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――上条家実家
刀夜「――詩菜さん、折り入って話があるんだ」
詩菜「あらあら刀夜さん、夜も遅いのに改めてどうしたのかしら？取り敢えずこっちへ、ね？」
刀夜「いや違うんだよ詩菜さん！バスルームへ移動するのはまだちょっと気が早いと思うんだ私は！」
刀夜「それが返り血をすぐ洗い落とせて効率的☆って意味じゃ違うし、ましてやエロい意味でも夫婦が特殊なプレイをする感じでもないんだ！」
詩菜「刀夜さんったら、大体こういうときって血を見るんでしょう？この間もね、『刀夜さんと別れてください！』って女の子がね」
詩菜「前はエルフの国を救って、今度はドワーフ（ロ×）の集落を助けたんですって？私も刀夜さんがモッテモテで嬉しいわぁ」
刀夜「その話は初耳だね！てか昨今のドワーフ（ロ×）って風潮はどうかと思うよ！」
刀夜「自慢じゃないけどボカぁ詩菜さん以外の女性なんて興味ないよ！詩菜さんだけしかね！」
詩菜「ルール、あったでしょう？家庭内で決めた」
刀夜「愛してるよ詩菜さん！でもこのルールってサイコじゃないかな！詩菜さん愛してる！」
詩菜「刀夜さんったら……もう、今度はどこの誰を消してくればいいの？」
刀夜「いやそんな私も震えるような台詞を言われても……えぇとね、女性関係のトラブルじゃないんだ。今までも一切そういうのはなかったけども！」
詩菜「当麻さんは誰に似たのかしらぁ？」
刀夜「詩菜さんじゃないかな？外見もいいし、こう困ってる人を見たら助ける優しさとか！私も困ってるけど！」
詩菜「最近ね、御坂さんっていうお友達ができたんだけど、その方のケータイに当麻の番号が――」
刀夜「……若い子？」
詩菜「ううん。私より少し若い方よ」
刀夜「あー……うんまぁ、うん！」
詩菜「教育が悪かったのかしら？それとも遺伝――」
刀夜「今度当麻が帰ってきたら家族会議だね！教育が悪かったんであって遺伝子に欠陥はなかったよ！てかそんなに遺伝しないし！」
詩菜「教育に関しても刀夜さんは、ちょっと」
刀夜「まぁそんなことはいいとしてもっ！そんなことよりも危険がピンチなんだ！」
詩菜「当麻さんが誤魔化そうと大声張るのは刀夜さんの癖がうつってるわねぇ」
刀夜「女性関係でもないし男性関係でもないんだけどね、その、実は詩菜さんに内緒にしてたことがあってさ」
詩菜「お仕事の関係？実はリストラされていたとか？」
刀夜「女性関係の次にそれが来るのはどうか思うけど、まぁ深刻な話じゃないんだよ！ギャグで済ませられる話なんだ！」
詩菜「えっと……移動しなくていいの？」
刀夜「大丈夫だよ。リビングが血まみれになったりはしないからね！まぁ普通はどんな話だってしないんだけど！」
詩菜「西の方でね」
刀夜「詩菜さんそういう時事問題をイジるのは良くないと思うな！特に愛憎のもつれで惨事になってるときは特に！」
詩菜「刀夜さんも気をつけてくださいね？」
刀夜「そうだね！私はともかく当麻には上条家を守って行って欲しいよね！」
詩菜「当麻さんもフランス・イギリス・ロシアと元G8の半数はコンプリートしてるわねぇ」
刀夜「そうですよねっ！イタリアとアメリカを入れればあとカナダとドイツだけだよね！全く当麻のやつは！」
刀夜「……だから当麻のことじゃなく、私の命に関わることでもなくってね。仕事でもない。あ、いや仕事と言えばそうなんだけど」
詩菜「取引先の方と何かトラブルでも？」
刀夜「でもないんですよ。取引はお互いに納得したし、その方の孫娘を当麻に会わせる以外はこれといって」
詩菜「大事ね。当麻さんにどこの馬の骨を押しつけようって？」
刀夜「――っていうのはジョークで！当麻は関係ないよ！お断りしてきたから！」
詩菜「当然だわ」
刀夜「……ただね、そのお断りできないのがあってね。頂き物なんだけど」
詩菜「ものによるわよねぇ。生ものや食べ物だと突き返すのも失礼でしょうし、お高すぎるんだったらお断りしないといけないし」
刀夜「そうなんだよね。会社のマニュアルも一応確認したんだけど。載ってなくってね」
詩菜「そう。ちなみに何を？」
刀夜「えーと、短牙だね」
詩菜「たーき？」
刀夜「うん、短い牙って書いて短牙」
詩菜「名前なの？だから何ですか？」
刀夜「この子なんだけど――」 ｶﾞｻｯ
ターキー「ギャー」
詩菜「……」
刀夜「短牙、ほら詩菜さんにご挨拶して」
詩菜「……鳥、よね？しかもそこそこ大きめの種類の」
刀夜「ターキーだね！だから『短牙』って名付けたんだ！」
詩菜「刀夜さん、名付けのセンスが壊滅的だわ……で？」
刀夜「新しい家族です！」
詩菜「はぁ、やっぱりバスルーム案件じゃない。どうぞ、こっちへ？」
刀夜「待ってください詩菜さん！？私は決して中途半端な気持ちで言ってるんじゃないんだよ！」
刀夜「先方からも『大事に育てました！』って仰ってたし！その気持ちを無碍にはできない！」
詩菜「”※売り物として”、が抜けているわ。意識高い系牧場にありがちな『牛も馬も家族の一員です』と同じぐらい聞いてる人がモニョるわ」
刀夜「だからこう、アレだよ！ペットだと思って飼えばいいんだよ！」
ターキー「ガー」
――学園都市 上条家（が借りているアパート） 朝
刀夜「――と、いう訳で当麻。父さんからのクリスマスプレゼントだ」
上条「ボケがタダ流れになってて聞き辛いんだよ、父さん。二人とも基本ボケだから立ち位置がフラッフラして混乱するっていうかさ」
刀夜「ちなみにこの後、父さん達が仲直りするため何をしたのかはまだ当麻には教えられないな！」
上条「別の意味で聞き辛いわ！てか一生謎は謎のままにしといてもらいたい！」
刀夜「まぁ何っていうかナニなんだけどな！」
上条「親父ギャグ極まれりだな。絶対言うと思ったわそれ」
刀夜「ヒント――『メリーア○』」
上条「意味が分からんわ！？あぁいや知りたくないけど、世代ギャップがあるっていい歳なんだから気づけよ！」
刀夜「いやでも当麻だって時々『私と同じ世代かな？』って思うツッコミがだね」
上条「気のせいだよ。もう来年からは『平成生まれ？』って言われる世代なんだからな」
刀夜「という訳で当麻、この子を頼んだぞ！」
ターキー「ガーガー」
上条「鳥クッサ！？いやだよこんなの！？ペット禁止だってこのアパート！」
刀夜「え？でもネコちゃん……？」
上条「――ってのは忘れてたけど！インデックスもいるけど！」
刀夜「シスターさんがペット枠なのもどうか思うんだが……えっと、インデックスさん？」
インデックス「もぐもぐがつがつはぐはぐばくあぐあぐぐぐぐぐぐっ！？」
上条「あぁほら水飲め！父さんが持って来た萩の○（バラ売り）は逃げないから！」
刀夜「あぁそれ萩の○じゃなくて信夫の○。仙台じゃなくて福島の駅ビルで売ってるんだよ」
上条「包装解いたら見分けつかないだろ。形も味もコンセプトも同じでパクリとパクられたの差でしかないんだから」
刀夜「ちなみにその横の横の反対側で萩の○も売ってるんだ！」
上条「じゃあ萩の○でいいじゃねぇか！なんでローカルだけど広まったら怒られそうなお菓子持って来た！？」
刀夜「インデックスさんは飼いたいよねっ！？当麻が学校行ってる間、お友達はほしいもんねっ！？」
インデックス「んー……とうまのパパさんはいらないんだよね、この子？」
刀夜「いらないって言うかな。うんまぁ、ウチでは厳しくてね」
上条「それを息子へのプレゼントにしやがってる時点でもっと厳しいわ！」
インデックス「まぁまぁ。パパさんがそう言うんだったらウチでもらうしかないんだよ！」
上条「なんで乗り気？」
刀夜「ありがとうインデックスさん。あ、これつまらないものだけど」
インデックス「ふおおぉ……！？仙台駄菓子の詰め合わせセットなんだよ……ッ！」
上条「父さん直でここ来てないよね？ターキー連れたままで宮城と福島行ってきたってことだよね？」
ターキー「ガー」
刀夜「と、いう訳でシクヨロ☆」
上条「古いんだよ。一周回っても古さしか感じないレトロ風味なんだよ！」
――
上条「――で、もらったのはいいんだけど」
ターキー「ガー」
上条「……うん、ファービ○を鳥臭くしてリアルにした感じかな。要約すると獣臭」
上条「てか里親探さないとなぁ。ウチにはスフィンクスとインデックスがいるし」
インデックス「ネコと私を同一視するのはそこはかとない悪意を感じるんだよ」
インデックス「てゆうか里親？この子はウチのじゃなかったの？」
上条「預るって言ってもなぁ。流石にネコとは訳が違うっていうか」
インデックス「……いいですか、悩める子羊よ。主は全てを見ておられるのですよ？」
上条「その割には一回も降臨しないどころか、2000年ちょっと前に地上へ干渉したかと思ったら、それが原因で億単位の人が死んでんだよ」
インデックス「主を疑わないんだよ！そういうこと言っちゃ最期の日に『めっ！』ってされるんだからねっ！？」
上条「そんな優しい神様だったら終末も来ねぇよ。あぁいや考えようによっちゃそれはそれで不幸になんのか！ボケが流れっぱなしになってんだから」
インデックス「人は勿論、人じゃない物達にも決められた役割というのがあってね。誰も彼も宿命を背負って生まれて、自分の役目というのがあるんだよ」
上条「中二マインド的に決して嫌いな台詞じゃないが、じゃあ俺は？俺はなんで生まれてきたの？」
インデックス「えーっとねー……」
上条「おう」
インデックス「ら、らっきーすけべ？」
上条「今なら神様に叛逆したルシファーの気持ちが分かりそうだな！なんて厄介な運命背負わせやがって！」
インデックス「ま、まぁこの子はわたしが責任を持つから！当麻は気にしなくてもいいんだよ！」
上条「被保護者がペット増やすってどうなんだ……まぁいいか。情操教育には悪くないだろうし」
インデックス「じょーそー……？なに？」
上条「生き物を大事にするってことかな。大切な話だ」
インデックス「そうなんだよ！生き物は大事だよねっ！」
上条「っと悪い！そろそろ学校だから行くわ！」
インデックス「はーい、いってらっしゃーい！楽しみにしてるといいかも！」
上条「ん？あぁうん、分かった？」
――学校 放課後
上条「――ってインデックスが」
土御門「あー……うん、カミやんはー……まぁ手遅れだな。諦めるんだぜぃ」
上条「諦める？」
土御門「まぁいいにゃー！今日は寄り道しないでダッシュで帰るといいぜぃ！たまにはな！」
上条「お、おぅ？了解、んじゃまたなー」
土御門「てか俺も一緒するんだぜぃ。お裾分け貰ってっと思うし」
――
上条「たっだいまー――ってうわ良い匂い！？なんだ、こ……れ？」
インデックス「お帰りなさいとうま！見て見てまいかにお料理してもらっちゃったかも！」
上条「……あー、そう？そうなんだー、へー？」
舞夏「お−、インデックスも少し手伝ったけどなー。誉めてやればいいぞー」
インデックス「えっへん！なんだよ！」
上条「そっかー、インデックスさんもお手伝いしたんだー？それはいいことをしましたねー」
上条「つーかさつーかさ、一つ聞いていい？多分それで全ての謎が解けるんだけど」
インデックス「ばっちこい！」
上条「このさ、テーブルの上で尋常じゃないぐらいいいニオイさせてるローストチキンって……？」
インデックス「うん？ばっちりお料理してもらったんだけど？」
上条「っっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっでだよ！？なんで俺が目ぇ離した数時間で捌いてんだよっ！？」
インデックス「うん、まいかが」
舞夏「いや、捌くだろー？捌いてなんぼだろーターキーなんて」
上条「飼う流れになってただろ！？なんでも食っちゃうのお前って！？スフィンクスも実は非常食なんか！？」
インデックス「食べないんだよ！ネコはネコだもん！」
上条「アリとナシとの境が分からないんだよ！？いや俺も洋画とかで七面鳥食ってるの見て憧れてはいたんだけど！」
舞夏「じゃーいいだろー。兄貴も呼んで食べようぜ−」
上条「だけどさ！」
土御門「諦めるんだにゃー。こんなもんたぜぃ」
上条「何がっ！？」
土御門「十字教の理念のカーネルにゃ『この世界は人間のために作った』って教えがあんだよ。正確には微妙に違うんだけど」
土御門「特に七面鳥はアメリカ大陸に自制してて、開拓民のいい飯になった――つまりこれは神様が俺たちに用意してくれたんだ！神様ありがとう！って伝統がある」
上条「ホンットにしょーもないな。少しぐらいターキーさんに感謝してあげて！」
土御門「まぁ捌いちまったもんはしょーがないにゃー！食おうぜ！」
上条「……なんか複雑だが、俺だけは感謝しながら頂こう……！」
上条『――という訳で俺は泣く泣く短牙（仮名）君を全員で食いました』
上条『ちなみに味は……あぁインデックスが、確かにこの味知ってればターキー食材としか認識しねぇなって。メッチャ美味かったです』
（※正しくはローストキチンじゃなくローストターキーですね、てか生きたターキーを見たことがないので鳴き声は適当です。ご応募ありがとうございました）
――
『……』
『ねぇ知ってる？……うん、うんそう――”それ”』
『夜中にさ……合わせ鏡――』
『学校の……忘れ物をとりに行ったら――』
『キャンプ中に……テントの中からこっそり覗いて――』
『「足はいらんか？足はいらんか？」って……ダメだよ、答えちゃ――』
『ムラサキ……ハタチまで憶えてたら死んじゃうんだって――』
『ヒヒッ』
『トイレの右から四番目……四回ノックしてから「はーなこさん、あっそびまっしょ」――』
『はぁーあーい』
『穴がね……真っ赤な部屋で――』
『封じられた扉を開けたら……クレヨンでビックリと――』
『フジツボ……いや、ないない。人間の浸透圧考えろや』
『声をかけられてもね……うん、振り向いちゃってね、連れてか――』
『諦めろ。人に染みついた宿業だよ』
『いま、あなたのうしろにいるよ』
『右を見て、左を見て』
『今も……探してるって――』
『今度は、落さないでね？』
『いや知らないよ！あたしに言われても！だってこれは――』
『――ともだちのともだちからきいたはなし』
――居酒屋 夜
OL1・2「かんぱーーーーいっ！」
OL1「店員さーん、おかわり！あとマヨコーンとマヨチーズ餅を大盛りで！」
OL2「カロリー高いぞー。明日も仕事あるって忘れるなー」
OL1「だってさ！あのハゲうっさいんだよ、聞いて！？」
OL2「ハゲ……ウチの職場のハゲ率が高いから。どのハゲ？」
OL1「性格の悪いハゲよ！」
OL2「それでも特定できないかな。だってほぼほぼ性格壊滅的だし」
OL1「外見自体がセハクラの」
OL2「うん、誰か分かったよ。分かったけども、そのハゲはセクハラもしないしどっちかって言えば融通利かせてくれるハゲであってだ」
OL1「机の上にフィギュア置いといただけで怒るんだよ！？信じらんない！」
OL2「お前だよ。ガンプ○置いといたお前が悪いんだよ」
OL1「ガンプ○じゃないですぅー。ジム○ストライカーカスタムの食玩ですぅー」 ｺｿﾞｺﾞｿ
OL2「出すな出すな！居酒屋に食玩持ち込んで披露するアホがどこにいるんだ！？」
OL1「それでね、入○君が今熱くて！」
OL2「うん、チャンピオ○はヤンキーマンガやめた方がいいよね。銀○のパクリだったり鬼ヤンキーで迷走しまくってるけど」
OL1「それでもレゴ○君は種族以外にも性別の壁をね、越えちゃってね」
OL2「あれ？今週のビースター○にそんな展開あったっけ？」
OL1「え、知らなかったの？単行本ではそうなってたよ？」
OL2「おかしいな。私も電子版読んでるんだけど、そんな展開なかったな。微塵もなかったな」
OL1「ビッチウサギマジ殺す……っ！」
OL2「私怨だろ。というかウサギは仕方がないんじゃ……」
OL1「ケモナー的にどうなんだろ？アリなのかな？」
OL2「ねぇ？なんていうか業が深いというか、流石にアレの薄い本出す気にはなんないかな」
OL1「そんなことよりもねー、66式戦車が食玩で」
OL2「ちょっと何言ってるのか分からない。なんで女二人集まって食玩の話で盛り上がると思った？」
OL1「この間ハゲと飲み行ったときには、『魔理○ちゃんはどっちの嫁か！？』で二時間ぐらい語ったけど？」
OL2「魔理○を巻き込むなよ。関係ないだろ」
OL1「最終的には華○ちゃんのエロ雷獣に転生してhrhrするってところに落ち着いたんだけど」
OL2「エロくないよ？一部の同人の規模じゃない同人ゲームで『うらやまけしからん』って言われてるだけで」
OL1「それでね、霊○ちゃんが」
OL2「モニタの中だな？VR技術進んでもまだ意志もって会話できるには時間がかかると思うんだ」
OL2「ていうかもっと何かないのか！？建設的な話を！」
OL1「男が車とカメラと風俗の話なのに、女子会って基本自分達の社会的ステータスでのマウント取り合いでしょ？」
OL1「職業から始まって住んでる場所に彼氏に家族にバッグに財布にボーナスの話でって」
OL2「まぁ、それはそうなんだけど……言い方ってものが」
OL1「むしろ冬コミに何出すのか話し合った方がいいと思うな！建設的で！」
OL2「そうね。収支マイナスになってなければその通りよね」
OL1「趣味でお金を稼いじゃいけないよね！」
OL2「お前がそう思うんだったらそうなんだろうな」
OL1「でも最近はお給金一回分ぐらいには稼げるようになったり」
OL2「詳しく。その話を」
OL1「仮想通貨が熱いらしくて」
OL2「詐欺だから引っかかるなよ？もう何週後れが分かんないぐらいに遅いからな？」
――帰り道 深夜
OL2「――すいません。ここで」
タクシー「はい、えーっと……丁度ですね。ありがとうございます」
OL2「はいどうも。お疲れ様です」 ﾊﾟﾀﾝｯ ﾌﾞﾛﾛﾛﾛﾛｯ
OL2「……寒っ。んっだよー、暖冬って言ってたのに……」
OL2「もうすぐクリスマスだってのに、女子会は二人だけなんだよなー……それも年々少なくなって、だし」
OL2「……あぁ帰ろう。明日も仕事――」
子供？「……」
OL2（家の前に子供……寒いのに、何やってんだろ。近所の誰か、いたっけかな……？）
OL2（大人だったら男でも女でも怖いけど、まぁ子供だし変なことはされない、よね）
OL2「こんばんはー。君どうしたの？お母さんは？迷子になっちゃったの？」
子供？「おかあさん……いないの、どこかいっちゃったみたい」
OL2「いっちゃったみたいって……どういうことなのかな？お仕事で？コンビニにお買い物とか？」
子供？「えっとねー、そこのね、こうばんの近くの横断歩道あるよね？」
OL2「うん。夜になるとちょっと暗めのとこだよね」
子供？「そこでね、おかあさんといっしょに車を待ってたの」
OL2「うん」
子供？「車は、あぶないから、どうろに飛び出さないようにしてたんだよ」
OL2「そうね。偉いと思うわ」
子供？「だからね、線のうちがわで待っていたんだけど……」
OL2「うん」
子供？「おかあさんが、うしろから、ドン！って」
OL2「――え」
子供？「そうだよ、おかあさんがぼくを殺したのは”こんな晩”だったんだ――」
OL2（そう言って振り向いた子供の顔、そこにはあるべきものがなかった）
OL2（……いや、正しくは”一つ”だけはあった。本来あるべき場所の、その中間に。おぞましく）
一つ目（子供？）「おかあさんどこいっちゃったんだろ。ぼくを探してくれてるのかなぁ、ねぇ？」 ｸﾙｯ
OL2「ひっ！？」
一つ目「おねえちゃん一緒にさがしてくれない？”目二つ”だけどやさしいし」
一つ目「それともおねえちゃんがぼくのおかあさんになってくれるとか……うん、それ、いいかも」
OL2「あ……やだ、来ないで――」
一つ目「だいじょうぶだよ。”めふたつ”だからってみせもの小屋には売らないからさ。だいじにだいじに――」
喪服の男「――『退魔の弦・梨括りの木』」
ｷﾞｲｲﾝｯ､ｼｭﾊﾟｱｧｯ!!!
一つ目「だ――れっ……っ！？」
喪服の男「誰でもいい。お前がそうであるように私もまたさしたる意味を持たない」
喪服の男「記号へ記号を訊ねてどうする？代名詞にバッファとして価値を見いだしはすれど、意義も意味もないのだ」
OL2「あ、あの、これ、は……ッ？」
喪服の男「まずは『こんなばん』だな。元々は落語が発祥ともされているが、実際には民間伝承から広まった」
喪服の男「ある飢饉の年、産み落とされた我が子を泣く泣く殺した夫婦がいた。その数年後、彼らが子を授かり、夜泣きもしないが声一つ出す事がない」
喪服の男「やれこの子は健常者でないのか、と不安に思っていたが、ある寒い夜に子供は初めて喋った」
喪服の男「『おっとう、おっかあ、前におれを殺したのは”こんな晩”だったね』――と」
一つ目「……」
喪服の男「次に『果ての二十日』だな。神が通る日、十二月の二十日には神が山へ籠って眠りにつく日だ」
喪服の男「その日は山に入らず、人々は物忌みして災難が通り過ぎるのを待つ。たったそれだけで難を逃れられる」
喪服の男「だがもしも、その日にあろうか出歩く不心得者がいたとすれば」
OL2「ば……？」
喪服の男「出くわすんだよ。”こういう”のに」
一つ目「……」
喪服の男「あとは『ヒトサライ』が適度に混じっているな。まぁ元々あった素質と混ざっただけだろうが」
OL2「じゃ、じゃあこの子に連れて行かれたら……？」
喪服の男「”一つ目”の国などないよ。だからどこにもたどり着かぬままずっと彷徨うだけだろうな」
喪服の男「そもそもからして”漂泊”神だ。借りの住まいを転々として移ろうものだ」
OL2「これは……」
一つ目「おまえ――！」
喪服の男「――『退魔の弦・蝸牛考』」
ｷﾞｯｷﾞｯｷﾞｯｷﾞｯｷﾞｼｯ!!!
