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Clock(trial)

鳴護「アイドル探偵・ARISAの事件ファイル 『垣根帝督連続殺人事件』 〜前篇〜」

 
――撮影スタジオ

カメラマン「――はい、いいよー!いいねーその表情!もっとアゴ下げて下から見上げるように!」 パシャッパシャッ

鳴護「こう、ですか?」

カメラマン「腕はもっとぎゅっとしないとぎゅっと!胸の前で肘と肘をくっつけるぐらいの勢いで!」

鳴護「あ、あの?このポーズ凄く不自然なんですけど……?」

カメラマン「あぁいーのいーのそれで!読者の皆はチチしか見てないから!構図が不安定だって気にしてないから!」

鳴護「企画の主旨としてはそうかもですけど、このポーズで直立してるのって足プルプルするぐらいキツいんですよ!」

カメラマン「じゃあ筋トレしないとね!他のグラドルは大体やってるよ!ARISAも慣れないと!」

鳴護「はぁ」

カメラマン「もっと俺を恋人だと思って!笑顔が硬いよ!」

鳴護「イヤです」

カメラマン「なんでよ!?見るからに軽薄で遊んでそうで誰にでも声かけてるようにしか見えない俺じゃダメなの!?」

鳴護「理由全部言ってますよね?自覚か前に言われてるんですよね?」

カメラマン「いやマジな話さ?俳優さんが演技をする上で相手の俳優さんを恋するのって大事じゃん?役には入りこむっていうかさ?」

鳴護「あー、まぁ舞台とかだったら分かりますけど」

カメラマン「そうそう。だから西葛西もね」

鳴護「違いますよね?あれは作詞作曲を頼んだら声優さん×っただけですよね?『それは頼んでねぇよ』的な」

鳴護「スーパーでお遣い物買って包装頼んだら、その場で食べ出した的な事ですよね?」

カメラマン「あ、これ連絡先!何かあったらいつでも相談に乗るよ!」

鳴護「今まで下心しか見えませんでしたけど……まぁ、どうも」

カメラマン「じゃあ次はトップ外してみようっか?」

鳴護「誰が外すんですかコノヤロー」



――撮影スタジオ

カメラマン「はい、という訳で撮影は終わったけどどう?」

鳴護「『男の人ってバカだなー』ぐらいですかね。目の前の人を筆頭にして」

カメラマン「疲れたんだったらどう?休んでってもいいよ?」

鳴護「いえ結構です。早く帰って忘れたいです」

カメラマン「今日の水着はエッチだったね!でもいいと思うな!」

鳴護「あたしも困惑してます。『どうしてこんな風になったんだろう?』って」

カメラマン「それで、えーっと……雑誌社からの質問は『誰か好きな人はできましたか?』だって」

鳴護「あぁはい。学園都市で前にお世話になった人に片思い中です」

カメラマン「『お父さんのような人が好きです』、っと」

鳴護「言いましたよね?あたしはっきり言ったのに原形留めてないぐらい改竄しましたよね?」

カメラマン「だって書けないでしょうが!?君どこの世界のアイドルが彼氏持ちで仕事来ると思ってんの!?」

鳴護「いや今はそこそこあるんじゃないかと……」

カメラマン「だからねー、そこは謎のパーティでストレスを発散してもらってね」

鳴護「阪神タイガー○の藤○投手ですよね?あれ、女性ばかり感染してたり学生で未成年がいたり、どう考えても危ないやつ」

カメラマン「どう考えても野球賭博の胴元が開いた美人局だよね」

鳴護「――これはあくまでも個人の意見であり、推測の域を出るモノではありませんっ!」

カメラマン「まさか殺人魔球(すっぽ抜けシュート)は闇の組織が指示していたものかも……!」

鳴護「ない話ではないのでやめてください」



――オービット・ポータル芸能事務所

鳴護「――と、いうようなことがあったんですよ!?」

マネージャー「いや知ってますよ。リーダー、もとい社長がキレてましたし」

鳴護「カメラマンの人サイッテーでした。あれだけの人は珍しいです」

マネージャー「いますからねぇ。自分の職場と立場を勘違いされた業界人の方は」

鳴護「そうなんですか?」

マネージャー「まぁARISAさんのようなオンリーワンでもない限り、大抵は代役で済みますしクレーム受けて消えるんですが」

鳴護「その割にキャラが濃かったような……?」

マネージャー「雰囲気作りの一環としてでしょうね。『怖いなー』って感情へ向わせず、『こいつウザいなー』というヘイト管理です」

マネージャー「スタジオの雰囲気が悪かったら表情も硬くなりますから。まぁプロっちゃプロですが、ARISAもグラドルなんですから慣れてくださいね?」

鳴護「えぇまぁそうなんですけど――あれ?」

マネージャー「何か?」

鳴護「いや今看過できない単語が出て来たような?」

マネージャー「そうですか?疲れてるんじゃないですかね、今車出してきますから」

鳴護「あ、はいありがとうございます。柴崎さんはまだお仕事を?」

マネージャー「えぇ少し後片付けを。念のためですが」



――鳴護のマンション

鳴護「……ただいまー、と。いませんねー?いませんよねー?」

鳴護「この間はインデックスちゃんがドッキリで来ててね、開けっ放しになった冷蔵庫から『ぐおおおお……!』って。ゾンビか」

鳴護「きょーおーはさすがー……うん、いないよね!冷蔵庫の中のモノが減ってないから!」 パタンッ

鳴護「お腹も夕方の番組で一杯だし……寝よっか。明日は朝から事務所にお呼ばれしてるんだし……おやすみー」 パチッ

鳴護「……」

鳴護「――いや違う違う!そういうんじゃない、あたしグラドル違うよ!?」

鳴護「厳密にはアイドルでもないしね!シンガーソングライターであってアイドル要素はなかったよ!」

鳴護「あれ……?てかいつのまに水着を着て写真を撮る仕事がメインに……?あれ?」



――事務所 翌朝

鳴護「――ってアイドル違いますよ!?なんであたしグラビアのお仕事ばかりやってんですか!?」

マネージャー「いやぁいつ気づくなかぁと思いましたが、半年かかりましたか。遅かったですね」

鳴護「この半年のスケジュール見たら食べ歩き番組とインタビューとグラビアばっかだし!?一体いつの間に!?」

マネージャー「普通音楽のお仕事が皆無な時点で分かりませんでしたか?気づきますよね?不自然だって?」

鳴護「それはっ!……その、『充電期間かな?』って思って!」

マネージャー「チャージ期間ばかりが過ぎて忘れられるタレントなんて腐るほどいますけどね」

鳴護「てかどうして!?なんでですか!?説明を要求しますよ!?」

マネージャー「……いいですか、ARISAさん。まずあなたの第一志望が歌関係であるのは自分も知っています」

鳴護「てかあたしを狙ってましたもんね。クロウ何番さんかは忘れましたが」

マネージャー「でまぁ紆余曲折あってこうして日常に身を置いているじゃないですか。敵同士だった身にも関わらず」

鳴護「はい。まぁそれはとてもありがたいとは思うんですけど」

マネージャー「ただ、ですね。こうして市井の身になって思うのですよ。『職業に貴賤はない』と。グラドルと雨後のタケノコのように量産されたデーヴァ()との間には」

鳴護「なんでカッコ笑いをつけたんですか?確かに一時期大流行しましたけど!女の人がガーリーな服でソロでギターやキーボード弾くの!」

マネージャー「初代は岡本真○から始まり、バブリーなメイクをした勢力が一時期台頭し、最近ではまた一周回ってギター一本に戻っていますね」

鳴護「その周期の間に一体何があったんですか……?」

マネージャー「まぁ確かにグラドルはARISAさんにとっては嫌かも知れません。望んだ職種ではないですし、何よりも性格もありますからね」

鳴護「分かって頂けましたか」

マネージャー「ただ、だからといって先程も言いましたよね?職業に貴賤はないって」

鳴護「まぁそうですけど」

マネージャー「毎日汗水流して働く人、そしてまた大都市で××党に生活保護を斡旋して貰って自称パチプロとして働く人。どちらも等しい貴いのです」

鳴護「あると思います、貴賤。厳然として存在していると思います」

マネージャー「また中には毎日一太○に『封神具;ヘルシング教授(不死・怪物特効)』とか意味不明の落書きをして現実逃避するライター!」
(※実話です)

マネージャー「また他にも『しの○さんがドウ×を”さっさとくたばれ糞野郎”と罵ったのはドMへのご褒美』とか呟く絵師もいたり!」
(※実話です)

