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Clock(trial)

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――ロンドン某所

バードウェイ「――なぁ、マーク。マーク=チャップマンよ」

マーク「違いますボス。流石にレノン暗殺した人と一緒にされるのは失礼極まりないですよ」

バードウェイ「私はな。ついに世界の真理というものを突き詰めてしまったようだ……ッ!」

マーク「またスッゲーこと言い出しましたね12歳児が。聞きましょうか、何をですか?」

バードウェイ「以前私が『魔性の女パトリシア』という話をしたのを憶えているか?」

マーク「えぇまぁ。パトリシア嬢への中傷甚だしい評価ですな」

バードウェイ「もしくは『恋多き女パトリシア』でも構わんが」

マーク「だから別に嬢が何かアバズレだってことじゃないでしょうに。ただ色々な人と接点があるってだけで」

バードウェイ「――と、いうように我が側近殿も妹の魅力に正常な判断を失っているようだが」

マーク「いや別に良い子だとは思いますよ、誰かさんと違って素直で聡明で物わかりがいいですし。誰かさんと違って」

バードウェイ「まぁそこは私も同意しないでもない」

マーク「あ、そこは認めるんですね」

バードウェイ「やはり偉大な姉の後ろ姿を間近で見て育ったせいだろうな、うん」

マーク「薄々そんな予感はしてましたけど、やっぱり自分を誉める方向に持っていきましたね」

バードウェイ「パトリシアの話はいいんだよ。問題は私だ」

マーク「ボスが問題児なのは分かってますよ。えぇもうそりゃ大分昔っから」

バードウェイ「と、いうのもだ。どうも私には魅力が溢れすぎているらしいのだよ」

マーク「えーっと……」 カチッ

バードウェイ「医者に連絡するボケを挟むな。古典的ではあるが、使い古されて面白くもなんともない」

マーク「いえ、パトリシア嬢へ連絡して引き取ってもらおうかと」

バードウェイ「引き取られる筋合いがない。まぁ聞けよマーク、私の話に間違いなどあるものか」

マーク「妹さんの答え合わせの時点で間違いだらけですがね。で、モテすぎて怖いお姉さんがどうしました?」

バードウェイ「ゲーム決まったろう、私の?」

マーク「口に気をつけろ。また冒頭メタネタぶっ放すんですか!?」

バードウェイ「旬のネタを逃してなんとするか!イジられるときにイジり、笑えるときに笑っとかないと後が大変だぞ!」

バードウェイ「誰かさんは監督へDOGEZAして熱膨張の二回目を切ってもらったらしいじゃないか!」

マーク「あれはなかったんだよ。公式になかったことになってんだから、黙れ?なっ?」

バードウェイ「という訳で『ダイジェスト版?』とネタにされるアニメももう半分を切った。しかし私は出ていない、残念なことだが」

マーク「それは別にいいんじゃないですかね?出たら出たで薄い本にされるまでワンセットですし」

バードウェイ「だが――来てしまったのだ、ゲームのオファーがな!」

マーク「正直『なんで?』って感じでしたけどね」

バードウェイ「そりゃお前ロ×だからだろ?」

マーク「だから口に気をつけろって言ってんだろ!伏せ字にしたってみんな薄々何言ってるのか分かってんだからよ!」

バードウェイ「というか分からないヤツが居るのかと。基本ファンだしな」

バードウェイ「そして私は少し考えたのだが……パトリシアがあぁもヒーローとフラグを立てるのっておかしいとは思わないか?」

マーク「まぁ……上里さんの場合だと、あっちにヒロインとして組み込まれる寸前だったんじゃないかな、とは思いますけど」

バードウェイ「違うんだ。私の妹だからだ」

マーク「……つまり?」

バードウェイ「私がモテる以上、あの妹もまたモテる、ということだな!」

マーク「違う、そうじゃない」

バードウェイ「そもそも時代が私に追い付いたんだよ!ペ×いマンガは生き残りそれ以外が淘汰されてるヤンジャ○を!」

マーク「違う、あれはこう、アシリィ○さんは対象外って言うか、これじゃない感が」

バードウェイ「だから私はパトリシアに謝らねばならんのだ。『優秀すぎる姉を持ってさぞ辛かっただろう』、とな!」

マーク「いいんじゃないですかね。謝る理由を隠して謝るのがベストですけど」

バードウェイ「もう私は自分が怖いんだよ!魅力に溢れすぎた私が!」

マーク「いえあの、ボス?仮に百歩譲ってペ×い枠で出演決定したとしても、結局黒夜さんと同じなっちまうんですが」

バードウェイ「マーク、マーク=シートよ」

マーク「受験シーズンだからってその間違いはないと思いますよボス。多分そんな方は見てないと思いますし」

バードウェイ「以上の話は時事ネタではなく、前提として冷静に判断してほしいのだが」

マーク「『ロ×需要あるある説』の時点で間違ってますが」

バードウェイ「その、なんだ、浜面っていただろ?」

マーク「ハマ……?えぇいましたね。学生の筈なのに下手すれば私の方が年下に見えるぐらい、貫禄のある金髪の」

バードウェイ「そいつもまぁ私と縁があると言えばあるよな?」

マーク「何かよく会いますよね」

バードウェイ「だからこう、あれだ。あいつにもバレンタインをめぐんでやろうかと思ってな」

マーク「いや別にそんなに接点あるわけじゃ」

バードウェイ「と、いう訳で学園都市へいざ!決して別目的じゃないぞ!違うんだからな!」

マーク「ツンデレありがとうございますボス。ただ惜しいのはツンデレじゃなくてちょっと頭が足りない人になってます」



――学園都市

バードウェイ「と、いう訳でやってきた訳だが。いざ来てみるとどうしたものだろうか」

マーク「どうもこうも。建前上あげに来たんですから」

バードウェイ「しかし、なぁ?」

マーク「てゆうか昨日の夜、キッチンでドタバタしながら作ってたチョコをあげ――」

バードウェイ「――あ?」

マーク「すいませんっ何でもないデスヨ!だから人に向って物騒な霊装向けるのは止めて貰えませんかねっ!?」

バードウェイ「だから何度も言うようにだ。魅力溢れるボディの私がくれてやったら、ヤツも人生を踏み外しかねん」

マーク「ボス、まな板に愛を感じるのはごく一部のアレな癖(へき)の方だけだと思います」

マーク「というか最初っからわざわざ砂利で溢れる悪路を走ってるというか、一方通行って言いますか」

バードウェイ「聞けば浜面の分際で恋人もいるそうじゃないか。流石に、なぁ?刃傷沙汰は避けたいところだが」

マーク「浜面さんの恋人がたゆんたゆんな時点で、ボスは論外だと思いますが」

バードウェイ「このバカが!中にはロ×を隠れ蓑に教師になる人間だって居るんだ!偽装かも知れないじゃないか!」

マーク「その人達は目的がソレだからですね。比率で一番多いのは確かにそっちの人ですけど」

バードウェイ「私もまぁ、感謝。感謝の気持ち的な感じがない訳ではないので、そこそこの物はくれてやりたい」

バードウェイ「しかし勘違いされると嫌だから、そこら辺のさじ加減が難しいんだよ」

マーク「で、本音は?」

バードウェイ「さっさと済ませて遊びに行きたい」

マーク「助けて上条さん!凄い面倒臭いよこの人!」



――ストリート

浜面『――でさー。休み取るのも大変だったんだぜ。バイトの先輩は今日休みたがるし、新入りはサボりたがるし』

滝壺『それはしかたがない……はまづらは、優秀……』

浜面『まぁな!鍵開けのスピードだったら俺が職場で一番だけどな!』

滝壺『でも、わたしのためにお休み取ってくれたんでしょ……はまつせら、優しい』

浜面『ふっ、当然だぜ滝壺!愛に生きる男は愛以外何物にも縛られないのさっ!』

滝壺『はまづら……』

浜面『滝壺……!』

バードウェイ「――なぁ。もう面倒だからアイツら物理的に爆破して帰らないか?」

マーク「やめてくださいボス。周囲に居る人らと全員とシンクロしてるとは思いますが、多分キーパーソンの一人なので」

バードウェイ「というかカノジョ持ちにプレゼントってハードル高すぎやしないか?なんかこう、横恋慕を疑われたら不快だし」

マーク「それは人によるんじゃないですかね。えっとボスだったらどうです?仮に付き合ってる彼氏さんがいたとして」

バードウェイ「い、いや彼氏だなんてまだ早いと思うんだよ!」

マーク「だから仮だっつってんでしょうがこのガキ。そのKJさん(仮名)が他の女性からパレンタインもらったら、ってお題で」

バードウェイ「そりゃ嬉しいよ」

マーク「嬉しい、ですか?これまた意外な答えですよ」

バードウェイ「自分の男がモテるんだ。それだけ価値を認められている、ということだろう?」

マーク「あー……まぁそれも合っていますけど」

バードウェイ「――まぁ、裏では呪殺するがな」

マーク「怖っ!?ボス?あんたマジでやりそうなんだよ!」

バードウェイ「よーく憶えておけマーク。彼氏を連れた女というのは冬眠前に小熊を連れた母熊に等しい」

マーク「クマさんは違いますよ!あんたクマのパンツが嫌いだからって八つ当たりにも程があるだろ!」

バードウェイ「見ろあの女。眠たそうな目で周囲を監視している……ッ!」

滝壺『ぐー……』

浜面『あ、あの滝壺しゃん?デートしてんだよね?デート最中に寝るってのは幾らなんだってヒデェって俺思うんだ!』

バードウェイ「なっ?」

マーク「ボス、同意を求められましても、『ですよね』って言える場面と言えない場面があると思うんですよ。例えば今とか」

バードウェイ「あの女の目をかいくぐるのは危険だ。よって何とかして正面突破するのが最善ではある、か」

マーク「こっそり渡せばいいじゃないですか。なんでわざわざ波風立てる必要が?」

バードウェイ「ほら、相手が子供ならまだ寛容になるだろう?大人げない真似も出来ない筈だ」

マーク「人によるんじゃないですかね。場合によっちゃ『何歳の時の子供よ!?』って修羅場が」

バードウェイ「……いいな、それ。ちょっとやってみようか」

マーク「やめてあげてください。それはダメなやつです」

バードウェイ「しかし私がそこらで市販のチョコを買って渡すのもどうかと思うんだ。本気にされたら可哀想だ」

マーク「その評価がまず可哀想です。彼がペ×野郎だって思われてるってことですからね?」

バードウェイ「ご褒美なんだろ?この国では」

マーク「日本人が我々の会話を聞いていたら軽く国際問題ですよ」

バードウェイ「……なぁ、マークぅ。お前さっきから踏み込んでくれるじゃないか、あぁ?」

マーク「お、脅したってダメですからね!暴力には屈しませんよ!」

バードウェイ「いいやぁ?私は対案を出せと言っている。アレもダメ、コレもダメ、困ってしまうよなぁ?」

マーク「普通でいいんですよ、普通で」

バード「ほぅ。普通か、普通ねぇ」

マーク「ボスは浜面さんへ感謝?お礼?か、何か知りませんけど気持ちを表明したいんですよね?」

マーク「でしたらその気持ちをストレートに伝えるだけでいいんですって」

バードウェイ「……そうか、ありがとうマーク。私は勘違いをしていたようだ」

マーク「いえいえお礼なんてとんでもない。ボスは確かに立派な方ですし尊敬してますけど、人生経験っつーかムダに生きてる時間は俺の方が長いですからね」

バードウェイ「そうだな。無駄だったよな」

マーク「いえそこは否定しろよオイ……あ、来ましたよ、彼」

浜面「――おぉ?あれアンタ大将のところにいた鳥なんとかさん」

バードウェイ「バードウェイだ。すまん、少し屈んでくれるか?」

浜面「こ、こう」

パシィィィィンッ

浜面「ひでぶっ!?」

バードウェイ「ハッピーバレンタイン!」 グッ

滝壺「はま、づら……?はまづらーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!?」

マーク「――ーーーーーーにやってんだぁぁぁぁぁぁ!?何やってんすかボオォォォォォォォスッ!?」

バードウェイ「ビンタだが?」

マーク「いや見てましたけど!てかスッゴイ勢いで吹っ飛んでいきましたけど!ビンタて!?なんでビンタっすか!?」

バードウェイ「だから”普通に”ってお前が言ったから普通にビンタしただけだが?」

マーク「あれ?おかしいの俺っすか!?」

バードウェイ「喜ぶんだろう、ビンタすると?」

マーク「いねーよそんなヤツ!いたら怖えーよ!」

海原「あ、すいません。ここに並べばいいですか?」

青ピ「おっとボクが先やで!横入り、だめ、ゼッタイ!」

マーク「やっぱおかしいの俺なの!?」

バードウェイ「アイドルも握手券じゃなくてビンタ券売ったらよかったなのにな」

マーク「そして運営側の責任追及になったらフェードアウトするのもどうかと思いますが」

滝壺「……はまづらに謝って」

浜面「そうだぜ!俺が何悪い事したって言うんだ!」

バードウェイ「御坂美鈴って知ってるか?」

浜面「――俺が悪かったです」

滝壺「流れるような動きでDOGEZAを……ッ!?」

マーク「てゆうか恥ずかしいから街中でコントやめろよ。ちょっと面白いじゃないですか」



(※ご褒美だと思います。ご投稿ありがとうございました)



