上条「……今、明かされる上条家の真実……ッ!!!」
――コンビニ
青ピ「――すんません、快楽○をホットで一つ」
上条「申し訳ございませんお客様、昨今の色々厳しい事情につきまして当店ではそのようなエ×い本は取り扱っておりません」
青ピ「そんなに規制規制て!この多文化共生&グローバル化社会の中で許されると思ぉてんの!?」
上条「公共の場で性癖叫んでパレードする人たちもいれば、公共の場にエ×本売るなって圧力かける人もいる訳で」
上条「問題なのは片方を絶賛してもう片方を扱き下ろす連中は、大抵同じ人だってことかな」
上条「ただホットミル○は『お陰様で表紙に気を遣う(=店頭に置けない)必要が無くなった』って言ってるがな!」
(※by編集部)
青ピ「なんやて!?お客様は神様やって言ってたやないの!?」
上条「それオフィシャルが『お客様って言っても観客の意味であって、この言葉を悪用するようなアホじゃない』って否定してるから」
青ピ「そんなに口答えしてええと思ぉてんの!?こっちにはクレーマーの先生がついて来とぉよ!」
上条「知らんわ誰だよクレーマーの先生って」
青ピ「センセー!センセー出番やで!」
土御門「ホッホッホッホ、ここが件のコンビニじゃけんのう……!」
上条「謝れ!熊本の人に謝って!『取り上えず”じゃけん”ってつければそれっぽく聞こえるんじゃね?』って安易な判断すんな!」
土御門「俺はクレーマーの神様……略してクレ神」
上条「ビッマリマ○でいそう。もしくはゲーセンのUFOキャッチャーコーナーで店員さんに迷惑そうな目で見られてそう」
土御門「なぁ店員さんよぉ、ちょっといいか?」
上条「な、なんですか?」
土御門「このセルフコンビニコーヒーのところのオシボリ、狭いスペースにあるからコーヒーを置きづらいんですけど!?」
(※特にセブ○)
上条「細かいわ!?あぁまぁ確かに俺も『これ邪魔くね?』って薄々思ってたけどもだ!」
土御門「てかスペース的にもギリギリだから必然的にオシボリの上へコーヒーを置かなきゃなんなくて不安定なんだが!?」
上条「お前もだよ?てゆうかお前らも不安定だよ?」
土御門「そしてハロウィン・夏休み・クリスマスで、コーヒーのカップがイベントの柄へ変るけど、早く配っちまってまた普通の柄へ戻ると損した気分に!」
上条「余らせても後からは配れないからだよ?来年まで寝せたりしたらそっちの方がモニョるだ。いや紙コップだから別に問題はないだろうけど」
土御門「そしてコーヒーのフタは一番上から取れ!一番上のを脇に避けて二番目から下を取るぐらい神経質だったら、コンビニコーヒー飲む資格がない!」
土御門「お前は『あ、上からとるのヤーダー』って思ってるだろうが、お前のその汚い手でタッチした方がよっぽど汚いわ!」
土御門「あとセルフで置いてるシロップは溶けにくいアイス用のもんであってパカパカパカパカホットにぶち込んでんじゃねぇよ!」
上条「すげーなクレ神。さっきからコーヒーの話しかしてねぇな。いやいるけどそんなオッサン」
土御門「そして一年に二回ぐらい、コンピニプリントを利用するときに限って後ろにコピー待ちの客が……!」
上条「別にいいだろ。順番なんだから」
青ピ「カミやんなんて酷い!?ラミカの見本を綺麗な機械で刷りたい人だっておるのに!?」
上条「お前らの想定している業種が特殊すぎる。そしてその人は今年は忙しくないと思う」
土御門「お陰様で最近は悩んでるぜぃ!不惑なのに悩むとはこれ如何に!」
上条「いいの?そんな切ない状況を使ってまで笑いを取りに来る必要あるの?」
青ピ「どぉやぁ?そろそろ泣きたくなってきたんちゃうかい!?泣いてもええんやで!」
上条「別の意味で泣きそうだよ。そしてクレ神の言ってることは店舗側が『ウゼーこの客』って思ってんのと大体同じだよ」
青ピ「まぁそれはそれとして今年発売の最優秀同時エ×ゲーは『魔法少女セレスフォニ○』でフィナルアンサー?」
上条「クレームの話してなかったっけ?今二・三行飛ばしたかと思って確認したけど、そんな話してなかったよな?」
土御門「いや、俺的には同人ならではのゲーム性を評価したいと思うぜぃ。大手が『これは同人じゃなきゃできない』ってインパクトがほしい」
土御門「まぁそういう意味ではRPG部門では『傭兵の冒○』、アドベンチャーだと『Mazurka 〜リンネの花時計○』」
土御門「そして今までのシリアス路線を全部捨ててエ×いだけの内容に特化した『大金欲しいギャ○』は、今頃制作が『今まで丁寧にシナリオ作ってきたのは何だったんだろうorz』ってヒザついてると思う」
上条「だから知らねぇよエ×同士ゲームの話をされても!?一体何人が『分かる分かる!あと有名絵師が出す同人はシステム周りが雑だよね! 魔法闘姫リルスティ○とか!』って言うんだよ!?」
青ピ「流石はカミやん怖ろしいお人やでぇ……!みんな薄々思っとぉても『まぁCG集だと思えばエエね』って割り切っとぉたのに!」
上条「そして海物○の新作に全部食われて行方不明になった俺たちの台が……!」
土御門「あぁうん、その、あれだカミやん。台の人気かどうかは版権料とは関係ないから、まぁ?パチ台メーカーにダメージを与えたと思えば、うん」
上条「てかお前ら帰れよ邪魔だよ!暇な時間帯狙ってくるのは嬉しいけど!廃棄予定のおにぎりくれてやっから!」
(※ほぼ違法です)
青ピ「『幻想少女大戦コンプリートボック○』の周回パッチっていつ出んねん!?嫁ポイント全振りしたボクの大妖○ちゃんを使えるんは!」
上条「ねぇ聞いてた俺の話?てか学校でいいよね?今しなくたっていい話だよね?」
土御門「まぁ、聞いてやれカミやん。戦闘が目的のゲームなのに戦闘以外のステータス爆上げしちまった男の声を」
上条「ヒーラーに戦闘特化させてどうすんだよ。SP回復増加あると戦艦いらずで助かっけども」
???「あ、あのっ!」
上条「ラッシャッセー!すいませんねっ!ただいまアホ二人は帰しますから!」
土御門「店員さんと青ピがハケてどうするつもりだにゃー?」
青ピ「いやいやお前と店員ですやん?」
上条「だからいらんボケを挟むな!いいから離れてろ!お客さん怯えてんだろ!」
???「い、いえいえいえいえっ!」
土御門「どっちかっつーとカミやんのツッコミじゃねーかなコレ」
???「こ、こここ、こちらを一つくださいなっ!カードでっ!」
上条「はい、おにぎりですね。こちら温めますか?」
???「――――――えっ……?」
上条「はい?おにぎり、温めますか?」
???「――あ、は、は、はいっ!」
上条「では少々お待ちください――はい、お気を付けください」 チーン
???「……」 ジーッ
上条「あ、すいません。レジ袋はご入り用で」
???「し、し、ししししししし失礼しみゃすっ!!!」 ダッ
上条「ラッシャッター……変ったお客さんだな。常盤台の制服着てたけど、あの学校イロモンしかいねぇのか」
青ピ「あかんなぁ……今のは店員さんが悪いですわー。100点満点中78点やったわー」
上条「結構な高得点ありがとう。そしてあれ以上の接客ってないよ?あとは個人の顔面偏差値で補正入るぐらいしか」
土御門「分かってないにゃーカミやん。よしじゃあ俺がお客さんやるから、カミやんは店員さんで」
上条「ショートコントだろそれ!?なに客ハケた瞬間悪ふざけする体勢に入ってんの!?」
青ピ「『――ここが最近できたローソ○かぁ』」
上条「ローソ○じゃねぇよここセブ○だよ!まぁ以前タイアップした手前ローソ○の方が好感度高いけど!」
上条「誰とは言わないが某ビリビリがローソ○店員服着てるの見て思ったさ!『え、これ時給なの?10分ごとに貰えるんじゃなくて?』ぐらいホザくってな!」
土御門「まぁ第三位の弱点その二は金銭感覚だからな。ちなみにその一は男の趣味」
上条「顔はいいんだから騙されるやつそこそこいると思うんだが……」
青ピ「『店員さん!これ!悪魔のおにぎ○!』」
上条「だから違うっつってんだろ……温めます?このままで?」
青ピ「ちゃうねん!そこがまず違うんよ!つちみーやってみぃや!」
土御門「『いらっしゃいませお嬢様、ご注文はお決まりでしょうか?』」 キリッ
青ピ「『やだ……私の王子様っ……!』」
上条「コンビニで一々そんなんやってたら経済止まるどころの話じゃねぇよ。回転率が一時間客数人レベルにまで落ちるわ」
青ピ「『あの、これを一つくださいな』」
土御門「『あぁ最近転生者が持ち込んだオニ・ギリーですね。お目が高うございます』」
上条「どういう世界観?異世界でコンビニなのにファンタジーな人が店員やってて、しかもお嬢様が直で買いに来るの?」
土御門「『こちらは現在冷たいままなのですが、温めますか?それとも――』」
土御門「『――優しく抱きしめますか?』」 キリッ
青ピ「『カッコイイ!抱いて!』」
上条「あー俺それ知ってるわー。カッコ※ただしイケメンに限るカッコ閉じって書いてあるヤツだわー」
(※ただしイケメンに限る)
土御門「ままでやってどうにか90点だ!まぁ精進するがいいにゃー!」
青ピ「ありがとうボクらのクレ神様!」
上条「クレームする人じゃなかったっけ?何お前演技指導して仕事終わりましたみたいな顔してんの?」
ベーッ
上条「ッシャマセー」
御坂「今のをプリーズ。できればテイクアウトで」
上条「ちょっと何言ってるのか分からないですね!てかお前らも言ってやれ!」
土御門「――くっ!前の大戦で負った傷口が、開いて……っ!」
青ピ「――あ、ゴメ。ザコ敵で一掃するのにSP使い果たしたから、一旦下がって補給してるよって!まいど!」
上条「ホンッッッッッッッッッッッッッット役に立ねぇなお前ら!?どっちも使い古されてんだよ!」
