真説・とある魔術の禁書目録
――学園都市 いつもの喫茶店 放課後
佐天「いやーなんか久しぶりって感じだねぇ。初春とこうやってダベんのもさ」
初春「実際に久しぶりですからねぇ。こっちに戻って来てから中々時間も取れませんでしたから」
佐天「ねー、酷いよねー？ガッコ来てんのにさ、放課後は速攻ハケちゃうしさ。何のために通学してんのか分かんないよねー？」
初春「学校は勉強するところですよ？てか佐天さん、同じ高校通いたいんだったら真面目に勉強しないと……」
佐天「あたしは信じてる！初春があたしのレベルに合わせてくれると！」
初春「進学先が違っても、私たち友達ですよねっ？」
佐天「……くっ！今までの出会いと別れからして反論しづらいな！まぁSNS使ってフェブリちゃんとも連絡取ってる身としては！」
初春「まぁでも学校が違ったら少し疎遠になるのも仕方がないかと。温故知新も大切ですが」
佐天「日本語に直すと？」
初春「新しい学校でボッチになりたくないから、上辺だけの友人関係を構築させるのを優先しますね？」
佐天「打算的だな！？ねぇ御坂さん、この子ったらこんな事言ってますけど！？」
初春「あー……佐天さん」
佐天「あ、いないんだった。ごめんごめん、つい忘れちゃっててさ」
初春「そういった意味じゃ”久しぶり”ではないですよね」
佐天「……そうだね。御坂さんはまさかの事態に――ミサカだけに……ッ！！！」
初春「おい不謹慎だぞ」
佐天「いや別に陰口じゃないけどさ、なんかちょっと言いたくならない？『あたし達友達だと思ってたのに！』みたいなのは？」
初春「だった、っていうか今も私はそう思ってますけどね」
佐天「やー、そりゃまぁあたしも信じたいって気持ちはあるけどもねー……こう、何回誘っても『今ちょっと忙しい』だし、SNSも既読スルーばっかだし」
佐天「白井さんは？帰って来てからまだ会ってないけど、どう？」
初春「……御坂さんのことについては何も。てゆうか白井さんも困惑してるみたいです――『お姉様は人が変わってしまいましたの』と」
佐天「御坂さんウォッチャー世界一の白井さんがそういうんだったら、正しいんだろうけどね。人が変わったかぁ……うーん？」
初春「まぁ御坂さんも一時期中二病的なのを抉らせてらっしゃいましたし、今回もしばらくすれば落ち着かれるかと思います」
佐天「なんかさー、なんつったらいいのから分かんないんだけどさ？、変わったよね」
初春「何がですか？御坂さんがですか、それとも白井さん？」
佐天「二人もなんだけど、なんかこう、空気？的な？」
初春「いや聞かれましても」
佐天「やー、あたしもね？人並みに成長とか勉強とかはするんだよ？」
初春「勉強に関しては疑問符がつきますが、まぁそうですよね」
佐天「例えば地元に友達いるじゃんか？じもともの人」
初春「その略し方も初耳ですが、まぁいますよね」
佐天「昔は、学園都市来る前なんかはね。その子達と、ぶっちゃけ友達とクラスが進級して離ればなれになってヤダーとか言ってたりしてたよね？」
初春「……まぁ、誰しもが通る道ですよねぇ」
佐天「うん、だからね。あたし達、てか少なくともあたしは御坂さんたちに知り合えて友達になってね。『うっわスゲェレベル5だ！？』と」
佐天「でも話してる内に『あれこれ中身意外とポンコツじゃね？』って」
初春「言い方考えてくださいね？『普通の女の子だ』でいいじゃないですか」
佐天「でも、ね。結局仲良くたって、進む道がいつまでも一緒だとは限らないわけでさ。何か簡単なすれ違いだったり、環境の変わるだけで疎遠になっちゃったりするよね」
佐天「……まぁ、そういうのだったら仕方がないかなぁ、なんて諦めもつくんだけど――」
初春「けど？」
佐天「理由は上手く言えないし、あたしの特に根拠もない勘なんだけど……そういうのとは違うんだよ、なんか」
初春「じゃあ、何が起きていると思うんですか？」
佐天「なんか大事な歯車が欠けた、感じ？ボタンを掛け違っちゃってる的な？」
初春「『――はい、季節のクリスマスセットを一つ。コーヒーでお願いします』」
佐天「相方が話し聞いてなかった！？あたしも『あ、なんかフワッとしたこと言ってんなー』って薄々感づいてはいたけど！」
初春「私は佐天さんの当て勘を万馬券並だと思ってます――が、今回のは、ですかねぇ？」
初春「そんなに大切なものが無くしたっていうんだったら、もっと大勢の人が大騒ぎしてるんじゃないかと」
佐天「だよ、ねぇ？御坂さんがそこそこ暇そうにしてるんだったら、平和な証拠だよね？」
初春「目に見える驚異もありませんしね。あ、それよりこっちのセットシェアしません？お小遣い的に少し厳しくて」
佐天「いいよー、すいませーん！店員さーん！」
初春「店の端末で注文できるんですが……」
店員『はーい！ただいまお伺いしまーす！』
佐天「あれ……？」
初春「どうしました？」
佐天「ちよっとゴメンね――『まぁ、初春さん。タイが乱れていてよ？』」 ｽｯ
初春「装着していませんねぇ。あとそれ元ネタはリボンじゃないですか」
佐天「……あれ？来ないなー？いっちょ噛みしてくるはずなのに」
初春「ですから何が」
佐天「ここの店員さんって男の人じゃなかったっけ？大体この時間帯はさ」
初春「そうでしたっけ？」
佐天「うん、高校生ぐらいの人」
初春「シフトが変わったんじゃないですかね。その人だって環境が変わったのかもしれませんし」
佐天「そう、なのかな？」
初春「まぁまぁ人は変わるでしょうが、あんまり気にしててもしょうがないですし、さっさと注文を」
佐天「――でね、最近ここの近くの廃工場でカエル人間の目撃例があるんだって……ッ！！！」
初春「そこは変わりましょう？普通に女子会みたいな話題でいいんですよ？」
佐天「……ねぇ、御坂さんに『カエル人間ってゲコ太じゃないですか？』ってメール入れたら、マッハで来そうじゃね？」
初春「今までのシリアスっぽい流れをスポイルした！？まぁ確かに来そうですけども！」
佐天「だからね、御坂さんのためにも！動画を撮ってアップしなきゃなんだよ！」
初春「あぁなんか動画サイトのアカ取ったんでしたっけ。心霊スポット巡りするやつの」
佐天「そうなんだよー。でもなんか廃墟よりもあたしの部屋を撮っただけの方が二桁再生回数が違くってさ」
初春「えっと……どこからお説教しようかな。個人情報の大切さ言っても伝わるかな」
――廃工場跡？
佐天「『――はい、という訳でやってきましたよ！ここが噂になってる廃工場ですね！』」
佐天「『簡単に説明しますと、あー……ストリートアートという名の時間とペンキと蛍光塗料の無駄遣いがあちこちに！元気があっていいですね！』」
佐天「『他にもほら、霊気みたいなのがバリバリと！鬼太○さんなら”父さん、幼気（誤字）です”ってフラグ立ててくれますよ！』」
佐天「『というかですね、そもそも鬼太○さんはショルダーに親父さんというオプションを装備しているんですから、常に反応するんじゃないかと』」
佐天「『他にも吸血鬼ギター弾き、もとい吸血鬼エリー○さんが出て来たときは反応もせず溶かされたし……』」
佐天「『てゆうか今にして思えばブギーポッ○さんーの原型は鬼太○だった……ッ！？』」
佐天「『……いや、やっぱツッコミいないとアレですよね。初春連れて来よっと』」
佐天「『えー、そんな感じで実況に移りたいと思いますが、まぁ廃墟ですね。昔は工場か作業場か』」
佐天「『何かの張り紙が貼ってあって、剥がしたあとが日焼けしてたり。大きさからしてA4ぐらい、コピー用紙で仕様かなんかあったんですかね』」
佐天「『壁は最初に言ったような感じで落書きが。これって器物損壊罪じゃないでしたっけ？なんかこうだだっ広いキャンバスに書きたくなる衝動は分からないでもないですが』
佐天「『あーとーはー……目立つのは塗料です、塗料。てか見てくださいよここ、壁に黄色いペンキを雑にぶしゃーって。ふなっし○ファンでもいるんですか、アート関係ないなもう！』」
佐天「『色はど黄色の蛍光色、蛍光ペンで二番目ぐらいに使う色ですかね。ちなみにあたしは薄い青と緑が最近のお気に入りです』」
佐天「『――で、噂になってるのはカエル人間ですね。今日聞いたばかりのホヤッホヤの噂です』」
佐天「『恐らくこのチャンネルをご覧の方はゲコ太さんを思い浮かべた方が多いかと思いますが。バナーでね』」
佐天「『この学区はですね、基本的に住宅街から近くの場所にありまして。頑張れば徒歩で通勤できるエリアだそうで』」
佐天「『作られているのは家庭用家電に音響関係。ナガオ○さんの支部もあるとかないとか、ないかなー』」
佐天「『なので”某プラントから逃げ出したUMAが！？”と、いうことはない筈です。怪しい研究してる噂の学区は別にあるんで、つーかあたしも入れませんし』」
佐天「『つまりUMAでないと言う事は――都市伝説！きっと怪人系の何かがいるってことですよね分かりますっ！ゲコ太好きすぎて着ぐるみを着てる歩く人なんか！』」
佐天「……」