一つ目「あ、が……っ！？」
OL2「ちょっ！？あの、苦しんで！」
喪服の男「人格や神格というまともなものは残っていない。”それ”は」
OL2「一体……なんなんですかっ！？」
喪服の男「行き逢い神、訪問神、漂泊神。嘗ては神であった”モノ”の成れの果て」
喪服の男「忘れられた信仰の行き着いた先、そしてもうどこにも行けない」
OL2「信仰？神様、ですか？これが？」
喪服の男「だったものだ。信徒から忘れ去れ、畏れを集めることなくなった――転じて流行り神となる」
喪服の男「君も耳にぐらいはしたことがあるだろう？都市伝説という噂話を。面白可笑しく語られる無責任な話を」
喪服の男「”それ”は”これ”が成った姿を示したに過ぎん。生まれ変わったのか、混ざったのか知らないがな」
OL2「あ、あの……！」
喪服の男「あぁ心配は無用だ。この悪夢は今日で終わる。夢から覚めてしまえば後には何も残らん」
喪服の男「それが神仙の書き記した『抱朴子』を持つ者の勤めでもある……まぁ、少しばかり忙しいがな」
OL2「はぁ……」
喪服の男「さて。人は家に、獣は巣ヘ。そして人でも獣でもないモノよ、お前はこの世のどこでもない場所へ還るがいい」
喪服の男「恨むな、とは言わん。せめてひと思いに――」
一つ目「――ずいずーいずっころばーし――」
OL2「わらべ唄……？」
喪服の男「いかん！？呪いをかけ――上位個体か！？」
OL2「気が……遠く――」
喪服の男「ダメだ！しっかり――」
上条「はいはい、そこでそげぶ略」 ﾊﾟｷｲｲﾝｯ
喪服の男・OL2「……」
オティヌス「そして貴様も消えろ。このザコが」 ｻﾗｻﾗｻﾗｻﾗｯ
上条「終わり？」
オティヌス「終わりだ。元々世界の澱みたいなものだからな、是正する力には脆弱だ」
上条「マジで？もしかして俺の天職発見！？」
オティヌス「その代りザシキワラシとかも触ったら多分消滅するし、土着の産土神とかだったらそれがナチュラルな状態なので効果を発揮しない」
上条「くっ、リスクが多すぎるな！分かってたけど！」
喪服の男「……おい」
上条「あぁごめん！続けて続けて？なんかこう格好いいこと言ってたみたいだし？」
闇咲（喪服の男）「いや情緒台無しだろ！もっと空気を読め！」
上条「てか帰ろうぜ。美人のカノジョだか嫁さんだか許嫁だかあぁ羨ましいリア充爆発しねぇかな待ってんだから」
闇咲「途中あからさまに本音が入っていたようだが？コピペ間違った風になってる」
上条「それもお前が悪いんだろうが！俺たちはクリスマスも近いってのに手伝ってやってるんだからな！なぁ？」
オティヌス「ま。まぁ私はこういうのも悪くないかな、なんて」
上条「フィギュア装備して街を練り歩く俺の身にもなって！てかお前もう人間大になれよ面倒臭ぇ！」
オティヌス「少々露出度の高いフィギュアを装備するのと、恥女にしか見えないレイヤーを連れて歩くの。果たしてどちらが大変かな？」
上条「服を、着ろ」
OL2「あ、あのー？わたしの冒険は？何かこう陰のあるイケメンに助けられて、呪いを解くために始まる乙女ゲーは？」
上条「あ、すいません。握手いいですか？」
OL2「あ、はい。どうぞ」 ｷﾞｭｯ
上条「反応なし。よし、帰るぞカノジョ持ち！今日のノルマはこれで終わりだ！」
闇咲「だから仕事の風情を考えろ！流れ作業で片付けるんじゃない！」
（※「都市伝説奇行〜祓い屋・闇咲逢魔シリーズ〜」は本号にて終了となります、闇咲先生の次回作にご期待ください。ご応募ありがとうございました）
――ロンドン 某魔術結社アジト
レッサー「ジングルベール！ジングルベール！鈴がなっるー！今日はたのしークリスマース！」
レッサー「去年もひとりー！今年もひとりー！そしてまた来年もきっとひとりー！」
レッサー「街に出ればー！キャッチとカップルー！居場所がなーくてダチとつるむっ、ヘイっ！」
レッサー「ジングルベール！ジングルベール！鈴がなっるー！今日はたのしークリスマース！」
レッサー「サンタは来ないし、プレゼントは自前っ！」
レッサー「ジングルベール！ジングルベール！鈴がなっるー！今日はたのしークリスマース！」
レッサー「気がつけばオセチを仕込んでるっ！ヘイっ！」
フロリス「カエル食いネタが来るかと思えばワタシら巻き込んで自爆しやがって。オマエにも刺さるだロ。深く深く刺さんだヨ」
ランシス「……てかもう泣きそう、泣くよね」
レッサー「この負け犬風情が！そんなことだからいけないんですよ！もっとポジティブに行かないと！」
フロリス「同じ負け犬に言われても説得力ネー」
ランシス「ねぇ？……あ、このチキン美味しい……」 ﾓｸﾞﾓｸﾞ
フロリス「ベイロープんとこのシェフは安定だナー。あ、そこパワー出る」 ﾋﾟｺｰﾝ
ベイロープ「あの……私は忙しいんだからね？割と無理言ってこっち来てんだからね？」
レッサー「黙ラッッッッッッッシャセェーマセベイローォオォォッ！少々ロリ化した程度で図に乗らないで頂きたい！」
ベイロープ「いやあなた貧乳化されてたじゃない」
レッサー「ぐぎきぎぎ゛きぎぎぎ゛゛ぎぎぎぎぎっ！言いましたね！言ってはならんことを言ってしまいましたよね！？」
レッサー「アンチエイジンクと逆巨乳化が等価交換だとは思わないでくださいよっ！？貧乳には需要があるんですからねっ！？」
ベイロープ「じゃ良かったじゃない。私はお断りだけど」
レッサー「怪物事○の水着ピンナップ見ましたかっ！？全員がロ×ロ×貧乳のスリープラトン攻撃ですよっ！？どの層狙ってんですか！？」
ランシス「……こっちおいでー……？貧乳は意外と需要があるよー……？」
フロリス「そんな爛れた需要はいやだ。普通が一番だロ、普通が」
レッサー「そして最強の聖人は自分の秘密をペラペラ喋る始末！調子ぶっこくにも程がありますよねっ！」
ランシス「※にもあったけど、あの人……ドヤ顔で聖人の秘密バラしてなかったら、フツーに完勝してたと思う……」
フロリス「うンまぁ、あれだゼ。基本上位ランカーへ行けば行くほど変人ばっかだロ。学園都市じゃカキクケコだって話だし」
ランシス「なにそれこわい」
レッサー「あ、すいません。私はもう既に共演済みですがね！皆さんよりリードしてもう既に！」
フロリス「ランシス手伝え。このアホの口にペッパージンジャー塗り込んでやるゼ」
ラシンス「おけー……」
レッサー「東方に迎撃の準備ありですよ！かかってきなさい両手に花ですから！」
ベイロープ「”東方”じゃなくて”当方”ね」
レッサー「でもまぁ今年はなんだかんだで充実した年でしたね。私たちのオファーは来年になってからですが」
フロリス「そしてシメに入ろうとしてんじゃネーヨ」
レッサー「いえ、なんかこの後私にとって不愉快な展開になりそうなので先手を打ってED曲を流そうかと」
ランシス「タイアップの、あれ……」
ベイロープ「どういう嗅覚してんのよ、あなたは」
フロリス「あーもう付き合ってらんねー。帰るわ」
レッサー「かーらーのー？」
フロリス「しないしない。なんでそんなフェイントかける意味が分からん」
レッサー「と、みーせーかーけーて？」
フロリス「オマエに彼氏ができないのは面倒だからだヨ。エロ目的で集まるアホ以外は相手にすんのも面倒になんだヨ？あんだすたん？」
レッサー「じゃあじゃあ私も！私も一緒に帰りますよ！」
ランシス「私も……帰る」
レッサー・ランシス ｼﾞｰｯ
ベイロープ「それじゃ片付けは明日ね。お疲れ、あとメリークリスマス」
レッサー「ちっっっっっっっっっっっっっっっっっっがいますよ！何帰ってんですか！？お役所仕事ですか！？粛々と処理ですかっ！？」
レッサー「あなたにはもっと貴族的な駆け引きをしていただきたい！腹芸的な意味で！」
ベイロープ「少なくとも気の置ける友人へ対して腹芸を使うつもりは、ない」
レッサー「あ、じゃあおっぱ×揉みます？」
ベイロープ「なんでだよ。なんでその発想になったんだ、あ？」
ランシス「友達言われて嬉しかったかと……ほら、いないから」
ｶﾞﾀｺﾞﾄｯ
ベイロープ「――誰？」 ｼﾞｬｷｯ
ランシス「……クローゼットから、だね」
レッサー「よーしランシス隊員とフロリス隊員は左右へ、ベイロープ隊員はバックを！デルタアタッ○を見せてや」りましょう！」
ベイロープ「一人多いのだわ。具体的にはあなた」
ランシス「たいちょー……あと、フロリスちゃんがツッコミを放棄してバックレましたー」
レッサー「シィィィィィィィィィィィトッ！あのアマ逃げ足だけは早いんですからもう！こうなったら我々だけで聖夜に解体ショーと洒落込みましょう！」
ベイロープ「それはそれで嫌よ」
ラシンス「てゆうか……てい」 ｶﾞﾁｬｯ､ﾄﾞｻｯ
上条「……ん」
ベイロープ「なんで隠れてたこの変質者」
レッサー「待ってください！何か、ブツブツ言って――」
上条「自爆……人間爆弾……ザンボット○……」
ランシス「冒頭の自爆へのツッコミかと思われます、さー……」
レッサー「自分でボケといて言うのもなんなんですが、守備範囲の広さに引きます」
――
上条「いやー、ごめんな？サプライズのつもりだったんだけど」
レッサー「超驚きましたよ。なにやってんですかあなた」
上条「出ようにも出られなくてさ、そしてらなんか百合の話してだろ？」
レッサー「その超嗅覚が怖いです。この隠れ百合厨め」
上条「ち、違うよ！俺はただベンジャミ○先生が好きなだけであって！エロいとかはいいんだよ！」
ランシス「……ケーキ、食べる？」
上条「あぁうんありがとう」
ランシス「……チーズケーキ、食べる？」
上条「いやうん、あのな？」
ランシス「クッキーもある……」
上条「口ん中の水分パッサパサになってっからジュースもほしいんだけど……」
ベイロープ「というか、なんでいるのよ」
上条「あー、あれだ。プレゼントをだな」
レッサー「あざーす！」
上条「お前にじゃねぇよ。フロリスにだよ」
レッサー「むしろなんでですか！？付き合い自体は私の方が長くてディープでしょうに！？」
上条「お前とは貸し借りチャラだろうが。あの子は違うって言うか、あー前に川ダイブして迷惑かけたから、そのお詫び？」
ベイロープ「律儀なことよね、感心だけど」
レッサー「……分かりました。そういうことでしたら私もお手伝いするのもヤブサーカではありません！」
上条「いえ、いいです。結構です。自分でやりますから」
レッサー「人が珍しく打算なしの厚意で言ってるのにこの反応！？」
ラシンス「”珍しく”、の、時点でもうね……ダメっていうか」
レッサー「ま、まぁまぁお待ちを。フロリスのヤサの場所なんて分からないでしょ？忍び込み方も？」
上条「いや別に。直で渡す必要すらない――」
レッサー「でも手渡しの方がいいでしょう？誠意を伝えないと！」
レッサー「私を信じて！私が信じられないんだったらイギリスの歴史にかけて！」
上条「お前の国は信用度&発展度の反比例ランキング世界五指へ入るからな？」
上条「EU離脱もグッダグダじゃねぇか！この後に及んで『もっかい国民投票しよう！』って、したら一回目の意味無いだろうが！」
レッサー「ふっ、甘いですな！我々の舌はたった二枚だけだといつから勘違いしてました！？」
上条「ホモサピエンスにごめんなさいしろよ。お前らは人類と別の進化を辿った人類っぽい何かなんだよきっと」
――フロリスの借りてる部屋
フロリス「ぐー……」
？？？ ｶﾞﾁｬｯ､ｷｷｯ
フロリス「――す？」
フロリス（物音？強盗？ヘンタイ？その兼務？クリスマスだってのに、仕事熱心なこったナ）
フロリス（まぁいいや、ボッコボコにしてテムズへフリーダイブさせっか。社会のクズ一人、消えた方がいいだろーし――よっと！）
？？？「ん！？」 ﾊﾟｷｲｲﾝｯ
フロリス「打ち消しやがった！？魔術使うヘンタイが！？」
？？？「誰がヘンタイだコノヤロー！？」
フロリス「サンタコスして招かれてもないのに乙女の部屋へ侵入してる現行犯」
？？？「まぁそう見えるな！解釈次第ではそう見えるかも知れないが！」
フロリス「警察にゴーかワタシにフルボッコかレッサーの刑、選べヨ？好きなのを？」
？？？「レッサーの刑って何させられんだよ」
フロリス「前に見たときはフルモンティでまず校庭を」
？？？「フォッフォッフォッフォ！ワシはサンタじゃあお嬢さん！疑うところの全く無いサンタじゃよ！」
フロリス「ここまでツッコミ返すのってワタシの知り合いじゃ一人だけだヨ。なぁジャパニーズ？」
上条（？？？）「……バレたんだったら仕方がない！大人しくプレゼントを貰って貰おうか！」
フロリス「貰うのか貰われんのかわっかんねーんだヨ！」
上条「こうなったら実力行使だ！大人しくしろ！」 ｶﾞｯ
フロリス「あっこら！ヘイ！変なこと触ってんじゃネー！」
上条「変なとこ？背中だと思ったwwwwwwww」
フロリス「――よしぶっ殺すし！覚悟しろし！」 ﾀﾞｯ
上条「はっはっはー、女の子の力で高校生が倒せるか――って力超強えぇな！？」
フロリス「身体能力ブーストは打ち消せないんだロ？弱点はこっちの世界で回覧されてっからナ！」
上条「なにそれこわい。って痛っ！？」 ｶﾞﾀｯ
フロリス「よっし！大人しくしロ！」
上条「……」
フロリス「っだヨ。もう降参カー？」
上条「いやあの、さ？」
フロリス「ア？」
上条「なんか、ほらっ！あれじゃね？この体勢だと、お前が俺を襲ってるような感じじゃね？」
フロリス「ば、ば、ば、ばっかじゃねーノ？！襲うとかないシ！？何言ってんだゼ！？」
上条「よし落ち着け！そして俺の上から退け、誰かに見られる前に――」
レッサー「大丈夫ですかフロリスっ！？HENTAIに襲撃されてあんなことやこんなことされてはいませんかっ！？」
レッサー「……くっ！あれもこれも私がついうっかりあなたの住所や侵入ルートを教えた上、ベランダの鍵はいつもかけないとアドバイスをし」
レッサー「そして慣れない道を一人が探させるのは無理だと思って、近くまでタクシーで送らなければこんなことには！」
ラシンス「……おまわりさん、共犯この人です……」
レッサー「でももう大丈夫ですよ！私が来た以上、そのラブコメはぶっ殺しますからご安心、を……？」
フロリス（※押し倒してる）「……」
上条（※押し倒されてる）「……」
レッサー「何やってんですか！？少し目を離しただけでフラグ立て終わりましたかっ速攻ですね！？」
レッサー「というかルートはこっちへ入ってないのかと小一時間！あなたのレーダーは貧乳にしかロックオンストラト○しないんですかねっ！？」
フロリス「ぶん殴るぞテメー」
上条「そしてそれは人名だ」
ランシス「……」
レッサー「あなたからも言ってやってくださいな！この抜けがけしやがった女、略してヌガアマに！」
フロリス「それ発音がアレだと社会的に抹殺されんゼ？余所じゃ言うなヨ？」
ランシス「……よし、こうしよう」
上条「……な、なに？」
ランシス「全員で、襲おう……ッ！」
レッサー「雄々しく言い切りやがりましたねこのアマ！チャンスをピンチに変えたベイロープとは偉い違いですよ！」
ベイロープ「計画を本格的に破綻させたのは、誰よ」
レッサー「でも嫌いじゃないですよその爛れた発想！むしろ望むところです！」
上条「くっ、殺せ！」
フロリス「まんざらでもないんじゃねぇカ。逃げろや不本意ならナ！」
（※原人←（進化）←サル、フランス人←（進化）←ヘビ、イギリス人←（進化）←イギリス料理。ご応募ありがとうございました）
（※なおベイロープさんはアホどもを放置してパーティへ出ました）
――どこか
トール「――よっ、マリアン。元気そうでなによりだな」
マリアン「……どの面下げて来やがったんだ裏切り者。寝言を言うのも大概にしろ」
トール「あらら、俺知んなかったわー。仲良しこよしのお友達集団だったんだ？」
トール「お前さんがベルシに懐いてたのはその通りだが、『外部』の魔術師を家具に変えたのって誰だったっけ？」
マリアン「『外注』は『外注』だろ！ベルシは仲間だ！」
トール「まぁベルシがいい男だったのっては認める。何回かケンカふっかけても袖にされた以外は文句なんざねぇよ」
ミョル子『トールも根本的には壊れてるよね』
トール「魔術師なんざ誰だってそうだ。テメー以外はどうだっていいってな」
ミョル子『まー、マリアンが悪いし。友好的に来たんだからガワだけでもそうしなよ』 ﾊﾞﾁｯ
トール「つー割にお前は臨戦態勢なんだけどよ……まぁ別にケンカ売りに来たって話じゃねぇよ。鍛冶屋倒して経験値稼ぐほど飢えてない」
マリアン「ならどうして来やがった？元同僚の顔拝みに来たってほど……暇そうであるか。働けよ」
トール「いんやー、マリアンちゃん的にゃ不本意かもだけどよぉ出番はあるみたいだぜ？」
マリアン「出番？なんのだよ」
トール「”こっち”が持ってんのはお前の剣と俺の槌」
ミョル子『私だよ』
トール「まぁそうなんだけどよ。マリアンがSAMURAI二刀流決め込んだら効率悪ぃだろうが、俺がやってやるよ」
トール「あとは聖ゲオルグの剣と維持神の弓。まぁ四振りだわな」
トール「問題なのが学園都市にみこっちんのブリューナクとグラム。失われて久しいのがロンギヌスだが……」
トール「まぁ……”それ”は多分見つかる。”そういう”ことになる。上条ちゃんの頑張り次第と神様の気まぐれが起きなければ、だけど」
マリアン「トール、お前何を知ってる……？」
トール「――で、用事があるのはマリアン、お前だ。嫌だったら断ってもいい、あぁこりゃ脅しじゃなくて本音だ」
トール「彼にも元同僚サマを脅してまでする価値はねぇよ、って事で安心していい」
マリアン「……そいつぁどうも――ミョルニル」
ミョル子『いえっさー』 ﾊﾞﾁﾊﾞﾁｨｯ
トール「おいおい、だから違うって言ってんだろ？無理矢理言う事聞かせるだなんて思ってねぇって」
マリアン「用件を言え。話はそれからだ」
トール「なんだよ信用ねぇなぁ。仲間だなんだの言い出しのはそっちだっつーのに……まぁ用件ってのは、あーアレだ」
マリアン「なんだよ」
トール「――全身改造して女になるのってどんだけかかるんだ？」
マリアン「病院行け。正しい意味でも診てもらえ」
トール「あぁいやいや、なんか誤解してんだよ。整形じゃなくて完全な性転換ってリスクはどんだけだっ、て思ってさ」
マリア「だから病院行け病院。私にカウンセリングさせるんじゃなくて、専門医に診てもらえ、なっ？」
ミョル子『それはそれで心の病って部分もあるんじゃないの？』
トール「おおっと！荒れるからそれ以上はやめようぜ！そういうんじゃないから俺は！」
ミョル子『や、あのね？別のその人達が病気だとか中傷してるんじゃなくてね。こう、体と心が違うってゆう病気の人も居たでしょ？って意味でさ』
マリアン「それなら話聞いてもらうべきだよな。何か気の迷いかも知れないし」
トール「いやでも病気扱ってどうなんだ？」
マリアン「生物学的には、というか哺乳類ならまだしも昆虫以下までなるとそういう”普通”はないからなぁ。定義が難しい」
ミョル子『理屈としての”ただしい”と、生物としての”ただしい”は別もんだし』
トール「生物なのかルン○の親戚なのか分からないやつに言われたくはないんだが……まぁ、そういうことだ！で！？」
マリアン「必死すぎて怖い……てか、なんで？童×こじらせて女体化してぇよとかそういう話じゃないんだろ？」
ミョル子『トール、モテるもんね。だから今回のカミングアウト聞いても、「あ、やっぱり？」的な反応しかないけど』
トール「いや別に俺は普通に女の子好きよ？ただ俺より強い相手じゃないと萌えねぇんだよ」
マリアン「どこのKO○だ。萌えたろうか」
ミョル子『性癖拗らせてんね。グレムリンは大抵病んでるっていうか』
トール「いやぁ、それほどでも」
ミョル子『誉めてないし。誇る要素どっかにあった、ねぇ？』
トール「で、まぁまぁ俺より強いやつって言ったら限られるじゃん？てかほとんどいないじゃん？」
ミョル子『だっけ？』
マリアン「うーん……この『俺より強いやつに会いに行く！』バカと正面から張り合えるのは……オッレルスか、『右席』のアックアぐらいじゃね？」
マリアン「射程無制限じゃ厳しいだろうけど、数キロまで近づいてよいードン！なら、フィアンマともそこそこ、かな？」
トール「まぁな。どいつもこいつも俺がやる前に上条ちゃんがぶっ飛ばしちまったし、俺自体も負けてる」
ミョル子『なら”あの女”だけってこと？それはそれで茨の道だしー』
マリアン「いいぞやってやれ！私は何だって手伝うぞ！」
トール「そうか？ならまず全身の改造費と後遺症の見積もりを出してくれ」
マリアン「そっちじゃねーよ。なんでオティヌスに一発カマす話なのに女体化計画進める前提になってんだ」
トール「だから負けたからって言ってんだろう？上条ちゃんにだ！」
マリアン・ミョル子「『ちょっと何言ってるのか分かんないですね』」
トール「だって仕方がねぇだろう！？向こうはヤローなんか抱いたって嬉しくもなんとないんだから、俺が本格的に女にならないと！」
ミリアン「今日改めてあんたより弱くてよかったーと思ったわ。いやマジで、かなりマジで」
ミョル子『グレムリンの中でトールはまともに会話できるだけマシだと思ってたけど、やっぱこう、うん。控えめに言って狂ってるよ』
トール「……なぁマリアンちゃんよぉ。お前には二つの選択肢かあるぜ。一つは俺に黙って見積もりを出す事」
マリアン「一つめがチープだなおい」
トール「二つめが協力を拒んで『性癖のために死んだ女』の墓へ入るか――選びやがれ！」
マリアン「そんな墓はごめんだ。埋葬する気があったらネタじゃなくて真面目にしろよ！」
トール「じゃあ墓石はミョルニルに」
ミョル子『”じゃあ”で人を生けんなよ。流れ作業か』
マリアン「……あー、分かったよトール。あんたの覚悟がホ×、もとい本物だって事は分かった！」
ミョル子『噛むかな？そんな短い単語で噛まないよね？』
マリアン「最近じゃプリキュ○も男子なったみたいだしな！時代の最先端だ！」
ミョル子『というか個人的にはヤンジャ○のアレの方が業が深いと思う……』
マリアン「だが改造はまだ早い、つーか期間も材料も無ぇのにできるかっつーの！ドヴェルグだってな！」
トール「まぁ、そうだな。急に悪かったぜ」
マリアン「――だがトール、お前は運がいい！これを使うんだ！」
トール「これは……よく雑誌の通販に載ってる磁気ブレスレット？」
マリアン「似ているが別もんだ！これは『ホイール・オブ・フォーチュン』、ラインの黄金で鍛え上げた一品だ！」
トール「『真鍮製』ってダグが」
マリアン「偽装だ！悪用されないためにな！」
ミョル子『トール、バカにされてるよ？』
トール「マジかよ……！通販でよくあるやつに偽装するなんてスゲーな！」
ミョル子『あ、ごめん。なんでもない』
マリアン「これを装着すると外見を偽れるんだ！」
トール「偽れる……？待てよ、そんぐらいだったら俺だって得意じゃねぇができるぜ」
マリアン「そう思うだろ？でもこれは違うんだ！」
トール「何が？」
マリアン「ドヴェルグの特注製だ！『幻想殺し』で触れられても解けない！」
トール「そいっぁ……半端ねぇな！」
マリアン「……ただこれには一つだけ欠点がある。それは――強く願わないと魔術が切れるってことだ」
ミョル子『なんで？なんでそんな使い難い霊装作ったの？』
トール「つまり、こうか――俺の覚悟が試されるって話か！」
ミョル子『ドヴェルグ暇か！』
マリアン「だからまぁ、あれだよ。これつけて女装すれば、きっと、うん、汲んでくれる、ぜ？多分、きっと」
ミョル子『またフワッフワした着地するよね。着氷点が大幅に引かれそうな』
トール「……感謝するぜ、マリアン。それじゃ俺は急ぐから！」 ﾀﾞｯ
マリアン「がんばれー、あと私らを巻き込むなー」
ミョル子『……ね、どこまで本気なの？』
マリアン「時間稼ぐだけ稼いでバックレる」
ミョル子『だよね』
――学園都市 アーケード 12月24日
BGM『ジングルベール、ジングルベール♪鈴が鳴っるー♪』
BGM『今日は楽しい、クリスマ――』 ﾌﾟﾞﾂｯ
青ピ『警告だ！この世界は悪しきラブコメ資本主義体制に支配されている！』
青ピ『持てる者はいつもまで肥え太り持たざる者はいつまで経っても貧しいまま……』
青ピ『今こそ立てよ学園生！学園へ対しラブコメ禁止の権利を勝ち取るために――』 ﾌﾟﾂｯ
上条「いいぞもっとやれ」
？？？「上条ちゃんは取り締まれる方だと思うわ。取り締まられるっつーか、絞められるって意味でも」
上条「おいおい何言ってんだお前。去年も一昨年も、多分その前もシングルで今年もシングルの俺に向ってなんて口叩くんだ」
？？？「そこまで責任は見切れない」
上条「つーかお前……」
トール（※常盤台制服着用）「き、奇遇よねっ！」
上条「お、おぅ……？」
トール（※常盤台制服着用）「な、なによ！？そんな知り合いから突然カミングアウトされたみたいな顔して！？」
上条「正確に読んでんだろ。まさに仰る通りだよ」
上条「てか性別？お前あれ？確かにお洒落ケープつけてたけど、あれってそういう？あれ？」
トール「おいおい、この常盤台のエースを誰だと勘違いしてやがるんだ？」
上条「せめて口調は守れや。てか制服着ただけで本人に成りすまそうだなんて全国のレイヤーさんに謝れ！」
トール「『ジャッジメントですの！』」
上条「いやその子もエースはエースだけども。もう少し調べてから来いよ！設定が雑すぎる！」
トール「まぁそんな訳でデートしようぜ、デート」
上条「噂んなるわ！色々な意味でセンセーショナルな話になっから超噂されるわ！」
上条「あぁいや特定の人たちの特定のアレを否定つもりはねぇけど！草食系男子とベジタリアンが同列視されても違うんだよ！」
御坂「――なに、やってるのよ……！」
上条「おい来やがったよ！なんか来そうな気がしてたけど！」
御坂「やっぱり……男の子が方がいいってこと！？そんな気はしてたけど！」
上条「”やっぱり”と”そんな気”はいらなくね？前から薄々怪しいと思ってたってことだよね、それ」
トール「――気をつけろ上条ちゃん！こんなところに鏡が！」
上条「お前アレだろ？さっきからボケてるつもりでエッラい遠回しに俺のことdisってんだろ？なぁ？」
上条「『こんな子供だましで充分通じるだろ？』って俺がどこでキレっか試してんだよな？そうだって言えよ、おい？」
御坂「――でもまぁこれはこれで着地点としてはアリっちゃアリよね！応援してるわ！」
上条「たがらそういうんじゃないって言ってんだろ！？
御坂「……これがもし、佐天さんやARISAだったら、私、何をするか……！」
上条「血を吐くような台詞ありがとうビリビリさん。あとこれはギャグシーンであってギャグ、なんだよね？決して本音じゃないんだよね？」
御坂「あんたには分からないわよ！レベル7覚醒かと思ったら金髪ぱっつんぱっつんとバーターになった女の気持ちが！」
上条「超代って下さい。俺もそっちがいいなーチクショー」
トール「――よし、謎の人！俺と勝負だ、どっちが上条ちゃんに相応しいか白黒つけようぜぃ！」
上条「お前だけは選ばねぇから心配すんな。多分装備してんだろうし！」
御坂「受けて立とうじゃない！あ、でもできれば負けたあとも動画データの提出を希望するわ！」
上条「そしてお前だって知ってんじゃねぇか性別！？俺は違うよ！？『ま、いっか』で済ませられるほど懐深くないよ！？」
青ピ「――またまだお子様やんね、カミやんは」 ﾌｯ
上条「B○が好きなら大人だったら、俺はずっと子供でいい」
土御門「よく言ったカミやん！俺と一緒に大平原（※北海道銘菓）を極めるんだにゃー」
上条「極めるっつーかスタート地点から動いてねぇんだよ！お前らは精々数メートル走っただけでゴールしたと思ってんだからな！」
トール「ツッコミ、疲れない？」
上条「誰がさせてんだああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ！！！？」
――元学園都市跡地
上条「――そうか。次はイギリスってことか」
一方通行「まァ……だな」
浜面（パンイチ）「乗りかかった船だし」
上条「あぁ、気合い入れて行こうぜ！」
御坂「（ねぇねぇ）
トール「（っだよみこっちん。シリアスな話してんだから）」
御坂「（や、それは分かる、分かるんだけどパンイチの人が）」
トール「（いんね。しかも両手にコンビニ傘の骨組み装備してっけど、霊装なんかな）」
上条「はいそこ無駄話をしない！真面目な話をしているのだから僕らはねっ！」
インデックス「なんなのかな、これ」
女体化アレイスター「悪い夢だが――まぁ、これはこれでアリだ」 ｸﾞｯ
インデックス「いや、そーゆーのはね、うん。神様の教え的に、現代の解釈じゃのーかうんとっていうか」
女体化アレイスター「帰ったら適当にオススメを見繕ってやろう。『ここはグリーンウッ○』から始まってだな」
インデックス「それって普通の少女まんがだよね！？邪な要素はなかったかも！？」
（※この話を書くに当たりBLのプロ(上司)に意見を伺ったところ、「せいべつをかえるなんてとんでもない」との金言を頂きましたのでこういう流れとなりました。ご応募ありがとうございましたが、上条さんに謝って）
――
鳴護「『はーい、という訳で”ARISAのネットレイディオを聞くじゃんね！”もそろそろ終わりのお時間が来ちゃいましたー』」
鳴護「『が、番組から告知？……あぁうんお知らせがあります』」
鳴護「『ラジオネーム、”イギリス大好きっ子さん”の殿堂入りが決まりましたー！いつもいつもありがとー！』」
鳴護「『というのもですね。番組開始以来、あなたから届いたメールが五桁に達し、その殆どがフランスの悪口だったので！』」
鳴護「『ツイッターで在日フランス大使館に絡んだりするのをやめてくださいね！軽く国際問題になりますから！』」
鳴護「『凱旋門でのデモに合流して”ARISAさん頑張って！”って日本語のプラカード出すのもダメだよ！あたし主犯みたいじゃん！』」
鳴護「『黄色いライフジャケットの中に番組特製のスタジャン着てくと悪目立ちするから！素でやってるのか悪意なのか分かんないよもう！』」
鳴護「『あとヤケになったからってあたしの私用メール送ってくれるのをやめてね？タイトルが”新しいヒロインについて”なのに中身はフランスの悪口って精神がヤラれるから！』」
鳴護「『――と、いう訳で！特典として大好きっ子さんには本ラジオに出禁となります！出待ちしているレッ――ちゃんを見たら通報案件だから！』」
鳴護「『あと時間……？少しだけ？えーっと、あぁもう年の瀬ですよね−。今年も年越しカウントダウン生公録しますんでヨロシクです』」
鳴護「『その前にクリスマスもありますが、お仕事……は、ないの？今の所は？あっそう、へー』」
鳴護「『えっと……リアクション的に”アイドルだけとお仕事してるからファンの人は安心してね！”ってできないんだけど……？いいのかな？』」
鳴護「『っていうかアイドルじゃないんだけどね！シンガーソングライターだから！ある意味Youtube○の先駆けでもあるし！』」
鳴護「『まぁいいかな！どうせ前の日も次の日もお仕事だし、家帰ったら泥のように眠るだけ――え？最後にメール来てる？』」
鳴護「『ラジオネーム、マクロ○き毛糸洗いに自信が持てます、さん。うんもう誰だか分かったよね、分かっちゃったよね』」
鳴護「『えーと……”フードファイター＠RISAさんのこんにちは！”はい、違います。フードファイターじゃないですし、今＠マーク入れるとスベってる感が強いから』」
鳴護「『”M○の審査員お疲れ様でした！誰か一人だけ審査員席でスベり倒していた落語家崩れがいましたが大変でしたね！”』」
鳴護「『”そんなARISAさんに質問なんですが、M○ファイナリストはテレビをつければ大抵どこかで見れますが、志ら×さんの演芸はどの番組を見てもやっていません”』」
鳴護「『”これは志ら○さんが面白くないからですか？それともテレビで映す価値が無いからでしょうか？どうか教えてください”……です』」
鳴護「『まずね、出てない。M○にはお呼ばれしてないよね？なんで学園都市でご当地アイドル扱いされてるあたしが出られると思ったの？』」
鳴護「『あと中身も全っっっっっっっっ然関係はないよね？基本的に審査員の人が審査員の資格があるかどうかを言ってるだけでさ？』」
鳴護「『というかあたし言った事にならないよね！？事故起こすのはレッサーちゃんの勝手だけど責任転嫁はやめ――』」 ﾌﾟﾂｯ
ナレーション『このネットラジオはTATARAコーポレーションの提供でお送りしました』
――ブース外
鳴護「……お疲れ様でしたー」
シャットアウラ「お疲れ！よかったぞARISA！」
マネージャー「お疲れ様でした」
鳴護「最後ほぼまた放送事故になっちゃってたんだけど、いいの？ですか？」
シャットアウラ「問題ないとも！」
マネージャー「リスナーさんは『gdgd感が好感触』とのことですので、まぁ飽きられるまではこの路線でいいんじゃないんでしょうか」
鳴護「あとドッキリで特定のリスナーさんのお便りを突き出すの、やめてもらえません？なんかこう、リアクション取るのも疲れるっていうか」
シャットアウラ「え？リアクション可愛いし、いいんじゃないのか！？」
マネージャー「スタッフの方には言ってあるんですけどね。初期から代らないんで、悪ノリ過ぎてるっていいますか」
鳴護「というか、あの、ちょっといいかな？」
シャットアウラ「あぁすまない。少し外してくれ」
鳴護「それ違くて、なんでお姉ちゃんいるの？」
シャットアウラ「アリサのお姉ちゃんだからだが？」
鳴護「なにそれこわい」
マネージャー「リーダー――もとい、社長はですね。事務所の仕事の方が早く終わったので、ですよね？」
シャットアウラ「そうだな！悪い虫がつかないようにするためにもな！夜遅いし！」
鳴護「いやまだ7時ぐらい……まぁ送迎してくれるのは嬉しいけど。あ、じゃあ今日はこれでアガリですか？」
マネージャー「ですね。お疲れ様でございました。明日も同じ時間にお迎えに参りますので」
鳴護「あ、はい、どうもです。というかクリスマスにお仕事無いって聞いたんですけど。本当に？」
マネージャー「そうですね。入れようと思えばいくらでも可能だったのですが」
鳴護「が？」
シャットアウラ「ダメだダメだダメだダメだ！クリスマスはお姉ちゃんと一緒に過ごすんだからな！」
マネージャー「……という我が社の幹部の強い希望により、ARISAさんはファンよりも家族を大事にするアイドルとして頑張っていただきたい、と」
鳴護「大丈夫ですかこの会社？カルロスさんがゴーンしちゃったように大事故になりませんか？」
マネージャー「ご心配なく。家族的な雰囲気をもった（能力者と義体をフル活用した兵士達の）会社ですんで」
鳴護「明らかにオーバーキルですよね？高校生が国レベルのヒットマン的な？」
シャットアウラ「それは結構多いな」
マネージャー「結構多いですよね」
鳴護「あれ？ラノベの世界観が現実を侵食してるの？」
シャットアウラ「まぁ会社の事は任せておけばいい！そんなことよりもクリスマスは二人で楽しめるようにゲーム用意したんだ！たーのしーぞ！」
鳴護「あっ、はい。ゲーム？二人だけでパーティゲームは厳しいんだけど……」
シャットアウラ「ツイスターだ！ドン○行ったら『大人気！』なのに定価の20分の1で売ってた！」
鳴護「より厳しいな！？女の子二人で盛り上がってるようなゲームじゃないし！」
マネージャー「大バーゲンが人気の無さを物語ってますよね。あぁそうだみりん買って帰らないと」
鳴護「待ってくださいマネージャーさん！？あたしを置いていかないで！？」
マネージャー「はっはっはー、いやですねアリサさん。ご家族同士のお時間を邪魔するなんて自分にはとてもとても」
鳴護「本当にそう思うんだったら目を見て言って！あたしの！明らかに『あ、これ面倒だし帰ろう』って態度ですよ！？」
マネージャー「えぇご理解いただいているようで何よりです。路上に落ちている腐ったミカンを拾うお仕事がこれから」
鳴護「じ、じゃあ仕事！」
マネージャー「はい？」
鳴護「あ、あれですよ！あたしも実はお仕事入ってたじゃないですか！？クリスマスに！」
シャットアウラ「なんだと！？お姉ちゃんと聖なる夜を過ごせるんじゃないのか！？」
鳴護「ごめんね！？実は報告忘れてたけどあったんだよ！何かが！」
マネージャー「あー……そういえばありましたっけ。でもあれ先方からは『できればいいんだけど』って言われてませんでしたか？」
鳴護「アイドル、ARISAですっ！お仕事頑張っちゃうぞー！」
マネージャー「ならまぁ仕方がないですね。という話ですので社長、残念ですがクリスマスはお一人でツイスターしててください」
鳴護「どうやって？一人ジェンガの方がまだ楽しくない？」
シャットアウラ「仕事ならしょうがないな。いざという日のために練習しておくさ」
鳴護「いざってなに？あとあのエロいパーティゲームはパーティで楽しめないのにパーティってついてるのは過大広告だと思うの」
――ファミレス 翌日 放課後
レッサー「……成程、話は分かりましたよ。ア・リーサさん」
鳴護「あ、すいません。こっちのメニューを端から端まで、はい、全部お願いします」
レッサー「つまり現在のフロッグイートマンの惨状はどこの国でも起きうるものであり、我々も覚悟せねばならない、と？」
鳴護「季節のスイーツ？あー、異常気象でイチゴがお安く？へー……先取りサンタの欲張りセット？じゃあ、それも。はい、お願いします」
レッサー「民主主義とは確かに民意を汲み取って政治をするものでありますが！だがしかし首都で破壊活動するのがデモだと言えるでしょうか！？いいえ違います！」
鳴護「あとは食べ終わったときのためにワゴンをここへ置いといてください。はい、それで」
レッサー「まっ！もし仮に軍隊動員して鎮圧するようでしたら『フランス政府は人民の敵！民主主義を守れ！』ってアジるつもりなんですがね！オイシイですね！」
鳴護「……」
レッサー「……」
鳴護「ごめん。話聞いてなかった」
レッサー「えぇでしょうとも。いつまで経ってもツッコミが飛んで来やがらないでそうだとは思っていました」
鳴護「レッサーちゃんがフランス嫌いなのはよく分かったけど」
レッサー「嫌い？いやいや誤解ですよアリサさん、私はフランスが嫌いなのでは決して」
レッサー「ただ少し過去の因縁と連中の歴史、そしていつの日か邪魔になるであろう雑草を間引きしておこうというボランテイア精神でですね」
鳴護「その結果、今よりよくなるとは限らないと思うんだよ」
レッサー「――確かに……ッ！？なら仕方がない、今のウチにアーリアン式平和手術を強制執刀しないと！」
鳴護「響きだけでそれがもうヤバイって分かるな！アーリアさんって人の話だよね！特定の民族関係なく！」
レッサー「という訳でいざフランスへ！年末年始に湧く凱旋門前で黄色い服着て盛り上がりましょうや！」
鳴護「関係ないよね？あたし達関係ないのに行くの？」
レッサー「何言ってんですかアリサさん、あれ純粋な政治運動な訳ないじゃないですか！？真っ当な市井の人間が書き入れどきに大勢集合して昼夜も問わずに暴れるってできるとでも？」
鳴護「ホントごめん。政治の話はスルーしていいかな？一言で言えば、面倒臭いから」
レッサー「分かりました。では日本国技の決まり手に『付き人への（性的な意味での）暴行』が加わった件について」
