いやーあたしはどっちかって言うとオバケ妖怪派でして、あんま小さいおっさん的なUMAには興味なかったんですよ?なかったんですけど、ここまで真に迫った証拠が出回ってるんだったら信じざるを得ないなーなんて!」

上条「あ、それ合成だよ?作りもんらしいぜ?」

佐天「あ、そうなんですか!?こんなに精巧にできた人型なのに!?」

上条「あー……そうだ!実はネコが50mぐらいあるんだ!」

鳴護「それは無理があるな。嘘吐くの苦手なのにも程があるよね?」

上条「――よっしゃ!みんなでレッサーを殴ろうぜ!今回の主犯はどうせアイツだからな!」

鳴護「それは偏見。でも恐らく絶対100%そうだと思う」


-終-


(※御坂「佐天さんが足を洗う、だと……!?」を未読の方は↑から読んで頂くと話が通じます)

――とあるスタジオ

闇咲「――と、いう訳で唐突な闇ちゃんねるだ。ネタバレ編とも言える」

上条「唐突だな!まぁご本人様が別に興味映ってたってオチであってオカルト関係なかったけどもだ!」

闇咲「いや――それが意外とそうでもなかったんだ」

上条「おっ、マジモンが出てきたときにいなかった人が何か言い出したぞ?」

闇咲「それを指摘されるとその通りではある。あるが……まぁこれを見てほしい」 ピッ

上条「あぁ最初の動画な。佐天さんが女子トイレで花子さんを煽りまくるって映像」

闇咲「おかしいと思わないか?」

上条「おかしいかおかしくないかの二択でいったら面白いだろ。世界中どこ探してもこんだけオバケ煽れるのは佐天さんかレイザーラモンH○ぐらいだわ」
(※番組の企画で樹海で一泊、深夜唐突に「今から除霊しまーす」と言い出して「バッチコーーーーーーーーーーーーーーーーーーーイッ!」と絶叫)

闇咲「前者しか知らないので半分しか同意できないし、論点も違う。おかしいのはこの動画自体だ」

上条「防犯カメラだろ?」

闇咲「ご不浄に防犯カメラなんてある訳がない」

上条「あー………………あぁまぁそうだな!?バラエティ企画でお馴染みになってるが、普通に考えたらコンプラに違反甚だしいぜ!」

上条「……?」

上条「いや、あの、闇咲さん?そうしますとこの動画はどこのどちら様が撮ったんでしょうか?」

上条「レベルの高いHENTAIの所業って訳でもねぇよな?だってこれアングル的に全部のドアが映るようになっててんだし。サイレントヒ○みたいなアングルで」

闇咲「――知りたいかね?どうしても?」

上条「あ、ちょっと結構です。もうお腹いっぱいなんで、これ以上は入らないっすわ」

闇咲「全ての個室の”中”からノック音が響くのは圧巻だったな」

上条「や、ヤラセだってわかってるんだからねっ!?」

闇咲「どうしてツンデレ風に……まぁ、そうだな。ただのフェイク動画だった訳だが、その対処で手が離せなかったというのがまず一つ」

上条「騙されないぞ!オバケなんていないんだからな!」

闇咲「君の所の同居人は哺乳類ですからないのだがね。君がいないというのであればそうのかもしれないが」

闇咲「で、だ。今回は前回のイベントの補足を少しばかりしようと思う。お題は『都市伝説の流行り廃り』だ」

上条「お、おう……?流行りとかってあったんだ……」

闇咲「最近はクチサケ女を見ないとかそういう話ではないぞ?ぬらりひょんも特定のイベント以外ではいないとかでもない」

上条「ジャン○フェスじゃねぇか。作者さんがどんな新作を書こうが、『で、続編はいつ?』ってファンから執拗に言われんだぞ。俺も言いたいが。家○さんにチャンス与えてあげて」

闇咲「君が覚えている中で、都市伝説の中でも一番古そうなのは何だった?聞いた順ではなく、個人的に『あぁこれが一番古そう』という視点で構わない」

上条「あー……そうなぁ?べとべとさんは妖怪だろうし、花子さんは昭和って感じがするし。それよりも古いのってなると……」

上条「コックリさん、かな?定番かつ古そう」

闇咲「コックリさんの元となったのは……前に話したような気もするが、ヴィジャ盤という降霊術の一つだ。アルファベットと数字が書かれたボード、そして涙型のレンズが入った小さな板が原型になっている」