佐天「『あー……今脳裏にですね、友達がゲコ太を着て徘徊する姿がジワッと。流石にそこまでは……自作でなくて本革買うでしょうし』」
佐天「『いやまぁオフィシャルだからっていいって訳じゃないですけども！つーか人気の無いところでファンシーな着ぐるみがあったら怖いな！Ｉ○みたいな！』」
佐天「『あれも定期的にリメイクしすぎてなんかもう分からなくなってますよね。いや嫌いじゃないですけど、スターウォー○を何回も再放送されてもな、みたいな』」
佐天「『ですので、あー……あたしの予想としましては？変身系か光学系能力者の方が、自主トレか誘拐犯じゃねぇかなと思います』」
佐天「『コンタクト取れたらインタビューを試みたいと思います！身の危険を感じるようだったらＬｉｖｅに切り替えるから、見たみんなは通報ヨロシク！』」
佐天「『――て、不謹慎な話だけど、前に雪山で配信してた人が滑落かなんかでお亡くなりになったんだっけ。みんなも注意してね、家族に心配かけるのだけはダメです。勿論他の人にも』」
佐天「『てな感じで、あー、暗いですね。電源なんか通ってない元工場だからね、ここら辺ぐらいの奥まで来ると夕日も届かないや。ポチッとな』」 ｶﾁｯ
佐天「『最近はLEDライトも普通に普及してきましたよね−。あたしの小さい頃はなんか電球？みたいなのがあって、あれが熱かったって聞きますけど』」
佐天「『なんでしょうね熱いって？松岡修○的な意味で？』」
佐天「『さて、まだ陽が落ちるまでに時間は――と、うっわぁ……言葉を失います。絶句でしたっけ。そんな感じで、まぁ実況してますけど』」
佐天「『黄色の蛍光塗料、落書きの上から叩き付けたように広がってますねー。奥の方がヒドイや、工場の元社長さんか誰かが荒らされてるのにぶち切れてぶちまけました、って可能性もあるレベル』」
佐天「『見てくださいよ。壁だけじゃなくて床にまで、ほら、これが血だったらスプラッタなんですが。なんで黄色なんですか、塗料が安かったんでしょうか』」
佐天「『某昭和のアニメでですね、シリーズものの後半で高いプラモ塗料が大量に余ったからって、赤系統の機体が出るわ出るわってことがあったと』」
佐天「『ほぼ原色の蛍光黄色が余ってた……？交通標識や看板では使いそう――って！』」 ｸﾞﾁｬｯ
佐天「『うっわもう最悪じゃんか！おろしたばっかのスニーカーが！また黄色いペンキだし！乾いてないな！』」
佐天「……？」
佐天「『乾いてない……？あれ、ってことはこのペンキぶっしゃー犯人は現場なう……？』」
佐天「『このまま突入したらあたしも黄色まみれに――』」
佐天「……」
佐天「『――よーし！現場は抑えましたよペンキぶっしゃー犯の人！このブイを流されたくなければ大人しくインタビュー、を』」
佐天「です、ね……」
青い竜『――』
佐天「………………はいぃ？」
――廃工場
佐天「え、マジで！？なんでこんなとこにつーか竜！？ドラゴン！？青いな！青龍ですね！あぁ龍じゃないや外見は竜か！」
佐天「てかピー助！？それともアグモ○！？どっちでもいいから写メ撮らせて！！！」
青い竜『グルルルルルルルルルルッ……！』
佐天「でっすよねー！激オコですよねー！あたしだって部屋でくつろいでるときにオッサン入って来たら撃退しますもん！分かる分かる！」
佐天「って訳で！あたしはバックして帰りたいと思いますが！あぁこれクマに背を向けたら100%で襲われるんでしたっけ！？」
青い竜『……』
佐天「って、いう気配はないです、よね？あぁ『じゃあなんだったら』的にリアクションを転換してもらってもあたしは困る訳ですが」
佐天「てか綺麗な鱗の色ですよね、ちょっと撮らせて貰っていいかなー、ってのは……？」
青い竜『ガルッ！』
佐天「あぁ了解です！不審者ですもんね！帰りますんでそのままで！――」
佐天「――てか、黄色は？あたしが踏んじゃった黄色い、ぬめっとした水は……」
青い竜『……』
佐天「ケガ、してるじゃないですか！？それって血、なんですよね？蛍光ペンっぽい色してますけど」
佐天「それに翼……酷い。焼け焦げて、半分以上千切れて……」
佐天「………………」
佐天「――よっしゃあ！！！」
青い竜 ﾋﾞｸﾋﾞｸｯ
佐天「あぁいや今の決意表明っつーか気合い入れただけなんで害はないですよ？えっと、ケガ、手当、分かる？」
青い竜『ガルル……ッ！』
佐天「って日本語通じるわけないか。えっと、どうしようっか、こんなときは……あ、そうだ！」
佐天「『あのちーへいせー○♪かーがーやくーのー○』」
青い竜『グ……？』
佐天「あ、間違った！これナウシ○じゃなて天空の城がラビュタするやつだった！」
青い竜『どっちも間違いだよ。日本語通じないんだから「かぜのたにーのー、ナウーシー○ー♪」って歌っても無意味だろ』
佐天「だよね！行動で表すんであってテーマソング歌っても『お前それ歌いたいだろ』で終わりだよね！」
佐天「じゃあどうすれば……ん？あれ？」
青い竜『ガル？』
佐天「あぁいえ今なんか不自然なやりとりがあったような気がして……？テンパって幻聴でも聞こえたんですかね、きっと」
青い竜『ガルッ』
佐天「あ、じゃあお詫びにパンツ見ます？ブラの方がいいです？」
青い竜『なんでだよ。謎のクリーチャー相手にJCの下着が「こうかはばつぐんだ」になったら怖いだろ。海原か』
佐天・青い竜「『……』」
佐天「んー……？んんー…………？」
青い竜『ガルゥッ！ガルルルルルルルルルッ！』
佐天「……お題――『盛りすぎ』」
青い竜『ガ、ガル？』
佐天「この間ですね、つい近所のゲーセン行きまして。っていってもUFOキャッチャーとメダルゲームが並ぶところなんですが。よくイオ×の最上階にある、モーリーアイラン○がエンドレスでかかってる的な？」
佐天「その中ででね、ドラク○のスライム型加湿器が欲しかったんですよ。季節柄乾燥しがちじゃないですか？なのでそこそこ粘ったんですけど」
佐天「そうしたら店員さんが来てくれて、結構つぎ込んだから取ってくれました。やったね！」
佐天「――っていう話の中には盛っている部分があります。どこでしょーか？」
青い竜『ガル』
佐天「答え・そもそもゲーセン行っていません」
青い竜『嘘じゃねぇか！？それもう盛ってるとか盛ってないレベルじゃなくて徹頭徹尾虚偽情報だろ！？」
青い竜『ていうかさっきから見てたけどテンションがおかしい！心霊リポならもっとこう暗くしろや！怖さの欠片もないし！』
青い竜『そもそも吸血鬼エリー○は鬼太○さんが貸本時代からの古参なんだからな！もっとリスペクトしないと！幼気と妖気かけたって字面見ない伝わらないよ！』
佐天 ｼﾞｰｯ
青い竜『ガルルルルルルルルルルルルッ！！！』
佐天「無理じゃないですかね。おもっくそツッコんで不満をぶちまけたあとじゃあ流石に」
――廃工場
佐天「てかなんでここに……あぁいいや、取り敢えず事情はいいから応急手当しますね」
青い竜『オレ、オマエ、マルカジリ！』
佐天「やってみろこら！パンツで動揺してボロ出した人が出来るもんであれば！」
青い竜『俺が特殊みたいな言い方止めてもらえるかな？俺はむしろ紳士な方だよ？』
青い竜『知り合いには「じゃあお願いします」って二つ返事するアホもいるんだし』
佐天「竜なのに交友関係が爛れていますよね。ほぼエロいおっさんの思考パターンじゃないですか」
青い竜『まぁ引いてんだけどな。あぁそういやアイツも青かったっけか』
佐天「まぁそんなんはどうでもいいから傷口よく見せなさい！じゃないと広げますよ！？」
青い竜『治療したいんだかトドメ刺しに来たんだか分かんないよね、君』
佐天「じゃあ傷口拝見しますよっと……あぁまだ血？が止まってないんですね。痛いですか？」
青い竜『――いや、雨だよ』
佐天「バレたからって適当にネタぶっ込んでくるのやめませんか？なんだったら傷口に手ぇツッコミますよ？」」
青い竜『だから大丈夫だって！ちょっと無理したから開いちゃっただけでさ！』
佐天「何か布、布……スカート切るわけにもいかないですし、どうしよっかな」
青い竜『だから、君さ？人の話を聞こう？なぁ？』
佐天「あ、じゃあ体育で使ったジャージなら予備もありますし」 ｺﾞｿｺﾞｿｯ
青い竜『いや本当に平気ですから！放っといてください！』
佐天「最初の『ガルルル……』とはエッライキャラ変わってますけど」
青い竜『あぁそうそう毒だ、毒！俺の血は人間にとっては猛毒なんだよ！なんかキモい色してるし！』
佐天「瓶に詰めてスライムに混ぜたら綺麗っぽいですよね」
青い竜『ユーチューバ○感覚で！？人の体液をなんて事に使うんだ！』
佐天「てかもう最初に触っちゃったんですけどあたし。死んじゃうんですかこれ？」
青い竜『ど、どうだろう……？俺も初めてだから分からない……！』
佐天「把握しとけオイ」
妖精「――人が目を離した隙に……何をしやがってるんだ貴様は……ッ！」
青い竜『あ、おかえりー。どうだった？』
妖精「ダメだな。自立可動式フィギュアの真似をしても小銭貰うのが精々だ。まぁガムテープは買ってきたから、ほら」