鳴護「風評被害が酷すぎる。傷害は傷害だけど罪を盛るのも良くないと思うな」
レッサー「ではクリスマスなのでリビア連合王国がマンモーニ（イタリア野郎）より独立したのを讃えましょうか」
（※12月24日）
鳴護「リビアってあのリビアだよね？たまーにテロが起きる」
レッサー「なおイタリア人から解放したのは英仏ですがね！」
鳴護「世界で起きるあらゆる悪事に一枚噛んでるよね、イギリスは。ノルマでもあるの？」
鳴護「――というかお願いします！レッサーちゃんだけが頼りなの！」
レッサー「……真っ向からそう言われると弱いですがねぇ。で？私はどこの国でフランス革命を起こしてくればいいんですか？」
鳴護「この後に及んでしつこくフランスの毒を吐き続ける根性は凄いよ？凄いけど、フランス以外で革命起こしたらフランス革命って言わなくないかな？」
レッサー「まぁ小粋なブリテンジョークはこのぐらいにして。本題を聞こうか！」
鳴護「いや最初っから話して……ごめん。また一ボケ入れると尺が足りなくなるから急ぐけどね――」
鳴護「――たまには遊びたいですっ！お友達とフツーに！何のしがらみもなく！」
レッサー「またエッライ普通の悩みですな。たまたま学園都市に私がいたから良かったものの」
鳴護「季節的になんでかは想像つくんだけどね！あえてそこは踏み込まない方向で！」
レッサー「いいですかーARISAさん？この業界では新人を戒めるために使う言葉で『西葛西』という謎単語がありまして」
鳴護「もう許そうよ？いい加減にしてあげないかな？本人も多分ウンザリしてると思うから」
レッサー「他にもですね。『痴漢冤罪やってやレールガ○』って台詞も」
鳴護「ぶん殴るよ？」
レッサー「ごめんなさい」
鳴護「――と！レッサーちゃんしか頼める人がいないの！」
レッサー「はぁ、まぁ他でもないアリサさんの頼みですし、私でできることだったらしますけど」
鳴護「ありがとうっ！」
レッサー「遊ぶのは分かりましたが、今こうやって遊ぶのはダメなんですか？少なくともダチとランチ、もしくはフードバトルしてますよね？」
鳴護「まぁ、そうなんだけど、そうじゃなくって当麻君とね」
レッサー「あ、遊ぶは遊ぶでも男遊びですかこのアマ！？どいつもこいつも発情期ですねっよーく分かります！」
鳴護「納得するんだ……あぁ違うけど！そういうんじゃないけど！」
レッサー「分かりました！それでは尺も足りないんで失礼します――」
鳴護「いやレッサーちゃん何を――」 ﾄｽｯ
――学園都市 廃工場
鳴護「う、うーん……ここは？」
レッサー「こんなこともあろうかと前もって確保しておいたアジトです」
鳴護「うん、発想がテロリスト。てゆうか動けないんだけど」
レッサー「ちなみにあそこ、あの辺りに穴、ありますでしょ？」
鳴護「あー、る、かな？それが？」
レッサー「幼女へ後ろからドリルのようなものを突きつけた犯人を撃った弾が貫通してできた跡です」
鳴護「縁起でもないよぅ！？てか怖いし！」
レッサー「まぁシチュエーション的にはバッチグーということで」
鳴護「いやあの、何を、するの……？」
レッサー「作戦名――『泣いた赤鬼』！」
鳴護「和風だね。えっと、赤鬼さんが青鬼さんのために悪い事して退治される話でしょ？」
レッサー「――よって今から！私が！アリサさんにエロいことをします……ッ！」
鳴護「ごめん。何を言っているのか全然分からないけど、人選をファンブルしたのだけは分かるよ！」
レッサー「あ、お嫌でしたらそこら辺で落ちてるチンピラにします？」
鳴護「どっちも嫌です。知らない方がより嫌だけど」
レッサー「へっへっへっへー！ワガママな体してるじゃないですか！」
鳴護「本気でやめてよ！？意味が分からない！」
レッサー「……」
鳴護「ど、どうしたの？」
レッサー「おや？来ませんね……？」
鳴護「バカなのかな、うん。長い事『これだけは言わないでおこう！』って自制したんだけど、今日は言うよ？バカなのかな？」
レッサー「私の知ってる上条さんでしたら『――楽しそうなことやってんじゃねぇか、俺も混ーぜて！』とか言いながら邪魔へ入りそうなもんですが……？」
鳴護「後半は流石に言わない、かな？うん多分きっと」
レッサー「おっかしいですね……？（ちょっとお耳を拝借）」 ﾎﾞｿｯ
鳴護「（な、なにかな？）」
レッサー「（今から……なので、私が……という……どうです？）」
鳴護「（意味があるとも）
レッサー「すいません。嫌がるアリサさん見てる内に本気でムラムラして来たんでエロいことしましょう」
鳴護「ストレートに！？演技には見えない実直さ！」
レッサー「何言ってんですかランシスじゃあるまいし」
鳴護「いいのか悪いのか分かんないよ！てか近い！近いからレッサーちゃん！」
レッサー「てか前も思ってたんですが着やせするんですよね、アリサさん。将来このワガママな体を男にとられる前に――」
鳴護「ちょっ？！それは流石に洒落にならな――」
上条「――よしちょっと待ってもらおうか！邪魔はしないから動画撮っても宜しいでしょうかねっ！？」
鳴護「おい隠れて見てやがったな百合厨」
――イギリス ロンドン アレイスター・ハザード
上条「で、ここからどうするんだ？俺たちはどうやって反撃すりゃいい？」
TS理事長「ふっ、慌てるな少年よ。興奮するじゃないか」
一方通行「なァ？こいつ突きだしてハッピーエンドにしねェ？ヘンタイ一人捕まった方がいいだろォよ」
TS理事長「そう邪険にするな。興奮するじゃないか」
浜面「何やったって性欲ゲージ上げてんじゃねぇよ！ある意味尊敬するけどよ！」
上条「落ち着けお前ら。このアホは俺たちをからかって遊んでるだけだ。なぁ？」
鳴護「うっわーー！凄いね！見て見て当麻君！気持ち悪い人がいっぱいいるよ！」
インデックス「あれは人っていいのかどうか……疑問なんだよ」
御坂「目がチカチカするわよね。遠くの方にロボットまでいるような……？」
トール「あいつぁウィッカーマンだな。『ドルイド魔術を修めたヘンタイの可能性』の一つだぜ」
一方通行・浜面・TS理事長「……」
上条「な、なんだよ？みんなして俺見て？」
一方通行「……あァまァ代表して俺が聞くけどよォ――」
一方通行「――なンで増えてンだ？」
上条「な、流れで？」
一方通行「捨ててこいよ！明らかに戦闘員でもねェしねぇねぇあとでARISAのサイン欲しいかも！ってミサカはミサカは割り込んでみるのだろうがよォ！」
浜面「すっげえ混線したな、今。どんな罰ゲームだ」
御坂「……なーんか気になる単語が出てきたような……？」
上条「だ、大丈夫だ！これ以上は増えない！オールスター決戦みたいにならないんだからねっ！」
TS理事長「フラグだね。もうそれは」
（※殆どクリスマス関係ありませんでしたごめんなさい。ご応募ありがとうございました）
――アジト
レッサー「――本気と書いてマジと読む！臥薪嘗胆長かった！叛逆の時が今キマシタワー！」
フロリス「最後の違うだロ。特定の癖の歓喜の声だ」
ラシンス「まぁ……分からないでもない」
レッサー「今こそ我らの力を見せつけるところです！一人はみんなのために！みんなは私のために！」
フロリス「どこの独裁者だ。都合の良いときだけカ、アァ？」
レッサー「ふっ、見くびらないでもらえませんか！私にあなた達以外の友達がいるとでも！？」
フロリス「なんて悲しい告白なんだ……ｯ！」
ランシス「レッサー……この中じゃ、男友達多い方じゃ……？」
レッサー「あぁ彼らは重力の井戸ならぬおっぱいのイド（id）に魂を引き寄せられた人達でしてね」
フロリス「フロイト先生はそんな事言ってない……イヤ、そんなんばっかたったっけカ？んー……？」
ランシス「基本HENTAI的な事しか書いてないから……フロイト先生」
レッサー「まぁ今日集まってもらったのは他でもありません！力をお貸し下さいなこの通り！」 ｸﾞｯ
ランシス「なんで頭を下げずに胸、張った……？」
レッサー「平たい胸族の方にはこれが一番敵意を削ぐとものの本で」
ランシス「よし、戦争だな」
フロリス「自虐ネタ？」
レッサー「いいえ、これは減ったのではなく増えたのです！ナイチチには無限の可能性を秘めており、むしろ時代は我にありと！」
フロリス「人類滅ぶだロ。いや単純に」
ランシス「生物学的には15歳前後が……ってのは間違いじゃない、一応は」
レッサー「チチがなければ戦争できないのは昔の話です！今はもうそこを前面に出していきたい！」
フロリス「ベイロープに聞かせてやれー。あのアマロ×巨乳なって調子ぶっこいてっかんナー」
ランシス「そっちみ……定番っちゃ定番」
レッサー「えぇですからね。私も今回ばかりは本気であのツンツン頭を落そうと思います！」
レッサー「よって貴君らには援軍を要請するでありますよ、我らが友情をみせてやりましょうサー！」
ランシス「……と、意味不明な供述をしており……どうしよっか？」
フロリス「手伝うのも面倒臭いケド、手伝わなかったら手伝うまで面倒クセーだロ？」
ランシス「……だよね」
レッサー「ありがとうございますこのアマども。いつか奥歯ガタガタいわしてやりますから楽しみに待っててくださいねっ！」
フロリス「人にモノ頼む態度じゃネー。で？」
ランシス「具体的に……なにを、すればいいの？」
レッサー「えぇはい、今回はマジでやれと言われたので――」
レッサー「――定番で攻めるとしましょうか……ッ！」
――学園都市 登校途中
上条「あれ……？寒気が？」 ﾌﾞﾙｯ
土御門「あぁそれはきっと学園都市120万人の怨嗟の声だと思うぜぃ」
上条「半分じゃねぇか。俺学園都市にケンカ売った憶えは……あー……？なかった、うん、なかった」
土御門「学園生にはケンカ売ってないぜぃ。学園解体するきっかけになるとか、そんなんしない限りは」
上条「じゃ大丈夫だな！俺がそんな大事にいっちょ噛みするはずはないしな！」
土御門「ナイス、フラグ立て」 ｸﾞｯ
上条「てか学園生が他の街へ広がったら変なデスゲームが始まる予感が！レベル3ぐらいでも一般人には対処不能だしな！」
土御門「アホを隔離するためにもここがいい立地なんだよ。壁の外行ったって不自由なだけだ」
上条「居場所がないやつだっているだろうしな」
土御門「それはさておきカミやん、そこにいると人が突っ込んで来るから危ないよ？
女子学生？「――どいてどいてどいてっ！？どいてくだすわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁいぃっ！？」 ﾄﾞﾝｯ
上条「けぞぶっ！？」
土御門「って言ったんだにゃー」
上条「遅いわ？！お前絶対に俺が回避できないorできないように注意逸らすために言っただろ！？今！？」
女子学生？「いたた……痛い、ですね」
上条「あぁごめん、大丈夫か？ケガしてんだったら、風紀委員の人にで」
レッサー（女子学生？）「どこ見て歩いてんですか！？この90年代に流行ったテンプレ主人公が！」
ランシス「……いいよー……もっとツンを前面に出してー……」
レッサー「べ、別にあんたに言ってる訳じゃないんだからね！」
上条「じゃあ誰に言ってんだよ。俺とぶつかって別のヤツに因縁つけ始めたらサイコホラーになんぞ」
土御門「全部拾うんかい」
上条「よしカメラ止めろ。そして正座しろバカ二人」
レッサー「カメラを止めるなって有名じゃないですか！？」
土御門「それ盗作疑惑かかってるやつ、てか記事読んだら真っ黒だったにゃー」
上条「というか何やってんの？師走のこのクソ忙しいときに､お前ら暇なの？」
レッサー「そんなヒドい！？私たちにだって都合ってもんがあるんですよ、ねぇっ？」
ランシス「……うん、ある」
上条「海外じゃ冬休み入ってるとか？」
ラシンス「……ううん。ド・ゴール広場でデモ隊に合流して、バーベキューする」
上条「堂々と他国でテロ活動してんじゃねぇよテロリストども。君もなんかおかしいな」
レッサー「そこはまぁまぁヨンイチでクーデター未遂に荷担した仲ですし？」
上条「忘れてたよ！お前ら全員テロ実行犯だったってことをな！」
レッサー「まぁ過ぎ去った昔の話はいいとして――で！？反応は如何にっ！？」
上条「もう帰れよ。俺だってお前のボケを捌くほど暇じゃねぇだよ」
ランシス「上条名人……ノット好感触……です」
レッサー「くっ！定番がいいと聞いたのに！」
上条「定番？なんで？」
レッサー「首を洗って待っていなさいよコノヤロー！これからあなたには第二、第三の笑いの刺客が襲い掛かりますからね！」 ﾀﾞｯ
上条「それなんて笑ってはいけない24○」
土御門「羨ましいなカミやん！笑いの絶えない日常で！」
上条「じゃあ代ってくれよ。喜んでこの業（ツッコミ）をお前にやるよ」
土御門「俺には荷が重すぎる。俺の腕には舞夏一人で定員オーバーだぜぃ」
上条「お前の妹さんな、メシかお菓子奢ってくれる相手は全員『お兄ちゃん』って呼んでくれんだぞ？」
土御門「おぉっとそれ以上言うんだったら戦争だからな！それ以上言うんだったら！」
――学校 ホームルーム前
上条「おはよっす」
姫神「おはよう。上条君。ねぇ聞いたかな？」
上条「何を？」
姫神「転校生が来るって」
上条「――俺帰るわ。小萌先生には『ちょっくら世界を救うついでに女の子を助けてきます』って言っといてくれ」
姫神「逆逆。その言い方だと女の子はついでっぽく聞こえ」
レッサー「頼もぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ！本日付で本校に転校になっ」 ｶﾞﾗｯ
災誤「――あ、見つけた、こっち来い」 ﾑﾝｽﾞｯ
レッサー「のおぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ！？」
上条・姫神「……」
上条「……うん、やっぱいいわ。世界を救うのはまた今度で」
姫神「女の子は？女の子は救わなくてもいいのかな？」
上条「俺の腕には姫神一人で定員オーバーだよ」
姫神「……もうっ」
土御門「そして俺のパクりだにゃー」
吹寄「朝から鬱陶しいから余所でやりなさい、余所で」
小萌「――はーい、皆さんおはようございますですよー！良い子ちゃんと腐ったミカンの皆さーん！」
上条「先生、俺を見ながら『腐ったミカン』ってなんでいつも言うんですか？」
小萌「理由が分からない子には先生の有給がガリガリ削られているのを詳しく説明するとしまして本日は留学生の子が来ています！」
上条「帰りましたよ？たった今ゴリ……災誤リラに連行されて強制送還されたと思います」
小萌「え？何言ってるんですか、廊下にいますけど？」
上条「リカバリ半端ねぇな」
小萌「じゃあどうぞー」 ｶﾞﾗｯ
ランシス「……やぁ」
上条「――ってお前かぁぁぃっ！？」
青ピ「不思議系転校生――アリやんねっ！」
上条「お前ホンットに守備範囲広いよな！宇佐○にも見習って欲しいわ！」
青ピ「な、カミやんこんな話を知ってるかい――」
青ピ「――『可愛ければ、なんだっていい』ってね……ッ！」
上条「謝れ！日本だけじゃなくて世界各地のライターさんに謝って！そのKAWAIIをどうやって出そうかノイローゼになるまで悩んでる人達に今すぐ謝って！」
――昼休み
レッサー「センパーイ！お弁当作ってきましたっ、食べてくださいっ！」
上条「おぉっと来やがったなテメー！俺は知ってんぞ！これが罠だって知ってんだからな！」
レッサー「そんな酷いっ！？折角先輩のためにマジで作ってきたのに！？」
姫神「上条君。それはない」
吹寄「そうよね。食べてあげなさいよ、嬉しいでしょ？」
上条「……オッケー分かった。そこまで言うんだったら、まぁ食ってみようじゃねぇか――ただし！」
上条「お前らも食えよ、なぁ？」
レッサー「あ、どーぞどーぞ！量は作ってきてありますんで、是非！」
姫神「イギリスからの一日留学生。本場の味は興味ある」
吹寄「……本場の？」
レッサー「はい！上条さんには飾らない私たちの文化を見て欲しいと思いまして、ガチで用意しました！」
吹寄「あっ、あー……」
姫神「吹寄さん？」
吹寄「ごっめーん！委員会の仕事入ってたから！まだ今度ね！」 ﾀﾞｯ
姫神「逃げた？なんで？」
レッサー「ふっ、口ほどでもないですな巨乳デコメガネっ娘！薄い本じゃ真っ先にエロいことされる立場です！」
姫神「それマイナスになるのかな？」
レッサー「まぁまぁともあれそっちの普通の方も！イギリス風ランチをご賞味ください！」
姫神「ありがとう。よかったら私のお弁当も食べて」
レッサー「あざっす！上条さんもどうぞ！」
上条「まぁ……うん、作ってきたから食べるは食べるんだけど」 ｶﾎﾟｯ
レッサー「どうですかっお客さんっ！我々が普段食べている物を忠実に再現しました！」
上条「えーっと、まず整理しようぜ。弁当箱は弁当箱なんだよ。大きめの道具箱のサイズの」
姫神「知らない人が見たら。中に遊戯○のカードが収納されてそうな感じだよね」
上条「まぁそれを開けたらだ。まず目に飛び込んでくるのは、つーかこれリンゴだよね？」
レッサー「それがオレンジに見えたら病院ですよねっ」
上条「まぁリンゴはいいとしようや。お弁当本体とは別に小さなタッパーとかへ入れてデザート的なのだったら分かる。てか俺も嬉しいよ、だけどな？」
上条「なんで丸まんま皮も剥かねぇナイフもつかねぇリンゴが弁当箱ん中入ってんだよ！？子供の自主性重んじるにしたってやり方あんだろ！？」
（※実話です）
上条「あと……あぁこれはいいさ。サンドイッチはいいよ、中に名状しがたい黒いモノが溢れんばかりに塗りたくってんのを除けばだ」
レッサー「それは子供たちに大人気ですよ。チョコとジャムです」
上条「俺も好きは好きだが……うん、安心だな！味は分かってるし！」
姫神「あの。上条君。これはギャグでやっているのか不安なのが入ってる」
上条「気をしっかり持て姫神！弁当の中にはまだ二つ残ってる！どっちから拾おうか迷ってるところだ！」
姫神「上条さんがツッコむのを迷うのは。もうそれだけピンチだってことだよね」
上条「じゃあまぁ手近な方から行こう！これなんすかレッサーさん！？」 ｶﾞｻｯ
レッサー「ポテチの袋ですけど？」
上条「っっっっっっっっっっっっっっでだよ！？なんで弁当箱の中にポテチ入ってんだよっ！？しかも袋ごと！？」
（※実話です）
レッサー「愚問ですな！適度な油分と塩分をとるためにもポテチは健康食だと言い張ってる層も一定数居る国ですよ！」
（※実話です）
姫神「予想以上に酷い」
上条「そしてラス一！一番最初にツッコもうかと思ったけど！何か『目の錯覚かな？』って躊躇ったブツは――」 ﾄﾞﾝｯ
上条「コーラ（ペットボトル）だろっこれ！？なんで弁当の中に入れようと思った！？あぁっ！？」
（※実話です）
レッサー「喉、乾きません？」
上条「もうそういうレベルの話じゃねぇよ！？だったら水筒かお茶でいいだろうがよ！？なんでコーラ入ってんの！？
上条「お前言っとくけど日本でこれお子さんに持たせたら教師or児童相談所に呼び出されっかんな！かなりマジで言うけど！」
レッサー「そりゃあ文化の違いですね。てかマジでスクールパックドランチって言って、給食の出ない学校のお弁当はこんな感じですし」
上条「言ってやりなさいよ姫神さん。君の目にはどんな風にうつったかって」
姫神「ここまで来るともう暴力だよ」
レッサー「萌える声で罵られると心に来ますな！」
上条「ったくまぁ――いただきます！」
姫神「って食べるんだ？」
上条「当たり前だろうが！俺の人生初の女の子からの手作り弁当だぞ！？」
姫神「作ってるかどうか微妙だけど……」
レッサー「授業中に内職でちょちょいと」
姫神「あぁ。だから甘い匂いがしたんだ」
――屋上 放課後
少女「……」
ｷﾞｯ､ｷﾞｲｨｯ……
上条「こんな所に居たのか。探したぜ」
少女「……」
上条「いや別に探した訳じゃないんだ、つーかまぁ探したんだけど。気になったっていうか」
上条「なんていうかさ、ほら、今日って様子がおかしかったろ？まぁいつもおかしいんだけど――」
少女「ずっと前から……あなたが、好きでした」
上条「っ！？」
少女「……だめ、ですか？」
上条「あぁいや唐突すぎて。つーかなんで俺なんか」
少女「決まってる……」
ランシス（少女）「――友達から寝取るのって、超興奮する……ッ！」
上条「ってお前かあぁぁいっ！！！？」
――イギリス ロンドン
上条「――総員に告ぐ！我々は謎の神様軍団に襲撃を受けている！助けて下さいお願いしますっ！」
御坂「それじゃ陽動誰か行ける？」
ランシス「……アリサが歌って引き寄せて、私が”爪”で足担当……」
トール「で、引き寄せるだけ引き寄せたら俺らでズドン！だわな。念ため上条ちゃんはアリサちゃんについててくれよ」
鳴護「が、頑張るよ！」
レッサー「あれ？わたし、は？」
フロリス「ま、気にすんなヨ。こまけぇこたぁっていうジャン？」 ﾎﾟﾝｯ
レッサー「え、えぇまぁ言うらしいですけど。いや違う、何か違う――」
レッサー「っていうかフロリスまで！？あなたやっぱりじゃないですか！？」
レッサー「オリジナルメンバーもどこか行っちゃいましたし！？これ多分ダメなルート確定したんじゃないですかねぇ！」
（※イギリス低学年向け弁当の話は一ミリも盛っていません。本当にあれが一般的な(労働階級の)お弁当です。ご応募ありがとうございました）
――ロンドン 日本人街 とある駄菓子屋
建宮「――五和、今日はお前さんに厳命を与えるのよ……ッ！」 ｻｸｻｸｻｸｻｸｯ
五和「教皇代理。さくさくぱん○を食べながらだと説得力が激減します」
建宮「その通り！厳しい命令と書いて厳命なのよ！」
五和「その通りも何も、特に何か発言してる訳じゃないんですが……」
建宮「黙らっしゃい五和！世界遺産登録が決まったからって浮かれてんじゃないのよ！」
五和「あぁそれでテンションがいつもに増しておかしいんですか。浮かれる気持ちも分かりますが」
建宮「気がつけば平成の御世も今年で最期、我らは長い事作戦を続けてきたのよな」
五和「体感時間だと数ヶ月ですけどね！……てか作戦？作戦って何かしてましたっけ？」
建宮「おいおい五和さんよぉ。それじゃ困るのよな、天草式のトッコーが何をボケてるのよ！」
五和「明らかにハンター×ハンタ○の下っ端ヤクザに意識された台詞ですが、すい、ません？」
建宮「そしてまた年越しを待たずに連載中止なのよ……ッ！」
五和「気を確かに建宮さん！作者の方の生死がよく分からず、次号予告ですらもう期待できなくなった喧嘩稼○よりかはマシです！」
建宮「偉い人をネタにしてたらマホカン○された例なのよな！五和も気をつけるのよ！」
五和「回り回ってとは言いますからねぇ。覆水とも言いますし」
建宮「まぁ多分ハレー彗星のように戻ってくる時限式ブーメランはいいとして、お前さんの話なのよ。つーか進捗状況はどうなってんのよな？」
五和「進捗もなにも、先程から何の話をされているのでしょうか？」
建宮「そりゃお前……あー、エッチスケッチワンタッチの話しかないのよ！」
五和「その謎フレーズ、小学生ぶりに聞きました。古すぎてもう元ネタが分からない」
建宮「だから少年との愛を育む話なのよ」
五和「すいません教皇代理。そう少年少年連呼されると、私が一部の特殊な癖（へき）の人に思われるのでいい加減に」
建宮「え？五和と少年の年齢差を考えると充分」
五和「アフロ全部引き抜きますよ？」
建宮「――お、お似合いのカップルってやつよな！ベストマッチ！少しだけ年上好きの少年にはピッタリなのよ！」
五和「もうっ建宮さんったらお上手なんですから！そんなに誉めたってお歳暮を少しランクアップするぐらいしかないですよぉ！」
建宮「なんだかんだでチョロいのよ――というネタの話はともかくとして、お前さんマジでそこら辺どうなってるのよな？」
五和「う！急にギア変えられると困るんですが！」
建宮「我らが授けた『おしぼり作戦』は一定の効果を上げたものの、それ以降はトンと音沙汰もなく……」
五和「正直おしぼり参戦も効果があったのか怪しいところなんですが……」
建宮「後日対馬に『あんたら五和に何教えてんのよ！』ってメッチャ怒られたのよ。泣きそうになった」
五和「やっぱりあれネタだったんですか！？おかしいとは思ったんです！だっておしぼりなんてそんなに必要ないですからね！」
建宮「余談だけどよ、対馬の蔑んだ目で見られたいって男衆が何人かいるのよ」
五和「本当に余談ですね！何の有り難みもないしできれば聞きたくなかった豆知識！」
建宮「対馬に怒られたりもしたけども！それでも少年と話すきっかけになったのは否定出来ないのよな！」
五和「まぁそう、ですね。きっかけにはなりましたけど、最初『何この変な子？』的な空気があったのも事実ですけどね」
建宮「……ほう。つまりアレなのよ？五和さん的には『おしぼり作戦』はいらない子だったのよ？」
五和「そこまでは言いませんけど。まぁそんなには」
建宮「――って言う事は！なら五和さん言ってご覧なさいよ！俺たちのアイディア以後関係が進みましたかああぁっ！？」
五和「キャラ崩壊気味に叫ばれても……」
建宮「少年とイチャコラしたのはアビニョンとアックア襲撃後の病院でちょっと！しかもあの時は女教皇が結婚のお召し物を持参されて全部持って行かれる始末！」
建宮「そんな体たらくで俺らが黙ってるのも限度があるのよなっ！？」
五和「超大きなお世話です。あとその時は金髪グラサンが暗躍していたような……」
建宮「俺は五和のためを思って言っているのよ！決して、そう決してネタにしてイジって楽しもうだなんて性根はないのよな！」
五和「オモチャ気分か。私たちは暇潰しかネタ要員ですか」
五和「……まぁ教皇代理の言葉を疑う訳じゃない、ないんですが……」
建宮「なんなのよな！言ってみるのよ！」
五和「なんかヒス起こしたオネエ系っぽいですが……私ばかりを応援されていてもいいんですか？」
建宮「俺……か？俺はこの想いを少年へ打ち明けるつもりはないのよな」
五和「違う、そうじゃない。というか本気だったら応援しますけどご時世的に難しいんですからボケを挟むな！」
五和「私が言ってるのは！贔屓はよくないんじゃないですかってことですよ！なんか、抜け駆けみたいで！」
建宮「あー、まぁよ。女教皇も五和もよ、俺に取っちゃ可愛い妹弟子なのよな」
建宮「信仰の上じゃ我らよりも女教皇の方が上だとはいえ、力関係も上だとかそういうもんじゃないのよ」
建宮「ただ持って生まれた役割が違うだけ。人よりかちぃとばかし重いそいつを、俺らが支える助けになれば、とは思うのよ」
五和「ありがとうございます」
建宮「それに女教皇には俺だけじゃなく、関西魔術会の梟雄土御門家元春がケツもちしてるという噂も……！」
五和「敵だったら倒せますけど仲間だったら倒せないですからね。女教皇も苦労されていますし」
建宮「まぁまぁそう言わずにプランだけでも聞くのよ。天草式の男衆の叡智を結集させた必殺間違いなしの計画をよ！」
五和「既にもうコント臭が半端ないですよね？」
建宮「まず最初は――これなのよ」 ﾄﾞﾝｯ
五和「お酒、というか焼酎ですね。これが？」
建宮「飲ませて後は……分かるのよ、なっ？」
五和「短絡的過ぎますよ！？そりゃまぁ意味は分かりますけどほぼ実力行使と何が違うんですかっ！？」
建宮「要はアレよ、既成事実を作っちまえってぇ話なのよ」
五和「おいアフロ。お前の肩書き思い出せ、なっ？」
建宮「肩書きもクソもないのよな！主は『まぁ少子高齢化にも負けずにガンバ！』と仰ってるのよ！」
五和「そんな俗な言い方はちょっと……」
建宮「まぁ酒は軽ーいジャブなのよ。『少しだけ、クリスマスですし少しだけ、ねっ？』みたいな事を言われたら断れないのよな」
五和「……いいんですかねぇ、それ」
建宮「で、まぁ次はこれよな。これを使ってジャブからストレートをねじ込むのよ！」 ﾄﾝｯ
五和「パーティゲームの箱ですよね。まぁ定番っちゃ定番ですが、中身は何ですか？」
建宮「ツイスターなのよ」
五和「エロい意味でのストレート！？あぁまぁ確かに直球という意味でも合ってはいますけど！？」
建宮「エロくなんてないのよ！これは道歩いてたら『妹とするはずだったのに……』って押しつけられたのよ！」
五和「呪いのアイテムですよね？」
建宮「かもしれん！だが使いこなしてこそ一流なのよ！――そして最後がこれなのよ！」 ｶｻｯ
五和「もう読めてますよ−？どうせオチは建宮さんが使う相手もなく集めてるコスプレセットなんでしょう？」
建宮「まぁその通りなのよ。いつの間にか悪ノリが高じてシリーズ化されてるのは否めないのよ」
五和「あ、あれ？認めちゃいました？」
建宮「だぁーが五和よ！堕天使エロメイドに始まり最新作は聖邪神テラメイド！マンネリ気味とはいえこれだけ揃っているのはどうしてか――」
建宮「――分かるのよ？」
五和「いえ興味はちょっとないです」
建宮「そこまで言うのなら教えるのよ――需要が、あるのよ……ッ！」
五和「いえですから興味はな――需、要？」
建宮「そうなのよ。まぁこの世には様々な癖があって人の数だけ癖があると言っても過言ではないのよな」
五和「女子へ対して話すようなこっちゃないですけど、まぁそれがなにが？」
建宮「だがよ！裏を返せば一定の需要があるだけ、売れているからこそこのエロメイドシリーズは残っている。ということはよ！？」
建宮「世界中で多くの男子がエロメイドに憧れていると言ってもいいのよな……ッ！」
五和「……」
建宮「……だめ？」
五和「むしろそこで『なら着ますっ！』っていう女がいたら駄目です」
建宮「そっかー、まぁ仕方がないのよな。俺らが無理強いしてご破算になったら目も当てられないのよ」
五和「そうですよぉ教皇代理。お気持ちは嬉しいですけど、やっぱりこういうのは外野が口出しするようなことじゃ」
建宮「まぁ少年をオトすのはお前さんでなくてもいいし、人知れずBBA化して焦ってる対馬に話を持って行」
五和「――やります！私、やってやりますよ建宮さん！」
建宮「おぉ五和その意気なのよ！『女の友情ってなんだろう？』と一瞬考えたけど、まぁいいのよな！」
――上条のアパート 夕方
上条「ただいまー……あ？」 ｶﾞﾁｬｯ
五和「あー、どうもどうも！いらっしゃいませ、ようこそ！」
上条「すいません。間違えました」 ﾊﾟﾀﾝ
五和「ま、間違ってないですよー！あなたの帰る場所はここですからあぁ閉めないで閉めないで！」 ｸﾞｯ
上条「いやお前アレだろ？これ面倒臭いやつなんだろ？」
五和「いえ、面倒臭いだなんて全然そんなことありませんよ！『面倒臭い女』とはよく言われますけど！」
上条「微妙すぎてツッコめないよ。拾っていいのかイジったもんか躊躇うわ」
五和「本日は慰労会というかですね、クリスマスなので上条さんを労ろうって天草式一堂が企画しました！」
上条「てかウチの子二人が見えないんだが。天草式なのにお前さかいないし」
五和「お二人はこちらで接待しておりますので！上条さんはどうか羽目を外してください！充分にねっ！」
上条「何かレッサー臭がするな。俺騙されてないか、これ？」
五和「いやいやそんなことは全然！さぁ座ってくださいよ、お料理もお飲み物も用意してありますから！」
上条「クリスマスの料理がズラーッと。これもしかして全部天草式の？」
五和「はい！郷土料理を現代風にアレンジしたモノです！」
上条「前にヴェネツィアじゃ一緒に食べられなかったけど、意外にフツーなのな」
五和「私たちだってクリスマスは普通に祝いますし、一年中修行している訳でもありませんので。ささ、どうぞ！」
上条「あぁんありがとう――てか聞いていい？さっきから気になってたんだけど」
五和「十八歳（ぐらい）です☆」
上条「なんでそこ拘るんだよ。まぁ見えない事も無いけど」
五和「（よっしゃあ！）」 ｸﾞｯ
上条「なんか全体的に酒臭いんだけど、もしかして飲んでる？」
五和「え？えぇ、まぁ、ちょっとだけ？景気づけに？」
上条「一杯引っかけてる時点でもう18歳説はなくなっただろ！」
五和「巧妙な罠……ッ！？」
上条「海のリハ○といい勝負してるよ。取り敢えず落とし穴一択の軍師キャラ」
五和「ま、まぁ落とし穴という点で一緒かも知れませんが……さぁ上条さんもどうぞ！駆けつけ一杯！」
上条「学生に酒勧めるなんてパワハラだと思うんだが……」
五和「あぁいえこれはですね、とても飲みやすくて（天草式の中では）軽めですから！ご心配なく！」
上条「いや、でもなぁ」
五和「誰だっていつかは通る道なんですよ！会社入って飲み会に連れて行かれて『飲めません』っていうんですか！？」
上条「それもまぁパワハラ……言い出しづらい雰囲気なのは認めるが」
五和「そしてまずやられるのがダイターン○の宴会芸ですよ！？酩酊した状態で！」
上条「極々一部だろ。ほぼ身内の馴れ合いだけでやってる業界じゃねぇか」
五和「なんでしたら私が介抱しますから！責任持って介抱しますから！私を信じて！」
上条「だからレッサー臭がプンプンするっつってんだろ。なんていうか小物臭といざとなったら大失敗するフラグ感がな！」
五和「えぇと、一口だけ飲んでダメだったらそこでストップすればいいですし、お試しにねっ？」
上条「うーん……まぁ、そこまで勧めるんだったら一口だけ。あんま強くないんだよね？」
五和「はい勿論！（天草式の中では）強くないです！」
上条「んじゃ……あ、美味しい。甘いっていうか」 ｺﾞｸｯ
五和「えぇ本当に（中に薬が入ってる以外は）オススメなんですよ」
上条「へー、意外だ。てっきりビールみたいに苦いもんだとばかり思ってた」
五和「ピンキリですね。上条さんもお料理でみりん使いますよね？」
上条「あぁ。肉の臭味消しと甘味付けで」
五和「あれもアルコール度数でいえば12〜15度ぐらいになりますし、みりん”風”調味料だって9〜13度ぐらいに調整してありますし」
上条「あ、もう一口もらっていい？」
五和「あ、はい。お注ぎしますね」
上条「ありがとうございます……でもさ、なんかこう辛いお酒や強いの飲めばいいって感じあるじゃんか？」 ｺﾞｸｯ
上条「男なのに甘い酒、子供っぽい、みたいなのはない、んですか？」
五和「んー、人にもよりますけど他人の好き嫌いにケチつける方が子供ですかね。周囲の人も多分メンドイので放置してるだけで」
五和「サッカー好きな人がフットサルを見下したりはしないでしょう？それと同じで」
上条「そっかー、なら、いいのかなー？」 ｺﾞｸｯ
五和「あ、空になってるのでお注ぎしますね！」
上条「どうも……あるぇ、体が熱い、かな？」
五和「酔ってるんですよね分かります！暖房効いているので遠慮なく抜いじゃって――あ！？」
上条「ど、うしたんですか？」
五和（あのエロメイド服を着てくるのを忘れた！いつもならここで邪魔が入るはずなのに、こうまで上手く行くとは思ってなかった！）
五和（このまま行ける……？いや、慎重に慎重を期して行くべき――）
五和「す、すいませんねっ！ちょっと忘れ物があったので失礼しますっ！すぐ戻りますからっ！」 ｶﾞﾁｬｯ､ﾊﾟﾀﾝｯ､ﾀﾀﾀﾀﾀﾀﾀﾀﾀﾀﾀﾀｯ
上条「おーう、気をつけてなー……」
上条「……なんか、体がヘンだな。熱い、暑い……いや――なんかこう、ムラって来るっていうか」
上条「……あぁそうか！だから『酔った勢いで』みたいな話あんのか！そういう成分入ってんだな！」
上条「でもどうしよっかー、戻ってくる前になんとか」
ｶﾞﾁｬｯ
上条「……あれ？」
対馬「五和ー、あんた変な服忘れてったけどこれ要るー？」
上条「……」 ｽﾞｲｯ
対馬「あ、こんばんは。五和来てる筈なんだけど――って近い、な？どうしたの、目がぐるぐるして――」
上条「オレ、オマエ、マルカジリ」
対馬「――んーーーーーーーーーーーーーーーっ！？んんーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ！！！？」
（〜暫くお待ちください〜）
――イギリス 数ヶ月後
上条「――『黄金夜明け』の魔術師が勢揃いかよ。全く豪勢なこって」
トール「でも、退くつもりはねぇんだよな？ま、逃がしてくれるかは別にしても」
上条「当然。世界の一つや二つ救ったんだ、ダメ親父が娘さんに土下座する舞台ぐらい作れねぇでどうすんだよ」
対馬「上等！そう来なくちゃね！」
トール・御坂・鳴護・フロリス・ランシス「……」
対馬「な、なによ？」
御坂「あなた、居たっけ……？」
鳴護「増えてる、ような？うん、増えてるよ！何人かずつ！」
対馬「そんなこと言われてもね！あんなことされたら責任とってもらわないと！」
御坂「ぶっちゃけ死ぬかと思ったわよね！一人じゃ身が持たない的な意味で！」
トール「あー、分かる分かる。求められてるって気がするんだよな」
フロリス「なんで女子トークに入ってんだヤローが。てか野獣だロもうこれ」
上条「さ、さぁっみんなで戦うぞー！俺たちの友情（愛憎）パワー見せてやろうぜ！」
五和「……あれ？これってどういう、あれ？」
レッサー「――ようこそ、主役かと思ったら実はNTRルートだった者よ……！」
五和「こっち来ないでください！？私は、私は違うんですからっ！」
レッサー「ぶっちゃけ原作でも私より出番が無い者よ！いい加減目を覚ますのです……！」
五和「よーし魔術師連中ぶっ飛ばす前にあなたですね！受けて立ちますよ！」
姫神「――ダメ。喧嘩。よくない」
五和・レッサー「ってまた呼ばれてもないのに増えてる！？」
姫神「なんか誉められてたので来てみた。てへ」
（※もう増えません。ご応募ありがとうございました）
――クリスマスイブ 夜
インデックス「……あぁ、今日は素晴らしい日なんだよ！お腹いっぱい食べられるだなんて……！」
上条「俺が虐待してるみたいな言い方すんなや。人には必要がカロリーがあって、インデックスも食べてばかりだとぽよんぽよんになんぞ」
インデックス「わたしは体質だから問題ないかも。世の女性達にはごめんなさいだけど」
上条「『聖人』系のなんかあるのかもなぁ。アリサはそっちで神裂は……多分、小食？」
インデックス「わたしの辞書に記述はないね。推論だけでいいんだったら三時間ぐらいかかるけど、いい？」
上条「駄目に決まってんだろ、明日は平日だ。もう寝なさい！見ろオティヌスさんを！早寝早起きだから！」
オティヌス「……」
インデックス「……ご機嫌なスフィンクスになめ回されて、息も絶え絶えになってるんだよ……？」
上条「明日の朝、目を覚まさなかったらどうしよう――ま、コントは場面が転換したら復活してるよな！だからきっと安心さ！」
インデックス「それもどうだろう……まぁ、いざとなったら妖精関係の知識を頼るといいかも」
上条「おう。それじゃおやすみー」
インデックス「おやすみー、なんだよ」
上条「その台詞だと因縁つけてるように聞こえなくもない……ッ！」
インデックス「とうま、あなた疲れているのかも。ツッコミしすぎて脳が暴走してるんだよ、きっと」
上条「あぁこの間、夜中に『そこボケるところだろ』ってツッコんで目が覚めたんだ」
インデックス「本当に危ないかも！？カエル先生に診てもらって！」
――クリスマスイブ 深夜
？？？「……」 ｶﾞﾁｬｯ
スフィンクス「……ニャー？」
？？？「しっ。怪しいものではないよ、そのまま寝ていたまえ」
スフィンクス「ナー……」
？？？「……」 ｶﾞﾁｬｯ
上条「ぐー……」
？？？「よく寝ているな――どれ」 ｼｭｳｳｩｩｩｩｩｩｩｩｩｩｯ……!!!
