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Clock(trial)

佐天「久々に帰ってきた学園都市七大探訪……ッ!!!」

 
 ――上条家

ナレーション『ここまでのあらすじ!』

ナレーション『宇宙海賊キュアラッキー(※スケベ)はひょんなことから地球型星系団ミ・サーカサンへと墜落してしまう!』

ナレーション『そこで待っていたのは同じ顔・顔・顔!クローニングが進んだ国家では単一種が国家を造り上げていた!』

ナレーション『招かざる客であるキュアラッキー(※スケベ)は敵対者だと間違えられてさぁ大変!一万人の兵士に取り囲まれて絶体絶命のピンチに!』

ナレーション『持ち前のラッキースケベで対抗するも、火に油を注いだだけで取っ捕まるキュアラッキー(※スケベ)!明日には処刑される運命か……ッ!?』

ナレーション『が、ところがどっこい!閉じ込められた独房の中、助けに来たのは――なんと!皇女ミ・サーカ・ミコートその人だった!』

ナレーション『訝しむキュアラッキー(※スケベ)に対し、皇女ミコートは震える言葉でこう言い放った――』

ナレーション『「べ、別にあんたのためなんかじゃないんだからね!」と!」

ナレーション『――次回、トウィンクル☆プリキュアラッキー(※スケベ)新春SP!「ラッキースケベよ永遠に!」どうかお楽しみに!』

上条「一々ラッキーにスケベってつける必要あるかな?これテレビで流れてるって設定だよね?悪意あるよね?」

上条「てゆうか登場人物やっすいところでまとまったな!実質御坂妹とビリビリ二人で全員分賄えるだろ!」

上条「つか根本の設定宇宙海賊コブ○じゃねぇか!いくら何でもあの大御所と一緒にされるのは畏れ多いわ!」

インデックス「とうまうるさい、あとテレビの予告にまでツッコむのは流石に病的だと思うんだよ」

上条「……あぁごめん。なんかこうここで一発言っておかないと、後々実現される可能性がゼロじゃないんでな」

インデックス「きほん『面白ければなんだってする』、っていうお笑い芸人めんたるの運営は信用できないよね。なにさせられるのかわかったもんじゃないんだよ……!」

上条「新春特番だからな。ウソ予告だとは思う、思うんだが覚悟はしておいた方がいい。念のために」

インデックス「ってゆうかどいてほしいんだよ。てれびが見られないかも」

上条「あぁごめんごめん。お節料理作ってたら聞こえたもんで、つい」

インデックス「つい、でツッコミ入れに来るのはどうかと思うんだけど……」

上条「あ、少しできたけど味見してみる?伊達巻きと昆布巻きの端っこで良かったら?」

インデックス「いいの!?いつもは『おしょーがつが来るまでだめだ』ってペチンされるのに!」

上条「俺は体罰加えた憶えはないが……あぁ、あと黒豆もあるぞー。土井先生流だから色が綺麗なんだこれが」

上条「なんだったらチャーシューも切ろうか?特別にな、少しだけだったら特別にだな」

インデックス「……」

上条「どうしたインデックス!?調子でも悪いのかっ!?」

インデックス「……とうまの気遣いが過剰なんだけど……」

上条「あぁそりゃお正月も近いからな。一年の終わりぐらいはあんまガミガミ言うのも控えようかと」

インデックス「違うんだよ!わたし知ってるもん!」

上条「おいおい俺がまるでいつもウルサイみたいな感じじゃねぇか。人様の子を預ってんだから、どこへ出しても恥ずかしくないような最低限の道徳をだな」

インデックス「だってとうま――ロンドンから帰ってちょっとおかしいんだよ……ッ!?」

上条「おかしい?俺が?」

インデックス「そうなんだよ!逃げるように戻って来たら態度が前と違うんだもん!」