闇咲「それらが持ち込まれたのは明治以降、つまりそれ以後に”流行った”都市伝説であり、それ以前には存在しなかった」

闇咲「……まぁ降霊術や神託の類は別にしても、一般人が神霊を気軽に呼ぶというのは日本にはなかった概念だな」

上条「そんなもんだろうけど。でもだったらクチサケ女とかどうなん?あれも古いが、どっかから流行ったもんなのか?」

闇咲「類似例として『お歯黒べったり』という妖怪がいる。江戸後期の書物に曰く、『村外れの寂れた寺院でとても綺麗な着物を着ている女を見つけた』」

闇咲「『どうしたこんな所に一人でいるのだろう?と親切心から男は声をかけた。すると女は振り向いたが、その顔には目・鼻がなく、お歯黒をつけた口だけが裂けていたそうだ』と」

上条「ぽいなぁ」

闇咲「とまぁ時代を超えての流行り廃りが明確にあるんだ。今から千年後の研究者は『世が乱れ、衆生が救いを求めた先がふなっし○信仰だった』とか書いている可能性すらある」

上条「都市伝説じゃねぇよあの人ら。いやヒトっつーかご当地キャラっていうか、何かこう一人歩きしてんだよな」

闇咲「と、いうような事例がここ数十年で幾つか世に出回っているな。非常に嘆かわしい話も含まれている」

上条「これ……オカルトの話してんだよな?社会的なアレコレとかって話じゃなくて?」

闇咲「そこも含めて今日は専門家に来て頂いている。どうぞ」

上条「専門家?インデックスさん?」

絹旗「あ、超どうもです」

上条「人選に異議あり!サメの話しかしない人連れてくるのは違うと思いまーす!」

絹旗「超失敬ですね。最近はサメ以外にもエイリア○なんか好物です。プレデタ○最新作がもうすぐ」

上条「勝手に番宣に来ないで!訴えられる側だから俺らは!」

絹旗「心外ですねー、こう見えてその道のプロだと超自負しているつもりです」

上条「いやまぁ百歩譲って映画だろ?二次元のプロがなんでまた」

絹旗「今からザッと50年前『エクソシスト』という映画が封切られました。超ご存じです?女の子が顔芸一つで頑張るヤツです」

上条「残念、俺の知ってる映画ではなかったみたいだな。確か悪魔憑きがって映画だったから」

絹旗「まぁ超真面目な話、映画自体はよくできたものです。悪魔と戦う神父さんが格好いい上、彼らと同じ信仰を持っている人たちには非常に恐怖だったでしょうが――」

絹旗「――さて、ここで超問題です。その後に流行った現象とは一体何でしょう?」

上条「現象?映画流行りましたー、俳優さんが人気出るー?……聖地巡礼か?グッズ売れたとか?」

絹旗「ブッブー、超不正解です。正解は『悪魔憑きが世界中で増えた』です!」
(※実話です)

上条「なんっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっでだよ!?流行るようなもんじゃねぇよそれ!?サタンさんが降臨でもしやがったのかゴラァァッ!?」

闇咲「残念ながら本当に流行ったんだ。非常に遺憾ではあるが」
(※マジです)

絹旗「まぁ子供をベッドへ縛るのはただの超虐待ですからね。悪魔がたまたま憑いていたので事なきを得たってだけで」

上条「あー……なんか俺、スゲー闇を聞かされてるのか?」

絹旗「詳しくやってたら人間不信になるのでこのぐらいで超勘弁してあげます。命拾いしましたね、チッ」

闇咲「実際には体やストレスから来る不調だったんだろうな、というのが学者の見解だな。というかそれ以外にはないんだが」

上条「魔術的なアレコレもあったよきっと!俺はそう信じてるよ!」
(※虐待が増えすぎて悪魔祓いをバチカンが禁止した)

