『善人達の悪巧み』
――どこか
マタイ「――やぁ、久しぶり……ではないが、マーリン卿」
マーリン「まいど、おおきに。来てくれて感謝するわ」
レディリー「何か、全体的に下半身が膨れているような気がするのだけど?」
マーリン「……あぁなぁ、これはその昨日フォアグラの刑をやね」
マタイ「あなたの苦労は理解したが、それよりも話を進めて貰えないだろうか。”あの女”に見つかる前に」
マーリン「あぁそないにビクビクせぇへんでも大丈夫やよ?今頃上条はんらをかぶりつきで覗いとぉわ」
レディリー「私達の内緒話が見つかったら、もうとっくに解散させられているわよね」
マタイ「だとしても佳くはないと思うが……それで?我々を集めた理由は?」
マーリン「うんまぁ、分かっとると思うけど、この世界って拡散性世界の分岐の一つやよね?」
マタイ「そう、だな。どこぞの誰かが造り出した偽りの――と、までは言わないが、都合の良い世界だ」
レディリー「ある意味優しい世界じゃなくて?独りよがりの管理者に見つめられた、とてもとても無駄のない世界」
マタイ「そんなものは紙芝居に過ぎん。語り手の気分次第で登場人物が変わる、それのどこが優しいのかね」
レディリー「ある程度は決められたルートを辿って、それなりの落とし所へ持って行かれるのでしょう?ならそれを良しとする人も居るではなくて?」
マーリン「まーまー、そないにヤイヤイ言わんでも。この世界の解釈をどぉこぉするんは、まぁ勝手っちゅー事で一つ……っていうか、そないな事言ってる場合ちゃうわ」
マーリン「それよりも――他の魔神の介入が始まっとぉ」
レディリー「早かった、と言うべきか、それとも遅かったわよ、と言ったら良いのかしら」
マーリン「最初は様子見やったみたいやで?いやワイ魔神ちゃうから分からへんけど、魔神ちゃうから!」
マタイ「何故二回言った?」
マーリン「基本、魔神連中は飽き飽きとして、しかも全知全能に限りなく近いから暇やねん」
マーリン「なんで『あ、なんか新しく世界造って独占しやったボケがおる!それなに!わいらも交ぜてぇな!』みたいな?」
マタイ「あぁあの、『存在しなかった魔術結社』群かね。ウェイトリィ兄弟の」
マーリン「あいつはなぁ……まぁ、根本的な所では人類を愛してんねん。その、愛玩動物的な意味では」
マーリン「やから、こう、一応は暇潰し兼善意で首突っ込んできた、まぁまぁ、アレやよね」
マタイ「――一つ、伺いたい。私のような若輩者ではなく、長き命を得ているものとしてお二人に」
レディリー「なにかしら、ボ・ウ・ヤ?」
マタイ「先だって私は、そしてマーリン卿は『そうそう神になった試しはない』と言ったな?」
マタイ「もし、人間の持ちうる手段で昇華――神になってしまえば、その無尽蔵な力を行使され、この世界はとうに滅びてしまうだろうから」
マタイ「……だが、それはやはり――」
マーリン「まぁ嘘――や、ないけども、なぁ?」
レディリー「私が知ってる限りだと……中世の錬金術師の一人、『鳥兜(ルパーリヤ)』のピウス総監が神になった筈、よ?」
マーリン「ワイの知り合いにもアガートラームっちゅー、英雄拗らせとぉて魔神になったヤツが居るわ。居んねんけども……」
マーリン「魔神は一柱でないよって好き勝手しよれば、当然制裁も受けぇの」
マーリン「むしろなりたての魔神が厄介事起こすんを楽しみにしとぉ節すらあるわいな」
マタイ「魔神は一柱ではなく、お互いがお互いを牽制し合っているが故に身動きが取れず、か」
レディリー「あと大切なのは『不老不死』もあるかしらね」
マタイ「……限りない時を生きれば、全てに無関心になってしまうと?」
レディリー「それもあるし、そうでもないし。そうね――あなたが殺したくて殺したくてたまらない相手が居るわよね」
マタイ「物騒な事を言うものではない。私は”善人”なのだから」
レディリー「じゃあその逆に大事で大事で忘れられない思い人が居たとして――も、精々生きて80年だわ」