――喫茶店

店員「いらっしゃいませこんにちは。何名様でございますか?」

警策「えーっと……」

ドリー「ドリーとみーちゃん!」

警策「ドーリーイー……?」

店員「ふふっ、二名様でございますね。ではお好きな席へどうぞおかけくださいまし」

警策「えーっと……禁煙席はどっちに?」

店員「当店は全面禁煙となっておりますわ」

警策「ドーモです。じゃあーっと」

ドリー「こっち!こっちのお席がいいかも!」

警策「こらっドリー!お店で大きな声上げないで!」

ドリー「えー、みーちゃんも出してるよー?」

警策「あたしはいいの!ドリーに、めってしてるんだから!」

客「おい、ウルさ」

店員「――ぶち殺しますわよ、お黙りなさい」

客「……」

警策「あの?」

店員「あぁお客様。空いている時間ですし、あまりお気にされなくても大丈夫ですの」

警策「……すいません」

ドリー「すいません?」

店員「いえ、どういしたまして。ご注文がお決まりでしたらブザーを押してお呼びください」

警策「あ、はい」

ドリー「どりんくばー!ねね、みーちゃんみーちゃん、ココナツサイダー飲みたいよ!」

警策「……を、二つで」

店員「かしこまりました。当店のドリンクバーはセルフセービスになっておりまして、あちらの――」

ドリー「へーき!前に教えてもらったし!」

店員「で、ございますか。ではごゆっくりおくつろぎくださいましね」 スッ

警策「……ふーっ……」

ドリー「みーちゃん、お疲れさまです?」

警策「……うん、ちょっとね。なんていうかな、こう、一児の母親になったって感じ」

ドリー「はぁ。ぱぱはどちら様で?」

警策「どこで憶えたのか帰ったら締め上げるからね?大体あの腐れ巨乳だと思うんだけど」

ドリー「さきちゃんは悪くないよ?貸してくれたあーかいぶのあにめ、です?」

警策「意外と天然なところあるからナー。消し忘れかそんなんかー」

警策「っていうか初耳なんだけど。何やりとりしてるの?」

ドリー「『げこげこゲコ日和』?神アニメだね……ッ!」

警策「どんな日和よ。というか謎よね、趣味まで似るってのはDNAに呪いでもかけてるのか」

ドリー「みーちゃんは何食べる、けーき?ぱふぇー?」

警策「あーダメダメ。デザートは後、先にご飯食べちゃいなさい」

ドリー「女の子にはね、甘い物はべつばらってさきちゃん言ってた」

ドリー「あれ?そうすると、甘いご飯と甘いデザートは同じべつばらに収納される……?」

警策「一つしかないからね、胃は」

警策「てか最近みょーにお姉さんぶるけど、私の方が年上だからね?経験的にも体感的にも」

警策「……ってお子様ランチでいい?どうせ上の旗ほしいんでしょ?」

ドリー「んー……捨てがたいけど、こっち!こっちがいい!」

警策「どうせハンバーグセッ――じゃない、『ゲコ太ランチ』?」

ドリー「『お子様にもお野菜とお肉がたくさん、ボリューム満点となっております』、だって」

警策「目がさっきからオマケでついてくるゲコ太ストラップから離れてないんだけど……まぁいいか。ちゃんと全部残さないでね?」

ドリー「はーい。あ、じゃピンポン押していい?」

警策「うん、お願い。私はどうしよっかなー」

ピンポーン

警策「すいませーん。注文を」

店員「はい、承ります」

ドリー「ゲコ太ランチを、いち、でお願いします」

警策「和風パスタセットも一つ」

店員「かしこまりまりした。暫くお待ちください」 スッ

警策「さって。それじゃ」

ドリー「どりんくばー!」

警策「……うん。私のもよろしく。ちょっと手を洗って」

店員「――お待たせいたしました。ゲコ太セットになります」

ドリー「早いね−、ありがとうっ」

警策「早い、けど……なんか、早すぎない?前もって準備してあったような」

店員「もう一品は調理中ですのでお待ちください。では失礼致します」 スッ

警策「どうも」

ドリー「みーちゃん?」

警策「うん。ちょっと手、洗ってくるから」

男「お、君良かったら俺たちと――」

シェフ「――その幻想ぶち殺すから、こっち来い。なっ?」

男「ちょっ――」 ズルズルズル

警策「……なんだあれ?」



――

警策・ドリー「ごちそうさまでした」

ドリー「中々やるね!シェフを呼べ!」

警策「また変なアニメに影響されて。てかシェフいるのかな?確かに美味しかったけど、全部余所で作られて冷凍されてるだけじゃ」

ドリー「んーん、ちがうとおもう。あっちの方からおっきなIHつかってるっぽい」 ピリッ

警策「油の匂いも少しするしね。このお値段で出来たてかぁ。やるわねこの店」

ドリー「……さて、でざーとのお時間になりましたが」

警策「まぁ……今日は結構歩いたしね。いいよ」

ドリー「アイスケーキ・イチゴのこれを!」

警策「そこはゲコ太じゃないのね」

ドリー「ゲコ太のお友達、『ケロヨンケーキ』だって!」

警策「あるんだ。どんだけ力入れてんのよこの店」

ドリー「……ダメ?」

警策「だからいいわよって」

ドリー「みーちゃんは食べないの?」

警策「お腹いっぱいだし、お財布もダイエットしてるしね」

ドリー「これがオススメです」

警策「聞いて話を……って何々?『ケロケロケーキ』……ド青の原色使ったケーキって」

ドリー「い、いまなら限定ストラップがもらえます、って!」

警策「本当にたくましくなってきたわね。いいことだけど」

店員「――お客様、失礼致します」

警策「はい?」

店員「ただ今当店ではキャンペーン中でございまして、お食事をされた方の中から抽選でケーキを選んで頂き」

店員「ご感想と引き替えに無料でプレゼントしていますの」

警策「あぁ。だから妙にチャレンジドなラインナップなんですね」

ドリー「つまり……倍食べられるっ!?」

警策「それは違う。お腹壊すから一つにしておきなさい」

ドリー「じゃあねー、このケーキを」

シェフ「ケロヨンケーキとケロケロケーキ、お待たせいたしました」 トン

ドリー「わーい、ありがとうー」

警策「……」

シェフ・店員「ごゆっくり!」

ドリー「いただきまーす!……食べないの?」

警策「いや、食べるけど。さっきからこう不自然な何かが見え隠れしてるっていうか、タダ見えしてるっていうか」

ドリー「がつがつもぐもぐもぐもぐっ」

警策「だから聞きなさい人の話を。てかドーリーイー?口元についてるわよ、クリーム?」

ドリー「ん、どこどこ?」

警策「そっち――じゃなくて袖で拭かない!ティッシュかナプキン使いなさいっていってるでしょ!」

ドリー「んー……みーちゃん、とって」

警策「あぁもう子供じゃないんだから」 ギュッギュッ

ドリー「むー……とれた?」

警策「はい、とれた。取り返したりしないんだからゆっくり食べなさい」

ドリー「ありがとうっ――あ、みーちゃんもついてるよ!」

警策「ホント!?……な、はずはないでしょ。食べてないのにどうやったらつくのよ」

ドリー「とってあげる!ジッとしてて!」

警策「それがしたいだけじゃない」

ドリー「すーるーのー」

警策「はいはい、じゃ早くしちゃっ」

チュッ

ドリー「……ええへ。みーちゃん、だいすき!」

警策「いや、だからってこれは!」

ドリー「……だめ、なの?」

警策「いや……だめって訳じゃないけど」

ドリー「じゃあいいんだ、ねっ?」

シェフ・店員「ねーっ!」

警策「……おい」

シェフ「はぁ……はぁ……百合……これはいいものだ……ッ!」

店員「お姉様が寝取られてるようで……これはこれでいいですわね……ッ!」

警策「おまわりさん、この人たちです」

シェフ「待ってくれよ!?俺たち別に悪い事してねぇじゃねぇか!?」

店員「そうですわ!別にお二人の間へ割って入るつもりはないんですのよ!」

シェフ「ただ君たちがイチャイチャしているのを観察したいだけなんだよ!信じてくれ、邪魔する気は全く無いんだ!」

警策「邪魔以前にキモチワルイ」

シェフ「いや、君たちは君たちの尊さを分かっていない!」

店員「あなた方はどれだけ恵まれた環境に居るかがお分かりですの!?」

ドリー「よくわからないけど……あーん、すればいいの?」

シェフ・店員「尊い……!」

警策「だからキモチワルイっていってんだろ」

シェフ「あとこれ優待券だから次からまたご利用ください」

警策「誰が二度と来るか」

店員「ゲコ太セットも用意しておきますのよ」

ドリー「それはぜひっ!」



(※上条さんが百合厨なのはこのサイトだけ!(多分)。ご投稿ありがとうございました)



――学園都市

バードウェイ「――と言う訳で野暮用は済ませた!本題はこれからだな!」

マーク「ボス、時間軸と世界線がしっちゃかめっちゃかになってるんですが。誰がこれを整理すると思ってんですか」

バードウェイ「細かいことはいいんだ。私はあのアホへチョコをぶち渡すというミッションがある」

マーク「あぁ『三人で』っていう決定を蹴っちゃいましたからね。見栄張るから」

バードウェイ「あいつら最近調子に乗ってるからな。誰が本命なのかを思い出させるいいチャンスでもある」

マーク「いや調子ぶっこいてるのはボスじゃないですかね」

バードウェイ「あれだぞ。今頃あいつら全裸にリボン巻いて『チョコです☆』ってやってんだぞ」

マーク「男性視点から言わせて貰えるなら、それで男が喜ぶと思ったら大間違いだバカヤロー。引くだろそれ」

バードウェイ「……くっ!褐色肌を利用するとはな!敵ながら天晴れだ!」

マーク「まず12歳児の発想じゃねぇな。なんでここまで爛れちまったんだ」

バードウェイ「なのでこちらも数リットルのホワイトチョコを調達する必要に迫られている。用途は……分かるな?」

マーク「繰り返します、エグいです。上条さんそれやったらドン引きしますから絶対にやめてくださいね?」

バードウェイ「だから対案を寄越せといつも言っているだろう、対案をだ」

マーク「普通――いや、普通の人にとっての普通でいいんじゃないですかね。地元じゃプレゼント交換、こっちじゃ親しい相手へプレゼントって感じですし」

バードウェイ「つまり――ビンタがいい、と?」

マーク「だからそれはお前の普通であって余所様のじゃねぇよって言ってんだろ!浜面さんを見なさいよ!喜んではなかったよな!」

バードウェイ「だがヤツがツンデレという可能性もゼロではない」

マーク「それ言ったら路上で刺されたもデレへ変える少し前ならオッケーだって話です。正気に戻ってくださいボス」

バードウェイ「まぁお前の言いたいことは分かった」

マーク「……本当ですか?」

バードウェイ「『試着室の中で頑張るのはやめろ』、だったか」

マーク「本当にな!あれもみ消すの大変だったんですからね!上条さん明らかにペ×刑でぶち込まれてもおしくはなかったんですから!」

バードウェイ「だが私はこうも考えるのだ。今しか出来ないことを今の内にやってしまおう、とも」

マーク「オイ誰か俺をこの地獄から助けてくれ」



――学園都市

円周「――という訳でシェリーお姉ちゃん、『幻想収束』出演おめでとうございまーす!レなんとかさんらを抑えて堂々と!」

シェリー「あー……なんで私が?だよなぁ。あれか、初期の悪役枠かぁ?」

円周「『ミッション!突如学園都市地下に現れたゴーレムダンジョンを制覇せよ!』……やりそうだねー」

シェリー「というか29のババアに需要があるかっつー話よね。あんま若くてもアレだけど」

円周「下は数ヶ月(御坂妹たち)がいるし、リアル年齢でも12歳がいるから問題ないじゃん?」

シェリー「なんだかんだで規制は必要よね。流石に子供がバッタバッタ敵を粉砕してくのってどーよ」

円周「それはまぁまぁ、敵もご褒美だしPCのやられボイスでプレイしてる全国の当麻お兄ちゃんが喜ぶってことで」

シェリー「てかお前も今の所いねぇよなぁ。いいの?」

円周「多分てか確実に私たち悪役でオファーされてると思えよ。タトゥーおじさんとか顔芸おばさんとか妖怪ジジイとか」

シェリー「それで全員誰が誰かわかっちまうんだから、まぁ大概よね。人生振り返りなさいよ、テメェの一族をよ」

円周「って言われてもなぁ『木原』は生まれだけじゃなれるものじゃなくて、そういうもんだし?」

円周「血縁関係で言ったら妖怪ジジイぐらいしか繁殖実験してなかったって聞いてるよ。私はね」

シェリー「繁殖実験て」

円周「生まれた子も私と同じで『木原』じゃ『どーかなー?木原なのかなー?』って感じ?」

シェリー「分かった。あなた達の一族がヘンタイ拗らせてるのは分かった」

円周「うんうん、シェリーお姉ちゃんも納得してくれたところでラッピング用のテープを買いに行こうか。んー、お姉ちゃん背も大きいし4mぐらいあればいいよね」

シェリー「待て!私に何させるつもりよ!?」

円周「よくあるじゃんか。エロコメ系マンガで『私がチョコよ』ってやつ?」

シェリー「引くわ。その発想をリアルへ持ち込もうとしているアンタの爛れた発想に引くわ」

円周「――だがちっょと待ってほしい。私が少数派だというのであれば、どうしてドン○コスプレコーナーはいつも賑わっているのか、と!」

シェリー「ファミリー向けよ。誰も彼もエロで生きてんじゃねーわよ」

円周「シェリーお姉ちゃん!危機感を持たないダメだよ!年齢的にも厳しいんだから!」

シェリー「……なんだろうな。前の回は割といい話だったのに、たった数十行でこの落差はどうなんだろう」

円周「監督へ賄賂渡して若返った人だった居るんだからねっ!?」

シェリー「そしてそれは次の話でネタにするつもり満々じゃねぇのかよ」

円周「今頃敵はホワイトチョコをガロン単位で買い込んでるはずなんだよ?」

シェリー「もしそうであってもこっちの完勝だよ。フィニッシュホールドは『ドン引き』」

円周「うんっ、うん……ッ!そうだね、こんなとき『バードウェイ』ならこう言うんだよね……ッ!!」

シェリー「おいそのイタコ芸やめろ。精度が今一なんだよ」

円周「『つまり――ビンタがいい、と?』」

シェリー「言ってそうだな。勘違いしたあの違法ロ×」

円周「だから危機感を持たないダメだって!どうせ使用ユーザー統計でジャージの人と同じ最下位争いするのは目に見えてるんだから!」

シェリー「お前アレだろ。私に懐いてるフリしながらケンカ売ってんだろ、なぁ?」



――学園都市 上条のアパート

上条「たっだいまー。いやー疲れた。今日はさー、バイト先でナイス百合が」

シェリー「会話が重い。コメントに困るし、『良かったね』って言い辛いだろ。まず」

上条「いや俺はただ百合を守りたいだけなのに……!」

バードウェイ「児童公園で逮捕されるヤツの台詞だよな。それ」

上条「おい失礼だぞ!俺はただの親切心でエロい願望なんて殆どないんだからな!」

円周「散々アレな事をしておいてこの言い草。つまり上条当麻をエミュレートするには若干の変更あり、っと」

上条「若干なの?割と頭イタイこと言ってるのに変更は少しだけで大丈夫なのか?」

バードウェイ「今更だからな。いいから手を洗ってこい」

上条「ういっす」



――

バードウェイ「――でだ。今日は何の日か知ってるか?」

上条「あぁまぁ俺が言うのもなんなんだが、バレンタインだろ。俺から言わせるのもどうかと思うんだが」

シェリー「って訳でどうぞ、プレゼントよ」

上条「うん、ありがとう。開けてもいいかな?」

シェリー「どうぞ」

上条「これは――チョコ、うん、チョコだよね?」

シェリー「珍しく頑張ってみたわ、私にしては」

上条「うん、それは認めるし正直スゲーって思うよ?思うんだけど――」

上条「――これ直立したテムジンだよね?」

シェリー「いや、好きかなって」

上条「いや好きだけども!ある意味俺の半身みたいなもんだけども!」

上条「よりにもよってポーズがBWの『君なんでライフル持ってるのに拳構えてるの?』って散々ツッコまれたポージングしてんだよ!?」

円周「『主旨理解してんのかテメーよぉwwwwwww超ウケるんですけどwwwwwwwwwwwwww』」

上条「黙れ円周が飼ってる謎おっさん!俺だって制作の人から話聞いたとき、『え、そこまで忠実にやらなくっても……』ってちょっとモニョったわ!

バードウェイ「まぁあまり言ってやるなよ。出てない奴らには可哀想じゃないか!出てない奴らにはな!」

シェリー「いや別に出たくもねぇよ」

バードウェイ「おいだから次作にも出られないヤツが居るんだぞ!失礼な!」

円周「あっれー?あれあれあれあれー?レヴィちゃんってばわたしにケンカ売るってるのかなー?んー?」

円周「うん、うんっ!そうだよね、こんなとき『木原』なら喜んで買うんだよね……ッ!!」

上条「家の中で暴れないの。あとお前『木原』と決別してんじゃなかったのかよ」

円周「ネタだよ、ネタネタ。別に実は全部演技とかじゃないんだよ?ホントなんだよ?」

バードウェイ「何一つ信用できないが、まぁクロムウェルからの重い重いチョコだ。大事に食べやれ、なっ?」

上条「作るのに時間かかったの分かるけど。才能の無駄遣いって感じもするが、一応写真撮っておこう」 パシャッピロリロリーン

円周「どうせ『コラ乙wwwwww』で埋まるんだけとねー――ってシェリーお姉ちゃんに続いて私だよっお兄ちゃん!」

上条「お、おう。お前が張り切ってる段階でもう俺はダッシュで逃げ出したいけど、かかってこい!」

シェリー「チョコもらう分際で言う台詞じゃねぇが、分からないでもないわよね」

バードウェイ「毒じゃないといいな」

上条「だからやめなよっそういう不安を煽るような真似は!俺だって信じてあげたいのは山々なんだから!」

円周「前にちょっと盛ったとき激おこだったもんねぇ。でも、反省したよ!今日は一切手を加えていない市販のチョコでーす!」

上条「ポッキ○……?えっと……」 ガサゴソ

円周「穴が開いてないかどうか確かめるのは超失礼だぞー!ぷんぷんっ!」

上条「あぁうんごめん、よ?今度のは食べても若返ったりカキクケコしか言えなくなったりとか、大丈夫なんだよ、ね?」

バードウェイ「果てしなく疑問系だな」

円周「反省するよねぇ。でも子犬にイジワルしてるようで癖になるって言うかさ」

バードウェイ「あー、分かる分かる」

シェリー「おい、大人。このダメガキどもにそげぶしといた方がいいんじゃね?」

上条「最近分かったんだけど、俺の右手って『俺、実は悪い事してんじゃね?』って、罪悪感持ってる相手だけによく効くんだよ」

上条「具体的には一方通行やキャーリサ相手にはドンピシャだったのに、ビアージオには全然駄目。その場だけ」

上条「トールに至っては一回勝ったのに別の方法で2ラウンド始めるんだぜ?」

シェリー「あー……それも分かるな。あたしなんかも」

円周「で、ポッキ○をくわえてね」

上条「――はい、しゅーりょーーーーーーーっ!そういうのはダメなの!条例で規制されてるからね!」

シェリー「おっとおまわりさんコイツだぞ」

バードウェイ「というかこのバカも未成年だし、危機感持てよ29歳」

円周「てか#metoo(※私も性犯罪者です)でしょっ引かれるのはシェリーお姉ちゃんだけだったり?」

シェリー「あーもうババアで悪かったわね!もう寝るわ!」 ガバッ

上条「お前ら誰かを攻撃するときだけ仲いいよな」

バードウェイ「そして真打ち登場だとも!平伏せ、そして自身の幸福にむせび泣くがいい俗物が!」

上条「あぁうんどうもありがとう。でも俺、お前が何持ってるのか全然見えないんだけど、バカには見えないチョコなの?」

バードウェイ「いや、少し屈んでくれ。反論は聞かん」

上条「屈むけど」

バードウェイ「ほら」 グニッ

上条「……あの、バードウェイさん?」

バードウェイ「ボスと呼べ」 グニッグニッ

上条「ボス、お前俺の顔踏んでんだけど……これ、一体何の真似だ?」

バードウェイ「ご褒美だろ?」

上条「全ッッッッッッッッッッッッッッッッ然違うわ!誠意の欠片もねぇぞバカヤロー!?」

バードウェイ「いや、浜面には昼間ビンタしておいたし、お前だったらもうワンランク上をだな」

上条「浜面に何やってんだよ!?それただの傷害だから!」

バードウェイ「ふっ、嫉妬するか。愛いヤツめ」

上条「てか今の流れだとキスするんじゃねぇのか!?ホンッッッッッッッッッットに落差酷いよ!前の話とな!」

円周「いやでもお兄ちゃんの場合、自分から寄せてる感がするよねぇ」

上条「てかお前も嫌だろ!?『わーいボスの足で顔面ウォッシュだーいすき!』なんて俺が言い出したらさ!?」

バードウェイ「いいや?日頃の調教の成果が出たな、と」

円周「だよねー」

上条「お前ら――今日という今日は――」

シェリー「――うるさい、エリス」

壁から出た腕 ニュッ

バードウェイ・円周「お?」

ガラッ、ポイッ

上条「ベランダから投げ捨てた!?おいお前洒落になってな――」

シェリー「……これぐらいで死ぬわきゃねぇだろうがあのクソガキどもが。んな可愛げあるもんかよ」

上条「いや、そりゃそうだけど……」

シェリー「いいからもう寝るわ」

上条「あぁ、うん」



――アパートの下

円周「……これで良かったの?」

バードウェイ「まぁ、たまにはな。贈り物をするのは異性だけとは限らないんだよ、私の国じゃ」

円周「ふーん」

バードウェイ「貴様も変わったな。”そういうの”とは無縁だったと思っていたが」

円周「むー、私だって変わるもん!当麻お兄ちゃんには直接言わないれけど感謝してるんだもん!」

円周「お兄ちゃんはね、人は打算とか脅迫、契約や金銭とかって繋がりじゃないって教えてくれたんだ」

円周「愛とか恋とか、そして信頼とかって絆。人にとって最も大切で大切で仕方がないモノ――」

円周「――うん、ウンッ!そうだよね、結局人が人を縛るのには”それ”が一番有効的なんだよね……ッ!!!」

バードウェイ「貴様がアレを縛ってるのか、それともアレが貴様を縛ってるいるのか。興味は尽きん。が」

円周「が?」

バードウェイ「裏切るのであれば上手くやれ。せめて私を楽しませろ」

円周「はぁーいっ!頑張りまーすっ!」



(※書いてる内に「こんな感じだったな」と思い出してきました。まだ続編行こうと思えばいけますね。ご投稿ありがとうございました)