上条「あぁ……それはそうかもだな。お前の『枷』の件が一段落したじゃんか?だからまぁこっちにいなくたって安全なわけで」

上条「俺としては同居人がいてくれた方がありがたいけど、インデックスの帰る場所があって帰りたいんだったら――」

インデクッス「うん、それ。全部じゃないけど大体はそれで合ってるかも」

上条「まぁ大事な話だよ。正直、今の『必要悪の教会』は前よりもずっと信頼出来るけど、逆に脆いよな?」

上条「厳しい部分がゴッソリ抜け落ちちまった分だけ組織的には弱体化してる、てか強みであり弱みでもある」

上条「そこをフォローできるのは一万冊以上の魔道書の知識を持つ禁書目録なんだよ。存在感っていうか」

上条「今の『必要悪の教会』は信じられる。ステイルもいるし神裂もいる。オルソラやアニェーゼだって良くしてくれるだろうし」

インデックス「とうま……」

上条「だから、さ?ここは一つ交換留学生ってことでオルソラとチェンジできないかな?」

インデックス「――辞世の句はそれでいいんだね?墓碑にはそう刻んでおくんだよ?」 ガチガチガチ

上条「待つんだインデックス!?何か悪い事言ったか!?」

インデックス「超失礼極まりないこと言ったよねぇ!?チェンジってどういうこと!?」

上条「お互いの相互理解を深めるためにもオルソラを呼んで、つーかオルソラのドレス姿一目でいいから超見たかった」

インデックス「後半完全に心の声がただ漏れしてるんだよ」

上条「なぁ俺の気持ちが分かるか!?アニェーゼに『なら写メありますけど、見ます?』ってメール来たからオルソラのだと思って頼んだのに!」

上条「中身はルチアのエロいドレス画像で、『まぁこれはこれで』って外部ストレージに保存した俺の気持ちが!?」

インデックス「満更でもないって事だよね?大切に保存しておくぐらいにはお気に入りって事なんだよね?」

インデックス「てーゆーうーかー!わたしが言いたいのはそうことじゃないんだもん!とうまの態度がおかしいよねって言ってるんだよ!」

上条「そんなことないだろ。俺の態度がおかしいのは大体お前に隠し事があるときぐらいだよ」

インデックス「自白してるね?もう自分でスルって本音言っちゃってるよね?」

上条「だったら具体的に言ってご覧なさいよインデックスさん!俺のどこがおかしいのかって!」 バンバンバンバン

インデックス「うーんとね、前よりもよそよそしくなったんだよ!」

上条「俺が?」

インデックス「なんかこう距離が遠くなったし!なんとなくだけど!」

上条「……ごめん。ちょっとトラウマが残ってる」

インデックス「……トラウマ?何かの後遺症だったら、カエル先生に看てもらえばいいんじゃないのかな?」

上条「そういう外側の話じゃなくて、俺の内側が傷がついたって言うか」

インデックス「ちょっと何言ってるのか分かんないんだけど……」

上条「これはあくまでも例え話だよ?現実にもフィクションにも登場しない架空の話なんだけどもだ」

インデックス「う、うん?聞くけど」

上条「ちょっと気になる友達が、自分ソックリの他人にニャンニャンされそうになってるのを目撃しちまったらどう思う?」

インデックス「これ以上ないってぐらいに身に覚えのある案件なんだよ!?あぁいや何もなかったけど!覚えはなくてね!」

上条「いやインデックスは悪くないのは理解してるんだ!犯人捜しをするんだったら俺の『右手』の中の人がエロ目的で暴走って話だからさ!」

インデックス「エロ目的かどうかは……まぁ、結果だけを見ればその通りだけど!」

インデックス「てゆうかね、わたしだって大迷惑なんだよ!いつも空気とかセルフ光学迷彩とか言われて要らない子扱いなのに、今回に限ってメインヒロインの役割って酷くないかな!?」