鳴護「もう一回言いますけど、やっぱり職業って貴賎があると思います。特に後半の二ケースは賤の方です。爛れた生き方って意味で」

マネージャー「まぁつまり何が言いたいかといえばARISAの歌の円盤より、薄い服を着ているARISAの円盤の方が利益率が高いんですよ」

鳴護「またぶっちゃけましたね!?身も蓋も外聞も何もない本音を!?」

マネージャー「てか前にも言いましたよね自分は?いいですか、昨今の声優は演技か上手くて当たり前。容姿が伴っていないとまず売れないのです」

鳴護「あの……大丈夫ですかそれ?その言い方だと前世紀の声優さんが容姿が伴っていないように聞こえませんか?」

鳴護「というかですね。声優さんの話をあたしに振られましても……」

マネージャー「まぁ立ち話もなんですからどうぞおかけください。というか事務所の入り口で大声を出されると外聞が良くありませんので」

鳴護「……うん、まぁ『ヤク×っぽい人が出入りしてる』ってよく言われますもんね。マネージャーさんたちは」

マネージャー「前職が『反社とo-hanashiするための外付け保安部』ですからね。学園都市内でも組織同士の直接戦闘で上位へ食い込めますから」

鳴護「たまーによく忘れるんだけど、お姉ちゃんってレベル4なんだよね。そしてまだ当麻君と大して年の差もないって言う」

マネージャー「自分としてはもう少し年相応でもいいと思うんですがねぇ」

鳴護「すいませんマネージャーさん。少女に徹底して軍隊格闘術を教え込んだ上、今もなお『リーダー』と付き従ってるダメ大人の責任ってどう思います?」

マネージャー「あの時点では最善か次善の選択肢かと。どこかの研究所からお声がかかりましたし、その前に自衛する能力を持たなければ危ないところでしたが」

鳴護「……なんだろうな。普通加齢と共に人生が厳しくなっていくのに、最初っからクライマックスですよね。学園都市って」

カツンッ

鳴護「あ、ごめんさない蹴っちゃった。てか大っきな旅行バッグですね。出張ですか?」

マネージャー「えぇまぁ。少し山側の方へ」

鳴護「……あたしのお仕事関係ですか?」

マネージャー「ではないですよ。最近登山にハマっていまして」

鳴護「あ、そうなんですか?意外です、ご趣味があったんですね」

マネージャー「何か失礼なことを言われている気がしますが……あぁそうそう。昨日のカメラマンさんから事務所へ連絡がありましてね」

鳴護「あー……なんでした?」

マネージャー「はは、ご心配なさらず。ARISAさんへのクレームではありませんよ。むしろ逆で、昨日のことを大変恥じてらっしゃいました」

鳴護「そうなんですか?なんかちょっと意外ですけど、ならまぁ、はい」

マネージャー「あとはそれで彼、今のお仕事を辞めて田舎へ帰るそうです。土がどうって言ってましたか」

鳴護「土……あぁ農業ですかね」

マネージャー「それでARISAさんには申し訳ないと。それが大体の主旨でした」

鳴護「あ、じゃあたし酷い事言っちゃったかも!謝らないと!」

マネージャー「すいませんARISAさん。先様の番号を控えていないので、こちらから連絡はできないんですよ。事務所経由でしたし」

鳴護「問題ないですっ。昨日押しつけられた連絡番号が!」

マネージャー「ちょっと待っ――」

鳴護 ピッ

大きな旅行鞄 PiPiPiPi、PiPiPiPi、PiPiPiPi……

鳴護「……」

マネージャー「……」

鳴護「……」 プッ

大きな旅行鞄 Pi――

鳴護「……」 ピッ

大きな旅行鞄 PiPiPiPi、PiPiPiPi、PiPiPiPi……

鳴護「……鳴ってますけど?」

マネージャー「いや違うんですよ。ARISAさんが思っているのとは恐らく、そして誤解があるかと」

鳴護「説明してもらっても?」

マネージャー「実は自分はM87星雲から来た宇宙人で、カラータイマーが点滅する音ですね」

鳴護「嘘を吐くにしたってもっと納得できる嘘を吐いてほしい!その台詞で『あ、じやあ仕方がないですよね』って騙されないよ!?いくらあたしでも!」

マネージャー「大丈夫です!証拠は残りませんから!」

鳴護「そういう問題じゃなくて!てかどういう状況ですかこれっ!?」

マネージャー「いえですから、彼の希望通り田舎へ還って土に戻ってもらおうかと」

鳴護「……冗談、ですよね?手の込んだドッキリなんですよね?」

マネージャー「決まってるじゃないですか。ジョークですよ、ジョーク」

鳴護「で、ですよねっ!」

マネージャー「――さて、ご機嫌な観客無しドッキリも終わったところでARISAさんにはお仕事です!」

鳴護「わ、わーい!なんだろうなー!食べ放題や食べ歩きか大食い選手権だといいなー!」

マネージャー「大食いは勝負にならないのでもう来ませんが……なんと、ドラマです……ッ!」

鳴護「脱ぎませんよ?」

マネージャー「ありがとうございますARISAさん。普段の行いをもう少し良くしようと改めて決意しました」

鳴護「いえ本当に気をつけいてほしいとところなんですが……ドラマですか?嘘ではなく?」

マネージャー「はい、二時間ドラマです。学園都市のケーブルテレビでやってる、『火曜サスペンスステージ』ってご存じですか?」

鳴護「あー……なんか涙子ちゃんが言ってたような?」

マネージャー「しかも主役ですよ、主役。監督から直々のオファーがありまして」

鳴護「マジですか!?いいじゃないですか主役!そういうのってやろうと思ってなれるものじゃな――」

鳴護「……」

マネージャー「何か?」

鳴護「すいません。その監督さんのお名前は?」

マネージャー「絹旗監督ですが」

鳴護「イヤです。このお話はなかったことに」

マネージャー「では一度マンションまでお送りしますので、荷物を取って来てください。直で現場にお送りしますので」

鳴護「話を聞いてください!?イヤだって言ってますよねぇあたしは!?」

マネージャー「言いましたよね?職業に貴賤はないって?」

鳴護「前のヨゴレは下の方だよ!?だって狙ってダメ映画を作ってたんだから!」

マネージャー「――と、ARISAさんが謎のワガママを言い出したので、今回もまたエサを用意しています」

鳴護「騙されないよ!どうせ当麻君をセッティングしてあるとかでしょ!?」

大きな旅行鞄 パカッ

鳴護「……えっ?」

上条 クルッ→【ドッキリ大成功】

マネージャー「あぁダメですよARISAさん、ずっと中へ入って待機して貰っていたのですから、”どうせ”とか言っちゃ」

鳴護「面倒だよ!前回もそうだったけど一々全部が面倒だよね!」

上条 クルッ→【ナイス☆ツッコミ】

鳴護「当麻君もプラカ芸してないでなんか喋りなよ!あたし達に無限の苦労を強いろうとしている人達に少しは愚痴を言わないと!」

上条「――俺、知ってるんだ」

鳴護「な、なにをなのかな?」

上条「どうせここでゴネたって、結局企画は企画通り進むってな……ッ!!!」

鳴護「なんて達観。そして確かに当麻君が逃げられた事実はないよね!」

マネージャー「もしくは『逃げこんだ先が更に地獄』のどちらかですよね。流石常盤台の更衣室に体一つで乗り込んだ伝説を作った男かと」

鳴護「……当麻君?」

上条「アリサだって分かってるだろ!?俺にそんな甲斐性があるんだったら既に何人か母子手帳を必要としてるってさ!」

鳴護「遠回しに言ったつもりが逆にリアルになってるね」

マネージャー「一応責任をとるつもりなのは評価しますけど――さて、そろそろ時間がないので行きましょうか」  

鳴護「あの、あたしがボイコットした場合は……?」

上条「アイドル探偵から『無能力探偵・上条当麻の温泉秘湯ファイル』に変るだけだぜ!きっとな!」

鳴護「当麻君へ主役交代するとエっチぃ路線になるんだね、推しが」

マネージャー「それよりも事情を知らない方が『無能力探偵って何?』ってパワーワードに引っかかると思います」



――学園都市撮影スタジオ

監督?「『――えー、本日はお集まり頂き超ありがとうございました。若輩者ですが監督を務めさせて頂くものです』」

監督?「『では映画を撮るに当たりまして――誰しも、そう、誰だって子供の頃には夢を超持っていたと思います』」

監督?「『例えば高校野球でブイブイ言わせ、プロを経て大リーガーになったかと思えば試合がポシャッて暇になり』」

監督?「『少ない知識とアイドルに手を出す程度の社会常識で政治に超いっちょ噛みしてみれば、”ダルビッシ○さんは試合もツイッターも炎上させるのがお上手なんですね”と嫌味を言われる始末』」

上条「おいやめろ!前回に引き続いてダルビッシュ・○さんをイジるのやめろよ!」

上条「あの人は基本良い人なんだよ!日本で災害が起きた時、元嫁が多額の寄付をしたら『ありがとうダルビッシ○』ってコメントが乱舞するんだからな!」

鳴護「前も言ったけどフルネーム出す必要ってあるかな?ないよね?」

監督?「『かと思えば集団で未成年&学生と濃厚接触()するパーティへ首を出し、梨○元監督へ超罹患させる自営業の野球選手もいます』」

監督?「『本当に人生というものは度し難く超ままなりませんよね。皆さん、普段の素行は超気をつけましょう!』」

鳴護「……そうなの?そんな感じなの?」

上条「都会は人が多いから、うんまぁ。仕方がないんじゃないかな?きっと?」

監督?「『神は言いました――”ドロシ○きゅんが成長しちゃったら可憐でもないしチルドレンでもなくね?”と!』」

上条「ヤな神だな。多分邪神だろ」

鳴護「それ以前に中学生編でもうチルドレンって年齢の子が皆無だよね、ってツッコミ入るよね」

監督?「『しかし!敢えて、そう敢えて私は叛逆したい!決められた輪廻の輪を断ち切るように!予定調和から逃げ出したいと!』」

監督?「『そして多分このネタ数人しか分からないと思いますが、とある小説が最も盛り上がる場面は主人公が謀殺した実兄の未亡人に優しく×××ししてもらうところだ、と!』」
(※『八男ってそれはないでしょ○』)

上条「本当にやめろや!?ここたださえコンプラ低めなのにグッと下がってんだぞ!ユーザードン引きだろ!」

監督?「『てかなろ○系って主人公とその周囲の知能が平均100だとすると、敵は基本3ぐらいなのしか出て来なくないですか?メンヘラ以前に”あなたそれどうやって日常生活送ってきたの?”ってレベルで』」

監督?「『しかも口を開けば”カネ・オンナ・リョーチ”ぐらいしか台詞はなく、超新種のオークの鳴き声なんですかね』」

上条「おいいい加減にしろよ!なろ○系イジりはしないって約束したのに結局やってんじゃねぇかよ!」

監督?「『あぁ失礼、口が超滑りました。つまり私が何を言いたかったかといえば――』」

監督?「『そして唐突に政治風刺を始めたと思ったら、信長の野○に移行して魔王(ロ×)を嫁にして終わるのってどうなの、ってね……ッ!!!』」
(※『八男ってそれはないでしょ○』)

