鳴護「潜入!『HAMADURAモテモテ啓発セミナー』!」 前編
――オービット・ポータル芸能事務所
マネージャー「お疲れさまですARISAさん。バレンタインのラジオ公録大成功でしたね」
鳴護「あぁまぁ、そう、かもしれませんね。ファンが暴徒となってブースに押し寄せてこなければ、成功と言っても過言ではないかもです」
マネージャー「警備班としての未熟を恥じるばかりですが、その直前に『バレンタインぐらい好きな人と一緒したいよね!』と、どなたかが煽ったのが主原因かと」
鳴護「いやファンの子たちのことですよ!?別に煽ったんじゃなくて『だからいいよね!』的な意味ですから!」
マネージャー「なお最前列で守っていたサンシャイン上条さん(芸名)がいつものように二階級特進を」
鳴護「死んでないですよね?病院運ばれたってときは慌てましたけど、一晩お泊まりするとHPMP全快で戻ってくるし」
マネージャー「上条さんの能力って、実はあの不死身性と思わなくも……某市の伝説の喧嘩士に二回殴られて生きてるって人ですから」
鳴護「平和なのに平和とは一番かけ離れている人は都市伝説では?」
マネージャー「それを言ったらサンシャインさんご自身が都市伝説になっています。『最強のレベル0』って噂はほぼ定着してますからねぇ」
鳴護「あぁ聞いたことありますけどそれ。でも最近じゃ『2mを越える謎の幼女』とかって、既に原型を留めていませんが」
マネージャー「サイズ感に戸惑いそうですよね。遠近感が仕事をしてないという」
鳴護「幼女の定義から詰めていきたいですよね。誰かがやってんでしょうが」
マネージャー「特定されれば本気で命狙われますから。どなたかが真偽入り交じった情報操作をされているんでしょうが」
鳴護「このあいだ『実はイギリス人だった!』って説が」
マネージャー「その情報にどういう価値を見出すのか謎ですよね」
鳴護「多分当麻君が聞いたら『コッテコテの日本人相手になんでだよ』ってツッコむと思います」
マネージャー「箔がつくと思っておられるのか、それともババが憑いたのが微妙な評価ですよね」
鳴護「あまりその、オカルト的な話をすると寄って来る怪談おじさんがいるのでその辺で……」
マネージャー「元ボディガードからすれば、あぁいう世界があった方が驚愕ですけど」
鳴護「人間相手の方が怖いのか、人間相手じゃない方が怖いのか微妙ですよね」
マネージャー「昔『そういや最近撃っても死なない人間多くね?』、『あー分かる分かる!なんかいるよな!』という隊員同士の会話が」
鳴護「随分軽いですけど、そんなノリだったんですか前職?」
マネージャー「所詮死なないだけなので見た目ほどの脅威にもなりませんでした」
鳴護「割り切り方がドライ過ぎませんか?ちょいちょい深めの闇が見え隠れするのは……」
マネージャー「世の中には意外と不思議なことかあるという教訓ですね――さて、反省会はここまでにするとしまして、早速依頼の方が届いております」
鳴護「……依頼?お仕事ではなく、依頼?」
マネージャー「あぁまぁお仕事の依頼ではありますね。お入りください、どうぞ」
ガチャッ
インデックス「――ここが探偵事務所なんだよ……ッ!?」
鳴護「違うよ?ここじゃないよ?絶対にここではないよ?」
マネージャー「こちらが本日の依頼人のインデックスさんです。お知り合いでしたか」
鳴護「嘘を吐くのに手慣れすぎてやいませんか?去年ほぼ住み着いてましたよね?くらぼっこの如く?」
(※「くらぼっこ=倉坊子」。倉に住む妖怪でザシキワラシの一種)
インデックス「仮にもしすたーをようかい呼ばわりはやめてほしいんだよ。まぁ、いつのまにか常駐したわたし達にも責任がないとまでは言えなくもないかもだけど」
鳴護「あぁいやインデックスちゃんはいいんだよ?いつまでいてくれても良いんだけど、こう、事務所側の問題っていうか」
マネージャー「定期的に謎の結社やはぐれ魔術師が襲ってくるのは許容範囲外です。あとセクウェンツィア会長がラッキースケベのエジキにになるのは、ちょっと」
鳴護「何重ものセキュリティがかかった社長室に偶然侵入した当麻君は神がかってたよねぇ。しかも何故か着替え中というタイミングで」
インデックス「しず○ちゃんかな?『そんなたいみんぐで脱ぐ必要があるのかな?』ってぐらいのアレなんだよ」
鳴護「うんまぁ共通見解を得られたところで、これが本日のお茶請けなんだよね。梅昆布茶とお羊羹」
インデックス「でぃ・もーるとな組み合わせなんだよ……ッ!生まれて初めて昆布茶を頂いたときには『出汁?』って思ったんだけど、これはこれでいいもんなんだよ――」
インデックス「――って危なかったんだよ!?ありさもわたしをけむにまこうったってそうはとんやがおろさないんだからねっ!?」
鳴護「インデックスちゃんの日本語テキストに何を使ったのが手に取るように分かるよね。時代劇か落語じゃないかな、平日の昼間の再放送」
インデックス「日本人はわびさびをもっと重視した方がいいんだよ!なんでごーるでんにぶつけないのかと!」
マネージャー「コスパの問題ですね。数日かけてドラマ撮るよりもひな壇に乗せて数時間撮った方が早くて安上がりだと。控えめに言って婉曲な自殺ですが」
インデックス「そういうのも嫌いじゃないんだけど――って脱線してるんだよ!さすがはありさ!あいさと一文字違いなんだよ……っ!」
鳴護「あれあたし秋沙ちゃんと名前似てるだけで誉められてる?あの独特の雰囲気は正直羨ましい」
インデックス「えーっと……いいの?これ続けても?」
マネージャー「依頼人はアドリブに弱いっぽいので、どうか汲んであげてください」
鳴護「ビックリしてるのはこっちの方なのになんて理不尽な要求!?」
インデックス「それでね、たんていさんに依頼があるんだよ」
鳴護「せめて一回ぐらい説明してくれないかな?あたしはアイドルであって探偵になった覚えはないんだよね。実はアイドルになった覚えも限りなくないんだけども」
マネージャー「端的に言えば上条さんが奇行をされています」
鳴護「ツッコミの軛から解き放たれてからフリーダムになったよね。その分だけあたしのノドに負担が」
インデックス「とうまもやみさかと一緒の時はツッコミに戻るから、とーたるではそんなに大差無いと思うんだよ。あっちは徹頭徹尾りふじんだから」
インデックス「このあいだもちょっとアレなまんがかさんが『恵方って何が来るのも分からないのに盛り上がってんねwwww』ってネタにしたら、おこでね……」
鳴護「いやそれは別に仕方がないんじゃ?てかあたしも気になるよ、恵方って何?」
インデックス「歳徳神(としとくじん)っていう歳の神様なんだよ。おしょーがつさまとかとしのかみさまとか言うでしょ?」
鳴護「うん?それってお正月の話だよね?」
インデックス「まぁこれについては長くなるから割愛するんだけど、旧暦だとお正月と節分の日は同じだったから」
鳴護「後で当麻君に聞くとして……で、何?当麻君がまたやっちゃったのかな?」
インデックス「やっちゃったっていうか、やられてるっていうか。まぁこんな名詞がね、落ちてたんだよ」 スッ
鳴護「あっはい、拝見します――『HAMADURAモテモテ啓発セミナー』……?」
インデックス「名前からしてモテそうなんだよ……ッ!」
鳴護「名前からして詐欺だよね?もう初手から二歩狙いの笑いを取りに来てるもんね?」
マネージャー「逆にどんな業務内容なのか興味が出ますよね」
鳴護「多分『有○の壁』と同じなんじゃ……あぁまぁ当麻君の正気度がピンチだけど、この面白団体が何を?」
インデックス「最近ハマっちゃったらしくて、その相談をしたくてお邪魔したんだよ。あ、もっとオヤツください」
鳴護「当麻君orレッサーちゃんの悪いトコが出てるからね?あの、何か持ってきて下さい」
マネージャー「少々お待ちを。ARISAさんの本日のおやつ用に購入していたおやきパンで宜しければ……」
(※実在します。野沢菜の漬け物 in the パン)
インデックス「飲み物はお茶かコーヒーか迷うんだよね!」