レディリー「不快に思っていても、大切に思っていても、たったそれだけの時間で失われてしまう相手に、それほど執着出来るかしら?」
レディリー「人と虫、流れている時の長さが違うのだから、相手にしなく――出来なくなってしまうのよ、いずれね」
マタイ「納得、は出来かねるが、理解はした。その上でマーリン卿へ訊ねたい」
マタイ「あなたのような魔神か、それに近いものであるにも関わらず、世界へ対して局地的ながらも介入を続けてきた」
マタイ「一介の魔術師のような枠では到底収まりきれないような、そんな人間が時折姿を見せる。それはいい」
マタイ「だが、それは一体どうして可能なのだ?魔神であるならば、この世界への介入は出来ないのではなかったのか?」
マーリン「そうやね、それはなー――ワイ魔神ちゃうよ?ちゃうちゃうちゃうで?」
マタイ「うん?」
レディリー「KANSAIジョークよ。つまり、否定形の『ちゃう』と犬の種類である『chow chow』をかけているのね」
マーリン「人のボケ解説せぇへんてぇよ!?このボケ殺しが!」
レディリー「こんなんでも『魔神』なのよね」
マーリン「……いやだから、違うっていうて……まぁエエわ。それよりか多分、推測の話になるけど分かっとるんちゃうかな」
マーリン「アルビオン好きな魔神が居って、ヤポンが好きな魔神も居る。これ戦争になって、魔神同士が介入しよったら、世界滅びよんな」
マーリン「やからー……あー、あれちゃうかな?なんや制約付きで力行使してるんちゃうかな?いや、想像やけどね?」
マタイ「理解した。あなたの愛情は少々深すぎるのではないかと思うが……と、すればあの魔神はどうだ?」
レディリー「『50%の呪い』、よね」
マタイ「彼女もまた恐るべき魔神の一柱、よってこの世界への介入は禁じられて――」
マタイ「……その、『枷』か?」
マーリン「や、ないかと思っとぉわ。魔神のままで力を行使出来る権利を持つ代わりに、50%の呪いを貰ろぉとる」
マーリン「なんで『魔神以外の魔神に近しい何か』へ零落する事によって、その制約からは逃れられたんよ」
マタイ「……それにどんな意味があるのだ?」
マーリン「どんなって、何が?」
マタイ「確かに魔神――に、限りなく近しい――力を行使したとしよう。それによって世界を手中に収めたとする」
マタイ「だがしかし――それが魔神であるならば、それに近い上位存在の介入を許してしまう。ここまでは正しいかな?」
マーリン「合っとぉ」
マタイ「なら何故あの女は世界を造った?」
マタイ「支配が永遠に続くのであれば、それもまた理解は出来るが、時間制限付きの拡散していく世界で何をしようとしているのだ?」
レディリー「ボウヤを補足すれば、『魔神』から零落した時点で、それはもう同格の魔神よりも戦力的には劣るわ」
レディリー「緩慢な自殺と見て取れなくもないけれど……どうなのかしらね?」
マーリン「や、ワイに聞かれても困るわ。オティヌスちゃうし」
レディリー「あの子達も言っていたけれど、『大切な所では全然役に立たない』……」
マーリン「しゃーないでしょー!?やってこの世界は人間が作るもんであって、ワイらがホイホイ介入したらアカンもん!」
マタイ「その割には優秀な徒弟を育んでいるようだが?」
マーリン「やったら言わせて貰いますけどぉ!アンタらの持っとぉ霊装チート過ぎちゃいますのん、あ?」
マーリン「ていうか初代も魔神化して天に上がったっちゅー噂があるぐらい、アレな魔術師の話やちゃうかったんかい、あぁ?」
レディリー「あ、それ私も思ってたわ。奇跡奇跡と強調する割には、12使徒のエピソードって魔術そのものなのよね」
マタイ「それ以上言ったら物理的に戦争になるが、どうだね?」
マーリン「うん、やからね?十字教って取り敢えず、武器を構える所から始めるの良くないと思わへんかな?思わへんよなぁ、やっぱり」
マタイ「ま、ジョークはともかくとしても疑問はあらかた氷解した。あの女の考えを除いては、だが」