鳴護「言葉の意味はよく分からないけど、関係各位へケンカ売ってるのは間違えないよね?そういうことだよね?」

上条「うん……『まぁ多分読者の多くは同じ感想だろうけども!』としかね」

絹旗(監督?)「と、いう訳で今回のドラマの監督をすることになりました絹旗最愛です。サインください」

鳴護「あ、はい。なんて書けば?」

絹旗「『最愛の最愛ちゃんへARISAさんぽで頑張るぞ!』と」

鳴護「面倒臭いやつだよね。分かってたけど」

絹旗「それでですね三澤さん」

鳴護「違います、ARISAです」

絹旗「失礼しました、超噛んでしまいました。本日はこちらの指名に答えて頂き本当にありがとうございました」

鳴護「あっはい、それはいいんですけど、今回の企画は一体……?」

絹旗「今回はですね、落ち目のアイドルもどきを起用して二時間ドラマを作ろうという超斬新な内容になっています」

鳴護「ねぇ当麻君、あたしはケンカを売られてるのかな?買うにはどうしたらいいと思う?全力で歌えば勝ち目があるのかな?」

上条「気持ちは分かるが、この子の場合は素で言ってる可能性が……」

絹旗「あぁお気を悪くしたのでしたらすいませんでした。ただ三澤さん、沖縄行ったり山梨行ったり、活動の幅を超広めてるじゃないですか?」

鳴護「だから知らない人だよぉ!でもその子はきっと『あれ?声優なのに地方ロケのお仕事?あれ?』ってあたしとよく似た立場だとは思うけども!」

上条「ほーらみろ。君が一回名前ネタでツッコんだからテンドンになった」

鳴護「その注意は始まる前にしてほしかったかな!」

絹旗「なのでまぁやっとけ的なね!決して長編ポシャッたとかそういうのでは超ありません!」

上条「うん、アレな。流石の俺でも『この台本ってさ、やたら病気や伝染病についてのネタが多いんだけどどう思うオルソラ?』って聞いたら」

上条「『まぁ気づかないのも優しさなのでございますよ』って天使が言ってたし」

鳴護「あの……もうアイドルでもグラドルでもいいですから、どうか芸能人生命だけは消えないようにして下さい……!」

絹旗「心配性ですねARISAは。超大丈夫ですとも、このドラマがオンエアされればオファーの電話が鳴りっぱなしになると」

鳴護「だったらいいんですけど」

絹旗「――で、基本衣装はキャミとタートルと白のワンピースのどれが超似合うと思いますか?」

鳴護「やっぱりそっちの路線なんだ!?いや手っ取り早く数字取ろうとおもったらそれだけど!」

上条「なぁ監督さんよぉ、そういうベタなエロ路線で攻めるのは良くないと思うんだよ。昨今のご時勢に鑑みてさ?」

絹旗「異世界レビュワー○とド級編隊セクゼロ○が超アニメ化するご時世がなんですって?」

上条「――ごめんアリサ!俺には止められそうにない!」

鳴護「当麻君止める気あったのかな?」

上条「あとですね監督、その三択は厳しいと思うのでジャンパースカートかハーフコルセットを着せて強調した方がいいと思うんですよ。何がとは言いませんが」

絹旗「そうですね。視聴者的にあえて露出を超絞った方が返っていいのかも知れませんね」

鳴護「あの、二人を訴えたいんですけど、どこへ行けばいいと思いますか?警察?それとも必殺仕事○?」

絹旗「前にも超言いましたが、私を倒したければジャガーノー○ぐらいは用意しなさい!センチネ○程度なら量産してこないと話になりませんよ!」

鳴護「っていう意味不明の供述をね」

上条「なんか三期も折り返し地点なのに、出番なく終わりそうだから錯乱しているんだぜ。きっとな」



――

絹旗「はい、では共通ルートに入りますので演者さん及びスタッフの皆さんは準備して下さい」

鳴護「監督?あたし達まだなんの説明も受けてないですし、そもそもどんな役なのかも分からないまま突入させられるんですか?」

絹旗「撮影は素の演技のままで行きましょう。前の映画も超好評でしたので、良い点は受け継ごうかと思います」

鳴護「そ、そうだったんですか?」

上条「騙されるなアリサ!この悪魔は『(爆笑を誘って)超好評』って言ってるんだからな!」

絹旗「超歪んだ見方をされていますね。私も今回は真面目に取りますよ、何せB級映画ではないんですから……ッ!」

鳴護「なんて説得力……!……そう、かな?説得力あるかな?」

上条「ってことはやっぱ前回お遊びだったんじゃないですかコノヤロー」

絹旗「なんでしたら今から企画を変えますか?――あ!超見てくださいあんなところに建設用トラックの群れが!」

上条「あれか?俺たちがNoって言ったら強制的に異世界転生トラックにGoさせるよ、って意思表示なのかな?」

鳴護「ギャグのつもり……うん、冗談なんだろうけど目が笑ってないです監督」

絹旗「ご理解頂けたようでなによりです。ではオープニングは後撮りとしますんで、お二人が旅館へやってきたところから超カメラを回しましょうか」



――撮影中

鳴護『うわー、良い旅館だね!雰囲気があるっていうか、歴史を感じさせられるよ!』

上条『……』

鳴護『ね、当麻君もそう思わない?いいところだよねー!』

上条『……ごめんなアリサ。俺たちの関係を隠さなきゃって、こんな辺鄙な場所にしか来れないだなんてさ』

鳴護『そんなことないよー!うんっ全然全然!人がいなくて良いところだよ!』

上条『せめて俺がARISAと比べて恥ずかしくないぐらいの人間だったらさ?こんな隠れてコソコソ付き合わなくてもすんだのに……』

上条『俺がビジュアル系バンドマンかヴィジュアルとバンドを抜いただけの人間じゃなかったら……!』

上条『って分かりづらいわ!それただの「マン」だろ!?多分ろくでなしって意味でなんだろうけど!』

鳴護『そんな当麻君、卑下しないで?恥ずかしくなんてないよ!絶対に!』

上条『アリサ……!』

鳴護『――でも、服は着よう?』

上条『恥ずかしいってそういう意味で!?俺ただのアホじゃねぇか!?』

上条『あとこれはアドリブだけど脚本書いた野郎ぶん殴るから憶えておけよ監督』

鳴護『ま、まぁいいじゃない!今日は折角のお休みなんだから楽しもうよ、ねっ?』

上条『……あぁ、そうだな!』



――

絹旗「はい、カットーーーっ。超良い演技でしたよ二人とも、まるで10年以上キャリアのある役者さんっぽいです」

上条「余計な事は言うな、なっ?」

鳴護「いやーそれほどでもないっていうか?」

絹旗「すいませんARISAさんのテンションが振り切ってるのが、正直超引きます」

鳴護「いや!お芝居だけときちんとやらないとね!演技演技!中には勘違いしちゃう人がいるかもだけど!」

絹旗「まぁ血を見るのも流すのも私ではないので関知しませんが。お二人の設定をおさらいしますと、最近路線変更で悩んでいるアイドルとそのヒモです」

上条「悪意があるよね?俺って存在をまず潰しにかかってきてる」

絹旗「あーじゃあヒモが超気に入らないのでしたらパチプロで?」

上条「よりタチが悪くなってんだよ!?実質的には同じ意味だしな!」

絹旗「浜面に『やーい、滝壺さんのヒーモー』って言うと『ヒモじゃないやい!パチプロなんだい!』って反論されたんですけど?」

上条「――っていう意見もあるけれども!中には正義のパチプロがいたっていいと思う!信じる心って大切だよなっ」

鳴護「ギャンブルで稼げるんだったらみんなそうしてるだろうけど……」

絹旗「少し前に流行った億り人さん達、息してるんでしょうかねぇ?空売するにしたって超限度がありますし、そして下がるだけではないってのがまた辛い」

上条「地球温暖化商法と一緒に消えるのかなー。10年ぐらい経ってからさ?『俺の若い頃には排出権をカネで売買してたんだぜ!』って言ったら嘘吐き呼ばわりされるかも」

絹旗「宜しい!ならば検証しましょうか、超10年後にまたお合いするということで!」

上条「流石にそれはねぇわ。10年後は……うん、流石に。ない、よね?俺たちの冒険も終わってる、よね?」

鳴護「当麻君の冒険はまた新しく始まったばかりだと思うけど……続いてると思うな。クイン・サー○のように」

絹旗「と、いうような感じで軽い気持ちで撮影していきます。何かご質問あれば超どうぞ?」

鳴護「あの、監督?あたし素人だからなんとも言えないんですけど、ドラマのロケってこんなナメた感じで大丈夫なんでしょうか……?」

絹旗「まぁ人によると思いますよ。厳しい監督さんもいれば緩い監督さんもいて、私は超後者です。結局の所、良い作品が残せれば良し、ですし」

上条「おぉ……なんかプロっぽいこと言ってる……!」

絹旗「超はっきり言えばB級映画を作るんじゃないんですから、超肩の力を抜いても構わないですからね?」

鳴護「うんまぁ予想できた台詞だけど……B級映画に劣るドラマって、何?」

上条「優先順位が狂ってる。そして誰だこの子キャスティングしたの」

絹旗「スポンサーからは『ARISAを可愛く撮れれば他は別にいいから』って超念押しされてますけど?」

鳴護「コワイよねお金が動く世界って!」

絹旗「さっ、まだ旅館にも入ってないですからねー」



――撮影中

上条『すいませーん、ごめんくださーい!予約したもんですけどー!』

番頭『――はーい!ただいま伺いまーす!』

鳴護『男の人、だったね?女将さんじゃないんだ?』

上条『まぁ都会からかなり遠いしなぁ。秘境宿だと男手の方が必要なんじゃ?』

鳴護『あー、確かに。ここまで来るの大変だったもんねー』

海原(番頭)『いらっしゃいませ!割烹旅館「アステカの風」へようこそおいでくださいました!』

上条『秘境は秘境でも秘境の意味が違うわ!?お前んトコの実家って前人未踏の地ばっかだろ!?』

