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Clock(trial)

浜面「『私立探偵ハマ=ヅラシアゲ、プロローグ!』」

 
――

黒服A『くっくっくっく……!どうだ、首尾は?』

黒服B『ふっふっふっふ……バッチリでさぁ親分!例の金持ちのお嬢さんはこちらに!』

少女『は、離しなさいよ!今離せば警察には黙っておいてあげるわ!』

黒服A『そういうわけにも行かないんだよお嬢ちゃん。あんたの父親には散々苦しめられてきたから、分かるか?』

黒服B『そーそー。せめて、さぁ?ほらお金的なもので解決してほしいってことで』

少女『さ、さいてーじゃない!ど、どうかしてるわ!』

黒服A『くっくっくっく……まぁ大人しくいればおウチに帰れるぜ?まぁ、パパの出方次第で指が減ってたりするかもだけど』

少女『ひっ……!』

黒服B『親分そりゃないっすよ!可哀相だから前歯でいいじゃないですか、どうせまた生えてくるんだし!』

黒服A『おいヤス憶えとけ。子供の歯ってのは一回だけなんだよ、生え代るのは』

黒服B『あ、そーなんすか?じゃあ試してみましょうや。はーい、お口アーンしてくださーい?』

少女『だれか――助けて……ッ!』

???『――その汚い手を離せ!』

黒服A『だ、誰だ!?』

???『悪党どもに名乗る名などないぜ!とうっ!』

黒服A『ぐぼっ!?』 バタンッ

少女『あ、ありがとう……!』

黒服B『てめぇ!親分をよくもやりやがったな!』

???『てめぇじゃないさ、俺の名は――』

???『――私立探偵ハマ=ヅラシアゲ、ただの通りすがりさ!』

少女『結局自分で名乗ったわ……ッ!?』



――上条のアパート

浜面「こういうのがいい。こういう仕事ください」

上条「待って?まずどうして俺の所に来たらできると思ったんですコノヤロー?」

浜面「俺がガキの頃にテレビの再放送でやったんだよ!私立探偵がカッコいい活躍するってのが!」

上条「あーまぁあったなぁ。『私立探偵濱マイ○』、当時としてはかなり少なくなった探偵モノか」
(※テレビシリーズのOPソング”は”神)