――ロンドン

レッサー「――さぁ時間が無いんで巻きで行きますよぉ、巻きで!時間が無いんでね!」

レッサー「何と言ってもこの世界は行数が全て!お弁当でもそうでしょう!?幕の内は一品一品が少ないけど、から揚弁当はから揚がメインでぎっしり!」

フロリス「だったらまずこの小ボケが必要ないだロ。無駄な時間取らせんナ」

レッサー「分かりました。ではスクエニへのテロ敢行について話し合いましょうかね!」

レッサー「まず私が全裸で警備員を引きつけている間に、皆さんはマッパになって裏口から侵入、『エアリ○殺しやがって!』と落書きして去るのがベストかと」

ランシス「それ……ただのイタイファン……」

鳴護「そして全裸になる必然が皆無だよね?仮にテロが成功しても一生の恥になるよね?」

レッサー「エアリ○が売っていたのは――”花”」

ベイロープ「ウルサイのだわ。まぁ当時は『ふーん?』で聞き流してたけど、今になって意味深なメッセージがあったとか誰得なのよ!」

レッサー「あれじゃないですかね?多分リメイク作では一人でアジア系女性にになるんじゃないですかね。いや知らないですけど」

フロリス「やめろ。娯楽にイデオロギーを持ち込むんじゃネー。悪魔合体させて売れるもんだったら、とっくに導入されてんダヨ」

鳴護「あのー?あたしもそんなにお時間あるわけじゃなくてね。お話あるんだったらちゃっちゃと消化してもらわないと」

レッサー「分かりました他ならぬアリサさんの頼みです!超巻きで行きましょう!」

レッサー「――あれは確か、私がガキの時分に夜道を一人で歩いた時の話です……」

鳴護「長くなりそう!その出だしだけでお腹に一杯になるよぉ!」

レッサー「そして最後の敵を仕留めたとき、立ち上る朝日が二人を照らし出したのですな……!」

フロリス「短くなったけどもだ。小説の最初と最後の一行切り取ったって分かる訳ねーだロよ」

鳴護「あの、レッサーちゃんの子供の時の話をするの、かな?」

ベイロープ「アホは放って置いてバレンタインでしょ、バレンタイン」

鳴護「近いよね。まぁ当麻君以外で集まろうってそうだと思ったけど」

レッサー「ハーレム系主人公ってよくあるじゃないですか?あれってどうかなって思うんですよね」

鳴護「また話が飛んだよ!だから尺も決まってるのに!」

レッサー「いえマジな話です。えっと、あーゆーのは女の子数人から好意を寄せられつつ、女の子同士が競い合い誰が寵愛を受けるのかニヤニヤ見るんでしょう?」

ランシス「また偏った見方を……なきにしもあらず、だけど」

レッサー「だがしかぁし!現実として自分の女友達が熾烈な争いをする!そんな姿を見たら普通の人は引きますよ!」

鳴護「まぁ、そうだよね。それはね」

レッサー「ってうか争ってる元凶が仲裁もせずにニヤニヤ笑ってたら、その時点でそのヤローを見限るか全員でフルボッコする自信があります」

鳴護「まぁそうだよね!内容は同意するけど、特定のゲーム批判はそろそろいい加減にしないとある種のお仕事の人は胃が痛いんじゃないかなっ!?」

レッサー「我々は色々あって特殊なので、あんまこう修羅場ってのはアレなんですよね。ある種の運命共同体でもありますし」

鳴護「まぁ……うん」

レッサー「アリサさんの巨乳に封じられた魔神エロエーロがいつ復活するやもしれない昨今、無駄に争うのは愚策かと」

鳴護「そんな冒険してなかったよね?魔神の名前もそうだけど、いつのまに設定すり替わっちゃってるの?」

ベイロープ「察してあげて。この子、真面目なこと言うとアレルギーになる体質だから」

鳴護「否定してあげたいけど、まぁそうかな、ですよね」

レッサー「勿論言うべき所は言いますし、時にはケンカすることも必要ですが、ある程度は協調姿勢を見せていきたいなーって」

レッサー「まっ!多くのケースでは『女の友情<<越えられない壁<<年収の多いイケメン』なんですが!」

鳴護「台無しだよ、台無し」

フロリス「ンデー?具体的にはあにすんだヨ?」

レッサー「常識的に考えれば全員でサプライズパーティ、少し奇をてらってみればバレンタインをスルーする、ですかね」

ベイロープ「落差が酷すぎるのだわ。無視してどうすんのよ」

レッサー「チョコ貰えずションボリしているところにサプラーイズ!実は今までのは全部夢でしたとさ!」

フロリス「やめろヨ?本当に台無しにすんなヨ?」

レッサー「それはもうフリかもしれませんね!私たちはセレーネの作った終わらない悪夢を見続けて――」



――アパートの玄関前

上条「……」



――小洒落たカフェ

上条「――助けてくださいっ!俺にはあなただけが頼りなんですっ!」

レディリー「取り敢えずDOGEZAはやめて頂戴。ちょっとした暴力だと思うわ、もうそれは」

レディリー「で、何をどうしろっていうの?素敵な恋人が五人も居るのにまだご不満かしら?」

上条「……俺が最低のことを言ってるのは分かる!そしていつか誰か一人選ばなきゃってのも分かる!」

上条「ただこう、たまには一人になりたいときだってあるだろ!?誰にも関わらずのんびりしたいって!」

レディリー「贅沢ね」

上条「レッサー以外の四人を蔑ろにするつもりはないんだ!ただちょっと、日々お疲れのサラリーマンが休日は休みたいってだけで!」

レディリー「私からすればさっさと決めれば?意外の言葉は出て来ないのだけれど……」

レディリー「まぁ、いいわ。今回だけは助けてあげてもよくってよ?」

上条「マジか!助かりますっ流石は永遠のお姉さん!」

レディリー「好みのタイプは年下だけど、ボウヤはもう少し大人にならないとダメね……そうね。ついてきなさい」

上条「一生ついていきます!」



――スペイン カタルーニャ地方

レディリー「はい、到着っと。早く降りて、あぁ荷物は大事に扱いなさい?」

上条「……」

レディリー「なにかしら?」

上条「じゃ、ねぇよ!?ここどこだよ!?俺は誰だよ!?」

レディリー「だから往年のギャグを持ち出しても私ぐらいしか分からないわ」

上条「てかここイギリスじゃねぇよなぁ!?だって飛行機乗ったもんなぁ!?」

レディリー「その時点で『あれ?おかしいなぁ?』って思うわね、普通だったら」

上条「なんか冬は寒くて天気も悪いロンドンと比べて温かいし、ここどこだよ!?」

レディリー「機内放送で『カタルーニャ』って言っていたわよ」

上条「カタルーニャ……?スペイン、だっけか。前にバルセロナオリンピックやったとこ」

レディリー「ロンドンは寒くて嫌よね。バカンスには丁度良いわ」

上条「おい元オービット社長。賠償金支払って破産したんじゃなかったのか?」

レディリー「良い女には名前や過去は幾つも用意しているものよ。憶えておきなさい」

上条「……腐っても魔術師なんだよな。で?」

レディリー「で?」

上条「俺を巻き込んだ理由も話せよ!?確かに一人の時間がほしいっつったけども海外逃亡させてくれとは頼んでねぇわ!」

レディリー「あら?近場だったら追いかけてきちゃうでしょ、あの子達」

上条「まぁ、そうだけども!」

レディリー「だったらいっそのこと誰も知らないところで、って思わない?気楽よ、孤高とも言っていいわ」

上条「そこまで深刻な話じゃなかったんだが……」

レディリー「ま、全部建前で私の人形達は修復中なのよね。専用の雑用係がほしかっただけね」

上条「やっぱそうだろうなって思ってましたよコノアマ」

レディリー「さ、急ぎなさい。ホテルはいい部屋取ってあげるから」

上条「あーまぁ、それは嬉しいけど」



――ホテル

レディリー「汗かいたわね。着替えさせて?」

上条「――って同じ部屋かい!?しかも俺がお手伝いさん!?」

レディリー「ふふ、役得よね?」

上条「よってたかって人をロ×扱いはやめてもらおうか!俺は普通に管理人さんが好きなただの男子高校生さ!」

レディリー「つまり雑食系で何でも食べちゃうんでしょう?」

上条「えーっと、だな。世界各国のヤローに代って言い訳するとだな。その年頃の男子ってのは恋しちゃう年頃であってだ」

レディリー「あぁ思い出すわね。私も80年ぐらい前、その年頃のスペイン人から熱烈に告白されたっけ」

上条「あぁ俺よりか人生経験豊富だし、分かるは分かるのか」

レディリー「その子ったらね、あまりに私が好きなものだから『食べたい』って最後は言いだして」

上条「前言撤回するわ。どんだけ長く生きたってそんなヘビーなプロポーズ聞いた事ねぇよ」

レディリー「日本でもあるでしょう。八尾比丘尼、人魚の肉を食べて不老不死になった女性の話を」

上条「魔術関係の話かよ。あー、あるだろうなぁ」

レディリー「まぁもう大分前の話だし、彼ももう墓の下に居るだろうし時効よね」

老人「――と、古き良き思い出にしてくれるのは嬉しいがね。生憎まだ生きている」 ガチャッ

男たち「……」 タタタタッ

上条「お前ら……!」

レディリー「あらお久しぶりね。随分としわくちゃになったみたいだけど」

老人「あぁ本当に。君を思い続けていたらこのザマだが、君は相変わらずチャーミングだね」

レディリー「年上の女性へそんな言葉を使うものじゃないわ、とは言ったかしら?」

老人「言われたね。まぁ大した事ではないのだが、あの時の続きと行こうか。時間は少なくな――」

ズガァァンッ!!!

上条「レディリー!?」

レディリー「(お逃げなさい。私一人なら問題はないわ)

上条「(でも!)」

レディリー「(足手まといだと言ってるのよ)」

上条「(……分かった。先に行ってる)」

……

老人「まぁなんだ。君の美徳は星を数えるほどに上げられるのであるが――」

老人「――しかし最大のものは弱者を切り捨てられない、という所だね」

レディリー「……よく言うわ。あなたもその一人だったでしょうに」

老人「まさに。だがもう僕は弱者ではない」

レディリー「残念だわ。年上のお姉さんを御せずにあたふたしている少年の方が、私は愛していたのだけれど」

老人「もう時間が無いのだよ。君には無限でも私には有限だ――が、この会合を実りあるものにしたい、というのは君も同意してくれるね?」

レディリー「脅迫なんて、まぁ怖い!お父様によく似て来たわね?」

老人「そういうファミリーだからね……まぁそう、悪くはない話なんだよ。君は死ねるし、私は生き続ける」

レディリー「『君を守る』と一度は誓った騎士が、レディへかける台詞にしては順序が逆じゃないかしら?」

老人「……連れて行け」

男「はっ……しかし」

老人「パペットがいなければ何もできん。ただの預言が100%当たると言うだけの占い師だ」

男「100%!?そりゃまた……」

レディリー「それじゃあなたも占ってあげるわ。あなたの最期は『殺してくれ』と懇願するでしょうね」

男「オヤジ……!?」

老人「だがそれも”自分に関わりない事”に限定される。もし自分の未来が幻視えれば端から捕まっていない」

男「あ、あぁ!そうだよな!」



――カルターニャ アンヘレス・マフィアの屋敷

老人「……いざ捕まえてみたものの、感慨は然程湧かないな。悲しくもあり喜ばしさもそれなりに」

老人「ただ初恋の人に会いたいだけ、というのもまた違うか。かくも心踊らず、心が死んでいるのか……まぁ、いい」

老人「我が一族の悲願、叶えるのがまさか僕の代とは――おい、誰か!」

……

老人「なんだ……?なんで誰も、いな」

男?「――失礼するのである」

老人「なんだ貴様!アンヘレスロッジの屋敷だと知って立ち入ったのか!」

男?「無論。アンヘレス氏の邸宅だと聞いて来たのであるが」

老人「殺し屋、だな?」

男?「いいや?私はただの傭兵、いやゴロツキであるか?今は」

老人「……だから何が言いたいんだ」

男?「あぁ失礼したのであるな。アンヘレス氏が所有しているという魔導書を是非拝見したく立ち寄ったのであるが」

男?「だが何故かいきなり発砲されてな。正当防衛で少々、な」

老人「な――いや、貴様は!その面構えには覚えがあるぞ!『神の右席』がどうしてここに!?」

アックア(男?)「だから元、である。それと要件は既に伝えたのであるが?」

老人「魔導書なんか持っていけ!それでお前は満足だろう!?」

老人「私は今から不老不死を叶えねばならんのだ!貴様などに関わってる暇はない!」

アックア「それは話が早くて感謝である――が、実はツレが一人いるのである」

マタイ「やあ、こんにちは」

老人「マタイ……マタイ、リース、教皇……だと!?」

マタイ「元、だよ。というよりもそこまで怯えなくても佳かろう。神は常に善人の味方、君が悪行をしていなければ、だが」

老人「ぼ、僕を裁きにきたのか……?」

マタイ「まさか。この世に裁きを与えるのはただお一人、私ではないね――が、人助けなら吝かではない」

老人「人助け?」

マタイ「うむ。君は寿命が近いのだろう?ならば無限に、という訳ではないが、ほんの少し、まぁ10年ほどは延ばしてあげられるよ?」

老人「ほ、本当か!?」

マタイ「私はその役目からして嘘を吐けないのだ。ただ無料で、という割には行かないが」

老人「レディリーは解放する!マフィアも解散だ!館にあるものは好きなものを持っていけ!」

マタイ「ならば契約成立だ――『棺』よ」 カキィィィイッン

老人「……」

アックア「これがフィアンマに仕掛けた時限凍結術式であるか」

マタイ「すぐ破られたがね――あぁそうだ。一つ言い忘れていたが」

アックア「どうしたのであるか?」

マタイ「その『棺』の中からは何も見えず聞けず感じず、全ての五感が閉ざされたままで一睡もできずに時間が空回りする」

アックア「まぁ、いいのでは?彼も本望であろう」

マタイ「そうだね。十年後には十年分の”老い”が一気に加算されるが、末期癌を病む身に比べれば些細なことだ」

マタイ「さてと。持ち主の許しも正当な契約の元に得たことだし、黒い聖母についての文献を探そうか」

アックア「……」

マタイ「何かね?」

アックア「怒って、おられるのか?あなたが?」

マタイ「君も聞いていただろう。『私はその役目からして嘘を吐けないのだよ』、と」



――地下室

レディリー「……」

上条「――ディリー!おいレディリー目を覚ませよ!」

レディリー「ここは……?あぁ、またあなたがお節介を焼いたのね」

上条「いや俺は何もしてない。地元の人に話を聞いたらここだって」

レディリー「……呆れた。マフィアの家へ乗り込むだなんで自殺よりももっと悲惨なことになるのに」

上条「何か音がしたと思ったらギャグマンガのようにマフィアが空飛んで館の人へポンポン飛んで行ってだ」

レディリー「本当に何が起こったの?悲惨なのはマフィアの方になってるわね?」

上条 ギュッ

レディリー「……ちょっと、どうしたのよ。ママのおっぱいでも恋しくなった?それとも今更怖くなっちゃった?」

上条「いや……お前、震えてるから」

レディリー「……」

上条「震えてる子をどうにかするのって、俺、これぐらいしか知らなくて」

レディリー「……バカなボウヤ。こういう時には黙っているのがマナーよ」

上条「……」



――ロンドン

レディリー「――と、いう訳で今日からこの子の恋人になったレディリー=タングルロードよ、改めてよろしくね」

鳴護「あっはい――当麻、くん?」

上条「いや待ってくれアリサ!そんなゴミを見るような目で俺を見ないでくれ!これには理由があるんだ!」

上条「つまりはこれは敵の魔術師の攻撃なんだ……ッ!」

レッサー・フロリス・ランシス・ベイロープ・鳴護「うん、そういうのもういいから」

上条「いやホントなんだよ!?きっかけは確かにそうだっんただって!」

レディリー「ま、よろしくね?」



(※少し長くなりましたが他意はそんなにありません。ご投稿ありがとうございました)



