佐天「『もしかして初春ディ・モールトやべぇんじゃねぇか説』」
――夢の中
ネフテュス『――起きなさいルイコよ……今日はあなたの中二の誕生日で、お城に行く日なのですよ……』
娘々『ひのきのぼうもらって魔王を倒すんだ!まぁ街の外のスライム倒しゃあすぐ稼げんだけどな!』
佐天「嫌がらせかな?まぁでも異世界転生だったら能力次第でレッツゴーですが!」
ネフテュス『なおチート能力は「×××した相手のスキルをそのままコピー」』
(※一般紙で連載中)
娘々『「J○ルイコは異世界で××になった」☆』
佐天「体裁が悪い。いや強いっちゃ強いんですし、そういうお仕事に需要があるのも否定はしないんですが」
ネフテュス『古代イシュタルの神殿には聖娼という神官が常駐していて……』
娘々『つまり――エアリ○が売っているのは花……ッ!!!』
佐天「ちょっと何言ってるのか分かんないですね。あと不特定多数を敵に回すのは、よせ」
ネフテュス『エ×同人とかで使える設定よね』
娘々『つーかヴァルキリーなんてそのものじゃね?勇者召喚すんのにハニトラかますってどーよ?』
ネフテュス『北欧神話はHENTAIエピソードが多いわ……トールが女装したりロキが牝馬になったり、まぁギリシャ神話の影響だろうけど』
佐天「あの、すいません?夢の中とはいえ面倒臭いです。できれば速やかに本題を」
娘々『あ、これ用意していたバスタードソードだ!ソロプレイ用だけと頑張れば何とかなる!』
佐天「そっちじゃねぇよ、もといそっちじゃないです。なんで人を対魔王用の暗殺者にさせてんですか」
ネフテュス『今酒場にいる仲間は遊び人HAMADURAしかいないけど、それでいいわね?』
佐天「ガチな人じゃないですか。間違っても賢者にまではなれない人ですよね。だって悟りませんから」
娘々『まぁ細けぇこたぁいいとして、前にやったじゃん?「エ×媚薬を手に入れたら」って企画』
佐天「超大変でしたけど!なんでみんなあたしを狙うのかと!」
ネフテュス『可能性……実は前から一回ぐらいヤッてみたいと思ってた?』
娘々『野郎に囲まれるよりかはマシじゃね?』
佐天「『問題、あなたの街でゾンビハザードが発生しました。さて、どっちがより怖いですか?A・友達のゾンビ、B・知らない人のゾンビ』」
ネフテュス『……どうだろう?私達には窺い知ることができない、だって神だし』
娘々『よーしならば体験してみようぜ☆レッツ・ハザード☆』
佐天「あたしが全面的に悪かったですねっすいませんっ!?」
娘々『気をつけるんだぜ、神的存在故にその場のノリで生きていると言えなくもない……ッ!』
ネフテュス『この間、ちょっと書き物をしていた。私は「レッツゴー」と書いたつもりだったのに――』
ネフテュス『――読み返してみれば「レッサゴー」となっていた……!あぁ、あぁこれはきっと大いなる電波が、電波が……!』
(※誤字です)
佐天「すいません神様。めっちゃ絡みづらいです」
娘々『だろう?実は二千年ぐらいコンビ組んでる私もそーなんだよ』
ネフテュス『ロード・エルメロ○U世がずっとU世に拘っている理由、それは――』
ネフテュス『――超縮めて読めば「ロU」、つまりロ×ペドだと暗示しているのよ……ッ!!!』
(※諸説なし)
佐天「すいません神様。めっちゃ楽しくなってきました」
娘々『だろう?実は二千年ぐらいコンビ組んでる私もそーなんだわ。たまに後悔するぐらいには』
ネフテュス『小さき人の子よ……あなたの葛藤などどうでもいいのです。英語で言えばファインセンキュー……』
佐天「あれそれ割と好反応じゃないでしたっけ?『こちらこそ』的な」
娘々『その場のノリで話してっからあんま真に受けない方がいいぜ』
ネフテュス『そしてね、神様思ったの。誰とは言わないけれど頭がお花畑の子がアレだねって……』
佐天「初春を頭イタイみたいに言わないでください。あたしも未だにあの花が何なのかは分からないですが、それ以外は普通の子ですよ!」
娘々『普通の子は初手で監禁はしない、いやマジで絶対に』
ネフテュス『そう……興味を持ってしまったので、シミュレートを、ね?しようかな、って?』
佐天「シミュレート……催眠か心理テストでもするんですか?」
娘々『や、世界一つ創って引っこ抜いてくるだけだが?』
佐天「超無駄遣い。圧力鍋買うかどうか迷ってるあたしとレヴェルが違う』
ネフテュス『終わった後にはきちんと滅ぼすから、ねっ?地球にもきっと優しい……』
佐天「弄ばれる人類にもちょっとは気を遣ってあげてください。できればあたしも」
娘々『まーまー堅いこと言うなって!「世界五秒前説」って知ってるか?』
佐天「あー、ありましたね。『この世界は五秒前に創られている』的な、シュレさんちのぬこさんと同じ系」
娘々『それと同じで魂のない人格をコピペしてるようなもんだしぃ?』
佐天「あぁまぁあたしには選択肢がないんで、納得したって体で行きますけど。その面白空間で一体何を?」
ネフテュス『あなた達四人の中で、お花の子は実は一番ヤッベェんじゃねぇというのを検証してみる……』
佐天「いや、ここまでしてもらっといて何なんですけど、たまに毒を吐く以外は基本的には人畜無害ですよ?」
娘々『それを検証するじゃんよ。よっしゃ行こうぜ!行けば分かるさ!』
――御坂美琴が死んだ世界
ネフテュス『――と、いうわけで謎空間へやってきたのだった……ッ!』
佐天「いつもの学園都市ですよ。大抵学生が暴走するヤツ」
娘々『ちなみに私らの姿は他の連中には見えないし触れない。幽霊みたいなもんじゃんね』
佐天「あたしが男子だったら喜びそうですけども。あ、写真撮ってオッケーっすか?だったら行きたいところが腐るほど!」
ネフテュス『この子――さては面倒よね?』
娘々『もしかしなくってもそうだにゃー。あ、それよりもケータイからニュースサイト見てみ?』
佐天「芸能のタグ付いてるのばっかですけど――『学園都市第三位、事故死』……!?」
ネフテュス『っていう設定ね。あの子が……白いのに負けた世界』
娘々『多分とばっちりで上条少年も死んでんだな。まぁそっちは別にいいけど、学園都市の存在意義が半分ぐらい無くなっちまった世界でもある』
佐天「……これ、『っていう設定』なんですよね?マジでとかじゃないですよね?」
ネフテュス『情報だけをコピペしたから、まぁ幽霊みたいなもの……?それとも量子コンピューターが生んだバーチャル空間、かも……?』
娘々『まぁ気にすんない。どっちみち向こうが本流でこっちは直ぐに弾けて消えるっから』
佐天「早々割り切れるようなもんじゃないけど……これ、御坂さんが陰でコソコソやってたときの話ですか?」
ネフテュス『詳細は省くけど、まぁ学園都市の序列第一位の能力者とマジゲンカ中に、というだけの話……』
娘々『私らからすれば「バカじゃねーのか」ってぐらいのネタだが、人生狂わすヤツもいるよねー。ふひひ』
佐天「御坂さんは一体誰と戦っているのか――ってあれもしかしてあたし!?」
佐天(別)『……』
佐天「エッラい景気悪い顔してますけど。まぁそりゃお友達が亡くなったらそうかなー……」
ネフテュス『この世界のあなたは突然の訃報に驚いて、お葬式で大泣きして、立ち直るのに半年ぐらいかかるわ』
娘々『まー、人間なんてそんなもんだよな。いつまでも引きずってもらんねぇし、変えられるもんじゃねぇしなー』
佐天「てか事情は知らないんですか?あたしだったバット持って吶喊すると思わなくもないです」
ネフテュス『事情そのものを知らない、みたいね……残ったお友達も詳しくは説明しなかったし。ただ事故だと……』
娘々『それでそのお友達とやらは――あ、やらかしてんなー』 カチッ
佐天「おぉっと場面移動――ってなんですかこの廃墟!?」