絹旗「またそれから5年ほど経過した頃の話です。アメリカで超大規模な一大スキャンダルが起きました、その名も『マクマーティン事件』といいます」

絹旗「要はマクマーティン保育園で保育士が児童へ虐待をした、と保護者が訴えました」

上条「いやあの、オカルトの話……」

闇咲「残念ながら関係がある。少し待ちたまえ」

絹旗「警察が同園の保護者や児童から大々的に聞き取りをした結果、他にも被害に遭ったという証言が超続出。その数はなんと360人以上にも上ったそうです」

上条「やっべぇなソイツ!レベルの高いHENTAIだ!」

絹旗「しかも保育士の行為は常軌を逸し、『動物を殺しその血を飲ませられた』とか『墓場で屍体を掘り起こすように命令された』など、超悪魔的だったのです」

上条「んー……?風向きが、あっれー?」

絹旗「そしてついには『魔女と一緒に空を飛んだ』だの、『窓のない飛行機に乗った』、『秘密の地下トンネルへ連れて行かれた』とか――」

上条「ネタじゃねぇかよ。ツッコミが追い付かねぇわ」

絹旗「そして最初の告発から6年以上経過した後に裁判は終了。被告らは全員無罪が超確定しています」

上条「何なんだよ、このアホみたいな事件は!?」

絹旗「最初に警察が児童らの聞き取りをしようとしたのですが、それは非常にデリケートな案件ですから第三者機関へ任せたんですよ。そのアホが超誘導しまくって起こした冤罪です」

上条「動機は?」

絹旗「その件を大々的に取り上げたのがABC系列のテレビ局のリポーター。ソイツが誘導尋問しまくった人間と恋人関係だったと後に超判明しています」

上条「うわぁ……」

絹旗「『冤罪も晴れたし、まぁ最悪ではなかった』――とか超思いました?実はこれ冤罪だと分かるまで、他の保育園でも似たような虚偽の虐待事件が判明し、次々と保育士が逮捕、円は閉止されるに至っています」

上条「……集団ヒステリーだっけか?」

絹旗「そしてこれから派生していく騒動が『虚偽記憶』を元にした虐待訴訟ですね。『そんな記憶はなかった筈なのに何故か逆行催眠をかけると出てくる』って超ファンタジーです」

絹旗「また何か流行りましてね。真面目に働いてきたご両親がどれだけ超吊られたことか分かったもんではないです」

上条「やっぱり闇じゃねぇか、闇ちゃんねるの”闇”は現代社会の闇か。てか一行でこんだけ闇闇言ったのは人生初だわ」

絹旗「なおアホ事件については映画化もされていますので、興味がある方はそちらをご覧ください」
(※”Indictment, The McMartin Trial”)

上条「監督がアホ映画以外に造詣が深かったのが意外です」

絹旗「悲劇も悲劇も超笑って見ますけど何か?」

上条「何か壊れてないかな?君のこの先不安になるんだけど……」

絹旗「と、まぁ悪い意味で枯れ尾花に幽霊を見る方が超続出しています。時代の流れといいますか」

上条「今まで似たような事は……?」

絹旗「映画は20世紀初頭、ラジオが一般家庭へ普及したのが第二次世界大戦前、テレビはそれから20年後です。なので噂を信じてパニックに陥るのは、今が最盛期だと超思います」

絹旗「ネットがあって誰彼構わなく発信できるようになってしまい、正論からゴミのような主張まで超流れまくっています。批判をするのも自由ですし、当然批判されるのも自由だと」