――常盤台 家庭教室

食蜂「……」

帆風「――あら『女王』。こんなところにいらっしゃってたのですか。探しました」

食蜂「……あらぁ。呼んだ憶えはないんだけどぉ?」

帆風「えぇと。なんて言ったらいいのか、そのニオイでですね」

食蜂「匂い?」

帆風「はい。『女王』がここ数日ほどチョコレートの香りをさせておられましたので、ここではないかと」

食蜂「最新式の消臭スプレーもアテにならいなわねぇ」

帆風「ぶしつけながら能力を使いましたので。その、すいません」

食蜂「いいのよぉ、探すなとは命令してないしぃ。何かあったんでしょ、用事が?」

帆風「差し出がましい真似を、とは思ったのですけど、毎日チョコで四苦八苦されているのならばお手伝いをと思いまして」

食蜂「結構よぉ……って言えればいいんだけどねぇ。苦労してるのは当りよ」

帆風「わたくしでお役に立つのであれば、是非どうか!」

食蜂「助かるわぁ。一人だとどうしても限界があるしねぇ」

帆風「非才の身ではございますが、『女王』のためでしたらなんなりとお申し付けください!」

食蜂「忠誠力が重いわぁ。好感度カンストするぐらい茶器送った憶えはないんだけどねぇ?」

帆風「それで『女王』?どこで苦労されているのですか?」

食蜂「チョコ、うんまぁ、チョコなんだけどねぇ。溶かすでしょ?」

帆風「はい。あぁこちらの型へ入れるのですね。可愛らしい猫ちゃんの」

食蜂「クマだけどねぇ……で、焦げるのよ」

帆風「……はい?」

食蜂「こう、チョコをまず溶かすじゃなぁい?お鍋の上で」

帆風「はい。最初の行程ですよね」

食蜂「そうするとねぇ。、チョコが溶けるんじゃなくて焦げるのよ、不思議じゃない?」

食蜂「器財が悪いのかしら?幾つ取り寄せてみたんだけどぉ、安物じゃないとダメ、みたいなぁ?」

帆風「『女王』、『女王』に必要なのはまずググるという発想だと思いますわ」

食蜂「え?」

帆風「え、ではなくてですね。それはもう可愛らしく小首を傾げている様は脳内フォルダに鍵をかけて保存したいと思いますけど」

食蜂「あなた段々ヘンタイ力が御坂さんちのあの子に似てきたわねぇ。付き合いを止めないけど、節度を持ちなさいよ」

帆風「え?白井さんは御坂さんをお慕い申し上げているのですよね?何か悪いのですか?」

食蜂「中身がオッサン力の強いドロっとしたのじゃなければねぇ。で?」

帆風「勿論わたくしも『女王』の事を考えておりまして」

食蜂「そっちじゃなくて。ググるって」

帆風「はい。チョコレートには湯煎というのが常識なんですわ」

食蜂「ゆせん?」

帆風「ですから、まずこうやってお鍋に水を入れまして」 カチッ、ジジジジジッ

食蜂「IH主流の時代なのに常盤台がガスコンロがとうか思うけど、するわねぇ」

帆風「”外”の常識に外れないようにとの配慮らしいです。ただ『火傷したらどうするんだ』と一部の親御さんからはクレームが来るそうですが」

食蜂「花よ蝶よもいい加減しにないとねぇ。無菌室で育てられたら免疫系どうするのか楽しみかしらぁ」

帆風「まぁそれはお父様お母様がお決めになることですし……ある程度温度が高くなりましたら、鍋を火から離してボウルの中へチョコを入れ」

帆風「ゆっくりシリコン製のヘラで混ぜると……このように、焦げずに溶けるわけでして」

食蜂「……」

帆風「ちなみにお鍋を火にかけたままでもできますし、そちらの方が効率も宜しいのですがこれはに落とし穴が――」

食蜂 ピッ

帆風「……」

食蜂「――って風に溶けるのよぉ、分かった?」

帆風「はい!流石です『女王』!物知りなおばあちゃんのような博識ぶりで!」

食蜂「自分でやっといて嫌になるわねぇ。つーかあなた実は効かない、とかいうオチじゃないでしょうね?」

帆風「何を仰っているのか分かりませんが」

食蜂「まぁいいわぁ。あなた達がよくやってくれてるのも事実だしぃ、それで?溶けたら型に入れればいいのねぇ」

帆風「あ、わたくしがやりますが!」

食蜂「そのぐらいできるしぃ、そもそも手作り感が――」 ビチョッ

食蜂・帆風「……」

帆風「……気は心、と申しますし『女王』のお気持ちがこもってさえいればいいのでは?」

食蜂「はっきり言ったらどうよ、『いいからキッチンから離れろ』ってぇ……まぁ、頼むわよ」

帆風「かしこまりました。一命に替えましても見事仕上げてみましょう!」

食蜂「あなたの念はいらないのよ」

帆風「というかこれ、どなたに――はっ!?噂になってる『女王』の彼氏様でいらっしゃるのですか!?」

食蜂「べ、別にぃ!?そーゆーんじゃないですけどぉー!?」

帆風「『女王』のツンデレ……!」

食蜂「何やってもツンデレに変換される御坂さんが少し同情したい気分よねぇ。てか『派閥』的にはいいわけ?」

帆風「わたくし達が、何か?」

食蜂「アイドルに恋人は厳禁でしょお?」

帆風「『女王』がなさりたいことをなさりたいままに為す、というのが『派閥』の存在意義ですので、わたくしは特に」

食蜂「……ならいいけどぉ」

帆風「ただ何人か相応しいかどうか、覚悟があるかないかをノーアポでトライアルという可能性はゼロではないかと……」

食蜂「闇討ちよねぇ。悪い事は言わないから止めときなさい」

帆風「はい。説得しておきますから」

食蜂「そっちは心配してないわよぉ。だって相手は御坂さんと私をノックダウンさせるぐらいだしぃ、第一位もケンカで勝ってるわぁ」

帆風「お二人をですかっ!?」

食蜂「それよりも心配なのは、フラグを立てられてややこしくなるから。いやマジで」

帆風「――できましたわ。これを冷ませば完成です」

食蜂「ありがとう。助かったわぁ」

帆風「あ、型の中にゲコ太がございましたので、気を利かせてそちらへしておきました」

食蜂「利かせてないわよねぇ。っていうか下手すると誰かさんとカブるから、作り直しなさぁい。今すぐに」




――某高校 放課後

上条「あーつれーわー、チョコ貰えなくて辛いわー」

青ピ「――それはつまり殺してくれ、って受け取っていいんやね?」

上条「なんでだよ。人が本気で嘆いてんのに追い打ちすんなよ」

青ピ「参考までにカミやん。今日は幾つ収穫がおありなん?」

上条「だから貰えないって言ってんだろ。ゼロは、ゼロだ」

青ピ「獣堕ちから冥府ペ道堕ちした傭○さんが言いそうな台詞やけど、マジで?」

上条「……なんかさ、実はおれ命狙われてんじゃねぇかなって」

青ピ「ざまぁwwwwwww」

上条「笑うことないだろっ失礼な!?マジで悩んでんのに笑いにしやがって!」

青ピ「いやゴメンやで、何かのジョークか比喩かと思ってん。ま、話してみぃよ?」

上条「それがさぁ。朝起きたら知り合いの12歳児が居てな」

青ピ「12歳……アリ、やね」

上条「自首してこい犯罪者予備軍。『つーかなんでここに』?って聞くじゃん、普通にさ?」

青ピ「まぁ、一応は聞くわな」

上条「したら『わ、私の口から言えるか馬鹿者めっ!』って、ドーンだ。ドーン」

青ピ「あー……」

上条「次にバスの停留場でバス待ってたら、『き、奇遇よねっ!』って中二の子が明らかにスタンバっててな」

青ピ「中二……アリ、やんね」

上条「お前友人として釘刺しとくけど、どっちもアウトだかんな?『学園都市に住む男子高校生が〜』って匿名で全国デビューすんだぞ?」

上条「まぁそれで『バスの時間だから先行きますね』って丁寧に挨拶したら、マハジオン○がバリバリバリって」

青ピ「……あぁXX学区の広域停電ってカミやんが原因やったんやね。死ねばいいのに」

上条「なんでそこで俺悪い流れになんの?俺被害者だぜ?」

青ピ「本気でそう思うやったらボクの鉄拳が唸りをあげるんやけど――残ッ念ッ!お客さんでっせ!」

上条「客?放課後だぞ今?」

青ピ「あぁ今帰ろうと思ったら校門ンとこにエッライ美人が『上条さん呼んで来て☆』って言っとって」

上条「それ早く言えよ!?今日一番大事だろお前の中で!」

青ピ「……ボクの存在価値ってそんなんなん……?」



――校門前

上条「ごめん!遅れちまった!」

食蜂「いいのよぉ。私もい・ま・き・た・さ・ん・ぎょ・う☆」

上条「今北三行?芸人のような掴みから入るの――って前にもこんなやりとりなかったっけ?」

食蜂「えっとぉ、ごきげんよう」

上条「あ、ども。初めまして、で合ってるよね?」

食蜂「そうねぇ。そうかも知れないわねぇ」

上条「えっと……中学生?」

食蜂「そのリアクションをされるのも五回目ぐらいなんだけどぉ、幾つに見えるかしらぁ?」

上条「俺とタメ。あぁでもそんなに背、高くないし中学生だって言われてもおかしくはないかな」

食蜂「……ちょっと反応に変化あり――ねっ!」 ギュッ

上条「おい待ってくれ!?俺は金なんて持ってねぇぞ!?」

食蜂「腕組んだ即美人局って反応はどうなのよ?てかデートしましょう、折角だしぃ?」

上条「……拒否権は?」

食蜂「あると思うかしらぁ?それにこっちは奥の手を出してもいいんだけどぉ?」

上条「ふっ、そんな脅迫!俺に通用すると思ってるのか!」

食蜂「ここで泣くわぁ。ギャラリー全員が引くぐらい号泣すればいいのかしら?」

上条「――さっ、行こうか!名前も知らないけど腕に密着してる恥女っぽい人!」

食蜂「心外極まりないわねぇ。まぁ、同じ立場だったら疑うけどぉ――ってあらぁ?」

御坂「――ちょっとごめん、退いてくれないかな?」

上条「おうビリビリ」

御坂「砂鉄で作った巨人だったらあんたも死ぬと思うのよね」

上条「出会った瞬間殺害予告!?問答無用で!?」

御坂「何やってんのよ!?つーか何やってんのよアンタ!?コイツまで巻き込んであたしに嫌がらせかあぁぁぁぁアンッ!?」

食蜂「御坂さん御坂さん、顔が乙女じゃなくて般若になってるわよぉ?超ウケるわぁ」

御坂「――おっけ、言葉で意思疎通できないんだったら肉体言語でいいのよね?あたしそういうのも意外と得意よ」

食蜂「きゃあっ☆助けー上条さぁんっ☆」 ギュッ

上条「ちょまっ!?君のそれは明らかに反則過ぎるし男子高校生には荷が重すぎるんですけど!」

御坂「……ほう。そっかぁ、あたしの敵は一人じゃなかった訳ねぇ。そっかそっかー、それなら納得よねぇ」

御坂「あんだけ人がモーションかけてるのに反応がない、ってのは実は裏であたしを嘲笑ってた、と?」

食蜂「一応マジで言うと、『好きな女の子をイジめて気を引こうとする男子小学生とどっこいどっこい』って評価がね」

上条「なんて実のないツンデレ。そして今にして思えばメンタルは今もそんなに変ってないよな」

御坂「いいのよあたしは!需要があるんだからねっ!」

食蜂「そして体型も変ってないよねぇ……小学生と」 ボソッ

御坂「――よし殺す!」

ズゴゴゴゴゴゴ゙ゴ゙゙ッ

上条「待てコラアァッ!?人んちの学校で何巨人召喚してんだよっビリビリさぁーーーーーーーーーーーーーーんっ!?」

上条「しかもこれ俺がそげぶしたら大被害ほ撒き散らすタイプのだろ!?最近多いんだよ対策済みのがな!」

食蜂「頑張ってねぇ☆」 ギュッ

上条「だからこの後に及んで挑発すんなや!命がかかってんだから!主に俺の!」

御坂「――生まれ変わったら、あたし。あんたの妹がいいな……」

上条「諦めないで!?てかその台詞は10年ぐらい前に流行った妹がお兄ちゃんに恋しちゃうやつだよ!」



(※なんかイマイチ締まりませんでしたが、まぁこのぐらいでお許しください。ご応募ありがとうございました)



――ロンドン

レッサー「――私ね、思ったんですよ。私たちに足りないものは何かって」

レッサー「こう見えても結社未満の中じゃあそこそこですし、我々の力量も並よりか上だと自負してますし」

レッサー「だがしかぁし!何故に我らはイマイチなのかと!パッと出の一発芸人のように『コレジャナイ』感が漂うのは何故かっ!?

レッサー「私が一生懸命に考え抜いた結果!我々に足りないもの、それは――」

レッサー「――『信頼』の心だと思うんですよね……ッ!」

フロリス・ランシス・ベイロープ「そーですね」

レッサー「待ちません?せめて皆さんこっち向いて話聞く体制になりましょう、ねっ?」

レッサー「顔上げるぐらいの時間あるじゃないですかねっ!?それだから信頼が足りないって結論に達するんですよっ!アンダスタンッ!?」

フロリス「オマエいい機会だから言っとくけどナ。その足りない信頼に一役勝ってんのもオマエのせいなんだからナ?」

レッサー「おおっとこれは心外ですな!人が折角セルフ処理を受け入れようとしたのに、一人だけ逃げ出した人には言われたくないかと!」

フロリス「それ以前の問題ダッツーの!誰かのギャグで全滅しかかったんだからナ?ア?オ?アァ?ギャグでだ?」

ベイロープ「いや、あれはあれで悪くはなかったのよ。一応は作戦も成功したわけだし」

レッサー「見なさいよベイロープさんをねっ!伊達にアンチエイジングして数歳若返るだけのことはあります!」

ベイロープ「誰がとは言わないけど、 『あ、無事逃げ切ったらレッサーは殺そう』って思って頑張れし。逆にね」

レッサー「言ってません?殺害予告を言っちゃったら最初に名前伏せる意味無くないですか?」

ランシス「……あぁ、だから……張り切って、飛んじゃった……?」

ベイロープ「不可抗力なのだわ!一部シーンもカットされてて微妙にネタがネタじゃなくっているのよ!」

フロリス「もうなんか、ウン。『パラレルで』みたいなノリでいいんじゃねーノ?」

レッサー「お黙りなさいな小童どもが!そんなだから我々は新作にも呼ばれないんですよっ!?隠しキャラの姫なんとかさんは居るというのに!」

フロリス「だからまず結論出てただロ。足りないのは”信頼”だヨ。誰かに対する信頼がないから、お断りされたんじゃねーのかヨ」

レッサー「いえ……流石の私もそれだけでオファー来ないほどのチョンボできるのであれば、ある意味本望っちゃ本望ですけど」

ランシス「そんなスケール、ないない……」

レッサー「まあ細けぇこたぁいいんですよ!今我々に試されているのは信頼!なう!」

ベイロープ「だから具体的に」

レッサー「バレンタインはこの面子でパーティしましょう!誰一人として抜けがけは許しませんよぉ!」

フロリス「せめて本音はしまっとけヨ。散々信頼信頼言ってんだから、そこは最後まで信頼を前面にもってくるべきだっつーの」

レッサー「おやぁ?フロリスさんにはご予定がお・あ・り・ですかねっ!?ご予定が!」

フロリス「ワタシ?いや別にあるっていうか、なんつーかなァ」

レッサー「でしたら私とくんずほぐれず!朝までキャサリ○と洒落込みましょう!」

ベイロープ「キャサリ○?」

ランシス「一人用ゲーム……」

フロリス「嫌だヨ。週末の特にイベントない日だって嫌だ」

レッサー「……ではフロリスさんは何を?」

フロリス「あー、アレだゼ。フランスで暴動起こしてこようかな……ッテ?」

ベイロープ「無理でしょ。幾らなんても、それは。ねぇ?」

レッサー「――じゃあ仕方がないですな!そういった事情があるんでしたら私は止める口を持ちません!」

ラシンス「基本……アホの子だから、うん」

ベイロープ「……このおバカと……!」

フロリス「……付いてきたりしねーよナ?」

レッサー「あぁすいませんね。その日は学内でカップル狩り、もといハッピーバレンタイン団のバイトが入っちゃいまして」

フロリス「オマエほんっといい加減にしとけヨ?」



――学園都市

上条「――いやー、疲れたー。今日もやっと終わったぜー」

青ピ「あれやんね。カミやんは学校怪○の山○君のよーにチャプターごとに復活するやんね?」

上条「ちょっと何言ってるのか分からないけど、まぁツッコむのは無粋かな!君が何を言っているのかはサッパリだけど!」

青ピ「てか朝からヘビィーな展開なんは分かるけど、えっとJSとJCにフクロにされかかったんやっけ?」

上条「その略し方止めろや。単語だけでいかがわしく聞こえる」

青ピ「まぁまぁ貰えるだけで勲章ですやん?こういのは、さ?」

上条「オマエさっき吹寄から貰ったからって余裕ぶっこいてるけど、俺や土御門もだからな?いや普通に嬉しいけど」

青ピ「てかこの後用事ありますのん?ちょい付き合ってくれへんかな?」

上条「遊びに行くんだったら俺も行きたいけど、どこに?」

青ピ「スクエ○」

上条「はい?」

青ピ「スクエア・エニック○」

上条「いや知らなかったんじゃねぇよ。事態が把握できてないだけだよ。なんで?」

青ピ「ボクは?」

上条「だからお前がなん――」

青ピ「新作、誰か大事な人を忘れてやいまへんかっ!?例えば、ボクとかねっ!?」

上条「んー……?……あぁ!そういや今お前居なかったっけ!」

青ピ「そのリアクションがおかしいですやん!?心の友と書いてソウルメイトと呼ぶボクが!出てしまへんのに!」

上条「いや散々ネタにされっけどなんだかんだで持ってる姫神もいたし、『運営これロ×ペ×成分盛り過ぎじゃね?』で物議がだな」

青ピ「ボク知らへんもん!知らないですやん!神様の癖(へき)なんか!」

上条「口を慎めや。お前それうん、『もしかして?つーかインデックスさんがアレだし御坂さんも……だよね?』ってみんな薄々感づいてるけど誰も言わないんだからな!」

上条「もし神様がしまぶ○事件をやっちゃったら、俺はもうイジるしかないんだよ。分かってんのか?」

青ピ「カミやんがトドメ刺してますやん。ブッスブス刺しとるわー、ボク言ったことにならへんよね?ボクちゃうからね?」

上条「お前の気持ちはよく分かった!でも体制批判もいい加減にしないとな!」

青ピ「そう、やんね!カミやんもスピンオフ勢に乗っ取られかけてるけど体制批判もええ加減にしないとあかんえ!」

フロリス「見苦しいワ。ソウルメイトが責任逃れしてんじゃねーヨ」

上条「だってこいつが!ボクは止めようって言ったのに!」

フロリス「僕とか言うな。それ言っていいのは僕っ子だけだゼ」

青ピ「――一理ある」

上条「お前言ってんじゃん。関西出身でもないのにボクって言ってんじゃんか」

フロリス「うっわ気持ちワルっ!?キャラ作ってんのかヨ!?」

上条「いやそれは別にいいだけろ。問題はキャラ作ればモテるって思ってる脳が病気――」

フロリス「マジかよ」

上条「……」

フロリス「ヨッ」

上条「――なんでお前ここにいんだよ……ッ!?」

フロリス「あ、ここで授業受けてんのかヨ。マジ普通なんですけど、つーかむしろ古い」

上条「聞けや人の話をよおっ!?」

青ピ「あのー……カミやんさん?」

上条「なんでしょうか青ピさん」

青ピ「そちらの可愛い子と随分親しげにお話をされておられるようですけども、カミやんさんとのですね、ご関係をお聞かせ頂けばと思いましてね」

フロリス「つってっケド?」

上条「(ボカして!核心には触れない形で!)」

フロリス「『(味方だと)信じていたのに裏切られた(ような形になった)関係です』」

教室 ザワッ

上条「フワっした悪意が見える!見えるよ!ボカすにしたって言いようがあると思うんですよねっ!」

フロリス「『大切なもの(※カーテナ・セカンド)を数人がかりで奪われそうになりました』」

教室 ザワザワザワッ!!!