――
？？？「――きて、起きてってば！ねぇ！」
上条「……お、う？」
？？？「店長！てーんちょー！何寝ちゃってるんですか！起きろ、このハゲ！」
上条「ハゲてねぇよ。今の所はその心配してねぇけどあぁ父さんちょっと年の割にはアレだけど！」
？？？「あ、ツッコんだら起きた」
上条「って、ここは？どっかの洋食屋さん……か？」
？？？「何言ってんですか店長。あなたのお店でしょうが」
上条「店？」
？？？「はい。先代のオーナーからもらった大事なお店でしょ？何言ってんですか？」
上条「オーナー……あぁそうか。奥さんに先立たされて借金ばっか残っちまったお店を建て直したんだっけ」
？？？「ですよぉ。そのときにこんな綺麗な奥様までゲットしやがって！この果報者っ！」
上条「うんまぁその記憶もあるっちゃあるんだよ。でも一つ聞いていい？」
？？？「どうぞ！何なりと！」
上条「お前誰がどう見てもTSアレイスターなんだけど、今度はどんな悪巧みしてんの？」
TS理事長（？？？）「くくく……！よくぞ見破ったな上条当麻君、いや――」
TS理事長「――店長、と呼んだ方が宜しいかな……？」
上条「意味のない溜めやめろよ。これ行数で大体いくらって決まってんだから無駄な会話すんなよ」
上条「てかまた魔術絡みのトラブルか？つーかお前が顔出すのってトラブルしかないもんな！」
TS理事長「あぁ違う違う。今日はね、教育者として現れたんだよ。業務というか仕事の一環として」
上条「超不安しかねぇのな。お前に言われると」
TS理事長「何というか君の進路は絶望的じゃないか？」
上条「言い方！親にだってそこまで暴言吐かれた事ないのに！」
TS理事長「あぁいや様々なトラブルがあったり、その原因の一端を担っているのも私たちだ。だからこのまま落第、とは言わない」
TS理事長「もし仮にそうなったとしても、ある程度のケアはしようじゃないか。責任を持って」
上条「『木原』ラボに直行じゃないよな？信用が絶望的に足りてないんだよ、お前は」
TS理事長「暫く前に書いただろう、進路希望調査の紙を？それの第一希望をバーチャルで再現してみたのさ」
上条「バーチャルっていうかマジカルっていうか……あぁこれもしかして、俺が希望したらこんな感じの就職先用意してくれるって話か？」
TS理事長「全く同じではないが、いくつかシミュレートさせてあげようという気遣いだね」
上条「……まぁ、ダブってカミングアウトするよりは大分まともだが……いいか。悪くはない、悪くは」
TS理事長「なら続けようか――どーしたんですか、てーんちょ☆」
上条「お前の演技まずやめろよ。てかお前は俺の人生の出番はもうないよ！」
上条「あー、でも食べ物屋ってのは第一希望だな。まぁ上に行けなかったらですけどね！」
TS理事長「そこら辺は君の頑張り次第かな。私も不正を加えるわけにも行かないし」
上条「融通効かねぇなそういうとこ……てか、あれ？今ってお昼時だよな？」
TS理事長「そうだね。仕込みも充分、あとはお客が来るだけだね」
上条「だってのに誰も来ない……『Closed』のまんまとか？」
TS理事長「それはない。さっき店の前を掃くついでに確認してきたさ」
上条「芸が細かいな。じゃあなんで？流行ってないのこの店？」
TS理事長「私もね、今回のVR就職体験は本気でやったんだ。一切手を抜かずにアドバイザーを設けてまでね」
TS理事長「君にまつわる全ての不確定要素を入れた結果、ほぼ現実に等しい結果を得られるんだが……」
上条「が？」
男「――お邪魔します」 ｶﾗﾝｺﾛﾝｯ
上条「あ、いらっしゃいませー。何名様ですかー？お好きな席へどうぞー！」
男「あぁいえ客ではないので、お水を頂ければ」
上条「……はい？」
男「アポイントは取っていたはずですが……まぁいいでしょう。こちらをご覧ください」 ﾋﾟﾗｯ
上条「グラフ、ですか？」
男「はい。ここ数週間分の御社の業務実績をグラフで表したものです。そして経費がこちらで、当面の見通しがこちら」 ﾍﾟﾗｯ
TS理事長「厳しいな」
上条「そうなのか？」
TS理事長「悪くはないが、良くもない。ジリ貧というやつだ」
男「えぇ、このまま続けていても劇的な改善は見込めないと」
上条「そっか……厳しいんだな、現実は」
TS理事長「そうだな。せめて近所にイオンモー○とコスト○と各種アウトレットとケン○とマッ○とミス○とモ○とロッテリ○とドムド○とピザー○とドミ○と吉野○とすき○となか○がなければ、な」
上条「なんだそのオールスター！？よくまぁそんだけ不利な立地で洋食屋開こうとしたな先代！？」
男「いえ、計画が決まったのは我が社のオーナーの一存ですけどね」
上条「恨まれてんな俺が！何やったんだまた与り知らないところで！？」
男「――で、ここからが交渉なのですが、御社にも当グループのどこかへ移転しませんか、という話がありましてね」
上条「……あぁ。その代りにこの店と土地寄越せって？」
上条「断る！先代から引き継いだ店は俺が護るって決めたんだ！」
TS理事長「かっこいーてんちょー！」
上条「黙ってろ理事長。あと少しは存在に疑問を持てや」
男「あぁいえ、そんなつものは毛頭ございません。というか書面でこちらに要件は書いておりますので、ご確認ください」
上条「えーっと……どういうこと？」
TS理事長「まずこちらの傘下になれば店の土地も経費も全部持ってくれるんだそうだ。そして二号店をどこで出したっていい」
TS理事長「ただしその条件として、こちらの従業員を一人、オーナーの秘書というか、まぁそういう立場で雇用したい、だ」
上条「――帰ってくれ。そしてそのオーナーに伝えろ」
上条「『女の子一人口説きたいんだったらテメェの言葉で話してみろよ、このクソ根性なし』――ってな！」
TS理事長「てんちょー、マジ△」
上条「自重しろや理事長」
男「いえ、違います。概要そのものは上条さんの仰るとおりなのですし、私もどうかと思うのですが。欲しい人員が違うのです」
上条「だからなんだよ。女の子ってこのアホ以外に誰かいんのか？」
TS理事長「契約書にはこう書いてある――『ただし上条当麻を寄越さないとこの契約はなかった事になるんだからね！？』」
上条「ビリビリじゃん。てかなんで契約書に口頭書き起こしがそのまま載ってんの？」
上条「つーか俺！？俺が秘書になったら食べ物屋する意味ねぇじゃん！？これシミュレート以前の問題だろうがよ！？」
TS理事長「安心したまえ。この紙の一番下に黄色い小文字で『一生お味噌汁をつくること』って書いてある」
上条「安心する要素ねぇよ！？なんか可愛くやったつもりなんだろうが、これ男女と人気逆ならエッラい大問題に発展すんだからな！？」
男「……多分、どこかへ行かれても追いかけていくと思いますので、諦めてください……！」
上条「あんたも少し待ってろ。定食タダで作ってやっから、被害者友の会としてな！」
TS理事長「あぁその必要はないよ。区切りを一端つけて――どうかな？君の希望は叶ったかな？」
上条「もしこれで叶ったように見えるんだったらお前は、おかしい」
TS理事長「そうは言うがね。私が何度も試したところ、結局は食蜂君か御坂君の横やりが入るんだ」
上条「頭良いのに行動理念が雑なやつが力持っちゃいけないん・ダ・ゾ☆ギャグ風味で人の人生左右しやがって！」
TS理事長「本人達は至極真面目だと思うがね。さて、どうする？続けるかね？」
上条「第二希望シミュを希望する！俺の夢は冒険はこんなところじゃ終わらない！」
TS理事長「いいとも。では舞台を移そうか――」
――学校
上条「これまた、普通だな。てか俺の旧校舎だ」
TS理事長「僧正が壊してしまったからね。再現してみた」
上条「セーラー服、ってことは」
男子「あ、上条センセー。さよならー」
上条「あぁうんさよならー……って先生だよな。書いたの俺だし」
TS理事長「教師、いいじゃないか。セーラー好きにはたまらないものがある」
上条「ごく一部な？そして大体好きを拗らせすぎて道を踏み外すんだ、怖いよねー」
上条「あぁでもこれはこれでいいかもしんない。俺のようなダメ生徒を見捨てなかった小萌先生みたいになるんだ……ッ！」
TS理事長「それ自体は素晴らしいよ、とてもいい目標なんだが」
上条「が？また来やがったな、”が”」
女子「――センセ！こんなところにいた！」 ﾀﾞﾀｯ
上条「おー、廊下走っちゃダメだぞ。つーかどした？」
女子「い、いまっ！ブタの顔したデブが大勢校内に入ってきて！」
上条「――は？」
女子「他にも、ほらっ！竜が！空を飛んで――」
上条「っっっっっっっっっっっっっで異世界来てんだよ！？違う違う！俺が望んでた希望と違うなこれ！」
TS理事長「自慢じゃないが、ウチの学園生なら異世界も征服できるな？」
上条「そりゃ常盤台ぐらいのレベルだったらな！あぁでも絶対バランス崩して世界を敵に回しそう……ッ！」
TS理事長「というか早く行かないとオークどもにJKがエロいことされ放題だぞ？いいのか？」
上条「あぁそうだな！お前も手伝えよ！」
TS理事長「勿論だとも！前から目をつけていた女子の居場所は把握してある！」
上条「襲う方じゃねぇよ！？『オークにされるぐらいなら先に俺が！』でもねぇよ！？どんだけ狂ってるんだ俺は！あぁいやエロいゲームに出る教師なんてそんなんばっかだけども！」
上条「てかもういいよ第二希望は！異世界来てる時点で俺の希望じゃねぇしさ！」
TS理事長「第三希望や第四も似たようなものだ。外的要因で大体メッチャクチャになる」
TS理事長「そしてな、何が凄いかってこのまま進級しても魔術と科学の間で酷い目に遭うんだ！」
上条「ウルセェよ！超ウルセェよ元凶！お前が大抵悪いんだからな！？」
上条「つーかこの企画だってクリスマスの夜に進路指導されてんだよ俺！他にこうもっと俺救済的な意図はなかったのかと！」
TS理事長「楽しそうでいいじゃないか。ガンバwwww」
上条「お前アレだぞ？生かしてやったけど、トドメ刺すのは俺がやってやっかんな？憶えとけよ？」
――クリスマス 朝
ﾁｭﾝ､ﾁｭﾝﾁｭﾝ
インデックス「ねーねーとうまー、お腹が空いたんだよ−？起きて−、ねぇとうまー……？」
上条「……」
インデックス「って起きてたんだね。おはようとうま、メリークリスマスなんだよ」
上条「俺、考えたんだけどさ」
インデックス「な、なに？朝から？」
上条「一生学生やってれば惨劇は起きないと思うんだよ？」
インデックス「取り敢えず、顔洗って来い？ねっ？」
（※どの道を歩んでも似たり寄ったりの人生になると思います。ご応募ありがとうございました）
――上条家のアパート
ﾋﾟﾝﾎﾟｰﾝ
インデックス「――はーい、ただいまー」 ｶﾞﾁｬｯ
ステイル「……インターホンがあるんだから、ドアを開ける前に一度確認した方がいいと思うんだよ。僕は」
インデックス「確認？あぁ宅配のおにーさんだったら、インカン持って来た方がいいもんね！」
ステイル「そういう意味でもないんだが……まぁいいか」
インデックス「ごめんね。とうまはいま学校なのかも」
ステイル「知っているね。僕も調べたわけじゃないしもしかしたら面白可笑しいトラブルに巻き込まれてるかも知れないから、学校には居ないかもだけど」
ステイル「まぁあのバカに用事じゃなく、君に頼み、というかまぁ……なんだろうね？」
インデックス「聞かれても困るんだよ。まぁ、お茶でも飲んでくといいかも」
ステイル「……ドアは開けて置くよ。神父としての嗜みだからね」
――
ステイル「――で、まぁ君が以前イギリスで暮らしていたときのことは憶えているかな？」
インデックス「憶えているのは完全に憶えているけど、忘れちゃったのは完全に忘れちゃってるんだよ」
ステイル「そういう意味でもなく……あー、仲の良かったシスターたちは？」
インデックス「憶えてないね。あ、でもイギリスでご飯くれた親切な子達が居た！」
ステイル「そうそう、その彼女たちだが一昨日の夜、僕の部屋へ直談判に押し寄せやがったんだ」
インデックス「わたし達のろうどうかんきょーを改善しろー？」
ステイル「少し近い。まぁ見てもらえば分かるが」 ﾄﾞｻｯ
インデックス「お、おぉ……！？サンタさんが持ってそうな袋とプレゼントなんだよ……っ！」
ステイル「まぁ、こういうこと。よかったね、君は今も彼女らの友人だそうだよ」
インデックス「えーと……？」
ステイル「直訳すれば『私たちのプレゼントを持っていかないとロン毛全部春雨に変えんぞ』と脅迫された」
インデックス「なんで？なんで春雨？」
ステイル「ので、僕の頭皮のためにも君がよければもらってやってほしい。勿論無理強いするつもりはな――」
インデックス「ありがとうっ！本当に嬉しいんだよっ！」
ステイル「……いいさ。好きでやってることだから」
インデックス「でも、私お返しできないし、誰がどんな人なのかも……」
ステイル「まぁそこら辺は気にしなくていいんじゃないかな。向こうも君を困らせたくはないだろうからね」
インデックス「その優しさの100分の1ぐらいとうまにあげてほしいんだけど」
ステイル「仕事だからね。私情を挟む余地なんてないし、もし挟んでたら後ろから燃やしてやる」
インデックス「本当に仲が悪いんだね！……あー、じゃあじゃあ、クリスマスカードなんてどうかな？」
ステイル「そうだね。そのぐらいだったら、問題はないかな」
インデックス「プレゼントの感想なんかも書いていいんだよね？」
ステイル「喜ぶと思うよ」
インデックス「それじゃチラシの裏に」
ステイル「待ってくれ。そこは、ほら、僕が出すから、というか買ってくるからメッセージカード使おうか。雰囲気的に」
インデックス「え、悪いんだよ。わたしのなのに」
ステイル「それじゃ君の保護者へのプレゼントみたいなものだと思えば」
インデックス「それはそれでとうまに悪いような気が……」
ステイル「じゃちょっと待ってて。100円ショップかコンビニで仕入れてくる」
インデックス「はいー。いってらっしゃい、なんだよ」
ステイル「……あぁ」 ｶﾞﾁｬｯ
インデックス「こんなに一杯いいのかな……あ、これスニッカー○だ」 ｶﾞｻｯ
インデックス「こっちは……ビーズのブレスレット。魔術的な記号はなし、と」
インデックス「えっと、これ重いんだよ。何が入って――」 ｺﾞﾄｯ
インデックス「ガラスのボールの中に、サンタさんの人形とトナカイと雪……？」
インデックス「あ、これ振ると中の雪が飛び散って綺麗なんだよ……！」
ステイル「――ただいま」 ｶﾞﾁｬｯ
インデックス「早っ！？まるで事前に準備したかのような早さなのかも！？」
ステイル「カード使いだからね。っておや、それは」
インデックス「このオモチャ、綺麗なんだよ」
ステイル「あぁ……それはね――」
――北欧某国 図書館
司書「おや教授。今日もお早いですね」
教授？「当然。窓際の日当たりのよい席は冬場に競争が激化するもの」
教授？「自然。早い者勝ちというのであればこの職もなし記憶もなき男に勝てる者はいない」
司書「働けよ。あなた多分インテリなんでしょうから」
教授？「憮然。失われた記憶を取り戻すため、思索の海で溺れる私へ対しなんたる暴言か」
司書「手に持ってんのナルニ○じゃないですか。そこにあなた出てるんでしたら魔法使いってことになりません？」
教授？「杳然。本を、書いていたような感覚がある」
司書「そうなんですか！？進展してるじゃないですか！」
教授？「徒然。薄い本なら三日、厚くても一ヶ月あれば書き上げていた」
司書「薄い本だろそれ。同人作家か」
教授？「的然……！？私はギーグだった訳か！」
司書「食べていけるんですか、それ？」
学生A「すいませーん。昔の文化について調べるんですが、どんな本を調べればいいですか？」
司書「あ、はい。ちょっと待っててくださいね、今データベースに――」
教授？「闖然。調べている年代を述べよ」
学生A「え、あぁはい。12世紀ぐらいのここら辺のレポートだって」
教授？「当然。ならばカンタベリー物語だ。イギリスの散文集だがスカンジナビアから強い影響を受けている」
教授？「自然。オーラヴ･トリュッグヴァソン王のサガも忘れてはならない。十字教化以前の文化と対比させるといいレポートが書けるだろう」
学生A「ありがとうごさいますっ！」
司書「いやあのですねスミスさん？私の仕事をとるなと何度言ったら」
教授？「寂然。人の厚意を受け入れられない者は悲しきかな、と」
司書「厚意とかそういうんじゃなくて」
学生B「すいませーん。ちょっとこの絵見て欲しいんですが」
司書「はいはい、今行きますよっと……絵？タブレットを拝見しますね、白黒の」
学生B「はい。実家で祖父が他界したんですが、その遺産にこれがありまして」
司書「そうですか。えーと……何か手かがりみたいなのはありませんか？」
学生B「はい、ここにサインみたいなのがあるんですが……」
司書「『ヒエロニムス＝ボス』……？ボスじゃないですか！『悦楽の園』の！」
学生B「ですよねっ！？そう見えますよね！」
司書「あ、でもそれが分かってたのにここへ来たってことは……？」
学生B「はい。ボスの作品一覧には載っていませんでした」
司書「ということはつまり――幻のボスの一品……！？お宝じゃないですか！」
学生B「かもしれま――」
教授？「冷然。盛り上がっているところに水を差すが、それはブリューゲルの版画だ」
学生B「せ、ん？」
教授？「歴然。ここを見たまえ、『ヒエロニムス＝ボス”草案”』と書かれているだろう」
司書「草案、ですか？」
教授？「当然。ボスの人気にあやかろうと出版社が勝手に付け加えたものだ。ボスとは縁も縁もない」
学生B「それじゃ価値はない、ですよね……はぁ」
教授？「依然。ないわけがない。フランドルの画家一家の作品だ。版画とはいえ、小さな記念美術館を建てて収めてもおかしくはない」
司書「そんなにですかっ！？」
教授？「当然。間違っても二束三文で売ってはいかん。人類の文化史へ対する冒涜になると知りたまえ」
学生B「ぼ、僕！おばあちゃんに連絡してきてます！」 ﾀﾞｯ
司書「あ、走らないで！」
男「……」 ｽｯ
教授？「ふむ――」
司書「教授もどこへ？」
教授？「必然。花に集る虫を摘むに」
司書「いえ、そこは『花を摘みに』であってますからね」
――通路
男「……なんだ、なんか用かあんた」
教授？「――了然。人をつけ回すのはよい趣味ではないと忠告を」
男「何言ってんのかが分からない。あんたも人の家に口出してたら、痛い目見るぜ？」
教授？「当然。至言であるが、まぁそうも言っていられない理由がある」
教授？「自然。懐に銃を忍ばせて、見る目が痛いだけならば止めなかったのだがな」
男「あ？」
ﾌﾟｽｯ
男「痛っ！？針――鏃か！？」
教授？「悠然。針はもう使えない、使える資格を失ってしまった――が」
教授？「恬然――私の術式が『黄金練成』だけであるはずもなし」
男「か、ら、だが、固まっ……」
教授？「必然。黄金が好きなのだろう？なら”そうなる”といい」
男「――」
教授？「闖然。もし君に正義があれば少しだけの時間で許そう。しかしそうでなければ地下で眠るがいい」
教授？「――一度は間違えた。だが、もう二度と間違ってなどやるものか」
――
司書「あ、教授！どこいってたんですか！」
教授？「騒然。何があった。騒がしいのは好きではない」
司書「いや大変だったんですよ！なんか指名手配中の犯人が目撃されたとかで！」
教授？「的然。業は業だ、深淵を覗き込む者は、と」
司書「いつもに増して何言ってるのか分かんないですけど……あ、これ封筒が届いていました」
教授？「惨然。私にか？」
司書「住所がここで名前がジョン＝スミスさんは一人しかいないんですよ。どうぞ」
教授？「蹴然……あの男であればこんな回りくどい方法は取らないか」 ｽﾊﾟｯ
教授？「……」
司書「教授？」
――【メリークリスマスなんだよ！】――
教授？「――――――ふっ」
司書「教授が……笑った！？」
教授？「憮然。私が笑わないとでも？」
司書「いつも難しい顔してるのがデフォかと思ってました」
教授？「必然……あぁいや、必然だ、必然で合っている」
職員「――あのー、すいません。いま下に東洋人の子供が来てまして」
司書「あ、はい。なんでしょうか」
職員「なんでも昔の教会の建築様式が知りたいとかで、」
司書「分かりました。すぐに伺います。教授も？」
教授？「当然。傍観を決め込むつもりだったのだが、そうもいかなくなった。そうもいっていられなくなった」
教授？「憮然。失敗したら『ざまぁみろ』と言ってやるのも悪くはないのだが」
（※「インデックスが欲しかったもの」を当初「ラーメン次郎のお食事券(100枚綴り)にしようかと思いましたが、あんまりなので自重しました。ご応募ありがとうございました）
――『必要悪の教会』 ロンドン女子寮 ルチアの私室（※アンジェレネ命名・「お説教部屋」）
ルチア「――はい、シスター・アガター。あなたがどうしてここへ呼ばれたのか、分かりますね？」
アガター「それは勿論ですシスター・ルチア。私を見くびらないでいただきたい」
ルチア「そうですか。それはよかった」
アガター「呼ばれたのは館内放送でした」
ルチア「違いますシスター・アガター。手段を問うているのではなく、理由を尋ねているのです」
アガター「理由、ですか？シスター・ルチアが私に何か用事がおありになったのでは？」
ルチア「オーケー、シスター・アガター。順番に行きましょう、誰かがよく使うフレーズ『順番にツッコむ』ようにしましょう」
アガター「恐縮です」
ルチア「まず、というか最大の原因なのですが、あなたが着ているそのお洋服は？」
アガター「サンタですね。時期的にはベストだと思います」
ルチア「そうですね。生足が出つつ肩を露出し胸元が強調されていなければサンタの格好ですよね」
アガター「恐縮です」
ルチア「……それで？なんでこの寮内で着ようと思ったのですか？」
アガター「これはイギリス清教のシスターから頂いたもので」
ルチア「それは初耳です」
アガター「『ちょっと流行りじゃないけどよかったら着るといいなりよ！』と」
ルチア「変質者ですね。ちょっとコロス○入った」
アガター「それで着ました」
ルチア「変質者ですよね？まず疑いなさい、様々なものを！」
アガター「お言葉ですが、シスター・ルチア。あなたの修道服もミニスカ&ガーターとイロモノ極まりないではないですか」
ルチア「くっ！こんなところだけ正論を！」
アガター「それに相手の方はどピンクの修道服でしたし、そうとう高位の方だとお見受けします」
ルチア「……えぇ本当に。というかあなた、私たちが『女王艦隊』乗り込んだとき、シスター・アンジェレネが倒れたときにも空気読まず殴りかかってきましたよね？」
アガター「自分、不器用ですから」
ルチア「最近分かったのですが、あなたは真顔でボケ倒すから非常にリアクションがとりづらいです。そして拾いにくい」
アガター「不調法ですから」
ルチア「というかそもそもの話として、私のお説教が全く堪えていませんよね？」
アガター「いいえ、シスター・ルチア。あなたの大切な時間を私如きに裂いてしまい、心苦しい思いで一杯です」
ルチア「なら、どうして」
アガター「しかし同時に。ややMの私には年上女性から叱られると何か心の奥が温かくなる、と」
ルチア「聞かなかったことにします。というか私は何も見ませんでしたし、あなたを呼びもしません」
アガター「今のはボケただけですが」
ルチア「分かりました。全く説教をしても意味がないということも教訓に加えたいと思います」
アガター「不調法ですから」
ルチア「取り敢えずこの言葉出しておけばなんだって誤魔化せると思っていませんか？そこまで甘くはないですからね？」
ルチア「オーケー、シスター・アガター。あなたが実はアホの子だと言うのがわかっただけで、今年一番の収穫だと思います」
アガター「それはようございましたね」
（※「アガター＝真面目そうに見えるアホの子」説を広げたいと思います。短いですがご応募ありがとうございました）
刀夜「――詩菜さん、折り入って話があるんだ」
詩菜「あらあら刀夜さん、夜も遅いのに改めてどうしたのかしら？取り敢えずこっちへ、ね？」
刀夜「いや違うんだよ詩菜さん！バスルームへ移動するのはまだちょっと気が早いと思うんだ私は！」
刀夜「それが返り血をすぐ洗い落とせて効率的☆って意味じゃ違うし、ましてやエロい意味でも夫婦が特殊なプレイをする感じでもないんだ！」
詩菜「刀夜さんったら、大体こういうときって血を見るんでしょう？この間もね、『刀夜さんと別れてください！』って女の子がね」
詩菜「前はエルフの国を救って、今度はドワーフ（ロ×）の集落を助けたんですって？私も刀夜さんがモッテモテで嬉しいわぁ」
刀夜「その話は初耳だね！てか昨今のドワーフ（ロ×）って風潮はどうかと思うよ！」
刀夜「自慢じゃないけどボカぁ詩菜さん以外の女性なんて興味ないよ！詩菜さんだけしかね！」
詩菜「ルール、あったでしょう？家庭内で決めた」
刀夜「愛してるよ詩菜さん！でもこのルールってサイコじゃないかな！詩菜さん愛してる！」
詩菜「刀夜さんったら……もう、今度はどこの誰を消してくればいいの？」
刀夜「いやそんな私も震えるような台詞を言われても……えぇとね、女性関係のトラブルじゃないんだ。今までも一切そういうのはなかったけども！」
詩菜「当麻さんは誰に似たのかしらぁ？」
刀夜「詩菜さんじゃないかな？外見もいいし、こう困ってる人を見たら助ける優しさとか！私も困ってるけど！」
詩菜「最近ね、御坂さんっていうお友達ができたんだけど、その方のケータイに当麻の番号が――」
刀夜「……若い子？」
詩菜「ううん。私より少し若い方よ」
刀夜「あー……うんまぁ、うん！」
詩菜「教育が悪かったのかしら？それとも遺伝――」
刀夜「今度当麻が帰ってきたら家族会議だね！教育が悪かったんであって遺伝子に欠陥はなかったよ！てかそんなに遺伝しないし！」
詩菜「教育に関しても刀夜さんは、ちょっと」
刀夜「まぁそんなことはいいとしてもっ！そんなことよりも危険がピンチなんだ！」
詩菜「当麻さんが誤魔化そうと大声張るのは刀夜さんの癖がうつってるわねぇ」
刀夜「女性関係でもないし男性関係でもないんだけどね、その、実は詩菜さんに内緒にしてたことがあってさ」
詩菜「お仕事の関係？実はリストラされていたとか？」
刀夜「女性関係の次にそれが来るのはどうか思うけど、まぁ深刻な話じゃないんだよ！ギャグで済ませられる話なんだ！」
詩菜「えっと……移動しなくていいの？」
刀夜「大丈夫だよ。リビングが血まみれになったりはしないからね！まぁ普通はどんな話だってしないんだけど！」
詩菜「西の方でね」
刀夜「詩菜さんそういう時事問題をイジるのは良くないと思うな！特に愛憎のもつれで惨事になってるときは特に！」
詩菜「刀夜さんも気をつけてくださいね？」
刀夜「そうだね！私はともかく当麻には上条家を守って行って欲しいよね！」
詩菜「当麻さんもフランス・イギリス・ロシアと元G8の半数はコンプリートしてるわねぇ」
刀夜「そうですよねっ！イタリアとアメリカを入れればあとカナダとドイツだけだよね！全く当麻のやつは！」
刀夜「……だから当麻のことじゃなく、私の命に関わることでもなくってね。仕事でもない。あ、いや仕事と言えばそうなんだけど」
詩菜「取引先の方と何かトラブルでも？」
刀夜「でもないんですよ。取引はお互いに納得したし、その方の孫娘を当麻に会わせる以外はこれといって」
詩菜「大事ね。当麻さんにどこの馬の骨を押しつけようって？」
刀夜「――っていうのはジョークで！当麻は関係ないよ！お断りしてきたから！」
詩菜「当然だわ」
刀夜「……ただね、そのお断りできないのがあってね。頂き物なんだけど」
詩菜「ものによるわよねぇ。生ものや食べ物だと突き返すのも失礼でしょうし、お高すぎるんだったらお断りしないといけないし」
刀夜「そうなんだよね。会社のマニュアルも一応確認したんだけど。載ってなくってね」
詩菜「そう。ちなみに何を？」
刀夜「えーと、短牙だね」
詩菜「たーき？」
刀夜「うん、短い牙って書いて短牙」
詩菜「名前なの？だから何ですか？」
刀夜「この子なんだけど――」 ｶﾞｻｯ
ターキー「ギャー」
詩菜「……」
刀夜「短牙、ほら詩菜さんにご挨拶して」
詩菜「……鳥、よね？しかもそこそこ大きめの種類の」
刀夜「ターキーだね！だから『短牙』って名付けたんだ！」
詩菜「刀夜さん、名付けのセンスが壊滅的だわ……で？」
刀夜「新しい家族です！」
詩菜「はぁ、やっぱりバスルーム案件じゃない。どうぞ、こっちへ？」
刀夜「待ってください詩菜さん！？私は決して中途半端な気持ちで言ってるんじゃないんだよ！」
刀夜「先方からも『大事に育てました！』って仰ってたし！その気持ちを無碍にはできない！」
詩菜「”※売り物として”、が抜けているわ。意識高い系牧場にありがちな『牛も馬も家族の一員です』と同じぐらい聞いてる人がモニョるわ」
刀夜「だからこう、アレだよ！ペットだと思って飼えばいいんだよ！」
ターキー「ガー」
――学園都市 上条家（が借りているアパート） 朝
刀夜「――と、いう訳で当麻。父さんからのクリスマスプレゼントだ」
上条「ボケがタダ流れになってて聞き辛いんだよ、父さん。二人とも基本ボケだから立ち位置がフラッフラして混乱するっていうかさ」
刀夜「ちなみにこの後、父さん達が仲直りするため何をしたのかはまだ当麻には教えられないな！」
上条「別の意味で聞き辛いわ！てか一生謎は謎のままにしといてもらいたい！」
刀夜「まぁ何っていうかナニなんだけどな！」
上条「親父ギャグ極まれりだな。絶対言うと思ったわそれ」
刀夜「ヒント――『メリーア○』」
上条「意味が分からんわ！？あぁいや知りたくないけど、世代ギャップがあるっていい歳なんだから気づけよ！」
刀夜「いやでも当麻だって時々『私と同じ世代かな？』って思うツッコミがだね」
上条「気のせいだよ。もう来年からは『平成生まれ？』って言われる世代なんだからな」
刀夜「という訳で当麻、この子を頼んだぞ！」
ターキー「ガーガー」
上条「鳥クッサ！？いやだよこんなの！？ペット禁止だってこのアパート！」
刀夜「え？でもネコちゃん……？」
上条「――ってのは忘れてたけど！インデックスもいるけど！」
刀夜「シスターさんがペット枠なのもどうか思うんだが……えっと、インデックスさん？」
インデックス「もぐもぐがつがつはぐはぐばくあぐあぐぐぐぐぐぐっ！？」
上条「あぁほら水飲め！父さんが持って来た萩の○（バラ売り）は逃げないから！」
刀夜「あぁそれ萩の○じゃなくて信夫の○。仙台じゃなくて福島の駅ビルで売ってるんだよ」
上条「包装解いたら見分けつかないだろ。形も味もコンセプトも同じでパクリとパクられたの差でしかないんだから」
刀夜「ちなみにその横の横の反対側で萩の○も売ってるんだ！」
上条「じゃあ萩の○でいいじゃねぇか！なんでローカルだけど広まったら怒られそうなお菓子持って来た！？」
刀夜「インデックスさんは飼いたいよねっ！？当麻が学校行ってる間、お友達はほしいもんねっ！？」
インデックス「んー……とうまのパパさんはいらないんだよね、この子？」
刀夜「いらないって言うかな。うんまぁ、ウチでは厳しくてね」
上条「それを息子へのプレゼントにしやがってる時点でもっと厳しいわ！」
インデックス「まぁまぁ。パパさんがそう言うんだったらウチでもらうしかないんだよ！」
上条「なんで乗り気？」
刀夜「ありがとうインデックスさん。あ、これつまらないものだけど」
インデックス「ふおおぉ……！？仙台駄菓子の詰め合わせセットなんだよ……ッ！」
上条「父さん直でここ来てないよね？ターキー連れたままで宮城と福島行ってきたってことだよね？」
ターキー「ガー」
刀夜「と、いう訳でシクヨロ☆」
上条「古いんだよ。一周回っても古さしか感じないレトロ風味なんだよ！」
――
上条「――で、もらったのはいいんだけど」
ターキー「ガー」
上条「……うん、ファービ○を鳥臭くしてリアルにした感じかな。要約すると獣臭」
上条「てか里親探さないとなぁ。ウチにはスフィンクスとインデックスがいるし」
インデックス「ネコと私を同一視するのはそこはかとない悪意を感じるんだよ」
インデックス「てゆうか里親？この子はウチのじゃなかったの？」
上条「預るって言ってもなぁ。流石にネコとは訳が違うっていうか」
インデックス「……いいですか、悩める子羊よ。主は全てを見ておられるのですよ？」
上条「その割には一回も降臨しないどころか、2000年ちょっと前に地上へ干渉したかと思ったら、それが原因で億単位の人が死んでんだよ」
インデックス「主を疑わないんだよ！そういうこと言っちゃ最期の日に『めっ！』ってされるんだからねっ！？」
上条「そんな優しい神様だったら終末も来ねぇよ。あぁいや考えようによっちゃそれはそれで不幸になんのか！ボケが流れっぱなしになってんだから」
インデックス「人は勿論、人じゃない物達にも決められた役割というのがあってね。誰も彼も宿命を背負って生まれて、自分の役目というのがあるんだよ」
上条「中二マインド的に決して嫌いな台詞じゃないが、じゃあ俺は？俺はなんで生まれてきたの？」
インデックス「えーっとねー……」
上条「おう」
インデックス「ら、らっきーすけべ？」
上条「今なら神様に叛逆したルシファーの気持ちが分かりそうだな！なんて厄介な運命背負わせやがって！」
インデックス「ま、まぁこの子はわたしが責任を持つから！当麻は気にしなくてもいいんだよ！」
上条「被保護者がペット増やすってどうなんだ……まぁいいか。情操教育には悪くないだろうし」
インデックス「じょーそー……？なに？」
上条「生き物を大事にするってことかな。大切な話だ」
インデックス「そうなんだよ！生き物は大事だよねっ！」
上条「っと悪い！そろそろ学校だから行くわ！」
インデックス「はーい、いってらっしゃーい！楽しみにしてるといいかも！」
上条「ん？あぁうん、分かった？」
――学校 放課後
上条「――ってインデックスが」
土御門「あー……うん、カミやんはー……まぁ手遅れだな。諦めるんだぜぃ」
上条「諦める？」
土御門「まぁいいにゃー！今日は寄り道しないでダッシュで帰るといいぜぃ！たまにはな！」
上条「お、おぅ？了解、んじゃまたなー」
土御門「てか俺も一緒するんだぜぃ。お裾分け貰ってっと思うし」
――
上条「たっだいまー――ってうわ良い匂い！？なんだ、こ……れ？」
インデックス「お帰りなさいとうま！見て見てまいかにお料理してもらっちゃったかも！」
上条「……あー、そう？そうなんだー、へー？」
舞夏「お−、インデックスも少し手伝ったけどなー。誉めてやればいいぞー」
インデックス「えっへん！なんだよ！」
上条「そっかー、インデックスさんもお手伝いしたんだー？それはいいことをしましたねー」
上条「つーかさつーかさ、一つ聞いていい？多分それで全ての謎が解けるんだけど」
インデックス「ばっちこい！」
上条「このさ、テーブルの上で尋常じゃないぐらいいいニオイさせてるローストチキンって……？」
インデックス「うん？ばっちりお料理してもらったんだけど？」
上条「っっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっでだよ！？なんで俺が目ぇ離した数時間で捌いてんだよっ！？」
インデックス「うん、まいかが」
舞夏「いや、捌くだろー？捌いてなんぼだろーターキーなんて」
上条「飼う流れになってただろ！？なんでも食っちゃうのお前って！？スフィンクスも実は非常食なんか！？」
インデックス「食べないんだよ！ネコはネコだもん！」
上条「アリとナシとの境が分からないんだよ！？いや俺も洋画とかで七面鳥食ってるの見て憧れてはいたんだけど！」
舞夏「じゃーいいだろー。兄貴も呼んで食べようぜ−」
上条「だけどさ！」
土御門「諦めるんだにゃー。こんなもんたぜぃ」
上条「何がっ！？」
土御門「十字教の理念のカーネルにゃ『この世界は人間のために作った』って教えがあんだよ。正確には微妙に違うんだけど」
土御門「特に七面鳥はアメリカ大陸に自制してて、開拓民のいい飯になった――つまりこれは神様が俺たちに用意してくれたんだ！神様ありがとう！って伝統がある」
上条「ホンットにしょーもないな。少しぐらいターキーさんに感謝してあげて！」
土御門「まぁ捌いちまったもんはしょーがないにゃー！食おうぜ！」
上条「……なんか複雑だが、俺だけは感謝しながら頂こう……！」
上条『――という訳で俺は泣く泣く短牙（仮名）君を全員で食いました』
上条『ちなみに味は……あぁインデックスが、確かにこの味知ってればターキー食材としか認識しねぇなって。メッチャ美味かったです』
（※正しくはローストキチンじゃなくローストターキーですね、てか生きたターキーを見たことがないので鳴き声は適当です。ご応募ありがとうございました）
――
『……』
『ねぇ知ってる？……うん、うんそう――”それ”』
『夜中にさ……合わせ鏡――』
『学校の……忘れ物をとりに行ったら――』
『キャンプ中に……テントの中からこっそり覗いて――』
『「足はいらんか？足はいらんか？」って……ダメだよ、答えちゃ――』
『ムラサキ……ハタチまで憶えてたら死んじゃうんだって――』
『ヒヒッ』
『トイレの右から四番目……四回ノックしてから「はーなこさん、あっそびまっしょ」――』
『はぁーあーい』
『穴がね……真っ赤な部屋で――』
『封じられた扉を開けたら……クレヨンでビックリと――』
『フジツボ……いや、ないない。人間の浸透圧考えろや』
『声をかけられてもね……うん、振り向いちゃってね、連れてか――』
『諦めろ。人に染みついた宿業だよ』
『いま、あなたのうしろにいるよ』
『右を見て、左を見て』
『今も……探してるって――』
『今度は、落さないでね？』
『いや知らないよ！あたしに言われても！だってこれは――』
『――ともだちのともだちからきいたはなし』
――居酒屋 夜
OL1・2「かんぱーーーーいっ！」
OL1「店員さーん、おかわり！あとマヨコーンとマヨチーズ餅を大盛りで！」
OL2「カロリー高いぞー。明日も仕事あるって忘れるなー」
OL1「だってさ！あのハゲうっさいんだよ、聞いて！？」
OL2「ハゲ……ウチの職場のハゲ率が高いから。どのハゲ？」
OL1「性格の悪いハゲよ！」
OL2「それでも特定できないかな。だってほぼほぼ性格壊滅的だし」
OL1「外見自体がセハクラの」
OL2「うん、誰か分かったよ。分かったけども、そのハゲはセクハラもしないしどっちかって言えば融通利かせてくれるハゲであってだ」
OL1「机の上にフィギュア置いといただけで怒るんだよ！？信じらんない！」
OL2「お前だよ。ガンプ○置いといたお前が悪いんだよ」
OL1「ガンプ○じゃないですぅー。ジム○ストライカーカスタムの食玩ですぅー」 ｺｿﾞｺﾞｿ
OL2「出すな出すな！居酒屋に食玩持ち込んで披露するアホがどこにいるんだ！？」
OL1「それでね、入○君が今熱くて！」
OL2「うん、チャンピオ○はヤンキーマンガやめた方がいいよね。銀○のパクリだったり鬼ヤンキーで迷走しまくってるけど」
OL1「それでもレゴ○君は種族以外にも性別の壁をね、越えちゃってね」
OL2「あれ？今週のビースター○にそんな展開あったっけ？」
OL1「え、知らなかったの？単行本ではそうなってたよ？」
OL2「おかしいな。私も電子版読んでるんだけど、そんな展開なかったな。微塵もなかったな」
OL1「ビッチウサギマジ殺す……っ！」
OL2「私怨だろ。というかウサギは仕方がないんじゃ……」
OL1「ケモナー的にどうなんだろ？アリなのかな？」
OL2「ねぇ？なんていうか業が深いというか、流石にアレの薄い本出す気にはなんないかな」
OL1「そんなことよりもねー、66式戦車が食玩で」
OL2「ちょっと何言ってるのか分からない。なんで女二人集まって食玩の話で盛り上がると思った？」
OL1「この間ハゲと飲み行ったときには、『魔理○ちゃんはどっちの嫁か！？』で二時間ぐらい語ったけど？」
OL2「魔理○を巻き込むなよ。関係ないだろ」
OL1「最終的には華○ちゃんのエロ雷獣に転生してhrhrするってところに落ち着いたんだけど」
OL2「エロくないよ？一部の同人の規模じゃない同人ゲームで『うらやまけしからん』って言われてるだけで」
OL1「それでね、霊○ちゃんが」
OL2「モニタの中だな？VR技術進んでもまだ意志もって会話できるには時間がかかると思うんだ」
OL2「ていうかもっと何かないのか！？建設的な話を！」
OL1「男が車とカメラと風俗の話なのに、女子会って基本自分達の社会的ステータスでのマウント取り合いでしょ？」
OL1「職業から始まって住んでる場所に彼氏に家族にバッグに財布にボーナスの話でって」
OL2「まぁ、それはそうなんだけど……言い方ってものが」
OL1「むしろ冬コミに何出すのか話し合った方がいいと思うな！建設的で！」
OL2「そうね。収支マイナスになってなければその通りよね」
OL1「趣味でお金を稼いじゃいけないよね！」
OL2「お前がそう思うんだったらそうなんだろうな」
OL1「でも最近はお給金一回分ぐらいには稼げるようになったり」
OL2「詳しく。その話を」
OL1「仮想通貨が熱いらしくて」
OL2「詐欺だから引っかかるなよ？もう何週後れが分かんないぐらいに遅いからな？」
――帰り道 深夜
OL2「――すいません。ここで」
タクシー「はい、えーっと……丁度ですね。ありがとうございます」
OL2「はいどうも。お疲れ様です」 ﾊﾟﾀﾝｯ ﾌﾞﾛﾛﾛﾛﾛｯ
OL2「……寒っ。んっだよー、暖冬って言ってたのに……」
OL2「もうすぐクリスマスだってのに、女子会は二人だけなんだよなー……それも年々少なくなって、だし」
OL2「……あぁ帰ろう。明日も仕事――」
子供？「……」
OL2（家の前に子供……寒いのに、何やってんだろ。近所の誰か、いたっけかな……？）
OL2（大人だったら男でも女でも怖いけど、まぁ子供だし変なことはされない、よね）
OL2「こんばんはー。君どうしたの？お母さんは？迷子になっちゃったの？」
子供？「おかあさん……いないの、どこかいっちゃったみたい」
OL2「いっちゃったみたいって……どういうことなのかな？お仕事で？コンビニにお買い物とか？」
子供？「えっとねー、そこのね、こうばんの近くの横断歩道あるよね？」
OL2「うん。夜になるとちょっと暗めのとこだよね」
子供？「そこでね、おかあさんといっしょに車を待ってたの」
OL2「うん」
子供？「車は、あぶないから、どうろに飛び出さないようにしてたんだよ」
OL2「そうね。偉いと思うわ」
子供？「だからね、線のうちがわで待っていたんだけど……」
OL2「うん」
子供？「おかあさんが、うしろから、ドン！って」
OL2「――え」
子供？「そうだよ、おかあさんがぼくを殺したのは”こんな晩”だったんだ――」
OL2（そう言って振り向いた子供の顔、そこにはあるべきものがなかった）
OL2（……いや、正しくは”一つ”だけはあった。本来あるべき場所の、その中間に。おぞましく）
一つ目（子供？）「おかあさんどこいっちゃったんだろ。ぼくを探してくれてるのかなぁ、ねぇ？」 ｸﾙｯ
OL2「ひっ！？」
一つ目「おねえちゃん一緒にさがしてくれない？”目二つ”だけどやさしいし」
一つ目「それともおねえちゃんがぼくのおかあさんになってくれるとか……うん、それ、いいかも」
OL2「あ……やだ、来ないで――」
一つ目「だいじょうぶだよ。”めふたつ”だからってみせもの小屋には売らないからさ。だいじにだいじに――」
喪服の男「――『退魔の弦・梨括りの木』」
ｷﾞｲｲﾝｯ､ｼｭﾊﾟｱｧｯ!!!
一つ目「だ――れっ……っ！？」
喪服の男「誰でもいい。お前がそうであるように私もまたさしたる意味を持たない」
喪服の男「記号へ記号を訊ねてどうする？代名詞にバッファとして価値を見いだしはすれど、意義も意味もないのだ」
OL2「あ、あの、これ、は……ッ？」
喪服の男「まずは『こんなばん』だな。元々は落語が発祥ともされているが、実際には民間伝承から広まった」
喪服の男「ある飢饉の年、産み落とされた我が子を泣く泣く殺した夫婦がいた。その数年後、彼らが子を授かり、夜泣きもしないが声一つ出す事がない」
喪服の男「やれこの子は健常者でないのか、と不安に思っていたが、ある寒い夜に子供は初めて喋った」
喪服の男「『おっとう、おっかあ、前におれを殺したのは”こんな晩”だったね』――と」
一つ目「……」
喪服の男「次に『果ての二十日』だな。神が通る日、十二月の二十日には神が山へ籠って眠りにつく日だ」
喪服の男「その日は山に入らず、人々は物忌みして災難が通り過ぎるのを待つ。たったそれだけで難を逃れられる」
喪服の男「だがもしも、その日にあろうか出歩く不心得者がいたとすれば」
OL2「ば……？」
喪服の男「出くわすんだよ。”こういう”のに」
一つ目「……」
喪服の男「あとは『ヒトサライ』が適度に混じっているな。まぁ元々あった素質と混ざっただけだろうが」
OL2「じゃ、じゃあこの子に連れて行かれたら……？」
喪服の男「”一つ目”の国などないよ。だからどこにもたどり着かぬままずっと彷徨うだけだろうな」
喪服の男「そもそもからして”漂泊”神だ。借りの住まいを転々として移ろうものだ」
OL2「これは……」
一つ目「おまえ――！」
喪服の男「――『退魔の弦・蝸牛考』」
ｷﾞｯｷﾞｯｷﾞｯｷﾞｯｷﾞｼｯ!!!