鳴護「あたしのおやつを強奪された……あぁまぁいいけど。えーと具体的にはどういう困った行動を?」
インデックス「『俺の右手には邪龍が封印されている……!』だって」
鳴護「ほぼ平常運転じゃないかな?大体間違ってはないし、なんだったら×8だから、謙遜してると言えなくもないよ」
マネージャー「すいませんARISAさん、首突っ込みたくないからって雑なツッコミになっています」
鳴護「どう考えても地雷案件じゃないですか!?どうせ笑いの刺客が次から次へと襲ってくる感じの!?」
インデックス「むしろこれががちの方が怖くないかな?だっていい歳したおとなが『もてもて』とか言っているんだよ?」
鳴護「素に戻らないでくれるかな?あたしもこう、結構騙し騙しやってる感がない訳ではないっていうか……」
マネージャー「概要は大体このぐらいですが。さて、どうしましょうか?やはり今回も単独潜入を?」
鳴護「もうあたしがどうにかできる範囲を超えていますよね?適材適所っていいますか、まだ大人の人に連絡した方がいいと思うんだけどな……」
インデックス「任せてほしいんだよ!こう見えてもすねーくみっしょくは得意なんだからね!」
マネージャー「と、このように大変乗り気でいらっしゃいまして」
鳴護「あぁ止める側だったんですね。英断だと思いますけど、当麻君が帰宅したのを捕まえてお話すればいいだけでは?」
マネージャー「いえ、それだと番組企画的に面白みに欠けますので。是非ともセミナーへ潜入して頂きたく」
鳴護「他人の不幸を数字に変えようとしていませんか?あたしがこの事務所へ対して抱いてる不信感と同じですよ?」
マネージャー「とんでもない。ARISAさんの身の安全が第一ですので、こちらで屈指のボディガードをご用意してあります」
鳴護「危険地域へ首突っ込まないって選択肢は?『なんか面白そうだからタレント行かせとけ』は電波少○と何が違うのかと」
マネージャー「こちらはガチですが?」
鳴護「本格的だからっていいってもんじゃないですからね?」
マネージャー「ではお入り下さい」
ガチャッ
レッサー「『――あなたが私のマスターか!』」
鳴護「畏れ多すぎるよ?地を這うミミズが天翔る龍を見て『あなたはボクのおとうさん……?』っていうぐらいに失礼だよ?」
レッサー「同じイギリス人ですので子孫を自称するのはいいかと!」
鳴護「人選に悪意があります。よりにもよって出だしから飛び道具で殴りかかってきましたよね?」
レッサー「おぉっとこれはしたり!私のどこが問題があるっていうんですか!解決力に満ち溢れた私のどこが!」
鳴護「『あなたの前にカギのついたドアがあります。どうしますか?』」
レッサー「取り敢えず蹴破った後、『あれ?何もしてないに倒れたぞ?』とシラを切る
鳴護「STRに全振りしているボディーガードさんはちょっと」
レッサー「あぁいえいえアリサさん、そこはフレキシブルに考えましょう。もっとこう前向きに捉えたらどうです?」
鳴護「つまり?」
レッサー「一回攫われるぐらいが物語的にも丁度いい、ってね……!」
鳴護「残念ですが今回はご縁がなかったということで。チェンジでお願いします」
レッサー「待ってつかぁさい!?いやマジで私に決めといた方がいいですよマジで!」
鳴護「味方のフリした敵よりは大抵……じゃあ次の方っています?」
ガチャッ
マタイ「――やぁ、こんにちは。初めまして、ではないね」
鳴護「どっから拾って来たんですか!?ある意味で世界で一番無駄な人材の使い方ですよ!?」
マネージャー「あぁいえ、お見かけしたのでご挨拶をしたところ、お時間があるとのことでしたので。行幸頂きました」
鳴護「遠慮のペース配分間違ってますよ?百歩譲ってご招待するのはいいとしても、決してアホ企画に付き合わせるために呼ぶのはどうでしょうか!」
マタイ「主に説教をする側だったので、話を聞く側であるセミナーとらに興味がないわけではない」
インデックス「このひとにお説教できるのって、十字教の立場的には地球上に存在しないんだよね……」
マタイ「前職にあったときの話だよ。立ち位置的に神の子から天国の鍵を受け取ったため、地上においては代理人程度の権限がある、と解釈されているね」
(※公式見解)
鳴護「もっとこう温存しません?アホ企画に繰り出すのは相応のアホ、もといレッサーちゃんぐらいがベストですから!」
レッサー「そうですよ!我らの無双の友情にあなたが立ち入る隙間など誰が相応のアホですかえぇまぁその通りですけど何かっ!?」
鳴護「一言でノリツッコミする人って……」
インデックス「こすと感が違うんだよね。前教皇さんを場に出すとほかのきゃらが出られなくなる感じで」
マタイ「人を使いづらいみたいに言わないでほしいのだが」
鳴護「えぇと……何かあったら心置きなく損切りできる、って安心感ではレッサーちゃんの方が上ですから」
レッサー「中々言いやがるようになりましたねコンチクショー。確かに敵陣で大暴れするのとか大好物ではありますが!」
インデックス「『敵に回したら面倒臭いが、味方にしたらもっと面倒臭い』って、まぁうん、わたしの知り合いがまじなとーんでボソって」
レッサー「――あ、すいませんちょっと用事思い出したんで失礼しますね!あのエエ格好しぃに天誅喰らわせてきますんで!」
鳴護「だからそういうとこがだよ?」
レッサー「ではまず私は裏から侵入しますんで、シスの暗黒○とアリサさんは表で陽動をお願いします!コードネームは『アンドロイドにも乳×があった』」
(※公式)
鳴護「本当に面倒だよ!?そしてどこの公式かも分からない!」
マネージャー「――はい、という訳でお三人さんを引き連れて上条さんを助けに向うのか、ARISAさんが単独潜入するのか選んでください」
鳴護「どっちも無理ですよ。悪魔と大天使連れてカチコミかけたら超目立ち見ますし、あたし一人だってこのセミナー潜り込むのもちょっと……」
マネージャー「男子の格好をすればなんとか」
鳴護「それよくフィクションにありがちですけど、現実的にはほぼ無理ですからね?誰が何をどうしたって『ボーイッシュな仮装の女子』にしかならないです」
レッサー「あぁでも胸の平たい種族の方は見事に騙し通したみたいですけど?」
鳴護「目がフシアナなだけだよ?あんなに可愛い美琴ちゃんが男の子っておかしいでしょ?」
レッサー「『こんなに可愛い子が女子の筈がない』」
鳴護「ウルサイよ!?その常識が通じるのはごく一部の層だけだからね!」
――XX学区 文化センター
レッサー「――そんな訳で例の講演へとやってきたのだった……ッ!」
鳴護「まぁ合ってるは合ってるかな。公園と講演の違いはあるけど、絶対に気にしてないよねそれ」
レッサー「えっと……火をつければいいんでしたっけ?」
鳴護「物理的にも立場的にも炎上するよ?コミュニケーションが暴力ってそれもう邪神だよ?」
レッサー「あれ?そういう依頼じゃないでしたか?何かマルチっぽいのにかかった上条さんをギャン言わしたれって話ですよね?」
鳴護「手段のために目的を正当化しないでください。まぁ何を錯乱したのかは気になるし、なんとかしないといけないけど」
鳴護「ていうかもう一人の方はどちらへ?正直レッサーちゃん一人でも持て余しているのに」
レッサー「ジジイは観光に行きました!なんでも最近暇になったんで骨を埋める場所を探しているとかで!」
鳴護「それが学園都市だなんてあんまりじゃないかな?もっとマタイさんを必要としている場所があるよ」
レッサー「多分向こうでは居心地が悪りぃんじゃねぇかと。だってあのジジイ、死んだ翌日ぐらいには英○召喚で喚ばれそうですし」
鳴護「レッサーちゃんが誰の事を言ってるのかあたしには分からないけど、そこまで神がかった人じゃないと思うよ?」
レッサー「マジ話、信仰に忠実な十字教徒ほど自身が信仰対象に入るのを嫌うんですわ。基本、神・精霊・神の子以外を信仰したらダメっすわー、みたいな」
(※だから途中で引退した)
鳴護「神裂さん全否定じゃ……?」