上条「取り敢えず待とうか?お前は今日の便で帰るか、俺が地獄へ直送するけど、俺は明日からもこの教室で授業を受けるんだ」

青ピ「――この、ド外道が!天が許してもこのボクがユル」

フロリス「あ、そーだ。チョコ作って来たんだヨ。嬉しい?なー、嬉しいって言えよオイ」

上条「誰か助けて!?青ピがテンプレ通りのお仕事しようとしてるのに、最後まで台詞待ってあげないフリーダムなこの子に言ってやって!?」

フロリス「いや関係ねーサ。つーか時間ねーんだワ、サボれよ」

上条「ザッケンなこのアマ!俺だって人の目は気にするわ!なんで公開処刑されるの分かっててホイホイ首突っ込むアホはいない!」

フロリス「レッサーには『フランスでマクロ○にマカロンぶん投げてくる』って言ってあっから、そろそろ気づかれるだろーし?」

上条「――それじゃ巻きで行かないとダメだな。アイツに気づかれたらテレポートで現れるとかしてくるからな」

フロリス「なんでそんなに怖れられてんだヨ」

上条「敵に回したら厄介だが、味方にしたらもっと始末に困る」

フロリス「……あぁそーカ。ワタシらが戦ってのは外だけじゃなくて内側に敵がいたのかヨ……ッ!」



――屋上

フロリス「……すっげーナ。ジャパンの学校って本当に解放されてんのカ!」

上条「あんまフェンス側行くなよ?ゴリラに見つかっとヤバイ」

フロリス「見てーナ!ジャパニメーションに必ず一人は存在する暴力教師!」

上条「いや……リアルで居るとドン引きするっていうか、専ら被害に遭うのは俺なんですけど……」

フロリス「――あ、そーだ。チョコ食えよ、折角作ってきたんだから」

上条「お前ほんっっっっっっっとに自由だな!今に始まったこっちゃないけど!」

フロリス「知ってんでったらいーだロ。こんな可愛い子がわざわざ会いに来てやってんだから、これもう一生分の幸運使い果たしたよーもんだシ」

上条「お陰で俺は大切なモノを失いそうだよ!主にクラスメイトの信頼度とかをな!」

フロリス「マーマー、こんなぐらいで失うんだったらダチじゃねーヨ」

上条「まぁ、そうかもだが……あぁ、チョコ頂きます」 ガサゴソ

フロリス「ど、どーヨ?」

上条「……うん、美味しいな」

フロリス「だ、だろー!?」

上条「本気を出した俺ぐらいだ」

フロリス「最終的に自分誉めんナ。芸風がレッサーに似て来たぞ」

上条「どっちかっつーと違法ロ×の方なんだが……しかし変ってんなこのチョコ、初めて食べたかも」

上条「見た目は球に近いヨーヨー?真ん中に黒いビターチョコで、周りがクッキー」

フロリス「バチ・ディ・ダーマだ」

上条「ばち?」

フロリス「イタリア野郎は『貴婦人のキス』だってヨ。見た感じ、唇に見えないこともない」

上条「へー、何かお洒落だな――ってイタリア?

フロリス「んー、まぁまぁまぁまぁ、アレだ。今ちょっとアレじゃんカ?」

上条「まぁ、イタリアだなぁ」

フロリス「だからこう、なんだ……どーよ、最近?」

上条「お前それが言いたくて」

フロリス「ばっ、ばっかじゃねーノ!?心配なんかしてねーヨ!むしろ毎日『早くくたばんねーかな』とか思ってねーワ!」

上条「おい可哀想だろ俺が!」

フロリス「……ヤ、嘘だけどサ」

上条「知ってるけど」

フロリス「ただその、なんだ。逃げちまえば良くね、って思ったりも、しない訳じゃない、みたいな?」

フロリス「別にお前がやんなくたって、とか……あー……ホラ、そんな顔すんな。ワタシがイジメてるみたいだシ」

上条「あー……なんか心配かけちまってるけど、俺はもう少し頑張ってみるよ。できるところまではやってるみるつもりで」

フロリス「……好きにすれば?いー加減愛想も尽きたし、ワタシも帰るゼ」

上条「待てよ。折角来たんだからメシでも食ってけ」

フロリス「……どーしても?」

上条「どうしても、なっ?頼むよ?」

フロリス「……なんかムカツクな」

上条「なんでだよ!?人が大人対応してんのに!」

フロリス「なんか余裕あるみたいでムーカーツークー!オマエもちったぁ驚けよ!」

上条「だから俺だって驚いてんだよ!どっかの誰かが最初にやらかしてくれたお陰で、もう一周回ってクールダウンしてんだ!」

フロリス「……チッ作戦は失敗かヨ……ッ!」

上条「真に遺憾ながらこれ以上ねぇわっつーぐらい成功してるわ。つーか俺、明日からどんな顔して通ったらいいんだここに」

上条「……まぁ、いいや。今日は大人しく帰ろう」

フロリス「気苦労おっつー」

上条「原因作ってんのはお前だよ!ちったぁ自分の所業顧みろや!」



(※「レッサーさんに邪魔しないでください」→レッサーが聞く→「邪魔しろって事ですね!分かります!」。ご応募ありがとうございました)



――姫神のアパート 数日前

姫神「本日はお忙しいところをお集まり頂きまして。ようこそいらっしゃいました」

吹寄「集まったっていうか、お呼ばれしたから遊びに来ただけなんだけど……」

姫神「ではご唱和ください。エコエコアザラ○、エコエコアザラ○」

吹寄「姫神さん、ボケ、よね?淡々として表情も変えずにボケるから判断しにくい」

姫神「今年はクラスに一人はいる電波ちゃん的なキャラで行こう。と。思います?」

吹寄「聞かれても。ただウチのクラスにはやたらオカルトに詳しい土御門ってアホがいるから、被るだけだと思うわ」

姫神「そういえば本業の人が既にいた。キャラ被るのはよくないよね」

吹寄「名前だけね。あんな忍んでない陰陽師なんかいない。いないったらいないわ」

姫神「吹寄さん。サブカルにも詳しかったり?」

吹寄「普通にゲームやってれば出てくる職業じゃない?昔の映画でも見るしマンガでも大体一作品に一人は出てくるし」

姫神「いいよね。魔法少女」

吹寄「最近のソシャだと普通に常備されてるわよね、そのジョブも」

姫神「まぁ。女子バナはここまでとして本題です。私はバレンタインを考えました」

吹寄「別に大した意味はないし、意義を持つのも一部の女子だけだと思うんだけど……」

姫神「バレンタインの本質。そうそれは我々女子としては女子力を試される機会なのではないか。と」

吹寄「あー……うん」

姫神「体育祭や大覇星祭や各種キャンプ。上条君の女子力に完敗している私たちがこの先生きのこる道はあるのか。とも」

吹寄「女子だからって家庭が強くなきゃ駄目だとは言わないけど、うんまぁ、そういう風潮はあるわね」

姫神「吹寄さんは。その。働く女性を目指す派?」

吹寄「大体の人は働くと思う、わよね?」

姫神「あぁいや。そうじゃなくて女性弁護士とか代議士だとか。ステレオタイプのあぁいうのを目指してるのかな。と」

吹寄「まぁあぁいうのもアリなんじゃないの?ただ押しつけるつもりはないし」

姫神「というのは?」

吹寄「全員が全員あぁなれる訳じゃないでしょ。勉強のできるできない、環境の合う合わないで無理だって事もあるし」

吹寄「理想のキャリアウーマン像には憧れるけど、そこから外れるのを間違いだ、みたいなのは違うと思う」

姫神「上手くはぐらかされた気が。するよね」

吹寄「ぶっちゃけ小萌先生みたいになりたい。ただし私生活以外」

姫神「あー……うん。こっちに転校してきたとき。私も先生のウチでお世話になっていたんだけど」

吹寄「ど?」

姫神「お世話になった手前。仁義があるからこれ以上は詳しく言えない」

吹寄「……やっぱり。私生活じゃオッサンなのね」

姫神「なので私たちは。私たちだけは女子力を放棄しないでいきたい。という企画です」

吹寄「比較対象が厳しいわ――というかね。いつも上条が女子力発揮するじゃない?」

吹寄「例えば調理実習で売り物にしか見えないクッキー作ったり、海原雄○が食べて巨大化しそうな料理作ったり」

姫神「ね。もう対抗する気すら失せるレベルの」

吹寄「なんかリアクションが違うっていうか、『あれ?』って思うんだけど……なんなんだろう、あれ」

姫神「どういうことかな?」

吹寄「例えばさ。こう異世界へ転生するじゃない?」

姫神「例えが雑すぎる。そして吹寄さんもそういうの見るのが割とショック」

吹寄「昔はアニメ見るだけでヲタクって言われてた時代があったけど、今は誰だって普通に見るでしょ?てか私のイメージは一体」

吹寄「まぁその転生先でwiki未満の浅い浅い知識を披露して現代料理を作ったりするじゃない?」

姫神「ダメだよ吹寄さん。『ハンバーグ作って大絶賛されるのは小学生まで』とか。言っちゃダメ。ゼッタイ」

吹寄「だからその人に事故を押しつける傾向は……まぁさておくとして、周囲のハーレムor逆ハー要員がここぞとばかりに褒めちぎるでしょ?」

姫神「そういう仕事の人だから。有名どころにドブさらいをさせるまでがテンプレ」

吹寄「で、まぁ調理実習の上条も途中まではそんな感じじゃない?『うわースッゴイねー上条くん!』みたいな?」

姫神「あぁうん。『あたし上条君みたいなカレシほしいなー』って何人か遠回しにコクってるアレね」

吹寄「そうなの!?知らなかった……」

姫神「なんでちょっと落ち込むのかな?」

吹寄「――まぁそれは良しとして!普通そういうときのリアクションってあるじゃないっ!?」

姫神「取り繕ってもないけど。まぁリアクションって?」

吹寄「ドヤ顔で『これぐらい当たり前なんだけど、俺またやっちゃいましたかデュフフフフ!』的な」

姫神「あるね。というかヘイトが凄いね。同意するけど」

吹寄「でもそんなのがないって言うか、普通にスルーされてるっていうか?何なんだろ、あれ?」

姫神「手慣れてる感じ?」

吹寄「そう、そうよ!何かもう慣れてるのよ!なんでか知らないけど!」

姫神「お母さんがさ。小さい子供にお菓子作ってあげて。『わー。ママすごーい』って言われてて」

姫神「それに対する返しで『ありがとう』みたいな。こうできて当たり前というか。うん。なんだろうね」

吹寄「上条も上条なのよ!キャーキャー言われるのが当たり前になりすぎてて流れ作業ってね!」

姫神「けれどそんな相手に戦わなければいけない女子がここに二人」

吹寄「大体同意するけど、バレンタインで勝負には……だって上条は作ってこないんだから」

姫神「……閃いた……ッ!」

吹寄「な、なに?クワッって擬音が出そうな顔して」

姫神「もう上条君も女子として扱えば無問題」

吹寄「私たちのプライドは死ぬわ」



――学校 現在

姫神「ということもあってチョコを作ってきましたとさ」

上条「なんで昔話風?ナレーションやってた大御所が亡くなったから?」

姫神「リスペクトしてみました。風な」

上条「というか俺がそんな思われ方してたのがショックだぜ!別に嬉しいは嬉しいよ!『やったね!』みたいに大はしゃぎしてないだけであってさ!」

姫神「そう?上条君と話してると。たまにかなり年上の人と話してる気持ちになる」

上条「俺は男子高校生だよ!女の子と目が合ったら『あれ?この子俺が好きなんじゃね?』って勘違いしちゃうような健全な!」

姫神「平等に不健全だね。それ。という訳でどうぞ」

上条「あぁうん、チョコありがとう。できれば前置きは聞きたくなかったが」

姫神「上条君は?作ってきてないの?」

上条「ここで『じゃあ交換しようぜ!』って言い出したら怖いだろ。どんだけ『ドンダケー!』なんだよ俺」

姫神「ツチカミ――土御門×上条が一番有力だよね」

上条「おいそれ誰が言ってるか言えよ!俺がそいつそげぶしてくっから!」

姫神「対抗でカミカミ――あっという間に転校してきて。また瞬時に転校してった上里君も人気」

姫神「二人にカノジョ居ない理由にも説明が付く。パーフェクト」

上条「なにそれ風評被害甚だしい」

姫神「男子が集まると。『姫神さん可愛いよね。普通だけど』とか言ってるって聞いた」

上条「その内容はまぁ伏せるが、そういう話題が出ることもあるなぁ」

姫神「女子は当然のようにカップリングが始まる」

上条「やだ女子怖い」

姫神「そして土御門君は遊び人キャラ何だけど実は一途」

上条「まぁ合ってる」

姫神「だから翻弄される上条君を見て。実は一番嫉妬している」

上条「妹だけだよ!まぁ確かに俺の人生をゲーム感覚でイジってるヤツではあるけど、あいつが基本大事なのって妹だけだからな!」

上条「……てか女子怖えー。いつもそんな与太話で盛り上がってんのか」

姫神「――って私が広めてる」

上条「犯人お前かーいっ!いや何となくそんな予感はしてたけど!」

姫神「今年はクラスに一人ありがちな。クラスメイトで掛け算するキャラで行こうと思う」

上条「おい誰だ!俺の姫神さんに余計なネタ吹き込んだヤツは!?」

土御門「さっきからクラス全員で空気読んで邪魔しないようしてんのに、カミやんはアホだにゃー」

上条「え、なんだって?」

姫神「そのキャラはフルボッコにされたやつ。ファンが増えすぎてアンチになるって珍しい現象」

土御門「スターウォー○もそうだぜぃ。娯楽に思想信条と流行り持ち込むとダメになるってパターン」

姫神「というか土御門君も。どうぞ。義理ですが」

土御門「あぁありがとう姫神。でも妹一筋の俺でも嘘でいいから『あ、アンタのタメに作ったんじゃないんだからね!』って言ってほしいぜぃ」

上条「矛盾してないか?手作りかは知らないが、用意したのはそいつのためにやったんじゃないのか?」

姫神「ツンデレも一周回るとギャグとしてしか認知されない。『え。なんだって』と同じで」

土御門「ともあれ俺もカミやんもありがとさんだにゃー。ホワイトデーにはケーキバイキングで奢るぜぃ」

上条「青ピも忘れてやるなよ。もらってんだからお返ししないと」

姫神「それがね。吹寄さんとも話し合ったんだけど。あげてなくてね」

上条「イジメじゃん。そりゃ女の子の自由なんだが、勝手は勝手だけど……なんでまた?」

姫神「『真実の愛が欲しい!』っていつも言ってるし。勘違いさせたら悪いからって」

上条「……なんかもう可哀想になってきたな。青ピ」

土御門「顔は悪くない。テンションもまぁご陽気で人気もあるし、頭も真面目にやれば多分上位だ」

上条「てか普通に俺や土御門よりも男女問わずに交友関係も広いもんな」

土御門「ただ女子の大半の意見が『なんか怖そう』って全会一致してんのがネックなんだにゃー」

上条「ハンデがデカ過ぎるな。もう俺たちの手には余ってしょうがないぜ!」

姫神「そういった意味では上条君は人気」

上条「お、マジで!?俺の時代来た!?」

姫神「『人畜無害っぽい』で意思統一。おめでとう」

上条「おっと見くびってもらっちゃ困るぜ!俺はこう見えても裏ではデンジャーな稼業に身を落しているんだ……ッ!」

姫神「(と。言っているけど。いいの?)」

土御門「(誰もまともに聞いてないぜぃ)――具体的には?」

上条「内容は言えないがフランスに行ったりイギリスに行ったりロシアに行ったりもしたな!」

姫神「それただの海外旅行が好きな人」

上条「ほ、他にもキャベツを切るときに左手をネコの手にしないんだぜ!どうよ!」

土御門「カミやんカミやん。落差が激し過ぎる」

姫神「私もそうしてる。というかお料理番組見てるとしてない人が多数派だよね」

上条「包丁の切れ味が悪かったり硬い物を切るときは、具材をしっかり固定しなきゃいけないからな。拳だけで押さえてると逆に危ないっていうか」

土御門「……なんだろな。女の子の家庭力はグッとくるものがあるんだが、カミやんの場合はただ所帯じみててな」

上条「逆に俺に萌えてたら怖いわ。付き合いを考えるわ」

姫神「――と。このように二人はイチャイチャすると。次の女子会での報告事例を確認……」

上条・土御門「やめてください」

姫神「大丈夫。わたしはそんなふたりを応援している……!」

土御門「浜面んとこの子キャラ被っから止めとけ。最近は変ってきたらしいけど」

上条「お前浜面も知ってんのかよ?」

土御門「スキルアウトの中じゃ有名だぜぃ。ただそれ『以上』って連中の中じゃワゴンセール状態であってだ」

上条「本当にこの街の闇は深い――てかそろそろホームルーム始まんだけど、青ピは?」

姫神「『今日は大きなバッグを持って来たけど足りへんかったらどうしよう』って出ていったっきり」

上条「あいつの自意識スゲーな!どんな栄養与えれば太く強く育つんだ!」

姫神「水をやってない可能性も。荒れ地に植えて植物の可能性を試しているのかも」

土御門「姫神さんもカミやんも毒吐くんだにゃー。ま、ゼロだったら流石に可哀想だから俺が10円チョコ下駄箱へ入れとくぜぃ」

上条「それはそれで吹き上がるだろ」

姫神「誰もいなかったら。私が一応持って来てはいる」

土御門「じゃあ姫神に泥を被ってもらう方向で」

姫神「泥言うのはよくない――あ。小萌先生来た」

上条「んじゃ姫神ありがとうな。ホワイトデーには何か用意すっから」

姫神「……うん。楽しみにしている。かも」

姫神(……普通……何か普通に終わってしまったけど)

