姫神秋沙と怪談の夜 〜一人恋唄〜
――とある高校 屋上
姫神「『――知ってるかい。世界はいつだって滅亡の危機に立たされているんだぜ？』」
上条「すいません姫神さん、呼び出しておきながら開幕ぶっぱはやめてもらえませんか？」
土御門「そして去年に引き続き何のラノベにハマってるか丸わかりなんだにゃー。ブギーがポップするアレ」
青ピ「『――真夏に雪を降らせる！誰でもないボクが、イマジネータ○の名にかけて！』」
吹寄「はいそこ乗っからない。なんかちょっと楽しそうだけど」
土御門「これは……っ！？伝説のブギーポッ○ファイトか！？」
上条「非生産的だろ。あぁいや大抵のファイトは生産的ではないだろうけども、その中でも群を抜いて」
吹寄「てゆうか何？どういうルール？」
土御門「お互いにフワっとした事を言い合って、最後に泣きを入れた方が負けるんだぜぃ！」
吹寄「ルールがフワッとすぎてて理解出来ない」
土御門「ちなみに職場で延々やってて本気で叱られたアホもいるんだにゃー。みんなも注意するんだぜぃ」
（※私と上司）
吹寄「それなんてラップバトル」
上条「ラップバトル舐めんなよコラ！？あれは明確に勝ち負けが決まる上、大抵オーディエンスに囲まれてっから負けたあとは厳しいんだぞ！」
姫神「『君如きにイマジネータ○の名は重い。普通の生活へ戻ったらどうだい。先生？』」
青ピ「『そ、それでもボクがしないといけないんだ！能力使うフリしておっぱ×触りまくったボクが！』」
上条「飛鳥○先生はそんなこと言わねぇよお前何言ってんのぶち殺すぞアァン？」
吹寄「あぁここにも隠れファンが一人」
土御門「といういい加減にしろ――いや、カミやん見ろ！姫神の様子が！」
上条「お？」
姫神「屋上……予想以上に暑かった」 ﾊﾟﾀﾝｯ
上条「ひめ、がみ……？お、おい嘘だろ、嘘吐いてんだろ。ギャグ、なんだよなぁ？なぁ姫神！？」
上条「目を開けろよ！姫神！HIMEDUUUUUUUUUUUUURAAAAAAAAAAAAAAAAAAA！？」
吹寄「『ヒロインが最後に死ぬ系のオチ』で遊んでないでさっさと保健室運びなさいこの阿呆が！」
青ピ「あと誰やんHIMEDURAって。なんかチンピラっぽい響きやけど」
――保健室
姫神「ご迷惑をおかけしました。ぺこり」
吹寄「えぇっと……本気で大丈夫なの？顔色とかも全然変らんないし、平気かそうじゃないかの判断がヤバいんだけど」
姫神「よく考えれば実家に居た頃は。山の中を走り回っていた。かもしれない」
青ピ「……姫神のキャラからしたら病弱っぽいんやけれど、普通に体育とかしてもぉてるしな。今更やけど」
姫神「お姫様抱っこごちそうさまでした。おかわりはどういうシステムに？」
上条「緊急時だけだよ！もしくは姫神さんじゃなくて上条さんに籍が替るときぐらいだ！」
土御門「前提条件が予想以上にカッツリしてんだにゃー。引くわー」
吹寄「そりゃホイホイするもんじゃないけど。引くわね」
上条「おいおいお前ら俺は違うぞ！最近の若者と違って貞節&貞淑を重んじる男だ！」
青ピ「アホやなカミやん、ここは甘い台詞で好感度あげんのがベストやん？」
上条「コーラにメント○」 ｷﾘｯ
土御門「甘いは天井でも甘いの意味が違うぜぃ。それで『やだ、素敵！』ってなったら重度ダイエット中の女子？」
吹寄「女子代表として断言するけど、ダイエット中にそんな寝言ほざかれた日には全力でラリアットすると思うわ」
上条「そんなに業が深いのか……」
姫神「まぁそんなわけで私は大丈夫。九月なのに暑くてスタンバってるのを甘く見ていた」
上条「ネタで倒れんなよ。心配するんだから」
姫神「『姫神秋沙とダイヤモンドは砕けない』」
上条「やかましいわ！あれ別に本当に壊せないっつってんじゃなくて意志曲げられないよって話だよ！」
姫神「だがしかし承太○さんは条件次第で倒せてしまった。主に不祥事で」
上条「おいやめろやめろ！週替わり不祥事で乾いた笑いをお茶の間へ提供している人たちをネタにすんなよ！」
上条「実写映画の第二章が控えてるんだからな！あまりこう外野がヤイヤイ言うのはやめようぜ！」
土御門「心配しなくても今回の不祥事がなくても第二章はできないから心配スンナ！なっ！」
上条「なんでだよ！？クソ映画マニアの間では『失笑を大人買いするために生まれて来た映画』って評判だったんだぞ！」
吹寄「それ『生まれてこなければよかったのに……』って言われてるの同じよ？あぁ見てないから論評は出来ないけど」
姫神「ともかく集まってくれてありがとう。次の長編SSのメインヒロインに内定しているのに梨の礫の姫神秋沙です」
上条「ちょっと何言ってるのか分からないですね。うん全然？」
土御門「カミやんは姫神の目を見て話せ、なっ？」
上条「そんなことよりもだ！姫神、俺たちを呼び出して何をさせるつもりなんだ……ッ！？」
青ピ「テンションの調整間違ってますやん。もっと抑えて抑えて」
姫神「ようこそ皆さん。姫神秋沙のホラーナイトへ」
吹寄「まだ4時半ぐらいなんだけど……」
姫神「黄昏時は魔が彷徨い始めるのに相応しい時間帯。少し巻きで行く」
姫神「去年に引き続いてまさか二回目の企画。なんかこう都市伝説や怪談を検証していこうって感じです」
上条「ほぼ全て身内ネタだったろ。素行の悪い青ピとか放課後徘徊してる姫神とか見回りに来た小萌先生とかのな！」
姫神「今年は一味違う。例えるならばファミ○の杏仁豆腐フラッ○」
上条「……あんの？そんなキワモノが？」
青ピ「杏フレーバーの牛乳フラッペやんね。ストローで吸うとぉとつぶつぶが邪魔やけど、パンダのパケが素敵や」
吹寄「杏仁豆腐の豆腐部分が本体じゃ……？」
姫神「ならばスーパーで余りすぎている鬼○商品？」
上条「確かに『鬼○チップスなんて誰が買うんだ？』ってぐらい多いけど！ウチの地元じゃ見られないけども！」
姫神「そういえばこの間。鬼○ファンだろうと思われるワゴンが停まっていた」
上条「大丈夫かな姫神さん？散々脱線させてんのに進行の人も脱線させてあとから時間ないって騒がない？」
姫神「問題ない。なんだったら明日に回してこのまま鬼○を語ってもいい。カップリングについて熱く語る」
吹寄「えっと……倒れてまでしたかったんだから、もっとこ緊張感をね？」
姫神「それであの。運転席の前のところへキャラクタータオルが置いてあって。外から見れる感じで」
青ピ「おるなぁ。自己主張強いタイプの人や」
姫神「そのタオルにはレギュラー子がね。プリントされていて。その。炭治○君。禰豆○ちゃん。伊之○君ってね」
上条「あれ、もう一人？」
姫神「うん。丁度ね。広げるスペースあるんだけど。丁度見えなくなるように畳んであった」
（※実話です）
上条「嫌わないであげて！最終戦での活躍が微妙だけど頑張ってるんだから外さないであげて！」
姫神「どうかあなた達は優しい心を持ってください。具体的には私たちずっと友」
青ピ「なんで姫神はんそこまで卑屈になるんやろう……？」
土御門「特に何にも考えてないんじゃないか説」
吹寄「本当に話が進まないわね！いや別に自分のペースでやっていいけど！」
姫神「まぁそんな感じで今年もgdgdなまま都市伝説を追っていきたいと思います」
上条「無理だよ。だって都市伝説さんだってこんなgdgdな一団に追い詰められたくないよ」
姫神「心配はいらない。事前の仕込みに抜かりはない」
上条「それは今から出くわす超常現象が仕込みって事？それとも何かドッキリでも企画してあんの？」
姫神「ううん。そういう意味では仕込みはない。全部ガチンコで仕込みといったのは。これ」 ﾋﾟｯ
青ピ「スマートフォンの画像。ゲコ太――いや、何かリボンとジャケとスカート着せとぉ？」
姫神「私費で用意したぬいぐるみ。差別化を図るためにお洒落をさせました」
吹寄「意外な趣味が出て来たような……」
土御門「えっと、このゲコ太がどうしたんだにゃー？」
姫神「ゲコ太郎。ゲコ太ではなくゲコ太郎」
上条「女子の格好させてんのに！？」
姫神「なので青色で統一してみました」
青ピ「”なので”の意味が……ま、まぁええわ！それでどしたん！？」
姫神「最近ググって知った怪談。そう。それは――」
姫神「――『ふたりかくれんぼ』……ッ！！！」 ｸﾜｯ
上条「姫神さん姫神さんそれ普通。多分兄妹二人ぐらいだったら普通にやってる」
姫神「間違えた。『ひとりかくれんぼ』」
吹寄「相変わらず……全部淡々としてるからボケなのか素でやってるのか分からないわね……！」
土御門「一説にはド天然だっちゅーも話もあるぜぃ。どっかのご当地アイドルと同じで」
上条「『ち、違うもん！天然じゃないもん！』って言ってると思うわ。いや俺は全然全くこれっぽっちもARISAさんとは接点ないけど。見たことも聞いたこともないし存在すら知らないんだけど」
吹寄「いいよね。ARISAと秋沙。これはもうコンビを組んでお笑いをやれという声が聞こえるかのよう」
上条「だから脱線させてんのに乗ってくんなよ！司会進行なんだからもっと自覚持て！」
姫神「理不尽な事を言われている気がする。では改めまして『ひとりかくれんぼ』。土御門君説明お願いします」
土御門「だからせめて事前に一言ぐらい……いや有名だけど。つーかこの中で知ってる人居るんだにゃー？」
青ピ「はい、ボクは映画で見とぉ」
上条「俺はまとめサイトで少し。詳しくは知らない」
吹寄「あたしも同じくアフィサイトで。あとテレビかなんかの企画で見た、ような？結局何も起きなかったのよね、明らかに仕込みと思われるラップ音以外は」
