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Clock(trial)

『父親からの電話』


――上条家(新築) リビング

刀夜「『――とーまー?もしもーしもどうしたんだい当麻?』」

刀夜「……うん、切れてるね。どうしたんだろう?」 ピッ

詩菜「当麻さんはなんて?」

刀夜「んー?よく分からないなぁ――っと、ちょっと詰めて貰えるかな?」

???「……」

刀夜「それがねぇ、なんかパニクってたみたいだし。やっぱり学園都市でも同じ報道がされてるとか思えないよねぇ」

テレビ(司会者)『――先程、爆弾発言を投下したARISAさんでしたー』

テレビ(司会者)『ARISAさんの言ってた、トーマクンとは一体誰の事なんですか?さぁー続報が待たれますね!』

テレビ(司会者)『ファンにフルボッコだな……おっと、ダメですからねっ!絶対に暴力なんて!』

テレビ(司会者)『幾らよく訓練されたARISAちゃんファンでも!暴力はいけませんから!』

テレビ(司会者)『絶対ですからねっ!ゼ――』 プツッ

刀夜「……思いっきりリンチ的なものを示唆してるような気がするんだ……」

詩菜「ワイドショーのお話だと、まだお付き合いはされていないようですけどね……」

詩菜「……当麻さんったら、一体誰に似たのやら。ねぇ、刀夜さん?どう思いますか?」

刀夜「待とうか詩菜さん!?安易な容疑者捜しは良くないと思うよっ!私はねっ!」

詩菜「容疑者も何も、犯人は確定してると思うわ。刀夜さんってば本ッッッッ当に面白い事を言うのね?」

刀夜「詩菜さんっ瞳から光彩が消えかかってるから!?ヤンデレにならないで戻って来て下さいっ!」

詩菜「……ふぅ、当麻さんったら……」

刀夜「ま、まぁアレだよ!きっと何かの勘違いとか、誰かの身代わりになったとかじゃないかなっ!」

刀夜「そうでもないと当麻がアイドルの子に告白されるなんて、有り得ないと思うし」

詩菜「……やっぱり当麻さんは刀夜さんに似たのね、はぁ」

刀夜「……深々と溜息を吐かれても。その『分かってない』的な溜息は何?」

詩菜「女の子がね、わざわざ『好きだ』なんて冗談でも言える筈ないじゃないですか」

刀夜「そ、そう……なの?私は結構――」

詩菜「刀夜さん?」

刀夜「――世界で一番愛してますよっ詩菜さんっ!勿論当麻も一緒にねっ!」

詩菜「それに、ですね。本気じゃなかったらメディアを使って言いませんとも」

詩菜「それこそ『アイドル』の女の子にとっては致命的でしょう?」

刀夜「まぁ……そうだね。彼氏持ちのアイドル居なくはないし、特にARISAはシンガーよりも上手いって言われてる歌唱力が売りの子だからねぇ」

刀夜「同性のファンも多くて、そんなにダメージはないのかも知れない、かな?」

詩菜「それに『テレビを使った』のは……そうね、誰かに対する牽制かも知れませんよ?それとも宣戦布告」

刀夜「当麻が?……いやいや、まだ早いよ!」

詩菜「そうかしら?」

刀夜「当麻はをくれてやるつもりはないねっ!例え誰が相手でも!」

詩菜「刀夜さん、凄く気持ち悪いわ」

刀夜「ま、冗談……でも、ないけど。それより牽制かい?あんなに大人しそうな子が?」

詩菜「好きなものに一生懸命になるのは当たり前だし、あなたが思っているよりも女の子はずっと強かですよ」

詩菜「当麻さんにその気がなくても、別に『黙って言い分に従う』なんてルールもないでしょ?」

刀夜「……それは、うん。当麻は果報者なの、かな?」

詩菜「だって男の子は大きくなって初めて男になるけれど、女の子は生まれた時から女ですもの」

詩菜「世界をリードしてきた男性で、どんなに立派な英雄さんにも”おかあさん”が居るわ」

刀夜「言わんとする事は分からないでもないけどね」

詩菜「それに、私の場合――あの子ぐらいの年頃だと、刀夜さんのお嫁さんになるって決めていましたから、ね?」

刀夜「詩菜さん……」

詩菜「刀夜さん……」