姫神(まぁでも。そんな普通に安心している私がいて。満足はしている)

……

土御門「なぁカミやん、一つ聞いていーい?」

上条「なんだよ」

土御門「『俺の姫神』ってあれ実は本心だったり?」

上条「――なぁ土御門知ってるか?記憶って強く殴ると消えるんだってさ?」

土御門「それで消えないのはカミさんが一番知ってんだろ!?全世界でシバかれまくってるカミやんご本人がね!」

小萌「はいはーい、ホームルームを始めるのですよー」



(※普通です。普通の学校で普通のクラスメイトとダベるような会話、それが一番難しいです。ご応募ありがとうございました)



――上条のアパート

上条「――たっだいまー」

インデックス「あ、おかえりなんだよーとうま。もう、遅いんだから」

上条「遅いって、そんなにご飯待ち遠しかったのかよ。いつもと殆ど変らないのに」

インデックス「ご飯はほしいけど、そうじゃないんだよ。お客様なのかも」

上条「あぁそりゃ悪かったな。てかケータイで連絡してくれりゃよかったのに」

インデックス「私もそう言ったんだもん!けど待つからいいって!」

上条「ふーん?まぁステイルか神裂だろうし、別に俺は構わな」

娘々「――どりゃっ!あぁコントローラーの効きが悪いぜ!」

ネフテュス「なんか使い込まれてるし、ボタンはベッコベコだし。あ、そこキノコ出る」

娘々「って急に言われてもマリ○は急に止まれな――あっ!?」

テレッテテレレレー

ネフテュス「死んじゃった。あーあ、残機ゼロでステージ最初からやり直しね」

娘々「めんどいな−。あーくそ」

上条「――元の場所へ返してきなさい!」

ネフテュス「なんで捨て猫扱い?既に先客もいるというのに」

娘々「お、ちーっす。お邪魔してまーす」

上条「本当に邪魔だな!帰れよ!なに人の家でマリ○やってんだよ!?」

ネフテュス「いいえ、これはマリ○ランドじゃなくて魔理○ランドよ」

上条「実質同じだろ。原作に同人が寄せてってんだからコンセプトは同じだろって言ってんだよ」

娘々「その理屈だとモナリザとモナリザの贋作も同じになっちまうぜ、いひひっ」

上条「高度に洗練された科学は魔術と見分けがいかない……ッ!」

ネフテュス「つかない、じゃなくて、理解”できない”のが正しいわ。最初から諦めてる人や理解しようとしない人に分かる筈がないもの」

娘々「ま、贋作に神が宿った例もあるしねー?気がついたらクローンの地縛霊とかいんじゃね。いやマジでさ」

上条「『――そんな訳ないだろ、何言ってんだ!どーもありがとうございましたー!』」

ネフテュス・娘々「あーは?」

上条「――それでインデックス聞いてくれよ。実は学校でさ」

ネフテュス「はいそこ。場面が終わった体で閉めようとしない。というかいなくならないわよ。用事があって来てんだから」

娘々「そーだぜー?別にマリ○やりに来てたんじゃねぇんだアル?」

上条「おい。ここへ来てキャラ変更しようとすんなよ。今更過ぎるしテンプレ過ぎるし用事ってなんだよおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!?」

インデックス「とうま……最近ツッコんでばかりだから、心労が」

ネフテュス「お疲れなのね。でも安心して、お疲れなあなたにこそいい話があるのよ」

娘々「そだぜー。神様が直々に来てやってんだから、感謝しろよなー?」

上条「いや感謝って……まぁそっちのオネーサンにはバードウェイの件で助けてもらってっけどさ」

ネフテュス「あらどういたしまして。困ってる人間を見るとつい、ね」

上条「俺、困ってる、なう」

娘々「また露骨に嫌がってんな。まぁ聞けや、悪い話じゃないから――」

娘々「つーかめんどーだし?説明責任もいらねーよっつってんだから、もうこのままぶち込んでも良くね?」

ネフテュス「そうね。マリ○もしたいしね」

上条「だからそういうところだよ!俺が問題視してんのはその悪いところがちょくちょく出るってことだ!」

娘々「んじゃー――」

ネフテュス「ごしょーたーい……あ、一日ぐらい戻るから」

上条「お、のぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!?」



――上条のアパート

上条「……なんだ夢か。ふー、ビックリした」

上条「大体アレだよ。魔神二人がパワーバランスが悪すぎるんだよ。ラスボスがレベル5の勇者を殺しに来るようなもんだからな。イベントかよっつー話で」

上条「てかインデックスー?メシ作っちまうから顔笑って歯ぁ磨いとけよー?」

……

上条「いない……?あれ今日はどっかにお泊まりの日だっけか?」

上条「スフィンクスも居ないし……二人ともって事なんだったら、事件か事故に巻き込まれたって訳じゃない、か?」

上条「なんかあったらステイルか土御門から連絡あるだろうし、まぁいいか」 ガチャッ

上条「――って冷蔵庫の中身スゲーな!?なんか高級食材ばっかある!フォアグラとかキャビアとかツバメの巣も!」

上条「なんか高級感と珍味を取り違えている感じだけど!」

娘々「そりゃお前のイメージが貧相だからだよ。こんなショッボイ夢叶えさせられる身にもなってみろ」

ネフテュス「せめて二足羊ぐらいはやってもらわないと、ねぇ?」

上条「ウルセぇわ!男子高校生に何求めて――うん?誰かいたか今?」

上条「……まぁいいや。時間も無いし、コンビニでなんか買って登校しよう」



――通学路

ザワ……ザワ

上条(なんか……超見られてるんですけど、俺。なんかやったっけ?寝癖?いつもツンツンしてるけどこれは俺なりのお洒落であって)

女子高生「あ、あのっ!」

上条「あぁすいません!俺が悪かったですっすいませんでしたっ!」

女子高生「な、なんで謝るんですか?」

上条「取り敢えず最初に謝っておけば大体丸く収められるってね、人生経験が」

女子高生「そんなことはいいです、だから私と――握手!してくださいっ!」

上条「握、手?いいけど、呪われたか何かしてんの?だったら俺よりも詳しい専門家呼ぶけど」

女子高生「そんな、握手したいのはあなたに決まってるじゃないですか!上条当麻さん!」

上条「どうして、俺の名前」

女子高生「だって、世界を救ってくれたのはあなたのお陰なんでしょっ!?」



――学校

上条「おはよーっす」

ヒソ……ヒソヒソ

上条「……アウェイ感が半端ねぇな。姫神も吹寄もいないし」

青ピ「よっすカミやん。どしたんでっか?んな不景気な顔して」

上条「お前――青ピ、か?」

青ピ「何ゆうてますのん!ボクしかおらんでこれしかし!――で、カミやん。よかったら放課後、ボクと一緒に出会いを求めてお出かけせぇへん?」

上条「……よかった。お前をその友達と呼んでいいのか、本当に信頼出来る相手なのか、いまだに確定できないのを見るとホッとするよ」

青ピ「偉い暴言吐いてくれよったな!まぁボクもちったぁ下心はあるんやけど!」

上条「欲望に素直なところだけは信用できる……土御門と姫神って、今日休みなのか?」

青ピ「何を言うますのんカミやん。二人ともずっと前に転校してましたやんか」

上条「そう、だっけか?」

青ピ「『世界が救われた』以上、土御門も姫神も学園都市にいるっちゅー必要はないっちゅー話やね。うんうん」

上条「……そっか。じゃあ良かった、んだよな?二人の問題が解決できたのは、喜んでもいいんだよな?」

青ピ「あれもこれもカミやんのお陰ですわ!よっ、大明神!」

上条「……」

先生「おはようございます、上条君……と、青い子」

青ピ「またセンセボクの名前憶えてもらえまへんのっ!?」

上条「先生?い、いや小萌先生じゃ……?」

青ピ「だから小萌先生は教職辞めて研究者に戻りましたやん?『小萌先生の夢が叶ったよー』ってカミやんも喜んでたし」

上条「俺が?」

青ピ「何カミやん、記憶喪失ごっこ?体調悪いんやったら大事取って学校休んだらええとちゃいます?」

先生「そうですよ!そんな、世界を救った人なんですから!無理はしないで!」

上条「あー……じゃあ、早退していいですかね?単位が厳しくなければ」

先生「あ、あのっ、大丈夫ですよ!今タクシー呼びますから!」

上条「いやそこまで大事にしなくっても大丈夫ですから!」



――学校 校門前

上条(あー……どうすっかな。居場所がないっていうか。慣れないっていうか)

上条(世界が救われた、望むの世界になったって言うんだったら一方通行と浜面って、この街にいるのか?……いないだろうな)

上条(他に行く場所がなくてだから仕方がなく、って奴らともう会えない。それは喜ばなきゃいけないんだろうけど)

上条(一方通行とは色々あったし、浜面も完全に気の置けるダチって訳でもなかった。でも、それでも、なんか)

ドンッ

女子中学生「きゃあっ!?」

上条「――っとごめん!前よく見てなかった!」

女子中学生「いえ、それはいいんですけど、その手――」

上条「――って本当にごめんなさいね!どうにもこの子はラッキースケベ体質で!」

女子中学生「あ、いえそれは別にいいんですよ!だってあなた――」

女子中学生「――上条当麻さん、ですもんね!世界を救ってくれた!」



――アーケード

ディスプレイ『お疲れーるがん!みんな、今日も一日お仕事頑張ったよね!』

ディスプレイ『でもぉ、いつまでも気力だけじゃも・た・な・い・ゾ☆そんな時には補給力よねぇ』

ディスプレイ『元気ハツラツ椰子の実ココア!べ、別にあんた達のために勧めてるわけじゃないんだからね!』

ディスプレイ『あざとい、御坂さんあざといわぁ』

ディスプレイ『姉妹ユニット、MSK9969もお姉様とコラボしています、とミサカは販促をしてみました』

上条(良かった……ビリビリや御坂妹、あとちょくちょく見きれる子もアイドルって夢を叶えられて――)

上条(なんか違くね?そんな夢だっけ、か?まあ元気そうでなによりだけど)

上条(てかこの流れだとイギリス清教とかのトラブルも全部解決したんだよ、な。だから家に帰ってもインデックスはいない)

上条(ステイルが嫌味言いに来たりもしないし、神裂が近くのスーパーから食材買って様子見に来ることも、ない)

上条(土御門と舞夏が遊び来るって事もない。世界は救われて、みんな自分のいるべき場所へ帰った。ただそれだけ)



――自宅

上条「――よーし前向きに考えよう!前向きに!だって俺は世界を救ったんだからな!」

上条「多分一生食いっぱぐれないし将来は安泰!なんといってもラッキースケベすら許される!」

上条「お金だって口座にたくさんあったさ!だから豪遊だって許されるぜ!今日は豪華食材を買い込んで来ました!」

上条「最高級の肉と魚と野菜!何か知らないけどそう書いてあったんだから間違いない!」

上条「最高級のお肉は口溶けまろやか、口の中でほどけるサシの入りっぷり!」

上条「最高級のお魚は磯の香りが芳醇、まるでビーチにいるようだぜ!」

上条「最高級のお野菜はもうなんか甘い、なんか料理に使うのを躊躇うぐらいに甘いんだよ!」

上条「これと俺が長年培ってきた料理の腕が悪魔三身合体で奇跡を生む……ッ!!!」

上条「――完・成☆これが自宅メシの最終兵器だ!」 ドンッ

上条「それじゃ、実食の方をね。張り切っていきたいと思いますがね!イタダキマスっ!」

上条「……」 モグ゚モグ

上条「あー……なんて言うかな、こう食材の味が十全にいかされているってゆうかな」

上条「個性と個性と個性がぶつかり合ってお互いの主張を撲殺してる……!こけはまさに味のレゴラン○だ!」

上条「……」

上条「……不味い、あぁ不味いな。なんでこんなに不味くなっちまったんだろう」

上条「暫くメシ作ってなかったから?それとも普段使わないような食材使っちまったせいか?」

上条「……そうか。上里が言ってたのは”これ”か。こういう虚しさか……」

上条「俺はやっぱり世界を救った英雄なんかじゃない。そんなモノが背負えるような大したヤツじゃないんだよ」

上条「バカやって自分の手の届かないところまで手ぇ伸ばして、そんでどうにか生きてるような」

上条「そんな普通の――」

ガチャッ

インデックス「――だっだいまー、なんだよ!なんかスッゴく良い匂いがするかも!」

上条「いん、でっくす……?」

インデックス「なにコレ!?超高級食材の数々を惜しげも無く使っちゃってるし!?とぉぉぉおおおおぉまぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

インデックス「まさかとは思うけど、これ一人で食べようっていうんじゃないだよね!?だったら神に代ってオシオキしなきゃなんだよ!」

ステイル「いいね、神もお怒りだし――っていうか中入ってくれないかな。荷物が一杯で置きたいんだよね」

神裂「……その荷物の半分も抱えていないではないですか、あなたは」

ステイル「ゴリ、もとい聖人パワーは僕にはないからね。ゴリ、もとい違ってね」

神裂「せめて隠しませんか?私のゴリラパワーがあなたの頭蓋骨を粉砕する前に」

インデックス「もー、けんかはダメって言ってるでしょー!めっ、なんだよ!」

神裂「ケンカではなく、というかステイルの場合、意図的にあなたを怒らせている節が」

ステイル「黙れゴリラ女」

神裂「言いましたね?乙女へ対して言ってはいけないことを言いましたよね?……いいでしょう、表へ出なさい」

上条「……」

インデックス「――ってとうま、泣いてるのっ!?お腹痛いのっ!?」

ステイル「あー、アレだね。普段食べ慣れない物を食べたからだね」

神裂「み、見せなさい!ポンポン痛いんでしたら、温めれば多少は和らぎます」

土御門「ちなみにこのメイド服を着れば回復効果UPするんだぜぃ!」

神裂「そうですか!では早速――なんて、言うとでも思ったのかこのド素人がッ!」

土御門「ねーちんキレたっ!?」

上条「お前ら……ウルセェよ!一人でゆっくりする時間もねぇじゃねぇかよ!」

上条「いいから全員手ぇ洗ってうがいしてこいよ!インフルエンザ流行ってんだから帰って来たらマナーでしょうが!」

ステイル「君は僕の母親か」

上条「似たようなもんだよ!俺が全力で作った高級メシ冷めちまうだろ!」

……

ネフテュス「……良かった……!青い鳥はいたのね!」

娘々「いいのか?多分依頼人と大分外れたないようになってっけど?」

ネフテュス「大丈夫よ、そんな時にはこんな言葉があるの――」

ネフテュス「――終わりよければ全て良し、って」

娘々「投げっぱなしだな☆」



(※青い鳥はどこにでもいます、ただ見えないだけで。ご応募ありがとうございました)