土御門「まぁまぁ後は怖いから俺たちはここで退散するぜぃ!じゃあな!」
青ピ「やんな!ボクらはカミやんの幸せだけを祈っとぉさかい!」
上条「帰れ帰れ!二度と来んな!」
――コンピニの外
土御門「どうする?どっか寄ってメシでも食ってくにゃー?そろそろ夕方で混んでくるし、早めに席確保したいんたぜぃ」
青ピ「……」
土御門「どしたん?」
青ピ「あぁいや……なんや手が震えとぉ……?なんやろね、これ?」
土御門「多分まず確実に第五位が仕込んでた後遺症だが……あれ?てか青ピ、よくナンパしてなかったな?」
青ピ「あの子カミやんのツレやろ?ボクもそこまで見境ない……こともないけど」
土御門「ないだろ実際。いやそっちじゃないぜぃ。その前に来てた常盤台のツーテールの子」
青ピ「ん?あぁうん、そやんね……なんでやろ……?エッライ可愛えぇ子ぉやったのにな……?」
土御門「実は男の娘説」
青ピ「大した問題やあらへんよ?」
土御門「お前そっち方面ではほぼ無敵だな!じゃあなんで?」
青ピ「いや、分からへんけど……?まぁエエわ!店員さんがエ×い服着とぉ店へゴーや!」
???「――ごめんなさい。お話が、あります」
土御門・青ピ「はい?」
――翌日 コンピニ
上条「ッシャシター」
土御門「……おぅカミやん」
上条「お帰りはあちらです」
土御門「……あぁ、どうもだにゃー」
上条「うん?どした真面目な顔して?」
土御門「あぁいや真面目っちゅーかなんつーかな。あーっと、アレだ、お疲れだにゃー?」
上条「そんなには疲れてないな。てかさっきまでお前らと同じクラスにいただろ」
土御門「で、差し入れ!フリス○だぜぃ!」
上条「なんでだよ。あぁいや嬉しいのはちょっとあるけど、なんで封切ってあるやつだよ」
土御門「ん?なんかこう疲れた顔してっから、マッハで眠気覚ましが必要だよな!」
上条「そ、そう?自分じゃ分からないけど」
土御門「そうそう!○さんみたいな死んだ魚の目をしてる!」
上条「あれはいいだろ!○さんはあれがトレードマークなんだから!」
土御門「まぁお一つどぞー?」
上条「あぁこりゃ丁寧にどうも――ってデカっ!?このフリス○錠剤ぐらいの大きさだな!?」
土御門「新発売だってさ!」
上条「ラムネじゃねぇか。前から薄々思ってはいたが、スタイリッシュなラムネがウリなのに寄せてってどうすんだよ……まぁいいわ、じゃあ一つ」
上条「――ニッガ!?超苦いんですけどこれ本当に食べていいやつなのか!?」
土御門「勿論だ!こう子供が間違って食べないように味付けされてるだけだから害はない!」
上条「そっかー、じゃあよかった……何?お前今何つった?」
土御門「そ、それは」
青ピ「――待ちぃなカミやん!この薬は飲んだらいかん!」
上条「おぉいらっしゃいませ。もう食っちまってっけど、なんで?」
青ピ「……落ち着いて聞きぃよ?あんな、ボクら脅されてんのよ……!」
上条「オイオイ穏やかじゃねぇな。誰にだよ?」
青ピ「名前は分からん!ただエラく怖ろしい相手やった!ボクらのエ×BLコラをバラまくって!」
上条「超タチ悪いなそいつ!」
青ピ「最初はボクら二人でカミやん騙すっちゅー話しやったんやけど……そこのアホが!『ドロを被るんだったら俺一人でいい』って!」
上条「土御門……!」
土御門「――フッ、悪いな青ピ。実はお前を試してたんだぜぃ」
青ピ「ボクを……?」
土御門「あぁそうだ!お前が止めてくれるだろうって確信してた!」
青ピ「つっちー……!」
上条「ご歓談中に申し訳ないんだが、間に合ってないよな?何の薬飲まされたの?」
土御門「そいつぁただのビタミン剤だにゃー。どうせギリギリまで迷うって分かってたから、俺が前もってすり替えといたんだにゃー!」
青ピ「すり替えとぉって……もしかしてホテルのテーブルの上にあった?」
土御門「ん、そうだがそれが?」
青ピ「や、な?ボクもつちみーは信用してん?信用してんのやけど、まぁ万が一っちゅーこともあらぁな?念のためっちゅーか?」
土御門「まぁ否定はしないんだにゃー」
青ピ「やからあの女からもらった薬とテーブルの上の薬と差し替えといたんたよ、うん」
上条「……つまり?」
土御門「あ、ごめんカミやん!今飲ませたのはぐるっと回って用意されたブツだったわ!」
上条「ザッケッンなテメー!?今の下りいらねぇだろ!?普通に一服盛られた方が楽だ――」
上条「――」 パタッ
青ピ「おぉ……凄い効きよるな。これからどうしますん?」
土御門「盛っちまったもんはしょーがねーし、当初の予定通り引き渡すぜぃ!」
青ピ「まぁ結果オーライやんね!ただの不幸な事故っちゅー話で!」
――どこかの薄暗い暗い部屋
上条「――な、訳ねーだろボケども!お前らやったんかんな!えっと、学校で姫神に『こらっ』って叱ってもらうぞ!」
???「隠しきれない小物臭がする訳。自分でやんなさいよ、何女の子に任せてんのよ」
上条「何言ってんだよ?!姫神に叱られたい男子がウチの学校に何人いると思ってんだコラ!?」
???「ごっめーん超興味無いわー。あるとすれば偏差値?」
上条「ひ、低くはないよっ!ただみんな強度が高くないからまとまってるだけであって!みんないいこばっかだよ!」
???「まぁ、そんな話はどうでもいい訳よ。あんた、自分がどんな状況に置かれてるかって確認する方が先じゃないの?」
上条「いやいや、どんなってお前――なんだこれ?!身動き取れない……ッ!?」 ギシギシッ
上条「木のイスに足首から胴体、手首が縛られて固定されてる、だと……?」
???「はい説明台詞ありがとー。まぁ確認したところで何が変るってんじゃないんだけどね」
上条「どうせ縛られるんだったらキ○椅子だったらよかったのに……!」
???「意外と余裕ある訳よね。バカだから現状を把握できてないだけだと思う訳だけども」
???「てか○ノ椅子ってどんな椅子?男装少女に縛られて固定されるってどんな需要?」
上条「――ふっ、結構拾うじゃねぇか!久しぶりにツッコミの仮面を脱ぎ捨てて、俺のボケの真髄を見せるときが来たようだな……ッ!!!」
???「超うるさいわツッコミが上手いボケ!そんなしょーもないことで盛り上がってる場合じゃない訳なの!もっと危機感持って!」
上条「……悪い。異常な状況に錯乱してた」
???「そう。ならいい訳だけど」
上条「『おれは、しょうきにもどった』」
???「その人って特に大した理由もなく親友を殺しそうとしたり親友の婚約者をNTRろうとした人よね?基本ジャンプしかしないからパーティ内の結束が疑われる人よね?」
上条「が、外伝じゃ頑張ってたよ!『お前絶対にカイ○じゃねぇか』って全FFファンはツッコんでたよ!」
???「いいから話を聞く訳よ。結局あたしらは運命共同体って訳なんだからね」
上条「運命……?」
???「――シッ!いいから黙って寝たふりしてる訳!あの悪魔が来る……ッ!」
上条「悪魔?」
バタンッ
猟虎「『――ジングルベールっ、ジングルベール、すっずっがっなーるー♪ 』」
猟虎「『今日ーはー、たのーしーいー、クーリースーマース♪ヘイッ♪』」
猟虎「……あら?」
???「あーっと悪い訳なんだけども、まだ起きてないみたいよ?さっきからずっとこんな感じで」
上条「ぐー……!ぐー……!」
猟虎「何か口で言っているかのような……男性ってみんなこうなんですか?」
???「いやあたしも知らない訳だけどさ。てかあんたには彼氏がいるんだから、あたしいらなくない?」
猟虎「フレンダさんは……何かご用事でも?」
フレンダ(???)「いやちょっと家のコタツのコンセント抜いて来たか心配になったって訳で」
猟虎「あ、大丈夫ですよ。ご招待するときに全部抜いて来ましたからっ」
フレンダ「気が効く訳だなコノアマ!間違えなかったらいいお嫁さんになる訳よ!」
猟虎「ごめんなさい!私には心に決めた旦那様がここに!」
フレンダ「いやそういうんじゃない訳よ?なんでもかんでも癖(へき)で判断するのはどうか思う訳でね?」
猟虎「あれ……あぁごめんなさい!フレンダさんも彼氏さんと先約があったんですか!?やだ、私ったら自分の都合ばっかり……」
フレンダ「あぁうん、いいのよ?次からこっちの予定を聞いた上で予めアポ取ってくれればそれで」
猟虎「ちょっと待っててください!今お連れしますから!」
フレンダ「いやーごめん気のせいだった訳だわー!彼氏なんかいなくてあたしの中でのイマジナリー彼氏だったわー!」
猟虎「もうっ!フレンダさんったら!」
上条「なんだこの超茶番」
猟虎「あれ今何か?」
フレンダ「『熱膨張って知ってるか?』」(シャクレ顔&ドヤ顔で)
猟虎「に、似てますよねっ!ビックリしたじゃないですかーもー!」
フレンダ「そういうあんたはここで油売ってていい訳?なんかクリームの良いニオイがする訳だけど」
猟虎「あ、そうでした!待っててくださいね、今ケーキ作ってる最中ですから!」
バタンッ、タッタッタッタッタッ
フレンダ「……ふぅ、ギリギリって訳よね」
上条「途中明らかに俺へ対するヘイトが入った訳だが……なにあれ?つーか誰?」
フレンダ「覚えてない訳?前に一回あんたのオヤジと一緒に捕まったのを……!」
上条「あぁあったけども!あれなに!?あそこだけの話で終わるんじゃなかったの!?」
(※反響が大きかったので)
フレンダ「おめでとう彼氏さん!ただのモブからタゲられて昇格ザマぁって訳よねっ!」
上条「嬉しく……は、ねぇ、な?うん全然全然?」
フレンダ「おい目を覚ましなさいこのアホ!いくら見た目が良いからってあんなん彼女にできる――」
フレンダ「……」
フレンダ「できるの?マジで?最近の男子って草食性とか言われてんのに、あんたは超肉食性って訳?」