浜面「俺もあぁいうのがいいの!もう朝一でパチン○屋に並んで新台を廃人と取り合うのは嫌なんだよ!?」

上条「心配ないよ?お前もその廃人の一人だからね?」

浜面「……クソッ!俺の中に流れる『廃人』の血が……!」

上条「魔人みたいに言うなや。魔人さんは大体世界の敵だけだと、廃人さんはそこそこの率でエンカウントするわ」

浜面「魔神・イン・ザ・俺んち・なう」

上条「あの二人からまだ解放されてねぇの!?それはちょっと同情!」

浜面「だから、なっ?滝壺の目が『そろそろ、ね?』みたいに言ってるんだよ!」

上条「自覚あるじゃねぇか。可愛いカノジョさんできたんだから、さっさと足洗うか落ち着いて定職探せよ」

浜面「メ○のバカっ!だからこうやってお願いしてるじゃないの!」

上条「メ○は知らんわ。そして俺に頼まれたところでどうしろと……」

浜面「だから足洗ってヤクザな稼業からは卒業しまぁす!今日から普通のパンピーになりまぁす!」

上条「何アイドル気取りだよ。そして探偵業も……まぁどうだろ?真っ当な職とは程遠いっていうか」

浜面「俺、分かったんだよ……正義ってのは格好いいだろ?」

上条「俺もそう思うけど」

浜面「つまり格好いい探偵は正義ってことだよ!」

上条「大丈夫か?今日ここまでお前殆どバグってっけどデバッグ誰がしてんの?業者?それとも予算ないからスタッフ内で回してんの?」

浜面「頼む大将!俺を男にしてくれよ!」

上条「もうしてもらっただろこの裏切りモンが!」

浜面「いや違う。シモの意味じゃなくて!真面目な話だぜ!」

上条「なんで俺?まぁダチだとは思うが、そっちのチームのメンバーさんの方が適役……あぁ、カノジョさんの前で見栄張りたいって?」

浜面「だって……イジられるから!」

上条「なんて?」

浜面「……なぁ、落ち着いて聞いてくれよ。まずさ?あんたが何か悩み抱えてたとすんじゃん?自己解決できないようなの」

上条「頼んでくる分際であんた呼ばわりは原点一だが、まぁ誰だってあるわな。深刻かどうかは別にしても」

浜面「それをデスザウラ○に相談しようと思うか?」

上条「哲学的な話してる?あと人類が抱えられる大抵の悩みってデスザウラ○乗れる状態だったら解決するよな?」

浜面「バッカお前何言ってんだよ!?デスザウラ○に乗るんだなんて死にたいのか!?」

上条「まぁ確かにほぼ全シリーズで乗るやつは最終的に死ぬ運命だが……」

浜面「だろ!?俺はそのこと言ってんの!」

上条「だからなんでだよ」

浜面「過激派だから!『面倒臭くなったら吹っ飛ばしゃいいかー』みたいに人生をお舐めになってるんですよ!?」

上条「お前怖いからって途中から丁寧語になっても意味は同じだよ?まぁいるなぁ、能力者で上の人とかいまだに」

浜面「そしてどうせ俺の事なんか暇潰しの道具ぐらいにしか考えてないぜ……!」

上条「仮に相談したらどんな扱いを?」

浜面「『浜面、はじめての就活☆』みたいにドキュメント映画撮られる」

上条「あれ?デスザウラ○ってそんなに細かい作業するっけ?駆け出しの映像作家か」

上条「そして見てみてぇわ逆にその動画!どんなんか興味あるわ!」

浜面「俺はこれ以上あいつらにイジられたくはねぇんだよ!だから探偵おなっしゃす!」

上条「まぁ待て待て。探偵の知り合いは流石にいない……うん、いないな?いないよな?多分あいつは無職の傭兵だし、あいつは陰陽師だから探偵じゃない」

浜面「そっちの方がスゲェよ!でも俺がなれる未来が浮かばない!」

上条「そう考えると探偵って意外と天職かもな」

浜面「いやだから転職をだな、相談に」

上条「転職じゃなくて天職な?ピッタリなって意味だしあと今はパ×打ちっていう名の無職だからコンバートしてねぇからな?」

上条「真面目な話、お前って『暗部』関係の事件とかやってたじゃん?だから調整役って感じの探偵だったらピッタリじゃね?」

浜面「マジかよ……!俺にそんな隠された力が……!」

上条「聞いてるか俺の話?俺一人で喋ってる感じになるんだけど、実は俺霊体だって設定とかないよな?」

浜面「そ、それで俺はどうすれば!?」

上条「そうだなぁ。職業として食っていきたいんだったら、こう手数料みたいなの取れば?もめ事の仲裁でいくらとか、相談一時間いくらとかって」

浜面「マジ、でか……ッ!?人の話を聞くだけでお金がもらえるなんて詐欺じゃねーか……ッ!?」

上条「微妙に俺もそう思わなくもないが、まぁ特殊なケースだからな。警察行っても相手にされないとか、相手が相手でどこに頼ったらいいのか分からないとか、まぁそういう隙間産業的な?」