インデックス「危なかったんだよ……!もう少しでバツイチになるところだったかも……!」

上条「斬新すぎるよね。俺の知ってる範囲じゃいないわー。『主人公ソックリの人に××××されたメインヒロイン』って。エロゲ×か」

上条「その業界にしたってここ10年ぐらい、ライバルの男キャラ出すだけで長文のアンケートハガキが大量に届く訳で」

上条「男キャラは主人公に惚れてるショ×orエロすぎてモテない残念男子の二択になってるんだよ……!」

インデックス「本当に何言ってるのか分かんないんだよ?」

上条「そもそもだな、お前はシスターさんであると同時にアレしちゃいけないって教義なんだろ?」

インデックス「あれの意味が不明瞭だけど、ここで信仰を持ち出すのは責められてる気がするんだよね」

上条「あぁいやインデックスが悪いんじゃなくて、まぁ最悪の最悪、場合が場合ならその……DHA鑑定するじゃん?」

インデックス「あれってそういう意味で!?生々しいにもほどがあるんだよ!?」

上条「多分あのヤローと俺は遺伝子も共有してそうだから、どっちみち汚名は100%に還ってくるんだよな。そして何をどうしてもステイルに灼かれて終わるだろ」

上条「デストラップ回避不可能。でも今回ばかりはステイルの気持ちも分かるわ。俺だってぶち切れるわ」

インデックス「……なんなんだろうね。前回の事件って後味悪いにも程があるような……!」

上条「てかあのアホ何がしたかったんだろう……?動機は『俺だったらもっと上手くやってる』なんだろうが、それと入れ替わるのって別件じゃね?」

インデックス「あと一日我慢したら?みたいなことも言ってたけど、一日待ったらまた入れ替わってたくれたのかな?」

インデックス「えっと……そのときにさ、わたしにはあれな記憶が残ってるのにとうまは全然知らなかったら、確実にあうつ案件だよね」

上条「しかもその後大勢巻き込んで暴走しやがったし『お前結局何がしたかったの?インデックスとエロいことしたいだけだよね?』って」

上条「なんかこう海原(偽)臭がするんだよ。お前それ負けそうになったらペラッペラ喋り始めて、最初と整合性がつかなくなってる感じの」

インデックス「……てゆうかさ、いい機会だから言うんだけど」

上条「おいやめとけ。どんな爆弾投下するつもりだ」

インデックス「もうタイトル『禁書目録』って入れる意味無くない?」

上条「――おっと本気で待つんだインデエエエエックス!誰もが薄々思いながらも優しいから気づかないフリしてた案件を持ち出すな!」

インデックス「無印は……まだ、良かったんだよね。『え、誰!?』ってポッと出の人が現われて、わたしが自動攻撃モードに入っちゃった的な」

インデックス「『ベツレヘムの星』を操る必要性が、って意味ではなくはなかったのかも、だけど」

インデックス「ただ今回は……流れ作業に近くて、ジョバン○がやってくれた的な一瞬で解除されたと思ったら、その数日後(※作中時間)で『もう一回!?』ってなってさ」

インデックス「ほんとにもう何が何だか分からないんだよ……ッ!?誰か説明して欲しいのかも……!」

インデックス「わたしの出番が無いばかりか、キーマンでもないってもうね!」

上条「よーし待ってろインデックス!正月用に買っといたチャーシュー、丸まんま囓っていいぞ!俺が許可するから!」

インデックス「そして何よりもおかしいのは!いつもいつもオイシイとこはろたんぱつかオルソラか五和が持っていくのに!」

インデックス「よりにもよって泥ってかヘドロを被りそうなときにだけわたしってどうかと思うんだよ!?」

インデックス「できれば四年前に場末の二次創作へヘイトヘイト言ってた子達に聞きたいんだけど!メインヒロインがこの扱いってどっちがヘイトなのかな!?」

上条「……まぁ落ち着けよ。お前も不幸な目に遭ったのは理解したし、憤る俺の気持ちも理解してくれたと思う」

上条「ただ、俺だって大概だぞ?ラッキースケベって罵られてるが、最近ドキドキしたのっていつだっけか……?」

上条「ビリビリに化けたトールのおっぱ×タッチしたぐらいだよ……!中身男だって分かってるのにちょっとエロい気持ちになったさ!」

上条「……」

インデクッス「とうま?」

上条「――あれ?俺ってもしかしてゲ×だったのか……?」

インデックス「うん、それはね。たんぱつの名誉のためにも深くは考えないほうがいいかな、っていうかね」

インデックス「てゆうか中身関係なくて、外側に反応すればまぁ正常なんじゃないかな。何をもって正常かってのは長くなるからしないけど」

インデックス「あととうまには『いい匂いした』と微妙にHENTAIっぽい事言った上、だったら『変装してないのも実は見破ってた?』疑惑がね」

上条「――くっ!怖ろしい相手だったぜ俺っぽい誰か!長年築いた信頼をこうもボロボロに!」