鳴護『というか割烹旅館なんだ、「アステカの風」』

海原『えぇ、捌くのは得意分野ですから自分は』

上条『またなんかこう世界が狭いんだよ!いつもいつも身内で話回そうとしやがって!もっと冒険したっていいだろ!?』

海原『あぁでは御坂さんが交戦されている中二病の方と替りましょうか?』

上条『アレはアレで話通じねぇだろ!?なんか難しい漢字使えば頭良く見える(※という幻想)が昔の黒歴史思い出させてアイタタなんだっつーの!』

鳴護『ま、まぁまぁ当麻君。それより、予約した者なんですけど、こちらで合ってます?』

海原『えぇ伺っておりますよ。上条様と鳴護様でしたね、まずは記帳をお願いします』

鳴護『(……本名で取ったの?)』

上条『(じゃないと捕まるんだぜ?いやマジで)』

海原『旅館業法違反ですね。よく活動家を名乗るテロリストが別件逮捕される容疑です』

上条『じゃあ俺が――って結構泊まってる客多いんですね、今日ってなんかのイベントですか?』

海原『という訳ではないのですが、最近当館も口コミで評判が上がっておりまして、よくお客様が――』

垣根『――おい番頭!フロの水出ねーぞ!どうなってやがる!』

海原『あぁ垣根様、ですから大浴場が使えるのはお昼からになっておりますので』

垣根『俺はそんなこと聞いてねぇんだよ!?使えるようにしろっつってんだ!』

海原『……では少々お待ちください。こちら様をお部屋をご案内してから伺いますから』

垣根『おう、早くしろよ!ソッコー行ってこいや!』 スッ

鳴護『……なんだろう。感じ悪い人』

海原『すいませんお客様。その、来て下さる方が多いのは嬉しいのですが、まぁ、はい。あんな感じの方も』

鳴護『ちょっと酷いよね。当麻君も、って――あれ?当麻君?』

上条『あぁ今アップロードしたから、もう大丈夫』 ピッ

鳴護『何を!?てかそんな台本にあったっけ!?』

上条『ハッシュタグは”垣根 酷い 正体 主人公の資格なし”にしてっと……よし!これで炎上間違い無しだな!』

海原『現代的な解決方法をされましても、つーかさっさと来てください。話が進みません』

上条・鳴護『はい』



――

上条「なぁ監督大丈夫か?ここまで別の意味で度胆を抜かれる展開が続いてんだけど、俺の腎臓って最後までキープできるかな?」

鳴護「一応肝臓……腎臓じゃなくて」

絹旗「我ながらナイスキャスティングだと思いますけど、超ご不満でも?」

上条「アステカ割烹って何?アルマジロの丸焼きでも出てくんの?もう一周回ってちょっと食ってみてぇけどさ!」

絹旗「だ、そうですけど」

海原「あぁそれは自分が潜入捜査で学んだ和食を振舞いますよ?」

上条「そこはアステカ料理作れよぉ!?作って『なんだこりゃ食えねぇよ!?』って一笑いするトコでしょーが!?」

鳴護「当麻君当麻君、目的変ってる。監督に抗議するのがお笑いのダメ出しになってるよ」

上条「てゆうか垣根もお疲れ」

垣根「あぁ?誰だテメ――ぐおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!?」 サラサラサラサラサラッ

上条「どうした垣根!?俺が触ったところから砂になっちまって!?悪い病気を悪いお店で悪い嬢(じょう)から貰ってきたのか!?」

鳴護「うん、触ったからだと思うよ?全身スーツの人なのにわざわざ肌出てるところ狙ってタッチしたよね?」

絹旗「そしてウチの俳優を消さないでください。シーンまだ全部撮ってないんですから」

鳴護「あ、じゃあ撮影はこれで終わりにっ!?」

垣根2「――って何しやがるんだテメー!?」

上条「残機ストックしてやがったのか、チッ」

鳴護「あれ……?当麻君の当りが強いような?」

絹旗「男の嫉妬は超見苦しいんですがね」



――撮影中

鳴護『んー……気持ちいいねぇ。都会も嫌いじゃないんだけど、森の中を散策するなんて中々できないもんねー』

上条『だな。たまに俺はイギリスで彷徨ったりロシアを縦断したりハワイで遭難しかかったりするぐらいかなー』

鳴護『当麻君、引く。てかどうしてそんなに迷うんだったら現地ガイド雇わないの?』

上条『大体その現地ガイド的な人も共犯だからだよ?地獄の釜へ俺を放り込むっていうか』

鳴護『台本から大分アドリブが多くなってきてるけど……あ、見て橋だ!あたし達の通ってきた吊り橋だよ!』

上条『アリサ、説明台詞多くね?』

鳴護『まぁ二時間ドラマだしこんな感じだよ!一々尺取って抑えるわけにもいかないからこうなってるだけでさ!』

上条『へー、橋な――あっ』

ガグンッ、ゴゴゴゴゴゴゴッ……

鳴護『どうしよう当麻君!?あたし達の旅館へ唯一繋がってる吊り橋が谷底へ落下しちゃったよ!?』

上条『なんっっっっっっっっっっっでだよ!?何をどうしたら普通の吊り橋に自爆装置が組み込まれてるんだ!?』

上条『密室にして容疑者絞り込むためのトリックなんだろうけども!もっとこう雑じゃなく丁寧に盛り込めや!』



――

絹旗「答え、金田一少年の事件○へのリスペクトです」
(※本当にありました)

鳴護「……あぁ、あったんだ……」

絹旗「犯人が『外部からも来放題だし犯人特定されないだろ☆』と調子ぶっこいていたら、実はそのシーンの前に金田○さんが超ウッカリで橋を落すっていうね……!」
(『犯人達の事件簿』に詳しく書いてあります)

上条「スゲーな金田○さん。そこまで来ると魔術師か能力者の可能性もあるんじゃねぇのか」

絹旗「これで超完全な密室の出来上がりですね。いやー、我ながら見事なトリックです」

鳴護「偶然、だよね?パクり元の金田○さんもそうだけど、結果的に密室になっちゃっただけだよね?」

絹旗「――果たして、そう、でしょうか?」

鳴護「……監督さん?」

絹旗「このあと事件が起きるかどうかは私の超さじ加減次第――つまり!」

絹旗「閉ざされた環境を用意したにも関わらず、事件が起きる前に警察がヘリで助けに来てくれて即解散ということもあり得る……ッ!!!」

上条「な、なんだってーーーーーーーーー!?」

上条「って二時間ドラマの意味ねぇな!?サスペンスなのに人は死なないわ事件は起きないわって、それただのユルい旅番組だろ!?」

絹旗「そこはほら?演者さんの超演技に全てがかかっているわけですから、ねっ?」 ポンッ

鳴護「あの……監督?あたしに手桶とタオルとお風呂セット一式渡されても、その、困るな」

絹旗「無理強いはしません、しませんが――超分かっていますよね?」

鳴護「無理だよぉ!?グラドルのお仕事イヤだからってドラマのお仕事貰ってきたのに、実質する事が同じだったら意味無いよぉ!?」

上条「そうだよアリサ。監督の言う通りだぞ!」

鳴護「当麻君?あたしの知ってる当麻君じゃないよね?またコッソリ入れ替わったの?」

上条「………………良いこと思いついた!あのアホ(パチ条)と入れ替わってたって主張すれば悪さし放題なんだ……!」

鳴護「首を絞めると思うな?思ってても口に出しちゃいけないことってあると思うよ?」

上条「おっす、俺上条モドキ!えっと……その、なんかこう、スカートめくりしちゃうぜ!」

鳴護「想像力が貧困だよ!当麻君の中での悪さってそのレベルなのかな!?」

絹旗「しかしながらその犯罪でも超捕まりますけどね。そしてネタ的に面白いので全国デビューも夢じゃないです」

上条「くっ……!童×の女性慣れしてないのが裏目に出てるぜ……!」

上条「よし、こうなったら俺のニセモノに扮して接客をともなう飲食店で豪遊して女性慣れすれば……!」

上条「けどそういうお店って遊び慣れしてない人間が入っても笑われるしぃ……どうしたら」

上条「あ、そうだ!じゃあ先にニセモノになりきって悪さしてレベル上げればいいんだ!」

上条「でもやっぱり経験値が足りないから夜の街で豪遊しないと……!」

鳴護「バカなのかな?同じ場所を堂々巡りしてるよ?」

絹旗「ていうかそちらさんのパチモン、略してパチ条さんも上条さんと超合体してる以上、異性・同性体験はカウントは同じかと」

上条「てかどういうことだよ!不満があるんだったら俺に直接言ってくれれば良かったのにクーデターなんてさ!?」

絹旗「100%の確信を持って言いますけど、上条さんが小さいシスターさん以下全員へ手を出していればあのNTR未遂は超なかったかと」

鳴護「あたしもあとで話聞いたんだけど、『当麻君がテストで常に100点取らなかったら0点だから代打オレ』って発想が、うん」

鳴護「で、でも大丈夫だよっ!最悪見抜けなかったインデックスちゃんにはパチ条君がいるから!当麻君はあたしのところに来てくれれば万事解決すると思うな!」

絹旗「女の友情ってかくも超儚いものですよねぇ。まぁ男性同士もそうでしょうけど」



――撮影中 露天風呂

上条『……あー、事務所からNG出たわ−。誰かとは言わないけどダメだったわー、いやー残念だわー』

上条『でもだったら中止で良くね?俺のサービスシーン入れて誰が喜ぶんだよ。「やったね上条さん、スベリ具合がオイシイねっ!」って病んだファンぐらいだろ』

上条『てかあいつら本当にファンなのかと……まぁいいぜ、とっと入ろう』

垣根『……』

上条『おおぅっビックリした!?お前いたのかよ!いるんだったら音出せよ、露天風呂の中でハシャゲよ!』

上条『……うん?つーか、体の色が悪いな……?もしかして浸かりすぎてのぼせたのか?誰か呼んでく――』

垣根『……』 クタンッ

上条『――し、死んでる……ッ!!!?』

チャチャチャッ、チャチャッ、チャッチャラー



.

