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Clock(trial)

佐天涙子探検シリーズ!!!暗黒の魔境・学園都市奥地3万キロに幻の原始部族を追え!!



※おことわり

ピーンポーンパーンポーン

初春「このSSにはオッサンにしか分からないネタが大量に含まれております」
初春「ていうか80年代に流行ったテレビ企画を憶えてる方は少数派だと思いますし……」
初春「なので知らない方は『藤岡弘、探検シリーズ』でググとちょっと楽しめるかも知れません。かも、ですよ?」
初春「まぁ、ですね、それでもいいって言うんだったら……読むと良いかもしれません。面白いかは別にして」

ピーンポーンパーンポーン



――学園都市 路上

佐天「――チャラチャーチャラチャーチャラチャー、チャララチャッチャッチャチャーチャー」

上条「……」

佐天「チャラチャーチャラチャーチャラチャー、チャララチャッチャッチャチャーチャー……」

上条「……」

佐天「――チャッ、チャチャッチャーン……ッ!!!」

上条「……」

佐天「チャラチャー」

上条「――って戻んのかよ!?シメのジングル入れたんだったら終れよ!」

上条「つーかそのイントロ朝一で聞くと、頭ン中で鳴りっぱなんだよ!ガンダー○と同じで!」

佐天「『夏休みスペシャル!佐天涙子探検シリーズ!!!』――」

佐天「――『暗黒の魔境・学園都市奥地3万キロに幻の原始部族を追え!!』……ッ!!!」

上条「佐天さん、長い、つーか多分”!”の無駄遣いだと思うよ。てか声張りすぎだからね、ペース配分を考えようか?」

上条「ていうかタイトルの”暗黒の魔境”が学園都市になってんだけど、ここだよね?つーか俺達のいるここが学園都市だよね?”なう”だもんね?」

上条「タイトルから察するに『何か外国行ってワイワイ楽しくV撮って来ました!』的な、川口○探検隊企画なんだろうけどさ」

上条「そもそもハナっから目的地に着いちゃってるモノ。こっから話広げられないモノ」

上条「現地集合・現地解散的な探検モノはないよね?それただの『ちょっと遊びに行こうか』的なノリだよね?行楽的な意味で」

佐天「上条隊員!元気があってヨロシイっ!」

上条「いやだから、うん、もう面倒臭いからこれ以上ツッコむのもあれ何だけどさ。ノリで流そうとしてんのも分かるんだけど」

上条「俺、朝一で君から『上条さん暇でしょうから遊びましょう』ってメール来ててさ、こう、テンション的に温まってないって言うか」

上条「俺としてては『ま、どっかのレジャー施設に行くんかなー』って、軽いノリだったんだよ。例えるならウォーキングみたいな」

上条「けどキミあれだよね?もう『今から陸上100m決勝戦走るぜ!』って言うぐらいのテンションだよね?しかも朝から」

上条「どう考えても俺には荷が重いぞって言うか、第一いつもよりサイフに多めのお金入れて来たわくわく感を返せって言うかさ?」

上条「後輩の可愛いけど残念な子にメシ奢ったりして、ちょっと良いとこ見せたいなー、なんて思ったのに!」

佐天「本日は私の探検隊へようこそ明○くんっ!」

上条「違います。つーか○智さんは探検家じゃなくて探偵だよ。ジャンル違うんだから引っ張って来んなや」

佐天「……上条さん。あたし、思ったんですよ……!」

上条「あぁ初春さんに多大な迷惑かけてるって事に?」

佐天「違いますよっ!初春はあれで喜んでんだからWin-Winじゃないですか!」

上条「……君らが親友同士なのは否定しないが……せめて、スカートはね。うん、女子的な慎みを持って欲しいかなぁと」

佐天「そんな事よりも――世の中には、不思議で溢れてますよね?」

上条「まぁな。俺の目の前の謎生物の思考体系とかかな」

佐天「ま・す・よ・ねっ!?」

上条「あぁそうですねっ!科学の街なのにトンデモ騒動に巻き込まれたりとかしょっちゅうですしねっ!」

佐天「科学の街……果たして、そうでしょうか?本当に?」

上条「どういう意味だよ」

佐天「マジで、と書いて本当に、と読みます」

上条「それただの誤字じゃね?ルビの指定間違ったとも言うけど」

佐天「あたし、思うんですよ――あたし達が知ってるこの街は、見える所ばかりだけじゃないって」