土御門「全員知ってんだったら大雑把に説明すっけど、事前にまず人形を用意するんだにゃー。それをこうどっかに隠す、つーか置いておく？」
土御門「自分はどっか狭い場所に隠れて、『今から探しに行きます』って宣言してぇの、人形まで歩いててって『見ぃーつけた』ってタッチするんだぜぃ」
土御門「そして人形に『次は君が鬼だから』と宣言しぃの、自分は本気でどっかに隠れるんだにゃー」
土御門「で、しばらくしてから出ていって人形へ『自分の勝ちだ』って宣言して終わりですたい」
吹寄「あれ？私の知ってるのとは違うわね」
土御門「今のにローカルルールが付属するんだにゃー。人形の腹割って綿詰めたり、塩水を用意したり、赤い糸がどうってのもあったり」
土御門「まぁ死ぬほど派生するから端折ったにゃー。つーか俺も本気では調べてないぜぃ」
青ピ「なんやったっけ？それでオバケが出たり、人形の位置が変っとぉたりするんやったっけ？」
土御門「って話だにゃー」
上条「――で、陰陽師の末裔である土御門さん的にはどうなんすか？効果あるですかねぇ？」
青ピ「おぉっとカミやん！無茶振りはあかんよ！」
土御門「そうだにゃー、俺はクソ宗家のマウント合戦から一抜けだにゃー。今の俺は真実の愛に生きる男だにゃー」
上条「お前なら素の力でやっていけそうだが……で、どうなの？」
土御門「大体デタラメ？このレベルで降霊術が発生するんだったら、オカルト小説を音読するだけで呪われちまうんだにゃー」
姫神「ビデオテープから感染する呪いもあったよね。フィクションだけど」
吹寄「あのシリーズのオチは『全部ヴァーチャル世界でのシミュレーターでした』って話で。ただどこから来たのか分からないまま終わるわね」
土御門「ただ気になる点はある」
上条「脅かすなよ！きっと今からしようぜって流れなんだから！」
土御門「いやマジで注意して欲しい、つーか試すアホは相当だからあえてボカすけども……その、なんだ。『ひとりかくれんぼ』のローカルルールの一つがある地方の葬式に似ている」
吹寄「ど、どこがよ？」
土御門「繰り返すがアホが真似するからノーコメントだぜぃ。詳しくはどこかで闇咲が話してる、筈だにゃー」
青ピ「だれやねん。そしてどこやのん」
土御門「んでその葬式で特定の方法を失敗すると――憑いてきちまうんだ。死んだ人が」
上条「うっわー……」
土御門「ただその、ローカルルールでの『ひとりかくりんぼ』が、わざと失敗させるとかそういうことを前提にして組み立てられてはない」
土御門「多分ただの偶然で”似ちまった”んだ、と思うぜぃ」
姫神「……おぉ。流石はプロ。盛り上げ方も上手い」
土御門「いや違う。別に俺はフォローしている訳でもない」
姫神「空気もヒンヤリしてきたところで。みんなはゲコ太郎人形を探してもらう」
上条「かくれんぼだし、まぁいいはいいんだけど。確か時間制限ってなかったっけ？」
姫神「上条君は心配性。リミットは大体一時間ぐらいと言われている」
上条「いやでも姫神が仕込んだのは俺たちと合流する前だろ？一回倒れてここに運んでいるしさ」
姫神「………………あぁ！」
上条「おい”あぁ”っつったぞ運営が！なんで一番気ぃ遣わなきゃいけないところアバウトなんだよ！」
吹寄「ちょっと待って姫神さん！？お化けは怖くないけどそういうキッチリしてないのってダメよ！お化けは怖くないけど！」
姫神「意外。でもないけど大丈夫。あっちの余裕を見てほしい」
吹寄「あっち？余裕？」
青ピ「なぁ幽霊っ娘って人権あらへんから、何やっても許されるんやよね？」
土御門「お前は一度しっかり呪われた方がいいぜぃ？」
吹寄「参考にならないわ！片方は人生捨ててるしもう片方は人生舐めてるし！」
上条「ねぇ俺は？」
吹寄「……ヒモなしバンジー続行中？」
上条「あっはっはっはー！面白い事言うなぁ吹寄さん号泣するぞコラ？」
姫神「上条君の男女平等パンチをバカにしてはいけない。そろそろコンプラ的に海外での視聴が不可能になりそう」
土御門「ネタがネタじゃなくなってきてるからにゃー」
姫神「しかし私も心配なのでヒントをあげよう。諸君らにはこの謎が解けるだろうか」
上条「だから主旨がブレてんだよ！怖い話じゃなかったのか！少年探偵団編へ移行したんか！」
姫神「『ヒント；清掃用具入れ』」
青ピ「結構……多いのとちゃいますのん？クラスだけでも結構あるし、部活棟や実習棟入れたらエラい増えますやん！」
上条「――ふっ、甘いな青ピ！俺にはゲコ太郎が今どこに居るのか分かっちまったぜ！」
青ピ「な、なんやて！？じゃあどこに！？」
上条「クラスのだろ？姫神の人見知りからいって他のクラスには入れないんだから」
姫神「間違ってはいないけれどちょっと心外。クラス以外でも友達が出来たのに」
上条「インデックスだろ？いいから速攻で回収しようぜ！」
――上条達のクラス
清掃用具入れ【――】 ｶﾞﾗｰﾝｯ
上条・土御門・青ピ・吹寄「………………」
姫神「………………あれ？」
上条「おい”あれ？”っつったぞ運営が！だからなんで自分でしまってた場所間違えるんだよ！？」
姫神「そうじゃない。確かにここへ入れた。間違いない」
姫神「というか私のメンタルで他のクラスへ入ったりできない。ダメ。絶対」
青ピ「なんて悲しい告白やんな……！」
吹寄「ちょ、ちょっと待ってよ！ないっていうのは、やっぱりその……ない、って事なのよね？歩いていった、とか？」
姫神「そんな非科学的な」
上条「そういう企画だよ？そしてセッティングしたのは君だよ？――あぁもう誰か残ってねぇかな、あぁいたいた！ごめん、ちょっといいかな？」
カチューシャの少女『なんだい？ぼくに答えられることだったらいいけれど』
上条「そういうキャラはいいから！そうじゃなくって今ここの清掃用具入れって、誰が触ったりしてなかった？」
カチューシャの少女『あぁそれはお役に立てそうにないね。ぼくも今出たばかりだから』
上条「その前には誰か残ってなかった？小萌先生がゲコ太人形持って歩いてたとか？」
カチューシャの少女『ふむ。それも見ていないね』
上条「そっか……んじゃ悪かったな。続けてくれ」
カチューシャの少女『』そちらも気をつけることだね。非日常もまた連続すれば日常になり下がるのだと、ね』
上条「だってさ。あー、どうしたもんかな」
姫神「微妙にツッコめない感じ。まぁいい。それじゃアシスタントと連絡を取る――てれれってれー」 ｺﾞｿｯ､ﾄﾝｯ
姫神「『――和風ヴィジャ盤』」
吹寄「……こっくりさん、よね？その紙は？」
姫神「そうともいう。さぁ早く連絡を」
上条「なんでだよ！？それでアシスタント呼んだって来るのはそっち系じゃねぇか！」
土御門「映画とかだと半泣きになって『帰って下さい帰って下さい！』って頼む系だの。”Cabin in the wood○”は除くが」
姫神「これで連絡取るのは本当。しかし上条君の心配も分かる。なので」
姫神「『至急・来てほしい』と」 ﾎﾟﾁﾎﾟﾁｯ
上条「来るかぁ！？貞○3Dじゃないんだから最新機器には対応し」
風斬「ど、どうもご無沙汰していますっ！」 ｽｯ
上条「ガチじゃねぇかよ！？あぁ正確には全然違うけど傍目には完全ガチな感じだよこれ！？」
姫神「アシスタントの風斬氷華さんです」
上条「待ってくれないか！チート攻撃をアリにしたら収集つかなくなると思うんだ！」
姫神「ハイスペック幽霊なので」
風斬「あの……違うんですけど」
吹寄「あー……前に見た地縛霊さん、でしたっけ……？なんで忘れてたんだろ……？」
風斬「いや違いますよぉ！？ちょっとアレな能力ですけど私は人です！」
姫神「ではまずみんなと仲直りの握手を。特に上条君と」
上条「消えるだろ。試したことないし、多分平気なんだろうが可能性はあんだろ！？」
風斬「消そうとしていませんか？明らかに狙って来ていません？」
姫神「地縛霊さんはいつまで経っても成仏する気配がない。なので上条君だったらなんとかできると思った」
姫紙「あなたは早く成仏した方が良い。私が死ぬとき。一緒に行ってもいいのだけど」
風斬「その……お気持ちは大変嬉しいんですけど、あなたに何かあっても私は残ると思います。存在的なベクトルが違うっていうか」
青ピ「……つちみー？」
土御門「専門外だにゃー。でも付喪神って無機物にも魂は宿るし、魔術的には天使っぽい感じ？」
青ピ「つまり――エロいことはできる、ちゅーことやんな？」
土御門「うん、お前のとごまでブレない姿勢尊敬するぜぃ」
姫神「風斬さん。ゲコ太郎が行方不明なんだけど。何か知っていたら教えてほしい」
風斬「ちょっと分からないです、ごめんなさい。予定時間よりも大幅に過ぎてるから忘れられてるのかと……」
姫神「ほら。上条君は反省してほしい」
上条「いや雑談挟んだのも俺だけど！乗っかった上に小ボケ挟んで押してんのは誰かなぁ！？」
姫神「めっ」
上条「俺が悪かった、だからもう一回今のやってくれよ！動画で保存しておきたいから！レアだから！」
姫神「じゃあ吹寄さんに」
上条「吹寄のはいいです。だって俺ら日に三回は叱られてるから」
吹寄「好きでやってんじゃないわよ」
風斬「……すいません、お役に立てませんで。ただその……」
姫神「なに？」
風斬「嫌な感じしませんか？ピリっていうか、ビリっていうか？」
上条「――土御門」
土御門「俺は何も。こっち側じゃない――もしくは、微弱」
上条「――青髪ピアス」
青ピ「ボクもこれといっては特に――ってボク特別なスキルもってへんよ！？」
吹寄「だから緊急事態にそーゆー小ボケを挟むなと」
姫神「……仕方がない。こうなったら仕込んだGPSに頼るしかない」 ﾋﾟｯ