レッサー「あれもなんだかんだで根本にあるのは神の子ですからねぇ。たまたま受け継いだ特徴が類似しているってだけで――と話が逸れましたね。で?私は何をすれば?」
鳴護「ぷりーず・ごー・かんとりー?」
レッサー「おぉっと誰の影響か分かりませんが言いやがるようになりましたねっ!”上”で始まって”条当麻”で終わる野郎の悪影響ですな!」
鳴護「そんな斬新なぼかし方初めて聞いたよ。だって完全に言っているもの、人名を」
レッサー「しかしここでダベっていても埒が明かないのは事実!何か楽しそうなので潜入ミッションへと移行するであります、サーッ!」 シュタッ
鳴護「その楽しくなったら何でもする癖は……あぁまぁいいかな。どうせ爆破してもアフロになって生還するんだろうし」
上条「――何やってんだアリサ?」
鳴護「チガイマス、ヨ?」
上条「ここで声だけビブラート効かせても、そのドピンクの髪は隠せないと思う」
鳴護「す、スーパーソニ○だよー!……です?」
上条「その筋では有名なゲーム作ってた人達が、気がついたら世界的に別ジャンルを送り出してる人達のイメージキャラだな。気がついたら居なくなってた的な」
上条「あと外見のインパクトほどには中身がぜんんぜん知られていないって屈辱……!」
(※元ニト○ファンの嘆き)
鳴護「『――はい、っていう訳で始まりましたけども三澤紗千○のネットラジオ!』」
上条「無理じゃねぇかな?路上でいきなり配信初めても、つーか声がご本人様のようにそっくりでも『あ、中の人だ!』ってなんねぇよ、何やってんだ、こんなとこで?」
鳴護「えーっと……当麻君こそ、何してるの?」
上条「質問に質問で……あぁいや他意はなくてだな?『うわぁレッサー居るよ……』って思ってただけだから」
鳴護「扱い酷くないかな?それって立ち去るまでスルーしようとしてたってことだよね?」
上条「え、でもレッサー係ってアリサだし?」
鳴護「扱い酷くないかな!?動物園だってたまーにトラさんが飼育員さんを事故るんだからねっ!?」
上条「トラ自体は遊びのつもりらしいんだよ、悪意はないっぽい……」
(※「自分が子トラのつもりでじゃれかかったのにワンパン致命傷」)
鳴護「てゆうか当麻君インデックスちゃんから聞いたよ!?変な団体に出入りしてるって!」
上条「変な団体……?あぁもしかしてHAMADURAモテモテ啓発セミナーのことか?」
鳴護「それ以外に心当たりがあったら恐怖だよ?名前からしてもう軽めの出オチだよね?」
上条「名前はちょっと怪しいけど、中身はちゃんとした団体だぜ!だって基本入会料がゼロなんだからな!」
鳴護「手口だよ。大手課金系ゲームってみんなそうでしょ?基本無料ってことは、どこかでペイされる自信があるってことであってね」
上条「なぁアリサ知ってるかい?――☆5を引いたらゴールじゃないんだ、そこからレベルだの信頼度だの強化するってマラソンが始まるんだ……ッ!!!」
鳴護「ちょっと何言ってるのか分からないけど、余所にケンカ売らないで?」
上条「目的と手段を取り違えているんだよ!」
鳴護「いや別に一緒じゃないかな?パンを焼くために人は生きるんじゃないけど、ガチャを回すために人は生きているってマタイさんも言ってたかもしれないよ?」
上条「――あ、ごめん。そろそろセミナーが始まる時間だから」
鳴護「ねぇ話聞いてた?心配してるって部分はスルーされているの?」
上条「だったらアリサも来るか?別に集まって話聞くだけだし、個人情報書いたりもしないから」
鳴護「当麻君あの、あたしがタレント活動してるって覚えてる、よね?あんまりホイホイついていったらゴシップのネタにされるって分かってるかな?」
上条「え?ならったなったでオイシイじゃん?」
鳴護「発想がどうかしてる。コオロギ食でいっちょ噛みしてくるタレント並に貪欲」
――HAMADURAモテモテ啓発セミナー
鳴護「……なんか騙されて来たような気がするけど……意外と普通だね」
上条「普通に広めの会議室借りてるだけだからな。雰囲気的には塾っぽい」
鳴護「ただあたし以外に女子がいないのがそこはかとない不安が……」
上条「講師の先生は女性だからな。多分目当てで来てる人はいな――いとは断言はできないが!」
鳴護「もう誰が黒幕か分かっちゃった。あたし達を毎年追い込んでくる映画好きっていうか映画憑きの人だよね?」
ガラガラッ
絹旗『――はい、私語は超慎んでくださいね。しないとぐーぱんちをお見舞いしますよ』
鳴護「予想を一ミリも外してない。ていうかHAMADURAの時点で何となくそうだろうとは思ってた」
絹旗『えー、では只今からHAMADURAモテモテ啓発セミナー、略してハマナーを超始めたいと思います』
鳴護「ここまで愛のない略し方ってある?」
絹旗『はいそこ超お静かに。どっかで見たドピンクが目に入りましたが、あんまりうるさいとゾンビマラソンさせますよ?』
(※ダメなゾンビ映画マラソン。サメは笑えるのにゾンビはションボリするので心理的なダメージは上)
上条「ごめんなさい先生!続けてください!」
鳴護「そんな『校庭走ってこい』みたいなノリで言われても」
絹旗『えーではハマナーを開始します。お代は『いいな』と思ったら前の募金箱に超入れてください。できれば紙幣で、レシート入れたら超ぶっ飛ばしますから』
鳴護「……どうしても隠しきれない邪悪さが……!」
上条「い、いえ違う!募金箱だから!恵まれない人へのチャリティーにシート入れる人を先生は怒っておられるわけだから!」
絹旗『まず世の中には色々な人がいます。朝一でパチス×屋に並ぶ人、新台入荷の日に並ぶ人、お昼時に代打ちとして稼ぐ人』
鳴護「世界観が狭い。全部パチス×屋さんの中で循環してる」
上条「こ、ここからだから!ここからきっと良い事言うから!」
絹旗『とんでもなく底辺はいます、いますが、こう考えてください――』
絹旗『――非DTの時点でHAMADURAよりも下である、と……ッ!!!』
上条「……くっ!、確かに!」
鳴護「当麻君帰ろう?ここはもう正気の人はいないみたいだから」
絹旗『例えHAMADURAがどれだけ底辺だろうとも!あなた方はもっと超下であるのを自覚してください!まずそこからです!』
上条「俺はHAMADURAより下……!」
鳴護「雑なカウンセリング系詐欺師の手口……まずは下げておいて持ち上げる。次は自己承認かなー」
絹旗『ではダメなあなた方にHAMADURAの一日を超ご覧に入れましょう。あ、窓際の方はカーテン閉めてくださいね』
鳴護「今の時代にプロジェクターもどうなんだろう」
上条「先生曰く、『ここの倉庫にあったんで超使ってみたいじゃないですか』だって」
鳴護「どの情報?運営側だよね?」
絹旗『では動画を超スタートですね。ぽちっとな』
ナレーション『HAMADURAの朝は超早いって訳よ……!』
浜面(動画)『――っと、もう5時か』 ピピピッピピピッカチッ
滝壺(動画)『……はま、づら……?』
浜面『あぁ悪りぃ滝壺。目覚まし止めるの遅くなっちまったから』
滝壺『……ううん、それはいいんだけど……』
浜面『今日は早番なんだ。帰ってくるのは何時になるのか分かんないけど、遅くなるようだったら先に寝ててな?』
鳴護「……あれ?割とまとも、っていうかフツーのおじさんじゃない?」
上条「あぁHAMADURAは顔も声フケてっけど、実は18歳未満なんだ。下手すれば俺とタメ」
鳴護「この貫禄で!?どう考えても中の人が後々『そんな歳だと思ってなかった』って公録で言いそうだけど!?」
浜面『あとメシは用意してくれたら嬉しい。あ、でも無理すんなよ?滝壺の体の方が大事だからな?』
滝壺『うん……ありがとう』
鳴護「てかこれ普通のカップルさんの一シーンじゃ……こんなん見せられてもな」
上条「安心してくれアリサ!HAMADURAさんは俺たちの期待を裏切らないぜ!」
浜面『それじゃ行ってくる――あ、金貸してくれよ。昨日降ろして来たんだろ?』
鳴護「………………はい?」
滝壺『はまづら……これはだめ、今月分のこうねつひ……』
浜面『大丈夫だって!俺が倍にして、いや三倍にして返ってくるから、なっ?』