青い竜『えー、それで傷口塞ぐの？肌荒れそうじゃないですかー』
妖精「鏡を一度見るのをオススメするよモンスター。単純な生命力で言えば……明日大隕石が降って来て、人類の殆どが滅亡してもお前は死なんよ」
青い竜『もう不幸なんだか幸運なんだか分かりゃしねぇよな！』
妖精「というかだこのバカ。どっから連れ込んだその女、×××もついてないクセに」
青い竜『ないの！？マジでそれ初耳だわ！？』
妖精「あるのもいるしないのもいる。ただ大抵は”個”として完結している場合が多いから、生殖能力は退化している傾向が強い」
青い竜『嬉しくねぇなぁ……あ、つーか別についてても竜相手にエロいする癖（へき）は流石に」
妖精「神や妖精、人と交わって英雄を生む場合もしばしばある」
青い竜『どんな癖だよ。人類の振れ幅って意外とルーズなのな！』
妖精「まぁこの女もある意味無限すぎる可能性の一つと言えなくもない」
青い竜『……？』
妖精「”人払い”をしているのにどっから入って来たんだ？ここがコイツの住処だったら効かないのも分かるが――おい、聞いているか？」
青い竜『お前見たらフリーズしちまってんだよな。なんか魔術でも使った？』
佐天「し」
青い竜・妖精「し？」
佐天「新種のUMAと揃ってキタァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ！！！」
青い竜『誰がUMAだよ。確認されてるよ』
妖精「あんな新参どもと一緒にするな。不快極まりない」
佐天「ちょっとなんですかっ！？超可愛いですよね妖精さんっ！！！」
妖精「なかなか見る目があるな愚民よ！特別に直言を許可してやろう！」
青い竜『おい、収集つかねぇから二人とも落ち着けよ』
佐天「動画を撮らせてとは言わないから！せめて写メか一緒に一枚だけ、ねっ！？」
青い竜『どんな撮り方しても「最近のCGってリアルだよね」で終わるだろ。今素人が作っても暇と情熱（※欲望）欲望さえあればそこそこのができるんだぞ』
妖精「論点が違う。そこじゃない」
佐天「じゃあ逆に！あたしが作ったって言い張りますから！」
妖精「そこも少し違うんだよ。そうではなくって、おい娘」
佐天「娘、ではなくてですね、佐天涙子と申します」
妖精「では佐天。我々を見てどう思う？」
佐天「prprしたいです」
妖精「どっちをだ！？てかなんでそう思った！？」
佐天「あぁつまりあたしのテンションがそれだけハイになってるって事ですよ！別に邪な思いではないと言っておきましょう！」
妖精「……ぶっちゃけて話せば、だ。こっちのバカはちょっとしたヘマをやって全部失った。見ての通り大ケガまでしている」
佐天「あぁやっぱり大ケガじゃないですか。話は聞きますから、その前に手当てしちゃいません？ガムテで」
妖精「そうだな。そちらの方が建設的か。ガムテだけどな」
青い竜『あの……ガムテ以外に選択肢は？肌荒れそうで嫌――痛いっ！？」 ﾌﾞﾁｯ
佐天「あぁすいませんすいません！ゴミがついていたと思ったら鱗でした！素材ゲットです！」
青い竜『どうしよう……！？俺は生まれて初めて身の危険を感じている……！」
妖精「割りとあったぞ？バカだから気づけなかっただけで」
――廃工場
佐天「――んで、カエル人間をゲットしようとしてノコノコ来た訳です」
青い竜『いないよ？君もっと現実を直視した方がいいんじゃないの？』
佐天「ファンタジー世界のほぼ全てに顔を出す人には言われたくないです。あ、人じゃないですね。えっと、お名前は？」
青い竜『あぁ俺はか――』
妖精「オイ」
佐天「か？」
青い竜『……か、快楽○？』
佐天「エロ本か。てゆうかご両親が子供に性的な名前はつけないよ！」
青い竜『あぁ、ホラ！快楽天ビース○ってあるし！見た目こんなんだからさ！ビースト繋がりで！」
佐天「あのエロ雑誌別冊が発刊されたのはつい近年……本当だったらあたしよりも年下になりますけど」
佐天「なんか事情があるってのは分かりますし、なんかいい名前……あぁではピー助で！」
青い竜『やめろ。人に大長編ドラえも○の首長竜の名前をつけるのやめろ』
佐天「ちなみに豆知識ですが、ピー助は首長竜という爬虫類の一種であり恐竜ではないんだ……ッ！」
青い竜『タイトルで言ってんのに！？恐竜部分ってノリで仲間にしたティラノだけか！？』
佐天「てか随分人間社会について博識のようですが……じゃあなんとお呼びすれば？」
妖精「こいつはドラゴン、私は妖精さんと呼べ。あまり馴れ合ってもいられない」
佐天「……なんか危険な事情があったりします？」
妖精「深く話せば貴様も巻き込まれかねん。かといって巻き込んだところで我々に利がない――一応聞いておくが、能力者としてのレベルは？」
佐天「こおぉぉっ……ッ！」 ｿﾖｯ
妖精「手で仰いだ程度の風を起こせる能力か。その、なんだ、宴会芸でつかえる、な？」
青い竜『言葉選ぶんだったら最後まで選べよ。慰めが雑なんだよ』
佐天「あぁいえお気になさらず。この街の殆どが『一発芸としてやったらオイシイか、それ未満』なので」
妖精「なのでまぁ、貴様に話すことはない――と、言いたいところだが」
妖精「今の我々には貴様をどうこうする手段を持ち合わせていない。口封じするにもこっちのこれが役立たずな上にヘタレだ」
青い竜『ふざけんな。姿見られたぐらいで人殺しなんかできるわけがねぇよ』
妖精「と、言っている以上、こちらは貴様の良心に縋るしかないと。オーケー？」
佐天「あたしもご迷惑をかけたくはないので、お二人の邪魔になるようなことはしませんし、するつもりもありません」
佐天「ただ一体何をやってきたのか、これから何がしたいのかとか、話してくれればお力になれるかもしれませんよ、とも」
妖精「どうだ、”理解者”？」
青い竜『まさか追われる立場まで理解出来るとは思いもしなかったが……まぁいいんじゃないか、ある程度は」
佐天「あざっす！」
妖精「まぁ事の発端はこの世界には二つの世界があるんた。一つは科学サイド、貴様――お前たちの住む世界」
佐天「あぁ物質的な意味でですね。分かります」
青い竜「（あ、コイツまともに話す気ないんだな）」
妖精「もう一つが魔術サイド。私たちの世界であり、そっちの住人だったんだが……ヘマをした」
佐天「……なにをどうしちゃったんです？」
青い竜『えっと……』
妖精「言ってやれよる。大爆笑だ」
青い竜『あの……ちょっと色々あってね？こう「今から反撃だ！」って時にさ、駅でウロウロしてる子が居てね？』
妖精「女の子だったなぁ」
青い竜『いいだろそこは強調しなくても！てか俺じゃなくても助けるわ！』
佐天「人助けしたんだったらいいじゃないですか。尊敬しますよ、あたしは」
青い竜『……そう言ってくれると少しは救いになるんだけど……戻れなくなってね』
佐天「……はい？」
妖精「他人のために力を使ったら、はいタイムオーバー。定着して全部失ったと、それだけの話だ」
佐天「ちょっと要所が理解できませんでしたけど。やっぱり、元・人間の方なんですね……」
青い竜『ううん違うよ！俺は生粋のドラゴンだよ！生まれも育ちもロンドンさ！」
佐天「歴代ロンドン市長の名前を一人でもいいから述べよ」
青い竜『シャーロック・ホームズ』
佐天「ドラえも○ネタも知ってるし、恐らく学園生だった、と」
青い竜『くっ！鋭いな！』
妖精「漫才するな。まぁこちらは大体そんなところだよ。これ以上具体的には言えない」
佐天「はぁ大変だったんですねぇ。これからどちらへ向われるおつもりなんです？」
妖精「怪我が癒えるのを待って、あとは我々の世界のツテを辿ってだな」
佐天「ならウチで飼います！……って普段なら言うんでしょうけど、このサイズは流石に無理ですよね……頭だけしか入りません」
妖精「理解してくれてなによりだ。それで少女よ、貴様が我々に少しでも同情してくれるというのであれば頼みがある」
佐天「はいっ！なんでもどうぞ！」
妖精「今日ここで見聞きしたとこは他言無用の上、二度と近寄らな――」
佐天「お断りします！」
青い竜『一秒前になんでもって言ったじゃん』
佐天「いやぁでも気になるのは気になりますし？あたしもここでさようならってのは、ちょっと心情的にアレかなぁって」
妖精「だからといって貴様に出来ることなど何もないが？」
佐天「そんなことないですよ？なんかこう傷の手当てする包帯とかあった方がいいんじゃないですか？」
妖精「必要ない」
佐天「他にも食べ物とか？何食べるか分かりませんけど、コンビニやスーパーで売っているものなら調達できますけど」
妖精「……フライドポテト」
佐天「はい？」
妖精「魔術を行使するのには触媒が必要で、つまりあーなってこーなって、私はフライドポテトが食べいんだよ！悪いか！？」
青い竜『悪いだろ。それであっさり前言翻すんだったら』
佐天「じゃあそれで！」
――とある路上 三日後
佐天『……』 ｺｿｯ
佐天『……』 ｷｮﾛｷｮﾛ
佐天『……』 ｻｻｻｯ、ﾀｯ!