一つ目「あ、が……っ！？」
OL2「ちょっ！？あの、苦しんで！」
喪服の男「人格や神格というまともなものは残っていない。”それ”は」
OL2「一体……なんなんですかっ！？」
喪服の男「行き逢い神、訪問神、漂泊神。嘗ては神であった”モノ”の成れの果て」
喪服の男「忘れられた信仰の行き着いた先、そしてもうどこにも行けない」
OL2「信仰？神様、ですか？これが？」
喪服の男「だったものだ。信徒から忘れ去れ、畏れを集めることなくなった――転じて流行り神となる」
喪服の男「君も耳にぐらいはしたことがあるだろう？都市伝説という噂話を。面白可笑しく語られる無責任な話を」
喪服の男「”それ”は”これ”が成った姿を示したに過ぎん。生まれ変わったのか、混ざったのか知らないがな」
OL2「あ、あの……！」
喪服の男「あぁ心配は無用だ。この悪夢は今日で終わる。夢から覚めてしまえば後には何も残らん」
喪服の男「それが神仙の書き記した『抱朴子』を持つ者の勤めでもある……まぁ、少しばかり忙しいがな」
OL2「はぁ……」
喪服の男「さて。人は家に、獣は巣ヘ。そして人でも獣でもないモノよ、お前はこの世のどこでもない場所へ還るがいい」
喪服の男「恨むな、とは言わん。せめてひと思いに――」
一つ目「――ずいずーいずっころばーし――」
OL2「わらべ唄……？」
喪服の男「いかん！？呪いをかけ――上位個体か！？」
OL2「気が……遠く――」
喪服の男「ダメだ！しっかり――」
上条「はいはい、そこでそげぶ略」 ﾊﾟｷｲｲﾝｯ
喪服の男・OL2「……」
オティヌス「そして貴様も消えろ。このザコが」 ｻﾗｻﾗｻﾗｻﾗｯ
上条「終わり？」
オティヌス「終わりだ。元々世界の澱みたいなものだからな、是正する力には脆弱だ」
上条「マジで？もしかして俺の天職発見！？」
オティヌス「その代りザシキワラシとかも触ったら多分消滅するし、土着の産土神とかだったらそれがナチュラルな状態なので効果を発揮しない」
上条「くっ、リスクが多すぎるな！分かってたけど！」
喪服の男「……おい」
上条「あぁごめん！続けて続けて？なんかこう格好いいこと言ってたみたいだし？」
闇咲（喪服の男）「いや情緒台無しだろ！もっと空気を読め！」
上条「てか帰ろうぜ。美人のカノジョだか嫁さんだか許嫁だかあぁ羨ましいリア充爆発しねぇかな待ってんだから」
闇咲「途中あからさまに本音が入っていたようだが？コピペ間違った風になってる」
上条「それもお前が悪いんだろうが！俺たちはクリスマスも近いってのに手伝ってやってるんだからな！なぁ？」
オティヌス「ま。まぁ私はこういうのも悪くないかな、なんて」
上条「フィギュア装備して街を練り歩く俺の身にもなって！てかお前もう人間大になれよ面倒臭ぇ！」
オティヌス「少々露出度の高いフィギュアを装備するのと、恥女にしか見えないレイヤーを連れて歩くの。果たしてどちらが大変かな？」
上条「服を、着ろ」
OL2「あ、あのー？わたしの冒険は？何かこう陰のあるイケメンに助けられて、呪いを解くために始まる乙女ゲーは？」
上条「あ、すいません。握手いいですか？」
OL2「あ、はい。どうぞ」 ｷﾞｭｯ
上条「反応なし。よし、帰るぞカノジョ持ち！今日のノルマはこれで終わりだ！」
闇咲「だから仕事の風情を考えろ！流れ作業で片付けるんじゃない！」
（※「都市伝説奇行〜祓い屋・闇咲逢魔シリーズ〜」は本号にて終了となります、闇咲先生の次回作にご期待ください。ご応募ありがとうございました）
――ロンドン 某魔術結社アジト
レッサー「ジングルベール！ジングルベール！鈴がなっるー！今日はたのしークリスマース！」
レッサー「去年もひとりー！今年もひとりー！そしてまた来年もきっとひとりー！」
レッサー「街に出ればー！キャッチとカップルー！居場所がなーくてダチとつるむっ、ヘイっ！」
レッサー「ジングルベール！ジングルベール！鈴がなっるー！今日はたのしークリスマース！」
レッサー「サンタは来ないし、プレゼントは自前っ！」
レッサー「ジングルベール！ジングルベール！鈴がなっるー！今日はたのしークリスマース！」
レッサー「気がつけばオセチを仕込んでるっ！ヘイっ！」
フロリス「カエル食いネタが来るかと思えばワタシら巻き込んで自爆しやがって。オマエにも刺さるだロ。深く深く刺さんだヨ」
ランシス「……てかもう泣きそう、泣くよね」
レッサー「この負け犬風情が！そんなことだからいけないんですよ！もっとポジティブに行かないと！」
フロリス「同じ負け犬に言われても説得力ネー」
ランシス「ねぇ？……あ、このチキン美味しい……」 ﾓｸﾞﾓｸﾞ
フロリス「ベイロープんとこのシェフは安定だナー。あ、そこパワー出る」 ﾋﾟｺｰﾝ
ベイロープ「あの……私は忙しいんだからね？割と無理言ってこっち来てんだからね？」
レッサー「黙ラッッッッッッッシャセェーマセベイローォオォォッ！少々ロリ化した程度で図に乗らないで頂きたい！」
ベイロープ「いやあなた貧乳化されてたじゃない」
レッサー「ぐぎきぎぎ゛きぎぎぎ゛゛ぎぎぎぎぎっ！言いましたね！言ってはならんことを言ってしまいましたよね！？」
レッサー「アンチエイジンクと逆巨乳化が等価交換だとは思わないでくださいよっ！？貧乳には需要があるんですからねっ！？」
ベイロープ「じゃ良かったじゃない。私はお断りだけど」
レッサー「怪物事○の水着ピンナップ見ましたかっ！？全員がロ×ロ×貧乳のスリープラトン攻撃ですよっ！？どの層狙ってんですか！？」
ランシス「……こっちおいでー……？貧乳は意外と需要があるよー……？」
フロリス「そんな爛れた需要はいやだ。普通が一番だロ、普通が」
レッサー「そして最強の聖人は自分の秘密をペラペラ喋る始末！調子ぶっこくにも程がありますよねっ！」
ランシス「※にもあったけど、あの人……ドヤ顔で聖人の秘密バラしてなかったら、フツーに完勝してたと思う……」
フロリス「うンまぁ、あれだゼ。基本上位ランカーへ行けば行くほど変人ばっかだロ。学園都市じゃカキクケコだって話だし」
ランシス「なにそれこわい」
レッサー「あ、すいません。私はもう既に共演済みですがね！皆さんよりリードしてもう既に！」
フロリス「ランシス手伝え。このアホの口にペッパージンジャー塗り込んでやるゼ」
ラシンス「おけー……」
レッサー「東方に迎撃の準備ありですよ！かかってきなさい両手に花ですから！」
ベイロープ「”東方”じゃなくて”当方”ね」
レッサー「でもまぁ今年はなんだかんだで充実した年でしたね。私たちのオファーは来年になってからですが」
フロリス「そしてシメに入ろうとしてんじゃネーヨ」
レッサー「いえ、なんかこの後私にとって不愉快な展開になりそうなので先手を打ってED曲を流そうかと」
ランシス「タイアップの、あれ……」
ベイロープ「どういう嗅覚してんのよ、あなたは」
フロリス「あーもう付き合ってらんねー。帰るわ」
レッサー「かーらーのー？」
フロリス「しないしない。なんでそんなフェイントかける意味が分からん」
レッサー「と、みーせーかーけーて？」
フロリス「オマエに彼氏ができないのは面倒だからだヨ。エロ目的で集まるアホ以外は相手にすんのも面倒になんだヨ？あんだすたん？」
レッサー「じゃあじゃあ私も！私も一緒に帰りますよ！」
ランシス「私も……帰る」
レッサー・ランシス ｼﾞｰｯ
ベイロープ「それじゃ片付けは明日ね。お疲れ、あとメリークリスマス」
レッサー「ちっっっっっっっっっっっっっっっっっっがいますよ！何帰ってんですか！？お役所仕事ですか！？粛々と処理ですかっ！？」
レッサー「あなたにはもっと貴族的な駆け引きをしていただきたい！腹芸的な意味で！」
ベイロープ「少なくとも気の置ける友人へ対して腹芸を使うつもりは、ない」
レッサー「あ、じゃあおっぱ×揉みます？」
ベイロープ「なんでだよ。なんでその発想になったんだ、あ？」
ランシス「友達言われて嬉しかったかと……ほら、いないから」
ｶﾞﾀｺﾞﾄｯ
ベイロープ「――誰？」 ｼﾞｬｷｯ
ランシス「……クローゼットから、だね」
レッサー「よーしランシス隊員とフロリス隊員は左右へ、ベイロープ隊員はバックを！デルタアタッ○を見せてや」りましょう！」
ベイロープ「一人多いのだわ。具体的にはあなた」
ランシス「たいちょー……あと、フロリスちゃんがツッコミを放棄してバックレましたー」
レッサー「シィィィィィィィィィィィトッ！あのアマ逃げ足だけは早いんですからもう！こうなったら我々だけで聖夜に解体ショーと洒落込みましょう！」
ベイロープ「それはそれで嫌よ」
ラシンス「てゆうか……てい」 ｶﾞﾁｬｯ､ﾄﾞｻｯ
上条「……ん」
ベイロープ「なんで隠れてたこの変質者」
レッサー「待ってください！何か、ブツブツ言って――」
上条「自爆……人間爆弾……ザンボット○……」
ランシス「冒頭の自爆へのツッコミかと思われます、さー……」
レッサー「自分でボケといて言うのもなんなんですが、守備範囲の広さに引きます」
――
上条「いやー、ごめんな？サプライズのつもりだったんだけど」
レッサー「超驚きましたよ。なにやってんですかあなた」
上条「出ようにも出られなくてさ、そしてらなんか百合の話してだろ？」
レッサー「その超嗅覚が怖いです。この隠れ百合厨め」
上条「ち、違うよ！俺はただベンジャミ○先生が好きなだけであって！エロいとかはいいんだよ！」
ランシス「……ケーキ、食べる？」
上条「あぁうんありがとう」
ランシス「……チーズケーキ、食べる？」
上条「いやうん、あのな？」
ランシス「クッキーもある……」
上条「口ん中の水分パッサパサになってっからジュースもほしいんだけど……」
ベイロープ「というか、なんでいるのよ」
上条「あー、あれだ。プレゼントをだな」
レッサー「あざーす！」
上条「お前にじゃねぇよ。フロリスにだよ」
レッサー「むしろなんでですか！？付き合い自体は私の方が長くてディープでしょうに！？」
上条「お前とは貸し借りチャラだろうが。あの子は違うって言うか、あー前に川ダイブして迷惑かけたから、そのお詫び？」
ベイロープ「律儀なことよね、感心だけど」
レッサー「……分かりました。そういうことでしたら私もお手伝いするのもヤブサーカではありません！」
上条「いえ、いいです。結構です。自分でやりますから」
レッサー「人が珍しく打算なしの厚意で言ってるのにこの反応！？」
ラシンス「”珍しく”、の、時点でもうね……ダメっていうか」
レッサー「ま、まぁまぁお待ちを。フロリスのヤサの場所なんて分からないでしょ？忍び込み方も？」
上条「いや別に。直で渡す必要すらない――」
レッサー「でも手渡しの方がいいでしょう？誠意を伝えないと！」
レッサー「私を信じて！私が信じられないんだったらイギリスの歴史にかけて！」
上条「お前の国は信用度&発展度の反比例ランキング世界五指へ入るからな？」
上条「EU離脱もグッダグダじゃねぇか！この後に及んで『もっかい国民投票しよう！』って、したら一回目の意味無いだろうが！」
レッサー「ふっ、甘いですな！我々の舌はたった二枚だけだといつから勘違いしてました！？」
上条「ホモサピエンスにごめんなさいしろよ。お前らは人類と別の進化を辿った人類っぽい何かなんだよきっと」
――フロリスの借りてる部屋
フロリス「ぐー……」
？？？ ｶﾞﾁｬｯ､ｷｷｯ
フロリス「――す？」
フロリス（物音？強盗？ヘンタイ？その兼務？クリスマスだってのに、仕事熱心なこったナ）
フロリス（まぁいいや、ボッコボコにしてテムズへフリーダイブさせっか。社会のクズ一人、消えた方がいいだろーし――よっと！）
？？？「ん！？」 ﾊﾟｷｲｲﾝｯ
フロリス「打ち消しやがった！？魔術使うヘンタイが！？」
？？？「誰がヘンタイだコノヤロー！？」
フロリス「サンタコスして招かれてもないのに乙女の部屋へ侵入してる現行犯」
？？？「まぁそう見えるな！解釈次第ではそう見えるかも知れないが！」
フロリス「警察にゴーかワタシにフルボッコかレッサーの刑、選べヨ？好きなのを？」
？？？「レッサーの刑って何させられんだよ」
フロリス「前に見たときはフルモンティでまず校庭を」
？？？「フォッフォッフォッフォ！ワシはサンタじゃあお嬢さん！疑うところの全く無いサンタじゃよ！」
フロリス「ここまでツッコミ返すのってワタシの知り合いじゃ一人だけだヨ。なぁジャパニーズ？」
上条（？？？）「……バレたんだったら仕方がない！大人しくプレゼントを貰って貰おうか！」
フロリス「貰うのか貰われんのかわっかんねーんだヨ！」
上条「こうなったら実力行使だ！大人しくしろ！」 ｶﾞｯ
フロリス「あっこら！ヘイ！変なこと触ってんじゃネー！」
上条「変なとこ？背中だと思ったwwwwwwww」
フロリス「――よしぶっ殺すし！覚悟しろし！」 ﾀﾞｯ
上条「はっはっはー、女の子の力で高校生が倒せるか――って力超強えぇな！？」
フロリス「身体能力ブーストは打ち消せないんだロ？弱点はこっちの世界で回覧されてっからナ！」
上条「なにそれこわい。って痛っ！？」 ｶﾞﾀｯ
フロリス「よっし！大人しくしロ！」
上条「……」
フロリス「っだヨ。もう降参カー？」
上条「いやあの、さ？」
フロリス「ア？」
上条「なんか、ほらっ！あれじゃね？この体勢だと、お前が俺を襲ってるような感じじゃね？」
フロリス「ば、ば、ば、ばっかじゃねーノ？！襲うとかないシ！？何言ってんだゼ！？」
上条「よし落ち着け！そして俺の上から退け、誰かに見られる前に――」
レッサー「大丈夫ですかフロリスっ！？HENTAIに襲撃されてあんなことやこんなことされてはいませんかっ！？」
レッサー「……くっ！あれもこれも私がついうっかりあなたの住所や侵入ルートを教えた上、ベランダの鍵はいつもかけないとアドバイスをし」
レッサー「そして慣れない道を一人が探させるのは無理だと思って、近くまでタクシーで送らなければこんなことには！」
ラシンス「……おまわりさん、共犯この人です……」
レッサー「でももう大丈夫ですよ！私が来た以上、そのラブコメはぶっ殺しますからご安心、を……？」
フロリス（※押し倒してる）「……」
上条（※押し倒されてる）「……」
レッサー「何やってんですか！？少し目を離しただけでフラグ立て終わりましたかっ速攻ですね！？」
レッサー「というかルートはこっちへ入ってないのかと小一時間！あなたのレーダーは貧乳にしかロックオンストラト○しないんですかねっ！？」
フロリス「ぶん殴るぞテメー」
上条「そしてそれは人名だ」
ランシス「……」
レッサー「あなたからも言ってやってくださいな！この抜けがけしやがった女、略してヌガアマに！」
フロリス「それ発音がアレだと社会的に抹殺されんゼ？余所じゃ言うなヨ？」
ランシス「……よし、こうしよう」
上条「……な、なに？」
ランシス「全員で、襲おう……ッ！」
レッサー「雄々しく言い切りやがりましたねこのアマ！チャンスをピンチに変えたベイロープとは偉い違いですよ！」
ベイロープ「計画を本格的に破綻させたのは、誰よ」
レッサー「でも嫌いじゃないですよその爛れた発想！むしろ望むところです！」
上条「くっ、殺せ！」
フロリス「まんざらでもないんじゃねぇカ。逃げろや不本意ならナ！」
（※原人←（進化）←サル、フランス人←（進化）←ヘビ、イギリス人←（進化）←イギリス料理。ご応募ありがとうございました）
（※なおベイロープさんはアホどもを放置してパーティへ出ました）
――どこか
トール「――よっ、マリアン。元気そうでなによりだな」
マリアン「……どの面下げて来やがったんだ裏切り者。寝言を言うのも大概にしろ」
トール「あらら、俺知んなかったわー。仲良しこよしのお友達集団だったんだ？」
トール「お前さんがベルシに懐いてたのはその通りだが、『外部』の魔術師を家具に変えたのって誰だったっけ？」
マリアン「『外注』は『外注』だろ！ベルシは仲間だ！」
トール「まぁベルシがいい男だったのっては認める。何回かケンカふっかけても袖にされた以外は文句なんざねぇよ」
ミョル子『トールも根本的には壊れてるよね』
トール「魔術師なんざ誰だってそうだ。テメー以外はどうだっていいってな」
ミョル子『まー、マリアンが悪いし。友好的に来たんだからガワだけでもそうしなよ』 ﾊﾞﾁｯ
トール「つー割にお前は臨戦態勢なんだけどよ……まぁ別にケンカ売りに来たって話じゃねぇよ。鍛冶屋倒して経験値稼ぐほど飢えてない」
マリアン「ならどうして来やがった？元同僚の顔拝みに来たってほど……暇そうであるか。働けよ」
トール「いんやー、マリアンちゃん的にゃ不本意かもだけどよぉ出番はあるみたいだぜ？」
マリアン「出番？なんのだよ」
トール「”こっち”が持ってんのはお前の剣と俺の槌」
ミョル子『私だよ』
トール「まぁそうなんだけどよ。マリアンがSAMURAI二刀流決め込んだら効率悪ぃだろうが、俺がやってやるよ」
トール「あとは聖ゲオルグの剣と維持神の弓。まぁ四振りだわな」
トール「問題なのが学園都市にみこっちんのブリューナクとグラム。失われて久しいのがロンギヌスだが……」
トール「まぁ……”それ”は多分見つかる。”そういう”ことになる。上条ちゃんの頑張り次第と神様の気まぐれが起きなければ、だけど」
マリアン「トール、お前何を知ってる……？」
トール「――で、用事があるのはマリアン、お前だ。嫌だったら断ってもいい、あぁこりゃ脅しじゃなくて本音だ」
トール「彼にも元同僚サマを脅してまでする価値はねぇよ、って事で安心していい」
マリアン「……そいつぁどうも――ミョルニル」
ミョル子『いえっさー』 ﾊﾞﾁﾊﾞﾁｨｯ
トール「おいおい、だから違うって言ってんだろ？無理矢理言う事聞かせるだなんて思ってねぇって」
マリアン「用件を言え。話はそれからだ」
トール「なんだよ信用ねぇなぁ。仲間だなんだの言い出しのはそっちだっつーのに……まぁ用件ってのは、あーアレだ」
マリアン「なんだよ」
トール「――全身改造して女になるのってどんだけかかるんだ？」
マリアン「病院行け。正しい意味でも診てもらえ」
トール「あぁいやいや、なんか誤解してんだよ。整形じゃなくて完全な性転換ってリスクはどんだけだっ、て思ってさ」
マリア「だから病院行け病院。私にカウンセリングさせるんじゃなくて、専門医に診てもらえ、なっ？」
ミョル子『それはそれで心の病って部分もあるんじゃないの？』
トール「おおっと！荒れるからそれ以上はやめようぜ！そういうんじゃないから俺は！」
ミョル子『や、あのね？別のその人達が病気だとか中傷してるんじゃなくてね。こう、体と心が違うってゆう病気の人も居たでしょ？って意味でさ』
マリアン「それなら話聞いてもらうべきだよな。何か気の迷いかも知れないし」
トール「いやでも病気扱ってどうなんだ？」
マリアン「生物学的には、というか哺乳類ならまだしも昆虫以下までなるとそういう”普通”はないからなぁ。定義が難しい」
ミョル子『理屈としての”ただしい”と、生物としての”ただしい”は別もんだし』
トール「生物なのかルン○の親戚なのか分からないやつに言われたくはないんだが……まぁ、そういうことだ！で！？」
マリアン「必死すぎて怖い……てか、なんで？童×こじらせて女体化してぇよとかそういう話じゃないんだろ？」
ミョル子『トール、モテるもんね。だから今回のカミングアウト聞いても、「あ、やっぱり？」的な反応しかないけど』
トール「いや別に俺は普通に女の子好きよ？ただ俺より強い相手じゃないと萌えねぇんだよ」
マリアン「どこのKO○だ。萌えたろうか」
ミョル子『性癖拗らせてんね。グレムリンは大抵病んでるっていうか』
トール「いやぁ、それほどでも」
ミョル子『誉めてないし。誇る要素どっかにあった、ねぇ？』
トール「で、まぁまぁ俺より強いやつって言ったら限られるじゃん？てかほとんどいないじゃん？」
ミョル子『だっけ？』
マリアン「うーん……この『俺より強いやつに会いに行く！』バカと正面から張り合えるのは……オッレルスか、『右席』のアックアぐらいじゃね？」
マリアン「射程無制限じゃ厳しいだろうけど、数キロまで近づいてよいードン！なら、フィアンマともそこそこ、かな？」
トール「まぁな。どいつもこいつも俺がやる前に上条ちゃんがぶっ飛ばしちまったし、俺自体も負けてる」
ミョル子『なら”あの女”だけってこと？それはそれで茨の道だしー』
マリアン「いいぞやってやれ！私は何だって手伝うぞ！」
トール「そうか？ならまず全身の改造費と後遺症の見積もりを出してくれ」
マリアン「そっちじゃねーよ。なんでオティヌスに一発カマす話なのに女体化計画進める前提になってんだ」
トール「だから負けたからって言ってんだろう？上条ちゃんにだ！」
マリアン・ミョル子「『ちょっと何言ってるのか分かんないですね』」
トール「だって仕方がねぇだろう！？向こうはヤローなんか抱いたって嬉しくもなんとないんだから、俺が本格的に女にならないと！」
ミリアン「今日改めてあんたより弱くてよかったーと思ったわ。いやマジで、かなりマジで」
ミョル子『グレムリンの中でトールはまともに会話できるだけマシだと思ってたけど、やっぱこう、うん。控えめに言って狂ってるよ』
トール「……なぁマリアンちゃんよぉ。お前には二つの選択肢かあるぜ。一つは俺に黙って見積もりを出す事」
マリアン「一つめがチープだなおい」
トール「二つめが協力を拒んで『性癖のために死んだ女』の墓へ入るか――選びやがれ！」
マリアン「そんな墓はごめんだ。埋葬する気があったらネタじゃなくて真面目にしろよ！」
トール「じゃあ墓石はミョルニルに」
ミョル子『”じゃあ”で人を生けんなよ。流れ作業か』
マリアン「……あー、分かったよトール。あんたの覚悟がホ×、もとい本物だって事は分かった！」
ミョル子『噛むかな？そんな短い単語で噛まないよね？』
マリアン「最近じゃプリキュ○も男子なったみたいだしな！時代の最先端だ！」
ミョル子『というか個人的にはヤンジャ○のアレの方が業が深いと思う……』
マリアン「だが改造はまだ早い、つーか期間も材料も無ぇのにできるかっつーの！ドヴェルグだってな！」
トール「まぁ、そうだな。急に悪かったぜ」
マリアン「――だがトール、お前は運がいい！これを使うんだ！」
トール「これは……よく雑誌の通販に載ってる磁気ブレスレット？」
マリアン「似ているが別もんだ！これは『ホイール・オブ・フォーチュン』、ラインの黄金で鍛え上げた一品だ！」
トール「『真鍮製』ってダグが」
マリアン「偽装だ！悪用されないためにな！」
ミョル子『トール、バカにされてるよ？』
トール「マジかよ……！通販でよくあるやつに偽装するなんてスゲーな！」
ミョル子『あ、ごめん。なんでもない』
マリアン「これを装着すると外見を偽れるんだ！」
トール「偽れる……？待てよ、そんぐらいだったら俺だって得意じゃねぇができるぜ」
マリアン「そう思うだろ？でもこれは違うんだ！」
トール「何が？」
マリアン「ドヴェルグの特注製だ！『幻想殺し』で触れられても解けない！」
トール「そいっぁ……半端ねぇな！」
マリアン「……ただこれには一つだけ欠点がある。それは――強く願わないと魔術が切れるってことだ」
ミョル子『なんで？なんでそんな使い難い霊装作ったの？』
トール「つまり、こうか――俺の覚悟が試されるって話か！」
ミョル子『ドヴェルグ暇か！』
マリアン「だからまぁ、あれだよ。これつけて女装すれば、きっと、うん、汲んでくれる、ぜ？多分、きっと」
ミョル子『またフワッフワした着地するよね。着氷点が大幅に引かれそうな』
トール「……感謝するぜ、マリアン。それじゃ俺は急ぐから！」 ﾀﾞｯ
マリアン「がんばれー、あと私らを巻き込むなー」
ミョル子『……ね、どこまで本気なの？』
マリアン「時間稼ぐだけ稼いでバックレる」
ミョル子『だよね』
――学園都市 アーケード 12月24日
BGM『ジングルベール、ジングルベール♪鈴が鳴っるー♪』
BGM『今日は楽しい、クリスマ――』 ﾌﾟﾞﾂｯ
青ピ『警告だ！この世界は悪しきラブコメ資本主義体制に支配されている！』
青ピ『持てる者はいつもまで肥え太り持たざる者はいつまで経っても貧しいまま……』
青ピ『今こそ立てよ学園生！学園へ対しラブコメ禁止の権利を勝ち取るために――』 ﾌﾟﾂｯ
上条「いいぞもっとやれ」
？？？「上条ちゃんは取り締まれる方だと思うわ。取り締まられるっつーか、絞められるって意味でも」
上条「おいおい何言ってんだお前。去年も一昨年も、多分その前もシングルで今年もシングルの俺に向ってなんて口叩くんだ」
？？？「そこまで責任は見切れない」
上条「つーかお前……」
トール（※常盤台制服着用）「き、奇遇よねっ！」
上条「お、おぅ……？」
トール（※常盤台制服着用）「な、なによ！？そんな知り合いから突然カミングアウトされたみたいな顔して！？」
上条「正確に読んでんだろ。まさに仰る通りだよ」
上条「てか性別？お前あれ？確かにお洒落ケープつけてたけど、あれってそういう？あれ？」
トール「おいおい、この常盤台のエースを誰だと勘違いしてやがるんだ？」
上条「せめて口調は守れや。てか制服着ただけで本人に成りすまそうだなんて全国のレイヤーさんに謝れ！」
トール「『ジャッジメントですの！』」
上条「いやその子もエースはエースだけども。もう少し調べてから来いよ！設定が雑すぎる！」
トール「まぁそんな訳でデートしようぜ、デート」
上条「噂んなるわ！色々な意味でセンセーショナルな話になっから超噂されるわ！」
上条「あぁいや特定の人たちの特定のアレを否定つもりはねぇけど！草食系男子とベジタリアンが同列視されても違うんだよ！」
御坂「――なに、やってるのよ……！」
上条「おい来やがったよ！なんか来そうな気がしてたけど！」
御坂「やっぱり……男の子が方がいいってこと！？そんな気はしてたけど！」
上条「”やっぱり”と”そんな気”はいらなくね？前から薄々怪しいと思ってたってことだよね、それ」
トール「――気をつけろ上条ちゃん！こんなところに鏡が！」
上条「お前アレだろ？さっきからボケてるつもりでエッラい遠回しに俺のことdisってんだろ？なぁ？」
上条「『こんな子供だましで充分通じるだろ？』って俺がどこでキレっか試してんだよな？そうだって言えよ、おい？」