上条「まぁ、それは誰ってそうだとは思うけど」

佐天「そして学園都市に住んでるあたし達だってそうなんだから、外部の人達にとってはもっと『未知』じゃないかと!」

上条「それは言えるわな。出るにしろ入るにしろガッチガチに厳しいし」

佐天「はいっ!だからその謎を解き明かすべく活動しようじゃないかと!」

上条「それは何か違う」

佐天「活動しようじゃないかと?」

上条「疑問系にしろっつってんじゃねぇよ!ホラそこ首を傾げない!可愛い仕草狙ってやってんの分かってるけど萌えるんだよ!」

佐天「レッツ冒険!ビバ探検隊!」

上条「すいません通訳の方ー?レッサーで言えばベイロープさん役の方、近くにいらっしゃいませんかー?」

初春「……あ、どうも。おはようございます……」

上条「って本当にいた!?」

初春「そのツッコミも心外なんですけど!っていうかさっき目線あったじゃないですか!」

上条「いやなんかこう、辛そうに目ぇ逸らしてたから、『あ、きっとこれは初春さんの生き霊か背後霊だな』って」

初春「その二択だと50%の確率で私が故人に……!」

佐天「パターンとしちゃ『実は語り手が死人』の怪談ですかねぇ」

上条「たまに思うんだが、君らの放任ブリも佐天さんが暴走する原因じゃないですかね」

初春「そんな佐天さんのご両親を差し置いて全責任を押しつけられましても」

佐天「と、いう訳で!行くぜ魔境!かかってこい土着の人!」

上条「佐天さんそのワードは危険だからひとまず置いておこう、なっ?誰も得をしないから、君が言っても」

佐天「『21世紀もそこそこ過ぎた時代、万能細胞やニュートリノの発見により科学技術は日進月歩を遂げている……』」

上条「ごめんな?なんか長いモノローグ始まるんだったら着替えに戻ってもいいかな?俺んち、すぐそこなんで」

初春「上条さんちょっとおめかししてますか?」

上条「いや私服は私服なんだけど、そういんじゃなくてだ。何となくだけど、『増水して氾濫した川が探検隊の前に立ちはだかったのだ!』とか言われて」

上条「下水にダイブさせられそうな予感がするから、古着を取ってこようかと思ってさ」

初春「あー、ありそうですねぇそれ」

上条「ちなみに初春さんは制服だけど、大丈夫?それとも体張るの俺だけなのか?」

初春「私は午後から風紀委員のお仕事がありますんで」

上条「アレ?そうすると午前中で飽きなかった場合、午後からも引き続いて佐天さん係は俺で決定してんの?ねぇ初春さん?」

上条「こっち向いてよ初春さん!?なんであさっての方向いて『明日は晴れるかなぁ』つってんの?」

佐天「『――まだ見ぬ秘境……それは、私達の目の前に広がっているのだった……ッ!!!』」

初春「あ、ナレーション終ったみたいですよ

上条「マジか。うわ着替えに行き損なった」

佐天「ダイジョウーブ!上条さんに汚れ仕事なんてさせますんっ!」

上条「おいテメー幾ら中の人が人気あってキャラ的にも本編・外伝通して屈指だからって調子に乗んなや?あぁ?」

上条「絵的に、そしてファンの恨みを買うから絶対に出来ないビリビリへの顔面パンチも辞さないんだからな!」

初春「それもう『暴力振るえないから察してね!』って言ってるじゃないですか」

上条「てか初春さんだけじゃなく、佐天さんもセーラーだけどいいの?探検的なものをするんでしょ?」

佐天「あ、ヘーキヘーキる。これ下にショーパン履いてますから」 ピラッ

上条・初春「「……」」

佐天「――あ、すいません、履いてくるの忘れましたテヘペロ」

初春「小学生じゃないんですから!男の人の前でスカートまくらないで下さい!」

上条「……青だった……なんかこう、青色だった……!」

佐天「なんかあたしのイメージカラーが青系なんですよねー」

初春「商業的な理由がアレですから、あまりツッコまないでください」



――通学路

佐天「『――佐天涙子探検隊シリーズ!その一、空を飛ぶ謎の影っ!?』」

上条「佐天さん、それもう探検隊シリーズから逸脱してる。ていうかUFOの方へ行っちゃってるもの」

上条「ていうか空?飛ぶの?そんな能力者居たっけ?」

初春「一部にはいらっしゃる、って噂を聞きますけどどうなんでしょうねぇ?」