上条「先に言っとくが『いくら肉食でも腐った肉は食わねぇんだよ』と。いや特定の誰かを言ってる訳じゃないが」
上条「そして今の子ぐらいだったら俺のダチは余裕で付き合うわ!むしろ喜んでな!」
フレンダ「あぁそう?じゃああんたから言ってくれない?あたしを解放するようにって」
上条「言うのは構わないけど、危険度で言ったら、えっと」
フレンダ「フレンダよ」
上条「上条当麻です。通りすがりの探偵だ」
フレンダ「親子同じギャグを使い回すな!せめてアレンジする訳!」
上条「んでフレンダさんの方がヤバくないか?『お友達の私より大事なものがあるんです?』って」
フレンダ「あー……さっきの様子だとそうなる訳か。ヤッベェ訳だなこれ」
上条「てか俺を拘束してるプラスチックのヒモを解いてほしいんだけど」
フレンダ「見て分かんでしょーが、あたしも同じって訳。縛られてなかったらとっくにぶん殴って逃げ出してるし」
上条「参ったな……なんでここまでガッチリ警戒されてんだよ」
フレンダ「あぁそれ前にあたしが下顎を爆弾で吹っ飛ばした訳だから」
上条「お前かよ!?……あぁいやごめん、なんかあったんだろうけどよく思い切ってやったな!?」
フレンダ「うん、ぬっ殺すつもりだったら。大ケガで済んで良かったわねって訳」
上条「そこからお友達?」
フレンダ「だっから超ヤベーって訳。本気でやってんのかそう見えるだけの拷問かも結局分かんないし」
上条「……確かにな。沸点や地雷がどこか見えてこないから、下手に刺激するのはダメだよな」
フレンダ「てかあんたなんか持ってないの?こうハサミとかカッターとか?」
上条「多分学生証やサイフも抜かれてる。あ、でも足は何とかいけるな」 グッ
フレンダ「そっか……!足が短い分だけ駆動域が下にあったって訳ね……!」
上条「俺は普通ですー!一部の人たちが妙にシュッとしてて日本人離れの体型ばっかなんですー!」 スッ
フレンダ「お、立った。で、何すんの?」
上条「前に一回肩外されてさ?それから強い衝撃を受けると外れっちまうんだよ」
フレンダ「おぉ!やるわね!」
上条「まぁクソ痛いんだけども、こうやって勢いつけて――あがっ!?」 ガチッ
フレンダ「うっわー……肩から落っこってた訳……」
上条「あぁでも外れた!これなら!」
フレンダ「……」
上条「……?」
フレンダ「なによ?」
上条「――あ、肩外しても固定されてるのが腕だから意味ねぇのか!?」
フレンダ「気づくのおっそ!?てか気づくでしょもっと早く!?痛い目見る前にさ!?」
フレンダ「いやあたしも途中からおかしいなーとは思っていた訳よ!『うん?ここで肩外しても……?』ってね!」
フレンダ「でも自信満々でやってから勝算ありきで何かあるのかと思ってた訳よ!?何やってんの!?ただ一人で痛い思いしたイタイやつって訳だし!」
上条「セルフS×」
フレンダ「やかましいわ!それで満足できるんだったら
上条「あ、でもほら今の衝撃でイスの腕が折れた!キ○ちゃんの腕が!」
フレンダ「勝手に名前つけないでくれる訳?なんかこう猟奇的な響きになる訳だからね?」
上条「ちょっと待ってろ!今解いてやっから!」
――
フレンダ「と、まぁ脱出ゲーム一段階まで成功した訳だけど……」
上条「ダメだ!一見普通の部屋っぽいけど、壁剥がしたら下コンクリだぜ!」
フレンダ「窓は完全な飾り、出口は入って来た1箇所だけ。そして鍵もかかっている訳だ、と」
上条「ケータイなんか当然ないしな。なんかせめて武器になりそうなもんでも……」 ゴソゴソ
フレンダ「それこそ折れたイスの腕ぐらい。バイ○かサイレン○の初期装備になかったっけ?」
上条「――あった!」
フレンダ「おっ、なんかあったー?」
上条「手紙があった!『親愛なる当麻へ』って書いてある……!」
フレンダ「なんて?つーかなにそれ、どういう経緯で見つかった訳?」
上条「俺の制服の裏に抜いてつけてあったんだ!」
フレンダ「用途違くない?いやまぁ親御さんが心配してお金でも入れてくれたんだったら、まぁありがたい訳だけど」
フレンダ「ここ脱出しても山の中で無一文だったりするし、それはそれで……まぁ」
上条「お金は……入ってないみたいだけど、取り敢えず声に出して読むな?」
フレンダ「いや別に使えそうな内容だったら教えてくれるだけでいい訳よ?」
刀夜『――詩菜さん愛してる』
フレンダ「誰宛!?お母さん宛?ケアレスミスで息子のところに来ちゃった訳?」
刀夜『父さんはいつもあなたを心配してしまます。風邪など引いてはいないとか、死亡フラグの立った金髪とエ×いことしてないかとか不安でいっぱいです』」
フレンダ「何者?随分具体的に人罵ってくれる訳だけど、どっかで監視でもしてんの?」
刀夜『他にもそう、万が一メンヘラ女に誘拐され閉じ込められたときのためにこの手紙を入れました』
上条「スッゲー父さん!ピンポイントで俺の危機的状況を予測してる!」
フレンダ「もう能力者じゃない」
刀夜『右のポケットの裏が二重底になっています。きっと役立つと思って入れました』
上条「右……?あ、なんかある!カシャカシャするなって思ったら!」
フレンダ「違和感あるんだったらもっと早くに気づきなさいよ。なんで放置してる訳」
刀夜『コンドー○です』
上条「いや違う違う違う違う違う。危機っちゃあ危機だけどそういう危機違うよ父さん」
刀夜『いざっていうときにも安心です』
上条「何のために?こ手紙の主旨ってメンヘラさんに閉じ込められた前提なんだよね?」
フレンダ「大丈夫?手紙とほぼボケとツッコミで同期してんだけど、大丈夫これ?」
刀夜『では次に左のポケットの裏を探してみてください』
上条「あ、またなんかビニールっぽいのが」
フレンダ「だから気づかない?普通気づく訳よね?」
上条「おい今度は役に立つんだよな?」
刀夜『コンドー○です』
上条「だからなんでだよ父さん!?お前の頭の中にはシモしか入ってねぇのか!?」
刀夜『二回戦もバッチリですね』
上条「やかましいわ!お前のお陰で即席パーティメンバーがドン引きしてんだよ!」
フレンダ「……まぁ正直『ジョークかな?』ってお持ちって手紙覗いたらまんま書いてあるしね?大変、よね。うん大変大変」
上条「……待てよ?あれ、つーことは何か、俺がロシアで戦ったりロンドンで戦ってきてたときにも、ポケットの裏に二個コンドー○装備したままだった……?」
上条「ドヤ顔で言ってのも全部――」
フレンダ「か、考えちゃダメ!感じる訳よ!」
上条「お、おう!なんか怖い考えになるから今は脱出だけを考えようぜ!あとなんか実用的なアイテムはないのか!?」
刀夜『では、今からメンヘラ相手に乗り切る鉄則を伝授したいと思います』
上条「そこもっかいテンドンじゃねぇのかよ……ッ!!!」
フレンダ「なんでそんなお笑いに厳しいの?てかその理屈だったら避妊具×2もネタだった訳?」
刀夜『まず一番大切なのは相手の話をよく聞くことです。これはメンヘラだけではなく普通の女性全般に言えることです』
上条「って言ってんだけど?」
フレンダ「まぁコミュの基本って訳じゃない?」
刀夜『承認欲求の塊なので”そうだね・その通りだね・そうだと思うよ・君が正しいよ・その子がおかしいんじゃないかな”など』
刀夜『何でもかんでも肯定してさえいれば”まず”地雷は踏みません。チョロイもんです』
上条「女性全般へ対して失礼過ぎる」
フレンダ「――来たっ!早く縛られてるフリを!」
猟虎「失礼しまーす。上条さんは……?あぁ良かった!気がついたんですね!」
上条「そうだね。ありがとう」
猟虎「ごめんね、バタバタしちゃいまして、まだご飯の用意ができてないんだけど……」
上条「あぁいやお構いなく。そんなにお腹は空いてないから」
猟虎「――え?」
フレンダ「(あ、バカ!肯定しなさいよ!)」
上条「そうだねっ!もうお腹が減ってしょうがないんだよな!だって健全な男子高校生だもの!」
猟虎「そ、そうですよねっ!良かったー、多めに準備しちゃってたから、心配で心配で!」
フレンダ「(今ので正解だった訳?この子にして見れば都合が悪いんじゃ?)」
上条「(用意してたメシが無駄にならない、って意味で腹が減ってた方がいいんじゃないかな?きっと)」
猟虎「ど、どうします?何か少し食べたい、ですか?」
上条「君が思うようにしていいと思うよ?俺はゲストだからね」
猟虎「そ、そう?だったらもうちょっと、ちっょとだけ待っててね!」
バタンッ
フレンダ「……スゲーって訳か、あんたの父親」
上条「俺もぶっちゃけ意外だわ。でもこのままイエスマン続けたって事態は好転してねぇんだよな」
刀夜『でも、時にはガツンと言ってあげるのも大事です』
上条「あ、なんかそれっぽい流れになって来た。ありがとう父さん!生きてまた逢えそうです!」
フレンダ「あたしらの命運がネタ帳モドキに左右されるのは甚だ遺憾な訳なんだけど……」
刀夜『そういう場合には、プラス要素で挟むとショックが和らげます。例えばそうですね』
刀夜『”詩菜さん愛してる、包丁は下してくれないかな、愛している詩菜さん”と、言った感じに』
上条「母さんを例に出すなよ!?それだと母さんのメンタルがヘラってるように聞こえるじゃねぇか!?」
上条「いや……?でも何回か聞いたな?父さんが母さん説得するには、必ず『愛してる詩菜さん』って言ってたっけ……?」
フレンダ「やーい、あんたのカーチャン、ヘラってるー!」
上条「やかましいわ!こっちにはコンドー○未使用が二つあるって忘れんな!」
フレンダ「いや別に脅す要素には全然。ただ紳士かなって意味では」
フレンダ「――ってまた来た!?急いで縄を!」
バタンッ
猟虎「ご、ごめんね何度も!ちょっと聞くの忘れてまして!」
上条「う、うん?なに?」
猟虎「か、か、上条さんはチョコレート派?そとれもクリーム派?」