白井『――はい上条当麻さん、16時14分、殺人の現行犯容疑で逮捕いたしますの』 ガチャッ

上条『………………うん?』

鳴護『そんな――当麻君がなんで!?』

上条『え、いや俺は何も!』

白井『あなたには黙秘する権利がございましてよ。自らに不利になるような証言は避けるためには沈黙を是とし、これを行使する権利であり』

上条『あの、ですからね?俺は別に悪い事は』

白井『では署の方へどうぞ。初春!』

初春『はい、ではちゃっちゃ移動してくださいね。あまり手をかけないでください』

上条『待ってくれ!?冤罪だ!弁護士を呼んでくれよ!』



――撮影中 留置場

白井『「ムラっとしてやった、反省はしている」、ですか』

上条『100%盛ってる。俺が一言でもやりましたっつったか!?あぁ!?』

初春『――はい、11時12分、「やりました」と自白されましたねー。ご愁傷様です』

白井『では次は裁判所で合いしましょう』

上条『これはイジメかな?』



――撮影中 裁判所

ステイル『――有罪、死刑で』

上条『やっぱお前出て来やがったなクソ神父!?控え室「ステイル=マグなんとか様」って張り紙見たときから嫌な予感はしてたんだよ!?』

ステイル『うん、まさか僕もチョイ役で呼ばれるとは思ってもなかった。その分の刑も加味してあるからね』

上条『閻魔様だって今時そんな理不尽なこと言わねぇぞ。つーか弁護人!弁護人はいないのかっ!?』

浜面『――任せろ大将!刑期はなるべく低くすっから!』

上条『なぁ浜面君、君なんで来ちゃったの?インテリから一番遠い席に座ってる君がなんでそこに立ってるのかな?』

上条『てかまだインデックスなら分かるよ!アホの土御門やどのつくアホの青ピだったらまぁ分からないでもないけどさ!』

上条『お前……画面には映らないからわっかんないだろうけどその伊達メガネ外せや!なんでちょっとやる気になってんだよ!?』

浜面『え!?最近は弁護士資格持ってない弁護士のドラマって流行ってるって聞いたんだけど!?』

上条『フィクションだから、かな。もし流行ってる・流行ってないで現実が変るんだったら、アメリカのピッチピチのタイツ着た濃いヒゲのオッサンたちに支配されてると思うよ?』

ステイル『――はい、という訳で弁護人は弁護人たる資格が欠けるようだね。速やかに退廷するように』

上条『だから待てって!?俺は本当に何もやっちゃいないんだよ!こうしてる間にも真犯人はシャバにいるんだからな!』

ステイル『うん、じゃあ誰?』

上条『えっ?』

ステイル『可愛いっぽく小首を傾げるな。自撮り失敗してる痛い女にありがちだぞ』

上条『お前がそんな下世話なこと知ってる方が驚きだが……誰って、誰?』

ステイル『君の犯行だと僕は信じて疑わないっていうか、まぁそうであってほしいわけだし心の底から別に冤罪でもいいやとは思うんだけどね』

上条『あれ?お前んトコの国ってオブラートって発売されてねぇの?名前からして外国っぽいのに原産地違ってた?』
(※Oblate・ドイツ語。日本の近代医学はドイツかオランダ経由)