滝壺『はまづら……いつもそういって返してくれない…… 」
浜面『そ、それは違うんだよ!出る日もあれば出ない日もある!それが人生ってもんだろ!?』
滝壺『てゆうか仕事じゃない……ぱちす×打ちに行ってるだけ……!』
浜面『バカヤロウ!?俺が、俺がどんな気持ちでパチス×打ってるのか分かるっていうのか!?』
浜面『「あー早く鬼○の無限列車編、台になんねぇかな」って思ってんだぞ!?』
ナレーション『HAMADURAはアホだったって訳よ……!』
鳴護「ナレーション間違ってません?そりゃまぁそうでしょうけども、微妙に誰かの出番を作るためにやってるとしか……」
浜面『次勝ったら!もう一回だけ勝ったらその金でスーツ買うから!そっから俺のサクセスストーリーが始まっ――』
ピッ
絹旗『――はい、ではここまで見たご感想は?』
鳴護「取り敢えず住所教えてもらえません?今からマネージャーさんにクルマ出してもらって、o-hanashiして来ようと思います」
(※クルマ=劇場版・迷彩型多脚戦車)
絹旗『おぉっとドピンクの方、早まらないでください。まだ動画は序盤ですので行動を起こすんでしたらいいぞ超やっちまえ』
鳴護「講師の方の立ち位置決めません?モルモット側の人間なのか、それともネタにして遊んでいるだけなのかってのを」
絹旗『いいえ私は超中立ですよ?小銭が稼げればいいかなーって』
鳴護「たったその程度で他人様のプライベートを!?」
絹旗『と、まぁ質問もなかったようですので超続けます。このように平日のHAMADURAは朝早くから出かけ、午後になるぐらいまではパチ屋でお仕事をしています』
鳴護「お仕事とは言わない。一応遊興……ギャンブルですらなく、遊興施設って体裁」
絹旗『しかしながら皆さんのHAMADURAは超一味違いますよ!ついた二つ名が「代打ちのあんちゃん」なのですから!』
上条「ヤッベェ……HAMADURAクラスになると二つ名ができるんだ……!」
鳴護「だいうち?さっきも出てたけど何?」
絹旗『諸事情でパチ台を離れられない人に代ってキープするお仕事の人です。まぁ今と違って筐体の設定が甘かった頃ですからね』
鳴護「その死語のような二つ名がつく意味が分かりません」
上条「『出玉が尽きて徘徊する様があまりに悲しそうなもんだから、ご年配のパ×廃人が頼んでくれる』」
絹旗『超正解。中々人の情も捨てたもんじゃないですよね』
鳴護「そろそろ出禁食らわないかな?飢えた視線ばっかりの人達が友愛に目覚めるのって相当だよ?」
絹旗『そしてHAMADURAは代打ちで一食分を手に入れます――しかし!ここでコンビニに入るのは超愚の骨頂!』
鳴護『ではどうすればいいんでしょうか。はいそこのドピンク髪の隣の方!あなたがHAMADURAだったら超どうします?』
上条「俺だったらコンビニじゃなくてスーパーに入るぜ!そして食パンと牛乳で最低限の栄養素をキープするんだっ!」
鳴護「その答えがもう悲しいよ。二人ともウチから出てった後に、どんな悲惨な生活を……」
絹旗『発想自体は悪くないですが、超ハズレです。HAMADURAはどうしたのか動画を見てください』
浜面(動画)『――よし、雀荘行くか!』
鳴護「設問も生態も卑怯じゃない?設問者の悪意が前面に出すぎてる」
上条「流石はHAMADURA……!なんてストイックな生き方を!」
鳴護「うん、てゆうかこの動画通じての感想だけど、遠回しな、自殺を見せられてるのかな?」
絹旗『ちなみに雀荘というのは麻雀をする場を提供するお店のことです。決して中では賭け事なんてやっていませんので、超悪しからず」
(※そんなには)
絹旗『そして当然我らがHAMADURAはこのあとケ×毛まで超抜かれて全裸で放り出されます』
鳴護「本当にダメだよね?ダメ人間を極めようとしているの?」
絹旗『が、しかしここからがある意味超本領発揮といえるでしょう。店外で通行人に出会った第一声がこちらです』
浜面(パンイチ)『……』
通行人『――え、何やって――』
浜面『――教えてくれ!今は西暦何年の何月何日だ……ッ!?』
絹旗『これは「未来からタイムスリップしたんでパンイチでも恥ずかしくないもん」ですね。意外とこういう賢しさはあります。賢くは決してないのがポイントですが』
上条「その発想はなかった……!次は俺もやろうっと!」
鳴護「あの、講師の方?再生を止めた動画の隅っこに警備員らしき人がいるんですが……」
絹旗『きっと心霊動画ですね。「そろそろ結婚してもいいじゃん?」とか思い詰めた女教師の亡霊かなんかで』
鳴護「そうやって全方位にケンカ売るのはやめてあげてください。後でツケを支払わされるのは主に当麻君なんですから」
絹旗『さて、警備委員でこってり絞られたHAMADURAはようやく超帰宅します』
浜面(動画)『クソッタレ……なんだよ、どいつもこいつも……!俺の事バカにしやがって!』
鳴護「発想が卑屈……あ、いや違うな。ここまで他人のせいにしちゃうと更正が厳しいよね……」
浜面『――ただいまー滝壺ー?ゴハンできてるー?カップラーメンでもいい、けど……』
浜面『………………あれ?いない?』
鳴護「あー……これはやっぱり」
浜面『買い物にでも行ってんのかな――って手紙?俺宛……なになに?』
滝壺(手紙)【――親愛なるはまづらへ】
滝壺【とつぜん居なくなってごめんなさい。暫く私は家を出ることにしました】
滝壺【その、はまづらのことは大好きです。恩人でもあるし、私なんかと恋人になってくれてとても嬉しかったです】
滝壺【でも、最近のはまづらは違うっていうか。今まで全力で走ってきた分だけ、疲れが溜まっていたんだろうと思います】
滝壺【私もそんなはまづらを見ているのがとても辛いです……】
滝壺【……ごめんねはまづら。ちょっと、ちょっとの間だけはまづらと距離を空けようと思います】
滝壺【でもそれははまづらが嫌いになったんじゃなく、お互いに自分のことを見つめ直して、原点に立ついい機会だって】
滝壺【……】
滝壺【……それじゃ。私はきぬはたのところにいます。またすぐにでも】
浜面『……――滝壺……ッ!!!』
浜面『……』 ピッ
浜面『「――あ、もしもし半蔵?今ひま?だったら俺んちで宴会しようぜ!」』
浜面『「カノジョ?あーうん大丈夫!なんか帰ってるみたいだから!」』
絹旗『っていう感じに。私も「浜面って超メンタル強いな!」と驚きを禁じえませんでした』
鳴護「――ねぇ最愛ちゃん?やっぱこの人のアドレス教えてくれないかな?」
絹旗『――さて、以上で分かって頂けたでしょうが、皆さんは決して超価値のない存在ではありません』
絹旗『確かにまぁDKDCはこの世界で最も価値はないわけですし、まして超DTある皆さんは――ですが』
絹旗『人にご迷惑をかけるアホよりは超遙かにマシなのです。だからもっと希望を持って生きていってくださいね』
上条「良かった……!俺たちも生きてていいんだ……!」
絹旗『と、言うわけで彼女はウチで超預っています。生活費を募金したい方は募金箱へどうぞ』
鳴護「監督、まさかとは思いますが、小銭稼ぎのためだけに話盛ってません?全部動画に残ってる当り、主犯は監督ですよね?」
鳴護「ていうかこのセミナー自体、自分よりも下を見て安心させようっていう主旨じゃ……?」
絹旗『――安心してください、ドピンクの人』 ポンッ
鳴護「このイジリ方が定着しそうで嫌なんですが、何か?」
絹旗『実はこの企画のHAMADURAのモデルは実在する人間だそうですよ?』
(※実話です。そしてもっと酷い)
鳴護「安心する要素一個もないな!?それ人間の悪い要素を集めた煮凝りっぽい人がいるってことでしょ!?」
レッサー「――いや、我らがイギリスで生活保護貰って似たような生活してる人、結構居ますけど?」
鳴護「イギリスって人類が住んでるの?それとも人の皮を被った何かが住んでいるのかな?」
レッサー「我が国ではこれにドラッグと売×要素が加わるんでもっとタチ悪くなりますけど何か!?」
(※本格的にどうしようもない)
