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Clock(trial)

鳴護「『――男子高校生、この世で一番価値がない裁判』、開廷します!」

 
――裁判所

鳴護「――えーっと、ただいまより裁判を開廷いたします。被告人は入廷して下さい」

上条「ふっ、とんだ茶番に付き合わされるとはね。証拠もない目撃者もいない裁判でこの僕が有罪にされるとでも思ったのかい?」

上条「明日の朝刊が楽しみだ!検察官のクビが飛ぶ――文字通りにね!」

鳴護「被告人は不規則発言を慎んでください。あと勝手にキャラ変えるのもやめてください。傍聴人が『誰?』って思いますから」

上条「裁判官に異議あり!なんで俺が連れて来られたのか不明です!『お弁当がついて時給1,440円のバイト』に参加しただけなんです!」

鳴護「また絶妙なラインの時給設定だよね。『あるっちゃあるけど、うーん?ヤバいのかなぁ?どうかなー?』って金額の」

佐天「裁判官は余計な口を挟まないでください!被告人が騙されるのはよくあることです!」

上条「そう言われると『だなっ!』としか返しようがないぜ……!」

鳴護「あ、うん、被告人がそれでいいんだったらいいと思うんだけど。まぁ席へおかけください」

上条「てか今日はホントに何の企画?悪い事した覚えが皆無なんだけど」

鳴護「だ、そうですが。検察官お願いします」

佐天「はい!前回のビッチムーブ裁判の恨みを晴らすべく!ほぼ私怨だと言えなくもないですが!」

上条「俺悪くなくね?そして多分君のクラスの男子からは『ありがとうぶち殺すぞコノヤロー』ってお礼のメールが大量に来てんだけどな」

鳴護「お礼かな?後半部分にこれ以上ないってぐらいの本音が自己主張しちゃってるよね?」

佐天「いやあたし的には女子からもハブられないよう、もう少し自重するようにしたいとは思うんですが」

鳴護「まぁ、そうだね。適度に空気は読もう?前回のはあたしから見てもアウトーって思ったからね?」

佐天「さて、では本日とある公開裁判を要求した理由とは――」

佐天「『――男子高校生、世界で最も価値がない裁判……ッ!!!』」

上条「謝って!世界中の男子高校生に謝って!」

鳴護「そしてちょっと意味が分からないよね。なんで男子高校生限定なの?当麻君が召喚された理由は?」

佐天「正しい意味での『召喚』が法的に人を呼び出す事なのに対し、悪魔召喚で慣れきった私たちは違和感を覚える件について!」

上条「聞いてねぇよ。俺も一瞬『あこれ悪魔召喚するのと同じ字だな』っては思ったけど、そっから脊椎反射で話広げんなや」

鳴護「そうやって当麻君が何でもかんでも拾うのも原因の一端になってるような……」

佐天「えーと、今から裁判を進める訳ですが、当然被告も弁護人も必要なわけですよ。結果が分かりきっていたとしても」

佐天「ですんでもうかれこれ16年も男子高校生をやっているという、無類の男子高校生好きを被告として」

上条「強いられてんだよ。俺だって俺のコスプレしてくれる人へ対して『何かワイシャツにズボンだけでゴメンね!校章すらなくてゴメンね!風紀委員だってちゃんとしたのにあるのに!』ってって心の中でいつも謝ってんだよ!」
(※風紀委員=緑地に白の4本線と盾のマーク。とある高校=なし)