ネフテュス『戦っているみたいね。こういう戦闘があったっていうか』
一方通行『はァ――はァ?!どオしたどォしたジャッジメントさンよォ!?俺を捕まえるンじゃねェのか!?あァ!?』
白井『お黙りなさい!”それ”はもっととっくにお暇を出してきましたの!ここに居るのはただの白井黒子ですわ!』 ヒュンッ
一方通行『いいねェいいねェそういうの!復讐に酔ってる感バンバンするわ!』
白井『ちっ……!こちらの攻撃が当らない!』
一方通行『ンーまァいい線いってンじゃねェの?善戦してる方だわ、オマエ』
一方通行『ただまァテレポーターの悲しいサガっつうか、攻撃がワンパターンなンだよなァこれが』
白井『よく言う……!ステゴロが通じる相手でも!』
一方通行『まァそォなンだけども。相手の体への直接転移とか、ちょい前に散々やったから慣れてンだわ』
白井『どうして、わたくしの能力が……?』
一方通行『距離だったり座標軸ずらしゃァ、こンなもンじゃね?能力自体は悪かねェが、狙いが的確すぎて逆に避けやすい』
一方通行『つーか?そこら辺の有象無象ども巻き込めよ?そォすりゃ多少ノイズが入って当っかもしンねェよ?』
白井『……お姉様の敵討ちにそんなことできる筈が……!』
一方通行『違うンだよなァ。そういうとこがさァ?悪になりきれてねェ、捨てきれてねェ?』
一方通行『まァまァ楽しかったがもォ飽きたわ。続きはあの世でお友達……あー、なんつったっけ?何位だかさンと宜しくやってくれ――や!』
白井『お、ねぇ……さま――』
一方通行『……まァ、よくやった方じゃね?――さて、メシどぉすっかなァと』
……
佐天「――すいません、バット一本下さいませんか?できれば金属のヤツ」
娘々『ここまで完封されてんのに仇討とうとする根性は買うけど。アレはシミュレートであって魂もなんもねぇって』
ネフテュス『気概は買う……でも相手にもされないのも現実』
佐天「くっ!この右目の封印さえ解けていれば……!」
娘々『邪気眼禁止。ただお前の場合、監獄SASUK○んときに変な龍属性バフを貰ったような……』
ネフテュス『まさかの覚醒フラグよね』
佐天「人ができる範囲で頑張っただけです。んで初春はどこです?あの子がタイマンかますとは思えないんですが」
娘々『あーっと……あ、この時間軸にはいるっちゃいるけど、アクションは起こさないみたいだぜ』
佐天「え、だったら企画の全否定じゃないですか。いやでも初春はヤるときはヤる子だし、深く静かに計画を進めるタイプ……?」
ネフテュス『みたい、ね……15年後に動きがあったわ』
佐天「また抉らせてんね!」
……
刑事『――落ち着いて聞いてください。お子さんは例の誘拐魔に連れ去られました』
一方通行『……チッ』
女性『そんな……!?あの子がどうして……!?』
刑事『……分かりません。ただ今までのパターンからすると、能力者に関係するものではないかと推測しています』
女性『能力者……?能力者ってなんですか?』
刑事『学園都市をご存じですか?所謂超能力者と呼ばれる人間を育成している開発機関がありまして』
女性『え、えぇ、それは存じておりますが……でも、それがあの子にどう関係が……?』
刑事『連続誘拐犯、通称「MM」は学園都市出身の能力者やその親族を中心にターゲットにしていまして。あ、これは公開されていない情報なんですけど』
刑事『旦那さんが学園都市ご出身ですので、恐らくは――』
女性『あなたが……超能力者だなんて聞いてないわ!?』
一方通行『……昔の話だ。嫌ンなって逃げてきて、もう15年以上経ってンだよ』
女性『あなたのせいじゃない!』
刑事『ま、まぁまぁケンカは止めてください!悪いのは犯人であって被害者は息子さんですから!』
一方通行『……で?そんなクソ一匹まともに捕まえられねェ警察さンはどォしようって?』
刑事『それに関してはただただ私達の未熟を恥じいるばかりなんですが……一応警察庁のサイバーセキュリティ、所謂ホワイトハッカーを総動員してはいるんです』
刑事『しかしながらまだ尻尾すら掴めず……この異常性から、犯人もまた能力者ではないかと』
女性『同じ能力者なのに……?』
刑事『だからこそです。何か電脳に詳しい能力者が犯人である可能性が高く、そしてまた旦那さんに恨みを持つ人間だとプロファイリングでは。お心当たりは?』
一方通行『……あるわなァ。有象無象どもぶっ倒したっけか』
刑事『その、お気を悪くしないでほしいのですが……ここまでされる覚えはありませんか?過去のケースだと被害者側が殺人、またそれに準じるような過去がありました』
一方通行『……』
刑事『あぁいえ責めているのではなく、犯人を絞るためにもどうか正直に言ってください。決して別件逮捕など致しませんので』
刑事『こういう商売をしていると身に染みるんですが、人間誰だって悪いことをするんですよ。善い事だけの人も居ませんし、逆に悪い事だけの人も居ません』
刑事『ふとした気の迷いとか、後々死ぬほど後悔したりとか、そうやって反省するのもまた罪の償いと言えばそうでしょうし』
女性『あなた……?』
一方通行『……ねェよ。そこで能力開発をしてのはしてたが……人は殺してねェ』
刑事『――あぁそうですか、なら良かったです。では今回のは模倣犯である可能性も出て来ました。とにかく、お気を確かに。最期まで決して諦めないでください』
女性『……はい』
一方通行『……』
刑事『では本部からの機材が届き次第、逆探知に――と、失礼。電話が、あ、息子からですね』 ピッ
女性『息子さんが?』
刑事『一人で育てているもので中々……あぁいやすいません、不謹慎でした』
女性『ここは……いいですから。どうかお話しをされてきては?』
刑事『……本当にすいません。外に居るので連絡があれば出る前に呼んでくださいね』 ガチャッ
刑事『……』 ピッ
刑事『「――あ、もしもし?私ですけどどうしました?一人でお留守番するの飽きちゃいましたー?」』
刑事『「あぁそれは……すいませんね。どの番号にかけてもここに繋がるようになっているんですよ。残念でしたねー」』
刑事『「それでご用件は――え、約束?……あぁウソウソ、覚えてますって。家出るときにしたやつですよね?」』
刑事『「で――うん、”覚えてない”って。いや、直接聞いたから間違いありませんよ。えぇ」』
刑事『「はい、じゃあそちらの負けですんで現状維持ということで。あ、どれでも誰でも食べていいですよー?遠慮しないで、痛んじゃいますからねー」』
刑事『「はい、はーい。終わったら聞きますからクレームはそちら――あ、そうそう。一言だけ――」』
初春(刑事)『「――――――苦しんで、死ね」』
……
佐天「いや違う違う違う違う!シミュレート間違ってますからこれ!初春はこんなにヤッベェ子じゃないです!」
娘々『復讐相手の子供を誘拐した上、刑事の立場で反省しているかどうかの確認をしてから突き落とす!やるな人間!結構楽しいぜ!』
ネフテュス『ちなみにこの話はここで終わらず、少しずつ部分部分で息子さんが帰ってくる……南米マフィアの手口』
ネフテュス『誘拐犯からは「過去の悪行を動画配信したら帰す」って最後通牒が来て、実行したらネタバラシをして』
ネフテュス『「息子の命は助けてくれ!」と懇願されたら、「じゃあどうしてあなたは助けなかったんですか?」と返して終わると』
佐天「ヤッベェにも程があるかな?初春戻って来てー!」
娘々『誘拐された息子は結局帰って来れなかった模様……返す気なかったろうしな!』
ネフテュス『……正攻法でどうにかできない相手だから、搦め手中の搦め手……中々いいわ、病んでいる感じが』
――白井黒子が死んだ世界
ネフテュス『白なのか黒なのか迷う名前じゃない?』