鳴護「張り合うところが違う。自慢するようなこっちゃない」
-終-
マネージャー「お疲れさまですARISAさん。バレンタインのラジオ公録大成功でしたね」
鳴護「あぁまぁ、そう、かもしれませんね。ファンが暴徒となってブースに押し寄せてこなければ、成功と言っても過言ではないかもです」
マネージャー「警備班としての未熟を恥じるばかりですが、その直前に『バレンタインぐらい好きな人と一緒したいよね!』と、どなたかが煽ったのが主原因かと」
鳴護「いやファンの子たちのことですよ!?別に煽ったんじゃなくて『だからいいよね!』的な意味ですから!」
マネージャー「なお最前列で守っていたサンシャイン上条さん(芸名)がいつものように二階級特進を」
鳴護「死んでないですよね?病院運ばれたってときは慌てましたけど、一晩お泊まりするとHPMP全快で戻ってくるし」
マネージャー「上条さんの能力って、実はあの不死身性と思わなくも……某市の伝説の喧嘩士に二回殴られて生きてるって人ですから」
鳴護「平和なのに平和とは一番かけ離れている人は都市伝説では?」
マネージャー「それを言ったらサンシャインさんご自身が都市伝説になっています。『最強のレベル0』って噂はほぼ定着してますからねぇ」
鳴護「あぁ聞いたことありますけどそれ。でも最近じゃ『2mを越える謎の幼女』とかって、既に原型を留めていませんが」
マネージャー「サイズ感に戸惑いそうですよね。遠近感が仕事をしてないという」
鳴護「幼女の定義から詰めていきたいですよね。誰かがやってんでしょうが」
マネージャー「特定されれば本気で命狙われますから。どなたかが真偽入り交じった情報操作をされているんでしょうが」
鳴護「このあいだ『実はイギリス人だった!』って説が」
マネージャー「その情報にどういう価値を見出すのか謎ですよね」
鳴護「多分当麻君が聞いたら『コッテコテの日本人相手になんでだよ』ってツッコむと思います」
マネージャー「箔がつくと思っておられるのか、それともババが憑いたのが微妙な評価ですよね」
鳴護「あまりその、オカルト的な話をすると寄って来る怪談おじさんがいるのでその辺で……」
マネージャー「元ボディガードからすれば、あぁいう世界があった方が驚愕ですけど」
鳴護「人間相手の方が怖いのか、人間相手じゃない方が怖いのか微妙ですよね」
マネージャー「昔『そういや最近撃っても死なない人間多くね?』、『あー分かる分かる!なんかいるよな!』という隊員同士の会話が」
鳴護「随分軽いですけど、そんなノリだったんですか前職?」
マネージャー「所詮死なないだけなので見た目ほどの脅威にもなりませんでした」
鳴護「割り切り方がドライ過ぎませんか?ちょいちょい深めの闇が見え隠れするのは……」
マネージャー「世の中には意外と不思議なことかあるという教訓ですね――さて、反省会はここまでにするとしまして、早速依頼の方が届いております」
鳴護「……依頼?お仕事ではなく、依頼?」
マネージャー「あぁまぁお仕事の依頼ではありますね。お入りください、どうぞ」
ガチャッ
インデックス「――ここが探偵事務所なんだよ……ッ!?」
鳴護「違うよ?ここじゃないよ?絶対にここではないよ?」
マネージャー「こちらが本日の依頼人のインデックスさんです。お知り合いでしたか」
鳴護「嘘を吐くのに手慣れすぎてやいませんか?去年ほぼ住み着いてましたよね?くらぼっこの如く?」
(※「くらぼっこ=倉坊子」。倉に住む妖怪でザシキワラシの一種)
インデックス「仮にもしすたーをようかい呼ばわりはやめてほしいんだよ。まぁ、いつのまにか常駐したわたし達にも責任がないとまでは言えなくもないかもだけど」
鳴護「あぁいやインデックスちゃんはいいんだよ?いつまでいてくれても良いんだけど、こう、事務所側の問題っていうか」
マネージャー「定期的に謎の結社やはぐれ魔術師が襲ってくるのは許容範囲外です。あとセクウェンツィア会長がラッキースケベのエジキにになるのは、ちょっと」
鳴護「何重ものセキュリティがかかった社長室に偶然侵入した当麻君は神がかってたよねぇ。しかも何故か着替え中というタイミングで」
インデックス「しず○ちゃんかな?『そんなたいみんぐで脱ぐ必要があるのかな?』ってぐらいのアレなんだよ」
鳴護「うんまぁ共通見解を得られたところで、これが本日のお茶請けなんだよね。梅昆布茶とお羊羹」
インデックス「でぃ・もーるとな組み合わせなんだよ……ッ!生まれて初めて昆布茶を頂いたときには『出汁?』って思ったんだけど、これはこれでいいもんなんだよ――」
インデックス「――って危なかったんだよ!?ありさもわたしをけむにまこうったってそうはとんやがおろさないんだからねっ!?」
鳴護「インデックスちゃんの日本語テキストに何を使ったのが手に取るように分かるよね。時代劇か落語じゃないかな、平日の昼間の再放送」
インデックス「日本人はわびさびをもっと重視した方がいいんだよ!なんでごーるでんにぶつけないのかと!」
マネージャー「コスパの問題ですね。数日かけてドラマ撮るよりもひな壇に乗せて数時間撮った方が早くて安上がりだと。控えめに言って婉曲な自殺ですが」
インデックス「そういうのも嫌いじゃないんだけど――って脱線してるんだよ!さすがはありさ!あいさと一文字違いなんだよ……っ!」
鳴護「あれあたし秋沙ちゃんと名前似てるだけで誉められてる?あの独特の雰囲気は正直羨ましい」
インデックス「えーっと……いいの?これ続けても?」
マネージャー「依頼人はアドリブに弱いっぽいので、どうか汲んであげてください」
鳴護「ビックリしてるのはこっちの方なのになんて理不尽な要求!?」
インデックス「それでね、たんていさんに依頼があるんだよ」
鳴護「せめて一回ぐらい説明してくれないかな?あたしはアイドルであって探偵になった覚えはないんだよね。実はアイドルになった覚えも限りなくないんだけども」
マネージャー「端的に言えば上条さんが奇行をされています」
鳴護「ツッコミの軛から解き放たれてからフリーダムになったよね。その分だけあたしのノドに負担が」
インデックス「とうまもやみさかと一緒の時はツッコミに戻るから、とーたるではそんなに大差無いと思うんだよ。あっちは徹頭徹尾りふじんだから」
インデックス「このあいだもちょっとアレなまんがかさんが『恵方って何が来るのも分からないのに盛り上がってんねwwww』ってネタにしたら、おこでね……」
鳴護「いやそれは別に仕方がないんじゃ?てかあたしも気になるよ、恵方って何?」
インデックス「歳徳神(としとくじん)っていう歳の神様なんだよ。おしょーがつさまとかとしのかみさまとか言うでしょ?」
鳴護「うん?それってお正月の話だよね?」
インデックス「まぁこれについては長くなるから割愛するんだけど、旧暦だとお正月と節分の日は同じだったから」
鳴護「後で当麻君に聞くとして……で、何?当麻君がまたやっちゃったのかな?」
インデックス「やっちゃったっていうか、やられてるっていうか。まぁこんな名詞がね、落ちてたんだよ」 スッ
鳴護「あっはい、拝見します――『HAMADURAモテモテ啓発セミナー』……?」
インデックス「名前からしてモテそうなんだよ……ッ!」
鳴護「名前からして詐欺だよね?もう初手から二歩狙いの笑いを取りに来てるもんね?」
マネージャー「逆にどんな業務内容なのか興味が出ますよね」
鳴護「多分『有○の壁』と同じなんじゃ……あぁまぁ当麻君の正気度がピンチだけど、この面白団体が何を?」
インデックス「最近ハマっちゃったらしくて、その相談をしたくてお邪魔したんだよ。あ、もっとオヤツください」
鳴護「当麻君orレッサーちゃんの悪いトコが出てるからね?あの、何か持ってきて下さい」
マネージャー「少々お待ちを。ARISAさんの本日のおやつ用に購入していたおやきパンで宜しければ……」
(※実在します。野沢菜の漬け物 in the パン)
インデックス「飲み物はお茶かコーヒーか迷うんだよね!」
鳴護「あたしのおやつを強奪された……あぁまぁいいけど。えーと具体的にはどういう困った行動を?」
