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(新)都市伝説紀行〜祓い屋・闇咲逢魔シリーズ Fifth season〜 「わんずさま」(終)

 
――

『……』

『ねぇ知ってる?……うん、うんそう――”それ”』

『夜中にさ……合わせ鏡――』

『学校の……忘れ物をとりに行ったら――』

『キャンプ中に……テントの中からこっそり覗いて――』

『「足はいらんか?足はいらんか?」って……ダメだよ、答えちゃ――』

『ムラサキ……ハタチまで憶えてたら死んじゃうんだって――』

『キヒヒッ』

『トイレの右から四番目……四回ノックしてから「はーなこさん、あっそびっまっしょー」――』

『はぁーあーいー』

『穴がね……真っ赤な部屋で――』

『封じられた扉を開けたら……クレヨンでビッシリと――』

『フジツボ……いや、ないない。人間の浸透圧考えろや』

『はーい六名様ご案内しまーす!……え?一人多い?またまたー!』

『こっくりさんこっくりさん、おいでください』

『暇を持て余した魔神たちの遊び』

『声をかけられてもね……うん、振り向いちゃってね、連れてか――』

『エー次ハー屠殺駅ー屠殺駅ー。バケツヲ持ッテオ並ビクダサーイ』

『諦めろ。人に染みついた宿業だよ』

『いま、あなたのうしろにいるのよ』

『右を見て、左を見て』

『今も……探してるって――』

『今度は、落さないでね?』

『いや知らないよ!あたしに言われても!だってこれは――』

『――ともだちのともだちからきいたはなし』



――ティルナ・グ水没窟

闇咲「ここは……一体?」

巫女「――現世のどこでもない隠り世。古くは常世、ニライカナイと呼ばれた場所……」

闇咲「やはり……あなたが巫女だったのだな」

巫女「うん、そう。酷い事を言ってごめんなさい、君を追い出したかった……」

闇咲「あぁそれだったら問題ない。あそこまで棒読みの演技など中々ないからな」

巫女「言い方が酷い……こう見えても都会へ行って役者志望――”だった”のに……」

闇咲「……都会に夢を見すぎだ。夢は夢のまま終わらせておいた方がいいこともある、が」

巫女「かもしれない……ここで永遠に夢見しあの方のように」

闇咲「……いる、のか?」

巫女「いる。けれどもココが特別なんかじゃない。ただ、忘れているだけ」

闇咲「とは?」

巫女「人は太陽を直視できない……すれば目が灼け光を失う」

巫女「人は”あれ”を直視できない……識ってしまえばもう、引き返せなくなる」

闇咲「……あなたの役割は巫女、つまり神を永遠に留めて置くための贄、だな」

巫女「起きてはいけないものだから、私たちが慰撫する。そのための一族」

闇咲「だがあなたは、自ら望んでなどいない」

巫女「……そういう話ではない。いい大人なんだから、聞き分けて……」

闇咲「しかし――」

深きものども『クルルルルルルルルルルルッ……!』

闇咲「ディープ・ワンズ……ッ!穢れた血の魚人どもか!」

巫女「……帰って。ここはあなたのいるべき場所ではないから……」

闇咲「だが」

なにか【ギ゛ィィイイイイイイイイイイイイイイイイッ……】

深きものども『ミコ……ギシキを』

巫女「……行って。”アレ”になるのを見られたくない……!」

闇咲「――何故だ?何故戦わない?」

巫女「……無理、だよ。戦うとか戦わないとか、そういう次元の話ですらない……」

闇咲「役者になる夢はどうした?イケメン俳優とスキャンダル起こして、謝罪会見で炎上させるんだろう?」

巫女「けど……でもっ!」

闇咲「子供が死に急ぐな」

巫女「助け、て……!私、こんなところで死にたく、ないよ……ッ!」

闇咲「――下がれ。なんとかする」

巫女「……なんとか、なるの……?」

闇咲「――あなたが役者で大成するのに比べれば、まだ勝算があるな」

巫女「おじ、さん……」

闇咲「おじさんではないと言っている。私は――」

トール「――あ、いい?オッケー出たってよ上条ちゃん」

上条「了解了解。そんなあなたに『幻想殺し』」 ピタッ

パキイィンッ……ッ!!!

上条「あ、やっばり人間へ戻せたわ。女の子がウロコつけてちゃ体裁悪いからな。青ピだったら無視しそうだが」

闇咲・巫女「……」

上条「――はいじゃあ全員一列に並んでサカナっぽい人たち!元に戻りたい人だけ俺と握手な!強制じゃないから残りたい人は後ろに下がってくださーい!」

トール「接続――『ミョォーーーーーーーーールニィル!!!』」

ドラム子【あいあーい】

ズカァァンッ!!!

なにか【ギ、ゴガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!?】

トール「おっ、雷撃特効じゃんか。つーかアレなに?魔術生物?」

インデックス「んーとねー?多分魔獣か何かじゃないかなぁ。人を変質させる能力持ったってだけの」

上条「え、そんなの相手になんの?」

インデックス「ようは火力なんだよ。せかいせいふくもしないでコソコソ逃げ回ってるのに、現代魔術師が後れを取る訳がない――し」

インデックス「そもそも夢系に特化した能力を持つって事は、逆にそれ以外は疎かってことなんだよね」

上条「つまり?」

インデックス「ぶつりこうげきが効かないんだったら、夢や侵食なんて搦め手使わないでドーンって来るんだよ」

トール「……あれ?もう動かなくなっちまったぜ?」

ドラム子【出力まだ最大じゃないのに……不完全燃焼じゃんね】

上条「終わり?こんなもん?」

インデックス「いやあの、ブラフマーアストラに迫る威力の魔術師が出張ってくれば、まぁ普通はこうなるんだよね」

ドラム子【エルダーサイン描かなくていいのー?】

インデックス「あ、うん一応念のために描いておくんだよ。ゴリ○テープで描いておけば絶対に消えないかも」

闇咲「……」

上条「あ、ゴメンゴメン?何か自己紹介してたんだっけ、続けて続けて?」

闇咲「情緒がない、そして様式美もないし仁義的にもどうかと思う」

上条「え!?闇咲がピンチだって聞いたから知りうる限りの最大戦力で来たのに!」

闇咲「感謝はしているよ?だがもっとこう、一当てして『こ、これは!?』みたいなリアクションしてからとか思わなかったかね?」

上条「何言ってんだよお前!ピンチになってから助けるんだったら、最初からフルボッコした方が怪我もしないしいいに決まってるだろ!?」

闇咲「発想がお母さんか。いやまぁ助けてもらっておいて言うのもアレなんだが」

上条「それでそこの君、役者目指すんだったらARISAの後輩にだな」
 
闇咲「やめてあげてくれ。可哀想だろ」


-終-
(※闇咲逢魔さんの今後の活躍にご期待ください)

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