上条「空……飛びそうなのは白いのとか白いの、あと白井さんも飛ぶっちゃあ飛ぶよね」

初春「テレポートの最中に空中で漂う、みたいな事はしてるらしいですね。それを見る人が見れば誤解するかも?」

上条「意外と外のフライングヒューマンもその手のオチだったりしてな」

初春「上条さん、学園都市の常識に毒されてます。外部には能力者居ませんから」

上条「そうだねー、俺もそう思ってた時はあったんだよねー」

初春「なんか煮え切らない言い方ですけど」

上条「てか通学路で張ってるって事は、ここをターゲット通――」

佐天「『……その日、探検隊は見た!有り得ない光景が目の前に広がっているのを!』」

上条「モノローグ始まった。これ最後まで聞いてないとダメかな?」

初春「上条さん、しーっで。多分拗ねるとあさっての方向へ吶喊しますから、それはそれで被害が大きくなります」

上条「あれ?初春さんって佐天さんの友達じゃなかったっけ?」

佐天「『よく晴れた朝、彼の物体は自由を求めて飛び出すという――そう現地の人に伝わってる伝説があるとかないとか!』」

上条「オイなんかもう早々にフワッフワな伝聞になってきたな!」

初春「で、伝説ですし!少しぐらい誇張されている可能性が!」

佐天「『その者、今日の数Aの小テストがイヤだなー、と念じていたら飛行する謎の物体を目撃したと!』」

上条「体験者モロ学生じゃねぇか。それも高校生」

佐天「『彼女が勇気を振り絞って見ると、なんと外を飛んでいたのが――』」

佐天「『――この、バス停にあるベンチだったんですよ……ッ!!!』」

上条「……」

初春「へー……って佐天さん佐天さん、そんな訳ないじゃないですか。なんでここのバス停が飛ぶんです?」

佐天「いやいやっ!ホントホント!飛んだんだって、見てよ動画あるし!」

初春「あ、はい伺いますけど……ってこれ防犯カメラの、ですかねぇ」

初春「個人的にはどこから手に入れたか興味あるんですけど?」

佐天「そ、それよりも動画を!動画を見て判断してっ、ねっ?」

初春「まぁ……ベンチに三人ぐらい……あ、いや男の人の膝に座ってる金髪の子入れて四人が座ってますね」

佐天「この後!ここで――」

初春「わっ!?……凄い、本当に数メートルも吹き飛んで……!?」

佐天「だよね!?スっゴイよねっ!?上条隊員もそう思いません?」

上条「イ、イヤァコレゴウセイナンジャナイデスカネー?」

佐天「おもっくそ棒読みですけど」

上条「合成……うんっこれは特撮的なアレだと思うなっ!だって現実的な動画じゃないから!」

佐天「現実的、ですか?」

上条「だってホラっ!こっちにある鉄のベンチ動かしたんだろ?こんな重いの、しかも上に座ってる人間を動かさないでなんて無理じゃないですかねっ!?」

佐天「あー……まぁ、そう、かな?どうだろ初春?」

初春「可能か不可能で言えば可能、ですね。ただ『出来る』だけで現実的じゃないかと」

上条「だよねっ!」

佐天「ぶー、なんでさー」

初春「上に座ってる方が動かないのは慣性そのままですから、ベンチを飛ばすほどの力が働けば説明はつきます」

初春「けど念動能力者でも相当高位の、また似たような能力者でも同じですし」

初春「そう言った方がネタや冗談で、ほいほい能力使うかと言えば、怪しい所ですよねぇ」

佐天「……そうかなぁ?上条さんはどう思います?」

上条「俺は――」

佐天「っていうかここのバス停、上条さんちの近くですよね?なんか噂聞いたりとかしません?」

上条「噂って?」

佐天「それがですねー、このバス停で奇妙な事件が起きてるらしいんですよ。どっちかっていえば『学探』向けの」

初春「オカルトですか?」

佐天「っても断定できないんだけど……なんかバスにさ、ドライブレコーダーって積んでるよね?」

佐天「それのログがおかしくなるんだって」

初春「ログが、ですか?」

佐天「ノイズが入ったり、他にもノーパソの調子が悪くなったり」

初春「それは全部が全部?」

佐天「っていう話じゃなくて。別に全然問題ないのもあると」

初春「ちょっと待ってて下さいねー……えっと、これかな」

佐天「花外して……ってへアピン?」

初春「これをベンチへ近づけて……」

カチンッ