上条「アナログなことやってんのに妙に手が込んでん、な……？」 ﾋﾟﾋﾟﾋﾟｯ、ﾋﾟﾋﾟﾋﾟｯ、ﾋﾟﾋﾟﾋﾟｯ
姫神「三階の廊下。移動をしている」
吹寄「って動いてる！？」
青ピ「ナイナイ、きっと誰か手に持って歩いとるんよ」
吹寄「そ、そうかもしれないけど！普通ゲコ太の人形持って歩くとかないでしょ！？落とし物だったら職員室だし、面倒だったら見なかったフリするし！？」
土御門「まぁそうだにゃー。俺だったら放置するぜぃ」
姫神「もしくは『あぁあのクラスの問題児どもだな』って思うよね」
上条「最近お前も毒吐くようになってきたよね？誰の影響？」
上条「でもまだまだなんだから勘違いしないですよねっ！ボスなんか一台詞で4回もバカって言うんだから！」
姫神「誉められているのか貶されているのか分からない」
青ピ「そしてどっちもご褒美ですやん」
吹寄「黙りなさい姫神さんを除いたアホども！この非常事態にボケてる暇はない！」
ﾋﾟﾋﾟﾋﾟｯ､ﾋﾟｰｰｰｰｯ
姫神「あ。止った？」
上条「まぁ取り敢えず追いかけてみようぜ。俺の予想だと小萌先生がゲコ太郎抱っこして移動している……！」
青ピ「なにそれ超キュートやないの……！写真撮って親御さんへ送らんと！」
土御門「泣く……いや、ご両親もホビッ○族である可能性もあるに」
吹寄「――せいっ！」 ﾎﾞｽﾎﾞｽｯ
土御門・青ピ「モルスァ……！？」 ﾊﾟﾀﾊﾟﾀｯ
吹寄「大変！呪いの影響かもしれないわ！」
上条「そうだよね、怖いよね。呪いとかお前の正拳突きとかがね」
姫神「しかし専門家がいなくなったのはまずいかもしれない。映画ではあとから復活して序言をしてくるタイプ」
上条「そうだね、もしその展開にならなかったらただのオカルト好き（※ただし役には立たない）って設定倒れになるからね」
姫神「まぁいなくなったんだったら仕方がない。地縛霊さんをパーティへ加えて冒険へ出発しよう」
風斬「こ、コワイの苦手なんですけど……？」
上条「戦闘能力だけで言えば、一方通行に肉薄してなかったっけ……？」
風斬「あれは私の中の中二部分がやっちゃっただけです！正気に戻ったあと辛いのなんのって！」
吹寄「てゆうか風斬さん、って一体何なの？さっき壁抜けもしてたしユーレ……とかじゃないのよね？能力者よね？」
風斬「む、無理です無理無理っ！考えるだけで映画を見るのも苦手なぐらいで！」
吹寄「……ちょっと気が合いそうね。よかったらLIN○交換する？」
風斬「姫神さんに教えてあるので、そちらから連絡して頂けると」
上条「俺の周りに強固な女子ネットワークが形成されてないかな？インデックスとも連絡取ってるよね？」
姫神「インデックスさんはたまにひらがなばっかりのメールが届く程度。なのでそこまで上条君のプライバシーは暴露されていない」
上条「一旦話し合おうぜ？もう『ひとりかくれんぼ』なんてどうでもいいから俺の個人情報の取り扱いについてな！」
姫神「――大変。動き出した」
上条「さっきから動いてるけどな！」
――三階
姫神「という訳でやってきました。しかし人が残っていて――うっ！？」
上条「どうした姫神！？やっぱりさっき倒れたのはネタじゃなかったのか！？」
姫神「知らない人が多すぎて。立ちくらみが」
上条「お前今までどうやって生きてきたの？しかも誰からでも注目される巫女服でフラフラ出歩いてたよね？」
姫神「気にしないようにしていた。しかし最近は校内を歩くだけで注意目されるようなってしまった」
上条「うん、外見だけは歩く地獄少○かエコエコアザラ○だもんね。一回闇咲と一緒に徘徊してみ？その日のウチに新しい怪談が生まれ落ちるよ？」
吹寄「失礼な事言わない！……と注意しようと思ったんだけど、果たして失礼なんだろうか……？」
風斬「比較的改造とが少ない分、初心者レイヤーさんにも人気ですからねぇ。制服ですし」
上条「そして闇咲の場合、地味すぎて『あ、お葬式帰りのヤク×だ』と思われてスルーされるに一票」
姫神「うんまぁ普通普通。どうせ私は普通の呪縛から逃れられない女……」
上条「普通じゃねぇよ。上から下まで属性てんこ盛りでもスベるやつはスベるんだから――お？」 PiPiPiPiPiPiPi
上条「着信……あぁ非通知だ。えっと……どうしようか？」
姫神「出てほしい。『ひとりかくれんぼ』では謎の無言電話がかかってきたという報告例がある」
上条「……分かった。アドバイスは？」
姫神「自分をしっかり持つこと。そしてパニックになったりしないこと。大丈夫。上条君にはいつものこと」
上条「まぁそう言われるといつもの方がより修羅場だけどな！――『はい、もしもし？上条ですがお世話になっています！』」
青ピ（※裏声）『――もしもし、あたしメリーさん。今、教室にいるの』
上条「『もっと、こう！アレだ！もうどっからツッコんでいいのか分かんねぇよ！？雑すぎるし今更過ぎるし！』」
上条「『もっと考えろよ！頭使えよ！一億歩譲ってこれが怪奇現象だとしても、ゲコ太郎探してんのになんでメリーさんがお電話かかってくんの！？人違いだよ！？』」
青ピ（※裏声）『――もしもし、あたしメリーさん。今、駅にいるの』
上条「『なんで離れてくんだよ！？そしてそれを俺に報告する意味は！？』」
青ピ（※裏声）『――もしもし、あたしメリーさん。今、カミやんのアパートの前にうわよせ何しとぉ――』
ﾌﾟﾂｯ
上条「――ありがとうステイル。今日ほどお前にありがとうと伝えたかった日はないぜ！」
吹寄「移動距離がおかしかったような……まぁ青ピだし、大概のことはやってのけるわよね」
姫神「なんて怖ろしい……！心霊現象が次々とパーティへ襲い掛かるだなんて……！」
上条「うん、どうせ下の階でダベってるだけだと思う――って今度は土御門からメールが」 ﾋﾟｯ
土御門【ローカルルール関係、姫神が何か余計なちょい足しして魔術的な意味合いを持っちまった可能性がある】
上条「そこはテンドンじゃねぇのかよ！？電話でもう一回して『今やったばっかだろ！？』までがテンプレだろ！？」
姫神「上条君はお疲れさま……お憑かれさま？」
吹寄「いつもこんな感じでしょ。一体誰と戦っているのかってぐらいツッコミに執念を燃やす」
上条「だってスルーしてたにイタイ人になるからだよ！ボケがただ流れになったら収集つかないから！」
姫神「上条君の使命感はいいとして。土御門君はなんて？」
上条「あぁっと、心霊的に何か起きた原因だとしてすれば、ローカルルールに問題があったんじゃないか、だそうだ」
姫神「どういう？」
上条「今言った『お憑かれさま』だっけ？善意の人を騙す系のフェイクが、『ひとりかくれんぼ』の中にローカルルールって形で入ってるかもと」
吹寄「……タチが悪いわね」
風斬「こ、怖いですよぉ」
姫神「全然ない」
上条「本当に？てか具体的にはどんな手順でやったんだ？」
姫神「教室の掃除が終わったのを見計らって全員へメールを送信する。そして掃除用具入れへゲコ太朗をインする」
姫神「あとは屋上へ小走りで。あ。だから倒れたのかも」
上条「――待って？あれ？呪文的なのは？」
姫神「しない。だって怖いし」
上条「いやだから！人形を刺したりって行為は！？」
姫神「しない。ウチの子が可哀想。品性を疑う」
上条「あーうん、そうだね、姫神の言ってることは正しいよな。いくら儀式っていってもぬいぐるみや人形を粗末に扱うのは何か違うよな？」
上条「――じゃ、ねーよ！？最初から『ひとりかくれんぼ』してねぇってことだろこれ！？ただゲコ太郎in theロッカーして俺ら呼び出しただけか！？」
姫神「てへぺろ」
吹寄「……ってことは、今起きてるのは壮大な勘違い、よね？そうなのよね？」
姫神「いや――学校そのものが呪われている可能性が」
吹寄「そんな話聞いたこともないけど。姫神さんとは別の、謎の女子学生の噂はないわけじゃないわね」
上条「……うん、オチは分かってんだけどさ。吹寄の聞いたその噂ってどんなの？」
吹寄「大した話じゃないけど、他校の制服を着た女の子が校内にいてね。見回りの先生が注意すると『ごめんなさい！』って逃げるっていう」
吹寄「詳しい話を聞こうと追いかけても、なぜか鍵の閉った部屋やトイレで見失ってしまう、だったかな」
風斬「あ、それ嘘ですよ」
姫神「そうなの？」
風斬「はいっ！私がいつも残って見張っていましたけど、それっぽい人は全然全然？」
上条「『それは――お前だァァァァァァァァァァッ！』――いや違う違う！怪談オチでよくある『それはお前だよ！』ってツッコミっぽくなっちまったじゃねぇか！」
風斬「わ、私は気を遣いましたよ！幽霊だって思われないように、先生に見つかったらちゃんと一言謝ってから逃げましたし！」
上条「より信憑性が高まるわ！つーか俺だって嫌だわそんな心霊現象！」
姫神「どうどう上条君。落ち着くのが大事」
上条「前提が違ってたら答えも間違う……そうか、ゲコ太郎ってどうやって手に入れたんだ？誰かからもらったとか、譲ってもらったとか」
姫神「流石に人様からもらった品物を粗末には出来ない。ゲコ太郎は普通にお店で買った――」
姫神「――でも。今にして思えば不可解な出来事があった。かもしれない」
上条「やった来たな因縁っぽいものが！このアホ企画も実は怖い話でしたってオチだぜきっと！」
姫神「あれは一週間ぐらい前。ゲコ太グッズを売っているデパートへ私は行った」
姫神「その日はたまたま新商品の入荷日らしく。小学生の女の子をかき分けながらゲコ太を物色していた」
上条「野郎だったら一発で通報案件だが、結構逞しいのな」
吹寄「外見は儚いんだけど……意外と馬力あるのよね。そしてそこそこ雑」