浜面「よっしゃ分かったぜ!早速名刺作ってもらってくる!」

上条「あぁ待て浜面!まだ早いから座れ!」

浜面「そ、そうだよな?探偵なんだからエッチなお姉さんが必要だよな!」

上条「まずはイメージだ、イメージ。成功するかどうか考えてからじゃないと。宝くじ当たるの前提に家買ったりしないだろ?」

浜面「って言われてもな。想像するぐらいでどうにかなったりは」

上条「うん、丁度ここにホワイトデーの神様が来ててだな」

浜面「神様?」

僧正『やっほー☆』

浜面「あんたの家にも魔神さんが!?そしてまぁ白いっちゃ白いな!骨だけに!」



――

テーテッテーテレテレー、テーテッテーテレテレー、テーテーテーテレテレテテーテー

ナレーション『――ある時、浜面仕上は悪の組織に謎の薬を飲まされてしまった!』

浜面「今考えたらスッゲー設定じゃんね?『こいつに見られた――よし!開発中の薬を試そう!』だよな?」

ナレーション『絶体絶命の浜面!しかしその薬は毒薬ではなく、なんと子供に戻してしまう一部の人には大人気の薬だったのだ!』

浜面「大将、あのなんつーか、えっと、消去法でナレやってんの一人しかいない訳だし?あんまはっちゃけると後々辛くなるっつーか、な?」

ナレーション『大勢の人には大人気の薬だったのだ!灰○さんとか!』

浜面「違う、そこ訂正しろっつってんじゃねぇ。そして付け加える要素が間違ってる」

ナレーション『体は子供!頭脳はオッサン!名探偵ハマンの誕生である!』

浜面「未成年だよ!そしてその名前だと昔裏切られたロリコ×怨んで革命とか起こしそうな感じ!』

滝壺『……だいじょうぶ、はまんくん?いつもに増して情緒ふあんていだよ?』

浜面『滝壺さんも演技してよぉ!一応俺の未来のシミュレートしてるって設定なんだからねっ!』

滝壺『はまんくんはいつも難しい事言ってる……あぁ、コーヒーでも飲む……?』

浜面『あ、うん、煎れてくれるんだったら。つーか滝壺って誰設定なん?博士?』

ナレーション『説明しよう!メインヒロインは失踪した彼氏と小学生の間を行ったり来たりしている女なのだ!』

浜面『字面にするとひっでぇなその説明!?「違うの?」って聞かれるとそれ以外に言いようがねぇけどもだ!』

滝壺『よく分からないけど……どうぞ』 コトン

浜面『あ、あぁサンキューな』 ズズッ

滝壺『……前からおもってたんだけど。はまんくんは』

浜面『ん、なに?』

滝壺『しょうがくせいなのに……コーヒー、好き、なんだね?』

浜面『げっふぶほっ!?ごっほっごっほごっほ!?げほっ!?』

滝壺『……』

浜面『そ、そうかな!?』

ナレーション『明らかに動揺が隠せなハマン君であった!』

浜面『ウルセーわナレーション!俺もリアクションがオーバーだとは思ったけども!』

滝壺『それで……とうさんの話はしたよね?”眠りのふれんだ”と呼ばれているたんてい……』

浜面『眠るっていうか、それ”ここに永遠に眠る”って意味じゃ……』

滝壺『わたしもね、たんていの娘だから色々と分かるんだよ……色々と、ね……?』

浜面『お、おぅ……?そりゃ頼もしいな!はは、あははははっ!』

滝壺『それで……さいきん、てそうにハマっている。よかったらみてあげる』

浜面『てそう……あぁ手相か。俺の手でよかったら、ほら』

滝壺『ありがとう……』 ギュッ

浜面『生命線だっけ?長生きできそうか?』

滝壺『あ、もう死んでる……』

浜面『死んでねぇよ!?ただちょっと今は行方不明になってるってだけで!』

ナレーション『――お分かりいただけただろうか?今ツッコんだのはこの世ならざる者の慟哭だったのだ……!』

浜面『主旨変ってね?探偵から幽霊モノになってるよな?まぁそういうジャンルもあっけどコナ○君は違うわ!』

滝壺『……あぁ、そういえばしょうもんって知ってる?てのひらのもようって』

浜面『しょうもん……掌紋か。指紋みたいなもんなんだってな。それが?』

滝壺『うん……しもんと一緒。シワっていうのは一人一人がどくとくのもので、こうてんてきに変ったりはしないんだって』

浜面『……へー?そうなんだ、へー……?』

滝壺『たるんだりとか、そういうので少し変ったりはするようだけど……まぁ、大体は?』

浜面『あ、あのー?そろそろ離してくれると――』