鳴護「美琴ちゃんとかは……うん、当麻君の学校って校章すらオフィシャル設定なかった……っけ?」

佐天「だがしかし最初期はルーズソックスだったのに黒のソックスへ地味なマイナーチェンジをしている御坂さん……!」

上条「流行り廃りだろ。あっちもなっがいこと中二やってんだからな。永遠の中二だよ」

佐天「なのでぇ!男子高校生の集大成とも言える上条さんが被告人兼弁護人です!見事自分達の存在意義を勝ち取ってみるがいい!」

上条「俺らってそんなに扱い悪いか?別に普通に生きてるよ?」

鳴護「あたしも正直『こっくりさんorアホ裁判?』って事務所から……何をするのかはまだ何とも」

佐天「ですから男子高校生の存在意義を問います!社会的なテーマですよ!」

上条「だから俺らの存在意義って何?生きる事にどれだけ厳しくなってんの?」

佐天「あー、分かりやすく言いますと、例えばあたしと初春と御坂さんと白井さんでバンドやろうってことになるじゃないですか?」

上条「なんかこう二番煎じもいいところだが、まぁ好きにすればいいんじゃね」

佐天「ちなみに初春はあぁ見えてギターが弾ける上、絶対音感と相対音感を持っているので自分でチューニングできますが何か!?」

鳴護「あ、凄いんだね!?」

上条「待つんだアリサ!これは西葛西案件だから感心するのはボケ潰しになるぜ!」

佐天「まぁ絵になるといいますか、なんかこう物語が始まりそうですよね。科学と何かが出会ってないのに」

上条「なんかひっさびさに聞いたが、そうだな。絵にはなるよな」

佐天「では逆に上条さんとヤローのお友達三人でバンドを組んだとしましょう」

上条「おぉ!学祭限定イベントとかありそう!」

佐天「もうさ、ギャグにしかなりませんよね?」

上条「どういう意味で?俺たちがどうせロクに練習もせずに遊んでるだけだってこと?それとも存在自体がギャグ程度ってこと?」

佐天「華がないんですよ、華が!そんなんじゃ編集通りませんよナメてんですかっ!?」 バンバンバンバン!