姫神「まぁ女子高生のパワーに勝てる訳もなく。最後の一つのニューゲコ太人形。つまり今のゲコ太郎を持ってレジに並ぼうとした」
姫神「すると……周囲がヒンヤリと。温度が下がった気がした」
風斬「お、穏やかじゃないですね……幽霊ですか？」
姫神「分からない。体調が悪いのかクーラーが効きすぎてるのか。とお店では思っていたけれど」
姫神「レジで店員さんへお金を払って放送している間も寒気は続いた。なんだろう？とと周囲を見渡しても様子がおかしいのは私だけ」
姫神「巫女服を着ているときのようにきっと自意識過剰なんだろう。そう考えてお店を出ようとすると――」
上条「違う違う。巫女服着てるときは超目立っている」
吹寄「しっ！オチなんだから口を挟まないの！」
上条「俺悪くないと思う……」
姫神「ジーッと。まるで深淵を覗くかのような虚ろな目で私を見ていた。それが」
吹寄「……それ、ですか？」
姫神「うん。常盤台の制服を着た女子が私をジーッと……ッ！！！」
上条「あ、ゴメン。それ関係ないわ。俺の見立てだと地縛霊の一種だけど、100%通りすがりだからゲコ太郎に何かあるって話ではないわー」
上条「ちなみに対処法は『ライデンは重量級なのに中の人はサイファーなんですねwww』って三回唱えると成仏するぜ！簡単だよな！」
吹寄「その台詞を三回唱えるまで結構かかるわね」
姫神「そういえば……その帰り道でも不思議なことが起きた」
上条「いや違う。そいつらは関係ない」
吹寄「なんで言い切るのよ！関係あるかもしれないじゃない！」
上条「そういえば、で思い出すレベルなんだから大した恐怖体験でもねぇんだよ！今まですっかり忘れてたってことなんだから！」
風斬「ま、まぁまぁ！何かの手がかりになると思いますよ！」
上条「それ自体がもうフラグなんだけどな……！」
姫神「ではご静聴。ゲコ太郎を買った帰り道。定期が使えたのでバスに乗って帰ることにした」
姫神「座った席は向って左側。歩道に近い方」
上条「おい大丈夫か？ゲコ太抱いた姫神がバス乗ったらまた変な噂流れないか？」
吹寄「雰囲気、あるのよね。静かな圧迫感って言うか」
風斬「ご本人は極めて普通の方なんですけどねぇ」
姫神「うん。たまに『何か悩みがあったら言ってね？』と言われるけど。大体ボーッとしてるか帰ったら何しよう？ぐらいしか考えてない」
上条「……姫神はそのままでいいよ。真っ直ぐ育ってくれているし」
姫神「上条君も覚悟しておいた方が良いと思う。インデックスさんも成長したら残念な子になると思う」
上条「自分で残念言うなや」
姫神「ともあれ。歩道側の席に座って通行人を眺めていたらバスが停まった。赤信号なのかなと」
姫神「特に何も考えずに外を見ていたら。たまに通行人と目が合う。そんな体験はないだろうか？」
吹寄「あー、たまにあるわよね。目線の位置が違うから、本当に合っているのかは分からないんだけど」
風斬「バスを見たのか、バスの中に居る人を見たのかはご本人にしか分からないですよね」
姫神「まぁそんな感じです。常盤台の子だな。こんなところにどうしたんだろう？と一瞬思ったけどバスはまた走り出した」
姫神「その数分後。停留所でバスが停まったと思ったら――」
姫神「また。目が合った」
吹寄「それは別によくあることじゃ？」
姫神「常盤台の子だった」
吹寄「ちょっとレア、かな？一日に何度も見かけたりは中々しないし、体験学習で来ていたのかもしれないわ！」
姫神「次に停まったときも。そしてまたその次も。その次の次も。常盤台の子が。見ていた」
姫神「全員。同じ。人だった」
吹寄・風斬「……」
姫神「以上。怪談『どうせ何か能力者だと思ってスルーしていた』でした」
上条「そうだね。確かに心霊的な何かではないよ。科学的な子たちだからその人たちは、うん全然？」
上条「でも気になるようだったら、『向こうの方であなたのお姉さんが凄い剣幕であなたを探していたよ？』って言うと逃げていくと思うから」
吹寄「知り合いじゃない。ただの」
姫神「まぁ私の持ちネタはそのぐらい――あ。マズい」
上条「どした果てになGPS消えちまったか？」
姫神「ううん逆。向こうからこっちへ近づいて来るみたい」
上条「あぁじゃあいいチャンスだな。事情を説明して返してもらおうぜ」
姫神「――みんな逃げて。ここは私が引き受ける……」
上条「そんな話してねぇよ！？そんな危機的シチュエーションでもなかったよ！？」
上条「つーかまだ居残ってる人居るんだからな！？『あの人だれ？』みたいな感じで見物している人も居るしさ！」
姫神「あのカドを曲がる。こちらか仕掛ける」
上条「そう思ったらもうちょっと抑揚付けよう？
姫神「姫神式血闘法。その五十五式――『縮血乱舞』……ッ！！！」
上条「お、おぉっ！？」
姫神「……」
上条「……」
姫神「ピンチに私の隠された力は解放されなかったみたい。残念」
上条「返せよ！一瞬『マジか！？』って期待した俺の時間を返せって！」
姫神「イメージとしては血液を自由に操る能力。血界戦○の牙狩○って超格好良い。特にスタ○さん」
上条「やってんだろ。誰かとか何がとは言わないけど地下室でほぼ完封してんだろ」
御坂「何やってんのよ？」
上条「何ってお前………………なんだろう？オカルド部ごっこ」
姫神「あ。ゲコ太郎」
御坂「あぁよかった。この子、あなたの家の子なのよね？ダメよ、寂しがってるじゃない」
姫神「ごめんなさい。イベントのために隠れていてもらった」
御坂「見つけたのが私だったからよかったものの、このまま盗む人だって居るんだからね！｝
上条「その容疑は微妙にお前にもかかってる訳だが……」
御坂「何よ！連れてきあげたじゃない！『屋上にいるよ』って言ってたから！」
上条「言ってたって……誰が？クラスの子が？」
御坂「いいえ？この子がよ？」
上条「……」
御坂「ゲコ太の声が聞こえるのよ」
上条「――うん、そうだな！流石ビリビリだ！凄い能力を持ってんだな！」
吹寄「面倒だからってぶん投げたわね」
風斬「『ライデンは重量級なのに中の人はサイファーなんですねwww』『ライデンは重量級なのに中の人はサイファーなんですねwww』『ライデンは重量級なのに中の人はサイファーなんですねwww』」
御坂「おぅ？やんのかコラ？やったんぞコラ？あたしにだって矜持はあるわよ！」
御坂「――ただ、胸囲はないけどね！あは、アハハハハハハハハハハッ！！！」
上条「やめて御坂さん！？自虐ネタは笑えるから言っていいんであって、深刻すぎるのはクスリとした笑いすら起きないんだよ！？」
御坂「じゃあこれ返すけど……あの、この子お洋服はどうやって……？」
姫神「手作りです。たまたま実家から持ってきたソーイングセットと昔の服があったから」
御坂「へー……じゃあね、もしなんだけど外部からの依頼的なものがあれば、ワンオフ製品なんかも作ってもらえる、とか？」
姫神「金銭が発生するのはちょっと。お母さんから習ったレベルだし本業ではないから」
御坂「ふーん……？」
姫神「というか何かゲコ太衣装が作りたいんだったら相談に乗」
御坂「――まずこれ見てくれる？最近スタンダードになったこの規格っていうか大きさなんだけど」 ﾋﾟｯ
御坂「やっぱりこうぬいぐるみだから？抱っこしたときの安定感っていうか充実感はほしいのよ？現実的な意味でね？」
御坂「でもそのサイズっていうのは中々他にサイズか無いっていうかぶっちゃけ他のぬいぐるみから衣装の流用って出来ない訳で」
上条「やめなさいビリビリ！姫神さんが怯えるんだからね！」
姫神「あぁ分かる分かる。最近の主流はUFOキャッチャーサイスだけど。フェルトをペタペタ貼り付けるだけで味わいがない」
姫神「こうテディベアのように。親から子へと引き継がれるような強度と安定感が欲しい。と？」
御坂「そうよ！ぬいぐるみだって大事に梱包するだけじゃなくてぬくもりがほしいのよ！」
姫神「そういう考えであれば断れない。私でよかったら微力ながら力になりたい――あ。でも」
御坂「なに？金銭面以下その他全てはあたしが請け負うわよ？」
姫神「あなただったらプロの人に依頼した方が。きっと出来の意味では良いものが作れるんじゃないかな？」
御坂「……そうかもしれないけど、そうじゃないわ。そういうことじゃないの」
御坂「ゲコ太を愛する素人が作ったものと、ゲコ太を愛せない人の血が通っていないプロが作ったもの。どちらがより大事かしら？」
姫神「気に入った。今日からメル友」
御坂「ありがとう同士よ！」
上条「なんか変な風に話がまとまったみたいだけど……まぁいいか。姫神にまた一人友人ができたってことだから」
吹寄「いいの？ゲコ太を愛せない人は血が通ってない、みたいな過激派よ？」
上条「基本的には善人だから。ただちょっとブレーキが破壊されているだけで」
風斬「あ、あのぅ。あの子っていつも校門で待ってる子ですよね？上条さんの出待ちをされてる方」
上条「いつもかどうかは知らない。だって俺は逃げているから」
風斬「ま、まぁそれはいいんですけど、そうじゃなくって前は校門前だったのに、今は堂々と校内へ侵入してくれるのはどうかなぁって」
姫神「『段々と近寄ってきている幽霊の心霊写真』」
上条「やかましいわ！確かに恐怖だけども！」
御坂「か、勘違いしないでよね！あんたに会いに来たんじゃなくて単に意味も無く不法侵入したただけなんだから！」
上条「そっちの方が怖いわ！」
風斬「あ、すいません。インデックスさんと用事がありますのでここで失礼しますね。また呼んでください」 ｼｭﾝｯ
吹寄「……あれ？風斬さんってやっぱり幽霊じゃ……？」
上条「いいや天使だよ？オルソラと同じで？」