滝壺『――それでね、はまんくん。あなたの手の掌紋と指紋が、はまづらと一致してるのはどうしてなのかな……?』

浜面『クソッ!卑怯な!手ぇ握られて思考能力が落ちた俺へ対してなんて不意打ちを!』

ナレーション『説明しよう!童×はどこまでいっても童×だったのだ!』

浜面『違うよ?ある一定のジョブ前提を満たすとチェンジできるよ?ザックリ言うとお店とか』

滝壺『……だいじょうぶ、なにも心配いらない。ちいさなはまづらもそれはそれで、悪くない』

浜面『――くっ!?体格差が!だって小学生だもの!ふりほどけない!』

ナレーション『説明しよう!浜面は年上のおねーさんに優しくされるのも嫌じゃなかったのだ!』

浜面『大将、あれかな?空気って読める方だと自分で思う?俺は違うって思うけどどう?』

滝壺『ポッと出の綾波レ○にはわたさない……!』

浜面『○ねーちゃんはそんなこと言わない。仮に思っていたとしてもだ!』

ナレーション『絶体絶命のハマン君!小学生に彼氏の面影を見る、えっと……ウッカリさん相手に逃げられるのか!?』

浜面『そこは言葉選ぶ必要なくねぇか?選んじまったら、こう、逆に気を遣わなきゃいけない理由があるみたいな……』

ナレーション『○ねーちゃんに監禁され陵×される日々!出口を失い心を折られかけるハマンくん!』

ナレーション『脳裏に浮かぶのはただ一つ、どうしてあと彼に抱かれなかったのか……』

ナレーション『――”助けて、赤○さん……!”とっ!!!』

浜面『おいスケルトンの人、速やかにこの世界ぶち壊してくれねぇか?あとでよかったら大将にグーパンチも追加で頼む』



――

上条「いいよな、コナ○君!」

浜面「うん、まぁコナ○君はいいよ?俺も好きだし嫌いな人なんていないよ?それもう絶対に」

浜面「ただ今の俺の知ってるコナ○君じゃないもの。だって探偵要素あったか?カケラでもあったって滝壺に誓えるか?」

上条「あれ……?俺が姫神から見せてもらった薄い本じゃこんな感じ……あれ?」

浜面「薄い本だからじゃねーかな!公式でもねーし趣味でやってる人だから!」

僧正『でも嫌いじゃないじゃろ?』

浜面「決まってんだろ和風アイン○さん!バニーさんと滝壺が嫌いだなんてそんな男の子はいないよ!」

上条「あぁじゃあ気に入ってもらえたようだし、この路線で探偵業を」

浜面「だから探偵してなくね?あんま言いたくねぇけどもコナ○くんの薄い本で探偵してるのってある?ないよな?」

上条「その理屈で言ったら魔術と科学が出会ってる本なんて皆無だわ!何言ってんだお前ぶっ飛ばすぞ!?」

浜面「なんで逆ギレしてんだよ!?する要素ねぇしそもそもが探偵じゃねぇっつってんだろーがよ!?」

上条「オッケー、So-Joy!”犯人達の事件○ 再現”で!」

浜面「いやまぁあれも長いけど!そしてコナ○くんよりかはリアル寄りだけど、その外伝は100%ネタだわ!?」

僧正『”探偵のウッカリで犯人をにハメ技”という中々高度なノリツッコミ案件もしとるんじゃよね』

浜面「オメーは黙ってろよ!?つーかそんな知識あるんだったらもっと実用的な!『やだ、この探偵さん格好良い☆』って感じの世界観出してくれよ!」

上条「『――そう、それは六識○事件から10年が経過していた』」

浜面「殻の少○!?あんなリアルちょっとアレな狂人が徘徊する世界で一人だけ正気保ってんのもどうかなって思うよ!」

上条「『――君たちの前にそびえ立つのは洋館。それも人の手が離れて相当たったと思われる』」

上条「『嘗ては豪華であっただろう庭園は鬱蒼とした森のよりに草花が生い茂り、訪れる者のいない今では所々から覗く庭石がまるで墓標のごとく突き出していた』」

上条「『さぁ冒険者よ来たれ!汝ら手にするのは挫折か栄光か!ラプラスの魔に立ち向かう勇者達に幸運があらんことを……!』」

浜面「……いやゴメン。ノリッノリでナレーションしてくれてんのは分かんだけど、それってなんのネタ?」

上条「ゴーストハンターRP○」

浜面「説明されてもわっかんねぇわ!?なにそれゲームなの!?」

上条「正しくはそのRPGの探偵って職業があるんだけど、『尋問』スキルを持ってるのがその一種類しかいなくて……」

浜面「探偵って尋問するっけか?コナ○君か金田○にそんなシーンあった?」

上条「そのゲーム版のジャーナリストの中の人が○ねーちゃん……ッ!!!」
(※cv.山崎和佳○)