鳴護「検察は落ち着いてください。被告人を必要以上に恫喝しないで」

上条「……言われてみれば確かに……ッ!」

鳴護「あ、あれ?納得していいの?」

上条「男子高校生四人がバンド組んでも『へー、頑張ってねー』ぐらいの感想しかないのに対して、女子学生四人にはエッラい食いつきがいい気がする……!」

鳴護「うん、あのね?音楽業界ナメてるのかな?」

上条「逆に考えろよアリサ!アリサだってARISAじゃなくて青年だったら歌姫としてデビューしていなかっただろ!?」

鳴護「まず姫じゃないからね。方向性の問題でできないだけだからね」

上条「今の業界――男は声優かアイドルかダンスユニットにならないと歌は注目されない……!」

鳴護「もっと否定しやすい事を言ってほしかったよ!?こう、強くは否定出来ないっていうか!あるけど!そういう風潮はね!」

佐天「よーく考えてみてください。あたし達がバンドではなくバイクや戦車に乗った場合でも、同様のことが起きます」

上条「い、異議あり!それは検察達の個人個人の力がパないだけで例外だと思います!」

鳴護「意義を認めます!涙子ちゃんは、えっと、もっとソフトに言ってあげた方がいいと思うよ!」

佐天「分かりました。では一部で騒がれた女子高生がバイクに乗るマンガの話をしましょうか。あれ、男子高校生でやったらどう思います?」

上条「……三話ぐらいで打ちきり喰らってると思う……だってただの走り屋系マンガになるだけだもの」

佐天「では別の戦車で部活をするアニメもありました。これがもし男子高校生主導だったならば!?」

鳴護「ただの仮想ロボット系戦記になるよね。途中で第三国が攻めてきそう」

佐天「他にもサイクリングしたり!ゲテモノを食べたり!なんだったら畑やったり魔女やったりしてますけどもね!」

佐天「これを男子高校生にやらすのは荷が重いんじゃないですかねっ!?数字的な意味で!」

上条「ま、待てやコラ!確かに俺たちは商品価値が低いかもしれない!今あげたジャンルじゃ分が悪いかもしれない!」

鳴護「そこ認めちゃって大丈夫?一応今の当麻君は男子高校生代表だけど、あとで怒られないかな?」

上条「異能モノでもゾンビモノでも最近はこう俺らじゃなくて、何か妙に女子の比率が多いよね!うん薄々分かってた!」

鳴護「無能っぽいナナさんとか学校で暮らすっぽいのとかだよね。あと最近でもないけど魔法少女では敵役にもなれないことが多い……!」

上条「だが俺たちにも活躍の場はある!それは――異世界転生モノだ……ッ!!!」

上条「もうプロローグの現代社会でトラックで待ちしてる時点で面白いんだよ!人身事故で一生トラウマになる運転手の気持ちになった事あんのかよ!?」

鳴護「ワイドショーとかで特集組まれそうだよね。『最近人助けをしつつ犠牲になる事件が多発しており……』とか」

佐天「基本的には美談なんですが、ご家族の気持ちを考えるとたまったもんじゃないですよね」

上条「そして俺たちは男子高校生だから異世界ではっちゃけられる!七つの大罪をコンプリートしつつ世界の覇権を手に入れて英雄になるなんて俺ら以外には出来ないだろ!?」

鳴護「文字に起こすとそれもう暴力だよね。どうして自重を知らないのか」

佐天「あと七つの大罪には意義かあります。嫉妬・怠惰・好色・強欲・大食・憤怒・傲慢のスタンダード大罪ではなく、好色・好色・好色・憤怒・傲慢・傲慢・傲慢ぐらいの比率だと思います」

上条「『あぁこれ主人公死んだらヒロインの種族同士が覇権を争う戦争になるよな。しかも主人公が後先考えずにぶっ込んだ現代知識のお陰で、死人の桁が三つは上がるし』とかね!?」

鳴護「もう男子高校生は異世界転生禁止にすればいいんじゃないかな。なんでこうダリ○さんみたいに人命優先で」

佐天「あれも歯痛第二王子との事故フラグが着々と積み上げられていますからね。個人的にはヨナ○さん推しですが、別の方とフラグ立ちましたし」

上条「どうよ検察官!この暴君っていうか無軌道っぷり!男子高校生以外に出来る芸当じゃねぇぞ!?」

鳴護「自虐なのかただのギャグなのか分からないかな。あと裁判やってたんだよね、二人でツッコんでたら忘れてたよ」

佐天「ほぼ100%自衛のために手を出しますからね。まぁ、ある意味では平和はお喋りでは訪れない好例なんでしょうが――異議あり!被告兼弁護人は都合の良い事実を隠している!」

上条「くっ……!?な、な、何を言ってるのか、分からないなっ!?け、検察の関係ない話はやめたまえよ!」

鳴護「余裕あるよね?キャラを変えて小芝居するぐらい程度には?」

佐天「えー、例えば上条さん。あなたが転生して幼女になって無双したとしましょう。なんでしたらVRRPGの世界から出られなくなったのでも構いませんが」

上条「人の話を聞いている分には夢があるよな!俺だったらゴメンだが!」

佐天「外見は幼女、中身は男子高校生、しかし実力はチート込みで一流以上――さて!これが果たして男子高校生と言えるでしょうか……ッ!?」

上条「な、なんだって!?」

鳴護「ただの神童だよね。中身がどうって不思議ちゃん入ってるだけで」

佐天「そうですその通りです!転生している時点で男子高校生成分は全く失われているではないですか!」

上条「待ってくれよ!中には男子高校生そのままっつーかクラス単位で放り出されるのあるだろ!あれとかそのまんまだよ!」

佐天「ノーです。異世界行って能力貰ってる時点で男子高校生の枠から逸脱しています、ていうか聞きますが上条さんは持ってるんですか能力を!?だったら話は別ですけども!?」