絹旗「そして一部の暇人が『ネットに動画上げようぜ!』で、エッライ被害に遭っていたのが――」

絹旗「――都市伝説だったんですよ……ッ!!!」 クワッ

上条「絹旗さん絹旗さん、議論がしっちゃかめっちゃかになってます」

闇咲「……非常に遺憾ながら、というかもう何回遺憾遺憾言ったのか忘れるぐらいだが、君は『リン○』って知っているか?映画の方だ」

上条「流石に知ってるわ。日本中のSADAK○さんへ多大な迷惑をかけまくったあの映画」

絹旗「あれのイメージは超どんな感じですか?」

上条「黒髪長髪で白ワンピのオバケだろ?あれワンパンしたら成仏するんだろうか……?」

闇咲「その結果は個人的に非常に興味があるが、その……増えた、というかな。増殖したともいうが」

上条「増えたぁ?フィクションの話だろアレ、動画コピーして人に見せないと呪いが解けないってヤツ」

絹旗「原作では更に突き抜けているのですが……まぁ、増えたんですよ。超増殖しまくりです」

上条「だから何が?まさかとは思うがSADAK○さん?」

絹旗「おー、ほぼ超正解です。流石はヅラ友だけあって直感は冴えてますね」

上条「浜面の友達ってだけでそんな呼ばれ方……!?……違う違う、なんで幽霊が増えるんだよ」

上条「お話の中の人が増えるんだったら、今頃俺は大屋さんと家族が増えてなきゃおかしいだろ!?」

闇咲「たまに、そうたまにこう上条少年の闇を垣間見るのだが」

絹旗「ウチのチンピラのせいですね。類友と言えなくもないです」

闇咲「……まぁ、落ち着いて聞いてほしいのだが、冗談抜きで増えたんだ。黒髪長髪で白いワンピースの幽霊の目撃例が」

上条「あー……アレか?日本での話だろ?影響受けた、つーか怪談騙る連中が分かりやすいテンプレ像として採用したって話か?」

闇咲「それもある。が、それだけではない」

上条「……はい?」

闇咲「はっきり言えば『全世界レベルでSADAK○っぽい幽霊の目撃例が異常に増えた』んだよ」
(※マジです)

上条「――あ゛ぁ!?」

絹旗「ですから映画を通じて『怖い幽霊=黒髪長髪白ワンピ』ってイメージが超伝播したんです。それこそ全世界中に」

闇咲「動画投稿サイトは流行りかけていたからな。そこで心霊動画を作る際にも”分かりやすい”という点で重宝されたのだと思う」

絹旗「仮装自体が超簡単ですしね。安い服とウィッグ、そしてまた顔は見せなくていいもんですから特定の可能性も低いと」

上条「そんなしょーもない理由で増えたってつーのかよ!?」

絹旗「私は動画配信者や怪談創作者ではないので、そこら辺の機微は分かりません。分かりませんが、ただの事実としてそういう幽霊の動画投稿が異常に増えました」

闇咲「そして割を食ったのが既存の怪異だな。アメリカであればビッグフットやモスマン、なんだったら宇宙人でもいいが。そういうご当地の都市伝説が激減した」

絹旗「怪談や都市伝説を好んで語る層だって超限られていますからね」

上条「おおぅ……そんなしょーもない理由で!」

絹旗「なお正確に言えば『リン○』だけではなく、『呪○』の海外版の方が影響力は超上です。公開が重なったので元凶がどっちなのか、それともどちらともなのかは誰にも分かりません」

闇咲「一応可能性としては今までいたのかも知れないが、何かの原因で一斉に姿を現した、と言えなくもない」

上条「無理があるわー。優しい解釈しようとしても無理だわー」

闇咲「以上が12・3年ぐらい前までのメインの動きだ。正直『このままご当地の都市伝説系怪異はいなくなるのか』と私は思っていたんだが」

絹旗「最近は超持ち直しましたよね」

上条「持ち直すってどの目線で言ってんだよ。神か」

絹旗「あくまでも私の超主観ですけど、昨今の主流は定点カメラ映像ですかね。防犯カメラしかりノーパソのカメラしかり」

闇咲「何か物が落ちたりカーテンが誰もいないのに開いたりする現象だ」

上条「あ、それは知ってる。ポルターガイストっていうんだっけ?」

闇咲「現象の説明としては適当だ。しかし原因は諸説あり、その名の通りに騒々しい幽霊であったり、思春期の児童の超能力が暴発したという解釈もある」

上条「前は分かるが、PK説には異議がある。学園都市じゃあるまいし、野良の能力者がホイホイいるか」

闇咲「データとしては一応存在するんだ。ポルターガイストが起きる家には児童が住んでいる事が多い」

絹旗「『超もしかして;ガキのいたずら』」

上条「まぁそうだろうがな!主犯になってんのが大人か子供の違いでしかない!」

闇咲「ともあれ昔の解釈はそうだったが、現代では多い順に妖精・幽霊説となっている」

上条「オバケは……まぁ百歩譲って分かるわ。恨みだったり悪ふざけだったりって解釈は通る」

上条「ただここで妖精さんが来るのが、ちょっと分からないかな」

絹旗「主に場所の問題だと思われます。幽霊だったら『昔ここで酷い死に方をした……』と背景設定があるんでしょうが、そんなに都合よく惨劇がある筈もなく」

絹旗「よって人の住処であればランダムで出現する昔ながらの謎生物、妖精に集約されているのではないか、と」

上条「あー、はいはい。新築のマンションに出るんだったら幽霊よりか妖精の方が合ってる気は――」

上条「……」

上条「一応、うん一応念のために確認すっけど、特殊な背景がある、とかじゃないよな?また映画界で定点カメラのが流行っ――」

上条「――あぁあったなそういや!?パラノーマルがアクティビティするのとか!REC・ordするのとか!」

絹旗「映画ヲタとしてはグレイヴがエンカウンターズするのも超付け加えてほしいです。やらせ心霊動画を撮りに来たテレビクルーが面白おかしく全滅する映画ですが」
(※オススメ)