娘々『親のネーミングセンスに脱帽だぜ』
佐天「名前でイジるのはやめてあげてください。白井さんご自身は御坂さんが絡まない限りは真っ当な人格者です」
ネフテュス『この世界での白井黒子さんは、同じテレポート能力者と戦った挙げ句、最終的に相手の能力が暴走し、それを止めるためにブラックホールへ突っ込んで死亡と』
佐天「もう理解が追い付かないですよね。プラックホールってなんですか」
娘々『ちなみに上条少年も巻き込まれて死亡。ただし失踪扱いだなーこれ』
佐天「なんで上条さんがちょいちょいいっちょ噛みしてくんですか。あ、これあたしが死んだ世界でも来るパターンだな!」
ネフテュス『この世界のあなただと……白井さんが亡くなって半年ぐらいは落ち込むバターンね。まぁ、何が原因かも知らされていないんで仕方がないのだけれど』
佐天「いや、話を聞いても復讐するかどうかは微妙ですよ。だって白井さんはお仕事中に誰かを助けるために、なんでしょ?だったらまぁ、あたしが口出すような話でもないような」
娘々『そこら辺は人それぞれだなー。警官が職務中に殉死したって、恨むヤツは恨むし』
ネフテュス『で、御坂美琴さんは……あ、留置場で事件の切っ掛けになったやつと面会してんな。行ってみっか』
佐天「どこの世界でも御坂さんは男前だなぁ」
……
御坂『――と、以上合計二桁の罪状で執行猶予はつかないわ』
結標『……』
御坂『ただまぁ……黒子のは……事故、そう事故として扱われるから、あなたは関係ないんですって。よかったわね?』
結標『……』
御坂『あと他には……そうそう、あなたの出身の施設、親船さんって方が名乗り出てくれて、買い取られるそうよ。何でも有名な篤志家の人とかなんとか』
結標『……っ!』
御坂『まぁ、取り敢えずはこんなもんかな。何か質問ある?次は多分来月ぐらいになると思うけど』
結標『――で、よ』
御坂『はい?』
結標『なんであなたがここのでしてくれるのよ!?私は、私はあなた達を……ッ!』
御坂『……』
結標『……恨んでるんでしょ!?だってあなたの相棒を死なせたのだから!』
御坂『――見損なわないで』
結標『っ!』
御坂『黒子はあなたを助けるために全力を尽くしたのよ。その助けた相手を殺したら意味がないじゃない』
御坂『恨んでないとは言わない、また許すつもりなんてこれっぽっちもない』
御坂『生きなさい、生きて苦しみなさい』
結標『……ごめん、なさい……!』
御坂『そう、ね……でも、ただ個人的に言わせて貰えるのなら、一つだけ覚えてほしい事があるわ』
結標『御坂さん……?』
御坂『24時間監視されて、隙あらば性的な視線で見られて、場合によっては物理的にセクハラを受けていた――』
御坂『――そんな人間を救ってくれた、そのことも忘れないで……ッ!!!』
結標『あれあれ?もしかして御坂さんって白いさんの事好きじゃなかったの?仲良く見えたのは表面だけ?』
結標『っていうかそもそもなんだかんだでいい待遇なのはまさか……ッ!?』
御坂「それじゃまた来月ね!』 ガンッ
……
佐天「――御坂さんはこんな事言いません」
娘々『きっとあれじゃねーかなー?大切な人が死んだのに、心配かけないために明るく装う、的な美談じゃね?』
ネフテュス『人間はそう、好き嫌いだけで分けられるものではないの……女子同士だからある程度許されていたのも、今後はコンプラ的にNGに、ねっ?』
佐天「まぁ……あー、ちょっと白井さんのスキンシップはアレかなぁと思わなくもないんですが」
佐天「てか白井さんの場合、初春は口では色々言いつつもパイセンとしては尊敬してましたからね。一個前のバッドエンド並にキッツいのが来そう……」
ネフテュス『でもないみたいね。この世界では比較的フラットな復讐で留めているわ』
佐天「やってんじゃねぇか。立場的に風紀委員なのに」
娘々『今の女のコラ動画で「わたしは性的な意味で子供が好きだァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!」って、全世界に個人情報と共に拡散してた和』
佐天「それはそれで深度重めじゃないですかね。一見ギャグに見えるっちゃ見えますが」
ネフテュス『想像してほしい――「ここから先は性的な意味で一方通行だ……ッ!」のアスキーアートが大流行する世界を』
佐天「意外と幸せじゃないですかね。少なくとも部分的には平和な感じですし」
娘々『よくある変顔炎上動画に住所が付属する。それはそれで人生詰むわな』
佐天「フラットの意味とは?軽くて情報が飛びまくる的な?」
ネフテュス『出所後に「あ、性的に子供が好きなおねーさんだ」って後ろ指を指されまくるだけよ?』
娘々『芸人的にはオイシイんだっけ?』
佐天「公開処刑じゃないですか。いやまぁ、あー下手に軽い刑で済ませるよりはいいと思わなくもないですが」
娘々『法的には刑が執行されて刑罰なり任期が終わった時点で許されんだよね。しっかり前科はつくけど』
ネフテュス『犯罪者ではないのだけれど、まぁ過去もまた追いかけてくる訳ね』
佐天「あたしがこの世界に居たら一応止めると思います。白井さんは多分望んでないので」
ネフテュス『――と、まぁ、二つの世界を見てきたわけだけど……こっちはそれぞれ分岐しているの』
佐天「分岐?」
娘々『分岐分岐。最初の世界じゃ白井黒子が返り討ちに遭った後、初春飾利は何もしなかった。や、まぁ正確には政界に出て能力者の規制法出すんだけどな』
佐天「あー……初春らしいっちゃらしいです」
ネフテュス『逆に白井黒子さんが死ななければ、初春飾利さんは十数年かけての復讐ルートへ入る……と、あなた達の行動で世界が分岐しているのよ』
佐天「あたしは無関係っぽいですが、それが何か?」
娘々『お前が死んだ世界では分岐してねぇんだわ。どこをどうやっても同じ結末に入るっぽい?』
佐天「……はい?それって他の三人が個別じゃなくて組んで何かするってことですか?」
ネフテュス『それはその世界に入らないと見えない。ただもっと酷いのは確定……あなたに見る覚悟はある、と?』
佐天「超遠慮したいっす。どんなトラウマ動画を見せられるのかと」
娘々『軽く見た感じだと綺麗だぜ?』
佐天「ノー、あなた方とは感性が違うんですよ。炮烙(ほうらく)見ても爆笑する方々とは」
ネフテュス『ホーラク?』
娘々『金属の柱に罪人くくりつけて焼き殺す中国発祥の刑罰&カルチャー、か?趣味でやる女とかいたし』
佐天「妲己さんですね。しず○ちゃんさんが中の人かと思うと感慨深いヤツです」
ネフテュス『アジア怖すぎ……良かった、アフリカに生まれて』
娘々『言うじゃねぇかテメー?アッシリアの皮剥ぎ刑を忘れたとは言わさねーぞコラ?』
(※溺死刑も有名。罪人を板に固定→海に放流)
佐天「はいそこ仲間割れしない!あたしからすればどっちもどっちですからね!」
娘々『おー言ってくれ友よ!初めて知ったとき、「なんじゃそりゃ」とツッコんだ雑学を!』
ネフテュス『任せて――時に、あなたは魔女裁判での理不尽な刑罰の数々はご存じかしら……?』
佐天「あのギャグとしか思えないようなのだったら、まぁサブカルの影響で少しは知ってます」
ネフテュス『その中に「魔女を縄で縛って水に沈んだに無罪」的な』
佐天「有罪・無罪の判定が難しいですよね。普通にジッとしていれば浮きそうですが有罪になるし、かといって沈んでいったら無罪になってもそのまま三途の川渡りますし」
ネフテュス『実はその刑罰の減刑がハムラビ法典にあり、「魔術を使った罪で裁かれるものは、川に投げ込まれる事」だった……!』
佐天「……つまり?」
娘々『オリジナルでは「川に投げ込まれても助かったら無罪じゃんね?」で、ユーロカスタムだと「どっちに転んでも死刑」ってことに……!』