御坂「――でもまぁこれはこれで着地点としてはアリっちゃアリよね！応援してるわ！」
上条「たがらそういうんじゃないって言ってんだろ！？
御坂「……これがもし、佐天さんやARISAだったら、私、何をするか……！」
上条「血を吐くような台詞ありがとうビリビリさん。あとこれはギャグシーンであってギャグ、なんだよね？決して本音じゃないんだよね？」
御坂「あんたには分からないわよ！レベル7覚醒かと思ったら金髪ぱっつんぱっつんとバーターになった女の気持ちが！」
上条「超代って下さい。俺もそっちがいいなーチクショー」
トール「――よし、謎の人！俺と勝負だ、どっちが上条ちゃんに相応しいか白黒つけようぜぃ！」
上条「お前だけは選ばねぇから心配すんな。多分装備してんだろうし！」
御坂「受けて立とうじゃない！あ、でもできれば負けたあとも動画データの提出を希望するわ！」
上条「そしてお前だって知ってんじゃねぇか性別！？俺は違うよ！？『ま、いっか』で済ませられるほど懐深くないよ！？」
青ピ「――またまだお子様やんね、カミやんは」 ﾌｯ
上条「B○が好きなら大人だったら、俺はずっと子供でいい」
土御門「よく言ったカミやん！俺と一緒に大平原（※北海道銘菓）を極めるんだにゃー」
上条「極めるっつーかスタート地点から動いてねぇんだよ！お前らは精々数メートル走っただけでゴールしたと思ってんだからな！」
トール「ツッコミ、疲れない？」
上条「誰がさせてんだああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ！！！？」
――元学園都市跡地
上条「――そうか。次はイギリスってことか」
一方通行「まァ……だな」
浜面（パンイチ）「乗りかかった船だし」
上条「あぁ、気合い入れて行こうぜ！」
御坂「（ねぇねぇ）
トール「（っだよみこっちん。シリアスな話してんだから）」
御坂「（や、それは分かる、分かるんだけどパンイチの人が）」
トール「（いんね。しかも両手にコンビニ傘の骨組み装備してっけど、霊装なんかな）」
上条「はいそこ無駄話をしない！真面目な話をしているのだから僕らはねっ！」
インデックス「なんなのかな、これ」
女体化アレイスター「悪い夢だが――まぁ、これはこれでアリだ」 ｸﾞｯ
インデックス「いや、そーゆーのはね、うん。神様の教え的に、現代の解釈じゃのーかうんとっていうか」
女体化アレイスター「帰ったら適当にオススメを見繕ってやろう。『ここはグリーンウッ○』から始まってだな」
インデックス「それって普通の少女まんがだよね！？邪な要素はなかったかも！？」
（※この話を書くに当たりBLのプロ(上司)に意見を伺ったところ、「せいべつをかえるなんてとんでもない」との金言を頂きましたのでこういう流れとなりました。ご応募ありがとうございましたが、上条さんに謝って）
――
鳴護「『はーい、という訳で”ARISAのネットレイディオを聞くじゃんね！”もそろそろ終わりのお時間が来ちゃいましたー』」
鳴護「『が、番組から告知？……あぁうんお知らせがあります』」
鳴護「『ラジオネーム、”イギリス大好きっ子さん”の殿堂入りが決まりましたー！いつもいつもありがとー！』」
鳴護「『というのもですね。番組開始以来、あなたから届いたメールが五桁に達し、その殆どがフランスの悪口だったので！』」
鳴護「『ツイッターで在日フランス大使館に絡んだりするのをやめてくださいね！軽く国際問題になりますから！』」
鳴護「『凱旋門でのデモに合流して”ARISAさん頑張って！”って日本語のプラカード出すのもダメだよ！あたし主犯みたいじゃん！』」
鳴護「『黄色いライフジャケットの中に番組特製のスタジャン着てくと悪目立ちするから！素でやってるのか悪意なのか分かんないよもう！』」
鳴護「『あとヤケになったからってあたしの私用メール送ってくれるのをやめてね？タイトルが”新しいヒロインについて”なのに中身はフランスの悪口って精神がヤラれるから！』」
鳴護「『――と、いう訳で！特典として大好きっ子さんには本ラジオに出禁となります！出待ちしているレッ――ちゃんを見たら通報案件だから！』」
鳴護「『あと時間……？少しだけ？えーっと、あぁもう年の瀬ですよね−。今年も年越しカウントダウン生公録しますんでヨロシクです』」
鳴護「『その前にクリスマスもありますが、お仕事……は、ないの？今の所は？あっそう、へー』」
鳴護「『えっと……リアクション的に”アイドルだけとお仕事してるからファンの人は安心してね！”ってできないんだけど……？いいのかな？』」
鳴護「『っていうかアイドルじゃないんだけどね！シンガーソングライターだから！ある意味Youtube○の先駆けでもあるし！』」
鳴護「『まぁいいかな！どうせ前の日も次の日もお仕事だし、家帰ったら泥のように眠るだけ――え？最後にメール来てる？』」
鳴護「『ラジオネーム、マクロ○き毛糸洗いに自信が持てます、さん。うんもう誰だか分かったよね、分かっちゃったよね』」
鳴護「『えーと……”フードファイター＠RISAさんのこんにちは！”はい、違います。フードファイターじゃないですし、今＠マーク入れるとスベってる感が強いから』」
鳴護「『”M○の審査員お疲れ様でした！誰か一人だけ審査員席でスベり倒していた落語家崩れがいましたが大変でしたね！”』」
鳴護「『”そんなARISAさんに質問なんですが、M○ファイナリストはテレビをつければ大抵どこかで見れますが、志ら×さんの演芸はどの番組を見てもやっていません”』」
鳴護「『”これは志ら○さんが面白くないからですか？それともテレビで映す価値が無いからでしょうか？どうか教えてください”……です』」
鳴護「『まずね、出てない。M○にはお呼ばれしてないよね？なんで学園都市でご当地アイドル扱いされてるあたしが出られると思ったの？』」
鳴護「『あと中身も全っっっっっっっっ然関係はないよね？基本的に審査員の人が審査員の資格があるかどうかを言ってるだけでさ？』」
鳴護「『というかあたし言った事にならないよね！？事故起こすのはレッサーちゃんの勝手だけど責任転嫁はやめ――』」 ﾌﾟﾂｯ
ナレーション『このネットラジオはTATARAコーポレーションの提供でお送りしました』
――ブース外
鳴護「……お疲れ様でしたー」
シャットアウラ「お疲れ！よかったぞARISA！」
マネージャー「お疲れ様でした」
鳴護「最後ほぼまた放送事故になっちゃってたんだけど、いいの？ですか？」
シャットアウラ「問題ないとも！」
マネージャー「リスナーさんは『gdgd感が好感触』とのことですので、まぁ飽きられるまではこの路線でいいんじゃないんでしょうか」
鳴護「あとドッキリで特定のリスナーさんのお便りを突き出すの、やめてもらえません？なんかこう、リアクション取るのも疲れるっていうか」
シャットアウラ「え？リアクション可愛いし、いいんじゃないのか！？」
マネージャー「スタッフの方には言ってあるんですけどね。初期から代らないんで、悪ノリ過ぎてるっていいますか」
鳴護「というか、あの、ちょっといいかな？」
シャットアウラ「あぁすまない。少し外してくれ」
鳴護「それ違くて、なんでお姉ちゃんいるの？」
シャットアウラ「アリサのお姉ちゃんだからだが？」
鳴護「なにそれこわい」
マネージャー「リーダー――もとい、社長はですね。事務所の仕事の方が早く終わったので、ですよね？」
シャットアウラ「そうだな！悪い虫がつかないようにするためにもな！夜遅いし！」
鳴護「いやまだ7時ぐらい……まぁ送迎してくれるのは嬉しいけど。あ、じゃあ今日はこれでアガリですか？」
マネージャー「ですね。お疲れ様でございました。明日も同じ時間にお迎えに参りますので」
鳴護「あ、はい、どうもです。というかクリスマスにお仕事無いって聞いたんですけど。本当に？」
マネージャー「そうですね。入れようと思えばいくらでも可能だったのですが」
鳴護「が？」
シャットアウラ「ダメだダメだダメだダメだ！クリスマスはお姉ちゃんと一緒に過ごすんだからな！」
マネージャー「……という我が社の幹部の強い希望により、ARISAさんはファンよりも家族を大事にするアイドルとして頑張っていただきたい、と」
鳴護「大丈夫ですかこの会社？カルロスさんがゴーンしちゃったように大事故になりませんか？」
マネージャー「ご心配なく。家族的な雰囲気をもった（能力者と義体をフル活用した兵士達の）会社ですんで」
鳴護「明らかにオーバーキルですよね？高校生が国レベルのヒットマン的な？」
シャットアウラ「それは結構多いな」
マネージャー「結構多いですよね」
鳴護「あれ？ラノベの世界観が現実を侵食してるの？」
シャットアウラ「まぁ会社の事は任せておけばいい！そんなことよりもクリスマスは二人で楽しめるようにゲーム用意したんだ！たーのしーぞ！」
鳴護「あっ、はい。ゲーム？二人だけでパーティゲームは厳しいんだけど……」
シャットアウラ「ツイスターだ！ドン○行ったら『大人気！』なのに定価の20分の1で売ってた！」
鳴護「より厳しいな！？女の子二人で盛り上がってるようなゲームじゃないし！」
マネージャー「大バーゲンが人気の無さを物語ってますよね。あぁそうだみりん買って帰らないと」
鳴護「待ってくださいマネージャーさん！？あたしを置いていかないで！？」
マネージャー「はっはっはー、いやですねアリサさん。ご家族同士のお時間を邪魔するなんて自分にはとてもとても」
鳴護「本当にそう思うんだったら目を見て言って！あたしの！明らかに『あ、これ面倒だし帰ろう』って態度ですよ！？」
マネージャー「えぇご理解いただいているようで何よりです。路上に落ちている腐ったミカンを拾うお仕事がこれから」
鳴護「じ、じゃあ仕事！」
マネージャー「はい？」
鳴護「あ、あれですよ！あたしも実はお仕事入ってたじゃないですか！？クリスマスに！」
シャットアウラ「なんだと！？お姉ちゃんと聖なる夜を過ごせるんじゃないのか！？」
鳴護「ごめんね！？実は報告忘れてたけどあったんだよ！何かが！」
マネージャー「あー……そういえばありましたっけ。でもあれ先方からは『できればいいんだけど』って言われてませんでしたか？」
鳴護「アイドル、ARISAですっ！お仕事頑張っちゃうぞー！」
マネージャー「ならまぁ仕方がないですね。という話ですので社長、残念ですがクリスマスはお一人でツイスターしててください」
鳴護「どうやって？一人ジェンガの方がまだ楽しくない？」
シャットアウラ「仕事ならしょうがないな。いざという日のために練習しておくさ」
鳴護「いざってなに？あとあのエロいパーティゲームはパーティで楽しめないのにパーティってついてるのは過大広告だと思うの」
――ファミレス 翌日 放課後
レッサー「……成程、話は分かりましたよ。ア・リーサさん」
鳴護「あ、すいません。こっちのメニューを端から端まで、はい、全部お願いします」
レッサー「つまり現在のフロッグイートマンの惨状はどこの国でも起きうるものであり、我々も覚悟せねばならない、と？」
鳴護「季節のスイーツ？あー、異常気象でイチゴがお安く？へー……先取りサンタの欲張りセット？じゃあ、それも。はい、お願いします」
レッサー「民主主義とは確かに民意を汲み取って政治をするものでありますが！だがしかし首都で破壊活動するのがデモだと言えるでしょうか！？いいえ違います！」
鳴護「あとは食べ終わったときのためにワゴンをここへ置いといてください。はい、それで」
レッサー「まっ！もし仮に軍隊動員して鎮圧するようでしたら『フランス政府は人民の敵！民主主義を守れ！』ってアジるつもりなんですがね！オイシイですね！」
鳴護「……」
レッサー「……」
鳴護「ごめん。話聞いてなかった」
レッサー「えぇでしょうとも。いつまで経ってもツッコミが飛んで来やがらないでそうだとは思っていました」
鳴護「レッサーちゃんがフランス嫌いなのはよく分かったけど」
レッサー「嫌い？いやいや誤解ですよアリサさん、私はフランスが嫌いなのでは決して」
レッサー「ただ少し過去の因縁と連中の歴史、そしていつの日か邪魔になるであろう雑草を間引きしておこうというボランテイア精神でですね」
鳴護「その結果、今よりよくなるとは限らないと思うんだよ」
レッサー「――確かに……ッ！？なら仕方がない、今のウチにアーリアン式平和手術を強制執刀しないと！」
鳴護「響きだけでそれがもうヤバイって分かるな！アーリアさんって人の話だよね！特定の民族関係なく！」
レッサー「という訳でいざフランスへ！年末年始に湧く凱旋門前で黄色い服着て盛り上がりましょうや！」
鳴護「関係ないよね？あたし達関係ないのに行くの？」
レッサー「何言ってんですかアリサさん、あれ純粋な政治運動な訳ないじゃないですか！？真っ当な市井の人間が書き入れどきに大勢集合して昼夜も問わずに暴れるってできるとでも？」
鳴護「ホントごめん。政治の話はスルーしていいかな？一言で言えば、面倒臭いから」
レッサー「分かりました。では日本国技の決まり手に『付き人への（性的な意味での）暴行』が加わった件について」
鳴護「風評被害が酷すぎる。傷害は傷害だけど罪を盛るのも良くないと思うな」
レッサー「ではクリスマスなのでリビア連合王国がマンモーニ（イタリア野郎）より独立したのを讃えましょうか」
（※12月24日）
鳴護「リビアってあのリビアだよね？たまーにテロが起きる」
レッサー「なおイタリア人から解放したのは英仏ですがね！」
鳴護「世界で起きるあらゆる悪事に一枚噛んでるよね、イギリスは。ノルマでもあるの？」
鳴護「――というかお願いします！レッサーちゃんだけが頼りなの！」
レッサー「……真っ向からそう言われると弱いですがねぇ。で？私はどこの国でフランス革命を起こしてくればいいんですか？」
鳴護「この後に及んでしつこくフランスの毒を吐き続ける根性は凄いよ？凄いけど、フランス以外で革命起こしたらフランス革命って言わなくないかな？」
レッサー「まぁ小粋なブリテンジョークはこのぐらいにして。本題を聞こうか！」
鳴護「いや最初っから話して……ごめん。また一ボケ入れると尺が足りなくなるから急ぐけどね――」
鳴護「――たまには遊びたいですっ！お友達とフツーに！何のしがらみもなく！」
レッサー「またエッライ普通の悩みですな。たまたま学園都市に私がいたから良かったものの」
鳴護「季節的になんでかは想像つくんだけどね！あえてそこは踏み込まない方向で！」
レッサー「いいですかーARISAさん？この業界では新人を戒めるために使う言葉で『西葛西』という謎単語がありまして」
鳴護「もう許そうよ？いい加減にしてあげないかな？本人も多分ウンザリしてると思うから」
レッサー「他にもですね。『痴漢冤罪やってやレールガ○』って台詞も」
鳴護「ぶん殴るよ？」
レッサー「ごめんなさい」
鳴護「――と！レッサーちゃんしか頼める人がいないの！」
レッサー「はぁ、まぁ他でもないアリサさんの頼みですし、私でできることだったらしますけど」
鳴護「ありがとうっ！」
レッサー「遊ぶのは分かりましたが、今こうやって遊ぶのはダメなんですか？少なくともダチとランチ、もしくはフードバトルしてますよね？」
鳴護「まぁ、そうなんだけど、そうじゃなくって当麻君とね」
レッサー「あ、遊ぶは遊ぶでも男遊びですかこのアマ！？どいつもこいつも発情期ですねっよーく分かります！」
鳴護「納得するんだ……あぁ違うけど！そういうんじゃないけど！」
レッサー「分かりました！それでは尺も足りないんで失礼します――」
鳴護「いやレッサーちゃん何を――」 ﾄｽｯ
――学園都市 廃工場
鳴護「う、うーん……ここは？」
レッサー「こんなこともあろうかと前もって確保しておいたアジトです」
鳴護「うん、発想がテロリスト。てゆうか動けないんだけど」
レッサー「ちなみにあそこ、あの辺りに穴、ありますでしょ？」
鳴護「あー、る、かな？それが？」
レッサー「幼女へ後ろからドリルのようなものを突きつけた犯人を撃った弾が貫通してできた跡です」
鳴護「縁起でもないよぅ！？てか怖いし！」
レッサー「まぁシチュエーション的にはバッチグーということで」
鳴護「いやあの、何を、するの……？」
レッサー「作戦名――『泣いた赤鬼』！」
鳴護「和風だね。えっと、赤鬼さんが青鬼さんのために悪い事して退治される話でしょ？」
レッサー「――よって今から！私が！アリサさんにエロいことをします……ッ！」
鳴護「ごめん。何を言っているのか全然分からないけど、人選をファンブルしたのだけは分かるよ！」
レッサー「あ、お嫌でしたらそこら辺で落ちてるチンピラにします？」
鳴護「どっちも嫌です。知らない方がより嫌だけど」
レッサー「へっへっへっへー！ワガママな体してるじゃないですか！」
鳴護「本気でやめてよ！？意味が分からない！」
レッサー「……」
鳴護「ど、どうしたの？」
レッサー「おや？来ませんね……？」
鳴護「バカなのかな、うん。長い事『これだけは言わないでおこう！』って自制したんだけど、今日は言うよ？バカなのかな？」
レッサー「私の知ってる上条さんでしたら『――楽しそうなことやってんじゃねぇか、俺も混ーぜて！』とか言いながら邪魔へ入りそうなもんですが……？」
鳴護「後半は流石に言わない、かな？うん多分きっと」
レッサー「おっかしいですね……？（ちょっとお耳を拝借）」 ﾎﾞｿｯ
鳴護「（な、なにかな？）」
レッサー「（今から……なので、私が……という……どうです？）」
鳴護「（意味があるとも）
レッサー「すいません。嫌がるアリサさん見てる内に本気でムラムラして来たんでエロいことしましょう」
鳴護「ストレートに！？演技には見えない実直さ！」
レッサー「何言ってんですかランシスじゃあるまいし」
鳴護「いいのか悪いのか分かんないよ！てか近い！近いからレッサーちゃん！」
レッサー「てか前も思ってたんですが着やせするんですよね、アリサさん。将来このワガママな体を男にとられる前に――」
鳴護「ちょっ？！それは流石に洒落にならな――」
上条「――よしちょっと待ってもらおうか！邪魔はしないから動画撮っても宜しいでしょうかねっ！？」
鳴護「おい隠れて見てやがったな百合厨」
――イギリス ロンドン アレイスター・ハザード
上条「で、ここからどうするんだ？俺たちはどうやって反撃すりゃいい？」
TS理事長「ふっ、慌てるな少年よ。興奮するじゃないか」
一方通行「なァ？こいつ突きだしてハッピーエンドにしねェ？ヘンタイ一人捕まった方がいいだろォよ」
TS理事長「そう邪険にするな。興奮するじゃないか」
浜面「何やったって性欲ゲージ上げてんじゃねぇよ！ある意味尊敬するけどよ！」
上条「落ち着けお前ら。このアホは俺たちをからかって遊んでるだけだ。なぁ？」
鳴護「うっわーー！凄いね！見て見て当麻君！気持ち悪い人がいっぱいいるよ！」
インデックス「あれは人っていいのかどうか……疑問なんだよ」
御坂「目がチカチカするわよね。遠くの方にロボットまでいるような……？」
トール「あいつぁウィッカーマンだな。『ドルイド魔術を修めたヘンタイの可能性』の一つだぜ」
一方通行・浜面・TS理事長「……」
上条「な、なんだよ？みんなして俺見て？」
一方通行「……あァまァ代表して俺が聞くけどよォ――」
一方通行「――なンで増えてンだ？」
上条「な、流れで？」
一方通行「捨ててこいよ！明らかに戦闘員でもねェしねぇねぇあとでARISAのサイン欲しいかも！ってミサカはミサカは割り込んでみるのだろうがよォ！」
浜面「すっげえ混線したな、今。どんな罰ゲームだ」
御坂「……なーんか気になる単語が出てきたような……？」
上条「だ、大丈夫だ！これ以上は増えない！オールスター決戦みたいにならないんだからねっ！」
TS理事長「フラグだね。もうそれは」
（※殆どクリスマス関係ありませんでしたごめんなさい。ご応募ありがとうございました）
――アジト
レッサー「――本気と書いてマジと読む！臥薪嘗胆長かった！叛逆の時が今キマシタワー！」
フロリス「最後の違うだロ。特定の癖の歓喜の声だ」
ラシンス「まぁ……分からないでもない」
レッサー「今こそ我らの力を見せつけるところです！一人はみんなのために！みんなは私のために！」
フロリス「どこの独裁者だ。都合の良いときだけカ、アァ？」
レッサー「ふっ、見くびらないでもらえませんか！私にあなた達以外の友達がいるとでも！？」
フロリス「なんて悲しい告白なんだ……ｯ！」
ランシス「レッサー……この中じゃ、男友達多い方じゃ……？」
レッサー「あぁ彼らは重力の井戸ならぬおっぱいのイド（id）に魂を引き寄せられた人達でしてね」
フロリス「フロイト先生はそんな事言ってない……イヤ、そんなんばっかたったっけカ？んー……？」
ランシス「基本HENTAI的な事しか書いてないから……フロイト先生」
レッサー「まぁ今日集まってもらったのは他でもありません！力をお貸し下さいなこの通り！」 ｸﾞｯ
ランシス「なんで頭を下げずに胸、張った……？」
レッサー「平たい胸族の方にはこれが一番敵意を削ぐとものの本で」
ランシス「よし、戦争だな」
フロリス「自虐ネタ？」
レッサー「いいえ、これは減ったのではなく増えたのです！ナイチチには無限の可能性を秘めており、むしろ時代は我にありと！」
フロリス「人類滅ぶだロ。いや単純に」
ランシス「生物学的には15歳前後が……ってのは間違いじゃない、一応は」
レッサー「チチがなければ戦争できないのは昔の話です！今はもうそこを前面に出していきたい！」
フロリス「ベイロープに聞かせてやれー。あのアマロ×巨乳なって調子ぶっこいてっかんナー」
ランシス「そっちみ……定番っちゃ定番」
レッサー「えぇですからね。私も今回ばかりは本気であのツンツン頭を落そうと思います！」
レッサー「よって貴君らには援軍を要請するでありますよ、我らが友情をみせてやりましょうサー！」
ランシス「……と、意味不明な供述をしており……どうしよっか？」
フロリス「手伝うのも面倒臭いケド、手伝わなかったら手伝うまで面倒クセーだロ？」
ランシス「……だよね」
レッサー「ありがとうございますこのアマども。いつか奥歯ガタガタいわしてやりますから楽しみに待っててくださいねっ！」
フロリス「人にモノ頼む態度じゃネー。で？」
ランシス「具体的に……なにを、すればいいの？」
レッサー「えぇはい、今回はマジでやれと言われたので――」
レッサー「――定番で攻めるとしましょうか……ッ！」
――学園都市 登校途中
上条「あれ……？寒気が？」 ﾌﾞﾙｯ
土御門「あぁそれはきっと学園都市120万人の怨嗟の声だと思うぜぃ」
上条「半分じゃねぇか。俺学園都市にケンカ売った憶えは……あー……？なかった、うん、なかった」
土御門「学園生にはケンカ売ってないぜぃ。学園解体するきっかけになるとか、そんなんしない限りは」
上条「じゃ大丈夫だな！俺がそんな大事にいっちょ噛みするはずはないしな！」
土御門「ナイス、フラグ立て」 ｸﾞｯ
上条「てか学園生が他の街へ広がったら変なデスゲームが始まる予感が！レベル3ぐらいでも一般人には対処不能だしな！」
土御門「アホを隔離するためにもここがいい立地なんだよ。壁の外行ったって不自由なだけだ」
上条「居場所がないやつだっているだろうしな」
土御門「それはさておきカミやん、そこにいると人が突っ込んで来るから危ないよ？
女子学生？「――どいてどいてどいてっ！？どいてくだすわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁいぃっ！？」 ﾄﾞﾝｯ
上条「けぞぶっ！？」
土御門「って言ったんだにゃー」
上条「遅いわ？！お前絶対に俺が回避できないorできないように注意逸らすために言っただろ！？今！？」
女子学生？「いたた……痛い、ですね」
上条「あぁごめん、大丈夫か？ケガしてんだったら、風紀委員の人にで」
レッサー（女子学生？）「どこ見て歩いてんですか！？この90年代に流行ったテンプレ主人公が！」
ランシス「……いいよー……もっとツンを前面に出してー……」
レッサー「べ、別にあんたに言ってる訳じゃないんだからね！」
上条「じゃあ誰に言ってんだよ。俺とぶつかって別のヤツに因縁つけ始めたらサイコホラーになんぞ」
土御門「全部拾うんかい」
上条「よしカメラ止めろ。そして正座しろバカ二人」
レッサー「カメラを止めるなって有名じゃないですか！？」
土御門「それ盗作疑惑かかってるやつ、てか記事読んだら真っ黒だったにゃー」
上条「というか何やってんの？師走のこのクソ忙しいときに､お前ら暇なの？」
レッサー「そんなヒドい！？私たちにだって都合ってもんがあるんですよ、ねぇっ？」
ランシス「……うん、ある」
上条「海外じゃ冬休み入ってるとか？」
ラシンス「……ううん。ド・ゴール広場でデモ隊に合流して、バーベキューする」
上条「堂々と他国でテロ活動してんじゃねぇよテロリストども。君もなんかおかしいな」
レッサー「そこはまぁまぁヨンイチでクーデター未遂に荷担した仲ですし？」
上条「忘れてたよ！お前ら全員テロ実行犯だったってことをな！」
レッサー「まぁ過ぎ去った昔の話はいいとして――で！？反応は如何にっ！？」
上条「もう帰れよ。俺だってお前のボケを捌くほど暇じゃねぇだよ」
ランシス「上条名人……ノット好感触……です」
レッサー「くっ！定番がいいと聞いたのに！」
上条「定番？なんで？」
レッサー「首を洗って待っていなさいよコノヤロー！これからあなたには第二、第三の笑いの刺客が襲い掛かりますからね！」 ﾀﾞｯ
上条「それなんて笑ってはいけない24○」
土御門「羨ましいなカミやん！笑いの絶えない日常で！」
上条「じゃあ代ってくれよ。喜んでこの業（ツッコミ）をお前にやるよ」
土御門「俺には荷が重すぎる。俺の腕には舞夏一人で定員オーバーだぜぃ」
上条「お前の妹さんな、メシかお菓子奢ってくれる相手は全員『お兄ちゃん』って呼んでくれんだぞ？」
土御門「おぉっとそれ以上言うんだったら戦争だからな！それ以上言うんだったら！」
――学校 ホームルーム前
上条「おはよっす」
姫神「おはよう。上条君。ねぇ聞いたかな？」
上条「何を？」
姫神「転校生が来るって」