佐天「くっついた!?」

初春「あー……磁化してますねぇ、これ」

佐天「時価?」

初春「多分佐天さんの思ってるのとは違っててですね、こう『磁石化』の方の磁化です」

佐天「ベンチが磁石になっちゃってるって話?」

初春「鉄のヘアピンが引きつけられてる以上、かなりの強さの、しかも丸ごと一つ磁石になってますねぇ」

初春「ドライブレコーダーとノーパソも、機種によっては磁気式のハードティスクを使ってるのがありますから、それでおかしくなったと」

佐天「って事は……このベンチを飛ばしたのも、磁石にしてぶわーっと?」

初春「そうでないと磁化している理由の説明にはなりません、ね」

佐天「そっかー……流石隊員第一号っ!優秀だなっ!」

初春「勝手に一号にしないで下さい」

佐天「でもそんなに特殊な能力者っているかな?それもベンチ飛ばすとか意味分からなくない?」

初春「私に言われましても……ねぇ、上条さん?」

上条「そ、そうだよねっ!俺達に言われても、飛ばしたヤツの考えなんて分かりっこないよねっ!」

佐天「……なんか隠してません?さっきからツッコミもおざなりですし」

上条「いや全然?俺はいつもの通りの自然体だよ?」

佐天「では決してベンチを飛ばしたのが御坂さんなのにゲロするつもりはない、と?」

上条「知ってんじゃねぇか!?おおよその事情把握してんじゃねぇか!?」

佐天「ていうかカメラに全部映ってましたっ!」

初春「あー……御坂さんっぽい人が、確かに近くに居ますねぇ」

佐天「ていうか『上条さんちの近く=御坂さん』なので、分からない方がどうかしてるかと」

上条「いやここで俺を責めるのはよくないと思うんだよ。俺は巻き込まれた方であってさ?」

佐天「責めるなんてとんでもないっ!むしろこうやって新たな都市伝説を増やしていってほしいものですなっ!」

上条「……なぁ初春さん、俺が言うのもなんなんだけど放っぽっといていいの?アレ?」

初春「……もうツッコんだら負けかな、みたいな」

佐天「さぁまだ都市伝説は我々を待っているぞっ!」

上条「だから主旨変って・ん・ゾ☆」



――学園都市某所

佐天「『――クルクルと舞い落ちる葉の一片に宿りし収斂よ、汝らの限界を知れ』」

佐天「『鮮やかなるその身に纏うは間桐を知り、死に至るその時まで枯れ』」

佐天「『サラサラかかる葉は刃の無情を知る事能わず』」

佐天「『薄闇が差す空の色は……』」

上条・初春「「……」」

佐天「――はいっ、て言う訳でやってきました佐天涙子探検隊シリーズ!暫くぶりの再会と相成りましたっ!」

上条「前置きの意味はっ!?『あ、この子またなんか変な伝奇バトルラノベ読んだの?』って思ったけど!」

上条「しかもボケるんだったら最後まで言い切れよ!なんで中途半端なトコで終ってんの!?」

初春「そして何気に四行詩の押韻構成、『AaBb』を踏んでいるのが何気にハラ立ちますね」

佐天「『ちょっとお休み貰うよ!』と言ってそのまま失踪したライターの多いこと多いこと……」

上条「やめてあげて?それはきっとサヨナラ言ったら泣きそうになるから、多分きちんと言えなかっただけだと思うから!」

佐天「番組打ち切りを乗り越えて!何の因果か帰って来ました何となく!」

佐天「御坂さんのお料理教室と浦島太郎はどうなったのかツッコんではいけません!」

上条「ちょっと何言ってるのか分かんないですね」

初春「『充電期間』という名の番組打ち切りとも言います」

佐天「さて!我々は学園都市という都会のジャングルへやって来たのです!」

上条「まぁ謎っていうか……最新作で『都市サバイバルってどうなの?学生の死人続々だよね?ていうか俺一回死んだんだけど?』ってツッコミがね」

初春「私が親御さんだったら、第三次世界大戦の時点で引き上げさせますけどねぇ」

上条「君らが居なくなったらなったで、神様はきっと色々と難易度上げるから!そこは帰るのを止めてほしいところだが!」

佐天「何をやっているのか上条隊員っ!このジャングルでは一瞬の迷いが致命的な結果を招くんだぞっ!」

上条「否定出来ないな。素の状態でも否定出来ないよ!」

初春「……あー、そう言えば私も何か白い人にボッコボコにされたんでしたっけー……」(遠い目)

