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Clock(trial)

MMRじゃないなにか 「伝説の古都にバレンタインを求めて!」


――世界の果て

……ゴォオォォォォォォォォォ……

老人「ふぉっほっほっほ。今日もよう吹雪くのぉ。温暖化とか言っておきながら冬はやっぱりこうじゃないといかん」

老人「ほれ、見てみぃタングリスニや。一晩にして前の山があんなに高く積もっとる」

トナカイ「モ」

……ォォンッ……ズゥンッ……

老人「地震い……?い、いやここ数百年も地震いなど起きてはおらん!どうしたもんじゃ」

老人「場合によっては少々季節外れのソリと洒落込まねばならぬが、まぁそれもよかろうか」

……グォオォッ……ズゥンッ……

老人「しかし音の割に家は動いとらんのぉ。前の山はあれだけ激しく揺れとるのに」

……グォンッ!……ズウゥンッ!……

老人「い、いやこれは!揺れているのは大地ではない!動いているのは――」

老人「――あの”山”じゃ……!?」

巨人『オォォォォォォォォォ…………!』

老人「……ヨートゥン、霜の巨人、混沌の原初から生まれしものよ!今生になにを血迷うて出て来たか!」

老人「『神々の黄昏』はとうに過ぎたのじゃぞ!?今は最早我らの時代ではないの言うのに!」

巨人『オ、オォおおおおおおおおおおおおおおォォォォォォォォ…………ッ!!!』

老人「……聞く耳持たぬか、しかも生命の輝きすら感じられぬ。哀れなヨートゥンよ、ニーズホグに食われ損のぉたか」

老人「聞けタングリスニ、お前はヨシュアを呼んで参れ。この老体にヨートゥンの調伏はちと手に余る技じゃて」

トナカイ「モー……」

老人「心配するな。あの坊主は生きとる――最悪、”狂乱凶報(ワルイド・ハント)”を起こしてでも止めてやるわい」

老人「……ま、そうなったら彼の魔神の顕現が近づくやもしれんが、右手の仕事を左手が奪う訳にも行くまい」

老人「さ、行くがよい!疾く速く駆けよトナカイ!」

???「――待ちなさいっ!」

老人「誰じゃ――んなっ!?巨人の掌に少年が乗っておる!?」

御坂(???)「最近よく間違われるけども少女だコノヤロー」

老人「……いや、あのじゃね?上から下まで完全防寒着着てて顔もよく分からんのにわかるっちゅーのは、難易度が高いと思うんじゃよ……」

御坂「定番ネタにされそうで怖いのよ!貧乳ネタはもう定着しちゃったし、この上まだ属性が増える予感が!」

老人「もうなんか性別云々通り越して、進撃するナントカの方に目が釘付けなんじゃが」

御坂「だってしょうがないじゃない!路線バスもタクシーもラッセル車も走ってないんだから!」

老人「秘境じゃしね。てかワシしか住んどらんし」

御坂「レンタルで除雪車借りようとしたら運転手が誰も行きたがらないし!カルチャーギャップを感じたわ!」

老人「秘境じゃしね。そりゃどう見ても自殺に付き合うアホはおらんて」

御坂「だからこう、『自前の巨人で行っとく?』みたいな」

老人「それ確実に写メされてSNSで拡散されとるよね?『幻の雪原に大巨人を見た!』的な」

老人「てかワシもうここに住んでそこそこ経つんじゃけど、観光客が押し寄せて仕事どころじゃなくなるわい……」

御坂「大丈夫!あたしに場所教えてくれた人も『地元の人間は見て見ぬフリをしている』って言ってたもの!」

老人「それワシに言う必要なくない?そこぶっちゃけちゃったら台無しじゃよね?気遣いを全部台無しにしとるよね?」

老人「確かに麓の町へ行くとき、タングリスニに引かせたソリはやたら注目浴びるなー、とは思っておったのじゃけど」

御坂「隠す気ゼロよね?」

老人「クルマが流行ったのなんぞここ半世紀の話じゃよ。それ以前のクラシックスタイルを愛する老人だと思われてるとばかり」

御坂「うん、そもそも老人は登山家が逃げ出すような秘境に住まないから。しかも整地されてない道をトナカイで疾走したりとかないから」

老人「今にして思えばクリーニングに勝負服出すときも、なぜかデカい靴下っぽい袋に入れて返ってきたような……?」

御坂「気の遣い方が雑よね!リスペクトしたかったんだろうけど、もっとこう、あると思うの!」

御坂「あとそのユニフォーム自宅で洗濯しなさいよ!もう自分からバラしに行ってるのと同じじゃない!」

老人「そ、そうかもしれないが、ほら、普通の人は『辺鄙なところに数百年住んでいるトナカイと会話するサンタマニアの年寄り』としか思わんじゃろ?」

御坂「”数百年”の下りで気づくべきと思う。トナカイと会話する辺りでキワモノだろうけど」

老人「パブでキープしてあるワシのブランデーに、小さなサンタ帽が被せてあったのももしや……!?」

御坂「町の人も気遣いヘタクソか!?あからさまにキチンレースしてるじゃない!どっちもどっちね!」

老人「盲点じゃった……町の人間がワシを『グランパ・ニコル』と呼ぶのはてっきり年寄りだからだと……」

御坂「聖ニコラウス――いやごめんなんでもない」

老人「でもじゃな。別に麓の人間はクリスマスが近くなってもねだられたりはしないぞぃ?」

御坂「そこは良心的なのね」

老人「だもんでワシ張り切ってプレゼントと石炭の両方を靴下へ入れてくるんじゃよ!」
(※一部の伝承では良い子にはプレゼント、悪い子には石炭を送ります)