(※古代バビロニアの律法>>越えられない壁>>ヨーロッパの道徳)
佐天「『スーツ着た蛮族』って誰か言いますわそりゃ」
ネフテュス『私達からすれば少し前まで同性愛者も火刑にしてたのに、なんでたった数代でドヤっているんだろう……?』
娘々『笑えるっちゃ笑えるが、だよな』
佐天「何度でも言いますが、こっちから見ればほぼ同じにしか見えません。つーかここでダベるんだったらファミレスとか行きましょうよ」
ネフテュス『あぁ本題から逸れていたわね……地獄を見てもいい、と?』
佐天「ここで嫌だっつったら置いて行かれそうで選択肢ないですよね、それ?……分かりました。なんだかんだで初春はダチです!その引き起こした惨劇であれば受け止めるのが筋ってもんでしょうとも!」
娘々『よく言った!私らの「構ってくれる暇な人」リストにお前も追加してやるぜ!』
ネフテュス『ありがとう……友達が増えた』
佐天「違う。そんな妙なボランティアはやってない」
――佐天涙子が死んだ世界
佐天「ってまた学園都市ですね。出てる看板から判断するに、何ヶ月か前ぐらいかなー」
佐天「ただ……人が、いないよね?少ないんじゃなくて、いない――こっちで新型コロナが流行ったときみたいに……」
ネフテュス『それだけじゃないわ。これ……』
佐天「……花?いやまぁ雑草ぐらい生えるでしょうけど」
娘々『じゃねーって。なんでこれコンクリ割って咲いてんだよ、ってツッコミ』
佐天「あー言われてみれば、っておかしくないですか?こんな、こんな異常な咲き方してるのに誰も撤去したりしないですし」
佐天「あ、ほら!あそこなんか停まった車の中にまで大きな花が!どうなってんですかこの世界?」
佐天「……?」
佐天「マジで置いて行かれた!?どうしろっちゅーんですかこの段階から!?せめてラジオと懐中電灯ぐらいは支給すべきですよ!」
闇咲「――すまないが、少しばかり話を聞かせて貰えないだろうか」
……
闇咲「私は闇咲。魔術師……まぁ、魔術という名前の能力者のようなものだと思ってほしい」
佐天「魔術……学園都市の外の研究機関か何かでしょうか?」
闇咲「もっとクラシカルな感じだが、概ね合っている。それで君はどうしてここに?他の人間はどこにいる?何があった?」
佐天「ちょ、ちょっと待ってください!話が急すぎて何がなにやら!」
闇咲「まさかとは思うが、記憶がない、か?」
佐天「あぁいやそういうんじゃないんですけど、つーか現地の人と接触できるなんて話は聞いてなかったんですが」
佐天「あたし――わたしは柵中一年の佐天涙子です。レベルは1で大した能力でもないんですが」
佐天「色々あって時間だか空間を渡る能力者?に巻き込まれてここに放置されました。なので学園都市に戻って来て10分経ってないです」
闇咲「にわかには信じがたい話だが……この異変の前では些細な事か」
佐天「異変……なんかおかしいですよね、この花っていうかファンシーな光景。なんでこんな事になってるんですか?」
闇咲「私も分からない、というか分かっていること自体が非常に少ない。君も知っての通り、学園都市の住人が失踪してから二ヶ月が経った」
佐天「――あぁいストップです!この時点であたしの知らない情報ですが!?」
闇咲「逆に聞こう?君の学園生としての最後の記憶は?」
佐天「あーっと……バレンタインの後、ですかね。寝てたら何かワープしてた、的な?」
闇咲「時期的にはその頃か、合ってはいるが……まぁ、簡単に言えば学園都市の住人全員が失踪した」
佐天「えっと……ギャグではなく?」
闇咲「だったらもっと簡単だったんだがね。突然音信不通になり、外界との連絡が途絶えた――すると、どうなったと思う?」
佐天「……学園生の親御さんが探しに?」
闇咲「と、いうのもあったんだろうが。あまりの異常事態に国は出入り口を封鎖、そして調査員を送り込んだのだが」
佐天「帰ってこない、ですか?」
闇咲「他にも産業スパイだったりただの物盗り、あとは秘密裏に某国の軍隊が入り込んだ。しかし結果は同じ。何が起きているのかも、いたのかも目下不明のまま”だった”」
佐天「”だった”?」
闇咲「……学園都市の”外”でも失踪事件が広まっていった。学園都市を中心にしながら、円を描くように」
佐天「……もしかして超ヤバイですか?」
闇咲「もしかしなくても、だな。でまぁ我々も手をこまねいているわけではなく、失踪する原因らしきものを突き止めたんだ。それがこれだ」
佐天「……ケータイ電話が何を?」
闇咲「ネットを媒介に伝染、いや感染する何かの呪いで。そして人を消し去った後には、花が咲く、と」
佐天「そんなっ!?そんなの科学じゃないじゃないですかっ!?」
闇咲「信じるも信じないのも勝手だ。まぁ、私、というか私達の能力でのみ防御ができた以上、相性が”そちら”ではなく”こちら”だったということだが」
佐天「何が、何が起きているんですか……?」
闇咲「それを調べるために有志一同が電子機器なしに乗り込んで来た、と。取り敢えず君は一緒についてきてもらおうか、生存者として証言をしてほしい」
佐天「あ、はい。それは構いません――あ、いややっぱり困ります!ここで連れが!」
闇咲「そういう事態では既になく、君の生命すらも危ういのだ。まぁ少しだけ眠っ――ぽきゅっ」
佐天「なんですかその可愛い語尾、て、口から花が、咲いて……!?」
闇咲「――攻性術式……逃げ、ろ!近くに『聖人』がい……」
闇咲「……」 パサッ
佐天「人、が……花に、咲いて……」
初春(覚醒)『――あれ、佐天さんどうしたんですかこんなところで?』
佐天「初春!?……初春、なの?」
初春(覚醒)『えぇまぁ初春飾利ですが何か?てかどんなボケですか』
佐天「その、大丈夫?花が、凄い事になってる、よね?全身っていうか」
初春(覚醒)『花?あぁだからこれには触れるなって前から言ってませんでしたっけ?』
初春(覚醒)『……あぁいや、違うなぁ。ペルセポネの冥花を認識できるのはあんまり居ないんですよねぇ』
初春(覚醒)『まぁ、いいですかねぇ。こんなとこにいないで、どこかに行きましょうか?あ、春の新作スイーツがですね』
初春(覚醒)『……んー……?』
初春(覚醒)『あれでも、おかしいですねぇ?私が壊れたのって、佐天さんが死んじゃったからだったような……?』
佐天「……」
初春(覚醒)『って佐天さーん?こんなところで寝ていたら風邪引いちゃいますよー?もしもーし?』
――どこか
娘々『あー……やっぱアレ当たりじゃねぇか。何やってんだよ科学ども、寝た子を起こしやがって』
ネフテュス『地母神ペルセポネの系譜の……魔神にちょっと足りないぐらいの子、かしら』
娘々『あー、手元の資料によると、「触ったモノの温度を留める程度の能力」だってさ。バッカじゃねぇの、それお前時間停止能力って下手なアデプトよりも上だそマジで』
ネフテュス『冥界の神だから時間が停まっているのは当り前、そして彼女は奈落に咲く花……』
娘々『新しい魔神の覚醒。あーどうすっかなー、他の連中呼ぶか?私らだけじゃリセットなんて面倒だろ』
ネフテュス『ヌァザなんかは普通に面倒臭い……まぁいいわ。魔神として世界を終わらせるのも勤めよね』
佐天「あ、あの……?今何か、てかあたし今死んだ、ですよね?」
娘々『お前が生きてんだから死んでないじゃね?まぁそう堅く考えるな!感じろ!』
ネフテュス『あぁうん、ありがとうペルセポネの使徒……魔神の覚醒は恋人を失ったときに限る、わね』
佐天「魔神……?」
娘々『それじゃまたなー!何かあったら呼ぶから、逆英雄召喚みたいに!』
佐天「もう嫌ですよコノヤロー?」
-終-
※Q.上条さんはどこ行ったのか?