インデックス「『俺の右手には邪龍が封印されている……!』だって」
鳴護「ほぼ平常運転じゃないかな?大体間違ってはないし、なんだったら×8だから、謙遜してると言えなくもないよ」
マネージャー「すいませんARISAさん、首突っ込みたくないからって雑なツッコミになっています」
鳴護「どう考えても地雷案件じゃないですか!?どうせ笑いの刺客が次から次へと襲ってくる感じの!?」
インデックス「むしろこれががちの方が怖くないかな?だっていい歳したおとなが『もてもて』とか言っているんだよ?」
鳴護「素に戻らないでくれるかな?あたしもこう、結構騙し騙しやってる感がない訳ではないっていうか……」
マネージャー「概要は大体このぐらいですが。さて、どうしましょうか?やはり今回も単独潜入を?」
鳴護「もうあたしがどうにかできる範囲を超えていますよね?適材適所っていいますか、まだ大人の人に連絡した方がいいと思うんだけどな……」
インデックス「任せてほしいんだよ!こう見えてもすねーくみっしょくは得意なんだからね!」
マネージャー「と、このように大変乗り気でいらっしゃいまして」
鳴護「あぁ止める側だったんですね。英断だと思いますけど、当麻君が帰宅したのを捕まえてお話すればいいだけでは?」
マネージャー「いえ、それだと番組企画的に面白みに欠けますので。是非ともセミナーへ潜入して頂きたく」
鳴護「他人の不幸を数字に変えようとしていませんか?あたしがこの事務所へ対して抱いてる不信感と同じですよ?」
マネージャー「とんでもない。ARISAさんの身の安全が第一ですので、こちらで屈指のボディガードをご用意してあります」
鳴護「危険地域へ首突っ込まないって選択肢は?『なんか面白そうだからタレント行かせとけ』は電波少○と何が違うのかと」
マネージャー「こちらはガチですが?」
鳴護「本格的だからっていいってもんじゃないですからね?」
マネージャー「ではお入り下さい」
ガチャッ
レッサー「『――あなたが私のマスターか!』」
鳴護「畏れ多すぎるよ?地を這うミミズが天翔る龍を見て『あなたはボクのおとうさん……?』っていうぐらいに失礼だよ?」
レッサー「同じイギリス人ですので子孫を自称するのはいいかと!」
鳴護「人選に悪意があります。よりにもよって出だしから飛び道具で殴りかかってきましたよね?」
レッサー「おぉっとこれはしたり!私のどこが問題があるっていうんですか!解決力に満ち溢れた私のどこが!」
鳴護「『あなたの前にカギのついたドアがあります。どうしますか?』」
レッサー「取り敢えず蹴破った後、『あれ?何もしてないに倒れたぞ?』とシラを切る
鳴護「STRに全振りしているボディーガードさんはちょっと」
レッサー「あぁいえいえアリサさん、そこはフレキシブルに考えましょう。もっとこう前向きに捉えたらどうです?」
鳴護「つまり?」
レッサー「一回攫われるぐらいが物語的にも丁度いい、ってね……!」
鳴護「残念ですが今回はご縁がなかったということで。チェンジでお願いします」
レッサー「待ってつかぁさい!?いやマジで私に決めといた方がいいですよマジで!」
鳴護「味方のフリした敵よりは大抵……じゃあ次の方っています?」
ガチャッ
マタイ「――やぁ、こんにちは。初めまして、ではないね」
鳴護「どっから拾って来たんですか!?ある意味で世界で一番無駄な人材の使い方ですよ!?」
マネージャー「あぁいえ、お見かけしたのでご挨拶をしたところ、お時間があるとのことでしたので。行幸頂きました」
鳴護「遠慮のペース配分間違ってますよ?百歩譲ってご招待するのはいいとしても、決してアホ企画に付き合わせるために呼ぶのはどうでしょうか!」
マタイ「主に説教をする側だったので、話を聞く側であるセミナーとらに興味がないわけではない」
インデックス「このひとにお説教できるのって、十字教の立場的には地球上に存在しないんだよね……」
マタイ「前職にあったときの話だよ。立ち位置的に神の子から天国の鍵を受け取ったため、地上においては代理人程度の権限がある、と解釈されているね」
(※公式見解)
鳴護「もっとこう温存しません?アホ企画に繰り出すのは相応のアホ、もといレッサーちゃんぐらいがベストですから!」
レッサー「そうですよ!我らの無双の友情にあなたが立ち入る隙間など誰が相応のアホですかえぇまぁその通りですけど何かっ!?」
鳴護「一言でノリツッコミする人って……」
インデックス「こすと感が違うんだよね。前教皇さんを場に出すとほかのきゃらが出られなくなる感じで」
マタイ「人を使いづらいみたいに言わないでほしいのだが」
鳴護「えぇと……何かあったら心置きなく損切りできる、って安心感ではレッサーちゃんの方が上ですから」
レッサー「中々言いやがるようになりましたねコンチクショー。確かに敵陣で大暴れするのとか大好物ではありますが!」
インデックス「『敵に回したら面倒臭いが、味方にしたらもっと面倒臭い』って、まぁうん、わたしの知り合いがまじなとーんでボソって」
レッサー「――あ、すいませんちょっと用事思い出したんで失礼しますね!あのエエ格好しぃに天誅喰らわせてきますんで!」
鳴護「だからそういうとこがだよ?」
レッサー「ではまず私は裏から侵入しますんで、シスの暗黒○とアリサさんは表で陽動をお願いします!コードネームは『アンドロイドにも乳×があった』」
(※公式)
鳴護「本当に面倒だよ!?そしてどこの公式かも分からない!」
マネージャー「――はい、という訳でお三人さんを引き連れて上条さんを助けに向うのか、ARISAさんが単独潜入するのか選んでください」
鳴護「どっちも無理ですよ。悪魔と大天使連れてカチコミかけたら超目立ち見ますし、あたし一人だってこのセミナー潜り込むのもちょっと……」
マネージャー「男子の格好をすればなんとか」
鳴護「それよくフィクションにありがちですけど、現実的にはほぼ無理ですからね?誰が何をどうしたって『ボーイッシュな仮装の女子』にしかならないです」
レッサー「あぁでも胸の平たい種族の方は見事に騙し通したみたいですけど?」
鳴護「目がフシアナなだけだよ?あんなに可愛い美琴ちゃんが男の子っておかしいでしょ?」
レッサー「『こんなに可愛い子が女子の筈がない』」
鳴護「ウルサイよ!?その常識が通じるのはごく一部の層だけだからね!」
――XX学区 文化センター
レッサー「――そんな訳で例の講演へとやってきたのだった……ッ!」
鳴護「まぁ合ってるは合ってるかな。公園と講演の違いはあるけど、絶対に気にしてないよねそれ」
レッサー「えっと……火をつければいいんでしたっけ?」
鳴護「物理的にも立場的にも炎上するよ?コミュニケーションが暴力ってそれもう邪神だよ?」
レッサー「あれ?そういう依頼じゃないでしたか?何かマルチっぽいのにかかった上条さんをギャン言わしたれって話ですよね?」
鳴護「手段のために目的を正当化しないでください。まぁ何を錯乱したのかは気になるし、なんとかしないといけないけど」
鳴護「ていうかもう一人の方はどちらへ?正直レッサーちゃん一人でも持て余しているのに」
レッサー「ジジイは観光に行きました!なんでも最近暇になったんで骨を埋める場所を探しているとかで!」
鳴護「それが学園都市だなんてあんまりじゃないかな?もっとマタイさんを必要としている場所があるよ」
レッサー「多分向こうでは居心地が悪りぃんじゃねぇかと。だってあのジジイ、死んだ翌日ぐらいには英○召喚で喚ばれそうですし」
鳴護「レッサーちゃんが誰の事を言ってるのかあたしには分からないけど、そこまで神がかった人じゃないと思うよ?」
レッサー「マジ話、信仰に忠実な十字教徒ほど自身が信仰対象に入るのを嫌うんですわ。基本、神・精霊・神の子以外を信仰したらダメっすわー、みたいな」
(※だから途中で引退した)
鳴護「神裂さん全否定じゃ……?」
レッサー「あれもなんだかんだで根本にあるのは神の子ですからねぇ。たまたま受け継いだ特徴が類似しているってだけで――と話が逸れましたね。で?私は何をすれば?」