吹寄「うん、多分その人も違って言うと思うわ。何となくだけど」
-終-
姫神「『――知ってるかい。世界はいつだって滅亡の危機に立たされているんだぜ？』」
上条「すいません姫神さん、呼び出しておきながら開幕ぶっぱはやめてもらえませんか？」
土御門「そして去年に引き続き何のラノベにハマってるか丸わかりなんだにゃー。ブギーがポップするアレ」
青ピ「『――真夏に雪を降らせる！誰でもないボクが、イマジネータ○の名にかけて！』」
吹寄「はいそこ乗っからない。なんかちょっと楽しそうだけど」
土御門「これは……っ！？伝説のブギーポッ○ファイトか！？」
上条「非生産的だろ。あぁいや大抵のファイトは生産的ではないだろうけども、その中でも群を抜いて」
吹寄「てゆうか何？どういうルール？」
土御門「お互いにフワっとした事を言い合って、最後に泣きを入れた方が負けるんだぜぃ！」
吹寄「ルールがフワッとすぎてて理解出来ない」
土御門「ちなみに職場で延々やってて本気で叱られたアホもいるんだにゃー。みんなも注意するんだぜぃ」
（※私と上司）
吹寄「それなんてラップバトル」
上条「ラップバトル舐めんなよコラ！？あれは明確に勝ち負けが決まる上、大抵オーディエンスに囲まれてっから負けたあとは厳しいんだぞ！」
姫神「『君如きにイマジネータ○の名は重い。普通の生活へ戻ったらどうだい。先生？』」
青ピ「『そ、それでもボクがしないといけないんだ！能力使うフリしておっぱ×触りまくったボクが！』」
上条「飛鳥○先生はそんなこと言わねぇよお前何言ってんのぶち殺すぞアァン？」
吹寄「あぁここにも隠れファンが一人」
土御門「といういい加減にしろ――いや、カミやん見ろ！姫神の様子が！」
上条「お？」
姫神「屋上……予想以上に暑かった」 ﾊﾟﾀﾝｯ
上条「ひめ、がみ……？お、おい嘘だろ、嘘吐いてんだろ。ギャグ、なんだよなぁ？なぁ姫神！？」
上条「目を開けろよ！姫神！HIMEDUUUUUUUUUUUUURAAAAAAAAAAAAAAAAAAA！？」
吹寄「『ヒロインが最後に死ぬ系のオチ』で遊んでないでさっさと保健室運びなさいこの阿呆が！」
青ピ「あと誰やんHIMEDURAって。なんかチンピラっぽい響きやけど」
――保健室
姫神「ご迷惑をおかけしました。ぺこり」
吹寄「えぇっと……本気で大丈夫なの？顔色とかも全然変らんないし、平気かそうじゃないかの判断がヤバいんだけど」
姫神「よく考えれば実家に居た頃は。山の中を走り回っていた。かもしれない」
青ピ「……姫神のキャラからしたら病弱っぽいんやけれど、普通に体育とかしてもぉてるしな。今更やけど」
姫神「お姫様抱っこごちそうさまでした。おかわりはどういうシステムに？」
上条「緊急時だけだよ！もしくは姫神さんじゃなくて上条さんに籍が替るときぐらいだ！」
土御門「前提条件が予想以上にカッツリしてんだにゃー。引くわー」
吹寄「そりゃホイホイするもんじゃないけど。引くわね」
上条「おいおいお前ら俺は違うぞ！最近の若者と違って貞節&貞淑を重んじる男だ！」
青ピ「アホやなカミやん、ここは甘い台詞で好感度あげんのがベストやん？」
上条「コーラにメント○」 ｷﾘｯ
土御門「甘いは天井でも甘いの意味が違うぜぃ。それで『やだ、素敵！』ってなったら重度ダイエット中の女子？」
吹寄「女子代表として断言するけど、ダイエット中にそんな寝言ほざかれた日には全力でラリアットすると思うわ」
上条「そんなに業が深いのか……」
姫神「まぁそんなわけで私は大丈夫。九月なのに暑くてスタンバってるのを甘く見ていた」
上条「ネタで倒れんなよ。心配するんだから」
姫神「『姫神秋沙とダイヤモンドは砕けない』」
上条「やかましいわ！あれ別に本当に壊せないっつってんじゃなくて意志曲げられないよって話だよ！」
姫神「だがしかし承太○さんは条件次第で倒せてしまった。主に不祥事で」
上条「おいやめろやめろ！週替わり不祥事で乾いた笑いをお茶の間へ提供している人たちをネタにすんなよ！」
上条「実写映画の第二章が控えてるんだからな！あまりこう外野がヤイヤイ言うのはやめようぜ！」
土御門「心配しなくても今回の不祥事がなくても第二章はできないから心配スンナ！なっ！」
上条「なんでだよ！？クソ映画マニアの間では『失笑を大人買いするために生まれて来た映画』って評判だったんだぞ！」
吹寄「それ『生まれてこなければよかったのに……』って言われてるの同じよ？あぁ見てないから論評は出来ないけど」
姫神「ともかく集まってくれてありがとう。次の長編SSのメインヒロインに内定しているのに梨の礫の姫神秋沙です」
上条「ちょっと何言ってるのか分からないですね。うん全然？」
土御門「カミやんは姫神の目を見て話せ、なっ？」
上条「そんなことよりもだ！姫神、俺たちを呼び出して何をさせるつもりなんだ……ッ！？」
青ピ「テンションの調整間違ってますやん。もっと抑えて抑えて」
姫神「ようこそ皆さん。姫神秋沙のホラーナイトへ」
吹寄「まだ4時半ぐらいなんだけど……」
姫神「黄昏時は魔が彷徨い始めるのに相応しい時間帯。少し巻きで行く」
姫神「去年に引き続いてまさか二回目の企画。なんかこう都市伝説や怪談を検証していこうって感じです」
上条「ほぼ全て身内ネタだったろ。素行の悪い青ピとか放課後徘徊してる姫神とか見回りに来た小萌先生とかのな！」
姫神「今年は一味違う。例えるならばファミ○の杏仁豆腐フラッ○」
上条「……あんの？そんなキワモノが？」
青ピ「杏フレーバーの牛乳フラッペやんね。ストローで吸うとぉとつぶつぶが邪魔やけど、パンダのパケが素敵や」
吹寄「杏仁豆腐の豆腐部分が本体じゃ……？」
姫神「ならばスーパーで余りすぎている鬼○商品？」
上条「確かに『鬼○チップスなんて誰が買うんだ？』ってぐらい多いけど！ウチの地元じゃ見られないけども！」
姫神「そういえばこの間。鬼○ファンだろうと思われるワゴンが停まっていた」
上条「大丈夫かな姫神さん？散々脱線させてんのに進行の人も脱線させてあとから時間ないって騒がない？」
姫神「問題ない。なんだったら明日に回してこのまま鬼○を語ってもいい。カップリングについて熱く語る」
吹寄「えっと……倒れてまでしたかったんだから、もっとこ緊張感をね？」
姫神「それであの。運転席の前のところへキャラクタータオルが置いてあって。外から見れる感じで」
青ピ「おるなぁ。自己主張強いタイプの人や」
姫神「そのタオルにはレギュラー子がね。プリントされていて。その。炭治○君。禰豆○ちゃん。伊之○君ってね」
上条「あれ、もう一人？」
姫神「うん。丁度ね。広げるスペースあるんだけど。丁度見えなくなるように畳んであった」
（※実話です）
上条「嫌わないであげて！最終戦での活躍が微妙だけど頑張ってるんだから外さないであげて！」
姫神「どうかあなた達は優しい心を持ってください。具体的には私たちずっと友」
青ピ「なんで姫神はんそこまで卑屈になるんやろう……？」
土御門「特に何にも考えてないんじゃないか説」
吹寄「本当に話が進まないわね！いや別に自分のペースでやっていいけど！」
姫神「まぁそんな感じで今年もgdgdなまま都市伝説を追っていきたいと思います」
上条「無理だよ。だって都市伝説さんだってこんなgdgdな一団に追い詰められたくないよ」
姫神「心配はいらない。事前の仕込みに抜かりはない」
上条「それは今から出くわす超常現象が仕込みって事？それとも何かドッキリでも企画してあんの？」
姫神「ううん。そういう意味では仕込みはない。全部ガチンコで仕込みといったのは。これ」 ﾋﾟｯ
姫神「私費で用意したぬいぐるみ。差別化を図るためにお洒落をさせました」
吹寄「意外な趣味が出て来たような……」
土御門「えっと、このゲコ太がどうしたんだにゃー？」
姫神「ゲコ太郎。ゲコ太ではなくゲコ太郎」
上条「女子の格好させてんのに！？」
姫神「なので青色で統一してみました」
青ピ「”なので”の意味が……ま、まぁええわ！それでどしたん！？」
姫神「最近ググって知った怪談。そう。それは――」
姫神「――『ふたりかくれんぼ』……ッ！！！」 ｸﾜｯ
上条「姫神さん姫神さんそれ普通。多分兄妹二人ぐらいだったら普通にやってる」
姫神「間違えた。『ひとりかくれんぼ』」
吹寄「相変わらず……全部淡々としてるからボケなのか素でやってるのか分からないわね……！」
土御門「一説にはド天然だっちゅーも話もあるぜぃ。どっかのご当地アイドルと同じで」
上条「『ち、違うもん！天然じゃないもん！』って言ってると思うわ。いや俺は全然全くこれっぽっちもARISAさんとは接点ないけど。見たことも聞いたこともないし存在すら知らないんだけど」
吹寄「いいよね。ARISAと秋沙。これはもうコンビを組んでお笑いをやれという声が聞こえるかのよう」
上条「だから脱線させてんのに乗ってくんなよ！司会進行なんだからもっと自覚持て！」
姫神「理不尽な事を言われている気がする。では改めまして『ひとりかくれんぼ』。土御門君説明お願いします」
土御門「だからせめて事前に一言ぐらい……いや有名だけど。つーかこの中で知ってる人居るんだにゃー？」
青ピ「はい、ボクは映画で見とぉ」
上条「俺はまとめサイトで少し。詳しくは知らない」
吹寄「あたしも同じくアフィサイトで。あとテレビかなんかの企画で見た、ような？結局何も起きなかったのよね、明らかに仕込みと思われるラップ音以外は」
土御門「全員知ってんだったら大雑把に説明すっけど、事前にまず人形を用意するんだにゃー。それをこうどっかに隠す、つーか置いておく？」