……
初春「あー……クロですね−、もうこれ以上ないってぐらいのクロですよー」
御坂「またなんか心臓に悪い事をしてるのか、あの子は」
初春「まぁどうせ野犬を飼ってるとか、ゲカした猫の面倒看てるとかそんなんでしょうけど」
御坂「――ホームをレスした汚（お）っさんたちに代わる代わるエロいことをされる佐天さん……！」
初春「待ってください？その妄想酷くないですかね？」
御坂「あたしがちょっと欝になってたら！その寂しさを紛らわせるためにこんなとこに！」
初春「ウキウキでしたよ？スーパーで包帯買い込んでたときには楽しそうでしたよね？」
御坂「脅されてるに決まってるでしょ！？じゃなかったらあんな正々堂々と書店で快楽○が買える訳がないわ！」
初春「『プレゼントなので包装してください』と言い放った勇者だと思います……！中学生なのに！」
御坂「待ってて佐天さん！あたしが今汚っさんを蹴散らして【！見せられないよ！】にするから！」
初春「こっちはこっちで大変だなオイ。白井さん連れてくればよかった」
――廃工場
青い竜『おっ？』 ﾌﾞﾙﾌﾞﾙｯ
佐天「どうしました？」
青い竜『いやなんか寒気が？風邪でも引いたのかな？』
佐天「全裸ですもんね」
青い竜『あぁもうなんかそのボケに突っ込むのも面倒になってきた。全裸サイコー！よく見たらついてたぜ！』
佐天「何がですか」
妖精「また来たのか。貴様も懲りないな――いいか？この世界には境界線があって」
佐天「はうどうぞー。ミニストッ○のXフライドポテトとファミ○の皮付きフライドポテトですよー」
妖精「もぐもぐもぐもぐもぐっ！！！」
青い竜『やだこの妖精。いつのまに食いしんぼうキャラになったの？』
佐天「ピー助も食べます？チキンありますよー？」
青い竜『俺はいいよ。君が食べないんだったら相方があとで貰うから、置いててくれれば』
佐天「ですか？せっかく好きそうなの買って来たのに」
青い竜『折角食費がかからないのに、何か食ったら反動で超お腹減りそうで怖いんだよ』
佐天「あー、分かります。超お腹空いてるのに、少しだけ食べても余計に食べたくなりますもんね」
青い竜『それに――あぁ知ってるか？タイかどっかのトラを大量に飼育している寺院があってだ』
青い竜『そこではトラに血の味を覚えさせないため、血抜きして茹でたエサを与えてるんだってさ』
佐天「なおトラの不法売買が発覚して潰されましたけどね、そのお寺」
青い竜『なんて話だ！？最近テレビで見ないのそういうことか！』
佐天「なんで詳しいんですか……て、ゆうかちょっと聞いてもいいですかね？」
青い竜『いや俺はずっと竜よ？産まれた第一声が「リオレイ○マジ強いわー」だったもの』
佐天「モンスターですよね？ハントするアレの初心者が心折られる最大の原因って言うか」
佐天「ではなく……その、帰りたい、とか、戻りたいってのは、ないのかな、って」
青い竜『……』
佐天「なんだったらあたしが手紙を代筆するとか、事情を話して連れてくるとか、そういうのは――」
青い竜『あぁいいんだいいんだ、そういうのは。多分それをやっちまったら全部ぶち壊しになるから』
佐天「でもっ！」
青い竜『まぁ、うん……もういいかなって。俺じゃない俺が、俺よりも上手くやるって言うんだったら』
青い竜『俺がノコノコ出ていってぶち壊しにすることも、まぁ……うん』
佐天「よく分からないんですが……」
青い竜『だから今の俺は上条当麻なんかじゃない。ただの快楽天ビース○だ』
佐天「まだそのネタ引っ張りますか。苗字が快楽○なんて斬新すぎやしませんかね」
佐天「あ、そういえば買って来ましたよその本」
青い竜『マジで！？中学生かあれ買っちゃダメだよ！法律的に！』
佐天「あぁ大丈夫です。『プレゼントなので』って言ったら普通に買えました」
青い竜『勇者が……！勇者がここにいる……！』
佐天「ピー助が何にも食べないから不安で……好物ですよね？」
青い竜『べ、別にそんなんじゃないしぃ！？俺はただ村田蓮○さんのイラスト目的で買ってるだけだからぁ！？』
佐天「その方のは載ってませんよね？本誌の方でしかなかったんじゃないですかね？」
ﾋｭｳﾝｯ――
青い竜『危ない！』
佐天「え」
――――――ﾄﾞｫｫｫｳﾝｯ!!!
佐天「ちょっ！？な、なに？ミサイル！？ミサイル撃ち込まれたの！？」
青い竜『……だったらまだマシだったんだけどな』
御坂「――佐天さんを人質にとるなんて……卑怯よ！」
初春「何やってんですか御坂さん！？いきなり撃ち込むだなんて！？」
佐天「御坂さんと初春――誤解してます！この人は危険な怪物なんかじゃないんですよ！」
御坂「い、いや、違う……わ？そいつは敵……よぉ☆」
初春「御坂さん！」
佐天「……さ、今のウチに逃げましょう！」
青い竜『――慣れって怖いよな』
佐天「な、なんての話ですか！」
青い竜『自転車に乗ったつもりでこぎ始めたら、いきなり前輪が外れて倒れたとか、そんな感じ？まぁ今まで頼りっきりだった俺も俺だが』
青い竜『俺の中のアイツに相棒まで奪われたってのを忘れてた。はは、参ったな……』
佐天「ピー助……その――腕……ッ！？」
青い竜『うん、逃げられないんだよ。打ち消したつもりが残った腕と翼、バッサリと持って行かれちまった』
青い竜『あぁ見た目ほど痛くはないんだ。心の痛みに比べれば、全然』
妖精「――無様だな、”理解者”。ここで膝を折り処刑を待つだけなのか？」
青い竜『悪い、少し疲れちまったよ。だったらせめて知り合いにケリをつけてほしい』
妖精「貴様が……ッ！」
青い竜『なぁ”共犯者”。この子がここに来たのはいつだったか憶えてるか？』
妖精「そんな事を言ってる場合か！」
青い竜『三日前だ。俺たちが追撃されてここに逃げ込んだその日の夕方、俺の零した血も乾きってない頃に出くわした』
青い竜『カエル人間だっけか？ゲコ太だかケロロ軍○だかって噂を聞いてきたんだったら――計算が合わない』
妖精「……なんだと？」
青い竜『だからさ。俺たちが逃げ込んだ日には、既に罠が張ってあったんだよ』
青い竜『UMAとか、ゲコ太だの、俺たちへ仕向ける猟犬としては最悪のヤツを呼び込むために、だ』
妖精「……どうするつもりだ？」
青い竜『どうもこうも。これ逆に人質とられてるも同然だかんな、俺はただのビーストで逝くさ』
妖精「……やれやれ。仕方がない、最期まで付き合ってやろう」
青い竜『……いいのか？』
妖精「どっちみちこんな狂った世界に未練などない」
青い竜『……ごめん』
妖精「構わんよ。そして恐らく、我々の旅路はまだ終わらん」
青い竜「え」
御坂「――敵、全部奪った――返しなさぁい☆」
佐天「やめて御坂さん！？」
初春「佐天さん離れてください！そこにいると危な――」
御坂 ﾊﾟｼｲｨﾝｯ!!!
青い竜『――おいビリビリ正気に戻れ！間にその子がいるのにぶっ放――』
御坂「……」
――ﾄﾞｫｫｫ――
佐天「――――――っ！」
――――――ﾊﾟｲｨｷｨﾝｯ………………!!!
初春「は……弾い、た？……いや打ち消し、あれ？」
青い竜『ちょっと待てよ！？あれって！』
妖精「兆候はあったんだ。元魔神で現妖精のありったけの力を使った『認識阻害』を易々入って来たり」
妖精「その後も何度か記憶を弄ろうとしたが無理だった。まぁ、つまりそういうことさ」
青い竜『でも！”あれ”はアイツが！』
妖精「前の持ち主を見限ったんだろう。『右手』だって愛想もつかすさ」
妖精「取り敢えずお前はぞげぶしてもらったらどうだ？元の姿に戻れるかもしれんぞ？」
青い竜『俺は……いいや。人に戻っちまったらダメだ』
妖精「ほう、何故だ？」
青い竜『今からこの子をアイツらから守らなくちゃいけない。俺が戦った悪意や一握りの善意の全てから』
青い竜『そのためにも竜の体と強さが必要になる……だから、今は戻れない……！』
妖精「――ふっ、誰かのためには、か」
佐天「あ、あの……？これって一体……？」
妖精「取り敢えずそこでフリーズしてる友達の頬を引っぱたいてやれ。それで多分正気に返る」
御坂「て、敵……☆」
妖精「何か踏み出せなかったり抵抗があるのなら……そうだな、声高らかにこう宣言するがいい」
妖精「世界へ対する新たな『調停者』の産声を聞かせてやれ――」
妖精「『――お前のその”幻想”をぶち殺す！』と」
――
監督「――はいカットぉぉぉー！予告用のムービー撮れました！お疲れ様でしたー！」
佐天・御坂・初春「お疲れ様でしたー！」
上条（着ぐるみ）「いやあの……納得できないんですけど！俺なんで脇役！？前作の主人公枠ってどういうこと！？」
佐天「ですから第三部の主人公はあたしってことに」
上条（着ぐるみ）「先週のネタ企画で終わったんじゃなかったの！？俺も呼ばれて『これ着て』って言われてなんだって思ったよ！」
佐天「キャラグッズ的に購買力ってのがありまして」
上条（着ぐるみ）「いや分かるけど！確かに君ら四人がこっちに合流した方が人気出るって薄々感づいてはいるけど！」
佐天「薄々は知ってたんですね……」
御坂「まぁいいじゃない！折角合流さたんだからこれはこれで！」
御坂「ともあれ！新レギュラーになったんだし、今から親睦を深めるために食事でもいきましょうか！」
上条（着ぐるみ）「超ノリノリっすねビリビリさん」