上条「あーっと、どっちも好きだけど」
猟虎「そ、それじゃダメなんです!あなたが好きじゃないと!」
上条「うんだから、どっちも好きだけど
猟虎「せ、折角のクリスマスだから、失敗しないようにって……!」
上条「君の好意は俺が一番理解してるけど、君も楽しい方が俺の好き嫌いよりもずっと嬉しい――」
上条「――それにきっと、どっちでも美味しい料理なんだから、問題もないさ」 キリッ
フレンダ「(うっわ超クッサ)」
上条「(お前も命も多分俺が握ってんだからな……!)」
フレンダ「(はいはい、かこっいいかっこいい)」
猟虎「そ、そ、そう、かなぁ?私の好きな方でもいいって?」
上条「そうだね!君の言うとおりだよね!」
猟虎「優しい……!待っててね!」
バタンッ
上条「……もう助けて……!俺のメンタルがやられちゃうよ……!」
フレンダ「今だけだから、今だけ。隙を見せたら後ろからあたしが襲撃する訳だから」
上条「じゃあやってくれよ!俺だって限界があるんくだよ、見ろこのサブイボ!言い慣れない台詞だから拒否反応起こしてんだよ!」
フレンダ「いやそうしたいのは山々な訳なんだけども、今は近づこうともしなかったのよ」
上条「そう、か?ほぼずっと俺の方向いてたけど?」
フレンダ「顔はね。なんつーかなー、えーっと野球とかってボール打つとき、ボールはじっと見ない訳よね?なんてーかちょっと引いて見る的な?」
フレンダ「あんま一点に集中するとスタートが出遅れんのよ。だから筋肉を緊張させない、みたいなカンジって訳」
上条「あ、父さんのメモにもそう書いてある」
刀夜『メンタルがヘラってるとはいえ、決して相手を侮らないでください』
刀夜『自制心のブレーキと行動力の調節弁が壊れてるだけで、判断力自体は普通かそれ以上です』
フレンダ「……てかなんであんたのとーちゃんメンヘラに詳しい訳?」
上条「営業やってるから色々な人と出会ってんだと思う!そうに違いないな!」
フレンダ「まぁ……できればあたしもこれ以上遺恨を作りたくない訳だし、あんたがうまーく誤魔化してくれるんだったらこれ以上は――ってこれ」
上条「あぁメモが裏側にまで続いたんのか。てか随分長文書いたな父さん」
刀夜『表側には色々と書きましたが、どれもこれも実行に移す前にこの下の注意書きを必ず読んでからしてください』
上条「……なにこの超おっそろしい注意書き」
フレンダ「ど、どうせ脅しでしょ?」
刀夜『今まで書いてあったことは全て”相手を自分へ依存させる”ためのものです』
刀夜『メンヘラさんを全肯定するのも、クッションに挟んで注意するのも全てです』
上条・フレンダ「……」
刀夜『何度も何度も相手を肯定して絶対に否定しない、もしくは適度に注意してくれるようにすると――』
刀夜『――最終的に、”あぁこの人だけが私を正しく評価してくれる”と、覚醒メンヘラになります』
上条「父、さん?俺聞いてないんだけど!?指示された通りにしただけであってさ!」
刀夜『滅多なことでは傷つけられませんが、向こうの期待を裏切るととんでもないことになります。いやマジで。ホントにホントに』
上条「芸風が俺と似てるよ!親子なんだね!」
フレンダ「錯乱すんなよ。現実を見る訳」
刀夜『当麻は男です。そして相手は女性です――あとは、分かるな?』
上条「分からねぇよ父さん!?いや分かるけど分からねぇって!?急にアドバイスがフワっとしやがって!」
上条「これどうせその場の勢いでエ×事してもあと絶対に責任問題が発生するヤツじゃねぇか!」
刀夜『いっそのこと体だけの関係と割り切るのも手ですね』
上条「大丈夫かこれ?俺の知らない父さんのオス部分が出て来ちまってるけど大丈夫か?」
上条「トリ○で『グル○細胞飛び出しやがった!』(※留置所から)で一笑いしたのと同じ空気なんだけど、許容できてんのかな?」
フレンダ「うんまぁ、ドン引きは前からしてたから、これ以上は下がらない、訳?安心して?」
刀夜『一時の衝動に負け、その後の人生を棒に振るのも楽しくはあります。経験者は語る』
上条「だからウルセェっつってんだよ!待てよ!まるで母さんがメンヘラみたいな言い方を――」
上条「……」
刀夜『当麻は不思議に感じたことはありませんか?』
上条「な、なにがだよ?」
刀夜『当麻の癖(へき)は胸部の大きめの女性ですよね』
刀夜『具体的には”かでなれお○さんぐらいが丁度いい”と言っていたのを聞いて、”あぁ遺伝したんだな”と私は思ったものです』
上条「言ってねぇよ!?どんな一人言だよ!?」
刀夜『実は父さんも同じ癖です。最近は桐谷まつ○さんがマイフェイバリットです』
上条「父さん若くね?比較的最近の嬢の子だよね?」
刀夜『もう一度書きます。当麻は不思議に思いませんでしたか――』
刀夜『――詩菜さんはどちらかといえば胸の平たい種族だという矛盾した事実を……ッ!!!』
上条「――ハッ!?言われてみれば確かに!俺の父さんだったらおっぱ○に全振りしててもおかしくないはず……!」
刀夜『そろそろ詩菜さんが帰ってくるので筆を置きたいと思います。どうか心安らかに』
上条「あれこれ父さんも監禁されてんの?助けを呼ぶのって俺以外にも必要か?」
刀夜『詩菜さん愛してる』
上条「本行全てがクッションに挟まってた説……!」
フレンダ「……」
上条「……」
フレンダ「えーっと、何?あんたのかーちゃんマジヘラってた訳?」
上条「言われてみれば思い当たる点が少なからず……!おかしいとは思ってたんだ!」
フレンダ「ご両親は仲良く、やってる訳よね?」
上条「……あぁ、仲が良すぎて一方的にケンカしてるぜ」
フレンダ「気を落とさない訳よ?別に今更だし、今が幸せだって言うんだったらそれでいいじゃない、ねっ?」
上条「……」
フレンダ「おい話聞きなさいよ」
バタンッ
猟虎「――やっぱり二人とも、仲良かったんですね……?」 ジャキッ
フレンダ「ちょっ!?ショットガンは無理って訳!?」
猟虎「信じてた!信じたかった!――『おにぎり温めますか』って優しく言葉をかけてくれたあなたを信じたかったのに!」
フレンダ「あぁだから巻き込まれた訳?とんだ通り魔よね」
猟虎「私のものにならないんだったら、いっそここでフィナーレに……!」
フレンダ「くっ!このアホ企画群の中で初めての死者が……!?」
上条「結婚しよう、銃を下ろして俺たちを解放しろ、幸せにするから」
猟虎「――信じてたっ!あなたはそういう人だって私は分かってたから!」 ガチャーン
フレンダ「だからやめなさいよその茶番を!」
――数年後 とある結婚式場 新郎控え室
刀夜「おめでとう当麻!いやーまさか当麻が私と同じルートを辿るとはね!」
上条「ありがとう父さん。でもこうなった原因の半分はお前だよコノヤロー」
刀夜「いやでも詩菜さんはお嬢さんを気に入ってるようだよ?まるで本当の親子のような仲の良さだし」
上条「属性が同じDark-Lawだからな!邪神同士気が合ったんだろ!」
刀夜「なぁ知ってるかい当麻」
上条「あんだよ、式の前に改めて。超ソックリな俺たちが血縁はなかった、とか言い出すなよ」
刀夜「いやそうじゃなくて生物の話なんだけどね。ラッコっているじゃないか、お嬢さんの方じゃない自然界のラッコ」
上条「あぁ知ってるよ。海にプカプカ浮いてお腹の上に貝乗せて割る哺乳類だろ?」
刀夜「うん、彼らは実は漁業者からはものっっっっっっっっっっっっっすごく嫌われてるんだって」
上条「あ、そうなの?見目たは可愛いのになんで?」
刀夜「魚類から貝類、果てはウニまで何でも食べるんだよ――それこそ漁師さんが大切に育てたのを全部」
上条「あぁホタテやカキも好物ってことか。可哀想だけど駆除すればいいんじゃね?」
刀夜「いやそれが法律で禁止されてるため、ラッコが来たら指をくわえて見ているしかないんだって
(※「波打際のむろみさ○」情報)
上条「タチ悪いなラッコ!?あんな愛らしい姿してんのに!?」
ガチャッ
レッサー「そしてその法律は明治時代に制定されたもんですが、そのきっかけになったのが千島列島における乱獲が原因でした」
レッサー「H=J=スノーという探検家が測量しながらラッコとオットセイの密猟を繰り返し、虐殺したのが数千頭。これによって千島ラッコはほぼ絶滅」
レッサー「そして彼は偉大なる母国へ帰って測量図を偉大なる女王陛下へ進呈し、偉大なるイギリスの勲章を頂きましたとさ……!」
(※実話です)
上条「やっぱイギリスか!?悪い事全部にいっちょ噛みしてんじゃねぇよ!?」
レッサー「ちなみに彼の測量が副業でメインは密漁だった説……!」
(※伊能忠敬・『大日本沿海輿地全図』・完成まで17年、H=J=スノー・『千島列島測量図』・完成まで10年)
上条「誰か塩持って来い!晴れの舞台に悪魔が紛れ込んでっから!」 バタンッ
刀夜「まぁそんな訳で頑張って生きるんだ!父さんから贈れる言葉はこれだけで!」
上条「可愛いのにラッコ怖いしか頭に残らねぇよ父さん」
刀夜「でも夜は激しいんだろう?」
上条「やかましいわ!息子に振るネタじゃねぇしスピーチでやらかすなよ!絶対にな!絶対だからな!」
刀夜「おぉっと当麻は私に芸を敢行させて、詩菜さんに始末させるつもりなのかな?」
上条「こうなったら地獄に一人でも多く引き摺り込んでやるぜ……!どうせ式も超荒れるだろうしな!」
刀夜「まぁ、アレだね。依存される方と依存されている”と、思っている方”――」
刀夜「――果たしてどっちが依存しているんだろうね……?」
上条「やめろ!ギャグのまま終わる台本だったのにRe:異○のエキド○バッドエンドみたいなシメ方すんなや!?」
-終-
(※ほぼシモでしたごめんなさい。でも母性の象徴大好きな上条さんのお母さんがアレなのは、きっとこんな裏があったはず)