刀夜「イングランドへ出張になって、色々と見て来たけれど、やっぱり私はここが帰るべき家だとつくづく実感したよ」

刀夜「何故ならば詩菜さん、あなたが私――僕の帰る場所だから」

詩菜「あらあら刀夜さんったら」

刀夜「その、それじゃ――」

バードウェイ(???)「――と、少し待て。いや大いに待とう、大馬鹿者の父親と天然を見事に遺伝させやがった母親よ」

刀夜「えっと……?」

詩菜「はい……?」

バードウェイ「『誰だっけ?』みたいな顔をするんじゃない!ずっと居ただろう!少し前にもまた席を譲ってるし!」

バードウェイ「展開自体ほぼ同じだろうが!貴様には学習能力がないのかっ!?」

刀夜「あぁうん憶えてますよお嬢さん!えっと――」

刀夜「――親戚のヌレンダちゃん?大きくなったねーオジサン元気にしてる?」

バードウェイ「キ・サ・マ・のっ!息子の将来の嫁のレイヴィニア=バードウェイだっ馬鹿者がっ!!!」

バードウェイ「ずっと居たぞ!貴様が日本へ帰って来てからもずっとだ!ずっと!」

バードウェイ「学園都市へ行こう――ってマークが言ったから仕方がなく行こうとしてたのに!貴様が、貴様が!」

バードウェイ「加齢臭臭いオヤジが加齢臭臭い家へ加齢臭い口で寄ろうと言ってたから!わ・ざ・わ・ざだっ!」

刀夜「あの、前にも言いましたが、加齢臭連呼されるのはちょっと……」

バードウェイ「あのまま直で向かっていれば!”蝕”にも間に合ったのに!全部かっ攫ってやったというのに!」

バードウェイ「『龍脈』の記憶は”同時並行する世界全て”と繋がっている以上!こう、私が華々しく解決する予定だったのに!」

バードウェイ「それが――蓋を開けてみれば、何日も拘束しやがって!?つーかそっちの女もだ!」

詩菜「あらあらまぁまぁ」

バードウェイ「随分若いしロ×コンかっ!?そういう血筋なのか、あぁっ!?」

刀夜「詩菜さんは私とそんなに変わらないんだけど……」

バードウェイ「よくやった!ある意味それでいいナイスペ×っ!」

刀夜「あれ?今×リが完全肯定されませんでしたか?規制法新しくなったのに大丈夫ですか?」

バードウェイ「とにかく!そしてともかく!貴様はさっさと対価を支払え!つーか今すぐだ!」

刀夜「対価……?」

バードウェイ「おっとここに褐色エルフさんと加齢臭男のツーショット写真がだな」

刀夜「――当麻の写真ですねっ!今お持ちしますからっ!」

刀夜「さぁどうかっそんな席ではなく上座へどうぞ!ささっ!」

詩菜「……刀夜さん?」

刀夜「いえ、違うんですよ詩菜さん?これは、ですね、この写真はですね――そう!」

刀夜「――敵の商社の攻撃なんだ!私は悪くないんです!きっとね!」

詩菜「えっと、レヴィニアさん?」

バードウェイ「んー?」

詩菜「当麻さんのお写真だったら、お二階の当麻さんのお部屋にありますから」

バードウェイ「そりゃどうもご親切に、レディ」

詩菜「わたしは……そう、少しウルサくするかも知れませんけど、どうかゆっくりしていってね?」

バードウェイ「あぁ気にしないでくれ給え。コピーしたら退散するし、気を遣って貰――」

詩菜「当麻さんの、小さい頃のお話に興味ないかしら?」

バードウェイ「――と、思ったんだが、折角の誘いを断る程に礼儀知らずではないさ。暫く厄介になろう」

詩菜「はい、それじゃまた”後”で」

バードウェイ「そうだな。それじゃ”後”で」

刀夜「そうだね、私も後――」

詩菜「――刀夜さぁん?」

刀夜「……バードウェイさんっ!?どうか弁護だけでも!」

バードウェイ「未遂だな」

刀夜「ほ、ほらっ!私は潔白だよっ!疚しい所なんてないし!」

バードウェイ「ただし私が止めなかったら、家族が増えていたかも知れない」

刀夜「異議あり!裁判官っこの弁護人は悪意を持っています!」

詩菜「却下ですっ☆……さ、こっちへいらして下さいな?」

刀夜「……………………はい」

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