浜面「あ、繋がってる!?……よく考えたらそうでもねーわ!よく考えてなくっても大したことはねーけど!」

僧正『なおジャーナストはモンスターの写真を撮って、それを雑貨屋で販売するのが金策の手段なるんじゃね』

浜面「システムは結構斬新!レトロゲー好きそうな人にはいいかもだけど!」

僧正『当然屋敷の超常現象には手も足も出ず、最終的にはパーティから外される運命にある……!』

浜面「ミイラの人は大将とシンクロしてっけど大丈夫か?倫理的な意味でアウツにならない?」

上条「前にも言ったが俺は炊飯器でも意志があれば尊重できる!」

僧正『それはつまりワシがお喋り炊飯ジャーレベルの珍獣じゃってことかの?」

浜面「生物か無生物かの境が……うん、あんたももうちょっと友達選べ、なっ?」

上条「つーか浜面君さぁ?さっきから好き嫌い激しくね?そりゃ完全にリクエスト通りじゃないかもだけど、もっとこうあんじゃね?」

浜面「俺は大将がたまに見せるチンピラ演技が怖い。チンピラインが怖い」

上条「――ついこの間までパンチラインがエ×いワードだと思った件について」

浜面「初めて聞いたら仕方がないわー、誰だってそう思うわー」

僧正『そしてそもそも流行ってないのにマーケティングの都合で流行ってる感を出さざるを得ない件について』

浜面「アンタらなんなの?実は兄弟だったとかそういうオチ?」

上条「もう何か全ての人に裏切られてるから、人じゃないからいいかなって」

浜面「チ○さんの発想!エリア○さん早く来てー!大将を嫁にしてあげて!」

僧正『何が凄いって、こっちの少年に安全地帯がないんじゃよ。洗脳一発で裏切るヒロインが常にいるっていう」

浜面「――上条この部屋を今すぐ出ろ!そいつは、えっと、嘘ついているんだ!具体的に何がとかどうとかっては後から調べるから!」

上条「て、ゆうかさぁ浜面君さぁ?探偵?探偵モノで一発当てようって腹だろうけどさーぁ?君知ってる?昔々あるところの話なんだけど?」

浜面「大体の昔話はそれで始まるんだが……」

上条「ウサギとカメの話って知ってる?イソップ物語の」

浜面「バカにしてんのか。かけっこの話だろ」

上条「そうそう。昔々あるところにウサギさんと浜面がいました」

浜面「カメは?配役的にそうなんだろうなーとは思ってたけど、実名ぶっ込んでくるんだったら例え話になってなくね?」

上条「ウサギさんは肌が美白で目も赤くて、その手のお姉様達に大人気です」

浜面「一方通行だよね?まぁ俺が出てくるんだったら一方通行しかねぇなとは分かってたけど!」

上条「カメさんは……えっと、カブっています。甲羅的なモノを」

浜面「何が!?あぁいや意味は分かっけどね!?もうちょっとこう気を遣ったたとえ方ってできねぇのかよ!?防御力高いとか打たれ強いとかって!」

上条「それでそのカタツムリさんとウサギさんは駆けっこをすることになりました」

浜面「カメさんはどこいったの?いつのまにキャスト変えてんですかやーだー」

上条「ウサギさんは調子ぶっこいていました。公式主役にスピンオフ主役、正式な主役を差し置いての暴挙です」

浜面「個人の主観入ってねぇかな?そしてそれ一方通行にしてみれば超迷惑な話であって」

上条「俺はこれ一本しかやってないのに……ッ!!!」

浜面「止めようぜ?何かこう、うん、俺も実はちょっとチヤホヤされたいし、どっかの誰かが今度は過去編始まって新キャラ大量入荷して、相対的に既存キャラが下がっていくってアレだ」

上条「さぁいざ始まったチキチキかけっこレース!ウサギさんが怒濤の走りを見せてゴール手前まで大・驀・進☆」

上条「おーっとカメさんどうした!?結構恵まれてる立場なのに遅い!遅いぞーーーーーーーーーーーーーーっ!」

浜面「俺が言うのもアレだけど『アイテム』も大概だよ?ラオ○様のその日の気分でキル数が変わるんだからね?」

上条「――としてる間にウサギさん、まさかの転倒!?第一位からの転落です!これは痛い、痛いぞーーーーーーーっ!」

浜面「それ言いたいだけ……違うよな?そうじゃないよな?」

上条「ウサギさんが転倒中に後ろからまくってきたのは……カメさんだ!怒濤の根性を見せる!ナイスガッツ☆でなんと順位が逆転に!」

浜面「頑張れ俺!そのまま幸せゴールまで突っ走れ!」

上条「そのままゴォーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーールッ!第一回ハッピーマラソン優勝者は大方の期待を裏切ってカメさんの勝利ーーーーーーーーーっ!」