御坂さんが死んだ世界
→一方通行さんとのドツキ合いで下手打って死亡
白井さんが死んだ世界
→ブラックホールそげぶ失敗して死亡
佐天さんが死んだ世界
→借り物競走で借り物が見つからず車に轢かれて死亡
上条「雑か。俺の死に方が雑じゃねぇか」
ネフテュス『――起きなさいルイコよ……今日はあなたの中二の誕生日で、お城に行く日なのですよ……』
娘々『ひのきのぼうもらって魔王を倒すんだ!まぁ街の外のスライム倒しゃあすぐ稼げんだけどな!』
佐天「嫌がらせかな?まぁでも異世界転生だったら能力次第でレッツゴーですが!」
ネフテュス『なおチート能力は「×××した相手のスキルをそのままコピー」』
(※一般紙で連載中)
娘々『「J○ルイコは異世界で××になった」☆』
佐天「体裁が悪い。いや強いっちゃ強いんですし、そういうお仕事に需要があるのも否定はしないんですが」
ネフテュス『古代イシュタルの神殿には聖娼という神官が常駐していて……』
娘々『つまり――エアリ○が売っているのは花……ッ!!!』
佐天「ちょっと何言ってるのか分かんないですね。あと不特定多数を敵に回すのは、よせ」
ネフテュス『エ×同人とかで使える設定よね』
娘々『つーかヴァルキリーなんてそのものじゃね?勇者召喚すんのにハニトラかますってどーよ?』
ネフテュス『北欧神話はHENTAIエピソードが多いわ……トールが女装したりロキが牝馬になったり、まぁギリシャ神話の影響だろうけど』
佐天「あの、すいません?夢の中とはいえ面倒臭いです。できれば速やかに本題を」
娘々『あ、これ用意していたバスタードソードだ!ソロプレイ用だけと頑張れば何とかなる!』
佐天「そっちじゃねぇよ、もといそっちじゃないです。なんで人を対魔王用の暗殺者にさせてんですか」
ネフテュス『今酒場にいる仲間は遊び人HAMADURAしかいないけど、それでいいわね?』
佐天「ガチな人じゃないですか。間違っても賢者にまではなれない人ですよね。だって悟りませんから」
娘々『まぁ細けぇこたぁいいとして、前にやったじゃん?「エ×媚薬を手に入れたら」って企画』
佐天「超大変でしたけど!なんでみんなあたしを狙うのかと!」
ネフテュス『可能性……実は前から一回ぐらいヤッてみたいと思ってた?』
娘々『野郎に囲まれるよりかはマシじゃね?』
佐天「『問題、あなたの街でゾンビハザードが発生しました。さて、どっちがより怖いですか?A・友達のゾンビ、B・知らない人のゾンビ』」
ネフテュス『……どうだろう?私達には窺い知ることができない、だって神だし』
娘々『よーしならば体験してみようぜ☆レッツ・ハザード☆』
佐天「あたしが全面的に悪かったですねっすいませんっ!?」
娘々『気をつけるんだぜ、神的存在故にその場のノリで生きていると言えなくもない……ッ!』
ネフテュス『この間、ちょっと書き物をしていた。私は「レッツゴー」と書いたつもりだったのに――』
ネフテュス『――読み返してみれば「レッサゴー」となっていた……!あぁ、あぁこれはきっと大いなる電波が、電波が……!』
(※誤字です)
佐天「すいません神様。めっちゃ絡みづらいです」
娘々『だろう?実は二千年ぐらいコンビ組んでる私もそーなんだよ』
ネフテュス『ロード・エルメロ○U世がずっとU世に拘っている理由、それは――』
ネフテュス『――超縮めて読めば「ロU」、つまりロ×ペドだと暗示しているのよ……ッ!!!』
(※諸説なし)
佐天「すいません神様。めっちゃ楽しくなってきました」
娘々『だろう?実は二千年ぐらいコンビ組んでる私もそーなんだわ。たまに後悔するぐらいには』
ネフテュス『小さき人の子よ……あなたの葛藤などどうでもいいのです。英語で言えばファインセンキュー……』
佐天「あれそれ割と好反応じゃないでしたっけ?『こちらこそ』的な」
娘々『その場のノリで話してっからあんま真に受けない方がいいぜ』
ネフテュス『そしてね、神様思ったの。誰とは言わないけれど頭がお花畑の子がアレだねって……』
佐天「初春を頭イタイみたいに言わないでください。あたしも未だにあの花が何なのかは分からないですが、それ以外は普通の子ですよ!」
娘々『普通の子は初手で監禁はしない、いやマジで絶対に』
ネフテュス『そう……興味を持ってしまったので、シミュレートを、ね?しようかな、って?』
佐天「シミュレート……催眠か心理テストでもするんですか?」
娘々『や、世界一つ創って引っこ抜いてくるだけだが?』
佐天「超無駄遣い。圧力鍋買うかどうか迷ってるあたしとレヴェルが違う』
ネフテュス『終わった後にはきちんと滅ぼすから、ねっ?地球にもきっと優しい……』
佐天「弄ばれる人類にもちょっとは気を遣ってあげてください。できればあたしも」
娘々『まーまー堅いこと言うなって!「世界五秒前説」って知ってるか?』
佐天「あー、ありましたね。『この世界は五秒前に創られている』的な、シュレさんちのぬこさんと同じ系」
娘々『それと同じで魂のない人格をコピペしてるようなもんだしぃ?』
佐天「あぁまぁあたしには選択肢がないんで、納得したって体で行きますけど。その面白空間で一体何を?」
ネフテュス『あなた達四人の中で、お花の子は実は一番ヤッベェんじゃねぇというのを検証してみる……』
佐天「いや、ここまでしてもらっといて何なんですけど、たまに毒を吐く以外は基本的には人畜無害ですよ?」
娘々『それを検証するじゃんよ。よっしゃ行こうぜ!行けば分かるさ!』
――御坂美琴が死んだ世界
ネフテュス『――と、いうわけで謎空間へやってきたのだった……ッ!』
佐天「いつもの学園都市ですよ。大抵学生が暴走するヤツ」
娘々『ちなみに私らの姿は他の連中には見えないし触れない。幽霊みたいなもんじゃんね』
佐天「あたしが男子だったら喜びそうですけども。あ、写真撮ってオッケーっすか?だったら行きたいところが腐るほど!」
ネフテュス『この子――さては面倒よね?』
娘々『もしかしなくってもそうだにゃー。あ、それよりもケータイからニュースサイト見てみ?』
佐天「芸能のタグ付いてるのばっかですけど――『学園都市第三位、事故死』……!?」
ネフテュス『っていう設定ね。あの子が……白いのに負けた世界』
娘々『多分とばっちりで上条少年も死んでんだな。まぁそっちは別にいいけど、学園都市の存在意義が半分ぐらい無くなっちまった世界でもある』
佐天「……これ、『っていう設定』なんですよね?マジでとかじゃないですよね?」
ネフテュス『情報だけをコピペしたから、まぁ幽霊みたいなもの……?それとも量子コンピューターが生んだバーチャル空間、かも……?』
娘々『まぁ気にすんない。どっちみち向こうが本流でこっちは直ぐに弾けて消えるっから』
佐天「早々割り切れるようなもんじゃないけど……これ、御坂さんが陰でコソコソやってたときの話ですか?」
ネフテュス『詳細は省くけど、まぁ学園都市の序列第一位の能力者とマジゲンカ中に、というだけの話……』
娘々『私らからすれば「バカじゃねーのか」ってぐらいのネタだが、人生狂わすヤツもいるよねー。ふひひ』
佐天「御坂さんは一体誰と戦っているのか――ってあれもしかしてあたし!?」
佐天(別)『……』
佐天「エッラい景気悪い顔してますけど。まぁそりゃお友達が亡くなったらそうかなー……」
ネフテュス『この世界のあなたは突然の訃報に驚いて、お葬式で大泣きして、立ち直るのに半年ぐらいかかるわ』
娘々『まー、人間なんてそんなもんだよな。いつまでも引きずってもらんねぇし、変えられるもんじゃねぇしなー』
佐天「てか事情は知らないんですか?あたしだったバット持って吶喊すると思わなくもないです」
ネフテュス『事情そのものを知らない、みたいね……残ったお友達も詳しくは説明しなかったし。ただ事故だと……』
娘々『それでそのお友達とやらは――あ、やらかしてんなー』 カチッ