佐天「あたしの予想ですが、こっちだと噛ませ犬orカプセル怪獣（ウィンダ○）扱いされてたのが、そーとー頭に来てたっぽいです」
上条（着ぐるみ）「そしてそのヘイトが全部俺に向うんだよな！俺が仕組んでるんじゃないんだよ！」
佐天「まぁともかく第三部（予想）を記念して！白井さんと合流して遊びに行きましょうか！」
上条「それはそれで不安なんだよ」
オティヌス「……なぁ」
初春「はい？」
オティヌス「まさかとは思うが、このネタの一部でも現実になったりはしないよな？」
初春「22巻リバースが”上条さんが見た夢で、実はドラゴンのまま戻れなくなってた”ってのは流石に……」
オティヌス「それでも絶対じゃないからな？安全地帯なんてないんだからな！」
初春「まさかとは思いますが、主人公から引きずりおろされて主人公”格”になるのはあり得るかも……！」
オティヌス「まぁそれはそれで一部のファンは喜ぶ、か？」
上条（着ぐるみ）「いいよもう！そんときには別の運営に行ってハーレム系主人公になってやるから！」
佐天「もうなってますよ？大体いつもそんな感じですよね？」
−終−
佐天「いやーなんか久しぶりって感じだねぇ。初春とこうやってダベんのもさ」
初春「実際に久しぶりですからねぇ。こっちに戻って来てから中々時間も取れませんでしたから」
佐天「ねー、酷いよねー？ガッコ来てんのにさ、放課後は速攻ハケちゃうしさ。何のために通学してんのか分かんないよねー？」
初春「学校は勉強するところですよ？てか佐天さん、同じ高校通いたいんだったら真面目に勉強しないと……」
佐天「あたしは信じてる！初春があたしのレベルに合わせてくれると！」
初春「進学先が違っても、私たち友達ですよねっ？」
佐天「……くっ！今までの出会いと別れからして反論しづらいな！まぁSNS使ってフェブリちゃんとも連絡取ってる身としては！」
初春「まぁでも学校が違ったら少し疎遠になるのも仕方がないかと。温故知新も大切ですが」
佐天「日本語に直すと？」
初春「新しい学校でボッチになりたくないから、上辺だけの友人関係を構築させるのを優先しますね？」
佐天「打算的だな！？ねぇ御坂さん、この子ったらこんな事言ってますけど！？」
初春「あー……佐天さん」
佐天「あ、いないんだった。ごめんごめん、つい忘れちゃっててさ」
初春「そういった意味じゃ”久しぶり”ではないですよね」
佐天「……そうだね。御坂さんはまさかの事態に――ミサカだけに……ッ！！！」
初春「おい不謹慎だぞ」
佐天「いや別に陰口じゃないけどさ、なんかちょっと言いたくならない？『あたし達友達だと思ってたのに！』みたいなのは？」
初春「だった、っていうか今も私はそう思ってますけどね」
佐天「やー、そりゃまぁあたしも信じたいって気持ちはあるけどもねー……こう、何回誘っても『今ちょっと忙しい』だし、SNSも既読スルーばっかだし」
佐天「白井さんは？帰って来てからまだ会ってないけど、どう？」
初春「……御坂さんのことについては何も。てゆうか白井さんも困惑してるみたいです――『お姉様は人が変わってしまいましたの』と」
佐天「御坂さんウォッチャー世界一の白井さんがそういうんだったら、正しいんだろうけどね。人が変わったかぁ……うーん？」
初春「まぁ御坂さんも一時期中二病的なのを抉らせてらっしゃいましたし、今回もしばらくすれば落ち着かれるかと思います」
佐天「なんかさー、なんつったらいいのから分かんないんだけどさ？、変わったよね」
初春「何がですか？御坂さんがですか、それとも白井さん？」
佐天「二人もなんだけど、なんかこう、空気？的な？」
初春「いや聞かれましても」
佐天「やー、あたしもね？人並みに成長とか勉強とかはするんだよ？」
初春「勉強に関しては疑問符がつきますが、まぁそうですよね」
佐天「例えば地元に友達いるじゃんか？じもともの人」
初春「その略し方も初耳ですが、まぁいますよね」
佐天「昔は、学園都市来る前なんかはね。その子達と、ぶっちゃけ友達とクラスが進級して離ればなれになってヤダーとか言ってたりしてたよね？」
初春「……まぁ、誰しもが通る道ですよねぇ」
佐天「うん、だからね。あたし達、てか少なくともあたしは御坂さんたちに知り合えて友達になってね。『うっわスゲェレベル5だ！？』と」
佐天「でも話してる内に『あれこれ中身意外とポンコツじゃね？』って」
初春「言い方考えてくださいね？『普通の女の子だ』でいいじゃないですか」
佐天「でも、ね。結局仲良くたって、進む道がいつまでも一緒だとは限らないわけでさ。何か簡単なすれ違いだったり、環境の変わるだけで疎遠になっちゃったりするよね」
佐天「……まぁ、そういうのだったら仕方がないかなぁ、なんて諦めもつくんだけど――」
初春「けど？」
佐天「理由は上手く言えないし、あたしの特に根拠もない勘なんだけど……そういうのとは違うんだよ、なんか」
初春「じゃあ、何が起きていると思うんですか？」
佐天「なんか大事な歯車が欠けた、感じ？ボタンを掛け違っちゃってる的な？」
初春「『――はい、季節のクリスマスセットを一つ。コーヒーでお願いします』」
佐天「相方が話し聞いてなかった！？あたしも『あ、なんかフワッとしたこと言ってんなー』って薄々感づいてはいたけど！」
初春「私は佐天さんの当て勘を万馬券並だと思ってます――が、今回のは、ですかねぇ？」
初春「そんなに大切なものが無くしたっていうんだったら、もっと大勢の人が大騒ぎしてるんじゃないかと」
佐天「だよ、ねぇ？御坂さんがそこそこ暇そうにしてるんだったら、平和な証拠だよね？」
初春「目に見える驚異もありませんしね。あ、それよりこっちのセットシェアしません？お小遣い的に少し厳しくて」
佐天「いいよー、すいませーん！店員さーん！」
初春「店の端末で注文できるんですが……」
店員『はーい！ただいまお伺いしまーす！』
佐天「あれ……？」
初春「どうしました？」
佐天「ちよっとゴメンね――『まぁ、初春さん。タイが乱れていてよ？』」 ｽｯ
初春「装着していませんねぇ。あとそれ元ネタはリボンじゃないですか」
佐天「……あれ？来ないなー？いっちょ噛みしてくるはずなのに」
初春「ですから何が」
佐天「ここの店員さんって男の人じゃなかったっけ？大体この時間帯はさ」
初春「そうでしたっけ？」
佐天「うん、高校生ぐらいの人」
初春「シフトが変わったんじゃないですかね。その人だって環境が変わったのかもしれませんし」
佐天「そう、なのかな？」
初春「まぁまぁ人は変わるでしょうが、あんまり気にしててもしょうがないですし、さっさと注文を」
佐天「――でね、最近ここの近くの廃工場でカエル人間の目撃例があるんだって……ッ！！！」
初春「そこは変わりましょう？普通に女子会みたいな話題でいいんですよ？」
佐天「……ねぇ、御坂さんに『カエル人間ってゲコ太じゃないですか？』ってメール入れたら、マッハで来そうじゃね？」
初春「今までのシリアスっぽい流れをスポイルした！？まぁ確かに来そうですけども！」
佐天「だからね、御坂さんのためにも！動画を撮ってアップしなきゃなんだよ！」
初春「あぁなんか動画サイトのアカ取ったんでしたっけ。心霊スポット巡りするやつの」
佐天「そうなんだよー。でもなんか廃墟よりもあたしの部屋を撮っただけの方が二桁再生回数が違くってさ」
初春「えっと……どこからお説教しようかな。個人情報の大切さ言っても伝わるかな」
――廃工場跡？
佐天「『――はい、という訳でやってきましたよ！ここが噂になってる廃工場ですね！』」
佐天「『簡単に説明しますと、あー……ストリートアートという名の時間とペンキと蛍光塗料の無駄遣いがあちこちに！元気があっていいですね！』」
佐天「『他にもほら、霊気みたいなのがバリバリと！鬼太○さんなら”父さん、幼気（誤字）です”ってフラグ立ててくれますよ！』」
佐天「『というかですね、そもそも鬼太○さんはショルダーに親父さんというオプションを装備しているんですから、常に反応するんじゃないかと』」
佐天「『他にも吸血鬼ギター弾き、もとい吸血鬼エリー○さんが出て来たときは反応もせず溶かされたし……』」
佐天「『てゆうか今にして思えばブギーポッ○さんーの原型は鬼太○だった……ッ！？』」
佐天「『……いや、やっぱツッコミいないとアレですよね。初春連れて来よっと』」
佐天「『えー、そんな感じで実況に移りたいと思いますが、まぁ廃墟ですね。昔は工場か作業場か』」
佐天「『何かの張り紙が貼ってあって、剥がしたあとが日焼けしてたり。大きさからしてA4ぐらい、コピー用紙で仕様かなんかあったんですかね』」
佐天「『壁は最初に言ったような感じで落書きが。これって器物損壊罪じゃないでしたっけ？なんかこうだだっ広いキャンバスに書きたくなる衝動は分からないでもないですが』
佐天「『あーとーはー……目立つのは塗料です、塗料。てか見てくださいよここ、壁に黄色いペンキを雑にぶしゃーって。ふなっし○ファンでもいるんですか、アート関係ないなもう！』」
佐天「『色はど黄色の蛍光色、蛍光ペンで二番目ぐらいに使う色ですかね。ちなみにあたしは薄い青と緑が最近のお気に入りです』」
佐天「『――で、噂になってるのはカエル人間ですね。今日聞いたばかりのホヤッホヤの噂です』」
佐天「『恐らくこのチャンネルをご覧の方はゲコ太さんを思い浮かべた方が多いかと思いますが。バナーでね』」