上条「聞いて驚け!俺の『右手』には世界を滅ぼす八大竜王が封じられているんだぜ!」

佐天「ネタ古くないですか?今時右手に邪龍ってなんすかwwwwwww邪竜ちゃんでも召喚しちゃった方が需要ありますよwwwwww」

鳴護「えぇっと、本当に落ち込むからそのぐらいに……」

上条「――そっか……ッ!八大竜王が擬人化すれば自動的にヒロインが8人になるってことか……ッ!!!?」

鳴護「ポジティブ過ぎないかな?そして全員男子だって可能性もあるよね?だって二択なんだし」

佐天「男子を守る王子が八人!ニトロプラ○でゲーム化お願いします!」

鳴護「そっからは無理だろうけど何かもう既にBL系でありそう」

上条「待ってくれ!俺の個人の話はどうでもいいんだ!それより中身が大事ってことだってあるだろ!?」

上条「想像してほしい――人生経験豊富なサラリーマンが異世界転生したとしよう!中には分別を弁えた老人だっていたな!」

上条「当然彼らは転生先でもその経験を生かすんだ!具体例はちょっと分からないし、何に生かすかは分からないけど!」

上条「そして成長して大人になってからは、その前世での経験を生かして無難に立ち回――」

上条「……」

上条「――あ、これ誰が行っても関係ねぇわ!?高校生だろうが老人だろうが、ただ欲望のままに振舞うだけだわ!?」

鳴護「被告はノリツッコミありがとうございました。『無難に落ち着くようだったら物語にならないよね?』って根源的な疑問だよね」

佐天「日常系男子高校生も流行りそうで追随する人間が皆無でしたしね!さぁどうですか裁判官!」

鳴護「って言ってるんだけど、当麻君はギブですか?」

上条「ぶっちゃけ異議はないが反論はあるぜ!俺たちがフィクションの世界ではちょっと難しいかも知れない!」

上条「最近異世界行くのも女子高生を拾うのもオッサン多いしな!でも向こう行ってやることなすこと中二だから、俺らでもいいと思うんだけど!」

佐天「男子は永遠の中二ですから。ある意味ではなくこれ以上なく真理的な意味で」

鳴護「ねぇ、今更なんだけど男子高校生の代表って当麻君でいいのかな?もう少し真面目な人選あったと思うんだ」

上条「俺だって真面目でーすー!なんかこうトラブルがあって単位がやや乏しくなってるだけでー!授業は真面目に受けてますしー!」

鳴護「ただ半分ぐらいは自分で地雷原に突っ込んで行ってる感じが……」

上条「検察!この世の中にはコスパだけで全てじゃない!結果を出すのは大事なことだけど、過程もまた考慮へ入れてほしい!」

上条「仮にテストで点を取れなくてもだ!必死に頑張ったんであれば、その努力もまた評価されて然るべきだ!」

佐天「見てくださいARISAさん!これが論点のすり替えってやつですよ!F1の議論してるのにメカニックの技術点も入れろとか言い出す人です!」

鳴護「検察は当麻君ひいては後ろにいる男子高校生も可哀相なので、同じ土俵には立って上げてください。一応でいいですから」

佐天「成程、被告人はこう言いたい訳ですね――『授業態度も加点してほしい』と。もうなんかコンテンツ的に無価値な感じがしますけど」

鳴護「そもそも本題からすっごい遠い場所に来てるからね。原形を留めていない」

佐天「ならは宜しい受けて立ちましょう!裁判官!証拠Aの動画メモリを提出いたします!」

上条「証拠?」

鳴護「これを再生すればいいんだね。ポチッとな」 ピッ

……

小萌(動画)『――で、あるからして”あぎょうさん・さぎょうご・いかに”というのは”ウソ”という意味があるのですよ☆』

鳴護「あー、授業中だね。先生の小ささに戦(おのの)いたけど!あと内容が古めの学校の怪談だし!」

佐天「『ア行三』と『サ行五』ですね。分からなければゲジっと噛まれてしまう妖怪です」

上条「直ぐ分かるって教育上どうなの?闇咲も病み坂だけど、君は君でもっとこうJCらしい生活を送れば?」

佐天「ほう、例えば?」

上条「えっと……友達と集まってバンドしたり、演劇したり?」

鳴護「涙子ちゃんが普通のJCではないけど、当麻君の中のJC像も偏っているような」

上条「てかよくまぁ俺の教室隠し撮りしたな!?この裁判が俺らを追い詰めに来てるってのは理解したけど、別におかしなことはしてないからな!?」

鳴護「まぁ、そうだよね。ヤンキーさんのマンガをモロに影響を受けてるって世代でもないし」
(※クロー○の映画がブータンで流行る→ブータン若者が徒党を組んで歩き出す→街中でのケンカが増える)