佐天「おぉっと場面移動――ってなんですかこの廃墟!?」
ネフテュス『戦っているみたいね。こういう戦闘があったっていうか』
一方通行『はァ――はァ?!どオしたどォしたジャッジメントさンよォ!?俺を捕まえるンじゃねェのか!?あァ!?』
白井『お黙りなさい!”それ”はもっととっくにお暇を出してきましたの!ここに居るのはただの白井黒子ですわ!』 ヒュンッ
一方通行『いいねェいいねェそういうの!復讐に酔ってる感バンバンするわ!』
白井『ちっ……!こちらの攻撃が当らない!』
一方通行『ンーまァいい線いってンじゃねェの?善戦してる方だわ、オマエ』
一方通行『ただまァテレポーターの悲しいサガっつうか、攻撃がワンパターンなンだよなァこれが』
白井『よく言う……!ステゴロが通じる相手でも!』
一方通行『まァそォなンだけども。相手の体への直接転移とか、ちょい前に散々やったから慣れてンだわ』
白井『どうして、わたくしの能力が……?』
一方通行『距離だったり座標軸ずらしゃァ、こンなもンじゃね?能力自体は悪かねェが、狙いが的確すぎて逆に避けやすい』
一方通行『つーか?そこら辺の有象無象ども巻き込めよ?そォすりゃ多少ノイズが入って当っかもしンねェよ?』
白井『……お姉様の敵討ちにそんなことできる筈が……!』
一方通行『違うンだよなァ。そういうとこがさァ?悪になりきれてねェ、捨てきれてねェ?』
一方通行『まァまァ楽しかったがもォ飽きたわ。続きはあの世でお友達……あー、なんつったっけ?何位だかさンと宜しくやってくれ――や!』
白井『お、ねぇ……さま――』
一方通行『……まァ、よくやった方じゃね?――さて、メシどぉすっかなァと』
……
佐天「――すいません、バット一本下さいませんか?できれば金属のヤツ」
娘々『ここまで完封されてんのに仇討とうとする根性は買うけど。アレはシミュレートであって魂もなんもねぇって』
ネフテュス『気概は買う……でも相手にもされないのも現実』
佐天「くっ!この右目の封印さえ解けていれば……!」
娘々『邪気眼禁止。ただお前の場合、監獄SASUK○んときに変な龍属性バフを貰ったような……』
ネフテュス『まさかの覚醒フラグよね』
佐天「人ができる範囲で頑張っただけです。んで初春はどこです?あの子がタイマンかますとは思えないんですが」
娘々『あーっと……あ、この時間軸にはいるっちゃいるけど、アクションは起こさないみたいだぜ』
佐天「え、だったら企画の全否定じゃないですか。いやでも初春はヤるときはヤる子だし、深く静かに計画を進めるタイプ……?」
ネフテュス『みたい、ね……15年後に動きがあったわ』
佐天「また抉らせてんね!」
……
刑事『――落ち着いて聞いてください。お子さんは例の誘拐魔に連れ去られました』
一方通行『……チッ』
女性『そんな……!?あの子がどうして……!?』
刑事『……分かりません。ただ今までのパターンからすると、能力者に関係するものではないかと推測しています』
女性『能力者……?能力者ってなんですか?』
刑事『学園都市をご存じですか?所謂超能力者と呼ばれる人間を育成している開発機関がありまして』
女性『え、えぇ、それは存じておりますが……でも、それがあの子にどう関係が……?』
刑事『連続誘拐犯、通称「MM」は学園都市出身の能力者やその親族を中心にターゲットにしていまして。あ、これは公開されていない情報なんですけど』
刑事『旦那さんが学園都市ご出身ですので、恐らくは――』
女性『あなたが……超能力者だなんて聞いてないわ!?』
一方通行『……昔の話だ。嫌ンなって逃げてきて、もう15年以上経ってンだよ』
女性『あなたのせいじゃない!』
刑事『ま、まぁまぁケンカは止めてください!悪いのは犯人であって被害者は息子さんですから!』
一方通行『……で?そんなクソ一匹まともに捕まえられねェ警察さンはどォしようって?』
刑事『それに関してはただただ私達の未熟を恥じいるばかりなんですが……一応警察庁のサイバーセキュリティ、所謂ホワイトハッカーを総動員してはいるんです』
刑事『しかしながらまだ尻尾すら掴めず……この異常性から、犯人もまた能力者ではないかと』
女性『同じ能力者なのに……?』
刑事『だからこそです。何か電脳に詳しい能力者が犯人である可能性が高く、そしてまた旦那さんに恨みを持つ人間だとプロファイリングでは。お心当たりは?』
一方通行『……あるわなァ。有象無象どもぶっ倒したっけか』
刑事『その、お気を悪くしないでほしいのですが……ここまでされる覚えはありませんか?過去のケースだと被害者側が殺人、またそれに準じるような過去がありました』
一方通行『……』
刑事『あぁいえ責めているのではなく、犯人を絞るためにもどうか正直に言ってください。決して別件逮捕など致しませんので』
刑事『こういう商売をしていると身に染みるんですが、人間誰だって悪いことをするんですよ。善い事だけの人も居ませんし、逆に悪い事だけの人も居ません』
刑事『ふとした気の迷いとか、後々死ぬほど後悔したりとか、そうやって反省するのもまた罪の償いと言えばそうでしょうし』
女性『あなた……?』
一方通行『……ねェよ。そこで能力開発をしてのはしてたが……人は殺してねェ』
刑事『――あぁそうですか、なら良かったです。では今回のは模倣犯である可能性も出て来ました。とにかく、お気を確かに。最期まで決して諦めないでください』
女性『……はい』
一方通行『……』
刑事『では本部からの機材が届き次第、逆探知に――と、失礼。電話が、あ、息子からですね』 ピッ
女性『息子さんが?』
刑事『一人で育てているもので中々……あぁいやすいません、不謹慎でした』
女性『ここは……いいですから。どうかお話しをされてきては?』
刑事『……本当にすいません。外に居るので連絡があれば出る前に呼んでくださいね』 ガチャッ
刑事『……』 ピッ
刑事『「――あ、もしもし?私ですけどどうしました?一人でお留守番するの飽きちゃいましたー?」』
刑事『「あぁそれは……すいませんね。どの番号にかけてもここに繋がるようになっているんですよ。残念でしたねー」』
刑事『「それでご用件は――え、約束?……あぁウソウソ、覚えてますって。家出るときにしたやつですよね?」』
刑事『「で――うん、”覚えてない”って。いや、直接聞いたから間違いありませんよ。えぇ」』
刑事『「はい、じゃあそちらの負けですんで現状維持ということで。あ、どれでも誰でも食べていいですよー?遠慮しないで、痛んじゃいますからねー」』
刑事『「はい、はーい。終わったら聞きますからクレームはそちら――あ、そうそう。一言だけ――」』
初春(刑事)『「――――――苦しんで、死ね」』
……
佐天「いや違う違う違う違う!シミュレート間違ってますからこれ!初春はこんなにヤッベェ子じゃないです!」
娘々『復讐相手の子供を誘拐した上、刑事の立場で反省しているかどうかの確認をしてから突き落とす!やるな人間!結構楽しいぜ!』
ネフテュス『ちなみにこの話はここで終わらず、少しずつ部分部分で息子さんが帰ってくる……南米マフィアの手口』
ネフテュス『誘拐犯からは「過去の悪行を動画配信したら帰す」って最後通牒が来て、実行したらネタバラシをして』
ネフテュス『「息子の命は助けてくれ!」と懇願されたら、「じゃあどうしてあなたは助けなかったんですか?」と返して終わると』
佐天「ヤッベェにも程があるかな?初春戻って来てー!」
娘々『誘拐された息子は結局帰って来れなかった模様……返す気なかったろうしな!』
ネフテュス『……正攻法でどうにかできない相手だから、搦め手中の搦め手……中々いいわ、病んでいる感じが』
――白井黒子が死んだ世界
ネフテュス『白なのか黒なのか迷う名前じゃない?』