ステイル『だ、けれども。一応まぁ立場上?冤罪だったら僕のキャリアにも傷がつくわけで?晴らせるんだったら晴らしてみなよ、さぁさぁ?』

上条『くっ!SNSの荒し並に低レベルの煽りだがこうかはぱつぐんだ!』

上条『何せ今の俺はアリサと旅館についてから散歩行ってフロ行っただけだからな!垣根と海原以外に誰が泊まってるのも知らない――』

上条『……あぁそっか!ここでやっと冒頭の”アイドル探偵”って伏線が生きるのか!』

上条『信じてるぜARISA!君はできる子だって俺は分かってる!』



――12年後

刑務官『――ほら出所だ。おめでとう』

上条『……ありがとうございました。本当にお世話になりました』

刑務官『誰も来て……あぁいや、きっと忙しかったんだろうな。ご家族も日が悪いとか、そういうのなんだろう』

上条『かも、しれませんね。あはは……』

刑務官『なぁK801――いや上条。俺はさ、もう何年もこの仕事をやってんだよ』

刑務官『中には何度も来るバカもいれば、心の底から反省して二度と来ないヤツだっている。でも、お前はどっちでもない』

刑務官『冤罪、なんじゃないのか……?』

上条『………………いや、そんなことないですよ。俺は悪い事をするんですから』

刑務官『する?したんじゃないのか?』

上条『あぁ噛みました。気にしないでください』

刑務官『まぁ……まだ若いんだからな?全部をチャラにはできないが、幸せを掴むことはできる!諦めるな!』

上条『……ですね。頑張ります、それじゃまた』

刑務官『あぁまたな――ってオイオイ、お前その言い方だとまた戻ってくるみたいじゃないか。笑えないぞ』

上条『はは……そうですよね、笑えないですよね――』



――記者会見場

上条『……』

カメラマン『ん?あんた関係者?』

上条『じゃないけど……ファンなんだよ。アリサに会いたくって』

カメラマン『えー、困ったな−。警備員呼んで突き出すにも会見始まっちまうし……大人しくしてろよ?ここで騒ぎ起こしたら全国デビューだからな?』

上条『いやそんなのする訳ないじゃないですか、人生棒に振るような真似なんて』

司会『――ただ今よりARISA緊急記者会見を始めたいと思います』

カメラマン『お、静かに!やる事無いんだったら三脚持っててくれよ!』

上条『あぁ……』

カメラマン『それではARISAさん、どうぞ』

鳴護『アリサでーす☆17歳でーす☆』

芸能記者『ARISAさんに質問です!お付き合いされていたIT関係実業家さんとは破綻されたって噂がありますが、その点はどうなんでしょうか!?』

鳴護『――べ、別に?』

芸能記者『ダメですよARISAさん!炎上マーケティングに失敗して違法薬物に手を出した女優モドキの真似をしても許されませんよ!』

鳴護『で、でもー?私17歳だから分かんないしー?』

芸能記者『あんたもう30過ぎてんだろ!いい加減落ち着けよ!』

鳴護『なんだコラぶっ殺すぞ?』

芸能記者『言いましたねあんた!?アイドルが暴言を!』

上条『………………これは?』

カメラマン『あぁ人気なんだよ。前は食べドルで売ってたのに最近は暴言で人気が高くなってきててさ』

カメラマン『黙ってれば可愛いのにね−。てかもう年だけど』

上条『……そうっすか。じゃあいいかな……』

カメラマン『うわっと!?急に手を離すなよにーちゃん、どこ行くんだ!?』

上条『俺の復讐は叶わなかった――今度は、居場所を探しに行こうかなって』


-完-


――

絹旗「超見事です……ッ!」

上条・鳴護「イメージが悪すぎる」

絹旗「どうでしたか!今のはアイドル探偵がお仕事をしなかった場合に発生する超バッドエンドです!」

上条「なんでだよ。もう一回言うけどなんでだよ。どうして二時間ドラマのシーンでバッドエンド入ってんだよ」

絹旗「見たことありません?『あぁなんだ夢だったのか』的な?」

鳴護「あるっちゃあるけど、ドラマじゃちょっと。てゆうか方向性が不安ですよ監督」

絹旗「大丈夫ですよ、超安心してください。そこはあなたの超推理で適当に犯人をでっち上げてくれれば」

鳴護「雑ですよね監督!それも今に始まったことじゃないですけども!」

上条「てかでっち上げるって冤罪かよ。ババ抜きのババを他人へ押しつけるだろうが!」

絹旗「では上条さんが犯人だったという真相で超オンエアしますけど?」

上条「いや別に俺は構わねぇよ?だってフイクションで犯人役になっても、素人的には『あ、オイシイ役だな』って思うだけだし!」

鳴護「当麻君当麻君、それ芸人さんの発想。普通オイシイ・オイシくないの二択で考えないよ」

絹旗「まぁそんな感じで捜査を超進めていってください。ある程度証拠が揃ったら関係者全員を集めて犯人を追い詰めるターンが入ります」

鳴護「あの……捜査も何も、あたしアイドルですし――いや違うけど!アイドルじゃないけど!」

鳴護「仮に作中の設定としてアイドルだとしてもだよ!調査の仕様が無いと思います!」

絹旗「そこはそれきちんとした建前がありますので、そちらを超活用してください」



――撮影中

上条『俺は無実だー、離せー!』

白井『えぇいウルサイですの!警察の義務として射殺しますわよ!?』 チャキッ

初春『そんな権限はありません、銃を構えないでください……しかし困りましたねぇ』

白井『ですわね。吊り橋は落ちてしまいましたし、この方をテレポートで送るのは何故かできませんの』

白井『番頭さん、こちらに外から鍵のかけられる部屋はありませんの?』

海原『あるのはありますが……物置ですので、あまり綺麗な部屋ではないんですよ』

白井『ではそちらへ軟禁したいと思いますわ。異論はおありになって?』

上条『――くっ、殺せ!』

初春『余裕か。楽しんでいるようにすら見えます』

上条『いやなんかピー○姫状態になるのが新鮮だったもんでさ』

白井『燻製を作る小屋とかありません?外から火を放っても大丈夫な施設とか?』

海原『生憎そのような都合の良い施設はないかと……』

上条『なぁこれ警察官が犯人ってパターンじゃないのか?具体的には白井さんとか』

鳴護『当麻君、意外と余裕あるよね』

上条『直近の逮捕歴はボス(12歳児)の頭へドリル構えてたら、実弾ぶち込まれたとき以来、かな?』

白井『ジョーク抜きで申し上げますけれど、わたくしの偏見無しでも発砲する事案ですわよ、それ』

上条『っていう訳でARISA!バッドエンドを回避するためにも俺無しで犯人を捜しててくれ!このままだと懲役12年(傷害致死・模範囚)ルート入っちまうから!』

鳴護『期待値が高過ぎるよぉ!?ちょっと歌が上手い人見知り気味にはハードルが高いし!』

白井『ほら、さっさと歩くですのよ!公務執行妨害で罪はドンドン重くなりますわ!』

初春『なりませんねぇ。弁護士がうるさいんで程々に』

鳴護『行っちゃった……どうしよう、あたし一人で犯人捜しだなんて無理があるよ監督!』

鳴護『てか貰った台本も「※ノリで」って項目が殆どでほぼ白紙ってどうなのかな!?印刷するだけ地球資源に厳しいと思う!』

海原『――ふっ、話は聞かせてもらいましたよ!』

鳴護『てゆうか居ましたしね、ずっと。えっと、番頭さん?』

海原『いいえ、今の私は番頭ではなく全ての女子の味方、その名も――”マスクド・人皮(じんぴ)”とお呼びください!』

鳴護『うん、引くよね。それ監督言ってたけど羊たちが沈黙する映画の猟奇殺人犯だよね?』

鳴護『そしてそこまで非人道的なキャラだったらもう犯人確定でいいと思うよ!だってコンプラ的に厳しいんだもんっ!』

海原『まぁまぁ落ちついてください。上条さんが逮捕されて心細いのは分かりますが、ここでパニクってしまっては元も子もありません』

鳴護『なんで人の皮を被った人に正論言われているんだろ……』

海原『上条さんも仰っていたように、彼の無実を晴らすのが最善かと思われます』

鳴護『そう、ですね。それは正しいと思いますけど……でも、どうしてそう言ってくれるんですか?常盤台のJCが好きだからですか?』

海原『いいえ違います、あとその情報をあなたに吹き込んだアホを後で教えてください』

鳴護『違うんですか?』

海原『自分を見くびらないでいただきたい!以前はブレザー一択だったのですが、最近は無骨なセーラーも好きになってきましたよ!』

鳴護『はい、あたしの中では評価値は今まさに暴落中です』

海原『自分の癖(へき)はいいとして、自分は中立の立場なんですよ』

鳴護『味方ではなく、敵でもないと?」

海原『上条さんが犯人である可能性もあります。だから吊り橋が復旧するまで軟禁するのは賛成です』

海原『しかしもし彼が犯人でなかった場合、危険に晒されるのは他のお客様、ということに』

鳴護『そっか……!そうだよね、一人だけで終わる保障はないんだ……!』

海原『まぁあくまでも最悪を見込んでの話ですし、あなたが一人で多少変った行動をされても害はないだろうとも思っていますが』

鳴護『まぁ、はい。あたしも人畜無害ですけど。ジャンプしただけで残機減りそうな』

海原『ただし!余裕は数日、吊り橋が直るまでの間に真犯人を見つけ出さなければいけませんよ!』

鳴護『はいっ!……はい?まだ逮捕されてばかりですし、公判の日取りすら決まってないですし、別に今しかチャンスがない訳では』

海原『――で、ここで提案なのですが、ARISAさんが仲居さんへ扮して他のお客様の動向を探る、というのは如何でしょうか?』

鳴護『なーるほど!あたしが仲居さんに仮装して他の人からそれとなく話を聞き出せば良いんだ――』

鳴護『――って騙されないよ!?あたしだって「なんでだよ、コスプレする意味ねぇだろ」ってツッコむときはツッコむよ!?』

鳴護『明らかに手際も悪い子供が仲居さんの格好して部屋来たら、誰だって警戒するし!」

鳴護『そもそもいきなり仲居さんが「自分の職場で起きた殺人事件を語り出したらそっちの方が怖いよ!怖っ!』

海原『……いいですかARISAさん、この世界の真理を一つお教えしましょう』

鳴護『もう分かってます。この前フリだけで何となくは』

海原『どうせこのドラマを見る方は「あ、アリサ可愛いな」ぐらいしか考えてないんですから!別にトリックだとか整合性だとかは誰も気にしてないんですよ……ッ!!!』
(※個人の感想です)

鳴護『アレかな?監督の病気が色んなところへ移っちゃってるのかな?』

海原『三○さんを見なさい!「どうして実質ラジオの公録なのに毎年別の観光地でロケしてるんだろう?」って思っていますよ!』
(※三澤紗千○のDVDも観るじゃんね! in さくらん坊の原農園)
(※三澤紗千○のDVDも観るじゃんね! 大学卒業記念旅行 in 沖縄〜ビーチパーティーをするじゃんね!〜)
(※三澤紗千○のDVDも観るじゃんね! in 高尾山)
(※三澤紗千○のDVDも観るじゃんね! はじめての富士登山〜富士山は山梨のものじゃんね〜)