上条「――俺帰るわ。小萌先生には『ちょっくら世界を救うついでに女の子を助けてきます』って言っといてくれ」
姫神「逆逆。その言い方だと女の子はついでっぽく聞こえ」
レッサー「頼もぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ！本日付で本校に転校になっ」 ｶﾞﾗｯ
災誤「――あ、見つけた、こっち来い」 ﾑﾝｽﾞｯ
レッサー「のおぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ！？」
上条・姫神「……」
上条「……うん、やっぱいいわ。世界を救うのはまた今度で」
姫神「女の子は？女の子は救わなくてもいいのかな？」
上条「俺の腕には姫神一人で定員オーバーだよ」
姫神「……もうっ」
土御門「そして俺のパクりだにゃー」
吹寄「朝から鬱陶しいから余所でやりなさい、余所で」
小萌「――はーい、皆さんおはようございますですよー！良い子ちゃんと腐ったミカンの皆さーん！」
上条「先生、俺を見ながら『腐ったミカン』ってなんでいつも言うんですか？」
小萌「理由が分からない子には先生の有給がガリガリ削られているのを詳しく説明するとしまして本日は留学生の子が来ています！」
上条「帰りましたよ？たった今ゴリ……災誤リラに連行されて強制送還されたと思います」
小萌「え？何言ってるんですか、廊下にいますけど？」
上条「リカバリ半端ねぇな」
小萌「じゃあどうぞー」 ｶﾞﾗｯ
ランシス「……やぁ」
上条「――ってお前かぁぁぃっ！？」
青ピ「不思議系転校生――アリやんねっ！」
上条「お前ホンットに守備範囲広いよな！宇佐○にも見習って欲しいわ！」
青ピ「な、カミやんこんな話を知ってるかい――」
青ピ「――『可愛ければ、なんだっていい』ってね……ッ！」
上条「謝れ！日本だけじゃなくて世界各地のライターさんに謝って！そのKAWAIIをどうやって出そうかノイローゼになるまで悩んでる人達に今すぐ謝って！」
――昼休み
レッサー「センパーイ！お弁当作ってきましたっ、食べてくださいっ！」
上条「おぉっと来やがったなテメー！俺は知ってんぞ！これが罠だって知ってんだからな！」
レッサー「そんな酷いっ！？折角先輩のためにマジで作ってきたのに！？」
姫神「上条君。それはない」
吹寄「そうよね。食べてあげなさいよ、嬉しいでしょ？」
上条「……オッケー分かった。そこまで言うんだったら、まぁ食ってみようじゃねぇか――ただし！」
上条「お前らも食えよ、なぁ？」
レッサー「あ、どーぞどーぞ！量は作ってきてありますんで、是非！」
姫神「イギリスからの一日留学生。本場の味は興味ある」
吹寄「……本場の？」
レッサー「はい！上条さんには飾らない私たちの文化を見て欲しいと思いまして、ガチで用意しました！」
吹寄「あっ、あー……」
姫神「吹寄さん？」
吹寄「ごっめーん！委員会の仕事入ってたから！まだ今度ね！」 ﾀﾞｯ
姫神「逃げた？なんで？」
レッサー「ふっ、口ほどでもないですな巨乳デコメガネっ娘！薄い本じゃ真っ先にエロいことされる立場です！」
姫神「それマイナスになるのかな？」
レッサー「まぁまぁともあれそっちの普通の方も！イギリス風ランチをご賞味ください！」
姫神「ありがとう。よかったら私のお弁当も食べて」
レッサー「あざっす！上条さんもどうぞ！」
上条「まぁ……うん、作ってきたから食べるは食べるんだけど」 ｶﾎﾟｯ
レッサー「どうですかっお客さんっ！我々が普段食べている物を忠実に再現しました！」
上条「えーっと、まず整理しようぜ。弁当箱は弁当箱なんだよ。大きめの道具箱のサイズの」
姫神「知らない人が見たら。中に遊戯○のカードが収納されてそうな感じだよね」
上条「まぁそれを開けたらだ。まず目に飛び込んでくるのは、つーかこれリンゴだよね？」
レッサー「それがオレンジに見えたら病院ですよねっ」
上条「まぁリンゴはいいとしようや。お弁当本体とは別に小さなタッパーとかへ入れてデザート的なのだったら分かる。てか俺も嬉しいよ、だけどな？」
上条「なんで丸まんま皮も剥かねぇナイフもつかねぇリンゴが弁当箱ん中入ってんだよ！？子供の自主性重んじるにしたってやり方あんだろ！？」
（※実話です）
上条「あと……あぁこれはいいさ。サンドイッチはいいよ、中に名状しがたい黒いモノが溢れんばかりに塗りたくってんのを除けばだ」
レッサー「それは子供たちに大人気ですよ。チョコとジャムです」
上条「俺も好きは好きだが……うん、安心だな！味は分かってるし！」
姫神「あの。上条君。これはギャグでやっているのか不安なのが入ってる」
上条「気をしっかり持て姫神！弁当の中にはまだ二つ残ってる！どっちから拾おうか迷ってるところだ！」
姫神「上条さんがツッコむのを迷うのは。もうそれだけピンチだってことだよね」
上条「じゃあまぁ手近な方から行こう！これなんすかレッサーさん！？」 ｶﾞｻｯ
レッサー「ポテチの袋ですけど？」
上条「っっっっっっっっっっっっっっでだよ！？なんで弁当箱の中にポテチ入ってんだよっ！？しかも袋ごと！？」
（※実話です）
レッサー「愚問ですな！適度な油分と塩分をとるためにもポテチは健康食だと言い張ってる層も一定数居る国ですよ！」
（※実話です）
姫神「予想以上に酷い」
上条「そしてラス一！一番最初にツッコもうかと思ったけど！何か『目の錯覚かな？』って躊躇ったブツは――」 ﾄﾞﾝｯ
上条「コーラ（ペットボトル）だろっこれ！？なんで弁当の中に入れようと思った！？あぁっ！？」
（※実話です）
レッサー「喉、乾きません？」
上条「もうそういうレベルの話じゃねぇよ！？だったら水筒かお茶でいいだろうがよ！？なんでコーラ入ってんの！？
上条「お前言っとくけど日本でこれお子さんに持たせたら教師or児童相談所に呼び出されっかんな！かなりマジで言うけど！」
レッサー「そりゃあ文化の違いですね。てかマジでスクールパックドランチって言って、給食の出ない学校のお弁当はこんな感じですし」
上条「言ってやりなさいよ姫神さん。君の目にはどんな風にうつったかって」
姫神「ここまで来るともう暴力だよ」
レッサー「萌える声で罵られると心に来ますな！」
上条「ったくまぁ――いただきます！」
姫神「って食べるんだ？」
上条「当たり前だろうが！俺の人生初の女の子からの手作り弁当だぞ！？」
姫神「作ってるかどうか微妙だけど……」
レッサー「授業中に内職でちょちょいと」
姫神「あぁ。だから甘い匂いがしたんだ」
――屋上 放課後
少女「……」
ｷﾞｯ､ｷﾞｲｨｯ……
上条「こんな所に居たのか。探したぜ」
少女「……」
上条「いや別に探した訳じゃないんだ、つーかまぁ探したんだけど。気になったっていうか」
上条「なんていうかさ、ほら、今日って様子がおかしかったろ？まぁいつもおかしいんだけど――」
少女「ずっと前から……あなたが、好きでした」
上条「っ！？」
少女「……だめ、ですか？」
上条「あぁいや唐突すぎて。つーかなんで俺なんか」
少女「決まってる……」
ランシス（少女）「――友達から寝取るのって、超興奮する……ッ！」
上条「ってお前かあぁぁいっ！！！？」
――イギリス ロンドン
上条「――総員に告ぐ！我々は謎の神様軍団に襲撃を受けている！助けて下さいお願いしますっ！」
御坂「それじゃ陽動誰か行ける？」
ランシス「……アリサが歌って引き寄せて、私が”爪”で足担当……」
トール「で、引き寄せるだけ引き寄せたら俺らでズドン！だわな。念ため上条ちゃんはアリサちゃんについててくれよ」
鳴護「が、頑張るよ！」
レッサー「あれ？わたし、は？」
フロリス「ま、気にすんなヨ。こまけぇこたぁっていうジャン？」 ﾎﾟﾝｯ
レッサー「え、えぇまぁ言うらしいですけど。いや違う、何か違う――」
レッサー「っていうかフロリスまで！？あなたやっぱりじゃないですか！？」
レッサー「オリジナルメンバーもどこか行っちゃいましたし！？これ多分ダメなルート確定したんじゃないですかねぇ！」
（※イギリス低学年向け弁当の話は一ミリも盛っていません。本当にあれが一般的な(労働階級の)お弁当です。ご応募ありがとうございました）
――ロンドン 日本人街 とある駄菓子屋
建宮「――五和、今日はお前さんに厳命を与えるのよ……ッ！」 ｻｸｻｸｻｸｻｸｯ
五和「教皇代理。さくさくぱん○を食べながらだと説得力が激減します」
建宮「その通り！厳しい命令と書いて厳命なのよ！」
五和「その通りも何も、特に何か発言してる訳じゃないんですが……」
建宮「黙らっしゃい五和！世界遺産登録が決まったからって浮かれてんじゃないのよ！」
五和「あぁそれでテンションがいつもに増しておかしいんですか。浮かれる気持ちも分かりますが」
建宮「気がつけば平成の御世も今年で最期、我らは長い事作戦を続けてきたのよな」
五和「体感時間だと数ヶ月ですけどね！……てか作戦？作戦って何かしてましたっけ？」
建宮「おいおい五和さんよぉ。それじゃ困るのよな、天草式のトッコーが何をボケてるのよ！」
五和「明らかにハンター×ハンタ○の下っ端ヤクザに意識された台詞ですが、すい、ません？」
建宮「そしてまた年越しを待たずに連載中止なのよ……ッ！」
五和「気を確かに建宮さん！作者の方の生死がよく分からず、次号予告ですらもう期待できなくなった喧嘩稼○よりかはマシです！」
建宮「偉い人をネタにしてたらマホカン○された例なのよな！五和も気をつけるのよ！」
五和「回り回ってとは言いますからねぇ。覆水とも言いますし」
建宮「まぁ多分ハレー彗星のように戻ってくる時限式ブーメランはいいとして、お前さんの話なのよ。つーか進捗状況はどうなってんのよな？」
五和「進捗もなにも、先程から何の話をされているのでしょうか？」
建宮「そりゃお前……あー、エッチスケッチワンタッチの話しかないのよ！」
五和「その謎フレーズ、小学生ぶりに聞きました。古すぎてもう元ネタが分からない」
建宮「だから少年との愛を育む話なのよ」
五和「すいません教皇代理。そう少年少年連呼されると、私が一部の特殊な癖（へき）の人に思われるのでいい加減に」
建宮「え？五和と少年の年齢差を考えると充分」
五和「アフロ全部引き抜きますよ？」
建宮「――お、お似合いのカップルってやつよな！ベストマッチ！少しだけ年上好きの少年にはピッタリなのよ！」
五和「もうっ建宮さんったらお上手なんですから！そんなに誉めたってお歳暮を少しランクアップするぐらいしかないですよぉ！」
建宮「なんだかんだでチョロいのよ――というネタの話はともかくとして、お前さんマジでそこら辺どうなってるのよな？」
五和「う！急にギア変えられると困るんですが！」
建宮「我らが授けた『おしぼり作戦』は一定の効果を上げたものの、それ以降はトンと音沙汰もなく……」
五和「正直おしぼり参戦も効果があったのか怪しいところなんですが……」
建宮「後日対馬に『あんたら五和に何教えてんのよ！』ってメッチャ怒られたのよ。泣きそうになった」
五和「やっぱりあれネタだったんですか！？おかしいとは思ったんです！だっておしぼりなんてそんなに必要ないですからね！」
建宮「余談だけどよ、対馬の蔑んだ目で見られたいって男衆が何人かいるのよ」
五和「本当に余談ですね！何の有り難みもないしできれば聞きたくなかった豆知識！」
建宮「対馬に怒られたりもしたけども！それでも少年と話すきっかけになったのは否定出来ないのよな！」
五和「まぁそう、ですね。きっかけにはなりましたけど、最初『何この変な子？』的な空気があったのも事実ですけどね」
建宮「……ほう。つまりアレなのよ？五和さん的には『おしぼり作戦』はいらない子だったのよ？」
五和「そこまでは言いませんけど。まぁそんなには」
建宮「――って言う事は！なら五和さん言ってご覧なさいよ！俺たちのアイディア以後関係が進みましたかああぁっ！？」
五和「キャラ崩壊気味に叫ばれても……」
建宮「少年とイチャコラしたのはアビニョンとアックア襲撃後の病院でちょっと！しかもあの時は女教皇が結婚のお召し物を持参されて全部持って行かれる始末！」
建宮「そんな体たらくで俺らが黙ってるのも限度があるのよなっ！？」
五和「超大きなお世話です。あとその時は金髪グラサンが暗躍していたような……」
建宮「俺は五和のためを思って言っているのよ！決して、そう決してネタにしてイジって楽しもうだなんて性根はないのよな！」
五和「オモチャ気分か。私たちは暇潰しかネタ要員ですか」
五和「……まぁ教皇代理の言葉を疑う訳じゃない、ないんですが……」
建宮「なんなのよな！言ってみるのよ！」
五和「なんかヒス起こしたオネエ系っぽいですが……私ばかりを応援されていてもいいんですか？」
建宮「俺……か？俺はこの想いを少年へ打ち明けるつもりはないのよな」
五和「違う、そうじゃない。というか本気だったら応援しますけどご時世的に難しいんですからボケを挟むな！」
五和「私が言ってるのは！贔屓はよくないんじゃないですかってことですよ！なんか、抜け駆けみたいで！」
建宮「あー、まぁよ。女教皇も五和もよ、俺に取っちゃ可愛い妹弟子なのよな」
建宮「信仰の上じゃ我らよりも女教皇の方が上だとはいえ、力関係も上だとかそういうもんじゃないのよ」
建宮「ただ持って生まれた役割が違うだけ。人よりかちぃとばかし重いそいつを、俺らが支える助けになれば、とは思うのよ」
五和「ありがとうございます」
建宮「それに女教皇には俺だけじゃなく、関西魔術会の梟雄土御門家元春がケツもちしてるという噂も……！」
五和「敵だったら倒せますけど仲間だったら倒せないですからね。女教皇も苦労されていますし」
建宮「まぁまぁそう言わずにプランだけでも聞くのよ。天草式の男衆の叡智を結集させた必殺間違いなしの計画をよ！」
五和「既にもうコント臭が半端ないですよね？」
建宮「まず最初は――これなのよ」 ﾄﾞﾝｯ
五和「お酒、というか焼酎ですね。これが？」
建宮「飲ませて後は……分かるのよ、なっ？」
五和「短絡的過ぎますよ！？そりゃまぁ意味は分かりますけどほぼ実力行使と何が違うんですかっ！？」
建宮「要はアレよ、既成事実を作っちまえってぇ話なのよ」
五和「おいアフロ。お前の肩書き思い出せ、なっ？」
建宮「肩書きもクソもないのよな！主は『まぁ少子高齢化にも負けずにガンバ！』と仰ってるのよ！」
五和「そんな俗な言い方はちょっと……」
建宮「まぁ酒は軽ーいジャブなのよ。『少しだけ、クリスマスですし少しだけ、ねっ？』みたいな事を言われたら断れないのよな」
五和「……いいんですかねぇ、それ」
建宮「で、まぁ次はこれよな。これを使ってジャブからストレートをねじ込むのよ！」 ﾄﾝｯ
五和「パーティゲームの箱ですよね。まぁ定番っちゃ定番ですが、中身は何ですか？」
建宮「ツイスターなのよ」
五和「エロい意味でのストレート！？あぁまぁ確かに直球という意味でも合ってはいますけど！？」
建宮「エロくなんてないのよ！これは道歩いてたら『妹とするはずだったのに……』って押しつけられたのよ！」
五和「呪いのアイテムですよね？」
建宮「かもしれん！だが使いこなしてこそ一流なのよ！――そして最後がこれなのよ！」 ｶｻｯ
五和「もう読めてますよ−？どうせオチは建宮さんが使う相手もなく集めてるコスプレセットなんでしょう？」
建宮「まぁその通りなのよ。いつの間にか悪ノリが高じてシリーズ化されてるのは否めないのよ」
五和「あ、あれ？認めちゃいました？」
建宮「だぁーが五和よ！堕天使エロメイドに始まり最新作は聖邪神テラメイド！マンネリ気味とはいえこれだけ揃っているのはどうしてか――」
建宮「――分かるのよ？」
五和「いえ興味はちょっとないです」
建宮「そこまで言うのなら教えるのよ――需要が、あるのよ……ッ！」
五和「いえですから興味はな――需、要？」
建宮「そうなのよ。まぁこの世には様々な癖があって人の数だけ癖があると言っても過言ではないのよな」
五和「女子へ対して話すようなこっちゃないですけど、まぁそれがなにが？」
建宮「だがよ！裏を返せば一定の需要があるだけ、売れているからこそこのエロメイドシリーズは残っている。ということはよ！？」
建宮「世界中で多くの男子がエロメイドに憧れていると言ってもいいのよな……ッ！」
五和「……」
建宮「……だめ？」
五和「むしろそこで『なら着ますっ！』っていう女がいたら駄目です」
建宮「そっかー、まぁ仕方がないのよな。俺らが無理強いしてご破算になったら目も当てられないのよ」
五和「そうですよぉ教皇代理。お気持ちは嬉しいですけど、やっぱりこういうのは外野が口出しするようなことじゃ」
建宮「まぁ少年をオトすのはお前さんでなくてもいいし、人知れずBBA化して焦ってる対馬に話を持って行」
五和「――やります！私、やってやりますよ建宮さん！」
建宮「おぉ五和その意気なのよ！『女の友情ってなんだろう？』と一瞬考えたけど、まぁいいのよな！」
――上条のアパート 夕方
上条「ただいまー……あ？」 ｶﾞﾁｬｯ
五和「あー、どうもどうも！いらっしゃいませ、ようこそ！」
上条「すいません。間違えました」 ﾊﾟﾀﾝ
五和「ま、間違ってないですよー！あなたの帰る場所はここですからあぁ閉めないで閉めないで！」 ｸﾞｯ
上条「いやお前アレだろ？これ面倒臭いやつなんだろ？」
五和「いえ、面倒臭いだなんて全然そんなことありませんよ！『面倒臭い女』とはよく言われますけど！」
上条「微妙すぎてツッコめないよ。拾っていいのかイジったもんか躊躇うわ」
五和「本日は慰労会というかですね、クリスマスなので上条さんを労ろうって天草式一堂が企画しました！」
上条「てかウチの子二人が見えないんだが。天草式なのにお前さかいないし」
五和「お二人はこちらで接待しておりますので！上条さんはどうか羽目を外してください！充分にねっ！」
上条「何かレッサー臭がするな。俺騙されてないか、これ？」
五和「いやいやそんなことは全然！さぁ座ってくださいよ、お料理もお飲み物も用意してありますから！」
上条「クリスマスの料理がズラーッと。これもしかして全部天草式の？」
五和「はい！郷土料理を現代風にアレンジしたモノです！」
上条「前にヴェネツィアじゃ一緒に食べられなかったけど、意外にフツーなのな」
五和「私たちだってクリスマスは普通に祝いますし、一年中修行している訳でもありませんので。ささ、どうぞ！」
上条「あぁんありがとう――てか聞いていい？さっきから気になってたんだけど」
五和「十八歳（ぐらい）です☆」
上条「なんでそこ拘るんだよ。まぁ見えない事も無いけど」
五和「（よっしゃあ！）」 ｸﾞｯ
上条「なんか全体的に酒臭いんだけど、もしかして飲んでる？」
五和「え？えぇ、まぁ、ちょっとだけ？景気づけに？」
上条「一杯引っかけてる時点でもう18歳説はなくなっただろ！」
五和「巧妙な罠……ッ！？」
上条「海のリハ○といい勝負してるよ。取り敢えず落とし穴一択の軍師キャラ」
五和「ま、まぁ落とし穴という点で一緒かも知れませんが……さぁ上条さんもどうぞ！駆けつけ一杯！」
上条「学生に酒勧めるなんてパワハラだと思うんだが……」
五和「あぁいえこれはですね、とても飲みやすくて（天草式の中では）軽めですから！ご心配なく！」
上条「いや、でもなぁ」
五和「誰だっていつかは通る道なんですよ！会社入って飲み会に連れて行かれて『飲めません』っていうんですか！？」
上条「それもまぁパワハラ……言い出しづらい雰囲気なのは認めるが」
五和「そしてまずやられるのがダイターン○の宴会芸ですよ！？酩酊した状態で！」
上条「極々一部だろ。ほぼ身内の馴れ合いだけでやってる業界じゃねぇか」
五和「なんでしたら私が介抱しますから！責任持って介抱しますから！私を信じて！」
上条「だからレッサー臭がプンプンするっつってんだろ。なんていうか小物臭といざとなったら大失敗するフラグ感がな！」
五和「えぇと、一口だけ飲んでダメだったらそこでストップすればいいですし、お試しにねっ？」
上条「うーん……まぁ、そこまで勧めるんだったら一口だけ。あんま強くないんだよね？」
五和「はい勿論！（天草式の中では）強くないです！」
上条「んじゃ……あ、美味しい。甘いっていうか」 ｺﾞｸｯ
五和「えぇ本当に（中に薬が入ってる以外は）オススメなんですよ」
上条「へー、意外だ。てっきりビールみたいに苦いもんだとばかり思ってた」
五和「ピンキリですね。上条さんもお料理でみりん使いますよね？」
上条「あぁ。肉の臭味消しと甘味付けで」
五和「あれもアルコール度数でいえば12〜15度ぐらいになりますし、みりん”風”調味料だって9〜13度ぐらいに調整してありますし」
上条「あ、もう一口もらっていい？」
五和「あ、はい。お注ぎしますね」
上条「ありがとうございます……でもさ、なんかこう辛いお酒や強いの飲めばいいって感じあるじゃんか？」 ｺﾞｸｯ
上条「男なのに甘い酒、子供っぽい、みたいなのはない、んですか？」
五和「んー、人にもよりますけど他人の好き嫌いにケチつける方が子供ですかね。周囲の人も多分メンドイので放置してるだけで」
五和「サッカー好きな人がフットサルを見下したりはしないでしょう？それと同じで」
上条「そっかー、なら、いいのかなー？」 ｺﾞｸｯ
五和「あ、空になってるのでお注ぎしますね！」
上条「どうも……あるぇ、体が熱い、かな？」
五和「酔ってるんですよね分かります！暖房効いているので遠慮なく抜いじゃって――あ！？」
上条「ど、うしたんですか？」
五和（あのエロメイド服を着てくるのを忘れた！いつもならここで邪魔が入るはずなのに、こうまで上手く行くとは思ってなかった！）
五和（このまま行ける……？いや、慎重に慎重を期して行くべき――）
五和「す、すいませんねっ！ちょっと忘れ物があったので失礼しますっ！すぐ戻りますからっ！」 ｶﾞﾁｬｯ､ﾊﾟﾀﾝｯ､ﾀﾀﾀﾀﾀﾀﾀﾀﾀﾀﾀﾀｯ
上条「おーう、気をつけてなー……」
上条「……なんか、体がヘンだな。熱い、暑い……いや――なんかこう、ムラって来るっていうか」
上条「……あぁそうか！だから『酔った勢いで』みたいな話あんのか！そういう成分入ってんだな！」
上条「でもどうしよっかー、戻ってくる前になんとか」
ｶﾞﾁｬｯ
上条「……あれ？」
対馬「五和ー、あんた変な服忘れてったけどこれ要るー？」
上条「……」 ｽﾞｲｯ
対馬「あ、こんばんは。五和来てる筈なんだけど――って近い、な？どうしたの、目がぐるぐるして――」
上条「オレ、オマエ、マルカジリ」
対馬「――んーーーーーーーーーーーーーーーっ！？んんーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ！！！？」
（〜暫くお待ちください〜）
――イギリス 数ヶ月後
上条「――『黄金夜明け』の魔術師が勢揃いかよ。全く豪勢なこって」
トール「でも、退くつもりはねぇんだよな？ま、逃がしてくれるかは別にしても」
上条「当然。世界の一つや二つ救ったんだ、ダメ親父が娘さんに土下座する舞台ぐらい作れねぇでどうすんだよ」
対馬「上等！そう来なくちゃね！」
トール・御坂・鳴護・フロリス・ランシス「……」
対馬「な、なによ？」
御坂「あなた、居たっけ……？」
鳴護「増えてる、ような？うん、増えてるよ！何人かずつ！」
対馬「そんなこと言われてもね！あんなことされたら責任とってもらわないと！」
御坂「ぶっちゃけ死ぬかと思ったわよね！一人じゃ身が持たない的な意味で！」
トール「あー、分かる分かる。求められてるって気がするんだよな」
フロリス「なんで女子トークに入ってんだヤローが。てか野獣だロもうこれ」
上条「さ、さぁっみんなで戦うぞー！俺たちの友情（愛憎）パワー見せてやろうぜ！」
五和「……あれ？これってどういう、あれ？」
レッサー「――ようこそ、主役かと思ったら実はNTRルートだった者よ……！」
五和「こっち来ないでください！？私は、私は違うんですからっ！」
レッサー「ぶっちゃけ原作でも私より出番が無い者よ！いい加減目を覚ますのです……！」
五和「よーし魔術師連中ぶっ飛ばす前にあなたですね！受けて立ちますよ！」
姫神「――ダメ。喧嘩。よくない」
五和・レッサー「ってまた呼ばれてもないのに増えてる！？」
姫神「なんか誉められてたので来てみた。てへ」
（※もう増えません。ご応募ありがとうございました）
――クリスマスイブ 夜
インデックス「……あぁ、今日は素晴らしい日なんだよ！お腹いっぱい食べられるだなんて……！」
上条「俺が虐待してるみたいな言い方すんなや。人には必要がカロリーがあって、インデックスも食べてばかりだとぽよんぽよんになんぞ」
インデックス「わたしは体質だから問題ないかも。世の女性達にはごめんなさいだけど」
上条「『聖人』系のなんかあるのかもなぁ。アリサはそっちで神裂は……多分、小食？」
インデックス「わたしの辞書に記述はないね。推論だけでいいんだったら三時間ぐらいかかるけど、いい？」
上条「駄目に決まってんだろ、明日は平日だ。もう寝なさい！見ろオティヌスさんを！早寝早起きだから！」
オティヌス「……」
インデックス「……ご機嫌なスフィンクスになめ回されて、息も絶え絶えになってるんだよ……？」
上条「明日の朝、目を覚まさなかったらどうしよう――ま、コントは場面が転換したら復活してるよな！だからきっと安心さ！」
インデックス「それもどうだろう……まぁ、いざとなったら妖精関係の知識を頼るといいかも」
上条「おう。それじゃおやすみー」
インデックス「おやすみー、なんだよ」
上条「その台詞だと因縁つけてるように聞こえなくもない……ッ！」
インデックス「とうま、あなた疲れているのかも。ツッコミしすぎて脳が暴走してるんだよ、きっと」
上条「あぁこの間、夜中に『そこボケるところだろ』ってツッコんで目が覚めたんだ」
インデックス「本当に危ないかも！？カエル先生に診てもらって！」
――クリスマスイブ 深夜
？？？「……」 ｶﾞﾁｬｯ
スフィンクス「……ニャー？」
？？？「しっ。怪しいものではないよ、そのまま寝ていたまえ」
スフィンクス「ナー……」
？？？「……」 ｶﾞﾁｬｯ
上条「ぐー……」
？？？「よく寝ているな――どれ」 ｼｭｳｳｩｩｩｩｩｩｩｩｩｩｯ……!!!