佐天「初春隊員も昨日の事は振り返らないっ!基本的になかったことになっているからっ!」

上条「あのカペド虫の幻想殺してきてもいいんだが……まぁ、それは後日するとして、この後はどうすんの佐天隊長?」

佐天「隊長ではないサーとつけろ!」

初春「サー隊長、ジャンルが違ってますよサー」

佐天「見たまえっ!ここが現場だ!」

上条「現場っつーか……まぁ普通の賃貸マンションだよなぁ」

初春「似たような構造のが何棟も建ってる、学園都市だけじゃなくて大都市部のベッドタウンにありかちな風景ですね−」

佐天「……実はですね、ここ、出るらしいんですよ」

上条「オイ急にテンション切り替えやがったな――うん?出る?何が?」

佐天「やっだなぁっもう乙女の口から言わせる気ですかっ!」

上条「はいシモに走ろうとしてない。っていうかオバケだ妖怪だ過去散々言ってきたじゃねぇか」

初春「えー……私コワイの苦手なんですけど」

上条「うん大丈夫っ!確実にしょーもないオチで終るから!導入からラストまでオチは読めるから!」

佐天「くっくっくっく……そんな事を言っていられるのも今のウチですよ上春さんっ!」

上条「やめろ。二人分の苗字を合体させて呼ぶな」

初春「なんかまた新キャラが出るのかと思いました」

佐天「じゃあ上条×初春っ!」

上条「別の意味になるからね?それこそ数行前に君が恥ずかしがっていた意味でさ」

初春「私は基本上条さんとは接点ないんですけど。佐天さんは剛運でつかみ取りましたが」

佐天「上条×上里?」

上条「……出たらどうしよっかー……どうなんだろうなー、出るのかなー、やっぱ」

初春「だ、大丈夫ですよ上条さんっ!pixi○だと白いの人で結構検索ヒットしてますから!」

上条「長いからねー、こう見えてシリーズそのものが」

佐天「でももう、こうなったらぶっちゃけそれが誰も女の子泣かずに済むんじゃないですかね?」

上条「俺の自由意志はっ!?巨乳の管理人さんのお姉さんがストライクゾーンの俺の立場はっ!?」

初春「佐天さん佐天さん、ホ×が嫌いな女の子だって居ます。特に自分の好きな相手が取られれば特に」

佐天「――で、なんですけど、見て下さいっ!あの何の変哲もないマンションを!」

上条「どれ?」

佐天「えっと……一階にファミ○入ってるトコですね」 ピッ

初春「ケータイ見ましたよね?下調べもしてなかったんですよね?」

上条「まぁあるわなぁ。周りのマンションと比べても、特におかしな所はないって感じだけど」

初春「です、よねぇ。学生さんの出入りも普通ですし、むしろ周囲よりも多いぐらいです」

佐天「――甘い!ファミ○のリッチチョコレートフラッ○ぐらいに甘い!」

上条「フラッペシリーズのしんがりを勤めるはずだったのに、あまりにも累計業績が悪くてさっさと店頭から無くなったフラッペの話はしてやるな」

初春「上条さん、なんでも拾うのは教育上ちょっと……」

佐天「……実はですね、ここだけの話――」

佐天「――『霊道』がね、空いてるんですよ……!」

上条「霊道なぁ」

初春「確か……幽霊さん達の通る道、みたいな話でしたっけ?」