土御門「自分はどっか狭い場所に隠れて、『今から探しに行きます』って宣言してぇの、人形まで歩いててって『見ぃーつけた』ってタッチするんだぜぃ」
土御門「そして人形に『次は君が鬼だから』と宣言しぃの、自分は本気でどっかに隠れるんだにゃー」
土御門「で、しばらくしてから出ていって人形へ『自分の勝ちだ』って宣言して終わりですたい」
吹寄「あれ？私の知ってるのとは違うわね」
土御門「今のにローカルルールが付属するんだにゃー。人形の腹割って綿詰めたり、塩水を用意したり、赤い糸がどうってのもあったり」
土御門「まぁ死ぬほど派生するから端折ったにゃー。つーか俺も本気では調べてないぜぃ」
青ピ「なんやったっけ？それでオバケが出たり、人形の位置が変っとぉたりするんやったっけ？」
土御門「って話だにゃー」
上条「――で、陰陽師の末裔である土御門さん的にはどうなんすか？効果あるですかねぇ？」
青ピ「おぉっとカミやん！無茶振りはあかんよ！」
土御門「そうだにゃー、俺はクソ宗家のマウント合戦から一抜けだにゃー。今の俺は真実の愛に生きる男だにゃー」
上条「お前なら素の力でやっていけそうだが……で、どうなの？」
土御門「大体デタラメ？このレベルで降霊術が発生するんだったら、オカルト小説を音読するだけで呪われちまうんだにゃー」
姫神「ビデオテープから感染する呪いもあったよね。フィクションだけど」
吹寄「あのシリーズのオチは『全部ヴァーチャル世界でのシミュレーターでした』って話で。ただどこから来たのか分からないまま終わるわね」
土御門「ただ気になる点はある」
上条「脅かすなよ！きっと今からしようぜって流れなんだから！」
土御門「いやマジで注意して欲しい、つーか試すアホは相当だからあえてボカすけども……その、なんだ。『ひとりかくれんぼ』のローカルルールの一つがある地方の葬式に似ている」
吹寄「ど、どこがよ？」
土御門「繰り返すがアホが真似するからノーコメントだぜぃ。詳しくはどこかで闇咲が話してる、筈だにゃー」
青ピ「だれやねん。そしてどこやのん」
土御門「んでその葬式で特定の方法を失敗すると――憑いてきちまうんだ。死んだ人が」
上条「うっわー……」
土御門「ただその、ローカルルールでの『ひとりかくりんぼ』が、わざと失敗させるとかそういうことを前提にして組み立てられてはない」
土御門「多分ただの偶然で”似ちまった”んだ、と思うぜぃ」
姫神「……おぉ。流石はプロ。盛り上げ方も上手い」
土御門「いや違う。別に俺はフォローしている訳でもない」
姫神「空気もヒンヤリしてきたところで。みんなはゲコ太郎人形を探してもらう」
上条「かくれんぼだし、まぁいいはいいんだけど。確か時間制限ってなかったっけ？」
姫神「上条君は心配性。リミットは大体一時間ぐらいと言われている」
上条「いやでも姫神が仕込んだのは俺たちと合流する前だろ？一回倒れてここに運んでいるしさ」
姫神「………………あぁ！」
上条「おい”あぁ”っつったぞ運営が！なんで一番気ぃ遣わなきゃいけないところアバウトなんだよ！」
吹寄「ちょっと待って姫神さん！？お化けは怖くないけどそういうキッチリしてないのってダメよ！お化けは怖くないけど！」
姫神「意外。でもないけど大丈夫。あっちの余裕を見てほしい」
吹寄「あっち？余裕？」
青ピ「なぁ幽霊っ娘って人権あらへんから、何やっても許されるんやよね？」
土御門「お前は一度しっかり呪われた方がいいぜぃ？」
吹寄「参考にならないわ！片方は人生捨ててるしもう片方は人生舐めてるし！」
上条「ねぇ俺は？」
吹寄「……ヒモなしバンジー続行中？」
上条「あっはっはっはー！面白い事言うなぁ吹寄さん号泣するぞコラ？」
姫神「上条君の男女平等パンチをバカにしてはいけない。そろそろコンプラ的に海外での視聴が不可能になりそう」
土御門「ネタがネタじゃなくなってきてるからにゃー」
姫神「しかし私も心配なのでヒントをあげよう。諸君らにはこの謎が解けるだろうか」
上条「だから主旨がブレてんだよ！怖い話じゃなかったのか！少年探偵団編へ移行したんか！」
姫神「『ヒント；清掃用具入れ』」
青ピ「結構……多いのとちゃいますのん？クラスだけでも結構あるし、部活棟や実習棟入れたらエラい増えますやん！」
上条「――ふっ、甘いな青ピ！俺にはゲコ太郎が今どこに居るのか分かっちまったぜ！」
青ピ「な、なんやて！？じゃあどこに！？」
上条「クラスのだろ？姫神の人見知りからいって他のクラスには入れないんだから」
姫神「間違ってはいないけれどちょっと心外。クラス以外でも友達が出来たのに」
上条「インデックスだろ？いいから速攻で回収しようぜ！」
――上条達のクラス
清掃用具入れ【――】 ｶﾞﾗｰﾝｯ
上条・土御門・青ピ・吹寄「………………」
姫神「………………あれ？」
上条「おい”あれ？”っつったぞ運営が！だからなんで自分でしまってた場所間違えるんだよ！？」
姫神「そうじゃない。確かにここへ入れた。間違いない」
姫神「というか私のメンタルで他のクラスへ入ったりできない。ダメ。絶対」
青ピ「なんて悲しい告白やんな……！」
吹寄「ちょ、ちょっと待ってよ！ないっていうのは、やっぱりその……ない、って事なのよね？歩いていった、とか？」
姫神「そんな非科学的な」
上条「そういう企画だよ？そしてセッティングしたのは君だよ？――あぁもう誰か残ってねぇかな、あぁいたいた！ごめん、ちょっといいかな？」
カチューシャの少女『なんだい？ぼくに答えられることだったらいいけれど』
上条「そういうキャラはいいから！そうじゃなくって今ここの清掃用具入れって、誰が触ったりしてなかった？」
カチューシャの少女『あぁそれはお役に立てそうにないね。ぼくも今出たばかりだから』
上条「その前には誰か残ってなかった？小萌先生がゲコ太人形持って歩いてたとか？」
カチューシャの少女『ふむ。それも見ていないね』
上条「そっか……んじゃ悪かったな。続けてくれ」
カチューシャの少女『』そちらも気をつけることだね。非日常もまた連続すれば日常になり下がるのだと、ね』
上条「だってさ。あー、どうしたもんかな」
姫神「微妙にツッコめない感じ。まぁいい。それじゃアシスタントと連絡を取る――てれれってれー」 ｺﾞｿｯ､ﾄﾝｯ
姫神「『――和風ヴィジャ盤』」
吹寄「……こっくりさん、よね？その紙は？」
姫神「そうともいう。さぁ早く連絡を」
上条「なんでだよ！？それでアシスタント呼んだって来るのはそっち系じゃねぇか！」
土御門「映画とかだと半泣きになって『帰って下さい帰って下さい！』って頼む系だの。”Cabin in the wood○”は除くが」
姫神「これで連絡取るのは本当。しかし上条君の心配も分かる。なので」
姫神「『至急・来てほしい』と」 ﾎﾟﾁﾎﾟﾁｯ
上条「来るかぁ！？貞○3Dじゃないんだから最新機器には対応し」
風斬「ど、どうもご無沙汰していますっ！」 ｽｯ
上条「ガチじゃねぇかよ！？あぁ正確には全然違うけど傍目には完全ガチな感じだよこれ！？」
姫神「アシスタントの風斬氷華さんです」
上条「待ってくれないか！チート攻撃をアリにしたら収集つかなくなると思うんだ！」
姫神「ハイスペック幽霊なので」
風斬「あの……違うんですけど」
吹寄「あー……前に見た地縛霊さん、でしたっけ……？なんで忘れてたんだろ……？」
風斬「いや違いますよぉ！？ちょっとアレな能力ですけど私は人です！」
姫神「ではまずみんなと仲直りの握手を。特に上条君と」
上条「消えるだろ。試したことないし、多分平気なんだろうが可能性はあんだろ！？」
風斬「消そうとしていませんか？明らかに狙って来ていません？」
姫神「地縛霊さんはいつまで経っても成仏する気配がない。なので上条君だったらなんとかできると思った」
姫紙「あなたは早く成仏した方が良い。私が死ぬとき。一緒に行ってもいいのだけど」
風斬「その……お気持ちは大変嬉しいんですけど、あなたに何かあっても私は残ると思います。存在的なベクトルが違うっていうか」
青ピ「……つちみー？」
土御門「専門外だにゃー。でも付喪神って無機物にも魂は宿るし、魔術的には天使っぽい感じ？」
青ピ「つまり――エロいことはできる、ちゅーことやんな？」
土御門「うん、お前のとごまでブレない姿勢尊敬するぜぃ」
姫神「風斬さん。ゲコ太郎が行方不明なんだけど。何か知っていたら教えてほしい」
風斬「ちょっと分からないです、ごめんなさい。予定時間よりも大幅に過ぎてるから忘れられてるのかと……」
姫神「ほら。上条君は反省してほしい」
上条「いや雑談挟んだのも俺だけど！乗っかった上に小ボケ挟んで押してんのは誰かなぁ！？」
姫神「めっ」
上条「俺が悪かった、だからもう一回今のやってくれよ！動画で保存しておきたいから！レアだから！」
姫神「じゃあ吹寄さんに」
上条「吹寄のはいいです。だって俺ら日に三回は叱られてるから」
吹寄「好きでやってんじゃないわよ」
風斬「……すいません、お役に立てませんで。ただその……」
姫神「なに？」
風斬「嫌な感じしませんか？ピリっていうか、ビリっていうか？」
上条「――土御門」
土御門「俺は何も。こっち側じゃない――もしくは、微弱」
上条「――青髪ピアス」
青ピ「ボクもこれといっては特に――ってボク特別なスキルもってへんよ！？」
吹寄「だから緊急事態にそーゆー小ボケを挟むなと」
姫神「……仕方がない。こうなったら仕込んだGPSに頼るしかない」 ﾋﾟｯ
上条「アナログなことやってんのに妙に手が込んでん、な……？」 ﾋﾟﾋﾟﾋﾟｯ、ﾋﾟﾋﾟﾋﾟｯ、ﾋﾟﾋﾟﾋﾟｯ