娘々『親のネーミングセンスに脱帽だぜ』
佐天「名前でイジるのはやめてあげてください。白井さんご自身は御坂さんが絡まない限りは真っ当な人格者です」
ネフテュス『この世界での白井黒子さんは、同じテレポート能力者と戦った挙げ句、最終的に相手の能力が暴走し、それを止めるためにブラックホールへ突っ込んで死亡と』
佐天「もう理解が追い付かないですよね。プラックホールってなんですか」
娘々『ちなみに上条少年も巻き込まれて死亡。ただし失踪扱いだなーこれ』
佐天「なんで上条さんがちょいちょいいっちょ噛みしてくんですか。あ、これあたしが死んだ世界でも来るパターンだな!」
ネフテュス『この世界のあなただと……白井さんが亡くなって半年ぐらいは落ち込むバターンね。まぁ、何が原因かも知らされていないんで仕方がないのだけれど』
佐天「いや、話を聞いても復讐するかどうかは微妙ですよ。だって白井さんはお仕事中に誰かを助けるために、なんでしょ?だったらまぁ、あたしが口出すような話でもないような」
娘々『そこら辺は人それぞれだなー。警官が職務中に殉死したって、恨むヤツは恨むし』
ネフテュス『で、御坂美琴さんは……あ、留置場で事件の切っ掛けになったやつと面会してんな。行ってみっか』
佐天「どこの世界でも御坂さんは男前だなぁ」
……
御坂『――と、以上合計二桁の罪状で執行猶予はつかないわ』
結標『……』
御坂『ただまぁ……黒子のは……事故、そう事故として扱われるから、あなたは関係ないんですって。よかったわね?』
結標『……』
御坂『あと他には……そうそう、あなたの出身の施設、親船さんって方が名乗り出てくれて、買い取られるそうよ。何でも有名な篤志家の人とかなんとか』
結標『……っ!』
御坂『まぁ、取り敢えずはこんなもんかな。何か質問ある?次は多分来月ぐらいになると思うけど』
結標『――で、よ』
御坂『はい?』
結標『なんであなたがここのでしてくれるのよ!?私は、私はあなた達を……ッ!』
御坂『……』
結標『……恨んでるんでしょ!?だってあなたの相棒を死なせたのだから!』
御坂『――見損なわないで』
結標『っ!』
御坂『黒子はあなたを助けるために全力を尽くしたのよ。その助けた相手を殺したら意味がないじゃない』
御坂『恨んでないとは言わない、また許すつもりなんてこれっぽっちもない』
御坂『生きなさい、生きて苦しみなさい』
結標『……ごめん、なさい……!』
御坂『そう、ね……でも、ただ個人的に言わせて貰えるのなら、一つだけ覚えてほしい事があるわ』
結標『御坂さん……?』
御坂『24時間監視されて、隙あらば性的な視線で見られて、場合によっては物理的にセクハラを受けていた――』
御坂『――そんな人間を救ってくれた、そのことも忘れないで……ッ!!!』
結標『あれあれ?もしかして御坂さんって白いさんの事好きじゃなかったの?仲良く見えたのは表面だけ?』
結標『っていうかそもそもなんだかんだでいい待遇なのはまさか……ッ!?』
御坂「それじゃまた来月ね!』 ガンッ
……
佐天「――御坂さんはこんな事言いません」
娘々『きっとあれじゃねーかなー?大切な人が死んだのに、心配かけないために明るく装う、的な美談じゃね?』
ネフテュス『人間はそう、好き嫌いだけで分けられるものではないの……女子同士だからある程度許されていたのも、今後はコンプラ的にNGに、ねっ?』
佐天「まぁ……あー、ちょっと白井さんのスキンシップはアレかなぁと思わなくもないんですが」
佐天「てか白井さんの場合、初春は口では色々言いつつもパイセンとしては尊敬してましたからね。一個前のバッドエンド並にキッツいのが来そう……」
ネフテュス『でもないみたいね。この世界では比較的フラットな復讐で留めているわ』
佐天「やってんじゃねぇか。立場的に風紀委員なのに」
娘々『今の女のコラ動画で「わたしは性的な意味で子供が好きだァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!」って、全世界に個人情報と共に拡散してた和』
佐天「それはそれで深度重めじゃないですかね。一見ギャグに見えるっちゃ見えますが」
ネフテュス『想像してほしい――「ここから先は性的な意味で一方通行だ……ッ!」のアスキーアートが大流行する世界を』
佐天「意外と幸せじゃないですかね。少なくとも部分的には平和な感じですし」
娘々『よくある変顔炎上動画に住所が付属する。それはそれで人生詰むわな』
佐天「フラットの意味とは?軽くて情報が飛びまくる的な?」
ネフテュス『出所後に「あ、性的に子供が好きなおねーさんだ」って後ろ指を指されまくるだけよ?』
娘々『芸人的にはオイシイんだっけ?』
佐天「公開処刑じゃないですか。いやまぁ、あー下手に軽い刑で済ませるよりはいいと思わなくもないですが」
娘々『法的には刑が執行されて刑罰なり任期が終わった時点で許されんだよね。しっかり前科はつくけど』
ネフテュス『犯罪者ではないのだけれど、まぁ過去もまた追いかけてくる訳ね』
佐天「あたしがこの世界に居たら一応止めると思います。白井さんは多分望んでないので」
ネフテュス『――と、まぁ、二つの世界を見てきたわけだけど……こっちはそれぞれ分岐しているの』
佐天「分岐?」
娘々『分岐分岐。最初の世界じゃ白井黒子が返り討ちに遭った後、初春飾利は何もしなかった。や、まぁ正確には政界に出て能力者の規制法出すんだけどな』
佐天「あー……初春らしいっちゃらしいです」
ネフテュス『逆に白井黒子さんが死ななければ、初春飾利さんは十数年かけての復讐ルートへ入る……と、あなた達の行動で世界が分岐しているのよ』
佐天「あたしは無関係っぽいですが、それが何か?」
娘々『お前が死んだ世界では分岐してねぇんだわ。どこをどうやっても同じ結末に入るっぽい?』
佐天「……はい?それって他の三人が個別じゃなくて組んで何かするってことですか?」
ネフテュス『それはその世界に入らないと見えない。ただもっと酷いのは確定……あなたに見る覚悟はある、と?』
佐天「超遠慮したいっす。どんなトラウマ動画を見せられるのかと」
娘々『軽く見た感じだと綺麗だぜ?』
佐天「ノー、あなた方とは感性が違うんですよ。炮烙(ほうらく)見ても爆笑する方々とは」
ネフテュス『ホーラク?』
娘々『金属の柱に罪人くくりつけて焼き殺す中国発祥の刑罰&カルチャー、か?趣味でやる女とかいたし』
佐天「妲己さんですね。しず○ちゃんさんが中の人かと思うと感慨深いヤツです」
ネフテュス『アジア怖すぎ……良かった、アフリカに生まれて』
娘々『言うじゃねぇかテメー?アッシリアの皮剥ぎ刑を忘れたとは言わさねーぞコラ?』
(※溺死刑も有名。罪人を板に固定→海に放流)
佐天「はいそこ仲間割れしない!あたしからすればどっちもどっちですからね!」
娘々『おー言ってくれ友よ!初めて知ったとき、「なんじゃそりゃ」とツッコんだ雑学を!』
ネフテュス『任せて――時に、あなたは魔女裁判での理不尽な刑罰の数々はご存じかしら……?』
佐天「あのギャグとしか思えないようなのだったら、まぁサブカルの影響で少しは知ってます」
ネフテュス『その中に「魔女を縄で縛って水に沈んだに無罪」的な』
佐天「有罪・無罪の判定が難しいですよね。普通にジッとしていれば浮きそうですが有罪になるし、かといって沈んでいったら無罪になってもそのまま三途の川渡りますし」
ネフテュス『実はその刑罰の減刑がハムラビ法典にあり、「魔術を使った罪で裁かれるものは、川に投げ込まれる事」だった……!』
佐天「……つまり?」
娘々『オリジナルでは「川に投げ込まれても助かったら無罪じゃんね?」で、ユーロカスタムだと「どっちに転んでも死刑」ってことに……!』
(※古代バビロニアの律法>>越えられない壁>>ヨーロッパの道徳)