佐天「そう、そうなんだよ初春!ここに霊道が空いてるって噂で!」

上条「どんな噂だよ」

佐天「あぁじゃまぁこっちへ移動してみましょう。建物の影からマンションが見える範囲へ」

上条「てかもう探検隊じゃなくなってんな!今更だけどもさ!」

初春「ほんっとーーーーーに今更ですけども」



――某マンションの横っぽいどこか

佐天「二人は幽霊ってのがどんなモノだって思ってますか?」

上条「幽霊は幽霊じゃないの?透明で墓地や事故現場に居たり」

初春「最近では白いワンピ着た女の人多いですね。長髪で顔隠し気味にした」

上条「どっちにしろ実体がなくて、ぐらいかな?」

佐天「……宜しい、ではご覧頂かこうか……!」

上条「ジョリー・ロジャ○の心霊動画っぽくモノローグ入れるな――て、あれ?」

初春「どうしました?」

上条「こっから見える、二階の廊下に、何か――」

上里『……』 ガチャッ

上条「……いや、知らない、かな?俺は知らないよ?」

佐天「なんで急に追い詰められた犯人風の演技してんですか?」

上条「いやいやっ!多分俺が思って――」

初春「あ、見て下さいあれっ!」

獲冴・暮亞・絵恋『『『……』』』

パタンッ

上条「女の子三人と同じ部屋入ってった、けど」

初春「風紀委員として思うところがない訳じゃないですけど、あの人達が何か?」

佐天「……あのさ、あの部屋はね、元々一人暮らしの学生のために用意された部屋なんだよ。分かる?」

初春「ですよねぇ。お家賃次第ではそうでも無いですけど、並んだ玄関の数から言って……」

初春「間取りは1Kから2Kのお部屋ですよねぇ?」

上条「四人で住んでんだったら手狭だとは思うが、まぁ別にそれは他人がツッコむ事じゃなくないか?」

佐天「……や、違うんですよ!あれは霊道なんですよ!」

上条「いや聞いたけどさ。それだったら上さ――もとい、今の顔も名前も知らないハーレム男が幽霊だって?」

初春「上条さん、それ大部分でブーメランですからね?むしろ投げる前に刺されに行ってますから」

上条「何の事か分からないなっ!いやホント全く全然これっぽっちも!」

初春「”全く”と”全然”がカブってます」

佐天「いやぁあたしも信じられなかったんですけどねぇ。まぁ見た方が早いかなって」

上条「見る?」

佐天「あ、ほらっ」

上条「見るっつってもな。別にアイツら透けてる訳でも恨めしやつってる訳でもないだろ」

初春「あー……二階、廊下ですかねぇ」

上条「んー……?」

去鳴『……』

ガチャッ、パタン

上条「あいつは上里んとこの恥女担当のサロ――いや、知らない、知らない人だよ?」

初春「もう上条さんも隠す気ゼロですよね?」

上条「――っていうか!何が幽霊なんですかねぇっ!?」

佐天「いや、ですから、あれです、あれ」

上条「いや知り合――もとい、知らない人たちが一つの部屋へ入ってきてるだけっていう」

愛燐・雷矛・理沙・杏奈・入州・銘撫・江梨・鞍蘭・出洞・妹伊・聳愛・精錬・燦泥・魔鈴・露去・好楽・夢肖・零紋・賑多・麗美・牧納・傘厘・蕩輝・宛那・夢厨・米璃・数斬・姪龍・診華・瑛魅・麟堕・比阿・好応・来夏・覇尼・威舞『……』