絹旗「恐らく、というか確実にその影響を受けた上、映像加工技術が超進化しましたからね」

上条「またそんなしょーもない理由でか!?」

絹旗「ではまず超実例を。これは私が作った雑コラで制作時間10分ほどのものです」


【画像A】
エリザリーナ独立国の高台にある平和の像
戦没者を悼むために建てられ、祈りを捧げる者が絶えず訪れるという

上条「これもし実在するのなら建造した犯人がマッハで特定されるわ。常盤台JC」

絹旗「で、まぁまぁこれ自体がコラなんですが、このゲコ太を超加工して消せるんですよ。聞いたことありませんか?余計な物が映ったら消せるアプリ、みたいなの?」

上条「新しいケータイのCMで見た。あれちょっと使ってみたかったんだよなー、どんな感じ?」

絹旗「ソフト自体は違いますが、同系統の写真イジるアプリを使いますと超この通りです」


【画像B】
画像Aからアプリを使用してゲコ太のみを削除
右が最初からゲコ太を出力してない画像で
左はアプリで消した画像

上条「意外と綺麗に消えてんな!?コラって怖い!」

絹旗「これも数代前のアプリを使用している上、コラとしては誤魔化しにくい前面の対象を無理矢理消しているため、超目立っていますけどね」

上条「で、でもこれって写真加工アプリなんだよな?だったら動画は対象外じゃ?」

絹旗「大丈夫ですよ?ポルターガイストが起きているのは超一瞬、もしくは精々数秒程度」

絹旗「その間だけの動画を画像として出力し、一枚一枚丁寧にオブジェクト除去したとしても超大した苦労ではないです」

上条「すいません。科学サイドですが、何いってるのか分からないです」

闇咲「『どうせ幽霊なんて長々映ってるわけでもなく、登場時間は一瞬なんだから編集も楽』だ」

上条「無駄遣いじゃねぇか。まぁ科学技術の進歩っていっても全部大体無駄なんだがな!」

絹旗「そして今はまかり間違って超バズれば一攫千金ですからねぇ。匿名アカウントで動画放流するプロの方もちらほらいるんではないかと」

絹旗「まぁまとめますと『基本合成か手の込んだ合成なんだから注意しろよ!』ですね。超ご静聴ありがとうございました」

闇咲「ありがとうございました」

上条「知らなかった……!都市伝説って映画とか技術の普及とか、そんなしょーもない理由で勃興してやがっただなんて……!」

闇咲「『コティングリー妖精事件』というのがあってな。ある幼い姉妹が羽の生えた小さな妖精と一緒に撮影された写真が出回った。おおよそ100年以上前の話だ」

闇咲「しかしそれらは彼女らが童話の挿絵を模写し、適当に貼り付けて写真を撮ったと晩年に告白した。まぁ、昔からそんなようなものだった訳だ」

上条「い、今だったら?」

絹旗「普通のコラだったら基本的に『影が不自然』というのが超分かりやすい判断基準”だった”のですが、HDRI(ハイダイナミックレンジイメージ)という特殊な画像形式が開発されましてね」

絹旗「それを背景へ設定した上、3Dモデルへ反映するようにセッティングすれば、”””撮影された画像の光源が3Dモデルへ反映される”””という超怖ろしい感じです」

上条「ちょっと何いってるのか分からないですね」

絹旗「ま、オバケで一喜一憂できるのは超余裕がある証拠ですよ?実際に戦争や災害が起きてる国では、そんな馬鹿らしいこと言っていられませんからね」

上条「すいません監督、最後に現実へ引き戻すのやめてくれませんか」

絹旗「ネタバレサイト摘発のとばっちりでサメができないんですよ!?超イヤミを言うぐらいは受け入れてもらわないと!」

上条「今まで一円たりともここの運営には入ってねぇから大丈夫じゃねぇかな。少し前に捕まった人ら『違法だとは思ってなかったが、生活費に当てた』って頭悪い事言ってたし」

闇咲「怪談業界も世知辛いもので、『他人の怪談を別人が語ってトラブルになる』というのがしばしばある。著作権的な問題だな」

上条「体験談に著作権って一体……」

絹旗「楽しむ分には結構ですので、何事も度を過ぎないようにご注意ください」


-終-

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