佐天「『スーツ着た蛮族』って誰か言いますわそりゃ」
ネフテュス『私達からすれば少し前まで同性愛者も火刑にしてたのに、なんでたった数代でドヤっているんだろう……?』
娘々『笑えるっちゃ笑えるが、だよな』
佐天「何度でも言いますが、こっちから見ればほぼ同じにしか見えません。つーかここでダベるんだったらファミレスとか行きましょうよ」
ネフテュス『あぁ本題から逸れていたわね……地獄を見てもいい、と?』
佐天「ここで嫌だっつったら置いて行かれそうで選択肢ないですよね、それ?……分かりました。なんだかんだで初春はダチです!その引き起こした惨劇であれば受け止めるのが筋ってもんでしょうとも!」
娘々『よく言った!私らの「構ってくれる暇な人」リストにお前も追加してやるぜ!』
ネフテュス『ありがとう……友達が増えた』
佐天「違う。そんな妙なボランティアはやってない」
――佐天涙子が死んだ世界
佐天「ってまた学園都市ですね。出てる看板から判断するに、何ヶ月か前ぐらいかなー」
佐天「ただ……人が、いないよね?少ないんじゃなくて、いない――こっちで新型コロナが流行ったときみたいに……」
ネフテュス『それだけじゃないわ。これ……』
佐天「……花?いやまぁ雑草ぐらい生えるでしょうけど」
娘々『じゃねーって。なんでこれコンクリ割って咲いてんだよ、ってツッコミ』
佐天「あー言われてみれば、っておかしくないですか?こんな、こんな異常な咲き方してるのに誰も撤去したりしないですし」
佐天「あ、ほら!あそこなんか停まった車の中にまで大きな花が!どうなってんですかこの世界?」
佐天「……?」
佐天「マジで置いて行かれた!?どうしろっちゅーんですかこの段階から!?せめてラジオと懐中電灯ぐらいは支給すべきですよ!」
闇咲「――すまないが、少しばかり話を聞かせて貰えないだろうか」
……
闇咲「私は闇咲。魔術師……まぁ、魔術という名前の能力者のようなものだと思ってほしい」
佐天「魔術……学園都市の外の研究機関か何かでしょうか?」
闇咲「もっとクラシカルな感じだが、概ね合っている。それで君はどうしてここに?他の人間はどこにいる?何があった?」
佐天「ちょ、ちょっと待ってください!話が急すぎて何がなにやら!」
闇咲「まさかとは思うが、記憶がない、か?」
佐天「あぁいやそういうんじゃないんですけど、つーか現地の人と接触できるなんて話は聞いてなかったんですが」
佐天「あたし――わたしは柵中一年の佐天涙子です。レベルは1で大した能力でもないんですが」
佐天「色々あって時間だか空間を渡る能力者?に巻き込まれてここに放置されました。なので学園都市に戻って来て10分経ってないです」
闇咲「にわかには信じがたい話だが……この異変の前では些細な事か」
佐天「異変……なんかおかしいですよね、この花っていうかファンシーな光景。なんでこんな事になってるんですか?」
闇咲「私も分からない、というか分かっていること自体が非常に少ない。君も知っての通り、学園都市の住人が失踪してから二ヶ月が経った」
佐天「――あぁいストップです!この時点であたしの知らない情報ですが!?」
闇咲「逆に聞こう?君の学園生としての最後の記憶は?」
佐天「あーっと……バレンタインの後、ですかね。寝てたら何かワープしてた、的な?」
闇咲「時期的にはその頃か、合ってはいるが……まぁ、簡単に言えば学園都市の住人全員が失踪した」
佐天「えっと……ギャグではなく?」
闇咲「だったらもっと簡単だったんだがね。突然音信不通になり、外界との連絡が途絶えた――すると、どうなったと思う?」
佐天「……学園生の親御さんが探しに?」
闇咲「と、いうのもあったんだろうが。あまりの異常事態に国は出入り口を封鎖、そして調査員を送り込んだのだが」
佐天「帰ってこない、ですか?」
闇咲「他にも産業スパイだったりただの物盗り、あとは秘密裏に某国の軍隊が入り込んだ。しかし結果は同じ。何が起きているのかも、いたのかも目下不明のまま”だった”」
佐天「”だった”?」
闇咲「……学園都市の”外”でも失踪事件が広まっていった。学園都市を中心にしながら、円を描くように」
佐天「……もしかして超ヤバイですか?」
闇咲「もしかしなくても、だな。でまぁ我々も手をこまねいているわけではなく、失踪する原因らしきものを突き止めたんだ。それがこれだ」
佐天「……ケータイ電話が何を?」
闇咲「ネットを媒介に伝染、いや感染する何かの呪いで。そして人を消し去った後には、花が咲く、と」
佐天「そんなっ!?そんなの科学じゃないじゃないですかっ!?」
闇咲「信じるも信じないのも勝手だ。まぁ、私、というか私達の能力でのみ防御ができた以上、相性が”そちら”ではなく”こちら”だったということだが」
佐天「何が、何が起きているんですか……?」
闇咲「それを調べるために有志一同が電子機器なしに乗り込んで来た、と。取り敢えず君は一緒についてきてもらおうか、生存者として証言をしてほしい」
佐天「あ、はい。それは構いません――あ、いややっぱり困ります!ここで連れが!」
闇咲「そういう事態では既になく、君の生命すらも危ういのだ。まぁ少しだけ眠っ――ぽきゅっ」
佐天「なんですかその可愛い語尾、て、口から花が、咲いて……!?」
闇咲「――攻性術式……逃げ、ろ!近くに『聖人』がい……」
闇咲「……」 パサッ
佐天「人、が……花に、咲いて……」
初春(覚醒)『――あれ、佐天さんどうしたんですかこんなところで?』
佐天「初春!?……初春、なの?」
初春(覚醒)『えぇまぁ初春飾利ですが何か?てかどんなボケですか』
佐天「その、大丈夫?花が、凄い事になってる、よね?全身っていうか」
初春(覚醒)『花?あぁだからこれには触れるなって前から言ってませんでしたっけ?』
初春(覚醒)『……あぁいや、違うなぁ。ペルセポネの冥花を認識できるのはあんまり居ないんですよねぇ』
初春(覚醒)『まぁ、いいですかねぇ。こんなとこにいないで、どこかに行きましょうか?あ、春の新作スイーツがですね』
初春(覚醒)『……んー……?』
初春(覚醒)『あれでも、おかしいですねぇ?私が壊れたのって、佐天さんが死んじゃったからだったような……?』
佐天「……」
初春(覚醒)『って佐天さーん?こんなところで寝ていたら風邪引いちゃいますよー?もしもーし?』
――どこか
娘々『あー……やっぱアレ当たりじゃねぇか。何やってんだよ科学ども、寝た子を起こしやがって』
ネフテュス『地母神ペルセポネの系譜の……魔神にちょっと足りないぐらいの子、かしら』
娘々『あー、手元の資料によると、「触ったモノの温度を留める程度の能力」だってさ。バッカじゃねぇの、それお前時間停止能力って下手なアデプトよりも上だそマジで』
ネフテュス『冥界の神だから時間が停まっているのは当り前、そして彼女は奈落に咲く花……』
娘々『新しい魔神の覚醒。あーどうすっかなー、他の連中呼ぶか?私らだけじゃリセットなんて面倒だろ』
ネフテュス『ヌァザなんかは普通に面倒臭い……まぁいいわ。魔神として世界を終わらせるのも勤めよね』
佐天「あ、あの……?今何か、てかあたし今死んだ、ですよね?」
娘々『お前が生きてんだから死んでないじゃね?まぁそう堅く考えるな!感じろ!』
ネフテュス『あぁうん、ありがとうペルセポネの使徒……魔神の覚醒は恋人を失ったときに限る、わね』
佐天「魔神……?」
娘々『それじゃまたなー!何かあったら呼ぶから、逆英雄召喚みたいに!』
佐天「もう嫌ですよコノヤロー?」
-終-
※Q.上条さんはどこ行ったのか?
御坂さんが死んだ世界
→一方通行さんとのドツキ合いで下手打って死亡
白井さんが死んだ世界
→ブラックホールそげぶ失敗して死亡
佐天さんが死んだ世界
→借り物競走で借り物が見つからず車に轢かれて死亡
上条「雑か。俺の死に方が雑じゃねぇか」