佐天「『この学区はですね、基本的に住宅街から近くの場所にありまして。頑張れば徒歩で通勤できるエリアだそうで』」
佐天「『作られているのは家庭用家電に音響関係。ナガオ○さんの支部もあるとかないとか、ないかなー』」
佐天「『なので”某プラントから逃げ出したUMAが！？”と、いうことはない筈です。怪しい研究してる噂の学区は別にあるんで、つーかあたしも入れませんし』」
佐天「『つまりUMAでないと言う事は――都市伝説！きっと怪人系の何かがいるってことですよね分かりますっ！ゲコ太好きすぎて着ぐるみを着てる歩く人なんか！』」
佐天「……」
佐天「『あー……今脳裏にですね、友達がゲコ太を着て徘徊する姿がジワッと。流石にそこまでは……自作でなくて本革買うでしょうし』」
佐天「『いやまぁオフィシャルだからっていいって訳じゃないですけども！つーか人気の無いところでファンシーな着ぐるみがあったら怖いな！Ｉ○みたいな！』」
佐天「『あれも定期的にリメイクしすぎてなんかもう分からなくなってますよね。いや嫌いじゃないですけど、スターウォー○を何回も再放送されてもな、みたいな』」
佐天「『ですので、あー……あたしの予想としましては？変身系か光学系能力者の方が、自主トレか誘拐犯じゃねぇかなと思います』」
佐天「『コンタクト取れたらインタビューを試みたいと思います！身の危険を感じるようだったらＬｉｖｅに切り替えるから、見たみんなは通報ヨロシク！』」
佐天「『――て、不謹慎な話だけど、前に雪山で配信してた人が滑落かなんかでお亡くなりになったんだっけ。みんなも注意してね、家族に心配かけるのだけはダメです。勿論他の人にも』」
佐天「『てな感じで、あー、暗いですね。電源なんか通ってない元工場だからね、ここら辺ぐらいの奥まで来ると夕日も届かないや。ポチッとな』」 ｶﾁｯ
佐天「『最近はLEDライトも普通に普及してきましたよね−。あたしの小さい頃はなんか電球？みたいなのがあって、あれが熱かったって聞きますけど』」
佐天「『なんでしょうね熱いって？松岡修○的な意味で？』」
佐天「『さて、まだ陽が落ちるまでに時間は――と、うっわぁ……言葉を失います。絶句でしたっけ。そんな感じで、まぁ実況してますけど』」
佐天「『黄色の蛍光塗料、落書きの上から叩き付けたように広がってますねー。奥の方がヒドイや、工場の元社長さんか誰かが荒らされてるのにぶち切れてぶちまけました、って可能性もあるレベル』」
佐天「『見てくださいよ。壁だけじゃなくて床にまで、ほら、これが血だったらスプラッタなんですが。なんで黄色なんですか、塗料が安かったんでしょうか』」
佐天「『某昭和のアニメでですね、シリーズものの後半で高いプラモ塗料が大量に余ったからって、赤系統の機体が出るわ出るわってことがあったと』」
佐天「『ほぼ原色の蛍光黄色が余ってた……？交通標識や看板では使いそう――って！』」 ｸﾞﾁｬｯ
佐天「『うっわもう最悪じゃんか！おろしたばっかのスニーカーが！また黄色いペンキだし！乾いてないな！』」
佐天「……？」
佐天「『乾いてない……？あれ、ってことはこのペンキぶっしゃー犯人は現場なう……？』」
佐天「『このまま突入したらあたしも黄色まみれに――』」
佐天「……」
佐天「『――よーし！現場は抑えましたよペンキぶっしゃー犯の人！このブイを流されたくなければ大人しくインタビュー、を』」
佐天「です、ね……」
青い竜『――』
佐天「………………はいぃ？」
――廃工場
佐天「え、マジで！？なんでこんなとこにつーか竜！？ドラゴン！？青いな！青龍ですね！あぁ龍じゃないや外見は竜か！」
佐天「てかピー助！？それともアグモ○！？どっちでもいいから写メ撮らせて！！！」
青い竜『グルルルルルルルルルルッ……！』
佐天「でっすよねー！激オコですよねー！あたしだって部屋でくつろいでるときにオッサン入って来たら撃退しますもん！分かる分かる！」
佐天「って訳で！あたしはバックして帰りたいと思いますが！あぁこれクマに背を向けたら100%で襲われるんでしたっけ！？」
青い竜『……』
佐天「って、いう気配はないです、よね？あぁ『じゃあなんだったら』的にリアクションを転換してもらってもあたしは困る訳ですが」
佐天「てか綺麗な鱗の色ですよね、ちょっと撮らせて貰っていいかなー、ってのは……？」
青い竜『ガルッ！』
佐天「あぁ了解です！不審者ですもんね！帰りますんでそのままで！――」
佐天「――てか、黄色は？あたしが踏んじゃった黄色い、ぬめっとした水は……」
青い竜『……』
佐天「ケガ、してるじゃないですか！？それって血、なんですよね？蛍光ペンっぽい色してますけど」
佐天「それに翼……酷い。焼け焦げて、半分以上千切れて……」
佐天「………………」
佐天「――よっしゃあ！！！」
青い竜 ﾋﾞｸﾋﾞｸｯ
佐天「あぁいや今の決意表明っつーか気合い入れただけなんで害はないですよ？えっと、ケガ、手当、分かる？」
青い竜『ガルル……ッ！』
佐天「って日本語通じるわけないか。えっと、どうしようっか、こんなときは……あ、そうだ！」
佐天「『あのちーへいせー○♪かーがーやくーのー○』」
青い竜『グ……？』
佐天「あ、間違った！これナウシ○じゃなて天空の城がラビュタするやつだった！」
青い竜『どっちも間違いだよ。日本語通じないんだから「かぜのたにーのー、ナウーシー○ー♪」って歌っても無意味だろ』
佐天「だよね！行動で表すんであってテーマソング歌っても『お前それ歌いたいだろ』で終わりだよね！」
佐天「じゃあどうすれば……ん？あれ？」
青い竜『ガル？』
佐天「あぁいえ今なんか不自然なやりとりがあったような気がして……？テンパって幻聴でも聞こえたんですかね、きっと」
青い竜『ガルッ』
佐天「あ、じゃあお詫びにパンツ見ます？ブラの方がいいです？」
青い竜『なんでだよ。謎のクリーチャー相手にJCの下着が「こうかはばつぐんだ」になったら怖いだろ。海原か』
佐天・青い竜「『……』」
佐天「んー……？んんー…………？」
青い竜『ガルゥッ！ガルルルルルルルルルッ！』
佐天「……お題――『盛りすぎ』」
青い竜『ガ、ガル？』
佐天「この間ですね、つい近所のゲーセン行きまして。っていってもUFOキャッチャーとメダルゲームが並ぶところなんですが。よくイオ×の最上階にある、モーリーアイラン○がエンドレスでかかってる的な？」
佐天「その中ででね、ドラク○のスライム型加湿器が欲しかったんですよ。季節柄乾燥しがちじゃないですか？なのでそこそこ粘ったんですけど」
佐天「そうしたら店員さんが来てくれて、結構つぎ込んだから取ってくれました。やったね！」
佐天「――っていう話の中には盛っている部分があります。どこでしょーか？」
青い竜『ガル』
佐天「答え・そもそもゲーセン行っていません」
青い竜『嘘じゃねぇか！？それもう盛ってるとか盛ってないレベルじゃなくて徹頭徹尾虚偽情報だろ！？」
青い竜『ていうかさっきから見てたけどテンションがおかしい！心霊リポならもっとこう暗くしろや！怖さの欠片もないし！』
青い竜『そもそも吸血鬼エリー○は鬼太○さんが貸本時代からの古参なんだからな！もっとリスペクトしないと！幼気と妖気かけたって字面見ない伝わらないよ！』
佐天 ｼﾞｰｯ
青い竜『ガルルルルルルルルルルルルッ！！！』
佐天「無理じゃないですかね。おもっくそツッコんで不満をぶちまけたあとじゃあ流石に」
――廃工場
佐天「てかなんでここに……あぁいいや、取り敢えず事情はいいから応急手当しますね」
青い竜『オレ、オマエ、マルカジリ！』
佐天「やってみろこら！パンツで動揺してボロ出した人が出来るもんであれば！」
青い竜『俺が特殊みたいな言い方止めてもらえるかな？俺はむしろ紳士な方だよ？』
青い竜『知り合いには「じゃあお願いします」って二つ返事するアホもいるんだし』
佐天「竜なのに交友関係が爛れていますよね。ほぼエロいおっさんの思考パターンじゃないですか」
青い竜『まぁ引いてんだけどな。あぁそういやアイツも青かったっけか』
佐天「まぁそんなんはどうでもいいから傷口よく見せなさい！じゃないと広げますよ！？」
青い竜『治療したいんだかトドメ刺しに来たんだか分かんないよね、君』
佐天「じゃあ傷口拝見しますよっと……あぁまだ血？が止まってないんですね。痛いですか？」
青い竜『――いや、雨だよ』
佐天「バレたからって適当にネタぶっ込んでくるのやめませんか？なんだったら傷口に手ぇツッコミますよ？」」
青い竜『だから大丈夫だって！ちょっと無理したから開いちゃっただけでさ！』
佐天「何か布、布……スカート切るわけにもいかないですし、どうしよっかな」
青い竜『だから、君さ？人の話を聞こう？なぁ？』
佐天「あ、じゃあ体育で使ったジャージなら予備もありますし」 ｺﾞｿｺﾞｿｯ
青い竜『いや本当に平気ですから！放っといてください！』
佐天「最初の『ガルルル……』とはエッライキャラ変わってますけど」
青い竜『あぁそうそう毒だ、毒！俺の血は人間にとっては猛毒なんだよ！なんかキモい色してるし！』
佐天「瓶に詰めてスライムに混ぜたら綺麗っぽいですよね」
青い竜『ユーチューバ○感覚で！？人の体液をなんて事に使うんだ！』
佐天「てかもう最初に触っちゃったんですけどあたし。死んじゃうんですかこれ？」