青ピ「――すんません、快楽○をホットで一つ」
上条「申し訳ございませんお客様、昨今の色々厳しい事情につきまして当店ではそのようなエ×い本は取り扱っておりません」
青ピ「そんなに規制規制て!この多文化共生&グローバル化社会の中で許されると思ぉてんの!?」
上条「公共の場で性癖叫んでパレードする人たちもいれば、公共の場にエ×本売るなって圧力かける人もいる訳で」
上条「問題なのは片方を絶賛してもう片方を扱き下ろす連中は、大抵同じ人だってことかな」
上条「ただホットミル○は『お陰様で表紙に気を遣う(=店頭に置けない)必要が無くなった』って言ってるがな!」
(※by編集部)
青ピ「なんやて!?お客様は神様やって言ってたやないの!?」
上条「それオフィシャルが『お客様って言っても観客の意味であって、この言葉を悪用するようなアホじゃない』って否定してるから」
青ピ「そんなに口答えしてええと思ぉてんの!?こっちにはクレーマーの先生がついて来とぉよ!」
上条「知らんわ誰だよクレーマーの先生って」
青ピ「センセー!センセー出番やで!」
土御門「ホッホッホッホ、ここが件のコンビニじゃけんのう……!」
上条「謝れ!熊本の人に謝って!『取り上えず”じゃけん”ってつければそれっぽく聞こえるんじゃね?』って安易な判断すんな!」
土御門「俺はクレーマーの神様……略してクレ神」
上条「ビッマリマ○でいそう。もしくはゲーセンのUFOキャッチャーコーナーで店員さんに迷惑そうな目で見られてそう」
土御門「なぁ店員さんよぉ、ちょっといいか?」
上条「な、なんですか?」
土御門「このセルフコンビニコーヒーのところのオシボリ、狭いスペースにあるからコーヒーを置きづらいんですけど!?」
(※特にセブ○)
上条「細かいわ!?あぁまぁ確かに俺も『これ邪魔くね?』って薄々思ってたけどもだ!」
土御門「てかスペース的にもギリギリだから必然的にオシボリの上へコーヒーを置かなきゃなんなくて不安定なんだが!?」
上条「お前もだよ?てゆうかお前らも不安定だよ?」
土御門「そしてハロウィン・夏休み・クリスマスで、コーヒーのカップがイベントの柄へ変るけど、早く配っちまってまた普通の柄へ戻ると損した気分に!」
上条「余らせても後からは配れないからだよ?来年まで寝せたりしたらそっちの方がモニョるだ。いや紙コップだから別に問題はないだろうけど」
土御門「そしてコーヒーのフタは一番上から取れ!一番上のを脇に避けて二番目から下を取るぐらい神経質だったら、コンビニコーヒー飲む資格がない!」
土御門「お前は『あ、上からとるのヤーダー』って思ってるだろうが、お前のその汚い手でタッチした方がよっぽど汚いわ!」
土御門「あとセルフで置いてるシロップは溶けにくいアイス用のもんであってパカパカパカパカホットにぶち込んでんじゃねぇよ!」
上条「すげーなクレ神。さっきからコーヒーの話しかしてねぇな。いやいるけどそんなオッサン」
土御門「そして一年に二回ぐらい、コンピニプリントを利用するときに限って後ろにコピー待ちの客が……!」
上条「別にいいだろ。順番なんだから」
青ピ「カミやんなんて酷い!?ラミカの見本を綺麗な機械で刷りたい人だっておるのに!?」
上条「お前らの想定している業種が特殊すぎる。そしてその人は今年は忙しくないと思う」
土御門「お陰様で最近は悩んでるぜぃ!不惑なのに悩むとはこれ如何に!」
上条「いいの?そんな切ない状況を使ってまで笑いを取りに来る必要あるの?」
青ピ「どぉやぁ?そろそろ泣きたくなってきたんちゃうかい!?泣いてもええんやで!」
上条「別の意味で泣きそうだよ。そしてクレ神の言ってることは店舗側が『ウゼーこの客』って思ってんのと大体同じだよ」
青ピ「まぁそれはそれとして今年発売の最優秀同時エ×ゲーは『魔法少女セレスフォニ○』でフィナルアンサー?」
上条「クレームの話してなかったっけ?今二・三行飛ばしたかと思って確認したけど、そんな話してなかったよな?」
土御門「いや、俺的には同人ならではのゲーム性を評価したいと思うぜぃ。大手が『これは同人じゃなきゃできない』ってインパクトがほしい」
土御門「まぁそういう意味ではRPG部門では『傭兵の冒○』、アドベンチャーだと『Mazurka 〜リンネの花時計○』」
土御門「そして今までのシリアス路線を全部捨ててエ×いだけの内容に特化した『大金欲しいギャ○』は、今頃制作が『今まで丁寧にシナリオ作ってきたのは何だったんだろうorz』ってヒザついてると思う」
上条「だから知らねぇよエ×同士ゲームの話をされても!?一体何人が『分かる分かる!あと有名絵師が出す同人はシステム周りが雑だよね! 魔法闘姫リルスティ○とか!』って言うんだよ!?」
青ピ「流石はカミやん怖ろしいお人やでぇ……!みんな薄々思っとぉても『まぁCG集だと思えばエエね』って割り切っとぉたのに!」
上条「そして海物○の新作に全部食われて行方不明になった俺たちの台が……!」
土御門「あぁうん、その、あれだカミやん。台の人気かどうかは版権料とは関係ないから、まぁ?パチ台メーカーにダメージを与えたと思えば、うん」
上条「てかお前ら帰れよ邪魔だよ!暇な時間帯狙ってくるのは嬉しいけど!廃棄予定のおにぎりくれてやっから!」
(※ほぼ違法です)
青ピ「『幻想少女大戦コンプリートボック○』の周回パッチっていつ出んねん!?嫁ポイント全振りしたボクの大妖○ちゃんを使えるんは!」
上条「ねぇ聞いてた俺の話?てか学校でいいよね?今しなくたっていい話だよね?」
土御門「まぁ、聞いてやれカミやん。戦闘が目的のゲームなのに戦闘以外のステータス爆上げしちまった男の声を」
上条「ヒーラーに戦闘特化させてどうすんだよ。SP回復増加あると戦艦いらずで助かっけども」
???「あ、あのっ!」
上条「ラッシャッセー!すいませんねっ!ただいまアホ二人は帰しますから!」
土御門「店員さんと青ピがハケてどうするつもりだにゃー?」
青ピ「いやいやお前と店員ですやん?」
上条「だからいらんボケを挟むな!いいから離れてろ!お客さん怯えてんだろ!」
???「い、いえいえいえいえっ!」
土御門「どっちかっつーとカミやんのツッコミじゃねーかなコレ」
???「こ、こここ、こちらを一つくださいなっ!カードでっ!」
上条「はい、おにぎりですね。こちら温めますか?」
???「――――――えっ……?」
上条「はい?おにぎり、温めますか?」
???「――あ、は、は、はいっ!」
上条「では少々お待ちください――はい、お気を付けください」 チーン
???「……」 ジーッ
上条「あ、すいません。レジ袋はご入り用で」
???「し、し、ししししししし失礼しみゃすっ!!!」 ダッ
上条「ラッシャッター……変ったお客さんだな。常盤台の制服着てたけど、あの学校イロモンしかいねぇのか」
青ピ「あかんなぁ……今のは店員さんが悪いですわー。100点満点中78点やったわー」
上条「結構な高得点ありがとう。そしてあれ以上の接客ってないよ?あとは個人の顔面偏差値で補正入るぐらいしか」
土御門「分かってないにゃーカミやん。よしじゃあ俺がお客さんやるから、カミやんは店員さんで」
上条「ショートコントだろそれ!?なに客ハケた瞬間悪ふざけする体勢に入ってんの!?」
青ピ「『――ここが最近できたローソ○かぁ』」
上条「ローソ○じゃねぇよここセブ○だよ!まぁ以前タイアップした手前ローソ○の方が好感度高いけど!」
上条「誰とは言わないが某ビリビリがローソ○店員服着てるの見て思ったさ!『え、これ時給なの?10分ごとに貰えるんじゃなくて?』ぐらいホザくってな!」
土御門「まぁ第三位の弱点その二は金銭感覚だからな。ちなみにその一は男の趣味」
上条「顔はいいんだから騙されるやつそこそこいると思うんだが……」
青ピ「『店員さん!これ!悪魔のおにぎ○!』」
上条「だから違うっつってんだろ……温めます?このままで?」
青ピ「ちゃうねん!そこがまず違うんよ!つちみーやってみぃや!」
土御門「『いらっしゃいませお嬢様、ご注文はお決まりでしょうか?』」 キリッ
青ピ「『やだ……私の王子様っ……!』」
上条「コンビニで一々そんなんやってたら経済止まるどころの話じゃねぇよ。回転率が一時間客数人レベルにまで落ちるわ」
青ピ「『あの、これを一つくださいな』」
土御門「『あぁ最近転生者が持ち込んだオニ・ギリーですね。お目が高うございます』」
上条「どういう世界観?異世界でコンビニなのにファンタジーな人が店員やってて、しかもお嬢様が直で買いに来るの?」
土御門「『こちらは現在冷たいままなのですが、温めますか?それとも――』」
土御門「『――優しく抱きしめますか?』」 キリッ
青ピ「『カッコイイ!抱いて!』」
上条「あー俺それ知ってるわー。カッコ※ただしイケメンに限るカッコ閉じって書いてあるヤツだわー」
(※ただしイケメンに限る)
土御門「ままでやってどうにか90点だ!まぁ精進するがいいにゃー!」
青ピ「ありがとうボクらのクレ神様!」
上条「クレームする人じゃなかったっけ?何お前演技指導して仕事終わりましたみたいな顔してんの?」
ベーッ
上条「ッシャマセー」
御坂「今のをプリーズ。できればテイクアウトで」
上条「ちょっと何言ってるのか分からないですね!てかお前らも言ってやれ!」
土御門「――くっ!前の大戦で負った傷口が、開いて……っ!」
青ピ「――あ、ゴメ。ザコ敵で一掃するのにSP使い果たしたから、一旦下がって補給してるよって!まいど!」
上条「ホンッッッッッッッッッッッッッット役に立ねぇなお前ら!?どっちも使い古されてんだよ!」
土御門「まぁまぁ後は怖いから俺たちはここで退散するぜぃ!じゃあな!」