インデックス「今までの絆ってなんだったんだろう……普通『あなた――とうまじゃないかも!』ってわたしが見破るターンでもいいんじゃないかな……?」

上条「あとさ、おかしいって言えば人気投票あったよな?」

インデックス「……とうまはこれ以上わたしの傷を抉りにきてるのかな?」

上条「あぁいやいや真面目な話だよ。てかお前の名誉にも関わる話だ」

インデックス「名誉?」

上条「あれ、運営が票イジってるよな?」

インデックス「また凄い憶測を飛ばすんだねっ!?今年も終わろうかって頃なのに!」

上条「オティヌスはともかく、垣根とキャバ嬢っぽい子があんな上位だなんて、なぁ?直後に垣根スピンオフっぽいのも来たし?」

インデックス「とうま、あのね?擁護してくれる気持ちはありがたいんだよ?でもね、ほら、立場ってものがあるんだよ?」

インデックス「てかあんまりそういう話ばっかりしてると、謎のくろふくが現れて誘拐されるっていうね」

上条「あっはっはっはっはー、何を言っているんだいインデックスさん。悪のヘンタイ理事長はね、お星さまになったんだよ?」

上条「見てご覧ほら、北の夜空に浮かぶあそこから僕らを見ているのさ……!」

インデックス「今昼だよ?あと何となくだけど今は寄生○として他人様に迷惑かけてる最中じゃないかな」

ピンポーン

上条「あ、誰か来た」

インデックス「気をつけるんだよ!」

上条「ないない。なんか物理的に俺らを排除するんだったら、危ない奴らがもっと先に」

佐天「『――あ、すいません。ちょっとお話聞かせてもらってもいいですか?』」

上条「どうしよう。メンインブラックよりタチ悪いの来ちゃった」



――

佐天「ぶっちゃけあたしが主人公の方が売れると思うんですよ」

上条「そこそこの数の人が『ですよね』って納得しそうだからやめろ。例え事実であったとしても言うな?」

インデックス「否定するだけ否定はしておいた方がいいと思うんだよ、一応」

上条「てゆうかセンシティブな問題を俺に突きつけに来たのか!この暮れも差し迫った忙しいときに!」

佐天「あぁいえそれは流石にネタでして、ちゃんとした用は別にあります。あ、すいません、このケータイ持ってもらっていいですかね?」

上条「持つけど……」

佐天「『――はい、って言うわけでね!やってきましたよ現場に!侵入捜査大成功なんっつってね!』」

上条「ギアの上げ方が最速過ぎるよ。何一速から五速へ入れてんだ」

佐天「『えーと、こちらが例の現場にお住まいの方です!ナウ、じゃないやヒア!』」

インデックス「ど、どうもなんだよ?」

佐天「『お名前……は、マズいんでシスターさんですか?うわー、素敵ですねそのお洋服』」

インデックス「そ、そうかな?今日のはちゃんと作ってもらったやつで良かったんだよ」

佐天「『シスターさんはこちらにお住まいになってどのぐらいでしょうか?何十年ってことはないですよね?』」

インデックス「んー、半年、ぐらいだっけ?なつやすみ、前だったよね?」

上条「まぁ大体そのぐらいだよな。体感的には15年弱だが」

佐天「『ほうほう……!では、その間遭った心霊体験をどうぞ……ッ!!!』」

インデックス「……うん?」

佐天「『プリーズ?』」

インデックス「通じてるんだよ?たまに忘れるけど、わたしは外見ガイジンさんだけど日本語ペラペラだから大丈夫」

佐天「『アーバン・ゴースト・ストーリー、プリーズ?』」

インデックス「や、だからね?心霊体験を要求してるのは理解してるんだけど、どうして?って戸惑ってるんだよ」

佐天「『あーそうですね。まずはそこからでしたね。えっと、あたしはケーブルテレビのレポーターやってます佐天と申します』」

インデックス「どうも。インデックスです」

佐天「『正しくは佐天・SKC・涙子です☆』」

上条「張り合うなよ。そしてその謎のミドルネームどっから引っ張って来た?」

佐天「『柵中ですけど何か?』」

上条「あっさい引っ張り方しやがったな!?学校の名前自分の名前にぶち込んだ人、初めて見た!?」

インデックス「せめて土地名ぐらいだったらままあるんだけど……」

佐天「『学園都市内の都市伝説やら心霊現象、ついでにアーバン・イノシシを追いかけて東奔西走』

インデックス「出るんだ?ブームに乗っかって学園都市にまで登場するんだイノシシ」

上条「どうやって入ってくるんだろうな。仮にマジで存在したらファンタジーだが」

佐天「『そんなテレビも正月特番!来たるべき新春に相応しい特集を!――ってことでこちらお邪魔して、第一村人ならぬ第一住民を』」

上条「よく俺らがいるって分かったな」

佐天「『あぁいえ下から順にピンポン鳴らしていっただけですから』」

上条「殆どの住人いないのな!?ここ結構上だぞ!?あぁまぁ帰省してるだけかもだが!」

佐天「『そんな訳でお話を伺いたく。あ、これ遅れましたが粗品です。良かったらどうぞ』」