青い竜『ど、どうだろう……？俺も初めてだから分からない……！』
佐天「把握しとけオイ」
妖精「――人が目を離した隙に……何をしやがってるんだ貴様は……ッ！」
青い竜『あ、おかえりー。どうだった？』
妖精「ダメだな。自立可動式フィギュアの真似をしても小銭貰うのが精々だ。まぁガムテープは買ってきたから、ほら」
青い竜『えー、それで傷口塞ぐの？肌荒れそうじゃないですかー』
妖精「鏡を一度見るのをオススメするよモンスター。単純な生命力で言えば……明日大隕石が降って来て、人類の殆どが滅亡してもお前は死なんよ」
青い竜『もう不幸なんだか幸運なんだか分かりゃしねぇよな！』
妖精「というかだこのバカ。どっから連れ込んだその女、×××もついてないクセに」
青い竜『ないの！？マジでそれ初耳だわ！？』
妖精「あるのもいるしないのもいる。ただ大抵は”個”として完結している場合が多いから、生殖能力は退化している傾向が強い」
青い竜『嬉しくねぇなぁ……あ、つーか別についてても竜相手にエロいする癖（へき）は流石に」
妖精「神や妖精、人と交わって英雄を生む場合もしばしばある」
青い竜『どんな癖だよ。人類の振れ幅って意外とルーズなのな！』
妖精「まぁこの女もある意味無限すぎる可能性の一つと言えなくもない」
青い竜『……？』
妖精「”人払い”をしているのにどっから入って来たんだ？ここがコイツの住処だったら効かないのも分かるが――おい、聞いているか？」
青い竜『お前見たらフリーズしちまってんだよな。なんか魔術でも使った？』
佐天「し」
青い竜・妖精「し？」
佐天「新種のUMAと揃ってキタァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ！！！」
青い竜『誰がUMAだよ。確認されてるよ』
妖精「あんな新参どもと一緒にするな。不快極まりない」
佐天「ちょっとなんですかっ！？超可愛いですよね妖精さんっ！！！」
妖精「なかなか見る目があるな愚民よ！特別に直言を許可してやろう！」
青い竜『おい、収集つかねぇから二人とも落ち着けよ』
佐天「動画を撮らせてとは言わないから！せめて写メか一緒に一枚だけ、ねっ！？」
青い竜『どんな撮り方しても「最近のCGってリアルだよね」で終わるだろ。今素人が作っても暇と情熱（※欲望）欲望さえあればそこそこのができるんだぞ』
妖精「論点が違う。そこじゃない」
佐天「じゃあ逆に！あたしが作ったって言い張りますから！」
妖精「そこも少し違うんだよ。そうではなくって、おい娘」
佐天「娘、ではなくてですね、佐天涙子と申します」
妖精「では佐天。我々を見てどう思う？」
佐天「prprしたいです」
妖精「どっちをだ！？てかなんでそう思った！？」
佐天「あぁつまりあたしのテンションがそれだけハイになってるって事ですよ！別に邪な思いではないと言っておきましょう！」
妖精「……ぶっちゃけて話せば、だ。こっちのバカはちょっとしたヘマをやって全部失った。見ての通り大ケガまでしている」
佐天「あぁやっぱり大ケガじゃないですか。話は聞きますから、その前に手当てしちゃいません？ガムテで」
妖精「そうだな。そちらの方が建設的か。ガムテだけどな」
青い竜『あの……ガムテ以外に選択肢は？肌荒れそうで嫌――痛いっ！？」 ﾌﾞﾁｯ
佐天「あぁすいませんすいません！ゴミがついていたと思ったら鱗でした！素材ゲットです！」
青い竜『どうしよう……！？俺は生まれて初めて身の危険を感じている……！」
妖精「割りとあったぞ？バカだから気づけなかっただけで」
――廃工場
佐天「――んで、カエル人間をゲットしようとしてノコノコ来た訳です」
青い竜『いないよ？君もっと現実を直視した方がいいんじゃないの？』
佐天「ファンタジー世界のほぼ全てに顔を出す人には言われたくないです。あ、人じゃないですね。えっと、お名前は？」
青い竜『あぁ俺はか――』
妖精「オイ」
佐天「か？」
青い竜『……か、快楽○？』
佐天「エロ本か。てゆうかご両親が子供に性的な名前はつけないよ！」
青い竜『あぁ、ホラ！快楽天ビース○ってあるし！見た目こんなんだからさ！ビースト繋がりで！」
佐天「あのエロ雑誌別冊が発刊されたのはつい近年……本当だったらあたしよりも年下になりますけど」
佐天「なんか事情があるってのは分かりますし、なんかいい名前……あぁではピー助で！」
青い竜『やめろ。人に大長編ドラえも○の首長竜の名前をつけるのやめろ』
佐天「ちなみに豆知識ですが、ピー助は首長竜という爬虫類の一種であり恐竜ではないんだ……ッ！」
青い竜『タイトルで言ってんのに！？恐竜部分ってノリで仲間にしたティラノだけか！？』
佐天「てか随分人間社会について博識のようですが……じゃあなんとお呼びすれば？」
妖精「こいつはドラゴン、私は妖精さんと呼べ。あまり馴れ合ってもいられない」
佐天「……なんか危険な事情があったりします？」
妖精「深く話せば貴様も巻き込まれかねん。かといって巻き込んだところで我々に利がない――一応聞いておくが、能力者としてのレベルは？」
佐天「こおぉぉっ……ッ！」 ｿﾖｯ
妖精「手で仰いだ程度の風を起こせる能力か。その、なんだ、宴会芸でつかえる、な？」
青い竜『言葉選ぶんだったら最後まで選べよ。慰めが雑なんだよ』
佐天「あぁいえお気になさらず。この街の殆どが『一発芸としてやったらオイシイか、それ未満』なので」
妖精「なのでまぁ、貴様に話すことはない――と、言いたいところだが」
妖精「今の我々には貴様をどうこうする手段を持ち合わせていない。口封じするにもこっちのこれが役立たずな上にヘタレだ」
青い竜『ふざけんな。姿見られたぐらいで人殺しなんかできるわけがねぇよ』
妖精「と、言っている以上、こちらは貴様の良心に縋るしかないと。オーケー？」
佐天「あたしもご迷惑をかけたくはないので、お二人の邪魔になるようなことはしませんし、するつもりもありません」
佐天「ただ一体何をやってきたのか、これから何がしたいのかとか、話してくれればお力になれるかもしれませんよ、とも」
妖精「どうだ、”理解者”？」
青い竜『まさか追われる立場まで理解出来るとは思いもしなかったが……まぁいいんじゃないか、ある程度は」
佐天「あざっす！」
妖精「まぁ事の発端はこの世界には二つの世界があるんた。一つは科学サイド、貴様――お前たちの住む世界」
佐天「あぁ物質的な意味でですね。分かります」
青い竜「（あ、コイツまともに話す気ないんだな）」
妖精「もう一つが魔術サイド。私たちの世界であり、そっちの住人だったんだが……ヘマをした」
佐天「……なにをどうしちゃったんです？」
青い竜『えっと……』
妖精「言ってやれよる。大爆笑だ」
青い竜『あの……ちょっと色々あってね？こう「今から反撃だ！」って時にさ、駅でウロウロしてる子が居てね？』
妖精「女の子だったなぁ」
青い竜『いいだろそこは強調しなくても！てか俺じゃなくても助けるわ！』
佐天「人助けしたんだったらいいじゃないですか。尊敬しますよ、あたしは」
青い竜『……そう言ってくれると少しは救いになるんだけど……戻れなくなってね』
佐天「……はい？」
妖精「他人のために力を使ったら、はいタイムオーバー。定着して全部失ったと、それだけの話だ」
佐天「ちょっと要所が理解できませんでしたけど。やっぱり、元・人間の方なんですね……」
青い竜『ううん違うよ！俺は生粋のドラゴンだよ！生まれも育ちもロンドンさ！」
佐天「歴代ロンドン市長の名前を一人でもいいから述べよ」
青い竜『シャーロック・ホームズ』
佐天「ドラえも○ネタも知ってるし、恐らく学園生だった、と」
青い竜『くっ！鋭いな！』
妖精「漫才するな。まぁこちらは大体そんなところだよ。これ以上具体的には言えない」
佐天「はぁ大変だったんですねぇ。これからどちらへ向われるおつもりなんです？」
妖精「怪我が癒えるのを待って、あとは我々の世界のツテを辿ってだな」
佐天「ならウチで飼います！……って普段なら言うんでしょうけど、このサイズは流石に無理ですよね……頭だけしか入りません」
妖精「理解してくれてなによりだ。それで少女よ、貴様が我々に少しでも同情してくれるというのであれば頼みがある」
佐天「はいっ！なんでもどうぞ！」
妖精「今日ここで見聞きしたとこは他言無用の上、二度と近寄らな――」
佐天「お断りします！」
青い竜『一秒前になんでもって言ったじゃん』
佐天「いやぁでも気になるのは気になりますし？あたしもここでさようならってのは、ちょっと心情的にアレかなぁって」
妖精「だからといって貴様に出来ることなど何もないが？」
佐天「そんなことないですよ？なんかこう傷の手当てする包帯とかあった方がいいんじゃないですか？」
妖精「必要ない」
佐天「他にも食べ物とか？何食べるか分かりませんけど、コンビニやスーパーで売っているものなら調達できますけど」
妖精「……フライドポテト」
佐天「はい？」
妖精「魔術を行使するのには触媒が必要で、つまりあーなってこーなって、私はフライドポテトが食べいんだよ！悪いか！？」
青い竜『悪いだろ。それであっさり前言翻すんだったら』
佐天「じゃあそれで！」
――とある路上 三日後
佐天『……』 ｺｿｯ
佐天『……』 ｷｮﾛｷｮﾛ
佐天『……』 ｻｻｻｯ、ﾀｯ!