青ピ「やんな!ボクらはカミやんの幸せだけを祈っとぉさかい!」
上条「帰れ帰れ!二度と来んな!」
――コンピニの外
土御門「どうする?どっか寄ってメシでも食ってくにゃー?そろそろ夕方で混んでくるし、早めに席確保したいんたぜぃ」
青ピ「……」
土御門「どしたん?」
青ピ「あぁいや……なんや手が震えとぉ……?なんやろね、これ?」
土御門「多分まず確実に第五位が仕込んでた後遺症だが……あれ?てか青ピ、よくナンパしてなかったな?」
青ピ「あの子カミやんのツレやろ?ボクもそこまで見境ない……こともないけど」
土御門「ないだろ実際。いやそっちじゃないぜぃ。その前に来てた常盤台のツーテールの子」
青ピ「ん?あぁうん、そやんね……なんでやろ……?エッライ可愛えぇ子ぉやったのにな……?」
土御門「実は男の娘説」
青ピ「大した問題やあらへんよ?」
土御門「お前そっち方面ではほぼ無敵だな!じゃあなんで?」
青ピ「いや、分からへんけど……?まぁエエわ!店員さんがエ×い服着とぉ店へゴーや!」
???「――ごめんなさい。お話が、あります」
土御門・青ピ「はい?」
――翌日 コンピニ
上条「ッシャシター」
土御門「……おぅカミやん」
上条「お帰りはあちらです」
土御門「……あぁ、どうもだにゃー」
上条「うん?どした真面目な顔して?」
土御門「あぁいや真面目っちゅーかなんつーかな。あーっと、アレだ、お疲れだにゃー?」
上条「そんなには疲れてないな。てかさっきまでお前らと同じクラスにいただろ」
土御門「で、差し入れ!フリス○だぜぃ!」
上条「なんでだよ。あぁいや嬉しいのはちょっとあるけど、なんで封切ってあるやつだよ」
土御門「ん?なんかこう疲れた顔してっから、マッハで眠気覚ましが必要だよな!」
上条「そ、そう?自分じゃ分からないけど」
土御門「そうそう!○さんみたいな死んだ魚の目をしてる!」
上条「あれはいいだろ!○さんはあれがトレードマークなんだから!」
土御門「まぁお一つどぞー?」
上条「あぁこりゃ丁寧にどうも――ってデカっ!?このフリス○錠剤ぐらいの大きさだな!?」
土御門「新発売だってさ!」
上条「ラムネじゃねぇか。前から薄々思ってはいたが、スタイリッシュなラムネがウリなのに寄せてってどうすんだよ……まぁいいわ、じゃあ一つ」
上条「――ニッガ!?超苦いんですけどこれ本当に食べていいやつなのか!?」
土御門「勿論だ!こう子供が間違って食べないように味付けされてるだけだから害はない!」
上条「そっかー、じゃあよかった……何?お前今何つった?」
土御門「そ、それは」
青ピ「――待ちぃなカミやん!この薬は飲んだらいかん!」
上条「おぉいらっしゃいませ。もう食っちまってっけど、なんで?」
青ピ「……落ち着いて聞きぃよ?あんな、ボクら脅されてんのよ……!」
上条「オイオイ穏やかじゃねぇな。誰にだよ?」
青ピ「名前は分からん!ただエラく怖ろしい相手やった!ボクらのエ×BLコラをバラまくって!」
上条「超タチ悪いなそいつ!」
青ピ「最初はボクら二人でカミやん騙すっちゅー話しやったんやけど……そこのアホが!『ドロを被るんだったら俺一人でいい』って!」
上条「土御門……!」
土御門「――フッ、悪いな青ピ。実はお前を試してたんだぜぃ」
青ピ「ボクを……?」
土御門「あぁそうだ!お前が止めてくれるだろうって確信してた!」
青ピ「つっちー……!」
上条「ご歓談中に申し訳ないんだが、間に合ってないよな?何の薬飲まされたの?」
土御門「そいつぁただのビタミン剤だにゃー。どうせギリギリまで迷うって分かってたから、俺が前もってすり替えといたんだにゃー!」
青ピ「すり替えとぉって……もしかしてホテルのテーブルの上にあった?」
土御門「ん、そうだがそれが?」
青ピ「や、な?ボクもつちみーは信用してん?信用してんのやけど、まぁ万が一っちゅーこともあらぁな?念のためっちゅーか?」
土御門「まぁ否定はしないんだにゃー」
青ピ「やからあの女からもらった薬とテーブルの上の薬と差し替えといたんたよ、うん」
上条「……つまり?」
土御門「あ、ごめんカミやん!今飲ませたのはぐるっと回って用意されたブツだったわ!」
上条「ザッケッンなテメー!?今の下りいらねぇだろ!?普通に一服盛られた方が楽だ――」
上条「――」 パタッ
青ピ「おぉ……凄い効きよるな。これからどうしますん?」
土御門「盛っちまったもんはしょーがねーし、当初の予定通り引き渡すぜぃ!」
青ピ「まぁ結果オーライやんね!ただの不幸な事故っちゅー話で!」
――どこかの薄暗い暗い部屋
上条「――な、訳ねーだろボケども!お前らやったんかんな!えっと、学校で姫神に『こらっ』って叱ってもらうぞ!」
???「隠しきれない小物臭がする訳。自分でやんなさいよ、何女の子に任せてんのよ」
上条「何言ってんだよ?!姫神に叱られたい男子がウチの学校に何人いると思ってんだコラ!?」
???「ごっめーん超興味無いわー。あるとすれば偏差値?」
上条「ひ、低くはないよっ!ただみんな強度が高くないからまとまってるだけであって!みんないいこばっかだよ!」
???「まぁ、そんな話はどうでもいい訳よ。あんた、自分がどんな状況に置かれてるかって確認する方が先じゃないの?」
上条「いやいや、どんなってお前――なんだこれ?!身動き取れない……ッ!?」 ギシギシッ
上条「木のイスに足首から胴体、手首が縛られて固定されてる、だと……?」
???「はい説明台詞ありがとー。まぁ確認したところで何が変るってんじゃないんだけどね」
上条「どうせ縛られるんだったらキ○椅子だったらよかったのに……!」
???「意外と余裕ある訳よね。バカだから現状を把握できてないだけだと思う訳だけども」
???「てか○ノ椅子ってどんな椅子?男装少女に縛られて固定されるってどんな需要?」
上条「――ふっ、結構拾うじゃねぇか!久しぶりにツッコミの仮面を脱ぎ捨てて、俺のボケの真髄を見せるときが来たようだな……ッ!!!」
???「超うるさいわツッコミが上手いボケ!そんなしょーもないことで盛り上がってる場合じゃない訳なの!もっと危機感持って!」
上条「……悪い。異常な状況に錯乱してた」
???「そう。ならいい訳だけど」
上条「『おれは、しょうきにもどった』」
???「その人って特に大した理由もなく親友を殺しそうとしたり親友の婚約者をNTRろうとした人よね?基本ジャンプしかしないからパーティ内の結束が疑われる人よね?」
上条「が、外伝じゃ頑張ってたよ!『お前絶対にカイ○じゃねぇか』って全FFファンはツッコんでたよ!」
???「いいから話を聞く訳よ。結局あたしらは運命共同体って訳なんだからね」
上条「運命……?」
???「――シッ!いいから黙って寝たふりしてる訳!あの悪魔が来る……ッ!」
上条「悪魔?」
バタンッ
猟虎「『――ジングルベールっ、ジングルベール、すっずっがっなーるー♪ 』」
猟虎「『今日ーはー、たのーしーいー、クーリースーマース♪ヘイッ♪』」
猟虎「……あら?」
???「あーっと悪い訳なんだけども、まだ起きてないみたいよ?さっきからずっとこんな感じで」
上条「ぐー……!ぐー……!」
猟虎「何か口で言っているかのような……男性ってみんなこうなんですか?」
???「いやあたしも知らない訳だけどさ。てかあんたには彼氏がいるんだから、あたしいらなくない?」
猟虎「フレンダさんは……何かご用事でも?」
フレンダ(???)「いやちょっと家のコタツのコンセント抜いて来たか心配になったって訳で」
猟虎「あ、大丈夫ですよ。ご招待するときに全部抜いて来ましたからっ」
フレンダ「気が効く訳だなコノアマ!間違えなかったらいいお嫁さんになる訳よ!」
猟虎「ごめんなさい!私には心に決めた旦那様がここに!」
フレンダ「いやそういうんじゃない訳よ?なんでもかんでも癖(へき)で判断するのはどうか思う訳でね?」
猟虎「あれ……あぁごめんなさい!フレンダさんも彼氏さんと先約があったんですか!?やだ、私ったら自分の都合ばっかり……」
フレンダ「あぁうん、いいのよ?次からこっちの予定を聞いた上で予めアポ取ってくれればそれで」
猟虎「ちょっと待っててください!今お連れしますから!」
フレンダ「いやーごめん気のせいだった訳だわー!彼氏なんかいなくてあたしの中でのイマジナリー彼氏だったわー!」
猟虎「もうっ!フレンダさんったら!」
上条「なんだこの超茶番」
猟虎「あれ今何か?」
フレンダ「『熱膨張って知ってるか?』」(シャクレ顔&ドヤ顔で)
猟虎「に、似てますよねっ!ビックリしたじゃないですかーもー!」
フレンダ「そういうあんたはここで油売ってていい訳?なんかクリームの良いニオイがする訳だけど」
猟虎「あ、そうでした!待っててくださいね、今ケーキ作ってる最中ですから!」
バタンッ、タッタッタッタッタッ
フレンダ「……ふぅ、ギリギリって訳よね」
上条「途中明らかに俺へ対するヘイトが入った訳だが……なにあれ?つーか誰?」
フレンダ「覚えてない訳?前に一回あんたのオヤジと一緒に捕まったのを……!」
上条「あぁあったけども!あれなに!?あそこだけの話で終わるんじゃなかったの!?」
(※反響が大きかったので)
フレンダ「おめでとう彼氏さん!ただのモブからタゲられて昇格ザマぁって訳よねっ!」
上条「嬉しく……は、ねぇ、な?うん全然全然?」
フレンダ「おい目を覚ましなさいこのアホ!いくら見た目が良いからってあんなん彼女にできる――」
フレンダ「……」
フレンダ「できるの?マジで?最近の男子って草食性とか言われてんのに、あんたは超肉食性って訳?」
上条「先に言っとくが『いくら肉食でも腐った肉は食わねぇんだよ』と。いや特定の誰かを言ってる訳じゃないが」