上条「私語なんぞ挟まずに黙々と板書!まさに学生の鑑と言えるねっ!」

佐天「あ、すいませんそういうのいいんで。動画……ではまず金髪グラサンの男子をズームしてもらえますか?」

鳴護「凄く……一般人ではないです……」

上条「土御門のヤローは中は熱いぞ!潜入捜査してるのに目立ちすぎじゃねぇかとか思うなよ!」

佐天「だからそういうのが結構なんですが。はい、手元をもっとアップで、ドン!」

土御門(動画)『(チッ……またアンコモンの浜面仕上()だぜぃ)』

佐天「ソシャゲーやってますねー。しかもハズレを引いたようで」

上条「いや違うんだ!俺たちは今世界を救うための代理戦争的なアレに巻き込まれているんだ!」

鳴護「もう長いこと決着ついてないってことは大丈夫だよ?あの世界の寿命が延びれば延びるほど新作が出て来ないってだけで」

佐天「あとその世界はお陰様で絶賛稼働中ですね。養分を広く吸収できる環境にある間は実をつけにくくなっていますが」

上条「金髪グラサンは男子高校生として相応しくなかった!もっとこうクラシカルなスタイルの平均的な男子を選んでくれ!俺とか!」

鳴護「被告人はなるべく前言を撤回しないでください。判官びいきができなくなります」

佐天「んじゃリクエストがあったので被告人を抜いちゃってください」

上条(動画)『……』

上条「ほーら見なさいよ!真面目に黒板見て頑張ってるじゃないの!」

鳴護「へー……当麻君の授業風景ってなんか新鮮。こんな動画が存在することに誰かの見えざる力を感じるけど」

上条「本当に誰が撮ったんだよこれ。防犯カメラか何かにハッキングでもしねぇと持って来れないだろ」

鳴護「真面目にやってるかどうかはともかく、これは特に悪いことはしてない、よね?」

佐天「騙されないでください裁判長!正面から撮った映像がこちらです!」

上条(動画)『……ぐー……』

鳴護「まぶたに目を描いて堂々と眠ってる!?こんなのコントでしか見たことない風景!?」

佐天「先生のツッコミ待ちなんでしょうが、小さい先生も面倒なのでスルーした結果、本人は眠りに入った、という感じですかね」

鳴護「――はい、という訳で『男子高校生価値ない裁判』は『コンテンツ力でも存在意義でも薄い』、ということで結審しまーす」 ドンドン

上条「待ってくれよ!?これはギャグだからノーカンだろ!?」

佐天「内申点からゴリゴリ削られていると思いますが」

上条「確かにちょっとこの日は悪ふざけしちゃったけども!俺たちにはまだ青ピさんが居るぜ!言動は問題視しかねぇけど勉強はできた筈だ!」

鳴護「アイドルの間で『この人を見つけたら警察かスタッフにお電話』って回覧されてる人だね」

佐天「ピアスはともかく青髪の時点で警戒色ですが……えーっとでは寄ってみてください」

青ピ(動画)『……!』 カリカリカリカリッ

上条「見てよ男子ー!真面目にノート撮ってるじゃないのー!」

鳴護「何で委員長風?しかも想定しているイメージ像が古いよ!」

上条「つーか俺もちょっと意外!?絶対にオチ要員としての役割を果たしてくれると思ったのに!?」

鳴護「もう裁判どうでもよくなってない?や、あたしもどうでもいいんだけどさ」

佐天「外見に反して実は真面目キャラ的な?」

青ピ(動画)『……!』 カリカリカリカリッ

上条「に、しても細かく書いてんな。こんなに真面目だっけ?」

鳴護「明らかに先生が書いてる分より多くない?あぎょうさんの話はテストに出ないし、メモ取ったりしないでしょ?」

佐天「あたしだったら嬉々として取りますけど。ではなにを書いてんでしょうね?天井のカメラからノート見えますか?角度的に……あ、行ける?じゃパンお願いしまーす」