――
？？？「――きて、起きてってば！ねぇ！」
上条「……お、う？」
？？？「店長！てーんちょー！何寝ちゃってるんですか！起きろ、このハゲ！」
上条「ハゲてねぇよ。今の所はその心配してねぇけどあぁ父さんちょっと年の割にはアレだけど！」
？？？「あ、ツッコんだら起きた」
上条「って、ここは？どっかの洋食屋さん……か？」
？？？「何言ってんですか店長。あなたのお店でしょうが」
上条「店？」
？？？「はい。先代のオーナーからもらった大事なお店でしょ？何言ってんですか？」
上条「オーナー……あぁそうか。奥さんに先立たされて借金ばっか残っちまったお店を建て直したんだっけ」
？？？「ですよぉ。そのときにこんな綺麗な奥様までゲットしやがって！この果報者っ！」
上条「うんまぁその記憶もあるっちゃあるんだよ。でも一つ聞いていい？」
？？？「どうぞ！何なりと！」
上条「お前誰がどう見てもTSアレイスターなんだけど、今度はどんな悪巧みしてんの？」
TS理事長（？？？）「くくく……！よくぞ見破ったな上条当麻君、いや――」
TS理事長「――店長、と呼んだ方が宜しいかな……？」
上条「意味のない溜めやめろよ。これ行数で大体いくらって決まってんだから無駄な会話すんなよ」
上条「てかまた魔術絡みのトラブルか？つーかお前が顔出すのってトラブルしかないもんな！」
TS理事長「あぁ違う違う。今日はね、教育者として現れたんだよ。業務というか仕事の一環として」
上条「超不安しかねぇのな。お前に言われると」
TS理事長「何というか君の進路は絶望的じゃないか？」
上条「言い方！親にだってそこまで暴言吐かれた事ないのに！」
TS理事長「あぁいや様々なトラブルがあったり、その原因の一端を担っているのも私たちだ。だからこのまま落第、とは言わない」
TS理事長「もし仮にそうなったとしても、ある程度のケアはしようじゃないか。責任を持って」
上条「『木原』ラボに直行じゃないよな？信用が絶望的に足りてないんだよ、お前は」
TS理事長「暫く前に書いただろう、進路希望調査の紙を？それの第一希望をバーチャルで再現してみたのさ」
上条「バーチャルっていうかマジカルっていうか……あぁこれもしかして、俺が希望したらこんな感じの就職先用意してくれるって話か？」
TS理事長「全く同じではないが、いくつかシミュレートさせてあげようという気遣いだね」
上条「……まぁ、ダブってカミングアウトするよりは大分まともだが……いいか。悪くはない、悪くは」
TS理事長「なら続けようか――どーしたんですか、てーんちょ☆」
上条「お前の演技まずやめろよ。てかお前は俺の人生の出番はもうないよ！」
上条「あー、でも食べ物屋ってのは第一希望だな。まぁ上に行けなかったらですけどね！」
TS理事長「そこら辺は君の頑張り次第かな。私も不正を加えるわけにも行かないし」
上条「融通効かねぇなそういうとこ……てか、あれ？今ってお昼時だよな？」
TS理事長「そうだね。仕込みも充分、あとはお客が来るだけだね」
上条「だってのに誰も来ない……『Closed』のまんまとか？」
TS理事長「それはない。さっき店の前を掃くついでに確認してきたさ」
上条「芸が細かいな。じゃあなんで？流行ってないのこの店？」
TS理事長「私もね、今回のVR就職体験は本気でやったんだ。一切手を抜かずにアドバイザーを設けてまでね」
TS理事長「君にまつわる全ての不確定要素を入れた結果、ほぼ現実に等しい結果を得られるんだが……」
上条「が？」
男「――お邪魔します」 ｶﾗﾝｺﾛﾝｯ
上条「あ、いらっしゃいませー。何名様ですかー？お好きな席へどうぞー！」
男「あぁいえ客ではないので、お水を頂ければ」
上条「……はい？」
男「アポイントは取っていたはずですが……まぁいいでしょう。こちらをご覧ください」 ﾋﾟﾗｯ
上条「グラフ、ですか？」
男「はい。ここ数週間分の御社の業務実績をグラフで表したものです。そして経費がこちらで、当面の見通しがこちら」 ﾍﾟﾗｯ
TS理事長「厳しいな」
上条「そうなのか？」
TS理事長「悪くはないが、良くもない。ジリ貧というやつだ」
男「えぇ、このまま続けていても劇的な改善は見込めないと」
上条「そっか……厳しいんだな、現実は」
TS理事長「そうだな。せめて近所にイオンモー○とコスト○と各種アウトレットとケン○とマッ○とミス○とモ○とロッテリ○とドムド○とピザー○とドミ○と吉野○とすき○となか○がなければ、な」
上条「なんだそのオールスター！？よくまぁそんだけ不利な立地で洋食屋開こうとしたな先代！？」
男「いえ、計画が決まったのは我が社のオーナーの一存ですけどね」
上条「恨まれてんな俺が！何やったんだまた与り知らないところで！？」
男「――で、ここからが交渉なのですが、御社にも当グループのどこかへ移転しませんか、という話がありましてね」
上条「……あぁ。その代りにこの店と土地寄越せって？」
上条「断る！先代から引き継いだ店は俺が護るって決めたんだ！」
TS理事長「かっこいーてんちょー！」
上条「黙ってろ理事長。あと少しは存在に疑問を持てや」
男「あぁいえ、そんなつものは毛頭ございません。というか書面でこちらに要件は書いておりますので、ご確認ください」
上条「えーっと……どういうこと？」
TS理事長「まずこちらの傘下になれば店の土地も経費も全部持ってくれるんだそうだ。そして二号店をどこで出したっていい」
TS理事長「ただしその条件として、こちらの従業員を一人、オーナーの秘書というか、まぁそういう立場で雇用したい、だ」
上条「――帰ってくれ。そしてそのオーナーに伝えろ」
上条「『女の子一人口説きたいんだったらテメェの言葉で話してみろよ、このクソ根性なし』――ってな！」
TS理事長「てんちょー、マジ△」
上条「自重しろや理事長」
男「いえ、違います。概要そのものは上条さんの仰るとおりなのですし、私もどうかと思うのですが。欲しい人員が違うのです」
上条「だからなんだよ。女の子ってこのアホ以外に誰かいんのか？」
TS理事長「契約書にはこう書いてある――『ただし上条当麻を寄越さないとこの契約はなかった事になるんだからね！？』」
上条「ビリビリじゃん。てかなんで契約書に口頭書き起こしがそのまま載ってんの？」
上条「つーか俺！？俺が秘書になったら食べ物屋する意味ねぇじゃん！？これシミュレート以前の問題だろうがよ！？」
TS理事長「安心したまえ。この紙の一番下に黄色い小文字で『一生お味噌汁をつくること』って書いてある」
上条「安心する要素ねぇよ！？なんか可愛くやったつもりなんだろうが、これ男女と人気逆ならエッラい大問題に発展すんだからな！？」
男「……多分、どこかへ行かれても追いかけていくと思いますので、諦めてください……！」
上条「あんたも少し待ってろ。定食タダで作ってやっから、被害者友の会としてな！」
TS理事長「あぁその必要はないよ。区切りを一端つけて――どうかな？君の希望は叶ったかな？」
上条「もしこれで叶ったように見えるんだったらお前は、おかしい」
TS理事長「そうは言うがね。私が何度も試したところ、結局は食蜂君か御坂君の横やりが入るんだ」
上条「頭良いのに行動理念が雑なやつが力持っちゃいけないん・ダ・ゾ☆ギャグ風味で人の人生左右しやがって！」
TS理事長「本人達は至極真面目だと思うがね。さて、どうする？続けるかね？」
上条「第二希望シミュを希望する！俺の夢は冒険はこんなところじゃ終わらない！」
TS理事長「いいとも。では舞台を移そうか――」
――学校
上条「これまた、普通だな。てか俺の旧校舎だ」
TS理事長「僧正が壊してしまったからね。再現してみた」
上条「セーラー服、ってことは」
男子「あ、上条センセー。さよならー」
上条「あぁうんさよならー……って先生だよな。書いたの俺だし」
TS理事長「教師、いいじゃないか。セーラー好きにはたまらないものがある」
上条「ごく一部な？そして大体好きを拗らせすぎて道を踏み外すんだ、怖いよねー」
上条「あぁでもこれはこれでいいかもしんない。俺のようなダメ生徒を見捨てなかった小萌先生みたいになるんだ……ッ！」
TS理事長「それ自体は素晴らしいよ、とてもいい目標なんだが」
上条「が？また来やがったな、”が”」
女子「――センセ！こんなところにいた！」 ﾀﾞﾀｯ
上条「おー、廊下走っちゃダメだぞ。つーかどした？」
女子「い、いまっ！ブタの顔したデブが大勢校内に入ってきて！」
上条「――は？」
女子「他にも、ほらっ！竜が！空を飛んで――」
上条「っっっっっっっっっっっっっで異世界来てんだよ！？違う違う！俺が望んでた希望と違うなこれ！」
TS理事長「自慢じゃないが、ウチの学園生なら異世界も征服できるな？」
上条「そりゃ常盤台ぐらいのレベルだったらな！あぁでも絶対バランス崩して世界を敵に回しそう……ッ！」
TS理事長「というか早く行かないとオークどもにJKがエロいことされ放題だぞ？いいのか？」
上条「あぁそうだな！お前も手伝えよ！」
TS理事長「勿論だとも！前から目をつけていた女子の居場所は把握してある！」
上条「襲う方じゃねぇよ！？『オークにされるぐらいなら先に俺が！』でもねぇよ！？どんだけ狂ってるんだ俺は！あぁいやエロいゲームに出る教師なんてそんなんばっかだけども！」
上条「てかもういいよ第二希望は！異世界来てる時点で俺の希望じゃねぇしさ！」
TS理事長「第三希望や第四も似たようなものだ。外的要因で大体メッチャクチャになる」
TS理事長「そしてな、何が凄いかってこのまま進級しても魔術と科学の間で酷い目に遭うんだ！」
上条「ウルセェよ！超ウルセェよ元凶！お前が大抵悪いんだからな！？」
上条「つーかこの企画だってクリスマスの夜に進路指導されてんだよ俺！他にこうもっと俺救済的な意図はなかったのかと！」
TS理事長「楽しそうでいいじゃないか。ガンバwwww」
上条「お前アレだぞ？生かしてやったけど、トドメ刺すのは俺がやってやっかんな？憶えとけよ？」
――クリスマス 朝
ﾁｭﾝ､ﾁｭﾝﾁｭﾝ
インデックス「ねーねーとうまー、お腹が空いたんだよ−？起きて−、ねぇとうまー……？」
上条「……」
インデックス「って起きてたんだね。おはようとうま、メリークリスマスなんだよ」
上条「俺、考えたんだけどさ」
インデックス「な、なに？朝から？」
上条「一生学生やってれば惨劇は起きないと思うんだよ？」
インデックス「取り敢えず、顔洗って来い？ねっ？」
（※どの道を歩んでも似たり寄ったりの人生になると思います。ご応募ありがとうございました）
――上条家のアパート
ﾋﾟﾝﾎﾟｰﾝ
インデックス「――はーい、ただいまー」 ｶﾞﾁｬｯ
ステイル「……インターホンがあるんだから、ドアを開ける前に一度確認した方がいいと思うんだよ。僕は」
インデックス「確認？あぁ宅配のおにーさんだったら、インカン持って来た方がいいもんね！」
ステイル「そういう意味でもないんだが……まぁいいか」
インデックス「ごめんね。とうまはいま学校なのかも」
ステイル「知っているね。僕も調べたわけじゃないしもしかしたら面白可笑しいトラブルに巻き込まれてるかも知れないから、学校には居ないかもだけど」
ステイル「まぁあのバカに用事じゃなく、君に頼み、というかまぁ……なんだろうね？」
インデックス「聞かれても困るんだよ。まぁ、お茶でも飲んでくといいかも」
ステイル「……ドアは開けて置くよ。神父としての嗜みだからね」
――
ステイル「――で、まぁ君が以前イギリスで暮らしていたときのことは憶えているかな？」
インデックス「憶えているのは完全に憶えているけど、忘れちゃったのは完全に忘れちゃってるんだよ」
ステイル「そういう意味でもなく……あー、仲の良かったシスターたちは？」
インデックス「憶えてないね。あ、でもイギリスでご飯くれた親切な子達が居た！」
ステイル「そうそう、その彼女たちだが一昨日の夜、僕の部屋へ直談判に押し寄せやがったんだ」
インデックス「わたし達のろうどうかんきょーを改善しろー？」
ステイル「少し近い。まぁ見てもらえば分かるが」 ﾄﾞｻｯ
インデックス「お、おぉ……！？サンタさんが持ってそうな袋とプレゼントなんだよ……っ！」
ステイル「まぁ、こういうこと。よかったね、君は今も彼女らの友人だそうだよ」
インデックス「えーと……？」
ステイル「直訳すれば『私たちのプレゼントを持っていかないとロン毛全部春雨に変えんぞ』と脅迫された」
インデックス「なんで？なんで春雨？」
ステイル「ので、僕の頭皮のためにも君がよければもらってやってほしい。勿論無理強いするつもりはな――」
インデックス「ありがとうっ！本当に嬉しいんだよっ！」
ステイル「……いいさ。好きでやってることだから」
インデックス「でも、私お返しできないし、誰がどんな人なのかも……」
ステイル「まぁそこら辺は気にしなくていいんじゃないかな。向こうも君を困らせたくはないだろうからね」
インデックス「その優しさの100分の1ぐらいとうまにあげてほしいんだけど」
ステイル「仕事だからね。私情を挟む余地なんてないし、もし挟んでたら後ろから燃やしてやる」
インデックス「本当に仲が悪いんだね！……あー、じゃあじゃあ、クリスマスカードなんてどうかな？」
ステイル「そうだね。そのぐらいだったら、問題はないかな」
インデックス「プレゼントの感想なんかも書いていいんだよね？」
ステイル「喜ぶと思うよ」
インデックス「それじゃチラシの裏に」
ステイル「待ってくれ。そこは、ほら、僕が出すから、というか買ってくるからメッセージカード使おうか。雰囲気的に」
インデックス「え、悪いんだよ。わたしのなのに」
ステイル「それじゃ君の保護者へのプレゼントみたいなものだと思えば」
インデックス「それはそれでとうまに悪いような気が……」
ステイル「じゃちょっと待ってて。100円ショップかコンビニで仕入れてくる」
インデックス「はいー。いってらっしゃい、なんだよ」
ステイル「……あぁ」 ｶﾞﾁｬｯ
インデックス「こんなに一杯いいのかな……あ、これスニッカー○だ」 ｶﾞｻｯ
インデックス「こっちは……ビーズのブレスレット。魔術的な記号はなし、と」
インデックス「えっと、これ重いんだよ。何が入って――」 ｺﾞﾄｯ
インデックス「ガラスのボールの中に、サンタさんの人形とトナカイと雪……？」
インデックス「あ、これ振ると中の雪が飛び散って綺麗なんだよ……！」
ステイル「――ただいま」 ｶﾞﾁｬｯ
インデックス「早っ！？まるで事前に準備したかのような早さなのかも！？」
ステイル「カード使いだからね。っておや、それは」
インデックス「このオモチャ、綺麗なんだよ」
ステイル「あぁ……それはね――」
――北欧某国 図書館
司書「おや教授。今日もお早いですね」
教授？「当然。窓際の日当たりのよい席は冬場に競争が激化するもの」
教授？「自然。早い者勝ちというのであればこの職もなし記憶もなき男に勝てる者はいない」
司書「働けよ。あなた多分インテリなんでしょうから」
教授？「憮然。失われた記憶を取り戻すため、思索の海で溺れる私へ対しなんたる暴言か」
司書「手に持ってんのナルニ○じゃないですか。そこにあなた出てるんでしたら魔法使いってことになりません？」
教授？「杳然。本を、書いていたような感覚がある」
司書「そうなんですか！？進展してるじゃないですか！」
教授？「徒然。薄い本なら三日、厚くても一ヶ月あれば書き上げていた」
司書「薄い本だろそれ。同人作家か」
教授？「的然……！？私はギーグだった訳か！」
司書「食べていけるんですか、それ？」
学生A「すいませーん。昔の文化について調べるんですが、どんな本を調べればいいですか？」
司書「あ、はい。ちょっと待っててくださいね、今データベースに――」
教授？「闖然。調べている年代を述べよ」
学生A「え、あぁはい。12世紀ぐらいのここら辺のレポートだって」
教授？「当然。ならばカンタベリー物語だ。イギリスの散文集だがスカンジナビアから強い影響を受けている」
教授？「自然。オーラヴ･トリュッグヴァソン王のサガも忘れてはならない。十字教化以前の文化と対比させるといいレポートが書けるだろう」
学生A「ありがとうごさいますっ！」
司書「いやあのですねスミスさん？私の仕事をとるなと何度言ったら」
教授？「寂然。人の厚意を受け入れられない者は悲しきかな、と」
司書「厚意とかそういうんじゃなくて」
学生B「すいませーん。ちょっとこの絵見て欲しいんですが」
司書「はいはい、今行きますよっと……絵？タブレットを拝見しますね、白黒の」
学生B「はい。実家で祖父が他界したんですが、その遺産にこれがありまして」
司書「そうですか。えーと……何か手かがりみたいなのはありませんか？」
学生B「はい、ここにサインみたいなのがあるんですが……」
司書「『ヒエロニムス＝ボス』……？ボスじゃないですか！『悦楽の園』の！」
学生B「ですよねっ！？そう見えますよね！」
司書「あ、でもそれが分かってたのにここへ来たってことは……？」
学生B「はい。ボスの作品一覧には載っていませんでした」
司書「ということはつまり――幻のボスの一品……！？お宝じゃないですか！」
学生B「かもしれま――」
教授？「冷然。盛り上がっているところに水を差すが、それはブリューゲルの版画だ」
学生B「せ、ん？」
教授？「歴然。ここを見たまえ、『ヒエロニムス＝ボス”草案”』と書かれているだろう」
司書「草案、ですか？」
教授？「当然。ボスの人気にあやかろうと出版社が勝手に付け加えたものだ。ボスとは縁も縁もない」
学生B「それじゃ価値はない、ですよね……はぁ」
教授？「依然。ないわけがない。フランドルの画家一家の作品だ。版画とはいえ、小さな記念美術館を建てて収めてもおかしくはない」
司書「そんなにですかっ！？」
教授？「当然。間違っても二束三文で売ってはいかん。人類の文化史へ対する冒涜になると知りたまえ」
学生B「ぼ、僕！おばあちゃんに連絡してきてます！」 ﾀﾞｯ
司書「あ、走らないで！」
男「……」 ｽｯ
教授？「ふむ――」
司書「教授もどこへ？」
教授？「必然。花に集る虫を摘むに」
司書「いえ、そこは『花を摘みに』であってますからね」
――通路
男「……なんだ、なんか用かあんた」
教授？「――了然。人をつけ回すのはよい趣味ではないと忠告を」
男「何言ってんのかが分からない。あんたも人の家に口出してたら、痛い目見るぜ？」
教授？「当然。至言であるが、まぁそうも言っていられない理由がある」
教授？「自然。懐に銃を忍ばせて、見る目が痛いだけならば止めなかったのだがな」
男「あ？」
ﾌﾟｽｯ
男「痛っ！？針――鏃か！？」
教授？「悠然。針はもう使えない、使える資格を失ってしまった――が」
教授？「恬然――私の術式が『黄金練成』だけであるはずもなし」
男「か、ら、だが、固まっ……」
教授？「必然。黄金が好きなのだろう？なら”そうなる”といい」
男「――」
教授？「闖然。もし君に正義があれば少しだけの時間で許そう。しかしそうでなければ地下で眠るがいい」
教授？「――一度は間違えた。だが、もう二度と間違ってなどやるものか」
――
司書「あ、教授！どこいってたんですか！」
教授？「騒然。何があった。騒がしいのは好きではない」
司書「いや大変だったんですよ！なんか指名手配中の犯人が目撃されたとかで！」
教授？「的然。業は業だ、深淵を覗き込む者は、と」
司書「いつもに増して何言ってるのか分かんないですけど……あ、これ封筒が届いていました」
教授？「惨然。私にか？」
司書「住所がここで名前がジョン＝スミスさんは一人しかいないんですよ。どうぞ」
教授？「蹴然……あの男であればこんな回りくどい方法は取らないか」 ｽﾊﾟｯ
教授？「……」
司書「教授？」
――【メリークリスマスなんだよ！】――
教授？「――――――ふっ」
司書「教授が……笑った！？」
教授？「憮然。私が笑わないとでも？」
司書「いつも難しい顔してるのがデフォかと思ってました」
教授？「必然……あぁいや、必然だ、必然で合っている」
職員「――あのー、すいません。いま下に東洋人の子供が来てまして」
司書「あ、はい。なんでしょうか」
職員「なんでも昔の教会の建築様式が知りたいとかで、」
司書「分かりました。すぐに伺います。教授も？」
教授？「当然。傍観を決め込むつもりだったのだが、そうもいかなくなった。そうもいっていられなくなった」
教授？「憮然。失敗したら『ざまぁみろ』と言ってやるのも悪くはないのだが」
（※「インデックスが欲しかったもの」を当初「ラーメン次郎のお食事券(100枚綴り)にしようかと思いましたが、あんまりなので自重しました。ご応募ありがとうございました）
――『必要悪の教会』 ロンドン女子寮 ルチアの私室（※アンジェレネ命名・「お説教部屋」）
ルチア「――はい、シスター・アガター。あなたがどうしてここへ呼ばれたのか、分かりますね？」
アガター「それは勿論ですシスター・ルチア。私を見くびらないでいただきたい」
ルチア「そうですか。それはよかった」
アガター「呼ばれたのは館内放送でした」
ルチア「違いますシスター・アガター。手段を問うているのではなく、理由を尋ねているのです」
アガター「理由、ですか？シスター・ルチアが私に何か用事がおありになったのでは？」
ルチア「オーケー、シスター・アガター。順番に行きましょう、誰かがよく使うフレーズ『順番にツッコむ』ようにしましょう」
アガター「恐縮です」
ルチア「まず、というか最大の原因なのですが、あなたが着ているそのお洋服は？」
アガター「サンタですね。時期的にはベストだと思います」
ルチア「そうですね。生足が出つつ肩を露出し胸元が強調されていなければサンタの格好ですよね」
アガター「恐縮です」
ルチア「……それで？なんでこの寮内で着ようと思ったのですか？」
アガター「これはイギリス清教のシスターから頂いたもので」
ルチア「それは初耳です」
アガター「『ちょっと流行りじゃないけどよかったら着るといいなりよ！』と」
ルチア「変質者ですね。ちょっとコロス○入った」
アガター「それで着ました」
ルチア「変質者ですよね？まず疑いなさい、様々なものを！」
アガター「お言葉ですが、シスター・ルチア。あなたの修道服もミニスカ&ガーターとイロモノ極まりないではないですか」
ルチア「くっ！こんなところだけ正論を！」
アガター「それに相手の方はどピンクの修道服でしたし、そうとう高位の方だとお見受けします」
ルチア「……えぇ本当に。というかあなた、私たちが『女王艦隊』乗り込んだとき、シスター・アンジェレネが倒れたときにも空気読まず殴りかかってきましたよね？」
アガター「自分、不器用ですから」
ルチア「最近分かったのですが、あなたは真顔でボケ倒すから非常にリアクションがとりづらいです。そして拾いにくい」
アガター「不調法ですから」
ルチア「というかそもそもの話として、私のお説教が全く堪えていませんよね？」
アガター「いいえ、シスター・ルチア。あなたの大切な時間を私如きに裂いてしまい、心苦しい思いで一杯です」
ルチア「なら、どうして」
アガター「しかし同時に。ややMの私には年上女性から叱られると何か心の奥が温かくなる、と」
ルチア「聞かなかったことにします。というか私は何も見ませんでしたし、あなたを呼びもしません」
アガター「今のはボケただけですが」
ルチア「分かりました。全く説教をしても意味がないということも教訓に加えたいと思います」
アガター「不調法ですから」
ルチア「取り敢えずこの言葉出しておけばなんだって誤魔化せると思っていませんか？そこまで甘くはないですからね？」
ルチア「オーケー、シスター・アガター。あなたが実はアホの子だと言うのがわかっただけで、今年一番の収穫だと思います」
アガター「それはようございましたね」
（※「アガター＝真面目そうに見えるアホの子」説を広げたいと思います。短いですがご応募ありがとうございました）