上条「いやまぁそういうことなら取材に協力しないでもないが」

佐天「『あざっす!』」

インデックス「……ねーねー、とうま」

上条「ん、どした?」

インデックス「この子が取材に来るって事はさ、この建物も何かあるってことじゃないかな?」

上条「あぁ噂がなければ来ないだろうしな。でも正月特番ってことは縁起が良いネタに決まってるよ」

インデックス「え?でもゆーれいがどうって」

上条「年末年始にオカルト番組もあるけど、『学園都市に謎の人面犬を見た!』ぐらいのユルさだと思うぜ?」

インデックス「そっか!だよね!」

上条「で、なんの取材してんだ?」

佐天「『事故物件です』」

上条「また最低のタイミングで最悪な内容オンアエすんのか!?君んのとこのスタッフ頭おかしいぞ!?」

佐天「『アクセルは常にべた踏みで!お正月だからこそ視聴者に媚びぬ骨太の番組内容を自負しておりますが!』」

上条「てゆうか事故物件!?そんな話初めて聞いたんだけどマジで!?インデックス知ってた!?」

インデックス「『じこぶっけん』ってなに?」

佐天「『アパートやマンションで前に住んでた方が悲惨な亡くなり方をすると、その部屋で”事故”があった的な扱い方をされる、って話でしょうか』」

インデックス「まいかやつちみかどは別に何も言ってなかったし……近所のおばちゃんやしょーてんがいの人も」

上条「いやまぁ……いつでもどこかで誰かは亡くなってんだし、てかそれ面白おかしく取り上げていいもんじゃないだろ。遺族の方だっているんだから」

佐天「『いやぁそれがですね、いないんですよ』」

上条「……孤独死ってこと?被害を被る人が居ないからいいってのもどうかと」

佐天「『ですから事故物件の”事故”そのものがないんですってば。ぶっちゃけ亡くなった方がいません』」

上条「事故物件じゃなくね?前提そのものが成り立ってねぇよ」

佐天「『なのでこっち側としてもどうしたものかと考えたんですが……実は、噂流れてるんですよ。ここの』」

インデックス「初めて聞いたかも。どんなの?」

佐天「『ここアパートでは以前大火災があって、それに巻き込まれた人がたくさん居たって』」

上条「新築じゃないけど、別に古くもないよ」

佐天「『その霊たちが今も悪さをしている!――的な?』」

インデックス「何度も言うけどわたしは別に。ってゆうか迷ってる人がいるんだったら、主の御許ヘ送るのも役割なんだよ……ッ!」

上条「今年初めてインデックスのシスター部分がやる気になったぜ……!」

佐天「『あと数日で終わりますけどね。で、まぁ曰く怪奇現象が起きるんだそうで。お二人には心当たりがないみたいですが』」

上条「うん。なんだったら隣の住人にも聞いてみ?同じことを言うと思――」

佐天「『そうですかー……じゃ、定期的に部屋が爆発炎上する、って証言もデマだったんですかねぇ』」

上条「え、なんだって?」

佐天「『地縛霊的なアレが今でも悪さを、ってよくある話ですよ。でもそれだったら建物ボロボロですもんね!この部屋なんか新築みたいにピッカピカですし!』」

インデックス「そ、そうなんだよ!とうまがお手入れしてくれるからねっ!」

上条「だな!今度オリジナルブレンドの洗剤に『上条当麻』って名前つけて売り出そうか考えてるところだぜ!」

佐天「『誰がそのネタ”あー、ホムセンで売ってたー”ってなるんですか。あっと他には……あぁ!喪服!喪服を着た幽霊です!』」

上条「うっわそれ怖いな。普通に徘徊してるだけでも充分嫌だよ」

佐天「『……ですよね?その喪服の幽霊が、スーッと――そう、ここの階ぐらいの高さに浮かんでいたとか……!』」

上条・インデックス「……」

佐天「『何か心当たりでも?』」

上条「いえ全然?闇咲の彼女そげぶして帰ってきたら、自宅が全壊してて『あのクソ野郎助けなきゃ良かった』って思ったりはしてないよ?」

佐天「『なんですかその具体的な文句は』」

インデックス「うん、残念だけどねっ!るいこの言うような現象はないから!取材しても無駄だと思うんだよ!」

佐天「『ソデスカー、それは残念ですねー――っとじゃあお邪魔しました。話盛ったらご迷惑になりますし、この件は打ち切りですなー』」

上条「それが良いと思うな!お互いのためにもね!……ちなみに聞くけど、今からどちらへ?」

佐天「『同じく近所の事故物件へ取材です。えっと名前が、”コーポ・アステカ”』」

上条・インデックス「ちょっと待って」



――コーポ・アステカ前

佐天「『――はーい、やってきました今回の企画!”事故物件巡礼ツアー”!』」

インデックス「企画の名前なんとかならないのかな?それもうウキウキ気分が全面に出ちゃってるよね?」

上条「『――あぁうんオレオレ。今前に――うん、いや、いいいい!歓迎しろって言ってんじゃねぇよ!なにウェルカムしてんだ!』」