御坂「嫌がらせかっ!?プレゼント真っ黒になる!靴下がゴワッゴワになるじゃない!」

御坂「てかそんな話はいいのよ!あなたモノホンだろうが可哀想な老人だろうが、力さえあればどうだっていいわ!」

老人「だったら帰ってくれんかの。ワシただの老人じゃし」

御坂「さっきソリ付きのトナカイが高速飛行してったように見えたんだけど?」

老人「UMAじゃね。フライングヒューマンが飛ぶ自体に珍しくもないじゃろ」

御坂「UMAなんて居る訳ないでしょうが!この科学万能の時代に!」

老人「取り敢えず巨人から降りてきたらどうじゃろうか?説得力皆無な上に、寒いだろうし」

御坂「……そうね。超伝導で電気が流れやすいってついついテンション上がっちゃったけど、やっぱ外は寒いわよね!」

老人「……なぁ、お前さん本当に人間かの?ハリ・ハラのアヴァターラとかそうゆうんじゃ?」

御坂「人間だ失礼な!」



――老人の家

老人「外はさぞ寒かったろう。今温かい茶でも炒れようぞぃ」

御坂「あ、いや学園都市製の耐寒コート着てたからそんなには」

老人「……」

御坂「――って思ってたけど勘違いだったわ!死にそうなぐらい外寒かったしコーヒーでも飲みたい気分よねっ!」

老人「今日はの、珍しいタラの木皮茶が手に入ったぞぃ」

御坂「へー、こっちの伝統なの?」

老人「いやDas○島でリーダーが作っとった」

御坂「国際的ね!そしてそれ多分口に入れちゃダメなヤツじゃないかなっ!」

老人の「口の中から胃の中までコーティングされそうな渋みがあるのぉ」

御坂「漆じゃない」

老人「さて、よくぞ来なすったと歓迎したいんじゃが、手放しで喜べるほども若くもないぞい」

老人「だがまぁ、『尋ね人は持てなせ、去りゆく人はてを振れ』の言葉にもあるように決して情がない訳ではないのじゃよ」

御坂「あの……何の話?」

老人「しかしサンタの道は一日にして非ず!厳しい修行と修練、心技体共に優れたものだけがサンタとしての名を継ぐことになる!」

御坂「違います。サンタになりに来たんじゃないです」

老人「鬼に逢ってはファービ○を渡し、仏に逢ぉてはAib○を渡す。この心根こそが寛容じゃぞ!」

御坂「通り魔並に見境ないな!?てゆうかプレゼントに差をつけるな!仏の方へ良い物送ってる!」

老人「そこはそれ、地獄で折檻するような悪い子には然るべき報いをじゃな」

御坂「世界観が分からない。地獄とサンタが同居してんの?鬼ってあれ仕事でやってんじゃないの?」

老人「グローバルスタンダードだもの。そりゃ余所の国のプレゼントも知る必要があるわい」

御坂「……あぁはい、お仕事お疲れ様です――じゃ、ない!」

御坂「あたしは別にサンタ志望で来たんじゃないのよ!ま、まぁ憧れがなかったとは言わないけど!」

老人「お、おぉ……!ナマのツンデーレ、ツンデーレ様が……!」

御坂「ねぇおじいちゃん。どっかの島国の文化に触れて逆に汚染されてないかな?時々自分の生き様を振り返った方がいいわよ?」

老人「サンタになりたい子は結構いるんじゃのに」

御坂「分かる分かる。あたしもゲコ太グッズを横領したいわよね」

老人「……たまーにそう願う子もいるんじゃがね。ダイレクトに下衆い欲望言われたのは初めてじゃな」

御坂「あのね、サンタさんに憧れ気持ちがない訳じゃないのよ。全世界の子供の憧れって意味ではゲコ太と同格ぐらいだしさ?」