鳴護「ぷりーず・ごー・かんとりー?」
レッサー「おぉっと誰の影響か分かりませんが言いやがるようになりましたねっ!”上”で始まって”条当麻”で終わる野郎の悪影響ですな!」
鳴護「そんな斬新なぼかし方初めて聞いたよ。だって完全に言っているもの、人名を」
レッサー「しかしここでダベっていても埒が明かないのは事実!何か楽しそうなので潜入ミッションへと移行するであります、サーッ!」 シュタッ
鳴護「その楽しくなったら何でもする癖は……あぁまぁいいかな。どうせ爆破してもアフロになって生還するんだろうし」
上条「――何やってんだアリサ?」
鳴護「チガイマス、ヨ?」
上条「ここで声だけビブラート効かせても、そのドピンクの髪は隠せないと思う」
鳴護「す、スーパーソニ○だよー!……です?」
上条「その筋では有名なゲーム作ってた人達が、気がついたら世界的に別ジャンルを送り出してる人達のイメージキャラだな。気がついたら居なくなってた的な」
上条「あと外見のインパクトほどには中身がぜんんぜん知られていないって屈辱……!」
(※元ニト○ファンの嘆き)
鳴護「『――はい、っていう訳で始まりましたけども三澤紗千○のネットラジオ!』」
上条「無理じゃねぇかな?路上でいきなり配信初めても、つーか声がご本人様のようにそっくりでも『あ、中の人だ!』ってなんねぇよ、何やってんだ、こんなとこで?」
鳴護「えーっと……当麻君こそ、何してるの?」
上条「質問に質問で……あぁいや他意はなくてだな?『うわぁレッサー居るよ……』って思ってただけだから」
鳴護「扱い酷くないかな?それって立ち去るまでスルーしようとしてたってことだよね?」
上条「え、でもレッサー係ってアリサだし?」
鳴護「扱い酷くないかな!?動物園だってたまーにトラさんが飼育員さんを事故るんだからねっ!?」
上条「トラ自体は遊びのつもりらしいんだよ、悪意はないっぽい……」
(※「自分が子トラのつもりでじゃれかかったのにワンパン致命傷」)
鳴護「てゆうか当麻君インデックスちゃんから聞いたよ!?変な団体に出入りしてるって!」
上条「変な団体……?あぁもしかしてHAMADURAモテモテ啓発セミナーのことか?」
鳴護「それ以外に心当たりがあったら恐怖だよ?名前からしてもう軽めの出オチだよね?」
上条「名前はちょっと怪しいけど、中身はちゃんとした団体だぜ!だって基本入会料がゼロなんだからな!」
鳴護「手口だよ。大手課金系ゲームってみんなそうでしょ?基本無料ってことは、どこかでペイされる自信があるってことであってね」
上条「なぁアリサ知ってるかい?――☆5を引いたらゴールじゃないんだ、そこからレベルだの信頼度だの強化するってマラソンが始まるんだ……ッ!!!」
鳴護「ちょっと何言ってるのか分からないけど、余所にケンカ売らないで?」
上条「目的と手段を取り違えているんだよ!」
鳴護「いや別に一緒じゃないかな?パンを焼くために人は生きるんじゃないけど、ガチャを回すために人は生きているってマタイさんも言ってたかもしれないよ?」
上条「――あ、ごめん。そろそろセミナーが始まる時間だから」
鳴護「ねぇ話聞いてた?心配してるって部分はスルーされているの?」
上条「だったらアリサも来るか?別に集まって話聞くだけだし、個人情報書いたりもしないから」
鳴護「当麻君あの、あたしがタレント活動してるって覚えてる、よね?あんまりホイホイついていったらゴシップのネタにされるって分かってるかな?」
上条「え?ならったなったでオイシイじゃん?」
鳴護「発想がどうかしてる。コオロギ食でいっちょ噛みしてくるタレント並に貪欲」
――HAMADURAモテモテ啓発セミナー
鳴護「……なんか騙されて来たような気がするけど……意外と普通だね」
上条「普通に広めの会議室借りてるだけだからな。雰囲気的には塾っぽい」
鳴護「ただあたし以外に女子がいないのがそこはかとない不安が……」
上条「講師の先生は女性だからな。多分目当てで来てる人はいな――いとは断言はできないが!」
鳴護「もう誰が黒幕か分かっちゃった。あたし達を毎年追い込んでくる映画好きっていうか映画憑きの人だよね?」
ガラガラッ
絹旗『――はい、私語は超慎んでくださいね。しないとぐーぱんちをお見舞いしますよ』
鳴護「予想を一ミリも外してない。ていうかHAMADURAの時点で何となくそうだろうとは思ってた」
絹旗『えー、では只今からHAMADURAモテモテ啓発セミナー、略してハマナーを超始めたいと思います』
鳴護「ここまで愛のない略し方ってある?」
絹旗『はいそこ超お静かに。どっかで見たドピンクが目に入りましたが、あんまりうるさいとゾンビマラソンさせますよ?』
(※ダメなゾンビ映画マラソン。サメは笑えるのにゾンビはションボリするので心理的なダメージは上)
上条「ごめんなさい先生!続けてください!」
鳴護「そんな『校庭走ってこい』みたいなノリで言われても」
絹旗『えーではハマナーを開始します。お代は『いいな』と思ったら前の募金箱に超入れてください。できれば紙幣で、レシート入れたら超ぶっ飛ばしますから』
鳴護「……どうしても隠しきれない邪悪さが……!」
上条「い、いえ違う!募金箱だから!恵まれない人へのチャリティーにシート入れる人を先生は怒っておられるわけだから!」
絹旗『まず世の中には色々な人がいます。朝一でパチス×屋に並ぶ人、新台入荷の日に並ぶ人、お昼時に代打ちとして稼ぐ人』
鳴護「世界観が狭い。全部パチス×屋さんの中で循環してる」
上条「こ、ここからだから!ここからきっと良い事言うから!」
絹旗『とんでもなく底辺はいます、いますが、こう考えてください――』
絹旗『――非DTの時点でHAMADURAよりも下である、と……ッ!!!』
上条「……くっ!、確かに!」
鳴護「当麻君帰ろう?ここはもう正気の人はいないみたいだから」
絹旗『例えHAMADURAがどれだけ底辺だろうとも!あなた方はもっと超下であるのを自覚してください!まずそこからです!』
上条「俺はHAMADURAより下……!」
鳴護「雑なカウンセリング系詐欺師の手口……まずは下げておいて持ち上げる。次は自己承認かなー」
絹旗『ではダメなあなた方にHAMADURAの一日を超ご覧に入れましょう。あ、窓際の方はカーテン閉めてくださいね』
鳴護「今の時代にプロジェクターもどうなんだろう」
上条「先生曰く、『ここの倉庫にあったんで超使ってみたいじゃないですか』だって」
鳴護「どの情報?運営側だよね?」
絹旗『では動画を超スタートですね。ぽちっとな』
ナレーション『HAMADURAの朝は超早いって訳よ……!』
浜面(動画)『――っと、もう5時か』 ピピピッピピピッカチッ
滝壺(動画)『……はま、づら……?』
浜面『あぁ悪りぃ滝壺。目覚まし止めるの遅くなっちまったから』
滝壺『……ううん、それはいいんだけど……』
浜面『今日は早番なんだ。帰ってくるのは何時になるのか分かんないけど、遅くなるようだったら先に寝ててな?』
鳴護「……あれ?割とまとも、っていうかフツーのおじさんじゃない?」
上条「あぁHAMADURAは顔も声フケてっけど、実は18歳未満なんだ。下手すれば俺とタメ」
鳴護「この貫禄で!?どう考えても中の人が後々『そんな歳だと思ってなかった』って公録で言いそうだけど!?」
浜面『あとメシは用意してくれたら嬉しい。あ、でも無理すんなよ?滝壺の体の方が大事だからな?』
滝壺『うん……ありがとう』
鳴護「てかこれ普通のカップルさんの一シーンじゃ……こんなん見せられてもな」
上条「安心してくれアリサ!HAMADURAさんは俺たちの期待を裏切らないぜ!」
浜面『それじゃ行ってくる――あ、金貸してくれよ。昨日降ろして来たんだろ?』
鳴護「………………はい?」
滝壺『はまづら……これはだめ、今月分のこうねつひ……』
浜面『大丈夫だって!俺が倍にして、いや三倍にして返ってくるから、なっ?』
滝壺『はまづら……いつもそういって返してくれない…… 」