……
初春「あー……クロですね−、もうこれ以上ないってぐらいのクロですよー」
御坂「またなんか心臓に悪い事をしてるのか、あの子は」
初春「まぁどうせ野犬を飼ってるとか、ゲカした猫の面倒看てるとかそんなんでしょうけど」
御坂「――ホームをレスした汚（お）っさんたちに代わる代わるエロいことをされる佐天さん……！」
初春「待ってください？その妄想酷くないですかね？」
御坂「あたしがちょっと欝になってたら！その寂しさを紛らわせるためにこんなとこに！」
初春「ウキウキでしたよ？スーパーで包帯買い込んでたときには楽しそうでしたよね？」
御坂「脅されてるに決まってるでしょ！？じゃなかったらあんな正々堂々と書店で快楽○が買える訳がないわ！」
初春「『プレゼントなので包装してください』と言い放った勇者だと思います……！中学生なのに！」
御坂「待ってて佐天さん！あたしが今汚っさんを蹴散らして【！見せられないよ！】にするから！」
初春「こっちはこっちで大変だなオイ。白井さん連れてくればよかった」
――廃工場
青い竜『おっ？』 ﾌﾞﾙﾌﾞﾙｯ
佐天「どうしました？」
青い竜『いやなんか寒気が？風邪でも引いたのかな？』
佐天「全裸ですもんね」
青い竜『あぁもうなんかそのボケに突っ込むのも面倒になってきた。全裸サイコー！よく見たらついてたぜ！』
佐天「何がですか」
妖精「また来たのか。貴様も懲りないな――いいか？この世界には境界線があって」
佐天「はうどうぞー。ミニストッ○のXフライドポテトとファミ○の皮付きフライドポテトですよー」
妖精「もぐもぐもぐもぐもぐっ！！！」
青い竜『やだこの妖精。いつのまに食いしんぼうキャラになったの？』
佐天「ピー助も食べます？チキンありますよー？」
青い竜『俺はいいよ。君が食べないんだったら相方があとで貰うから、置いててくれれば』
佐天「ですか？せっかく好きそうなの買って来たのに」
青い竜『折角食費がかからないのに、何か食ったら反動で超お腹減りそうで怖いんだよ』
佐天「あー、分かります。超お腹空いてるのに、少しだけ食べても余計に食べたくなりますもんね」
青い竜『それに――あぁ知ってるか？タイかどっかのトラを大量に飼育している寺院があってだ』
青い竜『そこではトラに血の味を覚えさせないため、血抜きして茹でたエサを与えてるんだってさ』
佐天「なおトラの不法売買が発覚して潰されましたけどね、そのお寺」
青い竜『なんて話だ！？最近テレビで見ないのそういうことか！』
佐天「なんで詳しいんですか……て、ゆうかちょっと聞いてもいいですかね？」
青い竜『いや俺はずっと竜よ？産まれた第一声が「リオレイ○マジ強いわー」だったもの』
佐天「モンスターですよね？ハントするアレの初心者が心折られる最大の原因って言うか」
佐天「ではなく……その、帰りたい、とか、戻りたいってのは、ないのかな、って」
青い竜『……』
佐天「なんだったらあたしが手紙を代筆するとか、事情を話して連れてくるとか、そういうのは――」
青い竜『あぁいいんだいいんだ、そういうのは。多分それをやっちまったら全部ぶち壊しになるから』
佐天「でもっ！」
青い竜『まぁ、うん……もういいかなって。俺じゃない俺が、俺よりも上手くやるって言うんだったら』
青い竜『俺がノコノコ出ていってぶち壊しにすることも、まぁ……うん』
佐天「よく分からないんですが……」
青い竜『だから今の俺は上条当麻なんかじゃない。ただの快楽天ビース○だ』
佐天「まだそのネタ引っ張りますか。苗字が快楽○なんて斬新すぎやしませんかね」
佐天「あ、そういえば買って来ましたよその本」
青い竜『マジで！？中学生かあれ買っちゃダメだよ！法律的に！』
佐天「あぁ大丈夫です。『プレゼントなので』って言ったら普通に買えました」
青い竜『勇者が……！勇者がここにいる……！』
佐天「ピー助が何にも食べないから不安で……好物ですよね？」
青い竜『べ、別にそんなんじゃないしぃ！？俺はただ村田蓮○さんのイラスト目的で買ってるだけだからぁ！？』
佐天「その方のは載ってませんよね？本誌の方でしかなかったんじゃないですかね？」
ﾋｭｳﾝｯ――
青い竜『危ない！』
佐天「え」
――――――ﾄﾞｫｫｫｳﾝｯ!!!
佐天「ちょっ！？な、なに？ミサイル！？ミサイル撃ち込まれたの！？」
青い竜『……だったらまだマシだったんだけどな』
御坂「――佐天さんを人質にとるなんて……卑怯よ！」
初春「何やってんですか御坂さん！？いきなり撃ち込むだなんて！？」
佐天「御坂さんと初春――誤解してます！この人は危険な怪物なんかじゃないんですよ！」
御坂「い、いや、違う……わ？そいつは敵……よぉ☆」
初春「御坂さん！」
佐天「……さ、今のウチに逃げましょう！」
青い竜『――慣れって怖いよな』
佐天「な、なんての話ですか！」
青い竜『自転車に乗ったつもりでこぎ始めたら、いきなり前輪が外れて倒れたとか、そんな感じ？まぁ今まで頼りっきりだった俺も俺だが』
青い竜『俺の中のアイツに相棒まで奪われたってのを忘れてた。はは、参ったな……』
佐天「ピー助……その――腕……ッ！？」
青い竜『うん、逃げられないんだよ。打ち消したつもりが残った腕と翼、バッサリと持って行かれちまった』
青い竜『あぁ見た目ほど痛くはないんだ。心の痛みに比べれば、全然』
妖精「――無様だな、”理解者”。ここで膝を折り処刑を待つだけなのか？」
青い竜『悪い、少し疲れちまったよ。だったらせめて知り合いにケリをつけてほしい』
妖精「貴様が……ッ！」
青い竜『なぁ”共犯者”。この子がここに来たのはいつだったか憶えてるか？』
妖精「そんな事を言ってる場合か！」
青い竜『三日前だ。俺たちが追撃されてここに逃げ込んだその日の夕方、俺の零した血も乾きってない頃に出くわした』
青い竜『カエル人間だっけか？ゲコ太だかケロロ軍○だかって噂を聞いてきたんだったら――計算が合わない』
妖精「……なんだと？」
青い竜『だからさ。俺たちが逃げ込んだ日には、既に罠が張ってあったんだよ』
青い竜『UMAとか、ゲコ太だの、俺たちへ仕向ける猟犬としては最悪のヤツを呼び込むために、だ』
妖精「……どうするつもりだ？」
青い竜『どうもこうも。これ逆に人質とられてるも同然だかんな、俺はただのビーストで逝くさ』
妖精「……やれやれ。仕方がない、最期まで付き合ってやろう」
青い竜『……いいのか？』
妖精「どっちみちこんな狂った世界に未練などない」
青い竜『……ごめん』
妖精「構わんよ。そして恐らく、我々の旅路はまだ終わらん」
青い竜「え」
御坂「――敵、全部奪った――返しなさぁい☆」
佐天「やめて御坂さん！？」
初春「佐天さん離れてください！そこにいると危な――」
御坂 ﾊﾟｼｲｨﾝｯ!!!
青い竜『――おいビリビリ正気に戻れ！間にその子がいるのにぶっ放――』
御坂「……」
――ﾄﾞｫｫｫ――
佐天「――――――っ！」
――――――ﾊﾟｲｨｷｨﾝｯ………………!!!
初春「は……弾い、た？……いや打ち消し、あれ？」
青い竜『ちょっと待てよ！？あれって！』
妖精「兆候はあったんだ。元魔神で現妖精のありったけの力を使った『認識阻害』を易々入って来たり」
妖精「その後も何度か記憶を弄ろうとしたが無理だった。まぁ、つまりそういうことさ」
青い竜『でも！”あれ”はアイツが！』
妖精「前の持ち主を見限ったんだろう。『右手』だって愛想もつかすさ」
妖精「取り敢えずお前はぞげぶしてもらったらどうだ？元の姿に戻れるかもしれんぞ？」
青い竜『俺は……いいや。人に戻っちまったらダメだ』
妖精「ほう、何故だ？」
青い竜『今からこの子をアイツらから守らなくちゃいけない。俺が戦った悪意や一握りの善意の全てから』
青い竜『そのためにも竜の体と強さが必要になる……だから、今は戻れない……！』
妖精「――ふっ、誰かのためには、か」
佐天「あ、あの……？これって一体……？」
妖精「取り敢えずそこでフリーズしてる友達の頬を引っぱたいてやれ。それで多分正気に返る」
御坂「て、敵……☆」
妖精「何か踏み出せなかったり抵抗があるのなら……そうだな、声高らかにこう宣言するがいい」
妖精「世界へ対する新たな『調停者』の産声を聞かせてやれ――」
妖精「『――お前のその”幻想”をぶち殺す！』と」
――
監督「――はいカットぉぉぉー！予告用のムービー撮れました！お疲れ様でしたー！」
佐天・御坂・初春「お疲れ様でしたー！」
上条（着ぐるみ）「いやあの……納得できないんですけど！俺なんで脇役！？前作の主人公枠ってどういうこと！？」
佐天「ですから第三部の主人公はあたしってことに」
上条（着ぐるみ）「先週のネタ企画で終わったんじゃなかったの！？俺も呼ばれて『これ着て』って言われてなんだって思ったよ！」
佐天「キャラグッズ的に購買力ってのがありまして」
上条（着ぐるみ）「いや分かるけど！確かに君ら四人がこっちに合流した方が人気出るって薄々感づいてはいるけど！」
佐天「薄々は知ってたんですね……」
御坂「まぁいいじゃない！折角合流さたんだからこれはこれで！」
御坂「ともあれ！新レギュラーになったんだし、今から親睦を深めるために食事でもいきましょうか！」
上条（着ぐるみ）「超ノリノリっすねビリビリさん」
佐天「あたしの予想ですが、こっちだと噛ませ犬orカプセル怪獣（ウィンダ○）扱いされてたのが、そーとー頭に来てたっぽいです」
上条（着ぐるみ）「そしてそのヘイトが全部俺に向うんだよな！俺が仕組んでるんじゃないんだよ！」
佐天「まぁともかく第三部（予想）を記念して！白井さんと合流して遊びに行きましょうか！」
上条「それはそれで不安なんだよ」
オティヌス「……なぁ」
初春「はい？」
オティヌス「まさかとは思うが、このネタの一部でも現実になったりはしないよな？」
初春「22巻リバースが”上条さんが見た夢で、実はドラゴンのまま戻れなくなってた”ってのは流石に……」
オティヌス「それでも絶対じゃないからな？安全地帯なんてないんだからな！」
初春「まさかとは思いますが、主人公から引きずりおろされて主人公”格”になるのはあり得るかも……！」
オティヌス「まぁそれはそれで一部のファンは喜ぶ、か？」
上条（着ぐるみ）「いいよもう！そんときには別の運営に行ってハーレム系主人公になってやるから！」
佐天「もうなってますよ？大体いつもそんな感じですよね？」
−終−