上条「どうせエ×いことだろ?悪い意味で期待は裏切らないと思う」


――帝国歴1999年、人類は存亡の危機に立たされていた。

 神聖ナンデヤネン帝国の功罪をあげればきりがなく、神に背いた愚かな国と嘲笑うものもいれば、迷信から脱却したと評価するものもいる。
 歴代の皇帝たちは神殿勢力からの脱却を切望し、帝国歴322年には教皇を皇帝が指名するという認可制を採用した。
 当然神殿側は猛反発をし、いくつかの小領は義を唱えて独立を果たそうと矛をあげた。

 だがその全てを武力によって沈め、残された者へも容赦することなく斬って捨てた。文字通りの意味で。
 故に大声で大国へ叛意する者は絶え、人々はやや窮屈ながらも手に入れた平穏を大事にした。

 神殿側が腐敗していなかった、もしくは何らかの冤罪であった、との論証は未だ確立されていない。
 というのも誰の目にも神の名を騙る詐欺師であり、代弁するのは己の欲望だと映り、彼らが処断されても歓声をあげるものが多かったからだ。

 彼ら神殿にも役割はあった。神話に登場する魔王の監視者であると共に、時が来れば神の加護を受けた勇者を選抜し、光と闇の代理戦争へと向わせるという唯一無二の使命が。
 とはいえ神殿としても長い平和の上へ胡座をかき、存在意義ですら失われて久しかったのだが。

 故になのか。だからなのか。必然であったのか。

 各地で一斉に起きたスタンピート、魔物の氾濫で同時多発的に街や村、そして国ですらも灰燼へと帰した。
 その動きが方向性――何者かの意志を感じ取れるほど鮮明になったとき、既に帝都ドナイヤネンは地平を埋めんばかりの異形どもが目前に迫っていたのだった。

 語るべき口はもう持たない。これからどのような結末を迎えるにせよ、後世の歴史家なる者がしたり顔で後出しジャンケンをすることも、もう、ない。
 語るべき者から失われる。伝えるべき者が断絶する。勝ち負けですらなく種の存亡すらも望みが消えた。

 もしもここに俯瞰する者がいて、かつ帝都の民草へ目を向けるような酔狂さを示したとすれば、こう書き記されたであろう。
 人類の歴史を無へ還す足音は城壁のすぐ側まで迫るというのに、帝都の民は意外にも落ち着いていた、と。

 ある家族はいつものように食卓を囲んで、ある者はとっておきの一杯を開けてがぶ飲みし。
 またある者はかつてより心を寄せていた異性へ告白をし、見事に玉砕するという喜劇めいた一面もあった。

 誰もが、明日の朝日を拝むことないという確信があり――ただ一人を除いては、概ねそのように思っていた。

 その例外たる存在は、馴染みの酒場が閉っていたのに舌打ちし、どさくさ紛れで告白した男に爆笑し、いつもと変らず街角に立つ兵士を嫌そうな顔で見て。
 いつもは絶対にしないような、唯一無二、彼に与えられた『主神の槍(グングニール)』を肩に担ぎ直すと、ただ一跳びで城壁を跳び超え、迫り来る魔物の前へと降り立ち。

「――おう、人類の意地見せたるわ」

 軽い口調と共に放った槍の一振り。一度空高く、天の果てまで届かんばかりに高く、そして鋭く。
 音さえも置き去った一撃が大きく弧を描いて地上へと落下し始めると、槍は一つ、また一つと分裂を繰り返し。
 その一振りが異形へと降り注ぐ頃、幾千、幾万もの雨粒の如く理不尽に。そして無慈悲に魔物の命を刈り取った。

 後方に座す『魔王』――名前を与えられず、ただ人類へ災厄をもたらす者は静かに目を開ける。
 たった一撃で我が軍勢の大半を消失させた、唯一にして絶対に好敵手へ対して敬意を表すために。