老人「同格?流行らそうと思ってるのに中々流行らないカエルと同格扱いなの?ワシ?」

御坂「でも思い留まったのよ!全世界の良い子にゲコ太を配って回るなんて!そんな酷いことを!」

老人「リスト見たら需要あるの日本だけじゃったね。しかも全員が全員大きなお友達ばっかりだったら、『未配』のままのはずじゃったよ」

御坂「フェブリは!小さな頃から仕込んでおけば数年後には立派なゲコラーに!」

老人「いやぁ普通にミコっちゃん達と一緒に撮った記念写真入れるフレームじゃったよ?」

御坂「……くっ!純粋な子供ほど欲がないものよね!あとミコっちゃん言うな」

老人「総じて親からの愛が足りている子にはワシ行く必要がないからのぅ。まだまだ捨てたもんではないわぃ」

御坂「まぁそんな話はどうだっていいのよサンタさん!このままトナカイが宝具の英霊入りするのと、あたしの願いを叶えるか選びなさい!」

老人「乱暴にもほどがないかの。ワシ一応そこそこ名前の通った聖人兼魔術師兼なんじゃが……」

御坂「――いい?『メリークリスマス』すら満足に言えなくなった昨今、あなたの存在価値なんて薄れていっているのよ!」

老人「ミコっちゃんはアレかな?ワシにケンカをプレゼントしに来てくれたんかの?だったら受け取るぞぃ?」

御坂「もうあと何十年かしたら、赤い服を着たお年寄りは『おっサンタか長寿のお祝いかー、風物詩だなー』って言われるんだからね!」

老人「もうそれ日本にしかワシの居場所ないじゃろ。なんかこう、おめでたい扱いされるのはいやではないんじゃが」

御坂「だからここで一つ!あたしにとっておきのミラクルを披露することにより!存在感をアピールする方向で!」

老人「特定の子に贔屓をしないをポリシーに、二回ぐらいミレニアムを乗り切っておるんじゃけど……」

老人「まぁ……言うだけ言ってみるがええよ。ミコっちゃんが良い子だったら叶うかもしれんしの」

御坂「ありがとうっサンダさんっ!実はね、あたし――」

老人「うむ」

御坂「――『ウエディングケーキ』が欲しいのよ……ッ!!!」

老人「買えばいいんじゃよ。つーか自前で揃えろや」

老人「サンタの能力過剰評価しすぎじゃよね?朝起きてベッドにつり下げてある靴下見たら、ケーキタワーが鎮座ましましてたらホラーじゃろ?」

御坂「そこをなんとかっ!無理を通してでも!」

老人「ウエディングケーキ……あぁ、もしかしてミコっちゃんのお姉さんかお友達の式があるのに用意できなくて、みたいな話かの?」

御坂「あ、あたし用だけど悪いっ!?」

老人「まるで悪くないって思ってるような言い方じゃね……更に聞くけど、なんで?」

御坂「ジンクス的な話でね。それに協力して欲しいの」

老人「ふむ」

御坂「結婚式でウエディングケーキにナイフを入れた二人は結婚できる、って……!」

老人「それで籍入れなかったら、片方もしくは両方が結構詐欺師じゃしね」

御坂「だからお願い!ウエディングケーキさえあれば結婚できるの!」

老人「いやじゃからその、卵が先か鶏が先かの議論のような話をされても……」

老人「えーっと……要はアレじゃろ?ミコっちゃんは誰か好きな子がいて、両思いになりたいっちゅー話じゃろ?」

御坂「ま、まぁ主旨はそんな感じよねっ!」