佐天「『今日はですね、ナイスなゲストとして取材先で意気投合したシスターさんにご同道していただいちゃっております!』」

インデックス「こんにちはなんだよ。通りすがりのシスターです」

上条「『採用されたらずっとネタにされ続けるんだぞ!?お前ホントにメール読んだのか!?』」

佐天「『ちなみに霊感と言いますか、幽霊を見たご経験はおありでしょうか?』」

インデックス「まだ見たことはないかも。ただ術式や霊装で彼らの力を借りるものがあるし、存在しているのは間違いないんだよね」

上条「『いやだからお前人の話を聞――』」

ガラッ

海原『かっみじょーさーん!」

上条「『手を振るな顔を出すな俺の名前を出すな!?何お前今日に限って全力で歓迎しようしてんだよ!?』」

佐天「あの、すいません臨時カメラマンの方。超ウルセェっす」

上条「ごめなんさいね!話をつけようにも主旨を勘違いしてるアホと話してたもんだから!」

佐天「てか今窓開きましたよね?おかしいな、ここには誰も住んでないって不動産屋さんから聞いてたんですが……」

上条「え、えぇ?おいおいやめてくれよ!俺には誰の姿も見えなかったなー!」

佐天「ってことは……『見てください視聴者の皆さん!今年も春から心霊現象ゲットしました!縁起が良いですよね!』」

上条「テンションおかしくないかな?。そんなウキウキしてる心霊番組って他ないよね?」

インデックス「そして仮にガチだとしても憑いてくるのは霊であって、縁起は悪いと思うんだよね。これでもかってぐらいに」

…………

インデックス「――ちょっと待つんだよ!何か、聞こえてくるかも……!」

佐天「『おおっと!?我々を謎の攻撃が襲う!これは血塗られた惨劇の予兆なのかーーーーーーーっ!?』」

上条「あぁあれだ。君のナレーションどっかで聞いた事あんなと思ってたら、プロレスの実況アナウンスと同系だったわ」

佐天「『いやでも無人の廃墟から聞こえてくるのって恐怖ですよ。これなんでしょうね、笛っぽい音……?』」

インデックス「オカリナだね。鬼太○が吹いてるの」

上条「その説明で途端に面白くなったな」

ペペペ、ペペペポー、ペペポー、ペペペポー

上条「――って『コンドルは飛んでいく』じゃねぇか!?何メジャーな曲吹いてんだよ!?」

佐天「『どういうツッコミですかそれ。イヤ確かになんでここのそのチョイス?とは思いますけども』」

インデックス「オカリナは中米から南米にかけて使われてた楽器だし、おかしくはない、ないんだけど……」

上条「いや怖ぇけども!誰も住んでない家屋から寂しげにオカリナの音聞こえてくるのはもうギャグだよ!」

ピタッ

佐天「『おっ、やみましたね。どうやら相手は対話できる霊らしいです……!』」

上条「その設定まだ続けてんのか。空振りで終わるんだからやめろよ」

ピロリロリーン

上条「あれ……メール?非通知?」

佐天「『ナイスですね!最近は霊からの電話もケータイへ直でかかってきて非通知がデフォなんですよ!』」

インデックス「人だよね?最新の技術を使いこなしてる段階でもう人がやってるって事だよね?」

佐天「『まだ分かりませんよ!中身は衝撃的な事がいてあるかもしれませんし!』」

メール(アドレス不明)【ワンチャンください】

上条「――あ、ごめん。全然関係ヤツだったわー、だって身に覚えがないもの。そんなアホ知らないもの」

佐天「『……隠してません?何かこう共犯的な意味のやつを』」

上条「し、知らないなー?なぁインデックス!」

インデックス「とうまの交友関係だからね」

チャーチャーチャー、チャーチャッチャッチャー、チャーチャッチャー

上条「なんだこのご陽気な音楽は――」

ガチャッ

ドクロ仮面?『ラ・ディアブラァァァァァァァァァァァーダ!!!』

上条・インデックス・佐天「……」

ドクロ仮面?『俺は地獄から来た悪魔!最悪にして――』

上条「いやごめん。そういうのいいから、まずそのカーニバルから出て来たようなご陽気すぎる仮面を外せ」

ドクロ仮面?『……あれ?自分空気読んでない感じになっちゃってますか?』

上条「そうだね。転生した瞬間にはしゃぐチート勇者みたいになってるよね」

佐天「なんて可哀想な言い方を……!?」

インデックス「あれはあれで、うん。そのハジケっぷりを楽しむっていう楽しみ方もあるんだし。一概には、ね」

ドクロ仮面?『いや間違っていませんよ!自分の地元じゃあこれが定番ですもん!』

上条「インデックスさん、解説お願いします」

インデックス「あ、うん。これはディア・ブータかな?ここまで本格的なのは初めて見るんだよ」

ドクロ仮面?『よくご存じで。これは地獄の悪魔の装束です』

佐天「よく分かんないんですけど、サンバ?カーニバル的なご衣装ですよね?」

インデックス「スペイン人の侵略に伴って現地の信仰は淘汰されていったんだけど、カーニバルの中には残ったんだよ」