姫神「三階の廊下。移動をしている」
吹寄「って動いてる！？」
青ピ「ナイナイ、きっと誰か手に持って歩いとるんよ」
吹寄「そ、そうかもしれないけど！普通ゲコ太の人形持って歩くとかないでしょ！？落とし物だったら職員室だし、面倒だったら見なかったフリするし！？」
土御門「まぁそうだにゃー。俺だったら放置するぜぃ」
姫神「もしくは『あぁあのクラスの問題児どもだな』って思うよね」
上条「最近お前も毒吐くようになってきたよね？誰の影響？」
上条「でもまだまだなんだから勘違いしないですよねっ！ボスなんか一台詞で4回もバカって言うんだから！」
姫神「誉められているのか貶されているのか分からない」
青ピ「そしてどっちもご褒美ですやん」
吹寄「黙りなさい姫神さんを除いたアホども！この非常事態にボケてる暇はない！」
ﾋﾟﾋﾟﾋﾟｯ､ﾋﾟｰｰｰｰｯ
姫神「あ。止った？」
上条「まぁ取り敢えず追いかけてみようぜ。俺の予想だと小萌先生がゲコ太郎抱っこして移動している……！」
青ピ「なにそれ超キュートやないの……！写真撮って親御さんへ送らんと！」
土御門「泣く……いや、ご両親もホビッ○族である可能性もあるに」
吹寄「――せいっ！」 ﾎﾞｽﾎﾞｽｯ
土御門・青ピ「モルスァ……！？」 ﾊﾟﾀﾊﾟﾀｯ
吹寄「大変！呪いの影響かもしれないわ！」
上条「そうだよね、怖いよね。呪いとかお前の正拳突きとかがね」
姫神「しかし専門家がいなくなったのはまずいかもしれない。映画ではあとから復活して序言をしてくるタイプ」
上条「そうだね、もしその展開にならなかったらただのオカルト好き（※ただし役には立たない）って設定倒れになるからね」
姫神「まぁいなくなったんだったら仕方がない。地縛霊さんをパーティへ加えて冒険へ出発しよう」
風斬「こ、コワイの苦手なんですけど……？」
上条「戦闘能力だけで言えば、一方通行に肉薄してなかったっけ……？」
風斬「あれは私の中の中二部分がやっちゃっただけです！正気に戻ったあと辛いのなんのって！」
吹寄「てゆうか風斬さん、って一体何なの？さっき壁抜けもしてたしユーレ……とかじゃないのよね？能力者よね？」
風斬「む、無理です無理無理っ！考えるだけで映画を見るのも苦手なぐらいで！」
吹寄「……ちょっと気が合いそうね。よかったらLIN○交換する？」
風斬「姫神さんに教えてあるので、そちらから連絡して頂けると」
上条「俺の周りに強固な女子ネットワークが形成されてないかな？インデックスとも連絡取ってるよね？」
姫神「インデックスさんはたまにひらがなばっかりのメールが届く程度。なのでそこまで上条君のプライバシーは暴露されていない」
上条「一旦話し合おうぜ？もう『ひとりかくれんぼ』なんてどうでもいいから俺の個人情報の取り扱いについてな！」
姫神「――大変。動き出した」
上条「さっきから動いてるけどな！」
――三階
姫神「という訳でやってきました。しかし人が残っていて――うっ！？」
上条「どうした姫神！？やっぱりさっき倒れたのはネタじゃなかったのか！？」
姫神「知らない人が多すぎて。立ちくらみが」
上条「お前今までどうやって生きてきたの？しかも誰からでも注目される巫女服でフラフラ出歩いてたよね？」
姫神「気にしないようにしていた。しかし最近は校内を歩くだけで注意目されるようなってしまった」
上条「うん、外見だけは歩く地獄少○かエコエコアザラ○だもんね。一回闇咲と一緒に徘徊してみ？その日のウチに新しい怪談が生まれ落ちるよ？」
吹寄「失礼な事言わない！……と注意しようと思ったんだけど、果たして失礼なんだろうか……？」
風斬「比較的改造とが少ない分、初心者レイヤーさんにも人気ですからねぇ。制服ですし」
上条「そして闇咲の場合、地味すぎて『あ、お葬式帰りのヤク×だ』と思われてスルーされるに一票」
姫神「うんまぁ普通普通。どうせ私は普通の呪縛から逃れられない女……」
上条「普通じゃねぇよ。上から下まで属性てんこ盛りでもスベるやつはスベるんだから――お？」 PiPiPiPiPiPiPi
上条「着信……あぁ非通知だ。えっと……どうしようか？」
姫神「出てほしい。『ひとりかくれんぼ』では謎の無言電話がかかってきたという報告例がある」
上条「……分かった。アドバイスは？」
姫神「自分をしっかり持つこと。そしてパニックになったりしないこと。大丈夫。上条君にはいつものこと」
上条「まぁそう言われるといつもの方がより修羅場だけどな！――『はい、もしもし？上条ですがお世話になっています！』」
青ピ（※裏声）『――もしもし、あたしメリーさん。今、教室にいるの』
上条「『もっと、こう！アレだ！もうどっからツッコんでいいのか分かんねぇよ！？雑すぎるし今更過ぎるし！』」
上条「『もっと考えろよ！頭使えよ！一億歩譲ってこれが怪奇現象だとしても、ゲコ太郎探してんのになんでメリーさんがお電話かかってくんの！？人違いだよ！？』」
青ピ（※裏声）『――もしもし、あたしメリーさん。今、駅にいるの』
上条「『なんで離れてくんだよ！？そしてそれを俺に報告する意味は！？』」
青ピ（※裏声）『――もしもし、あたしメリーさん。今、カミやんのアパートの前にうわよせ何しとぉ――』
ﾌﾟﾂｯ
上条「――ありがとうステイル。今日ほどお前にありがとうと伝えたかった日はないぜ！」
吹寄「移動距離がおかしかったような……まぁ青ピだし、大概のことはやってのけるわよね」
姫神「なんて怖ろしい……！心霊現象が次々とパーティへ襲い掛かるだなんて……！」
上条「うん、どうせ下の階でダベってるだけだと思う――って今度は土御門からメールが」 ﾋﾟｯ
土御門【ローカルルール関係、姫神が何か余計なちょい足しして魔術的な意味合いを持っちまった可能性がある】
上条「そこはテンドンじゃねぇのかよ！？電話でもう一回して『今やったばっかだろ！？』までがテンプレだろ！？」
姫神「上条君はお疲れさま……お憑かれさま？」
吹寄「いつもこんな感じでしょ。一体誰と戦っているのかってぐらいツッコミに執念を燃やす」
上条「だってスルーしてたにイタイ人になるからだよ！ボケがただ流れになったら収集つかないから！」
姫神「上条君の使命感はいいとして。土御門君はなんて？」
上条「あぁっと、心霊的に何か起きた原因だとしてすれば、ローカルルールに問題があったんじゃないか、だそうだ」
姫神「どういう？」
上条「今言った『お憑かれさま』だっけ？善意の人を騙す系のフェイクが、『ひとりかくれんぼ』の中にローカルルールって形で入ってるかもと」
吹寄「……タチが悪いわね」
風斬「こ、怖いですよぉ」
姫神「全然ない」
上条「本当に？てか具体的にはどんな手順でやったんだ？」
姫神「教室の掃除が終わったのを見計らって全員へメールを送信する。そして掃除用具入れへゲコ太朗をインする」
姫神「あとは屋上へ小走りで。あ。だから倒れたのかも」
上条「――待って？あれ？呪文的なのは？」
姫神「しない。だって怖いし」
上条「いやだから！人形を刺したりって行為は！？」
姫神「しない。ウチの子が可哀想。品性を疑う」
上条「あーうん、そうだね、姫神の言ってることは正しいよな。いくら儀式っていってもぬいぐるみや人形を粗末に扱うのは何か違うよな？」
上条「――じゃ、ねーよ！？最初から『ひとりかくれんぼ』してねぇってことだろこれ！？ただゲコ太郎in theロッカーして俺ら呼び出しただけか！？」
姫神「てへぺろ」
吹寄「……ってことは、今起きてるのは壮大な勘違い、よね？そうなのよね？」
姫神「いや――学校そのものが呪われている可能性が」
吹寄「そんな話聞いたこともないけど。姫神さんとは別の、謎の女子学生の噂はないわけじゃないわね」
上条「……うん、オチは分かってんだけどさ。吹寄の聞いたその噂ってどんなの？」
吹寄「大した話じゃないけど、他校の制服を着た女の子が校内にいてね。見回りの先生が注意すると『ごめんなさい！』って逃げるっていう」
吹寄「詳しい話を聞こうと追いかけても、なぜか鍵の閉った部屋やトイレで見失ってしまう、だったかな」
風斬「あ、それ嘘ですよ」
姫神「そうなの？」
風斬「はいっ！私がいつも残って見張っていましたけど、それっぽい人は全然全然？」
上条「『それは――お前だァァァァァァァァァァッ！』――いや違う違う！怪談オチでよくある『それはお前だよ！』ってツッコミっぽくなっちまったじゃねぇか！」
風斬「わ、私は気を遣いましたよ！幽霊だって思われないように、先生に見つかったらちゃんと一言謝ってから逃げましたし！」
上条「より信憑性が高まるわ！つーか俺だって嫌だわそんな心霊現象！」
姫神「どうどう上条君。落ち着くのが大事」
上条「前提が違ってたら答えも間違う……そうか、ゲコ太郎ってどうやって手に入れたんだ？誰かからもらったとか、譲ってもらったとか」
姫神「流石に人様からもらった品物を粗末には出来ない。ゲコ太郎は普通にお店で買った――」
姫神「――でも。今にして思えば不可解な出来事があった。かもしれない」
上条「やった来たな因縁っぽいものが！このアホ企画も実は怖い話でしたってオチだぜきっと！」
姫神「あれは一週間ぐらい前。ゲコ太グッズを売っているデパートへ私は行った」
姫神「その日はたまたま新商品の入荷日らしく。小学生の女の子をかき分けながらゲコ太を物色していた」
上条「野郎だったら一発で通報案件だが、結構逞しいのな」
吹寄「外見は儚いんだけど……意外と馬力あるのよね。そしてそこそこ雑」
姫神「まぁ女子高生のパワーに勝てる訳もなく。最後の一つのニューゲコ太人形。つまり今のゲコ太郎を持ってレジに並ぼうとした」