――上条のアパート 平日の昼間

オティヌス「『平日の昼間から書き込み乙wwww』と」 カタカタカタカタッ

インデックス「同じ昼間に書き込んでる時点でもう、誰が何を言える資格もないと思うんだよ」

オティヌス「私はこうあれだ、家事手伝いのようなものだからな。働いてるし」

インデックス「わたしもとうまの役に立ってるとは口が裂けても言えないけど、16cm弱の人に家事は物理にちょっと」

オティヌス「まぁ、成果よりも心意気が大事というヤツだな。うむ、感心感心」

インデックス「というかそのけーたい、どこから仕入れたのかスッゴイ気になるんだよ……!」

オティヌス「あぁ家計にダメージは与えないから安心しろ。無料ケータイのようなものをフリーwifiのような回線を使って無料と思しき接続方法で使ってる」

インデックス「安心できる要素一つもないよね?」

オティヌス「隣のグラサン陰陽師からもらった。こちらも『グレムリン』の情報を幾つか流したし、ある意味正当な労働の対価と言っていいな」

インデックス「じさくじえん乙、なんだよ……!」

オティヌス「話があるならちょっと待て。今ID変えて煽るから」 カチッ

インデックス「よく分からないけど……不自然に議論が画一化していれば、それはもう同一人物だってバレるんじゃない?」

オティヌス「そしてな。何が凄いってこれやればやるほど、時間を費やせば費やすほど議論の勝ち負け関係なく負けたと思うんだ」

インデックス「とうま帰って来たら会議だからね?違法性はないかもなんだけど、あまりにも生産性がないっていうか」

オティヌス「生産性――その言葉だけが一人歩きしてしまった。現代病を克服にはまず分析が必要ではないか」

インデックス「――で?今日はとうまにくっついてかなかったみたいだけど、何かあったの?」

オティヌス「……ふん。運営に課金したら特別なライセンスが貰えるらしいのだ」

インデックス「騙されてるよね?それ多分煽り煽ってるのに荷担してるのもうんえーの人が絡んでないかな?」

オティヌス「まぁ……あれだ。十字教徒でもあるお前には分からないかも知れないが」

インデックス「ちょっ!ばかにするのは許せないかも!こう見えても10万3001冊の魔導書を収めた私に死角はないんだもん!」

オティヌス「実は……ここだけの話、日本には”バレンタイン”とか言う謎の土着の信仰があるらしくてな」

インデックス「うんそれやったね。確か大分前に外国人が日本のバレンタイン見たら、『名前が同じイベントがあるんだね!』って認識するらしくてね」

インデックス「一応……先輩だから言っておくけど、日本のバレンタインも海外がルーツらしい、んだよ」

オティヌス「解せん……何をどう魔改造したらプレゼント交換をする日が女が男へ求愛する日にすり替わったんだ?」」

インデックス「お菓子メーカーのいんぼーだって説もあるけど、私的には色々なチョコが食べられて嫌いじゃないんだよ」
    
オティヌス「まぁ我々は我々の流儀で行こう――と、いう訳でどうしたらいいと思う?」

インデックス「さっきから会話がブツ切りでよく分からないんだよ……」

オティヌス「”バレンタイン、女子”でお前の魔導書をググってみるがいい」

インデクッス「そのワードで検索かけたら、確実に血みどろドロドロの残念な結果しか出て来ないし……まぁ、何となくは分かるよ」

インデックス「とうまに日頃の感謝を込めて何かあげよう、って相談なんだよね?」

オテイヌス「あれだお前はこう体にテープでも巻いて『プレゼント』でもしたらどうだ?」

インデックス「布地面積だったら、あなたの普段着もそう大差ないと思うんだよ」

オティヌス「私はこう、嫁入り前かつ淑女だからな。そんな恥ずかしい真似はとてもとても」

インデックス「あれは?お前とは違うんだぞ、って言外に言われてるような……?」

オティヌス「分からないフリをして劣情を誘っているんだろ?まぁそういうのが好みのもいるが」

インデックス「……」

オティヌス「そもそも10万冊の魔道図書館の中にはエログロが相当数上るだろうし、その内容を熟知しているお前が性へ対しておぼこというのも矛盾が」

インデックス「ごー、なんだよスフィンクス」

スフィンクス「なー!」

オティヌス「おい止めろ!?毛玉をけしかけるなんて捕虜の扱いにしてはあんまりだ!」

インデックス「あー、私は何も見てないかもー。だってカナミンの時間だしー?」

オティヌス「せめてもっとこう、あぶっ!?舌がザラザラしているのは骨から肉をこそぎと――」



――

オティヌス「――ま、今日はこのぐらいしてやろうか」

インデックス「スフィンクスにベッタベタにされても虚勢を張れるのは……うん、凄いと思うかな」

オティヌス「これ以上すると私が泣くぞ。残り全てビービー泣いて引かせてやろうか!?」

インデックス「あなたは身長も縮んだけど、人としての器もちっちゃくなったんだよね」

オティヌス「私も随分丸くなった物ものだな、とは考えるがね」

インデックス「丸いってゆうかおバカになったっていうか……まぁ、パレンタインにプレゼントするのは賛成かも」

オティヌス「お前のたっての望みならばエロいことは勘弁してやろう。この体では少し無理がある」

インデックス「……て、ゆうかなんだけどね。前から思ってたんだけど、あなた元に戻れるんだよ?」

オティヌス「何を馬鹿なことを。今の私はただの喋るフィギュアに過ぎん」

インデックス「……この間、夜中に目が覚めたらシャワールームに電気が付いてて。『あれ?今日はとうまお泊まりなのに?』って見に行ったら」

インデックス「1/1スケールに戻ったあなたがシャワー浴びてて、『あ、やべ』って言って小さくなったよね?って私の記憶にはあるんだし」

オティヌス「目の錯覚だな。遠近法で望遠レンズを使ったから圧縮効果が出たんだ」

インデックス「そもそも魔術兼文化人類学の専門家として言わせて貰えれば、妖精ってのは等身大のものがメジャーであって」

インデッス「あなたのような小さな羽の生えてないフェアリーもどきは『妖精』って言うのは、ねぇ、なんだよ?」

オティヌス「――さ、禁書目録!与太話はいい加減にしてプレゼントを決めようじゃないか!」

インデックス「……段々とうまの影響で都合が悪くなったら声を張ればいいって……まぁいいけど」

インデックス「プレゼント……普通はお花にメッセージカードを添えるんだよね?私やったことないけど」

オティヌス「そうらしいな。私もしたことはないが」

インデックス・オティヌス「……」

インデックス「……チラシの裏に『いつもありがとうなんだよ!』って書いたら、ダメだよね」

オティヌス「キレられはしないだろうが、10分ぐらい悩んだ後でパクチー噛みしめたような笑顔で『ありがとう?』とか言いそうだよな」

インデックス「とうまの場合、反対に泣きながら『一生宝物にするよ!』とか言いそうなのかも」

オティヌス「発想が完全にお父さんだもんな。多分お前の描いた絵とか取ってあるぞ」

インデックス「枯れてるよねー……まぁ、女子力のない私たちで話し合ってもラチがあかないし、まいかに相談してみる?」

オティヌス「この時間なら――早番だったら帰っているだろうしな」



――土御門のアパート(隣) 昼間

舞夏「――なるほどー。お前らの頼みは分かったし」

舞夏「でもそれよりいつの間にか増えた喋るフィギュアが気になるんだぞー?これ一財産かせげそーだなー」

オティヌス「中の人が遠隔操作していると思ってくれ」

舞夏「ケータイで撮るから何か踊ってくれないかー?つべに上げればマジで話題になりそうだなー」

インデックス「それをされると世界中からダース単位で怖いオジサンとお姉さん達に囲まれるから、勘弁してほしいんだよ」

オティヌス「そういえばお前も超重要人物だったんだよな。たまに忘れるが」

舞夏「まぁ、いいぞー。乙女力の高さを見込んで来られた以上、わたしが無碍にする理由もないしなー!」

オティヌス「おい、この女『女子力』って言ったのに勝手に『乙女力』って改竄してるぞ」

インデックス「そ、そういう細かいツッコミはいいんだよ。お願いする立場なんだから下手に出るんだし」

舞夏「で、お前らは何がしたいんだー?ベタにチョコを溶かしてから成型するのかー?それともお料理でドヤ顔するとかー?」

オティヌス「例えばだ。定番のチョコを頼んだ場合は?」

舞夏「そだなー。実習で使った余りのチョコがあるからなー、私監督の下でやればバッチリだぞー」

インデックス「料理をお願いしたら?」

舞夏「冷蔵庫にある食材でキッチリ美味しい料理を作ってみせるぞー。メイドの名にかけて家計にも優しいエコな仕様だな−」

オティヌス「……むぅ」

インデックス「……どうしよっか?」

舞夏「なんだー?私の腕を疑うのかー?」

インデックス「ううん。まいかは信じてるし、実績もあるんだけどね」

オティヌス「手作り感皆無というか、

舞夏「贅沢だなー。ウチの兄貴なんかチロ○だけで泣いて喜ぶんだぞー?」

インデックス「それはもうちょっと労ってあげてほしいんだけど……まいかはどうすればいと思うのかな?」

舞夏「なんでもバッチコイだと思うなー、上条だったらなんだって喜んでくれると思うけどー?」

オティヌス「……折衷案だ。ぶきっちょなシスターと15cmのフィギュアでもできる、素人目にはそこそこ感動できるものはあるか?」

舞夏「むむ……!縛りが厳しい上、打算をそこまで前面に出すのは清々しいんだぞー!」

舞夏「そうなー……チョコの成形はまだ簡単な方じゃないかー?」

インデックス「じゃ、それをできるようにお願いしますっ!」

オティヌス「ふ、精々気を入れて教えるが良い!」

舞夏「おい、このスモールなフィギュアの態度はなんでラスボス級にデカいんだー?」

インデックス「それは許してほしいんだよ。ラスボスのはずが実は中ボスだっただなんて、あまり自分からは言い出しにくいだろうし……」



――上条のアパート 昼間

オティヌス「いいか、禁書目録?実行部隊はお前しかいないんだ。お前の働きに全てがかかってるんだからな!」

インデックス「張り切るのは分からないでもないけど、どうしてあなたがそんなに偉そうなのかな?」

オティヌス「口だけしか出せないからな!手伝おうにも猫の手に劣ると言っても過言ではない!」

インデックス「だったらそれなりの態度っていうか、もう少しシュショーになったほうがいいんだよ」

オティヌス「まぁ案ずることはないさ。お前と私、二人の知識を合わせれば恐るる物など、ないっ!」

インデックス「魔術分野だけだね。私の辞書の中じゃ『屍食教典儀』ぐらいしか役にたちそうなのはないかも」

オティヌス「カニバリズムとチョコレートの関係性はいったん置いておこうか」

インデックス「まぁお料理のしろーとが二人、ってゆうだけなんだし」

オティヌス「では確認事項から」

インデックス「まいかから食材も分けてもらったし、手順も教わって、必要な調理器具もオーケー、なんだよ?」

オティヌス「よし。ならば私がいう通りにするんだ、いいな?」

インデックス「だからなんであなたが仕切ってるのかと。てゆうか私も分かるし」

オティヌス「あぁほら、それはやはりこの体ではどうしようもない以上は、せめて監督をするという体で共同作業感を出そうかと」

インデックス「やっぱりあなたは人としてのスケールも小さくなっちゃったかも。まぁいいんだよ」

オティヌス「『ではまず鍋に水を3分の1ぐらい入れ、コンロにかけて火をつけるんだぞー』」

インデックス「はーい」 ジャーッ、カチッ、ジジジジッ

オティヌス「『次に弱火に落して、耐熱ボウルを鍋の中へ入れるんだー』」

インデックス「まいかのモノマネが地味に似てるんだよ。てかカラナベにならないかな?」

オティヌス「まだほぼ水だろうし問題はなかろう。で、その間に耐熱ボウルの中へチョコを割って入れる」

インデックス「………………じゅるっ」

オティヌス「お前は獣か!?朝も昼もあれだけ食べておいてまだ足りんのか!?」

インデックス「ちょ、ちょっとだけ味見してみた方がいいんじゃないかなっ!?」

オティヌス「まだなにも足し引きしていないし、袋から出して数秒しか経ってない。だからその手を離してボウルへ投下しろ!」

インデックス「……軽いジョークなんだもん」

オティヌス「完成したら一つ二つやるから我慢しろ……その間に型を用意するんだ」

インデックス「えぇと、アルミホイルを容器にして上へ乗せるのかな?」

オティヌス「弁当に入ってる謎の銀の小皿があればよかったのだがな。まぁないものは仕方がない」

インデックス「チョコも大分溶けてきたね。次はナッツとアーモンドを砕いて」 ゴリッゴリッ

オティヌス「そのままでもいいと言っていたんだが……予想以上に強い握力で潰したな。まぁいいさ。とにかく入れてかき混ぜろ」

インデックス「はーい」 パラッ、ササッ

オティヌス「焦がさないように弱火で、というか焦げようがないか」

インデックス「熱を加えすぎるとハクリする、っても言ってたよね。どういう意味なんだろ?」

オティヌス「チョコの中に入ってる牛乳じゃないのか?」

インデックス「でも固まってるってことは、一端熱を加えたってことじゃないのかな?」

オティヌス「私に聞かれてもな。お、それよりももういいんじゃないか?」

インデックス「だね。これをアルミホイルの中へ盛って……できた!」

オティヌス「完成だな!」

インデックス「……なんだろうね。とうまのお料理と比べると『お』ぐらいのレベルなのかも……!」

オティヌス「慣れぬものを無理する必要はないさ。少しずつ練習していけばいつの日か得意になるさ」

インデックス「うんも、ありがとう。あなたがどこの立ち位置でどんな目線で言ってるのかは別にして、その通りなんだよ」

オティヌス「うむ、精進するがよい」

インデックス「……本当にこの人が世界の敵だったのかな……?」

オティヌス「あとは粗熱を取ってココアをふりかけ、冷蔵庫で数時間冷やせば出来上がりだったよな」

インデックス「そうかも。とうまが帰ってる来る頃にはできるんだよ」

オティヌス「そう考えるとこの選択肢がベストだったのかもな。あまり手の込んだ物も難しいし」

インデックス「ギリギリまで話を振らなかったあなたもどうなのかな?」

上条「――だっだいまー。あれ?お前らキッチンで何してんだ?」

オティヌス「こんなときだけ早く帰って来やがって!?まずい!隠――」 バスッ

インデックス「お、お帰りなんだよっとうま!早かったんだね!」 ガチャガチャガチャッ

上条「お、おぅ。今日はそんなに事件も起きなかったしな、てかインデックスさん、そのそれ――」

インデックス「これ!?とうまが何を言ってるのか私には分からないかも!」

上条「というかチョコ臭がこれだけさせといて何かもないもんだが、まぁそれよりもまず、それ。なんとかした方がいいんじゃないか?」

インデックス「ど、どれ?」

上条「や、だからそれ↓」

オティヌス(※チョコの沼へダイブしている)

インデックス「な、なにしてるんだよーーーーーーーーーーーーーーーっ!?」



(※作中に登場したチョコはスタッフ(主にシスター)が美味しくいただきました。なお手作りチョコ(アホ堕ち妖精風味)は「猫の毛の味がするかも」との感想だそうです。ご応募ありがとうございました)