インデックス「その悪役側として、まぁ日本で言えばナマハゲ?『悪い子は悪魔が連れて行っちゃうんだよ!』って感じに」

ドクロ仮面?『自分も幼い頃は怖くて怖くて仕方がなかったんですよ。特にこれはアレンジ品でしてね』

インデックス「うんうん、分かるんだよ。ドクロはテスカトリポカの記号を取り入れてるんだよね?」

ドクロ仮面?『流石です禁書目録さん!遠回しに彼らの再臨を果たしたいって寓意が含まれているんですよ!』

上条「あぁうん、そう……で、使う?これ使えるところある?」

佐天「個人的にはちょっと面白いので使いたいところですが、最近はヤラセ疑惑が持ち上がっているのでちょっと難しいですかねぇ」

上条「ヤラセじゃなかったの!?」

佐天「あぁその疑惑は沈静化しました。あたしが生放送で『ヤラセだったらもっと上手くできるわ!』って一括したら、パッと」

上条「なんだろう。泣けてくるな」

インデックス「わたしもるいこの番組は好きなんだけど、うん、もっと仕込みを使った方が良いんじゃないかな、って思うときが多々あるんだよ」

ドクロ仮面?『何言ってんるんですか!?34回放送の「恐怖!スーパーに潜む金髪の地縛霊!』は神回じゃないですか!?』

佐天「あぁ、スーパーいって金髪の人捕まえてコントやった回ですね」

上条「一周回って見たいけど。次行こうぜ、次」



――学園都市 路上

上条「ってわけで来たんだけども。ここ別に普通の路上じゃね?」

佐天「次はアーバン・イノシシです。都会に出てゴミ箱を荒らすの」

上条「アホ企画から一気に社会派になったな」

インデックス「そう、かな?どっちもわいどしょーの域を出てないんだよ」

ドクロ仮面?『イノシシですか……いいですね、今日は鍋にしましょうか』

上条「そうだな――ってなんだお前パーティに入ってんだよ!?加入させた覚えねぇぞ!」

ドクロ仮面?『お二人に万が一があっては困りますからね』

インデックス「超迷惑なんだよ。特にその、悪目立ちしてる衣装が」

佐天「一人カーニバル状態ですからね」

ドクロ仮面?『本場のです』

上条「で、本音は?」

ドクロ仮面?『番組に出たいけど不法滞在&追跡中なので、まぁ仮装すればいいかな、って』

上条「本当に残念だよね。組織も育て方間違ったよね」

佐天「まぁゲスト増えるのも新春らしくていいじゃないですか!大勢で行った方が楽しいですよ!」

上条「事故物件求めて来た子がなんか言ってるぞ。君は新春をナメすぎだ」

インデックス「ま、まぁまぁ。それよりもイノシシが出るのって本当なのかな?」

佐天「って噂ですね。あそこのゴミ捨て場のゴミ箱がよ荒らされるんだとか」

ドクロ仮面?『普通にカラスがしているんでは?』

佐天「じゃ、ないんだそうです。見てください、あのゴミ箱は開閉式なので鳥が持ち上げるのはできない仕様です」

上条「第二候補、野良猫か野良犬がやってる?」

佐天「ですから思いので以下略。まぁ大型犬がやってる可能性はゼロじゃないですけど」

インデックス「だったら……なんかこう悪い子がいたずらしてたり?」

佐天「残念ですがその可能性が一番高そうですかねぇ。DQNはどこにでもいつでもいますから――って誰か来ました!隠れて!」

上条「『誰か』って言ってる時点で対象人だろ」

インデックス「とうま静かに!」

おばあさん『……』

ガサッ、ググッ

おばあさん『……』 スッ

ドクロ仮面?『ゴミを出しに来たただのおばあさんでしたね』

上条「年の瀬で回収してねぇだろうとは思うが、まぁそういう人もいるかな」

佐天「いや、ちょっと待ってください。あれ変ですよ?」

上条「変って何が」

佐天「ビニール袋が湯気で曇ってます。中身コンビニ弁当ですね」

上条「コンビニで温めてもらって、それを食べて直ぐに捨てたんじゃないの?たまにゴミ置き場をゴミ捨て場と勘違いしてるダメな人もいるし」

インデックス「――いや、違うかも!中身には手をつけられてないってわたしの鼻がそう言ってるんだよ……ッ!」

上条「なんて説得力……!……いやいや、だったらなんであのおばあさんが温かい弁当捨ててったんだ――あ、餌づけか!?」

カッシャカッシャカッシャ

佐天「っていう可能性はあるかと。でもきちんとゴミ箱の蓋を閉めていきましたし、あれじゃイノシシが持っていくのは難しいんじゃないですかね?」

ドクロ仮面?『イノシシ以外に生き物が居るのではないですか?それとも回収して中身を見ましょうか?』

カッシャカッシャカッシャ

上条「人が一回捨てたモンを取り出すってのはなぁ。それよりかこのまま張り込んでた方がいいと思う」

上条「てかカッシャカッシャうるさいな!見張ってんだから変な音出すなよ!」

白いカブトムシ『あ、すいません。道を空けてもらっても宜しいでしょうか?』

上条「――あっはい、どうぞ」