 ――これが後年、『聖魔大戦』と呼ばれ


上条「――なっげーわ!?そんなに尺取るよなう部分でもねぇしそんなに珍しい内容でもねぇなこれ!?」

上条「てかこれもしかしてお前が主人公!なんかカッケーけどもっ!意外な趣味で俺も驚いているわ!」

鳴護「何か凄いプロローグ的な感じだよね。転生モノじゃなくてハイファンタジーかな?」

佐天「えーとあたしも意外で驚いています。そして中二的な感じで嫌いではないと発言したのを記録してください」

鳴護「その記録いるかな?いらないよね?」

佐天「あと名前は非公表ですが、こっちの男子は『急にテロリストが教室へ入ってきたらどう動くか』を考え、またこっちの男子は『突然ゾンビの群れが以下略』だそうです」

上条「みんなそんなんばっかだよ悪いかコラ!?大体の男子高校生は中二かエ×かのどっちかしか考えてねぇよ!」

鳴護「断言するのもどうかと思うな。だって少なからずカノジョさんいる人もいる、よね?」

上条「あぁ、そういう人は男子高校生じゃないからカウントしてないんだ」

鳴護「ちょっと何言ってるのか分からないかな」

佐天「裁判官!被告人があっさり負けを認めたようですが、まだ一ネタ残してあります!」

上条「もういいよ。だって俺らは男子高校生だもの」

鳴護「被告人は投げやりになるのをやめてください。あと涙子ちゃんもトドメは刺さないであげるって優しさは大事じゃないかな」

上条「てか授業中以外に何かあんの?ここまで来ると逆に見たいっていうか」

佐天「えーっと清掃時間ですね」

鳴護「あ、知ってる。野球とかやって叱れるやつだ」

上条「……いつの?」

鳴護「どういうリアクション?心当たりが多すぎて絞れないって、いつも何やってんの?お掃除の時間に?」

上条「いやでも清掃時間って遊ぶ時間だろ?」

佐天「まぁ、そうですけど」

鳴護「おかしいのあたしだけ!?てゆうかメンタル的に二人はどっちもどっちだよ!?ただ性別と特定の人からの人気が偏ってるだけで!」

上条「それがキャラグッズ量産されるかどうかのデッドラインなんだが……」

佐天「ではご覧ください。どうぞ」 ピッ

……

姫神『――第三回。”っぽい”選手権ー。パチパチパチパチ』

姫神『これは”っぽい”言い方をした人が勝ちです。お題にあった回答をどうぞ――では第一問』

姫神『”ぷるぷる。ぼくは悪いスライ○じゃないよ!仲間にしておくれよ!”に対してあなたはなんて言った?』

上条『お前が殺した人間にはなんて言った?』

青ピ『昨今のスライム実は強キャラって風潮について感想をどうぞ』

土御門『――裏切りは癖になる』

姫神『土御門君正解。第二問。ブギーポッ○さんが敵を倒したあとに一言。なんて?』

青ピ『無言で立ち去る!』

土御門『世界の敵は消え、ぼくは消え、君は残る、か――でも、本当にそうかい?』

上条『――彼には”力”があった。でも使わなかった。なぜならばその”力”は世界を終わらせる力だったからだ』

上条『使ってしまえば一度きり、そして全てが終わろうなんて”力”。でも彼は自分が終末の使者だと信じていた』

上条『あるとき彼は戦争に行った。彼は凡庸だったが必死で生き延びた。だって彼には”力”があるのだから、いざというときには全てを道連れに出来ると思えば怖くなかった』

上条『あるとき彼は家庭を持った。彼は凡庸だったが幸せな家庭を築けた。だって彼には”力”があるのだから、いざというときには全てを道連れに出来ると思えば怖くなかった』