レディリー「理解出来なかった?もしかしたら、案外それが望みかも知れないわよ」
マタイ「かも知れん。が、それはきっと私の役割ではないであろうな――では、これで失礼するよ」
レディリー「私もそろそろ行かなきゃ、あの子達が暴れ出すかも」
マーリン「二人ともおおきに。そしてまたいつか……そうやね、あの子ぉらに力が必要になっとぉやったら貸してくれへんかな?」
マタイ「罪悪を葬るのに是非も無し、そしてまた”この世界”での借りは返したが、他は未だ成されず」
マーリン「エラい難儀な性格しとぉね」
マタイ「約束はした。それだけの話」
レディリー「私も死なれたら困るから手を貸すけど、あなたは?」
マーリン「ワイなぁ……うーん、これから出来る世界には存在せぇへんと思うわ。しても”これ”とは別個体になっとぉかもしれへん」
レディリー「彼女が他の存在からの介入を遠ざければ、あなたまで弾かれてしまうのね?効果があるかは別にして」
マーリン「やんね。ちゅーてもレッサーらは残りよぉから心配はしてへんよ……そんなには、うん」
マタイ「他に気づいてるいるのはどの程度なのかね?」
マーリン「禁書目録は確定。他にもチラホラと居るよぉで、それぞれ別個になんかしたり、なんかしなかったりしとぉみたいやね」
レディリー「していないの?」
マーリン「ただの女学生が、『一周目の記憶』持っててみぃよ?混乱通り越して正気を疑うのが普通やね」
マーリン「やから大概は夢やと思い込んだりしよるんやけど……そうすると『好感度の高いままでニューゲーム』状態やんね」
マタイ「まぁそれもまた佳いであろう。自業自得である故に」
レディリー「人助けしたんだから、責められるのも酷だと思うけれど」
マーリン「……ま、そん時には頼んますわ」
マタイ「ではまたいつか、願わくばあの魔神との戦いの地にて再開せん事を祈って」
レディリー「あなたも息災で。まだ若いのだから、あんまり無理しちゃ駄目よ?」
マタイ「闘いの中で朽ち果てても、それもまた佳し」
−終わり−
マタイ「――やぁ、久しぶり……ではないが、マーリン卿」
マーリン「まいど、おおきに。来てくれて感謝するわ」
レディリー「何か、全体的に下半身が膨れているような気がするのだけど?」
マーリン「……あぁなぁ、これはその昨日フォアグラの刑をやね」
マタイ「あなたの苦労は理解したが、それよりも話を進めて貰えないだろうか。”あの女”に見つかる前に」
マーリン「あぁそないにビクビクせぇへんでも大丈夫やよ?今頃上条はんらをかぶりつきで覗いとぉわ」
レディリー「私達の内緒話が見つかったら、もうとっくに解散させられているわよね」
マタイ「だとしても佳くはないと思うが……それで?我々を集めた理由は?」
マーリン「うんまぁ、分かっとると思うけど、この世界って拡散性世界の分岐の一つやよね?」
マタイ「そう、だな。どこぞの誰かが造り出した偽りの――と、までは言わないが、都合の良い世界だ」
レディリー「ある意味優しい世界じゃなくて?独りよがりの管理者に見つめられた、とてもとても無駄のない世界」
マタイ「そんなものは紙芝居に過ぎん。語り手の気分次第で登場人物が変わる、それのどこが優しいのかね」
レディリー「ある程度は決められたルートを辿って、それなりの落とし所へ持って行かれるのでしょう?ならそれを良しとする人も居るではなくて?」
マーリン「まーまー、そないにヤイヤイ言わんでも。この世界の解釈をどぉこぉするんは、まぁ勝手っちゅー事で一つ……っていうか、そないな事言ってる場合ちゃうわ」
マーリン「それよりも――他の魔神の介入が始まっとぉ」
レディリー「早かった、と言うべきか、それとも遅かったわよ、と言ったら良いのかしら」
マーリン「最初は様子見やったみたいやで?いやワイ魔神ちゃうから分からへんけど、魔神ちゃうから!」
マタイ「何故二回言った?」
マーリン「基本、魔神連中は飽き飽きとして、しかも全知全能に限りなく近いから暇やねん」