姫神「すると……周囲がヒンヤリと。温度が下がった気がした」
風斬「お、穏やかじゃないですね……幽霊ですか？」
姫神「分からない。体調が悪いのかクーラーが効きすぎてるのか。とお店では思っていたけれど」
姫神「レジで店員さんへお金を払って放送している間も寒気は続いた。なんだろう？とと周囲を見渡しても様子がおかしいのは私だけ」
姫神「巫女服を着ているときのようにきっと自意識過剰なんだろう。そう考えてお店を出ようとすると――」
上条「違う違う。巫女服着てるときは超目立っている」
吹寄「しっ！オチなんだから口を挟まないの！」
上条「俺悪くないと思う……」
姫神「ジーッと。まるで深淵を覗くかのような虚ろな目で私を見ていた。それが」
吹寄「……それ、ですか？」
姫神「うん。常盤台の制服を着た女子が私をジーッと……ッ！！！」
上条「あ、ゴメン。それ関係ないわ。俺の見立てだと地縛霊の一種だけど、100%通りすがりだからゲコ太郎に何かあるって話ではないわー」
上条「ちなみに対処法は『ライデンは重量級なのに中の人はサイファーなんですねwww』って三回唱えると成仏するぜ！簡単だよな！」
吹寄「その台詞を三回唱えるまで結構かかるわね」
姫神「そういえば……その帰り道でも不思議なことが起きた」
上条「いや違う。そいつらは関係ない」
吹寄「なんで言い切るのよ！関係あるかもしれないじゃない！」
上条「そういえば、で思い出すレベルなんだから大した恐怖体験でもねぇんだよ！今まですっかり忘れてたってことなんだから！」
風斬「ま、まぁまぁ！何かの手がかりになると思いますよ！」
上条「それ自体がもうフラグなんだけどな……！」
姫神「ではご静聴。ゲコ太郎を買った帰り道。定期が使えたのでバスに乗って帰ることにした」
姫神「座った席は向って左側。歩道に近い方」
上条「おい大丈夫か？ゲコ太抱いた姫神がバス乗ったらまた変な噂流れないか？」
吹寄「雰囲気、あるのよね。静かな圧迫感って言うか」
風斬「ご本人は極めて普通の方なんですけどねぇ」
姫神「うん。たまに『何か悩みがあったら言ってね？』と言われるけど。大体ボーッとしてるか帰ったら何しよう？ぐらいしか考えてない」
上条「……姫神はそのままでいいよ。真っ直ぐ育ってくれているし」
姫神「上条君も覚悟しておいた方が良いと思う。インデックスさんも成長したら残念な子になると思う」
上条「自分で残念言うなや」
姫神「ともあれ。歩道側の席に座って通行人を眺めていたらバスが停まった。赤信号なのかなと」
姫神「特に何も考えずに外を見ていたら。たまに通行人と目が合う。そんな体験はないだろうか？」
吹寄「あー、たまにあるわよね。目線の位置が違うから、本当に合っているのかは分からないんだけど」
風斬「バスを見たのか、バスの中に居る人を見たのかはご本人にしか分からないですよね」
姫神「まぁそんな感じです。常盤台の子だな。こんなところにどうしたんだろう？と一瞬思ったけどバスはまた走り出した」
姫神「その数分後。停留所でバスが停まったと思ったら――」
姫神「また。目が合った」
吹寄「それは別によくあることじゃ？」
姫神「常盤台の子だった」
吹寄「ちょっとレア、かな？一日に何度も見かけたりは中々しないし、体験学習で来ていたのかもしれないわ！」
姫神「次に停まったときも。そしてまたその次も。その次の次も。常盤台の子が。見ていた」
姫神「全員。同じ。人だった」
吹寄・風斬「……」
姫神「以上。怪談『どうせ何か能力者だと思ってスルーしていた』でした」
上条「そうだね。確かに心霊的な何かではないよ。科学的な子たちだからその人たちは、うん全然？」
上条「でも気になるようだったら、『向こうの方であなたのお姉さんが凄い剣幕であなたを探していたよ？』って言うと逃げていくと思うから」
吹寄「知り合いじゃない。ただの」
姫神「まぁ私の持ちネタはそのぐらい――あ。マズい」
上条「どした果てになGPS消えちまったか？」
姫神「ううん逆。向こうからこっちへ近づいて来るみたい」
上条「あぁじゃあいいチャンスだな。事情を説明して返してもらおうぜ」
姫神「――みんな逃げて。ここは私が引き受ける……」
上条「そんな話してねぇよ！？そんな危機的シチュエーションでもなかったよ！？」
上条「つーかまだ居残ってる人居るんだからな！？『あの人だれ？』みたいな感じで見物している人も居るしさ！」
姫神「あのカドを曲がる。こちらか仕掛ける」
上条「そう思ったらもうちょっと抑揚付けよう？
姫神「姫神式血闘法。その五十五式――『縮血乱舞』……ッ！！！」
上条「お、おぉっ！？」
姫神「……」
上条「……」
姫神「ピンチに私の隠された力は解放されなかったみたい。残念」
上条「返せよ！一瞬『マジか！？』って期待した俺の時間を返せって！」
姫神「イメージとしては血液を自由に操る能力。血界戦○の牙狩○って超格好良い。特にスタ○さん」
上条「やってんだろ。誰かとか何がとは言わないけど地下室でほぼ完封してんだろ」
御坂「何やってんのよ？」
上条「何ってお前………………なんだろう？オカルド部ごっこ」
姫神「あ。ゲコ太郎」
御坂「あぁよかった。この子、あなたの家の子なのよね？ダメよ、寂しがってるじゃない」
姫神「ごめんなさい。イベントのために隠れていてもらった」
御坂「見つけたのが私だったからよかったものの、このまま盗む人だって居るんだからね！｝
上条「その容疑は微妙にお前にもかかってる訳だが……」
御坂「何よ！連れてきあげたじゃない！『屋上にいるよ』って言ってたから！」
上条「言ってたって……誰が？クラスの子が？」
御坂「いいえ？この子がよ？」
上条「……」
御坂「ゲコ太の声が聞こえるのよ」
上条「――うん、そうだな！流石ビリビリだ！凄い能力を持ってんだな！」
吹寄「面倒だからってぶん投げたわね」
風斬「『ライデンは重量級なのに中の人はサイファーなんですねwww』『ライデンは重量級なのに中の人はサイファーなんですねwww』『ライデンは重量級なのに中の人はサイファーなんですねwww』」
御坂「おぅ？やんのかコラ？やったんぞコラ？あたしにだって矜持はあるわよ！」
御坂「――ただ、胸囲はないけどね！あは、アハハハハハハハハハハッ！！！」
上条「やめて御坂さん！？自虐ネタは笑えるから言っていいんであって、深刻すぎるのはクスリとした笑いすら起きないんだよ！？」
御坂「じゃあこれ返すけど……あの、この子お洋服はどうやって……？」
姫神「手作りです。たまたま実家から持ってきたソーイングセットと昔の服があったから」
御坂「へー……じゃあね、もしなんだけど外部からの依頼的なものがあれば、ワンオフ製品なんかも作ってもらえる、とか？」
姫神「金銭が発生するのはちょっと。お母さんから習ったレベルだし本業ではないから」
御坂「ふーん……？」
姫神「というか何かゲコ太衣装が作りたいんだったら相談に乗」
御坂「――まずこれ見てくれる？最近スタンダードになったこの規格っていうか大きさなんだけど」 ﾋﾟｯ
御坂「やっぱりこうぬいぐるみだから？抱っこしたときの安定感っていうか充実感はほしいのよ？現実的な意味でね？」
御坂「でもそのサイズっていうのは中々他にサイズか無いっていうかぶっちゃけ他のぬいぐるみから衣装の流用って出来ない訳で」
上条「やめなさいビリビリ！姫神さんが怯えるんだからね！」
姫神「あぁ分かる分かる。最近の主流はUFOキャッチャーサイスだけど。フェルトをペタペタ貼り付けるだけで味わいがない」
姫神「こうテディベアのように。親から子へと引き継がれるような強度と安定感が欲しい。と？」
御坂「そうよ！ぬいぐるみだって大事に梱包するだけじゃなくてぬくもりがほしいのよ！」
姫神「そういう考えであれば断れない。私でよかったら微力ながら力になりたい――あ。でも」
御坂「なに？金銭面以下その他全てはあたしが請け負うわよ？」
姫神「あなただったらプロの人に依頼した方が。きっと出来の意味では良いものが作れるんじゃないかな？」
御坂「……そうかもしれないけど、そうじゃないわ。そういうことじゃないの」
御坂「ゲコ太を愛する素人が作ったものと、ゲコ太を愛せない人の血が通っていないプロが作ったもの。どちらがより大事かしら？」
姫神「気に入った。今日からメル友」
御坂「ありがとう同士よ！」
上条「なんか変な風に話がまとまったみたいだけど……まぁいいか。姫神にまた一人友人ができたってことだから」
吹寄「いいの？ゲコ太を愛せない人は血が通ってない、みたいな過激派よ？」
上条「基本的には善人だから。ただちょっとブレーキが破壊されているだけで」
風斬「あ、あのぅ。あの子っていつも校門で待ってる子ですよね？上条さんの出待ちをされてる方」
上条「いつもかどうかは知らない。だって俺は逃げているから」
風斬「ま、まぁそれはいいんですけど、そうじゃなくって前は校門前だったのに、今は堂々と校内へ侵入してくれるのはどうかなぁって」
姫神「『段々と近寄ってきている幽霊の心霊写真』」
上条「やかましいわ！確かに恐怖だけども！」
御坂「か、勘違いしないでよね！あんたに会いに来たんじゃなくて単に意味も無く不法侵入したただけなんだから！」
上条「そっちの方が怖いわ！」
風斬「あ、すいません。インデックスさんと用事がありますのでここで失礼しますね。また呼んでください」 ｼｭﾝｯ
吹寄「……あれ？風斬さんってやっぱり幽霊じゃ……？」
上条「いいや天使だよ？オルソラと同じで？」
吹寄「うん、多分その人も違って言うと思うわ。何となくだけど」
-終-