――とある病院

看護師A「ダメです!クランケ息をしていません!」

看護師B「こちらも……厳しいですね。出血が多すぎる!いくら輸血しても足りない……脾臓系の損傷が疑われます!」

看護師長「諦めちゃダメよ。近場の病院はここしかないし、他の受け入れ体制が整うまで私たちが踏ん張らないでどうするの!」

看護師A「ですがあまりに人が多すぎます!トリアージをつけて救えるだけのクランケを選別しないと!」

看護師長「まだ、まだよ。ここの病院の受け入れ体制ならなんとかできるわ!」

看護師C「――チーフ大変です!事故現場が崩落して、下にあった道路で大勢の方が巻き込まれました!」

看護師長「なんてこと……!」

看護師C「警備員の広域防災から追加で30は受け入れられないかと打診が!」

看護師A「30!?」

看護師B「……チーフ……」

看護師長「……私たちは神様じゃない。断っ――」

カエル先生「――その必要はないね?」

看護師長「先生!」

カエル先生「救える分は限られる?それはその通りだと僕は思うね?」

カエル先生「僕たちは神様なんかじゃない?それもまた然りだよね?」

カエル先生「――けれど、だからといって諦めていい理由にはならないね?僕たちが医者である限り救えるものは全部救うんだ」

カエル先生「『全員を受け入れる』と広域に返信、あとそっちの患者さんは敗血と出血でショック起こしているから処置室へ運んでほしいね?」

看護師B・C「はいっ!」

カエル先生「あと君……名前は忘れてしまったけどね?」

看護師A「す、すいませんっ!」

カエル先生「時間も無いしお説教なんてしないよ?自分の出来ることを把握した上、的確な判断を下さなきゃいけないことはある。それは大事だね?」

カエル先生「けれど時には無理してまで片意地張るときがあるんだよね?男ってのはそういうものさ」

看護師A「で、ですが先生!幾ら先生でも奇跡は起こせませんよ!」

カエル先生「そうだね。僕だけじゃ無理さ、でもね?」

警備員「――失礼するじゃん!近場から医者を集めてきたじゃんよ!」

白衣の女性「どうも、先生。ご無沙汰しています」

杖を突いた少年「……なンで俺まで」

警備員「文句を言わないじゃんよ!誰が食費出してると思ってるじゃんか!」

杖を突いた少年「そンなに食ってるつもりはねェけどな」

アホ気の少女「って言ってるクセに、トリアージタグをチェックしてるなんて、ミサカはミサカは、『よっ、このツンデレ!』ってからかってみる!」

杖を突いた少年「うるせェわ。来た以上は仕事しねェと能なし呼ばわりはごめンだろうがよ」

看護師A「こ、この人達は……?」

カエル先生「と、まぁこういうことだね?頼んでもいないのにお節介な人種は一定数いるって事だよ」

カエル先生「さ、急いで受け入れ体制を整えるんだね?これ以上は僕でも無駄話は惜しい」

看護師A「はい、先生っ!」

看護師長「……」

カエル先生「あぁチーフ?」

看護師長「……はい」

カエル先生「よく僕が帰るまで持ち堪えてくれたね?ありがとう」

看護師長「……いいえ、先生」



――数時間後 冥土帰しの私室

カエル先生「疲れたね?いつも賑やかだったけど、今日は大繁盛だったよ」

カエル先生「”彼”もたまぁ、歪んではいるが真っ直ぐ育ちそうで一安心だね?」

カエル先生「しかしあれだけの事故が起きて死者がゼロ名。後遺症の疑いもなし――と、いうかね?」

カエル先生「前にも言ったと思うけど、僕を試すのは止めてほしいと言ったよね?」

アレイスター「――流石というか、当然というか、だな」

カエル先生「楽しい夢を見せてくれようとした君の気持ちは買うがね?もっとリアリティを出してくれないとね?」

アレイスター「近代魔術の祖となる私にそこまで言うのは君ぐらいだよ。何が悪かったか、後学のためにも伺っても宜しいかな?」

カエル先生「ウチのスタッフはあの程度でギブアップするような鍛え方はしてないね?口を動かす暇があったら手を動かす」

アレイスター「それは失敬。どうにも私は私以外の人間を見下す癖があるようだ」

カエル先生「それ自体は誰でもあるね?君はそれなりの能力を持っているから、仕方がなくも思うね?」

アレイスター「しかし一方通行は良かっただろう?アドリブで入れてみたんだ」

カエル先生「夢ではないよ?」

アレイスター「うん?」

カエル先生「君が夢でわざわざ再現せずとも彼はもう”そういう”ものだね?決まった現実を再現するなど芸が無いよ?」

アレイスター「……どうも先生は私へ対して評価が辛辣だな」

カエル先生「少しは反省したかい?」

アレイスター「次はもっと迫真の夢を見せるとしよう。異世界で転生するのが流行っているらしいが、どうだろうか?」

カエル先生「新しい症候群にカウントされそうだね?というかこんな夢を見せてくれてありがとう、と言うべきなのか」

カエル先生「それとも私を喜ばせるだけのために事故を起こさなくてくれて良かった、と言うべきかね?」

アレイスター「私もジョークで済ませていい割り切りぐらいはするさ。それが他人と同じとは限らないが」

アレイスター「しかし残念なことにだ。我が数少ない友人の一人はハマってしまっていてね」

カエル先生「脳幹君が?」

アレイスター「見るかね?ちょっと面白いんだよこれが」



――

イングリッシュ・フォックスハウンド「……」

芹亜「――見つけた……ッ!」

イングリッシュ・フォックスハウンド ビクッ

芹亜「もーう逃げられないぞー?もふもふ、もふもふもふもふもふっ!」

???「――待ちたまえよ!」

芹亜「だ、誰だっ!?」

脳幹(???)「そのお嬢さんに指一本でもふれてみたまえ。私の牙が黙っちゃいない!」

芹亜「……」

脳幹「ふっ、私の華麗な姿に言葉を失ってしまったようだな。さぁお嬢さん、今の内にこちらへ逃げるんだ」

芹亜「もふもふが、増えた……っ!」

脳幹「……ぇっ?」

芹亜「もふもふさせろゴラァァァァァァァァァァァァァッ!!!」

脳幹「ちょっ!?どこを触って!や、やめたま――」

脳幹「ア゛ッーーーーーーーーーーーーーー!!!?」

……

脳幹「――ふ、飛んだ醜態をお目にかけてしまったようだ、お嬢さん。だがしかしこれには理由があってね」

脳幹「もう少しでスーパーデンジャラスロマンティック・ファングが炸裂していたのだが、相手は友人の教え子だからね」

イングリッシュ・フォックスハウンド「……わんっ」

脳幹「あぁ怪我はないとも。あの程度のもふもふされて我を失いかけはしたものの、ダメージなど一切――む?」

脳幹「き、君は!?イングリッシュ・フォックスハウンドではなくサザン・ハウンドの子ではないのかね……ッ!?」

サザン・ハウンド(イングリッシュ・フォックスハウンド)「ワンっ!」

脳幹「……そうか。これはまた神様も暇を持て余してでもいるのかな?」

脳幹「――よかろう!これもまた何かの縁だ、君は私が守り抜いてみせる……ッ!」



――

アレイスター「と、いうね」

カエル先生「ごめんね?なにがツボなのか、僕にはちょっと難度が高いね?」

アレイスター「ローマの休日的なの、あるだろう?貴人がお忍びで、というのを颯爽と助ける話さ」

カエル先生「脳幹君は好きそうだけどね?」

アレイスター「サザン・ハウンドというのは絶滅した品種であって、彼女をヒロインに脳幹君が活躍する物語を整えてみたんだ」

カエル先生「僕からはこれ以上のコメントは差し替えるよね?」

アレイスター「完結に言えば彼もレトリバーではなく所詮オスリバーだった、ということだ」

カエル先生「そこでオスを強調する必要はないね?てゆうかそのシチュエーションで燃えない男子は男子じゃないね?」

アレイスター「いやそれが……」

カエル先生「まだ何かやらかしたのかな?だから君僕ら以外に友達がいないんだね?」



――

女性「助けて下さい!」

上条「オッケー、俺に任せろ!」

悪役「そげぶっ!?」

女性「ありがとうございしまたっ!実は私アイドルなんですけど、お礼」

上条「あ、すいません。結構です、失礼します」

女性「え?」

少女「……誰か……!?」

上条「その幻想を以下略!」

別の悪役「そげぶぶっ!?」

少女「ありがとうお兄ちゃん……大好き」

上条「あぁ大人になったらまたな!今ちょっと条例とか厳しいから!」

少女「……え!?」

上条「え、じゃねぇよなんで驚いてんだよ」

御坂「ちょっとあんた!」

上条「あ、どうもこんにちは」

御坂「あ、うん、どうも」

上条「最近温かい日も多いけど、まだまだ寒い日もあるもんな。風邪とかに注意しろよ、なっ?」

御坂「う、うん。あんたもね」

上条「それじゃ俺は補修があるから。またな」

御坂「そ、そうね!ガンバってね!」



――

カエル先生「これはこれでジワジワ来るものがあるよね?特に最後の子が『突っかかるつもりだったんだけど、優しい言葉をかけてもらって満足した』ってチョロさが」

アレイスター「というか彼、夢も現実もそんなに大差ないから、彼の中ではもう流れ作業の一環としてしか認識してないっていうかな」

カエル先生「ヒロインの一人が明らかにアレなのはどうかと思うね?」

アレイスター「中々ヒロイン確定しないから、念のために入れてみた。どうやら違うようだね」

カエル先生「そして君、彼の好きそうなタイプをわざと入れてないって事は、ただオモチャにしたいだけなんだよね?」

アレイスター「勿論そうだが?」

カエル先生「いつか刺されるね?」

アレイスター「もう刺されたさ」



(※ヘンタイはこの二人(一人と一頭)には微妙に甘えてる感があるんですよね。ご応募ありがとうございました)



――ロンドン某所 天草式女子会

五和「えーっと、本日は皆様お忙しいところをわざわざお集まり頂きありがとうございます。第○○会天草式女子会を始めたいと思います……が」

五和「今日はですね、ゲストの方がいらしてまして。どうぞー」

神裂「神裂と申します。不調法者ですがなにとぞよしなに」

対馬「五和ー?」

五和「いや私が誘ったんじゃないですよ!?ただ一升瓶を両手に抱えてお酒のつまみをもてないどうしよう!って迷ってたら助けて下さったんです!」

対馬「100%あんたのせいじゃん」

神裂「あまり五和を責めないでください。女子会と聞いて参加したと無理を言ったのも私の方ですから」

対馬「いえあの、女教皇は悪くないんですよ?悪いのはただの飲み会だと言えずに『女子会』と嘘を吐いたこのおバカが全て」

五和「……いい訳のしようもございません……」

神裂「アルコール、ですか?でしたら未成年の私は外した方が……」

対馬「いやいいんですっいいんですよ女教皇!たまには女子だけでパジャマパーティ的な!したかったですし!」

神裂「そう、ですか?実は私も女子会というものを前から一度やってみたく思っていました――が、女子、会?」

対馬・五和「女子ですが何か?」

神裂「……いえ、なんでも。お二人とも私が幼少の頃から姉であり、姉弟子である方へ言えることと言えないことが」

五和「まぁでもちょっと新鮮ですよね。女教皇とご一緒できる機会なんて殆どありませんし」 キュポンッ

建宮「そうなのよな。我らもわざわざロンドンまで追いかけてきて正解だったのよ」

対馬「ですよねー。まぁそれは分かったから、教皇代理、ハウスッ!」

建宮「なんでなのよ!?俺だって女子会でみんなと遊びたいのよな!?」

対馬「その女子の定義から入ってないでしょうアンタは」

建宮「差別なのよ!×××も着いてるし改造もしてないし女が好きだけど、女子!この多様性に溢れる世界に一人ぐらいいたっていいのよな!」

神裂「『女性』の定義に擦りもしていませんが、それは」

五和「まぁまぁいいじゃないですか……ぷはーっ、建宮さん一人ぐらいいたって、ねぇ?」

対馬・建宮「……」

神裂「……おや、五和……?アルコールなしなのに早速一杯空けて、ませんか?」

五和「いやですよぉ。これはただのジュース――じゃなかった!私ったらついうっかり!」 ゴッキュゴッキュゴッキュ

神裂「お酒のことは分からないのですが、少々ハイペース、ですよね?」

建宮「――おおっと俺は野暮用を思い出したのよな!これでしっけ――」

五和「座れよ、まぁ座れ、なっ?」

建宮「……いやあの、よ?五和?俺はお前の上役だし、そもそも女教皇の前で大ドラになっちまったら、後日後悔するのはお前さん」

五和「飲め、ほら?好きだろ、なっ?」

建宮「…………はい、いただきます」

神裂「えーっと……五和?無理に酒を勧めるのはアルハラと言いましてね」

五和「――で、ぶっちゃけ女教皇はどうなんですかー?」

神裂「どう、とは?」

五和「決まってるじゃないですか!上条さんですよぉ、上条さんのこ・と・を!」

神裂「善き少年だと思っています。未熟なところもありはしますが、それは時間が解決するでしょうし」

五和「ちっがぁぁぁぁぁぁぁぁぁうんですよ!ンなこと聞いてんじゃないんですよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!」

神裂「五和、近い。そしてお酒臭いです」

五和「私はねっ!?そんな建前が聞きたいってんじゃないんですよ!?もっと本音で語り合いたいんです!」

神裂「と、言われましても」

五和「エロい目線で見たりはしないんですかっ!?」

神裂「なんでですかっ!?どうしてそこで突如としてシモの話に繋がるのです!?」

五和「またまたー?そんなエロい格好してて今更、ねぇ?」

神裂「だからこれは天草式の術式だと何度言ったら!というかあなたは関係者ではありませんか!?」

対馬「……どう思います?」

建宮「正直、俺の娘が同じ格好だったら叱りつけるのよな」

対馬「そっちじゃねーよ。誰が女教皇の露出の話をしているのよ」

建宮「凄いのよな女教皇!五和と互角にやり合っているのよ……!」

対馬「流石に五和も遠慮して実力行使へ出られないだけだと思うけど……」

建宮「まぁ二人は放っておいてバレンタインのプレゼントを決めちまうのよな」

対馬「そうね。ってなんでアンタが知ってんですか」

建宮「ふっ、この天草式で俺が把握してないのは対馬の男性遍歴ぐらいなのよな……ッ!」

対馬「いなくて悪かったな!アンタらみたいなアホどもを相手にしたらそりゃ男性不信にもなるわ!」

建宮「ぶっちゃけると基本、ヤローは幾つになってもアホなのよな。それを取り繕うのが上手くなっただけで」

対馬「そんなことないわよ!それは特定の頭イタイ連中だけで王子様のような真摯な人が居るに決まってるわ!」

建宮「可能性がゼロとは言わないのよ。俺らから見ても『聖人か!?』みたいなのは極々稀に入るのよ、稀によ」

対馬「でしょうっ!?」

建宮「けどな、その王子様とやらはお前さんみたいな若くもないし、かといって熟女とも言えない相手を選」

対馬「――五和、ゴー」

五和「はーいアフロ、お口を大きく開けてくださいねー?」 ゴポッ

建宮「待つのよ五和!?その焼酎をストレートで飲むのはいくらなんでも――ごぶっ!?ごがぼぼぼぼぼぼっ!?」

神裂「私は今、人が罪を犯すのを見ているのでしょうか……?」

対馬「い、いえお気にならさらず女教皇!いつものじゃれてるだけですから!」

五和「お、いい飲みっぷりだなアフロ!お前こっち来て飲めよ!なっ?」

神裂「……あの、それは流石に看過できないのですが。組織の長としても、人としても」

対馬「――はい、って訳で女教皇はこちらへどうぞ!建宮さんの思いを無駄にしちゃ駄目ですから!」

神裂「思いもなにも」

対馬「建宮さんはこう言っていました――『俺らぁよ、女の盾になって死ぬのが本望なのよな』、って!」

神裂「概ね生きていますよ?ともすればトドメを刺されそうな雰囲気ではありますが」

対馬「あっちはあっち、こっちはこっちでお話ししましょうね!それがお互いのためでもありますから!」

神裂「はぁ。まぁいいですけど」

対馬「それでですね女教皇。我ら天草式の間である計画が持ち上がっていまして」

神裂「企画、ですか?……まさかいかがわしいものではないでしょうね?」

対馬「まさかですよ!?教皇代理でもあるまいし!」

建宮「俺は……そういうのがしたか――げふっ!?」

対馬「あ、ほら見て下さい。あっちで神罰が下っていますから」

神裂「神罰にしてはやたら作為的なのですけど。まぁ建宮もたまには痛い目を見た方がいいでしょう、それで?」

対馬「バレンタインってありますよね?」

神裂「……ありますね。というか私、オチが読めてしまったのですよ。どうせあの少年に日頃の感謝を込めてプレゼントしよう、とそういう話なのでしょう?」

対馬「流石は女教皇!慧眼ですね!」

神裂「この話の流れでそれ以外でしたら怖いですよ。しかしバレンタインですか……そうですね。とてもいいアイデアだと思います」

対馬「宜しければ女教皇もご一緒にどうでしょう?何か贈り物を送られては?」

神裂「私もですか。悪くはない、決してない、ないとは分かっているのですが」

対馬「やたら溜めますね。気が乗りませんか?」

神裂「感謝の念を伝えるのに異議はありません。ただその、こういうイベントをこなすと小学生男子のように囃し立てる人間がですね」

対馬「ご心配なく!アホ……じゃなかった、建宮は私たちの方で亡き者にしておきますから!」

神裂「そこまで気を遣われても。忖度殺人ですよね、それは」

建宮「ハンタ○で無理矢理の言い訳……」

五和「はーい建宮さん、こっちで私と飲み明かしましょうねぇ?今夜は寝かせませんよぉ?」

建宮「そんな可愛く言われても嫌なもんは嫌なのよな!待ってるのはセクシィーな体験じゃなくプロレスラーの飲み会なのよ!」



――学園都市 上条のアパート

神裂「――と、いう訳で建宮は入院中でして」

上条「どんな訳だよ。許してやれよアルハラだろ明らかに」

五和「べ、別にやましいことはありませんでしたからねっ!誤解しないで下さいよ!」

上条「余計にヒドさが増したな!建宮はボランティアで肝臓壊しただけだからね!?」

五和「まったく!建宮さんったら乙女を酔わせて何する気だっんだか!」

上条「……ちょっと可哀想になってきた。笑いを取りに行って身を削ってんだ」

神裂「今回の件はともかく、日頃のイタズラを懲りる――訳はないですよね。えぇ、分かっていますとも」

上条「その原因の半分以上は、お前らがいいリアクション取るからだからね?」

神裂「と、という訳で、えぇと、どうぞ?つまらないものですが」

上条「あぁすいません、気を遣ってもらっちゃって。お返しはそれなりにものを――って重っ!?」

五和「失礼ですよ上条さん!?女教皇のプレゼントが重いだなんて!」

上条「そういう意味じゃない。持ってみろよ、ほれ」

五和「失礼します……あれ?妙にこう、ズッシリきますね」

上条「だろっ?」

神裂「あの、流石に人の贈り物を重さでイジるのは礼儀に反するかと」

上条「ごめんなさい。てかこれ中身なに?」

神裂「羊羹です」

上条「おい誰か!この天然にバレンタインの主旨を教えてやってくれ!」

神裂「なんですか失礼ですね、相変わらずあなたという人は」

五和「あの、女教皇?こちらへどうぞ、お説明致しますので」

神裂「いえ結構ですよ。私だってパレンタインの意味ぐらいは――と、離して下さい」

上条「間違いじゃないし、ズッシリと腱鞘炎になりそうな重さはお高くて良いものだって分かるよ!分かるんだけどな!こう、うんっ!」

対馬「ごめんねー?ウチの子達はみんな良い子なんだけど、コミュがちょっとコミュじゃないからアレなのよねー」

上条「その説明だけでお腹いっぱいだよ。仲間同士で仲が良いのは悪い事じゃないけどもだ」

五和「……女の子が…………っていう……」

神裂「……あぁ!そういう!」

上条「おいスッゲー驚いてんですけどそこの聖人」

対馬「まぁ、教皇代理を筆頭にウチのバカどもも変なことを吹き込めなかったって弊害がね」

五和「……永遠の愛…………ラブラブ石破……」

神裂「なんと…………ハレンチな……!」

上条「建宮も五和も、実は中身互換性あるんじゃないか?変な方向へ偏ってて、その角度が割かし似てるっていうか」

対馬「さっ、そんなことはどうでも良いとして!私からのチョコを上げるね!」

上条「神裂の羊羹も普通に嬉しいんだが。はい、ありがとうございます。中、開けてもいいですか?」

対馬「いいけど普通のよ。近くのコンビニの季節モノのラックから選んだヤツだし」

上条「……ぐすっ」

対馬「なんで涙ぐむの!?普通のチョコなのに!?」

上条「だ、だって普通のチョコくれる人がいなくて……!」

対馬「……はい?」

上条「みんななんか、ネタに走ったとしか思えないブツばかりが……妖精で型取ったのとか!」

対馬「あー……張り切って失敗しちゃったパターンかー……」

五和「ぐぬぬぬ……!敵は本能寺ではなく明智光秀でしたか……!」

対馬「違うから!そういうことじゃないから!ねっ!?五和はっ!?五和も作ってきたんでしょチョコっ!?」

五和「あっはい、勿論ですよぉ!どうぞ!気持ちです!」

上条「あ、うん。おしぼりね、ありがたいんだけども、今は別にほしいって気分じゃな――」

上条「……」

上条「……はい?」

五和「よく見て下さいよっ!おしぼりじゃないんです!」

上条「おしぼり……型の、チョコケーキ、ですか?」

五和「はいっ!」

上条「好き、なの?」

五和「そんな上条さんったら!はっきり聞かないで下さいよっ恥ずかしいじゃないですか!」

上条「うん、ごめんね。何か知らないけど、頑張ってな?」

神裂「……すいません。私の目には引いているように見えるのですが」

対馬「奇遇ですよね。私もそう見えます」

上条「ま、まぁ今お茶入れるから!よかったら全員で食べようぜ!」 スッ

神裂「あ、はい。ではお手伝いしますね」 スッ

対馬「……ねぇ、五和」

五和「な、なんですか?」

対馬「主旨はもうなんかダメになってるし、女教皇――てか火織ちゃんも普通に懐いてるしもう諦めたら?」

対馬「人の家の茶葉仕舞ってある場所知ってるのって、ねぇ?」

五和「な、何を言ってるんですか!私にはまだ秘策があります!」

対馬「一応聞くけど、なに?」

五和「家から持参したこの本物のおしぼりを出せば!」

対馬「五和、あなた疲れてるのよ?徹夜で飲んでたからその影響がね?ゆっくり休も?」



(※浦上(蝶剣ポニテ)の子は資料不足につき、いなかったことになりました。ご応募ありがとうございました)


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