浜面「ありがとう!みんなありがとう!」

上条「えー、放送席放送席−。こちら一位になったカメさんです、現在のお気持ちをお聞かせください」

浜面「あざっす!カノジョのためならなんでもできる!愛のために生きる男、浜面をよろしく!」

上条「……一方、ウサギさんの人生は一変した。一方通行だけに、一方……!」

浜面「クソほども上手い事言ってねぇよ?」

上条「なんかこうウサギさんは底辺を這い回りつつ、かつ女の影がチラチラしながら見事に乗り切り――」

上条「――以前から思っていたことを実行しました」

浜面「なぁいつまで続くのこの話?普通ゴールしてウサギさんゴメンナサイって言って終わりじゃねぇの?」

上条「ウサギさんが超ぶっこいていたとき、彼はハムスターを手にかけてしまったのです」

浜面「衝撃の内容!?まだ個人名出した方が教育にいい!?」

上条「それも一人や二人ではありません。何人も何人も、それも自衛ではなく命を弄ぶような形で」

上条「しかしウサギさんはその内心ではずっと苦しんでいました、ハムスターを殺した俺が幸せになっていいのか?誰かを守っていいのか?と!」

浜面「超重いんですけど。てか一方通行……まぁヤッてる顔だなって思ってはいたが……」

上条「ちなみに余談ですが、生まれてからずっと品行方正に生きてきた人間と、ヤンキーが雨の日に捨て猫を拾う行為を比べるのは間違っていると思います」

浜面「暗に体制批判!?」

上条「しかしウサギさんはもう精算しようと思い――」

上条「――自首、したのです」

浜面「あー……やったね。やったねっつーかお前何やってんだよって感じだったが」

上条「今、ウサギさんは鉄格子の中、屈強な男たちに囲まれています」

浜面「言い方。まぁそうなんだろうが、言い方ってあるじゃん?」

上条「まぁ経緯はともあれウサギさんは今日もお勤めを果たしています」

浜面「一方通行……そんな裏があったんか」

上条「――しかし、この話はここでは終わりません。かけっこをした対戦相手、そうカメさんの過去の話です」

浜面「お、俺!?俺なんもしてねぇよ?いやマジで?」

上条「以前、カメさんはハムスターのお母さんを殺そうとしたのでした……ッ!!!」

浜面「ねぇ大将、もっかい言うけど俺の事嫌い?俺と顔合わせるたびにネチネチ責めてくるよね?」

上条「ウサギさんは自首しました!自らの行いを悔やんで反省する姿勢を示したのです!」

上条「しかしカメさんはこの世の春を謳歌しています!罪の代償は違えども、罪は罪なのに!」

浜面「……」

上条「――はい、っていうわけでビリビリのママン殺人未遂についてコメントお願いできます?」

浜面「む、無実だ!実際には妨害されたんだからノーカンで!」

上条「いや俺もな?浜面の『暗部』解放するって凄い事だと思うんだよ、大勢の人が助かるし手放しで賞賛されてしかるべきだと」

浜面「お、おうっ!」

上条「だがしかしだからといって過去のアレコレがチャラにはならない訳で。一方通行が自首した今、『あれあれ?一番悪い人が反省する姿勢を見せてるのに、君はどうなの?』って」