マーリン「なんで『あ、なんか新しく世界造って独占しやったボケがおる!それなに!わいらも交ぜてぇな!』みたいな?」
マタイ「あぁあの、『存在しなかった魔術結社』群かね。ウェイトリィ兄弟の」
マーリン「あいつはなぁ……まぁ、根本的な所では人類を愛してんねん。その、愛玩動物的な意味では」
マーリン「やから、こう、一応は暇潰し兼善意で首突っ込んできた、まぁまぁ、アレやよね」
マタイ「――一つ、伺いたい。私のような若輩者ではなく、長き命を得ているものとしてお二人に」
レディリー「なにかしら、ボ・ウ・ヤ?」
マタイ「先だって私は、そしてマーリン卿は『そうそう神になった試しはない』と言ったな?」
マタイ「もし、人間の持ちうる手段で昇華――神になってしまえば、その無尽蔵な力を行使され、この世界はとうに滅びてしまうだろうから」
マタイ「……だが、それはやはり――」
マーリン「まぁ嘘――や、ないけども、なぁ?」
レディリー「私が知ってる限りだと……中世の錬金術師の一人、『鳥兜(ルパーリヤ)』のピウス総監が神になった筈、よ?」
マーリン「ワイの知り合いにもアガートラームっちゅー、英雄拗らせとぉて魔神になったヤツが居るわ。居んねんけども……」
マーリン「魔神は一柱でないよって好き勝手しよれば、当然制裁も受けぇの」
マーリン「むしろなりたての魔神が厄介事起こすんを楽しみにしとぉ節すらあるわいな」
マタイ「魔神は一柱ではなく、お互いがお互いを牽制し合っているが故に身動きが取れず、か」
レディリー「あと大切なのは『不老不死』もあるかしらね」
マタイ「……限りない時を生きれば、全てに無関心になってしまうと?」
レディリー「それもあるし、そうでもないし。そうね――あなたが殺したくて殺したくてたまらない相手が居るわよね」
マタイ「物騒な事を言うものではない。私は”善人”なのだから」
レディリー「じゃあその逆に大事で大事で忘れられない思い人が居たとして――も、精々生きて80年だわ」
レディリー「不快に思っていても、大切に思っていても、たったそれだけの時間で失われてしまう相手に、それほど執着出来るかしら?」
レディリー「人と虫、流れている時の長さが違うのだから、相手にしなく――出来なくなってしまうのよ、いずれね」
マタイ「納得、は出来かねるが、理解はした。その上でマーリン卿へ訊ねたい」
マタイ「あなたのような魔神か、それに近いものであるにも関わらず、世界へ対して局地的ながらも介入を続けてきた」
マタイ「一介の魔術師のような枠では到底収まりきれないような、そんな人間が時折姿を見せる。それはいい」
マタイ「だが、それは一体どうして可能なのだ?魔神であるならば、この世界への介入は出来ないのではなかったのか?」
マーリン「そうやね、それはなー――ワイ魔神ちゃうよ?ちゃうちゃうちゃうで?」
マタイ「うん?」
レディリー「KANSAIジョークよ。つまり、否定形の『ちゃう』と犬の種類である『chow chow』をかけているのね」
マーリン「人のボケ解説せぇへんてぇよ!?このボケ殺しが!」
レディリー「こんなんでも『魔神』なのよね」
マーリン「……いやだから、違うっていうて……まぁエエわ。それよりか多分、推測の話になるけど分かっとるんちゃうかな」
マーリン「アルビオン好きな魔神が居って、ヤポンが好きな魔神も居る。これ戦争になって、魔神同士が介入しよったら、世界滅びよんな」
マーリン「やからー……あー、あれちゃうかな?なんや制約付きで力行使してるんちゃうかな?いや、想像やけどね?」
マタイ「理解した。あなたの愛情は少々深すぎるのではないかと思うが……と、すればあの魔神はどうだ?」
レディリー「『50%の呪い』、よね」
マタイ「彼女もまた恐るべき魔神の一柱、よってこの世界への介入は禁じられて――」
マタイ「……その、『枷』か?」
マーリン「や、ないかと思っとぉわ。魔神のままで力を行使出来る権利を持つ代わりに、50%の呪いを貰ろぉとる」
