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Clock(trial)

レッサー「バンクシーと白黒の病院……ッ!」 上条「ポッタ○さんみたいに言うなや」

 
――

レッサー「――はいどーも!そんな訳で新型コロナでいつの間にかフランスを追い抜いてしまったイギリス人ですよ!」

上条「やめろ。自虐が過ぎるし、笑える要素が一個もねぇんだよ。むしろ泣きそうだ」

上条「てかお前らんトコって比較的少ないんじゃなかったっけ?なんで爆増してんの?」

レッサー「現在(2020/0517)時点で指摘されてる原因がですね、最初の非常事態宣言出した後に観光行ったアホが結構いたようです。主にウェールズにですね」

上条「あー……それならウチもあんまお前らのことは言えないか」

レッサー「あと中国から検査キット買ったんですけど、50万個の中に結構不良品があったんで、残りの150万個を返品中です」

上条「それに関しては『信じた方が悪い』としか」

レッサー「ヤポンでは全く報道されていませんが、ウチの首相や女王旦那も罹りましたし、割とおこです」

レッサー「『WHOへの資金提供やめ・よ・う・ZE☆』って話も首相自らが言ってますし、これから超モメるでしょうな」

上条「あのアホ組織に関しては色々と思うところがあるが……つーかイギリスってそんなに酷いの?医療費タダじゃなかったっけ?」

レッサー「えぇ無料ですとも?『ゆりかごから墓場まで』って第二次世界大戦後に決めた社会福祉政策の一環です――が!」

レッサー「この政策を導入したデメリットとして、『英国病』と呼ばれる経済停滞を招きました。日本で言えば『失われた20年』でしょうかね」

上条「あぁイマイチ経済成長ができなかった的な?俺は実感ないけど、別にみんなそこそこの生活してるからいいんじゃね、っても思う」

レッサー「私もそうなんですがね。医療費タダにして税金が大量にそっち流れても、それはそれで医療分野の技術がノウハウが高まるですから」

レッサー「ただですねー、この方針を転換したのがサッチャー首相、『鉄の女』と呼ばれる人ですね」

上条「あぁ知ってる。日本でも強い女性政治家のイメージがある」

レッサー「ん、ですけども。本国イギリスじゃ彼女の評価は真っ二つに分かれます」

上条「どゆこと?」

レッサー「彼女がやったのは国営企業の民営化、所得税減税と消費税増税、金融商品への外国資本の参加許可、そして社会保障費の抑制です」

レッサー「既得権”とされていた”ものを民営化させることにより効率化を図り、所得税を安くすることで働いた分の利を高くしようとした、んですが」

レッサー「……結果的には失敗ですかねぇ。失業率が上がって経済も停滞、金融も外資が握ると散々な結果に」

レッサー「ただ彼女を持ち上げる声が今も高いのは、たまたま成功したときに政権に就いていただけ、と私は思っています」

上条「たまたま?たまたまで成功するモンなのか?」

レッサー ピッ

上条「……」

レッサー「――上条さんあれ名前なんでしたったけ?路面電車でチンってなるタイプの」

上条「俺の卑猥な台詞に需要はねぇよ!面白い動画でも作ろうってんなら話は別だがな!ちんちん電車だろ!?」

レッサー「ネタをばらせば北海油田です。それのピークが彼女の為政時期と微妙にかぶり、彼女の政策のお陰だ、という声が出るんですな」

上条「でもお前は違うと?」

レッサー「と、思いますがねぇ。原油価格や生産量が下がっただけでピンチになる経済ってどんだけだと」

レッサー「まぁサッチャーさんの評価はさておき、問題なのはこの時医療費も削りました。ガリッと」

レッサー「それに加えて市場原理……というかまぁ?『安い労働力で最大限のコスパ!』という悪い病気に罹りました。ドスッと」

上条「病気に罹る音じゃねぇぞそれ」

レッサー「で、その二重苦が出た結果、人件費を削ったで医者・看護師の数が足らずに常に病院は満員状態で予約を入れても数週間後」

レッサー「新しい機材を買えずに旧型の施設しかない病院がスタンダード、例外は一部の私立のみ――というかまぁ?」

レッサー「イギリスは超絶格差社会なので?金持ちは高い医者に行くため庶民の高みが分からない、というある種の病気でしたね」

上条「あー……」

レッサー「ちなみに『こりゃマズいぱみゅぱみゅ!』と政府は重い腰を上げ、他のEUでも”緊急”の場合、イギリスの保健が使えるようにしました」

上条「きゃりーさんの語尾はそんなんじゃない。つーか本末転倒だよ!保険料抑制の筈が海外に支払うだなんてな!」

レッサー「それに加えてですねー、そんな良くない環境の医療現場でしょう?上条さんだったら働きたいと思います?」

上条「俺が!?……流石に医者じゃないし分からないなぁ」

レッサー「あぁでは分かりやすいようにエロゲ×業界としましょう」

上条「例えが極端!分かりやすくなってねぇよ!」

レッサー「Aという会社では給料も高くて社員への福利厚生も厚い。対してBという会社では非常に劣悪で賃金も低い」

上条「普通に考えればAで働きたいわな」

レッサー「まぁ何か事情でもない限りはでしょうね。しかしA会社でも無限のキャパがある訳ではなく、能力の高い方を採用したいです」

上条「そうなると残りの人間はBで働く?」

レッサー「だけならいいんですけど……Bは資金がないため、全員バイトです。バイトっつーか期間労働者ですか」

レッサー「ゲームを作る間だけで雇い、仕事が増えたら別の非正規を雇い、一段落ついたらサヨウナラ的な」

上条「フリーランスだっけ?」

レッサー「聞こえはいいですけどね。ただこの方式は効率的であるように見えますが、落とし穴が一つ」