浜面「大将、俺の事嫌い?」

上条「――いいか、浜面?それだけじゃない!この業界には不文律があるんだ、それは――」

上条「童貞が童貞を失ったら死ぬ、っていう……!」

浜面「なんでだよ。最近の異世界転生は何回死んでんだよ。大抵あれって一巻の中頃ぐらいで脱童貞してんだろ」

上条「だって異世界の俺も!育ちすぎたザシキワラシとごーるいん(比喩的表現)したらシリーズ終わっちまったしお前も死んだだろ!?」

浜面「生きてるわ?!なんかこうちょっと後を引く感じだけどどっかの金髪グラサンが生きてる時点で俺も生きてるわ!」

上条「あれも実はな?ここだけの話危なかったんだぜ?妹に手を出していたらあのまま河口ツアーだったんだからな?」

浜面「言うか?人生で『あーオレ良かったわー、妹に手ぇ出してなかったから生き延びたわー』って言う機会あるか?」

上条「だからハマヅーラ!お前が探偵なんて100年早いんだよ!?どっちかって言えば探偵モノの犯人役だろ!?」

浜面「言いやがったなチクショウ!今日の企画始まってから全員が全員そう思ってたことを!父さんにも言われたことないのに!」

上条「せめてカノジョがいなかったらなー。童×力がもっと高かったらなー。いやー残念だわー」

浜面「童×が上から目線で物言いを!?あぁいや別にいいけどなんだか納得いかねぇよな!?」

上条「浜面、俺はお前が憎くて言ってるんじゃない!カノジョ持ちでなおかつ『あれ”暗部”解放したのって一方通行のお陰じゃね?』なんて全然思ってない!」

浜面「超薄いよなその言葉。最近のコンドー○だってもっと人としての厚みがあるわ」

上条「でもそれはトラップなんだよ!童×力の下がっちまったお前が一躍主役ポジになったとしたら犯人役か死亡フラグだ!」

浜面「なぁ就職するって主役ポジになることなの?人生の主役的な意味で?だったら俺たちのとーちゃんって全員実は童×なん?」

上条「実は……ここだけの話、なっ?大人には秘密だぜ?」

浜面「そろそろ怒っていいか?」

上条「目を覚ませって!実はお前のカノジョも存在しないんだろ、なぁっ!?」

浜面「だからジャンル変るっつーの。『実は滝壺はあのとき……』みたいな展開――」

浜面「――あ、意外にヤベェかもしんねぇ!?神様(※鎌池先生)後先考えずに好きそう!?」

上条「疲れてるんだよ、なっ?だからこうおねーさんが接客してくれる店でも行って、なっ?」

浜面「なぁ、ここへきてやっと理解できたんだが、もしかして俺の成功を全力で妨害しようとしてねぇか?ついでにカノジョとも破局させようってハラじゃ……?」

上条「まぁ……どうしてもお前が探偵したいっていうんだったら、知り合い紹介するけどさ」

浜面「探偵いねーって言ってただろ」

上条「あぁうん探偵はいないんだけど、探偵っぽいスキル持ちだったら何人か」

浜面「……」

上条「なんだよその何回か捨てられた犬みたいな目は」

浜面「信頼度がマイナスになりかけてるっつーの自覚ねぇの?それとも俺がただのAHOだと思ってる?」

上条「まぁ聞けよ。友人枠その一、”熱砂のペヨーテ”こと海原光貴(皮)!」

浜面「ぺよーて?」

上条「観賞用サボテンで中毒性がある」

僧正『悪性の麻薬で中毒性があるんじゃよ』

浜面「副音声さんの方が正しい!そして人になんつー二つ名つけてんだテメー!?」

上条「海原のスキルは凄いぜ?特定条件下で他人にそっくり化けることができる」

浜面「おぉ!探偵だけに留まらずどこまでも悪用可能なスキルって素敵ですねっ!」

上条「ただし変身したい相手の皮をだな、こうバリッと剥ぐ」

浜面「取り締まられる方じゃね?チンピラ枠の俺よりももっと深刻な、何巻かまたいで展開するタイプの猟奇殺人者?」

上条「友人枠その二、”虎”こと木原円周!」

浜面「自分の子供に円周って名前……配管工か数学者?」

上条「なんかこう色々人格ダウンロードして不特定多数のスキルが使える!一流の医者だったり俳優だったり!」

浜面「あー……はいはい、エミュレータ的な能力者な」

上条「ただし中身が”虎”レベルの倫理観しか持ち合わせていない!」

浜面「食われんだろ。物理的にカブってされるのか、エサも同然として扱われんのか知んねぇけど食い物にされるだろ」

上条「友人枠その三、”伝説の傭兵”ことアックア!お前の知り合いでもあるよ!」

浜面「あぁあの人な!」

上条「物理的元最強!そして現在も最強じゃあないが、世界番付でも上から数えた方が早い人!」

浜面「なんかもう探偵じゃねーけど確か!あの人の強さが学べたらいいかも!」

上条「――ただし童×……ッ!!!」

浜面「なんでだよっ!?そこ関係ねーだろふざけんなよ!?」

僧正『処女マリアの原罪術式を体へ取り込んでる以上、異性とのアレコレがあると無効化してしまう可能性があるんじゃよね』

浜面「丁寧な説明ありがとうな!でも俺これからアックア兄さんに会うたび、『でもこの人童×なんだよね……』って気分になるじゃねぇか!」

上条「くっくっくっく……!どうした浜面!これでも探偵がしたいっていうのか……!?」

浜面「――あ、ごめん。そういや今日新台入荷の日だから、そろそろ帰るな?」


-終-

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