マーリン「なんで『魔神以外の魔神に近しい何か』へ零落する事によって、その制約からは逃れられたんよ」
マタイ「……それにどんな意味があるのだ?」
マーリン「どんなって、何が?」
マタイ「確かに魔神――に、限りなく近しい――力を行使したとしよう。それによって世界を手中に収めたとする」
マタイ「だがしかし――それが魔神であるならば、それに近い上位存在の介入を許してしまう。ここまでは正しいかな?」
マーリン「合っとぉ」
マタイ「なら何故あの女は世界を造った?」
マタイ「支配が永遠に続くのであれば、それもまた理解は出来るが、時間制限付きの拡散していく世界で何をしようとしているのだ?」
レディリー「ボウヤを補足すれば、『魔神』から零落した時点で、それはもう同格の魔神よりも戦力的には劣るわ」
レディリー「緩慢な自殺と見て取れなくもないけれど……どうなのかしらね?」
マーリン「や、ワイに聞かれても困るわ。オティヌスちゃうし」
レディリー「あの子達も言っていたけれど、『大切な所では全然役に立たない』……」
マーリン「しゃーないでしょー!?やってこの世界は人間が作るもんであって、ワイらがホイホイ介入したらアカンもん!」
マタイ「その割には優秀な徒弟を育んでいるようだが?」
マーリン「やったら言わせて貰いますけどぉ!アンタらの持っとぉ霊装チート過ぎちゃいますのん、あ?」
マーリン「ていうか初代も魔神化して天に上がったっちゅー噂があるぐらい、アレな魔術師の話やちゃうかったんかい、あぁ?」
レディリー「あ、それ私も思ってたわ。奇跡奇跡と強調する割には、12使徒のエピソードって魔術そのものなのよね」
マタイ「それ以上言ったら物理的に戦争になるが、どうだね?」
マーリン「うん、やからね?十字教って取り敢えず、武器を構える所から始めるの良くないと思わへんかな?思わへんよなぁ、やっぱり」
マタイ「ま、ジョークはともかくとしても疑問はあらかた氷解した。あの女の考えを除いては、だが」
レディリー「理解出来なかった?もしかしたら、案外それが望みかも知れないわよ」
マタイ「かも知れん。が、それはきっと私の役割ではないであろうな――では、これで失礼するよ」
レディリー「私もそろそろ行かなきゃ、あの子達が暴れ出すかも」
マーリン「二人ともおおきに。そしてまたいつか……そうやね、あの子ぉらに力が必要になっとぉやったら貸してくれへんかな?」
マタイ「罪悪を葬るのに是非も無し、そしてまた”この世界”での借りは返したが、他は未だ成されず」
マーリン「エラい難儀な性格しとぉね」
マタイ「約束はした。それだけの話」
レディリー「私も死なれたら困るから手を貸すけど、あなたは?」
マーリン「ワイなぁ……うーん、これから出来る世界には存在せぇへんと思うわ。しても”これ”とは別個体になっとぉかもしれへん」
レディリー「彼女が他の存在からの介入を遠ざければ、あなたまで弾かれてしまうのね?効果があるかは別にして」
マーリン「やんね。ちゅーてもレッサーらは残りよぉから心配はしてへんよ……そんなには、うん」
マタイ「他に気づいてるいるのはどの程度なのかね?」
マーリン「禁書目録は確定。他にもチラホラと居るよぉで、それぞれ別個になんかしたり、なんかしなかったりしとぉみたいやね」
レディリー「していないの?」
マーリン「ただの女学生が、『一周目の記憶』持っててみぃよ?混乱通り越して正気を疑うのが普通やね」
マーリン「やから大概は夢やと思い込んだりしよるんやけど……そうすると『好感度の高いままでニューゲーム』状態やんね」
マタイ「まぁそれもまた佳いであろう。自業自得である故に」
レディリー「人助けしたんだから、責められるのも酷だと思うけれど」
マーリン「……ま、そん時には頼んますわ」
マタイ「ではまたいつか、願わくばあの魔神との戦いの地にて再開せん事を祈って」
レディリー「あなたも息災で。まだ若いのだから、あんまり無理しちゃ駄目よ?」
マタイ「闘いの中で朽ち果てても、それもまた佳し」
−終わり−