上条「そして今の子ぐらいだったら俺のダチは余裕で付き合うわ!むしろ喜んでな!」
フレンダ「あぁそう?じゃああんたから言ってくれない?あたしを解放するようにって」
上条「言うのは構わないけど、危険度で言ったら、えっと」
フレンダ「フレンダよ」
上条「上条当麻です。通りすがりの探偵だ」
フレンダ「親子同じギャグを使い回すな!せめてアレンジする訳!」
上条「んでフレンダさんの方がヤバくないか?『お友達の私より大事なものがあるんです?』って」
フレンダ「あー……さっきの様子だとそうなる訳か。ヤッベェ訳だなこれ」
上条「てか俺を拘束してるプラスチックのヒモを解いてほしいんだけど」
フレンダ「見て分かんでしょーが、あたしも同じって訳。縛られてなかったらとっくにぶん殴って逃げ出してるし」
上条「参ったな……なんでここまでガッチリ警戒されてんだよ」
フレンダ「あぁそれ前にあたしが下顎を爆弾で吹っ飛ばした訳だから」
上条「お前かよ!?……あぁいやごめん、なんかあったんだろうけどよく思い切ってやったな!?」
フレンダ「うん、ぬっ殺すつもりだったら。大ケガで済んで良かったわねって訳」
上条「そこからお友達?」
フレンダ「だっから超ヤベーって訳。本気でやってんのかそう見えるだけの拷問かも結局分かんないし」
上条「……確かにな。沸点や地雷がどこか見えてこないから、下手に刺激するのはダメだよな」
フレンダ「てかあんたなんか持ってないの?こうハサミとかカッターとか?」
上条「多分学生証やサイフも抜かれてる。あ、でも足は何とかいけるな」 グッ
フレンダ「そっか……!足が短い分だけ駆動域が下にあったって訳ね……!」
上条「俺は普通ですー!一部の人たちが妙にシュッとしてて日本人離れの体型ばっかなんですー!」 スッ
フレンダ「お、立った。で、何すんの?」
上条「前に一回肩外されてさ?それから強い衝撃を受けると外れっちまうんだよ」
フレンダ「おぉ!やるわね!」
上条「まぁクソ痛いんだけども、こうやって勢いつけて――あがっ!?」 ガチッ
フレンダ「うっわー……肩から落っこってた訳……」
上条「あぁでも外れた!これなら!」
フレンダ「……」
上条「……?」
フレンダ「なによ?」
上条「――あ、肩外しても固定されてるのが腕だから意味ねぇのか!?」
フレンダ「気づくのおっそ!?てか気づくでしょもっと早く!?痛い目見る前にさ!?」
フレンダ「いやあたしも途中からおかしいなーとは思っていた訳よ!『うん?ここで肩外しても……?』ってね!」
フレンダ「でも自信満々でやってから勝算ありきで何かあるのかと思ってた訳よ!?何やってんの!?ただ一人で痛い思いしたイタイやつって訳だし!」
上条「セルフS×」
フレンダ「やかましいわ!それで満足できるんだったら
上条「あ、でもほら今の衝撃でイスの腕が折れた!キ○ちゃんの腕が!」
フレンダ「勝手に名前つけないでくれる訳?なんかこう猟奇的な響きになる訳だからね?」
上条「ちょっと待ってろ!今解いてやっから!」
――
フレンダ「と、まぁ脱出ゲーム一段階まで成功した訳だけど……」
上条「ダメだ!一見普通の部屋っぽいけど、壁剥がしたら下コンクリだぜ!」
フレンダ「窓は完全な飾り、出口は入って来た1箇所だけ。そして鍵もかかっている訳だ、と」
上条「ケータイなんか当然ないしな。なんかせめて武器になりそうなもんでも……」 ゴソゴソ
フレンダ「それこそ折れたイスの腕ぐらい。バイ○かサイレン○の初期装備になかったっけ?」
上条「――あった!」
フレンダ「おっ、なんかあったー?」
上条「手紙があった!『親愛なる当麻へ』って書いてある……!」
フレンダ「なんて?つーかなにそれ、どういう経緯で見つかった訳?」
上条「俺の制服の裏に抜いてつけてあったんだ!」
フレンダ「用途違くない?いやまぁ親御さんが心配してお金でも入れてくれたんだったら、まぁありがたい訳だけど」
フレンダ「ここ脱出しても山の中で無一文だったりするし、それはそれで……まぁ」
上条「お金は……入ってないみたいだけど、取り敢えず声に出して読むな?」
フレンダ「いや別に使えそうな内容だったら教えてくれるだけでいい訳よ?」
刀夜『――詩菜さん愛してる』
フレンダ「誰宛!?お母さん宛?ケアレスミスで息子のところに来ちゃった訳?」
刀夜『父さんはいつもあなたを心配してしまます。風邪など引いてはいないとか、死亡フラグの立った金髪とエ×いことしてないかとか不安でいっぱいです』」
フレンダ「何者?随分具体的に人罵ってくれる訳だけど、どっかで監視でもしてんの?」
刀夜『他にもそう、万が一メンヘラ女に誘拐され閉じ込められたときのためにこの手紙を入れました』
上条「スッゲー父さん!ピンポイントで俺の危機的状況を予測してる!」
フレンダ「もう能力者じゃない」
刀夜『右のポケットの裏が二重底になっています。きっと役立つと思って入れました』
上条「右……?あ、なんかある!カシャカシャするなって思ったら!」
フレンダ「違和感あるんだったらもっと早くに気づきなさいよ。なんで放置してる訳」
刀夜『コンドー○です』
上条「いや違う違う違う違う違う。危機っちゃあ危機だけどそういう危機違うよ父さん」
刀夜『いざっていうときにも安心です』
上条「何のために?こ手紙の主旨ってメンヘラさんに閉じ込められた前提なんだよね?」
フレンダ「大丈夫?手紙とほぼボケとツッコミで同期してんだけど、大丈夫これ?」
刀夜『では次に左のポケットの裏を探してみてください』
上条「あ、またなんかビニールっぽいのが」
フレンダ「だから気づかない?普通気づく訳よね?」
上条「おい今度は役に立つんだよな?」
刀夜『コンドー○です』
上条「だからなんでだよ父さん!?お前の頭の中にはシモしか入ってねぇのか!?」
刀夜『二回戦もバッチリですね』
上条「やかましいわ!お前のお陰で即席パーティメンバーがドン引きしてんだよ!」
フレンダ「……まぁ正直『ジョークかな?』ってお持ちって手紙覗いたらまんま書いてあるしね?大変、よね。うん大変大変」
上条「……待てよ?あれ、つーことは何か、俺がロシアで戦ったりロンドンで戦ってきてたときにも、ポケットの裏に二個コンドー○装備したままだった……?」
上条「ドヤ顔で言ってのも全部――」
フレンダ「か、考えちゃダメ!感じる訳よ!」
上条「お、おう!なんか怖い考えになるから今は脱出だけを考えようぜ!あとなんか実用的なアイテムはないのか!?」
刀夜『では、今からメンヘラ相手に乗り切る鉄則を伝授したいと思います』
上条「そこもっかいテンドンじゃねぇのかよ……ッ!!!」
フレンダ「なんでそんなお笑いに厳しいの?てかその理屈だったら避妊具×2もネタだった訳?」
刀夜『まず一番大切なのは相手の話をよく聞くことです。これはメンヘラだけではなく普通の女性全般に言えることです』
上条「って言ってんだけど?」
フレンダ「まぁコミュの基本って訳じゃない?」
刀夜『承認欲求の塊なので”そうだね・その通りだね・そうだと思うよ・君が正しいよ・その子がおかしいんじゃないかな”など』
刀夜『何でもかんでも肯定してさえいれば”まず”地雷は踏みません。チョロイもんです』
上条「女性全般へ対して失礼過ぎる」
フレンダ「――来たっ!早く縛られてるフリを!」
猟虎「失礼しまーす。上条さんは……?あぁ良かった!気がついたんですね!」
上条「そうだね。ありがとう」
猟虎「ごめんね、バタバタしちゃいまして、まだご飯の用意ができてないんだけど……」
上条「あぁいやお構いなく。そんなにお腹は空いてないから」
猟虎「――え?」
フレンダ「(あ、バカ!肯定しなさいよ!)」
上条「そうだねっ!もうお腹が減ってしょうがないんだよな!だって健全な男子高校生だもの!」
猟虎「そ、そうですよねっ!良かったー、多めに準備しちゃってたから、心配で心配で!」
フレンダ「(今ので正解だった訳?この子にして見れば都合が悪いんじゃ?)」
上条「(用意してたメシが無駄にならない、って意味で腹が減ってた方がいいんじゃないかな?きっと)」
猟虎「ど、どうします?何か少し食べたい、ですか?」
上条「君が思うようにしていいと思うよ?俺はゲストだからね」
猟虎「そ、そう?だったらもうちょっと、ちっょとだけ待っててね!」
バタンッ
フレンダ「……スゲーって訳か、あんたの父親」
上条「俺もぶっちゃけ意外だわ。でもこのままイエスマン続けたって事態は好転してねぇんだよな」
刀夜『でも、時にはガツンと言ってあげるのも大事です』
上条「あ、なんかそれっぽい流れになって来た。ありがとう父さん!生きてまた逢えそうです!」
フレンダ「あたしらの命運がネタ帳モドキに左右されるのは甚だ遺憾な訳なんだけど……」
刀夜『そういう場合には、プラス要素で挟むとショックが和らげます。例えばそうですね』
刀夜『”詩菜さん愛してる、包丁は下してくれないかな、愛している詩菜さん”と、言った感じに』
上条「母さんを例に出すなよ!?それだと母さんのメンタルがヘラってるように聞こえるじゃねぇか!?」
上条「いや……?でも何回か聞いたな?父さんが母さん説得するには、必ず『愛してる詩菜さん』って言ってたっけ……?」
フレンダ「やーい、あんたのカーチャン、ヘラってるー!」
上条「やかましいわ!こっちにはコンドー○未使用が二つあるって忘れんな!」
フレンダ「いや別に脅す要素には全然。ただ紳士かなって意味では」
フレンダ「――ってまた来た!?急いで縄を!」
バタンッ
猟虎「ご、ごめんね何度も!ちょっと聞くの忘れてまして!」
上条「う、うん?なに?」
猟虎「か、か、上条さんはチョコレート派?そとれもクリーム派?」