浜面『そ、それは違うんだよ!出る日もあれば出ない日もある!それが人生ってもんだろ!?』
滝壺『てゆうか仕事じゃない……ぱちす×打ちに行ってるだけ……!』
浜面『バカヤロウ!?俺が、俺がどんな気持ちでパチス×打ってるのか分かるっていうのか!?』
浜面『「あー早く鬼○の無限列車編、台になんねぇかな」って思ってんだぞ!?』
ナレーション『HAMADURAはアホだったって訳よ……!』
鳴護「ナレーション間違ってません?そりゃまぁそうでしょうけども、微妙に誰かの出番を作るためにやってるとしか……」
浜面『次勝ったら!もう一回だけ勝ったらその金でスーツ買うから!そっから俺のサクセスストーリーが始まっ――』
ピッ
絹旗『――はい、ではここまで見たご感想は?』
鳴護「取り敢えず住所教えてもらえません?今からマネージャーさんにクルマ出してもらって、o-hanashiして来ようと思います」
(※クルマ=劇場版・迷彩型多脚戦車)
絹旗『おぉっとドピンクの方、早まらないでください。まだ動画は序盤ですので行動を起こすんでしたらいいぞ超やっちまえ』
鳴護「講師の方の立ち位置決めません?モルモット側の人間なのか、それともネタにして遊んでいるだけなのかってのを」
絹旗『いいえ私は超中立ですよ?小銭が稼げればいいかなーって』
鳴護「たったその程度で他人様のプライベートを!?」
絹旗『と、まぁ質問もなかったようですので超続けます。このように平日のHAMADURAは朝早くから出かけ、午後になるぐらいまではパチ屋でお仕事をしています』
鳴護「お仕事とは言わない。一応遊興……ギャンブルですらなく、遊興施設って体裁」
絹旗『しかしながら皆さんのHAMADURAは超一味違いますよ!ついた二つ名が「代打ちのあんちゃん」なのですから!』
上条「ヤッベェ……HAMADURAクラスになると二つ名ができるんだ……!」
鳴護「だいうち?さっきも出てたけど何?」
絹旗『諸事情でパチ台を離れられない人に代ってキープするお仕事の人です。まぁ今と違って筐体の設定が甘かった頃ですからね』
鳴護「その死語のような二つ名がつく意味が分かりません」
上条「『出玉が尽きて徘徊する様があまりに悲しそうなもんだから、ご年配のパ×廃人が頼んでくれる』」
絹旗『超正解。中々人の情も捨てたもんじゃないですよね』
鳴護「そろそろ出禁食らわないかな?飢えた視線ばっかりの人達が友愛に目覚めるのって相当だよ?」
絹旗『そしてHAMADURAは代打ちで一食分を手に入れます――しかし!ここでコンビニに入るのは超愚の骨頂!』
鳴護『ではどうすればいいんでしょうか。はいそこのドピンク髪の隣の方!あなたがHAMADURAだったら超どうします?』
上条「俺だったらコンビニじゃなくてスーパーに入るぜ!そして食パンと牛乳で最低限の栄養素をキープするんだっ!」
鳴護「その答えがもう悲しいよ。二人ともウチから出てった後に、どんな悲惨な生活を……」
絹旗『発想自体は悪くないですが、超ハズレです。HAMADURAはどうしたのか動画を見てください』
浜面(動画)『――よし、雀荘行くか!』
鳴護「設問も生態も卑怯じゃない?設問者の悪意が前面に出すぎてる」
上条「流石はHAMADURA……!なんてストイックな生き方を!」
鳴護「うん、てゆうかこの動画通じての感想だけど、遠回しな、自殺を見せられてるのかな?」
絹旗『ちなみに雀荘というのは麻雀をする場を提供するお店のことです。決して中では賭け事なんてやっていませんので、超悪しからず」
(※そんなには)
絹旗『そして当然我らがHAMADURAはこのあとケ×毛まで超抜かれて全裸で放り出されます』
鳴護「本当にダメだよね?ダメ人間を極めようとしているの?」
絹旗『が、しかしここからがある意味超本領発揮といえるでしょう。店外で通行人に出会った第一声がこちらです』
浜面(パンイチ)『……』
通行人『――え、何やって――』
浜面『――教えてくれ!今は西暦何年の何月何日だ……ッ!?』
絹旗『これは「未来からタイムスリップしたんでパンイチでも恥ずかしくないもん」ですね。意外とこういう賢しさはあります。賢くは決してないのがポイントですが』
上条「その発想はなかった……!次は俺もやろうっと!」
鳴護「あの、講師の方?再生を止めた動画の隅っこに警備員らしき人がいるんですが……」
絹旗『きっと心霊動画ですね。「そろそろ結婚してもいいじゃん?」とか思い詰めた女教師の亡霊かなんかで』
鳴護「そうやって全方位にケンカ売るのはやめてあげてください。後でツケを支払わされるのは主に当麻君なんですから」
絹旗『さて、警備委員でこってり絞られたHAMADURAはようやく超帰宅します』
浜面(動画)『クソッタレ……なんだよ、どいつもこいつも……!俺の事バカにしやがって!』
鳴護「発想が卑屈……あ、いや違うな。ここまで他人のせいにしちゃうと更正が厳しいよね……」
浜面『――ただいまー滝壺ー?ゴハンできてるー?カップラーメンでもいい、けど……』
浜面『………………あれ?いない?』
鳴護「あー……これはやっぱり」
浜面『買い物にでも行ってんのかな――って手紙?俺宛……なになに?』
滝壺(手紙)【――親愛なるはまづらへ】
滝壺【とつぜん居なくなってごめんなさい。暫く私は家を出ることにしました】
滝壺【その、はまづらのことは大好きです。恩人でもあるし、私なんかと恋人になってくれてとても嬉しかったです】
滝壺【でも、最近のはまづらは違うっていうか。今まで全力で走ってきた分だけ、疲れが溜まっていたんだろうと思います】
滝壺【私もそんなはまづらを見ているのがとても辛いです……】
滝壺【……ごめんねはまづら。ちょっと、ちょっとの間だけはまづらと距離を空けようと思います】
滝壺【でもそれははまづらが嫌いになったんじゃなく、お互いに自分のことを見つめ直して、原点に立ついい機会だって】
滝壺【……】
滝壺【……それじゃ。私はきぬはたのところにいます。またすぐにでも】
浜面『……――滝壺……ッ!!!』
浜面『……』 ピッ
浜面『「――あ、もしもし半蔵?今ひま?だったら俺んちで宴会しようぜ!」』
浜面『「カノジョ?あーうん大丈夫!なんか帰ってるみたいだから!」』
絹旗『っていう感じに。私も「浜面って超メンタル強いな!」と驚きを禁じえませんでした』
鳴護「――ねぇ最愛ちゃん?やっぱこの人のアドレス教えてくれないかな?」
絹旗『――さて、以上で分かって頂けたでしょうが、皆さんは決して超価値のない存在ではありません』
絹旗『確かにまぁDKDCはこの世界で最も価値はないわけですし、まして超DTある皆さんは――ですが』
絹旗『人にご迷惑をかけるアホよりは超遙かにマシなのです。だからもっと希望を持って生きていってくださいね』
上条「良かった……!俺たちも生きてていいんだ……!」
絹旗『と、言うわけで彼女はウチで超預っています。生活費を募金したい方は募金箱へどうぞ』
鳴護「監督、まさかとは思いますが、小銭稼ぎのためだけに話盛ってません?全部動画に残ってる当り、主犯は監督ですよね?」
鳴護「ていうかこのセミナー自体、自分よりも下を見て安心させようっていう主旨じゃ……?」
絹旗『――安心してください、ドピンクの人』 ポンッ
鳴護「このイジリ方が定着しそうで嫌なんですが、何か?」
絹旗『実はこの企画のHAMADURAのモデルは実在する人間だそうですよ?』
(※実話です。そしてもっと酷い)
鳴護「安心する要素一個もないな!?それ人間の悪い要素を集めた煮凝りっぽい人がいるってことでしょ!?」
レッサー「――いや、我らがイギリスで生活保護貰って似たような生活してる人、結構居ますけど?」
鳴護「イギリスって人類が住んでるの?それとも人の皮を被った何かが住んでいるのかな?」
レッサー「我が国ではこれにドラッグと売×要素が加わるんでもっとタチ悪くなりますけど何か!?」
(※本格的にどうしようもない)
鳴護「張り合うところが違う。自慢するようなこっちゃない」
-終-