レッサー「スタッフの中に優秀な人材が居たとして、いつまでもフリーな訳がなく、どっかの会社の専属になっていたりするのがよくありまして」

上条「エロゲ×の話と一緒にするのはどうかと思うが……まぁ優秀な人ならウチで働いて!って思うわな」

レッサー「働く方もきちんとした意志がありますからねぇ。できれば大手でしたいでしょうし――さて、同じことがイギリスの医療界でも起きていました」

レッサー「優秀なスタッフは優秀な医院か外国へ流れ、そうじゃないところはそれ以外で集めなければいけない。できるだけ安くと」

レッサー「そこで出てくるのが東欧や中東、特に看護師はアフリカやインドからの移民で間に合わせるように」

上条「おおっと!また話がしょーもない方向へ向いそうだぜ!」

レッサー「つーか上条さん、今回のコロナ騒動でニュース見てます?あんま見てませんか?」

上条「見る時間は増えたよ。流石に心配だし」

レッサー「結構。では海外の病院に務めて居られる医者の方が『こっち大変だよ!』ってメッセージビデオは見ました?」

上条「何回か見たな。『二週間後のトーキョーは今のロスだ!』みたいな。あれから二ヶ月ぐらいたってっけど」

レッサー「はい、ではそのとき”何割ぐらいが白人だった”でしょうか?」

上条「え、何割?」

レッサー「恐らくはその殆どがカラードじゃありませんでした?日本人を含めて」

上条「そう言われれば……そうだな。『あぁ日本人頑張ってんだなー』ぐらいにしか思わなかったけど……」

レッサー「その答えの一つが『医療費削減と効率化』なんですよ」

上条「……待て待て待て待て、それってお前もしかして国内で雇うよりも海外の医者呼んで雇った方が安いから、とか……?」

レッサー「”””という国が一定の国に多い”””とだけ言っておきましょう」

レッサー「ただし断っておきますが、決してそれが悪い事ではありませんから。人種如何関係なく能力は個人に帰するものです」

レッサー「しかし……残念ながらアッパークラス人材の海外流出は現実問題として起きています。例えば東欧」

レッサー「それぞれの国で未来を担うはずだった医者が、海外へ出てそれっきり帰らず、という悲惨な状況が起きています」

レッサー「ここら辺はアニェーゼさん(ロ×)SSでする筈だったんですが、再開の見通しがつきません。どうかご了承ください」

上条「ロ×言うなや。あと別に社会問題ぶっ込む必要性はないんだよ!」

レッサー「で、今までの話をまとめますと、『イギリスの医療を支えているのは比較的安く雇っている外国人が多い』ってことです。ついてきてますか?」

上条「まぁ分かったけど……タイトルにあるバンクシーは?」

レッサー「はい、確か5月9日?そのぐらいにどっかの病院に作品をプレゼントしていましたね。子供が看護師のオモチャで遊んでいる姿を描き、添付されたメモには」


『あなた方のご尽力に感謝します。白黒ではありますが、この作品で少しでも現場が明るくなることを願っています』


レッサー「とコメントが添えられていたそうです」

上条「いい話じゃん。バンクシーってもっと強烈な皮肉るのかと思ってた」

レッサー「ちなみに私は彼の思想は受け入れがたいです。現実を変えたいのであれば作品ではなく政治へ訴えるべきです」

上条「政治っていうか、お前テロリスト……」

レッサー「私たちおそろいですねっ!」

上条「否定出来ないのが辛いよね!」

レッサー「まぁネタはともあれ、そんなバンクシーさんの絵なんですが、ちょっと違和感ありません?白黒の部分について」

上条「俺も詳しくは知んないけど、この人のタッチってモノトーンの多くなかったか?」

レッサー「”看護師が黒く”て、”子供が白い”んですよ?」

上条「それって……」

レッサー「繰り返しますが、医療現場に多いのは有色人種です。それは別に差別もなく、ただの事実なんですが」

上条「だから”黒”い看護師」

レッサー「対して子供、というか赤ん坊が無邪気にキャッキャッしてますが、その子は」

上条「”白”い」

レッサー「今回の新型コロナでは多くの人間が亡くなられています。多いのは高齢者施設に入居されている方」

レッサー「そして医療現場で感染してしまう医師や看護師の方。彼らへ対する『ありがとう』キャンペーンが行われていますが……」

上条「………………あぁ!あの絵ってまさか白人へ対するエゲつない皮肉なのかよ!?」

上条「『現場で亡くなってる医療従事者は殆ど有色人種なのに、働かない白人が赤ん坊みたいに持ち上げてんじゃねぇぞ』って話か!」

レッサー「しかも正当な賃金ならばいざ知らず、『安くて替えが効くオモチャの一つ』って意味も強いですからねぇ。無責任すぎるだろうと」

レッサー「しかしバンクシーご本人がそう言ったわけではないため、ではないか、という話程度に思ってください」

上条「この解釈が正しいんだったらスゲーと思うが……」

レッサー「イギリスの医療インフラの現状や経緯を知らない人間には理解できないでしょうからねぇ。正解があるのかどうかも分かりません」

レッサー「ただ過去の皮肉から連想するに、ただの白黒の絵を病院へ寄贈するだけとのも考えにくく。まぁどう思うかは個人でお考えください」

上条「芸術って難しいんだな」

レッサー「”のも”あります。つーか王政や教会、共和国批判したら即座にぶっ殺される時代が結構長いため、絵画に一部の隠すなんてのはよくありましたからね?」

上条「なんかちょっとイギリス好きになった」

レッサー「あぁではこちらへどうぞ。お部屋は用意してありますから」

上条「どうなってんだこの空間。どんな設定なんだよ」


-終-
(※あくまでも個人の意見です。多分合っていると思いますが)

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