鳴護『止めてくれませんか?台詞の外側でネタを書き綴るのって反則じゃないですかね?』

海原『いいえ!むしろ自分は販促のつもりでやっていますが!』

鳴護『これ見て「あ、買わないと!」っていう人は……うん、なんていうかな』

海原『お言葉ですがARISAさん、最近は円盤の付属に「10月18日のライブイベントのチケットを優先して買えるチケット」、を同封する商法もですね』

鳴護『――よ、よーしっ!頑張って行きまっしょい!ふぁいおーアリサ、アリサ、アリサっ!』

鳴護『当麻君の冤罪を晴らすためにも!あたしがここでやるじゃんね!』

海原『段々上条さんに似てきましたね。都合が悪くなると声を張る感じで』

鳴護『アレはちょっと……うん、あたしもそのお話聞いたとき、「まさかそんな話聞いたことないよ」ってね、うん……』

上条『そして俺の扱いが一方通行よりもコマ狭くて小さいってどういうことだ……ッ!!!?』

鳴護『当麻君はややこしくなるから引っ込んでて』



――休憩中

絹旗「超素晴らしい演技でしたね!まるで本気で嫌がっているかのような超ナチュラルな表情で!」

鳴護「本気で嫌がってるからですよ?」

上条「あのさ、俺が言うのもなんなんだけどもさ?そのどう見ても中の人とは思えないような円盤を続々出すのって一体……?」

鳴護「言わないで!?あたしだって三○さんと同じお衣装でグローリアのジャケ撮るのって結構勇気いったんだよ!?」

鳴護「一部の過激派の人達は『二次元の大勝利』とか言ってたけど、あそこまで寄せてる時点でなんかおかしいよ!絶対に!」

絹旗「まぁ人によって超趣味趣向はありますからね。みんな違ってみんなダメと」

鳴護「てゆうかですね、監督。あたし気づいちゃったんですけど」

絹旗「えぇ、乳なんて飾りですよね。最近じゃ超フラットの方が機能美だと評判ですよね」

鳴護「誰がシモの話を監督へ振るんですか」

上条「あと監督が万が一成長して大きくなったらその意見は……」

絹旗「貧乳に指さして超笑いますが何か?」

鳴護「監督の闇は放置するとしまして……この企画のタイトル『アイドル探偵』ですよね?」

絹旗「ですね」

鳴護「アイドルの部分に関してはもう諦めが出て来ちゃってるんで、あたし的にはも今更ツッコむのも放置したいと思うんですが……」

鳴護「『探偵』ってなんですか、『探偵』って!?あたし一回も私生活やお仕事でそんな体験した憶えないんですけど!?」

鳴護「ってゆうか普段のお仕事だって食べ物関係か散歩系!そしてグラビアばっかりで探偵やった憶えがないんですよねっ!?」

上条「というかこのドワーフハムスター(※小さい)と同程度の戦闘力しか持たないアリサに、探偵が務まるかと言えば……うん」

鳴護「酷いよ当麻君!?あたしだってジャンガリアンハムスター(※普通サイズ)ぐらいの勇気はあるもん!」

絹旗「じゃあタイトル変えますか?私的には超タイトルで一笑い取らなくたっていいと思うんですがねぇ」

鳴護「どういう……?」

絹旗「えぇですから、『探偵』削ったら『流れで勝手に捜査に首突っ込んだアイドル』になりますよね、って話で」

鳴護「……探偵でお願いします。嫌いじゃないんですよ、嫌いじゃ」



――撮影中 第一の容疑者の部屋

鳴護『すいませーん、お茶を持って参りましたー』

???『あ、どうぞどうぞ』

ガチャッ

鳴護『失礼しまー……す?』

佐天(???)『ありゃARISAさんじゃないですか!?何やってんですかこんなところで!?』

鳴護『光の速さで身バレ!?監督っちょっとおかしくないですかね!?』

佐天『監督?』

鳴護『あぁいやゴメンね?どうせ後で全部切るから大丈夫って言っててつい油断が』

鳴護『てか涙子ちゃん、だったよね?いつかはイベントに巻き込んでごめんね?』

佐天『あぁいいですいいです。最近はキャンギャル風のコスもこなれてきてますんで』

鳴護『闇が深いよね、この業界』

佐天『ほんで?アイドルさんがどうしてまたこんなところに?番組の企画かなんかで仲居さん体験とか?』

鳴護『うんっまぁっそんな感じかな!よくよく考えたらコッソリ遊びに来てるのに色々とマズいけどもう遅いよね!』

佐天『それはまぁお疲れ様でした。しかしまさか殺人事件が起きるなんて、物騒な世の中ですよねー』

鳴護『そうだね。ギャグで死人が量産されるんだから物騒だよね。で、涙子ちゃんはなんでここに?観光?』

佐天『うん観光観光。この近くに有名な心霊スポットがね』

鳴護『あぁうんそれは聞きたくないし興味もないし、ぶっちゃけあたしはどっちかって言えばそっち寄りでもあるんだけど……その、さ?』

佐天『うん?』

鳴護『床の間に堂々飾ってある金属バットは、何?』

佐天『……』

鳴護『……』

佐天『あぁこれね!ついいつものクセで持ってちゃいまして!』

鳴護『……あぁそう、なんだ。ふーん』

佐天『良かったら持ってみる?』

鳴護『待って!?そのフラグは”偶然証拠を見つけて犯人に口封じされる第二の犠牲者”っぽくてイヤだよ!?例え無実であっても!』

鳴護『アレでしょ!?持った瞬間に後ろからガバっ!て来られて、”どうしたの?持つ手が震えているよ?”ってサイコ的になるヤツでしょ!?』



――撮影中 廊下

鳴護『あの、犯人見つけちゃったんですけど』

海原『それは僥倖!流石はアイドル探偵と名高いARISAさんですね!』

鳴護『やめてください!?台本になかった形容詞をアドリブでくっつけないで!?』

海原『いや、これは自分の判断ではなく監督からの指示がですね』

鳴護『タチ悪いな監督!?知ってたけど!』

上条『な?だから言ってるだろ、ここの監督はツッコんだらテンドンへ入るって』

鳴護『だから捕まってる人は口を挟まないで!当麻君は良いよ!早々と引っ込めたからツッコミの負担が少なくて!』

海原『犯人が見つかったのでしたら警察の方へ報告すればいいかと思いますが』

鳴護『えぇと……ちなみにですけど、他のお客さんって何人ぐらい泊まってるんですか?涙子ちゃん一人だけ?』

海原『あとは三名様ですね。全員がシングルで個室のお泊まりとなります』

鳴護『そこはシングル一つでいいんじゃないかな?なんでお一人様を強調したんだろ』

海原『自分が働いているときにイチャイチャされると殺意が湧きます』

鳴護『まぁ大人は口に出さないけどね!』



――撮影中 第二の容疑者の部屋

鳴護『すいませーん、ごめんくださーい。宿のものですが、お茶を持って参りましたー』

???『……』

鳴護『いないのかな……すいませんが、緊急事態ですので生存確認も兼ねて失礼しまーす……?』

ガチャッ

麦野(???)『――ふんっ!ふんっ!ふんっ!ふんっ!ふんっ!ふんっ!』

鳴護『まさかの正拳突き特訓!?なんでここで!?このシーンで特訓する必要性が!?』

麦野『――あぁ?誰だよテメェ何勝手に入って来てんだコラ?』

鳴護『す、すいませんすいませんすいませんっ!?なんかお茶を持っていったり事件が事件なので生存確認を兼ねて仲居ですっ!?』

麦野『事件?何かあったの?』

鳴護『えぇはい、ここにお泊まりになられた垣根さんという方がお亡くなりに……』

麦野『そうなのっ!?……そっか、ペ×を抉らせたのね、可哀想――とは思わないけど。当然の末路だけど』

鳴護『どういう死に方?国家権力に抹殺されるってことですか?』

麦野『そういえばトリ○が愛蔵版でるろうに剣○が少しのお休みでまた復帰したらしいじゃない?』

鳴護『ちょっと何言ってるのか分からないですね。てゆうかリアルにしちゃった人としなかった人を一緒くたに語るのはどうかと……』

麦野『手を出して』

鳴護『腕はまだ残したいです!せめて足の指で勘弁してください!手の指はシンセ弾くのに使うんで!』

麦野『私はカシマレイコか。なんであんたを部位欠損させなきゃいけないのよ』

鳴護『えっと……全体的なフォルムからすれば親戚のような……』

麦野『あ゛あ゛!?』

鳴護『美人だから!麦野さん美人だから凄惨さが余計際立つって意味で!』

麦野『ならしょうがないわね。はいこれ』

鳴護『お金……?何を買ってくれば良いんですか?』

麦野『じゃなくてチップよ。必要なんでしょ、こういうところは』

鳴護『あ、意外と優しい……』

麦野『社会常識の一部だと思うけど……そっか、垣根死んだのか』

鳴護『麦野さんはどうしてこちらへ?』

麦野『そのバカを殺すためによ。所謂リベンジってヤツね』

鳴護『いけませんよ!誰かのための復讐なんて自分を傷つけるだけです!』

麦野『誰かの?えっ?』

鳴護『……はい?誰かの敵討ち、じゃないんですか?』

麦野『……』

鳴護『……』

麦野『――あぁ!そうそう仇仇!忘れてなかったけどうん、そうね!敵討ち的な側面はあるわよねそういえば!』

鳴護『あの……多分ですけど「あんたのそーゆートコがそーゆートコだって訳よ!?」ってあの世でツッコんでると思います』



――撮影中 廊下

鳴護『……どうしよう、被疑者が増えただけだった……!』

海原『真犯人を見落とすより良いではないですか』

鳴護『てゆうかこの展開だと次の人もまた怨みを持った関係者ってオチですよね』

海原『どうでしょうねー?対面してからのお楽しみってことで!』

鳴護『主旨が大幅に変ってません?』



――撮影中 第三の容疑者の部屋

鳴護『すいませーん、仲居ですがお茶を持って参りましたー』

???『いらねェよ』

鳴護『じゃお邪魔しますねー』

ガチャッ

一方通行(???)『いやいらねェっつってンだろ。何入って来てンだよ』

鳴護『すいません。前の人で恐怖に打ち克ったので、よっぽどグロい系じゃない限り怖くありません』

一方通行『隣に何棲ンでンだよ。モンスターでも自生してンのかこの旅館』

鳴護『今お茶をお煎れしますね』

一方通行『いいっつってンだよ。煎れても飲まねェよ』

鳴護『では何かコーヒーでもお持ちしましょうか?下に自販機ありましたし』

一方通行『ホント帰れよ、なァ?チップほしいンだったらやるから』

鳴護『……』

一方通行『ンだよ』

鳴護『怖そうな外見だけど、話してみれば意外とフツー……?』

一方通行『俺は少し目つき悪ィ上に一身上の理由で肌白れェだけだよ』

鳴護『正直女子には殺してでも奪い取りたい美白……!』

一方通行『そっちの方が狂気じゃねェ?』

鳴護『えっと、お客様、事件のことは何か聞いてますか?』

一方通行『アホが死ンだンだろ?あンだけ騒いでたら聞こえるわ』

鳴護『で、あなたはどうしてこちらへ?』

一方通行『話題振るの下手か。素人丸出しで探偵気取りか』

鳴護『うんまぁそうですけどねっ!一番困惑しているのは当人なんですけどねっ!』

一方通行『なンで逆ギレ?あー……カブトムシを獲りに来たンだわ』           

鳴護『へー、わざわざこちらまで?珍しいのが獲れたりしちゃったり?』

一方通行『うンまァ。最近ウチのガキに色々吹き込むカペドムシ――もとい、カブトムシをプチィィッと』



――撮影中 廊下

鳴護『「この旅館容疑者しか泊まってない説」』

海原『はは、ARISAさんはジョークが上手ですね』

鳴護『いえかなーり本気で言ってますけど』

海原『まぁ確かにここまでは疑わしい人ばかりでしょうが、残りの方は違います。恐らくですが』

鳴護『旅館に泊まってる以上容疑者じゃないんですか?完璧なアリバイがあるとか?』

鳴護『――あ!もしかして妹さんだから絶対にやってないよ!的な?』

海原『声を大きくして貰っておいて恐縮ですが、そういう話ではありません。むしろ妹が関わっていたら全力で隠蔽しますから』

鳴護『あなた立派な容疑者の一人ですよね?』

海原『私が犯人かはともかく、最後の方は……まぁ会えば分かるでしょう、会えば』

鳴護『はぁ、まぁ会いますけど』



――撮影中 第四の容疑者の部屋

鳴護『すいませーん、いるんでしょー、入りますねー』

ガチャッ

垣根2『躊躇ねぇな!?せめて返事してから入って来いや!?』

鳴護『って生きてるじゃん!?事件で殺されたんじゃないの!?』

垣根2『知らねぇよ!俺だっていつの間にか残機減ってたんだよ!』

鳴護『あの、急に展開がフワッフワしてきてついて行けないんですけど、これアリなんですか?大丈夫なんですか?』

鳴護『なんかこう一応は真面目にお仕事やってきたつもりなんですけど、なんで急にギャグになるんですかっ!?』

垣根2『俺だって真面目だわ!露天風呂行ったら後ろからガーっ!って殺されてんだよ!』

鳴護『あぁご記憶はあるんですね……他に犯人についての心当たりは?』

垣根2『俺を仮にも殺すなんて、相当の実力者じゃなきゃ無理だぜ……ッ!』

鳴護『どうしよう当麻君!ずっと台詞の後に”!”をつけっぱなしの人とは生理的に合わないよ!』

上条『そこは、ほら?「なんでこの子一々溜めないと話せないの?」って疑問と相殺って事で』



――休憩中

鳴護「監督、世界観がよく分かりません」

絹旗「考えてはダメです、超感じないと!」

鳴護「それでどうにかなるんだったらこの世界にB級映画は溢れていませんよ!?お言葉ですけど!」