上条「あーっと、どっちも好きだけど」
猟虎「そ、それじゃダメなんです!あなたが好きじゃないと!」
上条「うんだから、どっちも好きだけど
猟虎「せ、折角のクリスマスだから、失敗しないようにって……!」
上条「君の好意は俺が一番理解してるけど、君も楽しい方が俺の好き嫌いよりもずっと嬉しい――」
上条「――それにきっと、どっちでも美味しい料理なんだから、問題もないさ」 キリッ
フレンダ「(うっわ超クッサ)」
上条「(お前も命も多分俺が握ってんだからな……!)」
フレンダ「(はいはい、かこっいいかっこいい)」
猟虎「そ、そ、そう、かなぁ?私の好きな方でもいいって?」
上条「そうだね!君の言うとおりだよね!」
猟虎「優しい……!待っててね!」
バタンッ
上条「……もう助けて……!俺のメンタルがやられちゃうよ……!」
フレンダ「今だけだから、今だけ。隙を見せたら後ろからあたしが襲撃する訳だから」
上条「じゃあやってくれよ!俺だって限界があるんくだよ、見ろこのサブイボ!言い慣れない台詞だから拒否反応起こしてんだよ!」
フレンダ「いやそうしたいのは山々な訳なんだけども、今は近づこうともしなかったのよ」
上条「そう、か?ほぼずっと俺の方向いてたけど?」
フレンダ「顔はね。なんつーかなー、えーっと野球とかってボール打つとき、ボールはじっと見ない訳よね?なんてーかちょっと引いて見る的な?」
フレンダ「あんま一点に集中するとスタートが出遅れんのよ。だから筋肉を緊張させない、みたいなカンジって訳」
上条「あ、父さんのメモにもそう書いてある」
刀夜『メンタルがヘラってるとはいえ、決して相手を侮らないでください』
刀夜『自制心のブレーキと行動力の調節弁が壊れてるだけで、判断力自体は普通かそれ以上です』
フレンダ「……てかなんであんたのとーちゃんメンヘラに詳しい訳?」
上条「営業やってるから色々な人と出会ってんだと思う!そうに違いないな!」
フレンダ「まぁ……できればあたしもこれ以上遺恨を作りたくない訳だし、あんたがうまーく誤魔化してくれるんだったらこれ以上は――ってこれ」
上条「あぁメモが裏側にまで続いたんのか。てか随分長文書いたな父さん」
刀夜『表側には色々と書きましたが、どれもこれも実行に移す前にこの下の注意書きを必ず読んでからしてください』
上条「……なにこの超おっそろしい注意書き」
フレンダ「ど、どうせ脅しでしょ?」
刀夜『今まで書いてあったことは全て”相手を自分へ依存させる”ためのものです』
刀夜『メンヘラさんを全肯定するのも、クッションに挟んで注意するのも全てです』
上条・フレンダ「……」
刀夜『何度も何度も相手を肯定して絶対に否定しない、もしくは適度に注意してくれるようにすると――』
刀夜『――最終的に、”あぁこの人だけが私を正しく評価してくれる”と、覚醒メンヘラになります』
上条「父、さん?俺聞いてないんだけど!?指示された通りにしただけであってさ!」
刀夜『滅多なことでは傷つけられませんが、向こうの期待を裏切るととんでもないことになります。いやマジで。ホントにホントに』
上条「芸風が俺と似てるよ!親子なんだね!」
フレンダ「錯乱すんなよ。現実を見る訳」
刀夜『当麻は男です。そして相手は女性です――あとは、分かるな?』
上条「分からねぇよ父さん!?いや分かるけど分からねぇって!?急にアドバイスがフワっとしやがって!」
上条「これどうせその場の勢いでエ×事してもあと絶対に責任問題が発生するヤツじゃねぇか!」
刀夜『いっそのこと体だけの関係と割り切るのも手ですね』
上条「大丈夫かこれ?俺の知らない父さんのオス部分が出て来ちまってるけど大丈夫か?」
上条「トリ○で『グル○細胞飛び出しやがった!』(※留置所から)で一笑いしたのと同じ空気なんだけど、許容できてんのかな?」
フレンダ「うんまぁ、ドン引きは前からしてたから、これ以上は下がらない、訳?安心して?」
刀夜『一時の衝動に負け、その後の人生を棒に振るのも楽しくはあります。経験者は語る』
上条「だからウルセェっつってんだよ!待てよ!まるで母さんがメンヘラみたいな言い方を――」
上条「……」
刀夜『当麻は不思議に感じたことはありませんか?』
上条「な、なにがだよ?」
刀夜『当麻の癖(へき)は胸部の大きめの女性ですよね』
刀夜『具体的には”かでなれお○さんぐらいが丁度いい”と言っていたのを聞いて、”あぁ遺伝したんだな”と私は思ったものです』
上条「言ってねぇよ!?どんな一人言だよ!?」
刀夜『実は父さんも同じ癖です。最近は桐谷まつ○さんがマイフェイバリットです』
上条「父さん若くね?比較的最近の嬢の子だよね?」
刀夜『もう一度書きます。当麻は不思議に思いませんでしたか――』
刀夜『――詩菜さんはどちらかといえば胸の平たい種族だという矛盾した事実を……ッ!!!』
上条「――ハッ!?言われてみれば確かに!俺の父さんだったらおっぱ○に全振りしててもおかしくないはず……!」
刀夜『そろそろ詩菜さんが帰ってくるので筆を置きたいと思います。どうか心安らかに』
上条「あれこれ父さんも監禁されてんの?助けを呼ぶのって俺以外にも必要か?」
刀夜『詩菜さん愛してる』
上条「本行全てがクッションに挟まってた説……!」
フレンダ「……」
上条「……」
フレンダ「えーっと、何?あんたのかーちゃんマジヘラってた訳?」
上条「言われてみれば思い当たる点が少なからず……!おかしいとは思ってたんだ!」
フレンダ「ご両親は仲良く、やってる訳よね?」
上条「……あぁ、仲が良すぎて一方的にケンカしてるぜ」
フレンダ「気を落とさない訳よ?別に今更だし、今が幸せだって言うんだったらそれでいいじゃない、ねっ?」
上条「……」
フレンダ「おい話聞きなさいよ」
バタンッ
猟虎「――やっぱり二人とも、仲良かったんですね……?」 ジャキッ
フレンダ「ちょっ!?ショットガンは無理って訳!?」
猟虎「信じてた!信じたかった!――『おにぎり温めますか』って優しく言葉をかけてくれたあなたを信じたかったのに!」
フレンダ「あぁだから巻き込まれた訳?とんだ通り魔よね」
猟虎「私のものにならないんだったら、いっそここでフィナーレに……!」
フレンダ「くっ!このアホ企画群の中で初めての死者が……!?」
上条「結婚しよう、銃を下ろして俺たちを解放しろ、幸せにするから」
猟虎「――信じてたっ!あなたはそういう人だって私は分かってたから!」 ガチャーン
フレンダ「だからやめなさいよその茶番を!」
――数年後 とある結婚式場 新郎控え室
刀夜「おめでとう当麻!いやーまさか当麻が私と同じルートを辿るとはね!」
上条「ありがとう父さん。でもこうなった原因の半分はお前だよコノヤロー」
刀夜「いやでも詩菜さんはお嬢さんを気に入ってるようだよ?まるで本当の親子のような仲の良さだし」
上条「属性が同じDark-Lawだからな!邪神同士気が合ったんだろ!」
刀夜「なぁ知ってるかい当麻」
上条「あんだよ、式の前に改めて。超ソックリな俺たちが血縁はなかった、とか言い出すなよ」
刀夜「いやそうじゃなくて生物の話なんだけどね。ラッコっているじゃないか、お嬢さんの方じゃない自然界のラッコ」
上条「あぁ知ってるよ。海にプカプカ浮いてお腹の上に貝乗せて割る哺乳類だろ?」
刀夜「うん、彼らは実は漁業者からはものっっっっっっっっっっっっっすごく嫌われてるんだって」
上条「あ、そうなの?見目たは可愛いのになんで?」
刀夜「魚類から貝類、果てはウニまで何でも食べるんだよ――それこそ漁師さんが大切に育てたのを全部」
上条「あぁホタテやカキも好物ってことか。可哀想だけど駆除すればいいんじゃね?」
刀夜「いやそれが法律で禁止されてるため、ラッコが来たら指をくわえて見ているしかないんだって
(※「波打際のむろみさ○」情報)
上条「タチ悪いなラッコ!?あんな愛らしい姿してんのに!?」
ガチャッ
レッサー「そしてその法律は明治時代に制定されたもんですが、そのきっかけになったのが千島列島における乱獲が原因でした」
レッサー「H=J=スノーという探検家が測量しながらラッコとオットセイの密猟を繰り返し、虐殺したのが数千頭。これによって千島ラッコはほぼ絶滅」
レッサー「そして彼は偉大なる母国へ帰って測量図を偉大なる女王陛下へ進呈し、偉大なるイギリスの勲章を頂きましたとさ……!」
(※実話です)
上条「やっぱイギリスか!?悪い事全部にいっちょ噛みしてんじゃねぇよ!?」
レッサー「ちなみに彼の測量が副業でメインは密漁だった説……!」
(※伊能忠敬・『大日本沿海輿地全図』・完成まで17年、H=J=スノー・『千島列島測量図』・完成まで10年)
上条「誰か塩持って来い!晴れの舞台に悪魔が紛れ込んでっから!」 バタンッ
刀夜「まぁそんな訳で頑張って生きるんだ!父さんから贈れる言葉はこれだけで!」
上条「可愛いのにラッコ怖いしか頭に残らねぇよ父さん」
刀夜「でも夜は激しいんだろう?」
上条「やかましいわ!息子に振るネタじゃねぇしスピーチでやらかすなよ!絶対にな!絶対だからな!」
刀夜「おぉっと当麻は私に芸を敢行させて、詩菜さんに始末させるつもりなのかな?」
上条「こうなったら地獄に一人でも多く引き摺り込んでやるぜ……!どうせ式も超荒れるだろうしな!」
刀夜「まぁ、アレだね。依存される方と依存されている”と、思っている方”――」
刀夜「――果たしてどっちが依存しているんだろうね……?」
上条「やめろ!ギャグのまま終わる台本だったのにRe:異○のエキド○バッドエンドみたいなシメ方すんなや!?」
-終-
(※ほぼシモでしたごめんなさい。でも母性の象徴大好きな上条さんのお母さんがアレなのは、きっとこんな裏があったはず)