ガチャッ……

上条・初春「「……」」

パタンッ

佐天「――ねっ?」

初春「これは――ちょっと恐怖ですよねっ!1Kの部屋に43人(4+1+38)入って行ったってのは!」

佐天「だよねっ!?なんか不思議に思ったご近所の人が『これは幽霊の通り道があるんじゃ?』って投稿して来てくれんだよ!」

上条「あーっと……あ、あれかな?白井さんと同じ、空間移動能力者じゃないですかね?」

佐天「真面目な話あたしもその線だとは思うんですが、でもこれって凄くないですかね!?意味が分からないですし!」

上条「……まぁ中はチート能力で空間拡張してんだろうが、もう少し周囲にも気ぃ遣えよ!」

初春「白井さんと同じだとして、わざわざドアを通じて飛ぶ意味は何なんでしょうか?そもそも全員が一緒に居る意味は?」

佐天「能力の関係上、じゃないかな?それとも本当霊道だったりして!」

初春「えー、止めて下さいよー」

佐天「あ、それじゃあたし行って聞いて来よっか?」

上条「それだけは止めて!?事態がややこしくなるから!?まぁある意味君の望んだ『普通じゃない』世界に飛び込むけど!」

佐天「上条、さん?」

上条「――おっとごめんなっ!今ちょっと急な電話が来ちゃったから少し外すからっ!」

初春「あ、じゃ下のコンビニでお茶でも飲んでますんで」



――

上条「『――あ、もしもし?上里?』」

上里『……おかけになった電話番号は現在使われておりません。だからもうかけてくるなよ鬱陶しい』

上条「『緊急事態なんだよ!いいから聞け!』」

上里『……どう関係あるって?』

上条「『柵中のパンジャンドラムがお前のマンションへ吶喊かけようしてんだ!さっさと逃げろ!』」

上里『えぇっと……佐天、涙子さん、だっけ?』

上条「『そっちにも名前知られてんだスゲーな』」

上里『君の交友関係は一通り調べた――ん、だけど、何?なんでそんな事になってんの?』

上条「『お前1Kの部屋へ43人がフツーに入ってくってバカなの?なんで隠そうともしないの?』」

上里『……都会は他人の人なんか気にしないんじゃ?』

上条「『程度があるわっ!そりゃ一人二人連れ込んでんだったら、『お盛んだなー死ねばいいのに』ってしか思われないだろうけども!』」

上条「『もう少しでAB×のユニット組めそうな人数が日々出入りしてんだったら、誰だって『不思議だー死ねばいいのに』って思うわ!』」

上里『それ、どっちにししても死ねって思ってるよね?』

上条「『義理の妹を犯罪者にしたくなかったから、取り敢えずコイツ殺しとこうか?』で42人一糸乱れぬ行動したしやがった人らに、俺は笑って許せと?』」

上里『いいんじゃないかな、死ななかったんだから』

上条「『……お前さ。”異能の力を持たせられたから周囲にモテモテになった”って悩んでたんじゃん』」

上里『……なんだ、急に』

上条「『”取り敢えず”とか”結果的に”ってだけで、昨日まで高校生やってたお前があっさり人殺そうとするのもおかしいと思うけど』」

上条「『一番の問題点はお前が決めた結論へ対し、真っ向から止めてくれたのが妹一人だけって事じゃねぇかな』」

上条「『お前が”何を望んでも何でも肯定してくれる”って悩んでたのに、それを自分でやってんのはどーよ?』

上里『……うるさいな。今度こそ殺すぞ』

上条「『……警告はしたからな。多分10ぷんぐらいで行くと思うから、さっさと逃げとけ』」

ピッ



――コンビニの駐車場

ピーポーピーポー、ウィーーーーーーン……

上条・初春「「……」」

佐天「『――我々が謎の霊道を確かめようとしたその時、なんと内側から爆発と黒煙が上がりました!』」

佐天「『これはきっと謎の組織の妨害に違いない!だがしかし我々探検隊の行く手は何人たりとも――』」

初春「……あの、上条さん?」

上条「はい、なんでしょうか初春さん」

初春「私その、立場的にこう、風紀的なものですね、守る活動をやってるんですが」

上条「そうですね初春さん」

初春「一応、そう一応聞いておくんですが……もし、この”事故”がなかった場合」

初春「ぶっちゃけ佐天さんがノーアポでツッコんでしまったら、一体何が……?」

上条「そうなー、ポジ的には……あー……」

上条「なんかこう、古代のレリックの力を与えられた、変身ヒロインになると思う」

初春「……マジで?」

上条「うん、十中八九初春さんもセットでプリキュ○やってたんじゃね?」

初春「――そ、そろそろお昼ですしねっ!佐天さん拾ってどこかで食べていきましょうか!」

初春「あ、私素敵な移動販売のお店知ってるんですよ!それもこの直ぐ近くに!」

上条「……初春さんもスルースキルが上手くなったよなぁ……」

初春「……えぇそうじゃないと、こう生きていけない感じがして……」



(続編はCMの後すぐに!)

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