上条『あるとき彼は病に倒れた。彼は凡庸であるが故に天寿を全うするのだ』

上条『だが彼はこうも考えた――「本当に俺は”力”を持っているのだろうか?」と』

上条『ならば、と彼は”力”を出そうとしたとき、彼にずっと寄り添ってきた妻は笑った』

上条『それは笑っているようなとぼけているような、不思議な表情に見取れてしまい。彼は”力”を使うのを忘れ、そのまま天に召された』

姫神『上条君反則だけど正解。加点で更に倍』

青ピ『卑怯やカミやん!今の長文事前に用意してへんかったら言えんはずや!』

土御門『だにゃー!俺もちっと「あ、そこにいたのね」って感心しちまったんだぜぃ!』

上条『吠えろ愚民ども!俺はずっとそういうことばっか考えてるぜ!』

姫神『悪くなかったのでそれはSSにして投稿するということで。では第三問。新手のスタンド使いが現れた。スタンド名と能力は?』

上条『ザ・サードアイ!部分的な未来予知!』

土御門『レバァ・ニラティーショク!岩人間の飼っている虫の一つで、なんかこう硬化とかに擬態するんだ!』

青ピ『Alice Through the Looking Glass!アリスっぽい感じで!』

姫神『全員不正解。もっとこう先生に手紙を送るような「マジか!?」って情熱が足りていない』

上条『それ必要か?暇潰しの時間にまで?』

姫神『最終問題。学園超能力バトル、最強と呼ばれた能力者の異能とは?』

土御門『ベクトル操作能力――ただし癖(へき)はローパスフィルター!』

青ピ『場所問わず水分操作能力!振動数を高めて発火までお手のもんやね!』

上条『異世界に転生してチート能力を得られる能力……ッ!』

土御門・青ピ『――カミやん、優勝……ッ!!!』

姫神『あれ?私のコーナーが……解せぬ』

……

鳴護「当麻君たちは全国の男子高校生にゴメンナサイした方がいいんじゃないかな?みんなもう少し真面目だよ?きっとね?」

佐天「すいませんこれ、あたしも参加できませんか?最近クラ男(クラス男子)が遊んでくれないので、混ざってみたいです」

鳴護「思春期だからね。前のビッ○ムーブ裁判で色々とドス黒いモノ(癖)が出ちゃってるからね」

佐天「てゆうか最後の能力って意味無くないですか?能力ぶっぱしたら本人か対象が異世界転生するんですよね?超強烈なパシルー○ではあるんですが」

上条「いやフィクションじゃないんだよ?マジでそういう上里っていうフワッとしたやつが居るんだ」

上条「でもあれ、俺が喰らってたらどうなったんだろう……?自分が望む世界に行ってたんだったら結果オーライじゃ……?」

鳴護「なんなのかなその独裁スイッ○」

佐天「あと今明らかに女子高生もいましたよね?たまにインスタされてて『どうしようお迎えきたみたい』ってネタ掲示板に貼られているご本人様が」

鳴護「全体的なレベルが言っちゃなんだけど同じランクかな−。女子高生の潜在能力の1%も使ってないっていうね」

上条「い、いいじゃねぇか別に!姫神は男女の境なく遊んでくれる貴重な友達なんだぞ!」

鳴護「今頃きっと秋沙ちゃん『がーん』って言ってると思うな?一ミリも表情変えずに真顔のまま」

佐天「最後でトドメに!と、思ったんですが、予想以上に衝撃的なブツが出て来やがりましたからね。どうしましょう裁判官?」

鳴護「あー……『男子高校生コンテンツ力に欠ける裁判』は、まぁ『そこそこ合ってた』という結論にします!」

鳴護「しかし『※イケメンは除く』という付帯事項をつけると共に!『※女子高生も何がとは言わないがアイドル以上』と書いておいて下さい!」

上条「なんだってそうだよ!イケメンか可愛い子がやればコンテンツになんだよ!それがどんなしょーもない代物でもな!」

佐天「誰とは言いませんが、JC四人がただ健康ランドに行く話が円盤化したご感想をどうぞ?」

上条「お、俺だって何度も(※死にかけて)脱いでるのに!この扱いの差はなんだよっ!?」

佐天「需要、かな?被告人も検察もさっさと帰って下さい。当麻君はこのあと最愛ちゃんの映画の闇話を聞くって予定があるんでしょ?」

上条「あれ、意外と胃に来るんだよ。闇咲もそうだけど」


-終-

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