老人「じゃったらワシじゃなく適任おるじゃろ。ま、親戚みたいなもんじゃが」

御坂「サンタさんの、親戚?」

老人「時期的にアレじゃ、日本じゃとチョコレートを送る習慣があるんじゃよな?」

御坂「バレンタイン……!」

老人「そうそう。あの子もワシと無関係っちゅー訳じゃなく、元々はクリスマスに家々を訪れたんじゃ」
(※処刑されたのが2月14日)

老人「本国じゃと違うんじゃけど、郷に入っては、で、やっぱり日本式に倣った方がいいと思う――」

御坂「ありがとうおじいちゃん!伊達に商業主義のシンボルになってない訳よね!」

老人「ごめん。それホント本格的に止めてほしんじゃけど……」

御坂「分かったわ!あたしは今からちょっくらローマ行って『聖バレンティヌスが配ったチョコ!』を探してくればいいのねっ!」

老人「終末を越えてカオスが顕現しとる。カカオがヨーロッパに入ったのは大航海時代じゃね」

御坂「ありがとうっお礼はまたいつか!」 バタンッ!!!

老人「ミコっちゃんの子供がクリスマスカードに『いつぞやは母が大変失礼しました』って書いてもらえれば、まぁ……帰ってもうたか。気の早い」

老人「こともないの。もうすぐバレンタインじゃし」

???「――おいっすーじーちゃん!まだ生きてるかー?」 バタンッ

老人「おぉ、久しぶりじゃのヨシュアよ!今珍しい客人が帰った所じゃ!」

???「タングリスニがすっ飛んで来たんで、またなんかケンカかよって戻ってきてみれば……元気じゃんね」

老人「ワシ、一応お前の師匠なんじゃけど……」

???「それよっか聞いてくれよじーちゃん!すっげー『敵』見つけちまったんだぜ!」

老人「敵ぃ……?お前また下らん連中と一緒におるのかい。ダメな人間と組んでもダメになるだけだぞぃ」

???「あぁいやアイツらとは縁切ったっつーの。良い事なんて一個もなかった」

老人「というかヨシュアよ。お前さんがもってる霊装にしても、あれは元々子供たちへプレゼントを配るためであり」

???「あーウルサイウルサイ反省してまーす。つーか名前変えたって俺言っただろ、ヨシュアじゃなくって――」

トール(???)「――”トール”ってさ」


−終−



※前回は納期に間に合わなかったのに今年も懲りずにバレンタイン企画。読者様応募型SSです

1.バレンタインの日に、”誰”が
2.”誰の家”へ
3.”何(プレゼント)”を持って行くのか

を下↓の掲示板へ明記すると良い事があるかも知れません。特に12はお忘れなく

例)――
【レッサーさんが、チで始まってコで終わるものを、上条さんちへ持っていってハニートラップ】
【浜面(パンイチ&ダブルレイピア装備)さんが、勝負服を、間違えて麦野さんとこ持参して一線を越える(猟奇的な意味で)】

キャラクターはとある魔術の禁書目録(含む新約)・とある科学の超電磁砲・とある科学の一方通行・とある偶像の一方通行さま・アストラルバディのみとさせて頂きます。結構種類あるな!一年で倍だよ!来年は2桁行くな!

ちなみにどなた様も居なかったら作者が自作自演でやりますし、またあまりに多いようでしたら先着順となりますので予めご了承ください
〆切りは1月中(ぐらい)となります。ではよろしくお願いします








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