白いカブトムシ『すいません。ありがとうございます』

ガサッ、ギギッ、スッ

白いカブトムシ『ではお先に失礼します。寒いので路上で騒ぐのも程々に』

上条「あー、うん、ありが、とう?」

白いカブトムシ『いえいえ、ではよいお年を』

カッシャカッシャカッシャ……

上条「――おいなんだ今の!?あぁいや知ってるけど!」

佐天「衝撃映像でしたね。このまま動画を流しても『CG乙www』と盛大にウソ認定されそう」

インデックス「い、生き物、なのかな?」

ドクロ仮面?『なんでしょう……彼とは同じ匂いが?』

上条「まぁある意味同じ癖(へき)の人間だがな!どっちにしろ後追うぞ!野放しのままにもしてらんねぇしな!」



――廃屋

白いカブトムシ『――ただいま帰りました』 ガサッ

佐天「……フツーに入っていきましたねぇ。逃げも隠れもせずに堂々と」

ドクロ仮面?『てか途中で主婦の方と挨拶してましたよね。なんで溶け込んでんですか異形が』

上条「お前もいい加減自分を省みろ。その仮面中で音響くから声聞き辛くて仕方がないんだよ」

インデックス「なんかしゅーるな絵だったよね。人ぐらいの大きさのカブトムシが、小さい方のツノにコンビニ袋を引っかけて道を歩くのって」

上条「てか何やってんだ垣根(白)。こんな廃屋で猫でも飼ってんのか」

佐天「コンビニ弁当を食べる……いやないかなー、カブトムシって樹液メインでしたし」

上条「あのミュータントに常識は通用しないが、まぁ中をコッソリ見てみよう。どれどれ……?」

白いカブトムシ『はい、どうぞ』

フレメア『――ありがとー!やった、温かいご飯だし!』

白いカブトムシ『……ですね。本当に皆さんには感謝しなくては』

フレメア『カブトムシさんも食べるのだ、にゃあ!』

白いカブトムシ『いえ、私は胸が一杯――もとい、お腹が空かない体質ですので』

フレメア『凄いな!それって大体コーゴーセーってことなんだぞ!』

白いカブトムシ『えぇと、光合成には葉緑素が必要であって』

フレメア『いただきまーす!』

白いカブトムシ『……どうぞ。取ったりしないですからゆっくり食べてくださいね』

フレメア『……』

白いカブトムシ『……』

フレメア『……にゃあ、ハマヅラは?ハマヅラたちはいつになったら帰ってくるのかな?』

白いカブトムシ『もうすぐですよ、もうすぐ。彼らは戦いに行ったので、我々が邪魔をしてはいけませんよ』

フレメア『そっか……ムギノもキヌハタにも会いたいんだぞ』

白いカブトムシ『そうですね。あのクソビッ×ども死ねばいいのに、あぁいや違った!元気にしてますよきっと!』

白いカブトムシ『例えビッ×ーズがテメーの贖罪ガン無視して外に居場所を探しに行ったとか、そういうことじゃないですから!えぇ!』

フレメア『……うん、寂しくないんだぞ!前は一人だったけど、カブトムシさんが居るから!にゃあ!』

白いカブトムシ『……誉めてもジュースは出しませんよ?あれは年越しに飲むって決めたんですからね?』

フレメア『にゃあ……バレちったらしょうがないのだ』

白いカブトムシ『ふふ、私はこう見えても厳しいんですよ?』



――外

上条「……涙で!溢れる涙で目の前が見えない……ッ!!!」

インデックス「なんだろうね、わたしも結構放浪しながら路上生活送ってきたけど、他人のを見ると心が痛いんだよ……!」

佐天「思ったよりもガチでドン引きです。一体あの小さな子をどうやったら忘れられるのかと」

ドクロ仮面?『近所の皆さんの善意が二人を生かしていたのですね……いい話だ』

上条「……なぁ、インデックス。俺さ、勘違いしてたんだよ。自分が一番不幸だって思い込んでたけど、違うんだな」

インデックス「そうかもしれないんだよ。世の中には保護者からも完全に忘れられて、多分神様(※鎌池先生)も『あ、忘れてた!』って人がね」

上条「今日から同居人が一人と一匹増えるけど問題ないよな?」

インデックス「ここでノーって言ったらもう人を名乗る資格はないんだよ。てかわたしからもお願いしたいかも」

上条「浜面の野郎、次会ったら全力でそげぶしてやる……!お前ビリビリのかーちゃん襲撃事件から一個も反省してねぇじゃねぇか!」

インデックス「ま、まぁまぁ!救われなかった人が救われるんだから、結果的にるいこの企画に乗っかって良かったんだよ!」

佐天「『――以上、学園都市の闇、置き去りの最前線からレポートでした!』」

上条「どうせヤバくて流せないんだから無理矢理番組にしようとすんなや!」



−終−


※なんか「そういやこのシリーズもしてねぇなぁ」と思ったので、つい
※本当にフレメアさん&垣根(白)さんはどこ行ったんでしょう。何やってんだ『アイテム』
※ともあれ今年もありがとうございました。よいお年を

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