絹旗「……フィクションに携わる者として、私は一つの真理に行き着きました」

鳴護「あたしより年下っぽいのに真理、ですか?」

絹旗「そう、それは『人の想像の斜め上をいけ』、と……ッ!!!」

鳴護「あー……富○先生のレベル○のバカ王○さんのですね」

上条「しかし今では別の使われ方をしてて、そっちの方が深く浸透してしまっているというね!」

鳴護「……当麻君はいいですよねっ!こっちが撮影しているときにも画面端で指さして笑ってるだけだから!」

絹旗「仕方がありませんARISAさん。主役たる者周囲からの嫉妬を買って超なんぼ的な」

上条「主役()」

鳴護「監督、あの人劇中でなんとかできませんか?こう、意味もなく坂道ダッシュ100本とか」

上条「オイ!俺を虐待するのに何の意味があるんだ!」

絹旗「必要があれば超やって貰いたいところですが、今回は厳しいので次回へ回すとしましょう」

上条「監督なんて?俺にだって仕事を選ぶ権利があるんだよ?」

絹旗「それでですね、ARISAさん。そろそろ解決ターンを撮りたいと思うんですけど」

鳴護「あ、はい。やっとこのグダグタな悪夢から解放されるんですね」

絹旗「犯人は誰にしましょうか?」

鳴護「探偵に丸投げなんですか!?まだ証拠らしい証拠も集まってないし、顔合わせしたばっかりなのに!?」

上条「それ言うんだったらシメようとするのもそうだよ。アレだ、初期に噛ませ役が推理披露して失笑を買う段階だろ。まだ」

絹旗「いやー台本は完成してるんですよ?ただあまりセオリーに沿うよりも超斜め上へ行った方が面白いARI――作品が撮れると!」

鳴護「だったら見せてくださいそのホンを!あたし達に渡したほぼ真っ白な台本じゃない完成した台本を!」

上条「そしてコイツ『面白いARISA』って言いかけたぞ」

絹旗「――さっ、気を超抜かないでくださいよ!このラストによっては次回主演のB級映画が作れるかどうかの分かれ道ですからね!」

鳴護「ねぇ当麻君、事務所へ帰ったら監督を訴えたいと思うんだけど、何の容疑で行けると思う?」

上条「ダメだARISA!この手の人間は訴えられたこともネタにして最終的には暴力を持ち出すから、通り過ぎるのを待つのが一番なんだ!」

絹旗「あと決め台詞は『犯人はこの中にいるじゃんね!』で、お願いします。CMはそこを切り取って超リピートしますんで」

鳴護「そんな放送されたらお外を歩けなくなっちゃうよ!?」

上条「……そう考えると、芸能人って大変な仕事なのかもしんないよな。恥売ってカネ稼ぐんだぜ?」



――撮影中 大広間

海原『えっーと……お忙しい中お集まりいただきすいません……?』

佐天・麦野・一方通行・垣根2『……』

白井『あぁいえ別に大丈夫ですのよ。真犯人が分かった、とのことでしたので』

鳴護『えぇまぁ。ですがその前に当麻君を解放して下さい』

白井『なんでですの?彼はまだ被疑者として身柄を抑えている最中でしてよ?』

海原『現行犯逮捕、とあなたは仰いましたが、彼は凶器を持っていない上、返り血一つついていませんでした』

海原『これを現行犯とするのは無理があるのでは?それとも裁判所から逮捕状を取ったのでしょうか?』

白井『……分かりましたの。手錠は外しますが、重要参考人であるのをお忘れなく』

初春『はい、お疲れ様でした』

上条『……助かったよ』

鳴護『――はい、当麻君これ。このバッグは当麻君のだよね?』

上条『そう、だけど。なんで?』

鳴護『……うん、いいんだ。当麻君のバッグだよね、来る前からずっと持ってたし』

上条『だからそれがなんかしたの?』

鳴護『えっと……じゃあまず説明を――』

佐天『――あたしがやりました!』

上条『って早っ!?自白してきたっ!?』

白井『佐天さん……あなた!』

鳴護『うん、どういうことか話して貰えるかな?』

佐天『……憎かったんです、その人が!』

麦野『その人って――垣根のこと?』

垣根2『なんでだよ!俺はお前なんか知らないぜ!』

佐天『あたしは知らないけど初春に手を上げたでしょうが!思いっきり怪我してたんだからね!?』

初春『……佐天さん……!』

佐天『だから……いつか!いつか機会があったら思い知らせてやろうって!ずっと思ってました!』

一方通行『女子供に手ェ出すなンぞ三下だよなァ。垣根が悪りイわ』

垣根B『あ?やんのかコラ?』

上条『て、ことは……解決?アリサの出番は?』

鳴護『いえ、まだ謎は解けていません――』

鳴護『――は、犯人はこの中にいるじゃんよ……ッ!!!』

上条『違う違う、タイミング違う。この台詞は犯人にトドメ刺すときか、最初にかますときに使おう、なっ?』

鳴護『使わないつもりだったよあたしも!?だって監督がカンペ持って「せーりーふ。せーりーふ」って指示するから!仕方がなく!』

上条『なんて怖ろしい無茶振り』

鳴護『ま、まぁ今のはスルーして貰うとして……涙子ちゃん、垣根さんに思い知らせるっていうけど、どうやったの?』

佐天『どうっ……お風呂に入ったのを確認して、後ろからコッソリつけてって金属バットのようなものでコツン☆て』

垣根2『コツン☆で死ぬかぁ!?こっちは残機しっかり減ってんだよ!?』

鳴護『そう、その点です!』

絹旗(カンペ)【アンコール、アンコール!】

鳴護『監督は黙ってて!真面目に考えた結果なんだから!』

上条『一番の敵、もしかして;監督』

鳴護『で、垣根さんも言ってたように!垣根さんって学園都市の上位の能力者じゃない?』

鳴護『そのぐらいで死ぬような、というか涙子ちゃんが不意打ちできるような相手じゃないよね?ってあたしは言いたいの』

上条『……あぁ確かに!露天風呂っつったって服脱ぐだけで誰か入って来たら普通に「誰か来た?」って見るだろうしな』

佐天『ちょ、ちょっと待ってよ!?だったら誰が!?』

鳴護『恐らく――垣根さんはその前に攻撃されていたんじゃないかな、って』

鳴護『彼と同じが、同じぐらいのレベルの人に……!』

一方通行『……』

上条『お前、まさか……っ!?』

一方通行『……俺じゃねェよ。なンで俺が殺す必要があンだよ』

上条『だ、だよな?』

一方通行『俺はただ露天風呂に大量発生した白いカブトムシを駆除しただけだよ』

上条『おまわりさんこの人です』

垣根2『テメェかこら――っておいちょっと待てよ。カブトムシ?』

初春『何か引っかかる点でも?』

垣根2『露天風呂行ってからの記憶ねぇけど、ムシになる必然性はねぇよ。嘘吐いてるぜ、そいつ』

一方通行『ついてねェっつゥの。「あ、こいつ女風呂覗くつもりだ」って数減らしたンだから』

鳴護『って言ってますけど、カブトムシになるには何か条件があったりするんですか?』

垣根2『条件……基本的には人型だし、戦闘……か?非常時になっちまう場合もある』

鳴護『と、いうことは同じぐらいの能力で垣根さんが不覚を取る可能性がある、という方』

麦野『そうね、私が「原子崩し」ぶち込んだけど何か悪いの?』

垣根2『犯人お前じゃねぇか!?』

麦野『いや死ぬとは思わなかったのよ!「こんにちは、ご機嫌いかがかしら?」ってぐらいの軽い気持ちでぶっぱしたらワシャワシャって虫になったし!』

麦野『むしろその光景を見せられた私が被害者だと思わない!?』

鳴護『……えーっと状況を整理しますと、まず麦野さんが垣根さんを不意打ち。多分女湯からの狙撃ですね』

白井『そんな可愛いレベルではないですのよ……!』

鳴護『次にカブトムシ化して再生&警戒中の垣根さんを一方通行さんが発見。取り敢えず覗きだと思って半殺し』

鳴護『最後に人型へ戻ってフラフラしているところへ一発入れた涙子ちゃん、ですか』

佐天『あれ?やっぱりあたしが真犯人?』

鳴護『――いえ、違います。涙子ちゃんは犯人ではありません……ッ!謎を解く鍵は”殺せる”です!』

初春『実際に亡くなってますし、犯人はできたのでは?』

鳴護『……学園都市第一位として知見を伺いたいと思いますが、一方通行さん。あなたの力で垣根さんを殺しきるのは可能ですか?』

一方通行『個体なら可、群体だったら状況次第』

鳴護『と、いうような能力の相手を!絶対的に敵わない異能の相手を殺す――』

鳴護『――という”””能力”””を持つ人間は、この中に一人だけいますよね……?』

上条『アリサ、それって――』

鳴護『そう、上条当麻君!あなたが垣根帝督さんを殺した犯人です……ッ!!!』



――撮影中

上条『……俺が?ねぇ?証拠は、証拠はあるって言うのかよ?』

鳴護『プラナリアのように分裂する人をどうにかできるのは当麻君だけ!何よりも証拠だと思うよ!』

初春『って言ってますけどどうなんですか?』

白井『裁判官と検察次第、ですわね。日本だったら有罪の可能性の方が高いですの』

上条『まぁ……分かった、認めよう』

鳴護『当麻君!』

上条『でも、でもだ!分かったってのは状況証拠だけだ!俺が大して知りもしない垣根を殺す動機はなんだよ?』

上条『知り合いではあるけど、それは垣根(白)だ!垣根(虫未満)とはお互いに存在すら知らない!』

垣根2『おいテメェ誰が虫未満だって?』

麦野『合ってるじゃない』

鳴護『……ううん、当麻君。あたしは知ってるの、当麻君が悩んでるの知ってるんだから』 スッ

上条『そ、それは俺のバッグに入ってた電撃○!?』

垣根2『あぁスピンオフのな』

鳴護『当麻君、前から悩んでたよね――「主人公なのにどうしてスピンオフが来ないんだよ!?一方通行や垣根に巻島(※帆立さんの見た目)さんだけって!」』

鳴護『「ズルイなぁ、あぁ畜生!俺だってスピンオフさえ来れば大人気なのさぁ」って!』

白井『一瞬「あぁそうか」と同意しそうになる反面、「主人公ってなんだろう?」と不安になる台詞ですわね』

初春『一言で言えば、病んでます』

鳴護『ここへ来る移動の最中だって「あー、垣根人気だな−、人気があって良いよなー」ってあたしが話しかけても聞いてくれなかったもん!』

上条『待ってくれ!こう、お芝居の中にセンシティブなものを入れるのは良くないよ!見た人が本気にしたらどう責任取るつもりだ!?』

佐天『ARISAファンに付け狙われるだけ――あ、今と同じじゃないですかー』

上条『外野ウルサイよ!ファンに命狙われるのはビリビリのときからずっとだから慣れたよ!』

鳴護『だから……弱ってる垣根さんを見て、当麻君はつい魔が差しちゃったんだよね?』

鳴護『「ここでそげぶすれば、次回の人気投票で抜かれることもない」って……?』

上条『……』

鳴護『お願い当麻君、あたしは、あたしだけは待ってるから!当麻君が罪を償うまでソングライターとして頑張ってるから!』

佐天『絶対に切れないタイミングで切れない台詞の中に願望ぶっ込んでできましたよ』

鳴護『あたしは歌うよ!当麻君が壁の中で聞こえるように!』

上条『……刑事さん』

白井『設定は警察官ですけどね』

上条『俺が、やりました……!』

白井『――はい、では現時刻をもって”自首”で構いませんわよね?』

鳴護『白井さん……!』

上条『――俺を待ってる必要なんかない。俺の事なんか忘れて欲しい』

上条『確かに――そう、確かに俺は罪を犯したかも知れない!イラっとした衝動で垣根にトドメを刺したかも知れない!』

上条『だがそれは俺だけが抱える闇なのか!?他の人間だって主人公なのに人気を猛追されてればやっちまうんじゃないのか!?』

上条『忘れるな!俺は加害者であると共に、運営に票を盛られた被害者かも知れない、って事をな……!』
(※個人の意見です)

海原『ARISAさん……よかったんですか?』

鳴護『良くも悪くもないですよ。当麻君はこういう嘘を一番嫌う人だから、あたしが言わなくても自分で言ったと思いますし』

海原『まぁそれはそれとしてこれ自分のアドレスです。まずはlin○から始めませんか?』

鳴護『白井さーん?もう一人追加で運んでいって貰えませんかー?』



-完-



――オービット・ポータル芸能事務所 夜

マネージャー「いやー、撮影お疲れ様でした。大変監督が喜んでおられまして」

鳴護「もう二度としません。グラビアやピンナップのお仕事にも文句言いませんから、あの監督には関わりたくないです」

上条「てか俺が犯人なのは良かったんだけど、本当の台本ってどんな展開だったんだろうな?そこだけは気になるわ」

鳴護「垣根さんをどうにかできるトリックがあったのか、それともフワっとした魔術師さん関係だったのか……謎は謎のまま終わるのが、だよねぇ」

マネージャー「……あれ?お二人ともちゃんと聞いてましたか?」

鳴護「何をですか?」

マネージャー「ですから、タイトルを」

鳴護「タイトルって――まさか!?」


鳴護「アイドル探偵・ARISAの事件ファイル 『垣根帝督”””連続”””殺人事件』 」 -終-



○没シーン

鳴護『この中に犯人が居るじゃんね……ッ!』

佐天『……』

麦野『……』

一方通行『……』

垣根2『……』

闇咲『……』

アックア『……』

鳴護『ごめん。ちょっといいかな?ヤク×のワンペアができてる』

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